【発明の詳細な説明】
血栓造影用放射性標識化合物
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、シンチグラフィイメージング剤および試薬、ならびにかかる薬剤お
よび試薬の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、テクネチウム−99
m(Tc−99m)で放射性標識することができる試薬、かかる試薬の製造およ
び放射性標識のための方法およびキット、ならびに哺乳動物体における血栓形成
の部位を造影するためにかかる放射性標識試薬を用いるための方法に関する。
2.従来技術の説明
血栓症および血栓塞栓症、特に、深静脈血栓症(DVT)および肺塞栓症(P
E)は、有意な罹病率および脂肪率に関連する一般的な臨床状態である。合衆国
において、年間約500万人の患者が1つ以上のDVTのエピソードを経験し、
500,000ケースを超える肺塞栓症ケースが生じ、100,000人が死亡す
ると言われている(J.Seabold、Society of Nuclear Medicine Annual M
eeting 1990)。すべての肺性の閉栓の90%以上が下肢におけるDVTか
ら生じる。抗凝集療法は、十分早期に適用された場合には、有効にこれらの症状
を治療しうる。しかしながら、かかる治療は、不必要な予防的適用を遠ざける危
険性(例えば内出血)に関連している。血栓溶解の解決のためのより向上した手
法(組み換え組織プラスミノゲンアクチベーターまたはストレプトキナーゼの投
与のごとき)を急性の場合に用いることができるが、これらの手法はより大きな
危険性さえ有する。そのうえ、これらの手法の効果的な臨床的適用は、血栓を生
じている部位を同定して治療効果をモニターすることが必要である。
これらの理由により、最も好ましくは非侵入的方法を用いるインビボでの血栓
局在化についての迅速な手段が非常に要求される。深部静脈血栓部位の同定に現
在用いられている方法は、コントラスト静脈造影法および圧縮Bモード超音波で
あり;用いる手法の選択は、血栓の予想される位置による。しかしながら、前者
の方法は侵入的であり、療法の方法は患者にとり不愉快である。さらに、これら
の方法は多くの場合、不適切であるかまたは不正確な結果を生じる。
PEの診断に用いられる現在の方法は胸部X線撮影、心電図(EKG)、動脈
酸素分圧、パーフュージョンならびにベンチレーション肺スキャン、および肺血
管造影法である。後者(非侵入的)方法以外には、単純な診断のできるこれらの
方法はない。
核医学の分野では、少量の内部投与された放射性標識したトレーサー化合物(
放射性トレーサーまたは放射性医薬と称される)の分布を検出することによって
、ある種の病的状態が位置確認されるか、または、その程度が評価される。これ
らの放射性医薬の検出方法は、一般的に、造影または放射性造影方法として知ら
れている。
67Ga、99mTc(Tc−99m)、111In、123I、125Iおよび169Ybを含む種
々の放射性核種は、放射性造影に有用であることが知られている。Tc−99m
は、それが140keVでガンマ線を放射し、6時間の物理的半減期を有しており
、モリブデン−99/テクネチウム−99mジェネレーターを用いてon-siteで
容易に利用可能であるので、好ましい核種である。
インビボ投与された場合に他の組織に優先して血栓成分に特異的に結合するガ
ンマ放射線ラジオトラクターは、血栓結合ラジオトラクターの位置(それゆえ、
血栓の位置)を決定する外部シンチグラフイメージを提供することができる。血
栓は、架橋フィブリン中にメッシュを形成した血液細胞(大部分は活性化血小板
)から構成される。活性化血小板は、ラジオイメージングのための特に良好な標
的である。なぜなら、それらは、通常は、循環血中には見いだされないからであ
る(循環血は未活性化血小板を含有する)。
活性化血小板はGPIIb/IIIa受容体をそれらの細胞表面上に発現する。この受容
体に対する通常のリガンドはフィブリノーゲンである(Plow et al.,1987,Persp
ectives in Inflammation,Necrosis and Vascular Cell Biology,pp.267〜275)
。しかしながら、ペプチドであってもよいが必ずしもペプチドであることはない
小
型の合成アナログであって、この受容体に結合するアナログが開発された(例は
、Klein et al.,1992,米国特許第5086069号およびEgbertson et al.,199
2,欧州特許出願EPA0478328A1)。これらの合成分枝の多くが低いア
フィニティーでしか結合しないが、合成された他のものは非常に高いアフィニテ
ィーを有する(Egbertson et al.上と同じ文献)。
血栓をイメージングするための放射性トレーサーを提供する試みは、従来技術
で知られている。これらは、111Inまたは99mTc(Tc−99m)および123I−
および125I−標識フィブリノーゲンで標識した自己血小板を含む(後者は、ガ
ンマカメラとは対照的にガンマシンチレーションプローブで検出する)。血栓を
標識するために用いられるさらなる放射性標識化合物としては、プラスミン、プ
スミノーゲン活性化因子、ヘパリン、フィブロネクチン、フィブリンフラグメン
トE1および抗フィブリンおよび抗血小板モノクローナル抗体が挙げられる(Kn
ight、1990、Sem.Nucl.Med.20:52−67を参照)。
血小板GPIIb/IIIa受容体に結合する能力を有する化合物は、従来技
術で知られている。
RuoslahtiおよびPierschbacher、U.S.特許第4,578,079号には、配
列X−Arg−Gly−Asp−R−Yのペプチドが開示されている(ここで、Xおよ
びYは、Hまたはアミノ酸であり、Rは、ThrまたはCysであり、このペプチド
は、血小板に結合する能力を有する)。
RuoslahtiおよびPierschbacher、U.S.特許第4,792,525号には、配
列Arg−Gly−Asp−Xのペプチドが開示されている(ここで、Xは、Ser、T
hrまたはCysであり、該ペプチドは、血小板に結合する能力を有する)。
Kleinら、1992、U.S.特許第5,086,069号には、GPIIb/I
IIa受容体に結合するグアニジン誘導体が開示されている。
Pierschbacherら、1989、PCT/US88/04403には、下層への
細胞付着を阻害するための構造的に制限されたRGD含有ペプチドが開示されて
いる。
Nuttら、1990、欧州特許出願第90202015.5号には、フィブリノ
ーゲン受容体拮抗薬である環状RGDが開示されている。
Nuttら、1990、欧州特許出願第90202030.4号には、フィブリノ
ーゲン受容体拮抗薬である環状RGDが開示されている。
Nuttら、1990、欧州特許出願第90202031.2号には、フィブリノ
ーゲン受容体拮抗薬である環状RGDが開示されている。
Nuttら、1990、欧州特許出願第90202032.0号には、フィブリノ
ーゲン受容体拮抗薬である環状RGDが開示されている。
Nuttら、1990、欧州特許出願第90311148.2号には、フィブリノ
ーゲン受容体拮抗薬である環状ペプチドが開示されている。
Nuttら、1990、欧州特許出願第90311151.6号には、フィブリノ
ーゲン受容体拮抗薬である環状ペプチドが開示されている。
Aliら、1990、欧州特許出願第90311537.6号には、フィブリノ
ーゲン受容体拮抗薬である環状ペプチドが開示されている。
Barkerら,1991,PCT/US90/03788号は、血小板凝集阻害用の環状ペプチドを
開示している。
Pierschbacherら,1991,PCT/US91/02356号は、フィブリノーゲン受容体アンタ
ゴニストである環状ペプチドを開示している。
Dugganら,1992,欧州特許出願92304111.5号は、フィブリノーゲン受容体アン
タゴニストを開示している。
Garlandら,1992,欧州特許出願92103861.8号および92108214.5号は、血小板
凝集阻害剤としてフェニルアミド誘導体を開示している。
Bondinellら,1993,PCT/US92/05463号は、二環式のフィブリノーゲンアン
タゴニストを開示している。
Blackburnら,PCT/US92/08788号は、GPIIb/IIIa受容体に特異性を有する
非ペプチジルインテグリン阻害剤を開示している。
Egbertsonら,1992,欧州特許出願0478328A1号は、GPnb/IIIa受容体に
高アフィニティーで結合するチロシン誘導体を開示している。
Ojimaら,1992,204th Meeting,Amer,chem.Soc.Abst.44は、血小板凝
集の阻害に有用な合成マルチマーRDGFを開示している。
Hartmanら,1992,J.Med.Chem.35:4640-4642は、GPIIb/IIIa受容体に
高アフィニティーで結合するチロシン誘導体を開示している。
血栓の放射性イメージング用の放射性同位体標識ペプチドは、先行技術に記載
されている。
Stuttle,1990,PCT/GB90/00933号は、イン・ビボでRGD結合部位に結合し
得る、配列アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)よりなる3〜10アミ
ノ酸を含む放射性同位体標識ペプチドを開示している。
Rodwellら,1991,PCT/US91/03116号は「分子認識ユニット」と「エフェクタ
ードメイン」のコンジュゲートを開示している。
ペプチドを放射性標識するためのキレート化剤の使用、およびペプチドをTc
−99mで標識化するための方法は、従来技術で知られており、同時係属中のU
.S.特許出願第07/653,012号、第07/807,062号、第07/8
71,282号、第07/886,752号、第07/893,981号、第07
/955,466号、第08/019/864号、第08/073/577号、
第08/210,822号、第08/236,402号および第08/241,6
25号に開示されており、血栓を造影するためのシンチグラフィーイメージング
剤とし用いるための放射性標識ペプチドは、従来技術で知られており、同時係属
中のU.S.特許出願第07/886,752号、第07/893,981号およ
び第08/044,825号ならびに国際特許出願PCT/US92/0075
7、PCT/US92/10716、PCT/US93/02320、PCT/
US93/03687、PCT/US93/04794、PCT/US93/0
5372、PCT/US93/06029、PCT/US93/09387、P
CT/US94/01894、PCT/US94/03878およびPCT/U
S94/05895に開示されている(出典明示により本明細書の一部とする)
。
in vivoで血栓をイメージングする際に使用するため、慣用の放射性標識、好
ましくは、Tc−99mで放射性標識した小さな(血液およびバックグラウンド
組織クリアランスを増強させるために)、合成した(慣用の製造を実施可能にす
るためおよび調節アクセプタンスを容易にするため)、高親和性の、特異的結合
分子がなお必要とされている。慣用の放射性同位体、好ましくは、Tc−99m
、111Inまたは68Gaで放射性標識されている、活性化した血小板上でGPII
b/IIIa受容体に特異的に結合する小さな合成化合物は、当該技術分野での
この要求を満たし、本発明によって提供される。
発明の概要
本発明は、インビボでの血栓の非侵襲性イメージングのためのシンチグラフ用
剤として、GPIIb/IIIa受容体に高親和性で結合する低分子合成放射性標識(
好ましくはTc−99m、111Inまたは68Ga標識)化合物を提供するものである
。それによって本発明は、放射能的に標識した試薬であるシンチグラフ血栓イメ
ージング剤を提供するものである。具体的には、本発明は、テクネチウム−99
m(Tc−99m)、111In、または68Gaで、好ましくはTc−99mで放射性
標識した血栓イメージング剤を製造するための試薬を提供するものである。本発
明の試薬は、それぞれ、血小板グリコプロテインIIb/IIIa(GPIIb/IIIa)受
容体に特異的にかつ高親和性で結合し、さらに、放射性標識錯体形成部分に共有
結合するペプチド化合物、ただしこれらに限定されない、を含む、特異的結合化
合物からなる。
我々は、最適なイメージングのために、試薬は血小板GPIIb/IIIa受容体に
、標準血小板凝固アッセイ(下記実施例3参照)においてわずか1μMの濃度で
存在した場合に50%の程度までヒト血小板のアデノシンジホスフェート(AD
P)誘発凝固を阻害する十分な親和性で結合する能力がなければならないことを
見いだした。
低分子化合物、好ましくは約10,000ダルトン以下の分子量を有する化合
物を用いることは、明らかな商業的利点である。このような低分子化合物は、容
易に製造できる。更に、これらは、免疫原性ではなく、迅速に血管から消失する
ようであるので、より良いかつより迅速な血栓イメージングが可能である。反対
に、抗体またはそれらのフラグメントなどのより大きい分子、または他の生物学
的に誘導される10,000ダルトン以上のペプチドは、製造費用がかかり、ま
た、免疫原性であり、かつ血流からより遅く消失するようであるので、インビボ
での血栓の迅速な診断を妨害するものである。
本発明はまた、特異的結合化合物が4ないし100アミノ酸のアミノ酸配列お
よび約10,000ダルトン以上でない分子量を有する直鎖状または環状ペプチ
ドである試薬を提供するものである。
本発明の一態様は、血小板GPIIb/IIIa受容体に特異的に結合する特異的結
合化合物からなる、哺乳動物身体内で血栓をイメージングするために放射性標識
される能力があり、かつ式:
式中、C(pgp)sは保護システインであり、(aa)はチオール基を含有しない第1級
α−またはβ−アミノ酸である、
のTc−99m錯体形成部分に共有結合する血栓イメージング剤を製造するため
の試薬を提供する。好ましい実施態様では、アミノ酸はグリシンである。
その他の実施態様では、本発明は、血小板GPIIb/IIIa受容体に特異的に結
合する特異的結合化合物からなる、哺乳動物身体内で血栓をイメージングするた
めに放射性標識される能力があり、かつ式:
式中、AはH、HOOC、H2NOC、(アミノ酸またはペプチド)−NHOC、(
アミノ酸またはペプチド)−OOCまたはR4であり、BはH、SH、または−N
HR3、−N(R3)−(アミノ酸またはペプチド)またはR4であり、ZはHまたは
R4であり、XはSHまたは−NHR3、−N(R3)−(アミノ酸またはペプチド)
またはR4であり、R1、R2、R3およびR4は、独立してHまたは直鎖状または
分枝状または環状低級アルキルであり、nは0、1または2であり、ここで、(
ペプチド)は2ないし約10アミノ酸のペプチドであり、さらに(1)Bが−N
HR3または−N(R3)−(アミノ酸またはペプチド)である場合、XはSHであり
、nは1または2であり;(2)Xが−NHR3または−N(R3)−(アミノ酸ま
たはペプチド)である場合、BはSHであり、nは1または2であり;(3)B
がHまたはR4である場合、AはHOOC、H2NOC、(アミノ酸またはペプチ
ド)−NHOC、(アミノ酸またはペプチド)−OOCであり、XはSHであり、
nは0または1であり;(4)AがHまたはR4であり、次いでBがSHである
場合、Xは−NHR3または−N(R3)−(アミノ酸またはペプチド)であり、Xが
SHで
ある場合、Bは−NHR3または−N(R3)−(アミノ酸またはペプチド)であり;
(5)XがHまたはR4である場合、AはHOOC、H2NOC、(アミノ酸また
はペプチド)−NHOC、(アミノ酸またはペプチド)−OOCであり、BはSH
であり;(6)Zがメチルである場合、Xはメチルであり、AはHOOC、H2
NOC、(アミノ酸またはペプチド)−NHOC、(アミノ酸またはペプチド)−O
OCであり、BはSHであり、nは0であり;(7)BがSHであり、XがSH
である場合、nは0ではない;さらに、チオール部分が還元形態であり、(アミ
ノ酸)はチオール基を含有しない第1級α−またはβ−アミノ酸である、の単一
チオール含有部分からなるTc−99m錯体形成部分に共有結合する血栓イメー
ジング剤を製造するための試薬を提供する。
本発明のこの態様の特定の実施態様では、放射性標識錯体形成部分は、式:
IIa.−(アミノ酸)1−(アミノ酸)2−{A−CZ(B)−{C(R1R2)}n−X}、
IIb.−{A−CZ(B)−{C(R1R2)}n−X}−(アミノ酸)1−(アミノ酸)2、
IIc.−(第1級α,ω−またはβ,ω−ジアミノ酸)−(アミノ酸)1−{A−C
Z(B)−{C(R1R2)}n−X}、または
IId.−{A−CZ(B)−{C(R1R2)}n−X}−(アミノ酸)1−(第1級α,ω−
またはβ,ω−ジアミノ酸)、
式中、(アミノ酸)1および(アミノ酸)2は、それぞれ独立して、チオール基を含有
しない天然、修飾、置換、または変更α−βアミノ酸であり、AはH、HOOC
、H2NOC、(アミノ酸またはペプチド)−NHOC、(アミノ酸またはペプチ
ド)−OOCまたはR4であり、BはH、SH、または−NHR3、−N(R3)−(
アミノ酸またはペプチド)またはR4であり、ZはHまたはR4であり、XはSH
または−NHR3、−N(R3)−(アミノ酸またはペプチド)またはR4であり、R1
、R2、R3およびR4は、独立してHまたは直鎖状または分枝状または環状低級
アルキルであり、nは0、1または2のいずれかの整数であり、(ペプチド)は
2ないし約10アミノ酸のペプチドであり、さらに(1)Bが−NHR3または
−N(R3)−(アミノ酸またはペプチド)である場合、XはSHであり、nは1ま
たは2であり;(2)Xが−NHR3または−N(R3)−(アミノ酸またはペプチ
ド)である
場合、BはSHであり、nは1または2であり;(3)BがHまたはR4である
場合、AはHOOC、H2NOC、(アミノ酸またはペプチド)−NHOC、(アミ
ノ酸またはペプチド)−OOCであり、XはSHであり、nは0または1であり
;(4)AがHまたはR4であり、次いでBがSHである場合、Xは−NHR3ま
たは−N(R3)−(アミノ酸またはペプチド)であり、XがSHである場合、Bは
−NHR3または−N(R3)−(アミノ酸またはペプチド)であり;(5)XがHま
たはR4である場合、AはHOOC、H2NOC、(アミノ酸またはペプチド)−N
HOC、(アミノ酸またはペプチド)−OOCであり、BはSHであり;(6)Z
がメチルである場合、Xはメチルであり、AはHOOC、H2NOC、(アミノ酸
またはペプチド)−NHOC、(アミノ酸またはペプチド)−OOCであり、Bは
SHであり、nは0であり;(7)BがSHであり、XがSHである場合、nは
0ではない;さらに、チオール基が還元形態である、
を有する。
その他の実施態様では、本発明は、血小板GPIIb/IIIa受容体に特異的に結
合する特異的結合化合物からなる、哺乳動物身体内で血栓をイメージングするた
めに放射性標識される能力があり、かつ式:
(本発明の場合は、この構造を有する放射性標識結合部分をピコリン酸(Pic)ベ
ース部分と称する);
または
(本発明の場合は、この構造を有する放射性標識結合部分をピコリルアミン(Pi
ca)ベース部分と称する);式中、XはHまたは保護基であり、(アミノ酸)はチ
オール基を含有しない第1級α−またはβ−アミノ酸である、
の放射性標識錯体形成部分に共有結合する血栓イメージング剤を製造するための
試薬を提供するものであり、放射性標識錯体形成部分は、特異的結合化合物に共
有結合し、放射性標識錯体形成部分の錯体および放射性標識は、電子的に中性で
ある。好ましい実施態様では、アミノ酸はグリシンであり、Xはアセトアミドメ
チル保護基である。更に好ましい実施態様では、特異的結合化合物は、アミノ酸
、最も好ましくはグリシンを介して放射性標識錯体形成部分に共有結合する。
本発明のまた別の実施態様は、血小板GPIIb/IIIa受容体に特異的に結合す
る特異的結合化合物からなる、哺乳動物身体内で血栓をイメージングするために
放射性標識される能力があり、かつビスアミノビスチオール放射性標識錯体形成
部分である放射性標識錯体形成部分に共有結合する血栓イメージング剤を製造す
るための試薬を提供する。本発明のこの実施態様におけるビスアミノビスチオー
ル部分は、下記式:
式中、それぞれのR5は独立して、H、CH3またはC2H5であり、それぞれの(p
gp)sは独立してチオール保護基またはHであり、m、nおよびpは独立して2ま
たは3であり、Aは直鎖状または環状の低級アルキル、アリール、ヘテロサイク
リルまたはそれらの組合わせもしくは置換誘導体であり、更にXは特異的結合化
合物である;および
式中、それぞれのR5は独立して、H、炭素数1ないし6の低級アルキル、フェ
ニルまたは低級アルキルもしくは低級アルコキシで置換されたフェニルであり、
m、nおよびpは独立して1または2であり、Aは直鎖状または環状の低級アル
キル、アリール、ヘテロサイクリルまたはそれらの組合わせもしくは置換誘導体
であり、VはHまたはCO−(アミノ酸またはペプチド)であり、R6はH、(
アミノ酸)またはペプチドまたは特異的結合化合物であり、ただし、VがHであ
るとき、R6はアミノ酸またはペプチドまたは特異的結合化合物であり、R6がH
であるとき、Vはアミノ酸またはペプチドまたは特異的結合化合物であるが、こ
こで(アミノ酸)はチオール基を含有しない第1級α−またはβ−アミノ酸であ
る、からなる群から選択される式を有する。(本発明の目的には、この構造を有
する放射性標識結合部分を“BAT”部分と称する)。好ましい実施態様では、
特異的結合化合物は、アミノ酸、最も好ましくはグリシンを介して放射性標識錯
体形成部分に共有結合する。
本発明の上記態様の好ましい実施態様では、特異的結合化合物は、4から10
0の間のアミノ酸からなるペプチドである。放射性標識の最も好ましい実施態様
はテクネチウム−99mである。
本発明の試薬は、特異的結合化合物または放射性標識錯体形成部分が多価連結
部分に共有結合する場合に、形成され得る。本発明の多価連結部分は、特異的結
合化合物または放射性標識錯体形成部分に共有結合する能力のある少なくとも2
つの同一リンカー官能基からなる。好ましいリンカー官能基は、第1級または第
2級アミン、ヒドロキシル基、カルボン酸基、またはチオール反応性基である。
好ましい実施態様では、多価連結部分は、ビス−スクシンイミジルメチルエーテ
ル(BSME)、4−(2,2−ジメチルアセチル)安息香酸(DMAB)、トリ
ス(スクシンイミジルエチル)アミン(TSEA)、トリス(アセトアミドエチル)
アミン、ビス−(アセトアミドエチル)エーテル、ビス−(アセトアミドメチル)エ
ーテル、N−{2−(N',N'−ビス(2−スクシンイミドエチル)アミノエチル)}
−N6,N9−ビス(2−メチル−2−メルカプトプロピル)−6,9−ジアザノナン
アミド(BAT−BS)、α,ε−ビスアセチルリジン、リジン、および1,8−
ビス−アセトアミド−3,6−ジオキサオクタンである。
本発明はまた、本発明の試薬とTc−99m、111Inまたは68Ga、最も好まし
くはTc−99mとの錯体であるシンチグラフ用イメージング剤、およびかかる
シンチグラフ用イメージング剤を提供するために本発明の試薬を放射性標識する
方法を含む。本発明により提供されるTc−99m放射性標識錯体は、本発明の
試薬を還元剤の存在下でTc−99mと反応させることにより、形成される。好
ましい還元剤には、ジチオナイトイオン、第一スズイオン、および第一鉄イオン
があるが、これらに限定されない。本発明の錯体は、本発明の試薬を、本明細書
に与えた通り、予め還元したTc−99m錯体のリガンド交換によりTc−99m
で標識することによっても形成される。
本発明は、また、Tc−99mで放射性標識した本発明の試薬であるシンチグ
ラフ用イメージング剤を製造するためのキットを提供するものである。本発明に
より与えた試薬をTc−99mで標識するためのキットは、予め定めた量の本発
明試薬と試薬をTc−99mで標識するのに十分な量の還元剤を含有する封止バ
イアルからなる。
本発明は、インビトロでの化学合成により本発明のペプチド試薬を製造する方
法を提供する。好ましい実施態様では、ペプチドは、固相ペプチド合成により合
成する。
本発明は、インビボでのガンマシンチグラフイメージを得ることにより、哺乳
動物身体内で血栓をイメージングするためのTc−99m標識化試薬であるシン
チグラフ用イメージング剤を使用する方法を提供する。これらの方法は、本発明
のTc−99m標識化試薬の有効診断量を投与し、哺乳動物身体内の血栓部位に
配置されたTc−99m標識により放出されるガンマ放射線を検出することを含
んでなる。
本発明の特定の好ましい実施態様は、下記の好ましい実施態様および請求の範
囲のより詳細な記載から明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
第1図は本発明のTc−99m放射標識ペプチド試薬を用いたヒト患者の腿に
おける静脈血栓のシンチグラフ画像の説明図、第2図は本発明のTc−99m放
射標識ペプチド試薬を用いたヒト患者のふくらはぎにおける静脈血栓のシンチグ
ラフ画像の説明図である。
発明の詳細な説明
本発明は、哺乳類体内の血栓を画像化するための放射標識血栓画像化剤を調製
するための、ペプチド試薬を含む、試薬を提供する。本発明によって提供される
試薬は、特異的結合性化合物に共有結合した放射標識結合性基を含んでおり、当
該特異的結合性化合物は血小板GDIIb/IIIaリセプターである血小板リセプタ
ーに結合し、血小板富化血漿中におけるヒトの血小板凝集を1μMを超えない濃
度で存在するとき50%まで阻止する(すなわちIC50=1μM)ことが出来る
。本発明の目的において、血栓画像化剤なる用語は放射標識錯体形成性基に共有
結合した、そして好ましくはTc−99m、111Inまたは68Ga、より好まし
くはTc−99mにより放射標識された特異的結合性化合物を含む本発明の実施
態様に関して使用されるものである。
本発明者らは、先に、好適な画像化のためには、ここに開示された試薬が血小
板グリコプロテインIIb/IIIaリセプターに充分な親和性をもって結合す
ることが必要であり、それは0.3μMまでの濃度で存在するとき標準の検定に
おいてアデノシンジホスフェート(ADP)誘導血小板凝集を阻止する(実施例
3参照)(IC50≦0.3μM)ことを見いだした。この発明は米国特許出願08/
044,825および国際特許出願PCT/US94/03878に開示されており、
この両出願における開示は本発明についての参考にすべきものである。
本発明者らは、今回インビボシンチグラフ画像化において有利な高品質なもの
がIC50≦1μMを有するここに開示の放射標識シンチグラフ画像化剤を使用す
ることによって得られることを見いだした。
Tc-99mでの標識は、本発明の利点である。なぜならば、この放射性同位
体の核および放射性特性がそれを理想的なシンチグラフィー・イメージング剤と
するからである。この放射性同位体は、140keVの単一光子エネルギーおよ
び約6時間の放射能半減期を有し、99Mo-99mTcジェネレーターから容易に入
手可能である。本発明のもう1つの利点は、好ましい放射性核種(Tc-99m、
Ga-67、In-111)のいずれもが、当該分野で公知である他の放射性核種(
例えば、125I)に対して、毒性でないことである。
Tc-99m錯化基および化合物は、本発明により提供されるチオール保護基{
(pgp)s}に共有結合したチオールを含有するかかる基に共有結合しており、該
チオール-保護基は同一または異なっていてもよく、限定するものではないが:
−CH2アリール(アリールはフェニルまたはアルキルもしくはアルキルオキ
シ置換フェニル);
−CH(アリール)2(アリールはフェニルまたはアルキルもしくはアルキル
オキシ置換フェニル);
−CH(アリール)3(アリールはフェニルまたはアルキルもしくはアルキル
オキシ置換フェニル);
−CH2−(4−メトキシフェニル);
−CH−(4−ピリジル)(フェニル);
−C(CH3);
−9−フェニルフルオレニル
−CH2NHCOR(Rは非置換または置換アルキルまたはアリール);
−CH2NHCOOR(Rは非置換または置換アルキルまたはアリール);
−CONHR(Rは非置換または置換アルキルまたはアリール);
−CH2−S−CH2−フェニル;
である。
好ましい保護基は式−CH2−NHCOR(式中、Rは1ないし8個の炭素原
子を有する低級アルキル、フェニルまたは低級アルキル、ヒドロキシ、低級アル
コキシ、カルボキシまたはアルコキシカルボニルで置換されたフェニルである)
を有する。最も好ましい保護基はアセトアミドメチル基である。
本発明の各特異的結合ペプチド含有具体例はアミノ酸の配列からなる。本発明
で使用するアミノ酸の用語は、全てL−およびD−、一次α−またはβ−アミノ
酸、天然アミノ酸等を含むことを意図する。本発明により提供される特異的結合
ペプチドは、以下の配列を有するペプチドを含むが、これらに限定されない(以
下のペプチドのアミノ酸は、特記しない限り、L−アミノ酸である):CH2CO.YD.Apc.GDC
GGGCH2CO.YD.Apc.GDC
KGCH2CO.YD.Apc.GDC
GGCH2CO.YD.Apc.GDC CH2CO.YD.Apc.GDC
KCH2CO.YD.Amp.GDC CH2CO.YD.Amp.GDC
K
およびO−(4−ピペリジニル)ブチルチロシン。
本発明の特異的結合ペプチドは、インビトロ化学合成できる。本発明のペプチ
ドは、一般にペプチド合成装置で有利に製造できる。インビトロ化学合成してい
る間に、放射標識結合分子がペプチドに共有結合するように、本発明のペプチド
は、当業者に既知の技術を使用して製造できる。合成の間に放射性結合分子に共
有結合するこのようなペプチドは、共有結合の特異部位が決定できるため有利で
ある。
本発明の放射結合分子は、標的特異的ペプチドにペプチド合成中に挿入し得る
。ピコリン酸を含む態様において{(Pic−);例えば、Pic-Gly-Cys(保護基)
−}、放射標識結合分子は、最後の(すなわちアミノ末端)残基として合成におい
て合成できる。加えて、ピコリン酸含有放射標識結合分子は、リジンのε−アミ
ノ基に共有結合し得、例えば、ペプチド鎖の任意の位置に挿入し得るαN(Fmoc
)−Lys−εN{Pic−Gly−Cys(保護基)}を得る。この配列は、標的結合部位
への容易な挿入経路を提供するため、特に有利である。
同様に、ピコリルアミン(Pica)−含有放射標識結合分子{−Cys(保護基)−G
ly−Pica}は、配列{−Cys(保護基)−Gly−}をペプチド鎖のカルボキシ末端に
挿入することによりペプチド合成中に製造できる。ペプチドの樹脂からの開裂に
続いて、ペプチドのカルボキシ末端を活性化し、ピコリルアミンと結合する。こ
の合成経路は、反応性側鎖官能性がマスク(保護)されたままであり、ピコリルア
ミンの結合中に反応しないことを必要とする。
Pic−Gly−Cys−および−Cys−Gly−Picaキレーターを含む小合成の例
は、以下の実施例に示す。本発明は、これらのキレーターを実質的に任意のイン
ビボ血栓特異的結合できるペプチドに包含させ、Tc−99mを天然錯体として
有する放射標識ペプチドを得るために提供される。
本発明はまた、Tc−99mで標識し得るビスアミンビスチオール(BAT)キ
レーターを含む特異的結合小合成ペプチドを提供する。本発明は、これらのキレ
ーターを実質的に任意のインビボ血栓特異的結合できるペプチドに包含させ、T
c−99mを天然錯体として有する放射標識ペプチドを得るために提供される。
BATキレーターを放射標識結合分子として含む小合成ペプチドの例は、下記実
施例に提供する。
放射活性テクネチウムと本発明の試薬との錯体の形成において、テクネチウム
錯体、好ましくはTC−99m過テクネテートの塩は、還元剤存在下、試薬と反
応させる。好ましい還元剤は、ジチオナイト、スズおよび鉄イオンである;最も
好ましい還元剤は、塩化スズである。このような錯体を作るための手段は、標識
すべきあらかじめ定量した量の本発明の試薬およびTc−99mで試薬を標識す
るのに充分な量の還元剤を含む封印バイアルから成るキット形で簡便に提供され
る。あるいは、錯体は、本発明の試薬を、あらかじめ形成したテクネチウムの置
換活性錯体および転移リガンドとして知られている他の化合物と反応させて製造
し得る。この工程は、リガンド交換として知られ、当業者に既知である。置換活
性錯体は、このような転移リガンドを例えばタートレート、シトレート、グルコ
ネートまたはマンニートールとして製造し得る。Tc−99m過テクネテート塩
の中で、本発明で有用なものは、ナトリウム塩のようなアルカリ金属塩またはア
ンモニウム塩または低級アルキルアンモニウム塩である。
本発明の好ましい態様において、テクネチウム標識試薬を製造するためのキッ
トが提供される。好適な量の試薬を、Tc−99mで試薬を標識するのに充分な
量の塩化スズのような還元剤を含むバイアルに挿入する。記載のような好適な量
の転移リガンド(例えば、タートレート、シトレート、グルコネートまたはマン
ニトールのような)もまた包含できる。キットは、例えば、浸透圧、緩衝液、保
存剤等を調節するための薬学的に許容可能な塩のような既知の薬学的調節物質も
また含み得る。キットの成分は、液体、凍結または乾燥形であり得る。好ましい
態様において、キット成分は凍結乾燥形で提供する。
本発明の放射標識血栓イメージング剤は、好適な量のTc−99mまたはTc
−99m錯体をバイアルに添加し、下記実施例4に記載の条件下で反応させるこ
とにより製造し得る。
本発明により提供される放射方式シンチグラフ用イメージング剤は、好適な量
の放射活性を有して提供される。Tc−99m放射活性錯体の形成において、一
般的に、放射活性をmL当たり約0.01マイクロキューリー(mCi)から100m
Ci形成する濃度で含む溶液中で放射活性錯体を形成するのが好ましい。
本発明により提供される血栓イメージング剤は、Tc−99mで標識した場合
、哺乳類体内の血栓の可視化に使用できる。本発明により、Tc−99m標識試
薬は、一回単位注射可能用量で投与する。本発明により提供されるTc−99m
標識試薬は、水性食塩水媒体または血漿媒体のような静脈内注射に既知の媒体に
より静脈内投与し得る。一般に、投与すべき単位用量は、約0.01mCiから約
100mCi、好ましくは1mCiから20mCiの放射活性を有する。単位用量
で注射すべき溶液は約0.01mLから約10mLである。静脈内投与後、血栓の
インビボイメージングは数分で行うことができる。しかしながら、イメージング
は、放射標識ペプチドを患者に投与してから、所望により、1時間またはそれ以
上で行うことができる。ほとんどの場合、充分な量の投与量が、イメージングす
べき領域に、約0.1時間以内に蓄積し、シンチフォトの実施を可能にする。診
断目的のためのシンチグラフ用イメージングの既知の方法が、本発明により利用
できる。
血栓はアテローム硬化症プラークで一般に見られる;本発明のシンチグラフ用
イメージング剤に結合し得るインテグリン(integrin)受容体がある癌でみられ得
る;このようなインテグリン受容体は、感染部位の白血球局在化に含まれまたは
先立つ細胞粘着工程に含まれることは、当業者によりまた認識されるであろう。
従って、本発明のシンチグラフ用イメージング剤は、アテローム硬化症プラーク
、癌または感染部位を含む、GPIIb/IIIa受容体が発現する部位をイメージ
ングするためのイメージング剤としての更なる実用性を有する。
これらの化合物を製造し、標識する方法は、以下の実施例に完全に説明する。
これらの実施例は上記方法のある態様および有利な結果を説明する。これらの実
施例は、説明のためのみに示すものであり、限定する意図はない。
実施例1
固相ペプチド合成
固相ペプチド合成(SPPS)は、0.25ミリモル(mmol)スケールで、Applie
d Biosystems Model 431Aペプチド合成器を用い、9−フルオレニルメチルオ
キシカルボニル(Fmoc)アミノ−末端保護を用いて、ジシクロヘキシルカルボジ
イミド/ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは2−(1H−ベンゾトリアゾル−
1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩/ヒ
ドロキシベンゾトリアゾール(HBTU/HOBT)でカップリングして、カルボ
キシ−末端酸のためのp−ヒドロキシメチルフェノキシメチルポリスチレン(H
MP)樹脂またはカルボキシ−末端アミドのためのRinkアミド樹脂を用いて、行
われた。樹脂結合生成物は、トリフルオロ酢酸または50/50トリフルオロ酢
酸/ジクロロメタンを含み、選択的に水、チオアニソール、エタンジチオールお
よびトリエチルシランを含み、100:5:5:2.5:2の比率で製造された
溶液を1.5−3時間、室温で用いることにより普通に分割される。
適当に、N−末アセチル基は、樹脂に結合している、遊離N−末アミノペプチ
ドを20%v/v無水酢酸で、NMP(N−メチルピロリジノン)中で30分間処理
することにより導入される。リジンのα−およびε−アミンの両者からのペプチ
ド鎖合成を含み、分肢鎖ペプチド試薬を製造するために、SPPSにおいてNα
(Fmoc)Nε(Fmoc)−リジンが使用された。適当に、2−クロロアセチルおよび
2−ブロモアセチル基は、SPPSにおいてカップリングされる最後の残基とし
て適当な2−ハロ酢酸を用いることにより、または樹脂結合のN端遊離アミノペ
プチドをNMP中2−ハロ酢酸/ジイソプロピルカルボジイミド/N−ヒドロキ
シサクシンイミドまたはNMP中の2−ハロ無水酢酸/ジイソプロピルエチルア
ミンで処理することにより導入される。適当に、HPLC−精製−2−ハロアセ
チル化ペプチドは、選択的にリン酸塩、重炭酸塩または0.5−1.0mM ED
TAを含有するpH8の0.1−1.0mg/mL溶液で撹拌することにより環化さ
れ、次いで、酢酸で酸性化、凍結乾燥、HPLC精製がなされた。適当に、Cys
−Cysジスルフィド結合環化は、前駆体のシステインを含まないチオールペプチ
ドを0.1mg/mLでpH7の緩衝液中、アリコートの0.006M K3Fe(C
N)6で、安定な黄色が残存するまで、処理することによりなされた。過剰の酸化
剤は過剰のシステインで還元し、混合物を凍結乾燥し、次いでHPLCで精製し
た。
適当に、ペプチドチオール−クロロアセチル誘導スルフィドは、水中2−50
mg/mLの濃度の単一チオール含有ペプチド、および適当な数(例えば、二量体製
造のための0.5モル当量および三量体製造のための0.3モル当量)のクロロア
セチル多価結合部分をpH10で有するアセトニトリルまたはTHFまたはDM
Fを0.5から24時間反応せしめることにより製造された。この溶液を酢酸で
中和し、蒸留乾燥し、そして必要とあれば、TFA10mLおよびトリエチルシ
ラン2mLなどのスカベンジャーを用いて保護をはずした。溶液を濃縮しそして
生成物をエエテルで沈殿せしめた。生成物を分取HPLCで精製した。
適当には、単一チオール-含有ペプチド(50mMリン酸ナトリウム緩衝液、p
H8中の5〜50mg/mL)と、アセトニトリルに予め溶解した0.5モル当量
のBMME(ビス-マレイミドメチルエーテル)とを室温にて約1−18時間反応
することによってBSME付加物を調製した。該溶液を濃縮し、生成物はHPL
Cによって精製した。
適当には、1モル当量のトリエタノールアミンが存在または不存在で、単一チ
オール-含有ペプチド(DMF中の10〜100mg/mLのペプチド、または5
0mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8)/アセトニトリルまたはTHF中の5〜
50mg/mL濃度のペプチド)と、アセトニトリルまたはDMFに予め溶解した
0.33モル当量のTMEA(トリス(2-マレイミドエチル)アミン;出典明示し
て本明細書の一部とみなす米国特許第08/044,825号に開示されている)
とを室温にて約1-18時間反応することによってTSEA付加物を調製した。
付加物を含有するかかる反応混合物を濃縮し、ついで、該付加物をHPLCを用
いて精製した。
適当な場合には、単一チオール含有ペプチド(50mMリン酸ナトリウム(p
H8)中2ないし50mg/mLのペプチド濃度)を、適当には1〜18時間室
温でアセトニトリルまたはTHF中に前溶解された0.5モラー当量のBAT−
BM(N−[2−(N',N'−ビス(2−マレイミドエチル)アミノエチル)]
−N9−(t−ブトキシカルボニル)−N6,N9−ビス(2−メチル−2−トリフ
ェニルメチルチオプロピル)−6,9−ジアザノナンアミド;US第08/04
4825号(参照により本明細書に記載とみなす)に開示)と反応させることに
よりBAT−BS付加物を調製した。次いで、溶液を蒸発乾固し、[BAT−B
S]ペプチド抱合体を10mLのTFAおよび0.2mLのトリエチルシランで
1時間処理することにより脱保護した。溶液を濃縮し、生成した付加物をエーテ
ルで沈殿させ、次いで、HPLCにより精製した。
Waters Delta Pak C18カラムおよびアセトニトリルを変化させる水中0.1%
トリフルオロ酢酸(TFA)のグラジエント溶離を用いて、粗ペプチドを調製用
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。溶離フラクションか
らアセトニトリルを蒸発させ、次いで、凍結乾燥した。高速原子衝撃質量スペク
トル法(FABMS)により各生成物の同一性を確認した。
実施例2
Tc−99mによる放射ラベルの一般的方法
実施例2で製造されたペプチド試薬0.1mgのサンプルを0.1mLの水、50m
Mリン酸カルシウム緩衝液、0.1M重炭酸緩衝液または10%ヒドロキシプロ
ピルシクロ−デキストリン(HPCD)に溶解した。なお、各緩衝液はpH5−1
0である。Tc−99mグルセプテートは、グルコスカンバイアル(E.I.Du
Pon de Nemourus,Inc.,Wilmimgton,DE)を、1mLの200mCiまで含
有するTc−99mナトリウム過テクネテートで再構成し、室温で15分放置す
ることにより製造される。次いで、このペプチドに25μlのTc−99mグル
セプターゼを添加し、室温または100℃で15〜30分間、反応を進行させた
後、0.2μmフィルターで濾過した。
Tc−99m標識ペプチドの純度は、以下の条件を用いたHPLCによって決
定した:ウォーターズ・デルタピュア(Waters DeltaPure)RP−18、5μ、
150mm×3.9mm分析用カラムに各放射標識ペプチドを装填し、これらペ
プチドを1mL/分に相当する溶媒流量で溶出させた。勾配溶出は、10%溶媒
A(0.1%CF3COOH/H2O)から初めて、40%溶媒B90(0.1%CF3
COOH/90%CH3CN/H2O)まで、20分間にわたって実施した。
Tc−99mラベルペプチドの純度は、表Iの脚注に記載した条件を用いてH
PLCにより定められる。放射活性成分は、統合記録器につながっているイン−
ライン放射線感知器により検査された。Tc−99グルセプテートおよびTc−
99mナトリウム過テクネテートはこれらの条件下で1−4分で消失し、Tc−
99mラベルペプチドは非常により多くの時間後に消失した。
下記の表は、本明細書に記載された方法を用いて実施例により製造された、ペ
プチドの成功的なTc−99mラベルを示す。
* 上つきは下記の標識条件である:
1.ペプチドはリン酸カリウム緩衝液50mM(pH7.4)中に溶解され、室温
にて標識された。
2.ペプチドはリン酸カリウム緩衝液50mM(pH7.4)中に溶解され、10
0℃にて標識された。
3.ペプチドは水中に溶解され、室温にて標識された。
4.ペプチドは水中に溶解され、100℃にて標識された。
5.ペプチドはリン酸カリウム緩衝液50mM(pH6.0)中に溶解され、10
0℃にて標識された。
6.ペプチドはリン酸カリウム緩衝液50mM(pH5.0)中に溶解され、室温
にて標識された。
7.ペプチドはエタノール/水の50:50混合物中に溶解され、100℃にて
標識された。
8.ペプチドは0.9%塩化ナトリウム溶液中に溶解され、室温にて標識された
。
** HPLC法(RTの後の上つきにより示されている)
一般:溶媒A =0.1%CF3COOH/H2O
溶媒B70=0.1%CF3COOH/70%CH3CN/H2O
溶媒B90=0.1%CF3COOH/90%CH3CN/H2O
溶媒流速=1mL/分
ビダックカラム=ビダック218TP54 RP−18,5μm,220mm×4.
6mm保護カラム付分析カラム
ブラウンリーカラム=ブラウンリー・スフェリー5 RP−18,5μm,22
0mm×4.6mmカラム
ウォーターズカラム=ウォーターズ・デルターパックC18,5μm,150mm
×3.9mmカラム
ウォーターズカラム2=ウォーターズ・ノバ−パックC18,5μm,100mm
×8mmラジアル圧縮カラム
方法1:ブラウンリーカラム 10分間に100%Aから100%B70
方法2:ビダックカラム 10分間に100%Aから100%B90
方法3:ビダックカラム 10分間に100%Aから100%B70
方法4:ウォーターズカラム 20分間に100%Aから100%B90
方法5:ウォーターズカラム 10分間に100%Aから100%B90
方法6:ウォーターズ2カラム 10分間に100%Aから100%B90
*** ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアシドゲル電気泳動によって確
認
アミノ酸の一字省略文字は、Z・ザベイ,バイオケミストリー(2版)198
8年(マックミレン発行:ニューヨーク)33頁中で知ることができ;アンダー
ラインは誘導体群の結合アミノ酸間のチオール結合の形成を示す;ペプチドは各
ペプチド中未保護システイン残基(C)の遊離チオール部を経てリンカーを含む
BSH、ETAC、BSME、TSEA、(BAT−BS)又は(CH2CO)−に
結合している;Ac=アセチル;Bz=ベンゾイル;Pic=ピコリノイル(ピリジ
ン−2−カルボニル);Acm=アセトアミドメチル;Mob=4−メトキシベンジ
ル;Apc=L−(S−(3−アミノプロピル)システイン);Hly=ホモリジン
;FD=D−フェニルアラニン;YD=D−チロシン;ma=2−メルカプトアセト
酢酸;mmp=2−メルカプト−2−メチルプロピオ酸;BAT=N6,N9−ビス(
2−メルカプト−2−メチルプロピル)−6,9−ジアザノナノイックアシド;
ETAC=4−(O−CH2CO−Gly−Gly−Cys.アミド)アセトフェノン
;BAT−BS=N−{2−N',N'−ビス(2−サクシンイミドエチル)アミ
ノエチル}−N6,N9−ビス(2−メルカプト−2−メチルプロピル)−6,9
−ジアザノナンアミド;BSME=ビス−サクシンイミドメチルエーテル;TS
EA=トリス−(2−サクシンイミドエチル)アミン;NES=N−エチルサク
シンイミド;BSH=1,6−ビス−サクシンイミドヘキサン:Amp=4−アミ
ディノフェニルアラニン
a=エレクトロスプレー質量分析(ESMS)
実施例3
血小板凝集阻害アッセイ
実質的にはZucker(1989,Methods in Enzymol.169:117〜133)により記載された
ようにして血小板凝集の研究を行った。簡単に説明すると、1マイクロリットル
中300000個の血小板からなる新鮮ヒト・血小板豊富血漿を用い、推定上の
血小板凝集阻害化合物を用いて血小板凝集をアッセイした。アデノシンジホスフ
ェート溶液を添加して最終濃度10ないし15マイクロモルとすることにより血
小板凝集を誘導し、Bio/Dataアグレゴメーター(Bio/Data Corp.,Horsham,PA)
を用いて血小板凝集の程度をモニターした。血小板凝集阻害化合物の濃度を、0
.1から500μg/mlまで変化させた。血小板凝集を50%減じた阻害剤濃
度(IC50と定義)を、血小板凝集の程度に対する阻害剤濃度のプロットから決
定した。陽性対照として試験した血小板の各バッチに関してペプチドRGDSに
関する阻害曲線を決定した。
これらの実験結果は表IIに示した。表IIにおいて、被験化合物は下記のもので
ある(RGDSは陽性対照である)。
P47= AcSYGRGDVRGDFKCAcmGCAcm
P97= GRGDVRGDFKCAcmGCAcmアミド
P32= CAcmGCAcmRRRRRRRRRGDV
P143= CH2CO-YDRGDCGGCAcmGCAcmアミド
P245= CH2CO-YDApc.GDCGGCAcmGCAcmGGFDPRPGアミ
ド
P63= AcSYGRGDVRGDFKCTCCA
P98= GRDGVRGDFCAcmGCAcmアミド
P81= CH2CO-YDRGDCCAcmGCAcmアミド
P154= CH2CO-YDApcGDCGGGCAcmGCAcmアミド
P381= (CH2CO-YDApcGDCKGCAcmGCAcmGGC-アミド)2-
BSME
P317= (CH2CO-YDApcGDCGGCAcmGCAcmGGC-アミド)3-
TSEA
P246= CH2CO-YDApcGDCGGCAcmGCAcmGGC-アミド
P357= (CH2CO-YD.ApcGDCGGCAcmGCAcmGGC-アミド)2-
(BAT−BS)
P667= (CH2COYD.Apc.GDCGGCAcmGCAcmGGCアミド)2
(CH2CO2)K(NεK)GCアミド
P747= (CH2COYD.Amp.GDCGGCAcmGCAcmGGCアミド)2
(CH2CO2)K(Nε-K)GCアミド
P748= (CH2COYD.Amp.GDCKGCCアミド)2(CH2CO2)
K(Nε-K)GCアミド
(アミノ酸の一字省略文字は、Z・ザベイ,バイオケミストリー(2版)198
8年(マックミレン発行:ニューヨーク)33頁中で知ることができる;Ac=
アセチル;Acm=アセトアミドメチル;Apc=L−(S−(3−アミノプロピル
)システイン);YD=D−チロシン;BSME=ビス−サクシンイミドメチル
エーテル;TSEA=トリス−(2−サクシンイミドエチル)アミン;(BAT
−BS)=N−{2−N',N'−ビス(2−サクシンイミドエチル)アミノエチ
ル}−N6,N9−ビス(2−メチル−2−メルカプトプロピル)−6,9−ジア
ザノナンアミド;ペプチドは各ペプチド中未保護システイン残基(C)の遊離チ
オール部をへてリンカー含むBSME、TSEA、(BAT−BS)又は(CH2C
O)−に結合している。(...)2Kは()内の基とリジンの各アミノ基(すなわち
、α−アミノ基および側鎖アミン)の間の共有結合を示す。(Nε-K)はリジン
残基の通常のαアミノ基におけるよりもむしろεアミンにおける共有結合を示す
。
約1μMより小かまたは等しいIC50を有する化合物が約1μMより大のIC50
を有するシンチグラフィックイメージング剤より大きい効果を示すことをこれ
らの結果は示している。
実施例4
ひとインビボにおける深静脈血栓のシンチグラフィックイメージング
化学構造:
(CH2CO.YnApcGDCGGCAcmGCAcmGGC.アミド)2−BSME
を有するP280と命名された本発明のシンチグラフィックイメージング剤の一
具体例の予備ひと臨床的検討からなる一連の実験を行った。これらの実験は、年
令30〜60、体重63〜100kgである9人の患者(男性6、女性3)につ
いて行われた。患者はそれぞれ臨床的には深静脈血栓の症状を示し、診断は触診
、超音波検査および/または対比静脈造影によって確認された。
この検討における各患者は、静脈注射によって、約0.25mgペプチドを含
む10−22mCiTc−99m標識P280が投与された。ついでシンチグラ
フィックイメージングは高分解コリメータ(140keVにてphotopcaked、2
0%±window)を備えた大視野ガンマカメラを用いて4時間かけて行われた。ガ
ンマカメライメージングは注射と同時に始められた。四肢の前肢の画像の後に後
肢の画像が、1時間、ついで、2時間と4時間後に撮影された。
これらの検討の結果は第1図に示した。第1図は下部大腿の血管中に血栓が分
布していることを示しており、第2図は、血栓がふくらはぎの血管に存在するこ
とを示している。分布している血栓は各図において矢印で示している。迅速にか
つ明瞭に深静脈に局在化するのに加えて、このシンチグラフィックイメージング
剤は血流から迅速に発見され、注射後1時間循環中に残存している注射投与量は
約10%以下である。動物実験と一致して、注射投与量の少なくとも60−70
%が腎臓において除去されるということが判明した。血栓の可視化は注射15−
30分後すぐに明瞭になり、注射後4−24時間は可視のままである。血栓の可
視化は前記の従来の臨床基準に基づいて作成された深静脈血栓の臨床的診断とよ
く相関しており、血栓は被験患者9人のうち、8人に見られた。血栓が見られな
かった1人の患者は臨床的に古い血栓(42日)が存在し、静止しているようで
あり、従って、表面に検出される血小板変換はなかった。最後に、これらの患者
のいずれにもTc99m標識P280投与について毒性または他の副作用は観察
されなかった。
これらの結果は、本発明のシンチオグラフィックイメージング剤がひとの深静
脈血栓の可視化のための臨床的インビボ使用に有利な臨床的有効なシンチグラフ
ィックイメージング剤の調製のための安全かつ効果的診断剤であることを示して
いる。
上記の開示は本発明のある種具体例を詳細に説明したものであり、これらに等
しい修正または変更は添付の請求の範囲の述べられた本発明の要旨および範囲に
含まれることが理解されるべきである。
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(72)発明者 シビテロ,エドガー・アール
アメリカ合衆国03221ニューハンプシャー
州 ブラッドフォード、アールアール01・
ボックス 379エイ番
(72)発明者 マックブライド,ウィリアム
アメリカ合衆国03102ニューハンプシャー
州 マンチェスター、ゴルフビュー・ドラ
イブ110番