JPH10500306A - 高解像度マッピング法およびマッピングプローブ - Google Patents

高解像度マッピング法およびマッピングプローブ

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Abstract

(57)【要約】 本発明によれば,高解像度の,迅速な,再現性のある染色体バンディング法が開発された.本発明の方法は,登録シフトがない遺伝子の単一染色体バンドへの正確なマッピングを可能にする.本発明の他の実施態様においては,物理的ゲノム位置をユニークに同定するDNAまたはcDNAプローブが提供される.このような試薬は特定のDNA配列が由来する染色体バンドを同定するために有用である.

Description

【発明の詳細な説明】 高解像度マッピング法およびマッピングプローブ 謝辞 本発明は一部,米国エネルギー省(The Department of Energy)からの助成金 DE-FG03-92ER-61402,ならびに米国国立衛生研究所ゲノムイニシャティブ(The National Institutes of Health Human Genome Initiative)からの助成金 R29- HG00037-04による政府の援助によって行われた.政府は本発明に一部の権利を有 する. 発明の分野 本発明は,ヒト疾患に関与する遺伝子を同定するために用いられる方法および 試薬に関する.本発明はまた,ヒトゲノムをカバーする高解像度遺伝子マップの 構築に関する. 本明細書を通じて様々な刊行物をカッコ内に引用する.これらの刊行物の開示 はその全体が,本発明に関連する技術の水準をさらに完全に記述するため,引用 により本明細書に導入される. 発明の背景 ヒトゲノムプロジェクト(The Human Genome Project)によって提供された資 金により,ヒト疾患に関与する5万〜10万の遺伝子を同定するために用いられる 戦略が形成されつつある.高度な多型マーカーを用いて,遺伝子疾患に関与する 遺伝子を迅速かつ費用効率よくマッピングする最近の努力(Weissenbach,J.ら, Nature 359:794-801,1992)によって,利用可能なマーカーが現在知られている ヒトcDNAの既に1万以上と関連づけられてきた.現時点で,総計約5万〜10 万と予想されるヒト遺伝子の約2万のフラグメントがクローン化され,その一部 は配列が決定されている.このような成功にもかかわらず,これらのクローンの わずかに約3千がそれぞれの染色体部位にマップされているのみで,それも大部 分は多くのバンドを包含する 10 〜20 Mb の大領域にマップされているにすぎな い.すなわち,これは,染色体上に均一に配置された高い情報価値を有するマー カーを同定できない現在のマッピング技術の重大な弱点によるものである. 物理地図の作成技術は遺伝子連鎖に補助的な手段を提供する.たとえば,標準 アガロースゲル電気泳動は 1〜10 kb の範囲の解像を与える.パルスフィールド 法はこの範囲をメガベースのレベルに拡大する.しかしながら,ゲル電気泳動法 は,以前にマップされていないDNA配列の初期の位置決定には有用ではない. さらに,これらの方法には直接,数百キロベース以上離れたDNA配列をオーダ リングする能力はなく,またこのような方法には特異的染色体領域にDNA配列 をアサインする能力もない. 染色体バンディング法は特異的ヒト染色体の同定を促進し,現時点では染色体 異常の診断において大きな基盤を提供している.最初の染色体のアサインメント および遺伝子の位置決定には,高レベルの精度での位置決定を達成するために, 数種の方法が用いられてきた.しかしながら,これらの方法には幾つかの欠点が ある.たとえば,UV照射後のDNAの喪失に一部を依存するバンディング法で は,その結果として,一部のシグナルの喪失を生じる[Cherifら,Proc.Natl. Acad.Sci.USA 87: 6639-6643(1990)および Takahashiら,Hum.Genet.86: 14-16(1990)].他の方法とは異なり,標準DAPI(4',6- ジアミジノ-2- フ ェニルインドール)またはPI(ヨウ化プロピジウム)染色は一定したパターン を生じないし,一般に解像度も低い[Pinkelら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 3:2934-2938(1986); Lemieux ら,Cytogenet Cell Genet.59: 311-312(1992);Y amadaら,Genomics 15: 449-452(1993)および Heng ら,Chromosoma 102:325- 332(1993)].他の方法は強力な十分に分別されたパターンを生じ,強いシグ ナルを有する大きなプローブの検出には適しているが,小さなプローブによって 生じる弱いシグナルは隠蔽されることがある[Rowleyら,Proc.Natl.Acad.Sc i.USA 87: 9358-9362(1990)].最後に,他の染色法の代表としてのハイブリダ イゼーション後のギムザ染色は2ラウンドの顕微鏡評価,ハイブリダイゼーショ ンプローブの検出に1回とバンディングされた染色体におけるシグナルの位置決 定に1回を必要とする[Kleverら,Hum.Genet.86: 484-486(1991)].バンド をマークするために散在するリピート配列との同時ハイブリダイゼーションを用 いる方法も使用できる[Baldini ら,Genomics 9: 770-774(1991)]が,小さ なプローブから生じる明瞭なバンディングパターンとハイブリダイゼーションシ グナルの両者を示す中期染色体を得ることは困難なことが多い. ヒトDNAセグメントの染色体座位を同定するための最も直接的な方法は in situハイブリダイゼーションによる方法である.同位元素で標識されたプローブ を用いることによって,1Kb長未満のユニーク配列の位置を決定できるが,オー トラジオグラフの現像時間が長く(数週から数カ月のことが多い),膨大な統計 解析を必要とし,マッピングの精度には放射される同位元素シグナルを表面の乳 剤によって捕捉する必要があることでの限界がある.これに対して,非同位元素 標識プローブでは,スピードと空間的解像度は改善されるが,感度の悪いことが 難点である. すなわち,染色体バンドのアサインメントには多くの方法が報告されてはいる ものの,これらの従来技術にはそれぞれに欠点がある.たとえば,大部分の従来 技術は標準ギムザバンディングよりも解像度が低く,スペクトルが標準FISH タグと重複する蛍光染料を使用し,DNAの喪失を生じ,またコスミドもしくは ファージベクター内に挿入された大ゲノムプローブにしか使用できない. したがって,マッピング法における上述の進展にもかかわらず,ヒトゲノムを カバーするクローン化ゲノム配列の調節的に配置されたアレイを呈示するため, 多数のクローンを迅速に,効率的に,かつ正確にマップする努力は,幾つかのレ ベルで遭遇する様々な制限によって妨げられてきた.結果として,とくに欠失, 転座または重複によって医学的に重要な遺伝子を確定する立場での,ユニークな マーカーにより特定された特異的染色体バンド領域の詳細な地図の成就は現時点 では及ぶべくもない. すなわち,遺伝子の単一染色体バンド上の座位への正確なアサインメントを容 易にする方法および試薬の開発の必要性が存在する.このような開発が行われれ ば,遺伝子配列決定情報とその生物学的意義の関連づけが促進され,その結果と して適切な医療処置の確定が容易になる.本発明はこれらの要求を満足し,同時 に関連する利益を提供するものである. 発明の概要 本発明により,高解像度の,迅速なかつ再現性のある染色体バンディング法が 開発された.本発明の方法は,登録シフトがない遺伝子の単一染色体バンドへの 正確なマッピングを可能にする. 本発明の他の実施態様においては,配列が既にマッピングされた試薬が提供さ れる.このような試薬は,特定のDNA配列が由来する染色体バンドを同定する ために有用である. 図面の簡単な説明 図1は本発明の単一染色体バンドのマッピング戦略を例示するものである.各 染色体バンドの右側の黒丸は染色体バンド上の特異的な位置を同定しマークする ユニークな分子細胞遺伝学的試薬を示す. 発明の詳細な説明 本発明は,遺伝子配列の単一染色体バンドマップ位置の迅速な決定と正確なア サインメントを可能にする,高解像度の再現性ある逆(R)バンディング法を提 供する.本発明の方法は,生物学的に重要な遺伝子配列の特異的染色体バンド位 置への関連づけを促進する.本発明の方法によって得られるデータは,ヒトゲノ ムにおける全染色体の完全な物理地図の構築,したがって遺伝子疾患の適切な医 療処置の確定を可能にする.さらに,本発明の方法によって改良された解像度は ヒト遺伝子疾患に関連するマウスホモロジーの正確な確立ならびに評価を可能に する.本発明の教示は,多重遺伝子内の転写遺伝子座位またはヌクレオチドレベ ルで約93%のホモロジーを有するプロセス型偽遺伝子ファミリーの正確な検出を 可能にする. 蛍光 in situハイブリダイゼーション(FISH)は,単一遺伝子を特異的ヒ ト染色体バンドにアサインする最も正確かつ迅速な方法の一つであって,ヒト遺 伝子マッピングおよび臨床細胞遺伝学における必須の要素である[Pinkelら,Pr oc.Natl.Acad.Sci.USA 83:2934(1986)].本発明は,平均<2 kbのインサ ートサイズを有するcDNAを単一ヒト染色体バンドにマップするため,高感度 の蛍光 in situハイブリダイゼーションを高解像度染色体バンディングおよびラ ンダムcDNA配列決定と組合わせた改良方法を提供する.また,in situ ハイ ブリダイゼーションに適合する高解像度R- バンディングの作成方法を提供する . 別の実施態様においては,本発明はサイズ範囲 1〜1,000 KbのDNAプローブ をR- バンディングされたヒト染色体上に直接マッピングする方法および試薬を 提供する.また,R- バンディング法と組合わせて適用可能な染色体の調製,ハ イブリダイゼーションおよびシグナル産生のための特異的な方法を提供する.本 発明の方法および試薬はヒト染色体の完全な物理地図の構築を可能にする. 本発明のユニークな逆(R)バンディングは,クロモマイシンA3およびジス タマイシンAによる in situハイブリダイゼーション後染色によって達成される .本発明のハイブリダイゼーション法で得られる明瞭なバンディングパターンは ,標準写真顕微鏡または自動化画像取得システムのいずれかを用いて,蛍光Rバ ンドと in situハイブリダイゼーションシグナルの両者を同時に可視化すること を可能にする.この方法の感度は,標準写真顕微鏡のみを用い,サイズ範囲1.2 〜3 KbのcDNAの単一ヒト染色体バンドへのマッピングを可能にする.本発明 の方法は迅速かつ再現性よく350 〜700 ステージでバンドを可視化する. 本発明の実施に際して重要な問題は,弱いシグナルに由来するマッピング結果 の信頼基準を定めておくことの必要性である.染色体の100 %より有意に低いシ グナルに関しては,真のシグナルを非特異的染色体バックグランドと識別するた め,伝統的なマッピング基準が確立されている.単一染色体の両染色分体の同じ バンド位置に見られるシグナルのみを陽性結果とみなした.さらに,多くの中期 染色体は重複するかそうでなければ解析から失われるので,第二の染色体上のシ グナルはマッピングの確実性を高めるために使用しない.したがって,プローブ は検査した200 個の中期細胞の10%以上における単一部位で少なくとも1個の染 色体がシグナル陽性の場合にマップされたとみなし,検査した中期細胞の 5〜10 %に存在する場合にはプローブは予備的にマップされたとみなし,検査した中期 細胞の2〜5%に存在する場合には多分マップされたとみなす.シグナルが1% 未満の細胞で陽性の場合はバックグランドとみなす.多くの遺伝子は2〜5%の 細胞のみに存在するシグナルで正確にマップされてきたし,正確にマップするこ とができる.たとえばグルタミナーゼは(<5 %,下記参照),本発明の方法を 用いて,2q32にマップされた(従来のアサインメントでは 2q32-34). FISHの前および後に得られた本発明のR- バンディングパターンの比較か ら,ハイブリダイゼーション後に染色を必要とする本発明が染色体の形態を変化 させることはないことが明らかにされた.「前」および「後」の染色体バンディ ングパターンは解像度および明晰度において実質的な類似性を示した.このバン ディングパターンは与えられたプレパレーションで中期細胞の90%以上に認めら れ,染色体にブロモデオキシウリジン(BrdU)の取込みがあってもなくても同じ である.Magenis ら,Hum.Genet 69: 300-303(1985)によって開発された従来 のバンディング法の改良は,従来技術の方法を用いた場合に通常遭遇する急速な 褪色を排除することができた.たとえば,マッキラバン(McIlavane)の緩衝液 [Schweizer,D.ら,Exp.Cell Res.,111: 327(1979)]のpHを上昇させ, クロモマイシンA3による染色時間をプローブサイズにより変動させ,クロモマ イシンA3/ジスタマイシン染色を2ラウンド使用した.さらに,プローブおよ びバンディングパターンの撮影または画像取得を同時に行うために,露出時間お よび染色の程度をシグナル強度に従って調整した.弱いシグナルを産生する小さ なプローブでは,標準写真顕微鏡を用いる場合に必要な露出時間を15〜200 秒で 変動させる.比較的に,強いシグナルを記録する場合ほど必要な時間は短くなる .すべての標準写真顕微鏡で解像度を最大にするために Kodak 100ASA フィルム を使用した.感光速度の速いフィルムほど露出時間を短縮できるが,バンドの解 像度は犠牲になる. 本発明の方法は,再現性のある高解像度のバンディングパターンを得るための 方法であり,>1 Kb〜≧1 Mbのサイズ範囲のDNA配列の染色体バンド位置の決 定に,熟練した技術者がルーチンの方法として有利に使用できるものである.本 発明では,広範囲のプローブ,たとえば酵母人工染色体(YAC),細菌人工染 色体(BAC)のような大きなプローブからゲノムプラスミドおよびcDNAの ような小さなプローブまでの使用が可能である. 最近は,大部分のヒトゲノムのマッピングでYACもしくは酵母人工染色体が 利用されている.YACは,≧約500 Kbp のフラグメントのクローニングを可能 にする.しかしながら,YACライブラリーの取扱いにはある種の難点がある. たとえば,様々なYACライブラリーに,クローンの分画が共クローニング現象 により生じる.すなわち,それらは単一クローン中に非隣接DNAフラグメント を包含する.高率のYACクローンが,とくに高分子量のインサートを有するク ローンはキメラである.キメラクローンは染色体の多重部位にマップされ,した がって,マッピングおよび解析の進行の妨害になる.YACクローニングに際し て生じる他の固有の問題には,DNAセグメントがクローン化されないかまたは 不安定で,再配列および欠失しやすい場合があることである. 細菌人工染色体(BAC)はYACシステムの代替物を提供する.BACは, YACの問題点の大部分,たとえば高率のキメラおよびクローンの不安定性を解 消する.BACは大腸菌の単一コピープラスミドF因子に基づき,サイズ約 300 Kb以上のDNAフラグメントの忠実な増殖が可能である.BACは,物理地図の 作成に適当な多くの物理的性質を有する.たとえば取扱いの容易性およびキメラ の不存在である.キメラがないことと大きな外因性DNAを増殖させる能力から ,BACは,染色体歩行および隣接物理地図の作成のための優れた候補となって いる. 線状であるYACと異なり,インサートを含むBACは大腸菌内では超ラセン 状の環状プラスミドとして存在する.このコンフィギュレーションにより,溶液 中,損傷を最小限にして大きなDNAの容易な単離および取扱いが可能になる. 一方,酵母染色体では,線状のDNAが剪断力に弱いことから,無傷で単離する ことが難しい. 本発明で使用されるBACクローニングシステムは,YACとコスミドの間に 挿入できる中間物理地図作成システムを提供する.YACシステムは依然として 大規模なマッピングのための極めて強力なツールではあるが(1メガベース以上 の分子をクローン化してきたことから),BACは,YACよりもはるかに使い やすく,精密な物理地図の作成および染色体歩行に適している.実際,YACベ クター中ではクローン化不能または不安定であるDNAセグメントが,すなわち YACが欠失またはギャップを有する領域が,BAC中では,きわめて良好にク ローン化されることが見出されている.さらにBACは,コスミドと同様に取扱 いが容易で,インサートサイズは10倍長まで可能である.BACは,高いクロー ニング効率,クローン化されたDNAの操作の容易性,および挿入されたDNA の安定な保持を可能にする. 本発明は,FISHの可能性を有意に増大させ改良する.すなわち,従来技術 における検出限界約 2〜3 Mbの範囲は,検出限界約 1〜10 Kb の範囲に劇的に改 善された.したがって,本発明の方法は,本技術分野の熟練者による転写配列の 高解像度マップの迅速な作成を可能にする. 本発明はまた,ヒトゲノムにおけるユニークな単一バンド染色体部位に対する 配列がマップされた試薬を提供する(図1参照).本発明の試薬は,染色体バン ド上の特異的な位置を同定しマークするユニークな分子細胞遺伝学的マーカーで ある.本明細書で用いられる本発明の試薬の語は,容易に検出され,物理的ゲノ ム位置をユニークに同定するDNAまたはcDNA配列の短いストレッチを意味 する.これらの試薬は標識に適したプローブとして使用することが可能で,疾患 決定遺伝子の正確な染色体位置を同定するために使用できる.さらに,本発明の 試薬はゲノムの大規模配列決定のための基質を提供する.本発明の試薬の組合せ もしくはキットも本発明により提供される.ゲノムの連続ストレッチ,すなわち cDNAコンティグをカバーする重複試薬の組合せも提供される.本発明のキッ トは染色体バンド上の特異的な座位に相当しそれを同定する個々の試薬である複 数個の試薬から構成される.本発明キットの試薬の内容は位置決定もしくはマッ ピングするDNA配列に依存して変更することができる.たとえば,与えられた 染色体上の単一バンドは約40〜約80のユニークなマップされた部位を有し,それ に相当する特異的試薬により各部位が表示される.したがって,本発明のキット は,各染色体バンドに相当する複数個の試薬,セントロメアに相当する試薬,テ ロメアに相当する試薬または個々の染色体に向けられた試薬から構成できる. 他の方法に比べた本発明の利点はたとえば,130 のcDNAを含む900 を越え るDNA配列,30のプラスミド,50のコスミド,500 の細菌人工染色体(BAC )および150 のYACの単一ヒト染色体バンドへのマッピングにより例示できる .さらに,ヒト脳に発現する39の新たにクローン化された遺伝子がマッピングさ れた.それらの26は,既知の遺伝子に有意なホモロジーを有する新規な座位を確 定し,これらの20は,高等動物における多重遺伝子の新たなメンバーを呈示し, その6つは下等動物の多重遺伝子の新たなメンバーを記述するものである.それ らには,ホスホジエステラーゼ,ホスファターゼ,プロテインキナーゼ,ナトリ ウ ムチャネル,超低密度リポ蛋白質(VLDL)受容体,軸索糖蛋白質,膜輸送蛋 白質,APP(アミロイド蛋白質前駆体)ファミリー(一つは以前に示唆された アルツハイマー連鎖の領域にマップされ,第二のものは将来の研究のための候補 となる座位を提供する)等に関連する遺伝子が包含される.これらの遺伝子は, 表1に示すようなそれらのマップ位置を考え合わせると,ヒトおよびマウスの同 種領域の両者における神経疾患の直接の候補領域を提供するものといえる. 表に示した結果は大規模cDNAマッピングに対する本発明の適用を実証する ものである.これらの結果はcDNA配列のマッピングの正確度(高分解度の染 色体バンドアサインメント,多重シグナルの取得および解析を含め),感度およ び速度で,本発明が他の方法より優れていることを明瞭に示すものである. 多重部位におけるシグナルの意味の解釈に際しては,標的サイズまたはホモロ ジーの低下は陽性シグナルを示す細胞または染色体の比率の低下を生じると仮定 できる.これは,実験変数が大部分一定に保持されている同一細胞または細胞集 団内での第二の部位ハイブリダイゼーションの場合はとくに真実である.したが って,標的サイズが一定もしくはとくにさらに小さい偽遺伝子および多重遺伝子 ファミリーの可能性を示すシグナルに対して,陽性細胞の比率がより大きい部位 は転写遺伝子座位を示す可能性がとくに大である.たとえば,93.5%以上のホモ ロジーを有する多重遺伝子ファミリーでは,陽性シグナルを生じる細胞の比率を 指標に転写遺伝子座位の確定が期待される. 陽性細胞の割合と転写遺伝子対偽遺伝子座の間の関係は,以下のように試験さ れた(例11〜12参照).大部分の非プロセス型偽遺伝子については,シグナルは 偽遺伝子標的サイズの低下(トランケーションおよび再配置による)のために減 弱し,配列浮動による標的対転写遺伝子座プローブのホモロジーの低下のために 確からしさが低下する.プロセス型偽遺伝子については,ホモロジーは依然とし て高いがゲノム配置が異なる点で問題が変わってくる.これは,たとえば,配列 のホモロジーは低下しても,最近誘導されたプロセス型偽遺伝子はエクソンが集 結していて,イントロンがエクソンのハイブリダイゼーション標的を中断してい る転写遺伝子のゲノム座位よりも優れたハイブリダイゼーション標的として働く 可能性があることに関係する.この関係は,ホモロジーの高い偽遺伝子座位が転 写遺伝子座位に関連するバンドよりも有意に強いバンドを生成するというサザン ブロットでよく知られている観察により不適切に強調されている.もちろん,サ ザンブロットにおいては,バンド濃度は標的サイズおよび配列ホモロジーの両者 を反映する.したがって,関連する転写遺伝子座位に対するcDNAで検出され る偽遺伝子バンドは,数個の濃度の薄いバンドに分割されることもある転写遺伝 子座位からの類似サイズのバンドよりもはるかに多くのエクソン(ホモロジーは 低い)を表すことがある. 中期染色体の解像のレベルでは,蛍光 in situハイブリダイゼーションを用い ると,すべてのエクソンが単一スポットとして検出される.したがって,配列の ホモロジーおよびエクソン標的サイズ(エクソン数)がシグナルのサイズの重要 な決定因子となる.他の決定因子には,たとえば,易接近性,塩濃度,塩基組成 ,フラグメントの二次構造等がある.ホモロジー単独の低下では,大部分のプロ セス型偽遺伝子は転写遺伝子座位から期待されるシグナルに比べて小さなシグナ ルを発生するものと考えられる. 本発明の方法は,ある点では,固定膜への溶液ハイブリダイゼーションよりも 旧来のコット曲線に密接に関連すると考えることが重要である.これは,各染色 体は単一分子を表し,したがって特異的なハイブリダイゼーションシグナルをも つ染色体の比率はハイブリダイゼーションの可能性,すなわち与えられたコット においてハイブリダイズした分子の比率を感度よく反映するからである.濃度に よってある程度近似されるものの,この情報は非線型シグナル濃度と多重バンド での標準サザンブロットでは大部分が失われてしまう.FISHシグナルの増幅 はサイズおよび強度の増大が検出に明らかに寄与する非線型性には寄与しない. 転写遺伝子および潜在的偽遺伝子座位のいずれも同一のプレパレーションで検出 されることから,プローブ濃度およびハイブリダイゼーション条件の両者,すな わちコットは二者に対し一定に保持され,シグナルをもつ細胞の比率は大部分ホ モロジーの程度と標的のサイズを反映する.したがって,偽遺伝子の配列浮動と 再配置があっても,陽性シグナルをもつ細胞の比率は偽遺伝子の場合よりも転写 遺伝子座位で大きいことが期待できる. 標的とプローブのサイズの関係もハイブリダイゼーションシグナルの特異性に 重要である.たとえばプローブおよび標的がいずれも約 50 〜100 bp(シグナル が用いられた条件下に安定なハイブリダイゼーションを行うのに必要なサイズ) 以上であると,標的サイズ(偽遺伝子および転写遺伝子座位)が等しい場合,ホ モロジーの程度,したがって安定度が高い遺伝子座がより大きなシグナルを発生 する.標的サイズに対してプローブサイズが大きくなるに従い,小さいエクソン (<50〜100 bp)に不完全にフィットするプローブの比率は増加する.たとえば 2個以上のエクソンを含有するハイブリダイズcDNAフラグメントでは,第二 のエクソンは対合しないままで,完全マッチの安定性は低下する可能性がある. したがって,サイズが小さい隣接エクソンをもつ標的からのシグナル産生には大 きなプローブサイズ(>200 bp)が好ましい傾向がある.これは,エクソンがプ ローブのサイズより大きい場合には,シグナルに重要な寄与はしない.したがっ て,上述の本発明を用いる場合には,小さなプローブサイズ(50〜200 bp)の使 用が転写遺伝子座とプロセス型偽遺伝子座の相対的検出を容易にする. 本発明の方法論は,著しく近似する配列の間のシグナル強度の差を最大にし, cDNAのサイズ範囲での小さなフラグメントを再現性よくマップする.すなわ ち,本発明は,従来法とは幾つかの点で相違する.たとえば,より高い緊縮条件 (洗浄温度の上昇も含む)の使用,多重増幅,および平均範囲 100〜200 bpの小 フラグメントプローブの使用である.小フラグメントサイズおよび高緊縮洗浄の 使用はハイブリッド形成の特異性を増大させる傾向があり,アルギニノスクシネ ートシンテターゼ系について示すように(例11参照),6%のわずかなホモロジ ー差でも転写遺伝子座の高感度な確定を可能にする. 本発明により,比較的に完全なセットの転写遺伝子配列のオーダリングが可能 になったことから,ヒトゲノム地図を完成する努力は著しく進歩するものと考え られる.本発明の配列が既にマップされた試薬からなるcDNAコンティグの使 用は,平均標的サイズを増大させ,遺伝子マッピングへのこの直接的アプローチ をヒトゲノムの微細構造転写遺伝子座地図の作成のための迅速でかつ費用効率の 優れた方法とするものである.得られるcDNAの枠組はディテイルドYACお よび遺伝子地図を固定,確認し,多数の地図化ヒト遺伝子を直接提供し,それら のヒト遺伝子疾患における役割の研究を可能にするものと考えられる. 以下の実施例は本発明の例示を意図し,本発明を限定するものではない. 例1 中期染色体の調製 染色体は,BrdUブロック[Zabel ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80: 6932- 6936(1983)]を一部改良して用いて調製した.略述すれば,ヒト末梢リンパ球 を,L-グルタミン(2mM),15%ウシ胎児血清,ペニシリン(100 IU/ml), ストレプトマイシン(0.5 mg/ml)および 0.02 %フィトヘマグルチニンを補充 したRPMI 1640(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)中,37℃において72時間増 殖させた.5-ブロモデオキシウリジン(0.8 mg/ml)を加え細胞を16時間S-期で ブロックした.次にHBSS(ハンクス平衡塩溶液,Gibco BRL,Gaithersburg )で1回洗浄して同調剤を除去し,2.5 μg/mlのチミジンを補充した培地中で5 〜6時間インキュベートして遊離させた.0.1 μg/mlのコルセミドを10分間添加 したのち 0.07 MKC1低張溶液を37℃で15分間を加え,ついでメタノールと酢 酸の 3:1混合物で1〜5分間固定して培養体を収穫した. 例2 高品質染色体プレパレーション 高品質染色体プレパレーションを得るためには,懸濁液1滴をアルコールで清 浄化したスライド上に均一,平坦に落とし,細胞質を完全に除去した中期塗抹標 本を調製した.ついでスライドを熱水を満たした容器上に,周囲の湿度に応じて 20〜60秒間置いた.至適条件は最初に数個のスライドを位相差顕微鏡下にチェッ クして決定した.スライドを in situハイブリダイゼーション前に少なくとも2 〜3週室温でエイジングすると最良の結果が得られた.エイジング後スライドを −70℃で保存するのが最善である.変性の前日に,スライドを−70℃から取り出 し,一夜4℃に保持する.ついでスライドを1〜2時間室温に放置したのち,55 〜60℃で2時間ベーキングし,ついで70%ホルムアミド中で変性させる(66〜70 ℃).新鮮なスライドは66℃で変性させると最良の結果が得られる. 例3 小DNAプローブのマッピングのためのプローブフラグメントサイズ ニックトランレーションによって標識するプローブのフラグメントサイズは約 100 〜200 bpとし,ハイブリダイゼーション混合物中のプローブDNAの濃度は 20〜40 ng/μl(すなわち,200 〜400 ng/ スライド)とする.これは非特異的 結合を増大させるが,一般に良好なシグナル/ノイズ比が得られる.リピート配 列の非特異的バックグランドハイブリダイゼーションを減少させるため,cDN Aとともに少量の CotI DNA プローブを用いる(すなわち,200 〜400 ngのプロ ーブDNAとともに 1〜3 ngの CotI). 例4 プローブのビオチン化 DNAはニックトランレーションによりビオチン-14-dATP(Gibco BRL) で標識した.取り込まれなかったヌクレオチドはクロマトグラフィーで分離した (Sephadex G-50).DNAプローブはすべて,平均フラグメントサイズ約 200 bp ,100 〜600 bpの範囲にセットし,非変性アガロースゲルにより確立した. 例5 in situ ハイブリダイゼーション 小DNAプローブと単一コピー配列の特異的ハイブリダイゼーションを得るた めに,Lichter ら,Science 247: 64-69(1990)により報告されたFISH法を 改良した.使用1年以上前に作成したスライドではRNアーゼ処理は必要ない. 必要な場合は,100 μg/mlのRNアーゼをスライド上に37℃で20分間置き,つい で冷エタノール系列70%,90%および100 %によって脱水してRNアーゼ処理を 実施した.スライドの変性は70%ホルムアミド/ 2×SSC(0.15MNaCl, 0.015 Mクエン酸ナトリウム)中,67〜70℃で1〜2分間(新鮮な染色体プレパ レーションでは時間を短くする)行った.ビオチン化プローブを 3μg の Cot 1 DNAおよび 7μg の超音波処理サケ精子DNAとともに含有するハイブリダイ ゼーション緩衝液(10μl)を(プローブ:Cot1DNAの比は1:15〜30;総D NA濃度 1μg/μl)各スライド上に置いた.オーバースリップを適用してゴム セメントでシールし,ついで湿箱中で一夜インキュベートした. 例6 免疫蛍光法によるプローブシグナルの検出 一夜ハイブリダイゼーションしたのち,スライドを50%ホルムアミド(v/v)/ 2×SSC中44℃(4×5分)ついで2×SSC中50〜60℃(3×5分)で洗 浄した.洗浄時間は短いプローブ(インサートサイズ<1.5 Kb)では短く(3× 2分)した.小さいプローブによって生じる蛍光シグナルの強度を増大させるた めにはハイブリダイゼーション後の洗浄の緊縮度を低下(2×SSC,45〜50℃ )させる必要がある.ついでスライドを3%ウシ血清アルブミン(BSA)およ び0.1 %Tween 20を含む4×SSC 100μl と37℃で10〜20分間インキュベート し てブロックした.緩衝液をついで37℃で30分間FITC-アビジン(4×SSC/ 1%BSA/0.1%Tween 20中 0.5μg/ml)で置換した.2×SSC/0.1%Tween 20中 45 ℃で3×5分洗浄後,ビオチン化ヤギ抗−アビジン抗体層(5μg/ml) を加えてハイブリダイゼーションシグナルを37℃で30分間増幅させた.増幅工程 の前にスライドは5%ヤギ血清/ 2×SSC/3%BSA/0.1%Tween 20中10〜20 分間プレインキュベートして免疫学的非特異的結合を低下させた.洗浄したのち FITC- アビジンの第二の層を前述の場合と同様にしてスライドに添加した. ハイブリダイゼーションシグナルの強度を増大させるための第二ラウンドの増幅 は必要に応じて実施した.ついでスライドを2×SSC/0.1%Tween 20中45℃で 3回洗浄し,短時間放置してドレインした. 例7 染色体R- バンディング 染色体バンドと蛍光シグナルを同時に観察するため,染料クロモマイシンA3 とジスタマイシンAを対抗染料として用いた[Schweizer,Chromosoma 58: 307- 324(1976); Schweizer,Hum.Genet 57: 1-14(1981)および Magenisら,Hum.G enet 69: 300-303(1985)].最後の検出後直ちに,スライドをマッキラバン緩衝 液(pH 8.5〜9.0 ;Schweizer ら,前出;蒸留水で 1:1 に希釈)中で短時間 すすいだのち染色に付した.100 μl のクロモマイシンA3(1/2 マッキラバン 緩衝液,pH 8.5〜9.0 中 0.5 mg/ml)を暗所室温で,スライド上に10分〜1時 間置いた.必要な染色時間はスライドの新鮮度に依存し,新鮮なスライドでは長 い染色時間を要し,エイジングしたスライドでは10分程度で十分である.第一ラ ウンドの染色後,スライドを 1/2マッキラバン緩衝液中で1分間リンスし,つい で過剰の液を振払って除去した.これに続いてスライド上に 50 μl の 0.1mg/m l ジスタマイシンAを置いて室温で1〜2分間インキュベートし,ついで上述の ようにリンスして第二ラウンドの染色を行った. 小さなインサートをもつDNAプローブを用いる場合には(たとえば薄いシグ ナルが期待される),この時点でスライドをリン酸塩緩衝液中p- フェニレンジ アミンを含む抗褪色液[Jhonson ら,J.Immunol.Methods 43: 349-350(1981)] の薄層に載せた. 2ラウンドのクロモマイシンA3およびジスタマイシンA染色によって,最大 のバンディング解像と最低の褪色が得られる.さらに,スライドを検出工程直後 ただし2〜3日後前に染色することによって最良の染色結果が得られる.スライ ドを染色直後ただし小プローブ(1.0 Kb〜2.5 Kb)では2〜3日後前までに大プ ローブ(>2.5 〜3 Kb)では1〜2週後前までに顕微鏡で観察することにより最 良の観察が達成される.スライドを蛍光顕微鏡下で検査する前に軽い染色が必要 なだけである.実際,このバンディング法の利点は,染色体を必要に応じてさら に明るくするために,ハイブリダイゼーション後の任意の時点で対抗染色工程を 反復できることである.さらに,映像の取得後,FITCハイブリダイゼーショ ンシグナルをより明瞭に観察するために,コンピューター化されたシステムを用 いてバンディングパターンを選択的に漂白することもできる. 例8 顕微鏡および撮影 スライドは,Zeiss Axiophot 100または Axiovert 135 蛍光顕微鏡(Zeiss,I nc.,Thornwood,NY)で観察した.FITCおよびクロモマイシンA3は,いず れも 400-490 nm バンドパスエキサイター,460 nm二色性,470 nmバリアー(Ze iss フィルターセット #05)を用い励起させる.ハイブリダイズしたセグメント は明るい緑青色もしくは明るい黄緑色のスポットとして現れ,染色体バンドの他 の部分はぼんやりした緑色に見える.黒白写真には Kodak Technical パン(AS A100)フィルムを使用した.カラーの映像はBDS(Biological Detection Sys tem,Pittsburgh,PA)イメージングソフトウエアを用い,冷却- CCDカメラ (Photometrics CH 250,Photometrics Ltd.,Tucson,AZ)で捕捉した. 例9 cDNA cDNAは標準ミニプレパレーション培養によって得られた[Sambrook,J.ら Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2版(Cold Spring Harbor 1989)] .これらは Bluescript(Stratagene,La Jolla,CA)中にクローン化された胎 児脳ライブラリーから単離しランダムに配列決定した.FISHマッピングには ,サイズ範囲 1 Kb 以上のインサートを含むcDNAに限定し,表IIおよびIII に示 すデータベースにマッチしたcDNAのサブセットを包含させた. 例10 単一遺伝子のマッピング 本発明の正確度を,マップアサインメントが既知の単一遺伝子および多重遺伝 子または偽遺伝子ファミリーのメンバーであることが既知の遺伝子のマッピング 能力によって試験した.最初に,マップ位置が既に知られているかまたは推定さ れている15の遺伝子のマップ位置を確認した.すべての場合,cDNAクローン のFISH分析に基づいてかなりのリファインが達成された.さらに,単一遺伝 子およびそれらの検出の感度に関する問題を以下に考察する. 多重遺伝子ファミリーについては,転写遺伝子の部位のマッピングの正確度を 標的サイズ,ホモロジーの程度およびゲノム再配置の可能性によって決定した. 15のG- 蛋白質α- サブユニットから構成される多重遺伝子ファミリーのマッピ ング[Wilkieら,Nature Genetics 1: 85-90(1992)]を本発明の方法で実施し た.すべてのヒトcDNAが独立に,既知のマウスホモロジーによって推定され た領域にマッピングされた.さらに,Gαi2およびGαi3の間のヌクレオチド配 列のホモロジーは75%と高いにもかかわらず,いずれのDNAについても第二の 部位は認められなかった. 2.0 Kbフラグメントを用いたアルドラーゼAのマッピングでは解像度が上昇し たのみでなく,全コード領域でのホモロジーが約74%(Costanzo,1988)のアル ドラーゼCの類似遺伝子の既知部位に第二のシグナルは検出されなかった.これ らのデータは多重遺伝子ファミリー中の同じゲノム配置の配列のユニークなマッ プ位置が,約75%(既知の多重遺伝子ファミリーの大部分のメンバーのホモロジ ーより高い)のヌクレオチドホモロジーがあっても本発明の方法を用いて確定で きることを示唆する.これは一般に約90%の蛋白質ホモロジーに相当する. 例11 偽遺伝子シグナルの検出 転写遺伝子座位と偽遺伝子座位からのシグナルの優先的な検出の可能性の厳密 な試験として,14のプロセス型偽遺伝子のファミリーを伴う転写遺伝子,アルギ ニノスクシネートシンテターゼ(AS)のcDNAを用いて,本発明のシグナル 識別能力を例示した.3つの偽遺伝子は,2139 bp の間で,93.5%(AS1p1), 92.9 %(ASp3)および 89.4 %(ASp7)の配列ホモロジー(発現された配列に 対して)を示す.この高いホモロジーにもかかわらず,ASの 1.5 Kb cDNA を用いたハイブリダイゼーションにより,200 の細胞中で最高の比率は転写遺伝 子座位,9q34.1に染色体がシグナルをもつ細胞の 15 %であり,細胞の3%に陽 性の第二部位(染色体 6p21)および1%に陽性の第二の部位(7p32)が明らか にされ,推定偽遺伝子の座位が確認された. 例12 転写遺伝子座位の検出 類似する偽遺伝子の存在下において転写遺伝子座位を検出する興味ある例が, pp52のcDNAのマッピングで報告されている.これはヒトリンパ球特異的遺伝 子であり,1つのエクソンは90%以上のホモロジーを示すが,他の3つは多分偽 遺伝子の4つの異なるゲノム位置が関連づけられている(May ら,1993).これ らの座位についてコスミドは2以上の座位を認識し,一部はほぼ等しい頻度を示 したが,cDNAプローブは染色体 11p15.5,転写遺伝子座位において優位にシ グナルを発生した. 例13 アミロイド4- 様遺伝子の位置決定 19q13.1 にマッピングされるアミロイド前駆体蛋白質様遺伝子(APLP1) が遅発型家族性アルツハイマー病(AD2)に関連する可能性には興味がある. 染色体21上のアミロイド蛋白質前駆体遺伝子(APP)の突然変異が家族性アル ツハイマー病の一型AD1に関与する.AD2と数個の近位 19q上DNAマーカ ーとの間の連鎖の証拠は Pericak-Vanceら,Cytogenet.Cell Genet.58: 751(1 991)によって得られた.これらの家族において,解析に発病者のみを用い,A TP1 A3(19q13.2)およびD19S13(19cen-q13.1)付近で最大多重点LOD 評点 4.4が得られた.19q13.2 に位置するアポリポ蛋白Eの遺伝子,対立遺伝子 APOE4(テロメア〜APLP1)の投与量の増加がAD2のリスクの増大と相 関するとしても,Wasco ら,Genomics 15: 237(1993)が示唆しているように, このリスクとの関連の一部は他の遺伝子,多分本発明者らがこの領域にマップし たAPLP1 との連鎖不均衡によると考えることも不合理ではない. 第二のAPLP遺伝子(酵母セントロメアのコンセンサス配列に結合すること から,CDE-1- BPと命名)は 11q26にマップされ,同じように興味がもたれ るが,APPとの間にさらに高いホモロジーを示すにもかかわらず,現時点では 遺伝的な連関を示唆する結果は全くないことから,家族性アルツハイマー病との 連鎖は前者ほどではないものと思われる.それでもなお,これらの両マップ位置 は,染色体21もしくは染色体19のいずれもが関連しない家族[スウェーデンの家 族:Lannfeltら,Nature Genetics 4: 218-219(1993);およびボルガドイツの 家族:Schrllenbergら]における家族性アルツハイマー病が関与する遺伝子の評 価のための座位候補を提供するものではある. 例14 プロテインホスファターゼ2A,βサブユニットの位置決定 プロテインホスファターゼ2Aが広領域の細胞過程にある役割を果たしている ことにはかなりの証拠がある.これらには多くの代謝経路の調節,翻訳,転写, G2-M細胞周期の遷移,および腫瘍形成が包含される[Jones ら,Cytogenet Cell Genet 63: 35-41(1993)の総説を参照].したがって,そのマップ位置の染色体 4p16.3へのアサインメントはウルフ- ヒルシュホーン(Wolf-Hirschhorn)症候 群(WHS,完全な生育および精神遅滞を特徴とする)に関連する可能性がある 直接的遺伝子候補を提供した.cDNAマッピングを 4p16.3 上の欠失した 2.5 Mb 棄却域内のプロテインホスファターゼ(Gandelman ら,1992)のアサインメ ントに適用した. 例15 軸索糖蛋白質(TAG-1/アクソニン-1)の位置決定 近年,神経組織において発現し,ニューロンネットワークの発生に重要な役割 を果たすと考えられる細胞表面蛋白質,たとえばTAG-1が同定されている.現 在ヒトのTAG-1/アクソニンは独立にクローニングされていて,その発現は発 生時の神経系におけるニューロン分化領域に限定されることが見出されている[ Haslerら,Biochem 211: 329-339(1993)].したがって,ヒトのTAG-1/ア クソニンの染色体バンド 1q32 へのマッピングは,この領域の欠失によって生じ るファンデルウード(Van der Woude)症候群(下唇粘膜嚢胞を伴う口唇裂/ 口蓋裂)に関連して興味のある遺伝子候補を提供する. 例16 ロダネーゼの位置決定 ミトコンドリア蛋白質における核のコード遺伝子として,この遺伝子の染色体 22q13.1 上におけるマッピング位置は常染色体優性の様式で遺伝するミトコンド リア疾患に対するその関係の検討の基盤を提供するものである.この領域にマッ プされるマウス突然変異は神経学的な異常を生じ,グレイ振戦,ワグラーおよび 失明を包含し,すべてこの遺伝子との関連に興味がもたれる. 例17 イノシトール 1,4,5 トリホスフェートキナーゼの位置決定 筋肉のセントラルコア病(CCD)と連鎖する染色体19領域のマップは興味が もたれる[Mulleyら,Am J Hum Genet 52: 398-405(1993)].最近の連鎖およ び物理学的データはこの関係の評価に直接適用できる. 例18 カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIβ型の座位 染色体 7p13 の領域には候補疾患は起こっていないが,この遺伝子は,カルモ ジュリン様配列に加えて,この領域で同定されるべき第二または第三のプロテイ ンキナーゼ(PRKAR1B)である. 例19 Nod1膜トランスポートスーパーファミリーの位置決定 この遺伝子は,結節形成過程に関与する根瘤菌の遺伝子と高いホモロジー(72 %)を有し,ATP依存性細菌トランスポート蛋白質と強いホモロジーを示す. これは,他の2つの神経受容体とともに,6q21の領域におけるわずかな既知の遺 伝子の一つである.このように配列が高度に保存された遺伝子は明らかに重要な 機能に関与すると思われる. 例20 ポリミキシンB抵抗性蛋白質の位置決定 酵母ときわめて高いホモロジーを有する多分プロテインキナーゼと思われるこ の遺伝子は 12q21にマップされ,この領域における最初の既知遺伝子の一つを提 供する. 例21 AMPデアミナーゼの位置決定 この遺伝子はエネルギー代謝に重要な役割を果たし,受容体のあるヒト領域, 5q32にマップされ,vt(汎下垂体前葉機能亢進を伴う残遺尾骨),dt(矮小突然 変異)を含む神経学的突然変異が見られるマウス領域とホモロジーを有す. 例22 cAMP特異的ホスホジエステラーゼの位置決定 以前に確定されているヒト遺伝子に対応して,遺伝子に富む領域,1p31-32 に マッピングされたこの新しい遺伝子はそのクラスで最初にマップされた遺伝子で ある. 例23 XPR2の位置決定 15q22 に位置決定されたアルカリ性細胞外プロテアーゼは,その全バンドにお いてマップされた最初の遺伝子である.これはこの領域の核を形成し,マップさ れた最初の細胞外プロテアーゼであり,前骨髄球性白血病に伴う 15q22- 関連染 色体再配置に関して興味がもたれる. 以上,開示された実施態様を参照しながら本発明を説明したが,本発明はその 精神から逸脱することなく様々な改変が可能であることを理解すべきである.
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1996年5月7日 【補正内容】 請求の範囲 1.ビオチン化プローブの蛍光 in situハイブリダイゼーションおよび少なく とも1種の対抗染料での in situハイブリダイゼーション後対抗染色により高解 像R(逆)バンドを得るヒト染色体上の単一バンドに対する核酸配列の高解像度 マッピング方法において,ハイブリダイズした染色体塗抹を少なくとも1種の蛍 光標識および少なくとも2染色サイクルにおける少なくとも1種の対抗染料との 接触からなり,染色時間はプローブサイズに応じて変動させる方法. 2.核酸配列の長さは約 1 Kb 〜約 1 Mb である「請求項1」の方法. 3.核酸配列は平均インサートサイズ<2 Kbである「請求項2」の方法. 4.対抗染料はクロモマイシンA3およびジスタマイシンである「請求項3」 の方法. 5.複数個の試薬からなり,それぞれの試薬はヒトゲノムに由来する核酸配列 を含有し,各試薬はそれぞれ染色体バンド上の特異的遺伝子座に相当する「請求 項1〜4」に記載の方法に使用される組成物. 6.組成物中の全試薬が単一の染色体バンドに由来する「請求項5」に記載の 組成物. 7.組成物中の全試薬が単一染色体に由来する「請求項5」に記載の組成物. 8.試薬はセントロメアに由来する核酸配列からなる「請求項5」に記載の組 成物. 9.試薬はテロメア由来の核酸配列からなる「請求項5」に記載の組成物. 10.組成物中の全試薬がゲノムの連続ストレッチをカバーする重複試薬の集合 からなる「請求項5」に記載の組成物. 11.組成物中の全試薬が非キメラである「請求項5」に記載の組成物. 12.試薬は細菌人工染色体である「請求項11」に記載の組成物.

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ヒト染色体上の単一バンドに対する核酸配列の高解像度マッピング方法に おいて, (a)ヒト染色体塗抹をビオチン化された核酸配列とハイブリダイズし, (b)ハイブリダイズした染色体塗抹を少なくとも1種の蛍光標識および少な くとも1種の対抗染料と接触させ,ついで (c)上記核酸配列の存在を検出してその染色体バンド位置を決定することか らなる 核酸配列のマッピング方法. 2.核酸配列の長さは約1Kb 〜約1Mb である「請求項1」の方法. 3.ヒト染色体上の単一バンド遺伝子座に対するcDNAおよびゲノムプロー ブの高解像度マッピング方法において,蛍光 in situハイブリダイゼーションお よび逆(R)バンディングからなる方法. 4.複数個の試薬からなる組成物において,各試薬はヒトゲノムに由来する核 酸配列を有し,各試薬はそれぞれ染色体バンド上の特異的遺伝子座に相当する組 成物. 5.組成物中の全試薬が単一の染色体バンドに由来する「請求項4」に記載の 組成物. 6.組成物中の全試薬が単一染色体に由来する「請求項4」に記載の組成物. 7.試薬はセントロメアに由来する核酸配列からなる「請求項4」に記載の組 成物. 8.試薬はテロメア由来の核酸配列からなる「請求項4」に記載の組成物. 9.組成物中の全試薬がcDNAコンティグからなる「請求項4」に記載の組 成物. 10.組成物中の全試薬が非キメラである「請求項4」に記載の組成物. 11.試薬はBACである「請求項10」に記載の組成物.
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