【発明の詳細な説明】
義歯安定化組成物
背景
通常の取外しできる義歯、デンタルプレート等は、適切なプレート又はベース
に取り付けられた歯からなる。義歯は通常技巧的に作製されるが、それらは完全
には合わないことがある。更に、たとえいかに最初満足できたとしても、しばら
くすると義歯の適合性は自然収縮と歯肉、粘膜組織等における変化のせいでゆる
んで不完全になる。ゆるんで不完全に合わせた義歯は通常矯正されて、義歯安定
剤の使用で安定化される。義歯安定剤は義歯と歯肉又は組織との隙間を埋めるた
めに用いられる。口腔内に義歯をいれる前に義歯安定剤が義歯プレート表面に適
用されるが、これは完全な適合のために歯肉及び粘膜組織と均一に接触するべき
である。義歯安定剤はその接着性のためだけではなく、義歯と歯肉又は組織との
間でクッション又はガスケットを設けるためにも処方され、それにより口腔内で
義歯を確実に取り付けている。
義歯安定化又は接着組成物に通常存在するいくつかの欠点は、相分離、1日2
回以上の接着剤適用の必要性と、デンタルプレート下から接着剤の滲出である。
滲出は生じる不快な味、不快な口内感と、デンタルプレート下から接着剤の喪失
のせいで、特に望ましくない。
改良された義歯接着組成物を開発するため長年にわたり相当な努力が行われて
きた。合成及び天然双方のポリマー及びゴムが、上記欠点を少なくする試みから
、単独で、組合せで、及び様々な接着剤と組合せて用いられてきた。しかしなが
ら、確実な固着を行い、ユーザーにとり美観上快く、現在入手しうる製品よりも
滲出が少なく、口及び/又は義歯からクリーニングすることが容易である、改良
され
た義歯安定化組成物に関する必要性はなお存在している。
優れた接着性を有しながら、滲出が少なく、ユーザーに快い美観を与える義歯
安定剤が処方できることが、本発明により発見された。本発明の接着組成物は、
創傷用包帯、水中接着剤、バイオ接着剤及び/又は他の活性剤用のデリバリービ
ヒクルとしても有効に使える。
本発明の目的は、長期間にわたり有効に義歯を適所に固着できて、なおも要求
があれば義歯を容易に取り外せる、親水性義歯安定化組成物を提供することであ
る。もう1つの目的は、現在入手しうる安定剤よりも滲出が少なく、ユーザーに
とり美観上快い、改良された義歯安定化組成物を提供することである。もう1つ
の目的は、本発明組成物の親水性が現在入手しうる製品よりも口及び/又は義歯
からクリーニングすることが容易である接着組成物を提供することである。
本発明のこれら及び他の目的は、以下の詳細な記載から容易に明らかとなるで
あろう。
発明の要旨
本発明は、a)下記繰返構造単位から本質的になる低級アルキルビニルエーテ
ル‐マレイン酸コポリマーの混合部分塩:
(上記式中RはC1‐C4アルキル基を表す;nはコポリマーの分子中における構
造単位の繰返出現数を表す2以上の整数であって、nは1.2以上の比粘度を
有するとしてコポリマーを特徴付けうるほど十分に大きい;比粘度は25℃でメ
チルエチルケトン中で測定される;部分塩は反応しうる全初期カルボキシル基の
うち約0.1〜約65%で亜鉛もしくはストロンチウムカチオン又はそれらの混
合のカチオン塩官能基を含んでいる)約10〜約80%;及びb)約100以上
で約600以下の平均分子量を有するポリエチレングリコール約20〜約90%
を含んでなる接着組成物に関する。
発明の具体的な説明
本発明の接着組成物は、亜鉛及び/又はストロンチウム塩からなる低級アルキ
ルビニルエーテル‐マレイン酸コポリマーの混合部分塩と、約100以上で約6
00以下の平均分子量を有するポリエチレングリコールを含んでなる。約400
の平均分子量を有するポリエチレングリコールが、本発明組成物で使用上最も好
ましい。本発明組成物はクリーム、ペースト、粉末、液体、軟膏及びローション
として処方される。本発明の必須及び任意成分の詳細な記載は以下でなされてい
る。低級アルキルビニルエーテル‐マレイン酸コポリマー塩
本接着組成物は、下記繰返構造単位から本質的になる低級アルキルビニルエー
テル‐マレイン酸(“AVE/MA”)コポリマーの混合部分塩を含んでいる:
上記式中RはC1‐C4アルキル基を表す;nはコポリマーの分子中における構造
単位の繰返出現数を表す2以上の整数(1より大きい整数)であって、nは1.
2以上の比粘度を有するとしてコポリマーを特徴付けうるほど十分に大きい;比
粘度は25℃でメチルエチルケトン中で測定される;部分塩は反応しうる全初期
カルボキシル基のうち約0.1〜約65%、好ましくは約10〜約45%、最も
好ましくは約15〜約30%で亜鉛及び/又はストロンチウムカチオンのカチオ
ン塩官能基を含んでいる。本明細書で用いられる“混合部分塩”という用語は、
亜鉛及びストロンチウムが互いに、又は他のエステル官能基、又はカルシウム、
ナトリウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウム及びそれらの混合物からな
る群より選択される非同一カチオンと同コポリマー上で混合されている、低級ア
ルキルビニルエーテル‐マレイン酸コポリマーの亜鉛及び/又はストロンチウム
部分塩に関する。亜鉛及びカルシウムカチオンを含む混合部分コポリマー塩が好
ましい。
本発明組成物において、カチオン塩官能基は、好ましくはカルシウム、ナトリ
ウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウム及びそれらの混合物からなる群よ
り選択される金属塩約0.1〜約75%から更になる。カルシウムもしくはナト
リウム金属塩又はそれらの混合が追加金属塩の中で最も好ましい。カルシウムカ
チオンは、反応しうる全初期カルボキシル基のうち約10〜約75%、好ましく
は約25〜約60%、最も好ましくは約40〜約60%のレベルで存在する。ナ
トリウムカチオンは、反応しうる全初期カルボキシル基のうち約1〜約20%、
好ましくは約1〜約15%、最も好ましくは約1〜約10%のレベルで存在する
。
本ポリマー塩は、水性媒体中においてAVE/MAコポリマー(I)と、カチ
オン性亜鉛及び/又はストロンチウム化合物、好ましくは例えばヒドロキシド、
アセテート、ハライド、ラクテート等のような、カルボン酸の反応剤に典型的な
官能基を有する少くとも1種のカルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウ
ム又はアンモニウム化合物との相互作用により製造されることが有利である。好
ましい態様において、亜鉛の酸化物とカルシウムの水酸化物が利用される。水酸
化亜鉛は市販されていないため、反応剤としてその使用は、実際上水に不溶性だ
が粒子表面上で水酸化亜鉛に水和される粒状酸化亜鉛の水性スラリーを用いるこ
とにより、容易でより経済的に行われる。他方、水酸化ストロンチウムは結晶又
は粉末形のいずれかで入手でき、水約50部に可溶である。しかしながら、水で
処理された場合(注意:発熱)に水酸化物を形成する酸化ストロンチウムの水溶
液も用いてよい。
毒性、刺激性又は汚染副生成物を形成するアニオンは回避されるか、あるいは
特別な用心及び処置がポリマー塩最終生成物からのこのような副生成物の除去及
び不存を保証するために行われるべきである。用いられる具体的な化合物は、実
質上純粋な実質上灰白色(off-white)のポリマー塩最終生成物を確実に得られ
るよう、実質上純粋であるべきである。
低級アルキルビニルエーテルマレイン酸(AVE/MA)コポリマーは、酸コ
ポリマー(I)に容易に加水分解しうる対応低級アルキルビニルエーテル‐無水
マレイン酸コポリマーを作るために、メチルビニルエーテル、エチルビニルエー
テル、ジビニルエーテル、プロピルビニルエーテル及びイソブチルビニルエーテ
ルのような低級アルキルビニルエーテルモノマーを無水マレイン酸と共重合させ
ることにより容易に得られる。無水物及び酸形は双方とも市販供給業者から入手
できる。例えば、GAF Corporation,Wayne,N.J.は“ガントレズ”(GANTREZ)
商標名で各々“ガントレズSシリーズ”及び“ガントレズANシリーズ”として
ポリマー遊離酸形(I)及び対応無水物形の双方を供給する。前者の酸シリーズ
ではガントレズS‐97(M.W.TM50,000)が特に適切であり、後者
の無水物シリーズではガントレズAN‐149(M.W.=50,000)、ガ
ントレズAN‐169(M.W.=67,000)及びガントレズAN‐179
(M.W.=80,000)コポリマーが特に適切である。(2‐ブタノン1〜
10g/1000ml溶液中で膜浸透圧法により測定したところ)約50,00
0〜約80,000の平均分子量を有するAVE/MAコポリマーの酸及び無水
物形は、1.2以上の前記された比粘度パラメーターを有することでも特徴付け
られる。無水コポリマーが水に溶解すると無水結合鎖は開裂して、高極性ポリマ
ー遊離酸(I)が形成される。したがって、酸形よりも比較的安価である無水物
形は、酸の便利かつ安価な前駆体として用いてよい。高温は無水物‐酸加水分解
の速度を高める上で有利に用いられる。
一般的に、低級アルキルビニルエーテル‐マレイン酸コポリマー(I)又はそ
の対応無水物は、均一混合物を形成するために激しい攪拌下で約70〜80℃に
前加熱された水に加えられる。無水物前駆体が利用されるならば、水性混合物は
無水物から酸形への完全な加水分解を保証するために攪拌下で約90℃に更に加
熱されることが勧められる。その後加熱が中止されるが、ミキシングはバッチが
透明になって同時に粘度が減少するまで続けられる(約65〜75℃)。カチオ
ン性亜鉛及び/又はストロンチウム塩形成化合物の水溶液、又は例えば粒状酸化
亜鉛の水性分散物が、最終生成物で希望される望ましいカチオン含有率を示すた
めに十分な量でスラリーの形で水酸化カルシウムと混合され、環境温度で別に調
製されて、カチオン性ポリマー塩の局部沈澱を防ぐために連続的な激しいミキシ
ング下で熱ポリマー酸溶液にゆっくり加えられる。添加終了後、ミキシングはす
べての塩形成化合物がコポリマーと確かに反応するように続けられる。
一方、亜鉛及び/又はストロンチウムと好ましくは少くとも1種の他のカチオ
ン源を含有した水溶液が、均一なスラリーを形成するために激しい攪拌下で70
〜80℃に前加熱される。次いで低級アルキルビニルエーテル‐マレイン酸コポ
リマー(I)又はその対応無水物が、完全な加水分解を保証するため更に90℃
に加熱して攪拌しながらスラリーに加えられる。
次いで反応バッチは、水分を蒸発させて、乾燥形でポリマー塩生成物を回収す
るために、熱風循環で約70℃に維持された対流式オーブンで、例えば浅い乾燥
トレーにより乾燥される。一方、反応バッチは水分を蒸発させてフレーク形でポ
リマー塩を回収するために、熱スチームで80〜100PSIG(約5.6〜7kg/
cm2)に維持された5つのドラムドライヤーに移される。
得られたフレークは、望ましい物理的性質を示して、満足すべき義歯安定化性
質を与えるように、粉砕及び篩分けに付される。
上記塩はもろいために、適切な粒度及び嵩密度が得られる。最良結果のために
は、粒子は140〜200メッシュシーブ(U.S.B.S.シリーズ)を通ることがで
きて、好ましくはそれらの最大寸法が0.74mm以下である。
本亜鉛及び/又はストロンチウムAVE/MAコポリマー塩は水又は唾液と接
触したとき例外的な接着性を有しているため、それらは義歯安定化組成物におけ
る義歯接着物質として極度に有用である。このような使用の場合、粒子形の塩は
少くとも−140メッシュU.S.B.S.シーブの粒度;0.3g/cm3以上、好まし
くは0.6g/cm3以上の嵩密度;3〜7.0のpH(pHは水中1重量%分散
液で測定される)で特徴付けられることが好ましい。
本亜鉛及び/又はストロンチウムAVE/MAコポリマー塩の各々は、義歯安
定化組成物で唯一の接着成分として又は他の活性接着成分と併用される共接着剤
として、有効な接着量、好ましくは少くとも20重量%で利用される。加えて、
本亜鉛及び/又はストロンチウムAVE/MAコポリマー塩は、カルシウム、ナ
トリウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウム及びそれらの混合物のような
他のカチオンを含んでいることが好ましい。ポリエチレングリコール
本発明組成物はポリエチレングリコールも含む。一般的に、ポリエチレングリ
コールは一般式(OCH2CH2)nOH(nは4以上である)のポリマーであ
る。ポリエチレングリコールは平均分子量を表す数により表示される(Merck In
dex,Tenth Edition,No.7441,1983)。
本組成物は、約100以上で約600以下の平均分子量を有したポリエチレン
グリコールを含む。約300以上で約600以下の平均分子量を有するポリエチ
レングリコールが好ましい。約400の平均分子量を有するポリエチレングリコ
ールが最も好ましい。本発明で使用に適したポリエチレングリコールは周知であ
り、Union Carbide Corporation により商標名“カーボワックス”(Carbowax)
として販売されているように、市販されている。
本発明で有用なポリエチレングリコールのレベルは、少くとも−140メッシ
ュU.S.B.S.シーブの粒度により特徴付けられるAVE/MAコポリマー塩を含有
した組成物に基づいている。したがって、約100以上で約600以下の平均分
子量を有するポリエチレングリコールは、本発明組成物の約20〜約90重量%
、好ましくは約30〜約80%、最も好ましくは約35〜約75%のレベルで存
在する。任意成分
本発明組成物は、安全で接着上有効な量の共接着剤を含有してもよい。本明細
書で用いられる“安全で接着上有効な量”という用語は、口腔に義歯又は歯補綴
具を接着させるために十分な量を意味する。
好ましい共接着剤には、水への暴露で膨潤して粘滑物を形成する性質を有した
、水溶性親水コロイド又はポリマーがある。このような接着物質には天然ゴム、
合成ポリマーゴム、義歯安定化組成物で常用されて本AVE/MAコポリマー塩
と適合する接着物質、合成ポリマー、糖誘導体、セルロース誘導体とそれらの混
合物がある。このような物質の例には、カラヤゴム、グアーゴム、ゼラチン、ア
ルギン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、メチルセルロース、アクリルア
ミドポリマー、エチレンオキシドポリマー、ポリビニルピロリドン、カチオン系
ポ
リアクリルアミドポリマー、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキ
シメチルセルロース及びポリ(ビニルメチル‐エーテルマレエート)の混合部分
塩がある。ナトリウムカルボキシメチルセルロースが本発明で使用上最も好まし
い。一般的に、共接着剤は組成物の約5〜約70重量%のレベルで存在する。
他の適切な任意成分には、着色剤;メチル及びプロピルパラベンのような保存
剤;二酸化ケイ素及び8000の平均分子量を有するポリエチレングリコールの
ような増粘剤;流動パラフィン、ワセリン、鉱油及びグリセリンのようなビヒク
ルがある。8000の平均分子量を有するポリエチレングリコール、二酸化ケイ
素及びワセリンが好ましい。着色剤、保存剤、増粘剤及びビヒクルは、組成物の
約0〜約20重量%のレベルで存在する。
本発明の組成物は、フレーバーを含めた官能効果をユーザーに与える1種以上
の成分約0.01〜約5%も含有してよい。適切な成分には天然又は人工甘味剤
、メントール、乳酸メチル、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、リーフ
アルコールと、冷却剤3‐1‐メントキシプロパン‐1,2‐ジオール及びパラ
メンタンカルボキシアミド剤、例えば参考のためその全体で本明細書に組み込ま
れるWatsonらの米国特許第4,136,163号明細書で記載されたN‐エチル
‐p‐メンタン‐3‐カルボキサミドがある。
本発明の組成物は粉末、クリーム、軟膏、液体又はペースト処方のような当業
者に知られる業界認識方法で製造される。このような処方の適切な例は、双方と
も参考のためそれら全体で本明細書に組み込まれる、双方ともDhabarらの198
5年5月21日付で発行された米国特許第4,518,721号及び1985年
4月30日付で発行された米国特許第4,514,528号明細書で開示されて
いる。
下記非制限例は、必須及び任意双方の成分が組み合わされた本発明の態様につ
いて説明している。これらの例は説明の目的だけで示され、本発明の範囲を制限
すると解釈されるべきでない。
例I‐IV
例I‐IVは次のように製造する。ポリエチレングリコール400、ペトロラタ
ム(及び存在すれば鉱油)を混合し、液体になるまで約55〜65℃に加熱する
。ナトリウムカルボキシメチルセルロース、AVE/MAコポリマー塩(及び存
在すればポリエチレングリコール8000と二酸化ケイ素)を加える。十分にミ
ックスされるまで撹拌する。室温まで冷却する。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C
Z,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KG,KP
,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG,
MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,S
I,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 ギルデイ−ウィバー,キンバリー アン
アメリカ合衆国オハイオ州、シンシナチ、
リバー、ロード、3682