JPH10328788A - 取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入方法 - Google Patents

取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入方法

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JPH10328788A
JPH10328788A JP14935897A JP14935897A JPH10328788A JP H10328788 A JPH10328788 A JP H10328788A JP 14935897 A JP14935897 A JP 14935897A JP 14935897 A JP14935897 A JP 14935897A JP H10328788 A JPH10328788 A JP H10328788A
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molten steel
tundish
ladle
injection
flow
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JP14935897A
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English (en)
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Atsushi Kubota
淳 久保田
Noriko Kubo
典子 久保
Hiroshi Shimizu
宏 清水
Kentaro Mori
健太郎 森
Shinichi Sugiyama
晋一 杉山
Keiji Yoshioka
敬二 吉岡
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 残鋼による歩留りの低下や作業能率の低下を
招くことなく且つアルミナ系介在物を増加させずに、定
常鋳造部のスラグ系介在物を低減する。 【解決手段】 開閉装置5が備えられた取鍋1側の溶鋼
流出口に注入管9の一端を密着させ、他端をタンディッ
シュ2内の溶鋼4に浸漬し、この注入管中を注入流10
を流下させて取鍋からタンディッシュへ注入する際に、
注入管のタンディッシュ内溶鋼への浸漬深さHを(1)
式の範囲内とする。 H>220×〔(S1 /S2 )2 ×β2 ×2gJ+2g
L〕1/8 …(1)。但し、H;注入管の浸漬深さ、
S1 ;開閉装置の開口面積、S2 ;注入管の横断面積、
β;開閉装置での溶鋼流出係数、g;重力加速度、J;
開閉装置開口部から取鍋内溶鋼湯面までの距離、L;注
入流の流下距離である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋼の連続鋳造におい
て、注入管による取鍋からタンディッシュへの注入流
が、タンディッシュ内の溶鋼湯面上で浮遊する溶融した
取鍋スラグやタンディッシュ用フラックス等を、溶鋼中
に巻き込むことを防止した溶鋼注入方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】溶鋼中の非金属介在物(以下、「介在
物」と記す)は、最終製品における表面疵等欠陥の発生
原因となるので、溶鋼中から極力分離して除去する必要
がある。連続鋳造鋳片における介在物は、脱酸生成物で
あるアルミナ系と、スラグ系と、鋳型内に添加したモー
ルドパウダーが巻き込まれて発生するモールドパウダー
系との3種類に大別される。
【0003】このうちスラグ系介在物の起源は、取鍋か
らの注入終了時に溶鋼と共にタンディッシュ内に流出し
てタンディッシュ内の溶鋼湯面上で浮遊する取鍋スラグ
と、脱酸生成物の吸着剤としてタンディッシュ内の溶鋼
湯面上に添加した酸化物を主成分とするタンディッシュ
用フラックス(以下、「フラックス」と記す)や、焼き
籾殻等の炭素含有物質の保温剤である。この保温剤は、
加熱され燃焼すると、溶融酸化物となるためである。こ
れらのスラグ系介在物が製品において欠陥を引き起こす
事例は、主に連続連続鋳造(以下、「連々鋳」と記す)
の取鍋交換前後の時期に、鋳型内で鋳造されていた鋳片
で多く生じていた。そこで、これら取鍋スラグやタンデ
ィッシュ内のフラックス等が介在物となることを防止す
るために、様々な対策が実施されてきた。
【0004】例えば、特開昭61−262454号公報
には、取鍋底の流出口に接続された注入管にてタンディ
ッシュへ溶鋼を注入する際に、注入管の内部圧力を連続
的に測定し、圧力変化から取鍋スラグの流出を判定する
取鍋スラグ混入検知方法が、特開昭57−112964
号公報には、取鍋からタンディッシュへの注入時にタン
ディッシュの振動を検出し、検出値と予め設定した基準
値とを比較して取鍋スラグの流出を検知し、タンディッ
シュへの注入を停止する方法が、又、特開平8−339
72号公報には、取鍋底の流出口の周囲に磁界発生コイ
ルと誘起電圧発生コイルとを巻いて、誘起電圧発生コイ
ルに誘起する誘導電圧の変化により取鍋スラグの流出を
検知する検知方法が開示されており、これらの方法によ
りタンディッシュへの取鍋スラグの流出は大幅に減少し
た。
【0005】一方、連々鋳の取鍋交換時に、タンディッ
シュ内の溶鋼湯面上に浮遊する取鍋スラグやフラックス
等を溶鋼中に巻き込ませないために、例えば特開昭63
−10049号公報に開示されるように、次取鍋の注入
開始時期に、取鍋底に配置した注入管をタンディッシュ
内溶鋼に浸漬させてから、タンディッシュへの注入を開
始する方法が行なわれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの技術によっ
て、タンディッシュ内の取鍋スラグは大幅に減少し、且
つ、取鍋交換時に溶鋼中に巻き込まれる取鍋スラグやフ
ラックス等も減少したので、連々鋳の取鍋交換前後の時
期に鋳型内で鋳造されていた鋳片のスラグ系介在物によ
る品質欠陥は大幅に低減した。
【0007】ところで近年、製品に求められる清浄性は
年々高くなり、ラインパイプ材やブリキ材では、連々鋳
の取鍋交換前後の時期に限らず、最初の取鍋の定常鋳造
部を含め、連々鋳の定常鋳造部の鋳片でも、スラグ系介
在物が問題となってきた。そのため、定常鋳造部のスラ
グ系介在物を防止するために、タンディッシュ内にフラ
ックスや前記保温剤を添加しないで鋳造が行なわれるよ
うになり、連々鋳の場合には、取鍋スラグのタンディッ
シュへの少量の流出も問題となってきた。前述の特開昭
61−262454号公報、特開昭57−112964
号公報、及び特開平8−33972号公報に開示された
方法では、方法の原理上、タンディッシュへの若干の取
鍋スラグの流出は避けられない。
【0008】そのため、連々鋳の定常鋳造部のスラグ系
介在物を防止するために、意図的に取鍋内に溶鋼を残し
て注入を終了し、取鍋スラグのタンディッシュへの流出
を防止する方法や、連々鋳を諦めて1ヒートのみの連続
鋳造を行なわざるを得ない場合もあった。しかし、これ
らの方法では、歩留りの低下や、作業能率の低下を招
く。又、タンディッシュ内でフラックスや保温剤を使用
しないために、タンディッシュ内の溶鋼温度が低下し、
脱酸生成物であるアルミナ系介在物の浮上・分離が損な
われて、アルミナ系介在物が増加するという弊害も発生
した。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、歩留りの低下や、作業能
率の低下を招くことなく、且つ、アルミナ系介在物を増
加させることなく、定常鋳造部の鋳片におけるスラグ系
介在物を低減することを可能とする取鍋からタンディッ
シュへの溶鋼注入方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による取鍋からタ
ンディッシュへの溶鋼注入方法は、開閉装置が備えられ
た取鍋側の溶鋼流出口に注入管の一端を密着させ、他端
をタンディッシュ内の溶鋼に浸漬し、この注入管中を前
記開閉装置により溶鋼流量を制御しつつ注入流を流下さ
せて取鍋からタンディッシュへ注入する溶鋼注入方法に
おいて、注入管のタンディッシュ内溶鋼への浸漬深さが
(1)式の範囲を満足することを特徴とするものであ
る。
【0011】 H>220×〔(S1 /S2 )2 ×β2 ×2gJ+2gL〕1/8 ……(1) 但し、(1)式において各記号は以下を表すものであ
る。 H ;注入管のタンディッシュ内溶鋼への浸漬深さ(m
m) S1 ;開閉装置開口部の開口面積(m2 ) S2 ;注入管の管路横断面積(m2 ) β ;開閉装置での溶鋼流出係数 g ;重力加速度(m/sec2 ) J ;開閉装置開口部から取鍋内溶鋼湯面までの鉛直方
向距離(m) L ;注入流の鉛直方向流下距離(m)
【0012】発明者等は、定常鋳造部の鋳片におけるス
ラグ系介在物の発生機構を解明するため、トレーサーに
よる介在物の追跡調査を行なった。
【0013】先ず転炉での出鋼前に、取鍋内に炭酸スト
ロンチウムを添加して、取鍋スラグに含有させた。次
に、連続鋳造工程では、図1(図1の詳細説明は後述)
に示すようにタンディッシュを2つの堰で3つの範囲に
仕切り、注入を開始してタンディッシュ内溶鋼が所定量
となった時点で、堰と堰とで囲まれた注入管側の範囲に
は酸化イットリウムを含むフラックスを、又、堰の下流
側のスライディングノズル側の範囲には炭酸バリウムを
含むフラックスを添加した。これら取鍋スラグ及びフラ
ックス中のトレーサー濃度は、およそ2wt%である。
こうして炭素濃度が0.05wt%の低炭素Alキルド
鋼を、鋳片厚みが220mm、鋳片幅が1000mmの
スラブ連続鋳造機にて鋳造した。この連続鋳造機では、
注入流の鉛直方向流下距離(L)、即ち、取鍋の開閉装
置開口部からタンディッシュ内溶鋼湯面までの距離は設
定値で1.5mである。尚、表1に低炭素Alキルド鋼
のタンディッシュ内成分を、又、表2に連続鋳造機の仕
様及び鋳造条件を示す。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】得られたスラブ鋳片を熱間圧延し、更に冷
間圧延して厚み0.245mmの冷延コイルとした。そ
して、漏洩磁束検知式の内部欠陥検出計を用いて、この
冷延コイルを全長に渡って検査し、介在物の存在範囲を
決め、次いで、介在物が含まれる範囲から調査用試片を
切り出し、調査用試片の断面を走査型電子顕微鏡にて検
査し、介在物に含まれる元素を特性X線から同定した。
調査結果を表3に示す。同定した6サンプルの介在物の
うち、2サンプルはフラックスと同一元素を含有してお
り、タンディッシュ内に添加したフラックスが起源であ
った。そしてこのフラックスは、イットリウムを含有し
ており、ストロンチウムやバリウムを含有していないの
で、堰と堰とで囲まれた注入管側に添加したフラックス
であることが判明した。残りの4サンプルは、Alのみ
検出されたので、脱酸生成物のAl2 O3 と判定され
た。
【0017】
【表3】
【0018】次に、タンディッシュ内の溶鋼湯面上で溶
融して浮遊する取鍋スラグやフラックス又は保温剤(以
下、これらを「溶融酸化物」と記す)が、溶鋼中に巻き
込まれる物理的な機構について検討した。
【0019】先ず、図2に示すように、溶鋼中に浸漬さ
れた注入管中を流下してタンディッシュ内に入る注入流
により誘起される注入管回りの下向き流によって、湯面
上の溶融酸化物が溶鋼中に巻き込まれる機構を検討し
た。しかし、この下向き流の速度を有限体積法による数
値流動計算にて求めると、高々数cm/secのレベル
であり、連続鋳造の鋳型内においてモールドパウダーの
巻き込みが生じる溶鋼流速(数10cm/sec)の知
見から判断して、この機構では溶融酸化物の巻き込みは
生じ得ない。
【0020】そこで、図3に示すように、注入管中の注
入流がタンディッシュ内溶鋼に突入する際に生じる気泡
が溶鋼中へ侵入し、この気泡の侵入深さ(h)が注入管
の浸漬深さ(H)より深くなった時に気泡が注入管の外
部で浮上し、この気泡が溶融酸化物層に突入する際に、
溶融酸化物を溶鋼中に巻き込む機構を検討した。そこ
で、気泡の侵入深さ(h)を、有限体積法による数値流
動計算にて求めた。計算結果を図4に示す。計算は、気
泡直径をd(mm)として、気泡直径(d)が0.1〜
50mm、注入流がタンディッシュ内溶鋼に突入する際
の速度(以下、「注入流突入速度」と記す)が3.44
m/sec、4.82m/sec、及び7.65m/s
ecの3水準として行なった。計算結果から、気泡直径
(d)が小さく、注入流突入速度が速い程、気泡の侵入
深さ(h)は深くなり、計算条件の範囲において、気泡
はタンディッシュ内の溶鋼湯面から約220〜550m
m侵入することが分かった。この気泡の侵入深さ(h)
は、連続鋳造機における注入管の浸漬深さ(H)のレベ
ルに等しい。尚、注入管の浸漬深さ(H)とは、鉛直方
向の浸漬深さである。
【0021】そこで、連続鋳造機において鋳造中の注入
管の浸漬深さ(H)を連続的に測定すると共に、得られ
たスラブ鋳片を冷延コイルに圧延し、冷延コイルの全長
に渡って前述の内部欠陥検出計にて介在物調査を行い、
注入管の浸漬深さ(H)と介在物発生個数との相関を調
査した。図5に調査結果を示す。尚、溶鋼組成及び連続
鋳造機仕様・鋳造条件は、前述の表1及び表2に示した
通りである。鋳造中、注入管の浸漬深さ(H)は250
〜420mmの範囲で変化し、又、冷延コイルの介在物
個数は0〜0.25個/m2 の範囲で変化した。そし
て、注入管の浸漬深さ(H)が浅くなった時期に対応す
る冷延コイルで、介在物個数が増加していた。これは、
注入流の突入により生成する気泡の進入深さ(h)が、
溶融酸化物の巻き込みに関与していることを示してい
る。
【0022】そこで注入流突入速度を求めた。注入流突
入速度は単位時間当たりのタンディッシュへの溶鋼注入
量と、注入流の鉛直方向流下距離(L)とによって変化
する。従って、これらの鋳造条件の下で、注入流突入速
度を求める必要がある。そこで、初速を有する物体の自
由落下速度を解析的に求め、注入流突入速度をV(m/
sec)、注入流の鉛直方向の初速度をU(m/se
c)として、注入流の鉛直方向の初速度(U)と注入流
の鉛直方向流下距離(L)とから、注入流突入速度
(V)を下記の(2)式として求めた。尚、(2)式に
おいてgは重力加速度(m/sec2 )である。 V=(U2 +2gL)1/2 ……(2)
【0023】又、注入流の鉛直方向の初速度(U)は、
(3)式に示すように、開閉装置開口部から取鍋内溶鋼
湯面までの鉛直方向距離(J)、即ち溶鋼ヘッドと、開
閉装置での溶鋼流出係数(β)とで決まり、更に、注入
流の断面積が、開閉装置開口部の開口面積(S1 )か
ら、注入管の管路横断面積(S2 )に拡大することによ
って減速するとして定めた。尚、溶鋼流出係数(β)
は、開閉装置と溶鋼との摩擦抵抗等の開閉装置における
管路の全抵抗により、開閉装置を通過する溶鋼の流速が
低下する割合を示したものである。又、(3)式におい
てgは重力加速度である。 U=(S1 /S2 )×β×(2gJ)1/2 ……(3)
【0024】前述の表2に示す鋳造条件において、開閉
装置開口部から取鍋内溶鋼湯面までの鉛直方向距離
(J)を3m、溶鋼流出係数(β)を0.95、開閉装
置開口部の開口面積(S1 )を22.9×10-4m2 、
注入管の管路横断面積(S2 )を50.3×10-4m2
として、(2)式及び(3)式から注入流突入速度
(V)を求めると、約6.4m/secになる。
【0025】ここで、前述の図5に示す調査結果から、
注入管の浸漬深さ(H)が約350mmを境にして、介
在物個数に大きな差があることが分かり、又、前述の図
4から、注入流突入速度(V)が6.4m/secの条
件において、気泡の侵入深さ(h)が350mmとなる
気泡直径(d)を推定すると、約15mmとなる。
【0026】これらから判断して、タンディッシュ内の
溶鋼湯面に浮遊する溶融酸化物の巻き込みに寄与する気
泡は、直径が15mm以上の気泡であり、従って、直径
15mmの気泡の侵入深さ(ho )以上に注入管の浸漬
深さ(H)を確保すれば、溶融酸化物の巻き込みを防止
できる。そこで前述の図4に示した数値流動計算結果か
ら、気泡直径(d)及び侵入深さ(h)の単位をmmと
して、気泡直径(d)と注入流突入速度(V)とから、
気泡の侵入深さ(h)を求める回帰式を(4)式として
求めた。 h=(−27.147×lnd+293.7 )×V1/4 ……(4)
【0027】そして(4)式において、気泡直径(d)
を15mmとし、更に(2)式及び(3)式を(4)式
に代入して、(5)式に示す回帰式を得た。 ho = 220×〔(S1 /S2 )2 ×β2 ×2gJ+2gL〕1/8 ……(5)
【0028】溶融酸化物の巻き込みを防止するには、注
入管の浸漬深さ(H)を、(5)式で求めた直径15m
mの気泡の侵入深さ(ho )より深くすればよく、こう
して注入管の浸漬深さ(H)の下限を定める(1)式の
不等式が導かれる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明を図面に基づき説明する。
図1は本発明を適用した連続鋳造工程の概略を示す断面
図である。
【0030】図1において、鋳型3の上方所定位置に、
内面を耐火物で構築され、タンディッシュカー(図示せ
ぬ)に搭載されたタンディッシュ2が配置されている。
タンディッシュ2の底部には固定板14、摺動板15か
らなるスライディングノズル13が配置され、スライデ
ィングノズル13の下面側には浸漬ノズル16が配置さ
れている。タンディッシュ2内には、下部に複数の水平
な貫通口を有する堰12、12aが配置され、タンディ
ッシュ2を3つの範囲に仕切っている。
【0031】タンディッシュ2の上方所定位置に、内面
を耐火物で構築され、溶鋼4を収納した取鍋1を配置す
る。取鍋1内の溶鋼湯面は取鍋スラグ11で覆われてい
る。取鍋1の底には、内部に溶鋼流出口を有し、取鍋1
の底部耐火物に嵌合した上ノズル8が配置され、上ノズ
ル8の下面側に、タンディッシュ2への溶鋼注入量を制
御するための開閉装置5が配置されている。図1におけ
る開閉装置5は、上ノズル8と密着する固定板6と、固
定板6に接して回転摺動する摺動板7とからなるロータ
リーノズルであり、固定板6と摺動板7との摺動面が開
口部を形成する。そして、摺動板7の下面に、摺動板7
の溶鋼流出口と密着する耐火物製の注入管9を配置す
る。この注入管9の長さは、以下の手順により決定す
る。
【0032】〔手順1〕;開閉装置5の開口部の開口面
積(S1 )と、開閉装置5の開口部から取鍋1内の溶鋼
湯面までの鉛直方向距離(J)とを決める。尚、図1に
示す構成では、開口面積(S1 )は、固定板6の溶鋼流
出口と摺動板7の溶鋼流出口とが連通する面積であり、
鉛直方向距離(J)は、固定板6の下面から取鍋1内の
溶鋼湯面までの鉛直方向距離となる。鋳造中の開口面積
(S1 )は鉛直方向距離(J)により変化するので、前
述の(3)式で示す注入流の鉛直方向の初速度(U)が
最大となる条件で開口面積(S1 )と鉛直方向距離
(J)とを決める。実際には、単位時間当たりのタンデ
ィッシュ2への溶鋼注入量と取鍋1内の溶鋼ヘッドと開
閉装置5の口径とを変化させた鋳造条件で、注入流の鉛
直方向の初速度(U)が最大となる条件で、予め調査し
て定めることが好ましい。しかし、予め定めることがで
きない場合には、(S1 /S2 )を0.5〜0.6程度
とし、鉛直方向距離(J)を鋳造開始前の固定板6の下
面と取鍋1内の溶鋼湯面までの鉛直方向距離としてもよ
い。但し、この場合には浸漬深さ(H)が大きく見積も
られるため、注入管コストが上昇する。
【0033】〔手順2〕;注入流の鉛直方向流下距離
(L)を求める。図1に示す構成では、開閉装置5の固
定板6の下面からタンディッシュ2内の溶鋼湯面までの
鉛直方向距離となる。その際に、タンディッシュ2内の
溶鋼湯面位置は定常鋳造中の位置を基準とする。
【0034】〔手順3〕;求めた開閉装置5の開口部の
開口面積(S1 )と、開閉装置5の開口部から取鍋1内
の溶鋼湯面までの鉛直方向距離(J)と、注入流の鉛直
方向流下距離(L)と、使用する注入管9の管路横断面
積(S2 )とを(1)式の右辺に代入して、15mm直
径の気泡の侵入深さ(ho )を算出する。尚、溶鋼流出
係数(β)は0.9〜1.0とすればよい。又、注入管
9の管路横断面積(S2)が上端と下端で差のある場合
には、上端即ち開閉装置5の溶鋼流出口との密着部での
口径とする。
【0035】〔手順4〕;15mm直径の気泡の侵入深
さ(ho )より、注入管9の浸漬深さ(H)が深くなる
ように、注入管9の長さを決める。
【0036】このようにして決めた長さを有する注入管
9が、ほぼ鉛直状に摺動板7の下面に配置され、この注
入管9の下端は、タンディッシュ2の堰12と堰12a
とで囲まれた範囲に挿入されている。
【0037】そして、開閉装置5を開き、注入管9中を
注入流10を流下させて、溶鋼4を取鍋1からタンディ
ッシュ2へ注入する。タンディッシュ2内の溶鋼4が所
定量となった時点で、スライディングノズル13を開
き、鋳型3への鋳造を開始する。鋳型3へ鋳造された溶
鋼4は冷却されて凝固シェル18を形成し、凝固シェル
18は連続的に下方に引き抜かれて連続鋳造が行なわれ
る。定常鋳造中、タンディッシュ2内の溶鋼湯面位置を
制御して、注入管9の浸漬深さ(H)を15mm直径の
気泡の侵入深さ(ho )より常に深くなるようにする。
そして、取鍋1内の溶鋼4が無くなれば取鍋交換を行
い、次の取鍋1を新たに注入して、連々鋳を実施する。
【0038】タンディッシュ2内の溶鋼湯面上には、保
温剤及び脱酸生成物の吸着剤としてフラックス17が添
加されており、又、鋳型3内の溶鋼湯面上にはモールド
パウダー19が添加されている。タンディッシュ2内
で、フラックス17を使用しない場合には、タンディッ
シュ2内の溶鋼温度が低下し、脱酸生成物であるアルミ
ナ系介在物の浮上・分離が損なわれてアルミナ系介在物
が増加するので、フラックス17を使用することが必要
である。
【0039】尚、本発明は、上記ロータリーノズル形式
の開閉装置5に限るものではなく、スライディングノズ
ルやストッパー方式の開閉装置5においても適用可能で
ある。スライディングノズルは摺動方向がロータリーノ
ズルと異なるだけであり、上述の方法に準じて本発明を
適用することができ、又、ストッパー方式の場合には、
開閉装置5の開口部の開口面積(S1 )は、上ノズル8
とストッパーとの間隙面積とし、鉛直方向距離の基準位
置を、上ノズル8の上端位置とすればよい。
【0040】又、タンディッシュ2内の溶鋼湯面上に
は、フラックス17の代わりに炭素含有物質等の保温材
を添加してもよく、更に、タンディッシュ2内に堰1
2、12aを配置しなくても、本発明の実施には何ら支
障とならない。。そして、本発明は、連々鋳に限るもの
ではなく、タンディッシュ2内にフラックス17や保温
剤を添加した1ヒートの連続鋳造においても適用できる
ことはいうまでもない。
【0041】
【実施例】図1に示す構成の連続鋳造工程における本発
明の実施例を以下に説明する。表4に示す成分範囲の低
炭素Alキルド鋼を、表5に示す連続鋳造機及び鋳造条
件にて鋳造した。尚、使用したフラックスはAl2 O3
−SiO2 系のフラックスである。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】この条件においては、開閉装置開口部から
取鍋内溶鋼湯面までの鉛直方向距離(J)が3mの時に
開閉装置開口部の開口面積(S1 )が22.9×10-4
m2になり、鉛直方向距離(J)が1.2mの時に開口
面積(S1 )が28.3×10-4m2 になった。又、注
入流の鉛直方向流下距離(L)は1.5mである。溶鋼
流出係数(β)を0.95として、これらを(1)式右
辺に代入すると、(6)式及び(7)式から、15mm
直径の気泡の侵入深さ(ho )は、鉛直方向距離(J)
が3mの時に349mm、鉛直方向距離(J)が1.2
mの時に344mmとなる。
【0045】 ho= 220×[(22.9/50.3)2 ×0.952 × 2× 9.8×3 + 2× 9.8×1.5]1/8 = 349 (mm) ……(6) ho= 220×[(28.3/50.3)2 ×0.952 × 2×9.8 ×1.2 + 2× 9.8×1.5]1/8 = 344 (mm) ……(7)
【0046】従って、本実施例では、注入管の浸漬深さ
(H)が常に350mm以上となるように、タンディッ
シュ内溶鋼湯面位置を制御して鋳造した。又、比較のた
めに、注入管の浸漬深さを制御しない鋳造も実施した
(比較例)。この場合、注入管の浸漬深さ(H)は、2
50〜380mmの範囲で変動した。
【0047】実施例及び比較例共に、定常鋳造部で12
00tonのスラブ鋳片を鋳造し、得られたスラブ鋳片
を厚み0.245mmの冷延コイルに圧延して冷延コイ
ルの全長に渡り、漏洩磁束検知式の内部欠陥検出計にて
介在物個数を調査した。調査結果を図6に示す。比較例
では平均介在物個数が0.072個/m2 であったが、
本発明の実施例では0.008個/m2 であり、定常鋳
造部の介在物を大幅に低減することができた。
【0048】
【発明の効果】本発明では、注入管の浸漬深さを、常
に、スラグ系介在物巻き込みの原因となる気泡の溶鋼へ
の侵入深さ以上に確保するので、タンディッシュ内溶鋼
湯面上に浮遊する溶融酸化物の溶鋼中への巻き込みを防
止することができる。その結果、残溶鋼による歩留り低
下や作業能率を低下することなく、且つ、アルミナ系介
在物を増加させることなく、定常鋳造時のスラグ系介在
物を低減することができ、工業的効果は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した連続鋳造工程の概略を示す断
面図である。
【図2】注入流により誘起される注入管回りの下向き流
により、溶融酸化物が巻き込まれる機構を示す概念図で
ある。
【図3】注入流による気泡が注入管の外部に浮上し、こ
の気泡が溶融酸化物を巻き込む機構を示す概念図であ
る。
【図4】注入流による気泡の侵入深さを、有限体積法に
よる数値流動計算にて求めた結果を示す図である。
【図5】注入管の浸漬深さと冷延コイルの介在物個数と
の相関を調査した図である。
【図6】実施例と比較例とで、冷延コイルの介在物個数
を比較して示した図である。
【符号の説明】
1 取鍋 2 タンディッシュ 3 鋳型 4 溶鋼 5 開閉装置 6 固定板 7 摺動板 8 上ノズル 9 注入管 10 注入流 11 取鍋スラグ 12 堰 13 スライディングノズル 14 固定板 15 摺動板 16 浸漬ノズル 17 フラックス 18 凝固シェル 19 モールドパウダー
フロントページの続き (72)発明者 森 健太郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 杉山 晋一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 吉岡 敬二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開閉装置が備えられた取鍋側の溶鋼流出
    口に注入管の一端を密着させ、他端をタンディッシュ内
    の溶鋼に浸漬し、この注入管中を前記開閉装置により溶
    鋼流量を制御しつつ注入流を流下させて取鍋からタンデ
    ィッシュへ注入する溶鋼注入方法において、注入管のタ
    ンディッシュ内溶鋼への浸漬深さが(1)式の範囲を満
    足することを特徴とする取鍋からタンディッシュへの溶
    鋼注入方法。 H>220×〔(S1 /S2 )2 ×β2 ×2gJ+2gL〕1/8 ……(1) 但し、(1)式において各記号は以下を表すものであ
    る。 H ;注入管のタンディッシュ内溶鋼への浸漬深さ(m
    m) S1 ;開閉装置開口部の開口面積(m2 ) S2 ;注入管の管路横断面積(m2 ) β ;開閉装置での溶鋼流出係数 g ;重力加速度(m/sec2 ) J ;開閉装置開口部から取鍋内溶鋼湯面までの鉛直方
    向距離(m) L ;注入流の鉛直方向流下距離(m)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101312768B1 (ko) * 2010-12-27 2013-09-27 주식회사 포스코 주조장치 및 이를 이용한 스테인리스강의 제조방법
CN109954851A (zh) * 2017-12-14 2019-07-02 鞍钢股份有限公司 一种中间包钢液渣洗净化与升温的装置及使用方法

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