JPH10316885A - 着色膜形成用組成物および着色膜被覆ガラス物品の製造方法 - Google Patents

着色膜形成用組成物および着色膜被覆ガラス物品の製造方法

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JPH10316885A
JPH10316885A JP6116998A JP6116998A JPH10316885A JP H10316885 A JPH10316885 A JP H10316885A JP 6116998 A JP6116998 A JP 6116998A JP 6116998 A JP6116998 A JP 6116998A JP H10316885 A JPH10316885 A JP H10316885A
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光宏 河津
Katsuhiko Kinugawa
勝彦 衣川
Taro Miyauchi
太郎 宮内
Koichi Maeda
浩一 前田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金微粒子の膜表面析出を防止して、ゾルゲル
法による金微粒子分散ガラスを安定して製造するための
着色膜形成用組成物を提供する。 【解決手段】 少なくとも有機珪素化合物および塩化金
酸を含有する着色膜形成用組成物において、示差熱分析
における最大発熱ピークを170℃〜250℃に持つ少
なくとも1種の化合物を添加することを特徴とする着色
膜形成用組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は着色膜形成用組成
物、特に自動車などの車両用や建築物の窓および鏡等に
使用される着色膜を形成する保存安定性に優れた組成
物、および着色膜形成用組成物を使用して、着色膜被覆
ガラス物品を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】着色ガラスを得る方法として、銀の無機
塩または銅の無機塩をガラス表面に塗布した後に焼成す
ることにより、無機塩中の銀や銅の微粒子がガラス基板
内に浸透し、ガラスをコロイド発色させるイオン交換法
がある。また珪素アルコキシドの溶液に金、銀のような
金属の塩を溶解させ、これを基材に塗布し熱処理するこ
とにより、金属微粒子を含む珪素酸化物の被膜を形成さ
せる方法がある。
【0003】特に、金や銀の微粒子の、表面プラズモン
により着色されたガラスは耐熱性、耐光性に優れてお
り、以前から着色ガラスやフィルターガラスとして利用
されてきた。近年よく用いられているのはゾルゲル法で
ある。例えば、J.Sol-Gel.Sci.Techn.1,305-312(1994)
には、塩化金酸とシランのアルコキシドを含む溶液をガ
ラス基板上に塗布した後に熱処理することにより、マト
リックスであるシリカの膜の中に金微粒子が分散された
状態で形成され、着色膜被覆ガラス板が得られることが
記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ゾルゲル法
において、金微粒子分散着色膜被覆ガラスを得る場合、
これまで問題とされてきたのは、上記塗膜の熱処理過程
において、金微粒子が成長するのとマトリックスの収縮
過程が同時に起こるために、金微粒子が膜外にはじき出
されやすくなることである。はじき出された金微粒子
は、手で拭くと簡単に剥がれ落ちるので、塗布液中の塩
化金酸が着色膜中の金微粒子として残存する割合が減少
して着色効果が薄れることが問題であった。
【0005】また実際の量産工程では、膜外へはじき出
される微粒子の量が変動するために、着色ガラスの品質
が変動する要因となり、歩留まり低下・コスト上昇につ
ながるという問題があった。
【0006】本発明は、上記のような金微粒子の膜表面
析出を防止して、ゾルゲル法による金微粒子分散ガラス
を安定して製造するための着色膜形成用組成物、および
これを使って着色膜被覆ガラス物品を製造する方法を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、少な
くとも有機珪素化合物および塩化金酸を含有する着色膜
形成用組成物において、示差熱分析における最大発熱ピ
ークを170℃〜250℃に持つ少なくとも1種の化合
物を添加することを特徴とする着色膜形成用組成物であ
る。
【0008】本発明において、少なくとも有機珪素化合
物および塩化金酸を含有する着色膜形成用組成物に添加
する、示差熱分析における最大発熱ピーク(いくつかの
発熱ピークの中で最大のピークを示す温度)を170℃
〜250℃に持つ化合物としては、有機化合物また無機
化合物を使用することができ、有機化合物としては、好
ましくは分子内にエーテル結合と炭素−炭素二重結合を
有する有機物を用いることができる。
【0009】この添加有機物としては、好ましくは分子
内にエーテル結合を有するアクリレート、メタクリレー
ト、ビニル化合物が挙げられるが、具体的にはエチレン
オキシドユニットを6個分子内に有するトリメチロール
プロパントリアクリレート(最大発熱ピーク温度=23
4℃)が好適な例として挙げられる。前記有機物の添加
量は着色膜形成用組成物全量(コーティング液全量、溶
媒を含む)に対して、0.5〜5重量%が好ましく、よ
り好ましくは0.7〜4重量%である。添加量をこれら
の範囲内で変化させることにより、おそらく金微粒子の
粒径または粒子形状が変化すると推定されるが、着色膜
の透過色調を調整することができる。添加量が少なすぎ
ると膜表面析出防止の効果は薄く、また添加量が多くな
りすぎると、明るい発色が得られず膜が金属の金に近い
色になってしまうとともに、ヘイズが大となり好ましく
ない。これは、金微粒子のサイズが大きくなりすぎたた
めと考えられる。
【0010】また、示差熱分析における最大発熱ピーク
を170℃〜250℃に持つ無機化合物としては、例え
ば硝酸セリウム(最大発熱ピーク温度=200℃)、塩
化コバルト(最大発熱ピーク温度=234℃)、硝酸鉄
(最大発熱ピーク温度=225℃)、および塩化鉄(最
大発熱ピーク温度=249℃)を挙げることができる。
前記無機化合物の添加量は、着色膜形成用組成物全固形
分(着色膜形成用組成物が、乾燥、焼成され、固体膜に
なった時の全固形分)に対して、0.3〜20重量%が
好ましい。より好ましくは0.5〜15重量%である。
これら無機化合物は酸化物として着色膜の中に残存する
ので、その使用量が多いときには、酸化セリウムは紫外
線を吸収し、酸化コバルト、酸化鉄は可視光を吸収して
着色膜の色調を変化させる。
【0011】前記組成物を基材表面に塗布した後に、熱
処理過程において、有機珪素化合物が加水分解・重縮合
してシリカマトリックスが形成されるとともに、塩化金
酸が熱分解して金微粒子が形成されるが、最大発熱ピー
クを170℃〜250℃に持つ化合物を前記組成物に添
加しておくことにより、金微粒子が、膜外にはじき出さ
れて膜の表面に析出して着色に寄与しなくなるのを防
ぎ、着色効果が増す。更に、この化合物の添加量を調節
することによって、微妙な色調を変えることができる。
【0012】前記添加化合物が、なぜ金微粒子の膜表面
析出を防止するかという理由は、次のように推定され
る。すなわち、前記化合物のTG−DTA特性曲線から
判断して、添加化合物は170〜250℃の範囲内のあ
る温度で最大発熱ピークを示し、かつその重量を急激に
減少する。上記塗膜を熱処理する際、200℃近傍の温
度では、シリカマトリックスの網目構造は膜の急激な収
縮により小さくなってくる。そのとき網目構造の中にあ
って、成長過程の金微粒子は、網目の外へ押し出されよ
うとする結果、膜外へ押し出されようとするが、このと
き添加化合物が、膜の急激な収縮を押えて、金微粒子の
成長領域を確保するために、金微粒子が膜外に押し出さ
れるのが防止される。しかも、金微粒子が完全に成長し
た後には、マトリックスの収縮も進んでいるために、膜
外に押し出されることはない。
【0013】さらに、添加化合物の発熱により、金微粒
子の成長および金微粒子の周囲のマトリックスの収縮が
同時に行われ、短時間で金微粒子の成長および固定化が
行われる。また添加剤の量の調節、すなわち金微粒子の
成長する空間領域と発熱量を調節すれば、微妙な色調の
制御が可能となってくる。
【0014】もし、最大発熱ピークが170℃未満また
は250℃を超える化合物を添加した場合には、その発
熱の温度が金微粒子の形成・析出温度と一致しないの
で、金微粒子が膜外へ押し出されるのを防止することが
できない。
【0015】本発明における上記着色膜形成用組成物の
各成分について、以下に説明する。有機珪素化合物は膜
に酸化珪素成分を有せしめるものであり、酸化珪素は金
の微粒子を固定し、金微粒子の発色を赤系にするため
に、低屈折率のマトリックス材として必要である。さら
に、膜の可視光線反射率を低く抑えるためにも必要であ
る。その含有量が低すぎると、反射率が高くなりすぎ
る。また多すぎても着色が薄くなり、着色ガラスとして
商品性が下がる。したがって、着色膜形成用組成物全固
形分に対する有機珪素化合物の含有量は、SiO2に換
算して50〜94重量%であり、より好ましくは70〜
92%である。
【0016】本発明で、着色膜を形成する酸化珪素の原
料である有機珪素化合物としては、ゾルゲル法により透
明でより強い膜を形成でき、安定性に優れるもの、すな
わち加水分解・重縮合することができる珪素化合物であ
るなら何でもよく、以下に具体的に述べる。
【0017】酸化珪素の原料である有機珪素化合物とし
ては、珪素のアルコキシドが好適で、例えばテトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシ
シラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシ
シランが挙げられる。またこれらの縮合体(n≧2、た
だしnは縮合度を表す)、もしくは縮合体の混合物も好
便に用いられる。例えば縮合体としては、ヘキサエトキ
シジシロキサン(n=2)、オクタエトキシトリシロキ
サン(n=3)、デカエトキシテトラシロキサン(n=
4)、エトキシポリシロキサン(n≧5)などが使用で
きる。単量体(n=1)と縮合体(n≧2)の混合物か
らなる「エチルシリケート40」(商品名、コルコート
社製)〔組成は、J.Cihlarの文献、Colloids
and Surfaces A : Physicochem. Eng. Aspects 70 (1
993年) 253頁から268頁 に記載されており、重量分率で
単量体(n=1):12.8重量%、2量体(n=
2):10.2重量%、3量体(n=3):12.0重
量%、4量体(n=4):7.0重量%、多量体(n≧
5):56.2重量%、エタノール:1.8重量%)で
ある〕などが好適に使用できる。
【0018】また上記化合物のアルコキシ基が、アルキ
ル基その他の炭化水素基と置換されたアルキルトリアル
コキシシランなども使用可能である。例えば、アルコキ
シ基がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2
−エチルブチル基、オクチル基などの直鎖状、あるいは
分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、γ−
メタクリロキシプロピル基、γ−アクリロキシプロピル
基などのようなアルケニル基、フェニル基、トルイル
基、キシリル基などのアリール基、ベンジル、フェネチ
ル基などのアラルキル基またはγ−メルカプトプロピル
基、γ−クロロプロピル基、γ−アミノプロピル基など
に置換されたものが例示できる。
【0019】本発明における上記着色膜形成用組成物中
の塩化金酸は、膜中に金微粒子を分散析出させるもので
あり、膜中の金微粒子は膜を明るい色に着色するのに必
要であり、多すぎると膜の耐久性が低下するばかりか、
製造上、膜をコーティングした後に金微粒子を形成させ
るために、微粒子形状が大きくなり望みの発色が得られ
ない。したがって、着色膜形成用組成物全固形分に対す
る塩化金酸の含有量は、Auに換算して、5〜20重量
%であり、好ましくは、7〜18重量%である。
【0020】本発明の着色膜形成用組成物は、上記の、
示差熱分析における最大発熱ピークを170℃〜250
℃に持つ化合物の他に、固形分で表して、上記のように
有機珪素化合物をSiO2に換算して50〜94重量
%、および塩化金酸をAu換算で5〜20重量%含有す
るが、必要に応じて他の成分、有機ジルコニウム化合
物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物、有機
または無機のマンガン化合物、有機または無機のクロム
化合物、有機または無機のニッケル化合物、有機または
無機の銅化合物、有機または無機の亜鉛化合物、有機ま
たは無機のバナジウム化合物、有機または無機のインジ
ウム化合物、有機または無機のビスマス化合物、有機ま
たは無機のアンチモン化合物、有機または無機のスズ化
合物等の金属化合物を含有することができる。
【0021】上記の化合物は、着色膜にそれぞれ酸化ジ
ルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マン
ガン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、
酸化バナジウム、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化
アンチモン、酸化スズの各成分を有せしめるものであ
り、これらは、必要があれば色調調節のために含有させ
ることができる。その量が多すぎると、膜の反射率が高
くなりすぎる。
【0022】また有機または無機のホウ素化合物、有機
または無機のリン化合物も少量含有することができる。
したがって、着色膜形成用組成物全固形分に対する有機
ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機チ
タン化合物、有機または無機のマンガン化合物、有機ま
たは無機のクロム化合物、有機または無機のニッケル化
合物、有機または無機の銅化合物、有機または無機の亜
鉛化合物、有機または無機のバナジウム化合物、有機ま
たは無機のインジウム化合物、有機または無機のビスマ
ス化合物、有機または無機のアンチモン化合物、有機ま
たは無機のスズ化合物、有機または無機のホウ素化合
物、および有機または無機のリン化合物等の金属化合物
の含有量は、それぞれZrO2、Al23、TiO2、、
MnO2、Cr23、NiO、CuO、ZnO、V
25、In23、Bi23、Sb25、SnO2、B2
3、およびP25に換算して、それらの合計で、0〜1
0重量%が好ましく、より好ましくは0〜8重量%であ
る。
【0023】酸化ジルコニウムの原料である有機ジルコ
ニウム化合物としては、 テトラメトキシジルコニウ
ム、テトラエトキシジルコウム、テトライソプロポキシ
ジルコニウム、テトラn−プロポキシジルコニウム、テ
トライソプロポキシジルコニウムイソプロパノール錯
体、テトライソブトキシジルコニウム、テトラn−ブト
キシジルコニウム、 テトラsec−ブトキシジルコニウ
ム、テトラt−ブトキシジルコニウムなどが好便に使用
できる。アルコキシ基が、ハロゲン基で置き換わったジ
ルコニウムモノクロリドトリアルコキシド、ジルコニウ
ムジクロリドジアルコキシドなどのジルコニウムハロゲ
ン化物のアルコキシドなどを使用することもできる。ま
た上記のジルコニウムアルコキシドをβ−ケトエステル
化合物でキレート化したジルコニウムアルコキシドも好
適に用いられる。キレート剤としては、アセト酢酸メチ
ル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢
酸ブチルのような、CH3COCH3COOR、(ここで
RはCH3、C25、C37、またはC49) で表され
るアセト酢酸エステルを列挙することができ、これらの
なかでアセト酢酸アルキルエステル、特にアセト酢酸メ
チルおよびアセト酢酸エチルが、比較的安価で入手でき
るので、好適である。
【0024】ジルコニウムアルコキシドのキレート化の
程度は一部または全部でもよいが、モル比で(β−ケト
エステル)/(ジルコニウムアルコキシド)=2の割合
でキレート化させるのが、キレート化合物が安定である
ので好ましい。β−ケトエステル化合物以外のキレート
剤、例えばアセチルアセトンでキレート化したジルコニ
ウムアルコキシドは、アルコール等の溶媒に不溶である
ために沈殿してしまって塗布溶液を調整することができ
ない。さらに上記のジルコニウムアルコキシドのアルコ
キシ基のうちの少なくとも一つが酢酸、プロピオン酸、
ブタン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ステアリン酸な
どの有機酸類で置き換わったアルコキシジルコニウム有
機酸塩類を用いることも可能である。
【0025】酸化アルミニウムの原料である有機アルミ
ニウム化合物としては、アルミニウムアルコキシド、硝
酸アルミニウムや塩化アルミニウム等の無機アルミニウ
ム化合物や有機アルミニウム化合物等が好ましい。
【0026】酸化チタンの原料である有機チタン化合物
としては、チタンアルコキシド、チタンアセチルアセト
ネート、チタンカルボキシレートのようなチタンの有機
化合物が好適に使用される。チタンアルコキシドとして
は、一般にTi(OR)4(Rは炭素数4までのアルキ
ル基)で表わされるが、反応性から考えて、チタンイソ
プロポキシド、チタンブトキシドが望ましい。
【0027】また、チタンの場合にはアセチルアセトネ
ートを用いた方が、その安定性から好ましいことも従来
から知られている。この場合には一般式として、Ti
(OR)mn(m+n=4,n≠0)で表わされるが、
Lがアセチルアセトンである。この場合には、チタンア
ルコキシドをアセチルアセトンによってアセチルアセト
ネート化しても構わないし、市販のチタンアセチルアセ
トネートを使用しても構わない。更には、カルボン酸塩
を使用することもできる。
【0028】本発明の着色膜形成用組成物は、上記各原
料をそれぞれ溶媒に溶解しておき、それらを所定の割合
で混合することにより得られる。合計の溶媒の通常の使
用量は、有機金属化合物と塩化金酸の合計量10重量部
に対して、10〜100重量部である。本発明において
珪素アルコキシドを用いる場合、その加水分解触媒とし
ては、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸類、酢酸、しゅう
酸、蟻酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸など
の有機酸類が用いられる。
【0029】本発明で使用される溶媒は被膜形成方法に
依存する。例えば、グラビアコート法、フレキソ印刷
法、ロールコート法の有機溶剤は蒸発速度の遅い溶媒が
好適である。これは、蒸発速度が速い溶媒では、十分に
レベリングが行われないうちに、溶媒が蒸発してしまう
ためである。溶媒の蒸発速度は、酢酸ブチルのそれを1
00とした相対蒸発速度指数で、一般的に評価されてい
る。この値が40以下の溶媒は、きわめて遅い蒸発速度
をもつ溶媒として分類されており、このような溶媒が、
グラビアコート法、フレキソ印刷法、ロールコート法の
有機溶媒として好ましい。
【0030】例えば、エチルセルソルブ、ブチルセルソ
ルブ、セルソルブアセテート、ジエチレングリコールモ
ノエチルエーテル、ヘキシレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリプロピレングリコール、ジアセトンア
ルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、などが
挙げられる。本発明に使用される着色膜形成用組成物
(コーティング液)の溶媒は、このような溶媒を少なく
とも一種含むことが望ましいが、コーティング液の粘
度、表面張力などを調節するために、上記の溶媒を複数
用いても構わない。また蒸発速度が速くて100を越え
る相対蒸発速度を有する溶媒、例えばメタノール(61
0)、エタノール(340)、n−プロパノール(30
0)、のよな溶媒を、上記の40以下の相対蒸発速度指
数を有する溶媒に添加してもよい。
【0031】本発明の着色膜形成用組成物は、後述のコ
ーティング法により基材上に塗布され、その後、酸化性
雰囲気下で200〜300℃の温度で5〜200分間、
加熱して金微粒子を析出させた後、500〜800℃の
温度で10秒〜5分焼成することにより、厚みが200
nm以下の薄膜が形成される。
【0032】本発明の着色膜形成用組成物を塗布する基
材としては、ガラス基材が好適に使用され、ガラス基材
として透明なソーダライム珪酸塩ガラス組成のガラス板
のほかに、グリーン色に着色されたガラスや、ブロンズ
色に着色されたガラスおよび紫外線吸収能をもったガラ
スを使用してもよい。本発明により得られる着色膜自体
は、あまり大きい紫外線遮蔽性能を有しないので、ガラ
ス基材として、370nmの波長の紫外光の透過率(T
370nm)が10〜50%で、可視光線透過率が70
〜90%、太陽光線透過率が40〜85%であり、厚み
が1.5mm〜5.5mmの自動車用ガラス板が好まし
く用いられる。このように紫外線吸収ガラス板に、本発
明の着色膜形成用組成物をコーティングすることによ
り、高い紫外線吸収能をもった着色ガラス板が得られ
る。
【0033】本発明で使用するコーティング方法として
は、特に限定されるものではないが、例えばスピンコー
ト法、ディップコート法、スプレーコート法、印刷法等
が挙げられる。グラビアコート法、フレキソ印刷法、ロ
ールコート法、スクリーン印刷法などの印刷法は、生産
性が高くコーティング液組成物の使用効率が良いので好
適である。
【0034】上記金微粒子の着色の要因となる表面プラ
ズモン吸収は、マトリックスの屈折率の値によって吸収
域がシフトする。また最大発熱ピークを170℃〜25
0℃に持つ化合物添加剤の濃度を変えることによって
も、吸収ピークを調節することも可能であり、それらに
より透過色調を調節することができる。
【0035】したがって、本発明の着色膜形成用組成物
を、塗布・加熱して得られる着色ガラス物品、特に自動
車窓、建築用窓等に用いられる着色膜被覆ガラス板は、
Lab表色系で表してaが−4〜20、bが−15〜5
の範囲の色度をもつ透過色調を有することが好ましい。
より好ましい透過光の色度はaが−2〜15、bが−1
2〜3の範囲である。またこの着色ガラス物品は、60
〜90の透過光の明度(L)を有することが好ましい。
【0036】本発明の着色膜形成用組成物を塗布・加熱
して得られる着色膜の厚みは、あまり薄すぎると十分な
着色が得られず、逆にあまり厚すぎると膜強度が低下し
たり、クラックが入ったりするので、30〜200nm
が好ましく、より好ましくは40〜180nmである。
さらに好ましくは50〜160nmである。また、着色
膜の屈折率は1.40〜1.70の屈折率を有する。
【0037】
【発明の実施の形態】次に、本発明を具体的な実施例に
より更に詳細に説明する。尚、本発明における光学評価
において、発明の効果を明らかにするため、焼成後の膜
表面を拭布で拭く前、および拭いた後に、それぞれ光学
測定することにより金微粒子の表面析出状況を評価し
た。表中にあるΔYaは、膜表面を拭いた後(それによ
り表面に析出することがある金微粒子が除去される)の
可視光線透過率の値(Ya)と、膜表面を拭く前の可視
光線透過率の値(Y1)の差(Ya−Y1)の値を表して
おり、ΔYaが小さいほど、金微粒子の表面析出量が小
さくて本発明の効果が大きいことを示している。
【0038】[実施例1]エチルシリケート(コルコー
ト社製「エチルシリケート40」)50gに、0.1N
塩酸6gとエチルセロソルブ44gを加え、室温で2時
間攪拌した。この溶液を酸化珪素原液1とした。これは
SiO2 固形分を20%含有している。
【0039】塩化金酸4水和物を10重量%の濃度にな
るようにエチルセロソルブに溶かして塩化金酸原液とし
た。
【0040】上記のように作製した酸化珪素原液1を
2.5g取り、これにエチルセロソルブ5.9g、トリ
メチロールプロパンアクリレートエチレンオキサイド6
付加物0.1gを加えた後、最後に塩化金酸原液を1.
5g加えて混合撹拌し、コーティング液1を作製した。
【0041】上記作製したコーティング液1を、厚み
3.4mmで10cm×10cmの寸法の透明ガラス基
板(非着色)上に回転数1000rpm で15秒間スピン
コーティングを行った。風乾後250℃で2時間加熱処
理し、金微粒子を析出させた。さらに720℃で105
秒焼成を行い、着色膜被覆ガラス板を得た。
【0042】着色膜被覆ガラス板について、着色膜の屈
折率・膜厚、可視光線透過率(Ya)、膜表面を拭く前
と拭いた後の可視光線透過率の差(ΔYa)、透過色
調、透過色度(a,b)・明度(L)、ガラス面側から
光を投射させたときの、可視光線反射率(「ガラス面反
射率」)および反射色度・明度(「ガラス面反射色度・
明度」)、ならびに、膜面側から光を投射させたとき
の、可視光線反射率(膜面反射率)および反射色度・明
度(「膜面反射色度・明度」)の各特性を表1〜3に示
す。
【0043】なお、実施例2,3および実施例12、1
3(表7)でも同様に適用されるが、表1の「膜組成」
の欄の「EO6」はトリメチロールプロパンアクリレー
トエチレンオキサイド6付加物を指し、その値(1.0
重量%)はコーティング液全量(溶媒を含む)の重量に
対する割合である。また焼成された膜中にはトリメチロ
ールプロパンアクリレートエチレンオキサイド6付加物
はもはや含まれていない。また表1中、屈折率は金微粒
子を除く膜組成の値を示す(表4,7でも同じ)。
【0044】得られた着色膜は耐薬品性、耐摩耗性につ
いて良好な結果を示した。また表のΔYaは0.3と小
さく、添加剤であるトリメチロールプロパンアクリレー
トエチレンオキサイド6付加物を加えることにより、金
微粒子の表面析出は防止されていることがわかる。ま
た、肉眼検査でも金微粒子の表面析出を検出できなかっ
た。
【0045】[実施例2]実施例1のコーティング液1
の作製での、エチルセロソルブの使用量を5.85g
に、そしてトリメチロールプロパンアクリレートエチレ
ンオキサイド6付加物の使用量を0.15gにそれぞれ
変更して、コーティング液2を作製した以外は、実施例
1と同様に行った。
【0046】上記作製したコーティング液2を、厚み
3.4mmで20cm×40cmの寸法の透明ガラス基
板(非着色)上に回転数1000rpm で10秒間スピン
コーティングを行った。風乾後250℃で2時間熱処理
し、金微粒子を析出させた。さらに720℃の電気炉で
120秒保持した後に引き上げてプレス成形を行い、そ
の直後に風冷強化して、着色膜をもつ自動車用曲げ強化
ガラス板を得た。曲げ形状も設計通りの形が得られ、透
視歪みも観察されなかった。
【0047】着色膜の可視光線透過率、可視光線反射
率、透過色調等の特性を表1〜3に示す。得られた着色
膜は耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示した。
【0048】また表のΔYaは0.13と小さく、添加
剤であるトリメチロールプロパンアクリレートエチレン
オキサイド6付加物を加えることにより、金微粒子の表
面析出は防止されていることがわかる。また、肉眼検査
でも金微粒子の表面析出を検出できなかった。なお、本
実施例は実施例1に比べて、透過色調は青色にシフトし
ているが、金微粒子の粒径あるいは粒子形状が、変化し
たためと考えられる。
【0049】[実施例3]実施例1のコーティング液1
の作製での、トリメチロールプロパンアクリレートエチ
レンオキサイド6付加物を0.20g、エチルセロソル
ブを5.80gにしてコーティング液3を作製した以外
は、実施例1と同様に行った。
【0050】上記作製したコーティング液3を用いて、
実施例1におけると同種の基板を用い、実施例1におけ
ると同じ塗布条件、および加熱・焼成条件で処理して着
色膜をもつガラス板を得た。そして実施例1と同じ条件
で測定した光学特性についてを測定しその結果を表1〜
3に示す。
【0051】得られた着色膜は耐薬品性、耐摩耗性につ
いて良好な結果を示した。また添加剤を加えることによ
り金微粒子の表面析出は防止され、肉眼検査等では金微
粒子の表面析出を検出できなかった。なお、本実施例は
実施例1に比べて、透過色調は青色にシフトしている
が、金微粒子の粒径あるいは粒子形状が、変化したため
と考えられる。
【0052】[実施例4〜6] <コーティング液4〜6の調製>攪拌しているチタンイ
ソプロポキシド1モルに、アセチルアセトン2モルを滴
下ロートで滴下した。この溶液を酸化チタン原液とし
た。これはTiO2 固形分を16.5%含有している。
【0053】酸化珪素原液1を1.99g、酸化チタン
原液0.25g、および酸化セリウム原液0.26gを
混合し、これにエチルセロソルブを5.50g加え最後
に塩化金酸原液を2.0g加え、これらを混合撹拌しコ
ーティング液4を作製した(実施例4)。
【0054】硝酸セリウム6水和物がCeO2 固形分で
23.2%になるようにエチルソロソルブを加え90℃
に加熱撹拌することで、酸化セリウム原液を得た。
【0055】酸化珪素原液1を2.15g、酸化チタン
原液0.17g、および酸化セリウム原液0.18gを
混合し、これにエチルセロソルブを5.50g加え最後
に塩化金酸原液2.0gを加えて混合撹拌し、コーティ
ング液5を作製した(実施例5)。
【0056】酸化珪素原液1を2.25g、酸化チタン
原液0.12g、および酸化セリウム原液0.13gを
混合し、これにエチルセロソルブを5.50g加え最後
に塩化金酸原液2.0gを加えて混合撹拌し、コーティ
ング液6を作製した(実施例6)。
【0057】上記作製したコーティング液4〜6のそれ
ぞれを、厚み3.4mmで10cm×10cmの寸法の
透明ガラス基板上に回転数1000rpmで15秒間、
それぞれスピンコーティングを行った。そしてそれぞれ
について、風乾後250℃で2時間熱処理し、金微粒子
を析出させ、さらに720℃で120秒焼成を行い、3
種の着色膜被覆ガラス板を得た。コーティング液4,
5,および6を用いて得られた着色膜被覆ガラス板をそ
れぞれ実施例4,5および6とする。各着色膜被覆ガラ
ス板の可視光線透過率、可視光線反射率、透過色調等の
特性を表1〜3に示す。
【0058】得られた着色膜は、耐薬品性、耐摩耗性に
ついて良好な結果を示した。また、いずれの実施例につ
いても、添加剤である硝酸セリウムを加えることにより
金微粒子の表面析出は防止され、肉眼検査等では金微粒
子の表面析出を検出できなかった。なお、硝酸セリウム
を添加することによりセリウムの酸化物が、CeO2に
換算して、膜の中に、表1に示す量残っていることを示
している。
【0059】[実施例7]塩化鉄6水和物100gを1
95.7gのエチルセロソルブに溶かしたものを10重
量%酸化鉄原液とした。
【0060】酸化珪素原液1を2.38g、および酸化
鉄原液0.23gを混合し、これにエチルセロソルブ
5.39g加え、最後に塩化金酸原液2.0gをとり混
合撹拌しコーティング液7を作製した。
【0061】上記作製したコーティング液7を、厚み
3.4mmで10cm×10cmの寸法の透明ガラス基
板上に回転数1000rpmで15秒間スピンコーティ
ングを行った。風乾後250℃で2時間熱処理し、金微
粒子を析出させた。さらに720℃で120秒焼成を行
い、着色膜をもつガラス板を得た。着色膜の可視光線透
過率、可視光線反射率、透過色調等の特性を表1〜3に
示す。
【0062】得られた着色膜は、耐薬品性、耐摩耗性に
ついて良好な結果を示した。また添加剤である塩化鉄6
水和物を加えることにより、金微粒子の表面析出は防止
され、肉眼検査等では識別できなかった。なお、実施例
8,9についても同様であるが、塩化鉄を添加すること
により鉄の酸化物が、Fe23に換算して、膜の中に、
表1に示す量残っていることを示している。
【0063】[実施例8]酸化珪素原液1を2.43
g、酸化鉄原液0.13gを混合し、エチルセロソルブ
5.44g加え最後に塩化金酸原液2.0gをとり混合
撹拌しコーティング液8を作製した。
【0064】上記作製したコーティング液8を用いて、
実施例7におけると同種の基板を用い、実施例7におけ
ると同じ塗布条件、および加熱・焼成条件で着色膜をも
つガラス板を得た。着色膜の可視光線透過率、可視光線
反射率、透過色調等の特性を表1〜3に示す。
【0065】得られた着色膜は、耐薬品性、耐摩耗性に
ついて良好な結果を示した。また添加剤である塩化鉄6
水和物を加えることにより、金微粒子の表面析出は防止
され、肉眼検査等では金微粒子の表面析出を検出できな
かった。
【0066】[実施例9]実施例8に使用したコーティ
ング液8を、厚み3.4mmで10cm×10cmの寸
法のUVカットグリーンガラス基板(可視透過率Ya=
73.1%、日射透過率Tg=48.9%、可視光反射
率rg=6.6%、、透過色調;緑、Lab表色系の色
度で表して、透過光色度a=−7.1、b=2.8、L
=86、反射光色度a=−1.7、b=−0.1)上
に、回転数1000rpmで10秒間スピンコーティン
グを行った。風乾後250℃で2時間熱処理し、金微粒
子を析出させた。さらに720℃で120秒焼成を行
い、着色膜をもつガラス板を得た。着色膜の可視光線透
過率、可視光線反射率、透過色調等の特性を表1〜3に
示す。
【0067】得られた着色膜は、耐薬品性、耐摩耗性に
ついて良好な結果を示した。また添加剤である塩化鉄6
水和物を加えることにより、金微粒子の表面析出は防止
され、肉眼検査等では金微粒子の表面析出を検出できな
かった。
【0068】
【表1】 ================================== 実 膜組成(重量%) 施 マトリックス 添加剤量 屈折率 膜厚 例 −−−−−−−− −−−−−−−−−−−− No (硝酸セリウム) (塩化鉄) SiO2 TiO2 Au CeO2 Fe2O3 EO6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 87.5 0.0 12.5 −− −− 1.0wt% 1.46 125nm 2 87.5 0.0 12.5 −− −− 1.5wt% 1.46 125nm 3 87.5 0.0 12.5 −− −− 2.0wt% 1.46 127nm 4 67.0 6.85 16.0 10.2 −− −− 1.54 110nm 5 72.1 4.79 16.0 7.1 −− −− 1.51 105nm 6 75.7 3.35 16.0 5.0 −− −− 1.50 108nm 7 80.1 0.0 16.1 −− 3.9 −− 1.49 85nm 8 81.7 0.0 16.1 −− 2.2 −− 1.47 90nm 9 81.7 0.0 16.1 −− 2.2 −− 1.47 87nm ==================================
【0069】
【表2】 ================================== 実施例 Ya ΔYa 透過色調 透過色度・明度 ガラス面反射率 番号 (%) (a/b/L) (%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 79.9 0.3 ワインレット゛ 6.4/-1.6/88.8 7.98 2 78.0 0.13 ピンク 7.4/-3.3/87.7 8.08 3 76.9 0.24 ピンク 6.3/-4.1/87.3 7.96 4 74.2 -0.02 ピンク 6.1/-4.6/85.8 10.44 5 77.4 0.03 ピンク 5.7/-3.9/87.6 9.39 6 76.7 0.06 ピンク 6.9/-4.7/87.1 9.23 7 74.1 0.3 ピンク 8.9/-4.3/85.4 8.8 8 74.0 0.3 ピンク 9.3/-4.0/85.2 8.6 9 64.3 0.2 中性灰色 0.1/ 0.5/80.2 6.7 ==================================
【0070】
【表3】 =========================== ガラス面反射 膜面反射 実施例 色度・明度 膜面反射率 色度・明度 番号 (a/b/L) (%) (a/b/L) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 0.2/0.3/28.2 6.88 3.7/-0.7/25.8 2 -0.4/0.5/28.4 5.95 5.5/-2.6/23.9 3 -0.5/0.5/28.2 5.49 4.9/-4.2/23.2 4 3.6/1.5/30.7 10.4 2.5/ 3.4/31.8 5 3.1/1.2/29.4 9.39 2.6/ 2.6/30.1 6 3.7/1.6/28.6 9.23 2.3/ 3.3/29.8 7 1.5/1.5/29.3 7.9 4.7/ 1.8/27.3 8 1.7/1.3/29.0 7.8 4.4/ 1.5/27.3 9 -0.8/1.0/26.0 6.2 1.9/ 1.7/24.6 ===========================
【0071】[比較例1]実施例1で使用した酸化珪素
原液1を2.5g取り、これにエチルセロソルブ5.5
gを加えた後、最後に塩化金酸原液を2g加えて混合撹
拌し、コーティング液9を作製した。後は実施例1と同
様にコーティング、乾燥および焼成を行い着色膜被覆ガ
ラス板を得た。着色膜被覆ガラス板の可視光線透過率、
可視光線反射率、透過色調等の特性を表4〜6に示す。
なお表4で、屈折率は金微粒子を除く膜組成の値を示
す。
【0072】得られた着色膜は本実施例の添加剤等を加
えた系に比較して、△Yaは1.41と大きく、金微粒
子の表面析出が明らかに多くなり、肉眼で観察しても金
微粒子が膜表面に浮いているのが識別できた。
【0073】[比較例2]比較例1において溶媒として
エチルセロソルブのかわりに1−エトキシ−2−プロパ
ノールを用いた以外は同様に行った。得られた着色膜
は、本実施例の添加剤等を加えた系に比較して、金微粒
子の表面析出が明らかに多くなり、肉眼で観察しても金
微粒子が膜表面に浮いているのが識別できた。
【0074】[比較例3]比較例1において溶媒として
エチルセルソロブのかわりに酢酸メチルセロソルブを用
いた以外は同様に行った。得られた着色膜は、本実施例
の添加剤等を加えた系に比較して、金微粒子の表面析出
が明らかに多くなり、肉眼で観察しても金微粒子が膜表
面に浮いているのが識別できた。
【0075】
【表4】 =========================== 比較例 膜組成(重量%) 番号 SiO2 Au 屈折率 膜厚 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 84 16 1.46 115nm 2 84 16 1.46 130nm 3 84 16 1.46 120nm ===========================
【0076】
【表5】 ================================= 比較例 Ya ΔYa 透過色調 透過色度・明度 ガラス面反射率 番号 (%) (a/b/L) (%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 76.2 1.41 ヒ゜ンク 8.2/-2.5/86.5 7.3 2 75.2 0.93 ヒ゜ンク 8.9/-2.3/85.9 7.5 3 77.7 1.13 ヒ゜ンク 7.0/-1.9/87.5 7.8 =================================
【0077】
【表6】 ============================ ガラス面反射 膜面反射 比較例 色度・明度 膜面反射率 色度・明度 番号 (a/b/L) (%) (a/b/L) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 1.2/0.9/26.9 6.8 2.7/0.1/26.8 2 1.5/1.2/27.3 6.9 2.5/0.5/25.9 3 1.0/1.3/28.5 7.2 2.2/0.8/26.5 ============================
【0078】[実施例10〜11] <コーティング液10,11の調製>塩化コバルト6水
和物10gを40gのエチルセロソルブに溶かしたもの
を酸化コバルト原液とした。エチルシリケート25g
に、1N塩酸4.5g、エチルセロソルブ20.5gを
加え、室温で2時間撹拌した。さらにこの溶液にメチル
トリエトキシシラン5.85g、エチルセロソルブ5.
14g、0.1N塩酸0.70g加えて2時間撹拌し
た。この溶液を酸化珪素原液2とした。これはSiO2
固形分を19.4%含有している。
【0079】上記のように作製した酸化珪素原液2を1
5.8g取り、これに酸化コバルト原液3.5g、エチ
ルセロソルブ12.1g加えた後、最後に塩化金酸原液
10g加えて混合撹拌し、コーティング液10(実施例
10)を作製した。
【0080】上記酸化珪素原液2を15.5g取り、こ
れに酸化コバルト原液3.0g、エチルセロソルブ1
1.5g加えた後、最後に塩化金酸原液10g加えて混
合撹拌し、コーティング液11(実施例11)を作製し
た。
【0081】<塗布、加熱、測定>上記作製したコーテ
ィング液10および11を、厚み3.4mmで10cm
×10cmの寸法の透明ガラス基板上にグラビアコーテ
ィング装置を用いてそれぞれコーティングを行った。風
乾後250℃で2時間熱処理し、金微粒子を析出させ
た。さらに720℃で130秒焼成を行い、着色膜をも
つガラス板を得た。コーティング液10および11を用
いて得られた着色膜被覆ガラス板を、それぞれ実施例1
0および11とする。着色膜被覆ガラス板の可視光線透
過率、可視光線反射率、透過色調等の特性を表7〜9に
示す。
【0082】得られた着色膜は、実施例10および11
ともに、耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示し
た。また添加剤である塩化コバルト6水和物を加えるこ
とにより金微粒子の表面析出は防止され、肉眼検査等で
は金微粒子の表面析出を検出できなかった。さらに塩化
コバルト6水和物を加えることで、色調に青みを加える
ことができた。なお、塩化コバルトを添加することによ
りコバルトの酸化物が、CoOに換算して、膜の中に、
表7に示す量残っていることを示している。
【0083】[実施例12〜13]ガラス基材として、
厚み2.1mmで10cm×10cmの寸法の透明ガラ
ス基板を準備する。 <コーティング液12,13の調製>実施例1で使用し
たコーティング液1をコーティング液12とする(実施
例12)。実施例10で調製した酸化珪素原液2を2.
58g取り、これにジアセトンアルコール、トリメチロ
ールプロパンアクリレートエチレンオキサイド6付加物
0.1gを加えた後、最後に塩化金酸原液を1.5g加
えて混合撹拌し、コーティング液13を作製した(実施
例13)。
【0084】<塗布、加熱、加工、測定>上記作製した
コーティング液12および13を、上記透明ガラス基板
上に1500rpmで15秒間、それぞれ別にスピンコ
ーティングを行った。風乾後、250℃で2時間熱処理
し、金微粒子を析出させた。さらにこれらを加熱炉の中
に入れて2時間で610℃まで昇温してそのまま10分
間保持した後、自然冷却して着色膜を持つガラス板2種
を得た。
【0085】この着色膜ガラス板と上記透明ガラス板と
を着色膜が内側になるようにその間に厚み0.8mmの
ポリビニルブチラール中間膜を挟んでオートクレーブ中
で250℃で15分間加熱加圧して、着色膜を中間に有
する合わせガラス板2種を得た。コーティング液12お
よび13を用いて得られた着色膜被覆合わせガラス板を
それぞれ実施例12および13とする。着色膜被覆合わ
せガラス板の可視光線透過率、可視光線反射率、透過色
調等の特性を表7〜9に示す。
【0086】得られた着色膜は、実施例12,13と
も、耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示した。
なお表8,9中の「ガラス面」の反射率、反射色度の欄
には、合わせガラスの両表面のうち着色膜付きのガラス
板のガラス外面側から光を入射させたときに全面から反
射する光についての測定値を表しており、「膜面」の反
射率、反射色度の欄には合わせガラス板の他の表面、即
ち着色膜なしのガラス板の外面側から光を入射させたと
きに全面から反射する光についての測定値を表してい
る。
【0087】
【表7】 ================================= 実施例 膜組成(重量%) 番号 マトリックス 添加剤量 屈折率 膜厚 −−−−−−− −−−−−− (塩化コハ゛ルト) SiO2 Au CoO EO6 (nm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−− 10 83.6 12.9 3.5 − 1.48 120 11 81.9 12.9 5.1 − 1.49 120 12 87.5 12.5 − 0.1wt% 1.46 100 13 87.5 12.5 − 0.1wt% 1.46 110 =================================
【0088】
【表8】 ================================= 実施例 Ya ΔYa 透過色調 透過色度・明度 ガラス面反射率 番号 (%) (a/b/L) (%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 10 68.4 0.1 赤紫 7.6/-7.6/82.4 8.7 11 67.0 0.05 赤紫 8.2/-8.4/81.5 9.0 12 76.9 0.01 ワインレット゛ 4.5/-1.5/87.9 7.8 13 74.2 -0.03 ワインレット゛ 3.8/-0.8/88.5 7.5 =================================
【0089】
【表9】 =========================== ガラス面反射 膜面反射 実施例 色度・明度 膜面反射率 色度・明度 番号 (a/b/L) (%) (a/b/L) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 10 3.5/1.3/26.2 8.6 3.7/1.4/25.8 11 4.1/1.3/25.4 7.6 7.5/1.0/23.9 12 0.8/0.6/28.2 7.9 0.9/0.3/28.2 13 0.7/0.5/30.7 7.5 1.2/0.5/31.8 ===========================
【0090】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、170℃
から250℃の間に最大発熱ピークを有する、有機また
は無機添加剤を着色膜形成用組成物に微量加えることに
よって、金微粒子の生成を制御でき、金微粒子が膜表面
に析出してくるのを防止できる。さらに添加量を調節す
ることにより、微妙な色調調節も可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 浩一 大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本 板硝子株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも有機珪素化合物および塩化金
    酸を含有する着色膜形成用組成物において、示差熱分析
    における最大発熱ピークを170℃〜250℃に持つ少
    なくとも1種の化合物を添加することを特徴とする着色
    膜形成用組成物。
  2. 【請求項2】 前記添加化合物は、分子内にエーテル結
    合と炭素−炭素二重結合を有する有機化合物である請求
    項1記載の着色膜形成用組成物。
  3. 【請求項3】 前記添加化合物が、着色膜形成用組成物
    全量に対して0.5〜5重量%含有される請求項2記載
    の着色膜形成用組成物。
  4. 【請求項4】 前記添加化合物は、分子内に6個のエチ
    レンオキシドユニットを有するトリメチロールプロパン
    トリアクリレートである請求項2または3記載の着色膜
    形成用組成物。
  5. 【請求項5】 前記添加化合物は、硝酸セリウム、塩化
    コバルト、硝酸鉄および塩化鉄からなる群より選ばれた
    少なくとも1種の無機化合物である請求項1記載の着色
    膜形成用組成物。
  6. 【請求項6】 前記添加化合物が、着色膜形成用組成物
    の全固形分に対して0.3〜20重量%含有される請求
    項5記載の着色膜形成用組成物。
  7. 【請求項7】 少なくとも有機珪素化合物および塩化金
    酸を含有する着色膜形成用組成物をガラス基材に塗布
    し、加熱および焼成する着色膜被覆ガラス物品の製造方
    法において、示差熱分析における最大発熱ピークを17
    0℃〜250℃に持つ少なくとも1種の化合物を前記着
    色膜形成用組成物に添加しておくことを特徴とする着色
    膜被覆ガラス物品の製造方法。
JP06116998A 1997-03-14 1998-03-12 着色膜形成用組成物および着色膜被覆ガラス物品の製造方法 Expired - Fee Related JP3870538B2 (ja)

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