JPH1028876A - 炭化水素油の水素化脱金属触媒およびこれを用いる炭化水素油の水素化脱金属方法 - Google Patents

炭化水素油の水素化脱金属触媒およびこれを用いる炭化水素油の水素化脱金属方法

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JPH1028876A
JPH1028876A JP9089605A JP8960597A JPH1028876A JP H1028876 A JPH1028876 A JP H1028876A JP 9089605 A JP9089605 A JP 9089605A JP 8960597 A JP8960597 A JP 8960597A JP H1028876 A JPH1028876 A JP H1028876A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重質油類を水素化脱金属処理する際に、触媒
の閉塞を防止し、触媒同士の空間を維持して急激な差圧
上昇を防止し、長期間に亘る連続運転を可能にする炭化
水素油の水素化脱金属触媒および炭化水素油の水素化脱
金属方法を提供する。 【解決手段】 担体と、この担体に担持された触媒成分
とからなり、触媒表面の一部好ましくは触媒表面積の3
0〜90%に、実質的に脱金属機能を有さない不活性物
質からなり、反応流体を実質的に透過させない被覆層を
有する炭化水素油の水素化脱金属触媒。前記被覆層の比
表面積は10m2/g以下であることが好ましい。被覆
層を形成する不活性物質は、ガラス、不活性セラミック
スまたは反応条件下で不活性な金属であることが好まし
い。固定床充填用触媒として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、炭化水素油の水素化脱金
属触媒およびこの触媒を用いる炭化水素油の水素化脱金
属方法に関し、さらに詳しくは炭化水素油特に重質油を
水素化処理する場合において、長期間に亘り連続運転を
実施することができる水素化脱金属触媒およびこの触媒
を用いる炭化水素油の水素化脱金属方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】原油を常圧蒸留あるいは減圧蒸留
することによって得られる石油系蒸留残渣油、タールサ
ンド油等の高沸点炭化水素油類は多量の金属分、硫黄化
合物、窒素化合物等の夾雑物を含んでおり、各種燃料あ
るいは化学工業原料に供するために、今日、最も一般的
な精製法として水素化処理法が適用されている。
【0003】とくに、近年は、原料油の重質化が急速に
進行する傾向にあり、それにともない、従来における脱
硫、脱窒素、軽質化に加え、脱金属に係る技術的問題の
解消の必要性が高まっている。
【0004】重質油の水素化処理法におけるプロセス技
術上の問題のひとつは、高度脱硫率の達成とともに、夾
雑物としての金属成分の除去、ならびに、金属の触媒上
への析出にともなう触媒性能への影響をどのように軽減
するかということである。
【0005】一般的に、原料中に含まれる有機金属化合
物等の金属成分は、硫黄化合物あるいは窒素化合物の場
合と異なり、反応の進行にともなって、触媒上に金属硫
化物などの状態で、未反応部分を除いて、実質的にすべ
て析出し、運転期間を通じて反応系外に排出されないと
いう特異な現象を有し、その結果触媒性能の低下ならび
に触媒層の閉塞による反応器内における圧力損失上昇の
問題が生じている。
【0006】また、重質油の水素化処理プロセスにおい
ては、不可避の副反応ともいうべき炭化水素の分解反応
による炭素質物質(以下、カーボンまたは炭素というこ
とがある)の析出を伴う。
【0007】これらの析出物質は、粒状触媒を充填して
構成される固定床反応器における圧力損失上昇(以下、
△P上昇ということがある)の主要因を成すものであ
る。一般的に、重質油の水素化処理プロセスにおいて
は、反応器に充填する触媒は、一連続運転期間中、全充
填層にわたって有効に機能するものとして、種類(たと
えば、活性金属種、担持量等)や充填量が決定される
が、実際の運転においては、予定通油量以前に急速な△
Pの上昇を発生し、運転不能に至ることを経験してい
る。
【0008】すなわち、原料油と触媒の組み合わせが適
切である限り、直脱第1塔(脱金属反応塔)の△P上昇
の前に、後段脱硫触媒の活性が予定通りのスケジュール
で低下し、運転を終了するが、この場合における予定外
の脱硫触媒失活の原因は運転後期に脱金属触媒層の能力
が低下し、原料油中の重金属分が脱硫触媒に加速的に沈
積するためである。また、運転後期には、脱金属触媒お
よび脱硫触媒の性能低下に伴って、触媒層の温度を高く
して触媒性能の低下を補償するが、高温化とともに触媒
上でのコーキングも顕著となり、これも脱硫触媒劣化の
一因である。このように、運転後期には急速に触媒の劣
化と触媒層の閉塞傾向が進展するが、この直前に予定の
運転を終了するのが上手な直脱装置の運転管理である。
この場合に、脱金属触媒層の後段は脱金属能力を残して
いるが、脱金属触媒層全体として性能が不足するため
に、運転停止を避けられない。この対策として脱金属触
媒層の触媒量を増強することが考えられるが、この場合
にも脱金属触媒層入り口部の最上段触媒層の閉塞問題は
解決できないので、結局脱金属触媒層全体としての脱金
属能力を大幅に残しながらも(触媒増強のため)、圧損
上昇のために実質的に運転期間を延長できない。
【0009】本発明者等は直脱実装置の使用済み触媒の
観察結果と実験室における脱金属反応試験より触媒層に
おける反応メカニズムについて検討したところ、触媒上
で次の現象が存在していることを認めた。
【0010】すなわち脱金属触媒の使用初期においては
モリブテン等活性金属種の存在する触媒粒子内で脱金属
が優先的に進行し、重質油中のバナジウム、ニッケル等
の重質油夾雑金属類は触媒粒子内に析出し保持される。
【0011】脱金属処理時間が経過して、触媒粒子内に
バナジウム等が多量に蓄積されてくると、触媒粒子中の
活性金属(以下モリブデンで代表)は次第に触媒粒子表
面層へ移動して濃縮層を形成し、さらには触媒粒子外層
にもモリブデン層が形成される様になる。この触媒粒子
外層に存在するモリブデンは触媒活性を持ち、重質油中
のバナジウム、ニッケル、鉄を触媒粒子外層に固定させ
る作用を示す。さらに、脱金属処理時間が経過した場合
には、モリブデン、バナジウム、ニッケル、硫黄、鉄、
炭素前駆体等で構成される触媒粒子外層は拡大し、この
層に存在する金属類の触媒作用により脱金属触媒粒子間
隙全てを埋めるようになる。この時、脱金属触媒層は触
媒粒子間隙部を含めて触媒層全空間が固体析出物で充填
され、急激に触媒層圧損が増加し、直脱装置が運転不能
になる。
【0012】重質油の水素化脱金属法における触媒層の
△P上昇に関する問題の解決は、従来から当該技術分野
における永年のテーマの一つであり、たとえば、米国特
許第4,510,263号では、反応器に充填する触媒
として、球体あるいは柱状成型物からなる触媒に比較し
て、△P上昇の少ないシリンダー状成型物(cylindrica
l extrudate)の内壁に、十字状等の断面を有する梁翼
あるいはリブ(vane or rib)を設ける事により機械的
強度の改善と活性面の拡大を図っている。特開昭63−
194732号では、閉塞ならびに活性低下問題の解消
法として、活性金属成分の触媒担体内での濃度分布を、
触媒担体の切断面において、その中心と外表面の間で最
大となるように規定することにより、触媒外表面におけ
る反応を抑え、当該領域における反応を選択的に優先さ
せることにより、外表面における析出量を少なくしよう
としている。また、特開平2−305891号では、触
媒の担体粒子の表面を、比表面積が1m2/g以下で、
細孔直径10μ以上に構成することにより、触媒外表面
での活性点を少なくするとともに、細孔内における反応
を優先させ、同時に、析出する物質に対する収容容積を
拡大することにより、触媒体積の膨張を抑え、閉塞問題
の解消を図っている。
【0013】しかしながら、本発明者等は上記公報に記
載された発明を含む従来技術について鋭意検討したとこ
ろ、今後、ますます重質化に向かおうとしている原料油
事情ならびにプロセス装置の長期連続運転による経済性
向上を望む要望に対し、充分な対応が出来ないことを認
めた。
【0014】かくして、本発明者等は、以上の観点に基
づき、水素化脱金属法を将来における原料油の重質化な
らびにプロセスの長期連続運転化へのニーズに対応すべ
く、本発明をなすに至ったものである。
【0015】
【発明の目的】本発明は、上記のような研究に基づいて
なされたものであって、炭化水素油特に重質油を水素化
処理する際に、触媒粒子間への重金属等の析出を防止す
ることにより、触媒層の閉塞を防止し、触媒同士の空間
を維持して差圧上昇を防止し、長期間に亘って連続的に
重質油を水素化脱金属することができ、さらに触媒同士
の固着を防止することにより、運転終了後の触媒抜き出
しを容易にする炭化水素油の水素化脱金属触媒およびこ
の触媒を用いる炭化水素油の水素化脱金属方法を提供す
ることを目的としている。
【0016】
【発明の概要】本発明に係る炭化水素油の水素化脱金属
触媒は、担体と、この担体に担持された触媒成分とから
なり、触媒表面の一部に、実質的に脱金属機能を有さな
い不活性物質からなり、反応流体を実質的に透過させな
い被覆層を有することを特徴としている。
【0017】本発明に係る水素化脱金属触媒では、触媒
表面積の30〜90%がこの被覆層で被覆されているこ
とが好ましい。被覆層の比表面積は10m2/g以下で
あることが好ましい。
【0018】上記のような被覆層は、反応流体を実質的
に透過させず、それによって反応流体と触媒活性点とを
接触させないような緻密な層である。上記のような被覆
層を形成する不活性物質としては、ガラス、不活性セラ
ミックスまたは反応条件下で不活性な金属が挙げられ
る。
【0019】ガラスとしては、低温焼結ガラス類、半田
ガラス類または釉薬が好ましい。不活性セラミックスと
しては、α−アルミナ、不活性シリカ、コーディエライ
ト、ムライトまたは石英などが挙げられる。
【0020】また反応条件下で不活性な金属としては、
アルミニウム、ステンレス鋼などが挙げられる。本発明
に係る水素化脱金属触媒は、固定床充填用触媒として好
適である。
【0021】本発明に係る炭化水素油の水素化脱金属方
法は、上記のような水素化脱金属触媒の存在下に、炭化
水素油を水素化処理することを特徴としている。本発明
では、炭化水素油の水素化処理を固定床式で行なうこと
が好ましく、さらに炭化水素油と水素化脱金属触媒との
接触における最上流初期触媒層(最上流充填触媒層)
に、上記の水素化脱金属触媒を用いることが好ましい。
【0022】この発明は、触媒粒子あるいはブロックを
肉眼的な視野でみる場合での形状を決定する外表面(触
媒表面)の一部を水素化脱金属反応に対して不活性かま
たは反応流体の活性点への接触を妨げる物質で被覆する
ので、本質的に金属およびカーボンの析出しない面を確
保するとともに、その面を介して反応流体の流路を形成
するものである。
【0023】
【発明の具体的説明】以下本発明に係る炭化水素油の水
素化脱金属触媒およびこの触媒を用いる炭化水素油の水
素化脱金属方法について具体的に説明する。
【0024】水素化脱金属触媒 この水素化脱金属触媒は、担体と、担体に担持された触
媒成分(触媒活性成分)とからなり、触媒表面の一部
に、実質的に脱金属機能を有さない不活性物質からなる
とともに反応流体を実質的に透過させない被覆層を有し
ている。このような水素化脱金属触媒の表面には、部分
的に反応面(反応流体との接触面)が形成されている。
この被覆層は、反応流体を実質的に透過させず、それに
よって反応流体と触媒活性点とを接触させないような緻
密層である。
【0025】本発明では、水素化触媒を形成する担体と
して公知のアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタ
ニア、マグネシア、シリカ−マグネシアなどの担体を特
に限定することなく用いることができる。これら担体の
比表面積(BET法)は50m2/g以上、好ましくは
100〜300m2/gである。
【0026】担体に担持される触媒成分としては、水素
化触媒として公知の触媒成分を広く用いることができ、
たとえばモリブデン、タングステン、クロムなどの第VI
B族金属あるいはニッケル、コバルトなどの第VIII族金
属の酸化物または硫化物を用いることができる。
【0027】本発明では、担体に単一触媒成分を担持さ
せてもよく、2種以上組み合わせて担持させてもよい
が、これらのうちでもモリブデンと、ニッケルおよび/
またはコバルトとを組み合わせて担持させることが好ま
しい。上記のような触媒成分は、酸化物として、第VIB
族金属は5〜30重量%の量で、第VIII族金属は1〜1
0重量%の量で担持されていることが好ましい。
【0028】上記のような触媒成分は、従来公知の方法
で触媒に担持させることができ、たとえば担体(成形
体)に触媒成分水溶液を含浸させる含浸法、未成形触媒
原料と触媒成分あるいは触媒成分水溶液とを混練して押
出して成形する混練−押出成形法、担体(成形体)に触
媒成分をコーティングするコーティング法などにより担
持させることができる。
【0029】上記のような担体と、担体に担持された触
媒成分からなる水素化脱金属触媒のの形状は何ら限定さ
れない。たとえば柱状、球状、錐形、あるいは三葉形、
四葉形、ダンベル型などの異形形状のいずれであっても
よく、柱状担体は断面が円形、星型、T、I、C、E、
Hなどの文字型、方形、三角、六角、八角などの角状な
どであってもよい。触媒の大きさも特に限定されず、成
形可能であって、かつ反応塔内で使用できるものであれ
ばよい。
【0030】本発明では、上記のような触媒表面の一部
には、実質的に脱金属機能を有さない不活性物質からな
り、かつ反応流体を実質的に透過させない被覆層が設け
られている。このような被覆層は、反応流体(炭化水素
油)を実質的に透過させない層であり、一般的に反応流
体を実質的に透過させないことによって反応流体と触媒
活性点とを接触させないような層である。
【0031】この被覆層は、反応流体を透過させずに反
応流体と活性点との接触を妨げるか、あるいは触媒成分
が触媒表面に拡散することを阻止することができ、これ
によって被覆層が設けられた触媒表面上での炭化水素油
の脱金属反応あるいは炭素質析出反応を阻止し、触媒粒
子間に金属や炭素質物質を蓄積させることなく触媒間隙
を維持し、触媒層中の炭化水素油の流れを維持するもの
である。
【0032】本明細書において、「反応流体を実質的に
透過させない」被覆層とは、反応流体を全く透過させな
い被覆層、あるいは極く少量反応流体を透過させるが、
この被服層が設けられた部分で金属、炭素質などが析出
して触媒同士が固着しないような被覆層を意味してい
る。
【0033】具体的に被覆層は、比表面積が小さくかつ
実質的に細孔がなく、触媒成分及び反応流体(炭化水素
油)から析出する金属成分を保持しにくく、かつ触媒内
部に担持された触媒成分が被覆層の表面に滲出するのを
阻止し、さらに炭化水素油を実質的に透過させない材質
からなることが好ましい。
【0034】より具体的には、被覆層の比表面積は10
2/g以下、好ましくは1m2/g以下であることがよ
く、比表面積が10m2/gより大きくなると上記のよ
うな金属成分の非保持特性、触媒成分の滲出阻止特性、
反応流体の透過阻止性などが低下してくる。被覆層を形
成する材料としては、上記のような目的を達成すること
ができれば反応不活性な材料を特に限定することなく用
いることができるが、たとえばガラス、不活性セラミッ
クスまたは反応条件下で不活性な金属などを用いること
ができる。
【0035】ガラスとしては、釉薬、ナトリウム−ホウ
素系、鉛−ホウ素系、ケイ素−ホウ素系などの低温焼結
ガラス類、亜鉛−ホウ素系、鉛−ケイ素系などの半田ガ
ラス類を用いることができ、不活性セラミックスとして
は、α-アルミナ、不活性シリカ、コーディエライト、
ムライト、石英などを用いることができる。反応条件下
で不活性な金属(合金も含む)としては、アルミニウ
ム、ステンレス鋼などを用いることができる。これらを
2種以上組合わせて用いることもでき、たとえば低温焼
結ガラス類と不活性セラミックスとを組合わせて用いる
ことができる。
【0036】本発明では、このような被覆層は触媒表面
の一部にのみに設けられており、触媒表面には、部分的
に反応面(非被覆部)が形成されている。このような被
覆層を有する本発明に係る水素化脱金属触媒の態様例を
図1、図2に示す。
【0037】図1に示す球状触媒1は、触媒成分が担持
された球状担体3の表面の一部に被覆層2が設けられた
構造を有している。図2に示す柱状触媒1は、触媒成分
が担持された柱状担体3の胴部表面に被覆層2が設けら
れた構造を有している。なお本発明では、触媒および被
覆層はこれら図に示される形状に何ら限定されるもので
はない。
【0038】上記のように触媒表面に形成される被覆層
は、触媒表面上での全面的な炭化水素油の反応を阻止し
て触媒同士の固着(触媒層の閉塞)を防止することがで
きるように触媒表面の一部に形成されればよく、具体的
には触媒表面積の30〜90%が被覆層で被覆されてい
ることが好ましい。
【0039】このような被覆率で被覆層を有していると
触媒は充分な反応活性を示すことができ、しかも反応流
体と活性点との接触が妨げられる被覆層を有しているの
で、金属および炭素質が析出しない面を確保することが
でき、この面を介して触媒間に反応流体が流通しうる空
間(流路)を維持することができる。このように反応流
路を充分に確保することができるので、触媒層の閉塞を
防止することができ、差圧上昇を防止することができ
る。なお上記被覆率が30%より少ないと、触媒の固着
閉塞を充分に防止することが困難になり、一方90%よ
り多いと触媒は充填量の増大とともに大型反応器を要
し、プラント建設のコスト増大を招く。
【0040】また被覆層の厚み、密度、被覆形状などは
特に限定されるものではないが、被覆層の厚みは0.1
μm〜1mm程度であることが望ましい。
【0041】本発明では、上記のように触媒表面の一部
に被覆層を形成することができればよく、被覆層の形成
方法は特に限定されず、上記のような各材料に適した方
法によって形成される。たとえば触媒表面全面に被覆層
を設けた後、きずをつけたり、切断あるいは破砕などに
より活性面を部分的に露出させるとともに、触媒表面の
一部に被覆層を残すようにして形成することができる。
また触媒表面の一部に、釉薬または不活性セラミックス
のゾルあるいはスラリーを吹き付け、刷毛塗りするか、
あるいは被覆層を形成したい部分のみをゾルあるいはス
ラリーに浸漬して、次いで焼成することによって触媒表
面の一部に被覆層を形成することができる。このように
浸漬法により被覆層を形成する際には、たとえば柱状触
媒の胴部に被覆層を形成する場合には、端面をマスキン
グしてゾルあるいはスラリー中に浸漬してもよく、ある
いはゾルあるいはスラリー浅液または液膜に柱体胴部を
接触させてもよい。押出成形品はこれらの過程で所望の
大きさに切断する。
【0042】上記のようにガラスまたは不活性セラミッ
クスを用いて形成される被覆層は、炭化水素油の水素化
処理温度以上の温度で焼成されるが、反応面の比表面積
を最大に維持し活性成分を失活させないという観点か
ら、通常450〜700℃の温度で焼成することが好ま
しい。
【0043】また触媒表面の一部にアルミニウムなどの
金属被覆層を形成する際には、溶射法あるいは溶融接着
法などを利用することができる。なお本発明では、被覆
層を形成する前に触媒成分を担持させておくことができ
るが、予め被覆層が形成されていても該被覆層上には触
媒成分が担持されにくいので被覆層が形成された担体に
触媒成分を担持させることもできる。
【0044】上記のように被覆層を形成するに先立っ
て、触媒成分が担持された触媒を乾燥、予備焼成しても
よい。上記のような触媒は、反応塔に充填した際に崩壊
しない程度の強度を有していることが必要である。
【0045】炭化水素油の水素化脱金属方法 本発明に係る炭化水素油の水素化脱金属方法は、上記の
ような水素化脱金属触媒を用いて炭化水素油を水素化処
理する。
【0046】本発明で処理される炭化水素油は、たとえ
ば石油系蒸留残油(常圧、減圧)、減圧軽油、分解油、
脱歴残油、石炭液化油、タールサンド油、シェールオイ
ル油、天然ビチュ−メンなどの重質油類および原油であ
る。
【0047】炭化水素油の水素化処理は、上記のような
本発明に係る水素化脱金属触媒を用いる以外は従来公知
の方法を特に限定することなく適用して実施することが
できる。
【0048】固定床式で実施する場合に特に本発明の効
果を発現することができる。反応塔は、単段式でも多段
式でもよい。
【0049】触媒は水素化処理装置内にランダムに充填
すればよいが、サイズの大きい柱状触媒は、端面を反応
流体の流れ方向に向けて整列配置させることができる。
【0050】水素化脱金属処理は、 温度 200〜550℃ 圧力 50〜300kg/cm2 水素循環量 500〜2000Nm3/kl油 通油量 LHSV 0.1〜20hr-1 の条件下に行なうことが望ましい。
【0051】本発明では、炭化水素油の水素化脱金属反
応を上記のような水素化脱金属触媒のみを用いて行なっ
てもよく、また従来の触媒(被覆層が設けられていない
触媒)と併用してもよい。
【0052】従来の触媒と併用する際には、反応塔全域
において均一な混合状態で用いてもよいが、図3に示す
ように炭化水素油と水素化脱金属触媒との接触における
最上流触媒層に本発明に係る水素化脱金属触媒を用いて
行なうことことが好ましい。
【0053】図3において、反応塔10上部から導入さ
れた反応流体11は、まず反応塔内前段で本発明に係る
水素化脱金属触媒12と接触した後、後段で従来の触媒
13と接触し、水素化処理され反応塔底部から14とし
て抜き出される。
【0054】また図4に示すように、本発明に係る水素
化脱金属触媒12を用いた反応塔20を、従来公知の触
媒13を用いた反応塔10の上流に付設し、予め反応塔
20で反応流体11を水素化脱金属反応させた後、反応
流体11を反応塔10で水素化処理してもよい。
【0055】このように本発明に係る水素化脱金属触媒
を、反応流体と水素化触媒との接触初期に使用すると、
前段触媒層が閉塞しにくいので、差圧の発生を軽減しで
き、装置全体の触媒寿命を長期化することができる。
【0056】
【発明の効果】本発明に係る炭化水素油の水素化脱金属
触媒は、重質油などの炭化水素油の水素化脱金属処理時
に閉塞抑制効果により触媒層圧損上昇を防止できる。こ
れにより、閉塞部以下の触媒が充分な活性を有し、健全
な状態を保っているのに運転を停止せざるを得ないとい
う従来の欠点を改良し、脱金属触媒層全域に重質油中の
夾雑重金属類を高濃度に析出させることができる。また
重質油中の夾雑重金属類の触媒表面への析出を阻止でき
るため、使用後の触媒粒子の固着が起きず、その抜き出
し作業が容易になり、同時に抜き出し時間が短縮され
る。
【0057】さらに従来型脱金属触媒では閉塞防止の観
点より、モリブデン等の活性成分の濃度をより低めにし
て、触媒活性を抑えるのが通常であったが、本発明にお
いては、上記の方法により反応流体の流路を確保するこ
とができるので、担体に担持する活性成分濃度を高くす
ることができるというメリットがあろ。このため、被覆
層にともなう活性面の減少する部分があっても、最終的
には、単位触媒量当りの脱硫、脱窒素活性ならびに脱金
属機能を、在来型触媒を充填した場合における機能もし
くはそれ以上の処理能力を充分に確保し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る水素化脱金属触媒(球状)の斜
視図である。
【図2】 本発明に係る水素化脱金属触媒(柱状)の斜
視図である。
【図3】 本発明に係る炭化水素油の水素化脱金属方法
の好ましい態様を示すプロセス図である。
【図4】 本発明に係る炭化水素油の水素化脱金属方法
の好ましい態様を示すプロセス図である。
【符号の説明】
1 … 触媒 2 … 触媒表面の一部に形成された被覆層 3 … 触媒成分が担持された担体 10 … 反応塔 11 … 反応流体 12 … 本発明に係る水素化脱金属触媒 13 … 従来の触媒(被覆層が設けられていない触
媒) 14 … 水素化処理物 20 … 本発明に係る水素化脱金属触媒を用いた反応
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10G 45/08 9547−4H C10G 45/08 A

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】担体と、この担体に担持された触媒成分と
    からなり、 触媒表面の一部に、実質的に脱金属機能を有さない不活
    性物質からなり、反応流体を実質的に透過させない被覆
    層を有することを特徴とする炭化水素油の水素化脱金属
    触媒。
  2. 【請求項2】触媒表面積の30〜90%が前記被覆層で
    被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の炭化
    水素油の水素化脱金属触媒。
  3. 【請求項3】前記被覆層の比表面積が10m2/g以下
    であることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素油の
    水素化脱金属触媒。
  4. 【請求項4】前記被覆層が、反応流体を実質的に透過さ
    せず、それによって反応流体と触媒活性点とを接触させ
    ないような緻密層であることを特徴とする請求項1に記
    載の炭化水素油の水素化脱金属触媒。
  5. 【請求項5】前記被覆層を形成する不活性物質が、ガラ
    ス、不活性セラミックスおよび反応条件下で不活性な金
    属から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の炭化
    水素油の水素化脱金属触媒。
  6. 【請求項6】前記ガラスが、低温焼結ガラス類、半田ガ
    ラス類および釉薬から選ばれることを特徴する請求項5
    に記載の炭化水素油の水素化脱金属触媒。
  7. 【請求項7】前記不活性セラミックスが、α−アルミ
    ナ、不活性シリカ、コーディエライト、ムライトおよび
    石英から選ばれることを特徴とする請求項5に記載の炭
    化水素油の水素化脱金属触媒。
  8. 【請求項8】前記反応条件下で不活性な金属が、アルミ
    ニウムおよびステンレス鋼から選ばれることを特徴とす
    る請求項5に記載の炭化水素油の水素化脱金属触媒。
  9. 【請求項9】水素化脱金属触媒が固定床充填用触媒であ
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の炭
    化水素油の水素化脱金属触媒。
  10. 【請求項10】請求項1〜8のいずれかに記載の炭化水
    素油の水素化脱金属触媒の存在下に、炭化水素油を水素
    化処理することを特徴とする炭化水素油の水素化脱金属
    方法。
  11. 【請求項11】炭化水素油の水素化処理を固定床式で行
    なうことを特徴とする請求項10に記載の炭化水素油の
    水素化脱金属方法。
  12. 【請求項12】炭化水素油と水素化脱金属触媒との接触
    における最上流触媒層に、請求項1〜8のいずれかに記
    載の水素化脱金属触媒を用いることを特徴とする請求項
    11に記載の炭化水素油の水素化脱金属方法。
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