JPH10301528A5 - - Google Patents
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- JPH10301528A5 JPH10301528A5 JP1997107912A JP10791297A JPH10301528A5 JP H10301528 A5 JPH10301528 A5 JP H10301528A5 JP 1997107912 A JP1997107912 A JP 1997107912A JP 10791297 A JP10791297 A JP 10791297A JP H10301528 A5 JPH10301528 A5 JP H10301528A5
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Description
【発明の名称】プラズマディスプレイの駆動方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】第1および第2の電極が互いに平行に、表示ライン毎に対をなして配置され、当該第1および第2の電極が誘電体層で覆われた第1基板と、
上記第1および第2の電極と離間して交差するように第3の電極が配置された第2基板とを有し、
上記第1基板と第2基板との間の空間に放電用のガスが封入され、
上記第1および第2の電極と第3の電極との交差部に放電セルが規定されるプラズマディスプレイに対し、 上記第1および第2の電極間に第1電圧のパルスを印加して放電を発生させるリセット工程と、
上記第2の電極と第3の電極との間に、表示データに従って選択的に第2電極のパルスを印加する書き込み工程と、
上記第1電極と第2電極との間に、交互に極性の反転する第4電圧のパルスを印加する放電維持工程とを繰り返し実行するプラズマディスプレイの駆動方法であって、
上記放電維持工程の後であって、且つ上記書き込み工程の前において、上記第1電圧と上記第4電圧との間の電圧を有して上記第1電圧のパルスとは逆の極性である第5電圧のパルスを、上記第1および第2の電極間に印加することを特徴とするプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項2】第5電圧が、放電開始電圧より低いことを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項3】第5電圧と第1電圧との和が放電開始電圧の2倍以上であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項4】第5電圧のパルスが印加される前の第4電圧のパルスの極性が上記第5電圧のパルスと逆の極性であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項5】第5電圧のパルスは、第1電圧のパルスに対して間欠的に挿入されることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項6】第5電圧のパルス挿入頻度が第1電圧のパルス2回乃至6回毎に1回であることを特徴とする請求項5記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項7】第5電圧のパルス印加は、第1電圧のパルスの印加に先立って行なわれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項8】第1および第2の電極が互いに平行に、表示ライン毎に対をなして配置され、当該第1および第2の電極が誘電体層で覆われた第1基板と、
上記第1および第2の電極と離間して交差するように第3の電極が配置された第2基板とを有し、
上記第1基板と第2基板との間の空間に放電用のガスが封入され、
上記第1および第2の電極と第3の電極との交差部に放電セルが規定されるプラズマディスプレイに対し、 上記第1および第2の電極との間に、交互に極性の反転する維持パルスを印加することで放電維持を行うプラズマディスプレイの駆動方法において、
上記維持パルスの電圧は、当該維持パルスの立ち下がりにおいて放電が発生するような電圧に設定され、当該維持パルスの立ち下がりにおける放電によって生成された空間電荷によって放電開始を容易にする効果が持続している間に、当該維持パルスに続く次の維持パルスを立ち上げることを特徴とするプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項9】維持パルスの立ち下がりから、当該維持パルスに続く次の維持パルスの立ち上がりまでの期間を1μsecより短くすることを特徴とする請求項8記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の電極の各交差部にセルが規定されたプラズマディスプレイの駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10は例えば特開平7−160218号公報に示された従来のプラズマディスプレイの構成を示す概要図であり、101は表示パネルであり、第1基板としてのガラス基板上に第1の電極としての維持電極Xと第2の電極としての走査電極Y1〜Ynが互いに平行に形成され、このガラス基板に対向する第2基板としてのガラス基板上に、上記維持電極Xと走査電極Y1〜Ynとに対し直角な方向に配置される第3の電極としてのアドレス電極A1〜Amが形成されている。
【0003】
このプラズマディスプレイは、n×m画素、すなわちi=1〜n、j=1〜mであり、任意の維持電極Yiとアドレス電極Ajとの交差部に放電セルが規定されており、この規定された放電セルの1つ1つについて点灯/消灯のアドレス選択を行わせ得るように維持電極Y1〜Yn間、アドレス電極A1〜Am間は、それぞれ独立駆動可能なように各々の電極間が絶縁、独立している。
【0004】
上記維持電極Xは、走査電極Y1〜Ynの各々と対になっており、一端部は共通に接続されている。これらに印加される第1電圧のパルスから第4電圧のパルスとしての各電圧は、電源回路102で生成され、Y共通ドライバ103、走査ドライバ104、X共通ドライバ105、アドレスドライバ106を介して電極に供給される。なお、Y共通ドライバ103、走査ドライバ104、X共通ドライバ105、アドレスドライバ106の各ドライバは、制御回路107からの制御信号によって制御される。制御回路107は、外部から供給される表示データDATA、表示データに同期したドットクロックCLK、垂直同期信号VSYNCおよび水平同期信号HSYNCに基づいて、上記制御信号を生成する。
【0005】
図11はプラズマディスプレイパネルのセルの構成を示す断面図であり、図において、X,Yiはガラス基板108上に形成された紙面垂直方向に延びた維持電極と走査電極、109は維持電極Xと走査電極Yiの上に形成された壁電荷保持用の誘電体層、110は誘電体層109の表面に形成した保護層、Ajはガラス基板108と対向配置されたガラス基板111上に形成された紙面左右方向に延びたアドレス電極、112はアドレス電極Aj上に形成した蛍光体、113は画素境界に形成した隔壁、114は保護層110と蛍光体112との間の放電空間であり、例えばNe+Xeペニング混合ガスが封入されている。
【0006】
次に動作について説明する。
図12は、従来のプラズマディスプレイの駆動方法を示す印加電圧波形の説明図であり、リセット工程、書き込み工程、維持放電工程を時系列に示している。 図において、まず書き込み工程に先立ち、リセット工程で維持電極Xと走査電極Yiとの間の第1電圧のパルスとしてのプライミングパルス121を印加して、維持電極Xおよび走査電極Yiの両電極間に放電を発生させ、放電空間114に空間電荷を発生させるとともに、プライミングパルス121の立ち下がりで自己消去放電を起こし、セルの電荷状態を消去状態(維持電極Xおよび走査電極Yi上の誘電体層109における蓄積電荷が0となる状態)にする。
次いで、書き込み工程に入り、走査電極Y1〜Ynに順次、スキャンパルス122(走査パルス)を印加するとともに、表示データに従って、アドレス電極A1〜Amにアドレスパルスを印加することにより、アドレス電極A1〜Amと走査電極Y1〜Ynの間に第2電圧を生じさせ、書き込み放電を発生させる。
その後、放電維持工程に入り、維持電極Xと走査電極Yiに交互に第4電圧としての維持パルスを印加して放電を維持させる。
【0007】
なお、ここで第1電圧とは、維持電極Xと走査電極Yiとの間の電位差である。図12では、走査電極Yiの電位を0とし、維持電極Xに電位Vpのパルスを印加しており、従ってVp=(第1電圧)である。後で示すように例えば維持電極Xに電位Vpα、走査電極に負の電位Vpβ((第1電圧)=Vpα−Vpβ)のパルスを印加してもよい。
同様に、第2電圧はアドレス電極Ajと走査電極Yiとの間の電位差である。(図12ではVa−Vsp=(第2電圧)、ただし、Vspは負の電位なので、|Va|+|Vsp|=(第2電圧)と表わすこともできる。)
また、第4電圧は維持電極Xと走査電極Yiとの間の電位差(図12ではVs=(第4電圧))である。
以上のリセット工程、書き込み工程、放電維持工程を順次繰り返して表示動作を行う。
【0008】
次に図13(a0 )〜(f0 )に基づいて、上記リセット工程における1つのセル内の状態変化を説明する。図13(a0 )〜(f0 )は、図12に示した(a)〜(f)の期間にそれぞれ対応する。前の駆動サイクルが終了した時点で、互いに隣接した維持電極Xと走査電極Yiに対応した部分にそれぞれ所定量の極性が互いに逆の壁電荷が蓄積される「図13(a0 )」。この状態において、維持電極Xと走査電極Yiの間にプライミングパルス121を印加すると、維持電極Xと走査電極Yiの間に放電が発生し「図13(b0 )」、この放電により生じた電子及び正イオンは、これら逆極性の維持電極X、走査電極Yiに引き付けられて、誘電体層109の表面に蓄積され、維持電極X側の壁電荷及び走査電極Yi側の壁電荷となる。これらの壁電荷は放電空間内の電界強度を低減させるので、放電は直ちに収束に向かい終結する「図13(c0 )」。
【0009】
次いで、維持電極Xと走査電極Yiに対するプライミングパルス121の印加を中止すると、上記壁電荷によって維持電極Xと走査電極Yi間に放電が発生し「図13(d0 )」、プラス電荷とマイナス電荷の再結合によって壁電荷が減少する「図13(e0 )」。このとき、理想的には壁電荷が0となるが、実際にはその一部が残留壁電荷として残る場合がある「図13(f0 )」。
【0010】
リセット工程時、維持電極Xと走査電極Yiの間に印加するプライミングパルス121(全面書込パルス)は、
a.それまでの表示状態にかかわらず、一度強制的に放電を起こし、電荷状態を比較的均一な状態にリセットする。
b.空間電荷を発生し、その後の放電を起こしやすくする。
c.消去動作(放電セル全てを消去状態、すなわち、蓄積電荷がない状態に戻す)、の役割を有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来のプラズマディスプレイは以上のように構成されているので、自己消去放電によっても全ての壁電荷が完全に消去されるとは限らず、残留壁電荷が残ることがある。これまでは上記の残留壁電荷は、書き込みを行わないセルで誤って放電を生起させない程度の量、すなわち消去不良を起こさない程度の量ならば問題ないと考えられていた。
【0012】
しかし、残留壁電荷は、消去不良を起こすという問題だけではなく、次の駆動サイクルでのプライミング放電を抑制してしまうという問題のあることがわかった。この問題について図13(a1 )〜(c1 )を用いて説明する。
残留壁電荷が残ったセルが、書き込みを行わないセル(消灯セル)であると、書込・維持の間に放電を起こす機会が無い「図13(a1 )」。このため、次の駆動サイクルでのプライミングパルス121の印加時、残留壁電荷による壁電圧は、外部から印加したプライミングパルス電圧を打ち消す向きに働き、このとき、
(外部印加電圧)−(残留電荷による壁電圧)<(セルの放電開始電圧)
という条件になってしまうと、プライミング放電は起きない「図13(b1 )」。
【0013】
このプライミングパルス印加時、放電が起きないと、上記プライミングパルス121の印加の役割が達成されず、次の書込・維持放電も起きなくなり、さらに次のプライミングパルス印加時にも放電が起きなくなるという悪循環に陥り、表示不良となる。
【0014】
残留電荷がどの程度残るかは、セルの放電特性のばらつきの他、放電の強さの確率的なゆらぎによって変わるが、このような問題点が発生するのは、残留電荷が中途半端な値になったときである。すなわち、残留電荷が少なければ、次のプライミングパルス印加時、正常に放電を起こす。逆に残留電荷が多ければ、書き込みまたは維持のときに誤放電を起こしてしまい、一瞬余分な発光を生じるが、次の駆動周期でプライミングパルスを印加することにより放電を起こし、再びリセットされて正常な状態に戻る。
【0015】
このときの、動作不良を起こす壁電圧の範囲を図14により説明する。
図の縦軸は、残留壁電荷による壁電圧の値を示しており、正極性(軸の上方向)はY電極上に正、X電極上に負の残留壁電荷が蓄積されている場合を、負極性(軸の下方向)はY電極上に負、X電極上に正の壁電荷が蓄積されている場合を表すように定義している。従って、壁電圧が正極性であることは、プライミングパルス121を助けるように壁電圧が重畳されることを表す。
また、Vfは、放電空間の放電開始電圧を表しており、壁電圧と外部印加電圧の和がVfを越えれば放電を起こす。
残留壁電荷の値のうち、プライミングパルス121を印加しても、維持パルスを印加してもVfの絶対値を越えない範囲が、動作不良を引き起こす範囲となる。
【0016】
このような残留壁電荷が残っていても確実に全面書込放電を起こすためには、残留電荷による壁電圧を打ち消して、なお放電開始電圧を超えるような、高いプライミングパルス電圧を印加する必要がある。
【0017】
ところが、プライミングパルス電圧を高くすると、次のような新たな課題が生じる。
(1)プラズマディスプレイパネル内部での絶縁破壊を引き起こす。
(2)駆動回路の耐圧を高くする必要があり、高コストとなる。
(3)プライミング放電によるバックグラウンドの輝度(黒色表示時の輝度)が高くなり、コントラスト比が低くなる。
【0018】
また、ここではプライミングパルスの立ち下がりでの自己消去放電により残留壁電荷が残るモデルを説明したが、その他、不完全な書込・維持放電などにより、同じような電荷状態になって、プライミング放電の起きない状態に陥る可能性もある等の課題があった。
【0019】
もう一つの課題として、発光効率を高くすることが困難であるという課題があった。
発光効率を高くするためにはいくつかの方法があるが、そのうちの一つとして維持電極と走査電極の間の間隔を広くとる方法がある。
間隔を広くとれば発光効率が高くなることは、例えば「アジア ディスプレイ ’95,イヴァルージョン オブ ディスチャージ セル ストラクチャ フォー カラー エーシー プラズマ ディスプレイ パネルス,テー・アキヤマ,エム・ウエオカ(ASIA DISPLAY ’95 Evaluations of Discharge Cell Structure for Color AC Plasma Display Panels T.Akiyama,M.Ueoka)」で報告されている。しかしながら、維持電極と走査電極の間の間隔を広げると、同時に放電開始電圧Vfが上昇し、より高い電圧で駆動しなければならないため駆動が困難になる。
また、放電開始電圧の上昇は、維持電圧の上昇のみならずプライミング電圧の上昇をも引き起こしてしまう。
【0020】
プライミング電圧の上昇について、図16〜図18をもとに説明する。
プライミング電圧として必要な電圧は、図16(a)に示すような折れ線で表すことができる。この折れ線よりも上の領域は、良好なプライミング動作が可能な領域である。
この領域は図16(b)に示す直線と、図16(c)に示す直線との合成として考えることができる。
図16(b)の直線は、Vs+Vp=2×Vfで表わされる直線である。この直線より上の領域は、維持パルス123とプライミングパルス121により、残留壁電荷を反転する事が可能である領域であり、図14における、「動作不良となる範囲」が無くなるための維持電圧Vsとプライミング電圧Vpの条件範囲に相当する。
【0021】
図16(c)の直線は、VpがVsによらず一定の値(Vp−a=Vf、aは定数)となる直線であり、この直線よりも上の領域は、プライミングパルス121の立ち下がりで自己消去放電を起こすことが可能な領域である。すなわち、ここでVp−aは、プライミングパルス121の立ち上がりで蓄積される壁電荷による壁電圧の値を表しており、この電圧が放電開始電圧を超えると自己消去放電が起きることを示している。通常の維持電圧範囲では、残留電荷を反転できるか否かが最低プライミング電圧を決める主要因になる。ここで、電極間の間隔をg1からg2(g2>g1)に広げることにより、放電開始電圧がVf1からVf2(Vf2>Vf1、Vf2−Vf1=ΔVf)に変化したとする。すると、図17に示すように、残留電荷を反転させるために必要なプライミング電圧は、2×ΔVf上昇する。このことは、図18に示すように、+Vf1が+Vf2に、−Vf1が−Vf2にそれぞれ変化することから、必要プライミング電圧がVp1からVp1+2・ΔVfとなり、2×ΔVf上昇することにより説明することができる。このように、放電開始電圧がΔVf上昇すると、プライミング電圧は、その2倍(2×ΔVf)上昇することになり、駆動がより困難になる。
【0022】
以上のような理由から、従来、電極間の間隔は、放電開始電圧が最低値となるような値、パッシェン曲線として知られる曲線の最低値付近に設定されていた。 発光効率を高くするもう一つの方法として、1回あたりの放電の強さを弱くして、放電の繰り返し数を増やす方法が知られており、DC型プラズマディスプレイにおけるパルスメモリー方式では、高い繰り返し数の短パルスを連続して印加することが行われている。
【0023】
しかし、AC型プラズマディスプレイでは、1パルスあたりの放電の強さはパネル構造と印加電圧で決まってしまい、印加電圧は維持電圧条件によってある範囲に限られてしまうので、発光の強さを弱くコントロールすることが困難である。また、放電は維持パルスの立ち上がり付近のみで行われるので(図15)、放電の繰り返し数を増やすためには維持パルスの繰り返し周波数を高くすることになるが、そうすると壁電荷を十分に安定させるだけの維持パルス幅を確保できなくなり、動作が不安定になるという課題があった。
【0024】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、残留壁電荷が残っていても確実に全面書込放電を起こすことのできるプラズマディスプレイの駆動方法を提供することを目的とする。
また、プラズマディスプレイの発光効率を高めることを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法は、放電維持工程の後であって、且つ書き込み工程の前において、第1電圧と第4電圧との間の電圧を有して上記第1電圧のパルスとは逆の極性である第5電圧のパルスを、上記第1および第2の電極間に印加するものである。
【0026】
請求項2記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の第5電圧のパルスは、第1の電極に対応した部分および第2の電極に対応した部分に第1壁電荷および第2壁電荷がない状態での放電開始電圧より低くするものである。
【0027】
請求項3記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の第5電圧と第1電圧との和が放電開始電圧の2倍以上としたものである。
【0028】
請求項4記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法は、第5電圧のパルスが印加される前の第4電圧のパルスの極性が該第5電圧のパルスと逆の極性としたものである。
【0029】
請求項5記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の第5電圧のパルスは、第1電圧のパルスに対して間欠的に挿入するものである。
【0030】
請求項6記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の第5電圧のパルスは、第1電圧のパルス2回〜数回につき1回の割合で挿入するものである。
【0031】
請求項7記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の第5電圧のパルスの印加は、第1電圧のパルスの印加に先立って行なわれるものである。
【0032】
請求項8記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の維持パルスの電圧は、当該維持パルスの立ち下がりにおいて放電が発生するような電圧に設定され、当該維持パルスの立ち下がりにおける放電によって生成された空間電荷によって放電開始を容易にする効果が持続している間に、当該維持パルスに続く次の維持パルスを立ち上げるものである。
【0033】
請求項9記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法は、維持パルスの立ち下がりから、当該維持パルスに続く次の維持パルスの立ち上がりまでの期間を1μsecより短くするものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形図である。図には、1駆動周期の期間を表しており、プラズマディスプレイに階調表示を行う場合に通常用いられるサブフィールド階調法においては、1サブフィールドの期間に相当する。この実施の形態1において従来と異なる点は、プライミングパルス121の前に、第5電圧のパルスとして残留電荷反転用のパルス124(以下、プレプライミングパルスと称する)を印加した点にある。このプレプライミングパルス124の印加は、プライミングパルス121の印加毎の他、プライミングパルス複数回につき1回の割合で印加してもよい。
【0035】
図2は、この発明の実施の形態1の原理を説明する壁電荷の生成を説明する図であり、図2(a0 )から図2(f0 )までの動作は前記図13(a0 )から図13(f0 )に示す従来の駆動方法と同様である。上記プレプライミングパルス124は、プライミング放電を妨げる向きに蓄積された残留壁電荷を再び放電させ、プライミング放電を助ける向きに極性を反転させる働きを持つ。このプレプライミングパルス124を印加することにより、図2(f0 )に示す極性の残留壁電荷を図2(g0 )に示すように反転させ、図2(h0 )に示すようにする。
【0036】
このプレプライミングパルス124の条件(電圧・極性など、他のパルスと異なる点)は、
(1)プライミングパルス121を打ち消す向きに蓄積された壁電荷を反転させるため、第1電圧のパルスとしてのプライミングパルス121と逆極性(維持電極X,走査電極Yiの電位関係において)であること。
(2)第4電圧のパルスとしての維持パルス123よりも高い電圧である。この維持電圧と同程度の電圧で反転する電荷ならば、維持電圧を印加した時点ですでに反転しているはずなので、意味がない。
(3)プライミング電圧よりも低い電圧であること。このプライミング放電を阻止するほどの大きさの壁電荷についてのみ反転するのが目的であり、必要以上に高い電圧を印加すると、全てのセルで放電を起こしてしまい、コントラストが悪化する(単にプライミングパルス121を2回入れたことと同じになってしまう)。
【0037】
上記(2),(3)について、さらに望ましい値を定義するならば、図3に示すように、
(プレプライミング電圧)+(プライミング電圧)≧2×(放電開始電圧)
の条件を全てのセルで満たす、できるだけ小さい値ということになる。この条件を満足すれば、残留壁電荷がどのような値でも、プライミングパルス121か維持パルス123かいずれかの電圧で放電を起こすことができる。
なお、ここで放電開始電圧とは、壁電圧が蓄積されていない場合の放電開始電圧である。
【0038】
以上のように、プライミングパルス121を抑制するような値の残留電荷が残っている場合でも、プレプライミングパルス124を印加することにより、これを反転させることができ、比較的低いプライミングパルス121でも、確実に放電を起こすことができる。また、維持電極と走査電極の間の間隔を広げ、放電空間の放電開始電圧がΔVf上昇した場合でも、残留電荷の問題が無くなることにより、必要なプライミング電圧の上昇はΔVfに留まり、駆動が可能になることから、広ギャップ放電による発光効率の向上を実現することができる。
【0039】
なお、非選択セルの中で、プレプライミングパルス124で放電を起こすのは、残留電荷がある一定量残っているセルのみであり、全セルにおいて、このような条件にあるセルが存在する確率は低くプレプライミングパルス124によるコントラストの悪化は、かなり低いものである。
また、ここでプレプライミング電圧(第5電圧)は走査電極Yiと維持電極Xとの間の電位差である。図1では、維持電極Xの電位を0に保ち、プレプライミングパルス124の電位Vppのプレプライミングパルス124を走査電極Yiに印加しており、従って(第5電圧)=Vppであるが、図4に示すように、X,Yi,Aj間の互いの電位関係を保ちながら維持電極Xと、走査電極Yiに互いに逆極性に印加するようにしてもよい。
【0040】
また、プレプライミングパルス124は、すべてのプライミングパルス121の前に印加する必要はなく、プライミングパルス複数回に1回の頻度で間欠的に印加してもよい。このようにすることにより、プライミング放電を抑制する状態からの復帰は遅くなるが、プレプライミング電圧として、必要最低電圧より余裕をもった高い電圧を印加した場合においてもプレプライミングパルス124における発光の頻度が下がり、コントラストを悪化させる割合がより低くなる。
例えばサブフィールド階調法により、1フィールドを8サブフィールドに分割し、プライミングパルス121をこのうちの任意の2つのサブフィールドの最初に印加したとする。ここで、プレプライミングパルス124をプライミングパルス2回に1回の頻度で印加すれば、1フィールドに1回の割合でプレプライミングパルス124が挿入されることとなり、1フィールド以内には、プライミング放電を抑制する状態(異常状態)から正常な状態に復帰することになる。異常状態の継続時間が1フィールド程度ならば、目視上許容できる範囲となる。
【0041】
なお、上記プライミングパルス121の挿入条件において、プレプライミングパルス124をプライミングパルス2回につき1回の頻度で印加したが、もちろんこれに限られることはなく、異常状態の継続時間が最大3フィールド程度まで(この場合、プレプライミングパルス124をプライミングパルス6回につき1回の頻度で印加することに相当)ならば、問題なく適用可能である。
【0042】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形を示す説明図であり、1駆動周期毎にプライミングパルス121を維持電極Xまたは走査電極Yiに交互に印加するものである。
【0043】
このようにすることにより、残留壁電荷がプライミングパルス121にマイナスに働き、プライミング放電が起こらなかったとしても、次の駆動周期では、残留壁電荷がプライミングパルス121にプラスに働くので、確実にプライミング放電を発生させて、正常サイクルに復帰させることができる。なお、プライミングパルス121を維持電極Xと走査電極Yiに交互印加する周期は、1駆動周期毎である必要はなく、複数駆動周期毎、あるいは、維持電極にn回印加する毎に走査電極に1回する等の割合でもよい。
【0044】
実施の形態3.
図7は維持パルスの立ち下がりにおいて、自己消去放電を起こさせることにより発光効率を向上させた実施の形態3に関する放電維持工程の説明図である。図7(a)の書き込み工程終了後に維持電極Xに維持電圧Vsを印加すると、図7(b)のように放電を発生し、維持電極X、走査電極Yiに対応する位置に書き込み終了時とは反対極性の壁電荷を発生する「図7(c)」。このときVsを充分高くすることにより、壁電圧のみで放電開始電圧を越える値となるような多量の壁電荷を蓄積することができる。この状態で維持電圧Vsの印加を中止すると、その壁電荷によって自己消去放電を発生する。つまり、維持電圧の立ち下がりによっても放電が生じる「図7(d)」。この放電により、壁電荷量は減少するが、自己消去放電によって発生した空間電荷の減衰時定数が、少なくとも数μsであるので、次のパルスの立ち上がりまでの時間を1μs以下程度と短くすることにより、自己消去放電によって発生した空間電荷「図7(e)」の助けを借りて維持動作を継続することができる「図7(f)以下」。
【0045】
このような自己消去放電を利用した維持動作を行わせることにより、図9に示すように、維持電圧Vsの立ち上がりと共に立ち下がりにおいても放電を発生し発光するため、弱い放電が従来の2倍の繰り返し数で行われることにより、発光効率が向上する。
【0046】
また、このような動作領域にて動作をさせるためには、(ガスの圧力)×(維持電極と走査電極の間の間隔)の値を、通常使われるパッシェン曲線の最小値となるような値より高い値にする必要がある。例えばガス圧を一定にして間隔を広げると、図6に示すように、維持動作可能な電圧は、高い方にシフトし、自己消去維持動作領域が、維持動作可能範囲の中に入る。
【0047】
このような間隔の広い領域で、プライミング放電を含めて安定に動作させるためには、実施の形態1で述べたプレプライミングパルス124を挿入することが効果的である。リセット工程におけるプライミング放電はプレプライミングパルス124を挿入することにより確実に行うことができ、必要なプライミング電圧の最低値は、間隔がg1からg2に広がり、放電開始電圧が、Vf1からVf2(Vf2−Vf1=ΔVf)に高くなっても、図8に示すように、維持電圧VsにかかわらずΔVfの電圧上昇に留まる。
【0048】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、放電維持工程の後であって、且つ上記書き込み工程の前において、上記第1電圧と上記第4電圧との間の電圧を有して上記第1電圧のパルスとは逆の極性である第5電圧のパルスを、上記第1および第2の電極間に印加するように構成したので、壁電荷が残留している状態であっても確実にプライミング放電を起こし、安定した動作を起こすことができる。また、プライミング電圧を比較的低い値に設定することができるので、コントラスト比が向上する、絶縁破壊が起こりにくくなる、駆動回路が低コストとなる等の効果が得られる。
【0049】
請求項2記載の発明によれば、第5電圧のパルスを、第1の電極と第2の電極との間の放電開始電圧より低く構成したので、全セルが放電することなく、問題のあるセルのみ放電させることが可能であるため、コントラストを悪化させることがない効果がある。
【0050】
請求項3記載の発明によれば、第5電圧のパルスと第1電圧のパルスとの和を、放電開始電圧の2倍よりも大きく構成したので、残留壁電荷がどのような値でも、第5電圧のパルス又は第1電圧のパルスの少なくともいずれかのパルスで確実に放電を起こすことが可能であるため、安定した動作を行わせることができる効果がある。
【0051】
請求項4記載の発明によれば、第5電圧のパルスの直前の第4電圧のパルスの極性を該第5電圧のパルスと逆になるように構成したので、リセット工程において、全面書き込み放電を確実に行うことができる効果がある。
【0052】
請求項5記載の発明によれば、第5電圧のパルスを、第1電圧のパルスに対して間欠的に挿入するように構成したので、コントラストを悪化させることなく、リセット工程において、全面書き込み放電を確実に行うことができる効果がある。
【0053】
請求項6記載の発明によれば、第5電圧のパルス挿入頻度が第1電圧のパルス2回乃至6回毎に1回であるように構成したので、コントラストを悪化させることなく、リセット工程において、全面書き込み放電を確実に行うことができる効果がある。
【0054】
請求項7記載の発明によれば、第5電圧のパルス印加は、第1電圧のパルスの印加に先立って行なわれるように構成したので、壁電荷が残留している状態であっても確実にプライミング放電を起こし、安定した動作を起こすことができる効果がある。
【0055】
請求項8記載の発明によれば、維持パルスの電圧は、当該維持パルスの立ち下がりにおいて放電が発生するような電圧に設定され、当該維持パルスの立ち下がりにおける放電によって生成された空間電荷によって放電開始を容易にする効果が持続している間に、当該維持パルスに続く次の維持パルスを立ち上げるように構成したので、発光効率が向上する効果がある。
【0056】
請求項9記載の発明によれば、維持パルスの立ち下がりから、当該維持パルスに続く次の維持パルスの立ち上がりまでの期間を1μsecより短くするように構成したので、安定な維持動作を行うことができる効果がある。
の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形図である。
【図2】この発明の実施の形態1の原理を説明する残留壁電荷の生成を説明する図である。
【図3】プレプライミング電圧+プライミング電圧と放電開始電圧の関係を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形図である。
【図5】この発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形図である。
【図6】電極間間隔対維持電圧の関係を示す特性図である。
【図7】この発明の実施の形態3の原理を説明する残留壁電荷の移動イメージ図である。
【図8】維持電圧対プライミング電圧の関係を示す特性図である。
【図9】この発明の実施の形態3による発光状態を示すタイミング図である。
【図10】従来のプラズマディスプレイの構成を示す概要図である。
【図11】プラズマディスプレイパネルのセルの構成を示す断面図である。
【図12】従来のプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形図である。
【図13】従来のプラズマディスプレイにおける残留壁電荷の生成を説明する図である。
【図14】動作不良を起こす壁電圧の範囲説明図である。
【図15】従来のプラズマディスプレイにおける発光状態を示すタイミング図である。
【図16】従来のプラズマディスプレイにおける維持電圧対プライミング電圧の関係を示す特性図である。
【図17】従来のプラズマディスプレイにおいて、維持電極と走査電極の間の間隔を広げたときの、維持電極対プライミング電圧の関係を示す特性図である。
【図18】残留壁電荷対プライミング電圧の関係を説明する図である。
【符号の説明】
X 維持電極(第1の電極)、Y1〜Yn 第2の電極、A1〜Am 第3の電極、108 ガラス基板(第1基板)、109 誘電体層、110 保護層、111 ガラス基板(第2基板)、112 蛍光体、113 隔壁、114 放電空間、121 プライミングパルス(第1電圧のパルス)、 122 スキャンパルス、123 維持パルス(第4電圧のパルス)、124 プレプライミングパルス(第5電圧のパルス)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】第1および第2の電極が互いに平行に、表示ライン毎に対をなして配置され、当該第1および第2の電極が誘電体層で覆われた第1基板と、
上記第1および第2の電極と離間して交差するように第3の電極が配置された第2基板とを有し、
上記第1基板と第2基板との間の空間に放電用のガスが封入され、
上記第1および第2の電極と第3の電極との交差部に放電セルが規定されるプラズマディスプレイに対し、 上記第1および第2の電極間に第1電圧のパルスを印加して放電を発生させるリセット工程と、
上記第2の電極と第3の電極との間に、表示データに従って選択的に第2電極のパルスを印加する書き込み工程と、
上記第1電極と第2電極との間に、交互に極性の反転する第4電圧のパルスを印加する放電維持工程とを繰り返し実行するプラズマディスプレイの駆動方法であって、
上記放電維持工程の後であって、且つ上記書き込み工程の前において、上記第1電圧と上記第4電圧との間の電圧を有して上記第1電圧のパルスとは逆の極性である第5電圧のパルスを、上記第1および第2の電極間に印加することを特徴とするプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項2】第5電圧が、放電開始電圧より低いことを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項3】第5電圧と第1電圧との和が放電開始電圧の2倍以上であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項4】第5電圧のパルスが印加される前の第4電圧のパルスの極性が上記第5電圧のパルスと逆の極性であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項5】第5電圧のパルスは、第1電圧のパルスに対して間欠的に挿入されることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項6】第5電圧のパルス挿入頻度が第1電圧のパルス2回乃至6回毎に1回であることを特徴とする請求項5記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項7】第5電圧のパルス印加は、第1電圧のパルスの印加に先立って行なわれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項8】第1および第2の電極が互いに平行に、表示ライン毎に対をなして配置され、当該第1および第2の電極が誘電体層で覆われた第1基板と、
上記第1および第2の電極と離間して交差するように第3の電極が配置された第2基板とを有し、
上記第1基板と第2基板との間の空間に放電用のガスが封入され、
上記第1および第2の電極と第3の電極との交差部に放電セルが規定されるプラズマディスプレイに対し、 上記第1および第2の電極との間に、交互に極性の反転する維持パルスを印加することで放電維持を行うプラズマディスプレイの駆動方法において、
上記維持パルスの電圧は、当該維持パルスの立ち下がりにおいて放電が発生するような電圧に設定され、当該維持パルスの立ち下がりにおける放電によって生成された空間電荷によって放電開始を容易にする効果が持続している間に、当該維持パルスに続く次の維持パルスを立ち上げることを特徴とするプラズマディスプレイの駆動方法。
【請求項9】維持パルスの立ち下がりから、当該維持パルスに続く次の維持パルスの立ち上がりまでの期間を1μsecより短くすることを特徴とする請求項8記載のプラズマディスプレイの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の電極の各交差部にセルが規定されたプラズマディスプレイの駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10は例えば特開平7−160218号公報に示された従来のプラズマディスプレイの構成を示す概要図であり、101は表示パネルであり、第1基板としてのガラス基板上に第1の電極としての維持電極Xと第2の電極としての走査電極Y1〜Ynが互いに平行に形成され、このガラス基板に対向する第2基板としてのガラス基板上に、上記維持電極Xと走査電極Y1〜Ynとに対し直角な方向に配置される第3の電極としてのアドレス電極A1〜Amが形成されている。
【0003】
このプラズマディスプレイは、n×m画素、すなわちi=1〜n、j=1〜mであり、任意の維持電極Yiとアドレス電極Ajとの交差部に放電セルが規定されており、この規定された放電セルの1つ1つについて点灯/消灯のアドレス選択を行わせ得るように維持電極Y1〜Yn間、アドレス電極A1〜Am間は、それぞれ独立駆動可能なように各々の電極間が絶縁、独立している。
【0004】
上記維持電極Xは、走査電極Y1〜Ynの各々と対になっており、一端部は共通に接続されている。これらに印加される第1電圧のパルスから第4電圧のパルスとしての各電圧は、電源回路102で生成され、Y共通ドライバ103、走査ドライバ104、X共通ドライバ105、アドレスドライバ106を介して電極に供給される。なお、Y共通ドライバ103、走査ドライバ104、X共通ドライバ105、アドレスドライバ106の各ドライバは、制御回路107からの制御信号によって制御される。制御回路107は、外部から供給される表示データDATA、表示データに同期したドットクロックCLK、垂直同期信号VSYNCおよび水平同期信号HSYNCに基づいて、上記制御信号を生成する。
【0005】
図11はプラズマディスプレイパネルのセルの構成を示す断面図であり、図において、X,Yiはガラス基板108上に形成された紙面垂直方向に延びた維持電極と走査電極、109は維持電極Xと走査電極Yiの上に形成された壁電荷保持用の誘電体層、110は誘電体層109の表面に形成した保護層、Ajはガラス基板108と対向配置されたガラス基板111上に形成された紙面左右方向に延びたアドレス電極、112はアドレス電極Aj上に形成した蛍光体、113は画素境界に形成した隔壁、114は保護層110と蛍光体112との間の放電空間であり、例えばNe+Xeペニング混合ガスが封入されている。
【0006】
次に動作について説明する。
図12は、従来のプラズマディスプレイの駆動方法を示す印加電圧波形の説明図であり、リセット工程、書き込み工程、維持放電工程を時系列に示している。 図において、まず書き込み工程に先立ち、リセット工程で維持電極Xと走査電極Yiとの間の第1電圧のパルスとしてのプライミングパルス121を印加して、維持電極Xおよび走査電極Yiの両電極間に放電を発生させ、放電空間114に空間電荷を発生させるとともに、プライミングパルス121の立ち下がりで自己消去放電を起こし、セルの電荷状態を消去状態(維持電極Xおよび走査電極Yi上の誘電体層109における蓄積電荷が0となる状態)にする。
次いで、書き込み工程に入り、走査電極Y1〜Ynに順次、スキャンパルス122(走査パルス)を印加するとともに、表示データに従って、アドレス電極A1〜Amにアドレスパルスを印加することにより、アドレス電極A1〜Amと走査電極Y1〜Ynの間に第2電圧を生じさせ、書き込み放電を発生させる。
その後、放電維持工程に入り、維持電極Xと走査電極Yiに交互に第4電圧としての維持パルスを印加して放電を維持させる。
【0007】
なお、ここで第1電圧とは、維持電極Xと走査電極Yiとの間の電位差である。図12では、走査電極Yiの電位を0とし、維持電極Xに電位Vpのパルスを印加しており、従ってVp=(第1電圧)である。後で示すように例えば維持電極Xに電位Vpα、走査電極に負の電位Vpβ((第1電圧)=Vpα−Vpβ)のパルスを印加してもよい。
同様に、第2電圧はアドレス電極Ajと走査電極Yiとの間の電位差である。(図12ではVa−Vsp=(第2電圧)、ただし、Vspは負の電位なので、|Va|+|Vsp|=(第2電圧)と表わすこともできる。)
また、第4電圧は維持電極Xと走査電極Yiとの間の電位差(図12ではVs=(第4電圧))である。
以上のリセット工程、書き込み工程、放電維持工程を順次繰り返して表示動作を行う。
【0008】
次に図13(a0 )〜(f0 )に基づいて、上記リセット工程における1つのセル内の状態変化を説明する。図13(a0 )〜(f0 )は、図12に示した(a)〜(f)の期間にそれぞれ対応する。前の駆動サイクルが終了した時点で、互いに隣接した維持電極Xと走査電極Yiに対応した部分にそれぞれ所定量の極性が互いに逆の壁電荷が蓄積される「図13(a0 )」。この状態において、維持電極Xと走査電極Yiの間にプライミングパルス121を印加すると、維持電極Xと走査電極Yiの間に放電が発生し「図13(b0 )」、この放電により生じた電子及び正イオンは、これら逆極性の維持電極X、走査電極Yiに引き付けられて、誘電体層109の表面に蓄積され、維持電極X側の壁電荷及び走査電極Yi側の壁電荷となる。これらの壁電荷は放電空間内の電界強度を低減させるので、放電は直ちに収束に向かい終結する「図13(c0 )」。
【0009】
次いで、維持電極Xと走査電極Yiに対するプライミングパルス121の印加を中止すると、上記壁電荷によって維持電極Xと走査電極Yi間に放電が発生し「図13(d0 )」、プラス電荷とマイナス電荷の再結合によって壁電荷が減少する「図13(e0 )」。このとき、理想的には壁電荷が0となるが、実際にはその一部が残留壁電荷として残る場合がある「図13(f0 )」。
【0010】
リセット工程時、維持電極Xと走査電極Yiの間に印加するプライミングパルス121(全面書込パルス)は、
a.それまでの表示状態にかかわらず、一度強制的に放電を起こし、電荷状態を比較的均一な状態にリセットする。
b.空間電荷を発生し、その後の放電を起こしやすくする。
c.消去動作(放電セル全てを消去状態、すなわち、蓄積電荷がない状態に戻す)、の役割を有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来のプラズマディスプレイは以上のように構成されているので、自己消去放電によっても全ての壁電荷が完全に消去されるとは限らず、残留壁電荷が残ることがある。これまでは上記の残留壁電荷は、書き込みを行わないセルで誤って放電を生起させない程度の量、すなわち消去不良を起こさない程度の量ならば問題ないと考えられていた。
【0012】
しかし、残留壁電荷は、消去不良を起こすという問題だけではなく、次の駆動サイクルでのプライミング放電を抑制してしまうという問題のあることがわかった。この問題について図13(a1 )〜(c1 )を用いて説明する。
残留壁電荷が残ったセルが、書き込みを行わないセル(消灯セル)であると、書込・維持の間に放電を起こす機会が無い「図13(a1 )」。このため、次の駆動サイクルでのプライミングパルス121の印加時、残留壁電荷による壁電圧は、外部から印加したプライミングパルス電圧を打ち消す向きに働き、このとき、
(外部印加電圧)−(残留電荷による壁電圧)<(セルの放電開始電圧)
という条件になってしまうと、プライミング放電は起きない「図13(b1 )」。
【0013】
このプライミングパルス印加時、放電が起きないと、上記プライミングパルス121の印加の役割が達成されず、次の書込・維持放電も起きなくなり、さらに次のプライミングパルス印加時にも放電が起きなくなるという悪循環に陥り、表示不良となる。
【0014】
残留電荷がどの程度残るかは、セルの放電特性のばらつきの他、放電の強さの確率的なゆらぎによって変わるが、このような問題点が発生するのは、残留電荷が中途半端な値になったときである。すなわち、残留電荷が少なければ、次のプライミングパルス印加時、正常に放電を起こす。逆に残留電荷が多ければ、書き込みまたは維持のときに誤放電を起こしてしまい、一瞬余分な発光を生じるが、次の駆動周期でプライミングパルスを印加することにより放電を起こし、再びリセットされて正常な状態に戻る。
【0015】
このときの、動作不良を起こす壁電圧の範囲を図14により説明する。
図の縦軸は、残留壁電荷による壁電圧の値を示しており、正極性(軸の上方向)はY電極上に正、X電極上に負の残留壁電荷が蓄積されている場合を、負極性(軸の下方向)はY電極上に負、X電極上に正の壁電荷が蓄積されている場合を表すように定義している。従って、壁電圧が正極性であることは、プライミングパルス121を助けるように壁電圧が重畳されることを表す。
また、Vfは、放電空間の放電開始電圧を表しており、壁電圧と外部印加電圧の和がVfを越えれば放電を起こす。
残留壁電荷の値のうち、プライミングパルス121を印加しても、維持パルスを印加してもVfの絶対値を越えない範囲が、動作不良を引き起こす範囲となる。
【0016】
このような残留壁電荷が残っていても確実に全面書込放電を起こすためには、残留電荷による壁電圧を打ち消して、なお放電開始電圧を超えるような、高いプライミングパルス電圧を印加する必要がある。
【0017】
ところが、プライミングパルス電圧を高くすると、次のような新たな課題が生じる。
(1)プラズマディスプレイパネル内部での絶縁破壊を引き起こす。
(2)駆動回路の耐圧を高くする必要があり、高コストとなる。
(3)プライミング放電によるバックグラウンドの輝度(黒色表示時の輝度)が高くなり、コントラスト比が低くなる。
【0018】
また、ここではプライミングパルスの立ち下がりでの自己消去放電により残留壁電荷が残るモデルを説明したが、その他、不完全な書込・維持放電などにより、同じような電荷状態になって、プライミング放電の起きない状態に陥る可能性もある等の課題があった。
【0019】
もう一つの課題として、発光効率を高くすることが困難であるという課題があった。
発光効率を高くするためにはいくつかの方法があるが、そのうちの一つとして維持電極と走査電極の間の間隔を広くとる方法がある。
間隔を広くとれば発光効率が高くなることは、例えば「アジア ディスプレイ ’95,イヴァルージョン オブ ディスチャージ セル ストラクチャ フォー カラー エーシー プラズマ ディスプレイ パネルス,テー・アキヤマ,エム・ウエオカ(ASIA DISPLAY ’95 Evaluations of Discharge Cell Structure for Color AC Plasma Display Panels T.Akiyama,M.Ueoka)」で報告されている。しかしながら、維持電極と走査電極の間の間隔を広げると、同時に放電開始電圧Vfが上昇し、より高い電圧で駆動しなければならないため駆動が困難になる。
また、放電開始電圧の上昇は、維持電圧の上昇のみならずプライミング電圧の上昇をも引き起こしてしまう。
【0020】
プライミング電圧の上昇について、図16〜図18をもとに説明する。
プライミング電圧として必要な電圧は、図16(a)に示すような折れ線で表すことができる。この折れ線よりも上の領域は、良好なプライミング動作が可能な領域である。
この領域は図16(b)に示す直線と、図16(c)に示す直線との合成として考えることができる。
図16(b)の直線は、Vs+Vp=2×Vfで表わされる直線である。この直線より上の領域は、維持パルス123とプライミングパルス121により、残留壁電荷を反転する事が可能である領域であり、図14における、「動作不良となる範囲」が無くなるための維持電圧Vsとプライミング電圧Vpの条件範囲に相当する。
【0021】
図16(c)の直線は、VpがVsによらず一定の値(Vp−a=Vf、aは定数)となる直線であり、この直線よりも上の領域は、プライミングパルス121の立ち下がりで自己消去放電を起こすことが可能な領域である。すなわち、ここでVp−aは、プライミングパルス121の立ち上がりで蓄積される壁電荷による壁電圧の値を表しており、この電圧が放電開始電圧を超えると自己消去放電が起きることを示している。通常の維持電圧範囲では、残留電荷を反転できるか否かが最低プライミング電圧を決める主要因になる。ここで、電極間の間隔をg1からg2(g2>g1)に広げることにより、放電開始電圧がVf1からVf2(Vf2>Vf1、Vf2−Vf1=ΔVf)に変化したとする。すると、図17に示すように、残留電荷を反転させるために必要なプライミング電圧は、2×ΔVf上昇する。このことは、図18に示すように、+Vf1が+Vf2に、−Vf1が−Vf2にそれぞれ変化することから、必要プライミング電圧がVp1からVp1+2・ΔVfとなり、2×ΔVf上昇することにより説明することができる。このように、放電開始電圧がΔVf上昇すると、プライミング電圧は、その2倍(2×ΔVf)上昇することになり、駆動がより困難になる。
【0022】
以上のような理由から、従来、電極間の間隔は、放電開始電圧が最低値となるような値、パッシェン曲線として知られる曲線の最低値付近に設定されていた。 発光効率を高くするもう一つの方法として、1回あたりの放電の強さを弱くして、放電の繰り返し数を増やす方法が知られており、DC型プラズマディスプレイにおけるパルスメモリー方式では、高い繰り返し数の短パルスを連続して印加することが行われている。
【0023】
しかし、AC型プラズマディスプレイでは、1パルスあたりの放電の強さはパネル構造と印加電圧で決まってしまい、印加電圧は維持電圧条件によってある範囲に限られてしまうので、発光の強さを弱くコントロールすることが困難である。また、放電は維持パルスの立ち上がり付近のみで行われるので(図15)、放電の繰り返し数を増やすためには維持パルスの繰り返し周波数を高くすることになるが、そうすると壁電荷を十分に安定させるだけの維持パルス幅を確保できなくなり、動作が不安定になるという課題があった。
【0024】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、残留壁電荷が残っていても確実に全面書込放電を起こすことのできるプラズマディスプレイの駆動方法を提供することを目的とする。
また、プラズマディスプレイの発光効率を高めることを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法は、放電維持工程の後であって、且つ書き込み工程の前において、第1電圧と第4電圧との間の電圧を有して上記第1電圧のパルスとは逆の極性である第5電圧のパルスを、上記第1および第2の電極間に印加するものである。
【0026】
請求項2記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の第5電圧のパルスは、第1の電極に対応した部分および第2の電極に対応した部分に第1壁電荷および第2壁電荷がない状態での放電開始電圧より低くするものである。
【0027】
請求項3記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の第5電圧と第1電圧との和が放電開始電圧の2倍以上としたものである。
【0028】
請求項4記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法は、第5電圧のパルスが印加される前の第4電圧のパルスの極性が該第5電圧のパルスと逆の極性としたものである。
【0029】
請求項5記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の第5電圧のパルスは、第1電圧のパルスに対して間欠的に挿入するものである。
【0030】
請求項6記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の第5電圧のパルスは、第1電圧のパルス2回〜数回につき1回の割合で挿入するものである。
【0031】
請求項7記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の第5電圧のパルスの印加は、第1電圧のパルスの印加に先立って行なわれるものである。
【0032】
請求項8記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法の維持パルスの電圧は、当該維持パルスの立ち下がりにおいて放電が発生するような電圧に設定され、当該維持パルスの立ち下がりにおける放電によって生成された空間電荷によって放電開始を容易にする効果が持続している間に、当該維持パルスに続く次の維持パルスを立ち上げるものである。
【0033】
請求項9記載の発明に係るプラズマディスプレイの駆動方法は、維持パルスの立ち下がりから、当該維持パルスに続く次の維持パルスの立ち上がりまでの期間を1μsecより短くするものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形図である。図には、1駆動周期の期間を表しており、プラズマディスプレイに階調表示を行う場合に通常用いられるサブフィールド階調法においては、1サブフィールドの期間に相当する。この実施の形態1において従来と異なる点は、プライミングパルス121の前に、第5電圧のパルスとして残留電荷反転用のパルス124(以下、プレプライミングパルスと称する)を印加した点にある。このプレプライミングパルス124の印加は、プライミングパルス121の印加毎の他、プライミングパルス複数回につき1回の割合で印加してもよい。
【0035】
図2は、この発明の実施の形態1の原理を説明する壁電荷の生成を説明する図であり、図2(a0 )から図2(f0 )までの動作は前記図13(a0 )から図13(f0 )に示す従来の駆動方法と同様である。上記プレプライミングパルス124は、プライミング放電を妨げる向きに蓄積された残留壁電荷を再び放電させ、プライミング放電を助ける向きに極性を反転させる働きを持つ。このプレプライミングパルス124を印加することにより、図2(f0 )に示す極性の残留壁電荷を図2(g0 )に示すように反転させ、図2(h0 )に示すようにする。
【0036】
このプレプライミングパルス124の条件(電圧・極性など、他のパルスと異なる点)は、
(1)プライミングパルス121を打ち消す向きに蓄積された壁電荷を反転させるため、第1電圧のパルスとしてのプライミングパルス121と逆極性(維持電極X,走査電極Yiの電位関係において)であること。
(2)第4電圧のパルスとしての維持パルス123よりも高い電圧である。この維持電圧と同程度の電圧で反転する電荷ならば、維持電圧を印加した時点ですでに反転しているはずなので、意味がない。
(3)プライミング電圧よりも低い電圧であること。このプライミング放電を阻止するほどの大きさの壁電荷についてのみ反転するのが目的であり、必要以上に高い電圧を印加すると、全てのセルで放電を起こしてしまい、コントラストが悪化する(単にプライミングパルス121を2回入れたことと同じになってしまう)。
【0037】
上記(2),(3)について、さらに望ましい値を定義するならば、図3に示すように、
(プレプライミング電圧)+(プライミング電圧)≧2×(放電開始電圧)
の条件を全てのセルで満たす、できるだけ小さい値ということになる。この条件を満足すれば、残留壁電荷がどのような値でも、プライミングパルス121か維持パルス123かいずれかの電圧で放電を起こすことができる。
なお、ここで放電開始電圧とは、壁電圧が蓄積されていない場合の放電開始電圧である。
【0038】
以上のように、プライミングパルス121を抑制するような値の残留電荷が残っている場合でも、プレプライミングパルス124を印加することにより、これを反転させることができ、比較的低いプライミングパルス121でも、確実に放電を起こすことができる。また、維持電極と走査電極の間の間隔を広げ、放電空間の放電開始電圧がΔVf上昇した場合でも、残留電荷の問題が無くなることにより、必要なプライミング電圧の上昇はΔVfに留まり、駆動が可能になることから、広ギャップ放電による発光効率の向上を実現することができる。
【0039】
なお、非選択セルの中で、プレプライミングパルス124で放電を起こすのは、残留電荷がある一定量残っているセルのみであり、全セルにおいて、このような条件にあるセルが存在する確率は低くプレプライミングパルス124によるコントラストの悪化は、かなり低いものである。
また、ここでプレプライミング電圧(第5電圧)は走査電極Yiと維持電極Xとの間の電位差である。図1では、維持電極Xの電位を0に保ち、プレプライミングパルス124の電位Vppのプレプライミングパルス124を走査電極Yiに印加しており、従って(第5電圧)=Vppであるが、図4に示すように、X,Yi,Aj間の互いの電位関係を保ちながら維持電極Xと、走査電極Yiに互いに逆極性に印加するようにしてもよい。
【0040】
また、プレプライミングパルス124は、すべてのプライミングパルス121の前に印加する必要はなく、プライミングパルス複数回に1回の頻度で間欠的に印加してもよい。このようにすることにより、プライミング放電を抑制する状態からの復帰は遅くなるが、プレプライミング電圧として、必要最低電圧より余裕をもった高い電圧を印加した場合においてもプレプライミングパルス124における発光の頻度が下がり、コントラストを悪化させる割合がより低くなる。
例えばサブフィールド階調法により、1フィールドを8サブフィールドに分割し、プライミングパルス121をこのうちの任意の2つのサブフィールドの最初に印加したとする。ここで、プレプライミングパルス124をプライミングパルス2回に1回の頻度で印加すれば、1フィールドに1回の割合でプレプライミングパルス124が挿入されることとなり、1フィールド以内には、プライミング放電を抑制する状態(異常状態)から正常な状態に復帰することになる。異常状態の継続時間が1フィールド程度ならば、目視上許容できる範囲となる。
【0041】
なお、上記プライミングパルス121の挿入条件において、プレプライミングパルス124をプライミングパルス2回につき1回の頻度で印加したが、もちろんこれに限られることはなく、異常状態の継続時間が最大3フィールド程度まで(この場合、プレプライミングパルス124をプライミングパルス6回につき1回の頻度で印加することに相当)ならば、問題なく適用可能である。
【0042】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形を示す説明図であり、1駆動周期毎にプライミングパルス121を維持電極Xまたは走査電極Yiに交互に印加するものである。
【0043】
このようにすることにより、残留壁電荷がプライミングパルス121にマイナスに働き、プライミング放電が起こらなかったとしても、次の駆動周期では、残留壁電荷がプライミングパルス121にプラスに働くので、確実にプライミング放電を発生させて、正常サイクルに復帰させることができる。なお、プライミングパルス121を維持電極Xと走査電極Yiに交互印加する周期は、1駆動周期毎である必要はなく、複数駆動周期毎、あるいは、維持電極にn回印加する毎に走査電極に1回する等の割合でもよい。
【0044】
実施の形態3.
図7は維持パルスの立ち下がりにおいて、自己消去放電を起こさせることにより発光効率を向上させた実施の形態3に関する放電維持工程の説明図である。図7(a)の書き込み工程終了後に維持電極Xに維持電圧Vsを印加すると、図7(b)のように放電を発生し、維持電極X、走査電極Yiに対応する位置に書き込み終了時とは反対極性の壁電荷を発生する「図7(c)」。このときVsを充分高くすることにより、壁電圧のみで放電開始電圧を越える値となるような多量の壁電荷を蓄積することができる。この状態で維持電圧Vsの印加を中止すると、その壁電荷によって自己消去放電を発生する。つまり、維持電圧の立ち下がりによっても放電が生じる「図7(d)」。この放電により、壁電荷量は減少するが、自己消去放電によって発生した空間電荷の減衰時定数が、少なくとも数μsであるので、次のパルスの立ち上がりまでの時間を1μs以下程度と短くすることにより、自己消去放電によって発生した空間電荷「図7(e)」の助けを借りて維持動作を継続することができる「図7(f)以下」。
【0045】
このような自己消去放電を利用した維持動作を行わせることにより、図9に示すように、維持電圧Vsの立ち上がりと共に立ち下がりにおいても放電を発生し発光するため、弱い放電が従来の2倍の繰り返し数で行われることにより、発光効率が向上する。
【0046】
また、このような動作領域にて動作をさせるためには、(ガスの圧力)×(維持電極と走査電極の間の間隔)の値を、通常使われるパッシェン曲線の最小値となるような値より高い値にする必要がある。例えばガス圧を一定にして間隔を広げると、図6に示すように、維持動作可能な電圧は、高い方にシフトし、自己消去維持動作領域が、維持動作可能範囲の中に入る。
【0047】
このような間隔の広い領域で、プライミング放電を含めて安定に動作させるためには、実施の形態1で述べたプレプライミングパルス124を挿入することが効果的である。リセット工程におけるプライミング放電はプレプライミングパルス124を挿入することにより確実に行うことができ、必要なプライミング電圧の最低値は、間隔がg1からg2に広がり、放電開始電圧が、Vf1からVf2(Vf2−Vf1=ΔVf)に高くなっても、図8に示すように、維持電圧VsにかかわらずΔVfの電圧上昇に留まる。
【0048】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、放電維持工程の後であって、且つ上記書き込み工程の前において、上記第1電圧と上記第4電圧との間の電圧を有して上記第1電圧のパルスとは逆の極性である第5電圧のパルスを、上記第1および第2の電極間に印加するように構成したので、壁電荷が残留している状態であっても確実にプライミング放電を起こし、安定した動作を起こすことができる。また、プライミング電圧を比較的低い値に設定することができるので、コントラスト比が向上する、絶縁破壊が起こりにくくなる、駆動回路が低コストとなる等の効果が得られる。
【0049】
請求項2記載の発明によれば、第5電圧のパルスを、第1の電極と第2の電極との間の放電開始電圧より低く構成したので、全セルが放電することなく、問題のあるセルのみ放電させることが可能であるため、コントラストを悪化させることがない効果がある。
【0050】
請求項3記載の発明によれば、第5電圧のパルスと第1電圧のパルスとの和を、放電開始電圧の2倍よりも大きく構成したので、残留壁電荷がどのような値でも、第5電圧のパルス又は第1電圧のパルスの少なくともいずれかのパルスで確実に放電を起こすことが可能であるため、安定した動作を行わせることができる効果がある。
【0051】
請求項4記載の発明によれば、第5電圧のパルスの直前の第4電圧のパルスの極性を該第5電圧のパルスと逆になるように構成したので、リセット工程において、全面書き込み放電を確実に行うことができる効果がある。
【0052】
請求項5記載の発明によれば、第5電圧のパルスを、第1電圧のパルスに対して間欠的に挿入するように構成したので、コントラストを悪化させることなく、リセット工程において、全面書き込み放電を確実に行うことができる効果がある。
【0053】
請求項6記載の発明によれば、第5電圧のパルス挿入頻度が第1電圧のパルス2回乃至6回毎に1回であるように構成したので、コントラストを悪化させることなく、リセット工程において、全面書き込み放電を確実に行うことができる効果がある。
【0054】
請求項7記載の発明によれば、第5電圧のパルス印加は、第1電圧のパルスの印加に先立って行なわれるように構成したので、壁電荷が残留している状態であっても確実にプライミング放電を起こし、安定した動作を起こすことができる効果がある。
【0055】
請求項8記載の発明によれば、維持パルスの電圧は、当該維持パルスの立ち下がりにおいて放電が発生するような電圧に設定され、当該維持パルスの立ち下がりにおける放電によって生成された空間電荷によって放電開始を容易にする効果が持続している間に、当該維持パルスに続く次の維持パルスを立ち上げるように構成したので、発光効率が向上する効果がある。
【0056】
請求項9記載の発明によれば、維持パルスの立ち下がりから、当該維持パルスに続く次の維持パルスの立ち上がりまでの期間を1μsecより短くするように構成したので、安定な維持動作を行うことができる効果がある。
の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形図である。
【図2】この発明の実施の形態1の原理を説明する残留壁電荷の生成を説明する図である。
【図3】プレプライミング電圧+プライミング電圧と放電開始電圧の関係を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形図である。
【図5】この発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形図である。
【図6】電極間間隔対維持電圧の関係を示す特性図である。
【図7】この発明の実施の形態3の原理を説明する残留壁電荷の移動イメージ図である。
【図8】維持電圧対プライミング電圧の関係を示す特性図である。
【図9】この発明の実施の形態3による発光状態を示すタイミング図である。
【図10】従来のプラズマディスプレイの構成を示す概要図である。
【図11】プラズマディスプレイパネルのセルの構成を示す断面図である。
【図12】従来のプラズマディスプレイの駆動方法を説明する印加電圧波形図である。
【図13】従来のプラズマディスプレイにおける残留壁電荷の生成を説明する図である。
【図14】動作不良を起こす壁電圧の範囲説明図である。
【図15】従来のプラズマディスプレイにおける発光状態を示すタイミング図である。
【図16】従来のプラズマディスプレイにおける維持電圧対プライミング電圧の関係を示す特性図である。
【図17】従来のプラズマディスプレイにおいて、維持電極と走査電極の間の間隔を広げたときの、維持電極対プライミング電圧の関係を示す特性図である。
【図18】残留壁電荷対プライミング電圧の関係を説明する図である。
【符号の説明】
X 維持電極(第1の電極)、Y1〜Yn 第2の電極、A1〜Am 第3の電極、108 ガラス基板(第1基板)、109 誘電体層、110 保護層、111 ガラス基板(第2基板)、112 蛍光体、113 隔壁、114 放電空間、121 プライミングパルス(第1電圧のパルス)、 122 スキャンパルス、123 維持パルス(第4電圧のパルス)、124 プレプライミングパルス(第5電圧のパルス)。
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