【発明の詳細な説明】
α−ラクトアルブミン遺伝子構造物
本発明は、タンパク質α−ラクトアルブミン、またはその機能同等物もしくは
一部を発現するための組み換え遺伝子構造物に関する。
人乳は、他の種類の乳汁、特にウシ、ヒツジ、ラクダおよびヤギの乳汁よりも
、ヒトの乳児用栄養物として優れていることが示されている。しかし、多くの母
親にとって、乳を与えることは困難であるかまたは面倒である。さらに、乳児用
食物補給が大量に要求される国々においては、乳製品が人乳の栄養上の利点を備
えていることが高く望まれている。
人乳が、他の哺乳動物(例えばウシまたはヒツジ)からの乳汁と異なる主要な
点の一つは、主要なホエータンパク質としてα−ラクトアルブミンが存在するこ
とである。α−ラクトアルブミンは他の種類の乳汁に存在するが、その濃度は比
較的低く、主要なホエータンパク質はβ−ラクトグロブリンである。α−ラクト
アルブミンの量は、種の間で異なっていて、人乳は約2.5mg/ml、牛乳は
0.5〜1.0mg/ml、またマウスの乳汁は0.1〜0.8mg/ml含ん
でいる。
ウシα−ラクトアルブミンおよびヒトα−ラクトアルブミンタンパク質をコー
ド化している遺伝子配列は明らかにされていて、配列情報は、vilotteらによっ
てBiochemie 69: 609-620(1987)、また、HallらによってBiochem J 242 : 735-7
42(1987)にそれぞれ公表されている。
本発明は、遺伝子工学技術を利用して、哺乳類の細胞中で発現させた時に乳汁
中に1.0mg/mlより高い濃度、例えば1.2mg/mlまたはそれ以上の
濃度のα−ラクトアルブミンを生産することができる組み換え遺伝子構造物を提
供することを目的とする。一般に上記構造物は、ヒト以外の動物、特にウシの細
胞中で発現させるのに適応させる。
一面において、本発明は、α−ラクトアルブミン、またはその機能同等物もし
くは一部を、ヒト以外の動物、好ましくはウシの細胞中で発現させるのに適応さ
せた組み換え発現系を提供する。好ましくは、本発明の組み換え発現系は、ヒト
のα−ラクトアルブミンタンパク質、または機能同等物もしくは一部を発現させ
るのに適応させる。
「発現系」という述語は、本明細書中では、タンパク質コード化領域を含みタ
ンパク質コード化領域の発現を果たすのに必要な遺伝子シグナルの全てに作動可
能に連結されている遺伝子配列を指すために使用される。場合により、当該発現
系は、調節要素、例えばプロモーターまたはエンハンサーを含み、タンパク質コ
ード化領域の転写および/または翻訳を上昇させ、あるいは、発現の間の制御を
提供することもできる。調節要素は、タンパク質コード化領域の上流または下流
に位置することができ、あるいは、タンパク質コード化領域を分断するイントロ
ン(非コード化部分)に位置することもできる。あるいは、タンパク質コード化
領域の配列自体が調節能力を有することもできる。
「機能同等物」という述語は、上記配列またはタンパク質に機能上実質的に類
似している誘導体を指している。特に「機能同等物」という述語は、生物学的機
能、特に乳汁生産における生物学的機能に著しく悪い影響を及ぼすことなくヌク
レオチド塩基および/またはアミノ酸が付加、除去または置換されている誘導体
を含む。
遺伝子工学は、研究においてのみならず商業上の目的のためにも、有効な技術
として認識されている。従って、遺伝子工学技術(ManiatisらMolecular Clonin
g,a Laboratory Manual Cold Spring,Harbor Laboratory,Cold Spring Harbo
r,New York 1982および"Principle of Genetic Engineering(遺伝子工学の原理
)",Old and Primrose,第5版,1994を参照のこと,両者とも引用(reference)
によって本明細書中に組み入れられる)を用いることによって、外来遺伝子材料
を宿主細胞に移すことができ、外来遺伝子材料によってコード化されているタン
パク質またはポリペプチドが、宿主によって複製されおよび/または宿主中で発
現され得る。簡易のために、遺伝子工学は、通常、原核生物、例えば大腸菌(E . coli
)のような細菌を宿主として用いて行われる。しかし、真核生物、特に、酵
母菌または藻類も使用されており、ある応用法においては、真核細胞培養が使用
されることもあり得る。
遺伝子を単細胞胚の前核に顕微注入することによって、哺乳類種の遺伝子を変
化させることは、Brinsterらによって、Cell 27: 223-231,1981に記載されてい
る。ここでは外来遺伝子材料を、動物の受精卵に導入し、この受精卵は続いて胚
になり、通常の方法で仮母に移植する。真のトランスジェニック動物は、各細胞
に外来DNAのコピーを含んでいる。
注入された遺伝子材料が、首尾よく宿主染色体に組み込まれると、その動物は
「トランスジェニック」動物と言われ、導入遺伝子は、通常のメンデルの法則で
、受け継がれる。しかし、特に大型家畜、例えばブタ、ヒツジおよびウシについ
ては、遺伝子移入操作のうち低率でしか成功しない。現在まで、導入遺伝子がこ
のような動物について宿主染色体に組み込まれる位置を制御することは不可能で
あった。
本発明のために、単に「モザイク」ドナー動物を作出するだけであれば、ある
状況においては、十分であるかもしれない。この場合、導入遺伝子は、ある体器
官だけの染色体コピーに組み込まれる。モザイク動物は、一般に、外来DNAを
もっと後の発達段階で胚に導入することによって作出される。
家畜類におけるトランスジェネシス(transgenesis)の最も見込みのある応用法
の一つは、乳腺を「バイオリアクター」として利用して、乳汁中に薬学上または
栄養上重要な組み換えタンパク質を生産させることを目的としている。乳腺は、
外分泌により大量のタンパク質を生産するその能力のために、異種構造のタンパ
ク質を発現させるための魅力的な器官である。組み換えDNA技術を使用して、
ヒトまたは動物の消費に使用される牛乳のタンパク質組成を変えることができる
。例えば、牛乳における人乳タンパク質の発現は、乳児用調合乳(フォーミュラ
)に応用すると、その栄養価を改善することができる(Strijkerら,Harnessing
Biotechnology for the 21st Century,Ladisch & Boser編,American Chemical
Society,pp.38-21(1992))。上記応用法は共に、慣用のおよび高度の繁殖技術
で生産者動物を繁殖させることによって、安価に生産能力を高めることができる
という利点がある。
乳腺中で発現させようとする導入遺伝子を開発する第一段階は、関心のあるタ
ンパク質のための遺伝子をクローニングすることである。乳汁中へ発現させるた
めに、乳汁中に発現させる主要な乳タンパク質のプロモーター遺伝子が使用され
る。乳タンパク質遺伝子は、しっかりと調節されていて、乳腺以外の組織中で発
現せず、他の組織中での不適当な発現からの動物への負の影響の可能性を最小限
にする特徴を有している。乳腺中で異種構造のタンパク質を発現させるために使
用される調節遺伝子の中には、α−S1−カゼイン(Strijkerら,1992,前出)
、β−ラクトグロブリン(Wrightら,Bio/Technology 9 :831-834(1991))、ホエ
ー酸性タンパク質(Ebert & Schindler,Transgenic Farm animals: Progress R
eport(1993))およびβ−カゼイン(Ebert & Schindler,1993,前出)がある。
新たに作られた遺伝子構造物は、通常、ウシでの使用にそれを採用する前に、
トランスジェニックマウス中で試験される。トランスジェニックマウスから得ら
れた乳汁は、組み換えタンパク質の量について分析される。十分な乳汁が得られ
たら、そのタンパク質を単離して、その構造上の特徴と生物学的活性を試験する
ことができる。ウシでの使用のための特定の遺伝子構造物の選択は、主として、
結果として得られる組み換えタンパク質の発現レベルと信頼性の両方を考慮して
行われる。
ウシでのトランスジェネシスは、通常、遺伝子構造物の数百のコピーを、接合
体中の2つの前核のうちの一方に顕微注入することによって開始される。接合体
は、生体内で(in vivo)卵管から得ることができ(Roschlauら,Arch Tierz.Berl
in 31:3-8(1988); Roschlauら,J.Reprod.Fertil.(suppl 38)中,Cell Biol
ogy of Hammalian Egg Manipulation,Greveら編(1989); Hillら,Theriogenolo
gy 37:222(1992); BowenらBiol Reprod.50:664-448(1994))、あるいは、試験
管内で(in vitro)成熟させた卵母細胞の試験管内受精によって得ることができる
(Krimpenforthら,Biotechnology 9 :844-847(1991); Hillら,1992,前出; Bow
enら,1993 前出)。位相差、NomarskiまたはHoffmann干渉コントラスト光学で
、前核を目に見えるようにするために、ウシ接合体を、15,000×gで数分
間遠心分離して不透明な液体を除去しなければならない。DNA構造物の数百の
コピーを含む2〜4plの緩衝液を、前核に注入する。導入遺伝子は、顕微注入
プロセスにおいて機械的破砕から生じる染色体DNA中の任意の切断物(random
breaks)に組み込まれると考えられる。導入遺伝子が接合体段階
でDNA複製の前に組み込まれて、成長した動物中の全ての細胞が導入遺伝子を
含むことを確実にするのが理想的である。一般に、導入遺伝子のいくつかの「コ
ピー」は、互いに線状に連結して、単一染色体上の単一部位に組み込まれる。組
み込み部位はランダムである。組み込みはおそらく、一回目のDNA複製の後に
、およびおそらく2または4細胞段階でも起こり(Wall & Seidel,1992)、その
結果、導入遺伝子の点でモザイクの動物となる。確かに、導入遺伝子が体細胞組
織中で検出される動物の30%までが、導入遺伝子をそれらの子孫に伝播しない
(または予期される50%より少ない子孫に伝播する)。
顕微注入後、胚を、直接宿主の卵管に移すか、数日間培養してから宿主ウシの
子宮に移す。導入遺伝子の組み込みの確認は、出生後の子ウシから取った組織の
サザンブロット分析によって行う。導入遺伝子の発現は、適当な組織、またはこ
の場合乳汁中の遺伝子生産物を分析することによってわかる。顕微注入後の胚の
生存、導入遺伝子の組み込み頻度、発現の頻度および発現レベル、ならびに生殖
系列伝播の頻度は、注入したDNA構造物の量と品質、使用したマウスの系統(B
rinsterら,Proc.Natl.Acad Sci.USA 82:4438-4442(1985))および顕微注入を
行うオペレーターの腕前と技術によって変わる。この基本的なアプローチは、ト
ランスジェニックヒツジ(Wrightら,1991,前出)、ヤギ(Ebert & Schindler,
1993,前出)、ブタ(Rexroad & Purcel,Proc 11th Intl.Congr.Anim.Reprod
.A.I.Dublin 5 :29-35(1988))およびウシ(Krimpenfortら,1991,前出; Hill
ら,1992,前出; Bowenら,1994,前出)を作出するために日常的に使用されてい
る。
引用は、国際公開第88/01648号(出願人はImmunex Corporation)、国
際公開第88/00239号および国際公開第90/05188号(両者とも出
願人はPharmaceutical Proteins Limited)についても、組み換え遺伝子構造物の
生産についての適当な技術および手順、このような構造物を組み込むトランスジ
ェニック動物の生産および泌乳する成熟した雌の哺乳動物の乳腺中でのコード化
されたタンパク質の発現を開示するためになされる。これらの参考文献および上
記参考文献の記載は引用によって本明細書中に組み入れられる。
引用はさらに、マウスα−ラクトアルブミン遺伝子をヒトα−ラクトアルブミ
ン遺伝子と置換するノックアウト実験を開示するStaceyらによるMolecular and
Cellular Biology 14(2) :1009-1016(1994年2月)についてもなされる。しか
し、この論文(引用によって本明細書中に組み入れられる)はα−ラクトアルブ
ミンタンパク質の発現を報告していない。
一実施態様において、本発明は、自然に存在する遺伝子のノックアウトによる
以外の技術によって作りだされる発現系を提供する。
さらに別の面で、本発明は、トランスジェニック哺乳類の動物であって、α−
ラクトアルブミン(好ましくはヒトα−ラクトアルブミン)またはその機能同等
物もしくは一部を発現するように適応させた組み換え発現系を組み込んでいる細
胞を有する動物を提供する。一般に、組み換え発現系は、トランスジェニック動
物のゲノムに組み込まれ、従って遺伝性であって、その結果このようなトランス
ジェニック動物の子孫がそれ自身、導入遺伝子を持ち得、従って本発明はこれに
も及ぶ。適当なトランスジェニック動物は、ヒツジ、ブタ、ウシおよびヤギを含
む(がこれらには限定されない)。
さらに、本発明は、このような発現系を含むベクターおよびこのような組み換
え発現系(場合によりベクターの形の)で形質転換した宿主細胞を包含する。
さらに別の面で、本発明は、本発明の組み換え発現系の発現によって生産され
るα−ラクトアルブミン、好ましくはトランスジェニック哺乳動物中で生産され
るこのようなα−ラクトアルブミンを提供する。α−ラクトアルブミン遺伝子は
、泌乳する雌の哺乳動物の乳腺中で自然に活性化される。従って、本発明の組み
換え発現系によって発現されるタンパク質はそのような時に生産され、乳汁成分
として排出されるであろう。関心のあるタンパク質を、ホルモンまたは他の処理
を通じて乳汁分泌を引き起こすことによって生産することも可能であり得る。こ
のようなα−ラクトアルブミンを含む加工した乳製品にも本発明は及ぶ。
一つの好ましい実施態様において、本組み換え発現系は、pHA1、pHA2
、pBBHA、pOBHA、pBAHA、pBova−AまたはpBova−B
と呼ばれる構造物を含む。構造物pHA1、pHA2、pBBHA、pOBHA
およびpBAHAはヒトα−ラクトアルブミンを発現し、従って好ましく、特に
pHA2が好ましい。構造物pHA2は、1995年2月15日にNCIMBに
受
託番号NCIMB 40709で寄託された。
同様に上に挙げた特定の構造物を含むトランスジェニック哺乳動物が好ましい
。
さらに、ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子が存在する本発明により活性化され
た乳汁の単位容積あたりのα−ラクトアルブミンの濃度の増大に加えて、生産さ
れる乳汁の容積も増大することが見いだされた。この発見は、まったく予期され
ておらず、このためにヒトα−ラクトアルブミン遺伝子(またはその機能同等物
もしくは一部)を含む構造物およびトランスジェニック動物(特にウシ)は本発
明の好ましい実施態様である。
我々は、理論的な考察に拘束されることを望んでいないが、ヒトα−ラクトア
ルブミン遺伝子のプロモーター領域は、ヒトによるα−ラクトアルブミンの増強
された自然の発現について部分的にしか原因にならないとさらに思っている。増
強された発現は、本発明の組み換え発現系中に、タンパク質コード化領域の隣の
3′配列および/またはタンパク質コード化領域それ自体の隣の5′配列を入れ
ることによって得ることができると思われる。
ヒトα−lac遺伝子のタンパク質コード化領域の3′および5′末端側のフ
ランキング配列は、初めて配列決定された。3′フランキング領域の配列の一部
(ヌクレオチド1〜264、1331〜2131、2259〜2496、251
9〜2680および3481〜3952)が、SEQ ID Nos.16〜2
0中に存在し、他方、5′フランキング領域の完全な配列が、SEQ ID N
o.21中に存在している。実験において、これらの配列の一方または両方は、
α−ラクトアルブミンタンパク質の発現レベルの驚くほど著しい上昇を与えるこ
とが観察された。発現のこの上昇は、タンパク質コード化領域が、ヒトα−ラク
トアルブミンのみならず、非ヒトα−ラクトアルブミンである時にも観察され得
る。
SEQ ID Nos.16〜20および21の配列は共に、人乳中のα−ラ
クトアルブミンの発現のより高いレベルの一因となると思われ、それ故それらは
本発明のさらに別の面を構成する。
さらに別の面で、本発明は、SEQ ID Nos.16〜20のいずれか1
つまたはSEQ ID No.21、あるいはその部分または機能同等物の中に
実質的に並んでいる配列を有するポリヌクレオチドを提供する。
ポリヌクレオチドは、どんな形(例えばDNAまたはRNA、二本鎖または一
本鎖)でもよいが、一般に二本鎖DNAが最も便利である。同様に、本発明によ
るポリヌクレオチドは、組み換え遺伝子構造物の一部として存在することもでき
、その構造物はそれ自体ベクター(例えば発現ベクター)中に含まれていてもよ
く、またはトランスジェニック動物の染色体に組み込まれていてもよい。上記ポ
リヌクレオチドを含むベクターまたはトランスジェニック動物は本発明のさらに
別の面を形成する。
さらに別の面から見ると、本発明は、組み換え発現系(好ましくは、α−ラク
トアルブミン(好ましくはヒトα−ラクトアルブミン)またはその一部または機
能同等物を発現するように適応させた)であって、野性型α−ラクトアルブミン
遺伝子のEcoRIおよびXhoI制限部位の間に位置しているポリヌクレオチ
ドおよび野性型ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子のBamHIおよびEcoRI
制限部位の間に位置しているポリヌクレオチドから選択されるポリヌクレオチド
、またはその一部もしくは機能同等物を含む組み換え発現系を提供する。
一つの好適な実施態様において、本発明の組み換え発現配列は、上記両方のポ
リヌクレオチド、それらの一部および機能同等物を含む。
本発明は、上記組み換え発現系を含むベクターおよびこのようなベクターで形
質転換された細胞も包含する。さらに、本発明は、導入遺伝子が上記組み換え発
現系を含む、トランスジェニック動物を構成する。
図1は、例1で検討され、ウシα−ラクトアルブミンPCRプライマーの配列
を示す。
図2は、例1および4で検討され、ウシα−ラクトアルブミンPCRプライマ
ーおよび生産物の位置を示す。
図3は、例2で検討され、ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子に関する2つの重
複するゲノムλクローン(pHA−2およびpHA−1)の制限地図を示す。
図4は、例3で検討され、ウシβ−ラクトグロブリン遺伝子に関する3つの重
複するゲノムλクローンの制限地図を示す。
図5は、例4で検討され、非トランスジェニックマウス乳汁に対するウシα−
ラクトアルブミントランスジェニックマウス群(run)からのスキムミルクのSD
S−PAGE分析を示す。
図6は、例5で検討され、ヒトα−ラクトアルブミン導入遺伝子構造物を示す
。
図7は、例5で検討され、非トランスジェニックマウス乳汁に対するヒトα−
ラクトアルブミントランスジェニックマウス群(run)からのスキムミルクのSD
S−PAGE分析を示す。
図8は、例5で検討され、ヒトα−ラクトアルブミン標準に対するヒトα−ラ
クトアルブミントランスジェニックマウス群(run)からの乳汁のウェスタン分析
を示す。
図9は、例6で検討される導入遺伝子構造物PKU1〜PKU4に関するPC
Rクローニング計画を示す。
図10は、例6で検討されるPKUプライマー1〜10の配列を示す。
図11は、ヌル(null)および人体で作られるものと同じ性質にしたα−ラクト
アルブミン対立遺伝子の構造を示す。
図12は、α−ラクトアルブミンを欠乏する泌乳乳腺からの全RNAのノーザ
ン分析である。
図13は、標的のマウス系統からのα−ラクトアルブミンのウェスタン分析を
示す。
図14は、野性型およびα−lac-の泌乳乳腺の組織構造分析である。
図15Aは、ヒト置換およびマウスα−ラクトアルブミンmRNAを識別する
ために使用したRNase保護アッセイ法を示し、図15Bは、マウスおよびヒ
ト置換α−ラクトアルブミンmRNAのRNase保護アッセイ結果を示す。
図16は、疎水性相互作用クロマトグラフィーによるα−ラクトアルブミンの
定量を示す。
SEQ ID Nos.16〜20は、以下に示す、内在性ヒトα−ラクトア
ルブミン遺伝子のタンパク質コード化領域の3′末端側にあるBamHI部位か
らベクター制限部位(EcoRI部位を含む)までの配列の一部を示す:
SEQ ID No.16:ヌクレオチド1〜264(すべてを含んだ)
SEQ ID No.17:ヌクレオチド1331〜2131(すべてを含ん
だ)
SEQ ID No.18:ヌクレオチド2259〜2496(すべてを含ん
だ)
SEQ ID No.19:ヌクレオチド2519〜2680(すべてを含ん
だ)
SEQ ID No.20:ヌクレオチド3481〜3952(すべてを含ん
だ)
SEQ ID No.21は、内在性ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子のタン
パク質コード化領域の5′末端側にあるEcoRI制限部位からXhoI制限部
位までの配列を示す。
より詳細には、図11の上の部分に、野性型マウスの遺伝子座が示されている
。転写された領域の位置および方向は、矢印で示されている。翻訳終止部位およ
びRNAポリアデニル化(polyadenylation)部位も示されている。中央の部分は
、ヌル対立遺伝子の構造を示している。しま模様の帯は、HPRT選択可能カセ
ットを示している。下の部分には、ヒト置換対立遺伝子の構造が示されている。
格子じまの帯は、ヒトα−ラクトアルブミンフラグメントを示している。転写開
始、翻訳終止およびポリアデニル化部位が示されている。示されている制限酵素
部位は次のものである:HindIII(H);BamHI(B);XbaI(
X)。
図12に示される2つのオートラジオグラフは、ヒトα−ラクトアルブミンプ
ローブを用い、続いてラットβ−カゼインプローブを用いる、同一のメンブラン
フィルターの反復ハイブリット形成を示す。使用したプローブは、各オートラジ
オグラフの下に示されている。各レーンのRNA源は、レーンマーカーの上に示
されている。
図13のレーンAは精製されたヒトα−ラクトアルブミンを含む。レーンB〜
Fは、標的のマウスからの乳汁試料を示し、遺伝子型は、レーンマーカの上に示
されている。レーンGおよびHは、曝した時間がレーンCおよびDより短かいも
のである。
図14に示す光学顕微鏡写真は、乳房組織のヘマトキシリン/エオシン染色切
片である。各乳腺の遺伝子型が示されている。
図15A中、α−lach対立遺伝子中のマウスとヒトDNAの間の3′結合
は、翻訳終止部位とポリアデニル化シグナルの間にある。ヒトα−ラクトアルブ
ミンmRNAは、3′の翻訳されない末端に120bpのマウス配列を含む。ヒ
ト置換およびマウスα−ラクトアルブミンmRNAは、マウスRNAプローブと
のハイブリッド形成によって検出され、リボヌクレアーゼ消化から保護されたR
NAフラグメントの大きさによって識別された。ヒト配列は、格子じまの帯によ
って示され、マウス配列は、影付きの帯によって示されている。示されている制
限酵素部位は、次のものである:HindIII(H);BaI(B);Xba
I(X)。
図15B中に示されているオートラジオグラフは、5%ポリアクリルアミド尿
素薄層ゲルに関するものである。RNA源は、レーンマーカーの上に示されてい
る。レーンAは、リボヌクレアーゼで消化されていないマウスRNAプローブと
ハイブリッドを形成した野性型RNAを示す。レーンD〜Jは、α−lacm/
α−lachヘテロ接合体からのRNA試料を示し、数字はそれぞれのマウスを
示し、量に関する推定の拠り所が図15に示されている。保護されたフラグメン
トの予想される大きさが示されている。
図16の上の部分には、3つの乳汁試料のフェニル−セファロース溶出グラフ
が示されている。1はα−lach/α−lachホモ接合体(マウス#22);
2はα−lacm/α−lachヘテロ接合体(マウス#76);3は、α−la
cm/α−lacm野性型である。下の部分には、積分したピーク面積に対してプ
ロットした既知量のヒトα−ラクトアルブミンの標準曲線が示されている。
以下、本発明を例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限
定されるものではない。
例1−ウシα−ラクトアルブミン遺伝子のクローニング
ウシα−ラクトアルブミンの3つの既知の変種があり、そのうちB型が最もあ
りふれたものである。Bos(Bos)nomadicus f.d.indicusからのA変種は、B変
種と、残基10で異なっている:A中のGluは、B中ではArgに置換されて
いる。Bos(Bibos)javanicusからのC変種に関する配列の相違点は立証されて
いない(McKenzie & White,Advances in Protein Chemistry 41,173-315(199
1))。ウシα−ラクトアルブミン遺伝子(B型をコード化している)を、ゲノム
DNAから図1に示したPCRプライマーを用いてクローニングした。プライマ
ーに次の配列番号を付した:
Ba−2 SEQ ID No 1
Ba−7 SEQ ID No 2
Ba−8 SEQ ID No 3
Ba−9 SEQ ID No 4
全PCR反応中のDNA源は、ホルスタイン(Holstein-Friesian)ウシからの
血液である。
プライマーBa−9をプライマーBa−8と組み合わせて用いて増幅されたプ
ロモーター領域の長さは0.72kbである。このBamHI/EcoRIフラ
グメントを、Bluescript中でクローニングした(pBA−P0.7)。
プライマーBa−7をプライマーBa8と組み合わせて用いて増幅されたプロ
モーター領域の長さは2.05kbである。このBamHI/EcoRIフラグ
メントを、Bluescript中でクローニングした(pBA−P2)。
0.72kbの5′フランキング領域と0.3kbの3′フランキング領域を
含むウシα−ラクトアルブミン遺伝子全体を、プライマーBa−9をプライマー
Ba−2と組み合わせて用いて増幅した。これらのプライマーは、BamHI制
限酵素認識部位を含み、これは、増幅した3kbフラグメントをpUC18のB
amHI部位に直接サブクローニングすることを可能にして、構造物pBova
−Aを生じさせた(図2を参照のこと)。
クローンpBA−P2からのBamHI/EcoRVフラグメントの、pBO
VA−aのEcoRV/BamHIフラグメントとの結合により、構造物pBO
VA−Bを生じさせた(図2を参照のこと)。
TAQポリメラーゼはプルーフリーディング活性を欠いているので、増幅した
ウシα−ラクトアルブミンDANが、公表されているウシα−ラクトアルブミン
と同一であることを確実にすることが極めて重要であった。配列分析は、全ての
エクソンと2つのプロモーターフラグメントを交差して行った。ウシα−ラクト
アルブミンエクソンとvilotteによって公表されているものとの比較は3つの変
化を示した:
(i) エクソンI +759でCからA。 5′非コード化領域;
(ii) エクソンI +792でCTAからCTGへ。共にロイシンをコード化する
(iii)エクソンII +1231でGCGからACGへ。アラニンからスレオニンへ
これはタンパク質のよりありふれた「B」型を示している。
PCR増幅中の配列の読み違えをありえないとすることはできないが、上記食
い違いはおそらくウシDNA源における違いのためと思われた。
例2−ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子のクローニング
ヒトα−ラクトアルブミンのDNA配列は公表されている(Hallら,Biochem.
J.,242 : 735-742(1987)。ヒト配列を用いて、PCRプライマーを作って、ヒ
トのゲノムDNAからの2つの小さいフラグメント、一方は遺伝子の5′末端に
あり、他方は3′末端にある、をクローン化した。これらをpUC18ベクター
にサブクローニングし、そしてプローブとして用いて市販の(Stratagene)λゲノ
ムライブラリーをスクリーニングした。α−ラクトアルブミン遺伝子を含む2つ
の組み換えバクテリオファージ、4aおよび5b.1を確立された方法(Sambro
okら,Molecular Cloning第2版,Cold Spring Harbor Laboratory(1989))によ
って単離した。制限地図は、これらのクローンは共にヒトα−lac遺伝子に関
する完全なコード化配列を含むが、存在する5′および3′配列の量が異なるこ
とを証明した(図3)。クローン5b.1からのエクソンならびにクローン4a
のエクソンおよび5′フランキング領域の配列分析は、これらが公表されている
配列と同一であることを示した。
3′配列の一部は、SEQ ID Nos.16〜20中に示され、5′配列
は、SEQ ID No.21として示されている。
例3−ウシβ−ラクトグロブリン遺伝子(bBLG)のクローニング
ウシBLG(pBLG)のDNA配列は、公表されている(Jamiesonら; Gene
,61; 85-90,(1987); Wagner,未公表,EMBL Data Library: BTBLACEX(1991))。
ウシ配列を用いて、PCRプライマーを作って、ウシBLG遺伝子の5′部分か
らのフラグメントをクローニングした。これをpUC18ベクターにサブクロー
ニングし、そしてプローブとして用いて市販のウシ(Stratagene)λゲノムライブ
ラリーをスクリーニングした。3つのゲノムλクローンを単離し、制限酵素分析
によって特徴づけた(図4を参照のこと)。これらのクローンの中の2つ(BB
13、BB17)は完全なpBLGコーディング領域と種々の量のフランキング
領域を含んでいるが、クローンBB25はコーィング領域を欠き、もっぱら5′
フランキング領域からなっている。配列分析は、このクローンの末端はATG翻
訳開始部位の12bp上流にあることを示した。クローンBB13およびBB1
7の完全な挿入断片を含むSal I フラグメントを、クローンBB25から
のEcoR I フラグメントと同様に、pUC18にサブクローニングした(
後者はpBluescriptにクローニングした)(図4)。
例4−ウシα−ラクトアルブミン構造物の構築および発現
導入遺伝子構造物(図2)
kbの5′フランクおよび0.3kbの3′フランクからなり、3kb Bam
HI フラグメントとしてBluescriptベクターにクローニングした。
pBova−Bは3つのフラグメントからなる:
1.クローンpBA−P2からの1.47kb BamHI〜EcoRVフラ
グメント。
2.クローンpBova−Aからの2.78kb EcoRV〜BamHIフ
ラグメント。
3.クローニングベクターBluescriptの消化されたBamHI。
トランスジェニックマウスにおけるウシα−ラクトアルブミンの発現
2つの構造物pBova−AおよびpBova−B(図2)を、マウス胚に注
入し、トランスジェニック動物を作出した。クーマシーブルーで染色したSDS
−PAGEゲル(クーマシーゲルと呼ぶ)による乳汁分析およびα−ラクトアル
ブミンの標準量との比較は、ウシα−ラクトアルブミンの発現レベルは、pBo
まで変動することを示した(図5および表1を参照のこと)。
表1は、クーマシーゲル上のタンパク質標準との比較によって推定したトラン
スジェニックマウス乳汁中のウシα−ラクトアルブミンの相対レベルを示してい
る。
例5−ヒトα−ラクトアルブミン構造物の構築と発現
α−ラクトアルブミンは、ヒトの主要なホエータンパク質であり、β−ラクト
グロブリンは、ヒツジおよびウシの主要なホエータンパク質である。α−ラクト
アルブミンの発現レベルは、種の間で異なっており、人乳は約2.5mg/ml
、牛乳は0.5〜1.0mg/ml、また、マウスの乳汁は0.1〜0.8mg
/ml含んでいる。ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子の最大の発現を可能にする
配列を明らかにするために、いくつかの異なる構造物を作った。これらは、a)
ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子座に由来する、異なる量の5′および3′フラ
ンキンング領域、b)ウシα−ラクトアルブミン遺伝子座に由来する5′フラン
キング領域、またはc)ウシまたはヒツジβ−ラクトグロブリン遺伝子に由来す
る5′フランキング領域を含む。ヒツジβ−ラクトグロブリン遺伝子プロモータ
ーを使用して、マウスの乳汁中で異種構造の遺伝子を高く発現させる(>10m
g/ml)ことに成功した。
導入遺伝子構造物(図6)
pHA−1は、7kb EcoRI/SalIフラグメントとしてpuc18
にクローニングされたλクローン5b.1に由来するヒトα−ラクトアルブミン
pHA−2は、19kbのSalIフラグメントとしてpuc18にクローニ
ングされたλクローン4aに由来するヒトα−ラクトアルブミンコード化領域、
pOBHA(ヒツジβ−ラクトグロブリン、ヒトα−ラクトアルブミン)は4
つのDNAフラグメントから構成されていた:
1.ヒツジβ−ラクトグロブリンプロモーター(prom.)を含む4.2kb S
alI/EcoRVフラグメント(国際公開第90/05188号パンフレット
を参照のこと);
2.8bpのBclIリンカーおよび、blunt/BglIフラグメントと
して使用されたヒトα−ラクトアルブミン配列の塩基15〜77に対応する74
bpの合成オリゴヌクレオチド;
3.塩基77のBglI部位および3′フランク中のXhoI部位の間の領域
を含むλクローン4aに由来する6.2kbのBglI/PstI ヒトα−ラ
クトアルブミンフラグメント;
4.PstIおよびSalIで切断されたpSL1180(Pharmacia)。
pBBHA(ウシβ−ラクトグロブリン、ヒトα−ラクトアルブミン)は4つ
のDNAフラグメントから構成されていた:
1.クローンBB25−3に由来し、EcoRI/EcoRVフラグメントと
して使用されたウシβ−ラクトグロブリンプロモーターを含む3.0kbのEc
oRIフラグメント;
2.8bp BclIリンカーおよび、blunt/BglIフラグメントと
して使用されたヒトα−ラクトアルブミン配列の塩基15〜77に対応する74
bpの合成オリゴヌクレオチド;
3.塩基77のBglI部位および3′フランク中のXhoI部位の間の領域
を含むλクローン4aに由来する6.2kbのBglI/PstI ヒトα−ラ
クトアルブミンフラグメント;
4.EcoRIおよびPstIで切断されたBluescriptベクター。
pBAHA(ウシα−ラクトアルブミン、ヒトα−ラクトアルブミン)は、4
つのDNAフラグメントから構成されていた:
1.クローンpBA−P0.7に由来するウシα−ラクトアルブミンプロモー
ターを含む0.72kbのBamHI〜StuIフラグメント;
2.blunt/BglIフラグメントとして使用されたヒトα−ラクトアル
ブミン配列の塩基15〜77に対応する62bpの合成オリゴヌクレオチド;
3.塩基77のBglI部位および3′フランク中のXhoI部位の間の領域
を含むλクローン4aに由来する6.2kbのBglI/PstI ヒトα−ラ
クトアルブミンフラグメント;
4.BamHIおよびPstIで切断されたBluescriptベクター。
トランスジェニックマウスにおけるヒトα−ラクトアルブミンの発現
上記5つの構造物を、マウス胚に注入し、トランスジェニックマウスを作出し
た。全ての構造物が、マウスの乳汁中でヒトα−ラクトアルブミンを発現した。
ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子およびそれぞれ異なる量のフランキング領域を
mlの間で発現した(213.5 pHA−2)。ヒツジまたはウシBLGプロ
モーターのいずれかによって作動するヒトα−ラクトアルブミン遺伝子を含むp
OBHAおよびpBBHAは、わずかに低い発現レベルを有していた。0.72
kbのウシα−ラクトアルブミンプロモーターによって作動するヒトα−ラクト
アルブミン遺伝子を含むpBAHAは、pHA−1またはpH−2と同様の発現
レベルを有していたが、トランスジェニック動物の中の低率は、検出可能なレベ
ルのタンパク質を発現した。この知見は、ウシα−ラクトアルブミン遺伝子を作
動する同一のウシプロモーター配列が非常に悪い結果を与えたので、意外である
(例4およびvilotteら; FEBS,第297巻,1.2.13-18(1992)を参照のこと)。
表2にトランスジェニックタンパク質の相対量を簡単に示す。これらの動物か
らのスキムミルクを、クーマシーブルーで染色したSDS−PAGE、等電点電
気泳動、市販の抗ヒトα−ラクトアルブミン抗体(Sigma)で視覚化したウェスタ
ンブロットおよびクロマト電気泳動によって分析した。これらの分析からの結果
は、トランスジェニックタンパク質が、ヒトα−ラクトアルブミン標準(Sigma)
と比べて、正確な大きさ、pIおよび抗原性を有することを示した。
表2は、クーマシーゲルおよびウェスタンブロット上のタンパク質標準との比
較によって推定したトランスジェニックマウス乳汁中のヒトα−ラクトアルブミ
ンの相対レベルを示す。
数匹のマウスからの結果を、図7および図8に示す。図7は、対照の非トラン
スジェニックマウス乳汁に対するトランスジェニックマウススキムミルク群のS
DS−PAGE分析を示す。図8は、ヒトα−ラクトアルブミン標準に対するヒ
トα−ラクトアルブミントランスジェニック乳汁群のウェスタンブロットを示す
。
例6−生体内のヒトα−ラクトアルブミンプロモーターの制御下での変異原を 与えたウシα−ラクトアルブミンの発現
ヒトα−ラクトアルブミン導入遺伝子の発現は、自然のウシα−ラクトアルブ
ミン導入遺伝子の発現よりもかなり高く、内在性のウシおよびヒト遺伝子の発現
レベルの違いを反映している。これは、5′コントロール領域の違いによって引
き起こされているかもしれないので、ウシα−ラクトアルブミン転写開始部位の
5′領域を、ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子からの配列と置換した。
2つの構造物、すなわち、表3に示すアミノ酸置換を含んでいるPKU−5お
よびPKU−1Hを作った。
次の配列番号を、使用したPCRプライマーに割り当てた。
PKU−1 SEQ ID No.5
PKU−2 SEQ ID No.6
PKU−2L SEQ ID No.7
PKU−3 SEQ ID No.8
PKU−4 SEQ ID No.9
PKU−5 SEQ ID No.10
PKU−6 SEQ ID No.11
PKU−7 SEQ ID No.12
PKU−8 SEQ ID No.13
PKU−9 SEQ ID No.14
PKU−10 SEQ ID No.15
PKU−5
第一クローニング工程において、次の3つのフラグメントをpUC18のEc
oRI/BamHI部位にサブクローニングした:
(1)PKU−プライマー7を8(図10を参照のこと)と組み合わせて使用す
るPCR増幅によって得られたEcoRI〜PvuIフラグメント;
(2)PKU−プライマー9を10(図10を参照のこと)と組み合わせて使用
するPCR増幅によって得られたPvuI〜BsaBIフラグメント;および
(3)pBAから得られたBsaBI〜HindIIIフラグメント。
最終構造物は次の6つのDNAフラグメントを含んでいた:
(1)λクローン4a(図3)から得られたヒトα−ラクトアルブミンプロモー
ターを含む3.7kbのSalI〜KpnIフラグメント;
(2)KpnI部位からAUGまでのヒトα−ラクトアルブミン配列およびAU
GからHapI部位までのウシα−ラクトアルブミン配列を含む152bpの合
成オリゴヌクレオチド;
(3)第一サブクローニング工程からの1.25kbのHpaI〜HindII
Iフラグメント;
(4)pBAに由来する0.95kbのHindIII〜BglIIフラグメン
ト;
(5)BamHIフラグメントとして使用されたλクローン4a(図3)に由来
するヒトα−ラクトアルブミン遺伝子の3′フランクからの3.7kbのBam
HI〜XhoIフラグメント;および
(6)SalIおよびBamHIで切断されたBluescript KS−ベクタ。
PKU−1Hは、PKU−1に由来するフラグメント(3)を除いて、PKU
−5と同じ方法で構成された。
PKU−1は、次の6つのDNAフラグメントから構成された(図9を参照の
こと):
(1)pBOVA−6に由来する2.04kbのSstI〜HpaIフラグメン
ト;
(2)PCR生産物A(PKU−プライマー対1および2;図10を参照のこと
)に由来する0.46kbのHpaI〜PvuIフラグメント;
(3)PCR生産物B(プライマー対3および4;図10を参照のこと)に由来
する0.60kbのPvuI〜BsaBIフラグメント;
(4)pBOVA−6に由来する0.22kbのBsaBI〜HindIIIフ
ラグメント;
(5)pBOVA−6に由来する0.95kbのHindIII〜BglIIフ
ラグメント;
(6)SstIおよびBglIIで消化されたベクターpSL1180。
トランスジェニックマウスにおける発現
2つの構造物PKU−1HおよびPKU−5を、マウス胚に注入した。今まで
のところでは、トランスジェニック動物は、PKU−5構造物について得られた
。これらの動物は、乳汁分析を可能にするために、繁殖に供される。
例7−マウスにおけるα−ラクトアルブミン欠乏の中断およびヒトα−ラクト アルブミン遺伝子置換の挿入の泌乳に及ぼす効果
材料および方法
マウス系統
以前に記載されたようにして(Fitzgeraldら,J.Biol.Chem 245 :2103-2108)
、ヌルα−ラクトアルブミン対立遺伝子および人体で作られるものと同じ性質に
したα−ラクトアルブミン置換対立遺伝子を有するマウスを、Balb/c対(m
ates)に対してそれぞれ標的の胎児性幹細胞クローンM2およびF6から作りだ
されたキメラを繁殖させることによって得た。この系統の繁殖の間、α−ラクト
アルブミン遺伝子型を、尾の生検から調製したゲノムDNAのサザン分析によっ
て決定した。
RNA分析
全RNAを、Auffray & Rougeonの方法によって(Eur.J.Biochem 107 :303-1
4)、分娩後506日目の雌のマウスの腹部の乳腺から調製した。ノーザン分析を
一般的方法(Sambrookら,Molecular cloning)に従って行った。ハイブリッド形
成に使用したプローブは次のものであった:完全なマウスα−ラクトアルブミン
遺伝子を含む3.5kbのBamHIフラグメント;および1.1kbのラット
β−カゼインcDNA(BlackburnらNucl.Acids Res 10:2295-2307)。
RNAse保護分析
32P−CTP標識アンチセンスRNAを、T7 PNAポリメラーゼ(Promega
)によって、Bluescript KS中でクローン化した455bpのHindIII−B
alIマウスα−ラクトアルブミンフラグメント(図15A)から転写した。転
写反応、溶液ハイブリッド形成およびRNAse消化の条件は、Promegaによっ
て推奨されている通りとした。保護したフラグメントは、ポリアクリルミドゲル
電気泳動によって分離し、オートラジオグラフィーによって視覚化した。
乳汁組成および収量分析
乳汁試料を、Hypnorm(Roche)/Hypnovel(Janssen)麻酔をかけて3〜7日の乳
汁分泌の間に集めた。150mUのオキシトシン(Intervet)を、腹腔内注射に
よって投与し、乳汁を、静かにマッサージすることによって排出させた。乳汁脂
肪含有率を、Fleet & Linzell(J.Physiol 175 :15)によって記載されているよ
うにして測定した。脱脂した乳汁を、タンパク質についてアッセイし(BradfordA
nalyt.Biochem 72:248-54)、ラクトースを、Bergmeyer & Bertの方法(Methods
in Enzyme Analysis 3 :1205-1212)から適応させた方法によってβ−ガラクトシ
ダーゼ(Boehringer)、グルコースオキシダーゼおよびペルオキシダーゼ(Sigma)
で連続してインキュベートすることによって酵素により測定した。
乳汁収量は、Knightらによって記載された滴定水技術(Comp.Biochem.Physio
l 84A :127-133)を用いて、乳を飲む幼いマウスで、3〜6日間の乳汁分泌の間
に48時間にわたって推定した。
乳汁α−ラクトアルブミン分析および定量
乳汁試料を、16%のSDS−PAGEゲル(Novex)、およびImmobilon P膜上
のウェスタンブロットで分析した。α−ラクトアルブミンを、ラビット抗ヒトα
−ラクトアルブミン抗血清(Dako)、続くヤギ抗ラビットIgGペルオキシダー
ゼ抗体抱合体との吸着によって検出し、増強した化学発光系(Amersham)で視覚化
した。
乳汁試料中のα−ラクトアルブミンを、フェニル−セファロースクロマトグラ
フィーによるα−ラクトアルブミンのカルシウム依存精製のためのLindahlらの
方法(Analyt.Biochem 140 :394-402)の変法によって定量した。乳汁試料を、
27%w/v硫酸アンモニウム溶液で1:10に希釈し、室温で10分間インキ
ュベートしそして遠心分離した。上清を等容積の100mM Tris/Cl,
pH7.5,70mM EDTAと混合し、50mM Tris/Cl,pH7
.5,1mM CaCl2で予備平衡化したフェニル−セファロース(Pharmacia
)のカラム(詰めた容積200μl)上に載せた。カラムを同一の緩衝液で洗浄
し、α−ラクトアルブミンを50mM Tris/Cl,pH7.5,1mM
CaCl2で溶出した。カラムの280nmでの光学吸光度を監視し、α−ラク
トアルブミンフラクションに対応する積分したピーク面積をコンピューターで計
算した。標準曲線は、0〜2.46mg/mlの既知量の精製したヒトα−ラク
トアルブミンを用いて作った(図16)。
組織構造
産後6日目の泌乳している母親から子供を2時間離し、母親を犠牲にし、胸部
の乳腺を、普通の方法で、解剖し、緩衝剤で処理した中性のホルマリン中で保存
し、パラフィン包埋し、ヘマトキシン/エオシンで染色した。
結果
マウスα−ラクトアルブミン遺伝子欠失
完全なマウスα−ラクトアルブミンコード化領域を包含する2.7kbのフラ
グメントおよび0.57kbのプロモーターが除かれ、ヒポキサンチンホスホリ
ボシルトランスフェラーゼ(HPRT)選択マーカー遺伝子を含む2.7kbの
フラグメントと置換されたマウス系統を、Staceyら,1994(前出)に記載された
ようにして作出した(図11を参照のこと)。この対立遺伝子を持つ動物をα−
lac-と称する。野性型マウスα−ラクトアルブミン対立遺伝子は、α−la
cmと称する。
乳汁分泌の5日目に採取した乳腺からのRNAのノーザン分析は、α−ラクト
アルブミンmRNAがα−lac-/α−lac-ホモ接合体中にないことを示し
(図12を参照のこと)、標的のα−ラクトアルブミン遺伝子が除去され、α−
ラクトアルブミンmRNAの他の源が存在していないことを裏づけた。β−カゼ
インRNAとの同一RNAのハイブリッド形成を、全ての試料について行った(
図12を参照のこと)。
α−ラクトアルブミン欠乏は、乳汁分泌以外にマウスに明らかな効果をもたら
さない。α−lac-/α−lac-ホモ接合体およびα−lacm/α−lac-
ヘテロ接合体は雄雌共に外観、挙動および繁殖性に関して正常である。しかし、
α−lac-/α−lac-ホモ接合体の雌は、うまく同腹子を育てることができ
ない。それらの子は、成長できず、最初の5〜10日の寿命で死亡する。ホモ接
合体α−lac-/α−lac-の雌の子を、野性型の仮母に移すと、正常に生き
る。反対に、ホモ接合体α−lac-/α−lac-母親に移された野性型母親か
らの子供は、生命を維持しない。表4は、α−lac-/α−lac-母親によっ
て育てられた子は、α−lacm/α−lacm野性型マウスによって育てられた
子の体重のほぼ半分であることを示している。乳汁収量の推定は、これと一致し
、α−lacm/α−lac-ヘテロ接合体は、野性型と似た量の
乳汁を作るが、α−lac-/α−lac-ホモ接合体の収量は、激しく減少した
(表4)。
乳汁は、手で搾乳することによって各遺伝子型から得、そしてかぎ成分の組成
を分析した。α−lacm/α−lac-ヘテロ接合体からの乳汁は、野性型乳汁
と外観は区別ができず、野性型に似た脂肪およびタンパク質含有量を示した(表
4)。ラクトース濃度はα−lacm/α−lac-ヘテロ接合体において僅かに
減少するように見えたが、統計学上の分析は、この相違は重要でないことを示し
た。対照的に、α−lac-/α−lac-ホモ接合体からの乳汁は、ねばねばし
、乳頭から絞り出すのが困難であり、野性型と組成が著しく異なっていた。脂肪
含有率は、野性型よりもほぼ60%大きく、タンパク質含有量は、ほぼ88%大
きく、ラクトースは事実上存在していなかった。使用したラクトースアッセイ法
は、ラクトースをグルコースに酵素により変換することを伴うので、α−lac-
/α−lac-雌において検出された見かけの0.7mMラクトースは、乳汁グ
ルコース含有量を表している。野性型乳汁中のグルコースの直接アッセイは、1
.8mMの濃度を示した。
乳タンパク質のウェスタン分析によって、α−lac-/α−lac-ホモ接合
体からの乳汁中のα−ラクトアルブミンを検出することができなかった(図13
、レーンFを参照のこと)。これは、フェニル−セファロースクロマトグラフィ
ーによって確認された。このフェニル−セファロースクロマトグラフィーは、α
−ラクトアルブミンを特に確認するために使用される技術であって、乳α−ラク
トアルブミン含有量の量的推定を得るために適応させたものである(表5;図1
6も参照のこと)。α−lac-/α−lac-ホモ接合体からの乳汁に適用する
と、α−ラクトアルブミンは全く検出されなかった。対照的に、α−lacm/
α−lac-ヘテロ接合体乳汁中のα−ラクトアルブミン濃度は、0.043m
g/mlと推定された。これは、野性型の濃度のほぼ半分であった(表5)。
乳汁試料のα−ラクトアルブミン含有量は、フェニル−セファロースクロマト
グラフィーによって推定された。
値は平均±SEである。
括弧内の数字は、分析した母親の数を示す。
α−ラクトアルブミン欠乏は、乳腺発達に明らかな効果を及ぼさない。表4は
、野性型、ヘテロ接合体α−lacm/α−lac-およびホモ接合体α−lac-
/α−lac-の泌乳する母親の乳房組織の全重量があまり異なっていないこと
を示す。乳腺の光学顕微鏡分析(図4)は、ヘテロ接合体およびホモ接合体α−
lac-/α−lac-乳腺が組織学的に正常であることを示した。しかし、ホモ
接合体乳腺の小胞および管は、拡張し、脂肪小滴に富んだ材料でぎっしりであっ
た。
ヒトα−ラクトアルブミンによるマウスのα−ラクトアルブミンの置換
我々は、マウスα−ラクトアルブミン遺伝子座にヒトα−ラクトアルブミン遺
伝子を持つマウスを作った。α−lac-ヌル対立遺伝子のところで除かれた2
.7kbのマウスα−ラクトアルブミンフラグメントを、完全なヒトα−ラクト
アルブミンコード化領域および5′フランキング配列を含む2.97kbのフラ
グメントによって置換した。ヒトフラグメントは、ヒト翻訳開始部位の0.77
kb上流から、ヒト翻訳終止部位の136bp3′末端側のEcoRI部位まで
伸びている。マウス配列との結合は、マウス翻訳開始部位の0.57kb上流の
BamHI部位と、マウス翻訳終止部位の147bp3′末端側のXbal部位
と
で行われた(Staceyら,1994,前出を参照のこと;また図11も参照のこと)。
ここに我々は、α−lachと呼称するこの対立遺伝子を持つ動物に関する我々
の分析結果を記載する。
マウスα−ラクトアルブミン遺伝子の欠失は、α−ラクトアルブミン欠乏がラ
クトース合成を妨害し、乳汁生産をひどく混乱させることを証明した。我々は、
α−lach対立遺伝子を用いて、マウスα−ラクトアルブミンの不存在下で乳
汁生産を元に戻すヒトα−ラクトアルブミンの能力を試験した。α−lacm/
α−lachヘテロ接合体およびα−lach/α−lachホモ接合体マウスは
、外観、繁殖性および挙動について正常であった。
α−lac-/α−lac-マウスと対照的に、α−lach/α−lachホモ
接合体の母親は、明らかに正常な乳汁を生産し、子孫を育てるのに成功する。表
4は、α−lacm/α−lachヘテロ接合体およびα−lach/α−lach
ホモ接合体の雌によって育てられた子が、野性型の母親の子と、体重が似ている
ことを示している。このことは、これらの動物が、子の代々の同腹子を全く正常
な育てたという我々の観察によって支持される。これらのデータは、ヒトの遺伝
子がマウスの遺伝子に機能的に取って代わることができるという明白な証拠とな
る。乳汁組成の分析(表4)は、ラクトース濃度が全ての遺伝子型で似ているこ
とを示す。タンパク質および脂肪の濃度は共にα−lach/α−lachホモ接
合体動物において減ぜられたように見えるが、脂肪の減少だけが、無対のt−試
験によって統計学上重要であると判断された。これらの動物は、野性型に比べて
乳汁容積の増大を示す(表4)。
ヒトおよびマウスα−ラクトアルブミンRNAの相対的定量
人乳は、マウスの乳汁(0.1mg/ml)よりもかなり多いα−ラクトアル
ブミンを含む(2.5mg/ml)。我々は、ヒトα−ラクトアルブミンフラグ
メントが、マウス遺伝子座に置かれた時に高レベルの発現を保持するか、あるい
は低レベルでマウス遺伝子の特性をより多く示すかを決めたいと思った。α−l
acm/α−lachヘテロ接合体マウスは、ヒト遺伝子の発現を同一動物におい
てそれのマウスの同等物と直接比べることができるので、この問題を処理する理
想的な手段であった。
図15Aは、マウスおよびヒトα−ラクトアルブミンmRNAのレベルを比較
するために使用した計画を示す。ヒトおよびマウスα−ラクトアルブミン配列の
間の結合が、ポリアデニル化部位の上流にあるので、α−lach mRNAは、
3′末端に120塩基の翻訳されないマウス配列の「目印」を含んでいる。均一
に標識化したマウスRNAプローブを、リボヌクレアーゼ保護アッセイにおいて
使用して、同じRNA試料の中でヒトおよびマウスα−ラクトアルブミンmRN
Aを検出し識別した。各mRANの相対的存在率を、ヒトおよびマウスmRNA
によって保護されたフラグメント中の同位体の量から計算した。
リボヌクレアーゼ保護アッセイを行ってその結果を図15Bに示した。レーン
Aは、消化されていない455塩基プローブを示し、レーンKは、酵母tRNA
がどのフラグメントも保護しなかったことを示す。野性型マウスRNAは、内在
性マウスα−ラクトアルブミンRNAから、予測された305塩基RNAと一致
するフラグメントを保護した(レーンBを参照のこと)。ホモ接合体α−lach
/α−lach乳腺RNAは、ヒトα−ラクトアルブミンmRNAによって保護
された予測された120塩基RNAと一致するより小さいバンドを保護した(レ
ーンCを参照のこと)。レーンD〜Jは、一連のヘテロ接合体α−lacm/α
−lach動物と一致する結果が得られたことを示す(レーンD〜Jを参照のこ
と)。各試料中の大小の保護されたフラグメントは、ヒトおよびマウスのα−ラ
クトアルブミンmRNAが共に存在することを示す。保護されたフラグメントを
、ゲルから取り、推定された大きさの違いおよびヒトα−ラクトアルブミンmR
NAの、マウスα−ラクトアルブミンmRNAに対する比について調整して、ラ
ジオアイソトープ含有量を測定した。表6は、図15Bに示されたゲルのレーン
D〜Jから取った305塩基および120塩基フラグメント中に存在するラジオ
アイソトープの量、ならびに各α−lacm/α−lachヘテロ接合体中のヒト
α−ラクトアルブミンmRNAの、マウスα−ラクトアルブミンmRNAに対す
る計算された比を示す。個々の動物の間の変動はあるが、ヒトα−ラクトアルブ
ミンmRNAは、マウスのmRNAよりもかなり豊富であることが明白である。
7つのα−lacm/α−lachヘテロ接合体の平均は、ヒトα−ラクトアルブ
ミンmRNAについて15倍大きい発現の値を示す。
レーンの名称は、保護されたフラグメントの源を示し、図15B中に示したも
のに対応している。
a.数字は、1分あたりのカウント数を表している(c.p.m.)
b.2.54を乗じた(大きさの違いについて調整するために)120塩基フ
ラグメントのc.p.m.と305塩基フラグメントのc.p.m.の間の比
ヒトα−ラクトアルブミンタンパク質発現
標的のマウス系統におけるα−ラクトアルブミンのウェスタン分析を行った。
ヒトα−ラクトアルブミンは、マウスα−ラクトアルブミンから、それのより速
い電気泳動移動度によって識別することができる(レーンA、Bを参照のこと)
。α−lach/α−lachホモ接合体およびα−lach/α−lacmヘテロ
接合体において突出して低いバンドが観察され(レーンC、D、G、Hを参照の
こと)、ヒトα−ラクトアルブミン標準の位置に対応し、遺伝子ターゲティング
によってまたは前核の顕微注入によって作出されたヒトα−ラクトアルブミンを
発現するマウスでのみ観察された(データは示されていない)。この同一性は、
フェニル−セファロースクロマトグラフィー(図16を参照のこと)および臭化
シアン分解によって遊離されたペプチドの分析(データは示されていない)によ
って確認された。マウスα−ラクトアルブミンに似て、より遅い移動度を持った
バンドは、同様に、性質が知られていないヒトα−ラクトアルブミン遺伝子生産
物である。この種類は、α−lach遺伝子量と共に強度において異なり(レー
ンG、Hを参照のこと)、前核の顕微注入によって作られたヒトα−ラクトアル
ブミントランスジェニックマウスからの乳汁中にも存在していた(データは示さ
れていない)。
乳汁試料のα−ラクトアルブミン含有量は、フェニル−セファロースクロマト
グラフィーによって量った。図16は、図13に示されているα−lacm/α
−lachヘテロ接合体およびα−lach/α−lachホモ接合体を含む3つ
の実例となる乳汁試料のカラム溶出液の重ねた吸光度グラフを示す。溶出したα
−ラクトアルブミンに対応するピークに印が付けられている。α−ラクトアルブ
ミン含有量は、積分したピーク面積を、示されたヒトα−ラクトアルブミン標準
曲線と比較することによって推定した。積分したピーク面積とα−ラクトアルブ
ミン量との関係は、直線であって、再現性が高かった。図16に示された試料に
ついてのα−ラクトアルブミン含有量は次のように推定された:α−lacm/
α−lacm野性型 0.1mg/ml;α−lacm/α−lachヘテロ接合
体#76 0.45mg/ml;α−lach/α−lachホモ接合体#22
0.9mg/ml。表5は、標的のマウス系統および泌乳する婦人からの乳汁試
料中のα−ラクトアルブミンの濃度を示している。乳汁中のα−ラクトアルブミ
ン濃度は、遺伝子量に直接関連していて、例えば、α−lacm/α−lac-ヘ
テロ接合体は、野性型のそれの半分のα−ラクトアルブミン濃度を示すことが明
らかである。これらのマウスによって生産される乳汁の容積が似ていると仮定す
ると(表4)、α−ラクトアルブミンの濃度は、合成された量の妥当な示度であ
る。α−lacm/α−lachヘテロ接合体乳汁中のヒトおよびマウスα−ラク
トアルブミン成分の相対的比率は、単一のマウス対立遺伝子からのα−ラクトア
ルブミン発現が0.043mg/mlであり、残りがヒトα−ラクトアルブミン
を表すと仮定することによって、推定した。これは、α−lacm/α−lac-
ヘテロ接合体および野性型マウスによって発現されたα−ラクトアルブミンの量
と一致している。それ故、α−lacm/α−lac-ヘテロ接合体は、0.61
mg/mlのヒトα−ラクトアルブミンおよび0.043mg/m
lのマウスα−ラクトアルブミンを発現すると推定された。従って、ヒトα−ラ
クトアルブミンは、α−lacm/α−lachヘテロ接合体乳汁においてマウス
α−ラクトアルブミンよりも約14倍豊富である。これは、mRNAの相対的比
率と著しく一致する。
例8 非相同遺伝子の増強された発現
これらのデータによって、pHA−2構造物中に含まれる上流のプロモーター
領域(AUG〜約−3.7kb)が非相同遺伝子の発現を増強することが確認さ
れる。表7は、pHA−2トランスジェニック始祖雌からの乳汁分析の結果を示
す。10匹の雌から、6匹の動物が、高レベルのヒトのα−lacを発現した。
3匹の動物は、検出可能なレベルのヒトα−lac(この検定法において0.2
mg/mlより低い)を発現することができず、3匹全ては、導入遺伝子を伝播
することもできなかった。我々は、それらが弱い発現者であるかトランスジェニ
ックでないかのいずれも確信することができない。
表8:構造物PKU−0〜PALT−Bは全て、ウシα−lacプロモーター
(約2kb)を含んでいる。構造物PKU−1H〜PKU−16は全て、ヒトα
−lacプロモーター(3.7kb)を含んでいる。ヒトα−lacプロモータ
ーを使用すると、導入遺伝子の発現がほぼ100%まで増大した。
これらのデータは、ヒトα−lacプロモーターの使用が、ウシプロモーター
より高い発現レベルを達成すること、およびウシプロモーターよりもより多くの
動物において発現を引き起こすことを示している。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12P 21/02 9735−4B C12N 5/00 B
(31)優先権主張番号 08/381,691
(32)優先日 1995年1月31日
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 9503822.0
(32)優先日 1995年2月25日
(33)優先権主張国 イギリス(GB)
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