【発明の詳細な説明】
神経伝達物質輸送体
本発明は、新たに同定されたポリヌクレオチド、このようなポリヌクレオチド
によりコードされるポリペプチド、このようなポリヌクレオチドおよびポリペプ
チドの使用、およびこのようなポリヌクレオチドおよびポリペプチドの産生に関
する。より詳細には、本発明のポリペプチドは、神経伝達物質輸送体であり、そ
して本発明のポリペプチドは、本明細書中では時々「NTT」という。本発明はま
た、このようなポリペプチドの作用を阻害することに関する。
シナプス伝達の本質的な特性は、神経伝達物質放出後の作用の迅速な終了であ
る。カテコールアミン、セロトニン、および特定のアミノ酸(例えば、γ-アミ
ノ酪酸(GABA)、グルタミン酸、およびグリシン)を包含する多くの神経伝達物質
については、神経伝達物質輸送体によるシナプス前終末および周辺のグリア細胞
の中への伝達物質の取り込みによりシナプス作用の迅速な終了が達成される(Ben
nettら,Life Sci.15: 1045-1056 (1974))。神経伝達物質の取り込みの阻害ま
たは刺激は、内因性伝達物質の利用可能なレベルを調節することにより、シナプ
ス作用の強度を調整する手段を提供する。神経伝達物質輸送体は、神経伝達物質
がシナプス間隙を横切りそしてシナプス後ニューロンに作用した後に、シナプス
前ニューロンの中に神経伝達物質を取り込む膜結合ポリペプチドである。神経伝
達物質は、グルタミン酸のように興奮性、またはGABAのように抑制性であり得る
。
親和性神経伝達物質輸送は、シナプス伝達の全プロセスを終了させると考えら
れている(Iversen,L.L.,Br.J.Pharmacol.41: 571-591 (1971))。近年、10を超
える異なる神経伝達物質輸送体をコードするcDNAがクローン化され、そして配列
決定されている。これらの遺伝子のファミリーを、3つのサブファミリーに分割
し得、これらは、GABAおよびタウリン輸送体(Liu,Q.R.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.
USA(印刷中),(1992))、アミノ酸(グリシンおよびプロリン)輸送体(Fremeau,
Jr.,R.T.ら,Neuron,8: 915-926 (1992))、およびカテコールアミン輸送体(Pac
holczyk,T.ら,Nature,350: 350-354(1991))を包含する。これら全ての遺伝子
産物の一般構造は、非常に似ている。これらは、12個の潜在的な膜貫通ヘリック
スおよび膜セグメント3と4との間に3〜4個のグリコシル化部位を有する広範
な外側のループを含有する。輸送体の計算分子量は約70kDaであり、そしてこれ
らのC末端周辺ペプチドおよびN末端周辺ペプチドの両方が、約40アミノ酸を含
有し、そして膜の細胞質側に位置し得る。GABAおよびカテコールアミンの輸送体
サブファミリーでは、各メンバーのアミノ酸配列はサブファミリー内の他のメン
バーに対して60〜80%同一であり、そして2つのサブファミリー間のメンバーで
約40%同一である(Liu,Q.R.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89: 6639-6643 (1992
))。アミノ酸輸送体(例えば、グリシン輸送体およびプロリン輸送体)は、神経
伝達物質輸送体スーパーファミリーの全てのメンバーと約40〜45%の相同性を共
有する。神経伝達物質輸送体ファミリーのメンバー間の配列相同性は、これらが
共通の祖先遺伝子から進化したという明らかな徴候を与える。さらに、いくつか
の神経伝達物質輸送体の部分的なゲノムクローニングは、これらの全てにおいて
、リーディングフレーム内の第1イントロンが同一の部位に位置すること(前出
)を明らかにする。
GABAA輸送体は、クローン化および発現された最初の神経伝達物質系であった(
Guastella,J.ら,Science 249: 1303-1306 (1990))。そして、GABAA輸送体は、
昨年の内にクローン化された神経伝達物質輸送体のファミリーの1つである。近
年、セロトニン輸送体cDNAが、PCT WO 93/08261に開示されている。
本発明の1つの局面によれば、本明細書中でNTTと呼ぶ新規な成熟ポリペプチ
ド、ならびにそのフラグメント、アナログおよび誘導体が提供される。本発明の
ポリペプチドは、ヒト起源である。
本発明の別の局面によれば、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチド(DNAまたはRNA)が提供される。
本発明のまたさらなる局面によれば、このようなポリペプチドを組換え技術に
より産生するためのプロセスが提供される。
本発明のまたさらなる局面によれば、NTTのその基質への親和性を増大させる
アゴニストが提供され、そしてこれは、筋萎縮性側索硬化症、疼痛、および脳卒
中を処置するために使用され得る。
本発明の別の局面によれば、このようなNTTポリペプチドに対する抗体が提供
される。
本発明のまた別の局面によれば、NTTによる神経伝達物質の取り込みを妨げる
ために使用され得るアンタゴニスト/インヒビターが提供される。これは、治療
的に(例えば、鬱病、不安、および癲癇、ならびに他の神経学的疾患または精神
疾患の処置に)使用され得る。
本発明のこれらおよび他の局面は、本明細書中の教示から当業者に明らかであ
るはずである。
以下の図面は、本発明の実施態様の例示であり、そして請求の範囲により包含
される本発明の範囲を限定することを意味しない。
図1は、成熟NTTポリペプチドのcDNA配列および対応する推定アミノ酸配列を
示す。アミノ酸配列では、標準的な1文字略語を使用した。
本発明の1つの局面によれば、図1の推定アミノ酸配列を有する成熟ポリペプ
チドまたは1994年3月18日にATCC寄託物第75713号として寄託されたクローンのc
DNAにコードされる成熟ポリペプチドをコードする単離された核酸(ポリヌクレ
オチド)が提供される。
本発明のポリヌクレオチドは、ヒト胎児脳に由来するcDNAライブラリーにおい
て発見された。本発明のポリヌクレオチドは、構造的に神経伝達物質輸送体ファ
ミリーに関係する。本発明のポリヌクレオチドは、約727アミノ酸残基のタンパ
ク質をコードするオープンリーディングフレームを含有する。このタンパク質は
、ラット神経伝達物質輸送体(NT74)とアミノ酸配列全体で94%同一かつ96%類似
という高度の相同性を示す。
本発明のポリヌクレオチドは、RNAの形態またはDNA(このDNAはcDNA、ゲノムD
NA、および合成DNAを包含する)の形態であり得る。DNAは二本鎖または一本鎖で
あり得、そして一本鎖である場合、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖
であり得る。成熟ポリペプチドをコードするコード配列は、図1に示すコード配
列または寄託したクローンのコード配列と同一であり得、あるいはそのコード配
列が、遺伝コードの重複性または縮重の結果として、図1のDNAまたは寄託したc
DNAと同じ成熟ポリペプチドをコードする異なるコード配列であり得る。
図1の成熟ポリペプチドまたは寄託したcDNAによりコードされる成熟ポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドは以下を包含し得る:成熟ポリペプチドのコ
ード配列のみ;成熟ポリペプチドのコード配列およびさらなるコード配列(例え
ば、リーダー配列または分泌配列、またはプロタンパク質配列);成熟ポリペプ
チドのコード配列(および必要に応じてさらなるコード配列)および非コード配
列(例えば、イントロンまたは成熟ポリペプチドのコード配列の5'側および/ま
たは3'側の非コード配列)。
従って、用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、ポリペプチ
ドのコード配列のみを含むポリヌクレオチド、およびさらなるコード配列および
/または非コード配列を含むポリヌクレオチドを包含する。
本発明はさらに、図1の推定アミノ酸配列を有するポリペプチドまたは寄託し
たクローンのcDNAによりコードされるポリペプチドのフラグメント、アナログお
よび誘導体をコードする本明細書中上記のポリヌクレオチドの改変体に関する。
ポリヌクレオチドの改変体は、ポリヌクレオチドの天然の対立遺伝子改変体また
はポリヌクレオチドの非天然の改変体であり得る。
従って、本発明は、図1に示すものと同じ成熟ポリペプチドまたは寄託したク
ローンのcDNAによりコードされる同じ成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチド、およびそのようなポリヌクレオチドの改変体を包含する。この改変体は
、図1のポリペプチドまたは寄託したクローンのcDNAによりコードされるポリペ
プチドのフラグメント、誘導体またはアナログをコードする。このようなヌクレ
オチド改変体は、欠失改変体、置換改変体および付加または挿入改変体を包含す
る。
本明細書中上記で示したように、ポリヌクレオチドは、図1に示すコード配列
または寄託したクローンのコード配列の天然の対立遺伝子改変体であるコード配
列を有し得る。当該分野で公知なように、対立遺伝子改変体は、1以上のヌクレ
オチドの置換、欠失または付加を有し得るポリヌクレオチド配列の別の形態であ
り、これはコードされるポリペプチドの機能を実質的に変化させない。
本発明のポリヌクレオチドはまた、本発明のポリペプチドの精製を可能にする
マーカー配列に同じリーディングフレームで融合したコード配列を有し得る。マ
ーカー配列は、細菌宿主の場合、マーカーに融合した成熟ポリペプチドの精製を
提供する、pQE-9ベクターにより供給されるヘキサヒスチジンタグであり得る。
また、例えば、マーカー配列は、哺乳動物宿主(例えば、COS-7細胞)が使用さ
れる場合は、血球凝集素(HA)タグであり得る。HAタグは、インフルエンザ血球
凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する(Wilson,I.ら、Cell,37:7
67 (1984))。
本発明はさらに、配列間に少なくとも50%そして好ましくは70%の同一性が存在
する場合、本明細書中上記の配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドに関す
る。本発明は特に、本明細書中上記のポリヌクレオチドにストリンジェントな条
件下てハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本明細書中で用いられる
用語「ストリンジェントな条件」は、配列間に少なくとも95%そして好ましくは
少なくとも97%の同一性が存在する場合にのみハイブリダイゼーションが生じる
ことを意味する。好ましい実施態様において、本明細書中上記のポリヌクレオチ
ドにハイブリダイズするポリヌクレオチドは、図1のcDNAまたは寄託したcDNAに
よりコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的機能または活性を保
持するポリペプチドをコードする。
本明細書中でいう寄託物は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関す
るブダペスト条約の下に維持される。これらの寄託物は、当業者に対する便宜の
ためだけに提供され、そして米国特許法第112条の下で寄託が必要とされること
を認めたわけではない。寄託物に含まれるポリヌクレオチドの配列、ならびにそ
れによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、本明細書中に参考として
援用されており、そして本明細書中の配列の記載とのいかなる矛盾も抑えている
。寄託物を製造し、使用し、または販売するためには実施許諾が必要とされ得、
そしてそのような実施許諾はこれによって与えられるわけではない。
本発明はさらに、図1の推定アミノ酸配列を有するかまたは寄託したcDNAによ
りコードされるアミノ酸配列を有するNTTポリペプチド、およびそのようなポリ
ペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体に関する。
用語「フラグメント」、「誘導体」および「アナログ」は、図1のポリペプチ
ドまたは寄託したcDNAにコードされるポリペプチドをいう場合は、そのようなポ
リペプチドと本質的に同じ生物学的機能または活性を保持するポリペプチドを意
味する。従ってアナログは、プロタンパク質部分の切断により活性化されて活性
な成熟ポリペプチドを生じ得るプロタンパク質を包含する。
本発明のポリペプチドは、組換えポリペプチド、天然のポリペプチドまたは合
成ポリペプチドであり得、好ましくは組換えポリペプチドであり得る。
図1のポリペプチドまたは寄託したcDNAによりコードされるポリペプチドのフ
ラグメント、誘導体またはアナログは、(i)1以上のアミノ酸残基が保存または
非保存アミノ酸残基(好ましくは保存アミノ酸残基)で置換され、そしてこのよ
うな置換されるアミノ酸残基がこの遺伝コードによりコードされるアミノ酸残基
であり得るかあり得ないアミノ酸残基である、または(ii)1以上のアミノ酸残基
が置換基を含有する、または(iii)成熟ポリペプチドがこのポリペプチドの半減
期を増加させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール)のような別の化合物
に融合されている、または(iv)リーダー配列または分泌配列、もしくは成熟ポリ
ペプチドの精製に用いられる配列またはプロタンパク質配列のようなさらなるア
ミノ酸が成熟ポリペプチドに融合される、フラグメント、誘導体またはアナログ
であり得る。このようなフラグメント、誘導体およびアナログは、本明細書中の
教示から、当業者の範囲内にあると考えられる。
本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、好ましくは単離された形態
で提供され、そして好ましくは均質に精製される。
用語「単離された」は、物質がその本来の環境(例えば、天然に存在する場合
は、天然の環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動
物に存在する天然のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されていない
が、天然の系において共存する幾つかまたは全部の物質から分離されている同じ
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。このようなポリヌク
レオチドはベクターの一部であり得、そして/またはこのようなポリヌクレオチ
ドまたはポリペプチドは、組成物の一部であり得るが、それにもかかわらずその
ようなベクターまたは組成物はその天然の環境の一部ではないため単離されてい
る。
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、本発明のベクター
を用いて遺伝子操作される宿主細胞、および組換え技術による本発明のポリペプ
チドの産生に関する。
宿主細胞は、本発明のベクター(これは例えば、クローニングベクターまたは
発現ベクターであり得る)を用いて遺伝子操作される(形質導入されるかまたは
形質転換されるかまたはトランスフェクトされる)。ベクターは例えば、プラス
ミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であり得る。操作された宿主細胞は、
プロモーターを活性化し、形質転換体を選択し、またはNTT遺伝子を増幅するた
めに適切に改変した従来の栄養培地中において培養され得る。培養条件(例えば
、温度、pHなど)は、発現のために選択される宿主細胞に以前使用された条件で
あり、そして当業者には明らかである。
本発明のポリヌクレオチドは、組換え技術によりポリペプチドを産生するため
に用いられ得る。従って例えば、ポリヌクレオチドは、ポリペプチドを発現する
ための種々の発現ベクターのいずれか1つに含まれ得る。このようなベクターは
、染色体DNA配列、非染色体DNA配列、および合成DNA配列を包含する。このよう
なベクターは、例えば、SV40の誘導体;細菌性プラスミド;ファージDNA;バキ
ュロウイルス;酵母プラスミド;プラスミドと、ファージDNAおよびウイルスDNA
(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、および仮性狂
犬病)の組み合わせに由来するベクターである。しかし、宿主において複製可能
で、そして存続可能である限り、他の任意のベクターも使用され得る。
適切なDNA配列は、種々の手順によりベクターに挿入され得る。一般に、DNA配
列は当該分野で公知の手順により適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入され
る。このような手順および他の手順は、当業者に公知の範囲内であると考えられ
る。
発現ベクター中のDNA配列は、適切な発現制御配列(プロモーター)に作動可
能に連結され、mRNAの合成を指示する。このようなプロモーターの代表的な例と
しては、以下が挙げられ得る:LTRまたはSV40プロモーター、E.coli lacまたはt rp
、λファージPLプロモーター、および原核細胞または真核細胞あるいはそのウ
イルス内で遺伝子の発現を制御することが知られている他のプロモーター。発現
ベクターはまた、翻訳開始のためのリボソーム結合部位および転写ターミネータ
ーを含有する。ベクターはまた、発現を増幅するための適切な配列を含有し得る
。
さらに、発現ベクターは、好ましくは、形質転換された宿主細胞の選択のため
の表現型特性(例えば、真核細胞培養物についてはジヒドロ葉酸レダクターゼま
たはネオマイシン耐性、またはE.coliにおけるテトラサイクリン耐性またはアン
ピシリン耐性)を提供する1またはそれ以上の選択マーカー遺伝子を含有する。
上記のような適切なDNA配列ならびに適切なプロモーター配列または制御配列
を含有するベクターは、適切な宿主を形質転換して宿主にタンパク質を発現させ
るために用いられ得る。
適切な宿主の代表的な例としては、以下が挙げられ得る:細菌細胞(例えば、E.coli
、Streptomyces、Salmonella typhimurium);真菌細胞(例えば酵母);
昆虫細胞(例えば、DrosophilaおよびSf9);動物細胞(例えば、CHO、HEK293、
COSまたはBowes黒色腫);植物細胞など。適切な宿主の選択は、本明細書の教示
により当業者に公知の範囲内であると考えられる。
さらに詳細には、本発明はまた、上で広範に記載したように1以上の配列を含
む組換え構築物を包含する。構築物は、ベクター(例えば、プラスミドベクター
またはウイルスベクター)を包含し、このベクターの中には本発明の配列が正方
向または逆方向に挿入されている。この実施態様の好ましい局面によれば、構築
物はさらに、配列に作動可能に連結された調節配列(例えば、プロモーターを包
含する)を含む。多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者には公知で
あり、そして購入可能である。以下のベクターが例として提供される。細菌性:
pQE70、pQE60、pQE-9(Qiagen)、pbs、pD10、phagescript、psiX174、pbluescrip
t SK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratagene);ptrc99a、pKK223-
3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)。真核性:pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、p
XT1、pSG(Stratagene);pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)。しかし、それら
が宿主において複製可能で、そして存続可能である限り、他の任意のプラスミド
またはベクターも使用され得る。
プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベク
ターまたは選択マーカーを有する他のベクターを使用して、任意の所望の遺伝子
から選択され得る。2つの適切なベクターは、pKK232-8およびpCM7である。特に
よく知られた細菌プロモーターは、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λPR、PLおよびt
rpを包含する。真核プロモーターは、CMV即時型、HSVチミジンキナーゼ、初期SV
40および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、およびマウスI型メタロチオネ
インを包含する。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当業者の
レベル範囲内である。
さらなる実施態様では、本発明は上記の構築物を含有する宿主細胞に関する。
宿主細胞は、高等真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)または下等真核細胞(例え
ば、酵母細胞)であり得るか、または宿主細胞は原核細胞(例えば、細菌細胞)
であり得る。構築物の宿主細胞への導入は、例えば、リン酸カルシウムトランス
フェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、またはエレクト
ロポレーションにより達成され得る(Davis,L.,Dibner,M.,Battey,I.,Basic Meth
ods in Molecular Biology,1986)。
宿主細胞中の構築物は、組換え配列によりコードされる遺伝子産物を産生する
ために、従来の方法において使用され得る。あるいは、本発明のポリペプチドは
、従来のペプチド合成機により合成的に産生され得る。
成熟タンパク質は、哺乳動物細胞、酵母、細菌、または他の細胞中で適切なプ
ロモーターの制御下で発現され得る。無細胞翻訳系もまた、このようなタンパク
質を産生するために、本発明のDNA構築物に由来するRNAを使用して用いられ得る
。原核宿主および真核宿主で使用される適切なクローニングベクターおよび発現
ベクターは、Sambrookら,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2版,
Cold Spring Harbor,N.Y.,(1989)(この開示は、本明細書中に参考として援用さ
れている)に記載されている。
本発明のポリペプチドをコードするDNAの高等真核生物による転写は、ベクタ
ーにエンハンサー配列を挿入することにより増大される。エンハンサーはDNAの
シス作用性因子であり、通常は約10〜約300bpであり、これはプロモーターに作
用してその転写を増大させる。例は、複製起点bp100〜270の後期側のSV40エンハ
ンサー、サイトメガロウイルスの初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後
期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーを包含する
。
一般に、組換え発現ベクターは、複製起点および宿主細胞の形質転換を可能と
する選択マーカー(例えば、E.coliのアンピシリン耐性遺伝子およびS.cerevisi
ae
のTRP1遺伝子)および下流の構造配列の転写を指示する高発現遺伝子由来プロ
モーターを含有する。このようなプロモーターは、特に解糖酵素(例えば、3-ホ
スホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、α因子、酸性ホスファターゼ、または熱ショ
ックタンパク質)をコードするオペロンに由来し得る。異種構造配列は、翻訳開
始配列および翻訳終止配列、および好ましくは翻訳されたタンパク質の細胞周辺
腔または細胞外培地への分泌を指示し得るリーダー配列と適切な相内で組立てら
れる。必要に応じて、異種配列は、所望の特徴(例えば、発現された組換え産物
の安定化または簡略化された精製)を与えるN末端同定ペプチドを含む融合タン
パク質をコードし得る。
細菌での使用に有用な発現ベクターは、機能的なプロモーターと作動可能な読
みとり相で、所望のタンパク質をコードする構造DNA配列を適切な翻訳開始シグ
ナルおよび翻訳終止シグナルと共に挿入することにより構築される。ベクターは
、1以上の表現的な選択マーカー、およびベクターの維持を保証するため、そし
て所望の場合には、宿主内での増幅を提供するために複製起点を含有する。形質
転換のために適切な原核宿主は、E.coli、Bacillus subtilis、Salmonella typh imurium
、およびPseudomonas属、Streptomyces属、およびStaphylococcus属内の
種々の種を包含するが、他の種もまた選択対象に用いられ得る。
代表的な、しかし限定しない例として、細菌での使用に有用な発現ベクターは
、周知のクローニングベクターpBR322(ATCC 37017)の遺伝エレメントを含む市販
のプラスミドに由来する選択マーカーおよび細菌性の複製起点を含有し得る。こ
のような市販のベクターは、例えば、pKK223-3(Pharmacia Fine Chemicals,Upp
sala,Sweden)およびGEM1(Promega Biotec,Madison,WI,USA)を包含する。こ
れらのpBR322「骨格」部分は、適切なプロモーターおよび発現されるべき構造配
列と組み合わされる。
適切な宿主系統の形質転換および適切な細胞密度への宿主系統の増殖に続いて
、選択されたプロモーターは適切な手段(例えば、温度シフトまたは化学的誘導
)により誘導され、そして細胞はさらなる期間培養される。
細胞は、代表的には遠心分離により収集され、物理的手段または化学的手段に
より破砕され、そして得られた粗抽出物はさらなる精製のために保持される。タ
ンパク質の発現において用いられる微生物細胞は、凍結融解サイクル、超音波処
理、機械的破砕、または細胞溶解剤の使用を包含する任意の便利な方法により破
砕され得、このような方法は、当業者には周知である。
種々の哺乳動物細胞の培養系もまた、組換えタンパク質を発現するために用い
られ得る。哺乳動物発現系の例は、Gluzman,Cell,23: 175 (1981)に記載され
たサル腎臓線維芽細胞のCOS-7株、および適合性のベクターを発現し得る他の細
胞株(例えば、C127、3T3、CHO、HEK293、HeLa、およびBHK細胞株)を包含する
。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適切なプロモーターおよびエンハンサー
、および任意の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスド
ナー部位およびスプライスアクセプター部位、転写終結配列、および5'側に隣
接する非転写配列をも含有する。SV40のスプライス部位およびポリアデニル化部
位に由来するDNA配列は、必要な非転写遺伝エレメントを提供するために使用さ
れ得る。
NTTポリペプチドは、以下の方法により組換え細胞培養物から回収され得、そ
して精製され得る。これらの方法には、硫安沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出
、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマト
グラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラ
フィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグ
ラフィーが包含される。必要に応じて、タンパク質の再折りたたみ(refolding
)工程が、成熟タンパク質の形状を完全にする際に使用され得る。最終的に、高
性能液体クロマトグラフィー(HPLC)が、最終的な精製工程に用いられ得る。
本発明のポリペプチドは、天然の精製された産物または化学合成手順の産物で
あり得るか、または原核宿主または真核宿主(例えば、培養中の細菌、酵母、高
等植物、昆虫、および哺乳動物細胞)から組換え技術により産生され得る。組換
え産生手順に用いられる宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル
化され得るか、またはグリコシル化され得ない。本発明のポリペプチドはまた、
開始メチオニンアミノ酸残基を含有し得る。
本発明はまた、本発明のNTTポリペプチドと相互作用する神経伝達物質を同定
する方法を提供する。神経伝達物質がNTTによりシナプス間隙からシナプス前ニ
ューロンに移動されるかどうか決定する方法は、細胞が今やNTTを発現するよう
に、細胞集団をNTTを発現する適切なベクターでトランスフェクトする工程を包
含する。次いで、種々の神経伝達物質を、放射標識(例えば、トリチウム化)し
、そしてトランスフェクト細胞とともにインキュベートしてどの神経伝達物質が
細胞内に輸送されるかを同定する。
一旦、神経伝達物質が同定されると、化合物は、NTTと特異的に相互作用し、
そしてその神経伝達物質を取り込むためのNTTの親和性を増加させるもの(例え
ば、アゴニスト)か、または神経伝達物質を取り込むその能力を減少させるもの
(例えば、アンタゴニスト/インヒビター)かのいずれであるかを同定するため
にスクリーニングされ得る。この方法は、NTTポリペプチドを宿主細胞において
発現させるために宿主細胞を本発明のベクターで形質転換する工程、宿主細胞を
、検出可能なマーカー配列(例えば、放射標識またはビオチンのような非放射性
標識)により標識されているNTTの天然の神経伝達物質および潜在的な化合物と
ともにインキュベートする工程、および細胞内への神経伝達物質の移動が阻害さ
れるかまたは増加するかを決定する工程を包含する。細胞内の神経伝達物質の量
を測定することにより、当業者は、化合物が有効なアゴニストまたはアンタゴニ
ストであるかどうかを決定し得る。
興奮性または抑制性神経伝達物質の存在は、重要な臨床的意義を有する。例え
ば、グルタミン酸は、興奮性の神経伝達物質であり、シナプス間隙内のその存在
は、ニューロンにとって有毒であり得る。このニューロン毒性は、筋萎縮性側索
硬化症、つまり「ALS」において重大な役割を果たすことが見出されている。さ
らに、脳卒中の間に、過剰濃度のグルタミン酸がシナプス間隙中に放出され、そ
してニューロン細胞に有害である。さらに、一般的な疼痛の原因は未知であるが
、疼痛は脳のシナプス間隙中への神経伝達物質の放出により特徴付けられると考
えられている。従って、NTTのアゴニストは、神経伝達物質の取り込みを刺激す
るために用いられ得、その結果、上記の状態を軽減する。
本発明のNTTポリペプチドはまた、インビボでのこのようなポリペプチドの発
現により投与され得、これはしばしば、「遺伝子治療」といわれる。遺伝子治療
は、NTTアゴニストの適用と同様であるが、しかし、遺伝子治療においては、本
発明のポリヌクレオチドは、宿主の細胞機構が本発明のNTTを発現して、例えば
、ALS、脳卒中、および一般的疼痛において所望される神経伝達物質の取り込み
を促進するように投与される。
例えば、患者由来の細胞は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(DN
AまたはRNA)を用いてエクソビボで操作され得、次いで、操作された細胞は、NTT
の発現および神経伝達物質の移動が望まれる患者の神経細胞に標的づけられる。
このような方法は当該分野で周知である。例えば、細胞は、本発明のポリペプチ
ドをコードするRNAを含有するレトロウイルス粒子の使用により、当該分野で公
知の手順によって操作され得る。
同様に、細胞は、インビボでのポリペプチドの発現のために、例えば、当該分
野で公知の手順によりインビボで操作され得る。当該分野で公知のように、本発
明のポリペプチドをコードするRNAを含有するレトロウイルス粒子を産生するた
めの産生細胞は、インビボで細胞を操作するためおよびインビボでのポリペプチ
ドの発現のために患者に投与され得る。このような方法により本発明のポリペプ
チドを投与するためのこれらの方法または他の方法は、本発明の教示により当業
者には明らかである。例えば、細胞を操作するための発現媒体は、レトロウイル
ス以外のもの(例えば、アデノウイルス)であり得る。アデノウイルスは、適切
な送達媒体と組み合わせた後インビボで細胞を操作するために使用され得る。
本発明はまた、本発明のポリペプチドのアンタゴニスト/インヒビター、さら
には上記のスクリーニング法を利用することにより同定されるアンタゴニスト/
インヒビターに関する。アンタゴニストは、NTTポリペプチドに対する抗体、ま
たは、場合によっては、NTTに結合して天然の神経伝達物質に近づき難くして、
シナプス間隙中の神経伝達物質の濃度を増大させるオリゴヌクレオチドを包含す
る。
インヒビターは、アンチセンス技術を用いて調製されたアンチセンス構築物を
包含する。アンチセンス技術は、3重ヘリックスの形成あるいはアンチセンスDN
AまたはアンチセンスRNAにより遺伝子発現を制御するために使用され得る。これ
らの方法は両方とも、ポリヌクレオチドのDNAまたはRNAへの結合に基づく。例え
ば、ポリヌクレオチド配列(これは、本発明の成熟ポリペプチドをコードする)
の5'コード部分が、長さ約10塩基対〜40塩基対のアンチセンスRNAオリゴヌクレ
オチドを設計するために使用される。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関わる
遺伝子の領域に相補的であるように設計され(3重ヘリックス−Leeら,Nucl.A
cids Res.,6: 3073 (1979); Cooneyら,Science,241: 456 (1988); およびDerv
anら,Science,251: 1360 (1991)を参照のこと)、その結果、転写およびNTTの
産生を妨げる。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボてmRNAにハイ
ブリダイズし、そしてmRNA分子のNTTへの翻訳をブロックする(アンチセンス−O
kano,J.Neurochem.,56: 560 (1991); Oligodeoxynucleotides as Antisense I
nhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL (1988)を参照のこ
と)。上記のオリゴヌクレオチドはまた、アンチセンスRNAまたはアンチセンスD
NAがインビボで発現されてNTTの産生を阻害し得るように、細胞に送達され得る
。
これらの方法において、アンタゴニスト/インヒビターは、鬱病、不安、癲癇
、および他の神経学的障害および精神障害を処置するために使用され得る。神経
伝達物質輸送系の欠損は、シナプス間隙における神経伝達物質の濃度の増大また
は減少を生じ、レセプターの不適切な刺激を生じる。例えば、鬱病は、脳におけ
るノルエピネフリンおよび/またはセロトニンの放出の減少と関連する、と仮定
されている。従って、NTTによるシナプス前ニューロン中へのその神経伝達物質
の移動を阻害することにより、これらの神経伝達物質が、それらのレセプターと
より頻繁に相互作用することを可能にする。従って、アンタゴニスト/インヒビ
ターの投与は、上記の状態を軽減するために用いられ得る。アンタゴニスト/イ
ンヒビターは、薬学的に受容可能なキャリアとともに組成物中に用いられ得る。
本発明はまた、潜在的なNTT特異的アンタゴニスト/インヒビターを同定する
ためのアッセイに関する。このようなアッセイの例は、哺乳動物の視床下部から
シナプトソーム調製物を調製する工程を包含する。このような調製物は、ニュー
ロンの末端が摘み取られた「シール」したニューロンである。次いで、シナプト
ソーム調製物は、トリチウム化神経伝達物質および潜在的なアンタゴニストとと
もにインキュベートされる。次いで、神経伝達物質の取り込み程度を測定してア
ンタゴニストが有効であるかどうかを決定する。
本発明の化合物(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト/インヒビター化
合物)は、適切な薬学的キャリアと組み合わせて用いられ得る。このような組成
物は、治療上有効な量のポリペプチド、および薬学的に受容可能なキャリアまた
は賦形剤を含有する。このようなキャリアは、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、
デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組合せを包含
するが、これらに限定されない。処方物は、投与の様式に好適であるべきである
。
本発明はまた、1以上の本発明の薬学的組成物の成分で満たされた1以上の容
器を含有する薬学的パックまたはキットを提供する。このような容器は、薬剤ま
たは生物学的製品の製造、使用、または販売を統制する政府機関により規定され
た形式の通知を伴い得、この通知はヒトへの投与についての製造、使用、または
販売の機関による認可を反映する。さらに、本発明のポリペプチドは、他の治療
的化合物と併用して用いられ得る。
薬学的組成物は、その神経伝達物質に対するNTTの親和性を有効に増大させる
か、またはNTTがその神経伝達物質を移動させるのを有効に阻害するのに有効な
量で投与され得、そしてその結果、シナプス間隙における神経伝達物質の過剰な
濃度、または場合により神経伝達物質の低すぎる濃度に関連する異常な状態を軽
減し得る。
本発明の配列はまた、染色体の同定に有益であり得る。配列は、個々のヒト染
色体の特定の位置に特異的に標的付けられ、そしてその位置とハイブリダイズし
得る。さらに、現在は染色体上の特定の部位を同定する必要がある。現在、染色
体位置のマーキングに利用可能な実際の配列データ(反復多型性)に基づいた染
色体マーキング試薬はほとんどない。本発明によるDNAの染色体へのマッピング
は、これらの配列と疾患に関連する遺伝子とを相関させることにおける重要な第
1段階である。
簡略に述べれば、配列は、cDNAからPCRプライマー(好ましくは15〜25bp)を
調製することにより染色体にマップされ得る。cDNAのコンピューター解析が、ゲ
ノムDNA内で1より多いエキソンにまたがらず、従って増幅プロセスを複雑化し
ないプライマーを迅速に選択するために使用される。次いで、これらのプライマ
ーは、個々のヒト染色体を含有する体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングに
使用される。プライマーに対応するヒト遺伝子を含有するハイブリッドのみが増
幅フラグメントを生じる。
体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定の染色体に特定のDNAを割り当て
るための迅速な手順である。本発明を同じオリゴヌクレオチドプライマーと共に
使用して、類似の方法で特定の染色体由来のフラグメントのパネルまたは大きな
ゲノムクローンのプールを用いて下位位置決め(sublocalization)が達成され得
る。染色体にマップするために同様に使用され得る他のマッピングストラテジー
は、染色体特異的cDNAライブラリーを構築するための、インサイチュハイブリダ
イゼーション、標識したフローサイトメトリーで選別した染色体でのプレスクリ
ーニング、およびハイブリダイゼーションによる前選択を包含する。
cDNAクローンの中期染色体展開物への蛍光インサイチュハイブリダイゼーショ
ン(FISH)は、1工程で正確な染色体位置を提供するために使用され得る。この技
術は、500または600塩基程度の短いcDNAで使用され得る;しかし、2,000bpより
も長いクローンの方が、簡便な検出に充分なシグナル強度でユニークな染色体位
置に結合しやすい。FISHは、ESTが由来するクローンの使用を必要とし、そして
このクローンはより長いことが好ましい。例えば、2,000bpが良好であり、4,000
bpはより良好であり、そして4,000bpを超える長さは、良好な結果に時間の合理
的な割合を得るためにおそらく必要でない。この技術の総説としては、Vermaら
,Human Chromosomes: a Manual of Basic Techniques,Pergamon Press,New Y
ork (1988)を参照のこと。
一旦配列が正確な染色体位置にマップされると、配列の染色体上での物理的な
位置を遺伝的地図のデータと相関させ得る。(このようなデータは、例えば、V.M
cKusick,Mendelian Inheritance in Man に見出される(Johns Hopkins Univers
ity Welch Medical Libraryからオンラインで入手可能である))。次いで、同一
の染色体領域にマップされる遺伝子と疾患との関係が、連鎖解析(物理的に隣接
した遺伝子の同時遺伝)により同定される。
次に、罹患個体と非罹患個体との間のcDNAまたはゲノム配列の差異を決定する
必要がある。変異がいくつかまたはすべての罹患個体に観察されるが正常な個体
には観察されない場合、この変異は疾患の原因因子であると思われる。
物理的マッピング技術および遺伝的マッピング技術の現在の解像度では、疾患
に関連する染色体領域に正確に位置決めされたcDNAは、50と500との間の潜在的
原因遺伝子の1つであり得る。(これは、1メガ塩基のマッピング解像度で、そ
して20kbあたり1遺伝子と仮定する。)
罹患個体と非罹患個体との比較は、一般に、まず染色体の構造変化(例えば、
染色体展開物で目視できるか、あるいはそのcDNA配列に基づくPCRを使用して検
出可能な欠失または転座)を探す工程を包含する。最終的には、変異の存在を確
認し、そして変異を多型性から区別するために、数個体由来の遺伝子の完全な配
列決定が必要とされる。
このポリペプチド、そのフラグメントまたは他の誘導体、またはそれらのアナ
ログ、あるいはそれらを発現する細胞は、それらに対する抗体を産生させるため
の免疫原として使用され得る。これらの抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、
またはモノクローナル抗体であり得る。本発明はまた、キメラ抗体、単鎖抗体お
よびヒト化抗体、ならびにFabフラグメント、またはFab発現ライブラリーの産物
を包含する。当該分野で公知の種々の手順が、このような抗体およびフラグメン
トの産生のために使用され得る。
本発明の配列に対応するポリペプチドに対して生成される抗体は、動物へのポ
リペプチドの直接注射により、または動物へのポリペプチドの投与により得られ
得る。この動物は、好ましくは非ヒトである。次いで、このようにして得られた
抗体は、ポリペプチド自体に結合する。このようにして、ポリペプチドのフラグ
メントのみをコードする配列でさえも、ネイティブなポリペプチド全体に結合す
る抗体を生成するために使用され得る。次いで、このような抗体は、そのポリペ
プチドを発現する組織からポリペプチドを単離するために使用され得る。
モノクローナル抗体の調製のために、細胞株の連続培養により産生される抗体
を提供する任意の技術が使用され得る。例としては、ハイブリドーマ技術(Kohle
rおよびMilstein,1975,Nature,256: 495-497)、トリオーマ(trioma)技術、ヒ
トB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら,1983,Immunology Today 4: 72)、およ
びヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Coleら,19
85,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,77-96頁)
が挙げられる。
単鎖抗体を産生するために記載された技術(米国特許第4,946,778号)を、本発
明の免疫原性ポリペプチド産物に対する単鎖抗体を生成するために適合させ得る
。
本発明を以下の実施例を参照にしてさらに記載する;しかし、本発明はこのよ
うな実施例に限定されないことを理解されたい。すべての部または量は、他に明
記しない限り重量基準である。
以下の実施例の理解を容易にするために、現れる頻度の高い所定の方法および
/または用語を記載する。
「プラスミド」は、小文字のpの前および/または後に大文字および/または
数字を示すことにより命名される。本明細書中の出発プラスミドは、市販であり
、制限無く公的に入手可能であるか、または公開された手順に従って入手可能な
プラスミドから構築され得る。さらに、記載されるプラスミドと等価のプラスミ
ドが当該分野で公知であり、そして当業者には明らかである。
DNAの「消化」は、DNA中の所定の配列でのみ作用する制限酵素でそのDNAを触
媒反応的に切断することをいう。本明細書中で使用される種々の制限酵素は、市
販されており、そしてそれらの反応条件、補因子、および他の必要条件は当業者
に公知のものが使用された。分析目的には、代表的には1μgのプラスミドまた
はDNAフラグメントが約2単位の酵素とともに約20μlの緩衝溶液中で使用される
。プラスミド構築のためのDNAフラグメントを単離する目的には、代表的には5
〜50μgのDNAが20〜250単位の酵素で、より大きな容量中で消化される。特定の
制限酵素のための適切な緩衝液および基質量は、製造者により特定される。37℃
にての約1時間のインキュベーション時間が通常使用されるが、しかしこれは供
給者の説明書に従って変動し得る。消化後、反応物をポリアクリルアミドゲルで
直接電気泳動して所望のフラグメントを単離する。
切断フラグメントのサイズ分離は、Goeddel,D.ら,Nucleic Acids Res.,8: 4
057 (1980)により記載された8%ポリアクリルアミドゲルを使用して行われる。
「オリゴヌクレオチド」は、1本鎖ポリデオキシヌクレオチドまたは2つの相
補的なポリデオキシヌクレオチド鎖のいずれかをいい、これらは化学的に合成さ
れ得る。このような合成オリゴヌクレオチドは、5'リン酸を有さず、従ってキ
ナーゼの存在下でATPを用いてリン酸を添加しなければ別のオリゴヌクレオチド
と連結しない。合成オリゴヌクレオチドは、脱リン酸化されていないフラグメン
トに連結する。
「連結」は、2つの2本鎖核酸フラグメントの間でリン酸ジエステル結合を形
成するプロセスをいう(Maniatis,Tら、前出、146頁)。他に規定されていなけれ
ば、連結は公知の緩衝液および条件で、大体等モル量の連結されるべきDNAフラ
グメント0.5μgあたり10単位のT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)を用いて達成さ
れ得る。
他の記載がない限り、形質転換はGraham,F.およびVan der Eb,A.,Virology,
52:456-457 (1973)の方法に記載のように実施した。
実施例1 NTT の細菌性の発現および精製
NTTをコードするDNA配列、ATCC#75713を、プロセスされたNTTタンパク質配列
(シグナルペプチド配列を引く)の5’側とNTT遺伝子の3’側のベクター配列
とに対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて最初に増幅した。NTTに
対応するさらなるヌクレオチドを、5’および3’配列にそれぞれに加えた。5
’オリゴヌクレオチドプライマーは、HindIII制限酵素部位とそれに続くNTTコー
ド配列の18ヌクレオチドを含有する配列 GACTAAAGCTTGGCATCAATGCCGAAGAACを有
する。3’配列 GAACTTCTAGAGCAGTGGTCACAGCTCAGは、XbaI部位に相補的な配列を
含有し、これにNTT配列の18ヌクレオチドが続く。制限酵素部位は、細菌性発現
ベクターpQE-9(Qiagen,Inc.9259 Eton Avenue,Chatsworth,CA,91311)の制限
酵素部位に対応する。pQE-9は、抗生物質耐性(Ampr)、細菌性複製起点(ori)、IP
TG-調節性プロモーターオペレーター(P/O)、リボソーム結合部位(RBS)、6-Hisタ
グ、および制限酵素部位をコードする。次いで、pQE-9をHindIIIおよびXbaIで消
化した。増幅配列をpQE-9に連結し、そしてヒスチジンタグおよびRBSをコードす
る配列とインフレームで挿入した。次いで、連結混合物を用いて、QiagenからM1
5/rep 4の商標で入手可能であるE.coli M15/rep 4株を、Sambrook,Jら,Molecul
ar Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Laboratory Press,(1989)に
記載の手順により形質転換した。M15/rep 4は、多コピーのプラスミドpREP4を
含有し、これはlacIリプレッサーを発現し、そしてまたカナマイシン耐性(Kanr)
を与える。形質転換体は、LBプレート上で増殖するそれらの能力により同定され
、そしてアンピシリン/カナマイシン耐性コロニーが選択された。プラスミドDN
Aを単離し、制限分析により確認した。所望の構築物を含有するクローンを、Amp
(100μg/ml)およびKan(25μg/ml)の両方を添加したLB培地中で一晩(O/N)、液体
培養で増殖させた。O/N増殖物を用いて大量の培養物に1:100〜1:250の比で植
え付ける。細胞を、0.4〜0.6の間の光学密度600(O.D.600)まで増殖させた。次い
で、IPTG(「イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド」)を1mMの最終濃度ま
で添加した。IPTGは、lacIリプレッサーを不活化し、遺伝子発現の増大を導くP/
Oをクリアーにする。細胞をさらに3〜4時間増殖させた。次いで、細胞を遠心
分離により採集した。細胞ペレットをカオトロピック剤である6モル グアニジ
ンHCl中で可溶化した。清澄化後、可溶化NTTを、6-Hisタグを含有するタンパク
質による強固な結合を可能にする条件下のニッケルキレートカラムでのクロマト
グラフィーによりこの溶液から精製した。Hochuli,E.ら、J.Chromatography 41
1: 177-184 (1984)。NTTを6モルグアニジンHCl(pH5.0)中でカラムから溶出し、
そして再生の目的で3モルグアニジンHCl、100mM リン酸ナトリウム、10ミリモ
ルグルタチオン(還元型)、および2ミリモルグルタチオン(酸化型)に調整し
た。この溶液で12時間インキュベーションした後、タンパク質を10ミリモルリン
酸ナトリウムに対して透析した。
実施例2 COS 細胞における組換えNTTの発現
NTT HA発現プラスミドは、以下を含むベクターpcDNAI/Amp(Invitrogen)に由来
する:1)SV40複製起点、2)アンピシリン抵抗性遺伝子、3)E.coli複製起点、
4)CMVプロモーター、それに続くポリリンカー領域、SV40イントロンおよびポリ
アデニル化部位。完全なNTT前駆体とその3'末端にインフレームで融合したHAタ
グとをコードするDNAフラグメントを、ベクターのポリリンカー領域にクローン
化した。従って、組換えタンパク質の発現は、CMVプロモーターの支配を受ける
。HAタグは、以前に記載した(I.Wilson,H.Niman,R.Heighten,A Cherenson
,M.
Connolly,およびR.Lerner,1984,Cell 37:767)インフルエンザ血球凝集素タ
ンパク質由来のエピトープに対応する。本発明者の標的タンパク質に対するHAタ
グの融合は、HAエピトープを認識する抗体を用いる組換えタンパク質の容易な検
出を可能にする。
プラスミド構築ストラテジーを以下に記す:
NTTをコードするDNA配列、ATCC # 75713を、2つのプライマーを用いて、クロ
ーン化された元のESTに対するPCRにより構築した:5'プライマー配列(GACTAAG
ATCTGCCACCATGCCGAAGAACAGCAAAGTG)は、BglII部位およびその後に開始コドンか
ら始まるNTTコード配列の21ヌクレオチドを含有する;3'配列(GAACTGATATCGCA
GTGGTCACAGCTCAG)は、EcoRV部位、翻訳ストップコドン、およびNTTコード配列
の最後の18ヌクレオチドに対して相補的な配列を含有する。従って、PCR産物は
、BglII部位、NTTコード配列、それに続く翻訳停止ストップコドン、およびEcoR
V部位を含有する。PCR増幅DNAフラグメントおよびベクター(pcDNAI/Amp)を、Bgl
IIおよびEcoRVで消化した。連結混合物を、E.coli SURE株(Stratagene Cloning
Systems,11099 North Torrey Pines Road,La Jolla,CA 92037から入手可能
)に形質転換し、形質転換培養物をアンピシリン培地プレート上にプレートし、
そして抵抗性コロニーを選択した。プラスミドDNAを、形質転換体から単離して
、正しいフラグメントの存在に対する制限分析により試験した。組換えNTTの発
現のために、COS細胞を、DEAEデキストラン法により発現ベクターでトランスフ
ェクトした(J.Sambrook、E.Fritsch、T.Maniatis、Molecular Cloning:A L
aboratory Manual、Cold Spring Laboratory Press、(1989))。NTT HAタンパク
質の発現を、放射性標識法および免疫沈降法により検出した。(E.Harlow、D.
Lane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Pre
ss、(1988))。細胞を、トランスフェクションの2日後に35S-システインで8時
間標識した。次いで培養培地を採集し、そして細胞を界面活性剤(RIPA緩衝液(
150mM NaCl、1%NP-40、0.1%SDS,1%NP-40、0.5%DOC、50mM Tris、pH7.5)
)で溶解した。(Wilson,I.ら、前出37:767(1984))。細胞溶解物および培養
培地の両方を、HA特異的モノクローナル抗体で沈澱させた。沈澱したタンパク質
を、15%SDS-PAGEゲルで分析した。
実施例3 ヒト組織におけるNTTの発現パターン
ヒト組織におけるNTTの発現レベルを調べるために、ノーザンブロット分析を
行った。細胞の総RNAサンプルを、RNAzolTMBシステム(Biotecx Laboratories,
Inc.、6023 South Loop East、Houston、TX 77033)を用いて単離した。ヒトの
特定化した各組織から単離された約10μgの総RNAを、1%アガロースゲルで分離
し、そしてナイロンフィルター上にブロットした(Sambrook、Fritsch、およびM
aniatis、Molecular Cloning、Cold Spring Harbor Press、(1989))。標識反応
を、Stratagene Prime-Itキットに従って、50ngのDNAフラグメントを用いて行っ
た。標識DNAを、Select-G-50カラムで精製した。(5Prime−3Prime,Inc.5603
Arapahoe Road、Boulder、CO 80303)。次いでフィルターを、0.5M NaPO4(pH7.
4)および7%SDS中1,000,000cpm/mlで放射性標識した完全長のMIP-2遺伝子と、
一晩、65℃でハイブリダイズさせた。0.5×SSC、0.1%SDSを用いる、室温で2回
、そして60℃で2回の洗浄後、次いでフィルターを増感スクリーンを用いて-70
℃で一晩感光させた。NTTに対するメッセージRNAは、脳に豊富であった。
本発明の多くの改変および変形が、上記の教示に照らしてみると可能であり、
従って、請求の範囲の範囲内で、本発明は特に記載した以外にも実施され得る。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
A61K 48/00 ABN 8615−4C C07H 21/04 B
C07H 21/04 9356−4H C07K 14/47
C07K 14/47 9356−4H 16/18
16/18 9282−4B C12N 1/21
C12N 1/21 9637−4B C12P 21/02 C
5/10 9284−4C A61K 39/395 D
C12P 21/02 9358−4B C12P 21/08
// A61K 39/395 9282−4B C12N 5/00 B
C12P 21/08 9051−4C A61K 37/02 AAK
(C12N 1/21
C12R 1:19)
(C12P 21/02
C12R 1:19)
(C12P 21/02
C12R 1:91)