JPH10323793A - 9%Cr−1%Mo鋼用の溶接材料及びその溶接方法 - Google Patents
9%Cr−1%Mo鋼用の溶接材料及びその溶接方法Info
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- JPH10323793A JPH10323793A JP9517498A JP9517498A JPH10323793A JP H10323793 A JPH10323793 A JP H10323793A JP 9517498 A JP9517498 A JP 9517498A JP 9517498 A JP9517498 A JP 9517498A JP H10323793 A JPH10323793 A JP H10323793A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 火力発電プラントの再熱蒸気管や管寄せ用の
高温大径厚肉溶接鋼管等として使用される、Nb、Vを
含有する9%Cr−1%Mo鋼において、溶接金属部、
溶接熱影響部のクリープ破断強度を母材並に向上させる
ことを課題とする。 【解決手段】 部材の溶接において、重量%で、C:
0.2%以下、Si:0.9%以下、Mn:1.5%以
下、Cr:8〜13%、Mo:0.05〜1.2%、
W:0.3〜3%、かつ、Mo等量(Mo+1/2
W):0.5〜2%を含有する溶接金属となる溶接材料
を用いて溶接し、その後溶接部部材全体もしくは溶接部
近傍を焼きならし及び焼き戻しの熱処理を行う。また、
この熱処理の後に、更に応力除去焼鈍を目的とする熱処
理を行うこともできる。
高温大径厚肉溶接鋼管等として使用される、Nb、Vを
含有する9%Cr−1%Mo鋼において、溶接金属部、
溶接熱影響部のクリープ破断強度を母材並に向上させる
ことを課題とする。 【解決手段】 部材の溶接において、重量%で、C:
0.2%以下、Si:0.9%以下、Mn:1.5%以
下、Cr:8〜13%、Mo:0.05〜1.2%、
W:0.3〜3%、かつ、Mo等量(Mo+1/2
W):0.5〜2%を含有する溶接金属となる溶接材料
を用いて溶接し、その後溶接部部材全体もしくは溶接部
近傍を焼きならし及び焼き戻しの熱処理を行う。また、
この熱処理の後に、更に応力除去焼鈍を目的とする熱処
理を行うこともできる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力発電プラント
の再熱蒸気管若しくは管寄せ等としての高温大径溶接鋼
管又は主蒸気管等としての高温配管に使用される、9%
Cr−1%Mo鋼の溶接部のクリープ破断特性を改善す
るための溶接材料及び溶接方法に関する。なおここで、
9%Cr−1%Mo鋼とは、特にクリープ破断強度を含
む高温強度の改善を図った、Nb、Vを含有する9%C
r−1%Mo鋼である。また、溶接部とは、9%Cr−
1%Mo鋼の溶接鋼管製造工程としての溶接、鋼板同士
の溶接、鋼管同士の溶接、鋼板と鋼管の溶接、その他の
溶接を含む。
の再熱蒸気管若しくは管寄せ等としての高温大径溶接鋼
管又は主蒸気管等としての高温配管に使用される、9%
Cr−1%Mo鋼の溶接部のクリープ破断特性を改善す
るための溶接材料及び溶接方法に関する。なおここで、
9%Cr−1%Mo鋼とは、特にクリープ破断強度を含
む高温強度の改善を図った、Nb、Vを含有する9%C
r−1%Mo鋼である。また、溶接部とは、9%Cr−
1%Mo鋼の溶接鋼管製造工程としての溶接、鋼板同士
の溶接、鋼管同士の溶接、鋼板と鋼管の溶接、その他の
溶接を含む。
【0002】
【従来の技術】火力発電プラントの再熱蒸気管等は、高
温・高圧条件の下で使用されるため、これまで、2.2
5%Cr−1%Mo鋼に代表されるCr−Mo鋼や18
−8系オーステナイト系ステンレス鋼等の耐熱鋼の中か
ら、目的に応じて好ましい材料が選択されてきた。
温・高圧条件の下で使用されるため、これまで、2.2
5%Cr−1%Mo鋼に代表されるCr−Mo鋼や18
−8系オーステナイト系ステンレス鋼等の耐熱鋼の中か
ら、目的に応じて好ましい材料が選択されてきた。
【0003】例えば、2.25%Cr−1%Mo鋼は、
JIS G3458 「配管用合金鋼鋼管」の規格では
STPA24として、またJIS G4109 「ボイ
ラ及び圧力容器用クロムモリブデン鋼鋼板」の規格では
SCMV4として規格化されている。この鋼は優れた経
済性のみならず溶接性、信頼性も高く、豊富な実績を有
している。
JIS G3458 「配管用合金鋼鋼管」の規格では
STPA24として、またJIS G4109 「ボイ
ラ及び圧力容器用クロムモリブデン鋼鋼板」の規格では
SCMV4として規格化されている。この鋼は優れた経
済性のみならず溶接性、信頼性も高く、豊富な実績を有
している。
【0004】しかし、クリープ強度を含めた高温強度は
必ずしも十分ではなく、また、Cr量が低いため、耐酸
化性あるいは耐水蒸気酸化性の点では十分とは言えず、
使用温度としては、550℃が実質的な上限温度となっ
ている。
必ずしも十分ではなく、また、Cr量が低いため、耐酸
化性あるいは耐水蒸気酸化性の点では十分とは言えず、
使用温度としては、550℃が実質的な上限温度となっ
ている。
【0005】一方、オーステナイト系の耐熱鋼である1
8−8系ステンレス鋼は、600℃以上の温度において
も高い高温強度を有し、JIS G3463 「ボイラ
・熱交換器用ステンレス鋼鋼管」の規格ではSUS30
4TBとして規格化されている。
8−8系ステンレス鋼は、600℃以上の温度において
も高い高温強度を有し、JIS G3463 「ボイラ
・熱交換器用ステンレス鋼鋼管」の規格ではSUS30
4TBとして規格化されている。
【0006】オーステナイト系ステンレス鋼は、溶接
性、耐酸化性、耐水蒸気酸化性も良好であり、さらに高
温において長時間曝された後も高い靱性を有するため、
使い易い材料とされておりこの鋼も実績は豊富である。
性、耐酸化性、耐水蒸気酸化性も良好であり、さらに高
温において長時間曝された後も高い靱性を有するため、
使い易い材料とされておりこの鋼も実績は豊富である。
【0007】しかし、オーステナイト系ステンレス鋼は
熱膨張係数が大きいこと、応力腐食割れ感受性がCr−
Mo鋼のようなフェライト系の耐熱鋼に比較して高いこ
と、また、材料価格が高価であること等の欠点を有して
いる。
熱膨張係数が大きいこと、応力腐食割れ感受性がCr−
Mo鋼のようなフェライト系の耐熱鋼に比較して高いこ
と、また、材料価格が高価であること等の欠点を有して
いる。
【0008】こうした既存の材料の欠点を解決するため
に、高温強度を向上させる目的でNb、Vを含有したフ
ェライト系の材料である9%Cr−1%Mo鋼が開発さ
れている。この鋼は、600℃においてもオーステナイ
ト系ステンレス鋼に匹敵する高温強度を有するととも
に、熱膨張係数が小さい、耐力が高い、応力腐食割れが
起きにくい、耐酸化性に優れる等の長所を有する。この
9%Cr−1%Mo鋼は、既にASTM規格 A213
T91/P91あるいはA387−91として規格化
され、経済的な材料として普及しつつある。
に、高温強度を向上させる目的でNb、Vを含有したフ
ェライト系の材料である9%Cr−1%Mo鋼が開発さ
れている。この鋼は、600℃においてもオーステナイ
ト系ステンレス鋼に匹敵する高温強度を有するととも
に、熱膨張係数が小さい、耐力が高い、応力腐食割れが
起きにくい、耐酸化性に優れる等の長所を有する。この
9%Cr−1%Mo鋼は、既にASTM規格 A213
T91/P91あるいはA387−91として規格化
され、経済的な材料として普及しつつある。
【0009】しかしながら、9%Cr−1%Mo鋼は、
溶接した場合、溶接熱影響部に軟化を生ずる。このため
溶接継手部のクリープ破断試験を実施すると、実際の使
用環境に近い高温長時間側の試験条件では、溶接熱影響
部の軟化域で破断が起こり、溶接継手部のクリープ破断
強度は母材のそれと比較して低下することが知られてい
る。
溶接した場合、溶接熱影響部に軟化を生ずる。このため
溶接継手部のクリープ破断試験を実施すると、実際の使
用環境に近い高温長時間側の試験条件では、溶接熱影響
部の軟化域で破断が起こり、溶接継手部のクリープ破断
強度は母材のそれと比較して低下することが知られてい
る。
【0010】特に、火力発電プラントの再熱蒸気管や管
寄せ等として使用される高温大径厚肉溶接鋼管等では、
縦シーム溶接部が存在し、溶接継手部のクリープ破断強
度の低下は特に問題となる。また、鋼管の周溶接部や配
管同士の溶接部においても、溶接継手のクリープ破断強
度が問題となる。
寄せ等として使用される高温大径厚肉溶接鋼管等では、
縦シーム溶接部が存在し、溶接継手部のクリープ破断強
度の低下は特に問題となる。また、鋼管の周溶接部や配
管同士の溶接部においても、溶接継手のクリープ破断強
度が問題となる。
【0011】したがって、溶接部を含む構造物を設計す
る際には、溶接継手部のクリープ破断強度の低下を考慮
して材料全体を厚肉化せざるを得ず、Nb、Vを含有す
る9%Cr−1%Mo鋼自体の優れたクリープ破断強度
そのものを十分に生かし切れない。
る際には、溶接継手部のクリープ破断強度の低下を考慮
して材料全体を厚肉化せざるを得ず、Nb、Vを含有す
る9%Cr−1%Mo鋼自体の優れたクリープ破断強度
そのものを十分に生かし切れない。
【0012】このため、Cr−Mo鋼の溶接熱影響部の
軟化の発生を防止する発明がいくつかなされているが、
その多くは熱処理方法による改善である。例えば、特公
平6−92616号公報は、変態点以上の局部加熱を伴
う溶接や熱間曲げ加工が実施されるCr−Mo鋼におい
て、焼きならし後の焼き戻し処理温度を、材料のA1変
態点よりも150℃低い温度以下で行い、溶接若しくは
熱間加工後に、更に上記変態点より100℃低い温度以
上で後熱処理する方法に関するものである。
軟化の発生を防止する発明がいくつかなされているが、
その多くは熱処理方法による改善である。例えば、特公
平6−92616号公報は、変態点以上の局部加熱を伴
う溶接や熱間曲げ加工が実施されるCr−Mo鋼におい
て、焼きならし後の焼き戻し処理温度を、材料のA1変
態点よりも150℃低い温度以下で行い、溶接若しくは
熱間加工後に、更に上記変態点より100℃低い温度以
上で後熱処理する方法に関するものである。
【0013】しかし、この発明においては、溶接熱影響
部において顕著に出現する局部軟化は改善されるもの
の、溶接熱影響部の硬さは依然として母材の鋼よりも低
く、溶接継手部のクリープ破断強度は母材の水準には至
らないものと推察される。
部において顕著に出現する局部軟化は改善されるもの
の、溶接熱影響部の硬さは依然として母材の鋼よりも低
く、溶接継手部のクリープ破断強度は母材の水準には至
らないものと推察される。
【0014】また、溶接部熱影響部の軟化を防止して溶
接継手部のクリープ破断強度を向上させる方法として、
特公平7−94070号公報が開示されている。この発
明は、配管同士を溶接した後に、溶接部近傍を焼きなら
し及び焼き戻し処理を行い、溶接した部材の熱影響部に
生ずる軟化部を、応力集中部より離れた位置に移動させ
る方法である。
接継手部のクリープ破断強度を向上させる方法として、
特公平7−94070号公報が開示されている。この発
明は、配管同士を溶接した後に、溶接部近傍を焼きなら
し及び焼き戻し処理を行い、溶接した部材の熱影響部に
生ずる軟化部を、応力集中部より離れた位置に移動させ
る方法である。
【0015】この場合、熱影響部は再度焼きならし−焼
き戻し処理が施されるため、溶接熱影響部の硬さは母材
の鋼の水準にまで回復し、したがってクリープ破断強度
も母材の水準にあることが窺える。
き戻し処理が施されるため、溶接熱影響部の硬さは母材
の鋼の水準にまで回復し、したがってクリープ破断強度
も母材の水準にあることが窺える。
【0016】しかし、溶接継手部には、当然のことなが
ら、母材の鋼と当該溶接熱影響部に加え、溶接金属部が
含まれており、これらが一体となって、所要の特性を有
しなければならない。しかしこれらの発明においては、
溶接金属部についての検討はなされていない。
ら、母材の鋼と当該溶接熱影響部に加え、溶接金属部が
含まれており、これらが一体となって、所要の特性を有
しなければならない。しかしこれらの発明においては、
溶接金属部についての検討はなされていない。
【0017】発明者らは、9%Cr−1%Mo鋼におい
て、溶接熱影響部に生じる軟化も問題であり、その改善
を必要とするが、一方現在使用されている共金系溶接材
料、すなわち母材である鋼の化学成分とほほぼ同様の化
学組成を有する溶接材料で溶接し、溶接継手部のクリー
プ破断試験を実施すると、母材よりも低い破断強度で溶
接金属部が破断し、溶接金属のクリープ破断強度が問題
となることを知見している。
て、溶接熱影響部に生じる軟化も問題であり、その改善
を必要とするが、一方現在使用されている共金系溶接材
料、すなわち母材である鋼の化学成分とほほぼ同様の化
学組成を有する溶接材料で溶接し、溶接継手部のクリー
プ破断試験を実施すると、母材よりも低い破断強度で溶
接金属部が破断し、溶接金属のクリープ破断強度が問題
となることを知見している。
【0018】これは、この9%Cr−1%Mo鋼用の溶
接材料が、溶接後応力除去焼鈍の熱処理のみが施されて
使用されることを前提としたものであり、母材と同様の
熱処理、すなわち焼ならし−焼戻し処理を受けることを
想定して成分設計されたものではないためである。
接材料が、溶接後応力除去焼鈍の熱処理のみが施されて
使用されることを前提としたものであり、母材と同様の
熱処理、すなわち焼ならし−焼戻し処理を受けることを
想定して成分設計されたものではないためである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、火力発電プ
ラントの再熱蒸気管や管寄せ用の高温大径厚肉溶接鋼管
等として使用される、9%Cr−1%Mo鋼において、
溶接継手部のクリープ破断強度を母材並に向上させるこ
と目的として、適切な溶接材料及びそれを用いた溶接方
法・熱処理方法を提供するものである。
ラントの再熱蒸気管や管寄せ用の高温大径厚肉溶接鋼管
等として使用される、9%Cr−1%Mo鋼において、
溶接継手部のクリープ破断強度を母材並に向上させるこ
と目的として、適切な溶接材料及びそれを用いた溶接方
法・熱処理方法を提供するものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】発明者らは、9%Cr−
1%Mo鋼について、溶接材料と溶接熱影響部、及びこ
れらの熱処理方法が溶接継手部のクリープ破断強度に及
ぼす関係について、詳細に検討した結果、Cr:8〜1
3%、Mo:0.05〜1.2%、W:0.3〜3%を
含有し、かつ、Mo当量(Mo+1/2W)が0.5〜
2%の範囲にある溶接金属となる溶接材料にて溶接し、
その後、溶接部全体若しくは溶接部を1000℃以上1
150℃以下の温度で焼ならしを行い、次いで700℃
以上Ac1変態点以下の温度で焼き戻しを行うことによ
り、溶接継手部のクリープ破断強度を母材並に向上させ
ることを見いだし、下記本発明をするに至った。
1%Mo鋼について、溶接材料と溶接熱影響部、及びこ
れらの熱処理方法が溶接継手部のクリープ破断強度に及
ぼす関係について、詳細に検討した結果、Cr:8〜1
3%、Mo:0.05〜1.2%、W:0.3〜3%を
含有し、かつ、Mo当量(Mo+1/2W)が0.5〜
2%の範囲にある溶接金属となる溶接材料にて溶接し、
その後、溶接部全体若しくは溶接部を1000℃以上1
150℃以下の温度で焼ならしを行い、次いで700℃
以上Ac1変態点以下の温度で焼き戻しを行うことによ
り、溶接継手部のクリープ破断強度を母材並に向上させ
ることを見いだし、下記本発明をするに至った。
【0021】第1の発明は、重量%で、C:0.2%以
下、Si:0.9%以下、Mn:1.5%以下、Cr:
8〜13%、Mo:0.05〜1.2%、W:0.3〜
3%、かつ、Mo当量(Mo+1/2W):0.5〜2
%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物元素からな
る溶接金属であることを特徴とする9%Cr−1%Mo
鋼用の溶接材料である。上記溶接材料を用いることで、
母材の鋼と同様の熱処理を受けた後でも、溶接金属部の
クリープ破断強度が母材の鋼以上の水準が得られる。
下、Si:0.9%以下、Mn:1.5%以下、Cr:
8〜13%、Mo:0.05〜1.2%、W:0.3〜
3%、かつ、Mo当量(Mo+1/2W):0.5〜2
%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物元素からな
る溶接金属であることを特徴とする9%Cr−1%Mo
鋼用の溶接材料である。上記溶接材料を用いることで、
母材の鋼と同様の熱処理を受けた後でも、溶接金属部の
クリープ破断強度が母材の鋼以上の水準が得られる。
【0022】第2の発明は、重量%で、C:0.2%以
下、Si:0.9%以下、Mn:1.5%以下、Cr:
8〜13%、Mo:0.05〜1.2%、W:0.3〜
3%、かつ、Mo当量(Mo+1/2W):0.5〜2
%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物元素からな
る溶接金属となる溶接材料を用いて、9%Cr−1%M
o鋼部材を溶接した後に、溶接部材全体若しくは溶接部
近傍を焼きならし及び焼き戻しの熱処理を行うことを特
徴とする9%Cr−1%Mo鋼の溶接方法である。上記
方法により、溶接継手熱影響部の軟化の発生を防止で
き、溶接継手部全体が高いクリープ破断強度を有するこ
とになる。
下、Si:0.9%以下、Mn:1.5%以下、Cr:
8〜13%、Mo:0.05〜1.2%、W:0.3〜
3%、かつ、Mo当量(Mo+1/2W):0.5〜2
%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物元素からな
る溶接金属となる溶接材料を用いて、9%Cr−1%M
o鋼部材を溶接した後に、溶接部材全体若しくは溶接部
近傍を焼きならし及び焼き戻しの熱処理を行うことを特
徴とする9%Cr−1%Mo鋼の溶接方法である。上記
方法により、溶接継手熱影響部の軟化の発生を防止で
き、溶接継手部全体が高いクリープ破断強度を有するこ
とになる。
【0023】第3の発明は、前記熱処理後に、更に応力
除去焼鈍を目的とした熱処理を行うことを特徴とする9
%Cr−1%Mo鋼の溶接方法である。上記方法によ
り、溶接継手部分が、その後冷間加工あるいは温間加工
を受けたり、補修のための溶接を施された場合に生じ
る、残留応力や残留歪みを除去できるので、溶接継手部
の信頼性がより高まる。
除去焼鈍を目的とした熱処理を行うことを特徴とする9
%Cr−1%Mo鋼の溶接方法である。上記方法によ
り、溶接継手部分が、その後冷間加工あるいは温間加工
を受けたり、補修のための溶接を施された場合に生じ
る、残留応力や残留歪みを除去できるので、溶接継手部
の信頼性がより高まる。
【0024】第4の発明は、前記部材の溶接後の熱処理
において、前記焼きならし処理を1000℃以上115
0℃以下、前記焼き戻し処理を700℃以上Ac1変態
点以下の温度で熱処理を行うことを特徴とする9%Cr
−1%Mo鋼の溶接方法である。溶接前の母材と同等の
優れた溶接部のクリープ破断特性を確保するためには、
上記焼きならし温度と、上記焼き戻し温度は望ましい熱
処理温度であるので採用する。
において、前記焼きならし処理を1000℃以上115
0℃以下、前記焼き戻し処理を700℃以上Ac1変態
点以下の温度で熱処理を行うことを特徴とする9%Cr
−1%Mo鋼の溶接方法である。溶接前の母材と同等の
優れた溶接部のクリープ破断特性を確保するためには、
上記焼きならし温度と、上記焼き戻し温度は望ましい熱
処理温度であるので採用する。
【0025】第5の発明は、前記熱処理後において、更
に応力除去焼鈍処理を700℃以上760℃以下の温度
で行うことを特徴とする9%Cr−1%Mo鋼の溶接方
法である。更に、溶接部の信頼性向上を目的とし、冷間
加工等による歪みや溶接残留応力を除去するため上記応
力除去焼鈍処理を採用する。
に応力除去焼鈍処理を700℃以上760℃以下の温度
で行うことを特徴とする9%Cr−1%Mo鋼の溶接方
法である。更に、溶接部の信頼性向上を目的とし、冷間
加工等による歪みや溶接残留応力を除去するため上記応
力除去焼鈍処理を採用する。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の基本となる考え方を以下
に述べる。9%Cr−1%Mo鋼は、C:0.1%、S
i:0.3%、Mn:0.5%、Cr:9%、Mo:1
%、Nb:0.1%、V:0.2%を含有する鋼であ
り、鋼の製造段階においてはNb、Vの炭窒化物を微細
に分散させて、要求される高温強度、クリープ特性を向
上させている。この鋼を溶接すると、溶接の際の熱サイ
クルにより、炭窒化物の凝集粗大化により、溶接熱影響
部の硬さが低下する。
に述べる。9%Cr−1%Mo鋼は、C:0.1%、S
i:0.3%、Mn:0.5%、Cr:9%、Mo:1
%、Nb:0.1%、V:0.2%を含有する鋼であ
り、鋼の製造段階においてはNb、Vの炭窒化物を微細
に分散させて、要求される高温強度、クリープ特性を向
上させている。この鋼を溶接すると、溶接の際の熱サイ
クルにより、炭窒化物の凝集粗大化により、溶接熱影響
部の硬さが低下する。
【0027】従って、まず第1に、溶接熱影響部の軟化
防止については、溶接後に、当該溶接熱影響部を再度焼
ならし処理を行い、凝集粗大化した炭窒化物を再固溶さ
せ、次いで焼戻し処理により再び微細に析出させること
により解決できる。これにより、溶接熱影響部の硬さお
よびクリープ破断強度を母材並に回復させることが可能
であり、その結果溶接熱影響部の性能は母材と同等とな
る。すなわちこの熱処理を溶接部材全体で行うと、熱処
理による軟化域は生成せず、母材および熱影響部の性能
は同等となる。
防止については、溶接後に、当該溶接熱影響部を再度焼
ならし処理を行い、凝集粗大化した炭窒化物を再固溶さ
せ、次いで焼戻し処理により再び微細に析出させること
により解決できる。これにより、溶接熱影響部の硬さお
よびクリープ破断強度を母材並に回復させることが可能
であり、その結果溶接熱影響部の性能は母材と同等とな
る。すなわちこの熱処理を溶接部材全体で行うと、熱処
理による軟化域は生成せず、母材および熱影響部の性能
は同等となる。
【0028】一方、この熱処理を部材全体ではなく溶接
部近傍のみで行った場合は、溶接部の母材および熱影響
部の性能は同等となるものの、溶接部から離れた位置に
熱処理の熱履歴に起因した軟化域が形成される。溶接部
材の構造、形状、および熱処理範囲によって異なるが、
この熱処理による軟化域は、応力集中部から離れた位置
に移動されることにより、構造上問題とならなくするこ
とが可能である。
部近傍のみで行った場合は、溶接部の母材および熱影響
部の性能は同等となるものの、溶接部から離れた位置に
熱処理の熱履歴に起因した軟化域が形成される。溶接部
材の構造、形状、および熱処理範囲によって異なるが、
この熱処理による軟化域は、応力集中部から離れた位置
に移動されることにより、構造上問題とならなくするこ
とが可能である。
【0029】第2は、溶接金属部の性能の改善である。
前記の方法で、溶接熱影響部を母材と同等の水準に回復
させたにしても、9%Cr−1%Mo鋼に、これまで用
いられてきた共金系の溶接材料で溶接した場合には、溶
接部の焼きならし−焼戻し処理を行うと、溶接金属のク
リープ破断強度は母材よりも低下してしまう。
前記の方法で、溶接熱影響部を母材と同等の水準に回復
させたにしても、9%Cr−1%Mo鋼に、これまで用
いられてきた共金系の溶接材料で溶接した場合には、溶
接部の焼きならし−焼戻し処理を行うと、溶接金属のク
リープ破断強度は母材よりも低下してしまう。
【0030】これを改善するには、焼きならし−焼き戻
し処理において、優れた高温強度を有する溶接材料が必
要であるが、一方、高温強度を確保するために、合金成
分を多く含有する溶接材料は、溶接時の高温割れが発生
しやすくなる。これの解決方法としては、溶接材料中の
Cr含有量を溶接割れが起こり難い量に制限して高温強
度を確保するために、Mo及びWの含有が有効である。
すなわち、Cr:8〜13%、Mo:0.05〜1.2
%、W:0.3〜3%、かつ、Mo当量(Mo+1/2
W):0.5〜2%を含有する溶接金属となる溶接材料
を用いて溶接することで、初めて溶接部全体として母材
と同等のクリープ破断が得られることになる。
し処理において、優れた高温強度を有する溶接材料が必
要であるが、一方、高温強度を確保するために、合金成
分を多く含有する溶接材料は、溶接時の高温割れが発生
しやすくなる。これの解決方法としては、溶接材料中の
Cr含有量を溶接割れが起こり難い量に制限して高温強
度を確保するために、Mo及びWの含有が有効である。
すなわち、Cr:8〜13%、Mo:0.05〜1.2
%、W:0.3〜3%、かつ、Mo当量(Mo+1/2
W):0.5〜2%を含有する溶接金属となる溶接材料
を用いて溶接することで、初めて溶接部全体として母材
と同等のクリープ破断が得られることになる。
【0031】以下に、母材の化学成分との関係で溶接金
属部の化学成分の限定した理由を述べる。Cは、強度を
確保するために必要な元素であるが、過剰に含有する
と、溶接金属の靭性を損なうため、その上限を0.2%
とする。
属部の化学成分の限定した理由を述べる。Cは、強度を
確保するために必要な元素であるが、過剰に含有する
と、溶接金属の靭性を損なうため、その上限を0.2%
とする。
【0032】Siは、溶接金属部の強度を向上するとと
もに、脱酸にも寄与するために必要な元素であるが、過
剰に含有すると、溶接金属部の靭性を損なうので、その
上限を0.9%とする。
もに、脱酸にも寄与するために必要な元素であるが、過
剰に含有すると、溶接金属部の靭性を損なうので、その
上限を0.9%とする。
【0033】Mnは、溶接金属部の強度及び靭性を向上
する必須の元素であるが、過剰に含有すると、高温強度
を低下させるので、その上限を1.5%とする。
する必須の元素であるが、過剰に含有すると、高温強度
を低下させるので、その上限を1.5%とする。
【0034】Crは、クリープ強度を含めたクリープ破
断強度を含めた高温強度を高め、また、耐酸化性あるい
は耐水蒸気酸化性の点でも好ましい元素であるが、焼き
ならし−焼き戻し処理を前提とした高温強度の確保の観
点から、また過剰に含有すると溶接金属部の割れ感受性
が高まるため、適切な含有量として、8〜13%とす
る。
断強度を含めた高温強度を高め、また、耐酸化性あるい
は耐水蒸気酸化性の点でも好ましい元素であるが、焼き
ならし−焼き戻し処理を前提とした高温強度の確保の観
点から、また過剰に含有すると溶接金属部の割れ感受性
が高まるため、適切な含有量として、8〜13%とす
る。
【0035】Moは、高温強度を高める効果的な元素で
あるが、0.05%未満では高温強度確保の点で十分で
はなく、過剰に含有すると靭性を低下させるので、適切
な含有量として0.05〜1.2%とする。
あるが、0.05%未満では高温強度確保の点で十分で
はなく、過剰に含有すると靭性を低下させるので、適切
な含有量として0.05〜1.2%とする。
【0036】Wは、クリープ特性向上の点で極めて好ま
しい元素である。しかし、0.3%未満では、その効果
が十分とはいえず、過剰に含有すると靭性を低下させる
ので、適切な含有量を0.3〜3%とする。
しい元素である。しかし、0.3%未満では、その効果
が十分とはいえず、過剰に含有すると靭性を低下させる
ので、適切な含有量を0.3〜3%とする。
【0037】Mo及びWは、いずれも炭化物を形成する
元素であり、Wの含有の効果はMoの1/2であること
から、前記Mo、Wの含有量の範囲において、Mo当量
(Mo+1/2W)を0.5〜2%の範囲とする。これ
は、0.5%未満では炭化物形成量が少なく、高温強度
の向上に不十分であり、また2%を超えると靭性が低下
するからである。
元素であり、Wの含有の効果はMoの1/2であること
から、前記Mo、Wの含有量の範囲において、Mo当量
(Mo+1/2W)を0.5〜2%の範囲とする。これ
は、0.5%未満では炭化物形成量が少なく、高温強度
の向上に不十分であり、また2%を超えると靭性が低下
するからである。
【0038】次に、溶接部の溶接後の熱処理条件の限定
理由について述べる。焼きならし処理は、溶接前の母材
と同等の性能を確保するために、1000℃以上115
0℃以下の温度とする。1000℃未満では、焼きなら
しによる組織の均一化が十分ではなく、また、1150
℃を超えると、結晶粒が粗大化して靭性が劣化するため
である。
理由について述べる。焼きならし処理は、溶接前の母材
と同等の性能を確保するために、1000℃以上115
0℃以下の温度とする。1000℃未満では、焼きなら
しによる組織の均一化が十分ではなく、また、1150
℃を超えると、結晶粒が粗大化して靭性が劣化するため
である。
【0039】焼戻し処理は、700℃以上Ac1変態点
以下とする。炭化物を十分に生成させるためには700
℃以上の温度が必要であり、また、高温すぎると、部分
的にフェライト−オーステナイト変態が生じ、靭性に好
ましくない組織が生成するために、その上限をAc1変
態点とした。
以下とする。炭化物を十分に生成させるためには700
℃以上の温度が必要であり、また、高温すぎると、部分
的にフェライト−オーステナイト変態が生じ、靭性に好
ましくない組織が生成するために、その上限をAc1変
態点とした。
【0040】応力除去焼鈍処理温度は700℃以上76
0℃以下の温度とする。応力除去焼鈍は、冷間加工等に
よる歪みや溶接残留応力を除去するためのものである。
焼きならし−焼き戻し処理で得られた鋼板あるいは溶接
部の所定の機械的性質を損なわないためには、焼き戻し
処理温度と同温度以下で行う必要があるため、上記温度
範囲とした。
0℃以下の温度とする。応力除去焼鈍は、冷間加工等に
よる歪みや溶接残留応力を除去するためのものである。
焼きならし−焼き戻し処理で得られた鋼板あるいは溶接
部の所定の機械的性質を損なわないためには、焼き戻し
処理温度と同温度以下で行う必要があるため、上記温度
範囲とした。
【0041】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。図1とし
て示す表1及び表2に、溶製したNb、Vを含有する9
%Cr−1Mo鋼の化学成分と母材(鋼板)の製造方法
を示す。いずれの鋼も、ASTM A387−91の規
格を満足する化学成分である。鋼A及び鋼Bは、熱間圧
延後の焼ならし−焼戻しを施した鋼板であり、また鋼C
は鋼板の焼ならし処理の省略を目的として、仕上げ温度
を制御して圧延した鋼である。
て示す表1及び表2に、溶製したNb、Vを含有する9
%Cr−1Mo鋼の化学成分と母材(鋼板)の製造方法
を示す。いずれの鋼も、ASTM A387−91の規
格を満足する化学成分である。鋼A及び鋼Bは、熱間圧
延後の焼ならし−焼戻しを施した鋼板であり、また鋼C
は鋼板の焼ならし処理の省略を目的として、仕上げ温度
を制御して圧延した鋼である。
【0042】これらの鋼を用いて、図2として示す表3
で示す溶接金属部の化学成分を有する溶接継手を作成し
た。ここで、溶接材料が9Cr系のものは従来の共金系
の溶接材料であり、一方、12Cr系あるいは9Cr−
W系は、本発明の溶接材料である。
で示す溶接金属部の化学成分を有する溶接継手を作成し
た。ここで、溶接材料が9Cr系のものは従来の共金系
の溶接材料であり、一方、12Cr系あるいは9Cr−
W系は、本発明の溶接材料である。
【0043】溶接方法は、火力発電プラントの施工方法
として一般的に用いられている、被覆アーク溶接(以下
「SMAW」という。)、サブマージアーク溶接(以下
「SAW」という。)及びガスシールド非消耗電極式ア
ーク溶接法であるティグ溶接(以下「TIG」とい
う。)の3種類の溶接方法を用いた。図3として示す表
4に、SAWおよびTIGの溶接条件を示す。
として一般的に用いられている、被覆アーク溶接(以下
「SMAW」という。)、サブマージアーク溶接(以下
「SAW」という。)及びガスシールド非消耗電極式ア
ーク溶接法であるティグ溶接(以下「TIG」とい
う。)の3種類の溶接方法を用いた。図3として示す表
4に、SAWおよびTIGの溶接条件を示す。
【0044】これらの9%Cr−1%Mo鋼について、
溶接方法、溶接材料を変化させて溶接継手を作製し、溶
接継手部から試験片を採取して、溶接継手部の継手強
度、溶接継手部のクリープ破断試験及び溶接金属の衝撃
試験を行った。なお、溶接継手部のクリープ試験では、
試験片に母材、溶接熱影響部及び溶接金属の全てを、一
の試験片に含むものである。結果を図4として示す表5
に示す。
溶接方法、溶接材料を変化させて溶接継手を作製し、溶
接継手部から試験片を採取して、溶接継手部の継手強
度、溶接継手部のクリープ破断試験及び溶接金属の衝撃
試験を行った。なお、溶接継手部のクリープ試験では、
試験片に母材、溶接熱影響部及び溶接金属の全てを、一
の試験片に含むものである。結果を図4として示す表5
に示す。
【0045】実施例1は、焼きならし−焼き戻し後、応
力除去焼鈍(以下「PWHT」という。)を実施してい
る、鋼Aの母材の結果であり、試験値の基準となるもの
である。
力除去焼鈍(以下「PWHT」という。)を実施してい
る、鋼Aの母材の結果であり、試験値の基準となるもの
である。
【0046】実施例2は、鋼Aについて、従来の9Cr
系溶接材料を用いたSAW継手のPWHT後の結果であ
り、継手クリープ破断強度が低く、溶接熱影響部(HA
Z)で破断している。また、溶接金属部の靭性も、この
種の材料に一般的に要求される水準は満たすものの、そ
れほど良好とはいえない。実施例3は、同じ溶接継手に
ついての焼きならし−焼き戻し後の試験結果であり、継
手クリープ破断強度は高くなく、溶接金属部で破断して
いる。ただし、溶接金属部の靭性は向上している。実施
例4は、鋼Aについて、本発明の溶接材料である12%
Cr系の溶接材料を用いたSAW継手のPWHT後の結
果である。溶接後PWHTを施しただけでは、継手クリ
ープ破断強度は低く、HAZで破断している。溶接金属
の靭性も実施例2と同程度である。
系溶接材料を用いたSAW継手のPWHT後の結果であ
り、継手クリープ破断強度が低く、溶接熱影響部(HA
Z)で破断している。また、溶接金属部の靭性も、この
種の材料に一般的に要求される水準は満たすものの、そ
れほど良好とはいえない。実施例3は、同じ溶接継手に
ついての焼きならし−焼き戻し後の試験結果であり、継
手クリープ破断強度は高くなく、溶接金属部で破断して
いる。ただし、溶接金属部の靭性は向上している。実施
例4は、鋼Aについて、本発明の溶接材料である12%
Cr系の溶接材料を用いたSAW継手のPWHT後の結
果である。溶接後PWHTを施しただけでは、継手クリ
ープ破断強度は低く、HAZで破断している。溶接金属
の靭性も実施例2と同程度である。
【0047】一方、実施例5は、同じ溶接継手、すなわ
ち12%Cr系溶接材料で溶接後、本発明の熱処理であ
る焼きならし−焼き戻しをほどこしたものである。クリ
−プ試験の破断位置は母材部であり、継手クリープ破断
強度も母材部の焼きならし−焼き戻し後PWHTを行っ
たもの(実施例1)よりも高い。さらに、溶接金属部の
靭性も良好であり本発明の効果が窺える。実施例13
は、9%Cr−W系の溶接材料で溶接した後、実施例5
と同様の熱処理を施したものであるが、実施例5と同様
の優れた継手クリープ破断強度と継手靭性を有してい
る。また、実施例6は、実施例5の熱処理に更にPWH
Tを行ったものであり、実施例5と同等のクリープ破断
強度及び靭性を有している。
ち12%Cr系溶接材料で溶接後、本発明の熱処理であ
る焼きならし−焼き戻しをほどこしたものである。クリ
−プ試験の破断位置は母材部であり、継手クリープ破断
強度も母材部の焼きならし−焼き戻し後PWHTを行っ
たもの(実施例1)よりも高い。さらに、溶接金属部の
靭性も良好であり本発明の効果が窺える。実施例13
は、9%Cr−W系の溶接材料で溶接した後、実施例5
と同様の熱処理を施したものであるが、実施例5と同様
の優れた継手クリープ破断強度と継手靭性を有してい
る。また、実施例6は、実施例5の熱処理に更にPWH
Tを行ったものであり、実施例5と同等のクリープ破断
強度及び靭性を有している。
【0048】実施例7は、鋼Aについて、12%Cr系
の溶接材料を用いたTIG溶接継手の焼きならし−焼き
戻し−PWHT後の結果であり、継手クリープ破断強度
は実施例1の母材と同様に高く、また、TIG溶接のた
め溶接金属部の靭性は極めて高い。
の溶接材料を用いたTIG溶接継手の焼きならし−焼き
戻し−PWHT後の結果であり、継手クリープ破断強度
は実施例1の母材と同様に高く、また、TIG溶接のた
め溶接金属部の靭性は極めて高い。
【0049】実施例8〜10は、鋼BについてSMAW
を行った結果である。本発明の溶接材料−熱処理を施し
た実施例10は、比較例である実施例8、9に比べて、
継手クリープ破断強度が高い。
を行った結果である。本発明の溶接材料−熱処理を施し
た実施例10は、比較例である実施例8、9に比べて、
継手クリープ破断強度が高い。
【0050】実施例11及び12は、本発明の溶接材料
を用いたものであるが、本発明の熱処理を施すことで、
継手クリープ破断強度と溶接金属部の靭性が飛躍的に向
上する。
を用いたものであるが、本発明の熱処理を施すことで、
継手クリープ破断強度と溶接金属部の靭性が飛躍的に向
上する。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明である溶接材料を
用いて、Nb、Vを含有する9%Cr−1Mo鋼を溶接
した後、焼きならし−焼き戻し熱処理を行うことで、従
来得られなかった高い継手のクリープ強度を実現するこ
とが可能である。また、継手クリープ試験の破断位置
は、局部的な溶接金属部あるいは熱影響部を回避して、
母材部で破断しており、溶接構造物としての安全性が高
くなる。また、本熱処理後に、更に応力除去焼鈍(PW
HT)を行っても、継手のクリープ破断強度にはなんら
影響を与えず、実際の施工での信頼性が高いと言える。
用いて、Nb、Vを含有する9%Cr−1Mo鋼を溶接
した後、焼きならし−焼き戻し熱処理を行うことで、従
来得られなかった高い継手のクリープ強度を実現するこ
とが可能である。また、継手クリープ試験の破断位置
は、局部的な溶接金属部あるいは熱影響部を回避して、
母材部で破断しており、溶接構造物としての安全性が高
くなる。また、本熱処理後に、更に応力除去焼鈍(PW
HT)を行っても、継手のクリープ破断強度にはなんら
影響を与えず、実際の施工での信頼性が高いと言える。
【0052】以上のことから、本発明の方法によれば、
火力発電プラントの再熱蒸気管や管寄せ用の高温大径厚
肉溶接鋼管等として使用される9%Cr−1%Mo鋼に
おいて、一般的に母材の鋼よりも脆弱と考えられる溶接
継手部においても、高いクリープ破断強度が得られるの
で、構造物の信頼性向上に寄与するのみならず、建設コ
ストの低減に貢献するものといえる。
火力発電プラントの再熱蒸気管や管寄せ用の高温大径厚
肉溶接鋼管等として使用される9%Cr−1%Mo鋼に
おいて、一般的に母材の鋼よりも脆弱と考えられる溶接
継手部においても、高いクリープ破断強度が得られるの
で、構造物の信頼性向上に寄与するのみならず、建設コ
ストの低減に貢献するものといえる。
【図1】実施例に用いた鋼の化学成分(表1)及び鋼板
の製造方法(表2)を示す図である。
の製造方法(表2)を示す図である。
【図2】実施例に用いた溶接継手部の溶接金属部の化学
成分(表3)を示す図である。
成分(表3)を示す図である。
【図3】実施例に用いた溶接継手を作製するのに用いた
溶接方法(表4)を示す図である。
溶接方法(表4)を示す図である。
【図4】実施例のクリープ破断強度を含む諸特性を示す
図(表5)である。
図(表5)である。
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.2%以下、Si:
0.9%以下、Mn:1.5%以下、Cr:8〜13
%、Mo:0.05〜1.2%、W:0.3〜3%、か
つ、Mo当量(Mo+1/2W):0.5〜2%を含有
し、残部がFe及び不可避的不純物元素からなる溶接金
属であることを特徴とする9%Cr−1%Mo鋼用の溶
接材料。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.2%以下、Si:
0.9%以下、Mn:1.5%以下、Cr:8〜13
%、Mo:0.05〜1.2%、W:0.3〜3%、か
つ、Mo当量(Mo+1/2W):0.5〜2%を含有
し、残部がFe及び不可避的不純物元素からなる溶接金
属となる溶接材料を用いて、9%Cr−1%Mo鋼部材
を溶接した後に、溶接部材全体若しくは溶接部近傍を焼
きならし及び焼き戻しの熱処理を行うことを特徴とする
9%Cr−1%Mo鋼の溶接方法。 - 【請求項3】 前記熱処理後に、更に応力除去焼鈍を目
的とした熱処理を行うことを特徴とする、請求項2記載
の9%Cr−1%Mo鋼の溶接方法。 - 【請求項4】 前記部材の溶接後の熱処理において、前
記焼きならし処理を1000℃以上1150℃以下、前
記焼き戻し処理を700℃以上Ac1変態点以下の温度
で熱処理を行うことを特徴とする、請求項2記載の9%
Cr−1%Mo鋼の溶接方法。 - 【請求項5】 前記熱処理後において、更に応力除去焼
鈍処理を700℃以上760℃以下の温度で行うことを
特徴とする、請求項4記載の9%Cr−1%Mo鋼の溶
接方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9517498A JPH10323793A (ja) | 1997-03-25 | 1998-03-25 | 9%Cr−1%Mo鋼用の溶接材料及びその溶接方法 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8871597 | 1997-03-25 | ||
| JP9-88715 | 1997-03-25 | ||
| JP9517498A JPH10323793A (ja) | 1997-03-25 | 1998-03-25 | 9%Cr−1%Mo鋼用の溶接材料及びその溶接方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10323793A true JPH10323793A (ja) | 1998-12-08 |
Family
ID=26430068
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9517498A Pending JPH10323793A (ja) | 1997-03-25 | 1998-03-25 | 9%Cr−1%Mo鋼用の溶接材料及びその溶接方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10323793A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN105499762A (zh) * | 2015-12-17 | 2016-04-20 | 国网山东省电力公司电力科学研究院 | 一种避免p92钢焊缝金属微细裂纹的焊接工艺 |
| CN112975280A (zh) * | 2021-02-04 | 2021-06-18 | 西安热工研究院有限公司 | 一种火电厂集箱三通的更换方法 |
-
1998
- 1998-03-25 JP JP9517498A patent/JPH10323793A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN105499762A (zh) * | 2015-12-17 | 2016-04-20 | 国网山东省电力公司电力科学研究院 | 一种避免p92钢焊缝金属微细裂纹的焊接工艺 |
| CN112975280A (zh) * | 2021-02-04 | 2021-06-18 | 西安热工研究院有限公司 | 一种火电厂集箱三通的更换方法 |
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