JPH10316793A - フッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜 - Google Patents

フッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜

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JPH10316793A
JPH10316793A JP9128791A JP12879197A JPH10316793A JP H10316793 A JPH10316793 A JP H10316793A JP 9128791 A JP9128791 A JP 9128791A JP 12879197 A JP12879197 A JP 12879197A JP H10316793 A JPH10316793 A JP H10316793A
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JP
Japan
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vinylidene fluoride
porous membrane
film
membrane
porous
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JP9128791A
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English (en)
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Shoichi Takamura
正一 高村
Yuzuru Ishibashi
譲 石橋
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温での有機溶媒環境下で固液分離膜として
使用でき、且つ、隔膜として電池を構成した時に、大き
な電流密度でも高い電池性能を示すことができる多孔質
膜を提供する。 【解決手段】 多孔質膜が、架橋されたポリフッ化ビニ
リデンまたは架橋されたフッ化ビニリデンを含む共重合
体からなり、膜の最小孔径層の平均孔径が0.05〜5
μmであることを特徴とするフッ化ビニリデン系樹脂製
多孔質膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐薬品性に優れた
多孔質膜、特に、リチウムイオン電池等で電極間の短絡
を防ぐために用いられる隔膜として使用される多孔質膜
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にフッ化ビニリデン系樹脂は耐薬品
性が高いことから、有機溶媒中の懸濁物を濾過する目的
でフッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜が使用されること
があった。しかしながら、40℃以上の高温での使用に
おいては、膜の強度低下や成分の溶解が起こることがあ
り、高温での使用に耐える多孔質膜が望まれていた。
【0003】一方、近年、携帯電話やパソコン等の小型
化、軽量化のために高エネルギー密度の電池が要求さ
れ、これに対応する電池として非水系のリチウムイオン
電池が開発されている。この電池の正極および負極の電
極間には電解液に膨潤することのない、ポリオレフィン
製多孔質隔膜が配置されている。該ポリオレフィン製隔
膜を用いた場合には、電解液の漏出が起こりやすいた
め、電池構造体全体を重厚な金属容器でパッケージして
電解液の漏出を防止している。
【0004】これに対して最近、電解液の漏出がなく、
非金属製パッケージの採用が可能で電池の薄型化や軽量
化の点で優れた、いわゆる『ポリマー電池』の開発が行
われている。このような電池として、ポリオレフィン性
隔膜の代わりにフッ化ビニリデン系樹脂製膜を用いたポ
リマー電池が提案されており、特に、特開平8−250
127号公報では、フッ化ビニリデン系樹脂から成る多
孔膜に電解液を含浸させ、該電解液含浸多孔膜を隔膜部
分に用いることによって、充放電可能な電池が実現でき
ることが開示されている。
【0005】しかしながら、ここで開示された手段にお
いては、大きな電流密度では高い電池性能が得られない
欠点を有していた。また、高温では電解液に溶解し、内
部短絡を起こしてしまう欠点があった。したがって、急
速な充放電が可能な優れた電池性能を与え、且つ、高温
になっても溶解せず内部短絡を起こさない隔膜材料は、
未だ知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温での有
機溶媒環境下で固液分離膜として使用でき、且つ、隔膜
として電池を構成した時に、大きな電流密度でも高い電
池性能を示すことができるフッ化ビニリデン系樹脂製多
孔質膜を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の従来
技術の問題点に鑑み、検討を重ね本発明に至った。本発
明とその好ましい態様は、以下のとおりである。 1)多孔質膜が、架橋されたポリフッ化ビニリデンまた
は架橋されたフッ化ビニリデンを含む共重合体からな
り、膜の最小孔径層の平均孔径が0.05〜5μmであ
ることを特徴とするフッ化ビニリデン系樹脂製多孔質
膜。
【0008】2)フッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜
が、電子線またはγ線照射により架橋されている上記1
記載のフッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜。 3)フッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜中のゲル分率が
10〜80wt%である上記1記載のフッ化ビニリデン
系樹脂製多孔質膜。 4)フッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜が、フッ化ビニ
リデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体であって、ヘ
キサフルオロプロピレンの含有量が20wt%以下であ
る上記1記載のフッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜。
【0009】5)フッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜
が、フッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合
体であって、ヘキサフルオロプロピレンの含有量が20
wt%以下である共重合体からなり、ゲル分率が10〜
80wt%である上記1記載のフッ化ビニリデン系樹脂
製多孔質膜。 6)フッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜が、少なくとも
一方の表面層が他の部分より緻密であり、内部に巨大空
孔及び三次元網目構造を有している上記1記載のフッ化
ビニリデン系樹脂製多孔質膜。
【0010】7)フッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜
が、少なくとも一方の表面層が他の部分より緻密であ
り、内部が三次元網目構造である上記1記載のフッ化ビ
ニリデン系樹脂製多孔質膜。 8)フッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜が、表面及び内
部とも三次元網目構造である上記1記載のフッ化ビニリ
デン系樹脂製多孔質膜。
【0011】9)1atmの静水圧をかけたときの25
℃における透水量が1000リットル/hr・m2 ・a
tm以上である上記1記載のフッ化ビニリデン系樹脂製
多孔質膜。 以下、本発明を詳細に説明する。一般に、電池では出力
の電流密度を大きくすると、内部抵抗や濃度過電圧等が
原因で容量が低下することがある。特に、内部抵抗の大
きな隔膜部を有する非水系電池においてはその傾向が著
しい。
【0012】本発明の多孔質膜では、これを隔膜として
水系電池に用いたときに大きな電流密度でも容量が低下
しにくいことが特長である。例えば、充放電可能なリチ
ウムイオン二次電池において、1mA/cm2のような
低い電流密度と、3mA/cm2のような高い電流密度
とで放電容量に大きな差がないことを意味する。本発明
者らは、この特性が、単に隔膜部のイオン伝導度を高め
るだけでは得られず、多孔度が大きい構造を有する膜を
用いることによってはじめて達成できることを見いだし
た。
【0013】即ち、膜の最小孔径層の平均孔径が0.0
5〜5μmであることが要件である。さらに、0.08
〜3μmが好ましく、0.1〜3μmの範囲であること
が特に好ましい。0.05未満では、電池用隔膜として
用いる場合には、高い電流密度のときに充放電特性が低
くなるし、分離用として用いる場合には、透水性が低下
する。一方、5μmを超える場合、電池用隔膜として用
いる場合には、内部短絡しやすくなるし、分離用として
用いる場合には、分画性が低下する。
【0014】本発明において、膜の最小孔径層は、電子
顕微鏡によって膜断面に存在する空孔径の分布を観測す
ることによって特定できる。更に、平均孔径とは、最小
孔径層が最表面にある場合には、表面層の電子顕微鏡写
真によって計測される平均孔径をいい、また、最小孔径
層が膜内部に存在する場合には、ASTM F 316
−86に準じて測定される平均流量細孔径をいう。な
お、平均流量細孔径の測定においては、測定溶媒として
エタノールを用いる。
【0015】本発明における平均孔径を有する多孔質膜
においては、1atmの静水圧をかけたときの25℃に
おける透水量が1000リットル/hr・m2 ・atm
以上であることが好ましい。特に好ましくは1500リ
ットル/hr・m2 ・atm以上である。一方、高い電
池性能を得る上では透水量に上限はないが、透水量が大
きすぎると漏液性が大きくなったり、デンドライトと呼
ばれる樹枝状の金属の電析物による短絡の恐れがあるの
で、100000リットル/hr・m2 ・atm以下が
好ましく、50000リットル/hr・m2 ・atm以
下がさらに好ましい。
【0016】本発明のフッ化ビニリデン系樹脂製多孔質
膜を形成するポリマー種としては、フッ化ビニリデンの
単独重合体の他、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプ
ロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロ
エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエ
チレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン
共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フ
ッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン
−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリ
デン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フ
ッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体等を例示することができる。こ
れら単独あるいはこれらの重合体の混合物を用いること
もできる。また、フッ化ビニリデンを含まない他の重合
体との混合物を用いることもできる。これらのポリマー
種の中では、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体が、機械的強度が良好であるので特に好ま
しい。
【0017】上記の共重合体、あるいは混合物の場合に
おいては、フッ化ビニリデン成分を50wt%以上含有
することが好ましく、75重量%以上含有することが特
に好ましい。フッ化ビニリデン成分が50wt%未満で
は、電池用隔膜として用いる場合、隔膜部分のイオン伝
導性が低下する場合がある。さらに、フッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の場合では、ヘキ
サフロロプロピレン含有量が20wt%以下であること
が好ましい。20wt%を越える範囲では、機械的強度
が必ずしも十分ではない。
【0018】これらのフッ化ビニリデン系樹脂製多孔質
膜は架橋されている必要がある。一般にフッ化ビニリデ
ン系樹脂は、高温においてリチウムイオン二次電池で用
いられる電解液のような有機溶媒によって著しく膨潤し
たり、溶解してまう。架橋構造を有することで、高い高
温安定性が得られる。この架橋構造は、重合時、多孔質
薄膜の形成前、形成後のどの段階でも導入することがで
きる。
【0019】架橋の方法としては、重合時に多官能のモ
ノマーを用いる方法、重合後に電子線、γ線、X線、紫
外線等の輻射エネルギーを照射する方法、また、重合後
にラジカル開始剤を含有させて熱や輻射エネルギー照射
により反応させる方法等を用いることができる。重合後
に架橋構造を導入する場合、新たに単官能または/およ
び多官能のモノマー成分を共存させておくこともでき
る。これらの方法の中でも、夾雑物や未反応官能基が残
存しにくいので、重合後に電子線、γ線、X線、紫外線
等の輻射エネルギーを照射する方法が好ましい。
【0020】なかでも、多孔質膜の膜厚が100μm以
下の場合には、電子線照射による架橋が経済的であり、
特に好ましい。電子線照射により架橋を行う場合には、
照射量は5〜100Mradの範囲であることが好まし
く、さらに好ましくは8〜50Mradの範囲である。
5Mrad未満では架橋の効果が必ずしも十分でなく、
100Mradを超えるとポリマーの崩壊が顕著になる
傾向が生じる。
【0021】この架橋構造形成の確認は、未架橋ポリマ
ーが可溶な溶剤への溶解性により確認することができ
る。即ち、架橋構造を有する重合体は可溶性溶剤に溶解
しない成分を有し、均一溶解しないことから架橋構造形
成を判別することができる。この可溶性溶剤は、ポリマ
ーの種類によって異なるため、特に限定されないが、通
常、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホ
ルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトン、テ
トラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレン
カーボネートなどが使用できる。溶解に際しては、加温
して促進することもできる。
【0022】上記の溶剤を用いて未架橋部を溶解した後
の残分の重量分率(以下、ゲル分率という)が10〜8
0wt%の範囲であることが好ましい。さらに、20〜
70wt%の範囲であることが特に好ましい。ゲル分率
が10wt%未満では、高温時に強度が著しく低下して
破損しやすくなったり、内部短絡が起こりやすくなる。
また、80wt%を超えると多孔質膜が脆くなるため、
取り扱い時に破断したり、内部短絡が起こりやすくな
る。
【0023】本発明のフッ化ビニリデン系樹脂製多孔質
膜は、連通孔を有する多孔質材料であって、上記のよう
な透水性を有する構造であるが、これによって、電池用
隔膜として使用する場合、電解液の含浸速度が非常に優
れている利点と、電解液を含浸したときのイオン伝導度
が高い利点がもたらされる。該多孔質膜の空隙率は10
〜95%の範囲にあることが好ましく、さらに好ましく
は20〜90%、さらに好ましくは40〜85%であ
る。10%未満では電解液を含浸したときのイオン伝導
度が充分には高くなく、また、95%を超えると充分な
強度が得られにくい。
【0024】該多孔質膜の膜厚は、用途によって異なる
が、一般的には1〜500μm程度のものが用いられ、
好ましくは10〜300μmである。特に、電池用隔膜
としては、20〜100μmの範囲が最も好ましい。1
μm未満では強度が必ずしも十分とはいえない。500
μmを越える膜厚では、分離膜用としては分離効率が低
下し、また、電池用隔膜としては実効電気抵抗が高くな
りすぎるうえ、電池の体積当たりのエネルギー密度が低
くなる傾向が生じる。
【0025】本発明のフッ化ビニリデン系樹脂製多孔質
膜においては、その構造は特に限定されるものではな
い。例えば、(1)少なくとも一方の表面に内部よりも
緻密な層を有し、内部に巨大空孔及び三次元網目構造を
有している膜、(2)少なくとも一方の表面に内部より
も緻密な層を有し、内部が三次元網目構造である膜、
(3)表面及び内部とも三次元網目構造である膜、
(4)片側表面に緻密な層を有し、該表面層の下部に巨
大空孔からなる層とから構成される2層構造である膜、
(5)少なくとも両表面に緻密な層を有し、内部に巨大
空孔からなる層とから構成される3層若しくは5層構造
の膜等が挙げられる。これらの構造の中でも、(1)、
(2)及び(3)の膜が、機械的強度が良好であるので
特に好ましい。
【0026】このような本発明のフッ化ビニリデン系樹
脂製多孔質膜の製造法は特に限定されるものではなく、
公知の溶融法や湿式法による方法が適用できる。例え
ば、特開平3−215535号公報に記載の方法や、特
公昭61−38207号公報に記載の方法、特開昭54
−16382号公報に記載の方法、特開昭58−917
32号公報記載の方法、特開昭63−296940号公
報に記載の方法等を利用することができる。
【0027】溶融法は、重合体を可塑剤や無機粉体等と
共に溶融後、平膜状に成形し、その後に可塑剤や無機粉
体等を抽出除去するものである。また湿式法は、重合体
を界面活性剤や添加剤等と共に溶媒に溶解しておき、こ
の溶液を薄膜状で非溶媒中に浸漬することで凝固させ、
溶媒や界面活性剤や添加剤等を洗浄除去するものであ
る。後者の場合、非溶媒中に直接平膜状に押し出して浸
漬することにより、膜の両面に緻密な層を有する膜が製
造でき、また、ガラスのような基板上に流延したものを
基板ごと非溶媒中に浸漬することによって、片面に緻密
な層を有するものが製造できる。さらに、原液組成や非
溶媒液組成やそれらの温度などの条件を適宜選択するこ
とによって、緻密な層を全く有さないものを製造するこ
ともできる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、測定は必要に応じて、測定
サンプルを以下の前処理を行った後、下記のとおりに行
った。 前処理:サンプル約20cm2 を50mlのエタノール
(特級試薬)中に浸漬して洗浄する操作を3回行った。
その後、60℃で真空乾燥を4時間行った。
【0029】(1)断面構造と表面層の平均孔径 断面構造は、隔膜サンプルを液体窒素を用いて凍結させ
た後に割断し、その断面をSEM(日立製作所製SE
M;S−800型)を用いて観察して、最小孔径層が表
面にあることを確認し、また、膜表面を上記のSEMを
用いて観察して、その平均孔径を求めた。
【0030】(2)ゲル分率の測定 多孔質膜サンプル約1gを50℃で真空乾燥した後、重
量を測定して溶解前重量(Wx)を求めた。該サンプル
を約1cm角の大きさにカットしてガラス製サンプル瓶
に入れ、N−メチルピロリドン100mlを添加した。
次いで、80℃に加温しながら24時間攪拌した後、粒
子保持能0.7μmのガラス繊維濾紙を用いて濾過し
た。続いて20mlのN−メチルピロリドンで洗浄した
後濾過する操作を2回行い、さらに20mlのエタノー
ル2回洗浄した後、50℃で真空乾燥した。その重量を
濾過器ごと測定し、予め測定した濾過器のみの重量から
差し引いて、溶解残差重量(Wz)を求めた。次式から
ゲル分率を計算した。
【0031】ゲル分率(%)=100×Wz/Wx (3)厚みの測定 多孔質膜サンプルを表面が平滑なガラス板(厚み1m
m)2枚で挟み、その厚みをデジタルマイクロメーター
で測定した。上記ガラス板2枚の厚みを別途測定し、前
期測定値からガラス板分の値を差し引いて求めた。
【0032】(4)空隙率の測定 多孔質膜サンプルをエタノール(特級試薬)に浸漬して
親水化処理を行った後、室温で2時間以上純水に浸漬し
て空隙内を完全に純水で置換した。次いで、膜表面の水
を拭き取った後、空隙に純水を含む多孔質膜の重量
(A)を測定した。続いて、該多孔質膜サンプルを真空
中で60℃で4時間以上乾燥して、空隙内の水を除去
し、ポリマー部のみの重量(B)を測定した。これらの
重量と膜の構成ポリマー及び水の真比重(dp、dw)
とから、次式によって計算で求めた。
【0033】空隙率(%)=100×((A−B)/d
w)/(B/dp+(A−B)/dw) なお、水の真比重(dw)は1.0とした。 (5)透水量の測定 多孔質膜サンプルを直径25mmに打ち抜いた後、エタ
ノール(特級試薬)中に浸漬して親水化した。次いで、
超純水中に浸漬して純水に置換し、該膜を有効面積3.
5cm2のメンブランフィルターホルダーに組み込んで
超純水を充たした。5分間1atmの静水圧をかけ、透
過した水の重量を測定した。この時の超純水の温度を測
定し、その温度での純水の真密度と粘度から、25℃に
おける1時間当たり且つ1m2 当たりの透水量(リット
ル/m2 /hr/atm、25℃)を計算した。
【0034】(6)イオン伝導度 多孔質膜サンプルを室温で電解液(エチレンカーボネー
ト/プロピレンカーボネート/γ−ブチロラクトンの
1:1:2混合溶媒にLiBF4を1.5mol/リッ
トルの濃度で溶かした溶液)中に浸漬して、電解液を含
浸した。この電解液含浸隔膜をステンレス製電極で挟み
込むことで電気化学セルを構成した。通常の交流インピ
ーダンス法に基づいて、この電極間に交流を印可して抵
抗成分を測定し、コールコールプロットの実数インピー
ダンス切片からイオン伝導度を計算した。なお、インピ
ーダンスの測定は、EG&G社、389型インピーダン
スメーターを用い、周波数1kHzで行った。電解液の
含浸と測定操作は、露点−60℃以下のドライ環境下で
行った。
【0035】(7)高温安定性 上記(6)と同様にして電気化学セルを構成し、さらに
熱電対を埋め込んだアルミナ板でそのセルの両面を押さ
え、加熱可能な油圧プレス機で保持した。交流インピー
ダンス測定を行いながら、プレスダイを加熱し、室温か
ら220℃まで昇温させたときのインピーダンス変化を
測定した。
【0036】(8)電池性能(電流密度依存性) 次のような電極を用いた2次電池を構成し、その充放電
特性から評価した。まず、平均粒径10μmのLiCo
2粉末とカーボンブラックを、ポリフッ化ビニリデン
(呉羽化学工業製、KF#1100)のN−メチルピロ
リドン溶液(5重量%)に混合分散してスラリーを作製
した。尚、スラリー中の固形分重量組成は、LiCoO
2(89%)、カーボンブラック(8%)、ポリマー
(3%)とした。このスラリーをアルミ箔上にドクター
ブレード法で塗布、乾燥した後、プレスして膜厚110
μmの正極シートを作製した。
【0037】次に、平均粒径10μmのニードルコーク
ス粉末をカルボキシメチルセルロース溶液とスチレンブ
タジエンラテックス(旭化成工業製、L1571)分散
液混合体に分散してスラリーを作製した。尚、スラリー
中の固形分重量組成は、ニードルコークス/カルボキシ
メチルセルロース/スチレンブタジエン=100/0.
8/2とした。該スラリーを金属銅シートにドクターブ
レード法で塗布、乾燥した後、プレスして膜厚120μ
mの負極シートを作製した。
【0038】イオン伝導度の測定の場合と同様にして、
電解液を含浸した隔膜(電解液含浸隔膜)を調製した。
正極シート、負極シートはそれぞれ2cm角に切断し、
電解液含浸隔膜は2.3cm角に切断した。2枚の電極
シートが該電解液含浸隔膜を挟んで対向した状態に積層
した。このとき、正負極シートの対向しない部分ができ
ないようにした。さらに、該正極及び負極の外側からガ
ラス板で挟んで密着させて電池を形成した。次いで、該
電池の正極、負極にステンレス端子を取り付け、ガラス
製容器内に封入した。上記の電池の組立操作は、露点−
60℃以下のドライ環境下で行った。
【0039】該電池について充放電機(北斗電工製、1
01SM6)を用い、充放電を繰り返し行った。充電は
定電流充電後4.2V定電位充電で行い、放電はカット
オフ電圧2.7V定電流放電で行った。まず、1mA/
cm2の電流密度で10回充放電を繰り返し、続いて3
mA/cm2の電流密度で充放電を10回繰り返した。
このときの10回目(1mA/cm2)の放電容量に対
する20回目(3mA/cm2)の放電容量の比を求め
た。
【0040】
【実施例1】フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(エルフ アトケム製、Kynar280
1:ヘキサフルオロプロピレン12wt%含有品)17
重量部、ポリビニルピロリドン(BASF製K−30)
15重量部、N−メチルピロリドン(東京化成社製特級
試薬)68重量部からなる溶液を調製し、50℃でガラ
ス板上にキャストした。直ちに30℃の75wt%N−
メチルピロリドン水溶液中に浸漬して凝固させ、水、エ
タノールで洗浄後乾燥した。次いで、該多孔質膜に電子
線照射(照射量30Mrad)し、架橋した多孔質膜を
作成した。
【0041】この架橋した多孔質膜の断面を観察する
と、両表面に比較的緻密な層を有していて、内部は三次
元網目構造をとっていた。該多孔質膜は、膜厚61μ
m、空隙率58%、ゲル分率70%であり、最小孔径層
の平均孔径が2.0μm、透水量が11000(リット
ル/m2 /hr/atm、25℃)であった。該多孔質
膜を室温で電解液中に浸漬したところ、数秒以内に含浸
し、完全に透明になった。この電解液含浸隔膜の室温に
おけるイオン伝導度は1.3mS/cmであり、220
℃までの昇温過程において大きな抵抗値の低下が無く、
短絡する現象は起こらなかった。さらに、その電池性能
は95%で優れた性能を示した。
【0042】
【実施例2】凝固液を70wt%N−メチルピロリドン
水溶液に変えた他は、実施例1と同様にして架橋した多
孔質膜を得た。この架橋した多孔質膜の断面を観察する
と、両表面に比較的緻密な層を有していて、内部は三次
元網目構造をとっていた。該多孔質膜は、膜厚70μ
m、空隙率67%、ゲル分率72%であり、最小孔径層
の平均径が0.2μm、透水量が5200(リットル/
2 /hr/atm、25℃)であった。
【0043】該多孔質膜を室温で電解液中に浸漬したと
ころ、数秒以内に含浸し、完全に透明になった。この電
解液含浸隔膜の室温におけるイオン伝導度は1.2mS
/cmであり、220℃までの昇温過程において大きな
抵抗値の低下が無く、短絡する現象は起こらなかった。
さらに、その電池性能は93%で優れた性能を示した。
【0044】
【実施例3】ポリマーをフッ化ビニリデン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体(エルフアトケム製、Kyna
r2850:ヘキサフルオロプロピレン3wt%含有
品)とし、凝固液を85wt%N−メチルピロリドン水
溶液中に変えた他は、実施例1と同様にして多孔質膜を
得た。次いで、該多孔質膜に電子線照射(照射量10M
rad)し、架橋した多孔質膜を作成した。
【0045】この架橋した多孔質膜の断面を観察する
と、両表面に比較的緻密な層を有していて、内部は三次
元網目構造をとっていた。該多孔質膜は、膜厚42μ
m、空隙率74%、ゲル分率53%であり、最小孔径層
の平均孔径が0.9μm、透水量が7500(リットル
/m2 /hr/atm、25℃)であった。該多孔質膜
を室温で電解液中に浸漬したところ、数秒以内に含浸
し、完全に透明になった。この電解液含浸隔膜の室温に
おけるイオン伝導度は1.3mS/cmであり、220
℃までの昇温過程において大きな抵抗値の低下が無く、
短絡する現象は起こらなかった。さらに、その電池性能
は95%であった。
【0046】
【実施例4】フッ化ビニリデン重合体(呉羽化学製、K
F#1000:ホモポリマー)17.2重量部、ポリエ
チレングリコール#200(和光純薬工業製)11.5
重量部、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオ
レート(和光純薬工業製、試薬)0.8重量部、ジメチ
ルアセトアミド(東京化成社製特級試薬)70.5重量
部からなる溶液を調製し、室温でガラス板上にキャスト
した。直ちに70℃の水中に浸漬して凝固させ、水、エ
タノールで洗浄後乾燥した。次いで、該多孔質膜に電子
線照射(照射量30Mrad)し、架橋した多孔質膜を
作成した。
【0047】この架橋した多孔質膜の断面を観察する
と、両表面に比較的緻密な層を有していて、内部には巨
大空孔部と三次元網目構造部を有していた。該多孔質膜
は、膜厚48μm、空隙率80%、ゲル分率49%であ
り、最小孔径層の平均孔径が0.1μm、透水量が10
30(リットル/m2/hr/atm、25℃)であっ
た。
【0048】該多孔質膜を室温で電解液中に浸漬したと
ころ、数秒以内に含浸し、完全に透明になった。この電
解液含浸隔膜の室温におけるイオン伝導度は1.1mS
/cmであり、220℃までの昇温過程において大きな
抵抗値の低下が無く、短絡する現象は起こらなかった。
さらに、その電池性能は92%であった。
【0049】
【実施例5】平均一次粒子系16μm、比表面積110
2 /gの疎水性シリカ(アエロジルR−972)29
重量部、フタル酸ジオクチル35重量部、フタル酸ジブ
チル3重量部をヘンシェルミキサーで混合し、これにフ
ッ化ビニリデン重合体(呉羽化学製、KF#1000:
ホモポリマー)33重量部を添加し、再度ヘンシェルミ
キサーで混合した。該混合物を30mm二軸押出機(東
芝機械製)で混合してペレットにした。次いで、このペ
レットを30mm二軸押出機にTダイと冷却ロールを取
り付けた平膜製造装置を用いて薄膜を得た。
【0050】該薄膜を1,1,1−トリクロロエタン中
に浸漬して、フタル酸ジオクチルとフタル酸ジブチルを
抽出した後、乾燥した。次いで、50%エチルアルコー
ル水溶液に浸漬し、更に水中に浸漬して親水化した後、
70℃、20%苛性ソーダ水溶液中に浸漬して疎水性シ
リカを抽出した。次いで、十分水洗し、乾燥して多孔質
膜を得た。次いで、該多孔質膜に電子線照射(照射量3
0Mrad)し、架橋した多孔質膜を作成した。
【0051】この架橋した多孔質膜の表面と断面を観察
したところ、表面及び内部とも三次元網目構造であっ
た。該多孔質膜は、膜厚90μm、空隙率70%、ゲル
分率50%であり、最小孔径層の平均孔径が0.7μ
m、透水量が3500(リットル/m2 /hr/at
m、25℃)であった。該多孔質膜を室温で電解液中に
浸漬したところ、数秒以内に含浸し、完全に透明になっ
た。この電解液含浸隔膜の室温におけるイオン伝導度は
1.2mS/cmであり、220℃までの昇温過程にお
いて大きな抵抗値の低下が無く、短絡する現象は起こら
なかった。さらに、その電池性能は92%であった。
【0052】
【比較例1】架橋処理を行わなかった他は、実施例1と
同様にして多孔質膜を作成した。この多孔質膜の構造や
最小孔径層の平均孔径、膜厚、空隙率は実施例1の膜と
同様であった。また、透水量は9900(リットル/m
2/hr/atm、25℃)であり、実施例1の膜と同
等であった。しかしながら、ゲル分率は0%であり、完
全に溶解してしまった。
【0053】該多孔質膜を室温で電解液中に浸漬したと
ころ、数秒以内に含浸し、完全に透明になった。この電
解液含浸隔膜の室温におけるイオン伝導度は1.3mS
/cmであったが、220℃までの昇温過程において大
きな抵抗値の低下が起こり、遂には短絡して測定不能に
なった。
【0054】
【比較例2】フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(エルフ アトケム製、Kynar280
1:ヘキサフルオロプロピレン12wt%含有品)17
重量部、ポリエチレングリコール#200(和光純薬製
一級試薬)10重量部、N−メチルピロリドン(東京化
成社製特級試薬)73重量部からなる溶液を調製した他
は、実施例1と同様にして架橋した多孔質膜を作成し
た。
【0055】この架橋した多孔質膜の断面を観察する
と、両表面に比較的緻密な層を有していて、内部は三次
元網目構造をとっていた。該多孔質膜は、膜厚67μ
m、空隙率72%、ゲル分率71%であり、最小孔径層
の平均孔径が0.03μm、透水量が70(リットル/
2 /hr/atm、25℃)であった。この多孔質膜
に室温で電解液を含浸させた電解液含浸隔膜の室温にお
けるイオン伝導度は1.2mS/cmであり、220℃
までの昇温過程において大きな抵抗値の低下が無く、短
絡する現象は起こらなかった。しかしながら、その電池
性能は35%と極めて低いものであった。
【0056】
【比較例3】フッ化ビニリデン重合体(呉羽化学製、K
F#1000:ホモポリマー)17重量部、N−メチル
ピロリドン(東京化成社製特級試薬)83重量部からな
る溶液を調製し、凝固液に純水を用いた他は、実施例1
と同様にして架橋した多孔質膜を作成した。
【0057】この架橋した多孔質膜の断面を観察する
と、両表面に比較的緻密な層を有していて、内部には巨
大空孔部と三次元網目構造部を有していた。15000
倍に拡大しても両表面には孔が観察されなかった。おそ
らく0.01μm以下の孔が存在していると推測され
る。該多孔質膜は、膜厚40μm、空隙率79%、ゲル
分率50%であり、透水量が37(リットル/m2 /h
r/atm、25℃)であった。
【0058】この多孔質膜に室温で電解液を含浸させた
電解液含浸隔膜の室温におけるイオン伝導度は1.1m
S/cmであり、220℃までの昇温過程において大き
な抵抗値の低下が無く、短絡する現象は起こらなかっ
た。しかしながら、その電池性能は25%と極めて低い
ものであった。
【0059】
【発明の効果】本発明のフッ化ビニリデン系樹脂製多孔
質膜は、電池用隔膜として使用される場合、大きな電流
密度でも高い電池性能を示す上、高温における安定性が
高く安全性の優れた電池を実現できる。また、分離膜と
して使用される場合には、高温においても良好な分離性
能を発揮することができる。
【0060】従って、本発明のフッ化ビニリデン系樹脂
製多孔質膜は、リチウム電池等の電池用の構成材料とし
て有用であるとともに、固液分離用膜としても有用なも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08L 27:16

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質膜が、架橋されたポリフッ化ビニ
    リデンまたは架橋されたフッ化ビニリデンを含む共重合
    体からなり、膜の最小孔径層の平均孔径が0.05〜5
    μmであることを特徴とするフッ化ビニリデン系樹脂製
    多孔質膜。
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