JPH10332638A - タンパク質および対応する誘導体の同時定量的測定方法 - Google Patents

タンパク質および対応する誘導体の同時定量的測定方法

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JPH10332638A
JPH10332638A JP10120158A JP12015898A JPH10332638A JP H10332638 A JPH10332638 A JP H10332638A JP 10120158 A JP10120158 A JP 10120158A JP 12015898 A JP12015898 A JP 12015898A JP H10332638 A JPH10332638 A JP H10332638A
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protein
hemoglobin
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コボルド ユーヴェ
Peter Dr Wolf
ヴォルフ ペーター
Wolf-Dieter Dr Engel
エンゲル ヴォルフ−ディエター
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に糖尿病に関するより正確な診断情報を得
るのに有用な、種々の被検体を同時に、直接的に、特異
的に測定する方法の提供。 【解決手段】 水性サンプル中のタンパク質または対応
する誘導体の定量的測定方法であって、該測定を質量分
析法により行ない、少なくとも2つのタンパク質成分を
1回の測定で同時に測定することを特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性サンプル中の
タンパク質、グリケーション化(glycated)修飾体および
にそれに由来する誘導体、例えばそのエージング(agei
ng)産物(いわゆるAGE、すなわち前進性グリコシル化
最終産物)などの同時定量的測定方法に関する。この方
法は、ヘモグロビン(Hb)およびその誘導体ならびに可
能な限り均一な対応する糖タンパク質画分(例えば、gH
b、HbAlcおよびHb-AGE)に特に適している。定量は、測
定されたそれぞれの被検体特異的シグナルから相対濃度
比を求めることにより行なう。
【0002】
【従来の技術】グリケーション化タンパク質などのタン
パク質を測定するのに利用可能な方法は多数存在する。
これらの方法は、グリケーション化または非グリケーシ
ョン化タンパク質成分を分離し定量する方法に応じて概
ね3つのグループに分類することができる(Clin. Chem
istry 32 (1986), B64-B70)。第1のグループは、電荷
の相違の利用に基づく物理化学的方法を含む。第2のグ
ループの方法は、グリケーション化タンパク質と非グリ
ケーション化タンパク質との化学反応性の相違を利用す
る。第3のグループには、免疫学的方法が挙げられる。
最近、それぞれのタンパク質サンプルをまずタンパク質
分解切断(proteolytic cleavage)に付し、ついでそれら
の切断産物をHPLCにより分離する方法が特に有利である
ことが判明した(EP 0693559, U. Koboldら, Proc. XVI
ICCC London 1996, C25, p.374)。しかしながら、記
載されている被検体のいくつかを1つの溶液から同時に
測定しうる方法は、何ら記載されていない。さらに、免
疫学的方法を除く公知方法のほとんどは、低い特異性し
か有していない。例えば、現在のところ、AGEタンパク
質に対して十分に特異的で利用可能な試験方法は、未だ
見出されていない。その理由としては、特に、抗体の特
異性が通常は不明であること、あるいは適当な参照方法
がないことが挙げられる。また、gHbなどの低分子量の
グリケーション化タンパク質の場合には、質量分析的測
定に基づく特定の条件下での検出が記載されている(N.
B. Robertsら, Abstract/Poster, Proc. XVI ICCC Lond
on 1996,C28, p.375)。しかしながら、この方法は、専
ら天然サンプル用に設計されているため、より複雑なタ
ンパク質混合物の測定が著しく制限されたり、さらには
不可能となってしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、現在公知
の方法はいずれも、対応するタンパク質(特に、同じサ
ンプル溶液中に存在しうる種々の分子量を有するもの)
の種々の被検体を同時に、直接的に、そして適度に高い
特異性で検出することができない。したがって、本発明
の目的は、それに対応した測定方法を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的は、水性サンプ
ル中のタンパク質、グリケーション化タンパク質および
/または対応する誘導体(例えば、グリケーション化タ
ンパク質のエージング産物(AGE))の測定方法であっ
て、該測定を質量分析法により行ない、対応するタンパ
ク質混合物の少なくとも2つの成分を該測定において同
時に測定することを特徴とする方法により達成される。
該タンパク質混合物は、種々の分子量のグリケーション
化および非グリケーション化タンパク質、例えば抗体断
片、および特に、より高い分子量(>30,000Da)のもの
を含有していてもよい。本発明の方法は、3つ以上の成
分を同時に測定することを意図する場合に特に有用であ
ることが判明している。この点に関しては、この方法
は、成分の数字上の上限に制限されるものではない。し
たがってこのように、例えば、約30個、さらには50個に
及ぶ成分を同時に測定することが可能であり、これは、
個々の成分のそれぞれの分子量および質量の相違に左右
されるものではない。本発明では、エレクトロスプレー
(electrospray)イオン化、大気圧イオン化などの適当な
噴霧法、レーザー脱離法または同等のイオン化法により
質量分析的測定を行なうことができる。一般には、質量
分析法を自動化して、データをオンラインで直接評価す
ることができる。得られた測定データは、適当な比に変
えた後、臨床診断における対応する診断に直接使用する
ことができる。
【0005】一方、サンプル調製のための手段は、質量
分析法に適した溶媒でサンプルまたはサンプル溶液を希
釈することを含むにすぎない。質量分析法に適した溶媒
としては、例えば、有機酸(酢酸、ギ酸)、水または有
機溶媒(メタノール、アセトニトリルなど)が挙げられ
る。一方、前もってサンプル溶液を化学的または酵素的
切断に付すこと、すなわち、例えば、それを適当な緩衝
系中でタンパク質分解酵素で前処理することが有利であ
ることも判明している。適当な酵素としては、例えば、
トリプシン、キモトリプシン、エンドプロテイナーゼLy
s Cおよび/またはエンドプロテイナーゼGlu-Cが挙げら
れる。さらに、質量分析的測定の前にサンプル溶液から
非タンパク質性成分を分離するか、または、例えば、そ
れをクロマトグラフィーにより、あるいは免疫学的に精
製するのが有利であることが判明している。この場合、
精製は、質量分析とオンラインまたはオフラインで行な
うことができる。
【0006】サンプル物質としては、主に、ヒトまたは
動物に由来する液体、例えば全血、血液、血漿または血
清の他に、組織、腹水または植物抽出物も意図される。
さらに、1つ又はいくつかのタンパク質成分を人工的に
加えた溶液(例えば、標準溶液)に対して本発明の方法
を適用することも可能である。測定するサンプル成分
は、非グリケーション化タンパク質、例えばアルブミ
ン、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、Fab
もしくはFc断片、ヘモグロビンおよびそれらの誘導体お
よび/またはグリケーション化タンパク質およびその誘
導体、例えばグリケーション化アルブミン、gHB、HbA1c
またはHb-AGEである。さらに、サンプル混合物のタンパ
ク質は、若干異なるおよび/または著しく異なる分子量
を有していてもよい。したがって、例えば、狭い分子量
の範囲内であっても、種々のグリケーション度のタンパ
ク質を測定することが可能である。さらにまた、そのよ
うな混合物は、それより著しく高い分子量を有する他の
多数のタンパク質を含有していてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、特に質量分析法(MS)によ
り種々のタンパク質成分を同時かつ定量的に測定するこ
とを含む本発明の方法を、可能な変法(変法AおよびB)
に基づいて更に詳しく説明する。
【0008】第1の変法(変法A)では、例えば、希釈
された全血から直接的に測定を行なう。非グリケーショ
ン化タンパク質およびグリケーション化タンパク質また
はエージング産物からの測定シグナルを、エレクトロス
プレーMSにより得る。例えば、これにより、ヘモグロビ
ン(Hb)、グリケーション化ヘモグロビン(gHbおよびH
bA1c)およびHbの前進性グリケーション化最終産物(Hb
-AGE)または血清アルブミン(HSA)、グリケーション
化HSA(gHSA)およびHSA-AGEの同時測定が可能となる。
特に、本発明の方法は、前記タンパク質が酵素的にグリ
ケーション化されていない場合に適していることが判明
している。好ましくは、1回の測定で直接的に生データ
を得る。濃度比と相関する被検体特異的シグナルの強度
比から、サンプル中の個々の成分の相対量を求める。そ
れぞれのレスポンスファクターを測定するために、キャ
リブレータ(calibrator)を使用することができる。
【0009】詳しい操作手順は以下のとおりである。サ
ンプル物質(特に、溶血した全血)を適当な溶媒、例え
ば、揮発性有機酸(酢酸、ギ酸)、水および有機溶媒
(メタノール、アセトニトリル)の混合物で希釈し、得
られた溶液を質量分析的測定に直接使用する。また、直
接的に測定する代わりに、クロマトグラフィーまたは免
疫吸着精製工程によりサンプルを前処理することもで
き、この場合、前処理は、質量分析的測定とオンライン
で行なうことができる。
【0010】可能な第2の変法(変法B)では、質量分
析的測定の前に、サンプルの酵素的または化学的切断を
行なう。サンプル物質は、変法Aの場合と同様に、例え
ば全血であってもよい。
【0011】酵素的または化学的切断で被検体特異的ペ
プチド断片を得る。特異的ペプチドの強度比を測定し、
それを用いて被検体の相対量を計算する。それぞれのレ
スポンスファクターを測定するために、キャリブレータ
を使用することができる。
【0012】詳しい操作手順は以下のとおりである。サ
ンプル物質(例えば、溶血した全血)を、適当な反応緩
衝液中でタンパク質分解酵素と共にインキュベートす
る。溶血は、公知方法で行なう。特に適していることが
判明している酵素は、測定すべきタンパク質を特異的に
切断する能力を有するプロテアーゼである。トリプシン
の他に、キモトリプシン、エンドプロテイナーゼLys C
および/またはエンドプロテイナーゼGlu-Cが特に適し
ていることが判明している。タンパク質分解酵素は、そ
れぞれのサンプルに応じて、通常、タンパク質の量の1/
200〜1/10、好ましくは約1/100の濃度(重量比)で使用
する。
【0013】適当な反応緩衝液は、例えば、炭酸アンモ
ニウム緩衝液および/またはリン酸ナトリウム緩衝液で
あり、これらは、通常、3.0〜9.0のpH領域で約0.5mM〜2
00mMの濃度で使用し、それぞれのプロテアーゼに応じ
て、さらなる補助物質、例えば活性化剤(activator)お
よび/または安定化剤、例えばドデシル硫酸ナトリウ
ム、尿素、塩酸グアニジン、錯化剤(例えば、一酸化炭
素、シアン化物イオンおよび/またはEDTA)、抗酸化
剤、保存剤またはアセトニトリルで補足することができ
る。緩衝剤の濃度が10mM〜50mMであり、4.2〜7.8のpH値
を有する場合が有利であることが判明している。特に、
非酵素的にグリケーション化されたタンパク質は、通
常、このpH領域で安定であることが判明している。
【0014】インキュベーションは、それぞれのタンパ
ク質分解酵素と共に、通常、約20℃〜40℃、より好まし
くは、約25℃で行ない、該酵素に応じて、数分後または
数時間後または数日後に終了することができる。消化時
間は、24時間以内が好ましいことが判明している。
【0015】酵素処理により得た溶液は、測定すべきタ
ンパク質およびそのグリケーション化変異体またはその
AGE誘導体の特異的ペプチドならびに他の断片を含有す
る。ついで該ペプチド混合物をHPLC法(例えば、逆相物
質)で分離する。そのような分離方法は当業者に公知で
ある(例えば、K.L. Stone, J.I. Elliott, G. Peterso
n, W. McMurray, K.R. Williams,“Reversed-phase hig
h performance liquidchromatography for fractionati
on of enzymatic digests and chemical cleavage prod
ucts of proteins", Methods in Enzymology, 193 (199
0) 389-412)。あるいは、キャピラリー電気泳動(例え
ば、Capillary Electrophoresis Separations of Pepti
des: Practical Aspects and Applications, chapter
9, p.237-271 in Capillary Electrophoresis, Academi
c Press 1992)などの他の分離方法を使用することも可
能である。分離法(HPLCまたはCE)からの溶出液を、直
接、質量分析計のイオン源中に通過させる。タンデムMS
法(MS/MS, MSn)を用いる場合には、前もって行なうク
ロマトグラフィーによる分離を省略することも可能であ
る(Analyt. Chemistry 68 (1996), 527-533)。
【0016】グリケーション化、AGEおよびそれぞれの
非グリケーション化ペプチド成分の測定シグナル強度か
ら、グリケーション化、AGEおよび非グリケーション化
タンパク質の同時選択的測定が可能である。非グリケー
ション化タンパク質に対するグリケーション化およびAG
Eタンパク質の比の値は、計算により得られる。このよ
うに、本方法では、全成分の濃度を同時かつ定量的に測
定することができるため、本方法は、非グリケーション
化ヘモグロビンに加えてグリケーション化ヘモグロビン
およびヘモグロビンAGEの測定に特に有利である。
【0017】本発明の方法においてタンパク質およびタ
ンパク質誘導体の質量スペクトルを記録するには、当該
技術分野の最新の技術が概ね適しており、特に、「軟
(soft)」イオン化法、大気圧イオン化法(API)およ
びエレクトロスプレーイオン化法(ESI)が特に適して
いる。イオン化により生成するイオンの質量は、原則と
して、このイオン化法と組合せることができる任意の質
量分析計、例えば四重極質量分析計、飛行時間型質量分
析計、イオントラップまたはセクターフィールド(sect
or field)装置を用いて測定することができる。また、
選択性または感度を向上させるために、質量分析計をMS
/MSまたはMSnモードで作動させることもできる。また、
マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)
も、イオン化法として適していることが判明している。
【0018】測定は、好ましくは、正に荷電したイオン
で行なう。ESIを用いて正に荷電したイオンでサンプル
を測定するためには、反応混合物を、例えば、酸性溶媒
(例えば、酢酸またはギ酸)に溶解する。40〜90%の有
機溶媒(例えば、アセトニトリルまたはメタノール)を
加えるのが有利であるが、それが絶対に必要という訳で
はない。この溶液を、10nl/分〜1ml/分の流速でイオン
化系に供給する。
【0019】別法として、純粋な水溶液で優れたシグナ
ル収率を与えるいわゆるナノスプレー(nanospray)技
術を用いることも可能である。イオンは、電場内で溶液
を噴霧することにより生成し、この方法の援助を、気体
での供給により空気的に、あるいは熱的に行なうことが
できる。生成したイオンを電場内で収束させ、質量分析
計の高真空領域に移動させる(これは、適当な隔膜また
は毛管により行なう)。典型的には、1回または数回プ
ロトン化された分子のイオン系列を、これらのイオン化
条件下で生成させ、それらのそれぞれの質量/電荷比
(m/z)を、例えば四重極質量分析計で測定する。得ら
れたイオン系列から、サンプル中に含まれている成分の
分子量を計算する。計算は、通常、市販のソフトウェア
パッケージ(例えば、Finnegan MATからのICIS Biomas
s)を用いて行なう。得られたイオンの強度は、溶液中
の対応する成分の濃度と相関した。
【0020】対応する質量スペクトルを記録するための
適当な装置は、例えば、Finnigan MAT、Perkin Elmer S
ciex、Bruker、MicroMassなどの会社から市販されてい
る。
【0021】サンプル中に含まれているタンパク質成分
の直接的な質量測定の代わりに(すなわち、完全な混合
物を使用しない)、測定の前に完全な又は部分的なサン
プル精製または濃縮を行なうことが可能である。このた
めには、濾過法(限外濾過)またはクロマトグラフィー
精製法が好ましく使用される。特に、クロマトグラフィ
ー法を自動化して、質量分析法との直接連結法として用
いることができる。適当なクロマトグラフィー法として
は、例えば、逆相、イオン交換、ゲル浸透またはアフィ
ニティークロマトグラフィーが挙げられる。また、電気
泳動法、特にキャピラリー電気泳動法が適していること
が判明している。
【0022】今日、例えばグリケーション化タンパク質
(例えばHbA1c)を非グリケーション化形態と対比して
測定することが、糖尿病のそれぞれの型または重症度を
判定する際に著しく貢献している。本発明の方法によ
り、種々のグリケーション度を有する種々のタンパク質
の測定および解析を同時に行なうことが初めて可能とな
り、得られた値を互いに数学的に関連づけることが可能
となる。この方法は、臨床診断において特に重要であ
る。なぜなら、この方法から、例えば糖尿病患者の過去
の血糖症状態(glycaemic state)の進行の傾向を知る
ことができ、また、一般に、例えばネフロパシーの現在
の病態や、糖尿病の型によって異なるグリケーションの
相違を知ることができるからである。さらに、本発明の
方法の場合、サンプル中のグリケーションされうる種々
のタンパク質を、同じ分析装置で同時に測定できるた
め、容易に実施可能で経済的であるという利点がある。
本方法は、オンラインのデータ記録によりさらに簡素化
される。
【0023】使用されている略語は、以下の意義を有す
る。 α:ヘモグロビンのα鎖、 glc:ケトアミンとして結合しているグルコース分子、 (glc)n:ケトアミンとして結合しているn個のグルコー
ス分子(nは0〜5の整数を示す)、 CM:リシンまたはN末端のバリンに結合しているカルボ
キシメチル基、 Fab、Fab(ab')2:抗体断片。
【0024】
【実施例】つぎに、実施例により本発明をさらに詳しく
説明する。
【0025】実施例1 ヒト赤血球溶血物からの種々のヘモグロビンサンプル
を、0.5%ギ酸水溶液に溶解した。濃度を約0.2mg/ml全H
bに調節した。この溶液の5μlを逆相HPLCカラム(PLRP
-S 1000オングストローム、1×75mm)に適用し、水中
の0.5%ギ酸から0.5%ギ酸/20%水/80%アセトニトリ
ルよりなる溶液の勾配で、50μl/分の流速で溶出した。
HPLCカラムは、エレクトロスプレーイオン源(Finnigan
APIイオン源を有する質量分析計Finnigan MAT SSQ70
0)とオンラインで連結した。測定すべきヘモグロビン
は、10分以内にカラムから溶出した。質量分析計のパラ
メーターは、イオン源中で生成したすべてのイオンが60
0〜1,400の質量/電荷比(m/z)で検出できるように選
択した。得られた生データを、ICISバイオマス分析プロ
グラム(Finnigan MAT)で分析し、m/zの生データを分
子量スケールに換算した(図1〜3)。
【0026】サンプル物質: サンプル1:天然の全血からの赤血球の溶血物。 サンプル2:グルコースと共に35℃で1/2週間インキュ
ベートした溶血物。 サンプル3:グルコースと共に35℃で1週間インキュベ
ートした溶血物。
【0027】種々のサンプルを比較するために、ヘモグ
ロビンのα鎖のそれぞれのシグナルを分析した。
【0028】得られた質量スペクトルは、グルコースで
処理されたサンプルにおいてはグリケーション化ヘモグ
ロビン(gHb)の比率が増加し、複数のグリケーション
も生じることを明らかに示していた。グリケーション産
物に加えて、AGEのシグナル(特に、カルボキシメチル
化により生じたもの)も認められた。
【0029】結果: サンプル1:天然ヘモグロビンは、ほとんど修飾されて
いないα鎖を示した。 サンプル2:1/2週間のインキュベーションは、α鎖当
たり付加体4個以下(平均1.5個)の複数のグリケーシ
ョンおよび追加的なカルボキシメチル化(AGE)を示し
た。 サンプル3:1週間のインキュベーションは、α鎖当た
り付加体5個以下(平均2.5個)にグリケーションが増
加し、カルボキシメチル化が増加することを示した。
【0030】Hb-AGEは、ヘモグロビン調製物においてカ
ルボキシメチル化ヘモグロビンとしてESI-MSで直接検出
することができる。
【0031】実施例2 グリケーション化された全タンパク質の含量に関して通
常のフルクトサミン試験により臨床化学的に特徴づけら
れている種々のヒト血清サンプル(健康でよく管理され
ている糖尿病患者、4〜6%のHbA1c)を使用して、非
グリケーション化血清アルブミンに対するグリケーショ
ン化血清アルブミンの比を質量分析的に測定した。血清
サンプルを水で1:100の倍率で希釈した。この溶液の
5μlを逆相HPLCカラム(PLRP-S 1000オングストロー
ム、1×75mm)に適用し、該溶液中に含まれているタン
パク質を、0.5%ギ酸/20%水/80%アセトニトリルの
溶液で、50μl/分の流速で溶出した。HPLCカラムは、エ
レクトロスプレーイオン源(Finnigan APIイオン源を有
する質量分析計Finnigan MAT SSQ700)とオンラインで
連結した。測定すべきアルブミンは、10分以内にカラム
から溶出した。質量分析計の記録パラメーターは、測定
すべきアルブミン誘導体の50倍プロトン化イオンが検出
されるように選択した。これは、m/z1320〜m/z1350の測
定範囲に対応した。非修飾アルブミンまたは2重(two−
fold)グリケーション化アルブミンに起因するシグナル
の強度を分析した。図4は、質量分析法により測定した
アルブミンに対する2重グリケーション化アルブミンの
強度比(y軸)が、17個のヒト血清サンプルにおけるア
ルブミン測定値に対するフルクトサミンの比(μmol/
l:g/dl)(x軸)と関連していることを示す。予想どお
り、フルクトサミン含量が増加するにつれてグリケーシ
ョン化アルブミンの含量も増加することが認められた。
その2つの方法は特異性が異なるため(フルクトサミン
試験では全グリケーション化血清タンパク質を検出し、
一方、本実施例の質量分析的測定ではアルブミンのみを
検出する)、その2つの方法の間の相関性は大雑把なも
のにすぎない。
【0032】実施例3 ビオチン試薬(ビオチノイル−アミノ−3,6−ジオアオ
クタニルアミノカルボニルヘプタン酸−N−ヒドロキシ
スクシンイミドエステル、ビオチン−DDS誘導体)で種
々の程度に修飾された種々の抗体の種々の抗体誘導体
(例えば、FabおよびF(ab')2断片)を、実施例1に記載
の方法に従い試験した。サンプルを0.5%ギ酸水溶液に
溶解した。濃度は、約5ピコモル/マイクロリットルに
調節した。この溶液の5μlを逆相HPLCカラム(PLRP-S
1000オングストローム、1×75mm)に適用し、水中の0.
5%ギ酸から0.5%ギ酸/アセトニトリルの勾配で、50μ
l/分の流速で溶出した。HPLCカラムは、エレクトロスプ
レーイオン源(Finnigan APIイオン源を有する質量分析
計Finnigan MAT SSQ700)とオンラインで連結した。測
定すべき物質は、10分以内にカラムから溶出した。エレ
クトロスプレー質量スペクトルを、スキャンモードにて
600〜3,000のm/zで記録した。生データを、ICISバイオ
マス分析プログラム(Finnigan MAT)で分析し、m/zの
生データを分子量スケールに換算した。
【0033】サンプル物質: MAB<CEA>Fab(非修飾体)(図5) MAB<CEA>Fab-(ビオチン)n;n=1,2(図6) MAB<CEA>Fab-(ビオチン)n;n=0,1,2,3,4(図
7) MAB<TSH>F(ab')2-(ビオチン)n;n=1,2(図8)
【図面の簡単な説明】
【図1】 ほぼ純粋な非修飾α鎖(測定分子量:15,124
Da、予想分子量15,126Da)を有する天然ヘモグロビン
(サンプル1)の質量スペクトログラム(強度(I)/分子
量(MW))。
【図2】 グルコースと共に1/2週間インキュベートし
たヘモグロビン(サンプル2)の質量スペクトル(I/M
W)。これは、4倍(four−fold)に及ぶ複数のグリケー
ションおよびカルボキシメチル化産物(AGE)を示し
た。
【図3】 グルコースと共に1週間インキュベートした
ヘモグロビン(サンプル3)の質量スペクトル(I/M
W)。これは、グリケーションの増加およびカルボキシ
メチル化の増加を示した。
【図4】 種々の患者サンプルにおいて質量分析法によ
り測定したアルブミン(HSA)に対するグリケーション
化アルブミン((glc)2 HSA)の比を、HSAと関連するフ
ルクトサミン含量と比較して表した図。
【図5】 <CEA>モノクローナル抗体(MAB)、Fab断片
(非修飾体)(MW48003Da)の質量スペクトル(I/M
W)。
【図6】 MAB<CEA>、Fab(ビオチン)n(nは1およびnは
2)(MW48003+n×512Da)の質量スペクトル(I/M
W)。
【図7】 MAB<CEA>、Fab(ビオチン)n(nは0、1、
2、3および4)(MW48003+n×512Da)の質量スペク
トル(I/MW)。
【図8】 MAB<TSH>、F(ab')2(ビオチン)n(nは1およ
びnは2)(MW99107+n×512Da)の質量スペクトル(I/
MW)。
フロントページの続き (72)発明者 ヴォルフ−ディエター エンゲル ドイツ連邦共和国 ディー−82340 フェ ルダフィンク,アウミラーシュトラーセ 9エイ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性サンプル中のタンパク質または対応
    する誘導体の定量的測定方法であって、該測定を質量分
    析法により行ない、少なくとも2つのタンパク質成分を
    1回の測定で同時に測定することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 質量分析法に適した溶媒で該サンプルを
    希釈することを含むサンプル調製を行なう、請求項1に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記測定の前に該サンプルをタンパク質
    分解酵素で処理する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 該質量分析的測定の前に該サンプルをク
    ロマトグラフィー精製法または免疫学的精製法に付し、
    該精製を所望により質量分析法とオンラインで行なう、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 該質量分析的測定のために、大気圧イオ
    ン化、エレクトロスプレーイオン化もしくは他の噴霧法
    またはレーザー脱離法または同等のイオン化法などの方
    法を用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 該サンプルが、アルブミンおよびその誘
    導体および/またはヘモグロビンおよびその誘導体およ
    び/または種々の抗体断片を含有する、請求項1〜5の
    いずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 個々のタンパク質成分に関して得られた
    測定データを互いに関連づけ、これらの比から診断情報
    を導き出すことができる、請求項1〜6のいずれか1項
    に記載の方法。
  8. 【請求項8】 診断に関連した情報を得るための、請求
    項1〜7のいずれか1項に記載の方法の使用。
JP10120158A 1997-04-29 1998-04-30 タンパク質および対応する誘導体の同時定量的測定方法 Pending JPH10332638A (ja)

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