JPH10330779A - エンジン潤滑油及び潤滑方法 - Google Patents

エンジン潤滑油及び潤滑方法

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JPH10330779A
JPH10330779A JP15917597A JP15917597A JPH10330779A JP H10330779 A JPH10330779 A JP H10330779A JP 15917597 A JP15917597 A JP 15917597A JP 15917597 A JP15917597 A JP 15917597A JP H10330779 A JPH10330779 A JP H10330779A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コストパーフォーマンスに優れたエンジン潤滑
油とエンジンの潤滑方法を提供する。 【解決手段】エンジン潤滑油の油中に微細な結晶性乱層
構造の窒化硼素微粉末を有効量分散して含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種内燃機関の潤滑
に使用するエンジン潤滑油ないしエンジン潤滑剤並びに
エンジン潤滑方法に関する。本発明は、さらにベアリン
グ、ギア、その他の回転ないし摺動部材、特に高負荷な
いし高温にさらされる場合に対する一般的潤滑油にも関
する。
【0002】
【従来の技術】エンジン潤滑油として固体潤滑剤である
二硫化モリブデン粉末を添加したものが提案されてい
る。二硫化モリブデン粉末を添加したエンジン潤滑油に
は添加効果が認められるが、使用実績がそれほどないの
は添加効果が顕著でなく、得られる効果の割りにコスト
がかかるためであると推定される。
【0003】窒化硼素(BN)は硼素と窒素からなる化
合物であるが、窒化硼素には炭素とほぼ同じ結晶構造を
有する多形が存在する。炭素には無定形の炭素、六角形
の網目層が積層した構造を有する六方晶系等の黒鉛及び
立方晶系ダイヤモンドがある。これらの内、固体潤滑性
を示すのは六角形の網目層が積層した構造を有する層間
で顕著な劈開性を示す六方晶系等の黒鉛である。窒化硼
素の場合にも無定形窒化硼素(以下、a−BNとい
う)、六角形の網目層が二層周期で積層した構造を有す
る六方晶系の窒化硼素(以下、h−BNという)、六角
形の網目層が三層周期で積層した構造の菱面体晶窒化硼
素(以下、r−BNという)、六角形の網目層がランダ
ムに積層した乱層構造窒化硼素(以下、t−BNとい
う)及び高圧相の立方晶窒化硼素(以下、c−BNとい
う)が知られている。
【0004】h−BN結晶には六方晶系の黒鉛結晶と同
様の劈開性があって良好な固体潤滑性を示すことが知ら
れている。h−BN結晶の潤滑性の由来は、黒鉛結晶の
場合と同じく二次元の六角網目層間の結合が弱いファン
デアワールス結合であり、この面で顕著な劈開性を示
し、層間で鱗片状に劈開した結晶粒子が互いに滑りやす
いという性質があるためであると理解される。
【0005】純度の高いh−BN粉末の焼結体は無色又
は白色で電気絶縁性に優れ、黒鉛より耐酸化性が高く、
黒鉛のように炭素が鉄系材料と反応して溶け込んだりせ
ず、鉄系材料とは反応しにくいので鉄系材料には焼き付
かないという好ましい性質がある。この意味で、h−B
Nは固体潤滑材として、特に鉄鋼系材料の潤滑に適した
潤滑材である。
【0006】h−BNの潤滑性を利用した用途の例とし
て、特開昭61−261397号には窒化硼素微粉末を
エステル類の油脂に0.01〜30重量%をホモジナイ
ザー等で分散して添加した潤滑油が提案されている。ま
た、特開昭63−135496号には、平均粒径がいず
れも20μm以下のh−BN粉末とポリエーテルエーテ
ルケトン粉末を流動性油脂中に分散させた耐熱性と摩擦
低減効果の優れた潤滑油が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】潤滑油に添加する窒化
硼素粉末としては、a−BNの粉末には吸湿性があって
不安定で適さないので、専ら吸湿性のないh−BN粉末
が使用されている。しかし、h−BN粉末についても値
段が安くないため、コストがかなり嵩んでも成り立つよ
うな特殊な用途の潤滑油としてしか使用されていない。
また、r−BNやt−BNについてはまだ実験室的な試
作段階にやっと到達したにすぎず、収率よく安価に合成
できる方法が知られていないため、具体的な用途を論ず
る以前の段階である。
【0008】本発明の目的は、コストパーフォーマンス
に優れたエンジン潤滑油ないし同添加用潤滑剤を提供す
ることにある。また、本発明は別の視点として、かかる
エンジン潤滑油(ないし、同添加用潤滑剤)を用いたエ
ンジンの潤滑方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の視点にお
いて、本発明のエンジン潤滑油は、油中に結晶性t−B
N微粉末を有効量分散して含有することを特徴とする。
第2の視点において、本発明のエンジン潤滑油は、油中
に一次粒子の平均粒径が1μm以下の結晶性t−BN微
粉末及び一次粒子の平均粒径が1μm以下のh−BN微
粉末を分散して含有しており、窒化硼素微粉末の50重
量%以上が結晶性t−BN微粉末であることを特徴とす
る。さらに第3の視点において、本発明のエンジンの潤
滑方法は、有効量の結晶性t−BN微粉末を含有するエ
ンジン潤滑液を使用してエンジンを潤滑することを特徴
とする。
【0010】本発明では二次元の網目層からなる結晶構
造が発達して[004]位置にシャープな回折線を示
し、かつh−BN特有の網目層の規則的な積層構造の存
在を意味する[102]位置の回折線が全く又は殆ど認
められない窒化硼素を結晶性t−BNという。
【0011】他方、資源・素材学会誌Vol.105,
No2.p201,1989等にはa−BNをt−BN
であると説明している。しかし、同文献中でt−BNと
呼んでいる窒化硼素粉末のCuKα線による粉末X線回
折図はh−BNの[002]回折線の位置と隣合う[1
00]及び[101]の位置に2つのブロードな回折線
のみを示し(本明細書では、説明の便宜上窒化硼素粉末
の粉末X線回折図の回折線の位置をh−BNの回折線の
指数で表す。以下同じ)、[004]回折線の位置に回
折線が全くあるいは殆ど認められない。上記a−BNの
粉末X線回折図は図1に示したa−BNの粉末X線回折
図と同様のものであり、上記a−BNをt−BNである
とするのは適当でない。
【0012】窒化硼素は黒鉛等の他の固体潤滑剤と比べ
て化学的に安定であり、空気中では1000℃近くまで
酸化ず、鉄鋼材料には焼き着きにくいという特徴があ
る。図1、図2及び図3に、a−BN粉末、h−BN粉
末及び結晶性t−BN微粉末の粉末X線回折図の例をそ
れぞれ示す。窒化硼素を900℃以下の低温で合成する
と、図1に示すように、粉末X線回折図のh−BNの
[002]の位置と、隣接する[100]及び[10
1]の位置に対応する位置とに幅の広い(ブロードな)
2つの回折線を示すa−BN粉末が得られる。このa−
BN粉末を1050℃より高い温度で熱処理すると結晶
化が始まる。結晶化が進むとh−BNの[002]回折
線に対応する回折線が半価幅が小さく、強いピークの回
折線に変化する。このとき同時に[004]回折線も半
価幅が小さくシャープな回折線として現れる。
【0013】
【発明の実施の形態】なお、本願において、数値範囲の
記載は、上、下限のみでなく、その中間の任意の値を代
表するものとする。特に少なくとも所定範囲の10分の
1単位の任意の値を包含するものとする。結晶性t−B
N微粉末は、具体的には、無水硼酸、尿素及び任意成分
として硼酸ナトリウム等の硼酸アルカリを含む混合原料
を非酸化性雰囲気に保持した反応容器中で加熱し、11
00℃以下(好ましくは950℃以下)で反応させてa
−BNを生成させ、次いで(必要に応じ硼酸アルカリの
共存する状態で)1200〜1500℃(好ましくは1
200〜1400℃、より好ましくは1250〜135
0℃)で加熱し、結晶性t−BNに結晶化させることに
よって高収率で合成できる。得られた反応物を(好まし
くは熱水で)水洗(必要に応じ酸洗をも含む)して精製
し、アルカリや酸化硼素等の可溶性成分を除けば、一次
粒子の平均粒径が1μm以下の結晶性t−BN微粉末を
高収率で製造でき、安価に量産できる。なお、1450
℃以上(特に1500℃以上に温度を上げれば、h−B
N化が始まり、さらに高温にすれば、h−BNが任意の
量比で生成する。この合成方法によれば、結晶化させる
温度と時間を変化させることによって一次粒子の粒径を
変化させることができ、h−BNと結晶性t−BNが種
々の割合で共存する窒化硼素微粉末を合成することがで
きる。この新規な合成方法は先に出願された特願平9−
21052号に説明済みであり、必要に応じその詳細
は、本願に引用をもって援用される。
【0014】上記により合成され、精製された結晶性t
−BN微粉末は通常粒径が1μm以下の微細な一次粒子
が凝集した二次粒子となっているが、強制的に分散させ
れば大部分が一次粒子である結晶性t−BN微粉末の分
散体とすることができる。分散は必要に応じ(ジルコニ
ア質等の)セラミックスのビーズやボールを粉砕メディ
アとするアトリションミル、ボールミル、その他(2本
式又は3本式を含む)ロール式の剪断性ミル等を用いて
の湿式粉砕、或いはジェットミル等の乾式粉砕により、
たとえば平均粒径が1μm以下(好ましくは平均粒径が
0.5μm以下、0.3μm以下、さらには0.1μm
以下)の微細な一次粒子にまで解砕、かつ解離できる。
この結晶性t−BN微粉末にはa−BN粉末に見られる
ような吸湿性がなく、安定で耐酸化性もある。前述の製
造方法によれば、h−BNについても同様な粒度分布を
有する微粉末の提供が可能であり、h−BNを部分的に
含有する主として結晶性t−BNからなる結晶性窒化硼
素微粉末も量産可能である。h−BNへの結晶化は、結
晶性t−BNをさらに1500℃以上(好ましくは約1
850℃程度まで、さらには1600〜1800℃、1
750〜1800℃など)で所定時間熱処理することに
より、工業的に実現できる。この製造方法により得られ
るh−BN微粉末及び結晶性t−BN微粉末の一次粒子
はいずれも劈開性を有する微細な結晶からなり、h−B
N微粉末及び結晶性t−BN微粉末、特に結晶性t−B
N微粉末は一層優れた固体潤滑性を示す。
【0015】本発明の特定の視点においてエンジン潤滑
油に分散させる窒化硼素微粉末を一次粒子の平均粒径が
1μm以下の微粉末とする理由は、窒化硼素微粉末が微
細であればあるほど狭小な空間に入り込みやすく、エン
ジン潤滑油としての機能を発揮しやすいためである。油
中に分散させる窒化硼素微粉末の一次粒子の平均粒径は
細かい方が潤滑性に優れており、特には0.5μm以
下、0.3μm以下、或いは0.2μm以下、さらには
0.1μm以下のものが好ましい。特に結晶性t−BN
の微細な一次粒子は二次粒子を形状してもその凝集力が
それほど大きくなく、エンジン潤滑油としての使用時の
剪断力により次第に一次粒子又はより小さな二次粒子に
解離して分散するので、一次粒子の粒径の小さなものを
用いれば良好なエンジン潤滑油としての機能を発揮でき
る。二次粒子の粒径の目安としては、さらに、必要に応
じエンジンオイルストレーナの網目が目詰まりしないよ
う考慮して定めればよく、通例10μm以下であればよ
いと考えられる。
【0016】また、エンジン潤滑油中に分散させた窒化
硼素微粉末は、結晶性t−BN微粉末を50重量%以上
含む窒化硼素微粉末であるのが好ましい。本発明にいう
結晶性t−BN微粉末とは、典型的には、二次元の網目
層の結晶化が進んでいてh−BN結晶の[002]位置
と[004]位置にある回折線に対応する回折線の半価
幅がいずれも小さい(CuKα線で得られる粉末X線回
折図の2θが約 °にある[004]回折線の半価幅
が0.6°以下)シャープな回折線となっている一方、
積層構造に規則性があることを示すh−BN結晶に特有
の[102]回折線が殆ど又は全く認められず、h−B
Nの[100]回折線と「101」回折線に対応する回
折線が一つの回折線(t−BNの[10]回折線)とな
っているものを特に意図する。このt−BNの[10]
回折線の高角度側が漸減するパターンのX線回折線とな
っていることは、二次元の結晶化が進んでいるけれど
も、六角網目層の積み重なり方(積層のパターン)に全
く規則性がない乱層構造の結晶性t−BNであることを
意味する。本発明において結晶性t−BNであるという
ことは、典型的には、h−BN結晶の粉末X線回折図の
[100]、[101]及び[102]の回折線に対応
する各回折線の占める面積(各回折線の強度に比例す
る)S100、S101及びS102の間にS102/(S100+S1
01)≦0.02の関係があるものとして数値的に規定す
ることができる。
【0017】エンジン潤滑油の油中に分散させる窒化硼
素微粉末は、たとえば分散性のよいアルコール等の媒体
を用いて湿式で分散処理した二次粒子の平均粒径が5μ
m以下(さらに3μm以下、2μm以下、より好ましく
は1μm以下)の微粉末を使用するのが好ましい。エン
ジン潤滑油中の窒化硼素微粉末の二次粒子は使用中に徐
々に解砕が進んで微細な二次粒子、さらには一次粒子と
なり、次第に一次粒子の割合が増加し、より優れた潤滑
性を発揮するようになる。したがって、初期には有る程
度大きい二次粒子を多く含む窒化硼素微粉末が分散され
たエンジン潤滑油であってもよい。本発明のエンジン潤
滑油に用いる結晶性t−BN微粉末としては、一次粒子
の平均粒径が0.5μm以下、0.2μm以下、さらに
は0.1μm以下(ナノメータオーダー)と極めて細か
く、均一な粒度分布(粒径が揃った)を有するものが好
適である。
【0018】結晶性t−BN微粉末は、乾いた微粉末の
ままでも潤滑性を示すが、エンジン潤滑油では窒化硼素
微粉末を潤滑がなされる狭小な局所に送り込めるように
油と混合して油中に分散させる。但し、粉体のままBN
微粉末を貯蔵し、必要に応じて油中に分散、混合して用
いることもできる。エンジン潤滑油の油としては、石油
系の油、分散性が良好なエステル類の合成油又は石油系
の油とエステル類の合成油の混合油を用いることがで
き、油は使用の目的と条件によって最適な組み合わせを
選定すればよい。
【0019】なお、実用保存形態としては、添加用潤滑
剤(ないしマスター液)として、高濃度に分散した状態
で取扱うことができ、マスター液を所定量通常のエンジ
ンオイルに添加することによって、実際のエンジン潤滑
を行うことができる。しかし、当初からエンジンオイル
中に所定のBN微粉末を分散含有させておくこともでき
る。添加用潤滑剤としての分散状態は、エンジンオイル
への添加時に易分散性を確保できること、沈降、凝集が
生じないこと、流動性が確保できること、等を考慮して
定めればよく、BNの濃度に特に制限はない。添加用潤
滑剤中のBN量は有効量以上でおよそ、70重量%ま
で、好ましくは0.1〜50重量%、1〜30重量%等
がその目安であるが、用いる液剤の粒度及び分散剤等の
性能、量比によってこの範囲は適宜可変であり、またB
Nの濃度は使用目的に応じて選定することができる。
【0020】結晶性t−BNないしh−BNは安定であ
るため、本発明のエンジン潤滑油の油には、市販されて
いるエンジン潤滑油をそのまま使用できる。窒化硼素微
粉末を安定な懸濁状態に保てるように、エンジン潤滑油
には分散剤として、非イオン界面活性剤、陰イオン界面
活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、油溶性
界面活性剤から選ばれる1種以上を添加するのが好まし
い。市販のエンジン潤滑油には使用時に潤滑油中に生成
する燃焼生成物の生成と凝集をを抑制したり、潤滑特性
を向上させる等の目的で添加される分散剤、清浄剤、酸
化防止剤、腐食防止剤、さび止め剤、油性剤、極圧添加
剤、油膜強化剤、摩耗防止剤、流動点降下剤、粘度指数
向上剤、あわ消し剤などの各種添加剤が含まれており、
本発明のエンジン潤滑油についても、酸化防止剤、粘度
指数向上剤、腐敗防止剤、防錆剤、極圧添加剤、あわ消
し剤から選ばれる1種以上を添加するのが好ましい。
【0021】窒化硼素微粉末、特に微細である結晶性t
−BN微粉末を油中に均一に分散させるには、上述の分
散剤あるいは界面活性剤を添加してホモジナイザーで高
速撹拌したり、ロールで練ったり、ボールミルやアトリ
ションミル中で剪断力の作用下に混合粉砕するのが好ま
しい。エンジン潤滑油は、好ましくは濃い窒化硼素微粉
末の懸濁液の状態に予め調製して保存しておき、使用に
際して必要とする濃度となるように油で薄めて使用する
と運搬や保存に際して嵩張らないので便利である。本発
明のエンジン潤滑油では、窒化硼素微粉末は微細な結晶
粉末であるほど少量の添加でも優れた潤滑性を発揮す
る。
【0022】二次元の結晶構造が発達した結晶性t−B
N微粉末を懸濁させたエンジン潤滑油がh−BN微粉末
を懸濁させた潤滑油と比べて良好な潤滑特性を示す理由
は明白ではないが、少なくとも網目層の積層の規則性の
差(結晶性t−BNでは基本的にランダム)が主因であ
ると考えられる。つまり、結晶性t−BNでは六角網目
層間の結合強度がh−BN結晶の六角網目層間の結合強
度より小さいので層間で滑りやすく、あるいは層間で劈
開しやすく、結晶の六角網目層に平行な方向に方向性が
ないことから劈開性の鱗片状の結晶は網目層に平行ない
ずれの方向にも滑りやすいと考えられる。さらには、前
述の製造方法で合成される結晶性t−BN微粉末ではそ
の一次粒子が微細であり(通常平均粒径1μm以下、
0.3μm以下、さらには0.1μm以下であるナノメ
ートルオーダーの微細な一次粒子からなる粒径10μm
以下の二次粒子の微粉末として得られる)、微細であっ
て結晶性である窒化硼素の粒子ほど固体潤滑剤としての
機能を発揮しやすいからであると考えられる。
【0023】結晶性窒化硼素微粉末は、1100℃以
下、好ましくは950℃以下の低温で合成されたa−B
Nを結晶化するときの温度と時間によって種々の結晶化
の程度を有する窒化硼素微粉末が得られる。t−BNへ
の結晶化は1200〜1500℃、好ましくは1200
〜1400℃、より好ましくは1300±50℃で進行
させられる。温度をさらに上げて結晶化させれば、窒化
硼素は最終的に高温で安定なh−BNに転化する。結晶
性t−BN微粉末は1450℃以上で熱処理するとh−
BNへの転化が始まり、t−BNとh−BNが混在した
粉末になる。エンジン潤滑油中に分散させる窒化硼素微
粉末は結晶性t−BN微粉末の含有割合の多い方が優れ
た潤滑性を発揮する。優れた潤滑性を発揮させるため、
好ましくは潤滑油に含まれる窒化硼素微粉末の50重量
%以上、(70重量%以上、80重量%以上、90重量
%以上、さらに95重量%以上、99重量%以上、実質
的には全て)を結晶性t−BN微粉末とするのが好まし
い。窒化硼素微粉末中の結晶性t−BN微粉末の含有割
合は、粉末X線回折により得られる回折線の強度(回折
線の有する面積)を混合割合が既知の標準の窒化硼素混
合粉末図の粉末X線回折の強度を比較することによって
測定できる。
【0024】h−BNや結晶性t−BN微粉末は、細か
い方が少ない添加量でも良好な潤滑効果を示す。このた
め、潤滑油中の窒化硼素微粉末の二次粒子の平均粒径は
10μm以下、5μm以下、さらには2μm以下(特に
好ましくは1μm以下)とするのが好ましい。窒化硼素
微粉末をアトリションミル等のミル中で粉砕すれば、二
次粒子を主として一次粒子からなる微粉末にまで比較的
容易に解砕できる。窒化硼素微粉末の粒度分布は、例え
ば沈降法によって測定でき、本発明において平均粒径は
重量積算粒度分布の積算重量が50重量%の位置の粒径
をいう。また、一次粒子の平均粒径を求めるには、微粉
末の走査型電子顕微鏡(SEM)の拡大写真を撮影して
測定する。
【0025】窒化硼素微粉末の平均粒径(二次粒径)が
2μm以下、さらに1μm以下と細かければ、窒化硼素
微粉末の粒子の多くが一次粒子にまで微細化されてお
り、これによって潤滑油の潤滑性がさらに向上する。細
かい窒化硼素微粉末は摺動面のミクロンオーダの小さな
凹所に入り込むことができるので、エンジン潤滑油中に
は二次粒子の平均粒径が1μm以下、さらには0.5μ
m以下と細かい微粉末を分散させることによってさらに
良好な潤滑性を付与できる。
【0026】エンジン潤滑油中に分散させる窒化硼素微
粉末の量は、その使用条件によって適切で経済的な含有
量が存在するが、良好な潤滑効果を付与できるとともに
広範な使用条件をカバーできることから、エンジン潤滑
油中の窒化硼素微粉末の分散量は0.02〜50重量%
とするのが好ましい。混合量が0.02重量%以下では
得られる潤滑効果がはっきりせず、50重量%を超えて
混合すると均一な懸濁液にするのが難しくなるきらいが
ある。潤滑性をコストパーフォーマンスよく発揮させる
には、窒化硼素微粉末の混合量を0.05〜20重量
%、さらには0.1〜10重量%とするのが好ましく、
用途に応じては5重量%以下、或いは、2重量%以下、
1重量%以下でもよい。
【0027】二次元の結晶構造が発達した結晶性t−B
N微粉末は、図5のSEM拡大写真に見られるように一
次粒子の形状が略円板状又は略球形状を呈し、かつ優れ
た潤滑性能を有する。結晶性t−BN微粉末の添加がエ
ンジン潤滑油に優れた潤滑特性を付与し得ることから、
本発明の潤滑油では好ましくは潤滑油中に含まれる窒化
硼素微粉末の一次粒子の50重量%以上、さらに好まし
くは70重量%以上(さらに80重量%以上、90重量
%以上、最も好ましくは、実質的に全て)が略円板状又
は略球形状である。窒化硼素微粉末の一次粒子の形状は
SEMの拡大写真によって観察でき、前述の製造方法で
得られる結晶性t−BN微粉末の一次粒子の粒径は、通
常1μm以下と小さい。結晶性t−BN微粉末の一次粒
子がh−BNの結晶粒子のように六角板状にならないの
は、結晶性t−BNが二次元網目層の層間の積層関係に
規則性を持たないためであると理解される。
【0028】エンジン潤滑油の油は使用条件に合わせて
適切なものを選択できる。窒化硼素微粉末に対する良好
な分散性を有する油、又は分散剤を添加することによっ
て良好な分散性を付与できる油であればよく、油として
は安価な石油系の油、分散性がよいエステル類の合成油
又は石油系の油とエステル類の合成油の混合油を使用す
るのが好ましい。その一例として、市販品が安価に入手
できることから市販のエンジン潤滑油又は市販のエンジ
ン潤滑油と同等の油を使用するのが好ましい。
【0029】窒化硼素微粉末自体は油に対する分散性が
必ずしも良好であるとは言えない。また、窒化硼素微粉
末が細かくても、凝集している微粉末では安定して良好
な潤滑性を発揮できない。窒化硼素微粉末を油中に分散
させて潤滑性を発揮させるため、エンジン潤滑油中に分
散剤を添加するのが好ましい。種々の分散剤を比較検討
した結果、窒化硼素微粉末を油中に分散させるには非イ
オン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性
剤、油溶性界面活性剤が特に有用であることを認めた。
すなわち、本発明のエンジン潤滑油の分散剤としては、
非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活
性剤、油溶性界面活性剤から選ばれる1種以上を使用す
るのが好ましい。エンジン潤滑油に分散剤を添加してお
けば、油との比重差によって窒化硼素微粉末が油中で沈
降分離することがあっても再分散が容易である。これら
の分散剤の内、特に好ましい分散剤は両性界面活性剤と
油溶性界面活性剤である。
【0030】本発明のエンジン潤滑油には、使用される
条件と油の種類に応じて分散剤以外の各種の添加剤を混
合するのが好ましい。添加剤の具体的な例としては、酸
化防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、腐敗防止
剤、防錆剤、極圧添加剤及び消泡剤がある。これらの添
加剤としては、市販されているエンジン潤滑油に添加さ
れている公知の添加剤を好ましく使用できる。
【0031】
【実施例】以下、本発明のエンジン潤滑油を実施例によ
って具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の一例
であって、本発明のエンジン潤滑油は以下に説明する実
施例に限定されない。即ち、本発明のエンジン潤滑油
は、潤滑するエンジンの種類排気量、回転数、トルク、
温度その他の各種条件に併せ、その各種視点に応じて適
用可能である。
【0032】[実施例1](結晶性t−BN微粉末の製
造) [実施例1A]無水硼酸(B23)3.5kg、尿素
((NH22CO)5.3kg、硼砂(Na247
10H2O)0.63kgからなる混合物を出発材料と
し、この混合物を直径530mmの蓋付きのステンレス
鋼製反応容器に入れ、この反応容器を炉内に入れて25
0〜500℃;500〜600℃、600〜700℃、
700〜800℃、800〜900℃の多段階に各10
分かけて昇温し、900±10℃で10分間保持して反
応させた(合計1時間)。約100℃で水蒸気が噴出し
初め、200℃で部分的に成分が溶融し始め反応が進み
ぶくぶくと泡だってガスの放出が続いた。さらに350
〜400℃まで水蒸気を主として放出し、900℃に1
0分間保持したところ生成ガスの放出が減少した。この
状態で放冷して反応容器の蓋を開けて反応物を反応容器
から取り出した。このとき、反応容器中の反応物はB2
3がほぼ反応完了したことを示す乾燥したバサバサの
カルメ焼き状になっていた。反応容器中で反応物を解砕
し、真空吸引により取り出し、さらに粉砕機(クラッシ
ャー)にかけて粉砕し、1mmパスの粉末を得た(以
上、一次工程)。この生成粉末を、以下二次工程の出発
材料とする。
【0033】セラミック(アルミナ)耐火物製の蓋付き
容器(蓋は軽く閉止)に移し、蓋付き容器ごと電気炉に
装入した。電気炉にN2又はCO2を導入して非酸化性雰
囲気とし温度を常温から1300℃に10時間かけて上
げ、最後に約1300℃に2時間保持し、放冷した。
【0034】蓋付き容器から取り出した粉末を80〜8
5℃のイオン中和し交換水(熱水)で十分に攪拌粉砕し
つつ洗浄してアルカリ成分を除き、最後に酸(HCl)
で洗い中和し、さらに水洗しその後乾燥した。二次工程
の出発原料10kg当たり、洗浄後に約0.6〜0.6
5kgのt−BNが得られた。これは一次工程の出発硼
素重量に対し約28.5%以上のt−BNとなり収率は
70%以上の高率であり、しかも高純度であった。な
お、一次工程産物から二次工程の熱処理まで10〜20
%の重量ロスが認められた。
【0035】[実施例1B]実施例1Aとは別のサンプ
ルであるが、実施例1Aとほぼ同様にして得た結晶性t
−BN粉末をCuKα線による粉末X線回折で調べた。
得られた合成粉末のX線回折図を図3に示す。図2に示
す公知のh−BNのX線回折図形と、図3の粉末X線回
折図を比べると、図3の粉末X線回折図の窒化硼素は相
当t−BN結晶化が進んでいて図1のh−BNの[00
2]の回折線及び[004]回折線に対応する位置にシ
ャープな回折線が夫々約26.6°、約55°に認めら
れる。しかし、h−BNの[102]回折線に対応する
位置に回折線が認められないことが分かる。また、h−
BNの[100]回折線に対応する位置(41.55
°)にかなりシャープな回折線がある。この[100]
回折線はh−BNのシャープな[101]回折線のある
高角度側で低い[101]回折線とすそで重なってお
り、、[101]回折線は高角度側ですそを引いてやや
高まったバックグラウンドを描いている。この[10
1]回折線はシャープな突起として存在していない。こ
のことはこの合成窒化硼素粉末が結晶化が進んだ純度の
高いt−BN粉末であることを意味する。図3の粉末は
本発明にいうところの結晶性t−BN粉末の一例であ
る。
【0036】図3の粉末X線回折図の各回折線の2θの
位置と半価幅を調べたところ、[002]回折線は2
6.58°にあり、[004]回折線は55.0°にあ
り半価幅が0.47°であった。このことからh−BN
[004]相当回折線の半価幅は約0.5°以下にでき
ることがわかる。
【0037】[実施例1C]実施例1Aと同様にして得
たt−BN微粉末のサンプルSEMによる拡大写真(×
20000倍及び×10,000倍)を図5に示す。図
5のSEM写真から、このt−BN合成粉末の一次粒子
の平均粒径は約0.45μmであり、一次粒子の粒径は
実質的に0.3〜0.75μmの範囲内に存在すること
が分かる。また、この一次粒子はh−BNの一次粒子に
見られる六方晶系に特有の六角板状の結晶粒子形状を示
さず、結晶性t−BN結晶に特有と考えられる円板状
(大きなもの)ないし略球状(小さなもの)であること
を認めた。
【0038】[実施例1D]実施例1Aと同様な方法で
合成し、分散した一次粒子を多く含むt−BN粉末を種
結晶として外掛けで原料中に1重量%添加した以外は実
施例1Aと同様にしてt−BN粉末を合成した。この実
施例では、一次反応の進行も早くなり、最終生成t−B
Nの収率に一層の改善が認められた。なお、仕込み無水
硼酸に対する生成BNの収率は最高80%以上にも達す
る。
【0039】[実施例1E]実施例1Aと同様な条件で
作成したt−BN粉の分散体を作成し粒度分布測定を行
い、その結果を図4に示す。測定はHORIBA LA
−700粒径アナライザを用いて行った。その結果メジ
アン径0.30μm、粒子径1μm以下の累積95.2
%、90%粒子径は0.75μmであった。なおこの測
定では、完全な一次粒子とは言えない(かなり凝集した
まま測定される)点を留歩すると平均0.3μm以下で
あることは確実である。なお、その比表面積は23.4
2/cm3であった。なお、同様にして得た別のサンプ
ルのSEM写真を図6に示す。粒子は略円板状ないし略
球状をしており、平均一次粒子径は約0.3μmであ
り、一次粒子の粒径は実質的に0.2〜0.45μmの
ごく狭い範囲内にあることが分かる。
【0040】[実施例1F]無水硼酸と尿素の混合比を
4:9(重量比)に変え、硼砂を用いることなく、一次
工程加熱を1.5時間とし、最終温度を920〜950
℃で15分間保持し、かつ密閉容器のガス抜き孔を十分
にしぼって内部を加圧状態にした以外は実施例1A同様
にしてBNを合成した。二次工程は実施例1Aとほぼ同
様の条件で行い、洗浄も同様に行った。極めて高純度の
t−BNが得られた。そのSEM写真を図7に示す。形
状は略球形であり、平均一次粒子径は約0.25μmで
あり、一次粒子径は大部分が0.2〜0.3μmで実質
的に0.15〜0.38μm(即ち凡そ0.1〜0.4
μm)の範囲にあることが分かる。なお、無水硼酸と尿
素の混合比(重量比)は4:6〜4:9が好ましいが
4:9が最良の結果を与えた。
【0041】[実施例1G]実施例1Fと同様な条件で
作成したサンプルt−BNのX線回折図を図8に示す。
図8と図2の粉末X線回折図を比べると、図8の粉末X
線回折図の窒化硼素は相当t−BN結晶化が進んでいて
図2のh−BNの[002]の回折線及び[100]回
折線に対応する位置にシャープな回折線が夫々26.7
°、41.8°に認められる。しかし、[002]の回
折線の位置はh−BNの対応回折線位置と比べて若干高
角度側にずれており、h−BNの[102]回折線に対
応する位置(50°)に回折線が全く認められないこと
が分かる。また、h−BNの[100]回折線に対応す
る位置(41.8°)に余り高くないがシャープな回折
線がある。この回折線はh−BNの[101]回折線の
ある高角度側に肩部を経てやや長いすそを引いている
(以下(10)回折線という)が[101]回折線は明
確な突起として存在しない。このことはこの合成窒化硼
素粉末がt−BNとしての結晶化が進んだ純度の高い単
相t−BN粉末であることを意味する。図8の粉末は本
発明にいうところの高純度結晶性t−BN粉末の一例で
ある(特に0.2〜0.3μmオーダーの超サブミクロ
ンのもの)。バックグランドの低さから高純度であるこ
と、t−BN単相であることが十分うかがえる。即ち、
図3、図8の回折線共B23を示すピークは全く現れて
いない点が注目されよう。
【0042】[実施例2](エンジン潤滑油の調製及び
実用テスト) [実施例2A]エンジン潤滑油を以下のようにして調製
した。すなわち、潤滑油基油(石油系、引火点(co
c)約218℃、40℃における動粘度約27.8mm
2/s(cSt)64重量部、ポリオキシエチレンココ
ナットアルキルアミン誘導体(花王アミート102)6
重量部からなる混合液を直径10mmのアルミナボール
7.6kgとともに容量7リットルのアルミナ製ポット
ミルに入れて60rpmで1時間混合した。次に、結晶
性t−BN微粉末30重量部を同じアルミナ製ポットミ
ル容器内に追加し、60rpmで24時間混合、粉砕し
て均一に分散させた1リットル中に約30重量%の硼砂
を用いて製造した平均一次粒径0.3μmの結晶性t−
BN微粉末を含む懸濁液(マスター液)を得た。この懸
濁液を市販のエンジン潤滑油A(ペテロルブインターナ
ショナル(株)製バービスネオSJ15W−40)で約
30倍に希釈してt−BN微粉末を1.0重量%含むエ
ンジン潤滑油とした。なお、市販のエンジン潤滑油A中
には添加剤として少量の酸化防止剤、粘度指数向上剤及
び防錆剤が添加されている。
【0043】得られた結晶性t−BN微粉末入りエンジ
ン潤滑油を富士重工(株)製のセダン(車名レガシー、
排気量2,000ccのEFI−MT車)のエンジンに
入れ、同時にオイルフィルタを新品と交換して走行試験
を実施した。走行試験を15kmの高速道路走行を含む
片道約37kmの通勤ルートで行なった結果、アイドリ
ング時及び走行時、特に高速走行時には明瞭にエンジン
の回転騒音が減少するのを認めた。また、加速性が向上
したことからエンジンの馬力が向上したと判断でき、レ
ギュラーガソリン1リットル当たりの平均走行距離が
6.8km(市販のエンジン潤滑油Aの使用時)から
8.9kmに伸びた。さらに、その後引き続き同じエン
ジン潤滑油を同セダンのエンジンの潤滑に継続して使用
した結果、エンジン潤滑油自体の耐用も伸びており、2
万kmを超える走行にも耐え得ると判断された。また、
エンジン潤滑油を抜き取ってオイルフィルタを点検した
が、異常は全く認められなかった。
【0044】[実施例2B](エンジン潤滑油の調製及
び実用テスト) 硼砂を用いることなく製造した結晶性t−BN(一次粒
子径約0.25μm)を用い、この結晶性t−BN微粉
末30重量部を実施例2Aと同様にして潤滑油基油64
重量部及びポリオキシエチレンココナットアルキルアミ
ン誘導体6重量部と混合し、1リットル中に約30重量
%の結晶性t−BN微粉末を含む懸濁液(マスター液)
を得た。この懸濁液を市販のエンジン潤滑油B(日本石
油(株)製、商品名ZOA、SG、10W−30)に混
合してt−BN微粉末を1重量%含むエンジン潤滑油を
得た。このエンジン潤滑油を三菱自動車(株)製のRV
車(車名パジェロ、排気量3,500ccのECI−A
T車)のエンジンに入れ、同時にオイルフィルタを新品
と交換して走行試験を実施した。走行試験を高速道路を
多用する(約45%が高速道路である)走行区間で行な
った結果、アイドリング時及び走行時、特に高速走行時
におけるエンジンの回転騒音が明らかに減少するのを認
めた。また、エンジンの馬力が向上したことによって加
速性が向上し、市販のエンジン潤滑油B使用時のレギュ
ラーガソリンによる1リットル当たりの走行距離が6.
2kmであったのに対し、この結晶性t−BN微粉末入
りエンジン潤滑油を使用したときには走行距離が7.8
kmに伸びた。
【0045】[実施例2C](エンジン潤滑油の調製及
び実用テスト) 潤滑油基油(石油系、引火約218℃、40℃における
動粘度約27.8mm2/s(cSt))64重量部、
ポリオキシエチレンココナットアルキルアミン誘導体
(花王アミート102)6重量部からなる混合液を容量
7リットルのアルミナ製ポットミルの容器に直径10m
mのアルミナボール7.6kgとともに入れて60rp
mで1時間混合した。次に、例3と同手順で合成して精
製し、実施例2Aと同様にして30重量%の結晶性t−
BN微粉末が油中に均一に分散した懸濁液(マスター
液)を得た。
【0046】この懸濁液を市販のディーゼルエンジン潤
滑油C(日本石油(株)製の商品名ZOAディーゼルR
V、CF−SAE15W−40、添加剤として酸化防止
剤、粘度指数向上剤及び防錆剤を含む)に混合して結晶
性t−BN微粉末を1重量%含むエンジン潤滑油を得
た。この結晶性t−BN微粉末入りエンジン潤滑油をト
ヨタ自動車(株)製の小型貨物車(ハイラックスピック
アップ、排気量2,800ccのターボチャージャ付き
MT車)のディ−ゼルエンジンに入れ、同時にオイルフ
ィルタを新品と交換して走行試験を実施した。走行試験
を高速道路を多用する(約20%が高速道路である)走
行区間で行なった結果、アイドリング時及び走行時、特
に高速走行時におけるエンジンの回転騒音が明らかに減
少するのを認めた。また、加速性が向上した他、市販の
ディーゼルエンジン潤滑油Cを使用したときの軽油1リ
ットル当たりの走行距離が9.5kmであったのに対
し、本発明の結晶性t−BN微粉末入りエンジン潤滑油
を使用したときには走行距離が10.9kmに伸びた。
【0047】
【発明の効果】従来の窒化硼素の合成技術では、結晶性
t−BN微粉末は勿論、h−BN粉末についても歩留り
よく安価に提供できる量産方法が存在しなかった。この
ためh−BN粉末についても値段が高く、潤滑油として
の応用も極く限られた用途のみに限定されていた。しか
し、前述の合成技術が確立されたことによってh−BN
粉末は勿論、特に固体潤滑性に優れた結晶性t−BN微
粉末を安価に量産して提供できるようになった。本発明
は前記合成技術の確立を契機として従来知られていない
t−BN微粉末の新用途への展開、本発明ではエンジン
潤滑油に応用し、エンジン潤滑油への結晶性t−BN微
粉末の添加によって顕著な効果が得られることを確認し
た。すなわち、本発明のエンジン潤滑油をエンジンの潤
滑に使用すれば、エンジンの回転騒音が明らかに低減す
ると同時に、燃料1リットル当たりの走行距離(燃費)
が顕著に伸び、エンジン潤滑油自体の耐用寿命が延長
し、エンジン潤滑油によるエンジンの冷却効果について
も問題がないことを確認した。これらの試験結果に基づ
けば、エンジン本体の耐久性も当然延長されるはずであ
る。よって本発明の結晶性t−BN微粉末入りエンジン
潤滑油をエンジンの潤滑に使用することによって、エン
ジン内部における摩擦抵抗を顕著に低減でき、エンジン
の回転騒音の低減によって特に起動時や加速時、さらに
は高速走行時における車室内の静粛性を顕著に向上させ
られ、燃費とエンジンの耐用を顕著に向上させられるこ
とになる。かくて本発明のエンジン潤滑油の産業上の利
用価値は多大である。さらに、本発明の潤滑油は、ベア
リング、ギア、その他の回転ないし摺動部材に対する一
般的潤滑油としても優れた性能を発揮することは言うま
でもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のa−BN微粉末の一例の粉末X線回折図
である。
【図2】従来のh−BN粉末の一例の粉末X線回折図で
ある。
【図3】本発明のエンジン潤滑油に添加される結晶性t
−BN微粉末の一例の粉末X線回折図である。
【図4】本発明のエンジン潤滑油に添加される結晶性t
−BN微粉末の一例の粒度分布グラフである。
【図5】本発明のエンジン潤滑油に添加される結晶性t
−BN微粉末の一例の走査型電子顕微鏡(SEM)によ
る拡大写真である。
【図6】本発明のエンジン潤滑油に添加される結晶性t
−BN微粉末の他の一例の走査型電子顕微鏡(SEM)
による拡大写真である。
【図7】本発明のエンジン潤滑油に添加される結晶性t
−BN微粉末の他の一例の走査型電子顕微鏡(SEM)
による拡大写真である。
【図8】本発明のエンジン潤滑油に添加される結晶性t
−BN微粉末の他の一例の粉末X線回折図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10N 20:06 30:06 30:08 40:02 40:04 40:25

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油中に結晶性乱層構造の窒化硼素微粉末を
    有効量分散して含有することを特徴とするエンジン潤滑
    油。
  2. 【請求項2】油中に一次粒子の平均粒径が1μm以下の
    結晶性乱層構造の窒化硼素微粉末及び一次粒子の平均粒
    径が1μm以下の六方晶系の窒化硼素微粉末を分散して
    含有しており、窒化硼素微粉末の50重量%以上が結晶
    性乱層構造の窒化硼素微粉末であることを特徴とするエ
    ンジン潤滑油。
  3. 【請求項3】油中に分散している窒化硼素微粉末の一次
    粒子の平均粒径が0.5μm以下である請求項1又は2
    に記載のエンジン潤滑油。
  4. 【請求項4】油中に分散している窒化硼素微粉末の量が
    0.02〜50重量%である請求項1〜3のいずれかに
    記載のエンジン潤滑油。
  5. 【請求項5】電子顕微鏡で観察される前記窒化硼素微粉
    末の一次粒子の50重量%以上が略球形状又は略円板形
    状を有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の
    エンジン潤滑油。
  6. 【請求項6】油が石油系の油、エステル類の合成油又は
    石油系の油とエステル類の合成油の混合油である請求項
    1〜5のいずれかに記載のエンジン潤滑油。
  7. 【請求項7】油中に窒化硼素微粉末の分散剤として非イ
    オン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活
    性剤、両性界面活性剤、油溶性界面活性剤から選ばれる
    1種以上が添加されている請求項1〜6のいずれかに記
    載のエンジン潤滑油。
  8. 【請求項8】油中に酸化防止剤、粘度指数向上剤、流動
    点降下剤、腐敗防止剤、防錆剤、極圧添加剤及び泡消し
    剤から選ばれる1種以上が添加されている請求項1〜7
    のいずれかに記載のエンジン潤滑油。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載のエンジン
    潤滑油を使用することを特徴とするエンジンの潤滑方
    法。
  10. 【請求項10】市販のエンジン潤滑油に混合して有効量
    の結晶性乱層構造の窒化硼素微粉末を含有するエンジン
    潤滑油とするための、結晶性乱層構造窒化硼素微粉末を
    油中に高濃度に分散させたことを特徴とするエンジンの
    潤滑剤。
  11. 【請求項11】有効量の結晶性乱層構造窒化硼素微粉末
    を油中に分散して潤滑を行うことを特徴とするエンジン
    の潤滑方法。
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