JPH10500455A - 電気アーク炉で鋼を製造する方法とそのための電気アーク炉 - Google Patents
電気アーク炉で鋼を製造する方法とそのための電気アーク炉Info
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Abstract
(57)【要約】
溶融鋼浴を収容する容器と、この容器上にある屋根と、単一の電極屋根または円筒面上に配置された複数の電極屋根とを有する電気アーク炉中で、容器内の溶融鋼浴表面に向けて酸素ガスを噴射し、酸素ガスジェット流は溶融鋼浴表面と衝突する衝撃区域に電極または円筒面内を覆わないようにして、鋼を製造する方法。本発明では酸素ジェット流が炉の上部から噴射され、溶融鋼浴の浅い所までしか入らない。この方法を実施する装置は液体鋼(2)および溶融される鉄含有原料(2')を収容する容器(1)と、この容器(1)上に載った屋根(3)と、単一の電極屋根または円筒状に配置された複数の電極屋根(4、5,6)と、容器(1)内の液体鋼(2)の表面に向けて酸素のジェット流(12,13,14)を噴射する手段とを有し、表面上でのジェット流(12,13,14)の衝撃区域が電極または円筒面内を覆わないようになっている製鋼用電気アーク炉において、酸素のジェット流を噴射する手段が屋根に取り付けられたノズル(9、10、11)で構成される。
Description
【発明の詳細な説明】
電気アーク炉で鋼を製造する方法とそのための電気アーク炉
本発明は電気アーク炉での製鋼方法、特に鉄屑の溶融を加速し、液体金属浴か
ら炭素を含む排気ガスを完全燃焼させる役目をする酸素ガスを炉のチャンバーへ
注入する方法に関するものである。
製鋼用電気アーク炉は鉄含有原料(鉄屑、鋳鉄または予備還元鉄鉱石)を溶融
して液体鋼浴にするとともに、鋳造前に液体鋼の組成を調節する少なくとも最初
の段階を実行する役目をする。
交流炉の場合には、金属原料の溶融と温度調節に必要なエネルギーは主として
浴と3つのグラファイト電極との間に形成されるアークによって供給される。グ
ラファイト電極は炉の容器を覆う屋根を貫通して浴の上方に配置される。
直流炉の場合には、少なくとも1つのグラファイトの天井電極と炉床に取付け
られた少なくとも1つの電極(浴と接触している)との間に電流を流す。
最近の傾向は供給する電気エネルギーの一部を化石エネルギーに代えるか、そ
れを追加することである。この化石エネルギーは固体燃料中に最初から含まれて
いた炭素や固体燃料および/または液体浴に徐々に追加した炭素原料を酸素ガス
で燃焼して作られる。また、鉄屑を酸素、燃料油または天然ガスのバーナーを用
いて加熱することも周知である。
総合すると、製鋼原料の溶融および製錬時に導入される利用
可能な全エネルギーの25〜50%を化石エネルギーから供給することができる。
酸素を用いてエネルギーを供給する炭素の完全燃焼のための一連の反応は下記
のように記載できる:
COのCO2への酸化反応は一般に「COの二次燃焼」とよばれ、金属原料に
最も有効なエネルギーを供給することは明らかである。しかし、実際にCO2へ
完全燃焼するのに利用できるのは固体または液体金属のすぐ近くに存在する炭素
の一部のみである。液体鋼の脱炭が自然に起こる場合にせよ酸素を金属浴に噴射
して起こすにせよ、脱炭で生じる金属浴から出てくるCOはCO2へ完全燃焼す
るのに十分な条件下にはない。すなわち、COと接触する空気は炉の開口部や容
器の上端と蓋部との分離間隙を通って制御されずに炉内に入るだけであるので、
上記の酸化は実質的に炉の上部でしか起きない。従って、二次燃焼の好ましい区
域が金属材料から極めて遠い所で起こり、燃焼温度は溶融すべき鉄屑や液体金属
浴の加熱に必要なCOの二次燃焼には低過ぎる。
COのCO2への二次燃焼現象を促進するために炉の(液体浴の上方の)側壁
に酸素ランスを取付ける方法が提案されている(欧州特許第 0,257,450号参照)
。酸素ランスは垂直面に対して30〜60°の角度で傾斜し且つ酸素ジェット流が円
筒面に対して接線方向に向くように配置されている。単一電極炉の場合にはこの
円筒面は電極自体によって規定される仮想円筒面であ
り、3本の電極炉の場合には電極が存在する円筒面で規定される。酸素ランスは
一般に鉄屑の溶融速度が最も遅い炉の相対的に最も冷たい区域へ向いている。し
かし、この設備の効果は最適ではないことが経験的に分かっている。
本発明の目的は炉で生じたCOをCO2へできるだけ完全に二次燃焼させ、二
次燃焼で生じた熱を最大限に利用して液体金属浴を再加熱するのに有効な方法を
提供することにある。
本発明の対象は、溶融鋼浴を収容する容器と、この容器上にある屋根と、単一
の電極屋根または円筒面上に配置された複数の電極屋根とを有する電気アーク炉
中で、容器内の溶融鋼浴表面に向けて酸素ガスを噴射し、酸素ガスジェット流は
溶融鋼浴表面と衝突する衝撃区域に電極または円筒面内を覆わないようにして、
鋼を製造する方法において、酸素ジェット流が炉の上部から噴射され、溶融鋼浴
の浅い所までしか入らないことを特徴とする方法にある。
本発明の別の対象は、液体鋼および溶融される鉄含有原料を収容する容器と、
この容器上に載った屋根と、単一の電極屋根または円筒状に配置された複数の電
極屋根と、容器内の液体鋼の表面に向けて酸素のジェット流を噴射する手段とを
有し、液体鋼表面上でのジェット流の衝撃区域が電極または円筒面内を覆わない
ようになっている製鋼用電気アーク炉において、酸素のジェット流を噴射する手
段が屋根に取り付けられたノズルで構成される製鋼用電気アーク炉にある。
以下で説明するように、本発明は、溶融すべきまたは既に溶融している鉄含有
原料に複数の酸素ジェット気流を噴射することによって炉で生じたCOを二次燃
焼させ、しかも、以下に説明するように、この酸素ジェット流はグラファイト電
極の燃焼
を防ぎ、液体金属浴の深い所までは侵入しないようにしてある。
本発明は添付図面を参照した以下の説明からより良く理解できよう。
図1は本発明の製鋼用電気炉容器の概念的平面図。
図2は上記電気炉容器のII-II 線による概念的断面図。
図1および図2に示す製鋼用電気アーク炉は通常の容器1を有し、この容器1
の側壁は水冷されたパネル1'を備え、側壁の下部の内部には断熱材料1"がライニ
ングされている。溶融鋼が収容されるのはこの側壁下部であり、図には完全に液
体になった浴2の部分と、まだ溶融していない鉄屑で構成される残りの部分2'と
が示してある。図示した実施例では電源(図示せず)に接続された3本のグラフ
ァイト電極4、5、6が容器1の上に載った屋根3を貫通している。容器1はさ
らに、一般に液体鋼2上にあるスラグ(図示せず)を定期的に除去するためのス
ラグ排出口7と、液休鋼2を炉の外側で行われる鋳造部へ送るための注ぎ口8(
図2には図示せず)とを有している。
本発明方法を実施するために、屋根3には3つの酸素吹込みノズル(tuyeres
)9、10、11が取り付けられている。これらの酸素吹込みノズルから出た酸素ジ
ェット流12、13、14は上方から液体鋼2の浴表面へ向かって下向きに吹き込まれ
る。ジェット流の範囲は点線で図示してある。この操作で最大の効率を得るため
には、浴2上でのジェット流の衝撃区域15、16、17(図1に点線で概念的に図示
)が浴2の表面のできるだけ広い部分を覆わなければならない。その目的は液体
金属2の直ぐ近くで液体金属2から出てくるCOの大部分をCO2へ酸化し、こ
の酸化で出された熱エネルギーの液体金属2または固体金属2'への移動を最適化
することにある。
しかし、電極4、5、6の過剰な燃焼を防ぐために、衝撃区域15、16、17は内
部に3本の電極4、5、6が配置されている円18を覆わないようにする必要があ
る。単一電極炉の場合にも同じ理由で衝撃区域15、16、17は電極から離さなけれ
ばならない。同様に、断熱材料で作られた炉1の壁が過剰または不必要に磨耗す
るのを防ぐために、酸素ジェット流12、13、14が壁と衝突しないようにするのが
好ましい。
COの二次燃焼を十分に行わせるための別の基本的条件は、ジェット流12、13
、14が浴2に過剰に激しく衝突しないことである。すなわち、ジェット流が浴2
に過度に激しく衝突すると酸素が液体鋼2の深い所まで入り、COが生じて脱炭
が起こることになる。これはこの酸素の役目ではなく(脱炭のためには浸漬ラン
スか容器1の炉床に取付けた羽口を介して酸素を浴2に直接注入する)、二次燃
焼の効率を下げることになる。さらに、浴2に酸素ジェット流12、13、14が入る
と液体鋼の液滴19が跳ね、こうした液滴19はCO2をCOに戻すことになる。こ
れは吸熱反応であり、二次燃焼効果を部分的または実質的に低下させるというこ
とを本発明者達は確認した。液滴の跳ねが強いほど、酸素ジェット流は液体鋼2
の深い所へ入る。従って、屋根のノズル9、10、11を介して噴射する酸素ジェッ
ト流は比較的「弱い」ジェット流にすることが極めて重要である。本発明者達の
経験から液体金属浴2中に入るジェット流の深さは約5cmを越えないようにすべ
きである。
この深さは数学モデルを用いて評価することができる。例えば、文献「LD転
炉でのジェット流の深さと傾き」(鉄と鋼58(1972年)No.1、76-84 頁)に記載
の方法を挙げることができ、この場合、有孔ノズルから出た酸素ジェット流の液
体鋼中へ入
る侵入深さは下記(単位mm)で表される:
侵入度=Ae-0.78 H/A COS β
A=63(Q/d)2/3
(ここで、
Qは酸素流量(単位Nm3/h)、
dはノズルの孔の直径(単位mm)、
Hはノズルの先端と液体鋼2の表面との距離(単位mm)、
βは水平面に対するノズルの傾き角度)
鉄含有原料が溶融する前に、ノズル9、10、11を用いて鉄含有原料を加熱して
その溶融を促進することもできる。上記の基準で浴2の表面を十分に覆うには十
分な数のノズルが必要であるが、良く制御された炉内の空気力学条件を得るには
各ジェット気流12、13、14を互いに十分に離すのが好ましい。
既に述べたように、液体鋼2の浴に炉床の羽口20を介して容器1の炉床を通し
て酸素を注入する手段は金属の脱炭を促進するためにしばしば用いられている。
同じ炉床羽口20を介して非酸化ガス(窒素またはアルゴン)を注入すると、液体
金属2が攪拌されて脱炭の反応速度と固体状態にある鉄含有原料2'の溶融速度と
が速くなる。屋根のノズル9、10、11から出た酸素ジェット流12、13、14の衝撃
区域15、16、17はCOの発生に好ましい位置にあるので、炉床の羽口20の取付け
位置の上を覆うという利点があるが、この場合は炉床自体を通ってガスを注入す
ると液体金属滴19の跳ねが生じるので、酸素ジェット流12、13、14が浴2に入る
深さを制御することが極めて重要である。しかも、既にのべたように、既にでき
たCO2の減少を防ぐ必要があるので、屋根から出る酸素はこの跳ねを過剰に強
くしないことが重要である。
これまでの例ではノズル9、10、11が炉の屋根3に取付けられてるが、本発明
方法の幾何学的または空気力学的な条件が満足されるのであれば、容器1の側壁
に取付けることも考えられる。しかし、屋根3にノズルを配置することで本発明
方法を最大限に利用することができる。先ず第1に、側壁に取付けた浴の同じ部
分を覆うノズルと比べると、屋根のノズル9、10、11のジェット流は垂直面に対
してわずかに傾いて噴射されるので、炉内に存在するガスが壁に対して接線方向
に流れて断熱材料が局部磨耗する原因が少なくなる。また、ジェット流12、13、
14が炉壁または電極4、5、6に衝突しないようにジェット流の寸法と方向を容
易に調節できる。さらに、屋根のノズル9、10、11から出たジェット流12、13、
14はわずかに傾くので、鉄屑が溶融されて炉内の鉄クズの高さが下がってもジェ
ット流と溶融金属との衝撃部分がほとんど変動しないという利点がある。これに
対して、壁のノズルから出た傾きの大きいジェット流では高さの変動が大きくな
り、ノズルから出る火炎の先端が金属と常に接すか否かを保証することができな
い。金属2と接触し、ジェット流の最高温度点であるこの先端は熱移動の最適化
には最も重要な条件である。この最適化は壁のノズルよりも屋根のノズル9、10
、11を用いる方が容易にできる。また、垂直に近いジェット流は炉壁に向けて噴
射するものよりもスラグを押すのでスラグの跳ねが弱まる。同じ理由で、壁のノ
ズルよりも屋根のノズル9、10、11を有する炉にライニグした断熱材料の方が磨
耗が少ない。しかも、垂直面に対して酸素ジェット流がわずかに傾いているので
、液体金属2のジェット流の衝撃区域から出た金属の跳ねは側壁よりも屋根3に
ノズルを取付けた炉の容器1の方が少ない。また、既にできたCO2を減少させ
る跳
ねはCOを確実に二次燃焼させる上で極めて不利である。
大部分のCO2は炉内雰囲気の上層部分に存在することが有利であり、酸素の
場合には数および範囲ができるだけ限られた炉内の領域に存在するのが有効であ
る。すなわち、そうすることによって二次燃焼に必要な酸素が燃焼ガス保持プラ
ントを介して炉の外へ吸引されるのを防ぐことができる。従って、酸素ジェット
の数は多過ぎないこと(例えば3つ)が好ましく、頂角が極めて大きな円錐形の
ノズルを用いることによって衝撃区域によって覆われる浴表面を最大にするのが
好ましい。
変形例では、純粋な酸素の代わりに高温に加熱した空気、一般的にはCO燃焼
中の火炎が高温度(約2000℃)である酸素含有ガスを用いることができる。
本発明方法を用いることによって、生成したCOを確実に二次燃焼するために
炉内に噴射する酸素を最大限に活用することができる。その結果、液体鋼の予定
温度が迅速に達成できるので同じ電気エネルギー、炭素および酸素添加量で製鋼
時間を短縮することができ、あるいは従来と同じ製鋼時間で、電気エネルギーの
供給量と炉内に導入される酸素と炭素の量を減らすことができるという、従来の
方法に比べて操作者が求めていたことが達成される。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.溶融鋼浴を収容する容器と、この容器上にある屋根と、単一の電極屋根また は円筒面上に配置された複数の電極屋根とを有する電気アーク炉中で、容器内の 溶融鋼浴表面に向けて酸素ガスを噴射し、酸素ガスジェット流は溶融鋼浴表面と 衝突する衝撃区域に電極または円筒面内を覆わないようにして、鋼を製造する方 法において、 酸素ジェット流が炉の上部から噴射され、溶融鋼浴の浅い所までしか入らない ことを特徴とする方法。 2.酸素ジェット流が炉の屋根から噴射される請求項1に記載の方法。 3.酸素ジェット流が溶融鋼浴に入る深さが約5cm以下である請求項1または2 に記載の方法。 4.溶融鋼浴の酸素ジェット流の衝撃区域の下側から直角に炉の炉床を介して不 活性または酸化ガスが噴射される請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 5.炉の上部が主としてCO2の雰囲気に維持される請求項1〜4のいずれか一 項に記載の方法。 6.液体鋼(2)および溶融される鉄含有原料(2')を収容する容器(1)と、この容器 (1)上に載った屋根(3)と、単一の電極屋根または円筒状に配置された複数の電極 屋根(4、5,6)と、容 器(1)内の液体鋼(2)の表面に向けて酸素のジェット流(12、13、14)を噴射する手 段とを有し、液体鋼表面上でのジェット流(12、13、14)の衝撃区域が電極または 円筒面内を覆わないようになっている製鋼用電気アーク炉において、 酸素のジェット流を噴射する手段が屋根に取り付けられたノズル(9、10、11) で構成される製鋼用電気アーク炉。 7.炉床を介して不活性または酸化ガスを噴射する手段(20)を有し、この手段(2 0)は液体鋼のジェット流(12、13、14)の衝撃区域(15、16、17)の下側に直角に配 置されている請求項6に記載の製鋼用電気アーク炉。
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