JPH10503523A - Asp▲上b1▼インシュリンアナログ - Google Patents

Asp▲上b1▼インシュリンアナログ

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JPH10503523A
JPH10503523A JP8506724A JP50672495A JPH10503523A JP H10503523 A JPH10503523 A JP H10503523A JP 8506724 A JP8506724 A JP 8506724A JP 50672495 A JP50672495 A JP 50672495A JP H10503523 A JPH10503523 A JP H10503523A
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ブレムス,デイビッド・ネトルシップ
ベイケイサ,ダイアン・リー
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Eli Lilly and Co
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Eli Lilly and Co
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    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/575Hormones
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    • AHUMAN NECESSITIES
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Abstract

(57)【要約】 B鎖の1位にアスパラギン酸(AspB1)および場合により13位にgln修飾(GlnB13)を有するヒトインシュリンアナログは、それらを長時間作用性にすることを可能にする改良された物理化学的および薬物動力学的性質を有する。これ等のアナログは可溶性であり、自己会合性の傾向が増加するので血糖過多症の治療に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 発明の名称 ASPB1インシュリンアナログ 発明の属する分野 本発明は、ヒトの医学に関する。特には、糖尿病の処置に関する。さらに具体 的には、本発明は、ヒトインシュリン分子のAspB1インシュリンアナログ、こ れらのアナログの使用方法及びこれらのインシュリンアナログを含有する医薬組 成物に関する。 発明の背景 糖尿病は、体組織が正常な速度で炭化水素を酸化することができないというこ とによって特徴づけられる代謝疾患である。インシュリンの欠乏は、糖尿病の病 状における最も重大な因子である。過去70年間の間に糖尿病にかかった人々は 、管理された量のインシュリンを服用することによって大いに助けられてきた。 1980年代のはじめまで、糖尿病患者に使用されるインシュリンは、一般にウ シやブタといった動物の膵臓から単離された。組み換えDNA技術の導入により 大量の天然ヒトインシュリンを生産すること、および既知の合成法を用いてヒト インシュリンの天然及び非天然のアナログを生産することが可能となった。この アナログは、化学的に合成することもできる。これらのインシュリンアナログは 、天然のヒトインシュリンと比較すると、異なった物理的及び化学的特性を示す 。このような特性の1つは、インシュリンの作用速度を減少させるものであり、 したがって単位投与量を服用した結果、時間にわたって、患者への投与量を測定 するようにできる。 ヒトインシュリンモノマーは、21アミノ酸のA鎖と30アミノ酸のB鎖の2 つの鎖からなり、これらは2つの、鎖内ジスルフィド結合によって、共有結合し ている[Merck Index(第11版、789〜790(1989))]。亜鉛の存在下に、天然ヒト インシュリンは会合し、各モノマーのHB10に八面体的に配位する2個の亜鉛原 子と水3分子を有するヘキサマーを形成する[Blundell等,Adv.Protein Che m.,26,279〜402(1972);及びBaker等,Philos.Trans.R.Soc.London,B 3 19,369〜456(1988)]。この二亜鉛インシュリンヘキサマーは、アロステリック タンパク質として機能する。フェノール系リガンド又はある種の塩は、立体構造 の遷移の誘導が可能であり、B鎖のN−末端の8個のアミノ酸を伸長構造からα −ヘリックス構造に転換する。この2個の亜鉛原子は、各モノマーのHB10、及 び例えばClイオン等の小さなアニオン性リガンドで占有された第4の溶媒接近 部位(solvent-accessible site)に四面体的に配位するようになる[Brader & Dunn,TIBS,16,341〜345(1991)]。Mood等の一般的命名法によれば、フェノ ール系リガンドによって誘導されたこの立体構造の形態をR状態と呼び、アポイ ンシュリン形態はT状態と呼ばれる[Mood等,J.Mol.Biol.,12,88〜118(196 5)]。R状態の方が、コンパクトで、可撓性が少なく、T状態と比較して亜鉛の 交換が遅い[Derewenda等,Nature,338,594〜596,(1989)]。インシュリンの T→R遷移には、30Åを越えるB1α−炭素の移動を伴い[Derewenda等,Natu re,338,594〜596,(1989)]、この移動はアロステリック立体構造遷移に関与 するいずれかの原子によりトランスバースされる最も長い距離である。安定な中 間状態、1個のT状態の三量体と、もう1個のR状態の三量体を有するT33が 同定されている[Chothia等,Nature,302,500〜505,(1983)]。T33状態は 、塩類又は限られた量のフェノール系化合物によって誘導される4亜鉛インシュ リン構造として、正式に知られている[Kruger等,Biol.Chem.Hoppe−Seyler ,371,669〜673,(1990)]。 インシュリンヘキサマーの異なるアロステリック状態は、X線結晶学による結 晶状態で[Bentley等,Nature,261,166〜168,(1976);Smith & Dodson,Biop olymers,32,441〜445(1992)]、プロトンNMRによる解析、円二色性[Rensc heidt等,Eur.J.Biochem.,142,7〜14,(1984)]、及びCo2+置換されたイン シュリンの可視吸収分光学[Brader等,Biochemistry,30,6636〜6645(1991)] による溶液で最もよくキャラクタライズされた。インシュリンアロステリズムの 生物学的有意性は、完全には解明されていない。血液循環におけるインシュリン の希薄な濃度のために、インシュリンの生物学的に活性な形態はモノマーで あると考えられている[Frank等,Diabetes,21(Suppl.2),486〜491(1972)] 。インシュリン構造における、レセプターが介在する立体構造の変化は、結合を 必要とすると考えられている。レセプターによって誘導される、T→R遷移と同 様の立体構造の変化が報告されている[Derewenda等,Nature,338,594〜596, (1989)]。インシュリンの医学的使用には、T→R立体構造が重要な影響を及ぼ す。大部分のインシュリン製剤は、細菌の汚染に対する保存剤として機能するフ ェノール系化合物を含有する溶液又は懸濁液である。インシュリン製剤中のフェ ノール系化合物の濃度は、R構造を誘導するに必要な濃度の2〜10倍である[ Kruger等,Biol.Chem.Hoppe−Seyler,371,669〜673,(1990)]。インシュリ ン製剤中のフェノール系化合物の存在は、保存寿命安定性[Brange等,Pharm.R es.,9,715〜726(1992a);Brange等,Pharm.Res.,9,727〜734(1992b);Bran geおよびLangkjaer等,Acta Pharm.Nord.,4,149〜158(1992)]と、恐らく作 用時間のプロファイルに重大な影響を及ぼす。インシュリンの溶液状態での保存 は熱力学的モデルによって説明され、インシュリンの分解はアンフォールディン グ(unfolding)の平衡定数Keqによって支配される[Brems等,Protein Engine ering,5,519〜525(1992)]。反応N←→Uによって決定される平衡定数は、U /Nであり、ここでN=自然状態、U=アンフォールド状態である。インシュリ ンのR状態が最もコンパクトで、最も可撓性が少なく、亜鉛の交換が遅いので、 R状態は、分解に対する保護が最も厚いと予想される。インシュリン製剤の分解 を最小限にとどめることは、インシュリン治療の好ましくない副作用を減らすこ とにおいて極めて重要である。 フェノール系保存剤を使用するために本来のインシュリン製剤を巧妙に選択す ることによって、数百万人の患者が恩恵を受けてきたことは疑いない。デポット 注入部位からのインシュリンの吸収速度は、自己会合に対する解離定数に関連し ていることが示されている[Brange等,Diabetes Care,13,923〜954(1990)] 。モノマーは、迅速に吸収される状態であり、解離の過程が律速であると考えら れている[Binder,C.,Artificial Systems for Insulin Delivery,P.Brun etti等編,Raven Press,N.Y.,53〜57頁(1983)]。モノマーのインシュリン ア ナログは、迅速に吸収され、迅速な作用時間プロファイルをもたらすことが示さ れている[Brange等,Curr.Opin.Struct.Biol.,1,934〜940(1991);DiMar chi等,Peptides:Chemistry and Biology,Proceedings of the Twelfth Ameri can Peptide Symposium,ESCOM,Leiden,26〜28頁,(1992)]。これとは反対に 、増大した会合定数を有するインシュリン形態は、吸収速度および作用時間プロ ファイルを長引かせる。 遅効性インシュリン製剤に対する現在の中間物はすべて懸濁液である。これら のインシュリン製剤を皮下注射する場合、その製剤はデポットを形成し、そこか ら血流にゆっくりと吸収される。皮下注射部位における粒子の溶解は、これら懸 濁液製剤の作用の時間の遅延をもたらす、律速過程である。非経口使用のための 懸濁液は、可溶性製剤と比較すると、投与量の精度が低く、注射の前の再懸濁が 必要であり、固まりやすいという固有の欠点を有している。可溶性の遅効性イン シュリン製剤は、これらの欠点を克服でき、非常に望ましいであろう。 可溶性インシュリン製剤は、(迅速に吸収される)モノマーへの解離によって取 り込みが遅延するインシュリンヘキサマーのサイズの制約のために、それらの吸 収動力学における遅延を示す[Brange,J.等,Current Opinion in Structural Biology,1,934〜940(1991)]。種々のリガンドは、インシュリンの自己会合 を変化させることが知られている。すでに示したように、亜鉛によって可溶性イ ンシュリンがヘキサマーに自己会合し[Goldman,J.及びCarpenter,F.H. ,Biochemistry,13,4566〜4574(1974)]、ヘキサマーは、フェノール系化合物 の添加によりT→R遷移を受ける[Brader,M.L.等,TIBS,16,341〜345(1 991)]。亜鉛及びフェノール系化合物等の製剤添加物の存在は、インシュリンヘ キサマーに対する特異的なリガンドであり、注射部位におけるモノマーへの解離 を遅延させる傾向がある。フェノール系化合物の結合は、亜鉛よりもかなり弱い ので、注射部位で起こるインシュリンヘキサマーの溶解はR状態からT状態へ、 そして最終的にモノマーへと進むと考えられる。 インシュリンヘキサマー転移を遅らせるための一つの方策は、亜鉛及びフェノ ール系化合物等の外的なリガンドを用いて解離を防止することである。この方策 は、これらの外的リガンドと構成する性質を有するインシュリンアナログを作出 することによって達成される。ヘキサマーを誘導する亜鉛の性質は、glnB13をgl uB13で置換することによって得られる[Bentley,G.A.等,J.Mol.Biol. ,228,1163〜1176(1992)]。インシュリンヘキサマーの中心は、互いに密に詰 まった6個のグルタミン酸を有し、静電的反発と脱安定化を引き起こす。天然の 残基をこれらの残基に置換することによって、インシュリンアナログは、亜鉛が 存在していなくても安定なヘキサマーを形成する。しかし、glnB13アナログの中 性の溶液の注射後の、インシュリン吸収速度に対する効果は、25%の減少に過 ぎない[Brange,J.等,Current Opinion in Structural Biology,1,934〜94 0(1991)]。Wollmer等による変異インシュリンの研究[Wollmer等,Biol.Chem .Hoppe−Seyler,370,1045〜1053,(1989)]は、自己誘導的アロステリズムを 示している。他の誘導アロステリックリガンドが存在していない場合の、GluB1 3 インシュリン+亜鉛は、T状態とR状態の中間のCDスペクトル特性を有して いる[Wollmer等,Biol.Chem.Hoppe−Seyler,370,1045〜1053,(1989)]。 しかし、真の中間体T33状態又はT6とR6形態からなる混合物の存在を区別す る実験は行われなかった[Wollmer等,Biol.Chem.Hoppe−Seyler,370,1045 〜1053,(1989)]。 図面の簡単な説明 第1図は、m−クレゾール非存在の生合成ヒトインシュリン(BHI)(−− −);m−クレゾール非存在のAspB1インシュリン(...);m−クレゾー ル0.1%存在のBHI( );m−クレゾール0.1%存在のAspB1イン シュリン(− .− .)の近紫外円二色性スペクトルを示すグラフである。試料 はすべて、タンパク質1molあたり亜鉛0.5molを含有している。座標の単位は 、deg・cm2・dmol-1である。 第2図は、m−クレゾール非存在のBHI(−−−);m−クレゾール非存在の AspB1インシュリン(...);m−クレゾール0.1%存在のBHI( ) ;m−クレゾール0.1%存在のASPB1インシュリン(− .− .)の遠紫外円 二色性スペクトルを示すグラフである。試料はすべて、タンパク質1molあたり 亜鉛0.5molを含有している。座標の単位は、deg・cm2・dmol-1である。 第3図は、遠紫外円二色性を用いたBHI及びAspB1インシュリンのm−ク レゾール滴定のグラフである。BHI□についてm−クレゾール誘導T6→R6転 移、AspB1インシュリン■についてT33→R6転移が示されている。試料は すべて、タンパク質1molあたり亜鉛0.5molを含有している。座標の単位は、d eg・cm2・dmol-1である。 第4図は、BHI及びAspB1インシュリンのKSCN滴定の、遠紫外円二色 性を用いたグラフである。BHI□においてKSCN誘導T6→R6転移、AspB1 インシュリン■において初期のT33状態を越える転移が存在しないことが示 されている。試料はすべて、タンパク質1molあたり亜鉛0.5molを含有してい る。座標の単位は、deg・cm2・dmol-1である。 好ましい態様の記載 本発明は、式で示され、A及びB鎖の7の位置のCysで、配列番号2のB鎖 に適切に架橋結合した配列番号1のA鎖からなる群から選択されたインシュリン アナログ、及びぞのアナログの薬学的に許容し得る塩に関する。 さらに、本発明は、式で示され、A及びB鎖の7の位置のCysを介して、配 列番号2のB鎖に適切に架橋結合した配列番号1のA鎖からなる群から選択され た亜鉛イオンヘキサマーインシュリンアナログに関する。 さらに、本発明は、その必要がある患者に、有効量の、式で示され、A及びB 鎖の7の位置のCysにおいて配列番号2のB鎖に適切に架橋結合した配列番号 1のA鎖からなる群から選択されたインシュリンアナログ、及びぞのアナログの 薬学的に許容し得る塩を投与することを含んでなる高血糖症を処置するための方 法に関する。 最後に、本発明は、薬学的に許容し得る希釈剤中に、式で示され、A及びB鎖 の7の位置のCysにおいて配列番号2のB鎖に適切に架橋結合した配列番号1 のA鎖からなる群から選択されたインシュリンアナログ、及びぞのアナログの薬 学的に許容し得る塩を含んでなる医薬組成物に関する。 特に、13の位置のXaaは、Glu又は好ましくはGlnである。 本明細書に開示され特許請求される本発明の目的のために、以下の用語および 略語を下記のように定義する。 BHI − 生合成ヒトインシュリン。 架橋 − システイン残基間のジスルフィド結合の形成。適切に架橋した 天然ヒトインシュリンまたはインシュリンアナログは3個のジスルフィド橋を含 んでいる。第一のジスルフィド橋はA鎖の6位および11位のシステイン残基間 にある。第二のジスルフィド橋は、A鎖及びB鎖の7位のシステイン残基間にあ る。第三のジスルフィド橋は、A鎖の20位とB鎖の19位の間にある。 本明細書中使用されるアミノ酸の略語は全て、37CFR§1.822(b) (2)(1990)に示されるように米国特許庁により承認されているものであ る。 本発明は、 である配列番号2と適切に架橋した、: である配列番号1のインシュリンアナログおよびその薬学上許容し得る塩に関す る[式中、配列番号2(インシュリンB鎖)の13位のXaaは、Glu又はG lnである]。 本発明のインシュリンアナログは、亜鉛を含む溶液または亜鉛を含まない溶液 のいずれかにおいて、二量体化またはさもなければより高分子量型への自己会合 する傾向が増大している。このアナログは溶液中で通常会合しているので、投与 により活性の緩慢な発現が達成される。 上に述べたように、本発明はインシュリンアナログの薬学的に許容し得る塩を 包含する。好ましいこのような塩は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩であ り、特には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはこれらの 組み合わせ、並びに亜鉛及びコバルト等の遷移金属塩である。 本発明に係るインシュリンアナログは、古典的(溶液)方法、固相法、半合成 法及びより最近利用可能となった組み替えDNA法を含む、認識されている様々 なペプチド合成技術のいずれかによって製造される。 固相技術においては、アミノ酸配列を、最初の、不溶性の、樹脂に担持させた C末端アミノ酸から順次構築する。固相法のための技術は、J.Stewart等,Soli d−Phase Peptide Synthesis,Freeman and Co.,San Francisco,1〜103(1969 )により記載されている。 一般に、固相法では、所望のペプチドのC末端アミノ酸残基に対応するアミノ 酸を不溶性樹脂支持体に固定し、次いでこの樹脂に担持させたC末端アミノ酸か らペプチド鎖の形成を開始する。個々のアミノ酸を、所望のアミノ酸配列が得ら れるまで順に導入する。別法として、小さなペプチドフラグメントを製造し、所 望の順序でペプチド鎖に導入することもできる。ペプチド鎖は合成の間ずっと樹 脂に結合したままであり、鎖の完成時にこのペプチドを樹脂から切り離す。 ペプチド鎖は、C末端部分のカルボキシ基と、この結合のための部位として樹 脂マトリックス上に存在する特異的なメチレン基との間に形成されるエステル結 合によって、ポリスチレン樹脂に結合する。 アミノ酸は、ペプチド結合の形成のための当分野で良く知られている技術を用 いて結合させる。一つの方法は、アミノ酸を、そのカルボキシ基がペプチド断片 の遊離N末端アミノ基とより反応し易くなるような誘導体に変換することを含む 。例えば、保護アミノ酸をクロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸 sec−ブチル、又はクロロギ酸イソブチルと反応させることにより、アミノ酸を 混合無水物に変換することができる。別法として、アミノ酸を、2,4,5−トリ クロロフェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、p−ニトロフェニル エステル、N−ヒドロキシサクシンイミドエステル、又は1−ヒドロキシベンゾ ト リアゾールから形成されるエステルのような活性エステルに変換することもでき る。 別の結合方法は、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はN ,N'−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)のような適当な結合試薬の使用 を含む。その他の適当な結合試薬は当業者にとって明らかであろう。引用して本 明細書の一部を構成する、Schroder and Lubke,The Peptides,Academic Press ,Chapter III(1965)を参照されたい。 ペプチド合成において使用される各アミノ酸のα−アミノ基は、反応性α−ア ミノ官能基が関与する副反応を防止するため、結合反応の間保護しなければなら ないということは、認識しておくべきである。さらに、或る種のアミノ酸は反応 性側鎖官能基(例えば、スルフヒドリル、E−アミノ、β−およびα−カルボキ シ、イミダゾール、グアニド及びヒドロキシ)を含んでおり、このような官能基 もまた、最初の及びこれに続く結合工程の両方の間、保護しなければならないと いうことは、認識しておくべきである。好適な保護基は当分野で知られている。 例えば、引用して本明細書の一部を構成する、Protective Groups in Organic C hemistry,M.McOmie,Editor,Plenum Press,N.Y.(1973)及び米国特許第 4,617,149号を参照されたい。 特定の保護基の選択に際し、或る種の条件を遵守せねばならない。α−アミノ 保護基は、(1)結合反応に使用される条件の下で、α−アミノ官能基を不活性 としなければならず、(2)側鎖保護基を除去せず、且つ当該ペプチド断片の構 造を変えない条件の下で、結合反応後に容易に除去され得なければならず、そし て(3)結合直前の活性化の際のラセミ化の可能性を排除せねばならない。側鎖 保護基は、(1)結合反応に使用される条件の下で側鎖官能基を不活性としなけ ればならず、(2)α−アミノ保護基の除去に使用される条件の下で安定でなけ ればならず、そして(3)ペプチド鎖の構造を変えない反応条件の下で、所望の アミノ酸配列の完成時に容易に除去されなければならない。 ペプチド合成にとって有用であることが知られている保護基が、それらの除去 に用いられる試薬と反応性において異なるであろうということは、当業者には明 らかであろう。例えば、トリフェニルメチルおよび2−(p−ビフェニリル)イ ソプロピルオキシカルボニル等の或る種の保護基は、極めて不安定であって、温 和な酸条件下で開裂することができる。t−ブチルオキシカルボニル、t−アミ ルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、及びp−メトキシベンジ ルオキシカルボニル等の、他の保護基は、それ程不安定でなく、これらの除去の ためにはトリフルオロ酢酸、塩酸、または酢酸中の三フッ化ホウ素等の中程度に 強い酸を必要とする。ベンジルオキシカルボニル、ハロベンジルオキシカルボニ ル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、 及びイソプロピルオキシカルボニル等の、さらに別の保護基は、さらに不安定性 が低く、これらを除去するためには、フッ化水素、臭化水素、又はトリフルオロ 酢酸中の三フッ化ホウ素酢酸錯化合物等の、より強い酸が必要である。 所望のペプチド配列が完成したならば、この保護ペプチドを樹脂支持体から切 り離し、全ての保護基を除去しなければならない。切り離し反応および保護基の 除去は、同時でも段階的に行ってもよい。樹脂支持体がクロロメチル化ポリスチ レン樹脂である場合、ペプチドを樹脂に固定している結合は、C末端部分の遊離 カルボキシ基と樹脂マトリックス上に存在する多数のクロロメチル基の1つとの 間に形成されるエステル結合である。この固定している結合は、エステル結合を 切断し、樹脂マトリックスに浸透することができると知られている試薬によって 切り離せるということは分かるであろう。一つの特に簡便な方法は、液体無水フ ッ化水素での処理によるものである。この試薬は、ペプチドを樹脂から切り離す だけでなく、全ての保護基を除去し得る。したがって、この試薬を使用すること により、完全に脱保護されたペプチドが直接得られる。保護基を除去することな くペプチドを切り離したい場合は、保護ペプチド−樹脂にメタノリシスを施して 、C末端カルボキシ基がメチル化された保護ペプチドを生成させることができる 。次いで、このメチルエステルを温和なアルカリ条件下で加水分解して、遊離C 末端カルボキシを生成させることができる。次に、ペプチド鎖上の保護基を、液 体フッ化水素のような強酸で処理することにより除去することができる。特に有 用なメタノリシスの方法は、保護ペプチド−樹脂を、クラウンエーテルの存在下 に、 メタノールおよびシアン化カリウムで処理する方法である。 保護ペプチドを樹脂から切り離すための、もう一つの方法は、アンモノリシス またはヒドラジン処理による方法である。所望ならば、得られたC末端アミドま たはヒドラジドを、遊離C末端カルボキシに加水分解し、保護基を常套的に除去 することができる。 N末端α−アミノ基上に存在する保護基は、保護ペプチドを樹脂支持体から切 り離す前またはこれと同時に、優先的に除去できることもまた理解されよう。 本発明に係るインシュリンアナログのA及びB鎖は、組み換えDNA法によっ ても製造することができる。これらの製造においては、所望のAまたはB鎖のペ プチドをコードするヌクレオチド配列を、このような合成のための現在では常法 となっている技術を用いて製造する。これらの方法は一般に、所望のコード配列 の断片及びその相補配列の両者をコードするオリゴヌクレオチドの製造を包含す る。このオリゴヌクレオチドは、コード配列の一つの断片が相補配列の二つの断 片と重複するように、また、その逆を与えるように設計される。このオリゴヌク レオチドを対形成させて合し、最終的に所望の遺伝子配列を生成させる。 この配列を、この配列がコードするペプチド生成物が発現され得るような位置 で、クローニングベクター中に挿入する。プロインシュリンおよびプロインシュ リンアナログを発現可能なプラスミドの構築が、Chance等,欧州特許公開第 0, 383,472号(1990年8月22日発行)に記載されており、その教示全体を引用して 本明細書の一部とする。 本発明に係るインシュリンアナログのA及びB鎖は、組み換えDNA技術を用 いてプロインシュリン様前駆体分子を経て製造することもできる。Frank等,Pep tides:Synthesis−Structure−Function,Proc.Seventh Am.Pept.Symp.,E ds.D.Rich E.Gross,729〜738(1981)を参照されたく、これを引用して本 明細書の一部とする。 いかに製造されようとも、個々のAおよびB鎖の結合の工程は、Chance等,Pe ptides:Synthesis,Structure and Function:Proc.Seventh American Peptid e Symposium.,721〜728(1981)の方法によって達成でき、これを引用して本 明細書の一部とする。 本発明において、ヒトインシュリンのPheB1をアスパラギン酸で置換し、さも なければリガンドによって誘導されるのみである、アロステリック亜鉛ヘキサマ ー中間体立体配座(T33)を安定に生じた。AspB1インシュリンT33立体 配座においては、1つの三量体がT状態にあり、残りの三量体がB鎖のN−末端 の30Åを越える移動を必要とするR状態にある。三量体の1つについて、イン シュリンアナログのAspB1側鎖は、外的リガンドによって通常生じる相互作用 の永久的な代替となるか又はこれを補う。フェノール性リガンドのAspB1イン シュリンへの添加により、他の三量体がR状態へと誘導される。このアロステリ ックな立体配座の状態は、インシュリンの標準のアロステリック状態と比較して AspB1インシュリンの円二色性分光法によって決定される。インシュリンヘキ サマーの構成的なR状態の形成は、インシュリンアロステリーへのさらなる洞察 を提供する。 本発明はまた、gluB13からglnB13への変化と組み合わさった、pheB1のaspへの 変化が、いかなる外的リガンドの存在もなしにR状態コンホメーションへと自己 会合するという驚くべき結果に、特に基づくものである。この変異インシュリン のaspB1側鎖は、フェノール型外的リガンドによって通常提供される相互作用の 、永久的な代替となるか又はこれを補う。glnB13置換は、このアナログインシュ リンを、亜鉛リガンドの非存在下で自己会合へと誘導する。aspB1glnB13インシ ュリンのこの構成的特性は、フムリンRと比較して、時間作用プロファイルおい て約70%の遅延をもたらす[短時間作用性合成ヒトインシュリン,Eli Lilly ,Indianapolis,IN]。インシュリンヘキサマーの解離は、外的リガンドの局所 的な濃度に依存するため、このアナログの延長された時間作用は、皮下注射部位 でのモノマーへの解離を減少させる傾向を有する。このアナログは、現在使用さ れているHUMULIN R希釈剤中で可溶性であるため、現在利用されている 遅効性インシュリンの懸濁液製剤の固有の繁雑さが回避される。 本明細書において、以下の略語、UVは紫外線;CDは円二色性;HPLCは 高速液体クロマトグラフィー;T及びR状態はそれそれ、アポインシュリン及び リガンド結合インシュリンヘキサマー;BHIは生合成ヒトインシュリン;Tri sは、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールである 。A及びB鎖のアミノ酸については、慣用の命名法を用いる。 以下の実施例1は、AspB1インシュリンの製造を示すものである。実施例2は 、AspB1GlnB13の製造と試験を示すものである。 以下の実施例は、本発明の説明手段として提供するものであり、本発明を限定 するものと解釈してはならない。 実施例1 実験手順 材料 亜鉛を含まない生合成ヒトインシュリン(BHI)をEli Lilly & Co.,Indi anapolis,INより得た。AspB1インシュリンアナログの合成に用いるTert−Bo c(第3級ブチルオキシカルボニル)アミノ酸は、Applied Biosystems,Inc., Foster City,CAから購入した。チオシアン酸カリウムをCEM Scienseから、 そしてm−クレゾールをAldrich Chemical Co.,Inc.,Milwaukee,Wisconsinか ら購入した。方法 タンパク質ストック溶液を、pH7.8の、20mMトリス又は50mMリン酸ナト リウム及び50mM塩化ナトリウム中に、既知質量のタンパク質を溶解させた後、 酸化亜鉛を添加して、タンパク質モノマー1molあたりの亜鉛終濃度を0.5mol とすることにより調製した。必要に応じ、溶液のpHを7.8に再調整した。タン パク質ストックの濃度を、AVIV14DS型ダブルビーム分光光度計を用いて 、UV吸収により測定した。タンパク質濃度は、BHIについては、276nm における吸光係数1.05(mg/mL)-1・cm-1[Frank等,Diabetes,21(Spp l.2),486〜491(1972)]、AspB1インシュリンについては276nmにおける吸 光係数1.06(mg/mL)-1・cm-1に基づいて計算した。円二色性測定はすべ て、AVIV62DS型分光光度計(Lakewood,NJ)を用いて得られ、結果は 単位がdeg・cm2・dmol-1の平均残基楕円率(MRE)として報告した。 AspB1インシュリンの合成及び単離 Applied Biosystems430A型シンセサイザーを使用し、天然のフェニルアラ ニン(PheB1)の代わりに、B1部位にアスパラギン酸置換を有するヒトインシ ュリンのB鎖の配列を合成した。この修飾したB鎖を逆相HPLCにより精製し 、アミノ酸分析によりキャラクタライズした。次いで、この精製したB鎖を、鎖 結合方法により、精製したヒトインシュリンA鎖に結合した。得られた鎖結合生 成物を逆相HPLC及びサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。AspB1 インシュリンを質量分析及びアミノ酸分析によりキャラクタライズした。 アナログ精製 AspB1を逆相HPLCにより精製し、分析用逆相HPLCの結果、最終の純 度は95%以上であった。さらに質量分析のデータは、5,774.7の質量を示 し、これは理論値の5,775.4と一致した。アミノ酸分析の結果は、付加的な 4番目のアスパルギン酸残基が存在し、元の3個のフェニルアラニンの1個が存 在していないことを示し、このことはAspB1インシュリンと一致する。 m−クレゾール及びKSCN滴定 一定の体積の、BHI又はAspB1インシュリンのどちらか一方のタンパク質 ストックを、種々の比率のm−クレゾールストック溶液及びpH7.8の20mMト リスとを混合して試料を調製し、所望のm−クレゾール濃度を得た。試料を混合 するためにタンパク質ストックを最後に加え、次いでこの溶液を静かに撹拌して 、タンパク質の最終濃度を約2mg/mLにした。KSCN滴定の試料は、タンパ ク質ストックの一定の体積と、種々の比率のKSCN及びpH7.8の20mMトリ スストックとを混合し調製し、所望のKSCN濃度を得た。タンパク質の画分を 、最後に加え、試料を静かに撹拌して最終のタンパク質の濃度を約2mg/mLに した。 試料はすべて、0.01cmCDセルを使用する遠UV CDにより、23℃に て測定した。224nmにおけるシグナルをm−クレゾール又はKSCNのいず れかの濃度の関数として記録した。 円二色性分光法 BHI及びAspB1インシュリンの両方について、m−クレゾール及びKSC N滴定曲線上の様々な点における近及び遠UV CDスペクトルを集めた。さら に二次構造を調べるために、0.01cmCDセルを使用して、250nm〜20 0nmの遠UV CDスペクトルを収集した。芳香族及びジスルフィドアミノ酸環 境の洞察を得るために、0.1cmCDセルを使用して、350nm〜250nmの 近UV CDスペクトルを集めた。 平衡超遠心 AspB1インシュリンのタンパク質ストックをpH7.8の20mMトリスに溶解 して、タンパクモノマー1molあたり0.5molの亜鉛の存在下で約3mg/mLに することによって、試料を調製した。Beckman XLA型分析用超遠心機,Fullte rton,CAを使用して、平衡超遠心のデータを22℃にて収集した。すべて炭素充 填したエポンで作った、標準の30mm及び12mmセンターピースを特注の3mmセ ンターピースとともに使用した。チャート記録装置から得た粗データを、スキャ ナーの内部キャリブレーションファクターを用いて、半径に対する濃度に変換し た。重量平均分子量を式: Mw=RT/(1−Vρ)ω2・1/r・1/C・dC/dr [式中Rは気体定数、Tは温度、ωはローターの速度、rは半径、Cは濃度、ρ は溶媒の密度を表す]によって、理想溶液として計算した。AspB1インシュリ ンは、インシュリンと同じ部分比体積0.73mL/gを有するとした。最小二乗 円滑法を用いてC及びdC/drを計算した。 AspB1インシュリンアロステリズムの分光学的特徴化 システイン及び芳香族残基の環境における変化の洞察を得るために、タンパク 質モノマー1molあたり亜鉛0.5molを含むBHI及びAspB1インシュリン溶 液を、m−クレゾールの存在下及び非存在下で、近UVでモニターした。0.1 %m−クレゾール存在及び非存在下のBHI及びAspB1インシュリンの近UV スペクトルを第1図に示す。BHI及びAspB1インシュリンアナログの亜鉛誘 導ヘキサマー状態における著しい相違が見られる。特徴的なヘキサマー配座T6 、T33、およびR6で表される3つの異なる種類のスペクトルが示されている 。フェノール性化合物又は無機イオンを含まない亜鉛−BHIヘキサマーの近U Vスペクトルは、T6状態を示し、過去の研究[Renscheidtら,Eur.J.Biochem .,142,7〜14(1984);Wollmerら,Biol.Chem.Hopper−Seyler,368,903〜91 1(1987)]と非常によく一致する。0.1%m−クレゾールの存在下でBHIが受 ける構造の変化は、255nmにおける楕円率(ellipticity)の増加によって示 されている。この楕円率の増加は、以前の発見[Renscheidtら,Eur.J.Bioche m.,142,7〜14(1984);Wollmerら,Biol.Chem.Hoppe−Seyler,368,903〜91 1(1987)]の典型であり、R6状態へのリガンド誘導的な立体配座の変化に対応し ている。最も注目すべき観察は、AspB1インシュリンの近UV CDスペクト ルである。ヘリックスを誘導するm−クレゾールの非存在下でAspB1インシュ リンのスペクトルは、同一条件下でのBHIのスペクトルと著しく異なる。BH Iの「元の」T6状態とBHIの最後のm−クレゾールで誘導されたR6状態との 間の中間のシグナルとともに、255nm付近で楕円率の増加が観察される。最 初にDB1インシュリンによって占有されるこの中間の立体配座は、自己誘導され たT33様状態であり、通常限られた量のフェノール性化合物又は無機アニオン の添加によってのみ惹起される立体配座である[Brader & Dunn,TIBS,16 ,341〜345(1991)]。0.1%無機クレゾールの添加により、AspB1インシュ リンの自己誘導されたT33状態がR6状態に変換され、同一の条件下でBHI と近UV CDが同一になる。したがってBHIとAspB1インシュリンは、0. 1%m−クレゾールの存在により、同一の最終的な立体配座の状態に達する。 近UV CDから得られた結論は、第2図の遠UV CDスペクトルによって確 証された。遠UV CDスペクトルは、タンパク質の二次構造の変化に特に感受 性が高く、第2図の結果は、T6、T33、及びR6様形態を明確に区別する。2 09nm及び224nmにおける楕円率にみられるように、同一条件下で、m−ク レゾール不存在下のAspB1インシュリンの方が、BHIよりも多いらせん含量 を有している。これは、AspB1インシュリンヘキサマー立体配座が、アロステ リック作用因子の不存在下で、BHIの立体配座と同一ではないという見解を支 持するものである。0.1%m−クレゾールの場合、BHI及びAspB1インシ ュリンはいずれもらせんの増加を示し同一の最終的なR6状態を生じる。したが って、フェノール性化合物を含まないAspB1インシュリンのスペクトルはBH IのT6状態とR6状態の間の中間であり、構造的なT33様状態を示すものであ る。リガンド誘導による立体配座の変化(m−クレゾール及びKSCN滴定) フェノール性化合物は、ヘキサマーのインシュリンに共同的に結合し、T状態 からR状態への完全な転移を誘導することが知られている[Brader & Dunn,T IBS,16,341〜345(1991)]。しかし、SCN-等の無機イオンは、T6状態 から安定な中間のT33立体配座への転移のみを誘導する;1個の三量体が無機 イオンによってR状態に変換できない[Krugerら,Biol.Chem.Hoppe−Seyler ,371,669〜673(1990)]。 BHI及びAspB1インシュリンのm−クレゾール滴定曲線を第3図に示す。 2つの重要な点を、これらの結果から解明でき、そのいずれもが第1及び2図に 示された分光学的データを支持している。第1点は、滴定曲線の起点と終点の間 の総楕円率変化を比較すると、AspB1における変化が、BHIにおける変化の 2分の1である。AspB1インシュリンの最初の点の平均残基楕円率(MRE) が、BHIの全滴定曲線の中間点に見られ、これは、1個の三量体が既にR状態 にあることを示している。第2点は、滴定の終点は、同一のMRE値であるとい うことであり、これは、同一の立体配座R6に到達していることを示している。 BHI及びAspB1インシュリンのKSCN滴定曲線を第4図に示す。第4図 のKSCN滴定曲線を、第3図のm−クレゾール滴定曲線と比較することにより 、KSCNの存在下で、BHIが2分の1しかT→Rの転換されないことが示さ れる。過去の知見[Krugerら,Biol.Chem.Hoppe−Seyler,371,669〜673(199 0)]によれば、KSCNは三量体1個のみのR状態を誘導し、BHIをT33状 態に固定する。しかし、AspB1インシュリンにおいては、KSCNの添加によ る転移が何ら見られないということは、インシュリンアナログが既にT33状態 に あり、アニオンの添加によって影響されないということを示している。凝集状態分析 T→R転移はヘキサマー状態においてのみ観察され、凝集状態分析を決定的に 重要なものにする。pH7.8の20mMトリス緩衝液中にタンパク質1molあたり 0.5molの亜鉛を含む亜鉛−AspB1インシュリンの平衡超遠心は、タンパク質 濃度1.5〜5mg/mLでヘキサマーの重量平均分子量を示した。したがって、 亜鉛−AspB1インシュリンと亜鉛−BHIの凝集状態[Grantら,Biochem.J. ,126,433〜440(1972)]は同一である。インシュリン及びAspB1インシュリンのアロステリー タンパク質の1次構造における僅かな変化が、化学的及び物理的特性にしばし ば劇的な変化をもたらす。このような劇的な変化がAspB1インシュリンに存在 する。B1部位における、フェニルアラニンからアスパラギン酸へのアミノ酸1 個の置換によって、安定なアロステリックヘキサマー中間体T33が亜鉛の存在 下で形成される。そうでなければ、この中間状態は、アロステリックリガンドに よって誘導されるのみである。第1図は、AspB1インシュリンは、近UVCD スペクトルによれば、インシュリンのT状態とR状態との間の中間体であること を示している。Krugerら[Krugerら,Biol.Chem.Hoppe−Seyler,371,669〜6 73(1990)]は、ジスルフィド結合の楕円率の変化としてT→R転移を伴う、近U V CDにおける変化を説明した。この説明は、1つの二量体に由来するA鎖の 残基と、隣接する二量体に由来するB1〜B8のらせん部分とから構成される、フ ェノール疎水性結合ポケットを示す、亜鉛−フェノールインシュリンヘキサマー のX線構造と一致する[Derewendaら,Nature,338,594〜596(1989)]。菱面体 結晶では、水素結合がフェノールとCA6のカルボニル酸素の間に生ずる[Smith & Dodson,Biopolymers,32,441〜445(1992)]。単斜晶系の結晶では、結合し たフェノールはCA6カルボニル酸素に水素結合を供与し、CA11アミド窒素から 水素結合を受け取る[Derewendaら,Nature,338,594〜596(1989)]。したがっ て、フェノールの結合により、フェノール結合部位の間近にあるA6−A11及び /又はA7−B7ジスルフィド結合の楕円性が直接変化し得る。ASPB1 インシュリンの遠UVCDスペクトル(第2図)により、T状態→R状態転移の 間の中間的構造が確認された。第3図及び第4図は、AspB1インシュリンが、 クレゾールの添加によりR6構造へ変換可能であることを示しているが、KSC Nは変化を誘導することはできない。これらの結果は、アロステリックリガンド を添加しない亜鉛−AspB1インシュリンは、安定なT33様中間体であり、S CN-等の小さなアニオン性リガンドによって通常転換される三量体が、特異的 にR様状態にあるということを示していると説明される。亜鉛−AspB1インシ ュリンの他の三量体は、m−クレゾールの添加によって、R状態への変換を受け ることが可能である(第3図)。平衡超遠心によれば、亜鉛−AspB1インシュ リンは、この研究において使用される条件下では、ヘキサマーである。AspB1インシュリンの自己誘導アロステリズムの説明 AspB1インシュリンの自己誘導されたアロステリズムについて、2つの考え られる機構が提唱されている。第一は、AspB1のβ−カルボキシの負の荷電と 、B鎖のN−末端におけるα−ヘリックス双極子の正の荷電との間の、らせん安 定化の相互作用に関わる機構である。R状態においては、らせんがN−末端に伸 びており、B1〜B19の残基を含んでいる。α−ヘリックスのN−末端残基の4 個の骨格アミドは、水素結合しておらず、正の双極子を生じない[Holら,Natur e,273,443〜446(1978);Shoemakerら,Nature,326,563〜567(1987)]。負に 荷電した側鎖を有するアミノ酸は、らせんのN−末端では好ましく、電荷−双極 子相互作用により、らせんの安定化を助けることが示されている[Shoemakerら ,Nature,326,563〜567(1987);Presta & Rose,Science,240,1632〜1641( 1988);Richardson & Richardson,Science,240,1648〜1652(1988);Serrano ら,Nature,342,296〜299(1989)]。したがって、AspB1は、電荷−双極子 相互作用によりR状態を安定化すると予想される。この機構においては、なぜ1 つの三量体のみがR状態に転換されるのかはっきりしない。恐らく、電荷−双極 子相互作用による安定化エネルギーは、1つの三量体を転換するのに十分である が、三量体の間に存在する負の共同のために、他の三量体を転換するには不十分 であるからであろう[Krugerら,Biol.Chem.Hoppe−Seyler,371,669〜673(1 990)]。この機構によれば、第3及び4図の結果は、小さいアニオン性リガンド によって転換された三量体が、電荷−双極子相互作用によってR状態に転換され る三量体であるということを示すであろう。この機構をさらに拡張すれば、さも なければB鎖のα−アミノN−末端の正電荷との好ましくない相互作用を有する であろうらせん双極子の塩遮蔽効果により、小さいアニオンの塩がインシュリン の三量体の1つをR状態に転換することが可能であるということである。 AspB1の自己誘導アロステリズムに関する、もう1つの提唱された機構は、 AspB1のβ−カルボキシが、2個の亜鉛イオンの一方に配位部位を提供すると いうものである。菱面体R6インシュリン/フェノール複合体の近年のX線構造 により、フェノールが亜鉛イオンの1つの配位距離内(亜鉛−酸素間の距離2. 1Å)に位置する、7番目のフェノール結合部位が同定された[Smith & Dodso n,Biopolymers,32,441〜445(1992)]。菱面体R6ヘキサマーについては、2 つの三量体は異なっており、一方の三量体は、3個のHB10原子と1個のClに四 面体に配位した亜鉛原子を含んでおり、他方の三量体は、3個のHB10原子と1 個のフェノール系化合物に四面体に配位した亜鉛原子を含んでいる[Smith & D odson,Biopolymers,32,441〜445(1992)]。この機構において、AspB1部分 が、亜鉛が配位したフェノール系化合物を置換している。菱面体R6ヘキサマー の1つの三量体のみが配位したフェノール系化合物を有しているので、この機構 により、AspB1インシュリンヘキサマーの、生じたT33性がうまく説明され る。菱面体R6インシュリン/フェノール性化合物複合体のX線構造は、PheB1 が7番目のフェノール結合部位と間近に接近しているということを示している[ Smith & Dodson,Biopolymers,32,441〜445(1992)]。PheB1の正確な位置は 、恐らく高い熱運動性と不規則性に起因して、PheB1が電子密度地図からでは明 らかでないため、結晶構造によっては決定できない[Smith & Dodson,Biopoly mers,32,441〜445(1992)]。 結果は、誘導可能なアロステリックリガンドの存在下で、AspB1インシュリ ンが安定なT33中間体として存在していることを示している。アロステリック タンパク質の立体配座の特性におけるこのような劇的変化は、たった1個のアミ ノ酸の変化により達成可能である。このような結果は、アロステリックタンパク 質の配座異性体間の微妙なバランスを強調するものである。 インシュリンのアロステリックな性質は、インシュリンの医薬的用途において 重要な役割を担っている。大部分のインシュリン医薬製剤は、安定性に重要な影 響を及ぼすR状態を多く含有する傾向がある[Brangeら,Pharm.Res.,9,715 〜726(1992a);Brangeら,Pharm.Res.,9,727〜734(1992b);Brange & Langkjaer,Acta Pharm.Nord.,4,149〜158(1992)]。T→R転移による生 体内での他の生物学的影響は示されていない。自己誘導され、アロステリック転 移に外的なリガンドを要求しない安定なT33中間体は、T状態とR状態との生 物学的相異を決定するために非常に有用である。 実施例2 AspB1、GlnB13ヒトインシュリンB鎖の製造 Applied Biosystems,Inc.(Foster City,CA)430Åペプチドシンセサイ ザー(ソフトウエア改訂版1.4を含む)を、粗製ペプチジル樹脂の製造に使用 した。0.5ミリモル(mMol)の出発固相樹脂(t−BOC−Thr(Bzl)OCH2 PAM樹脂,Applied Biosystems,Inc.Foster City,CA)を使用した(0. 72mMol/g×0.77g,10%過剰)。使用したアミノ酸残基は、BOC( BOCはtert−ブチルオキシカルボニル)で保護し、グルタミン酸とアスパラギ ン酸以外はすべて入手したまま使用した(即ち、Applied Biosystems,Inc.か らのカートリッジで;各カートリッジには約2mMolの保護アミノ酸が入っている )。グルタミン酸及びアスパラギン酸は、販売元から入手し、各カートリッジに 所望のアミノ酸が約2mMol入るようカートリッジに移した。粗製ペプチジル樹脂 を室温にて4時間真空乾燥し、その重量を始めの重量と比較し、重量の増分が合 理的であることを確認した。試料の一部をアミノ酸分析に供し、所望のアミノ酸 が正確な比率で添加されていることを確認した。 このペプチドを、ペプチジル樹脂から切り離し、ペプチジル樹脂1部に対し1 0部(体積/重量)のHF(5%(体積/体積)p−チオクレゾールと5%(体 積/体積)m−クレゾールを含む)溶液中、0℃にて、約1時間撹拌することに より、側鎖を脱保護した。真空によりHFの大部分を除去した後、ペプチドは冷 却したエチルエーテル中に沈殿させた。冷却エチルエーテルで数回洗浄した後、 真空濾過し、ペプチドを、0.1Mトリス、35mg/mL Na2SO3及び25mg /mL Na246を含むpH10の7Mグアニジン−HCl約200mL中に溶解 した。この溶液を5N NaOHでpH8.8に調整し、室温で1.7時間激しく撹 拌した。 得られたS−スルホン化されたペプチド溶液を、室温にて、5×215cmのS ephadex G−25カラム(coarse)に充填した。試料を室温にて、10%アセトニ トリル中の50mM NH4HCO3を用いて70mL/分で溶出させた。この溶出液 を276nmでモニターし、所望の溶出液のプールを得、凍結乾燥した。ヒトインシュリンA鎖とAsp(B1),Gln(B13)ヒトインシュリンB鎖の結合 A及びB鎖の結合は、前述の欧州特許第0,383,472号に記載の通り、 組み換えによって製造したA鎖を用いて、Chanceらの方法によって行った。組み 換えDNA由来A鎖S−スルホネート 6.13gと合成Asp(B1),Gln(B13) B鎖S−スルホネート1.38gをビーカー中で一緒にし、4℃にて0.1Mグリ シン662mL中に溶解した。溶液のpHを5N NaOHで10.5に調整し、4 ℃に保った。ジチオスレイトール(DDT)溶液を、常温で0.1Mグリシン緩 衝液中で15.5mg/mLに調製し、pHを5N NaOHで10.5に調製した後 、4℃に冷却した。 DDT溶液48.7mLを素早く、A鎖とB鎖S−スルホネートを一緒にしたこ の溶液に加えた(SH/SSO-3=1.1)。反応溶液を10.5にpH調整し、 4℃にて、2Lビーカー中で29.5時間撹拌した。酢酸を加えて反応をクエン チし、pHを5.5に下げた。 得られた沈殿した試料を、4℃にて2000rpmで20分間遠心分離した。 上清を傾斜し、ペレットを4℃に保った(以下参照)。冷却アセトン140mL を上清70mLに加え、さらなる生成物を沈殿させた。4℃にて、2000rp mの遠心分離を用い、不溶性の物質を分離した。上清を捨て、ペレットを最初の ペレット(上記)と合した。このペレットを、pH7の、7MグアニジンHCl、 10%アセトニトリルを含む10mM Na246の375mL中に溶解した。この 試料を5×200cmのG−25(Coarse)に70mL/分で充填し、10 %アセトニトリル中に0.1M(NH42HPO4、0.001M Na246を含 むpH7の緩衝液を用いて70mL/分で室温にて溶出することにより、溶媒交換 した。1540mLのプールを集めた。このプールを2.2×25cm Dupont(Rockla nd Technologies)ZORBAX C−8逆相HPLCカラムを用い、0.1M p H7(NH42HPO4、0.001M Na246中のアセトニトリルの(増加 する)直線勾配により溶出し、精製した。分析用HPLCによる分析の後、選択 された画分を集め、2倍に希釈し、0.1%TFA(Applied Biosystems,Inc. ,Foster City,CA)及びアセトニトリルの直線グラジェントを用いて、VYDAC C−18(The Munhall Co.,Worthington,OH)によって精製した。分析用HP LCにより選択された画分を集め、凍結乾燥した。この凍結乾燥した試料を20 mM pH7のトリス、30%アセトニトリル中の0.001M Na246の溶液中 に溶解することにより、さらに精製した。この溶液を1×10cm Pharmacia(P iscataway,NJ)MONO−Qカラム上に4mL/分で充填し、20mM pH7ト リス、30%アセトニトリル中の0.001M Na246、及びNaClの(増加 する)直線勾配により室温にて溶出した。選択された画分の分析用HPLC分析 の後、プールを得、MILLI−Q水(Millipore,Inc.,Bedford,MA)で4倍 に希釈し、最終的に脱塩/精製のために、0.1%TFAとアセトニトリル(上 記)を用いて、1×25cmのVydacC−18カラム(The Munhall Co.,Worthin gton,OH)上に充填した。選択された画分の、最終的な分析用HPLCの後、集 めて凍結乾燥し、98%純度を越える物質10.7mgを得た。 高速原子衝撃質量分光法(FAB/MS)及びアミノ酸分析により構造を実証 した。FAB/MSの結果は、分子量の5774.8(理論値:5774.5)で あった。モラーユニティとしてアスパラギン酸を基準とするアミノ酸組成は、以 下の通りであった(理論的なアミノ酸の比率は括弧内):Asp,4.00(4) ;Thr,2.77(3);Ser,2.42(3);Glu,6.91(7);Gly, 3.84(4);Ala,0.86(1);1/2Cys,4.06(6);Val,3. 36(4);Ile,1.67(2);Leu,5.62(6);Tyr,3.57(4 );Phe,2.00(2);His,2.14(2);Arg,0.95(1) 円二色性及びAspB1GlnB13のヘリシティーの結果を表1及び2に示す。 実施例3 中作用性インシュリンとしてのAspB1GlnB13ヒトインシュリンの評価を助け るために、以下の一連の実験を行った。AspB1GlnB13ヒトインシュリン、HU MULIN L(中作用性インシュリン製剤)及びHUMULIN R,(Eli L illy,Indianapolis,IN)(短時間作用性インシュリン製剤)の時間作用プロフ ァイルをすい臓を除去した2組の犬で測定し、結果を比較した。 実験は意識のある体重9.5−14.7kgのオスおよびメスのビーグル成犬( Marshall Farms,North Rose,NY)を使って行った。実験の少なくとも3週間前 にイソフルラン(Anaquest,Madison,WI)麻酔薬(麻酔誘導の為にブレビター ルを使用した;イーライ・リリー・アンド・カンパニー、インディアナポリス、 IN)を使って開腹し、膵臓を全摘した(Markowitz,J.,et al.,Experimental Surgery Insluding Surgical Physiology,pp.236-252(1964))。腹腔を閉じる 際、左の鼠蹊部に切り込みを作り、シラスティックカテーテル(Dow Corning Co rp.,Midland,MI)を大腿部動脈に挿入した。カテーテルの別の末端をトロカー ル(針)を使って背中の皮下に通した。カテーテルをグリセリン/ヘパリン溶液 (3:1、v/v;最終ヘパリン濃度は250KIU/ml;グリセリンはSigm a Chemical Co.,St.Louis,MO、ヘパリンナトリウムはElkins-Sinn Inc.,Cher ry Hill,NJから入手)で満たし、カテーテルの別の末端を皮下ポケットに入れ て固定し、皮膚を完全に閉じた。ペニシリンG(600,000U,i.m.;Th e Butler Co.,Columbus,OH)およびデメロール(Sterling Animal Health Pro ducts,New York,NY)を術後投与した。 糖尿病の動物に1日2回、えさ/インシュリンを与え続け(Hill's Science Di et,Canine Maintenance,Hill's Pet Products,Inc.,Topeka,KS;ぶたNPHイン シュリン、イーライ・リリー・アンド・カンパニー、インディアナポリス、IN )、ビオカーゼ(A.H.Robins Co.,Richmond,VA)をえさに添加し、膵臓酵素に 代えた。えさの投与は体重が変化しないように調節し、インシュリンは糖尿を 最小限にするよう調節した。 実験日の直前に採血し動物の健康を調べた。ヘマトクリットが38%以上、白 血球数が16,000/mm3の動物だけを使用した。 実験の前日はNPHインシュリンを被検動物に与えなかった。えさ(+ビオカ ーゼ)は通常通り与えた。栄養負荷の処理を助けるため大量の午後のえさと共に 4単位の通常のブタインシュリン(イーライ・リリー・アンド・カンパニー、イ ンディアナポリス、IN)を投与した。実験の前の午後、動脈カテーテルの別の 末端を皮下ポケットから、局所麻酔(2%リンドカイン、The butler Co.,Colu mbus,OH)下に切開した小さな切れ目を通して体外に出し、イヌをテザーシステ ムジャケットと首輪の組み合わせで固定した。 実験の朝、カテーテルの内容物を吸引し、カテーテルを食塩水で洗い、延長ラ イン(ステンレススチールのテザーで保護)をカテーテルに取り付けた。イヌを 代謝ケージに入れ、カテーテル延長ラインとテザーをスイベルシステムに取り付 け、イヌがケージの周りを自由に動けるようにした。ケージにいれてから15分 後そして最後にえさを与えてから約17時間後、最初の対照試料をとった。15 分後2回目の対照試料をとり、被検物質(0.3U/kg;Humulin L,Humulin R およびAspB1GlnB13ヒトインシュリンのU−100製剤)(後者は分子基準で 天然のヒトインシュリンと同等活性であると見積もられている)を首の背面部に 皮下注射した。AspB1GlnB13ヒトインシュリンをHumulin Rと同様に製剤化した 。それは3.5mg/mlのタンパク、2.5mg/mlのm−クレゾール、16 mg/mlのグリセリンおよび0.02mg/mlの亜鉛を含んでいた。これに 続く6ないし15時間の間、5ないし30分間隔で採血し、ヘパリンナトリウム (Terumo Medical Corp.,Elkton,MD)を含む真空採血チューブに集めた。血漿 を除いた後、食塩水で細胞を3回洗い、食塩水に再懸濁し、動物に注入した。実 験の終わりに動物を麻酔し(イソフルラン)、カテーテルを新しい食塩水で洗い、 グリセリン/ヘパリン混合物で満たし、カテーテルの別の末端を、既に述べたよ うに皮下に挿入固定し、以前と同様にイヌを抗生物質で処置した。 実験当日、血漿グルコースレベルを対になったヘキソキナーゼ手法と臨床化学 分析器(Kornberg,A.,et al.,Methods in Enzymology; Bathelmai,W.,et al .,Klin.Wochenschr.40:585(1962))(Monarch,Instrumentation Laboratory, Lexington,MA)を使って測定した。 Humulin Rは5匹のイヌで評価し、Humulin LおよびAspB1GlnB13ヒトイン シュリンは第2の3匹のイヌ群で評価し、データベースの部分的な組み合わせを 可能にした。結果を以下の表3及び4に示す。 当業者にはよく知られているように、イヌのデータは直接ヒトに置き換えるこ とができる。このことは例えばGoeders,L.A.,Esposito,L.A.,and Peterso n,M.E.,Domestic Animal Endocrinology 4,43-50(1987)に示されている。表 3はAspB1GlnB13インシュリンは長期活性化を可能にするリガンドの非存在下で 自己誘導のコンフォメーションを持つ。この結果は予想外であった。 既述した様に、フェノール性リガンドのための金属イオンの非存在下で本発明 のインシュリン類似体は、自己凝集して高分子量型になる傾向が強い。従って、 このような類似体を投与すると活性の開始を遅らせることができる。本発明のイ ンシュリン類似体はその有効量を、それを必要としている患者に投与することに より高血糖の治療に有効である。本明細書において有効量とは、治療的または予 防的に血糖値を下げるか維持するに必要な本発明のインシュリン類似体(1また はそれ以上)の量を言う。この量は通常約5単位から約200単位またはそれ以 上/日の範囲である(すなわち、mgあたり約28.6単位と仮定すると約0.1 75ないし約7mg)。投与量はヒトインシュリンのそれと同様である。しかし 実際に投与されるインシュリン類似体の量は処置される状態(すなわち高血糖の 原因、投与しようとする類似体の種類、選択する非経口投与ルート、個々の患者 の年令、体重および反応性、および患者の症状の重篤性などの状況)に応じて医 者により決定されるべきであることは理解されよう。従って上記の投与範囲はい かなる意味においても本発明の範囲を限定するものではない。 本発明のインシュリン類似体はアスパラギン酸アラニン残基をB鎖の1位に含 んでいる少なくとも1種のインシュリン類似体の有効量を、1またはそれ以上の 薬学的に許容し得る賦形剤または担体と共に含んでいる医薬組成物を、それを必 要としている患者(すなわち高血糖に苦しんでいる患者)に投与することにより 行われる。この目的のための医薬組成物は通常100単位/mlまたはその類似 の濃度のインシュリン類似体の有効量を含むように製剤化する。必ずしも必要で はないが、この医薬組成物は通常非経口的製剤であり、当業者にはよく知られて いる非経口製剤用の通常の賦形剤または担体を使って種々の方法により製造する ことができる。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences,17th Edition,M ack Publishing Company,Easton,PA,USA(1985)参照(この内容は本明細書の一 部を構成する)。例えば非経口投与用製剤は少なくとも1種のインシュリン類似 体の所望量を水性媒体のような注射に適した非毒性液状担体に溶解し、その懸濁 液または溶液を滅菌することにより製造することができる。投与前に混合する目 的でバイアルまたは賦形剤を添付してもよい。非経口投与用に適した医薬組成物 は希釈剤、賦形剤および担体(例えばグリセリン、セサミオイル、アメリカホド イモ、水性プロピレングリコール、N,N’−ジメチルホルムアミド等の水混和 性有機溶媒および水)を使用する。医薬組成物の例として、インシュリン類似体 の無菌の等張化水性食塩溶液であって薬学的に許容し得る緩衝剤で緩衝化し、パ イロジェン除去することができるものを挙げることができる。さらに非経口医薬 製剤はフェノールやm−クレゾールのような防腐剤を含んでいてもよい。水酸化 ナトリウムや塩酸のような最終産物のpHを調節する物質を使用してもよい。 本発明のインシュリン類似体は経鼻投与に適した医薬組成物に製剤化してもよ い。このような組成物はヨーロッパ特許出願0200383 A3に詳しく記載 されており、その内容は本発明の1部を構成する。簡単に述べると、そのような 製剤は、1またはそれ以上の薬学的に許容し得る希釈剤、薬学的に許容し得る量 のアルカリ金属塩、アンモニウム塩または実質的に亜鉛を含まないインシュリン および所望により少なくとも1種の吸収促進剤((1)オレイン酸またはそのエ ステルあるいは塩、(2)液状のソルビタン脂肪酸エステル、(3)液状のソル ビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、および(4)液状のヒドロ キシポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンコポリマ ーからなる群から選ばれる)を用いて製剤化する。 以上の記述は本発明を例示するものであって、本発明は特許請求の範囲によっ てのみ制限を受けるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UG,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.式で示され、A鎖およびB鎖の7位のCysを介して、配列番号2のB鎖 と適切に架橋結合している配列番号1のA鎖からなる群から選択される亜鉛イオ ンヘキサマーインシュリン類似体。 2.B鎖の13位のXaaがGlnである請求項1のヘキサマー。 3.B鎖の13位のXaaがGluである請求項1のヘキサマー。 4.インシュリン類似体がT33状態に似た中間的立体配置をとっている請求 項1のヘキサマー。 5.インシュリン類似体がR6状態に似た最終立体配置をとっている請求項1 のヘキサマー。 6.ヘキサマーの立体配置の変化を生じしめるリガンドを実質的に含んでいな い請求項1のヘキサマー。 7.式で示され、A鎖およびB鎖の7位Cysを介して、配列番号2のB鎖と 適切に架橋結合している配列番号1のA鎖から選ばれるインシュリン類似体およ び該類似体の薬学的に許容し得る塩。 8.配列番号2の13位のXaaがGluである請求項7に記載のインシュリ ン類似体。 9.配列番号2の13位のXaaがGlnである請求項7に記載のインシュリ ン類似体。 10.式で示され、A鎖およびB鎖の7位Cysを介して、配列番号2のB鎖と 適切に架橋結合している配列番号1のA鎖から選ばれるインシュリン類似体およ び該類似体の薬学的に許容し得る塩の有効量を、それを必要としている患者に投 与することからなる、高血糖の治療法。 11.配列番号2の13位のXaaがGlnである請求項10の治療法。 12.配列番号2の13位のXaaがGluである請求項10の治療法。 13.式で示され、A鎖およびB鎖の7位Cysを介して、配列番号2のB鎖と 適切に架橋結合している配列番号1のA鎖から選ばれるインシュリン類似体およ び該類似体の薬学的に許容し得る塩、を薬学的に許容し得る希釈剤中に含んでな る医薬組成物。 14.配列番号2の13位のXaaがGluである請求項13に記載の医薬組成 物。 15.配列番号2の13位のXaaがGlnである請求項13に記載の医薬組成 物。
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