JPH10330967A - エッチング装置及び光学素子の製造方法 - Google Patents

エッチング装置及び光学素子の製造方法

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JPH10330967A
JPH10330967A JP9144801A JP14480197A JPH10330967A JP H10330967 A JPH10330967 A JP H10330967A JP 9144801 A JP9144801 A JP 9144801A JP 14480197 A JP14480197 A JP 14480197A JP H10330967 A JPH10330967 A JP H10330967A
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etching
opening
tank
membrane
partition
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JP9144801A
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Sumuto Shimizu
澄人 清水
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Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 メンブレンを有する光学素子の製造法と、そ
れに用いて好適なエッチング装置。 【解決手段】 エッチング対象物3の大きさ(及び/ま
たは形状)に応じて、開口部kの大きさ(及び/または
形状)を変更または調整可能とした、少なくとも、エッ
チング液1を収納する第1槽11と、非エッチング液2
を収納する第2槽12と、両槽の間に設けられ開口部k
を有する隔壁部材13と、開口部kよりも大きいエッチ
ング対象物3を開口部k塞いだ状態にて保持する保持部
材14であり、エッチング対象物3のエッチング面が第
2層12に収納された非エッチング液2に接触すること
なく第1槽に収納されたエッチング液1に接触し、かつ
前記エッチング面の裏面が第1層に収納されたエッチン
グ液1に接触することなく第2槽に収納された非エッチ
ング液2に接触するようにエッチング対象物3を保持で
きる保持部材14と、を有するエッチング装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メンブレンを有す
る光学素子(例えば、X線透過型素子または透過型フィ
ルター等)の製造に用いて好適なエッチング装置とメン
ブレンを有する光学素子の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】X線集光用の透過型光学素子としてゾー
ンプレートがよく用いられる。ゾーンプレートとは、例
えば図4に示すような構造を有するものであり、一般的
に膜厚1ミクロン以下の支持膜(メンブレン)32上に
X線吸収体33からなる円形回折格子のパターン33’
を配置したものである。
【0003】この支持膜32の保持には、厚さ数100
ミクロン程度のシリコンウェハ(基板)31を用いるこ
とが多い。この基板31の両面に真空薄膜形成法により
厚さ0.1 ミクロン前後の窒化シリコン膜32’、35’
を形成した後、裏面の窒化シリコン膜35’をRIE法
などによりエッチングして開口部34を有する窒化シリ
コン膜35を形成する。
【0004】基板表面上の窒化シリコン膜32’の前記
開口部34に対向する部分が支持膜(メンブレン)32
が形成される部分に相当する。前記窒化シリコン膜3
2’、35’は、減圧化学的気相成長法(LPCVD
法)等にて成膜され、この膜の膜応力を制御するために
SiとNの化学量論比を多少Siリッチに設定してい
る。
【0005】基板表面側の窒化シリコン膜32’上には
X線吸収体33からなるパターン33’を形成する。X
線吸収体33には金、タングステン、タンタル、クロ
ム、ニッケルなどがよく用いられるが、使用波長域でX
線透過率が極めて低く、また微細加工しやすい物質であ
れば何でもよい。また、パターン33’形成のための微
細加工方法は、RIE法、リフトオフ法、メッキ法、電
子線描画法など何でもよい。
【0006】その後、裏面側の窒化シリコン膜35の開
口部34において露出したシリコン基板31をエッチン
グすることにより、基板表面側の窒化シリコン膜32’
の前記開口部34の対向箇所が支持膜(メンブレン)3
2となるようにする。基板のエッチングには、アンモニ
ア、水酸化カリウム水溶液などをエッチャントとした湿
式エッチング法を用いるとよい。
【0007】水酸化カリウム水溶液は、シリコン(単結
晶)に対しては腐食性であるが、窒化シリコン膜3
2’,35に対しては非腐食性であり、この特徴を利用
し、窒化シリコン膜35をエッチングマスクとして、パ
ターン状のシリコンエッチングが可能である。即ち、前
記基板を若干加熱したエッチャント中に配置すると、開
口部34において露出したシリコン部分のみエッチング
が行われ、窒化シリコン膜35により覆われたシリコン
部分はエッチングされず、さらに基板表面側の窒化シリ
コン膜32’もエッチングされないため、基板表面側に
自立した支持膜(メンブレン)32を形成することがで
きる。
【0008】また、エッチャントの水酸化カリウム水溶
液は、シリコン単結晶の結晶軸面の違いによってエッチ
ング速度に大きな差があり、(111)面はほとんどエ
ッチングされないため、前記開口部34の幅よりも若干
狭い窒化シリコン膜32’部分が自立した支持膜(メン
ブレン)32となる。また、ゾーンプレートと同様にメ
ンブレンを有する光学素子(以下、メンブレン光学素子
と略称することがある)として、例えばX線用の各種フ
ィルター、X線透過型マスク、電子線露光用マスクなど
があり、これらもゾーンプレートと同様に、前記エッチ
ングにより製造される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、エッチン
グにより製造されるメンブレン光学素子には、いくつも
の用途があり、またメンブレン光学素子の大きさ(及び
/または形状)は、用途に応じて異なる。そのため、メ
ンブレンを有する光学素子をエッチングにより作製する
際に、作製するメンブレン光学素子の用途に応じて、エ
ッチング対象物の大きさ(及び/または形状)が異なる
ことになる。
【0010】そして従来は、新規のエッチング対象物が
出現する度に、その大きさ(及び/または形状)に対応
した新規のエッチング装置を設計、作製していた。その
ため、従来においては、新規のエッチング対象物が出現
してから、エッチングを実際に行うまでに相当の時間と
労力及び費用を要する(メンブレン光学素子作製の生産
性が非常に悪い)、エッチング装置の使用効率が悪い、
メンブレン光学素子作製の製造コストが高い、という問
題点があった。
【0011】また、前記基板をエッチャント中に配して
湿式エッチングを行うと、基板表面側の窒化シリコン膜
32’上に形成したX線吸収体パターン33’が数分の
うちに剥離したり、腐食されてしまう場合があり問題と
なっていた。即ち、かかる場合には、シリコン基板のエ
ッチングが終わった頃(例えば、400 μm厚のシリコン
基板のエッチングには約5〜6時間程度を要する)には
基板表面の窒化シリコン膜(メンブレン)32上にX線
吸収体が何も残らないという問題点があった。
【0012】また、前記方法によりメンブレンを有する
光学素子を製造すると、形成されるメンブレンが製造中
に非可逆変形を起こしたり破壊されることがあり、問題
点となっていた。本発明はかかる問題点に鑑みてなされ
たものであり、新規のエッチング対象物が出現してか
ら、エッチングを実際に行うまでの時間と労力及び費用
を低減させ(メンブレン光学素子作製の生産性を向上さ
せ)、装置の使用効率を向上させ、かつメンブレン光学
素子作製の製造コストを低減させることが可能なエッチ
ング装置と、該装置を用いて行う光学素子の製造方法を
提供することを目的とする。
【0013】さらに、本発明は、メンブレンを有する光
学素子を製造するときに問題となる、形成されるメンブ
レンの非可逆変形や破壊を防止することが可能であり、
また吸収体パターンを備えたメンブレンを有する光学素
子を製造するときに問題となる吸収体パターンの損傷を
防止することができるエッチング装置と、前記変形、破
壊、損傷を防止することができる、メンブレンを有する
光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は第一
に「少なくとも、エッチング液を収納する第1槽と、非
エッチング液を収納する第2槽と、前記第1槽及び第2
槽の間に設けられ開口部を有する隔壁部材と、前記開口
部よりも大きいエッチング対象物を前記開口部を塞いだ
状態にて保持する保持部材であり、エッチング対象物の
エッチング面が前記第2槽に収納された非エッチング液
に接触することなく前記第1槽に収納されたエッチング
液に接触し、かつ前記エッチング面の裏面が前記第1槽
に収納されたエッチング液に接触することなく前記第2
槽に収納された非エッチング液に接触するようにエッチ
ング対象物を保持できる保持部材と、を有するエッチン
グ装置であって、前記エッチング対象物の大きさ(及び
/または形状)に応じて、前記開口部の大きさ(及び/
または形状)を変更または調整可能としたエッチング装
置(請求項1)」を提供する。
【0015】また、本発明は第二に「前記隔壁部材に、
前記開口部の大きさ(及び/または形状)を変更または
調整する機構を設けるか、或いは前記隔壁部材を異なる
大きさ(及び/または形状)の開口部を有する他の隔壁
部材に交換できるようにしたことを特徴とする請求項1
記載のエッチング装置(請求項2)」を提供する。ま
た、本発明は第三に「前記隔壁部材は少なくとも、隔壁
基盤部材と、該隔壁基盤部材に固定され前記開口部を有
する隔壁補助部材と、により構成され、該隔壁補助部材
を異なる大きさ(及び/または形状)の開口部を有する
他の隔壁部材に交換できるようにしたことを特徴とする
請求項1記載のエッチング装置(請求項3)」を提供す
る。
【0016】また、本発明は第四に「前記隔壁部材は少
なくとも、隔壁基盤部材と、該隔壁基盤部材に固定され
前記開口部を有する隔壁補助部材と、により構成され、
該隔壁補助部材の開口部の大きさ(及び/または形状)
を変更または調整する機構を設けたことを特徴とする請
求項1記載のエッチング装置(請求項4)」を提供す
る。
【0017】また、本発明は第五に「前記エッチング対
象物が前記保持部材により保持された状態において、前
記エッチング液の前記第1槽への注入と前記非エッチン
グ液の前記第2槽への注入を同時に行うか、前記エッチ
ング液の前記第1槽からの排出と前記非エッチング液の
前記第2槽からの排出を同時に行うか、或いはその両方
を行う機構と、前記二液の界面位置が等しくまたは略等
しくなるように、或いは前記エッチング対象物にかかる
前記二液の圧力が等しくまたは略等しくなるように制御
する機構とを設けたことを特徴とする請求項1〜4記載
のエッチング装置(請求項5)」を提供する。
【0018】また、本発明は第六に「前記保持部材によ
り前記開口部に保持されたエッチング対象物を、そのエ
ッチング面の裏面を前記第1槽に収納されたエッチング
液に接触させることなく、かつ、前記二液の混合を阻止
した状態にて、前記二液中に配置するか、前記二液中か
ら取り出すか、或いはその両方を行うことができる機構
を設けたことを特徴とする請求項1〜4記載のエッチン
グ装置(請求項6)」を提供する。
【0019】また、本発明は第七に「前記機構は前記隔
壁部材の伸縮機構または移動機構であり、前記開口部が
前記二液中に配置された際には、開口部に保持されたエ
ッチング対象物、隔壁部材及びシ−ル部材により前記二
液の混合を阻止し、前記開口部が前記二液外に配置され
た際には隔壁部材により、或いは隔壁部材及びシ−ル部
材により、前記二液の混合を阻止することを特徴とする
請求項6記載のエッチング装置(請求項7)」を提供す
る。
【0020】また、本発明は第八に「前記二液の界面位
置が等しくまたは略等しくなるように、或いは前記エッ
チング対象物にかかる前記二液の圧力が等しくまたは略
等しくなるように制御する機構を設けたことを特徴とす
る請求項6または7記載のエッチング装置(請求項
8)」を提供する。また、本発明は第九に「請求項1〜
8記載のエッチング装置を用いて行う、メンブレンを有
する光学素子の製造方法において、少なくともメンブレ
ン材料層を表面に、或いはエッチングストッパー層とメ
ンブレン材料層との積層体を表面に、エッチングマスク
材料層を裏面にそれぞれ形成してなる基板を用意する工
程と、前記エッチングマスク材料層に開孔を形成してエ
ッチング対象物を作製する工程と、前記エッチング対象
物をその開孔が前記第1槽側に向くように、前記メンブ
レン材料層が前記第2槽側に向くように、かつ前記隔壁
部材の開口部を塞ぐように前記保持部材により固定する
工程と、エッチング液を第1槽に、非エッチング液を第
2槽にそれぞれ注入し、前記開孔を形成したエッチング
マスク材料層をマスクとして、前記開孔において露出し
た前記基板をエッチングすることによりメンブレンを形
成する工程と、を備えたことを特徴とするメンブレンを
有する光学素子の製造方法(請求項9)」を提供する。
【0021】また、本発明は第十に「請求項1〜8記載
のエッチング装置を用いて行う、メンブレンを有する光
学素子の製造方法において、少なくともメンブレン材料
層を表面に、或いはエッチングストッパー層とメンブレ
ン材料層との積層体を表面に、エッチングマスク材料層
を裏面にそれぞれ形成してなる基板を用意する工程と、
前記エッチングマスク材料層に開孔を形成する工程と、
前記メンブレン材料層上に、光吸収パターン層または光
学フィルター層を形成してエッチング対象物を作製する
工程と、前記エッチング対象物をその開孔が前記第1槽
側に向くように、前記吸収パターン層または光学フィル
ター層が前記第2槽側に向くように、かつ前記隔壁部材
の開口部を塞ぐように前記保持部材により固定する工程
と、エッチング液を第1槽に、非エッチング液を第2槽
にそれぞれ注入し、前記開孔を形成したエッチングマス
ク材料層をマスクとして、前記開孔において露出した前
記基板をエッチングすることによりメンブレンを形成す
る工程と、を備えたことを特徴とするメンブレンを有す
る光学素子の製造方法(請求項10)」を提供する。
【0022】また、本発明は第十一に「前記非エッチン
グ液の比重と前記エッチング液の比重との比率を0.7 〜
1.3 としたことを特徴とする請求項9または10記載の製
造方法(請求項11)」を提供する。また、本発明は第十
二に「前記二液の界面位置を同一の高さまたは略同一の
高さに保持することを特徴とする請求項9〜11記載の製
造方法(請求項12)」を提供する。
【0023】また、本発明は第十三に「前記非エッチン
グ液の比重と前記エッチング液の比重との比率を0.85〜
1.15とし、かつ前記エッチング対象物の中央位置から一
方の液界面までの距離に対する、前記中央位置から他方
の液界面までの距離の比率が0.9 〜1.1 となるように保
持することを特徴とする請求項9または10記載の製造方
法(請求項13)」を提供する。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明(請求項1〜8)にかかる
エッチング装置においては、エッチング対象物の大きさ
(及び/または形状)に応じて、隔壁部材の開口部の大
きさ(及び/または形状)を変更または調整可能とし
た。そのため、本発明(請求項1〜8)のエッチング装
置によれば、開口部の大きさ(及び/または形状)を変
更または調整することにより、第1槽及び第2槽間の隔
壁部材に複数種類の大きさ(及び/または形状)のエッ
チング対象物を設置することが可能であり、同一のエッ
チング装置にて、複数種類(大きさ及び/または形状)
のエッチング対象物をエッチングすることができる。
【0025】即ち、本発明(請求項1〜8)のエッチン
グ装置によれば、新規のエッチング対象物が出現してか
ら、エッチングを実際に行うまでの時間と労力及び費用
を低減させ(メンブレン光学素子作製の生産性を向上さ
せ)、装置の使用効率を向上させて、かつメンブレン光
学素子作製の製造コストを低減させることが可能であ
る。
【0026】エッチング対象物の大きさ(及び/または
形状)に応じて、隔壁部材の開口部の大きさ(及び/ま
たは形状)を変更または調整可能とするためには、例え
ば、前記隔壁部材に、前記開口部の大きさ(及び/また
は形状)を変更または調整する機構を設けるか、もしく
は前記隔壁部材を異なる大きさ(及び/または形状)の
開口部を有する他の隔壁部材に交換できるようにすれば
よい(請求項2)。
【0027】或いは、前記隔壁部材を少なくとも、隔壁
基盤部材と、該隔壁基盤部材に固定され前記開口部を有
する隔壁補助部材と、により構成して、該隔壁補助部材
を異なる大きさ(及び/または形状)の開口部を有する
他の隔壁部材に交換できるようにすればよい(請求項
3)。或いは、前記隔壁部材を少なくとも、隔壁基盤部
材と、該隔壁基盤部材に固定され前記開口部を有する隔
壁補助部材と、により構成して、該隔壁補助部材の開口
部の大きさ(及び/または形状)を変更または調整する
機構を設ければよい(請求項4)。
【0028】より具体的には、例えば、第1槽及び第2
槽間の隔壁部材を取り外し可能に構成し、またエッチン
グ対象物の大きさ(及び/または形状)に合わせた開口
をそれぞれ有する多種類の隔壁部材を予め用意してお
く。そして、エッチング対象物に対応した開口を有する
隔壁部材をその都度、エッチング装置の第1槽及び第2
槽間に差し込んで用いればよい。
【0029】また、例えば、第1槽及び第2槽間の隔壁
基盤部材に所定の開口部を形成しておき(開口部の大き
さは、エッチング対象物のエッチング領域よりも大きく
する)、該隔壁基盤部材にエッチング対象物に対応した
開口部を有する隔壁補助部材を取り付けたうえで、エッ
チング対象物を保持部材により固定すれば、様々な大き
さ(及び/または形状)を有するエッチング対象物を同
一装置にてエッチングすることができる。
【0030】本発明(請求項1〜8)にかかるエッチン
グ装置は、少なくとも、エッチング液を収納する第1槽
と、非エッチング液を収納する第2槽と、前記第1槽及
び第2槽の間に設けられ開口部を有する隔壁部材と、前
記開口部よりも大きいエッチング対象物を前記開口部を
塞いだ状態にて保持する保持部材であり、エッチング対
象物のエッチング面が前記第2槽に収納された非エッチ
ング液に接触することなく前記第1槽に収納されたエッ
チング液に接触し、かつ前記エッチング面の裏面が前記
第1槽に収納されたエッチング液に接触することなく前
記第2槽に収納された非エッチング液に接触するように
エッチング対象物を保持できる保持部材と、を有する。
【0031】そのため、本発明(請求項1〜8)のエッ
チング装置によれば、吸収体パターンを備えたメンブレ
ンを有する光学素子を製造するときに問題となる吸収体
パターンの損傷を防止することができる。即ち、吸収パ
ターンを備えたメンブレン材料層を一面に設けた基板
(エッチング対象物)を本発明にかかるエッチング装置
の保持部材により固定すると、エッチング面(吸収パタ
ーンを備えたメンブレン材料層とは反対側の基板面)が
前記第2槽に収納された非エッチング液に接触すること
なく前記第1槽に収納されたエッチング液に接触し、か
つ前記エッチング面の裏面(吸収パターンを備えたメン
ブレン材料層側の面)が前記第1槽に収納されたエッチ
ング液に接触することなく前記第2槽に収納された非エ
ッチング液に接触するので、光学素子を製造するとき
に、吸収体パターンに損傷を与えることがない。
【0032】また、本発明にかかるエッチング装置(請
求項5)は、エッチング対象物が保持部材により保持さ
れた状態において、エッチング液の第1槽への注入と非
エッチング液の第2槽への注入を同時に行うか、エッチ
ング液の第1槽からの排出と非エッチング液の第2槽か
らの排出を同時に行うか、或いはその両方を行う機構
と、前記二液の界面位置が等しくまたは略等しくなるよ
うに、或いは前記エッチング対象物にかかる前記二液の
圧力が等しくまたは略等しくなるように制御する機構を
設けてなる。
【0033】そのため、本発明(請求項5)のエッチン
グ装置によれば、メンブレンを有する光学素子を製造す
るときに問題となる、形成されるメンブレンの非可逆変
形や破壊を防止することができる。なお、エッチング対
象物の肉厚が厚くて、或いはその力学的強度が大きく
て、二液の圧力差に十分に耐えうる(非可逆変形や破壊
が起こらない)場合には、エチング対象物を保持部材に
設置した後、エッチング液の第1槽への注入と非エッン
グ液の第2槽への注入を同時に行う必要はないが、エッ
チング対象物の肉厚が薄くて、或いはその力学的強度が
小さくて、二液の圧力差に耐えられない(非可逆変形や
破壊が起こる)場合には、前記二液を同時に注入する必
要がある(例えば図5参照、2液同時注入機構pを用い
る)。
【0034】かかるエッチング対象物としては、例えば
一度エッチングを行ってメンブレンと微細パターンを形
成したが、エッチング不良のために再度エッチングを行
う必要がある試料30等が該当する(図5参照)。ま
た、本発明にかかるエッチング装置(請求項6〜8)
は、保持部材により開口部に保持されたエッチング対象
物を、そのエッチング面の裏面を第1槽に収納されたエ
ッチング液に接触させることなく、かつ前記二液の混合
を阻止した状態にて、前記二液中に配置するか、前記二
液中から取り出すか、或いはその両方を行うことができ
る機構を設けてなる。
【0035】そのため、本発明(請求項6〜8)のエッ
チング装置によれば、メンブレンを有する光学素子を製
造するときに問題となる、形成されるメンブレンの非可
逆変形や破壊を防止することができる。前記機構として
は、隔壁部材の伸縮機構または移動機構であり、前記開
口部が前記二液中に配置された際には、開口部に保持さ
れたエッチング対象物、隔壁部材及びシ−ル部材により
前記二液の混合を阻止し、前記開口部が前記二液外に配
置された際には隔壁部材により、或いは隔壁部材及びシ
−ル部材により、前記二液の混合を阻止するものが使用
できる(請求項7)。
【0036】請求項6または7にかかるエッチング装置
には、前記二液の界面位置が等しくまたは略等しくなる
ように、或いは前記エッチング対象物にかかる前記二液
の圧力が等しくまたは略等しくなるように制御する機構
を設けることが好ましい(請求項8)。かかる構成にす
ることにより、メンブレンを有する光学素子を製造する
ときに問題となる、形成されるメンブレンの非可逆変形
や破壊を防止する効果を増大できる。
【0037】本発明(請求項1〜8)のエッチング装置
を用いた、メンブレンを有する光学素子の製造は、請求
項9〜13記載の製造方法により行うことができる。本発
明の製造方法においては、非エッチング液の比重とエッ
チング液の比重との比率を0.7 〜1.3 とすることが好ま
しい(請求項11)。また、本発明の製造方法において
は、前記二液の界面位置を同一の高さまたは略同一の高
さに保持することが好ましい(請求項12)。
【0038】また、本発明の製造方法においては、前記
非エッチング液の比重と前記エッチング液の比重との比
率を0.85〜1.15とし、かつ前記エッチング対象物の中央
位置から一方の液界面までの距離に対する、前記中央位
置から他方の液界面までの距離の比率が0.9 〜1.1 とな
るように保持することが好ましい(請求項13)。かかる
構成(請求項11〜13)にすることにより、メンブレンを
有する光学素子を製造するときに問題となる、形成され
るメンブレンの非可逆変形や破壊を防止する効果を増大
できる。
【0039】支持膜(メンブレン)の厚さは、例えば0.
1 ミクロン前後と極めて薄いため、機械強度が極めて小
さく、微小な圧力が加わっただけで、メンブレンは非可
逆変形をおこすか、或いは破壊されてしまう。即ち、エ
ッチング装置において、非エッチング液の比重とエッチ
ング液の比重との差が大きすぎるか、或いは非エッチン
グ液及びエッチング液の各槽における界面位置の差が大
きすぎると、形成されるメンブレンの非可逆変形や破壊
が発生する。
【0040】例えば、エッチング装置において、第2槽
の非腐食液(非エッチング液)として水を使用し、第1
槽のエッチャント(エッチング液)と同一界面位置とな
るようにしてエッチングを行った場合に、メンブレン材
料層を一面に設けた基板(エッチング対象物)がある程
度エッチングされた時点で、或いはエッチングが終了し
た時点において、第1槽と第2槽との隔壁となっていた
メンブレン材料層及び薄肉化された基板が変形または破
壊され、或いはメンブレン材料層が変形または破壊され
ることがある。
【0041】これは、各槽の非エッチング液及びエッチ
ング液の比重に大きな差があるため、非エッチング液及
びエッチング液の界面位置を同一とした場合、両槽で隔
壁(メンブレン材料層、薄肉化された基板)にかかる応
力に差が生じ、その圧力差に隔壁が耐えられなかったこ
とが原因と思われる。そこで、各液の界面位置を各液の
比重に反比例させて制御すると、前記応力差を低減して
前記変形または破壊を防止できるが、その界面位置をつ
ねに割り出すという制御は決して容易ではない。
【0042】一方、非エッチング液及びエッチング液の
比重を同等または略同等にしておけば、両液の界面位置
を同一または略同一に保持するだけで(容易な制御によ
り)、前記応力差を低減して前記変形または破壊を防止
できる。即ち、非エッチング液及びエッチング液の比重
を同等または略同等にしておけば、極めて操作性に優れ
た単純な方法により、試料面、つまりは支持膜に対して
等しい(略等しい)圧力を付加することができるため、
支持膜に対して両方向からの圧力を相殺または略相殺す
ることができる。
【0043】よって、X線透過型マスクはもとより、さ
らに薄い支持膜またはより大面積の支持膜を有する光学
素子でも作製可能になる。以下、実施例により本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定
されるものではない。
【0044】
【実施例1】図1に本実施例のエッチング装置の概略断
面図を示す。本実施例のエッチング装置は、エッチング
液を収納する第1槽11と、非エッチング液を収納する第
2槽12と、前記第1槽11及び第2槽12の間に設けられ開
口部kを有する隔壁部材13と、前記開口部kよりも大き
いエッチング対象物3を前記開口部kを塞いだ状態にて
保持する保持部材14であり、エッチング対象物3のエッ
チング面が前記第2槽12に収納された非エッチング液2
に接触することなく前記第1槽11に収納されたエッチン
グ液1に接触し、かつ前記エッチング面の裏面が前記第
1槽11に収納されたエッチング液1に接触することなく
前記第2槽12に収納された非エッチング液2に接触する
ようにエッチング対象物3を保持できる保持部材14と、
を有するエッチング装置である。
【0045】そのため、本実施例のエッチング装置によ
れば、吸収体パターンを備えたメンブレンを有する光学
素子を製造するときに問題となる吸収体パターンの損傷
を防止することができる。また、本実施例のエッチング
装置には、前記エッチング対象物3が前記保持部材14に
より保持された状態において、前記エッチング液1の前
記第1槽11からの排出と前記非エッチング液2の前記第
2槽12からの排出を同時に行う機構として、排出用バル
ブ41、42がそれぞれ設けられ、さらに前記二液の界面位
置が等しくなるように、或いは略等しくなるように制御
する機構が設けられている。
【0046】そのため、本実施例のエッチング装置によ
れば、メンブレンを有する光学素子を製造するときに問
題となる、形成されるメンブレンの非可逆変形や破壊を
防止することができる。前記二液の界面位置が等しくな
るように、或いは略等しくなるように制御するために、
1槽、2槽それぞれの開口面積が同一(または略同一)
になるように装置を設計するとよい。
【0047】また、1槽、2槽それぞれの液界面に液揮
発防止用の浮きを設置することにより、二液の界面位置
が等しくなるように、或いは略等しくなるように制御し
てもよい。なお、本実施例のエッチング装置には、各槽
11、12に収納された液を加熱するための加熱機構が設け
られている。
【0048】本実施例においては、エッチング対象物の
大きさ(及び/または形状)に応じて、隔壁部材の開口
部の大きさ(及び/または形状)を変更または調整可能
とするために、隔壁部材13を他の隔壁部材(隔壁部材13
とは異なる大きさ及び/または形状の開口部を有する)
に交換できるように構成してあるが、隔壁部材13に、そ
の開口部の大きさ(及び/または形状)を変更または調
整する機構(例えば、隔壁部材13の伸縮機構)を設ける
ことにより、隔壁部材の開口部の大きさ(及び/または
形状)を変更または調整可能にしてもよい。
【0049】本実施例のエッチング装置によれば、開口
部の大きさ(及び/または形状)を変更または調整する
ことにより、第1槽及び第2槽間の隔壁部材に多種類の
大きさ(及び/または形状)のエッチング対象物を設置
することが可能であり、同一のエッチング装置にて、多
種類(大きさ及び/または形状)のエッチング対象物を
エッチングすることができる。
【0050】次に、本実施例のエッチング装置を用いて
ゾーンプレートを製造する工程を示す。製造工程は、少
なくとも以下の工程を有する。 第1工程:メンブレン材料層を表面に、或いはエッチン
グストッパー層とメンブレン材料層との積層体を表面
に、エッチングマスク材料層を裏面にそれぞれ形成して
なる基板を用意する。
【0051】第2工程:前記エッチングマスク材料層に
開孔を形成する。 第3工程:前記メンブレン材料層上に、光吸収パターン
層または光学フィルター層を形成してエッチング対象物
を作製する。 第4工程:前記エッチング対象物をその開孔が前記第1
槽側に向くように、前記吸収パターン層または光学フィ
ルター層が前記第2槽側に向くように、かつ前記隔壁部
材の開口部を塞ぐように前記保持部材により固定する。
【0052】第5工程:エッチング液を第1槽に、非エ
ッチング液を第2槽にそれぞれ注入し、前記開孔を形成
したエッチングマスク材料層をマスクとして、前記開孔
において露出した前記基板をエッチングすることにより
メンブレンを形成する。以下、各工程について具体的に
説明する(図1、3、4参照)。 〔第1工程〕シリコン基板(サイズ3インチ、厚さ40
0μm)31の両面に減圧化学的気相成長法(LPCVD
法)により、シリコンナイトライド(SiNx)を0.1
μm厚にて成膜して、メンブレン材料層(エッチングス
トッパー層でもある)32' を表面に、エッチングマスク
材料層35' を裏面にそれぞれ形成した。
【0053】成膜条件は、SiH2 Cl2 の流量を75
sccm、NH3 の流量を11sccm、気相温度を8
00℃とした。成膜装置は、東洋リンドバーグLPCV
Dシステム、MODEL270 M100を使用した。
なお、表面のシリコンナイトライド32' は支持膜(メン
ブレン)32に、裏面のシリコンナイトライド35' は次に
行うパターン加工の後、シリコンエッチング時のマスク
35となる。 〔第2工程〕その後、裏面のシリコンナイトライド35'
にフォトリソ法により開孔34を形成した。この開孔34
は、シリコンエッチングを行いたい場所に形成した。
【0054】この開孔34を形成するために、裏面のシリ
コンナイトライド35' 上に前記開孔34に対応するレジス
トパターンを形成し、このレジストパターンをマスクと
して、シリコンナイトライドにRIE法でパターン(開
孔)の転写を行った。RIE条件は、エッチングガスを
CF4 20sccm、O2 2sccm、ガス圧を5P
a、Rf出力を100Wとし、3分間エッチングを行っ
た。
【0055】なお、シリコンエッチングマスクには、本
実施例におけるSiNxの他、SiOx、SiNOなど
シリコン用エッチャントに対して非腐食性のものであ
り、開孔パターンが形成できるものであれば何でもよ
い。 〔第3工程〕次に、表面のシリコンナイトライド32' 上
にX線吸収体としての金層33を0.2μm厚成膜した。な
お、シリコンナイトライド32' との密着性を確保するた
め、下層に50Å厚前後のチタンを成膜してもよい。
【0056】成膜はマグネトロンスパッタ法により行っ
た。また、成膜条件はチタンがArガス圧0.9 Paにて
1分間、金がArガス圧1Paにて5分間のスパッタリ
ングとした。なお、成膜前にはそれぞれプレスパッタリ
ングを上記条件にて2分間ずつ行った。X線吸収体に
は、ここで用いた金の他、タンタル、クロム、ニッケ
ル、あるいはこれらの合金など、使用波長域の光吸収率
が高く、微細パターン加工が可能なものであればなんで
もよい。
【0057】次に、軟X線吸収体である金層に以下のよ
うな微細加工を施して大口径ゾーンプレートのパターン
33' を形成した。まず、金層33上にレジスト等を塗布
し、フォトリソ法によりゾーンプレートパターンを焼き
付けた。ゾーンプレートの仕様は、最内周直径32.7ミク
ロン、ゾーン数4300、ゾーンプレート直径4.3 ミリ、使
用波長4nmである。
【0058】上記レジストのパターンは、最内円(r
1)にレジストが残るようにし、それから外周に向かっ
てL&Sを形成し、ゾーンプレートパターンより外側は
レジストが残るように形成した。その後、このレジスト
パターンをマスクとして下層である金層33にパターン
転写を行った。パターン転写にはイオンビームエッチン
グ法と、エリオニクス社製のEIRー200ERを用い
た。
【0059】本装置内でアルゴンガスをイオン化し、加
速電圧は700Vとした。パターン転写後、エッチング
マスクとして用いたレジストパターンは酸素アッシング
法により除去した。このようにして、エッチング対象物
3を作製した。 〔第4、5工程〕最後に、図1のエッチング装置を用い
てエッチング対象物3のシリコン基板31中央部をエッチ
ングすることにより支持膜(メンブレン)32形成を行
った。
【0060】ここで、エッチング対象物であるゾーンプ
レート試料3は基板サイズ30ミリ□に予め切り出して
おき、前記エッチング対象物3をシリコンナイトライド
(エッチングマスク)35の開孔34が第1槽11側に向くよ
うに、前記ゾーンプレートのパターン33' が第2槽12側
に向くように、かつ前記隔壁部材13の開口部kを塞ぐよ
うに前記保持部材14により固定した。
【0061】なお、隔壁部材13としては、エッチング対
象物3の大きさ(及び/または形状)に対応させて、φ
8mmの開口部kを有するものを使用した。また、エッ
チング装置本体への隔壁部材13の設置部分、隔壁部材13
とエッチング対象物の間、エッチング対象物と保持部材
の間には、それぞれシ−ル部材(Oリング)15を設け
て、エッチング液と非エッチング液との混合を阻止して
いる。
【0062】次に、注入バルブ41からエッチング液を
第1槽11に、注入バルブ42から非エッチング液を第2
槽12にそれぞれ注入し、前記開孔34を形成したシリコン
ナイトライド35をマスクとして、前記開孔34において露
出した基板31をエッチングすることによりメンブレン32
を形成した。即ち、ゾーンプレート試料3を保持部材14
により固定した後、第2槽12内に40重量%ショ糖水溶
液(非エッチング液)を、第1槽11内には40重量%水
酸化カリウム水溶液(エッチング液)を、両液の界面位
置が常に同じ(または略同じ)であり、しかも試料のエ
ッチング部分より上部位置となるように注入した。
【0063】なお、ショ糖水溶液の比重が水酸化カリウ
ム水溶液の比重と同等になるようにした。ここで、ショ
糖水溶液の溶媒は、取扱い、操作性、安全性などの観点
からは水が好ましいが、これに限定されるものではな
い。また、エッチング時には、各槽11、12に収納された
液を85°C前後に加熱するので液の揮発が顕著であ
る。そのため、エッチャント(エッチング液)の溶媒と
同じ溶媒を非腐食性溶液(非エッチング液)に用いるこ
とにより、各槽11、12の液の界面位置が常に、等しくな
るように、或いは略等しくなるようにすることが好まし
い。
【0064】なお、各槽11、12の液を加熱するため、引
火性の溶媒は取扱いを極めて注意する必要があるのは言
うまでもない。さらに、各槽11、12の液の界面位置を同
等に制御するために、各槽11、12の開口面積が同一(ま
たは略同一)になるように装置を設計することが好まし
い。また、各槽11、12の液界面に溶媒揮発防止用の浮き
を入れることも、各槽11、12の液の界面位置が常に、等
しくなるように、或いは略等しくなるようにする上で効
果的である。
【0065】非エッチング液に添加する比重調整用の物
質は、ショ糖などの糖類、食用塩(塩化ナトリウム)、
尿素など、溶媒に溶解し、溶媒に溶解した際に支持膜
(メンブレン)上の微細パターンまたは薄膜(フィルタ
ー膜)を腐食もしくは剥離させないものであれば特に限
定されない。調整する比重の範囲は、形成する支持膜
(メンブレン)の機械的強度(つまり材質、厚さ、面
積)に依存し、機械的強度が低ければ低いほど、第2槽
内の非エッチング液の比重は第1槽内のエッチャント
(エッチング液)の比重に近くなくてはならない。
【0066】例えば、厚さ0.1 ミクロン、直径35mm
のSiNx(x=0.33)のメンブレン膜を作製する際
に、第1槽の40重量%水酸化カリウム水溶液に対し
て、第2槽のサッカロース水溶液の濃度を35重量%と
した場合までは支持膜(メンブレン)の形成が可能であ
った。つまり、本条件ではエッチャント(エッチング
液)の比重に対して87.5%以上112.5 %以下の比重をも
つ非エッチング液を第2槽に入れた場合には、支持膜
(メンブレン)の形成が可能であった。
【0067】しかし、支持膜(メンブレン)の面積が直
径40mmになると、比重誤差範囲は91%以上109
%以下でなければ、支持膜の形成はできなかった。ただ
し、以上の結果は第1槽、第2槽それぞれの液界面位置
が常に同一または略同一であった場合である。シリコン
のエッチング速度は、エッチング反応部の温度に大きく
依存し、エッチング速度を1μm/分以上とするには、
反応部温度が約75°C以上であることが必要である。
【0068】そのため、エッチング槽全体を直接または
間接的に加熱することにより、本実施例ではエッチャン
ト液温を約85°Cとした。この場合、エッチング速度
は約1.4 μm/分であり、400μm厚のシリコン基板
は約5時間で完全にエッチングされ、シリコンナイトラ
イドからなる支持膜(メンブレン)が形成された。
【0069】エッチングの終了は、試料のエッチング面
側から支持膜上のゾーンプレートパターンが透けて見
え、またシリコン反応面から気泡の連続発生がないこと
から確認した。試料上のシリコンエッチング状況を把握
する必要性から言えば、エッチング槽はほぼ透明な材料
により作製するか、或いは部分的に透明で反応部の観察
ができる構造にすることが好ましい。
【0070】また、シリコンエッチング時の反応は
(1)式にて表わされ、反応面から発生する気泡は活性
水素であると思われるので、安全衛生上、強制排気設備
が整った場所でエッチングを行うことが好ましい。 Si+2(OH)- +4H2 O→Si(OH)2 +2H2 ↑ (1) シリコンエッチングが終了したら試料3’をエッチング
槽から取り出さなければならないが、試料上には支持膜
が形成されているため、破壊変形を引き起こす大きな応
力が支持膜に付加されないように取り出す必要がある。
【0071】本実施例のエッチング装置には、エッチン
グが終了した試料3’が保持部材14により保持された状
態において、エッチング液1の第1槽11からの排出と非
エッチング液2の第2槽12からの排出を同時に行う機構
として、排出用バルブ41、42がそれぞれ設けられてい
る。即ち、本実施例では、第1槽、第2槽の液を常にそ
の界面が同じであるように排出用バルブ41、42を用いて
同時に排出することにより、試料3’をエッチング槽か
ら取り出す際に、破壊変形を引き起こす大きな応力が支
持膜に付加されないようにすることができる。
【0072】なお。槽下部のバルブ41、42からの排出量
を適時調整して排出してもよいし、槽上部より液送ポン
プ等で排出してもよい。或いは、本実施例のエッチング
装置に、前記保持部材14により前記開口部kに保持され
たエッチング対象物3または試料3’を、そのエッチン
グ面の裏面を前記第1槽11に収納されたエッチング液1
に接触させることなく、かつ、前記二液1、2の混合を
阻止した状態にて、前記二液中に配置し、前記二液中か
ら垂直に取り出すことができる機構23を設けてもよい
(図6参照)。
【0073】この機構は例えば、前記隔壁部材13の伸縮
機構23であり、前記開口部kが前記二液中に配置された
際には、開口部kに保持されたエッチング対象物3また
は試料3’、隔壁部材13及びシ−ル部材(Oリング)15
により前記二液の混合を阻止し、前記開口部kが前記二
液外に配置された際には隔壁部材13及びシ−ル部材15に
より、前記二液の混合を阻止する。
【0074】この場合には、隔壁部材13の伸縮機構23を
用いて前記二液中から試料3’を垂直に取り出すことが
可能となり、しかもその際に、破壊変形を引き起こす大
きな応力が支持膜に付加されることがない。なお、前記
機構を設けない場合には、第1槽、第2槽の隔壁となっ
ている試料3’を前記二液中からそのまま垂直に引き抜
くと、一時的にしろ第2槽内に第1槽のエッチャントが
急速に進入し、支持膜上のゾーンプレートパターンが剥
離する恐れがある。
【0075】取り出した試料3’は十分水洗して乾燥さ
せる。洗浄は水でも温めのお湯でもよいが、破壊変形を
引き起こす大きな応力が支持膜に付加されないようにす
る。十分洗浄したら、乾燥(自然乾燥等)させてゾーン
プレートが完成する。本実施例の製造方法によれば、ゾ
ーンプレート(メンブレンを有する光学素子)を製造す
るときに問題となる、形成されるメンブレンの非可逆変
形や破壊を防止することが可能であり、また吸収体パタ
ーンの損傷を防止することができる。
【0076】
【実施例2】メンブレン材料層上に、金からなるゾーン
プレートパターン層に替えて、チタン層またはスカンジ
ウム層(0.2 μm厚)からなる光学フィルター層を形成
した他は、実施例1のエッチング装置を用いて同様な工
程により、X線顕微鏡用の光学フィルターを製造した。
【0077】但し、エッチング対象物に形成する開孔
を、直径20mmの円に内接する正八角形形状とし、ま
たエッチング装置の隔壁部材としては、エッチング対象
物の大きさ(及び/または形状)に対応させて、φ23
mmの開口部を有するものを使用した。チタン層または
スカンジウム層は軟X線を透過させて可視光をカットす
るため、可視光カットフィルターとして機能する。
【0078】チタン層またはスカンジウム層の成膜はマ
グネトロンスパッタ法により行い、成膜条件はArガス
圧0.85Pa、成膜時間25分間とし、また成膜前にはそ
れぞれプレスパッタリングを上記条件にて2分間行っ
た。なお、シリコンナイトライド上に成膜する材料はチ
タンまたはスカンジウムに限定されず、可視光カットフ
ィルター、狭帯化フィルターなど目的に応じて使い分け
ればよい。
【0079】ただし、成膜する材料物質の膜応力が圧縮
であるか、或いは強い引っ張り応力である場合には、シ
リコンエッチングにより自立膜(メンブレン)を形成し
た際に歪んだ膜になったり、自己破壊してしまうおそれ
がある。そこで、支持膜(メンブレン)上に成膜する膜
の応力は108 〜1×109dyn/ cm2 の引っ張り
応力となるように制御することが好ましい。
【0080】本実施例の製造方法によれば、光学フィル
ター(メンブレンを有する光学素子)を製造するときに
問題となる、形成されるメンブレンの非可逆変形や破壊
を防止することが可能である。また、本実施例において
は、エッチング対象物の大きさ(及び/または形状)に
対応させて、隔壁部材の開口部の大きさ(及び/または
形状)を変更するだけで、実施例1とは異なる大きさ
(及び/または形状)のエッチング対象物を実施例1と
同一のエッチング装置を用いて、エッチングすることが
できた。
【0081】
【実施例3】図2に本実施例のエッチング装置の概略断
面図を示す。本実施例のエッチング装置は、隔壁部材を
少なくとも、隔壁基盤部材(φ50mmの開口窓を有す
る)13aと、該隔壁基盤部材に固定され開口部(φ8
mm)を有する隔壁補助部材13bと、により構成し
て、該隔壁補助部材を異なる大きさ(及び/または形
状)の開口部を有する他の隔壁部材に交換できるように
した点を除けば、実施例1のエッチング装置と同様の構
成を有する。
【0082】なお、隔壁部材を少なくとも、隔壁基盤部
材と、該隔壁基盤部材に固定され前記開口部を有する隔
壁補助部材と、により構成して、該隔壁補助部材の開口
部の大きさ(及び/または形状)を変更または調整する
機構を設けてもよい。本実施例のエッチング装置によ
り、φ8mmの開口部を有する隔壁補助部材を使用して
実施例1のゾ−ンプレ−トを、φ23mmの開口部を有
する隔壁補助部材を使用して実施例2のX線顕微鏡用の
光学フィルターを、それぞれ実施例1、2と同様に製造
することが可能であった。
【0083】即ち、本実施例のエッチング装置において
も、開口部の大きさ(及び/または形状)を変更または
調整することにより、第1槽及び第2槽間の隔壁部材に
多種類の大きさ(及び/または形状)のエッチング対象
物を設置することが可能であり、同一のエッチング装置
にて、多種類(大きさ及び/または形状)のエッチング
対象物をエッチングすることができた。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明(請求項1
〜13)によれば、新規のエッチング対象物が出現してか
ら、エッチングを実際に行うまでの時間と労力及び費用
を低減させること(メンブレン光学素子作製の生産性を
向上させること)、装置の使用効率を向上させること、
メンブレン光学素子作製の製造コストを低減させること
がすべて可能となる。
【0085】また、本発明(請求項5〜13)によれば、
メンブレンを有する光学素子を製造するときに問題とな
る、形成されるメンブレンの非可逆変形や破壊を防止す
ることが可能であり、また吸収体パターンを備えたメン
ブレンを有する光学素子を製造するときに問題となる吸
収体パターンの損傷を防止することができる。本発明
(請求項5〜13)によれば、従来のX線透過型マスクに
おける支持膜(メンブレン)よりも一桁薄い支持膜上
に、微細パターンまたは薄膜層を形成した各種X線透過
型素子を製造することが可能となった。
【0086】膜の破壊強度は、その厚さの2乗に反比例
し、薄さが1/10になったということは、膜破壊強度
は1/100まで低下したということであり、これほど
機械的に弱い透過型素子を生産性よく製造する技術(装
置及び方法)を確立できたことは意義があることであ
る。こうして、透過型光学素子等が生産性よく製造でき
るようになったことで、X線顕微鏡など、現在開発中の
装置における設計の自由度がより増大したばかりか、そ
の実現に大きく貢献することができるものと思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例1、2におけるエッチング装置(一
部)の概略垂直断面図である。
【図2】は、実施例3におけるエッチング装置(一部)
の概略垂直断面図である。
【図3】は製造途中にあるゾーンプレート中間体の概略
垂直断面図である。
【図4】はゾーンプレートの概略垂直断面図である。
【図5】は本発明の一例であるエッチング装置(一部)
の概略垂直断面図である。
【図6】は本発明の別の一例であるエッチング装置(一
部)の概略垂直断面図である。
【主要部分の符号の説明】
1・・・エッチング液(腐食性溶液) 2・・・非エッチング液(非腐食性溶液) 3・・・エッチング対象物(試料) 3’・・・エッチングが終了した試料 11・・第1槽、12・・第2槽 13・・隔壁部材 13a・・隔壁基盤部材 13b・・隔壁補助部材 14・・保持部材 15・・シール部材(Oリング) 23・・隔壁部材の伸縮機構 30・・・薄肉部を有するエッチング対象物(試料) 31・・・基板(シリコン) 31’・・・メンブレンの保持枠 32・・・支持膜(メンブレン) 32’・・メンブレン材料層 33・・・吸収体層 33’・・パターン化された吸収体層(ゾーンプレート
パターン) 34・・・開孔 35・・・エッチングマスク層 41・・・・エッチャント(腐食性溶液、1槽内)の排
出用バルブ 42・・・・非エッチング液(非腐食性溶液、2槽内)
の排出用バルブ k・・・隔壁部材の開口部 p・・・2液同時注入機構 以上

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、エッチング液を収納する第
    1槽と、非エッチング液を収納する第2槽と、前記第1
    槽及び第2槽の間に設けられ開口部を有する隔壁部材
    と、前記開口部よりも大きいエッチング対象物を前記開
    口部を塞いだ状態にて保持する保持部材であり、エッチ
    ング対象物のエッチング面が前記第2槽に収納された非
    エッチング液に接触することなく前記第1槽に収納され
    たエッチング液に接触し、かつ前記エッチング面の裏面
    が前記第1槽に収納されたエッチング液に接触すること
    なく前記第2槽に収納された非エッチング液に接触する
    ようにエッチング対象物を保持できる保持部材と、を有
    するエッチング装置であって、 前記エッチング対象物の大きさ(及び/または形状)に
    応じて、前記開口部の大きさ(及び/または形状)を変
    更または調整可能としたエッチング装置。
  2. 【請求項2】 前記隔壁部材に、前記開口部の大きさ
    (及び/または形状)を変更または調整する機構を設け
    るか、或いは前記隔壁部材を異なる大きさ(及び/また
    は形状)の開口部を有する他の隔壁部材に交換できるよ
    うにしたことを特徴とする請求項1記載のエッチング装
    置。
  3. 【請求項3】 前記隔壁部材は少なくとも、隔壁基盤部
    材と、該隔壁基盤部材に固定され前記開口部を有する隔
    壁補助部材と、により構成され、該隔壁補助部材を異な
    る大きさ(及び/または形状)の開口部を有する他の隔
    壁部材に交換できるようにしたことを特徴とする請求項
    1記載のエッチング装置。
  4. 【請求項4】 前記隔壁部材は少なくとも、隔壁基盤部
    材と、該隔壁基盤部材に固定され前記開口部を有する隔
    壁補助部材と、により構成され、該隔壁補助部材の開口
    部の大きさ(及び/または形状)を変更または調整する
    機構を設けたことを特徴とする請求項1記載のエッチン
    グ装置。
  5. 【請求項5】 前記エッチング対象物が前記保持部材に
    より保持された状態において、前記エッチング液の前記
    第1槽への注入と前記非エッチング液の前記第2槽への
    注入を同時に行うか、前記エッチング液の前記第1槽か
    らの排出と前記非エッチング液の前記第2槽からの排出
    を同時に行うか、或いはその両方を行う機構と、前記二
    液の界面位置が等しくまたは略等しくなるように、或い
    は前記エッチング対象物にかかる前記二液の圧力が等し
    くまたは略等しくなるように制御する機構とを設けたこ
    とを特徴とする請求項1〜4記載のエッチング装置。
  6. 【請求項6】 前記保持部材により前記開口部に保持さ
    れたエッチング対象物を、そのエッチング面の裏面を前
    記第1槽に収納されたエッチング液に接触させることな
    く、かつ、前記二液の混合を阻止した状態にて、前記二
    液中に配置するか、前記二液中から取り出すか、或いは
    その両方を行うことができる機構を設けたことを特徴と
    する請求項1〜4記載のエッチング装置。
  7. 【請求項7】 前記機構は前記隔壁部材の伸縮機構また
    は移動機構であり、前記開口部が前記二液中に配置され
    た際には、開口部に保持されたエッチング対象物、隔壁
    部材及びシ−ル部材により前記二液の混合を阻止し、前
    記開口部が前記二液外に配置された際には隔壁部材によ
    り、或いは隔壁部材及びシ−ル部材により、前記二液の
    混合を阻止することを特徴とする請求項6記載のエッチ
    ング装置。
  8. 【請求項8】 前記二液の界面位置が等しくまたは略等
    しくなるように、或いは前記エッチング対象物にかかる
    前記二液の圧力が等しくまたは略等しくなるように制御
    する機構を設けたことを特徴とする請求項6または7記
    載のエッチング装置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8記載のエッチング装置を用
    いて行う、メンブレンを有する光学素子の製造方法にお
    いて、少なくともメンブレン材料層を表面に、或いはエ
    ッチングストッパー層とメンブレン材料層との積層体を
    表面に、エッチングマスク材料層を裏面にそれぞれ形成
    してなる基板を用意する工程と、 前記エッチングマスク材料層に開孔を形成してエッチン
    グ対象物を作製する工程と、 前記エッチング対象物をその開孔が前記第1槽側に向く
    ように、前記メンブレン材料層が前記第2槽側に向くよ
    うに、かつ前記隔壁部材の開口部を塞ぐように前記保持
    部材により固定する工程と、 エッチング液を第1槽に、非エッチング液を第2槽にそ
    れぞれ注入し、前記開孔を形成したエッチングマスク材
    料層をマスクとして、前記開孔において露出した前記基
    板をエッチングすることによりメンブレンを形成する工
    程と、を備えたことを特徴とするメンブレンを有する光
    学素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8記載のエッチング装置を用
    いて行う、メンブレンを有する光学素子の製造方法にお
    いて、少なくともメンブレン材料層を表面に、或いはエ
    ッチングストッパー層とメンブレン材料層との積層体を
    表面に、エッチングマスク材料層を裏面にそれぞれ形成
    してなる基板を用意する工程と、 前記エッチングマスク材料層に開孔を形成する工程と、 前記メンブレン材料層上に、光吸収パターン層または光
    学フィルター層を形成してエッチング対象物を作製する
    工程と、 前記エッチング対象物をその開孔が前記第1槽側に向く
    ように、前記吸収パターン層または光学フィルター層が
    前記第2槽側に向くように、かつ前記隔壁部材の開口部
    を塞ぐように前記保持部材により固定する工程と、 エッチング液を第1槽に、非エッチング液を第2槽にそ
    れぞれ注入し、前記開孔を形成したエッチングマスク材
    料層をマスクとして、前記開孔において露出した前記基
    板をエッチングすることによりメンブレンを形成する工
    程と、を備えたことを特徴とするメンブレンを有する光
    学素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記非エッチング液の比重と前記エッチ
    ング液の比重との比率を0.7 〜1.3 としたことを特徴と
    する請求項9または10記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記二液の界面位置を同一の高さまたは
    略同一の高さに保持することを特徴とする請求項9〜11
    記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記非エッチング液の比重と前記エッチ
    ング液の比重との比率を0.85〜1.15とし、かつ前記エッ
    チング対象物の中央位置から一方の液界面までの距離に
    対する、前記中央位置から他方の液界面までの距離の比
    率が0.9 〜1.1 となるように保持することを特徴とする
    請求項9または10記載の製造方法。
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