JPH10330953A - 被膜付き軸受用鋼線材及びその製造方法 - Google Patents
被膜付き軸受用鋼線材及びその製造方法Info
- Publication number
- JPH10330953A JPH10330953A JP15782397A JP15782397A JPH10330953A JP H10330953 A JPH10330953 A JP H10330953A JP 15782397 A JP15782397 A JP 15782397A JP 15782397 A JP15782397 A JP 15782397A JP H10330953 A JPH10330953 A JP H10330953A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weight
- wire
- phosphate
- bearing
- steel wire
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Rolling Contact Bearings (AREA)
- Chemical Treatment Of Metals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ベアリング転動体を製造する際に、圧造ヘッ
ドのカス詰まりが生じにくく、しかも線材に対する防錆
効果にも優れる被膜付き軸受用鋼線材を提供する。 【解決手段】 被膜付き軸受用鋼線材1は、該線材基体
1aの表面が、カルシウムイオンを0.1〜0.5重量
%、亜鉛イオン1.0〜3.0重量%を含有し、かつ亜
鉛イオンに対するカルシウムイオンの重量比が0.1〜
0.5であるりん酸塩被膜20で覆われ、さらにその上
が潤滑被膜21で覆われる。潤滑被膜21は、炭素数1
6以上の飽和脂肪酸60〜90重量%と、炭素数18の
不飽和脂肪酸10〜40重量%とを石けんの構成脂肪酸
とし、かつ水分を除く固形分の組成が、消石灰70〜9
0重量%、カルシウム石けん7〜20重量%、アルカリ
石けん2〜10重量%である石灰石けんを主体に構成さ
れ、これに防錆添加剤として、亜硝酸塩を0.01〜
0.1重量%、金属の可溶性塩を0.01〜0.1重量
%含有する。
ドのカス詰まりが生じにくく、しかも線材に対する防錆
効果にも優れる被膜付き軸受用鋼線材を提供する。 【解決手段】 被膜付き軸受用鋼線材1は、該線材基体
1aの表面が、カルシウムイオンを0.1〜0.5重量
%、亜鉛イオン1.0〜3.0重量%を含有し、かつ亜
鉛イオンに対するカルシウムイオンの重量比が0.1〜
0.5であるりん酸塩被膜20で覆われ、さらにその上
が潤滑被膜21で覆われる。潤滑被膜21は、炭素数1
6以上の飽和脂肪酸60〜90重量%と、炭素数18の
不飽和脂肪酸10〜40重量%とを石けんの構成脂肪酸
とし、かつ水分を除く固形分の組成が、消石灰70〜9
0重量%、カルシウム石けん7〜20重量%、アルカリ
石けん2〜10重量%である石灰石けんを主体に構成さ
れ、これに防錆添加剤として、亜硝酸塩を0.01〜
0.1重量%、金属の可溶性塩を0.01〜0.1重量
%含有する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被膜付き軸受用鋼
線材及びその製造方法に関する。
線材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ベアリング転動体は、以下のよう
にして製造されている。まず、図13に示すように、熱
間圧延により製造された軸受用鋼線材(以下単に線材と
記す)101をカッター102により所定の寸法に切断
し、その切断片103を圧造ヘッド104により球状等
の所定形状に成形する。そして、その成形体108に研
磨加工を施すことにより、所定の寸法精度を有する最終
的なベアリング転動体に仕上げられる。ここで、原料と
なる線材は、その断面寸法精度が高いほど、成型後の形
状を最終製品の形状に近付けることができ、結果として
研磨に要する時間及びコストを削減することができるの
で、例えば図14に示すように、熱間圧延された線材1
01に対し、引抜きダイス105により伸線加工するこ
とにより線材を所定の断面寸法範囲で冷間引抜加工によ
りサイジング伸線し、その後、図15に示すように、圧
造ヘッド104を用いて、図16に示す各種形状のベア
リング転動体30へ加工することが行われている。
にして製造されている。まず、図13に示すように、熱
間圧延により製造された軸受用鋼線材(以下単に線材と
記す)101をカッター102により所定の寸法に切断
し、その切断片103を圧造ヘッド104により球状等
の所定形状に成形する。そして、その成形体108に研
磨加工を施すことにより、所定の寸法精度を有する最終
的なベアリング転動体に仕上げられる。ここで、原料と
なる線材は、その断面寸法精度が高いほど、成型後の形
状を最終製品の形状に近付けることができ、結果として
研磨に要する時間及びコストを削減することができるの
で、例えば図14に示すように、熱間圧延された線材1
01に対し、引抜きダイス105により伸線加工するこ
とにより線材を所定の断面寸法範囲で冷間引抜加工によ
りサイジング伸線し、その後、図15に示すように、圧
造ヘッド104を用いて、図16に示す各種形状のベア
リング転動体30へ加工することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記サイジ
ング伸線は、熱間圧延された線材を適切な条件により焼
鈍して脱スケールを行い、さらにりん酸塩皮膜処理及び
石灰石けんによる潤滑処理を施した後に行われる。この
うち、石灰石けんによる潤滑処理は、サイジング伸線時
の潤滑を促進し、かつ被膜によるカス詰まりを防止する
目的で実施されるのであるが、近年はベアリング転動体
の加工精度の向上も進んでおり、さらにカス詰まりの起
こしにくい潤滑皮膜の開発が望まれている。
ング伸線は、熱間圧延された線材を適切な条件により焼
鈍して脱スケールを行い、さらにりん酸塩皮膜処理及び
石灰石けんによる潤滑処理を施した後に行われる。この
うち、石灰石けんによる潤滑処理は、サイジング伸線時
の潤滑を促進し、かつ被膜によるカス詰まりを防止する
目的で実施されるのであるが、近年はベアリング転動体
の加工精度の向上も進んでおり、さらにカス詰まりの起
こしにくい潤滑皮膜の開発が望まれている。
【0004】また、サイジング伸線とベアリング転動体
の製造は、通常は別工程で行われるため、潤滑皮膜処理
された線材は一時的に保管されることがある。したがっ
て、潤滑皮膜は防錆性を有していなければならない。そ
こで、一般には潤滑皮膜を形成させた後、さらに防錆油
を塗布して防錆性を付与している。しかしながらこの方
法では、防錆油の塗布工程が別途必要となるので工程が
長くなる問題がある。
の製造は、通常は別工程で行われるため、潤滑皮膜処理
された線材は一時的に保管されることがある。したがっ
て、潤滑皮膜は防錆性を有していなければならない。そ
こで、一般には潤滑皮膜を形成させた後、さらに防錆油
を塗布して防錆性を付与している。しかしながらこの方
法では、防錆油の塗布工程が別途必要となるので工程が
長くなる問題がある。
【0005】また、軸受用鋼線材は、線材サプライア側
でサイジング伸線が予め施された後出荷される場合と、
サイジング伸線が施されずに出荷される場合との2通り
がある。後者の場合は、ユーザ側であるベアリングメー
カ等でサイジング伸線が施されることとなる。この場
合、サイジング伸線を施した状態では、りん酸塩皮膜及
び潤滑被膜が線材表面に密着して防錆性が向上するの
で、比較的長期の保管も可能であるが、サイジング伸線
を施さない線材は、被膜の密着性が若干劣るために発錆
びが起こりやすい傾向にある。
でサイジング伸線が予め施された後出荷される場合と、
サイジング伸線が施されずに出荷される場合との2通り
がある。後者の場合は、ユーザ側であるベアリングメー
カ等でサイジング伸線が施されることとなる。この場
合、サイジング伸線を施した状態では、りん酸塩皮膜及
び潤滑被膜が線材表面に密着して防錆性が向上するの
で、比較的長期の保管も可能であるが、サイジング伸線
を施さない線材は、被膜の密着性が若干劣るために発錆
びが起こりやすい傾向にある。
【0006】また、実操業においては、線材は、所定の
前処理酸洗を施した後に、りん酸塩化成処理、水洗処
理、及び石灰石けん液による潤滑処理が順次行われる。
この場合、りん酸塩処理後に十分に水洗を行ったとして
も、一部のりん酸塩化成処理液が石灰石けん液に持ち込
まれるため、石灰石けん液に塩素イオンが蓄積し、防錆
性がさらに低下してしまう問題がある。また、従来よ
り、本発明が対象とする軸受用鋼線材は化成処理が困難
な材質とみなされており、現状の化成処理液で得られる
りん酸塩皮膜は、例えばベアリング転動体への加工時に
脱落して型詰まりを起こしやすい問題もある。
前処理酸洗を施した後に、りん酸塩化成処理、水洗処
理、及び石灰石けん液による潤滑処理が順次行われる。
この場合、りん酸塩処理後に十分に水洗を行ったとして
も、一部のりん酸塩化成処理液が石灰石けん液に持ち込
まれるため、石灰石けん液に塩素イオンが蓄積し、防錆
性がさらに低下してしまう問題がある。また、従来よ
り、本発明が対象とする軸受用鋼線材は化成処理が困難
な材質とみなされており、現状の化成処理液で得られる
りん酸塩皮膜は、例えばベアリング転動体への加工時に
脱落して型詰まりを起こしやすい問題もある。
【0007】また、サイジング伸線工程及びその後に続
くベアリング製造工程を問題なく行うためには、防錆の
問題以外に、ベアリング転動体形状に圧造加工する際の
変形抵抗が大きくなり過ぎないように、サイジング伸線
後の線材の硬度を適切なものに調整することも重要であ
る。例えば、軸受用鋼として代表的なものに、高炭素ク
ロム軸受用鋼がある。これは、炭素含有量が0.95〜
1.10重量%と高く、その他、Si:0.70重量%
以下のMn:1.15重量%以下、Cr:0.90〜
1.60重量%、場合によりMo:0.10一0.25
重量%という組成を有しており、熱処理後は外表面だけ
でなく内部も硬さがかなり大きいものとなる。
くベアリング製造工程を問題なく行うためには、防錆の
問題以外に、ベアリング転動体形状に圧造加工する際の
変形抵抗が大きくなり過ぎないように、サイジング伸線
後の線材の硬度を適切なものに調整することも重要であ
る。例えば、軸受用鋼として代表的なものに、高炭素ク
ロム軸受用鋼がある。これは、炭素含有量が0.95〜
1.10重量%と高く、その他、Si:0.70重量%
以下のMn:1.15重量%以下、Cr:0.90〜
1.60重量%、場合によりMo:0.10一0.25
重量%という組成を有しており、熱処理後は外表面だけ
でなく内部も硬さがかなり大きいものとなる。
【0008】そして、従来、このような高炭素クロム軸
受用鋼線材を製造するに際しては、高炭素クロム軸受用
鋼圧延材に、まず炭化物を球状化するための球状化焼鈍
を施し、次いで、酸洗・被膜処理したのち冷間引抜加工
によるサイジング伸線を行う。ここで、線材の寸法精度
確保という観点からサイジング伸線時の線材の減面率を
設定した場合、サイジング前の線材の硬度によっては、
サイジング後に線材の硬度が上昇し過ぎて圧造加工が困
難になってしまうことがある。このような問題が、例え
ば線材サプライア側で生じた場合は、線材に再焼鈍を行
って硬度を調整することも可能であるが、ユーザ側でサ
イジング伸線を行う場合は通常はやり直しが利かず、そ
のままベアリング転動体への圧造加工を行って加工装置
を痛めたり、あるいは圧造加工の断念を強いられるなど
問題はかなり大きくなる。
受用鋼線材を製造するに際しては、高炭素クロム軸受用
鋼圧延材に、まず炭化物を球状化するための球状化焼鈍
を施し、次いで、酸洗・被膜処理したのち冷間引抜加工
によるサイジング伸線を行う。ここで、線材の寸法精度
確保という観点からサイジング伸線時の線材の減面率を
設定した場合、サイジング前の線材の硬度によっては、
サイジング後に線材の硬度が上昇し過ぎて圧造加工が困
難になってしまうことがある。このような問題が、例え
ば線材サプライア側で生じた場合は、線材に再焼鈍を行
って硬度を調整することも可能であるが、ユーザ側でサ
イジング伸線を行う場合は通常はやり直しが利かず、そ
のままベアリング転動体への圧造加工を行って加工装置
を痛めたり、あるいは圧造加工の断念を強いられるなど
問題はかなり大きくなる。
【0009】さらに、圧造加工に支障をきたさないよう
にするためには、表面に傷等の欠陥がなるべく存在しな
い線材を使用する必要がある。ここで、軸受用鋼線材は
従来、例えば下注ぎ鋳造により製造したインゴットを素
材としてこれに圧延を施すことにより製造されていた。
しかしながら、上述のインゴットは、鋳型に対し湯面を
上昇させながら溶湯を鋳込んで製造されるため鋳肌が荒
れやすく、これを圧延して得られる線材表面にも傷等の
欠陥が生じやすい。そこで、現状では、製造される線材
の全長に亙って渦流探傷を行い、傷保証を行った形で線
材の供出がなされているが、その探傷工程実施のために
設備及び工数増加の問題が生ずることはいうまでもな
い。
にするためには、表面に傷等の欠陥がなるべく存在しな
い線材を使用する必要がある。ここで、軸受用鋼線材は
従来、例えば下注ぎ鋳造により製造したインゴットを素
材としてこれに圧延を施すことにより製造されていた。
しかしながら、上述のインゴットは、鋳型に対し湯面を
上昇させながら溶湯を鋳込んで製造されるため鋳肌が荒
れやすく、これを圧延して得られる線材表面にも傷等の
欠陥が生じやすい。そこで、現状では、製造される線材
の全長に亙って渦流探傷を行い、傷保証を行った形で線
材の供出がなされているが、その探傷工程実施のために
設備及び工数増加の問題が生ずることはいうまでもな
い。
【0010】本発明の第一の課題は、ベアリング転動体
を圧造等により製造する際に、圧造ヘッドのカス詰まり
が生じにくく、しかも線材に対する防錆効果にも優れる
被膜付き軸受用鋼線材とその製造方法を提供することに
ある。また、第二の課題は、上記第一の課題に加え、サ
イジング伸線による加工硬化が生じても、ベアリング転
動体への圧造加工等に不適切な程度にまで線材の硬度が
上昇してしまう問題が起こりにい被膜付き軸受用鋼線材
及びその製造方法を提供することにある。
を圧造等により製造する際に、圧造ヘッドのカス詰まり
が生じにくく、しかも線材に対する防錆効果にも優れる
被膜付き軸受用鋼線材とその製造方法を提供することに
ある。また、第二の課題は、上記第一の課題に加え、サ
イジング伸線による加工硬化が生じても、ベアリング転
動体への圧造加工等に不適切な程度にまで線材の硬度が
上昇してしまう問題が起こりにい被膜付き軸受用鋼線材
及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上述の課
題を解決するために、本発明の被膜付き軸受用鋼線材
は、軸受用鋼で構成された線材基体と、該線材基体の表
面と接してこれを覆うように形成され、カルシウムイオ
ンを0.1〜0.5重量%、亜鉛イオン1.0〜3.0
重量%を含有し、かつ亜鉛イオンに対するカルシウムイ
オンの重量比が0.1〜0.5であるりん酸塩被膜と、
線材基体とは反対側から上記りん酸塩皮膜と接してこれ
を覆うように形成され、炭素数16以上の飽和脂肪酸6
0〜90重量%と、炭素数18の不飽和脂肪酸10〜4
0重量%とを石けんの構成脂肪酸とし、かつ水分を除く
固形分の組成が、消石灰70〜90重量%、カルシウム
石けん7〜20重量%、アルカリ石けん2〜10重量%
である石灰石けんを主体に構成され、これに防錆添加剤
として、亜硝酸塩を0.01〜0.1重量%、金属の可
溶性塩を0.01〜0.1重量%含有する潤滑被膜とを
含むことを特徴とする。
題を解決するために、本発明の被膜付き軸受用鋼線材
は、軸受用鋼で構成された線材基体と、該線材基体の表
面と接してこれを覆うように形成され、カルシウムイオ
ンを0.1〜0.5重量%、亜鉛イオン1.0〜3.0
重量%を含有し、かつ亜鉛イオンに対するカルシウムイ
オンの重量比が0.1〜0.5であるりん酸塩被膜と、
線材基体とは反対側から上記りん酸塩皮膜と接してこれ
を覆うように形成され、炭素数16以上の飽和脂肪酸6
0〜90重量%と、炭素数18の不飽和脂肪酸10〜4
0重量%とを石けんの構成脂肪酸とし、かつ水分を除く
固形分の組成が、消石灰70〜90重量%、カルシウム
石けん7〜20重量%、アルカリ石けん2〜10重量%
である石灰石けんを主体に構成され、これに防錆添加剤
として、亜硝酸塩を0.01〜0.1重量%、金属の可
溶性塩を0.01〜0.1重量%含有する潤滑被膜とを
含むことを特徴とする。
【0012】また、該被膜付き軸受用鋼線材の製造方法
は、下記の工程を含むことを特徴とする。 化成処理工程:カルシウムイオン0.3〜1.2重量
%、亜鉛イオン0.3〜1.2重量%、りん酸イオン
0.5〜3.0重量%、及び硝酸イオン2.0〜5.0
重量%を含有し、亜鉛イオンに対するカルシウムイオン
の重量比が0.5〜1.5であり、化成促進剤として塩
素酸イオンを0.05〜0.4重量%含有するりん酸塩
化成処理液により、上記線材基体の表面を化成処理し
て、当該表面にりん酸塩被膜を形成する。 潤滑剤処理工程:上記化成処理工程の後、炭素数16
以上の飽和脂肪酸60〜90重量%と、炭素数18の不
飽和脂肪酸10〜40重量%とを構成脂肪酸とし、かつ
水分を除く固形分の組成が、消石灰70〜90重量%、
カルシウム石けん7〜20重量%、アルカリ石けん2〜
10重量%である石灰石けんと、0.01〜5.0重量
%の防錆添加剤としての亜硝酸塩と、0.01〜5.0
重量%の金属の可溶性塩とを含有する石灰石けん液で軸
受用鋼線材の表面を潤滑剤処理することにより、該表面
において前記りん酸塩被膜の上に、上記石灰石けんを主
体とする潤滑被膜を形成する。
は、下記の工程を含むことを特徴とする。 化成処理工程:カルシウムイオン0.3〜1.2重量
%、亜鉛イオン0.3〜1.2重量%、りん酸イオン
0.5〜3.0重量%、及び硝酸イオン2.0〜5.0
重量%を含有し、亜鉛イオンに対するカルシウムイオン
の重量比が0.5〜1.5であり、化成促進剤として塩
素酸イオンを0.05〜0.4重量%含有するりん酸塩
化成処理液により、上記線材基体の表面を化成処理し
て、当該表面にりん酸塩被膜を形成する。 潤滑剤処理工程:上記化成処理工程の後、炭素数16
以上の飽和脂肪酸60〜90重量%と、炭素数18の不
飽和脂肪酸10〜40重量%とを構成脂肪酸とし、かつ
水分を除く固形分の組成が、消石灰70〜90重量%、
カルシウム石けん7〜20重量%、アルカリ石けん2〜
10重量%である石灰石けんと、0.01〜5.0重量
%の防錆添加剤としての亜硝酸塩と、0.01〜5.0
重量%の金属の可溶性塩とを含有する石灰石けん液で軸
受用鋼線材の表面を潤滑剤処理することにより、該表面
において前記りん酸塩被膜の上に、上記石灰石けんを主
体とする潤滑被膜を形成する。
【0013】上述の組成のりん酸塩被膜と潤滑被膜とを
有した本発明の被膜付き軸受用鋼線材(以下、単に被膜
付き線材という)は、ベアリング転動体への圧造加工時
において型詰り等が生じにくくなり、また保管中に線材
に錆を生ずる等の不具合も解消される。そして、本発明
者らは、上記範囲で塩素酸イオンを含むりん酸塩化成処
理液で化成処理を行うことにより、従来化成処理が困難
とみなされていた軸受用鋼線材に良好なりん酸塩皮膜を
形成することができ、さらに2種類の防錆添加剤、具体
的には0.01〜5.0重量%の亜硝酸塩と、0.01
〜5.0重量%の金属の可溶性塩とを含有する石灰石け
ん液で潤滑剤処理することにより、防錆性に優れる潤滑
皮膜を形成させることが可能となり、ひいては上記本発
明の被膜付き軸受用鋼線材を確実かつ能率よく製造でき
ることを見い出したのである。また、線材に対する潤滑
剤処理は、コイル状の線材をまとめて処理するバッチ方
式で行われることがあり、その線材結束部処理液がゆき
わたらずに防錆性等に問題が生ずることがある。しかし
ながら上述の組成の潤滑剤処理液は、線材結束部に対す
る浸透性に優れ、そのような問題点も解消される。
有した本発明の被膜付き軸受用鋼線材(以下、単に被膜
付き線材という)は、ベアリング転動体への圧造加工時
において型詰り等が生じにくくなり、また保管中に線材
に錆を生ずる等の不具合も解消される。そして、本発明
者らは、上記範囲で塩素酸イオンを含むりん酸塩化成処
理液で化成処理を行うことにより、従来化成処理が困難
とみなされていた軸受用鋼線材に良好なりん酸塩皮膜を
形成することができ、さらに2種類の防錆添加剤、具体
的には0.01〜5.0重量%の亜硝酸塩と、0.01
〜5.0重量%の金属の可溶性塩とを含有する石灰石け
ん液で潤滑剤処理することにより、防錆性に優れる潤滑
皮膜を形成させることが可能となり、ひいては上記本発
明の被膜付き軸受用鋼線材を確実かつ能率よく製造でき
ることを見い出したのである。また、線材に対する潤滑
剤処理は、コイル状の線材をまとめて処理するバッチ方
式で行われることがあり、その線材結束部処理液がゆき
わたらずに防錆性等に問題が生ずることがある。しかし
ながら上述の組成の潤滑剤処理液は、線材結束部に対す
る浸透性に優れ、そのような問題点も解消される。
【0014】なお、本発明の効果が特に顕著に発揮され
るのは、高炭素クロム軸受用鋼線材である。高炭素クロ
ム軸受用鋼としては、例えばJIS4805に規定され
ている下記のものを使用することができる(以下、括弧
内はFeに対する添加元素の含有量、単位:重量%):
SUJl(C:0.95〜1.10、Si:0.15〜
0.35、Mn:<0.50、Cr:0.90〜1.2
0);SUJ2(C:0.95〜1.10、Si:0.
15〜0.35、Mn:<0.50、Cr:1.30〜
1.60);SUJ3(C:0.95〜1.10、S
i:0.15〜0.35、Mn:0.90〜1.15、
Cr:0.90〜1.20);SUJ4(C:0.95
〜1.10、Si:0.15〜0.35、Mn:<0.
50、Cr:1.30〜1.60、Mo:0.10〜
0.25);SUJ5(C:0.95〜1.10、S
i:0.15〜0.35、Mn:0.90〜1.15、
Cr:0.90〜1.20、Mo:0.10〜0.2
5)。
るのは、高炭素クロム軸受用鋼線材である。高炭素クロ
ム軸受用鋼としては、例えばJIS4805に規定され
ている下記のものを使用することができる(以下、括弧
内はFeに対する添加元素の含有量、単位:重量%):
SUJl(C:0.95〜1.10、Si:0.15〜
0.35、Mn:<0.50、Cr:0.90〜1.2
0);SUJ2(C:0.95〜1.10、Si:0.
15〜0.35、Mn:<0.50、Cr:1.30〜
1.60);SUJ3(C:0.95〜1.10、S
i:0.15〜0.35、Mn:0.90〜1.15、
Cr:0.90〜1.20);SUJ4(C:0.95
〜1.10、Si:0.15〜0.35、Mn:<0.
50、Cr:1.30〜1.60、Mo:0.10〜
0.25);SUJ5(C:0.95〜1.10、S
i:0.15〜0.35、Mn:0.90〜1.15、
Cr:0.90〜1.20、Mo:0.10〜0.2
5)。
【0015】以下、本発明の詳細について記載する。ま
ず、りん酸塩被膜においてカルシウムイオンはりん酸亜
鉛カルシウム皮膜の主成分となるものである。該被膜中
のカルシウムイオンの含有量が0.1重量%未満である
と、強加工に適したりん酸亜鉛カルシウムが生成し難く
なり、りん酸亜鉛及びりん酸亜鉛鉄を主成分とする皮膜
が生成するので、りん酸塩皮膜量が多くなり、圧造時の
型詰まりが生じ易い。また、カルシウムイオンの含有量
が0.5重量%を越える場合は皮膜量が少なくなりすぎ
るため、サイジング伸線や圧造加工において潤滑不良を
生じる恐れがある。それ故、りん酸塩被膜中のカルシウ
ムイオンの含有量は上記範囲で調整され、より望ましく
は0.2〜0.4重量%の範囲で調整される。また、そ
の形成に使用されるりん酸塩化成処理液において、その
カルシウムイオンの供給源は特に限定はしないが、水酸
化物や硝酸塩の形で処理液に添加する。好ましい濃度は
0.3〜1.2重量%である。該濃度を外れると、得ら
れるりん酸塩被膜中のカルシウム濃度を上述の範囲内で
調整することができなくなる。
ず、りん酸塩被膜においてカルシウムイオンはりん酸亜
鉛カルシウム皮膜の主成分となるものである。該被膜中
のカルシウムイオンの含有量が0.1重量%未満である
と、強加工に適したりん酸亜鉛カルシウムが生成し難く
なり、りん酸亜鉛及びりん酸亜鉛鉄を主成分とする皮膜
が生成するので、りん酸塩皮膜量が多くなり、圧造時の
型詰まりが生じ易い。また、カルシウムイオンの含有量
が0.5重量%を越える場合は皮膜量が少なくなりすぎ
るため、サイジング伸線や圧造加工において潤滑不良を
生じる恐れがある。それ故、りん酸塩被膜中のカルシウ
ムイオンの含有量は上記範囲で調整され、より望ましく
は0.2〜0.4重量%の範囲で調整される。また、そ
の形成に使用されるりん酸塩化成処理液において、その
カルシウムイオンの供給源は特に限定はしないが、水酸
化物や硝酸塩の形で処理液に添加する。好ましい濃度は
0.3〜1.2重量%である。該濃度を外れると、得ら
れるりん酸塩被膜中のカルシウム濃度を上述の範囲内で
調整することができなくなる。
【0016】次に、亜鉛イオンもりん酸塩皮膜の主成分
となる。該被膜中の亜鉛イオンの含有量が1.0重量%
以下であると、りん酸亜鉛、りん酸亜鉛鉄、りん酸亜鉛
カルシウムの何れの皮膜も生成し難くなり、サイジング
伸線や圧造加工において潤滑不良が生じ、さらに防錆性
も悪くなる。また、亜鉛イオンの含有量が3.0重量%
を越えると、りん酸亜鉛型カルシウム皮膜が生成し難く
なり、圧造時の型詰まりが生じやすくなる。それ故、り
ん酸塩被膜中の亜鉛イオンの含有量は上記範囲で調整さ
れ、より望ましくは1.5〜2.5重量%の範囲で調整
される。また、その形成に使用されるりん酸塩化成処理
液において、その亜鉛イオンの供給源は特に限定はしな
いが、一般には酸化亜鉛、硝酸亜鉛のような形で処理液
に添加する。
となる。該被膜中の亜鉛イオンの含有量が1.0重量%
以下であると、りん酸亜鉛、りん酸亜鉛鉄、りん酸亜鉛
カルシウムの何れの皮膜も生成し難くなり、サイジング
伸線や圧造加工において潤滑不良が生じ、さらに防錆性
も悪くなる。また、亜鉛イオンの含有量が3.0重量%
を越えると、りん酸亜鉛型カルシウム皮膜が生成し難く
なり、圧造時の型詰まりが生じやすくなる。それ故、り
ん酸塩被膜中の亜鉛イオンの含有量は上記範囲で調整さ
れ、より望ましくは1.5〜2.5重量%の範囲で調整
される。また、その形成に使用されるりん酸塩化成処理
液において、その亜鉛イオンの供給源は特に限定はしな
いが、一般には酸化亜鉛、硝酸亜鉛のような形で処理液
に添加する。
【0017】上記りん酸塩化成処理液において、りん酸
イオンはりん酸亜鉛、りん酸亜鉛鉄、りん酸亜鉛カルシ
ウム皮膜生成の必須の成分であり、その供給源は限定さ
れないが、一般にオルソりん酸として処理液に添加す
る。好ましい濃度は0.5〜3.0重量%である。りん
酸イオンの濃度が0.5以下であるとりん酸塩皮膜が生
成し難くなる。また、3.0重量%を越える場合は化成
処理液の酸性度が高くなりすぎるため、りん酸塩皮膜が
生成し難くなる。
イオンはりん酸亜鉛、りん酸亜鉛鉄、りん酸亜鉛カルシ
ウム皮膜生成の必須の成分であり、その供給源は限定さ
れないが、一般にオルソりん酸として処理液に添加す
る。好ましい濃度は0.5〜3.0重量%である。りん
酸イオンの濃度が0.5以下であるとりん酸塩皮膜が生
成し難くなる。また、3.0重量%を越える場合は化成
処理液の酸性度が高くなりすぎるため、りん酸塩皮膜が
生成し難くなる。
【0018】また、硝酸イオンは化成促進剤として添加
される。これもその供給源は限定されないが、一般的に
硝酸の形でりん酸塩化成処理液に添加する。好ましい濃
度は2.0〜5.0重量%である。硝酸イオンの濃度が
2.0重量%未満であると酸化力が弱くなるので皮膜が
生成し難くなり、5.0重量%を越えると酸化力が強す
ぎてりん酸塩皮膜が生成し難くなる。
される。これもその供給源は限定されないが、一般的に
硝酸の形でりん酸塩化成処理液に添加する。好ましい濃
度は2.0〜5.0重量%である。硝酸イオンの濃度が
2.0重量%未満であると酸化力が弱くなるので皮膜が
生成し難くなり、5.0重量%を越えると酸化力が強す
ぎてりん酸塩皮膜が生成し難くなる。
【0019】一方、塩素酸イオンも化成促進剤として化
成処理液に添加され、軸受用鋼の化成性を向上させるの
に有効である。供給源は限定しないが、一般に塩素酸ソ
ーダの形でりん酸塩化成処理液に添加する。好ましい濃
度は0.05重量%〜0.4重量%である。塩素酸イオ
ンの濃度が0.05重量%未満であるとりん酸塩皮膜量
が多くなり、圧造加工において型詰まりが生じ易くな
る。逆に0.4重量%を越えると酸化力が強すぎてりん
酸塩皮膜が生成し難くなる。
成処理液に添加され、軸受用鋼の化成性を向上させるの
に有効である。供給源は限定しないが、一般に塩素酸ソ
ーダの形でりん酸塩化成処理液に添加する。好ましい濃
度は0.05重量%〜0.4重量%である。塩素酸イオ
ンの濃度が0.05重量%未満であるとりん酸塩皮膜量
が多くなり、圧造加工において型詰まりが生じ易くな
る。逆に0.4重量%を越えると酸化力が強すぎてりん
酸塩皮膜が生成し難くなる。
【0020】また、上記りん酸塩被膜中での亜鉛イオン
に対するカルシウムイオンの重量比は0.1〜0.5で
あることが必要である。重量比が0.1未満である場合
は強加工に適したりん酸亜鉛カルシウム皮膜が生成し難
くなる。逆に0.5を越えると、皮膜重量が少なくなり
すぎてサイジング伸線や圧造加工での潤滑不良を生じや
すい。なお、上記重量比を0.1〜0.5とするため
に、りん酸塩化成処理液中の亜鉛イオンに対するカルシ
ウムイオンの重量比は0.5〜1.5とする。
に対するカルシウムイオンの重量比は0.1〜0.5で
あることが必要である。重量比が0.1未満である場合
は強加工に適したりん酸亜鉛カルシウム皮膜が生成し難
くなる。逆に0.5を越えると、皮膜重量が少なくなり
すぎてサイジング伸線や圧造加工での潤滑不良を生じや
すい。なお、上記重量比を0.1〜0.5とするため
に、りん酸塩化成処理液中の亜鉛イオンに対するカルシ
ウムイオンの重量比は0.5〜1.5とする。
【0021】次に、潤滑皮膜においては、亜硝酸塩を
0.01〜0.1重量%、金属の可溶性塩を0.01〜
0.1重量%含有していることが重要である。これによ
り被膜の防錆性が飛躍的に向上し、例えば塩素混入によ
る発錆が極めて起こりにくくなる。また、従来行ってい
た防錆油の塗布等も不要となる。亜硝酸塩の含有量が
0.01重量%未満では防錆性がほとんどなく、0.1
重量%を越えて添加すると石灰石けんの潤滑性能が損な
われ、サイジング伸線や圧造加工における潤滑不良を生
じる。また、金属の可溶性塩の含有量についても、0.
01重量%未満では防錆性がほとんどなく、0.1重量
%を越えて添加すると石灰石けんの潤滑性能が損なわれ
る。この場合、亜硝酸塩及び金属の可溶性塩を上述の範
囲のものとするために、その形成に使用される石灰石け
ん液中の亜硝酸塩の添加量は0.01〜5.0重量%
の、同じく金属の可溶性塩の添加量は0.01〜5.0
重量%とする必要がある。なお、必要十分な防錆性を確
保するために、潤滑被膜中の防錆添加剤の絶対量は、線
材基体の表面の単位面積当りに換算して0.001g/
m2以上、望ましくは0.003g/m2以上とするのが
よい。
0.01〜0.1重量%、金属の可溶性塩を0.01〜
0.1重量%含有していることが重要である。これによ
り被膜の防錆性が飛躍的に向上し、例えば塩素混入によ
る発錆が極めて起こりにくくなる。また、従来行ってい
た防錆油の塗布等も不要となる。亜硝酸塩の含有量が
0.01重量%未満では防錆性がほとんどなく、0.1
重量%を越えて添加すると石灰石けんの潤滑性能が損な
われ、サイジング伸線や圧造加工における潤滑不良を生
じる。また、金属の可溶性塩の含有量についても、0.
01重量%未満では防錆性がほとんどなく、0.1重量
%を越えて添加すると石灰石けんの潤滑性能が損なわれ
る。この場合、亜硝酸塩及び金属の可溶性塩を上述の範
囲のものとするために、その形成に使用される石灰石け
ん液中の亜硝酸塩の添加量は0.01〜5.0重量%
の、同じく金属の可溶性塩の添加量は0.01〜5.0
重量%とする必要がある。なお、必要十分な防錆性を確
保するために、潤滑被膜中の防錆添加剤の絶対量は、線
材基体の表面の単位面積当りに換算して0.001g/
m2以上、望ましくは0.003g/m2以上とするのが
よい。
【0022】上記潤滑被膜に含有される亜硝酸塩は、例
えば亜硝酸ナトリウムや亜硝酸バリウム等を使用するこ
とができる。また、上記金属の可溶性塩としては、コバ
ルト、ニッケル、亜鉛、マンガン、モリブデン、チタ
ン、バナジウム、及びタングステンの中から選ばれる、
少なくとも1種の金属の塩を用いることができる。これ
らはアルカリ金属塩やアンモニウム塩として石灰石けん
液に添加することが好ましい。
えば亜硝酸ナトリウムや亜硝酸バリウム等を使用するこ
とができる。また、上記金属の可溶性塩としては、コバ
ルト、ニッケル、亜鉛、マンガン、モリブデン、チタ
ン、バナジウム、及びタングステンの中から選ばれる、
少なくとも1種の金属の塩を用いることができる。これ
らはアルカリ金属塩やアンモニウム塩として石灰石けん
液に添加することが好ましい。
【0023】また、上記潤滑被膜の形成に使用される石
灰石けんは、構成脂肪酸全量に対する炭素数18の不飽
和脂肪酸の量が10重量%未満の場合、液の線材結束部
への浸透性が不足して該場所での防錆性、あるいは仕上
がり線材表面の均一性及び光沢性が不充分となる。一
方、炭素数18の不飽和脂肪酸の量が40重量%を超え
ると、潤滑性が損なわれて焼付きが生じやすくなる。ま
た、炭素数16以上の飽和脂肪酸の量を60〜90重量
%とすることで潤滑性を損なうことなく、線材結束部の
防錆性及び仕上がり線材表面の光沢を向上させることが
できる。
灰石けんは、構成脂肪酸全量に対する炭素数18の不飽
和脂肪酸の量が10重量%未満の場合、液の線材結束部
への浸透性が不足して該場所での防錆性、あるいは仕上
がり線材表面の均一性及び光沢性が不充分となる。一
方、炭素数18の不飽和脂肪酸の量が40重量%を超え
ると、潤滑性が損なわれて焼付きが生じやすくなる。ま
た、炭素数16以上の飽和脂肪酸の量を60〜90重量
%とすることで潤滑性を損なうことなく、線材結束部の
防錆性及び仕上がり線材表面の光沢を向上させることが
できる。
【0024】次に、水分を除く固形分については、消石
灰が70重量%未満ではキャリア効果が低下し、逆に9
0重量%を越えると滑り性が低下するので好ましくな
い。また、カルシウム石けんが7重量%未満ではキャリ
ア効果が不十分で、20重量%を超えると相対的に消石
灰分が減少し、キャリア効果が低下する。さらに、アル
カリ石けんが2重量%未満では線材結束部で錆が発生し
やすく、10重量%を超えるとキャリア効果が低下して
焼付きを起こしやすくなる。
灰が70重量%未満ではキャリア効果が低下し、逆に9
0重量%を越えると滑り性が低下するので好ましくな
い。また、カルシウム石けんが7重量%未満ではキャリ
ア効果が不十分で、20重量%を超えると相対的に消石
灰分が減少し、キャリア効果が低下する。さらに、アル
カリ石けんが2重量%未満では線材結束部で錆が発生し
やすく、10重量%を超えるとキャリア効果が低下して
焼付きを起こしやすくなる。
【0025】りん酸塩皮膜の形成量は、3〜9g/m2
の範囲で調整するのがよい。りん酸塩皮膜の形成量が3
g/m2未満になると、サイジング伸線あるいは圧造加
工において潤滑不良が生じやすく、9g/m2を越える
と圧造加工において型詰まりが生じ易くなる。りん酸塩
皮膜の形成量は、望ましくは5〜7g/m2の範囲で調
整するのがよい。また、潤滑皮膜の形成量は0.5〜3
g/m2の範囲で調整するのがよい。潤滑皮膜の形成量
が0.5g/m2未満ではサイジング伸線において潤滑
不良となり易く、3g/m2を超える場合は圧造加工に
おいて型詰まりが生じ易い。なお、潤滑皮膜の形成量
は、望ましくは1〜2g/m2の範囲で調整するのがよ
い。
の範囲で調整するのがよい。りん酸塩皮膜の形成量が3
g/m2未満になると、サイジング伸線あるいは圧造加
工において潤滑不良が生じやすく、9g/m2を越える
と圧造加工において型詰まりが生じ易くなる。りん酸塩
皮膜の形成量は、望ましくは5〜7g/m2の範囲で調
整するのがよい。また、潤滑皮膜の形成量は0.5〜3
g/m2の範囲で調整するのがよい。潤滑皮膜の形成量
が0.5g/m2未満ではサイジング伸線において潤滑
不良となり易く、3g/m2を超える場合は圧造加工に
おいて型詰まりが生じ易い。なお、潤滑皮膜の形成量
は、望ましくは1〜2g/m2の範囲で調整するのがよ
い。
【0026】次に、上記被膜付き線材の線材基体は、そ
のロックウェルBスケール硬さ(本明細書で以下、単に
「硬さ」という場合にはこのロックウェルBスケール硬
さを意味するものとする)がHRB92以下である軸受用
鋼で構成するのがよい。そして、このような硬さを有す
る本発明の被膜付き線材に、減面率が3〜30%の仕上
サイジング伸線(以下、単にサイジング伸線という)を
冷間引抜加工により行えば、そのロックウェルBスケー
ル硬さがHRB90〜98である被膜付き軸受用鋼冷間引
抜加工線材(以下、単に引抜加工線材という)を得るこ
とができる。
のロックウェルBスケール硬さ(本明細書で以下、単に
「硬さ」という場合にはこのロックウェルBスケール硬
さを意味するものとする)がHRB92以下である軸受用
鋼で構成するのがよい。そして、このような硬さを有す
る本発明の被膜付き線材に、減面率が3〜30%の仕上
サイジング伸線(以下、単にサイジング伸線という)を
冷間引抜加工により行えば、そのロックウェルBスケー
ル硬さがHRB90〜98である被膜付き軸受用鋼冷間引
抜加工線材(以下、単に引抜加工線材という)を得るこ
とができる。
【0027】引抜加工線材の硬さがHRB98を超える
と、ベアリング転動体を製造する際の圧造加工時の変形
抵抗が大きくなり過ぎ、例えば欠肉や割れ等が発生しや
すくなって正常な加工が困難となる問題が生ずる。一
方、硬さがHRB90未満になると線材切断時に端面形状
が乱れる不良を生じやすくなる。なお、引抜加工線材の
硬さは、望ましくはHRB92〜95の範囲で調整するの
がよい。ここで、仕上サイジング伸線時の減面率が30
%を超えると変形時の応力が大きくなり過ぎ、また不均
一変形も生じやすくなって断線等のトラブルにつながる
場合がある。一方、減面率が3%未満になると、サイジ
ング伸線後の線材の断面寸法精度を確保できなくなる場
合がある(特に、断面が楕円状の線材をサイジングする
場合など)。な、上記減面率は、より望ましくは5〜1
0%の範囲で調整するのがよい。
と、ベアリング転動体を製造する際の圧造加工時の変形
抵抗が大きくなり過ぎ、例えば欠肉や割れ等が発生しや
すくなって正常な加工が困難となる問題が生ずる。一
方、硬さがHRB90未満になると線材切断時に端面形状
が乱れる不良を生じやすくなる。なお、引抜加工線材の
硬さは、望ましくはHRB92〜95の範囲で調整するの
がよい。ここで、仕上サイジング伸線時の減面率が30
%を超えると変形時の応力が大きくなり過ぎ、また不均
一変形も生じやすくなって断線等のトラブルにつながる
場合がある。一方、減面率が3%未満になると、サイジ
ング伸線後の線材の断面寸法精度を確保できなくなる場
合がある(特に、断面が楕円状の線材をサイジングする
場合など)。な、上記減面率は、より望ましくは5〜1
0%の範囲で調整するのがよい。
【0028】サイジング伸線前の線材基体の硬さがHRB
92を超えると、上記減面率でサイジング伸線を行った
ときに、得られる引抜加工線材の硬さがHRB98を超え
てしまう恐れが生ずる。一方、高クロム軸受用鋼を線材
基体として使用する場合、サイジング伸線前の線材基体
の硬さをHRB85以下にすることは実質的に不可能であ
る。サイジング伸線前の線材基体の硬さは、望ましくは
HRB88〜90の範囲で調整するのがよい。
92を超えると、上記減面率でサイジング伸線を行った
ときに、得られる引抜加工線材の硬さがHRB98を超え
てしまう恐れが生ずる。一方、高クロム軸受用鋼を線材
基体として使用する場合、サイジング伸線前の線材基体
の硬さをHRB85以下にすることは実質的に不可能であ
る。サイジング伸線前の線材基体の硬さは、望ましくは
HRB88〜90の範囲で調整するのがよい。
【0029】なお、ロックウェルBスケール硬さがHRB
92以下とされた上記被膜付き軸受用鋼線材を製造し、
これに減面率が3〜30%の仕上サイジング伸線を冷間
引抜加工により被膜付き軸受用鋼線材に対して行った
後、再度焼鈍を行うことによりそのロックウェルBスケ
ール硬さをHRB92以下とし、これを再び線材基体とし
て、さらに化成処理工程と、潤滑剤処理工程とを順次施
すことにより、りん酸塩被膜と潤滑被膜とを該線材に形
成するようにしてもよい。
92以下とされた上記被膜付き軸受用鋼線材を製造し、
これに減面率が3〜30%の仕上サイジング伸線を冷間
引抜加工により被膜付き軸受用鋼線材に対して行った
後、再度焼鈍を行うことによりそのロックウェルBスケ
ール硬さをHRB92以下とし、これを再び線材基体とし
て、さらに化成処理工程と、潤滑剤処理工程とを順次施
すことにより、りん酸塩被膜と潤滑被膜とを該線材に形
成するようにしてもよい。
【0030】球状化焼鈍は、例えば次のような原理に基
づいて実施することができる。まず、球状化処理を行う
前の材料は、室温においては、フェライト相を主体とす
るマトリックス相中に網状あるいは層状の炭化物が析出
した、硬さの大きい組織を示す(例えば高炭素クロム軸
受用鋼の場合)。これを、オーステナイト化温度(高炭
素クロム軸受用鋼の場合、例えば723〜727℃程
度)よりも50〜90℃程度高い第一の処理温度に材料
を所定時間保持することにより、網状あるいは層状の炭
化物を、後に成長の核とすべき部分(以下、単に「核」
という)を残して固溶させ、次いで上記第一の処理温度
よりも25〜65℃程度低い第二の処理温度に所定時間
保持することにより、上記核を球状の炭化物粒子に成長
させる方法を例示できる。
づいて実施することができる。まず、球状化処理を行う
前の材料は、室温においては、フェライト相を主体とす
るマトリックス相中に網状あるいは層状の炭化物が析出
した、硬さの大きい組織を示す(例えば高炭素クロム軸
受用鋼の場合)。これを、オーステナイト化温度(高炭
素クロム軸受用鋼の場合、例えば723〜727℃程
度)よりも50〜90℃程度高い第一の処理温度に材料
を所定時間保持することにより、網状あるいは層状の炭
化物を、後に成長の核とすべき部分(以下、単に「核」
という)を残して固溶させ、次いで上記第一の処理温度
よりも25〜65℃程度低い第二の処理温度に所定時間
保持することにより、上記核を球状の炭化物粒子に成長
させる方法を例示できる。
【0031】この場合、球状化焼鈍処理後の焼鈍後の、
組織中の炭化物の平均粒径は0.1〜1.0μmとなっ
ているのがよい。炭化物の平均粒径が0.1μm未満に
なると、材料が硬化して、その硬さをHRB92以下にで
きなくなる場合がある。一方、平均粒径が1.0μmを
超えると、これをベアリング転動体の製造に使用した場
合に、その研磨工程において、粗大な炭化物の部分とマ
トリックス相の部分とで研磨量に差を生じ、表面粗度が
増大してベアリング転動体に必要な加工精度が得られな
くなる場合がある。また、炭化物の平均粒径が上述の範
囲に入っている場合、その粒径の平均値をn、標準偏差
をσとして、n−3σが0.2μm以上となっているこ
とが望ましい。n−3σが0.2μm未満になると、微
細な炭化物の量が多くなり過ぎて材料の硬さが増し、こ
れをHRB92以下に維持できなくなる場合が生ずる。
組織中の炭化物の平均粒径は0.1〜1.0μmとなっ
ているのがよい。炭化物の平均粒径が0.1μm未満に
なると、材料が硬化して、その硬さをHRB92以下にで
きなくなる場合がある。一方、平均粒径が1.0μmを
超えると、これをベアリング転動体の製造に使用した場
合に、その研磨工程において、粗大な炭化物の部分とマ
トリックス相の部分とで研磨量に差を生じ、表面粗度が
増大してベアリング転動体に必要な加工精度が得られな
くなる場合がある。また、炭化物の平均粒径が上述の範
囲に入っている場合、その粒径の平均値をn、標準偏差
をσとして、n−3σが0.2μm以上となっているこ
とが望ましい。n−3σが0.2μm未満になると、微
細な炭化物の量が多くなり過ぎて材料の硬さが増し、こ
れをHRB92以下に維持できなくなる場合が生ずる。
【0032】ここで、微細な炭化物析出を防止ないし抑
制するためには、上記第二の熱処理温度を、オーステナ
イト化温度よりも高温に設定することが有効である。従
来、高炭素クロム軸受用鋼の球状化処理は、本発明にお
ける第二の熱処理に対応する二段目の熱処理温度が、炭
化物の成長を促進するためにオーステナイト化温度の直
下付近に設定されていたが、この場合は上記分解温度か
らの過冷却により新たな炭化物が核生成し、微細な炭化
物粒子の比率が増大して、材料の硬さを前述のHRB92
以下に維持することが一般には困難となる。しかしなが
ら、上述のように第二の熱処理温度を設定すれば、新規
な核生成に伴う微細な炭化物粒子の析出が極めて起こり
にくくなり、熱処理進行に伴う炭化物の生成は、主に既
存の炭化物相を成長させる形で進行して、微細な炭化物
の析出による硬さ増大を効果的に抑制することができ、
ひいてはHRB92以下を容易に達成することができる。
制するためには、上記第二の熱処理温度を、オーステナ
イト化温度よりも高温に設定することが有効である。従
来、高炭素クロム軸受用鋼の球状化処理は、本発明にお
ける第二の熱処理に対応する二段目の熱処理温度が、炭
化物の成長を促進するためにオーステナイト化温度の直
下付近に設定されていたが、この場合は上記分解温度か
らの過冷却により新たな炭化物が核生成し、微細な炭化
物粒子の比率が増大して、材料の硬さを前述のHRB92
以下に維持することが一般には困難となる。しかしなが
ら、上述のように第二の熱処理温度を設定すれば、新規
な核生成に伴う微細な炭化物粒子の析出が極めて起こり
にくくなり、熱処理進行に伴う炭化物の生成は、主に既
存の炭化物相を成長させる形で進行して、微細な炭化物
の析出による硬さ増大を効果的に抑制することができ、
ひいてはHRB92以下を容易に達成することができる。
【0033】線材基体を構成する軸受用鋼が高炭素クロ
ム軸受用鋼である場合、その焼鈍後の硬さをHRB92以
下とするための上記球状化焼鈍の条件は、そのCr含有
量によっても異なるが、例えば前述のSUJ1、SUJ
2あるいはSUJ4の場合は、第一の熱処理を780〜
820℃(望ましくは790〜810℃)で行うのがよ
く、その保持時間は4.6〜8.6時間(望ましくは6
〜8時間)とするのがよい。第一の熱処理温度が上記温
度範囲よりも高温側に外れると、球状炭化物の核の数が
不足し、第二の熱処理時に少数の核がそれぞれ粗大に成
長し、炭化物の平均粒度が上述の望ましい範囲から大き
い側に外れてしまう問題を生じることがある。一方、低
温側に外れた場合には、ネットワーク状あるいはラメラ
状等の、好ましくない形態の炭化物が残留しやすくな
り、硬さをHRB92以下に維持できなくなる問題につな
がる。
ム軸受用鋼である場合、その焼鈍後の硬さをHRB92以
下とするための上記球状化焼鈍の条件は、そのCr含有
量によっても異なるが、例えば前述のSUJ1、SUJ
2あるいはSUJ4の場合は、第一の熱処理を780〜
820℃(望ましくは790〜810℃)で行うのがよ
く、その保持時間は4.6〜8.6時間(望ましくは6
〜8時間)とするのがよい。第一の熱処理温度が上記温
度範囲よりも高温側に外れると、球状炭化物の核の数が
不足し、第二の熱処理時に少数の核がそれぞれ粗大に成
長し、炭化物の平均粒度が上述の望ましい範囲から大き
い側に外れてしまう問題を生じることがある。一方、低
温側に外れた場合には、ネットワーク状あるいはラメラ
状等の、好ましくない形態の炭化物が残留しやすくな
り、硬さをHRB92以下に維持できなくなる問題につな
がる。
【0034】また、第二の熱処理は、730〜770℃
(望ましくは740〜760℃)で行うのがよく、その
保持時間は3.4〜4.4時間(望ましくは3.8〜
4.2時間)とするのがよい。一方、第二の熱処理温度
が高温側にずれると炭化物の成長が極めて遅くなって熱
処理の能率低下を招いたり、あるいは逆に分解が進行し
たりして、所期の炭化物組織が得られなくなる場合が生
ずる。また、低温側にずれた場合には、前述の通り新た
な炭化物の核生成により、微細な炭化物の比率が増大す
る問題につながる。なお、第二の熱処理終了後は、マル
テンサイト変態やベイナイト変態など、材料硬化の原因
となる相変態がなるべく生じないように所定の温度まで
徐冷するのがよく、例えば600℃程度の温度までを1
0℃/時間以下の冷却速度で徐冷することが望ましい。
(望ましくは740〜760℃)で行うのがよく、その
保持時間は3.4〜4.4時間(望ましくは3.8〜
4.2時間)とするのがよい。一方、第二の熱処理温度
が高温側にずれると炭化物の成長が極めて遅くなって熱
処理の能率低下を招いたり、あるいは逆に分解が進行し
たりして、所期の炭化物組織が得られなくなる場合が生
ずる。また、低温側にずれた場合には、前述の通り新た
な炭化物の核生成により、微細な炭化物の比率が増大す
る問題につながる。なお、第二の熱処理終了後は、マル
テンサイト変態やベイナイト変態など、材料硬化の原因
となる相変態がなるべく生じないように所定の温度まで
徐冷するのがよく、例えば600℃程度の温度までを1
0℃/時間以下の冷却速度で徐冷することが望ましい。
【0035】次に、線材基体は、連続鋳造で製造された
軸受用鋼素材を圧延することにより製造されたものを使
用することができる。連続鋳造においてはタンディシュ
内の溶湯からストランドを引き抜く形で圧延用の素材を
形成でき、従来のように、湯面の移動に伴う鋳肌荒れが
生じにくい。従って、これを素材として線材基体を製造
すれば、傷等の欠陥を極めて少なくすることができる。
軸受用鋼素材を圧延することにより製造されたものを使
用することができる。連続鋳造においてはタンディシュ
内の溶湯からストランドを引き抜く形で圧延用の素材を
形成でき、従来のように、湯面の移動に伴う鋳肌荒れが
生じにくい。従って、これを素材として線材基体を製造
すれば、傷等の欠陥を極めて少なくすることができる。
【0036】この場合、線材基体は、略円形断面に形成
された軸受用鋼素材に圧延を施すことにより製造された
ものを使用できる。角状断面の軸受用鋼素材は、角部の
冷却速度が他の部分よりも大きいために組織が不均一に
なりやすく、圧延中に割れ等の欠陥を生じやすい難点が
ある。しかしながら、略円形断面のものを使用すること
でそのような不均一部分が少なくなり、欠陥等の少ない
線材基体を得ることができる。
された軸受用鋼素材に圧延を施すことにより製造された
ものを使用できる。角状断面の軸受用鋼素材は、角部の
冷却速度が他の部分よりも大きいために組織が不均一に
なりやすく、圧延中に割れ等の欠陥を生じやすい難点が
ある。しかしながら、略円形断面のものを使用すること
でそのような不均一部分が少なくなり、欠陥等の少ない
線材基体を得ることができる。
【0037】なお、一般に連続鋳造では、引き抜かれた
ストランドを側方に湾曲させ、その後これを水平に送り
出すようにした形式のものが多いが、この湾曲時にスト
ランドに割れやクラックが生ずる場合がある。そこで、
水冷モールドで形成されたストランドを垂直に引き抜く
連続鋳造により製造された軸受用鋼素材を用いれば、そ
のような問題が防止でき、ひいてはさらに欠陥の少ない
線材基体を得ることができる。具体的には、そのような
連続鋳造法として、特開平3−155441号公報に記
載された方法を採用することができる。該連続鋳造の工
程においは、ストランドの凝固点を見出してその直前に
軽圧下手段を位置させ、凝固収縮を補うに足る強さの軽
圧下をストランドに対して加えるようにする。これによ
り、鋼材の垂直連続鋳造における凝固終了点直前の軽圧
下を、ストランド断面サイズや鋳造要件の変化に対応し
て、常に最適の位置で実施することが可能となる。その
結果、ストランド(軸受用鋼素材)に中心引け巣や中心
偏析が生じにくくなり、ひいてはこれを原料素材として
得られる線材基体に、さらに欠陥が生じにくくなる。
ストランドを側方に湾曲させ、その後これを水平に送り
出すようにした形式のものが多いが、この湾曲時にスト
ランドに割れやクラックが生ずる場合がある。そこで、
水冷モールドで形成されたストランドを垂直に引き抜く
連続鋳造により製造された軸受用鋼素材を用いれば、そ
のような問題が防止でき、ひいてはさらに欠陥の少ない
線材基体を得ることができる。具体的には、そのような
連続鋳造法として、特開平3−155441号公報に記
載された方法を採用することができる。該連続鋳造の工
程においは、ストランドの凝固点を見出してその直前に
軽圧下手段を位置させ、凝固収縮を補うに足る強さの軽
圧下をストランドに対して加えるようにする。これによ
り、鋼材の垂直連続鋳造における凝固終了点直前の軽圧
下を、ストランド断面サイズや鋳造要件の変化に対応し
て、常に最適の位置で実施することが可能となる。その
結果、ストランド(軸受用鋼素材)に中心引け巣や中心
偏析が生じにくくなり、ひいてはこれを原料素材として
得られる線材基体に、さらに欠陥が生じにくくなる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。図1は、本発明の被膜付き軸受用鋼
線材(以下、被膜付き線材という)の一例を模式的に示
している。すなわち、該被膜付き線材1は、軸受用鋼で
構成された線材基体1aと、該線材基体1aの表面と接
してこれを覆うように形成されたりん酸塩被膜20と、
線材基体1aとは反対側から上記りん酸塩皮膜20と接
してこれを覆うように形成された潤滑被膜21とを有す
る。りん酸塩被膜20は、カルシウムイオンを0.1〜
0.5重量%、亜鉛イオン1.0〜3.0重量%を含有
し、かつ亜鉛イオンに対するカルシウムイオンの重量比
が0.1〜0.5とされている。また、潤滑被膜21
は、炭素数16以上の飽和脂肪酸60〜90重量%と、
炭素数18の不飽和脂肪酸10〜40重量%とを石けん
の構成脂肪酸とし、かつ水分を除く固形分の組成が、消
石灰70〜90重量%、カルシウム石けん7〜20重量
%、アルカリ石けん2〜10重量%である石灰石けんを
主体に構成され、これに防錆添加剤として、亜硝酸ナト
リウムあるいは亜硝酸バリウム等の亜硝酸塩を0.01
〜0.1重量%、金属の可溶性塩を0.01〜0.1重
量%含有する。
を用いて説明する。図1は、本発明の被膜付き軸受用鋼
線材(以下、被膜付き線材という)の一例を模式的に示
している。すなわち、該被膜付き線材1は、軸受用鋼で
構成された線材基体1aと、該線材基体1aの表面と接
してこれを覆うように形成されたりん酸塩被膜20と、
線材基体1aとは反対側から上記りん酸塩皮膜20と接
してこれを覆うように形成された潤滑被膜21とを有す
る。りん酸塩被膜20は、カルシウムイオンを0.1〜
0.5重量%、亜鉛イオン1.0〜3.0重量%を含有
し、かつ亜鉛イオンに対するカルシウムイオンの重量比
が0.1〜0.5とされている。また、潤滑被膜21
は、炭素数16以上の飽和脂肪酸60〜90重量%と、
炭素数18の不飽和脂肪酸10〜40重量%とを石けん
の構成脂肪酸とし、かつ水分を除く固形分の組成が、消
石灰70〜90重量%、カルシウム石けん7〜20重量
%、アルカリ石けん2〜10重量%である石灰石けんを
主体に構成され、これに防錆添加剤として、亜硝酸ナト
リウムあるいは亜硝酸バリウム等の亜硝酸塩を0.01
〜0.1重量%、金属の可溶性塩を0.01〜0.1重
量%含有する。
【0039】次に、線材基体1aは、軸受用鋼、例えば
JIS4805にSUJ2として規定されている高炭素
クロム軸受用鋼で構成されている。線材基体1aは、そ
のロックウェルBスケール硬さがHRB85〜92、望ま
しくはHRB88〜90の範囲で調整されている。図2に
模式的に示すように、上記被膜付き線材1に対し、引抜
きダイス105を用いた冷間引抜加工により、減面率が
3〜30%の仕上サイジング伸線を行うことにより、硬
さがHRB90〜98(望ましくはHRB92〜95)であ
る被膜付き軸受鋼冷間引抜加工線材(以下、単に引抜加
工線材という)200となる。
JIS4805にSUJ2として規定されている高炭素
クロム軸受用鋼で構成されている。線材基体1aは、そ
のロックウェルBスケール硬さがHRB85〜92、望ま
しくはHRB88〜90の範囲で調整されている。図2に
模式的に示すように、上記被膜付き線材1に対し、引抜
きダイス105を用いた冷間引抜加工により、減面率が
3〜30%の仕上サイジング伸線を行うことにより、硬
さがHRB90〜98(望ましくはHRB92〜95)であ
る被膜付き軸受鋼冷間引抜加工線材(以下、単に引抜加
工線材という)200となる。
【0040】以下、被膜付き線材1の製造方法について
説明する。まず線材基体1aは、以下のように連続鋳造
で被圧延素材としての円柱状のブルームを作り、次いで
これを圧延することにより製造される。その連続鋳造方
法においては、図3に示すように、ストランド155A
の凝固完了点、すなわちシェル201内部の未凝固部分
202が消滅する点の直前に軽圧下手段154(代表的
にはピンチロール)を位置させ、凝固収縮を補うに足り
る強さの軽圧下をストランドに対して加える。このよう
な鋳造方法を実施するための装置は、例えば図4に示す
ように、断面形状が円形状とされて略円形断面のストラ
ンドを形成するための水冷モールド151とその付帯設
備、すなわち、水冷モールド151の下方に設けた引き
抜き駆動ロール152及びストランドカッター153と
から本質的に成り、水冷モールド151に金属溶湯を供
給する手段(図示せず)を備えている。水冷モールド1
51の下方には、軽圧下手段154が位置可変に設けら
れており、ストランド155Aの凝固完了点の直前で凝
固収縮を補うに足りる強さの軽圧下をストランドに加え
るようになっている。符号155Bはストランドを切断
して得た鋳片、すなわちブルームであって、これは別の
装置により次々と連び去られる。
説明する。まず線材基体1aは、以下のように連続鋳造
で被圧延素材としての円柱状のブルームを作り、次いで
これを圧延することにより製造される。その連続鋳造方
法においては、図3に示すように、ストランド155A
の凝固完了点、すなわちシェル201内部の未凝固部分
202が消滅する点の直前に軽圧下手段154(代表的
にはピンチロール)を位置させ、凝固収縮を補うに足り
る強さの軽圧下をストランドに対して加える。このよう
な鋳造方法を実施するための装置は、例えば図4に示す
ように、断面形状が円形状とされて略円形断面のストラ
ンドを形成するための水冷モールド151とその付帯設
備、すなわち、水冷モールド151の下方に設けた引き
抜き駆動ロール152及びストランドカッター153と
から本質的に成り、水冷モールド151に金属溶湯を供
給する手段(図示せず)を備えている。水冷モールド1
51の下方には、軽圧下手段154が位置可変に設けら
れており、ストランド155Aの凝固完了点の直前で凝
固収縮を補うに足りる強さの軽圧下をストランドに加え
るようになっている。符号155Bはストランドを切断
して得た鋳片、すなわちブルームであって、これは別の
装置により次々と連び去られる。
【0041】軽圧下手段154と、それを位置可変に設
ける手法は任意であるが、代表的な例には図5〜図7に
示した装置150がある。この装置は、3対のピンチロ
ール191a,191b,191cをフレーム192に
取り付け、このフレーム192を4本の垂直なガイド柱
193に沿って上下運動できるように構成したものであ
る。各ピンチロール191a,191b,191cはフ
レーム192にスライド可能に取り付けてあり、フレー
ム192に回定した油圧シリンダ194a,194b,
194cにより進退可能とされ、ストランド155Aを
前後両側からピンチして駆勒モータ195a,195
b,195cでそれぞれ駆動されて、所望の軽圧下を鋳
片に加えるようになっている。
ける手法は任意であるが、代表的な例には図5〜図7に
示した装置150がある。この装置は、3対のピンチロ
ール191a,191b,191cをフレーム192に
取り付け、このフレーム192を4本の垂直なガイド柱
193に沿って上下運動できるように構成したものであ
る。各ピンチロール191a,191b,191cはフ
レーム192にスライド可能に取り付けてあり、フレー
ム192に回定した油圧シリンダ194a,194b,
194cにより進退可能とされ、ストランド155Aを
前後両側からピンチして駆勒モータ195a,195
b,195cでそれぞれ駆動されて、所望の軽圧下を鋳
片に加えるようになっている。
【0042】ここで、フレーム192下部の4本の垂直
バ一196はモータ156の回転に伴って回転するとと
もに、該回転に伴い、各垂直バー196に設けられた雄
ねじとかみ合う雌ねじ部材157が上下に動き、これと
一体化されたピンチロール191a〜191cの上下方
向の位置を変更できるようになっている。
バ一196はモータ156の回転に伴って回転するとと
もに、該回転に伴い、各垂直バー196に設けられた雄
ねじとかみ合う雌ねじ部材157が上下に動き、これと
一体化されたピンチロール191a〜191cの上下方
向の位置を変更できるようになっている。
【0043】このように、軽圧下手段154の位置を可
変にし、材料の凝固終了点(鋼種、ストランドの断面サ
イズおよび引き抜き速度などの条件に応じて変動する)
に合わせ、最適の位置で軽圧下を実施するようにする。
凝固終了点の決定は、たとえば次のようにして行うこと
ができる。すなわち、水冷モールドを出たストランドの
シェル201の厚さDは、時間tとともに、 D=k・t1/2 ‥‥‥‥(1) の関係で増すことが知られている。そして、kの値を例
えばストランドにスパイクを打ち込んでおいて後に鋳片
を切断し、その位置で未凝固部分があったか否かを確認
するようにすれば、上式によりストランド中の凝固完了
点を推測することができる。
変にし、材料の凝固終了点(鋼種、ストランドの断面サ
イズおよび引き抜き速度などの条件に応じて変動する)
に合わせ、最適の位置で軽圧下を実施するようにする。
凝固終了点の決定は、たとえば次のようにして行うこと
ができる。すなわち、水冷モールドを出たストランドの
シェル201の厚さDは、時間tとともに、 D=k・t1/2 ‥‥‥‥(1) の関係で増すことが知られている。そして、kの値を例
えばストランドにスパイクを打ち込んでおいて後に鋳片
を切断し、その位置で未凝固部分があったか否かを確認
するようにすれば、上式によりストランド中の凝固完了
点を推測することができる。
【0044】また、超音波の伝播速度が固体中と融体中
とで異なる現象を利用して、凝固完了点を検出する技術
も確立されている。これを利用し、超音波により溶融界
面を検出する装置を軽圧下手段154に付加し、操業の
開始に当ってはストランド中の凝固完了点を見出して軽
圧下手段154をそこへ位置させて的確な軽圧下を行な
うとともに、鋼柾の変更や鋳造条件の変化に応じて凝固
完了点が変動したときは軽圧下手段154をそれに追従
させ、位置の変更を行なうようにすることが好ましい。
とで異なる現象を利用して、凝固完了点を検出する技術
も確立されている。これを利用し、超音波により溶融界
面を検出する装置を軽圧下手段154に付加し、操業の
開始に当ってはストランド中の凝固完了点を見出して軽
圧下手段154をそこへ位置させて的確な軽圧下を行な
うとともに、鋼柾の変更や鋳造条件の変化に応じて凝固
完了点が変動したときは軽圧下手段154をそれに追従
させ、位置の変更を行なうようにすることが好ましい。
【0045】次に、上述のようにして製造されたブルー
ム155Bを出発素材として公知の熱間線材圧延方法に
より、これを所定の線径の線材基体1aとする。すなわ
ち、圧延終了後、線材基体1aには球状化焼鈍処理とし
て、第一の熱処理が780〜820℃(望ましくは79
0〜810℃)で4.6〜8.6時間(望ましくは6〜
8時間)行われ、次いで第二の熱処理が730〜770
℃(望ましくは740〜760℃)で3.4〜4.4時
間(望ましくは3.8〜4.2時間)行われる。
ム155Bを出発素材として公知の熱間線材圧延方法に
より、これを所定の線径の線材基体1aとする。すなわ
ち、圧延終了後、線材基体1aには球状化焼鈍処理とし
て、第一の熱処理が780〜820℃(望ましくは79
0〜810℃)で4.6〜8.6時間(望ましくは6〜
8時間)行われ、次いで第二の熱処理が730〜770
℃(望ましくは740〜760℃)で3.4〜4.4時
間(望ましくは3.8〜4.2時間)行われる。
【0046】以下、線材基体に対する被膜形成処理につ
いて説明する。図8(a)に示すように、コイル状に巻
かれた線材基体1aに、所定の脱スケール処理及び洗浄
処理を行う。その後、線材基体1aをクレーン2等で吊
り下げながら、タンク4に建浴されたりん酸塩化成処理
液3に浸漬する。りん酸塩化成処理液3はヒーター5に
より所定の濃度、例えば70〜80℃に設定する。な
お、本発明において処理温度は上記範囲に限定されるも
のではなく、化成処理性やエネルギーコストなどを考慮
して任意に設定されるべきものである。
いて説明する。図8(a)に示すように、コイル状に巻
かれた線材基体1aに、所定の脱スケール処理及び洗浄
処理を行う。その後、線材基体1aをクレーン2等で吊
り下げながら、タンク4に建浴されたりん酸塩化成処理
液3に浸漬する。りん酸塩化成処理液3はヒーター5に
より所定の濃度、例えば70〜80℃に設定する。な
お、本発明において処理温度は上記範囲に限定されるも
のではなく、化成処理性やエネルギーコストなどを考慮
して任意に設定されるべきものである。
【0047】線材基体1aがりん酸塩化成処理液3に浸
漬されている間に、その表面近傍では、図8(b)に示
すように、線材に含有される鉄がイオンとなって溶出
し、りん酸亜鉛、りん酸亜鉛鉄、りん酸亜鉛カルシウム
が線材基体1aの表面に析出し、同図(c)に示すよう
なりん酸塩皮膜20が生成する(該状態、あるいは該状
態になりつつある線材基体を以下、線材基体1a’と記
す)。りん酸塩皮膜の形成量は、3〜9g/m2、望ま
しくは5〜7g/m2の範囲で調整するのがよい。
漬されている間に、その表面近傍では、図8(b)に示
すように、線材に含有される鉄がイオンとなって溶出
し、りん酸亜鉛、りん酸亜鉛鉄、りん酸亜鉛カルシウム
が線材基体1aの表面に析出し、同図(c)に示すよう
なりん酸塩皮膜20が生成する(該状態、あるいは該状
態になりつつある線材基体を以下、線材基体1a’と記
す)。りん酸塩皮膜の形成量は、3〜9g/m2、望ま
しくは5〜7g/m2の範囲で調整するのがよい。
【0048】なお、りん酸塩化成処理液3中の各成分の
濃度を、本発明の範囲を逸脱しない範囲で調整すること
により、りん酸塩皮膜70の形成量を少なくすることが
できる。また、処理温度を高くしても同様の効果が得ら
れる。さらに、振動発生装置2aにより振動を加えた
り、あるいはタンク4内に設けられた超音波発生装置6
により超音波を印加することにより、りん酸塩化成処理
液3と線材基体1aとの接触を防止あるいは抑制し、均
一なりん酸塩皮膜を得ることができる。
濃度を、本発明の範囲を逸脱しない範囲で調整すること
により、りん酸塩皮膜70の形成量を少なくすることが
できる。また、処理温度を高くしても同様の効果が得ら
れる。さらに、振動発生装置2aにより振動を加えた
り、あるいはタンク4内に設けられた超音波発生装置6
により超音波を印加することにより、りん酸塩化成処理
液3と線材基体1aとの接触を防止あるいは抑制し、均
一なりん酸塩皮膜を得ることができる。
【0049】また、図10に示すように、コイル状の線
材基体1a’を周方向に回転させながらりん酸塩化成処
理液3に浸漬するようにしても良い。具体的には、線材
基体1a’をクレーン2により回転可能な状態で支持
し、化成処理液タンク4内に設けられたロール10をコ
イル状の線材基体1a’の底部に接触させ、これをモー
タ11等により回転駆動することにより、線材基体1
a’をりん酸塩化成処理液3中で回転させることができ
る。
材基体1a’を周方向に回転させながらりん酸塩化成処
理液3に浸漬するようにしても良い。具体的には、線材
基体1a’をクレーン2により回転可能な状態で支持
し、化成処理液タンク4内に設けられたロール10をコ
イル状の線材基体1a’の底部に接触させ、これをモー
タ11等により回転駆動することにより、線材基体1
a’をりん酸塩化成処理液3中で回転させることができ
る。
【0050】線材基体1a’をりん酸塩化成処理液3に
浸漬して所定の時間が経過したら、液3から線材基体1
a’を引き上げ、水洗タンク、あるいはスプレー槽で水
洗を行う。なお、線材水洗後に弱アルカリ液で洗浄すれ
ば、りん酸塩化成処理液3により酸性化した線材基体1
a’の表面が中和され、以下に説明する潤滑皮膜の防錆
性がさらに向上する効果を得ることができる。
浸漬して所定の時間が経過したら、液3から線材基体1
a’を引き上げ、水洗タンク、あるいはスプレー槽で水
洗を行う。なお、線材水洗後に弱アルカリ液で洗浄すれ
ば、りん酸塩化成処理液3により酸性化した線材基体1
a’の表面が中和され、以下に説明する潤滑皮膜の防錆
性がさらに向上する効果を得ることができる。
【0051】次に、図9(a)に示すように、タンク8
中の石灰石けん液7に線材基体1a’を浸漬し、石灰石
けん皮膜を形成させる。このとき、石灰石けん液7はヒ
ーター9により所定の温度、例えば50〜60℃に設定
する。処理温度は任意に設定して良く、浸漬時間は1〜
3分程度とするのが好ましい。所定時間が経過したら線
材基体1a’を引き上げ、加熱あるいは温風吹き付け等
により、線材に付着した水分を蒸発させる。これによ
り、図9(b)に示すように、りん酸塩皮膜20上に石
灰石けんを主体とする潤滑皮膜21が形成され、図1に
示す被膜付き線材1が得られる。なお、潤滑皮膜21の
形成量は0.5〜3g/m2、望ましくは1〜2g/m2
の範囲で調整するのがよい。
中の石灰石けん液7に線材基体1a’を浸漬し、石灰石
けん皮膜を形成させる。このとき、石灰石けん液7はヒ
ーター9により所定の温度、例えば50〜60℃に設定
する。処理温度は任意に設定して良く、浸漬時間は1〜
3分程度とするのが好ましい。所定時間が経過したら線
材基体1a’を引き上げ、加熱あるいは温風吹き付け等
により、線材に付着した水分を蒸発させる。これによ
り、図9(b)に示すように、りん酸塩皮膜20上に石
灰石けんを主体とする潤滑皮膜21が形成され、図1に
示す被膜付き線材1が得られる。なお、潤滑皮膜21の
形成量は0.5〜3g/m2、望ましくは1〜2g/m2
の範囲で調整するのがよい。
【0052】なお、上述の潤滑皮膜21の形成工程は、
線材基体1a’を連続的に搬送しながら実施することも
できる。この場合の処理工程の概略を図11に示す。す
なわち、搬送される線材1を、タンク4及び8内に建浴
されたりん酸塩化成処理液3、及び石灰石けん液7に順
次通すことで、りん酸塩皮膜20及び潤滑皮膜21を形
成する。なお、10は乾燥装置である。この場合、各タ
ンク4、及び8は、例えば図12に示すように、液3
(7)を常時充満させておくための処理槽51と、処理
槽51からオーバーフローした液3(7)を受ける予備
槽52とを備え、予備槽52内の液3(7)は配管52
aを介してポンプ50aにより処理槽51内に戻され、
循環するようになっている。線材基体1a’は導入口5
2eから処理槽51内に導入され、液3(7)に接触し
てりん酸塩皮膜20あるいは潤滑皮膜21が形成された
後、同じく出口51fから排出される。
線材基体1a’を連続的に搬送しながら実施することも
できる。この場合の処理工程の概略を図11に示す。す
なわち、搬送される線材1を、タンク4及び8内に建浴
されたりん酸塩化成処理液3、及び石灰石けん液7に順
次通すことで、りん酸塩皮膜20及び潤滑皮膜21を形
成する。なお、10は乾燥装置である。この場合、各タ
ンク4、及び8は、例えば図12に示すように、液3
(7)を常時充満させておくための処理槽51と、処理
槽51からオーバーフローした液3(7)を受ける予備
槽52とを備え、予備槽52内の液3(7)は配管52
aを介してポンプ50aにより処理槽51内に戻され、
循環するようになっている。線材基体1a’は導入口5
2eから処理槽51内に導入され、液3(7)に接触し
てりん酸塩皮膜20あるいは潤滑皮膜21が形成された
後、同じく出口51fから排出される。
【0053】また、ロックウェルBスケール硬さがHRB
92以下とされた上記被膜付き軸受用鋼線材1を製造
し、これに減面率が3〜30%の仕上サイジング伸線を
冷間引抜加工により被膜付き軸受用鋼線材に対して行っ
た後、再度焼鈍を行うことによりそのロックウェルBス
ケール硬さをHRB92以下とし、これを再び線材基体1
aとして、さらに化成処理工程と、潤滑剤処理工程とを
順次施すことにより、りん酸塩被膜20と潤滑被膜21
とを該線材基体1aに形成するようにしてもよい。
92以下とされた上記被膜付き軸受用鋼線材1を製造
し、これに減面率が3〜30%の仕上サイジング伸線を
冷間引抜加工により被膜付き軸受用鋼線材に対して行っ
た後、再度焼鈍を行うことによりそのロックウェルBス
ケール硬さをHRB92以下とし、これを再び線材基体1
aとして、さらに化成処理工程と、潤滑剤処理工程とを
順次施すことにより、りん酸塩被膜20と潤滑被膜21
とを該線材基体1aに形成するようにしてもよい。
【0054】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。直
径5.5mmφの高炭素クロム軸受用鋼線材を脱スケー
ル処理した後、表1及び表2に示した組成のりん酸塩化
成処理液に80℃で10分間浸漬してリン酸塩皮膜を形
成した後、常温で1分間水洗してから、以下に述べる石
灰石けん液に60℃で2分間浸漬して石灰石けん皮膜
(潤滑皮膜)を形成させた。石灰石けん液は、以下の2
種類の石灰石けんを用いて調製した。 構成脂肪酸として、炭素数16の飽和脂肪酸(パルミ
チン酸)が23重量%、炭素数18の飽和脂肪酸(ステ
アリン酸)が48重量%、炭素数18の不飽和脂肪酸
(オレイン酸)が25重量%、その他の脂肪酸が4重量
%で構成され、かつ、水分を除く固形分中の組成が消石
灰85.6重量%、カルシウム石けん9.4重量%、ア
ルカリ石けん4.3重量%、その他の成分が0.7重量
%からなる石灰石けんを用いたもの(基本組成A)。 炭素数16の飽和脂肪酸が13重量%、炭素数18の
飽和脂肪酸(ステアリン酸)が65重量%、炭素数18
の不飽和脂肪酸(オレイン酸)が20重量%、その他の
脂肪酸が2重量%で構成され、かつ、水分を除く石灰石
けん固形分中の組成が消石灰77.1重量%、カルシウ
ム石けん17.1重量%、アルカリ石けん5.1重量
%、その他の成分が0.7重量%からなる石灰石けんを
用いたもの(基本組成B)。
径5.5mmφの高炭素クロム軸受用鋼線材を脱スケー
ル処理した後、表1及び表2に示した組成のりん酸塩化
成処理液に80℃で10分間浸漬してリン酸塩皮膜を形
成した後、常温で1分間水洗してから、以下に述べる石
灰石けん液に60℃で2分間浸漬して石灰石けん皮膜
(潤滑皮膜)を形成させた。石灰石けん液は、以下の2
種類の石灰石けんを用いて調製した。 構成脂肪酸として、炭素数16の飽和脂肪酸(パルミ
チン酸)が23重量%、炭素数18の飽和脂肪酸(ステ
アリン酸)が48重量%、炭素数18の不飽和脂肪酸
(オレイン酸)が25重量%、その他の脂肪酸が4重量
%で構成され、かつ、水分を除く固形分中の組成が消石
灰85.6重量%、カルシウム石けん9.4重量%、ア
ルカリ石けん4.3重量%、その他の成分が0.7重量
%からなる石灰石けんを用いたもの(基本組成A)。 炭素数16の飽和脂肪酸が13重量%、炭素数18の
飽和脂肪酸(ステアリン酸)が65重量%、炭素数18
の不飽和脂肪酸(オレイン酸)が20重量%、その他の
脂肪酸が2重量%で構成され、かつ、水分を除く石灰石
けん固形分中の組成が消石灰77.1重量%、カルシウ
ム石けん17.1重量%、アルカリ石けん5.1重量
%、その他の成分が0.7重量%からなる石灰石けんを
用いたもの(基本組成B)。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】上記2種類の石灰石けんの固形分を5重量
%とした液に、塩化ナトリウムにて塩素イオンを300
ppm添加し、さらに表1及び表2に示す添加物を加え
た。ただし、比較例8はりん酸塩化成処理液に塩素酸イ
オンを含有しないため、石灰石けん処理液に塩素イオン
を添加しなかった。各添加剤は亜硝酸ナトリウム、タン
グステン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、バナ
ジウム酸ナトリウム、チタン酸ナトリウムを用いた。
%とした液に、塩化ナトリウムにて塩素イオンを300
ppm添加し、さらに表1及び表2に示す添加物を加え
た。ただし、比較例8はりん酸塩化成処理液に塩素酸イ
オンを含有しないため、石灰石けん処理液に塩素イオン
を添加しなかった。各添加剤は亜硝酸ナトリウム、タン
グステン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、バナ
ジウム酸ナトリウム、チタン酸ナトリウムを用いた。
【0058】潤滑被膜の形成量は以下のようにして測定
した。すなわち、潤滑皮膜が形成された線材の重量を化
学天秤により精秤し、その後、沸騰水中に線材を30分
間浸漬した後、蒸留管内で70℃に加温した混合溶剤
(イソプロピルアルコール:ノルマルヘプタン:エチル
セルソルブ=各6:3:1)に30分間浸漬して石灰石
けん皮膜を剥離した。混合溶剤から線材を取り出した
後、線材の重量を精秤して剥離前後の重量差から石灰石
けん皮膜の形成量を算出した。測定の結果、実施例、及
び比較例の石灰石けん皮膜形成量は0.5〜1.1g/
m2であり、適切な皮膜形成量の範囲内であった。
した。すなわち、潤滑皮膜が形成された線材の重量を化
学天秤により精秤し、その後、沸騰水中に線材を30分
間浸漬した後、蒸留管内で70℃に加温した混合溶剤
(イソプロピルアルコール:ノルマルヘプタン:エチル
セルソルブ=各6:3:1)に30分間浸漬して石灰石
けん皮膜を剥離した。混合溶剤から線材を取り出した
後、線材の重量を精秤して剥離前後の重量差から石灰石
けん皮膜の形成量を算出した。測定の結果、実施例、及
び比較例の石灰石けん皮膜形成量は0.5〜1.1g/
m2であり、適切な皮膜形成量の範囲内であった。
【0059】また、りん酸塩被膜の形成量は以下のよう
にして測定した。まず、実施例、ならびに比較例の、り
ん酸塩化成処理液にて処理された線材を100mmに切
断し、切断された線材の重量を化学天秤にて精秤した。
その後、線材を5重量%濃度、80℃に加熱した無水ク
ロム酸水溶液に30分浸漬し、線材表面に生成させたり
ん酸塩皮膜を剥離した。剥離後、水道水にて十分に水洗
し、105℃のオーブンに10分間入れて乾燥させた。
乾燥後の線材重量を化学天秤にて精秤し、剥離前後の重
量差から皮膜生成量を算出した。
にして測定した。まず、実施例、ならびに比較例の、り
ん酸塩化成処理液にて処理された線材を100mmに切
断し、切断された線材の重量を化学天秤にて精秤した。
その後、線材を5重量%濃度、80℃に加熱した無水ク
ロム酸水溶液に30分浸漬し、線材表面に生成させたり
ん酸塩皮膜を剥離した。剥離後、水道水にて十分に水洗
し、105℃のオーブンに10分間入れて乾燥させた。
乾燥後の線材重量を化学天秤にて精秤し、剥離前後の重
量差から皮膜生成量を算出した。
【0060】そして、線材表面に形成された各層の組成
はEPMA(電子プローブマイクロアナリシス)により
分析した。その結果を表3及び表4に示す。
はEPMA(電子プローブマイクロアナリシス)により
分析した。その結果を表3及び表4に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】このようにして表面処理した線材を伸線
し、これを温度50℃、湿度98重量%の恒温恒湿槽に
保管して、72時間後の発錆状況を目視観察することに
より、その防錆性を以下の基準により評価した。 ○:発錆 △:点錆あり ×:20%以上の面積が発錆
し、これを温度50℃、湿度98重量%の恒温恒湿槽に
保管して、72時間後の発錆状況を目視観察することに
より、その防錆性を以下の基準により評価した。 ○:発錆 △:点錆あり ×:20%以上の面積が発錆
【0064】また、サイジング伸線後、防錆試験後の線
材の加工性の評価を以下の方法により行った。すなわ
ち、線径5.5mmφの線材1tonを、線径5.2m
mφとなるように超硬ダイスによりスピード60m/分
で引抜き加工し、加工後の線材表面を20倍のルーペで
目視観察した。加工性の評価基準は以下の通りである。 ○:良好 △:微傷発生 ×:傷発生 また、ダイスによる引抜き時のカスの発生の有無も確認
した。
材の加工性の評価を以下の方法により行った。すなわ
ち、線径5.5mmφの線材1tonを、線径5.2m
mφとなるように超硬ダイスによりスピード60m/分
で引抜き加工し、加工後の線材表面を20倍のルーペで
目視観察した。加工性の評価基準は以下の通りである。 ○:良好 △:微傷発生 ×:傷発生 また、ダイスによる引抜き時のカスの発生の有無も確認
した。
【0065】以上の結果を表3と表4とにまとめて示
す。すなわち、表3に示したように、本発明に属する被
膜組成を有する実施例1〜11の線材は防錆性に優れる
とともに、圧造時の型詰まりが生じていない。これに対
して本発明に属さない被膜組成を有する線材(表4の比
較例1〜11)は、カス詰まりの問題や防錆性に劣って
いた。
す。すなわち、表3に示したように、本発明に属する被
膜組成を有する実施例1〜11の線材は防錆性に優れる
とともに、圧造時の型詰まりが生じていない。これに対
して本発明に属さない被膜組成を有する線材(表4の比
較例1〜11)は、カス詰まりの問題や防錆性に劣って
いた。
【図1】本発明の被膜付き軸受用鋼線材の模式図。
【図2】本発明の被膜付き軸受用鋼線材の製法を示す模
式図。
式図。
【図3】本発明の被膜付き軸受用鋼線材の原料素材を製
造するための連続鋳造方法の概念図。
造するための連続鋳造方法の概念図。
【図4】その連続鋳造方法を実施するために使用される
装置の概念図。
装置の概念図。
【図5】図4の装置の要部を示す正面断面図。
【図6】図5のA−A断面図。
【図7】図5のB−B断面図。
【図8】本発明の被膜付き軸受用鋼線材の製造方法にお
ける化成処理工程の説明図。
ける化成処理工程の説明図。
【図9】同じく潤滑剤処理工程の説明と、それにより得
られる皮膜付き線材の構造例を示す断面図。
られる皮膜付き線材の構造例を示す断面図。
【図10】化成処理の変形例を示す模式図。
【図11】線材を連続に搬送しながら表面処理する場合
の実施例を示す模式図。
の実施例を示す模式図。
【図12】そのタンクの構造を示す断面模式図。
【図13】ベアリング転動体製造工程の説明図。
【図14】サイジング伸線のための工程説明図。
【図15】従来の表面処理方法により潤滑皮膜が形成さ
れた線材の問題点を説明する図。
れた線材の問題点を説明する図。
【図16】ベアリング転動体の形状例を示す斜視図。
1 被膜付き軸受用鋼線材 1a 線材基体 3 りん酸塩化成処理液 7 石灰石けん液 20 りん酸塩皮膜 21 潤滑皮膜
Claims (11)
- 【請求項1】 軸受用鋼で構成された線材基体と、 該線材基体の表面と接してこれを覆うように形成され、
カルシウムイオンを0.1〜0.5重量%、亜鉛イオン
1.0〜3.0重量%を含有し、かつ亜鉛イオンに対す
るカルシウムイオンの重量比が0.1〜0.5であるり
ん酸塩被膜と、 前記線材基体とは反対側から前記りん酸塩皮膜と接して
これを覆うように形成され、炭素数16以上の飽和脂肪
酸60〜90重量%と、炭素数18の不飽和脂肪酸10
〜40重量%とを石けんの構成脂肪酸とし、かつ水分を
除く固形分の組成が、消石灰70〜90重量%、カルシ
ウム石けん7〜20重量%、アルカリ石けん2〜10重
量%である石灰石けんを主体に構成され、これに防錆添
加剤として、亜硝酸塩を0.01〜0.1重量%、金属
の可溶性塩を0.01〜0.1重量%含有する潤滑被膜
と、 を含むことを特徴とする被膜付き軸受用鋼線材。 - 【請求項2】 前記潤滑被膜中の前記防錆添加剤の絶対
量が、前記線材基体の表面の単位面積当りに換算して
0.001g/m2以上とされた請求項1記載の被膜付
き軸受用鋼線材。 - 【請求項3】 前記可溶性塩が、コバルト、ニッケル、
亜鉛、マンガン、モリブデン、チタン、バナジウム、及
びタングステンの中から選ばれる、少なくとも1種の金
属の塩である請求項1又は2に記載の被膜付き軸受用鋼
線材。 - 【請求項4】 前記りん酸塩被膜の形成量が3〜9g/
m2であり、前記潤滑被膜の形成量が0.5〜3g/m2
である請求項1ないし3のいずれかに記載の被膜付き軸
受用鋼線材。 - 【請求項5】 前記線材基体は、そのロックウェルBス
ケール硬さがHRB92以下である軸受用鋼で構成されて
いる請求項1ないし4のいずれかに記載の被膜付き軸受
用鋼線材。 - 【請求項6】 前記線材基体は、連続鋳造で製造された
軸受用鋼素材を圧延することにより製造されたものであ
る請求項1ないし5のいずれかに記載の被膜付き軸受用
鋼線材。 - 【請求項7】 前記線材基体は、水冷モールドで形成さ
れたストランドを垂直に引き抜く連続鋳造により、略円
形断面に形成された前記軸受用鋼素材に圧延を施すこと
により製造されたものである請求項6記載の被膜付き軸
受用鋼線材。 - 【請求項8】 前記軸受用鋼素材として、前記連続鋳造
の工程において、前記ストランドの凝固点を見出してそ
の直前に軽圧下手段を位置させ、凝固収縮を補うに足る
強さの軽圧下を前記ストランドに対して加えることによ
り製造されたものが使用される請求項7記載の被膜付き
軸受用鋼線材。 - 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の被
膜付き軸受用鋼線材の製造方法であって、 カルシウムイオン0.3〜1.2重量%、亜鉛イオン
0.3〜1.2重量%、りん酸イオン0.5〜3.0重
量%、及び硝酸イオン2.0〜5.0重量%を含有し、
亜鉛イオンに対するカルシウムイオンの重量比が0.5
〜1.5であり、化成促進剤として塩素酸イオンを0.
05〜0.4重量%含有するりん酸塩化成処理液によ
り、前記線材基体の表面を化成処理して、当該表面に前
記りん酸塩被膜を形成する化成処理工程と、 その化成処理工程の後、炭素数16以上の飽和脂肪酸6
0〜90重量%と、炭素数18の不飽和脂肪酸10〜4
0重量%とを構成脂肪酸とし、かつ水分を除く固形分の
組成が、消石灰70〜90重量%、カルシウム石けん7
〜20重量%、アルカリ石けん2〜10重量%である石
灰石けんと、防錆添加剤として、0.01〜5.0重量
%の亜硝酸塩と、0.01〜5.0重量%の金属の可溶
性塩とを含有する石灰石けん液で、前記りん酸塩被膜が
形成された前記線材基体の表面を潤滑剤処理することに
より、該表面において前記りん酸塩被膜の上に、前記石
灰石けんを主体とする前記潤滑被膜を形成する潤滑剤処
理工程と、 を含むことを特徴とする被膜付き軸受用鋼線材の製造方
法。 - 【請求項10】 焼鈍後の硬さがHRB92以下となるよ
うに、前記線材基体に対し炭化物の球状化焼鈍を行う球
状化焼鈍処理工程を含む請求項9記載の被膜付き軸受用
鋼線材の製造方法。 - 【請求項11】 請求項9又は10に記載の方法によ
り、ロックウェルBスケール硬さがHRB92以下とされ
た請求項2ないし11のいずれかに記載の被膜付き軸受
用鋼線材を製造し、これに減面率が3〜30%の仕上サ
イジング伸線を冷間引抜加工により前記被膜付き軸受用
鋼線材に対して行った後、再度焼鈍を行うことによりそ
のロックウェルBスケール硬さをHRB92以下とし、こ
れを再び前記線材基体として、さらに前記化成処理工程
と、前記潤滑剤処理工程とを順次施すことにより、前記
りん酸塩被膜と前記潤滑被膜とを該線材基体に形成する
請求項9又は10に記載の被膜付き軸受用鋼線材の製造
方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15782397A JPH10330953A (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | 被膜付き軸受用鋼線材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15782397A JPH10330953A (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | 被膜付き軸受用鋼線材及びその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10330953A true JPH10330953A (ja) | 1998-12-15 |
Family
ID=15658099
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15782397A Pending JPH10330953A (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | 被膜付き軸受用鋼線材及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10330953A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US8188016B2 (en) | 2003-07-08 | 2012-05-29 | Ntn Corporation | Lubricant composition and bearing using same |
| JP2022086638A (ja) * | 2020-11-30 | 2022-06-09 | 株式会社神戸製鋼所 | 金属線材のりん酸塩化成処理方法およびりん酸塩化成処理装置 |
-
1997
- 1997-05-30 JP JP15782397A patent/JPH10330953A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US8188016B2 (en) | 2003-07-08 | 2012-05-29 | Ntn Corporation | Lubricant composition and bearing using same |
| JP2022086638A (ja) * | 2020-11-30 | 2022-06-09 | 株式会社神戸製鋼所 | 金属線材のりん酸塩化成処理方法およびりん酸塩化成処理装置 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP7433386B2 (ja) | ホットスタンピング用の熱間圧延及びコーティングされた鋼板、ホットスタンピングされ、コーティングされた鋼部品及びこれらを製造するための方法 | |
| JP7181182B2 (ja) | 平鋼製品の製造方法および平鋼製品 | |
| JP7367893B1 (ja) | 高強度鋼板、高強度鋼板を用いてなる部材、部材からなる自動車の骨格構造部品用又は自動車の補強部品、ならびに高強度鋼板及び部材の製造方法 | |
| CN104755647B (zh) | 热镀锌钢板 | |
| KR101897054B1 (ko) | 고강도 용융 아연 도금 강판 | |
| CN102084018A (zh) | 镀锌-铝铁丝及其制造方法 | |
| CN103088197A (zh) | 一种高速冷镦用轴承钢的磷皂化方法 | |
| KR102385640B1 (ko) | 용융 도금 강선 및 그 제조 방법 | |
| CN104736737A (zh) | 金属镀覆钢带的制造方法 | |
| CN110863157A (zh) | 一种不锈钢螺丝耐腐蚀加工成型工艺 | |
| JPH10330953A (ja) | 被膜付き軸受用鋼線材及びその製造方法 | |
| JP7364119B1 (ja) | 溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板を用いてなる部材、部材からなる自動車の骨格構造部品用又は自動車の補強部品、ならびに溶融亜鉛めっき鋼板及び部材の製造方法 | |
| KR102500481B1 (ko) | 인산염 처리성이 우수한 냉연강판 제조방법 및 인산염 처리성이 우수한 냉연강판 | |
| US2859145A (en) | Cold rolling of steel | |
| JP3598981B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼板及びその製造法 | |
| JP6837779B2 (ja) | 表面処理鋼線材及びその製造方法 | |
| CN117136250B (zh) | 钢板及其制造方法 | |
| US3288655A (en) | Phosphating a steel strip prior to anealing and temper rolling | |
| JP3462632B2 (ja) | 金属材料の塑性加工用水系潤滑剤組成物及びその表面処理方法 | |
| JPH1046351A (ja) | 軸受用鋼線材の表面処理方法 | |
| WO2023145146A1 (ja) | 亜鉛めっき鋼板および部材、ならびに、それらの製造方法 | |
| JP2003277959A (ja) | 化成処理性に優れる熱延鋼板およびその製造方法 | |
| JP5790540B2 (ja) | 鋼材の化成処理性の判定方法および化成処理性に優れた鋼材の製造方法 | |
| CN116997669B (zh) | 钢板及其制造方法 | |
| JP6241462B2 (ja) | Si含有熱延酸洗鋼板及びその製造方法 |