JPH10298008A - 葉面散布剤及び該葉面散布剤を用いた稲の育苗方法 - Google Patents

葉面散布剤及び該葉面散布剤を用いた稲の育苗方法

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JPH10298008A
JPH10298008A JP9118914A JP11891497A JPH10298008A JP H10298008 A JPH10298008 A JP H10298008A JP 9118914 A JP9118914 A JP 9118914A JP 11891497 A JP11891497 A JP 11891497A JP H10298008 A JPH10298008 A JP H10298008A
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trehalose
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Shoichi Hirooka
正一 広岡
Kunio Hanaue
邦夫 花上
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、トレハロース含有糖類を成分とする
発酵物からなる葉面散布剤及び該葉面散布剤を用いて稲
の苗づくり時期に作用させることにより、薬剤を必要と
せずに苗質を高める方法の提供を目的とする。 【構成】本発明の葉面散布剤は、トレハロース含有糖類
と醸造用アルコールとの混合物を酢酸発酵することによ
り得られた食酢、トレハロース含有糖類を用いてアルコ
ール発酵と酢酸発酵とを行うことにより得られた食酢、
トレハロース含有糖類と醸造酢との混合物、トレハロー
ス含有糖類と合成酢との混合物、トレハロース含有糖類
と酢酸の混合物のいずれかのものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、葉面散布剤及び該葉面
散布剤を用いた稲の育苗方法に関し、詳しくは、トレハ
ロース含有糖類を成分とする発酵物からなる葉面散布剤
を稲の苗づくり時期に作用させる方法に関するものであ
る。
【従来の技術】稲作の生育時期は苗づくり時期、葉・茎
の増える時期、穂の発育する時期、米が実る時期の4つ
に大別される。現在の田植機を利用する水稲の苗づくり
は、苗箱を使用しての箱育苗が中心である。箱育苗は一
般に所定の苗箱に約5リットルの床土を詰め、この狭い
箱の中に稲の種籾を約8000粒蒔く。このため育苗末
期になると苗が過繁茂になり、夜間の異常低温や日中の
急激な高温に見舞われると、生理代謝が異常となって、
根からの水分吸収と葉からの蒸散のアンバランスを起こ
し、葉が針の様に巻き込む現象であるムレ苗を発生しや
すい。また過繁茂になると下葉が黄化枯死する現象であ
る老化苗も発生しやすい。加えて田植機による機械移植
では、田植機の苗の繰り出し作業能率に関係する苗の根
がらみを良くする必要がある。 更に田植え後の苗の蒸
面蒸散を抑え、苗の植え傷みを防ぐ配慮も必要である。
この対策として箱育苗では植物生長調節効果を有する殺
菌剤(aと略)並びに植物生長調節剤(bと略)等の薬
剤により苗の生育が管理される。例えば、ムレ苗防止に
はヒドロキシイソキサゾール(a)、イソプロチオラン
(a)、メタスルオカルブ(a)等が、老化苗防止には
ベンジルアミノプリン(b)が、苗の根がらみ向上には
ヒドロキシイソキサゾール(a)等と共にインドール酪
酸(b)、ニコチン酸アミド(b)が、苗の植え傷み防
止にはパラフィン(b)、ワックス(b)等の薬剤が使
用されている。一方、箱育苗では、苗の揃いが田植えの
仕上がり、作業能率を向上するために大切である。そこ
で発芽力の優れた種籾を選びとる選種、選種した種籾の
病気を予防する消毒、種籾に十分水を吸収させる浸種、
人工的に発芽させる催芽を順次行った後、苗箱に種蒔き
をする。ここでの消毒は種籾がいもち病、ごま葉枯れ
病、ばか苗病などに汚染されている恐れがあるので、殺
菌剤のベノミル−チウラム剤等を用いて予防処置するも
のである。以上に述べた如く、上記の薬剤等は田植機で
の稲作を安定化、効率化するため、苗づくり時期におけ
るその役割は重要なものとなっている。しかしながら、
高い生産性の大きな支えとなっている農薬(薬剤)施用
は環境負荷軽減の見地から、また生産者自身の健康意識
及び消費者の食の安全性への高い関心等から、これ以上
多量に使うことは許されない状況となっており、そこで
法律上の農薬あるいは化学肥料ではないが、天然物を主
体とした生産資材が利用されている。例えば、環境保全
資材として紹介されている木酢液、生物農薬的作用を有
するとされる微生物処理キトサン、更には古くよりの防
腐剤でもある食酢などがあり、木酢液とキトサンを混合
した生産資材もある。木酢液は木材を炭化させる際に生
じる煙を冷却し、液化した赤褐色の液体で有機酸類、フ
ェノール類、アルコール類など200以上もの成分を含
んでいるが、主成分は酢酸、フェノール酸、メタノール
等である。微生物処理キトサンは、蟹殻や海老殻などを
微生物酵素により酵素分解、脱アセチル化したものでグ
ルコサミンの2〜20量体を主成分とするものである。
食酢には多種のものがあり、一般的には米を醸造した米
酢や玄米酢が利用されるが、主成分は酢酸であって、こ
の米酢等は単独使用よりも焼酎とぶどう糖との三者の混
合物としたり、黒砂糖を酵素で発酵させた液との二者の
混合物としたりして利用されている。これらの生産資材
は一般的には水に薄めて使用する。高い濃度、例えば1
00〜500倍程度では抗菌作用による病害虫防除効果
が、低い濃度、例えば500〜1000倍程度では育成
効果があるとされているが、その使用は無農薬、減農薬
を目指す有機栽培法であり、農薬代替がその目的とする
ところであった。
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑み
て、本発明者らはトレハロース含有糖類を成分とする発
酵物が稲の育苗等に及ぼす影響について鋭意研究を行っ
た結果、トレハロース含有糖類を成分とする発酵物を稲
の苗づくり時期に作用させる方法により、薬剤を使用せ
ずに苗質を高めることができることを見出し、本発明の
完成に至った。その目的とするところは、トレハロース
含有糖類を成分とする発酵物からなる葉面散布剤及び当
該葉面散布剤を用いてなる稲の育苗方法を提供すること
にある。
【課題を解決するための手段】箱育苗では播種後、出
芽、緑化、硬化と呼ばれる管理作業を行う。すなわち、
苗箱に種蒔き、覆土された種籾は、次いで育苗器で出芽
された後、外気にならすための緑化、低温に対する抵抗
力をつけるための硬化を受けながら苗に生長する。苗の
善し悪しは、草丈、茎数、葉齢、生体重、乾物重、乾物
率、苗充実度等の苗質によって示される。草丈は苗の根
の生え際から最も長い葉の先端までの長さである。茎数
は種籾から出た茎に分げつした茎の数を加えたものであ
る。葉齢は第1葉から数え順次第7葉まであるが、新し
い葉が全部出ていないときは、前の葉と同じ長さを0.
8、その葉身の8分の1を0.1として計り前の葉の数
に加える。生体重は籾殻を除き根を切り取った苗50本
の重さを量り平均する。乾物重は生体重を測定した苗5
0本を乾燥して重さを量り平均する。乾物率は生体重に
対する乾物重の比率(%)で示す。苗充実度は草丈に対
する乾物重の比率(mg/cm)で示す。ここで機械移
植の苗は、例えば葉齢3.2が移植の適期とされるが、
良い苗とは移植法に適した草丈と葉齢に達している。
病害虫におかされていない。ムレ苗、老化苗が無
く、根がらみが良く、総じて苗揃いが良い。生体重の
割に乾物重が大きく、乾物率が高い。草丈の割に風乾
重が大きく、苗充実度が高いなどである。これらの条件
のうち特に、が良い苗のための重要な決め手で、こ
のような苗は、茎に多くの養分を含んでいるので、田植
え後早く根付き、苗の植え傷みも少なく、盛んに生長す
るものとされる。すなわち育苗箱で良い苗作りができな
いと、田植機を活用してもむしろ減収となる恐れがあ
り、苗づくりは稲作の作業の中で重要な過程である。こ
のような状況において、本発明であるトレハロース含有
糖類を成分とする発酵物を苗づくり時期に作用させる
と、苗の生長を促進して、苗充実度、乾物率の高い健全
な苗を容易に得ることができる。更にムレ苗、老化苗が
無く、根がらみが良く、総じて苗揃いが良いものとな
る。本発明の葉面散布剤は、トレハロース含有糖類を成
分とする発酵物より得られ、トレハロースを主体とする
成分と酢酸成分とを葉面散布剤として利用するもので、
このような葉面散布剤を用いて稲の苗質を高めることは
従来全く見あたらないものであり、本発明による開示が
始めてである。請求項1記載の葉面散布剤は、トレハロ
ース含有糖類を成分とする発酵物を葉面散布剤とするも
のである。請求項2記載の稲の育苗方法は、前記請求項
1記載の葉面散布剤を用いてなるものである。以下に本
発明を詳しく説明する。トレハロースは植物や昆虫、き
のこ、酵母などに多く含まれている天然の糖質で、乾燥
や凍結からの保護作用等を有する。トレハロースの工業
的製造法は、酵母から抽出する方法、トレハロースをつ
くるバクテリア培養液から分離する方法、植物の体内で
つくらせる遺伝子組み換え法などがあるが、澱粉に酵素
を作用させる方法が優れている。本発明におけるトレハ
ロース含有糖類とは、固形分中のトレハロースの含有率
が100分の20を超えるものであって、その製造法は
問わない。次に、本発明において用いるトレハロース含
有糖類を成分とする発酵物は以下の例でつくられる。請
求項3記載のトレハロース含有糖類を成分とする発酵物
としての食酢は、例えば、トレハロース含有糖類(トレ
ハロース含有率30%)と醸造用アルコール(純度95
%)との混合物を純水にてアルコール濃度5.5%v/
v、糖濃度20%w/wに調整して、1000ミリリッ
トルを原料とする。これに酵母エキス1g、リン酸一カ
リウム0.5g、リン酸二アンモニウム0.5gと種酢
アセトバクター・アセチ(Acetobacter a
ceti)の種酢発酵液30ミリリットルを加えて、酸
度1.5%に調整した後、温度30℃にて、25日間酢
酸発酵を行った。発酵後の酢酸濃度5.0%w/v、ア
ルコール濃度0.3%v/vであった。これを濾過して
菌体を除き、75℃で加熱処理してトレハロースを成分
とする食酢とした。この食酢は、酸度5%、無塩可溶性
固形分18.8%、食酢100ミリリットルあたりの糖
成分はトレハロース含有糖類20.3gでトレハロース
6gであった。請求項4記載のトレハロース含有糖類を
成分とする発酵物としての食酢は、例えば、トレハロー
ス含有糖類(トレハロース含有率30%)を純水にて3
0%w/wに調整して1000ミリリットルを原料とす
る。これに酵母サッカロミセス・エリプソイデウス(S
accharomyces ellipoideus)
の培養液10ミリリットルと酵母エキス1g、リン酸一
カリウム0.5g、リン酸二アンモニウム0.5gを加
え、温度25〜30℃にて、10日間アルコール発酵を
行った。上記発酵後のアルコール濃度は6.5%v/v
であった。これを温度65℃で10分間加熱して酵母を
殺菌した後、アルコール濃度を5.5%v/vに調整し
た。次に種酢アセトバクター・アセチ(Acetoba
cteraceti)の酢酸発酵液30ミリリットルを
加えて、酸度1.5%に調整した後、温度35〜40℃
で、10日間酢酸発酵を行なった。発酵後の酢酸濃度
4.5%w/v、アルコール濃度0.3%v/vであっ
た。これを濾過して菌体を除き、75℃で加熱処理して
トレハロースを成分とする食酢とした。この食酢は酸度
4.5%、無塩可溶性固形分20%、食酢100ミリリ
ットル当たりの糖成分はトレハロース含有糖類21.6
gでトレハロース10gであった。請求項5記載に係る
トレハロース含有糖類を成分とする発酵物としての混合
物は、例えば、トレハロース含有糖類(トレハロース含
有率30%)300g、醸造酢として、市販のアルコー
ル酢(酸度10%)603g、水300gを混合したも
のであり、この混合物は酸度5.0%、無塩可溶性固形
分18.8%、混合物100ミリリットル当たりの糖成
分はトレハロース含有糖類20.3gでトレハロース6
gであった。請求項6記載のトレハロース含有糖類を成
分とする発酵物としての混合物は、例えば、トレハロー
ス含有糖類(トレハロース含有率30%)300g、市
販の合成酢(酸度6%)900gを混合したものであ
り、この混合物は酸度4.5%、無塩可溶性固形分1
8.8%、混合物100ミリリットル当たりの糖成分は
前記請求項5の例と同じである。請求項7記載に係るト
レハロース含有糖類を成分とする発酵物としての混合物
は、例えば、トレハロース含有糖類(トレハロース含有
率30%)300g、酢酸(氷酢酸)55g、水845
gを混合したものであり、この混合物は酸度4.5%、
無塩可溶性固形分18.8%、混合物100ミリリット
ル当たりの糖成分は前記請求項5の例と同じである。請
求項8記載に係る稲の登熟栽培方法は、葉面散布剤とし
て用いるトレハロース含有糖類を成分とする発酵物の作
用濃度を示し、水でうすめる割合としては10倍以上、
望ましくは30倍以上とするが、トレハロース含有糖類
として2%以下及び酢酸換算の酸度として0.5%以下
とするものである。該葉面散布剤は、潅水用、浸漬用、
滴下用として用いることができる。本発明に係る稲の育
苗方法は、葉齢によって区分される乳苗、稚苗、中苗、
成苗等の苗づくりに加えて、不耕起移植栽培等の苗づく
り時期に広く実施することができる。
【実施例】以下に、本発明の実施例を詳細に説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 [実施例1]請求項4に係るトレハロース含有糖類を成
分とする発酵物としての食酢を葉面散布剤として用い
た。この葉面散布剤の成分は前記に詳述した如く、酸度
4.5%、無塩可溶性固形分20%であり、無塩可溶性
固形分はトレハロース含有糖類の糖濃度に該当するもの
である。本発明の葉面散布剤を用いて苗づくりを行な
い、慣行の苗づくりと比較評価した。種子は自然乾燥で
得たゴロピカリを使用した。表1に苗床、種籾、管理の
諸条件を示す。尚、数量は育苗箱あたりの使用量で示し
た。
【表1】本発明に係る葉面散布剤区と慣行区の苗づくり
の諸条件 (管理期間中は苗床が乾かないように水だけの潅水は順
次行なった) 表1の諸条件に基づいて得られた本発明に係る葉面散布
剤区と慣行区の苗質の比較を行った。結果を表2に示
す。
【表2】本発明に係る葉面散布剤区と慣行区の苗質比較
結果 表2に示す如く、播種後25日間育苗した本発明に係る
葉面散布剤区は慣行区に比較して、苗質に関係する苗充
実度が高く、また乾物率が高かった。すなわち、本発明
であるトレハロース含有糖類を成分とする発酵物からな
る葉面散布剤を苗づくり時期に作用させることにより、
殺菌剤、植物生長調節剤等の薬剤を全く使用せずに苗質
を高める効果があることが分かる。本発明に係る葉面散
布剤を作用させて得られた苗は揃いも良くて、田植機に
よる本田への機械移植時の植え傷みは殆どなく、その後
の収穫までの稲生育も順調であった。
【発明の効果】日本の稲作は殆どが移植栽培である。移
植栽培は収穫まで育てる圃場に直接種を蒔かずに、一度
他の場所で苗を育て、それを圃場に移植して栽培するも
のである。移植することにより稲の生育に望ましい状態
を作り出して、行き届いた管理作業をすることが目的で
あるが、同時に苗づくりは昔から苗半作と言われるほど
収穫を大きく左右するものである。本発明はトレハロー
ス含有糖類を成分とする発酵物からなる葉面散布剤を稲
の苗づくり時期に作用させる方法により、殺菌剤、植物
生長調節剤等の薬剤を必要とせずに苗質を高めることが
できる。本発明の実施により環境保全への配慮をしなが
ら、生産性の向上を実現して食糧確保に貢献できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A01N 63/02 A01N 63/02 C C05G 5/00 C05G 5/00 A

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレハロース含有糖類を成分とする発酵物
    からなることを特徴とする葉面散布剤。
  2. 【請求項2】トレハロース含有糖類を成分とする発酵物
    からなる葉面散布剤を用いて稲の苗づくり時期に作用さ
    せることを特徴とする稲の育苗方法。
  3. 【請求項3】前記トレハロース含有糖類を成分とする発
    酵物は、トレハロース含有糖類と醸造用アルコールとの
    混合物を酢酸発酵とすることにより得られた食酢である
    請求項1記載の葉面散布剤。
  4. 【請求項4】前記トレハロース含有糖類を成分とする発
    酵物は、トレハロース含有糖類を用いてアルコール発酵
    と酢酸発酵とを行うことにより得られた食酢である請求
    項1記載の葉面散布剤。
  5. 【請求項5】前記トレハロース含有糖類を成分とする発
    酵物は、トレハロース含有糖類と醸造酢との混合物であ
    る請求項1記載の葉面散布剤。
  6. 【請求項6】前記トレハロース含有糖類を成分とする発
    酵物は、トレハロース含有糖類と合成酢との混合物であ
    る請求項1記載の葉面散布剤。
  7. 【請求項7】前記トレハロース含有糖類を成分とする発
    酵物は、トレハロース含有糖類と酢酸の混合物である請
    求項1記載の葉面散布剤。
  8. 【請求項8】前記トレハロース含有糖類を成分とする発
    酵物からなる葉面散布剤を作用させる濃度は、トレハロ
    ース含有糖類として2%以下及び酢酸換算の酸度として
    0.5%以下であり、且つ潅水用、浸漬用、滴下用であ
    ることを特徴とする請求項2記載の稲の育苗方法。
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