JPH10310962A - 水流絡合方式の羽毛繊維配合吸油用不織布 - Google Patents

水流絡合方式の羽毛繊維配合吸油用不織布

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JPH10310962A
JPH10310962A JP9130494A JP13049497A JPH10310962A JP H10310962 A JPH10310962 A JP H10310962A JP 9130494 A JP9130494 A JP 9130494A JP 13049497 A JP13049497 A JP 13049497A JP H10310962 A JPH10310962 A JP H10310962A
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JP
Japan
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fiber
oil
feather
nonwoven fabric
oil absorption
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JP9130494A
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Inventor
Yoshihiro Kawaguchi
芳広 川口
Hiroshi Yokota
博志 横田
Tetsunori Kunitake
哲則 国武
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Ishihara Chemical Co Ltd
Kami Shoji Co Ltd
Original Assignee
Ishihara Chemical Co Ltd
Kami Shoji Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸油速度や吸油倍率などに優れた新規の吸油
用不織布を開発する。 【解決手段】 パルプ繊維などの繊維組成物と羽毛繊維
を湿式抄紙したシート状物に向けて高圧水柱流を噴出さ
せ、繊維組成物と羽毛繊維の繊維同士を絡合させた一体
物である水流絡合方式の羽毛繊維配合不織布を吸油用不
織布に供する。羽毛本来の特性を強く残す羽毛繊維をパ
ルプ繊維などと湿式抄紙したうえで、水流絡合するの
で、羽毛繊維の化学的性状に加えて、羽毛繊維とパルプ
繊維などの水流絡合構造(三次元的な立体構造)が相乗的
に作用して、吸油速度が速く、吸油倍率が大きいなどの
優れた吸油性能を具備した吸油用不織布を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパルプ繊維などと羽
毛繊維を湿式抄紙したシート状物に、水流絡合処理を施
して得られる湿式不織布を材質とする吸油用不織布に関
し、吸油速度が速く、吸油倍率も大きいなどの優れた吸
油性能を具備した不織布を提供する。
【0002】
【従来の技術】水流絡合式の不織布の従来技術として
は、特開平5−253160号公報に、長繊維ウエブ
(主に、ポリプロピレンやポリエステルなどの疎水性のも
の)の表面に特定範囲の膨潤引張強さを有する紙シート
を積層し、当該紙シートの表面から長繊維ウエブに向け
て高圧水柱流を施して、長繊維とパルプ繊維を絡合させ
た不織布より成る吸水用の拭き布が開示されている。
【0003】一般に、水流絡合方式で不織布を製造する
と、通常の紙シートでは高圧水柱流の圧力でこの紙シー
トが破壊されたり、紙シートのパルプ繊維が空中に飛散
するなどの弊害が出るが、上記従来技術は、ある特定の
湿潤引張強さを有する紙シートを採用することにより、
この弊害を解消するとともに、パルプ繊維とウエブの長
繊維を比較的均一に絡合して、吸水性や保水性、並びに
手触り感などに優れた拭き布を提供しようとするもので
ある(同公報の段落番号6、及び段落番号24の記載参
照)。因みに、当該従来技術では、ポリプロピレン、ポ
リエステルなどの疎水性繊維は不織布の強度保持のため
に用いられ、吸水性能などを担保するのは主に紙シート
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術は不織布の吸水性や保水性などの作用に着目し
て、当該不織布を使い捨て手拭き、ウェットティッシ
ュ、ワイパーなどの吸水用途に利用することを主眼とす
るものである。
【0005】一方、最近では、原油流出などでの油回
収、工場廃油や懸濁油の回収、或は一般家庭での食用油
の処理などを目的とする各種の吸油材が市販されている
が、この吸油材としては、スパンボンド方式、又はメル
トブロー方式などで製造したポリプロピレン不織布や、
天然系のカポック繊維を材質とするものが代表的であ
り、中でも、ポリプロピレン不織布を材質とする合成系
吸油材のシェアが圧倒的である。
【0006】本発明は、上記ポリプロピレン不織布など
とは異なる新規の材質による水流絡合式の不織布を吸油
用途に供することを技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本出願人は、先に、特開
平4−312534号公報、及び特開平6−34657
6号公報で羽毛微細粉末並びにこれを利用した表面改質
剤を開示しているが、この羽毛微細粉末は当該公報等で
も述べているように、優れた吸油性能を示す。
【0008】一方、本出願人は、先に、特願平8−54
528号で、疎水性の長繊維ウエブと紙シートの積層物
に高圧水柱流を施す前記従来技術に替えて、天然のパル
プ繊維を湿式抄紙した紙シートにこの高圧水柱流の湿式
技術を適用して、パルプ繊維のみを材質とする水流絡合
方式の不織布の製造技術を提案した。この先行技術の水
流絡合パルプ不織布では、強度向上用の樹脂バインダー
を必要としないうえ、パルプ繊維のみを使用するために
生分解性を具備して廃棄が楽になり、環境を汚染しない
などの利点がある。
【0009】本発明者らは、羽毛を前記羽毛微細粉末に
まで微細化するのではなく、いわばその中間の粉砕形態
である羽毛繊維にとどめることで、羽毛の有する吸油性
能を効率的に引き出したうえで、この羽毛繊維とパルプ
繊維などを上記水流絡合方式で製造した不織布を吸油用
途に使用することを着想し、本発明を完成した。
【0010】即ち、本発明1は、繊維組成物と羽毛繊維
を湿式抄紙したシート状物に向けて高圧水柱流を噴出さ
せて、繊維組成物と羽毛繊維の繊維同士を絡合させて一
体化した羽毛繊維絡合不織布より成り、被処理面への接
触により被処理面の油分を吸収除去可能にすることを特
徴とする水流絡合方式の羽毛繊維配合吸油用不織布であ
る。
【0011】本発明2は、上記本発明1において、繊維
組成物がパルプ繊維であることを特徴とするものであ
る。
【0012】本発明3は、上記本発明1又は2におい
て、羽毛繊維の配合率が20重量%以上であることを特
徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の羽毛繊維は繊維状の羽毛
粉末であり、例えば、砥石のクリアランスを50〜50
0μm(好ましくは、100〜300μm)に設定した条
件で羽毛に石臼式磨砕を施した場合に得られる、羽毛の
原形を消失し、且つ、肉眼視で繊維状の形態を確認でき
るもの(分岐状の繊維形態を含む)を意味する。要する
に、羽毛を粉砕する場合、前記羽毛微細粉末にまで細か
く粉砕せずに、繊維形態が残るように(図4A〜図4B
参照)中途の段階にとどめることが必要である。
【0014】上記羽毛繊維は製法を問わず、あらゆる方
式で製造したものを含むが、例えば、下記の方式で製造
される。 (1)ミル、クラッシャーなどの各種粉砕機(特に、石臼式
磨砕機、スクリューニーダーなど)によって羽毛を粉砕
する。 (2)パッフィング・マシン(例えば、プレスパンダー;鶴見
曹達(株)製)を使用して、爆砕処理を施す。当該爆砕処
理とは、耐圧容器内で加圧・加熱した試料を大気中に急
激に放出して、試料に含まれる水分を瞬間的に気化さ
せ、このとき発生する多量の水蒸気で試料の内部組織構
造を破壊する方法をいう。
【0015】本出願人は前述の特開平4―312534
号公報などで上記粉砕機を用いた羽毛微細粉末の製造方
法を開示しており、この製造方法は加熱などを行わず
に、羽毛をアルコール系溶媒に浸漬し、石臼式回転磨砕
を施して微粉砕するのを基本原理とするが、好ましく
は、羽毛を予備洗浄して、上述の微粉砕を施してから、
濾過洗浄と乾燥処理を施して製造している。
【0016】本発明の羽毛繊維を例えば前記(1)の粉砕
方式で得る場合には、上記羽毛微細粉末の粉砕技術を基
本とすれば良い。そこで、この基本粉砕技術に基づく羽
毛繊維の製造法を詳細に述べると、先ず、前記予備洗浄
では、水洗してからアルコール系溶媒で洗浄し、羽毛に
付着する油脂分を溶解除去するとともに、水になじみの
悪い羽毛を次工程での湿式粉砕処理に適した浸漬物にす
る。
【0017】上記アルコール洗浄の利点は、水洗後の水
分の残存を問題にせず、アルコールへの完全置換を必要
としない点にもある。このアルコール洗浄から次の磨
砕、粉砕までの一貫した工程におけるアルコールの濃度
は、0.01〜99.99%とすることができるが、実用
上は、羽毛の殺菌消毒効果を同時に発揮できる30〜7
0%のものが好ましい。使用するアルコールは、飽和、
不飽和の脂肪族及び芳香族のモノ、ジ、そして多価アル
コールなどの広範なものを使用できるが、エタノール、
イソプロパノールが好ましく、さらには、日本薬局方収
載のものを70%エタノール、30%、50%イソプロ
パノールとして用いることができる。
【0018】上記微粉砕では、羽毛の前記アルコール浸
漬物に石臼式回転磨砕を施して、粉砕物の懸濁液を得
る。当該石臼式磨砕機は上下2枚の特殊グラインダーに
よって構成され、固定側の上部グラインダーと回転側の
下部グラインダーの間に生じる衝撃、剪断、圧縮、ころ
がり摩擦等の力により原料を粉砕するものである。用い
るグラインダーには、従来通りのものも使用できるが、
最近開発された無気孔で割れない特性を有するセラミッ
クスのものが適している。投入されるケラチン物質のア
ルコール浸漬物においては、浸漬比率は一般的に1:0.
5(固体:分散媒(V/V))以上であるが、実際には1:20
〜1:100の範囲が好ましい。運転に際して、一度磨
砕されたものを繰り返し磨砕機に投入する連続磨砕処理
も効果的である。さらに、連続磨砕処理の間にアルコー
ル分散媒を交換すると、洗浄効果を一層促進できる。
【0019】上記粉砕物の分離回収は、所定のフィルタ
ーで粉砕物懸濁液を濾過して行う。この濾集粉砕物は、
アルコール又は他の揮発性有機溶媒により、羽毛由来の
残存油脂分を洗浄除去した後、乾燥して目的の繊維状羽
毛粉末(即ち、羽毛繊維)を得る。この最終段階の洗浄で
は、元の羽毛の容積が小さくなっており、また逆に表面
積が大きくなっているので、効果的に油脂分を溶解除去
できる。洗浄溶媒は各々単用若しくは併用できるが、ア
セトン、エーテルを使用するのが好ましい。
【0020】上記繊維組成物には、針葉樹及び広葉樹な
どの木材パルプ、脱墨パルプ(DIP)、或はバガス、マ
ニラ麻(アバカ)、リンターパルプ、ケナフ、エスパルト
草、ワラなどの非木材パルプをクラフト法、サルファイ
ト法、ソーダ法などで蒸解した化学パルプ繊維、又は砕
木パルプ(グランドパルプ)繊維、サーモメカニカルパル
プ繊維などの機械パルプ繊維を、晒し若しくは未晒しの
状態で単用又は複用するのが好ましい。また、上記繊維
組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル
アルコール、ポリエステル、ポリアクリルニトリル系等
の合成繊維、レーヨン、キュプラ、アセテート等の再生
又は半合成繊維、ロックウール、ガラス繊維、炭素繊維
等の無機繊維などを使用することもできる。この場合、
これらの合成繊維等は上記天然繊維に置き換えて使用し
ても良いが、複合使用しても良い。ポリエステル繊維な
どの合成繊維を複合的に使用すると、不織布に実用的な
強度を付与できるなどの点で有効である。
【0021】上記湿式抄紙は繊維組成物と羽毛繊維の混
合紙料(分散液)を抄造してシート状物を得る工程であ
り、一般に円網、短網、長網、サクションホーマーなど
の抄紙機で行うが、具体的には分散状態の良い傾斜型短
網抄紙機やサクションホーマーが好適である。当該シー
ト状物を得る湿式抄紙では、界面活性剤などの分散剤、
ポリエチレンオキシドなどの粘剤などの各種薬剤を配合
することができる。
【0022】本発明の不織布の市販形態は乾燥品、湿潤
品を問わないが、湿潤品として市販する場合には、アル
キルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルイ
ソキノリウム塩などの4級アンモニウム塩類の溶液に不
織布を浸漬すると(但し、殺菌効果のある濃度域が必
要)、これらの4級アンモニウム塩類が殺菌性と羽毛繊
維の材質であるケラチン物質に対する吸着能を有するた
め、不織布に殺菌性又は抗菌性を強固に付与できる。従
って、上記湿式抄紙の際の分散剤としてこの4級アンモ
ニウム塩類を使用すると、羽毛磨砕物を一旦乾燥させな
くても腐敗などから護れるとともに、紙料(分散液)の段
階で添加済みであるため、得られた不織布の段階で殺菌
剤を別途付与する必要がなくなる。また、分散剤として
アミノ酸系(タンパク質系)の界面活性剤などを使用して
も、良好な分散性が得られ、不織布製造時に好ましい懸
濁液を調製できる。
【0023】上記高圧水柱流の工程は、前述の湿式抄紙
工程で得られた繊維組成物と羽毛繊維の(主に、水素結合
による)シート状物の繊維同士を絡合して不織布形態に
加工するものである。当該高圧水柱流機構は、例えば、
図1に示すように、高圧水柱流噴出装置3を搬送方向に
複数個並設し、前記湿式抄紙工程で製造したシート状物
2をコンベアで所定速度で搬送しながら、所定の水圧で
シート状物2の一面から他方の面に向けて高圧水柱流を
夫々噴出可能に構成される。また、当該高圧水柱流工程
では、第一の高圧水柱流噴出ブロックと第二の噴出ブロ
ックを組み合わせ、第一ブロックで高圧水柱流を噴出し
たシート状物2の上・下面を反転させ、第二ブロックで
シート状物2の他面に向けて高圧水柱流を噴出する両面
処理を施すことを基本とするが、一つの高圧水柱流ブロ
ックによりシート状物2の一面に向けて高圧水柱流を噴
出する片面処理を施すこともできる。
【0024】当該高圧水柱流の工程では、シート状物の
搬送速度と、高圧水柱流噴出装置のノズル孔の孔径及び
その設置間隔は相互に関連し、また、シート状物の材質
とも関係するため、有機的に勘案する必要がある。例え
ば、搬送速度は10〜150m/分程度、高圧水柱流噴
出装置のノズル孔は80〜180μm程度、その間隔は
0.3〜1.0mm程度である。また、水圧は、例えば1
0〜180kg/cm2程度である。
【0025】本発明の不織布の製造においては、上記水
流絡合工程の後にドライヤーなどにより湿式不織布の乾
燥処理を施す。当該乾燥工程では、従来の熱板圧着方式
であるヤンキードライヤーを使用しても良いが、嵩高性
やソフトな風合いを一層有効に付与できる点で、スルー
ドライング方式の乾燥機の方が好ましい。
【0026】上記水流絡合方式による羽毛繊維配合不織
布は、後述の試験例に示すように吸油性能に優れるた
め、本発明1の吸油用不織布として円滑な機能を発揮で
きるとともに、皮膚面の汗成分や皮脂成分を吸収除去す
る制汗用途にも活用できる。当該吸油用不織布における
羽毛繊維の配合率は、様々な具体的用途により適宜調整
すればよいが、特に、20重量%以上が好ましく、より
好ましくは40重量%以上である。尚、本発明1では、
上記羽毛繊維絡合不織布を他材と複合させて吸油用不織
布を形成することを妨げない。
【0027】
【作用及び発明の効果】
(1)本発明1の吸油用不織布は羽毛繊維自体の具備する
化学的性状に加えて、不織布自体の持つ繊維の絡合構造
(特に、羽毛繊維の繊維間隙)により毛細管現象などの物
理作用が相乗的に作用するために、吸油倍率が大きく、
吸油速度もきわめて速い(後述の吸油用不織布の評価試
験例参照)。特に、後述の吸油比較試験例に示すよう
に、単位表面積当たりの吸油量はポリプロピレン不織布
に比べても大きく、単位重量当たりの吸油量も遜色がな
い。従って、本発明の羽毛繊維絡合式の吸油用不織布
は、市販のポリプロピレン不織布や天然系のカポック繊
維などとは異なる新規の材質による優れた吸油性能を具
備した不織布であり、具体的な用途としては、工場や業
務用食堂の廃油及び漏油、河川や海洋の流出油及び浮上
油、事業所の各種厨房やガソリンスタンド、家庭の厨房
や風呂場の油汚れ及び垢汚れなどの吸収・捕捉用の吸油
材、或は油捕集材などが挙げられる。
【0028】(2)本発明の羽毛繊維絡合不織布は、上記
(1)に示すように、優れた吸油性能を具備するため(特
に、後述の単位容積当たりの吸油量に優れるため)、皮膚
面の汗成分や皮脂成分の吸収除去にもきわめて有効であ
り、制汗用不織布としても活用できる。その具体的な用
途としては、皮脂取り材、汗拭き材、テニスラケット、
バット、ゴルフパター等のスポーツ用品のグリップ、ア
ームバンド、デスクマット、或は屋内や屋外の施設の手
摺りなどが挙げられる。尚、この制汗用不織布では、下
述のごとく、パルプ繊維などの天然繊維と羽毛繊維とを
水流絡合した天然系の不織布が好適である。
【0029】(3)本発明の吸油用不織布は高圧水柱流を
用いた水流絡合方式の湿式不織布であるため、生産性に
優れ且つ安価に製造できる。また、この水流絡合方式に
より、繊維同士が三次元の空間的広がりを持って複雑に
絡み合うため、後述の評価試験例(特に、密度の項目)に
示すように、嵩高でフワッとした風合いが得られるとと
もに、毛細管現象などの物理作用を強力に奏して、吸油
性能を促進できる。さらに、樹脂などのバインダーを必
要としないので、原材料の羽毛繊維などの特質を最大限
に発揮できる。尚、羽毛繊維の相手方の繊維組成物にパ
ルプ繊維などの天然繊維を選択すると、不織布全体に生
分解性を付与できるため、廃棄時に焼却処分にする手間
が要らず、土中に埋めるだけで良く(或は、積極的に農業
資材として利用することもでき)、周辺環境を汚染しな
い。
【0030】(4)ほとんど廃棄処分にされている羽毛を
羽毛繊維として不織布に活用するので、廃材の有効利用
と資源の省力化を同時に図れる。
【0031】
【実施例】以下、羽毛繊維及び水流絡合式の羽毛繊維配
合吸油用不織布の各製造実施例、この吸油用不織布の吸
油速度、強度などの評価試験例、当該不織布と市販のポ
リプロピレン不織布を比較した吸油試験例を順次説明す
る。尚、本発明の技術的思想は下記の実施例や試験例に
より限定されるものではない。
【0032】水流絡合方式の羽毛繊維配合吸油用不織布
を製造するにあたり、先ず、下記の要領で羽毛繊維を調
製した。 《羽毛繊維の製造実施例》ニワトリの羽毛を水洗し、血
液や肉片を除去して風乾し、エーテルで脱脂するととも
に、70%エタノールに浸漬した。脱脂羽毛のエタノー
ル浸漬物を石臼式磨砕機(マスコロイダーMKZA6―
5;増幸産業製)により磨砕処理した後、濾過、水洗、再
び濾過処理をして羽毛の磨砕物を得た。次いで、上記羽
毛磨砕物を乾燥して、繊維状の羽毛粉末である羽毛繊維
を得た。但し、上記石臼式磨砕を施す場合、砥石間のク
リアランスは一般には50〜500μm、好ましくは1
00〜300μmに設定した。製造した上記羽毛繊維を
電子顕微鏡で観察すると、図4A〜図4Bに示す通り、
磨砕前の羽毛本来の繊維形態を有効に残存保持している
のが認められた。
【0033】《水流絡合式の羽毛繊維配合吸油用不織布
の製造装置の概略説明》図1は本発明の吸油用不織布の
製造装置の概略側面図であり、本装置はシート状物の製
造ブロックAと、第1〜第2の高圧水柱流処理ブロック
B〜Cと、乾燥処理ブロックDがシート状物の搬送方向
の下流側に向かって順番に並んでいる。
【0034】上記シート状物の製造ブロックAは傾斜型
短網抄紙機1から成り、このブロックAで羽毛繊維を配
合したシート状物2が製造され、シート状物2は金網コ
ンベア4で第1高圧水柱流ブロックBに搬送され、次い
で金網コンベア6で反転されて第二の高圧水柱流処理ブ
ロックCに搬送されて、シート状物2の両面が高圧水柱
流の噴出にさらされて羽毛繊維と繊維組成物が絡合・加
工され、最後に金網コンベア7で乾燥処理ブロックDに
送られて乾燥され、水流絡合式の吸油用不織布の乾燥品
が得られる。上記第1と第2の高圧水柱流処理ブロック
B〜Cには、高圧水柱流噴出装置3と5が搬送方向に夫
々3個づつ並設され、所定速度で搬送されるシート状物
2に向けて所定の水圧で高圧水柱流を噴出するように構
成される。
【0035】《水流絡合式の羽毛繊維配合吸油用不織布
の製造実施例》天然パルプと、ポリエステル繊維(以下、
PET繊維という)と、前記実施例で得た羽毛繊維の三
成分を下記の組成で水中に混合分散し、繊維総重量に対
して0.05重量%の4級アンモニウム塩(具体的には、
塩化ベンザルコニウム)を加えたうえで、解離機で充分
に撹拌・解離し、均一な分散スラリーを調製した。次い
で、この分散スラリーを前記傾斜型短網抄紙機1で湿式
抄紙して、羽毛繊維を配合した3種類のシート状物を夫
々得た。但し、上記天然パルプはNBKP(針葉樹晒し
クラフトパルプ)とアバカを1:1で混合したものであ
る。PET繊維(0.4デニール、繊維長10mm)は最終
目的物である吸油用不織布の強度を実用的なレベルに保
持するために添加した。 (1)羽毛繊維:パルプ:PET繊維=20重量%:50
重量%:30重量% (2)羽毛繊維:パルプ:PET繊維=40重量%:30
重量%:30重量% (3)羽毛繊維:パルプ:PET繊維=60重量%:10
重量%:30重量%
【0036】一方、湿式抄紙の条件を上記製造実施例と
同様に設定して、下記の配合により羽毛繊維を省略した
パルプとPET繊維のみのシート状物を得た。 羽毛繊維:パルプ:PET繊維= 0重量%:70重量
%:30重量% この場合、羽毛繊維を配合したシート状物と羽毛繊維を
省略したものでは、PET繊維の配合率は全て30重量
%で一定であり、羽毛繊維とパルプの配合率だけを変化
させた。
【0037】次いで、上記シート状物を金網で形成され
たコンベア4上に載置し、10m/分のライン速度で第
1の高圧水柱流処理ブロックBに搬送した。第1のブロ
ックBでは、3個並設された高圧水柱流噴出装置3の孔
径は0.12mm、ノズル孔の間隔は0.60mmであ
り、羽毛繊維を配合したシート状物の表面側(上方)から
高圧水柱流を夫々50、50、70kg/cm2の水圧
で噴出した。次いで、金網コンベア6の端部でシート状
物を反転させて第2の高圧水柱流処理ブロックC(高圧
水柱流噴出装置のノズル孔及びその間隔は第1ブロック
Bと同じ)に搬送し、シート状物の裏面側(上方)から第
1ブロックBと同じ水圧条件で高圧水柱流を噴出し、シ
ート状物の両面に高圧水柱流処理を施した。その後、ス
ルードライヤー8に導いて乾燥し、水流絡合式の吸油用
不織布を得た。
【0038】尚、得られた吸油用不織布は前記シート状
物の種類で試料1〜3と比較例1に分けられ、各試料と
羽毛繊維の配合率(便宜上、パルプとPET繊維の配合率
は省略)の内訳は次の通りである。 (1)試料1 :羽毛繊維20重量% (2)試料2 :羽毛繊維40重量% (3)試料3 :羽毛繊維60重量% (4)比較例1:羽毛繊維 0重量%
【0039】図2A〜図2Bは試料1〜2を電子顕微鏡
で観察したもの、図3A〜図3Bは試料3〜比較例1を
電子顕微鏡で観察したものである。試料1〜3では、パ
ルプ繊維及びPET繊維の中に松葉状、枝状又は針状の
羽毛繊維が部分的に絡合している様子が認められるが、
比較例1には当然ながら羽毛繊維は見当たらない。
【0040】上記高圧水柱流処理では、シート状物のラ
イン速度、高圧水柱流の水圧を個別に又は同時に変化さ
せると、不織布の性状を適宜変えられる。特に、第1の
高圧水柱流処理ブロックBより第2のブロックCで、水
圧を増しても良い(例えば、50、50、60kg/cm
2→90、90、100kg/cm2)。また、前述のよ
うに、一つの高圧水柱流処理ブロックで、シート状物に
片面処理だけを施すこともできる。一方、熱キャレンダ
装置で上記水流絡合不織布に二次加工を施しても良い。
【0041】《水流絡合式の羽毛繊維配合吸油用不織布
の評価試験例》上記実施例で得られた試料1〜3及び比
較例1の各不織布の評価は下表の通りであった。
【0042】 試料1 試料2 試料3 比較例1 秤量(g/m2) 62.9 62.3 55.0 69.1 厚み(mm) 0.477 0.514 0.505 0.459 密度(g/cm3) 0.132 0.121 0.109 0.151 引張り強度(gf/25mm幅) 縦 ドライ 2303 752 194 5506 ウェット 1072 453 196 2432 横 ドライ 958 537 87 2387 ウェット 310 296 97 544 伸び(%) 縦 ドライ 30.7 18.2 10.9 26.7 ウェット 30.4 14.0 15.8 26.4 横 ドライ 49.2 22.1 12.0 66.0 ウェット 25.6 14.3 14.8 46.0 吸油速度(秒) 滴下法 表 0 0 0 0 裏 0 0 0 0 吸油倍率(倍) 10.6 13.3 17.1 9.0 白色度(%) 表 76.9 72.8 70.3 83.5 裏 76.6 72.7 70.1 83.1
【0043】但し、厚さ・密度の評価方式はJIS-P-811
8、引張り強度はJIS-P-8113、伸びはJIS-P-8132、白色
度はJIS-P-8132に各々準拠した。吸油速度は、試料に軽
油(1号軽油)を注射針のH−5号を通して1滴(約4mg)
を滴下し、吸収し終わるまでの秒数で表した。吸油倍率
は、大豆油に試料を15秒間浸漬した後に取り出し、大
豆油を吸収した試料を10秒間手で保持して、重量増加
により求めた。
【0044】上表のうちの吸油に関する試験結果による
と、各試料1〜3ともに、軽油が滴下された瞬間に不織
布での吸収が完了してしまい、吸油速度はきわめて速い
ことが認められた。但し、比較例1も吸油速度がゼロを
示すことから、繊維の絡合構造などのような不織布の物
理的構造がこの吸油速度には大きく寄与していることが
窺える。また、吸油倍率では、自重の9倍を示す比較例
1に対して、試料1〜3では10.6〜17.1倍に達し
た。特に、羽毛繊維配合率が60重量%の試料3では吸
油倍率は17.1倍に高まり、羽毛繊維の配合率が増す
ほど吸油倍率も大幅に増大した。試料1〜3よりなる本
発明の吸油用不織布では、前述したように、羽毛繊維自
体の具備する化学的性状に加えて、不織布自体の有する
繊維の絡合構造(羽毛繊維とパルプ繊維などの繊維間隙)
による毛細管現象などの物理作用の相乗的な働きが、当
該吸油倍率の増大に有効に寄与していることが推定でき
る。
【0045】一方、上表の秤量結果によると、羽毛繊維
の配合率が増すほど嵩高く軽い吸油用不織布が得られ、
風合い、手触り感が良いことが判る。引張り強度も、P
ET繊維の添加により実用的な強度を保持していた。特
に、水流絡合方式の不織布であるため、この引っ張り強
度はウェットでもドライからの低下が少なかった。ま
た、伸びも全て10%以上を示し、中には30%以上伸
びる不織布もあることから、通常の紙に比べて、きわめ
て伸縮性に富んでいた。
【0046】そこで、本発明の水流絡合式の羽毛繊維配
合吸油用不織布がどの程度の吸油性能を奏するかを、ポ
リプロピレン不織布との対比において試験した。 《吸油用不織布の吸油比較試験例》本発明の吸油用不織
布として前記実施例で製造した試料1〜3を用い、ポリ
プロピレン不織布として各種の市販製品(比較例A〜E)
を用いて、試料1〜3並びに比較例A〜Eの単位重量当
たりの吸油量、並びに単位容積当たりの吸油量を各々調
べて、下記の結果を得た。尚、この吸油比較例では、羽
毛繊維を配合しない水流絡合方式の不織布である前記比
較例1も、参考試料として共に試験した。また、比較例
A〜Eの市販ポリプロピレン不織布の内訳は下記の通り
である。 比較例A:レオマット(住友化学(株)製) 比較例B:タフネル(三井石油化学(株)製) 比較例C:WOSEP(東レファインケミカル(株)製) 比較例D:ネオアタックエース(三菱油化(株)製) 比較例E:スーパーアタック(三菱油化(株)製)
【0047】 吸油量(g/g) 吸油量(g/cm3) 使用油 試料1 10.6 1.40 大豆油 試料2 13.3 1.61 大豆油 試料3 17.1 1.86 大豆油 比較例1 9 1.36 大豆油 比較例A 7.9 − 機械油 比較例B 13 1.30 機械油 比較例C 11 0.69 落花生油 比較例D 13 − 機械油 比較例E 18 − 機械油
【0048】但し、上記単位重量当たりの吸油量(g/
g)、及び単位容積当たりの吸油量(g/cm3)は、前記評
価試験例の測定値に基づいて算出した(比較例A〜Eで
は、当該評価試験例と同様の方式で測定し、算出した)。
【0049】上記吸油用不織布の吸油比較試験の結果に
おいて、単位重量当たりの吸油量(g/g)を見ると、羽
毛繊維の配合率が20重量%の試料1でも、比較例Aや
Cより勝るか匹敵することが判った。また、羽毛繊維の
配合率が60重量%の試料3ではポリプロピレン不織布
の中では最も良い評価の比較例Eにほとんど並ぶ数値を
示し、羽毛繊維の配合率が増すと吸油量も増大すること
が明らかであるとともに、全体として試料1〜3は市販
のポリプロピレン不織布に負けない性能を奏することが
認められた。但し、羽毛繊維を配合しない水流絡合不織
布である比較例1も高い吸油量を示したことから、スパ
ンボンドやメルトブロー方式のポリプロピレン不織布に
対して、水流絡合方式により繊維同士が複雑且つ立体的
(三次元的)に絡合した本発明(或は比較例1)の不織布構
造が、羽毛繊維の化学的性状に加えて、この単位重量当
たりの吸油量の増大に有効に寄与していることが窺え
る。
【0050】一方、単位容積当たりの吸油量(g/cm3)を
見ると、使用油が異なるとはいえ、羽毛繊維の配合率が
20重量%の試料1でも、ポリプロピレン不織布より勝
ることが判り、羽毛繊維の配合率が60重量%の試料3
ではポリプロピレン不織布の達成できないレベルの数値
を示し、羽毛繊維の配合率が増すと吸油量も増大するこ
とが明らかに認められた。但し、比較例1も高い吸油量
を示したことから、スパンボンドやメルトブロー方式の
ポリプロピレン不織布に対して、水流絡合方式の不織布
構造が、羽毛繊維の化学的性状に加えて、この単位容積
当たりの吸油量の増大に有効に寄与していることが窺え
る。
【0051】以上のように、この吸油試験結果を見る
と、本発明の水流絡合式の羽毛繊維絡配合吸油用不織布
は単位重量当たり及び単位容積当たりの吸油量に優れて
おり、なかでも、単位重量当たりの吸油量に優れている
点では、吸油用不織布を生産する場合に吸油成分として
の羽毛繊維の配合率を低く抑制でき、生産コストを向上
できる。また、羽毛繊維の配合率を調整することで容易
に吸油量を変化させることができるため、種々の用途
(例えば、海上の流出原油から家庭用の食用油の処理ま
で)に合わせて吸油用不織布を簡単に造り分けることが
できる。
【0052】本発明の吸油用不織布は、特に、単位容積
当たりの吸油量に優れているため、不織布の厚みを一定
にした場合、当該不織布を被処理面に接触させると、一
定の面積当たりでより効率的な吸油効果を奏することが
でき、吸油用不織布としてだけではなく、皮膚面の汗成
分や皮脂成分を吸収除去することを目的とした制汗用不
織布としても好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】水流絡合方式の羽毛繊維配合吸油用不織布の製
造装置の概略側面図である。
【図2】吸油用不織布の製造実施例における各試料を観
察した倍率100倍での電子顕微鏡写真であり、図2A
は試料1、図2Bは試料2の各写真である。
【図3】図3Aは同製造実施例の試料3、図3Bは比較
例1の各写真である。
【図4】羽毛繊維を観察した電子顕微鏡写真であり、図
4Aは倍率100倍、図4Bは倍率200倍での各写真
である。
【符号の説明】
1…抄紙機、2…シート状物、3、5…高圧水柱流噴出
装置、4、6、7…金網コンベア、8…ドライヤー、A
…シート状物の製造ブロック、B…第1の高圧水柱流処
理ブロック、C…第2の高圧水柱流処理ブロック、D…
乾燥処理ブロック。
フロントページの続き (72)発明者 国武 哲則 愛媛県川之江市川之江町2451−1番地 井 川ビル405号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維組成物と羽毛繊維を湿式抄紙したシ
    ート状物に向けて高圧水柱流を噴出させて、繊維組成物
    と羽毛繊維の繊維同士を絡合させて一体化した羽毛繊維
    絡合不織布より成り、被処理面への接触により被処理面
    の油分を吸収除去可能にすることを特徴とする水流絡合
    方式の羽毛繊維配合吸油用不織布。
  2. 【請求項2】 繊維組成物がパルプ繊維であることを特
    徴とする請求項1に記載の水流絡合方式の羽毛繊維配合
    吸油用不織布。
  3. 【請求項3】 羽毛繊維の配合率が20重量%以上であ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の水流絡合方
    式の羽毛繊維配合吸油用不織布。
JP9130494A 1997-05-01 1997-05-01 水流絡合方式の羽毛繊維配合吸油用不織布 Pending JPH10310962A (ja)

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