【発明の詳細な説明】
チミジンキナーゼ変異体技術分野
本発明は、大きくはHerpesviridaeの変異酵素に関し、より詳細にはチミジン
キナーゼ変異体を利用する組成物および方法に関する。発明の背景
多くの細菌性疾患は、一般に、抗生物質で容易に処置されるが、多くのウイル
ス性疾患、寄生生物性疾患、ガン性疾患、および遺伝性疾患に対して効果的な処
置は、ほとんど存在しない。例えば、ガンは、固形腫瘍の外科手術的切除により
処置され得る。それにも関わらず、固形腫瘍を有する大多数の患者はまた、原発
性腫瘍部位以外に微小ガン組織の転移を保持する。外科手術単独での処置の場合
、これらの患者の約70%が、ガンの再発を経験する。したがって、ガンは、米国
における総死亡数の5分の1を占め、そして第2位の死因である。
外科手術に加えて、多くのガンが、現在、細胞障害性化学治療剤(例えば、ビ
ンクリスチン、ビンブラスチン、シスプラチン、メトトレキセート、5-FUなど)
を包含する治療および/または放射線治療を組み合わせて処置されている。しか
し、このアプローチの1つの困難性は、放射線治療剤および化学治療剤が、正常
な組織には毒性であり、そしてしばしば、生命を脅かす副作用を引き起こすこと
である。さらに、これらのアプローチは、しばしば、極めて高い不全/緩解比(
ガンのタイプに依存して90%まで)を有する。
多くの他の方法がガン細胞を除去するために個体自身の免疫系を増強(bolste
r)または増加させるために試みられてきた。例えば、幾人かの科学者は、免疫
系を刺激して腫瘍細胞を破壊するために、細菌成分またはウイルス成分をアジュ
バントとして利用してきた。このような薬剤は、一般的に、アジュバントとして
、および動物の腫瘍モデルの非特異的刺激剤として有用であるが、未だに、ヒト
において一般的に有効であることが証明されていない。
リンホカインはまた、免疫応答の生成において特異的な免疫細胞を刺激または
影響するために、ガン(ならびにウイルス性疾患、および寄生生物性疾患)の処
置に利用されてきた。例えば、あるグループは、末梢血細胞を刺激して腫瘍細胞
に細胞障害性である大量の細胞を増殖および産生するために、リンホカインイン
ターロイキン-2を利用した(Rosenbnergら、N.Engl.J.Med.313:1485-1492、1985
)。
別のグループは、特異的モノクローナル抗体または「魔法のカプセル(magic
bullet)」を用いた抗体介在処置を使用して、腫瘍細胞を特異的に標的化して、
そして殺傷することを示唆している(Dillman、「Antibody Therapy」、Princip
les of Cancer Biotherapy,Oldham編、Raven Press Ltd.、New York,1987)。
しかし、1つの困難性は、ほとんどのモノクローナル抗体がマウス起源であり、
それゆえマウス抗体に対する過敏性により、特に治療を繰り返した後に、その効
力を制限され得ることである。共通の副作用には、発熱、発汗、および悪寒、皮
膚発疹、関節炎、神経麻痺が挙げられる。
近年、重要な問題を蓄積してきた1つのアプローチは、遺伝子治療の使用であ
る。遺伝子治療は、遺伝性疾患のみでなく、ウイルス性疾患およびガン性疾患も
処置するために利用されてきた(PCT公開WO91/02805号、EPO415,731号、およびW
O90/07936号を参照のこと)。簡単に述べると、ウイルスに由来する特別に設計
されたベクターを、特定の遺伝情報を細胞に送達するために使用する。このよう
な遺伝情報は、それ自身で損傷タンパク質(damaging protein)または抗原の発
現をブロックするために有用であり得(例えば、アンチセンス治療)、毒性であり
選択された細胞を殺傷するタンパク質をコードし得、細胞の免疫応答を増強する
治療タンパク質をコードし得るか、または不活性なタンパク質または存在しない
タンパク質に置き換わるタンパク質をコードし得る。
このような治療における使用に対して、近年示唆されている1つのタンパク質
は、単純ヘルペスウイルス1型のチミジンキナーゼ(HSVTK-1)である。簡単に
述べると、チミジンキナーゼは、天然のヌクレオシド基質ならびにヌクレオシド
アナログをリン酸化するサルベージ経路酵素である(Balasubramaniamら、J.of
Gen.Vir.71:2979-2987,1990を参照のこと)。このタンパク質は、細胞内に
このタンパク質を発現するレトロウイルスベクターを導入した後、ヌクレオシド
アナログ(例えば、アシクロビルまたはガンシクロビル)の投与により治療的に
利用され得る。次いで、HSVTK-1は、ヌクレオシドアナログをリン酸化し、宿主
細胞を殺傷し得る毒性産物を生成する。したがって、HSVTKを発現するレトロウ
イルスベクターの使用は、ガンを処置するのみでなく、他の疾患もまた処置し得
ることが示唆されてきた。
本発明は、多様な適用(例えば、遺伝子治療)に適切である生物学的活性が増
加した新規なチミジンキナーゼ変異体を提供し、そしてさらに他の関連する利点
を提供する。
発明の要旨
簡単に述べると、本発明は、Herpesviridaeのチミジンキナーゼ変異体を利用
する組成物および方法を提供する。本発明の1つの局面において、1つ以上の変
異を有するHerpesviridaeのチミジンキナーゼ酵素をコードする単離された核酸
分子が提供され、少なくとも1つの変異は、DRHヌクレオシド結合部位から上流
に、アミノ酸置換をコードし、非変異チミジンキナーゼに比べて、チミジンキナ
ーゼの生物学的活性を増加させる。他の局面において、変異は、DRHヌクレオシ
ド結合部位内でのアミノ酸置換であり、非変異チミジンキナーゼに比べて上記チ
ミジンキナーゼの生物学的活性を増加させる。さらに別の局面において、1つ以
上の変異を有するHerpesviridaeのチミジンキナーゼ酵素をコードする単離され
た核酸分子が提供され、少なくとも1つの変異は、DRHヌクレオシド結合部位か
ら下流(例えば、4、5、または6ヌクレオチド下流)での、アミノ酸置換であ
って、非変異チミジンキナーゼに比べて、チミジンキナーゼの生物学的活性を増
加させる。適切なHerpesviridaeのチミジンキナーゼ酵素の代表的な例には、単
純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ、単純ヘルペスウイルス2型チミジン
キナーゼ、水痘-帯状疱疹ウイルスチミジンキナーゼ、およびキヌザルヘルペス
ウイルス、ネコヘルペスウイルス1型、仮性狂犬病ウイルス、ウマヘルペスウイ
ルス1型、ウシヘルペスウイルス1型、七面鳥ヘルペスウイルス、マレク病(Mar
ek's disease)ウイルス、サルヘルペスウイルス(herpesvirus saimiri)、および
Epstein-Barrウイルスチミジンキナーゼが挙げられる。別の実施態様において、
チミジンキナーゼは、霊長類ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、または非霊長
類ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(例えば、トリヘルペスウイルスチミジン
キナーゼ)であり得る。
広く多様な変異が、本発明において意図される。例えば、1つの実施態様にお
いて、DRHヌクレオシド結合部位から1〜7アミノ酸上流での1つ以上のアミノ
酸の置換をコードする変異が、記載される。好ましい実施態様において、DRHヌ
クレオシド結合部位から上流の1つの位置であるアミノ酸は、バリン、ロイシン
、システイン、およびイソロイシンからなる群より選択されるアミノ酸で置換さ
れる。別の好ましい実施態様において、アミノ酸のアラニンは、DRHヌクレオシ
ド結合部位から7アミノ酸上流に存在するアミノ酸を置換する。他の実施態様に
おいて、グルタミン酸は、DRHヌクレオシド結合部位中のアスパラギン酸を置換
し得る。別の実施態様において、ヒスチジン残基は、DRHヌクレオシド結合部位
中のアルギニンを置換し得る。別の実施態様において、チミジンキナーゼ酵素は
短縮され、そしてそれでも生物学的活性を保持している。
本発明のさらなる実施態様において、単離された核酸分子が提供され、これは
野生型チミジンキナーゼ酵素によるヌクレオシドアナログのリン酸化を、少なく
とも1倍を超えてヌクレオシドアナログをリン酸化し得る、チミジンキナーゼ酵
素をコードする。別の実施態様において、チミジンキナーゼ酵素は、野生型チミ
ジンキナーゼ酵素によるヌクレオシドアナログのリン酸化を、少なくともX倍を
超えて、ヌクレオシドアナログをリン酸化する。ここで、Xは、1.5、2、2.5、
3、3.5、4、4.5および5からなる群より選択される。さらに別の実施態様にお
いて、チミジンキナーゼ酵素は、ヌクレオシドアナログをリン酸化し得、ここで
、ここでTKmNApは、チミジンキナーゼ変異体によるヌクレオシドアナログのリン
酸化の速度であり、TKmTpは、チミジンキナーゼ変異体によるチミジンのリン酸
化の速度であり、TKwtNApは、非変異チミジンキナーゼ酵素によるヌクレオシド
アナ
ログのリン酸化の速度であり、TKwtTpは、非変異チミジンキナーゼ酵素によるチ
ミジンキナーゼ酵素のリン酸化の速度であり、そしてzは、1、1.5、2、2.5、
3、3.5、4、4.5、および5からなる群より選択される。適切なヌクレオシドの
アナログの代表的な例には、ガンシクロビル、アシクロビル、ファムシクロビル
、ブシクロビル、ペンシクロビル、バルシクロビル(valciclovir)、トリフルオ
ロチミジン、1-[2-デオキシ,2-フルオロ,β-D-アラビノフラノシル]-5-ヨード
ウラシル、Ara-A、AraT(1-β-D-アラビノフラノシルチミジン)、5-エチル-2'-
デオキシウリジン、5-ヨード-5'-アミノ-2,5'-ジデオキシウリジン、イドキシウ
リジン、AZT、AIU、ジデオキシシチジン、およびAraCが挙げられる。
ヌクレオシドアナログのリン酸化を増加するのに、特に好ましい変異体のチミ
ジンキナーゼは、酵素が単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼであり、さ
らにアミノ酸のアラニンが155位でプロリンを置換し、そしてアミノ酸のバリン
が161位でフェニルアラニンを置換する変異体のチミジンキナーゼを含む。他の
実施態様において、イソロイシンが161位でフェニルアラニンを置換し得、そし
てシステインが161位でフェニルアラニンを置換し得る。
本発明の別の局面において、上記の核酸分子によりコードされる変異体のチミ
ジンキナーゼ酵素が提供され、ならびにこのような分子を発現し得るベクターも
提供され得る。1つの局面において、発現ベクターが提供され、これは本発明の
核酸分子に作動可能に連結されたプロモーターを含む。好ましい局面において、
ベクターは上記の核酸分子の発現を導き得るウイルスベクターである。このよう
なウイルスベクターの代表的な例には、単純ヘルペスウイルスベクター、アデノ
ウイルスベクター、アデノウイルス関連ウイルスベクター、ポックスウイルスベ
クター、パルボウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、およびレトロウ
イルスベクターなどが挙げられる。別の局面において、ウイルスベクターが提供
され、これは、1つ以上の変異を有するチミジンキナーゼ酵素をコードする核酸
分子の発現を導き得る。これらの変異の少なくとも1つが、変異されていないチ
ミジンキナーゼに比べてチミジンキナーゼの生物学的活性を増加するアミノ酸の
置換をコードする。
広く多様なプロモーターが本発明に利用され得る。これには、例えば、MoMLV
LTR、RSV LTR、Friend MuLv LTR、アデノウイルスプロモーター、ネオマイシン
ホスホトランスフェラーゼプロモーター/エンハンサー、後期パルボウイルスプ
ロモーター、ヘルペスTKプロモーター、SV40プロモーター、メタロチオネインII
a遺伝子エンハンサー/プロモーター、サイトメガロウイルス即時型(Immediate)
初期プロモーター、サイトメガロウイルス即時型後期プロモーター、ならびにチ
ロシナーゼ関連プロモーター(TRP-1およびTRP-2)のような組織特異的プロモー
ター、DF3エンハンサー、SLPIプロモーター(分泌性ロイコプロテアーゼインヒ
ビター--多くの型の癌腫において発現される)、TRS(組織特異的調節配列)、
チロシンヒドロキシラーゼプロモーター、脂肪細胞P2プロモーター、PEPCKプロ
モーター、CEAプロモーター、αフェトプロテインプロモーター、乳漿(whey)酸
性プロモーター(whey acidic promoter)、およびカゼインプロモーターのよう
なプロモーターが挙げられる。関連する局面において、上記のベクターは、薬学
的に受容可能なキャリアまたは希釈剤とともに、薬学的組成物として提供され得
る。
本発明の他の局面において、宿主細胞が提供され、これは上記のベクターの1
つを有する。このような細胞の代表的な例には、ヒト細胞、イヌ細胞、サル細胞
、ラット細胞、およびマウス細胞が挙げられる。
本発明の他の局面において、温血動物において病原因子を阻害するための方法
が提供され、温血動物に上記のようなベクターを投与して病原因子を阻害する工
程を包含する。種々の実施態様において、ベクターは細胞にインビボで投与され
るか、またはエキソビボで投与され、次いで動物中に移植(または再移植)され
得る。他の実施態様において、病原因子は、ウイルス、細菌、寄生生物、腫瘍細
胞、または自己反応性(autoreactive)免疫細胞であり得る。
本発明のこれらのまたは他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参
照にして、明らかになる。さらに、特定の手順または構成物(例えば、プラスミ
ドなど)をより詳細に記載する種々の参考文献が以下に記載され、それゆえそれ
らの全体が参考として援用される。図面の簡単な説明
図1は、ランダムなヌクレオチドを含有するライブラリーの構築、およびTK変
異体の選択についての方策を示すスキームである。
図2は、TK変異体およびAZT変異体の選択を示す写真である。
図3は、165〜175コドンについての以下の核酸配列およびアミノ酸配列を示す
:野生型、TKF105、TKI208、およびTKF2 TK。
図4は、野生型TKおよびTK変異体の熱安定性を示すグラフの系列である。
図5は、インビトロで翻訳された野生型チミジンキナーゼおよびTKF2チミジン
キナーゼについての加熱失活したプロフィールを示すグラフである。
図6は、SDS/PAGE分画したインビトロで翻訳された産物(野生型およびTKF2)
のオートラジオグラフである。
図7は、SDS-PAGEおよびTCA沈澱性カウントに供した、35S放射性標識された無
細胞転写産物のオートラジオグラフである。
図8Aおよび8Bは、ウサギ網赤血球溶解物の無細胞翻訳系において産生され
た高活性変異体(A)および低活性変異体(B)の時間経過分析を示す2つのグ
ラフである。
図9Aおよび図9Bは、高活性TK変異体(A)および低活性TK変異体(B)の
熱安定性を示す2つのグラフである。
図10は、変異体チミジンキナーゼおよび野生型チミジンキナーゼによるヌクレ
オシドおよびヌクレオシドアナログのリン酸化を示す棒グラフである。
図11は、野生型、TFK36、およびダミー(pMDC)プラスミドのTK活性を示す。
図12は、時間にわたるTKF36、TKF52、野生型プラスミド、TKF99、またはダミ
ープラスミド(pMDC)を含む細胞のチミジン取り込み活性を示すグラフである。
図13は、HSVTK変異体を利用する遺伝子治療の代表的な一例のスキームである
。
図14は、LIF-ALLライブラリーにおいてランダム化されたヌクレオチド、なら
びに選択の結果を示す図である。
図15は、選択クローンおよび非選択クローンのアミノ酸置換を示す表である。
図16は、GCVまたはACVに感受性であるLIF-ALLライブラリーから選択された変
異体の番号を示す表である。
図17は、選択されたTK変異体におけるヌクレオチドの変化を示す表である。
図18は、159〜161位および168〜170位でのアミノ酸配列、およびいくつかの変
異体TKのリン酸化レベルを示す表である。
図19は、GCV上で増殖され、そして種々のTK変異体でトランスフェクトされた
生存細胞の生存率を示すグラフである。
図20は、ACV上で増殖され、そして種々のTK変異体でトランスフェクトされた
生存細胞の生存率を示す。
図21は、代表的なヒトグアニル酸キナーゼのヌクレオチド配列および推定アミ
ノ酸配列を示す。
図22は、代表的なマウスグアニル酸キナーゼのヌクレオチド配列および推定ア
ミノ酸配列を示す。発明の詳細な説明
定義
本発明を記載する前に、本明細書中以後に使用される、特定の用語の定義をま
ず記載することは、本発明を理解する補助となり得る。
「ベクター」は、変異体tk遺伝子、ならびに任意の付加的な配列(1つまたは
複数)、または目的の遺伝子(1つまたは複数)の発現を導き得る構築物(asse
mbly)をいう。ベクターは、転写プロモーター/エンハンサーエレメント、なら
びに転写される場合、tk遺伝子および/または他の目的の遺伝子に作動可能に連
結される別の配列を含まなくてはならない。ベクターは、デオキシリボ核酸(「
DNA」)、リボ核酸(「RNA」)、または2つの組合せ(例えば、DNA-RNAのキメ
ラ)のいずれかからなり得る。必要に応じて、ベクターは、ポリアデニル化配列
、1つ以上の制限部位、ならびに1つ以上の選択マーカー(例えば、ネオマイシ
ンホスホトランスフェラーゼ、またはハイグロマイシンホスホトランスフェラー
ゼ)を含み得る。さらに、選択される宿主細胞および用いられるベクターに依存
して、複製起点、付加的な核酸制限部位、エンハンサー、転写の誘導を与える配
列、および選択マーカーのような他の遺伝エレメントもまた、本明細書中に記載
されるベクターに取り込まれ得る。
「組織特異的プロモーター」は、限られた数の組織または単一の組織において
遺伝子の発現を制御する転写プロモーター/エンハンサーエレメントをいう。組
織特異的プロモーターの代表的な例には、チロシンヒドロキシラーゼプロモータ
ー、脂肪細胞P2プロモーター、PEPCKプロモーター、αフェトプロテインプロモ
ーター、乳漿酸性プロモーター、およびカゼインプロモーターが挙げられる。
チミジンキナーゼの「生物学的活性」は、チミジンキナーゼ酵素がヌクレオシ
ド(例えば、dT)およびヌクレオシドアナログ(例えば、ガンシクロビル、(9-
{[2-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)エトキシル メチル}グアノシン)、、フ
ァムシクロビル、ブシクロビル、ペンシクロビル、バルシクロビル、アシクロビ
ル、(9-[2-ヒドロキシエトキシ)メチル]グアノシン)、トリフルオロチミジン、
1-[2-デオキシ,2-フルオロ,β-D-アラビノフラノシル]-5-ヨードウラシル、Ar
a-A(アデノシン、アラビノシド、ビバラビン(vivarabine))、1-β-D-アラビ
ノフラノキシルチミジン、5-エチル-2'-デオキシウリジン、5-ヨード-5'-アミノ
-2,5'-ジデオキシウリジン、イドクスウリジン(5-ヨード-2'-デオキシウリジ
ン)、AZT(3'-アジド-3'-チミジン)、ddC(ジデオキシシチジン、AIU(5-ヨード-
5'アミノ2,5'-ジデオキシウリジン)、およびAraC(シチジンアラビノシド))
をリン酸化する能力をいう。本明細書中で使用されるチミジンキナーゼ変異体は
、非変異チミジンキナーゼ酵素を少なくとも「y」倍超えて活性のレベルまたは
速度を増加する場合、「増加した生物学的活性」を有すると考えられる(ここで
、yは、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5および5からなる群より選択され
る)。好ましい実施態様において、チミジンキナーゼ変異体は、以下の場合、増
加した生物学的活性を有すると考えられる:
ここでTKmNApは、チミジンキナーゼ変異体によるヌクレオシドアナログのリン酸
化の速度であり、TKmTpは、チミジンキナーゼ変異体によるチミジンのリン酸化
の速度であり、TKwtNApは、非変異チミジンキナーゼ酵素によるヌクレオシドア
ナログのリン酸化の速度であり、TKwtTpは、非変異チミジンキナーゼ酵素による
チミジンキナーゼ酵素のリン酸化の速度であり、そしてzは、1、1.5、2、2.5
、3、
3.5、4、4.5、および5からなる群より選択される。
チミジンキナーゼがヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログをリン酸化する
能力に加えて、用語「生物学的活性」は、タンパク質安定性(例えば、トリプシ
ンのような酵素によるタンパク質分解酵素の分解に対する耐性により測定される
)、および熱安定性(例えば、温度の上昇の際のヌクレオシドアナログリン酸化
の持続)のような、チミジンキナーゼの他の生物学的特性をいうことが理解され
るべきである。
「病原因子」は、疾患状態の原因である外来生物、または疾患状態の原因であ
る「変化された」細胞のいずれかをいう。病原因子の代表的な例には、ウイルス
、細菌および寄生生物のような外来生物、ならびに腫瘍細胞および自己反応性免
疫細胞のような変化された細胞が挙げられる。本明細書中で利用される病原因子
は、病原因子の増殖または拡散のいずれかが遅延される場合、または病原因子自
体が破壊される場合、「阻害される」と考えられる。
上記のように、本発明はHerpesviridaeチミジンキナーゼ変異体を利用する組
成物および方法論を提供する。簡単に述べると、本発明のチミジンキナーゼ変異
体は、広く多様なHerpesviridaeのチミジンキナーゼ(例えば、霊長類ヘルペス
ウイルス、およびトリヘルペスウイルスのような非霊長類ヘルペスウイルスの両
方を包含する)から調製され得る。適切なヘルペスウイルスの代表的な例には、
単純ヘルペスウイルス1型(McKnightら、Nuc.Acids Res 8:5949-5964,1980)
、単純ヘルペスウイルス2型(SwainおよびGalloway,J.Virol.46:1045-1050,
1983)、水痘-帯状疱疹ウイルス(DavisonおよびSccot,J.Gen.Virol.67:1759-
1816,1986)、キヌザルヘルペスウイルス(OtsukaおよびKit、Virology 135:31
6-330,1984)、ネコヘルペスウイルス1型(Nunbergら、J.Virol.63:3240-324
9,1989)、仮性狂犬病ウイルス(Kitおよびkit、米国特許第4,514,497,1985号
)、ウマヘルペスウイルス1型(RobertsonおよびWhalley、Nuc.Acids Res.16:
11303-11317,1988)、ウシヘルペスウイルス1型(MittalおよびField,J.Viro
l.70:2901-2918,1989)、七面鳥ヘルペスウイルス(Martinら、J.Virol.63:2
487-2852,1989)、マレク病ウイルス(Scottら、J.Gen.Virol.70:3055-3065,
1989)、サルヘルペスウイルス(Honessら、J.Gen.Virol.70:3003-3013,1989
)お
よびEBウイルス(Baerら、Nature(London)310:207-311,1984)が挙げられる
。
このようなヘルペスウイルスは、アメリカンタイプカルチャーコレクション(
「ATCC」、Rockville,Maryland)のような商業的な供給源から容易に得られ得
る。上記で同定されたヘルペスウイルスの寄託物のいくつかは、ATCCから容易に
得られ得る。例えば、:ATCC番号VR-539(単純ヘルペス1型);ATCC番号VR-734
およびVR-540(単純ヘルペスウイルス2型);ATCC番号VR-586(水痘-帯状疱疹
ウイルス);ATCC番号VR-783(感染性咽頭気管支炎(laryngothracheitis));
ATCC番号VR-624、VR-987、VR-2103、VR-2001、VR-2002、VR-2175、VR-585(マレ
ク病ウイルス);ATCC番号VR-584BおよびVR-584B(七面鳥ヘルペスウイルス);
ATCC番号VR-631およびVR-842(ウシヘルペスウイルス1型);およびATCC番号VR
-2003、VR-2229およびVR-700(ウマヘルペスウイルス1型)。ヘルペスウイルス
は天然に存在する供給源から(例えば、感染動物から)容易に単離され得、そし
て同定され得る。
任意の上記で引用したヘルペスウイルス(ならびにHerpesviridaeの他のメン
バー)が、本発明のチミジンキナーゼ変異体を調製するために容易に利用され得
る。簡単に述べると、ヌクレオシド結合の原因であると考えられる主要な領域が
部位3および4周辺の領域で見出される(Balasubramaniamら、J.Gen.Vir.71:2
979-2987,1990を参照のこと)。これらの部位は、高度に保存された領域により
特徴づけられており、そして-DRH-モチーフ(部位3について)、および-C(Y/F)
P-モチーフ(部位4について)からなる。核酸の番号付けは、あるヘルペスウイ
ルスと他方のヘルペスウイルスとで実質的に変化し得るが、本明細書中で使用さ
れる照合は、はDRHヌクレオシド結合部位からの相対的な位置になされている。
例えば、単純ヘルペスウイルス1型(McKnightら、Nucl.Acids Res.8:5949-59
64,1980)については、この部位はアミノ酸162、163、および164で見出され得
る。他の代表的なヘルペスウイルスについてのDRHヌクレオシド結合部位には、
単純ヘルペスウイルス2型については、163、164および165;水痘-帯状疱疹ウイ
ルスについては、129、130、および131;キヌザルヘルペスウイルスについては
、130、131、および132;EBウイルスについては、148、149、および150が挙げら
れる。
以前に配列決定されていないヘルペスウイルスについては、DRHヌクレオシド
結合部位は、酵素をコードする核酸配列を配列決定することにより、あるいは酵
素自身のアミノ酸配列決定をした後、他の公知のヘルペスウイルスの配列に対し
て配列を配列をアラインメントすることにより、容易に同定され得る(Balasubr
amanianら、上述を参照のこと)。1つより多い-DRH-モチーフが同定される場合
は、適切なモチーフは、例えば、結晶構造解析(Sandersonら、J.Mol.Biol.202:
917-919、1988;Montfortら、Biochem 29(30):6964-6977,1990;Hardyら、Scie
nce 235:448-455,1987)、または架橋研究(Knollら、Bioch.Biophys.Acta 1
121:252-260,1992)により容易に決定され得る。
次いで、選択されるヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼ遺伝子は、容易
に単離され、そして下記のように変異され、非変異チミジンキナーゼに比べて、
チミジンキナーゼの生物学的活性を増加させる1つ以上の変異を有するチミジン
キナーゼ酵素をコードする核酸分子を構築する。本明細書中で利用される「非変
異チミジンキナーゼ」は、天然のチミジンキナーゼ、またはMcKnightら(Nucl.Ac
ids Res.8:5949-5964,1980)によって記載されるような野生型チミジンキナー
ゼをいう。このようなキナーゼの生物学的活性は、本明細書中に記載される任意
のアッセイを利用して容易に決定され得る。このアッセイには、例えば、ヌクレ
オシドアナログの取り込み速度の測定、ヌクレオシドまたはヌクレオシドアナロ
グのリン酸化速度の測定(実施例2〜4を参照のこと)を包含する。さらに、チ
ミジンキナーゼ変異体は、熱安定性(実施例2〜4を参照のこと)およびタンパ
ク質安定性のような他の生物学的特性により特徴づけられ、容易に選択され得る
。
本発明の範囲には、広範な種類のチミジンキナーゼ変異体が含まれる。例えば
、本発明の1つの実施態様には、1つまたはそれ以上の変異であって、少なくと
も1つの変異がDRHヌクレオシド結合部位の(5')上流のアミノ酸置換をコードす
る変異を有するHerpesviridaeチミジンキナーゼ酵素をコードする単離された核
酸分子が提供される。簡単に述べれば、DRHヌクレオシド結合部位の(5')上流の
任意のアミノ酸位置は、本明細書で提供される与えられた記載の別のアミノ酸に
置換され得る。置換され得る代表的なアミノ酸(およびそれらの1文字記号)は、
アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイ
ン
(C)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロ
イシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、
プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、
およびバリン(V)を含む。
本発明の1つの実施態様には、-DRH-ヌクレオシド結合部位から1〜7アミノ
酸上流の1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を有するチミジンキナーゼ変異体を
コードする核酸分子が提供される。1つの実施態様には、DRHヌクレオシド結合
部位の1つの位置上流のアミノ酸が別のアミノ酸(例えば、アラニン(A)、アルギ
ニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、グルタミン(Q)、グルタミン酸
(E)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラ
ニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、およ
びチロシン(Y)を含む)で置換される。この場合特に好適な置換は、バリン(V)、
ロイシン(L)、システイン(C)およびイソロイシン(I)を含む。
別の実施態様には、DRHヌクレオシド結合部位から2〜6の位置上流のアミノ
酸が、他のアミノ酸(例えば、アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、
アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、グリシ
ン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニ
ン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリ
プトファン(W)、チロシン(Y)、およびバリン(V)を含む)で置換される。
他の実施態様には、DRHヌクレオシド結合部位から7位置上流にあるアミノ酸
が、他のアミノ酸(例えば、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(
D)、システイン(C)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ヒスチジ
ン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニル
アラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、
チロシン(Y)、およびバリン(V)を含む)で置換される。この場合、特に好適な置
換はアラニン(A)含む。
本発明の他の局面には、チミジンキナーゼ酵素の生物学的活性を増加させる1
つまたはそれ以上の変異を有するチミジンキナーゼ酵素をコードする核酸分子が
提供される。ここでこの変異は、DRHヌクレオシド結合部位からWの位置上流のア
ミノ酸置換をコードし、ここで「w」は、8より大きい(そして一般に162未満の)
任意の整数である。置換され得る代表的なアミノ酸は、例えば、アラニン(A)、
アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グルタ
ミン(Q)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、
ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)
、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、およびバリン
(V)を含む。
本発明の別の局面には、-DRH-ヌクレオシド結合部位内の1つまたはそれ以上
のアミノ酸置換を有するチミジンキナーゼ変異体をコードする核酸分子が提供さ
れる。本発明の1つの実施態様には、-DRH-ヌクレオシド結合部位内のアスパラ
ギン酸が他のアミノ酸(例えば、アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)
、システイン(C)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ヒスチジン
(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルア
ラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チ
ロシン(Y)、およびバリン(V)を含む)で置換される。
本発明の別の実施態様では、-DRH-ヌクレオシド結合部位内のアルギニンが、
他のアミノ酸(例えば、アラニン(A)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、シ
ステイン(C)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)
、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニ
ン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシ
ン(Y)、およびバリン(V)を含む)で置換される。
本発明の特定の好適な局面において、チミジンキナーゼ酵素の生物学的活性を
増加させる1つまたはそれ以上の変異を有するチミジンキナーゼ酵素をコードす
る核酸分子が提供される。ここでこの変異は、DRHヌクレオシド結合部位から1
、2または3アミノ酸(5')上流の1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、および/
またはDRHヌクレオシド結合部位から4、5または6アミノ酸下流の1つまたは
それ以上の置換、またはCYPヌクレオシド結合部位から1、2または3アミノ酸
上流の1つまたはそれ以上の置換をコードする(図14参照のこと)。このような変
異体の特定の例を、より詳細に以下の実施例8および図18に記載する。
本発明のなお別の実施態様では、-DRH-ヌクレオシド結合部位内のヒスチジン
が、任意の他のアミノ酸(例えば、アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(
N)、アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、グ
リシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェ
ニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W
)、チロシン(Y)、およびバリン(V)を含む)で置換される。
本発明の別の局面では、チミジンキナーゼ酵素の生物学的活性を増加させる1
つまたはそれ以上の変異を有するチミジンキナーゼ酵素をコードする核酸分子が
提供される。ここでこの変異は、DRHヌクレオシド結合部位から1〜11の位置(3'
)下流のアミノ酸置換をコードする。これらのアミノ酸は、他のアミノ酸(例えば
、アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システ
イン(C)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イ
ソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F
)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)
、およびバリン(V)を含む)で置換され得る。
本発明の別の局面では、チミジンキナーゼ酵素の生物学的活性を増加させる1
つまたはそれ以上の変異を有するチミジンキナーゼ酵素をコードする核酸分子が
提供される。ここでこの変異は、DRHヌクレオシド結合部位から12〜「v」の位置
(3')下流のアミノ酸置換をコードし、ここで「v」は13より大きい(そして一般に
202未満の)任意の整数である。これらのアミノ酸は、他のアミノ酸(例えば、ア
ラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイン
(C)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロ
イシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、
プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、
およびバリン(V)を含む)で容易に置換され得る。
種々の局面で、本発明の核酸分子は、いくつかのアミノ酸変異をコードし得る
。例えば、1つの好適な実施態様では、1、2、3、4、5またはそれ以上のア
ミノ酸置換、およびインフレーム欠失を有する変異をコードするチミジンキナー
ゼ変異体が提供される。この場合特に好適な変異体は、P155A/F161V、P155A/F16
1C、
P155A/D162E、I160L/F161L/A168V/L169MおよびF161L/A168V/L169Y/L170Cを含む
。
上に記載の任意のチミジンキナーゼ変異体は、本明細書および以下の実施例に
記載のアッセイが与えられれば、増加した生物学的活性について容易にスクリー
ニングされ得る。
チミジンキナーゼ変異体の構築
本発明のチミジンキナーゼ変異体は広範な種類の技法を用いて構築され得る。
例えば、ネイティブな配列のフラグメントへの連結を可能にする制限部位に隣接
する変異体配列を含むオリゴヌクレオチドを合成することにより特定の遺伝子座
に変異を導入し得る。連結の後、得られる再構築された配列は、所望のアミノ酸
挿入、置換または欠失を有する誘導体をコードする。
あるいは、オリゴヌクレオチド部位特異的(またはセグメント特異的)変異誘発
手順を用いて、必要な置換、欠失、または挿入により改変された特定のコドンを
有する改変遺伝子を提供し得る。チミジンキナーゼ変異体の欠失またはトランケ
ーション誘導体はまた、所望の欠失に隣接する便利な制限エンドヌクレアーゼ部
位を用いて構築され得る。消化に続いて、突出部が充填され、そしてDNAは再連
結される。上に提示された改変を作成する例示の方法は、Sambrookら、(Molecul
ar Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory P
ress、1989)に開示されている。
チミジンキナーゼ変異体はまた、PCR変異誘発、化学的変異誘発(Drinkwaterお
よびKlinedinst、PNAS 83:3402-3406、1986)の技法を利用して、強制的なヌクレ
オチド誤取り込みにより(例えば、LiaoおよびWise Gene 88:107-111、1990)、ま
たはランダムに変異誘発されたオリゴヌクレオチドの使用により(Horwitzら、Ge
nome 3:112-117、1989)、構築され得る。チミジンキナーゼ変異体を構築するた
めの特に好適な方法は、以下の実施例1〜4により詳細に呈示される。
HSVTKベクター
本発明の文脈では、用語「チミジンキナーゼ変異体」は、本明細書に記載の特
定のタンパク質(およびこれらのタンパク質をコードする核酸配列)のみならず、
生物学的活性を保持する主要なタンパク質の種々の構造的形態を含み得るその誘
導体を含むことが理解されるべきである。例えば、チミジンキナーゼ変異体は、
酸性塩または塩基性塩の形態、または中性形態であり得る。さらに、個々のアミ
ノ酸残基は酸化または還元により改変され得る。さらに、種々の置換、欠失、ま
たは付加がアミノ酸または核酸配列に作成され得、その正味の効果は、変異体の
増大された生物学的活性を保持またはさらに増大することである。コード縮重に
起因して、例えば、同じアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列でかなりの
変動が存在し得る。
本明細書で開示のチミジンキナーゼ変異体の他の誘導体には、チミジンキナー
ゼ変異体の他のタンパク質またはポリペプチドとの結合体が含まれる。これは、
例えば、チミジンキナーゼ変異体の精製または同定を容易にするために付加され
得るN末端またはC末端融合タンパク質の合成により達成され得る(米国特許第4,8
51,341号を参照のこと、またHoppら、Bio/Technology 6:1204、1988を参照のこ
と)。
本発明の1つの実施態様では、チミジンキナーゼ変異体の短縮形誘導体が提供
される。例えば、部位特異的変異誘発がチミジンキナーゼ変異体のN末端45アミ
ノ酸を欠失するために容易に実施され、それによってその生物学的活性を保持す
る短縮形態変異体を構築し得る。
チミジンキナーゼ変異体の誘導体の発現のために構築されたヌクレオチド配列
中の変異は、コード配列のリーディングフレームフェーズ(phase)を保存すべき
である。さらに、変異は、好ましくは、ハイブリダイズしてレセプターmRNAの翻
訳に悪影響を与え得るループまたはヘアピンのような二次mRNA構造を生成し得る
相補領域を生成しない。そのような誘導体は、上記で論議した技法を含む、広範
な種類の技法を用いて容易に構築され得る。
上に記載のように、本発明は、適切な転写または翻訳調節エレメントに作動可
能に連結されているチミジンキナーゼ変異体またはその誘導体をコードする、合
成、またはcDNA由来の核酸分子のいずれかを含む組換えベクターを提供する。適
切な調節エレメントは、細菌、カビ、ウイルス、哺乳動物、昆虫、または植物遺
伝子を含む種々の供給源に由来し得る。適切な調節エレメントの選択は、選択さ
れる宿主細胞に依存し、そして当業者により容易に達成され得る。調節エレメン
トの例は、転写プロモーターおよびエンハンサーまたは翻訳開始シグナルを含む
RNAポリメラーゼ結合配列、リボソーム結合配列を含む。
上に述べた任意のチミジンキナーゼ変異体をコードする核酸分子は、細菌、哺
乳動物、酵母または他のカビ、ウイルス、昆虫、または植物細胞を含む広範な種
類の原核および真核宿主細胞で容易に発現され得る。そのような細胞を形質転換
またはトランスフェクトして外来DNAを発現する方法は当該技術分野では周知で
ある(例えば、Itakuraら、米国特許第4,704,362号; Hinnenら、PNAS USA 75:192
9-1933、1978; Murrayら、米国特許第4,801,542号; Upshallら、米国特許第4,93
5,349号; Hagenら、米国特許第4,784,950号; Axelら、米国特許第4,399,216号;
Goeddelら、米国特許第4,766,075号;およびSambrookら、Molecular Cloning: A
Laboratroy Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989; 植
物細胞には、CzakoおよびMarton、Plant Physiol.104:1067-1071,1994; およ
びPaszkowskiら、Biotech.24:387-392、1992を参照のこと)。
本発明を実施するために適切な細菌宿主細胞は、E.coli、B.subtilis、Salmon
ella typhimurium、およびPseudomonas、Streptomyces、およびStaphylococcus
属の種々の種、ならびに当該技術分野で周知の多くの他の細菌種を含む。細菌宿
主細胞の代表例は、DH5α(Stratagene、LaJolla、California)を含む。
細菌発現ベクターは、好ましくは、宿主細胞で機能するプロモーター、1つま
たはそれ以上の選択可能な表現型マーカー、および細菌複製起点を含む。代表的
なプロモーターは、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモ
ーター系(Changら、Nature 275:615、1978を参照)、T7 RNAポリメラーゼプロモ
ーター(Studierら、Meth.Enzymol.185:60-89、1990)、λプロモーター(Elvin
ら、Gene 87:123-126、1990)、trpプロモーター(NicholsおよびYanofsky、Meth
.in Enzymology 101:155、1983)およびtacプロモーター(Russellら、Gene 20:
231、1982)を含む。代表的な選択マーカーは、カナマイシンまたはアンピシリン
耐性遺伝子のような種々の抗生物質耐性マーカーを含む。宿主細胞を形質転換す
るために適した多くのプラスミドが当該技術分野で周知であり、とりわけ、pBR3
22(Boliverら、Gene 2:95、1977を参照のこと)、pUCプラスミドpUC18、pUC19、p
UC118、pUC119(Messing、Meth.in Enzymology 101:20-77、1983、ならびにViei
raおよびMessing、Gene 19:259-268、1982を参照のこと)、およびpNH8A、pNH16a
、pNH18a、およびBleuscript M13(Stratagene、La Jolla、Calif.)を含む。
本発明を実施するための適切な酵母およびカビ宿主細胞は、とりわけ、Saccha
romyces pombe、Sacchromyces cerevisiae、PichiaまたはKluyveromycesおよびA
spergillus属の種々の種を含む。酵母およびカビに適切な発現ベクターは、とり
わけ酵母にはYCp50(ATCC番号37419)、およびamdSクローニングベクターpV3(Turn
bull、Bio/Technology 7:169、1989)を含む。酵母の形質転換のためのプロトコ
ールはまた当業者に周知である。例えば、形質転換は、DNAと酵母のスフェロプ
ラストの調製(Hinnenら、PNAS USA 75:1929、1978を参照)またはLiClのようなア
ルカリ性塩を用いた処理(Itohら、J.Bacteriology 153:163、1983を参照)のい
ずれかにより容易になされ得る。カビの形質転換はまた、Cullenら(Bio/Technol
ogy 5:369、1987)に記載のようにポリエチレングリコールを用いて実施され得る
。
本発明を実施するために適切な哺乳動物細胞は、とりわけCOS(例えばATCC番号
CRL1650または1651)、BHK(例えばATCC番号CRL 6821)、CHO(ATCC番号CCL 61)、He
la(例えばATCC番号CCL 2)、293(ATCC番号1573)およびNS-1細胞を含む。哺乳動物
細胞で発現させるに適切なベクターは、一般に、プロモーターならびに他の転写
および翻訳制御配列を含む。一般的なプロモーターは、SV40、MMTV、メタロチオ
ネイン-1、アデノウイルスE1a、サイトメガロウイルス即時型初期プロモーター
、およびサイトメガロウイルス即時型後期プロモーターを含む。
哺乳動物細胞をトランスフェクトするプロトコールは当該技術分野で周知であ
る。代表的な方法は、リン酸カルシウム仲介トランスフェクション、エレクトロ
ポレーション、リポフェクション、レトロウイルス、アデノウイルス-およびプ
ロトプラスト融合-仲介トランスフェクションを含む(Sambrookら、前述を参照の
こと)。
チミジンキナーゼ変異体は、組換えチミジンキナーゼ変異体を発現するために
上記の宿主/ベクター系を培養することにより調製され得る。組換えにより生産
されたチミジンキナーゼ変異体は、以下により詳細に記載されるようにさらに精
製され得る。
上記のように、本発明はまた、上記の核酸分子を発現するために適切な種々の
ウイルスおよび非ウイルスベクターの両方を提供する。本発明の1つの局面では
、上記のチミジンキナーゼ変異体をコードする単離された核酸分子を発現させる
プロモーターを含むウイルスベクターが提供される。本発明では、広範な種類の
プロモーターが利用され得る。これらは例えば以下のプロモーターを含む:MoML
V LTR、RSV LTR、フレンドMuLV LTR、アデノウイルスプロモーター(Ohnoら、Sci
ence 265: 781-784、1994)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼプロモータ
ー/エンハンサー、後期パルボウイルスプロモーター(Koeringら、Hum.Gene The
rap.5:457-463、1994)、ヘルペスTKプロモーター、SV40プロモーター、メタロ
チオネインIIa遺伝子エンハンサー/プロモーター、サイトメガロウイルス即時型
初期プロモーター、およびサイトメガロウイルス即時型後期プロモーター。本発
明の特に好適な実施態様では、プロモーターは組織特異的プロモーターである(
例えばWO 91/02805; EP 0,415,731; およびWO 90/07936を参照のこと)。適切な
組織特異的プロモーターの代表的な例は、以下を含む:チロシナーゼ関連プロモ
ーター(TRP-1およびTRP-2、VileおよびHart、Canc.Res.53:962-967、1993)、D
F3エンハンサー(乳癌細胞について、Manomeら、Canc.Res.54:5408-5413、1994
参照のこと)、SLPIプロモーター(分泌ロイコプロテアーゼインヒビター -- 多く
の型の癌腫で発現される、Garverら、Gene Therapy 1:46-50、1994を参照のこと
)、TRS(組織特異的調節配列、DynanおよびTjian、Nature 316:774-778、1985を
参照のこと)、アルブミンおよびαフェトプロテインプロモーター(それぞれ正常
肝細胞および形質転換肝細胞に特異的)、ガン胎児性抗原プロモーター(胃腸管、
肺、胸および他の組織の形質転換細胞での使用に)、チロシンヒドロキシラーゼ
プロモーター(メラニン細胞用に)、神経芽細胞腫における使用のためのコリンア
セチルトランスフェラーゼまたはニューロン特異的エノラーゼプロモーター、グ
リア細胞繊維芽細胞腫の調節配列、チロシンヒドロキシラーゼプロモーター、c-
erb B-2プロモーター、PGKプロモーター、PEPCKプロモーター、乳漿酸性プロモ
ーター(乳組織)、およびカゼインプロモーター(乳組織)および脂肪細胞P2プロモ
ーター(Rossら、Genes & Dev.1318-1324、1993;およびLowellら、Nature 366:
740-742、1993)。上記のプロモーターに加えて、他のウイルス特異的プロモータ
ー(例えばレトロウイルスプロモーター(上記およびHIVプロモーターのような他
のプロモーターを含む)、肝炎、ヘルペス(例えばEBV)、および細菌、カビまたは
寄生生物(例えばマラリア)-特異的プロモーターが、ウイルス、細菌、カビまた
は寄生生物に感染した特定細胞または組織を標的とするために利用され得る。
本発明のチミジンキナーゼ変異体は、種々のウイルスベクターから発現され得
る。これらは、例えば以下を含む:ヘルペスウイルスベクター(例えば米国特許
第5,288,641号)、レトロウイルス(例えばEP 0,415,731; WO 90/07936; WO 91/02
85,WO 94/03622; WO 93/25698; WO 93/25234: 米国特許第5,219,740号; WO 93/
11230; WO 93/10218; VileおよびHart、Cancer Res.53:3860-3864、1993; Vile
およびHart、Cancer Res.53:962-967、1993; Ramら、Cancer Res.53:83-88、1
993; Takamiyaら、J.Neurosci.Res 33:493-503、1992; Babaら、J.Neurosurg
79:729-735、1993)、偽タイプ(pseudotyped)ウイルス、アデノウイルスベクタ
ー(例えばWO 94/26914、WO 93/9191; Kollsら、PNAS 91(1):215-219、1994; Kas
s-Eislerら、PNAS 90(24):11498-502、1993; Guzmanら、Circulation 88(6):283
8-48、1993; Guzmanら、Cir.Res.73(6):1202-1207、1993; Zabnerら、Cell 75(
2):207-216、1993; Liら、Hum Gene Ther.4(4):403-409、1993; Caillaudら、E
ur.J.Neurosci.5(10:1287-1291、1993; Vincentら、Nat.Genet.5(2):130-1
34、1993; Jaffeら、Nat.Genet.1(5):372-378、1992; およびLevreroら、Gene
101(2):195-202、1991)、アデノウイルス関連ウイルスベクター(Flotteら、PNA
S 90(22):10613-10617、1993)、パルボウイルスベクター(Koeringら、Hum.Gene
Therap.5:457-463、1994)、バキュロウイルスベクター、およびポックスウイ
ルスベクター(PanicaliおよびPaoletti、PNAS 79:4927-4931、1982; およびOzak
iら、Biochem.Biophys.Res.Comm.193(2):653-660、1993)。種々の実施態様
では、ウイルスベクター自身、またはウイルスベクターを含むウイルス粒子のい
ずれかが、以下に記載の方法および組成物で利用され得る。
本発明のベクターは、上に記載のようなチミジンキナーゼ核酸分子に加えて広
範な種類のさらなる核酸分子を含みまたは発現し得る。例えば、ウイルスベクタ
ーは、リンホカイン、アンチセンス配列、毒素または「置換」タンパク質(例え
ばアデノシンデアミナーゼ)を発現し得る。リンホカインの代表例は、IL-1、IL-
2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13
、IL-14、IL-15、GM-CSF、C-CSF、M-CSF、α-インターフェロン、β-インターフ
ェロン、γ-インターフェロン、および腫瘍壊死因子を含む。アンチセンス配列
の代表的な例は、アンチセンスmyc、アンチセンスp53、アンチセンスras、およ
びHIV、HBVおよびHCVのようなウイルスの発現または産生をブロックするアンチ
センス配列を含む。毒素の代表的な例は以下を含む:リシン、アブリン、ジフテ
リア毒素、コレラ毒素、ゲロニン、pokeweed抗ウイルスタンパク質、トリチン、
赤痢菌毒素、およびPsudomonasエキソトキシンAを含む。
本発明の好適な実施態様には、チミジンキナーゼの生物学的活性を促進または
増加するタンパク質をコードする1つまたはそれ以上の遺伝子が、本明細書に記
載のベクターに含まれかつ発現され得る。例えば、本発明の1つの実施態様には
、DNAポリメラーゼ(例えばヘルペスDNAポリメラーゼ)および/またはグアニル酸
キナーゼ(Konrad、J.Biol.Chem.267(36):25652-25655、1992; MillerおよびM
iller、J.Biol.Chem.255(15)7204-7207、1980)をコードする核酸分子が、チ
ミジンキナーゼ(野生型、または上記のようなチミジンキナーゼ変異体のいずれ
か)に加えて、1つまたはいくつかの別のプロモーターのいずれかから(例えば複
数の内部リボソーム結合部位から)発現される。そのような実施態様の代表的な
例は、以下の実施例7および9により詳細に呈示される。DNAポリメラーゼまた
はグアニル酸キナーゼをコードする特定の核酸分子が開示されているが、本発明
がそれに限定されないことを理解すべきである。実際、チミジンキナーゼ変異体
に関して上記で論議されたように、DNAポリメラーゼ活性またはグアニル酸キナ
ーゼ活性をコードする広範な種類の核酸分子が、本発明の範囲に含まれると考え
られる(例えばコードされるアミノ酸配列に関して変性した(degenerate)、短縮
形核酸分子または核酸分子)。
チミジンキナーゼ変異体はまた、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、イヌおよ
びブタのような非ヒトトランスジェニック動物で発現され得る(Hammerら(Nature
315:680-683、1985)、Palmiterら(Sciences 222:809-814、1983)、Brinsterら(
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82: 4438-4442、1985)、PalmiterおよびBrinster(
Cell 41:343-345、1985)および米国特許第4,736,866号を参照のこと)。簡単に述
べれば、適切に配置された発現制御配列とともに発現されるべき核酸分子を含む
発現ユニットが有精卵の前核中に、例えば、マイクロインジェクションにより導
入される。注入されたDNAの組み込みは、組織サンプルからのDNAのブロット分析
により検出される。導入されたDNAは、動物の生殖系に中に取り込まれることが
好ましく、その結果それは動物子孫に継代される。組織特異的発現は、組織特異
的プロモーターの使用により、または導入遺伝子の調節発現を可能にするメタロ
チオネイン遺伝子プロモーター(Palmiterら、1983、同上)のような誘導可能なプ
ロモーターの使用により達成され得る。
宿主細胞
本発明のチミジンキナーゼ変異体をコードする上記の核酸分子(またはこれら
の変異体を含むおよび/または発現するベクター)は、広範な種類の宿主細胞中に
容易に導入され得る。そのような宿主細胞の代表的な例は、植物細胞、真核生物
細胞、および原核生物細胞を含む。好適な実施態様では、核酸分子は、ヒト、マ
カク、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ラット、ハムスター、マウス、または
魚類細胞のような脊椎動物あるいは温血動物由来の細胞、またはそれらの任意の
ハイブリッドに導入され得る。
核酸分子(またはベクター)は、例えば、リン酸カルシウム仲介トランスフェク
ション(Wiglerら、Cell 14:725、1978)、リポフェクチン; 遺伝子銃(Corsaroお
よびPearson、Somatic Cell Gen.7:603、1981; GrahamおよびVan der Eb、Viro
logy 52:456、1973)、エレクトロポレーション(Neumannら、EMBo J.1:841-845
、1982)、レトロウイルス、アデノウイルス、プロトプラスト融合-仲介トランス
フェクションまたはDEAE-デキストラン仲介トランスフェクション(Ausubelら編
、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons,Inc.,NY
,NY,1987)を含む広範な種類の機構により宿主細胞に導入され得る。
抗体の調製
本明細書に記載されるチミジンキナーゼ変異体またはグアニレートキナーゼタ
ンパク質に対する抗体は、本明細書に提供される開示を考慮に入れると容易に調
製され得る。本発明の文脈内では、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナ
ル抗体、抗体フラグメント(例えば、Fab、およびF(ab')2ならびに種々の組換え
法により産生され得るその一部)を包含すると理解される。抗体は、107M以上の
Kaで結合する場合、チミジンキナーゼ変異体に対して反応性であると理解される
。当業者により理解されるように、チミジンキナーゼ変異体のようなリガンドに
結合するだけでなく、さらに変異体の生物学的活性をブロックまたは阻害する抗
体を開発し得る。
手短には、ポリクローナル抗体は、当業者により種々の温血動物(例えば、ウ
マ、ウシ、種々の鳥類、ウサギ、マウス、ラット)から容易に作成され得る。手
短には、チミジンキナーゼ変異体(または、抗グアニレートキナーゼ抗体が所望
である場合には、グアニレートキナーゼ酵素)は、アジュバント(例えば、Freu
ndの完全または不完全アジュバント)を腹腔内注射、筋肉内注射、眼内注射、ま
たは皮下注射することにより動物を免疫するために利用される。いくつかの追加
免疫の後、血清のサンプルは、回収され、そしてチミジンキナーゼ変異体に対す
る反応性について試験される。特に好ましいポリクローナ抗血清は、これらのア
ッセイの内の1つでバックグラウンドより少なくとも3倍高いシグナルを与える
。動物の力価が、チミジンキナーゼ変異体またはグアニレートキナーゼ酵素に対
する反応性に関してプラトーに達すると、より大量の抗血清が、週毎の放血によ
るか、または動物を全採血するかのいずれかにより容易に得られ得る。
モノクローナル抗体はまた、従来技術を用いて容易に作成され得る(米国特許
第RE 32,011号、同第4,902,614号、同第4,543,439号、および同第4,411,993号を
参照のこと、これらは、参考として本明細書に援用される;Monoclonal Antibod
ies,Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses,Plenum Press,K
ennett,McKearn、およびBechtol(編)、1980、およびAntibodies: A Laboratory
Manual,HarlowおよびLane(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988
もまた参照のこと、これもまた参考として援用される)。
手短には、1つの実施態様では、被験体動物(例えば、ラットまたはマウス)
は、上記のようにチミジンキナーゼ変異体またはグアニレートキナーゼ酵素を注
射される。チミジンキナーゼ変異体またはグアニレートキナーゼ酵素は、生じる
免疫応答を増加させるためにアジュバント(例えば、Freundの完全または不完全
アジュバント)と混合され得る。初期免疫後の1週間から3週間の間に、動物は
、他の追加免疫で再免疫され得、そしてチミジンキナーゼ変異体またはグアニレ
ートキナーゼ酵素に対する反応性について上記のアッセイを用いて試験され得る
。一旦動物が、変異体への反応性においてプラトーに達すると、動物は屠殺され
、そして多数のB細胞を含有する器官(例えば、脾臓およびリンパ節)が、収集
される。
免疫した動物から得られる細胞は、Epstein-Barrウイルス(EBV)のようなウ
イルスでトランスフェクトすることにより不死化され得る(GlaskyおよびReadin
g,Hybridoma 8(4): 377-389,1989を参照のこと)。あるいは、好ましい実施態
様では、収集された脾臓および/またはリンパ節細胞懸濁物は、モノクローナル
抗体を分泌する「ハイブリドーマ」を作製するために適切なミエローマ細胞と融
合される。適切なミエローマ株は、例えば、NS-1(ATCC番号TIB 18)、およびP3
X63 - Ag 8.653(ATCC番号CRL 1580)を含む。
融合後、細胞は、適切な培地(例えば、RPMI 1640、またはDMEM(Dulbeccoの改
変Eagles培地)(JRH Biosciences,Lenexa,Kansas))ならびに添加成分(例えば
、ウシ胎児血清(FBS、すなわち、Hyclone、Logan、Utah、またはJRH Bioscience
s由来))を含有する培養プレート内に置かれ得る。さらに、培地は、脾臓とミエ
ローマとの融合細胞の増殖を選択的に可能にする試薬(例えば、HAT(ヒポキサン
チン、アミノプテリン、およびチミジン)(Sigma Chemical Co.,St.Louis,Mis
souri))を含有するべきである。約7日後、得られる融合細胞すなわちハイブリ
ドーマは、チミジンキナーゼ変異体またはグアニレートキナーゼ酵素に対して反
応性である抗体の存在を決定するためにスクリーニングされ得る。広範な種類の
アッセイが、本発明のタンパク質に対して反応性である抗体の存在を決定するた
めに利用され得る。これは、例えば、対向免疫電気泳動、放射免疫アッセイ、放
射免疫沈降、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ドットブロットアッセイ、ウ
エスタンブロット、免疫沈降、阻害アッセイまたは競合アッセイ、およびサンド
イッチアッセイを包含する(米国特許第4,376,110号および同第4,486,530号を参
照のこと;さらにAntibodies: A Laboratory Manual,HarlowおよびLane
(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988も参照のこと)。いくつ
かのクローンの希釈および再アッセイの後、チミジンキナーゼ変異体に対して反
応性の抗体を産生するハイブリドーマが単離され得る。
他の技術もまた、モノクローナル抗体を構築するために利用され得る(Willia
m D.Huseら、「λファージにおける免疫グロブリンレパートリーの大きな組み
合わせライブラリーの作製」Science 246:1275-1281、1989年12月を参照のこと
;さらにL.Sastryら、「モノクローナル触媒抗体の作製のためのEscherichia c
oliにおける免疫学的レパートリーのクローニング:H鎖可変領域特異的cDNAラ
イブラリーの構築」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5728-5732、1989年8月も参照
のこと;さらにMichelle Alting-Meesら、「モノクローナル抗体発現ライブラリ
ー:ハイブリドーマに対する迅速な代替物」Strategies in Molecular Biology
3:1-9、1990年1月も参照のこと;これらの参考文献は、Stratacyte,La Jolla
,Californiaから入手可能な市販のシステムを記載している。このシステムは、
組換え技術により抗体の産生を可能にする)。手短には、mRNAが、B細胞集団か
ら単離され、そしてkImmunoZap(H)およびkImmunoZap(L)ベクターにおいてH
鎖およびL鎖免疫グロブリンcDNA発現ライブラリーを作製するために利用される
。これらのベクターは、個々にスクリーニングされ得るか、または同時発現され
、Fabフラグメントまたは抗体を形成し得る(Huseら、前出、を参照のこと;さ
らにSastryら、前出、も参照のこと)。ポジティブプラークは、引き続いてE.co
li由来のモノクローナル抗体フラグメントの高レベル発現を可能にする非溶菌プ
ラスミドに変換され得る。
同様に、抗体の一部はまた、特異的に結合する抗体をコードする遺伝子の可変
領域を取り込むために、組換えDNA技術を用いて構築され得る。1つの実施態様
では、目的のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ由来の可変領域をコ
ードする遺伝子が、可変領域に対するヌクレオチドプライマーを用いて増幅され
る。これらのプライマーは、当業者により合成され得るか、または市販の入手可
能な供給元からを購入し得る。Stratacyte(La Jolla,Calif.)は、マウスおよ
びヒト可変領域に対するプライマーを販売している。これは、特にVHa、VHb、VH c
、VHd、CHl、VL、およびCL領域に対するプライマーを含む。これらのプライマ
ーは、
H鎖またはL鎖可変領域を増幅するために利用され得る。次いでこれらは、それ
ぞれImmunoZAPTMHまたはImmunoZAPTML(Stratacyte)のようなベクターに挿入さ
れ得る。次いでこれらのベクターは、発現のためにE.coliに導入され得る。これ
らの技術を利用して、VHおよびVLドメインの融合物を含有する大量の単鎖タンパ
ク質が産生され得る(Birdら、Science 242:423-426,1988を参照のこと)。さ
らに、このような技術は、抗体の結合特異性を変えることなく「マウス」抗体を
「ヒト」抗体に変化させるために利用され得る。
一旦適切な抗体が得られると、それらは、当業者に周知の多くの技術により単
離または精製され得る(Antibodies: A Laboratory Manual,HarlowおよびLane
(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988を参照のこと)。適切な
技術は、ペプチドまたはタンパク質アフィニティーカラム、HPLCまたはRP-HPLC
、プロテインAまたはプロテインGカラムでの精製、またはこれの技術の任意の組
み合わせを包含する。
抗体の標識
上記の抗チミジンキナーゼまたは抗グアニレートキナーゼ抗体は、種々の分子
(例えば、蛍光分子、毒素、および放射性核種を包含する)で標識され得る。蛍
光分子の代表的な例は、フルオレセイン、フィコエリトリン、ローダミン、テキ
サスレッド、およびルシフェラーゼを包含する。毒素の代表的な例は、リシン、
アブリンジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン(gelonin)、ヨウシュヤマゴボ
ウ抗ウイルスタンパク質、トリチン(tritin)、赤痢菌毒素、およびシュードモナ
スエキソトキシンAを包含する。放射性核種の代表的な例は、Cu-64、Ga-67、Ga
-68、Zr-89、Ru-97、Tc-99m、Rh-105、Pd-109、In-111、I-123、I-125、I-131、
Re-186、Re-188、Au-198、Au-199、Pb-203、At-211、Pb-212、およびBi-212を包
含する。さらに、上記の抗体はまた、リガンド結合ペアの1つのパートナーに標
識されるか、または結合され得る。代表的な例は、アビジン-ビオチン、および
リボフラビン-リボフラビン結合タンパク質を包含する。
上記に考察された抗チミジンキナーゼまたは抗グアニレートキナーゼ抗体を、
上記に示された代表的な標識で結合または標識する方法は、当業者により容易に
達成され得る(トリコテセン(Trichothecene)抗体結合,米国特許第4,744,981号
;抗体結合、米国特許第5,106,951号;蛍光発生物質および標識技術、米国特許
第4,018,884号;診断および治療のための金属放射性核種標識タンパク質、米国
特許第4,897,255号;およびキレート反応速度の改善のための金属放射性核種キ
レート化合物、米国特許第4,988,496号を参照のこと;さらにInman,Methods In
Enzymology,第34巻,Affinity Techniques,Enzyme Purification: Part B,J
akobyおよびWilchek(編)、Academic Press,New York,30頁、1974も参照のこと
;さらにWilchekおよびBayer、「生物分析応用におけるアビジン-ビオチン複合
体」Anal.Biochem.171: 1-32,1988を参照のこと)。
薬学的組成物
上記に記載のように、本発明はまた、種々の薬学的組成物を提供する。これは
、薬学的または生理学的に受容可能なキャリア、賦形剤、または希釈剤とともに
上記のチミジンキナーゼ変異体(例えば、核酸分子、ベクター、またはタンパク
質のいずれか)の1つを包含する。一般に、このようなキャリアは、使用される
用量および濃度において、受容体に対して非毒性であるべきである。通常は、こ
のような組成物の調製は、治療薬剤と緩衝液、アスコルビン酸のような抗酸化剤
、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、炭水化物(
グルコース、スクロース、またはデキストリンを包含する)、EDTAのようなキレ
ート剤、グルタチオンおよび他の安定化剤、および賦形剤とを組み合わせること
を要する。中性の緩衝化生理食塩水または非特異的血清アルブミンと混合した生
理食塩水は、代表的な適切な希釈剤である。
さらに、本発明の薬学的組成物は、種々の異なる経路による投与のために調製
され得る。これらの経路は、例えば、関節内経路、頭蓋内経路、皮内経路、筋肉
内経路、眼内経路、腹腔内経路、髄内経路、静脈内経路、皮下経路、または腫瘍
内への直接的経路(例えば、定位的注射による)さえも包含する。さらに、本発
明の薬学的組成物は、このような薬学的組成物の使用に関する使用説明書を提供
する包装用物質とともに容器内に置かれ得る。一般に、このような使用説明書は
、試薬濃度、ならびに所定の実施態様における、薬学的組成物を再構成するに必
要
であり得る賦形剤成分または希釈剤(例えば、水、生理食塩水、またはPBS)の
相対量を記載する確実な表現を含む。
方法
本発明はまた、温血動物における病原性因子を阻害する方法を提供する。これ
らの方法は、上記のように病原性因子を阻害するようにベクター(例えば、発現
ベクター、ウイルスベクター、またはベクターを含有するウイルス粒子)を温血
動物に投与することを包含する。当業者に明らかであるように、投与の量および
頻度は、勿論、処置される徴候の特性および重篤度、所望の応答、患者の状態な
どの因子に依存する。代表的には、組成物は、種々の技術により投与され得る。
このような技術は、例えば、関節内技術、頭蓋内技術、皮内技術、筋肉内技術、
眼内技術、腹腔内技術、髄内技術、静脈内技術、皮下技術、または腫瘍への直接
的技術(例えば、定位的注射による)さえも包含する。
本発明の他の実施態様では、上記のチミジンキナーゼ変異体をコードする核酸
分子を含有または発現するベクター、または核酸分子自身さえも、種々の別の技
術により投与され得る。これらは、例えば、ポリ(L-リジン)DNA複合体と結合
したアシアロオソムコイド(asialoosomucoid)(ASOR)(Cristanoら、PNAS 92122-9
2126,1993)、死滅アデノウイルスに連結したDNA(Michaelら、J.Biol.Chem.26
8(10):6866-6869,1993;およびCurielら、Hum.Gene Ther.3(2):147-154,1992
)、サイトフェクチン(cytofectin)媒介導入(DMRIE-DOPE,Vical,Calif.)、
直接的DNA注入(Acsadiら、Nature 352:815-818,1991);DNAリガンド(Wuら、
J.of Biol.Chem.264:16985-16987,1989);リポフェクション(lipofection)(
Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7417,1989);リポソーム(Pic
keringら、Circ.89(1):13-21,1994;およびWangら、PNAS 84:7851-7855,1987
);微小発射体照射(microprojectile bombardment)(Williamsら、PNAS 88:2726
-2730,1991);レトロトランスポゾン、トランスフェリン-DNA複合体(Zenke)
、および核酸単独(VileおよびHart,Cancer Res.53:3860-3864,1993)か、ま
たはPEG-核酸複合体を利用するかのいずれかの、酵素自身をコードする核酸の直
接送達による投与を包含する。
本発明の1つの局面では、温血動物において腫瘍またはガンを阻害する方法が
提供される。これは、腫瘍またはガンが阻害されるように、上記のベクターの1
つ(または本発明のチミジンキナーゼ変異体またはグアニレートキナーゼ酵素を
コードする核酸分子)を温血動物に投与することを包含する。さらなる実施態様
では、このような方法は、ヌクレオシドアナログを投与する工程をさらに包含す
る。このようなヌクレオシドアナログの代表的な例は、ガンシクロビル、アシク
ロビル、トリフルオロチミジン、1-[2-デオキシ、2-フルオロ、β-D-アラビノフ
ラノシル]-5-ヨードウラシル、ara-A、ara-T 1-β-D-アラビノフラノキシルチミ
ン、5-エチル-2'-デオキシウリジン、5-ヨード-5'-アミノ-2,5'-ジデオキシウリ
ジン、イドクスウリジン、AZT、AIU(5-ヨード-5'アミノ2',5'-ジデオキシウリ
ジン)、ジデオキシシチジン、およびAraCを包含する。手短には、このような方
法を利用して、広範な種類の腫瘍(良性および悪性の両方)が処置され得る。こ
のような腫瘍の代表的な例は、固体腫瘍(例えば、肺ガン、腎臓細胞ガン、乳ガ
ン、大腸ガン、およびメラノーマ)、ならびに散在性ガン(例えば、白血病およ
びリンパ腫)を包含する。
本発明の他の局面では、ここで、細胞のサブセットが、「病的」、または変化
したと特徴付けられ得る種々の疾患を、上記の核酸またはベクターを利用して処
置する方法が提供される。このような疾患の代表的な例は、角質増殖(乾癬)、
前立腺肥大、甲状腺機能亢進症、広範な種類の内分泌障害、自己免疫疾患(T細
胞の所定のサブセットのような自己免疫反応性細胞に起因する)、アレルギー(
例えば、アレルギー応答の原因であるIgE発現細胞の活性を調節することによる
)、再狭窄(例えば、血管の内殖および/または閉塞(clogging)の原因である
細胞が死滅することによる)、広範な多数のウイルス性疾患(例えば、AIDS(HI
V)、肝炎(HCVまたはHBV)、および細胞内寄生生物症)を包含する。本発明の
他の実施態様では、本来、疾患と関係しない細胞の増殖を阻害するか、または細
胞を破壊するための方法が提供される。例えば、所定の実施態様では、動物の体
重の減少を開始するか、または(脱毛試薬として)毛包を破壊するために、脂肪
細胞を阻害または破壊するベクター(または核酸分子単独)を投与することが所
望され得る。
本発明の他の局面では、原核細胞、真核細胞、植物(CzakoおよびMorton,Pla
nt Physiol.104:1067-1071,1994)、寄生体(例えば、トリパノソーマ)また
はウイルスにおけるネガティブな選択マーカー遺伝子(例えば、CzakoおよびMar
ton,Plant Physiol.104:1067-1071,1994を参照のこと)として、上記のチミ
ジンキナーゼ変異体を利用する方法が提供される。あるいは、このような変異体
は、相同組換えのための条件致死マーカーとして利用され得る(Mansourら、Nat
ure 336:348-352,1988)。代表的な例を、実施例6として以下により詳細に示
す。
以下の実施例は、説明のために示されるが、限定のためではない。
実施例
実施例1
20%ランダムライブラリーを利用するコドン165-175での
変異を含有するTK変異体の構築
実施例1は、20%ランダムライブラリーを利用するコドン165-175での変異を
含有するTK変異体の構築を記載する。本実施例において利用した戦略を示す概略
図を図1に示す。
A.TK変異体の生成
1.オリゴヌクレオチドの生成
野生型tk配列を有する52マーオリゴヌクレオチド(配列番号2)およびtk遺伝
子(配列番号1−−配列番号1は、HSVTK-1のオープンリーディングフレームに
おけるヌクレオチドを列挙するのみであることに注意)のコドン165からコドン1
75に広がる変性ヌクレオチドを含有する56マー(配列番号3)(ここで、Nは80
%野生型ヌクレオチドであり、そしてそれぞれの位置で他の3つの20%混合物で
ある)は、Operon Technologies(San Pablo、CA)により合成された。両オリゴ
マーは、それらの3'末端で12塩基に沿って互いに相補的であった。
下記のpKTPDの構築のために、さらに2個のオリゴヌクレオチドが、ホスホル
アミド化学を用いて、Operon Technologiesにより合成された。これらのオリゴ
ヌクレオチドは、以下の通りであった:
2.ランダム配列含有ライブラリーの生成
a.ベクターpMDCおよびpMCCの構築
キメラベクターpMDC(これは、不活性なTK遺伝子産物を産生する)およびpMCC
(これは、野生型TKを産生する)を、本質的には以下に記載のようにプラスミド
pHETK1およびpHETK2から作製した。簡潔に記すと、プラスミドpHETK1およびpHET
K2(Waldmanら、J.Biol.Chem.258:11571-11575、1983)は、HSV-1 tk構造遺
伝子を含有する発現ベクターであり、そしてpBR322の誘導体である。pHETK1およ
びpHETK2の制限地図は、Waldmanら、J.Biol.Chem.258:11571-11575、1983に
見出され得、これらのプラスミドの構築はこの文献に記載されている。プラスミ
ドpHETK2は、λPLプロモーターおよびλPRプロモーター、ampR、およびc1857温
度感受性リプレッサーを含有し、その一方、pHETK1は、λPLプロモーター以外の
、上記の全てを含有する。プラスミドpHETK1およびpHETK2を、William Summers
博士(School of Medicine、Yale University、New Haven)から得た。
pMDCおよびpMCCを構築するために、pKTPDと称するダミーベクターを、最初に
、Biochem.30:11760-11767、1991におけるDubeらによる記載のようにして構築
した。簡潔に記すと、オリゴヌクレオチド配列番号4および5(それぞれ20pmol
)を最初にリン酸化し、次いでアニールして、KpnIおよびSstI適合性末端を有し
そ
して内部にXhoI部位を有する2本鎖オリゴヌクレオチドを形成した。さらに、pH
ETK2をSstIおよびKpnI制限エンドヌクレアーゼで消化し、そして大フラグメント
をアガロースゲル電気泳動により単離し、引き続いて電気溶出した。2ピコモル
の大フラグメントを、6ピコモルの2本鎖オリゴヌクレオチドと連結した。得ら
れた2本鎖環状DNA産物(「pKTPD」と称される)を用いて、コンピテントなE.co
li KY895細胞を形質転換した。E.coli KY895は、TK欠損株(K12 tdk-,F-,ilv
276)であり、William Summers、Yale University、New Haven、CTから入手した
。組換えプラスミドpKTPDを含有するクローンを、50μg/mlのカルベニシリンを
含有するLBプレート上で増殖させた。組換えプラスミドDNAの存在を、XhoI部位
での切断により確認した。チミジンキナーゼ選択培地におけるE.coli KY895の増
殖がpKTPDにより相補されないことは、本菌株が機能的なチミジンキナーゼを産
生しないことを示す。
次いで、pHETK1およびpKTPDを利用して、pMDCと称する新しいダミーキメラベ
クターを構築した。簡単に記すと、SphIおよびPvuIIで消化して、pHETK1を2つ
のフラグメントに切断する。大きい方のフラグメントは、ampR、cI857、λPR配
列、およびBamHI部位からSphI部位にまたがるtk遺伝子の一部を含有する。小さ
い方のフラグメントは、SphIからPvuIIまでのtk遺伝子の残りの部分を含有する
。同様に、pKTPDを同じ2つの酵素で消化し、1つの大きなフラグメントおよび
1つの小さなフラグメントに切断する。pKTPDの小さい方のSphI/PvuIIフラグメ
ントは、tk遺伝子のKpnI部位とSacI部位との内部にダミーまたは不活性配列を含
有する。pHETK1由来の大フラグメントとpKTPDの小フラグメントとの連結により
、キメラベクターpMDCが生成し、これは不活性なtk遺伝子産物を産生する。
野生型tk遺伝子を含有するもう1つのキメラベクター(pMCC)を、同様にして
、pHETK1由来の大フラグメントをpHETK2の小フラグメントと連結することにより
構築した。上記のように、pMCCは、活性な野生型TKを産生する。
b.ライブラリーの生成
20%ランダムヌクレオチド配列を含有するライブラリーを、以下のようにして
構築した。簡潔に記すと、野生型配列を含有する52マーオリゴ(配列番号2)を
、
コドン165からコドン175にまたがる変性配列を含有する56マーオリゴ(配列番号
3)にハイブリダイズさせた。
ハイブリッドを、E.coli DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントで伸長さ
せ、完全な2本鎖DNA産物を作製した。この戦略は、配列番号3を含有する長い
ランダムヌクレオチドの合成を避けるために実行した。なぜなら、ベクター内の
KpnI部位およびSacI部位(挿入部位)の位置には、長いカセットを必要とするか
らである。次いで、クレノウフラグメントにより生成した2本鎖DNAを、2つの
合成プライマーを用いることにより、ポリメラーゼ連鎖反応増幅に供した:第一
のプライマーは、a:5'-TGG GAG CTC ACA TGC CCC GCC-3'(配列番号6)で、
配列番号2のオリゴの5'末端の21塩基の配列に対応する。第二のプライマーは、
b:5'-ATG AGG TAC CG-3'(配列番号7)で、配列番号3のオリゴの5'末端の11
塩基の配列に対応する。ポリメラーゼ連鎖反応増幅反応は、20mM Tris-HCl(pH8
.3)、25mM KCl、1.5mM MgCl2、および0.05%Tween 20、0.1mg/ml BSA、それぞ
れ50μMの4つのデオキシヌクレオシド三リン酸、20pmolのプライマー「a,」、
40pmolのプライマー「b,」、鋳型として約1pmolの伸長させた2本鎖オリゴヌ
クレオチド、および2ユニットのTaqポリメラーゼ(Cetus)を100μlの最終反応
容量中に含有していた。各混合物をミネラルオイルで重層し、そして30回の温度
サイクルに供した:94℃に1分間、34℃に2分間、そして72℃に7分間。
低分子量成分および過剰のプライマーを、Centricon 30超遠心ユニットを用い
た遠心分離により、ポリメラーゼ連鎖反応−増幅産物から除去し、そして増幅DN
AをKpnIおよびSacIで消化した。ランダム配列を含有する、消化した2本鎖オリ
ゴヌクレオチドを、再度、Centricon 30ユニットにより精製し、そしてpMDCのKp
nI/SacI消化の大フラグメントに、10:1のモル比で、1mM ATPおよび1ユニッ
トのT4 DNAリガーゼ(BRL)の存在下、10μlの容量中で連結した。18時間14℃で
インキュベーションを行い、そしてフェノール-CHCl3抽出により反応を停止し、
その後、エタノール沈殿を行った。
c.TK 変異体の選択
上記の沈澱を乾燥し、そして10μlの水に溶解し、そしてエレクトロポーレシ
ョンによりコンピテントなE.coli KY895を形質転換するために使用した。1μl
の連結産物を、50μlのコンピテントな細胞と混合し、そして2KV、25μF、そし
て400オームで、Gene-pulserエレクトロポレーター(Bio-Rad)を用いてエレク
トロポレートした。パルス後、1mlのSOC培地(2%Bacto-トリプトン、0.5%Ba
cto-酵母エクストラクト、10mM NaCl、2.5mM KCl、10mM MgCl2、10mM MgSO4およ
び20mMグルコース)を添加し、続いて37℃で1.5時間、連続攪拌によりインキュ
ベートした。各形質転換溶液のアリコートを、50μg/mlのカルベニシリンを含有
するLB寒天培地上に拡げ、形質転換体の総数を測定した。活性TKクローンの選択
を、50μg/mlのカルベニシリン、10μg/mlの5'フルオロデオキシウリジン、2μ
g/mlのチミジン、20μg/mlのウリジン、2%BBLペプトン、0.5%NaCl、0.2%グ
ルコース、および0.8%Gel-Rite(Scott Laboratories,Inc.、Carson、CA)を
含有するTK選択培地上で行った(図1)。カルベニシリン培地上のコロニーを37
℃で14〜16時間インキュベートした。一方、播種したTK選択培地は、37℃で24時
間インキュベートした。
カルベニシリン培地上で増殖した総計53,000個の形質転換体から、190個の形
質転換体は、E.coli KY895のTK機能を相補し得た。
実施例2
100%ランダムライブラリーを利用するコドン165-175での
変異を含有するTK変異体の構築
実施例2は、100%ランダムライブラリーを利用するコドン165-175での変異を
含有するTK変異体の構築を記載する。本実施例のために用いた戦略は、上記実施
例1に記載の戦略と同様である。
A.TK変異体の生成
1.オリゴヌクレオチドの生成
野生型tk配列および5'末端でKpnI部位を有する52マーの5'-d(TG GGA GCT CAC
ATG CCC CGC CCC CGG CCC TCA CCC TCA TCT TCG ATC GCC AT)-3'(配列番号8)
は、Operon Technologies(San Pablo、CA)により合成された。さらに、HSV-1
tkのコドン165-175に対応するランダムヌクレオチドを含有し、そして3'末端でS
acI部位を含有する56マーの5'-d(ATG AGG TAC CGN NNN NNN NNN NNN NNN NNN NN
N NNN NNN NNN NNA TGG CGA TCG AA)-3'(配列番号3)(ここで、Nは等モル濃度
のG、A、T、またはCである)もまた、合成した。このオリゴヌクレオチドを、20
%変性ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動により分離し、その後逆相ミニカ
ラム(Glen Research、Sterling、VA)で精製した。
2.100%ランダム配列含有ライブラリーの生成
野生型HSV-1 tk配列に対応する52マーを、ランダムヌクレオチドを含有する56
マーとハイブリダイズした。次いで、このハイブリッドをDNAポリメラーゼIの
クレノウフラグメントで伸長し、PCR増幅し、そして本質的には上記実施例1に
記載のように、pMDC内に連結した。
3.TK+変異体の選択
機能的なTK変異体を、本質的には下記のような、dTのリン酸化能に基づくTK選
択培地上でのコロニー形成により同定した。簡潔に記すと、連結産物を、tk- E.
coli KY895株内に導入した。形質転換体の総数を、1mL当たり50μgのカルベニ
シリンを含有するLB寒天上にプレートすることにより決定し、そして触媒的に活
性なチミジンキナーゼを産生する形質転換体の数を、TK選択培地[2%BBLペプ
トン、0.5%NaCl、0.2%グルコース、0.8%Gel-Rite(Scott Laboratories、Cars
on、CA)、50μg/mLのカルベニシリン、10μg/mLのフルオロデオキシウリジン、
2μg/mLのdT、および20μg/mLのウリジン]上にプレートすることにより決定し
た。
2百万(2×106)個の形質転換体を、100%ランダムライブラリーからスクリ
ーニングし、その内の1540個が、TK選択培地上でコロニーを形成した。
B.AZT感受性変異体の選択
100%ランダムライブラリー(TKI)由来の690個の変異体および20%変性(dege
nerate)ライブラリー(TKF)由来の190個の変異体(上記実施例1に記載)のサ
ブセットを、増強されたAZTのリン酸化を示す変異体を同定するために、AZT含有
培地での2次のネガティブ選択に供した。このスクリーニングは、dTに対するAZ
Tのリン酸化能が増加した変異体はAZT選択培地上でコロニーを形成し得ないとい
う前提に基づく。特に、生成物(AZT一リン酸)は、宿主細胞の非特異的なヌク
レオチドキナーゼにより、またはおそらくは、変異体TKにより、さらにリン酸化
され得、宿主DNAポリメラーゼにより細菌DNAに取り込まれ、DNA合成を停止させ
、そしてそれ故、宿主染色体の複製を妨げる。
簡潔に記すと、TK変異体を、まずTK選択培地(1.0μg/mLのdT)上で個々のコ
ロニーとして増殖させ、次いでAZT選択培地(0.05μg/mLのAZT、1.0μg/mLのdT
)上にレプリカしてプレートした。AZT選択培地の他の成分のすべては、TK選択
培地と同じであった。AZT選択培地上で増殖できないTK変異体を選択し、そしてT
K選択培地およびAZT選択培地上で、増殖について別々に再試験した。
スクリーニングした880個の最初の選択体の内、2つの変異体(TKF105(20%
ライブラリー由来)およびTKI208(100%ライブラリー由来))のみが、TK選択
培地上で、野生型プラスミドを有するE.coliの効率と同様の効率でコロニーを形
成したが、AZT選択培地上ではコロニーを形成しなかった(図2)。
TKF105およびTKI208のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、図3に示
す。両変異体は、同じ位置で単一のアミノ酸置換を含有する:Leu-170が、TFK10
5ではIleに変化し、そしてTKI208ではValに変化していた。他の置換は、この周
囲220ヌクレオチドにおいては観測されなかった。
TKF105とTKI208との間の差異が、変異型プラスミドおよび野生型プラスミドを
有するE.coliにおけるTKの異なる発現のためでないことを確認するために、TKI2
08または野生型プラスミドのいずれかを含有する細胞由来の抽出物のウェスタン
ブロットを比較した。免疫反応的に染色したタンパク質の量または電気泳動的移
動度において、有意な差異は観測されなかった。また、タンパク質の1mg当たり
のdTリン酸化速度を測定し、そしてTKI208、TKF105、および野生型プラスミドを
有するE.coliの抽出物において同様であることが見出された。
これら2つの変異体がAZT選択培地上で増殖できないのは、AZTのリン酸化が増
強されたためであることを明らかにするために、以下の実験を行った。
1.[3H]AZTの取り込み速度
最初に、野生型プラスミドおよび変異型プラスミドを有するE.coliへの、[3H]
dTに対する[3H]AZTの取り込み速度を測定した。これらの研究は、AZT感受性変異
体(TKF105およびTKI208)を有するE.coliは、野生株プラスミドを有するE.coli
と比較して、dTに対するAZT取り込み比が、4倍増加することを示した。
2.TKのアフィニティー精製
野生型および変異型TKの精製を、p-アミノフェニルチミジン3'-リン酸を結合
させたCH-セファロース4B(Pharmacia)上のアフィニティークロマトグラフィー
により実施した。簡潔に記すと、細菌の粗抽出物を、7mLベッド容量のアフィニ
ティーカラムに3回通した。次いで、カラムを30mLの緩衝液A[0.1M Tris HCl
、pH7.5/5mMジチオスレイトール(DTT)/10%グリセロール]、緩衝液B(0.
1M Tris HCl、pH7.5/0.5M KCl/5mM DTT/10%グリセロール)、および緩衝
液Aのそれぞれで連続して洗浄した。TKを、緩衝液C(0.3M Tris HCl、pH 7.4
/50mM KCl/10%グリセロール)中の0〜600μMのdTの60mLの直線勾配を用いて
溶出した。活性画分をプールし、そして各2リットルの50mM Tris HCl、pH 7.4
/5mM DTT/10%グリセロールに対して3回透析した。最後の透析を除いては、
上記の緩衝液のすべては、50μg/mLのアプロチンおよび各2μg/mLのペプスタチ
ンおよびロイペプチンを含有していた。
3.AZTリン酸化の速度論
2番目に、2つの変異体によるAZTリン酸化の速度論を測定した。簡潔に記す
と、反応を、50mM Tris HCl(pH 7.5)、5mM ATP、4mM MgCl2、2.5mM DTT、12
mM KCl、0.18mg/mLのウシ血清アルブミン、5%グリセロール、0.08μCiの[3H]A
ZT(Sigma)、種々の濃度の非標識AZT(0〜4.0μM)、および精製酵素(野生型
およびTKI208についてそれぞれ、4および1.2ユニット)を含有する最終容量100
μlで行った。(1ユニットの酵素を、上記の条件下で1分間に1.0pmolのdTをTM
Pにリン酸化し得る量として定義する。)インキュベーションを34℃±1℃で10
分間行った。そして、反応を1.0mMの非標識dTを添加し、そして氷上で冷却する
ことにより停止した。反応混合物の半分を、蒸留水に(1分)浸したDEAEセルロ
ースディスク(25mm)上にピペットで移し、その後、無水エタノールで4回洗浄
した。ディスクに吸着した放射能量を、シンチレーション分光学により測定した
。KmおよびVmaxの値を、Cleland SUBINプログラム(Cleland、Methods Enz.63
:103-138、1979)を用いて決定した。kcatの値は、式Vmax=kcat[E]0(ここで、
[E]0は全酵素の濃度である)を用いて計算した。dTのリン酸化を測定したTKアッ
セイは、0.3μCi([3H−メチル]dT:87 Ci/mmol:Amersham)、種々の濃度の非
標識dT(0〜4.0μM)、ならびに、それぞれ1.1ユニットおよび0.5ユニットの野
生型およびTKI208のTKを用いて、50μlの最終容量で行った。反応混合物中の他
のすべての成分およびインキュベーション条件は、AZTのリン酸化について上記
の通りであった。
下記の表Iに示すように、AZT感受性変異体TKI208は、野生型のKm(8.5μM)
と比較してより低いkm(4.4μM)を示す。2つの基質(AZT 対 dT)間のkcat/Km
を比較することにより、TKI208は、dTよりAZTを2.3倍、より効率的に、選択的
にリン酸化することが観察され得る。精製したTKF105 TKを用いた同様な予備実
験はまた、AZTについてより低いKm(3.7μM)を示したが、野生型と比較したと
き、kcat/Kmは類似した値を示した。
C.変異体TKの熱安定性分析
変異体を、本質的には下記のように、熱安定性について分析した。簡潔に記す
と、25μgの各抽出物を、0.28mg/mLのウシ血清アルブミン、28μg/mLのアプロチ
ニン、(各)2μg/mLのペプスタチンおよびロイペプチンを含有する28mM Tris
HCl(pH 7.5)の0.3ml中で、42℃で、0.5分、10分、20分、30分、または40分間
、プレインキュベーションした。それぞれの時間で、30μl(2.5μg)アリコー
トを、50mM Tris HCl(pH 7.5)、5mM ATP、4mM MgCl2、2.5mM DTT、12mM KCl
、0.18mg/mLのウシ血清アルブミン、5%グリセロール、および1μMの[3H−メ
チル]dT(60×103dpm/pmol)を含有する50μlの全反応容量中で残存TK活性につ
いてアッセイした。インキュベーションは、34℃で10分間であった。反応を、氷
上で冷却することにより停止し、そして25μlをDEAEセルロースディスクにピペ
ットで移した。ディスクの洗浄およびアッセイ条件は、上記のAZTアッセイのよ
うに実施した。
TKF2、TKF56、TKF75、TKF446および野生型TKの未分画抽出物のアッセイ結果を
、図4A〜4Dに示す。1つの変異体(TKF2)は、他の変異体のいずれもより、また
は野生型よりも42℃で熱安定性であった。TKF2を除き、野生型を含め、試験した
変異体のすべてについて、34℃と比較して42℃でのプレインキュベーション後の
残存活性の比は、0.05〜0.30であった:TKF2は、0.7の比を有した。TKF2は、3
個のアミノ酸置換を含有している:Pro-165 → His、Ala-167 → ser、およびAl
a-174 → Val(図3)。TKF75は、Ala-167 → Ser置換を含有し、TKF56は、Ala-
174 → Val置換を、そしてTKI440は、Pro-165 → Ala置換を含有していた。Ala-
174 → Val置換およびAla-167 → Ser置換をそれぞれ有する変異体TKF56およびT
KF75の熱安定性は、野生型の熱安定性と同様であった。両者とも、42℃で5分間
のインキュベーション後のそれらの活性の>80%を喪失した。Pro-165 → Ala置
換を有するTKF440は、さらに安定であるが、TKF2(3重変異体)ほど安定ではな
い。
2つのタイプの実験を行って、TKF2の熱安定性を確認した。最初に、TKF2およ
び野生型プラスミドを有するE.coli由来のTKタンパク質を、アフィニティークロ
マトグラフィーによりほぼ均一にまで精製し、そして上記のようにアッセイした
。前記のように、TKF2における活性の喪失は、42℃でのプレインキュベーション
後、野生型における喪失よりも小さい(図4E)。
2番目に、TKF2および野生型TK由来のtk遺伝子を、T3 RNAポリメラーゼのプロ
モーターを有するベクター中に移した。さらに詳細には、野生型およびTKF2プラ
スミドからのtk遺伝子の全長のBglII−PvuIフラグメントを単離し、そして合成
リンカーを用いて、SpeI部位およびEcoRI部位間でpBluescript SK+(Stratagene
)ベクター中にサブクローニングした。T3プロモーターを用いてインビトロ転写
を、Promega転写系を用いて行った。供給者のプロトコルに従い、網状赤血球溶
解物系(Promega)を用いて、インビトロ翻訳を行った。野生型tk遺伝子およびT
KF2 tk遺伝子由来のインビトロ合成タンパク質のTK活性の喪失を、42℃でのプレ
インキュベーションの関数として図5に示す。TKF2によりコードされるタンパク
質は、45分間のプレインキュベーション後、その活性の<10%を喪失した。対照
的に、野生型遺伝子によりコードされるタンパク質は、その初期活性の>80%を
喪失した。インビトロ合成されたTKF2が示す熱安定性の程度は、元のTKF2プラス
ミドを有する粗抽出物の熱安定性と、同程度かまたはより大きかった。SDS/PAGE
分析のために、翻訳産物を[35S]メチオニンで標識した。
SDS/PAGE後の標識タンパク質のオートラジオグラフを、図6に示す。矢は、分
子量標準物(Bio-Rad)より判断されるように、翻訳TKの予想されるサイズを示
す。このオートラジオグラフから、翻訳産物が2本のバンドとして移動すること
が明らかである。そのうちの1つは43kDaのタンパク質に対応し、これは、E.col
iにおいて発現したHSV-1 TKの報告されたサイズと一致する。2本目のバンドは
、アミノ末端での32残基フラグメントのタンパク質分解的分解のためであり得、
これにより、HSV-1 TKのTK活性は、検出できるほど変化しない。
実施例3
20%ランダムライブラリーを利用したコドン155、および161〜165に
変異を有するTK変異体の構築および分析
本実施例は、コドン155、および161〜165で変異誘発されているTK変異体の構
築および分析を説明する。本実施例に使用された細菌株および材料を以下に示す
。
細菌株。Igarashiら(Genetics 57:643-654、1967)により最初に記載されたE.c
oli株KY895(F-、tdk-、1-ilv)を、チミジンキナーゼ活性についての遺伝子相補-
アッセイに使用した。E.coli株NM522(F'lacIqΔ(lacZ)M15 proAB/supE thi Δ(
lac proAB)Δ(hsdMS-mcrB)5(rk-McrB-))(NEB,Beverly,MA)を、すべてのサブク
ローニング実験で受容体として使用した。ヘルパーファージVCM13(Stratagene,
La Jolla,CA)を、配列決定のために一本鎖ファージの産生に使用した。
材料。タンパク質合成測定用のL-[35S]メチオニン/システイン(比活性、1140
Ci/mmol)および[メチル-3H]チミジン(比活性、87 Ci/mmol)をAmershamから購入
した。他の放射性同位体[[側鎖-2-3H]アシクロビル(比活性、28.6 Ci/mmol)およ
び[5-3H]-デオキシシチジン(比活性、29 Ci/mmol)]を、Du Pont-New England Nu
clear(Boston,MA)から購入し、そして[8-3H]ガンシクロビル(比活性、22 Ci/mm
ol)および[メチル-3H]-3'-アジド-3'デオキシチミジン(比活性、14 Ci/mmol)を
、Moravek(Brea,CA)から購入した。制限エンドヌクレアーゼおよびT4 DNAリガ
ーゼをNew England Biolabs(NEB)から購入した。Promega(Madison,WI)は、キャ
ップアナログである7m(5')Gppp(5')G(これはNEBから購入した)を除いて、インビ
トロでの転写および翻訳試薬の供給者であった。配列決定およびポリメラーゼ連
鎖反応増幅剤用のオリゴヌクレオチドをOperon(Alameda,CA)から入手した。他
の化学物質は、指示されたものを除いて、Sigma(St.Louis,MO)から購入した。
A.TK変異体の生成
1.オリゴヌクレオチドの生成
2つのオリゴヌクレオチドはAmerican Synthesis,Inc.(Pleasanton,CA)によ
り合成された:MB110(70mer)5'-TGGGAGCTCA CATGCCCCGCCC[CCG]GCCCT CACCCTCAT
C[TTCGACCGCC ATCCC]ATCGCCGCCCTCCTG-3'(配列番号9)、およびMB111(38mer)5'-
ATGAGGTACCGCGCAGCTGG GTAGCACAGG AGGGCGGC-3'(配列番号10)。これらのオリゴ
ヌクレオチドでは、括弧内のヌクレオチドが、80%が野生型ヌクレオチドとして
、そして20%が他の3種のヌクレオチドとして合成された。
MB110の5'末端は、SacI制限部位であり、そしてMB111の5'末端は、KpnI部位で
ある。これらの制限部位は、第2番目の鎖の合成が行われた後のより後ろの段階
で使用された。さらに、配列決定の前にランダム配列挿入の確認を可能にするた
めに、MB111にPvuII部位を内部コントロールとして導入した(サイレント変化)。
各オリゴヌクレオチドの3'末端の12ヌクレオチドは相補的であり、2つの鎖の互
いのハイブリダイゼーションを可能にする。各オリゴヌクレオチドを、20%アク
リルアミド-尿素ゲル上で電気泳動し、そしてPEI-セルロースTLCプレート(Baker
,Phillipsburg,NJ)上でUVシャドウイングすることにより可視化し、正確なサ
イズを有するオリゴヌクレオチドを含有するゲルの部分を切り出し、そして0.5M
NH4Ac/10mM MgOAc2中でこのオリゴヌクレオチドをゲルから37℃で一晩溶出した
。続いて、溶出したオリゴヌクレオチドをエタノールで沈澱させ、そしてH2Oに
再懸濁した。OD260測定を行い、そして各オリゴの吸光係数を濃度測定に使用し
た。
等モルのMB110およびMB111(25pmol)を、1×アニーリング緩衝液(10×アニー
リング緩衝液=70mM Tris(pH7.5)/60mM MgCl2/200mM NaCl)にて小容積(20μl)で
95℃で5分間アニーリングし、続いて、65℃で20分間維持し、さらに室温までゆ
っくりと冷却した。アニーリングしたオリゴヌクレオチド(20μl)に、2μlの10
×アニーリング緩衝液、2.8μlの10mM dNTP、0.8μlの0.1Mジチオスレイトール(
DDT)、2.4μlのDNAポリメラーゼIクレノウフラグメント(5単位/μL)、およびH2O
をその容積40μLになるまで加えた。混合物を37℃で30分間、65℃10分間、最後
に室温で10分間放置した。十分に伸長した放射活性オリゴヌクレオチドの確認は
、試料を変性アクリルアミドゲル電気泳動およびオートラジオグラフィーに供す
ることにより行った。伸長した産物の増幅を、Taqポリメラーゼ(Stratagene)を
用いるポリメラーゼ連鎖反応を用いて行った。100μLの反応物には、20mM Tris(
pH8.3)/25mM KCl/1.5mM MgCl2/0.05% Tween 20)/0.1mg/mL BSA/4種のデオ
キシヌクレオシドトリホスフェート(dNTP)それぞれ50μM/22pmol PCRプライマ
ー1/20pmol PCRプライマー2/2単位のTaqポリメラーゼおよび6 pmolの伸長
したランダムオリゴヌクレオチドが含まれていた;プライマー1=5’TGGGAGCTC
ACATGCCCCGCC-3'(配列番号6)およびプライマー2=5'-ATGAGGTACCG-3'(配列番
号7)。鉱油1滴を各チューブに加え、続いチューブをPerkins Elmer-Cetus加熱
回転機(Norwalk,CT)に放置し、そして95℃で1分間および34℃で2分間の30サ
イクルをプログラムした。30サイクルの最後に、反応物を72℃で7分間維持し、
続いて回転機を4℃で維持した。2%のアガロースゲル電気泳動により増幅を確
認した後、生成物を含有する反応物をプールし、沈澱させ、そしてKpnIおよびSa
cIで消化した。二重に消化したフラグメントを、非変性アクリルアミドゲルで単
一の切断または未切断のフラグメントから区別し、そして上記のように適切なフ
ラグメントを切り出しおよび単離した。
2.ランダム配列を含有するライブラリーの作製
塩化セシウムグラジエントで精製したpMDC(「ダミー」ベクター)(実施例1に
記載のように構築した)を、KpnIおよびSacI制限エンドヌクレアーゼで消化し、
そしてGenClean II(Bio101,La jolla,CA)を用いる1%アガロース/1×TBEゲ
ルからゲル単離した。このベクターを、1単位のT4 DNAリガーゼでゲル単離した
PCR-増幅ランダムフラグメントと16℃で一晩連結させた。
3.TK変異体の選択
続いて、連結した混合物を用いて、エレクトロポレーション(BioRad gene pus
ler,2kV,25μF,400Ω)により、KY895を形質転換した。簡単に述べれば、細胞
を、BioRad(Richmond,CA)により提供されたプロトコールに従ってエレクトロポ
レーションについて調製した。各パルスの後、1mLのSOC(2%バクトトリプトン
/0.5%酵母抽出物/10mM NaCl/2.5mM KCl/10mM MgCl2/10mM MgSO4/20mM グ
ルコース)をキュレットに加え、そしてエレクトロポレーション混合物を25mLス
ナップ-キャップファルコンチューブに移した。チューブを37℃で1時間振とう
し、細胞を、カルベニシリン(50μg/mL)を含有するLBプレート[リットルにつき1
0gトリプトン/5gの酵母抽出物/10g NaCl(pH7)](「LB+carb50プレート」)にプ
レートし、そして37℃で一晩インキュベートした。コロニーの数を計数し、爪楊
枝で釣り上げ、そしてTK選択培地[2%BBLトリプチカーゼペプトン(Becton Dick
enson,Cockeysville,MD)/0.5%NaCl/0.8%Gel-Rite(Scott Laboratories,C
arson,CA)/0.2%グルコース/50μg/mlカルベニシリン/10μg/mL 5'フルオロ
デオキシウリジン/2μg/mLチミジン/12.5μg/mLウリジン]の上にストリークし
た。この選択の基礎は、5'-フルオロデオキシウリジン(FUdR)がチミジンキナー
ゼで
リン酸化されてFdUMP(新規な(de novo)経路酵素であるチミジレートシンターゼ
のインヒビター)を形成することである。dTMP要求性は、続いて、活性なチミジ
ンキナーゼだけで満たされ得る。ウリジンは、チミジンホスホリラーゼを阻害す
るために供給される。16〜24時間後、このTK選択プレートを、増殖についてスコ
アし、そして任意のポシティブなものを釣り上げ、そしてTK選択プレートおよび
LB+carb50プレート上で再ストリークして表現型を確認した。
約260のランダム形質転換体を、TK選択培地において、TK-欠損E.coliであるK
Y895を相補充するそれらの能力についてスクリーニングした。そのうち、82をポ
シティブとしてスコアし、そして配列決定した。従って、全形質転換体の約32%
は機能的酵素をコードしていた。
B.変異体の分析
TK変異体を以下のように単離しそして配列決定した。簡単に述べれば、変異体
DNAを、Promega Magic miniprep kitを用いて業者の指示に従って、2×YT(リッ
トルにつき、16gトリプトン/10gの酵母抽出物/5g NaCl)+carb50で増殖した一
晩培養物から単離し、但し、プラスミドの低いコピー数のため、各単離につき3m
Lの培養物を使用した。各dsDNA 10μlをアルカリ変性させ、沈澱させ、そしてSe
quenase反応緩衝液、H2O、および配列決定プライマー(5'-CATGCCTTATGCCGTGA-3'
)(配列番号11)中に再懸濁させた。続いて、このプライマーをアニールし、そし
てDNAを、業者の指示に従ってSequenase(USB,Cleveland,OH)を用いてジデオキ
シ配列決定(Sangerら、1977)に供した。
11個のクローンは野生型アミノ酸配列をコードし(13.4%)、そのうちの7個は
野生型ヌクレオチド配列を含いでいた。野生型アミノ酸残基を有する3個のクロ
ーンは一つのヌクレオチド変化(全て異なる)を含み、そして1個は三つのヌクレ
オチド変化を含んでいた。以下の表IAに示されるように、全体で49個の単一のア
ミノ酸変化を有するTKポシティブなクローン(59.8%)が同定された。19個の二個
のアミノ酸変異(23.2%)、2個の三個のアミノ酸変異(2.4%)、および1個の四
個のアミノ酸変化(1.2%)を有するコロニーが同定された。表IAでは、変異した
野生型HSV-1 TKアミノ酸が、大多数の配列に見出された残基数および残基のタイ
プとともに太枠に示されている[O=疎水性;I=親水性];(+)=正に荷電した
残基;(−)=負に荷電した残基]。野生型残基の下は、特定のアミノ酸置換が発
見された回数である。最後の部分では、発見された残基の各タイプの割合を列挙
している。
複数の変化を有するクローンのアミノ酸配列を表IBに示す。野生型アミノ酸お
よびそれらのHSV-1 TKポリペプチドにおける位置をこの表の最上部に示す。二個
、三個、および四個アミノ酸置換は、それぞれのカテゴリーに示されている。変
異のセットが一回以上同定された場合、その発生数を左側の括弧内に示す。
C.二次スクリーニングおよびサブクローニング
アシクロビル(「ACV」)またはAZTプレート上でコロニーを生成するpMCC(KY895
)および35の対数増殖期の変異体pMDC(KY895)培養物の能力を、以下のように二次
スクリーニングで測定した。簡単に述べれば、TKポシティブなクローンの対数増
殖期培養物を0.9%NaClで連続希釈し、そしてアシクロビルまたはAZTプレート(T
K選択プレート、但し、1μg/mLチミジン+1μg/mLアシクロビルまたは0.05μg
/mL AZT)上に拡げた。また、変異体培養物を、重複させてTK選択プレートおよび
LB+carb50プレート上に拡げた。TK選択プレートとLB+carb50プレートの1セッ
トを42℃でインキュベートした。他のプレートを全て37℃でインキュベートした
。16〜24時間後、プレートをスコアした。
結果を以下の表IIに示す。簡単に述べれば、野生型pMCC(KY895)について観察
された結果と異なる結果を与えた変異体だけが示されている。変異体を、野生型
残基および位置番号を用いて指定し、続いて、ヌクレオチド配列からアミノ酸置
換を推定した;例えば、F161Iは、イソロイシンがこの特定の変異体の161残基で
フェニルアラニンを置換することを示す;(++)は、コントロールプレートに比
べて同じ数のコロニーが観察されたことを示す;(+)は、コントロールプレート
に比べて、より少なく(pMCCについて観察されたコロニーの20%未満)、そして一
般により小さい(約50%までのより小さい直径)コロニーが観察されたことを示す
;そして(−)は、コロニーが観察されなかったことを示す。
表IIに示されるように、全ての培養物は、コントロールTK選択プレートおよび
LB+carb50プレート上でコロニーを形成した。野生型に比べて、いくつかの変異
体は、チミジンより1つまたは両方のヌクレオシドアナログを優先的に利用する
ようであった(P155A/F161V、F161I、F161C、およびR163P/H164Q)。さらに、いく
つかの変異体(F161LおよびR163P/H164Q)は、TK選択プレート上で42℃でコロニー
を形成し得ず、そして1つ(F161I/R163H)は、42℃でコロニーを形成する能力が
著しく低下したことを示した。
D.無細胞翻訳系における変異体酵素の発現
1.選択された変異体のサブクローニング
変異体TKの性質を研究するために、8つの変異体の1.07 kbp MluI-BssHIIフラ
グメントを、インビトロベクターpT7:HSVTKIIにサブクローン化した。より詳細
には、選択されたクローンのDNAをMluIおよびBssHIIで消化して、1.07 kbpフラ
グメント[McKnight配列上のヌクレオチド番号が約335〜1400(Nucl.Acids Res.
8:5949〜5964,1980;このMcKnight株はHSV-1のmp株に由来した;Wagner,PNAS
78:1441-1445,1981)]を放出させた。このフラグメントを、GenCleanIIを用いる
1%アガロースからゲルで単離し、そしてMluIおよびBssHIIで消化し、仔ウシ腸
アルカリ性ホスファターゼで処理し、そしてゲルで単離したpT7:HSVTKIIベクタ
ーDNAに連結した。pT7:HSVTKIIは、BlackおよびHruby、J.Biol.Chem.267:974
3-9748,1992に記載のpT7:HSVTK転写ベクターに由来する。簡単に述べれば、pT7
:HSVTKIIは、pT7:HSVTKとはHSV-1 tk遺伝子の3'末端のNcoI-BamHIフラグメント
の欠失のみによって異なっている。この遺伝子は、最初にこのtk遺伝子の初期ク
ローニングを促進するために使用された。
2.配列分析
pT7:HSVTKIIベクターにサブクローン化された8つの変異体フラグメントの最
終の配列分析では、これらのtk遺伝子間の2つのさらなるアミノ酸の差異が同定
された。pT7:HSVTKIIの配列はMcKnight(Nuc.Acids.Res 8(24):5949-5963,198
0)により公開された配列と全く同じである。pMDCの親プラスミドであり、そして
それゆえランダム配列が連結されたベクターであるpMCCは、McKnight配列に対し
て、2つのアミノ酸異常を含有する。これらは434位置(C→T)および575位置(G→
A)にあり、そしてプロリン49がロイシンへおよびアルギニン89がグルタミンへの
変化を生じる。従って、全ての変異体は、記載された変異に加え、これらの2つ
の変異を含有する。さらに、480位置における一つのヌクレオチドの差異(C→T)
もまた同定されたが、アミノ酸変化は生じない。
全てのインビトロ分析を野生型としてのpT7:HSVTKIIと比較したため、pMCC由
来のMluI-BssHIIフラグメントを、pT7:HSVTKII(現在はpT7:MCCと称する)の対応
する部位にサブクローン化し、そして続いての無細胞翻訳産物をpT7:HSVTKII由
来の産物と比較した。経時的分析および熱安定性分析により、pT7:HSVTKII由来
の翻訳産物およびpT7:MCC由来の翻訳産物の間には有意な差が示されなかった。
チミジン(1.3倍)、デオキシシチジン(1.3倍)、GCV(0.8倍)、ACV(0.95倍)、また
はAZT(1.1倍)を基質として使用した場合、pT7:MCCおよびpT7:HSVTKIIの間ではリ
ン酸化効率には有意な差異は観察されなかった。さらに、Sandersonらは、pHETK
2(pMCCの親プラスミド)を持つE.coliおよびHSV-1感染された細胞から精製され
たTKの、チミジンおよびATPに対するKmおよびVmaxは区別できないことを報告し
た(J.Mol.Biol.202:917-919,1988)。従って、変異体TKの特性で観察される
変化は、標的領域内のヌクレオチド置換が原因であり得、そしてベクター(pT7;M
CCおよびpT7:HSVTKII)間のいずれの差異も、触媒特性に小さな変化しかもたらさ
なかった。
3.インビトロでの転写および翻訳
上記の転写物を、続いてウサギ網状赤血球溶解物無細胞翻訳系で用いて、活性
酵素を合成した。無細胞翻訳は、ヌクレアーゼ処理されたウサギ網状赤血球溶解
物を用いるPromegaに従った。
全長タンパク質の発現を、35S-放射標識無細胞翻訳産物をSDS-PAGEおよびオー
トラジオグラフに供することにより分析した。簡単に述べれば、1μlの各放射
標識無細胞インビトロ翻訳物由来の変異体mRNAを、SDS含有ポリアクリルアミド(
12%)ゲル電気泳動に供した。このゲルのオートラジオグラフを図7に示す。第
1のレーンは、左に示されている見かけの分子量(×10-3)を有する14C-標識rain
bow分子量マーカー(Amersham)を含有する。第2のレーンは、任意のmRNAを添加
しないで行われた無細胞翻訳物に対応する。第3のレーンは、野生型pT7:HSVTII
mRNA翻訳産物に対応する。他の全てのレーンは、上記のように産生された変異
体mRNAの翻訳産物を含有していた。図7から明らかであるように、各変異体転写
物由来の主な放射標識翻訳産物は、電気泳動の間に、約43kDaタンパク質として
移動し、その電気泳動移動度は、野生型pT7:HSVTKII転写物由来の翻訳産物で観
察される電気泳動移動度と同じである。
各翻訳に対するタンパク質合成のレベルを定量するために、同じ試料のそれぞ
れからのトリクロロ酢酸で沈澱可能なカウントの測定を3回行った。酸沈澱可能
なカウントの量は、図7の各変異体のバンド強度にほぼ相応する。
E.変異体酵素の経時的分析
TK活性に基づいて、変異体TKを2つのサブセットに分類した:(1)高活性変異
体(P155A/F161V、F161I、F161C、およびD162E);(2)低活性変異体(F161I/R163H
、F161L、D162G、およびR163P/H164Q)。高活性変異体酵素の場合、未標識の翻訳
産物を1/9に希釈し、そして30℃で0、5、10、20、または30分間インキュベー
トした。この実験の結果は図8Aに示している。TK活性の結果(カウント/分)を、
対応するTCA沈澱可能なカウント(35S cpm)を用いて同等のタンパク質合成レベル
を反映するように合わせた。2つの変異体(F161IおよびP155A/F161V)は、統計上
、チミジンに対して野生型TKよりも高い親和性を示した。F161CおよびD162E活性
の標準偏差(データは示されていない)は、野生型TK酵素活性に比べて、活性に差
異がないことを示す。
低活性の変異体を1/5に希釈し、そして時間の関数としてのリン酸化の速度を
また測定した。この実験の結果は図8Bに示している。経時的分析は、殆どの変異
体が野生型活性の10%未満であることを示す。しかし、そのうちの1つ、F161L
は、HSVTKIIに比べてかなり低下した速度ではあるが、チミジンをリン酸化する
中程度の能力を示した。
F.熱安定性アッセイ
TK選択プレート上のコロニー形成に対するアッセイにおいて、いくつかの変異
体は、42℃でKY895に相応できず、これらの変異体TKは温度感受性であることを
示唆した。この観察を立証するため、無細胞翻訳産物を、酵素活性をアッセイす
る前に42℃でより長い時間についてインキュベートした。簡単に述べれば、各高
活性変異体、-RNA、およびHSVTKII試料の無細胞翻訳(「CFT」)産物を1/9に希釈
し、そして42℃で0、5、10、および20分間インキュベートした。続いて、プレ
インキュベートした試料を5分間(P155A/F161VおよびF161I)または20分間(-RNA
、HSVTKII、F161C、およびD162E)アッセイした。残存活性の割合を、未処理試料
を100%に設定して測定した。図9Aに示されているように、F161Cを除いて、全て
の高活性変異体は、42℃で60分間までのプレインキュベーション時間の後に、HS
VTKIIと同様な熱安定性を示した(データはしていない)。F161Cは42℃での初めの
20分間内に90%以上の酵素活性を失ったため、インキュベーションを42℃でより
短
時間(0、5、10、および20分間)行った。F161Cは、42℃でたった5分間後に約8
5%の活性を失い、例外的に熱に不安定であった。
低活性変異体CFT産物を1/5に希釈し、そして42℃で0、20、40、または60分間
インキュベートした。続いて、プレインキュベートした試料をチミジンリン酸化
について60分間3回アッセイした。残存活性の割合を、未処理試料(0時間)を10
0%として用いて測定した。図9Bに示されているように、低活性変異体サブセッ
トについて、1つの翻訳産物(F161L)は、HSVTKIIよりも熱に不安定であった。こ
のセット中の他の変異体(R163P、F161I/R163H、H164Q、およびD162G)は、HSVTKI
Iと同等であった。
G.基質特異性アッセイ
3つの変異体(P155A/F161V、F161IおよびF161C)を、チミジン、デオキシシチ
ジン、ACV、GCV、またはAZTを基質として用いて、リン酸化の相対的レベルにつ
いて3回アッセイした。簡単に述べれば、各アッセイ反応において、各トリチウ
ム化された基質を48μM使用した。各ヌクレオシドアッセイについて、翻訳産物
を以下のように希釈した(翻訳/H2O):1/100、チミジン;2/3、デオキシシチジン
、GCV、およびAZT;4/1、ACV。各セットのアッセイを30℃で2時間インキュベー
トし、そしてリン酸化された産物の量を測定した。
各セットのアッセイの1分間あたりのカウントを調節し、そして図10に示すよ
うにプロットした。簡単に述べれば、P155A/F161VおよびF161Iの両方が、HSVTKI
Iに比べて、チミジンをリン酸化する高い能力を示しており、それぞれ2.6および
2.2倍であった。これらの変異体酵素によるデオキシシチジンのリン酸化は、野
生型酵素の1.9〜2.8倍の範囲であった(F161I、1.9倍;F161C、2.8倍;P155A/F16
1V、2.8倍)。2つの変異体は、ACVをリン酸化する増加した能力を有することが
わかった(F155A/F161VおよびF161Cは、それぞれ、HSVTKIIの2.4倍および2倍)。
全ての変異体は、野生型とほぼ同レベルのAZTリン酸化を示した。アッセイされ
た全ての変異体は、GCVリン酸化において、野生型のリン酸化レベルに比べ3.9〜
5.2倍で大きな増加を有するようであった。
実施例4
変化された触媒効率を有するTK変異体の分析
変化された触媒活性を有する変異体を同定するために、実施例1で単離した19
0個のTK変異体(TKF)を、以下に示すアッセイで分析した。
A. 機能的チミジン取込みとしてのコロニー形成能
精製酵素のタンパク質含量を、Bio-Radタンパク質アッセイの改変法により評
価した。標準曲線を、125μlの最終容量中のBSAおよび25μlのBio-Rad試薬を用
いて確立した。タンパク質の量を、595nmでODを測定し、そしてそれをBSAの量と
比較することにより決定した。
変化されたTK活性を有する変異体を同定するために、二次スクリーニングプロ
トコルを、変異体の異なるチミジン濃度を含む培地での増殖能に基づいて設計し
た(表I)。簡潔には、1.0μg/mLおよび10.0μg/mLが、野生型tkプラスミドを
有するE.coliの増殖を支持する培地中の最小および最大チミジン濃度であること
をまず確立した。野生型プラスミドを有するE.coliは、低濃度のチミジン(0.05
μg/mL)を含むTK選択培地において可視コロニーを形成し得ないので、このチミ
ジン濃度での増殖が、チミジンをリン酸化する増大した能力を有する変異体の指
標となり得ると仮定した。従って、0.05μg/mLのチミジンを使用して高TK活性を
有する変異体を選択し、そして20μg/mLのチミジンを使用して低活性を有する変
異体を選択した。
以下の表Iは、選択した変異体のtk-E.coli KY 895を機能的に相補する能力を
、チミジン濃度増大の関数として示す。全ての190個のTK変異体および野生型を
表Iに示すチミジン濃度でスクリーニングに供した際、わずか1つ(TKF 36)が
、試験した最低チミジン濃度(0.05μg/mL)でコロニーを形成した。一方、TKF
41のみが、培地中の最高チミジン濃度で増殖した。他の188個の変異体の全てお
よび野生型は、1μg/mLのチミジンを含む培地で可視コロニーを形成した。
B. 高活性クローンおよび低活性クローンの配列分析
野生型tkおよび選択した変異体を、上記実施例2のように配列決定した。表II
は、コドン165〜175に対する野生型tkおよび選択した変異体のヌクレオチド配列
および推定アミノ酸配列を示す。簡潔には、低濃度のチミジン含有培地でコロニ
ーを形成する変異体であるTKF 36は、ただ1つのアミノ酸置換(Ala 168→Ser)
を含むが、一方TKF 41は4つの置換を含んだ:Pro165→Ser、Ala167→Gly、Leu1
70→GlnおよびAla174→Val。興味深いことに、TKF 52は、TKF 36と同位置で異な
るアミノ酸置換(Ala168→Thr)を有するが、低濃度のチミジン含有培地でコロ
ニーを形成し得ない。TKF 99は2つのアミノ酸置換(Cys171→LeuおよびAla 174
→Thi)を含む。TKI 208は、Leu170→Val置換を生じる1つのヌクレオチド置換
を有する。
C. 野生型および変異体TKプラスミドを有するE.coliにおけるチミジンの取込
み
野生型または変異体プラスミドを有するE.coliにおけるチミジンの取込みの実
際のレベルを確かめるために、以下のアッセイを行った。
1.[メチル-3H]チミジン取込みアッセイ
野生型または変異体プラスミドを有するE.coliにおける[メチル-3H]チミジン
取込みを、本質的に以下のように測定した。簡潔には、pMDC(不活性TK)、野生
型TKを含むプラスミド、またはTK36を含むE.coliの一晩培養物を、100μg/mLの
カルベニシリンを含むLB培地で1:100に希釈し、A550で0.1 ODまで増殖し、37
℃に変化させ、そして激しく振とうしながらインキュベートした。1.0のODを達
成すると、培養物を室温(約25℃)にし、そしてチミジンを0.21μM(0.16μCi[
メチル-3H]チミジン)の最終濃度で1.0mLのアリコートに加えた。22℃での0秒
、5秒、10秒、20秒、30秒および60秒のインキュベーション後、50μlのアリコ
ートをニトロセルロースフィルター(0.45μm)に移し、減圧下で10mLの冷50mM
Tris-HCl(pH7.4)、0.9% NaClで洗浄し、乾燥させ、そしてscintiverse BD(F
isher)を用いてシンチレーションカウンターで計数した。結果を図11に示す。
簡潔には、pMDCを有するE.coliでは、チミジン取込みは本質的になかった。TKF
36を有するE.coliにおけるチミジン取込みの量は、野生型プラスミドを有するE.
coliにおけるチミジン取込みよりも42%大きかった(10秒のインキュベーション
後、12.7pmol/108細胞と比較して18pmol/108細胞)。
2. 酸不溶性物質への[メチル-3H]チミジンの取込み
野生型および変異体プラスミドを含む粗E.coli抽出物におけるTK活性の量を、
酸不溶性物質へのチミジンの取込みを測定することにより間接的に決定した。
簡潔には、培養物を上記の段落1のように増殖させた。0.5mLの培養物に、チ
ミジンを1.32μM(0.2μCi[メチル-3H]チミジン)の最終濃度に添加した。指定
された時間のインキュベーション後、30μlのアリコートを取り、そして2.0mLの
冷5%過塩素酸に加えた。沈殿物を洗浄し、そして酸不溶性物質に取り込まれた
放射能を本質的にDubeら、1991により記載されるように測定した。
図12は、酸不溶性産物への[メチル-3H]チミジンの取込みが、試験した野生型
プラスミドまたは他のtk変異体を有するE.coliを用いるよりもTKF 36 E.coliを
用いる方がより迅速であることを示す。2つのアミノ酸置換(Cys171→Leuおよ
びAla174→Thr)を有する変異体の1つであるTKF 99は、野生型が示したのと同
一のチミジン取込み速度を示した。TKF 52は、Ala168→Thr置換(TKF 36中のAla
168→Serと比較して)を含み、そして最低チミジン含有TK選択培地においてコロ
ニーを形成し得ず(表I)、しかも野生型の速度より大きいかTKF 36の速度より
小さい速度で酸不溶性物質にチミジンを取り込む。
D. 野生型および変異体TKSの精製
異なる変異体の粗抽出物を11個の培養物から得、これはA550で0.1 ODまで30℃
で増殖させ、37℃に変化させ、そして1.0 ODまで増殖させた。細胞を4℃で遠心
分離により採取し、25%(w/v)スクロース、50mM Tris-HCl(pH7.5)、および5mM
EDTAを含む25mLの溶液で洗浄した。遠心分離後、細胞ペレット(約5〜6g重量
)を-70℃で保存した。細胞ペレットを溶解し、そして20mLの緩衝液I(10容量
の50mM Tris-HCl(pH7.5)、1容量の0.3Mスペルミジン-HClと混合した10%スクロ
ース、2.0M NaCl、10%スクロースおよび0.5mM PMSF(pH7.5)からなる緩衝液I)
に懸濁させた。再懸濁液が一様になると、6.25mgのリゾチームを含む4.0mLの緩
衝液Iを加えた。懸濁液を冷遠心管に注ぎ、そして30分間氷上に置いた。細胞が
30分以内に溶解しない場合、この管を37℃の水浴に4〜6分間置いて溶解を促進
した。粘質性の増大により判定されるように、細胞が溶解し始めたら、50μg/mL
のアプロチニンならびに各2μg/mLのロイペプチンおよびペプスタチンを含む2
〜3mLの冷緩衝液Iを25mLの最終容量まで加え、そして混合物を4℃で、28,000
r.p.m.で1時間遠心分離し、そして上澄みを70℃で保存した。
野生型および変異体TKを、LeeおよびCheng(J.Biol.Chem.251:2600-2604,1976
)による改変を用いてKowalおよびMarcus(Prep.Biochem.6:369-385,1976)によ
り記載されているように、CH-セファロース4B(Pharmacia)に結合させたp-アミ
ノフェニルチミジン3'-リン酸のマトリックス上でのアフィニティークロマトグ
ラフィーにより精製した。TKの精製において用いた全ての緩衝液は、特に示さな
い限り、5mM DTT、50μ/mLのアプロチニン、各2μg/mLのロイペプチンおよ
びペプスタチンならびに1mM PMSFを含んだ。7mLのベッド容量(bed-volume)
カラムを緩衝液A(0.1M Tris-HCl(pH7.5)、10%グリセロール)で平衡化し、次
いで8〜10mL/時間の速度で約25mLの未分画上澄みをロードした。カラムを素通
り画分を用いて2回再循環し、次いで各10ベッド容量の緩衝液B(0.1M Tris-HC
l(pH7.5)、0.5M KCl、10%グリセロール)、続いて緩衝液Aで連続的に洗浄した
。TKを、各30mLの緩衝液Aおよび緩衝液C(0.3M Tris-HCl(pH7.4)、50mM KCl、
10%グリセロール)を用いてチミジンの直線状グラジエント(0〜600μM)で溶
出した。TKアッセイを全ての画分で行い、そしてピークのTK画分をプールし、そ
して21の透析緩衝液(50mM Tris-HCl(pH7.4)、5mM DTT、10%グリセロール)の
3つの交換に対して透析した。最終透析において、プロテアーゼインヒビターを
緩衝液から除き、そして透析画分をアリコートに分け、そして-70℃で保存した
。カラムを、各抽出物調製の適用前に、上記と同一の洗浄および溶出プロトコル
を用いて徹底的に2回洗浄した。
精製酵素のタンパク質含量を、Bio-Radタンパク質アッセイの改変により評価
した。標準曲線を、125μlの最終容量中のBSAおよび25μlのBio-Rad試薬を用い
て確立した。タンパク質の量を、595nmでODを測定し、そしてそれをBSAの量と比
較することにより決定した。
[メチル-3H]チミジンの取込み
結果を図11に示す。簡潔には、pMDCを有するE.coliでは、チミジン取込みは本
質的になかった。TKF 36を有するE.coliにおけるチミジン取込みの量は、野生型
プラスミドを有するE.coliにおけるチミジン取込みよりも42%大きかった(10秒
間のインキュベーション後の12.7pmol/108細胞と比較して18pmol/108細胞)。
野生型および変異体プラスミドを含む粗E.coli抽出物におけるTK活性の量を、
酸不溶性物質へのチミジンの取込みを測定することにより間接的に決定した。
E. 精製変異体チミジンキナーゼの速度論的パラメーター
これまでに研究された3つの細胞パラメーターは、TKF 36が、試験した他の変
異体酵素または野生型のいずれよりも、より活性な酵素であることを示唆する。
触媒作用の速度論的パラメーターを決定するために、野生型、TKF 36および3つ
の他の変異体チミジンキナーゼを、上記アフィニティークロマトグラフィーを用
いてほぼ均一まで精製した。精製した野生型、TKF 36およびTKI 208を、SDS-PAG
Eシステムにおいて電気泳動により試験し、そして43kDaで移動する単一の際だっ
たバンド(これは銀染色により95%均一であると判定された)を示すことを見出
した。
速度論的パラメーターを、本質的に下記のように決定した。簡潔には、TKアッ
セイ混合物(50μl)は、50mM Tris-HCl(pH7.5)、5mM ATP、4mM MgCl2、2.5mM
DTT、12mM KCl、0.18mg/mL BSA、5%グリセロール、1μMチミジン(0.3μCi[
メチル-3H]チミジン)および指示量の精製酵素を含んだ。チミジンリン酸化の速
度論を、非標識チミジン濃度(0〜4.0μM)および既知量の精製酵素(精製TKの
比活性は、野生型、TKF 36、TKI 208、TKF 99およびTKF 41に対してそれぞれ1.1
、3.0、0.5、0.34および0.01ユニットであった)を変化させることにより決定し
た。酵素の1ユニットを、1.0pmolのチミジンを上記条件下、1分間でチミジル
酸にリン酸化する量として定義する。インキュベーションは34±1℃で10分間で
あった。反応を1mMの冷チミジンの添加により停止した。反応混合物の半分をDE
AE-セルロースディスク(25mm)上にピペットで移し、そしてこのディスクを蒸
留水中に浸漬し(1分)、次いで各10mLの無水エタノール中で4回洗浄した。デ
ィスク上の吸着した生成物をシンチレーションカウンターで計数した。速度論的
パラメーターKmおよびKmaxを、Cleland SUBINプログラム(Cleland,Methods Enz
ymol.63:103-138,1979)を用いて決定し、そしてkcat値を、式Vmax=kcat[E]0(
ここで、[E]0は総酵素濃度である)から計算した。
これらのアッセイの結果を表IIIに要約する。TKF 36におけるAla168→Ser置換
は、kcatにおいて4.8倍の増強を生じる。分析した他の精製変異体酵素(TKF 41
、TKF 99およびTKI 208)は、野生型TKのkcatと比較してkcatにおける増加を示
さなかった。kcatにおける2.2倍の減少は、TKI 208におけるLeu170→Val置換か
ら生じるが、一方インビボアッセイでの減少した効率を有する2つの他のtk変異
体であるTKF 99およびTKF 41は、kcatにおいて28倍および34700倍の減少を示し
た。表IIIはまた、基質としてのチミジンとの変異体および野生型のミカエリス
定数(Km)を示す。野生型酵素の見かけ上のKmは、0.47μMであった。これは以
前に報告
されている値(JamiesonおよびSubak-Sharpe、J.Gen.Virol.24:481-492,1974;El
ion、Am.J.Med.73:7-13,1982;Waldmanら、J.Biol.Chem.258:11571-11575,1983)
とよく一致する。たとえTKF 36がより高いkcat値を示したとしても、Kmにおいて
反映されるように、チミジンに対するその親和性は、野生型TKよりも6.2倍低い
。TKI 208、TKF 41およびTKF 99は、野生型のKmと類似のKmを有する。興味深い
ことに、TKF 36のkcat/Km値[2.0×106s-1M-1]は、野生型[2.5×106s-1M-1]と非
常に異なり、一方TKI 208、TKF 99およびTKF 41は、それぞれ1.57×106、0.15×
106および0.00012×106s-1M-1のより低い値を示す。
実施例5
変異体HSV-1 TKを含むレトロウイルスベクターでトランスフェクトされた
細胞の選択的殺傷
本実施例は、1型単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、155位でのプロリ
ンからアラニンへの変異、および161位でのフェニルアラニンからバリンへの変
異を発現するレトロウイルスベクターの構築を記載する。
A. ベクター構築
P155A/F161V由来のチミジンキナーゼ遺伝子を使用して、Genetic Therapy,Inc
.(Gaithersburg,MD;Ramら、Cancer Research 53:83,1993を参照のこと)からの
モロニーネズミ白血病ウイルス(「MoMLV」)に基づくベクターG1TkSvNa.90中の
野生型HSV tk配列を置き換える。特に、変異体tk遺伝子を5'長末端反復配列から
下流方向に挿入し、これをtk遺伝子はプロモーターとして使用する。このベクタ
ーはまた、SV40初期プロモーターから発現されるネオマイシンホスホトランスフ
ェラーゼ遺伝子(neo)を含む。
B. 産生細胞系統
次いで上記レトロウイルスベクターを、リン酸カルシウムトランスフェクショ
ン後、両種性レトロウイルスパッケージング細胞系統GP+envAm12(米国特許第5,
278,056号)によりパッケージし得る。β−ガラクトシダーゼに対する遺伝子を
含むベクターを、コントロールベクターとして使用する。クローン化ベクター産
生細胞を、10%ウシ胎児血清、2mMのグルタミン、50ユニット/mlのペニシリン
、50μg/mlのストレプトマイシンおよび2.5μg/mlのファンギゾン(Fungizone)
を有するダルベッコの改変イーグル培地を含む培養物において維持する。投与前
に、培地を除去し、そして細胞を生理食塩水ですすぐ。単層を37℃で5〜10分間
トリプシン処理し、集め、2回洗浄し、そして5〜10×108細胞/mlで再懸濁さ
せる。
C. ガンシクロビルに対するインビトロ感受性
変異体または野生型tk遺伝子を含むベクターで形質導入された細胞の感受性を
評価するために、ラット9Lグリオーム細胞およびヒトU251グリア芽腫細胞を、複
製不能ベクター粒子を含む上澄みに細胞を曝すことにより、インビトロで形質導
入する。形質導入された細胞を、培養培地にG148(1mg/ml)を含有させることに
より選択する。次いで、非形質導入細胞、HSV tk野生型形質導入細胞およびHSV
tk変異体形質導入細胞を、ガンシクロビルのレベルの増加に対するそれらの感受
性について評価する。DNA合成のレベルを、種々のガンシクロビル曝露時間およ
びガンシクロビルレベルの結果としてのトリチウム化チミジン取込みにより決定
する。細胞生存度を、種々のガンシクロビル濃度の非存在下または存在下で10cm
の組織培養プレート中に細胞をプレートし、そして24時間間隔で細胞数を計数す
ることにより決定する。
D. インビボ形質導入
腫瘍細胞におけるベクター遺伝子発現のインサイチュ形質導入効率および相対
レベルを、β−ガラクトシダーゼ含有ベクターを用いて決定する。簡潔には、Fi
scher 344ラットを麻酔し、そして定位注射器具に接続した10μlのHamilton注射
器を用いて4×104個の同系9L神経膠肉腫細胞を注射する。10日後、同一の定位
位置を用いて、1.5×106、3×106または6×106個のHSVtk(野生型または変異
体)β−ガラクトシダーゼ形質導入したまたは形質導入していない産生系統細胞
、および産生細胞系統上澄みを9L腫瘍に直接注射する。コントロールとして、ラ
ットに、細胞の代わりに同容量の無菌生理食塩液を注射する。次いでガンシクロ
ビルを投与し、そしてラットを屠殺して、抗腫瘍効果を決定する。組織学的試験
もまた行う。
E. ガンシクロビルの用量最適化
ラットに4×104個のHSV tk(野生型または変異体)またはβ−ガラクトシダ
ーゼ形質導入ラット9L産生細胞を脳内注射する。接種後7日で、ガンシクロビル
を7日間、1日2回、5、20または15mg/kgで腹腔内投与する。コントロールラ
ットには腹腔内に生理食塩液注射を与える。全てのラットを、ガンシクロビル処
置後屠殺し、そして脳および腫瘍を重量測定および組織学的試験のために摘出す
る。
F. 野生型および変異体HSV tk形質導入およびGCVを用いる腫瘍退縮
ガンシクロビル用量最適化の結果に基づいて、形質導入または非形質導入産生
細胞あるいは産生細胞上澄みを接種したラット腫瘍に、特定の時間間隔でガンシ
クロビル用量を投与する。抗腫瘍効果を、腫瘍重量の測定および組織学的試験に
より決定する。
実施例6
選択性相同組換えのための標的としてのVZV TK変異体の使用
この実施例は、安定なトランスフェクト細胞系統、株または組換えウイルスの
構築における相同組換えのための標的としての、変異体水痘帯状ヘルペスウイル
スチミジンキナーゼ(「VZV tk」)の使用を記載する。特に、TK+細胞系統にお
ける組換えウイルスの選択のための変異体VZV TKを含むクローニングベクターと
してのワクシニアウイルスの構築を記載する。
A. VZV TK 変異体を含む組換えワクシニアウイルスプラスミドの構築
VZV tk遺伝子(野生型および変異体)を、構成性遺伝子発現のために、組換え
プラスミド中でワクシニアウイルス7.5Kプロモーターの後ろにクローン化する。
さらに、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を、VZV tk遺伝子の3'末
端の後にクローン化して、選択性マーカーとして機能させる。ワクシニアウイル
スのコードされたチミジンキナーゼ遺伝子の5'または3'領域は、VZV tk遺伝子の
5'末端およびネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo)の3'末端を
隣接させる。これにより、VZV tk遺伝子のウイルスゲノムへの挿入およびワクシ
ニアチミジンキナーゼ遺伝子の付随する不活性化が可能となる。プラスミドの残
りはpUCに基づき、そしてアンピシリン耐性遺伝子およびE.coli中のプラスミド
の維持のためにColE1複製起点を含む。
B. 組換えポックスウイルスの構築
VZV tk(野生型または変異体)+neo組換えプラスミドまたはneo遺伝子のみを
含む組換えプラスミドを、野生型ワクシニアウイルスと共にBSC40細胞に同時ト
ランスフェクトする。組換えウイルスを、G418に対する耐性により選択する。プ
ラーク精製を数ラウンド行った後、外来遺伝子の挿入および位置を確認するため
に、組換えウイルスをプラークハイブリダイゼーションおよびDNA分析に供する
。
C. ガンシクロビルの用量最適化
ワクシニアウイルス感染BSC40細胞およびワクシニアウイルス非感染BSC40細胞
を、耐性レベルを決定するために、種々の用量のガンシクロビルでの処置に供す
る。VZV TKおよびneoを発現する組換えウイルスまたはneoのみを発現する組換え
ウイルスに感染した細胞を、種々のレベルのガンシクロビル存在下で増殖させる
。VZV tk遺伝子含有ウイルスは、細胞単独または野生型ワクシニアウイルスに感
染した細胞よりもガンシクロビル処置に対してより感受性である。ガンシクロビ
ルのレベルを、VZV tk座に挿入される他の遺伝子との相同組換えのために、ガン
シクロビルに対する感受性の喪失を選択するように、この実験の結果から選択す
る。
D. ガンシクロビルを用いる組換えVZV tkポックスウイルスの選択
BSC40に、VVゲノムに導入される遺伝子を有する組換えプラスミドの存在下でV
ZV tk組換えウイルスを感染させる。VVゲノムは、VZV tk配列を隣接させてクロ
ーン化したVV7.5Kプロモーターに隣接する。組換えウイルスをガンシクロビルを
用いて選択する。
VZV tk遺伝子で安定にトランスフェクトされたいかなる細胞系統も、相同組換
えによる外来遺伝子の導入およびガンシクロビルに対する耐性によるこのような
事象の選択のための標的であり得る。
実施例7
HSV-1チミジンキナーゼおよびHSV-1 DNAポリメラーゼベクターの構築および分析
A. ベクターの構築
HSV-1 DNAポリメラーゼ遺伝子、HSV-1チミジンキナーゼ遺伝子またはその両方
のいずれかを含む3つの構築物を作製した。
a) pHSG576:HSVpol
pGEM2-702(David Dorsky,Univ.of Conn.)由来の5.5kb HinDIII/EcoRIフラ
グメントを、pHSG576(SweasyおよびLoeb、J.Biol.Chem 267:1407-1410,1992)
に2工程でクローン化した:
1)2.4kbのPstI/EcoRIフラグメントを、PstIおよびEcoRIで消化したpHSG57
6にクローン化した。このクローンをpHSG576:1/2polと命名した。
2)HSV DNAポリメラーゼの3.1kb HinDIII/PstIフラグメントを、HinDIIIお
よびPstIで消化したpHSG576:1/2polにクローン化した。このクローンをpHSg576:
HSV DNA polと命名した。
b) pHSG576:HSV-1 TK
XbaI/BamIIIフラグメントfro pET23d:HSVTK(pET23d(Novagen)中のHSV-1 TK
NcoI-NcoIフラグメントを含む、)を平滑末端化し、そしてpHSG576のSmaI部位
にクローン化した。このクローンをpHSG576:HSV-1TKと命名した。
c)pHSG576:HSV pol/TK
このクローンは、同一のベクターからの共発現のためにHSV-1 DNAポリメラー
ゼ遺伝子およびTK遺伝子の両方を含む。このクローンを2工程のクローニングプ
ロトコルで作製した。
1)XbaI/BamHI-平滑末端化TKフラグメントを、pHSG576:1/2polの平滑末端
化EcoRI部位(2.4kb PstI/EcoRIフラグメントを含む)にクローン化した。
2)3.1kb HinDIII/PstIフラグメント(ポリメラーゼ遺伝子の5'末端)を、
HinDIIIおよびPstIで消化したpHSG576:1/2pol/TKにクローン化した。このクロー
ンをpHSG576:HSVpol/TKと命名した。
B. DNAポリメラーゼ欠損したE.coliの形質転換
E.coli JS200(polA12recA718)を、pHSG576:HSV DNA polまたはpHSG576 DNA
で形質転換し、そしてテトラサイクリン(12.5μg/mL)およびクロラムフェニコ
ール(34μg/mL)を含む栄養素寒天(NA)上にプレートした。プレートを30℃(
許容温度)でインキュベートした。単独のコロニーをNB + tet + Cmで一晩増殖
させた。DNAをこれらの培養物から単離し、そしてこれを用いてJS200を再度形質
転換した。2回目の形質転換から、各々からのいくつかのコロニーを取り出し、
そしてこれらを用いてIPTG存在下または非存在下でNB + tet + Cmを接種した。3
0℃での一晩の増殖後、ループ(loopful)1つ分の各培養物を、プレートの中央
から希釈を増大する分岐らせん中に拡げた。NAプレート + tet + Cm +/- IPTGを
30℃(許容)または37℃(非許容)で接種した。
pHSG576:HSV DNA polを含む細胞の増殖パターンは、37℃で単一コロニー(低
細胞密度)の増殖を示すが、ベクターのみを含む細胞は非許容温度では低細胞密
度で増殖し得なかった。
これらの結果は、ヘルペスDNAポリメラーゼがインビボでE.coli PoII欠損を相
補し得ることを示す。
実施例8
100%ランダムなライブラリーを利用する
コドン159〜161および168〜170に変異を有するTK変異体の構築および分析
本実施例は、コドン159〜161および168〜170で変異誘発されるTK変異体の構築
および分析を記載する。
細菌株.SY211(BL21(DE3)tdk-、pLysS)は、非選択的プレート(クロラムフェ
ニコールなし)における頻回継代によりpLysSを取り除かれる。(SY211は、Willi
am Summers,Yale University,New Haven,CTからの寄贈であり、そしてSummer
s,W.C.およびRaskin,P.,J.Bact.175: 6049-6051,1993に記載されている)。得
られる株BL21(DE3)tdk-を、チミジンキナーゼ活性に関する遺伝的相補性アッセ
イに用いる。用いた他の株を、実施例3に記載する。
細胞.BHK tk-(tsl3)細胞(ATCC番号 CRL-1632)をAmerican Type Culture Coll
ectionから購入し、そしてDMEM+10仔ウシ血清において6%CO2下、37℃で培養
する。
物質.実施例3に記載のとおり。
A.TK変異体の生成
1.ラングム挿入物の構築
2つのオリゴヌクレオチドをOperon(Alameda,CA)により合成する:
Nは、合成の間での4種全部のヌクレオチドの等モル混合物を示す。
オリゴヌクレオチドの精製、アニーリング、伸長、およびPCRによる増幅は、
本質的に実施例3に記載の通りである。
2.ランダム配列を含むライブラリーの生成
ベクター構築
Novagenから購入したpET23dは、pET23d:HSVTK-Dummyの構築のための骨格であ
る。pET23d:HSVTK-Dummyは、ランダム配列の挿入のためにpMDC(実施例1および
3に記載)の代わりに使用される。簡略に述べると、1.7kbのNcoI/HinDIIIフラ
グメントをpT7:HSVTKII(実施例3)の制限消化物から精製し、そして同じ酵素
で制限処理したpET23dにクローン化してpET23d:HSVTKを作製する。ダミーベクタ
ーを、KpnI部位とSacI部位の間のtk配列をpMDC(実施例3)由来のKpnI/SacIフ
ラグメントで置換することにより構築する。
ライブラリー構築
Qiagenカラムで精製したpET23d:HSVTK-Dummy DNAを、KpnIおよびSacIで制限処
理し、そしてGenCleanII(Bio101,La Jolla,CA)を用いてベクターをゲル単離し
、小さな挿入フラグメントを取り除く。このベクターを、ゲル単離したPCR増幅
ランダムフラグメントと16℃にて一晩、T4DNAリガーゼで連結する。
3.TK変異体の選択
次いで、連結混合物を用いてBL21(DE3)tdk-細胞を実施例3に記載のようにエ
レクトロポレーションにより形質転換する。形質転換体を、直接TK選択プレート
(実施例3)に播種し、一部を2×YT(1リットルあたり16g トリプトン/10g 酵
母抽出物/5g NaCl/15g BactoAger)+50μg/ml(carb50)カルベニシリンにプレー
トし、形質転換体の総数を決定する。プレートを37℃にて一晩インキュベートし
、そしてTK選択プレート上での増殖を得点付けし、そして形質転換頻度を決定し
た。TK選択プレート上で増殖するコロニーを拾い取り、そして新鮮なTK選択プレ
ートおよび2×YT+carb50プレートに再びストリークする。約426個のポジティ
ブなクローンが1.1×106形質転換体のライブラリーから同定され、つまり、全て
の形質転換体の0.039%がE.coli BL21(DE3)tdk-にTK活性を与えられる(図14)
。
B.変異体の分析
1.選択および非選択クローンの配列
TK活性を示す17個のクローン(選択)または2×YT+carb50プレートから採取
した17個のクローン(非選択)をうまく配列決定する。DNAをQiagenミニプレッ
プキットを用いて単離し、そして実施例3に記載のように2本鎖配列決定に供す
る。図15は、各群由来の配列を示し、そして最初のランダムオリゴヌクレオチド
がランダム化されることを示す。選択および非選択tk遺伝子の両方において、ラ
ンダム化領域から遠位の部位に第2の変異の導入が観察される。しかし、変異は
主に2つのコドン155および156に制限される。これらの変異は、おそらく元のラ
ンダムオリゴヌクレオチドの合成の間のコンタミネーションにより導入される。
コドン155の変化は全てサイレント変異である。コドン156の変化は、アラニンか
らバリン、セリンまたはプロリンへの変化を生じた。アラインメント研究は、15
6位がアラニンまたはこの位置のアミノ酸の型のいずれについても保存されない
ことを示す。従って、これらの第2の変異は、変異体の酵素活性に何ら実際の影
響を生じないようである。選択された変異体は全て、少なくとも2アミノ酸変化
を含んでいた。
2.GCVおよびACV感受性に対する2次スクリーニング
426変異体のそれぞれを拾い取り、そしてこれを用いて96ウェルタイタープレ
ート形式中の200μlのTK選択培地(実施例3)に播種する。次いで、426クロー
ンを全て、48-プロングレプリケーター(prong replicator)(Sigma,St.Louis,MO
)を用いて0.9% NaCl中で104に系列希釈する。最終希釈物の30μlを、1μg/ml
チミジン+各種濃度のガンシクロビルまたはアシクロビルを含むTK選択培地に広
げた。最初に、2μg/ml GCVを用い、そして増殖できないクローンをポジティブ
として得点を付ける。なぜなら、活性な毒素へのプロドラッグの転換が増加した
変異体は、致死となるからである。2μg/mlのGCVにおいて、197クローンが同定
される。1μg/mlおよび0.5μg/mlGCVに連続的にプレーティングしたところ、47
変異体の同定が導かれた。ACVプレート(1μg/ml)へのプレーティングにより
、116個のACV感受性クローンが得られた。クローンが本当にヌクレオシドアナロ
グに感受性であり、そして単に用いたより低いチミジン濃度において増殖できな
いために得点付けられただけではないということを確実にするために、47個のGC
Vおよび116個のACVクローンを、1μg/mlチミジンを含有する(ヌクレオシドア
ナログを含まない)TK選択プレートにプレートする。合計26個の GCV感受性変異
体
および54 ACV感受性変異体について、ほぼ半数のクローンが低チミジンにおいて
増殖し得ない。結果を図16に示す。
C.インビトロ分析
1.インビトロ転写および翻訳
プラスミドDNAをQiagenカラムクロマトグラフィーにより精製する。80個の選
択変異体の転写および翻訳を実施例3のように行う。ただし、単離プラスミドは
転写前に直線化しない。インビトロ転写産物を、チミジン、ガンシクロビル、お
よびアシクロビルのリン酸化について2点平行でアッセイし、そしてpET23d:HSV
TK mRNA翻訳産物アッセイと比較する(実施例3を参照のこと)。
2.酵素活性の測定
放射標識ヌクレオシドが、各アッセイにおいてチミジン、ガンシクロビル、お
よびアシクロビルについてそれぞれ1μM、7.5μM、および7.5μMで存在する。
活性のレベルを、35Sメチオニンを用いる2つ組の翻訳由来のTCA沈澱カウント
から測定されるタンパク質合成のレベルを反映するように調整する。80個の変異
体酵素の大部分について、チミジン、ガンシクロビル、およびアシクロビルのレ
ベルは、野生型TKの1%未満である。10個の変異体酵素は、アッセイした少なく
とも1つのヌクレオシドでの10%リン酸化よりも高い活性を示した。ヌクレオチ
ド配列を図17に示す。クローンのいくつかは、ランダム化領域の外側に変異を有
する。2個のクローン、30および84は、それぞれアミノ酸変化のA152VおよびA15
6Sを生ずる変異を有する。4個のクローンは、インフレームの欠失を有する;3
個(226および340、および411)は−3欠失を有し、そして1個(197)は、−6
欠失を有する。これらの変異は全て、ペプチドAPPPAをコードするGCリッチ領
域の周辺に集中する。このプロリンの豊富なペプチドは、ループ部分の先端にタ
ーンを含有するようである。1または2アミノ酸の欠失は、単にループの短縮を
生じ得る。これらの変異体の全ては、インビトロで測定した各活性レベルを有し
、図18に示すようにランダム化領域内に3〜6アミノ酸変化を含有する。
D.変異体チミジンキナーゼを発現する哺乳動物細胞におけるGCVおよびACVの効
果
1.哺乳動物発現ベクターへのサブクローンニング
3つの変異体チミジンキナーゼを選択し、ガンシクロビルまたはアシクロビル
存在下でインビボの細胞毒性を評価する。変異体クローン番号30、75、および13
2および野生型チミジンキナーゼ遺伝子をNcoIで制限処理し、そしてクレノウで
平滑末端にする。ゲル単離フラグメント(NcoI−平滑末端)をNatIで制限処理し
たpCMVと連結し、そしてE.coli株NM522に形質転換する。CMVプロモーターに対し
て誤った方向の野生型TK遺伝子もまた、コントロールとして用いる。Qiagenカラ
ム精製クローンを配列決定して方向、配列、および5’連結部を確認する。クロ
ーンを、pCMV、pCMV:TK-wrong、pCMV:TK、pCMV:30、pCMV:75、およびpCMV:132と
名付ける。
2.トランスフェクション
これらの変異体を評価する最初の工程として、pCMVクローンをネオマイシン耐
性マーカープラスミド(pSV2neo)の存在下でTS13 BHK tk-細胞(仔ハムスター腎
臓細胞)にChenおよびOkayama(Molec.Cell.Biol.7: 2745-2754,1987)の改変版
を用いてリン酸カルシウム沈澱により導入する。
簡略に述べれば、細胞トランスフェクションを以下のように行う。約5×105t
s13 BHK tk-細胞(ATCC CRL-1632)を100mmシャーレのDMEM+10%仔ウシ血清中にプ
レートする。各トランスフェクションについて、0.25M CaCl2中の1μgのpSV2ne
oおよび10μgのpCMV構築物(pCMV、pCMV:TKwrong(プロモーターに関して誤った方
向のHSVTK)、pCMV:HSVTK、pCMV:30、pCMV:75、またはpCMV:132 DNA)を0.5ml 2
×BBS(ChenおよびOkayamaを参照のこと)と混合し、37℃にて2.5% CO2で24時間
プレインキュベートする。CaCl2/DNA混合物をプレートに滴下し、ウェルの中で
混合する。37℃、2.5%CO2湿式インキュベーター中での24時間のインキュベーシ
ョン後、細胞をダルベッコのPBS−Ca/Mgで2回リンスし、そして新鮮DMEM+10%
仔ウシ血清を与える。プレートを37℃にて6%CO2でインキュベートする。トラ
ンスフェクション後の72時間後、細胞を1:3に分割し、そして600μg/mlのG41
8を含有するDMEM+10%仔ウシ血清にプレートする。
3.選択およびED50の測定
細胞を、G418(600μg/ml)で37℃にて17日間選択する。この間に、プレートを
(DNAトランスフェクション毎に)プールし、そして1:3の比で3回分割する
。約30〜40個のクローンを、正しい方向のtk遺伝子を含有する各トランスフェク
トDNAについてこの方式で選択する。pCMVおよびpCMV:TK-wrongのトランスフェク
ションにより、それぞれ130個〜140個のクローンを得た。G418耐性クローンを収
集し、プールし、そして96ウェルマイクロタイタープレートの中の100μlのDMEM
+10%仔ウシ血清および200μg/ml G418+6%CO2に2000細胞/ウェルの密度で
プレートした。ガンシクロビル(0.125、0.25、0.5、1、2.5、5、7.5、10、お
よび20μM)またはアシクロビル(0.5、1、2.5、5、10、25、50、75、および100
μM)の濃度範囲を各トランスフェクト集団について各濃度の8反復で各プレート
に添加する(ヌクレオシドアナログなしコントロールは、それぞれ16反復を有す
る)。ヌクレオシドアナログの存在下で3日後、Alamar Blueを添加し、そして
6時間後にプレートを、製造者のプロトコル(Alamar Biosciences,Inc.,Sacrame
nto,CA)に従って、蛍光計でスキャンする。プレートをさらに24時間、37℃にて
インキュベートし、そして再びスキャンする。
Alamar Blueの存在下でインキュベートした細胞の蛍光レベルの測定は、細胞
の生存力に直接関係する。バックグランドの蛍光を差し引くことにより、ヌクレ
オシドアナログ濃度に対する細胞生存数をプロットし、細胞の50%を死滅する有
効用量(ED50)を決定し得る。生存曲線を、2回目のスキャンからのデータととも
にプロットし、これを図19(GCV)および図20(ACV)に示す。
ヌクレオシドアナログにおいて4日後、GCVおよびACVでの50%細胞死滅の有効
用量を図19および図20から決定する(表IVを参照のこと)。
4.酵素アッセイおよび免疫ブロット
2.4×106のプールしたトランスフェクタント由来の細胞抽出物を、チミジン、
ガンシクロビル、およびアシクロビル活性についてアッセイする。リン酸化のレ
ベルは、インビトロで決定される活性(ウサギ網状赤血球溶解物翻訳産物)およ
びウェスタンブロット分析で決定されるタンパク質発現の量と非常に良好に対応
した。pCMVまたはpCMV:TK-wrong(誤った方向のTK遺伝子)に対応するレーンに免
疫反応性のバンドは見られない。野生型TK(pCMV:HSVTK)およびpCMV:132トランス
フェクトの両方の細胞溶解物は、ほぼ等しいバンド強度を示した。pCMV:30細胞
溶解物に対する免疫反応性のバンドは、実質的により強く(5〜10倍)、そして
pCMV:75のバンドは、等しい細胞数のpCMV:HSVTKのバンド強度の約半分である。
5.グリア芽腫細胞株における試験変異体
pET23d:HSVTK、pET23d:30、およびpET23d:75から単離した平滑末端NcoIフラグ
メントをpLXSN(MillerおよびRosman BioTechniques 7: 980,1989)のHpaI部位に
クローン化する。プラスミド精製をQiagenクロマトグラフィーにより行い、そし
て単離したDNAを配列決定して方向および5'連結部を確認する。ラットC6グリア
芽腫(ATCC CCL-107)およびヒトグリア芽腫細胞株(SF767)の安定なトランスフェ
クタントを、pSV2-neoが、同時トランスフェクトされないことを除いて上記のよ
うに作製する。なぜなら、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子は、pL
XSNによりコードされるからである。選択および分析は、本質的に上記の通りで
ある。
E.変異体チミジンキナーゼの反応速度分析
1.変異体および野生型酵素の過剰発現
BL21(DE3)tk-細胞におけるpET23d:HSVTK、pET23d:30、pET23d:75、およびpET2
3d:132の単一コロニーを用いて20μg/mlのカルベニシリン(cabenicilin)を含有
する5mlのM9ZB培地(1%トリプトン、0.5% NaCl、1×M9塩、1mM MgSO4、10
0μM CaCl2、および0.2%グルコース)に播種する。培養物を37℃にて一晩イン
キュベートする。翌日、5mlの培養物を用いて1LのM9ZB+20μg/mlのカルベニ
シリンに播種し、そして培養物を、OD600が0.1となるまで37℃にて増殖させる。
この時点で、IPTGを0.4mMで添加し、そして培養物をさらに3時間インキュベー
トする。細胞を氷上で冷却し、遠心分離によりペレット化し、そしてペレットを
細胞洗浄緩衝液(50mM Tris(pH7.5)、5mM EDTA、10%スクロース)中で1回洗浄
してからペレットを-70℃にて凍結する。翌日、細胞を12mlの緩衝液I(50mM Tri
s(pH7.5)、10%スクロース、2mM DTT、5mM EDTA、1mM PMSF)中に再懸濁し、
容量を2つの13ml Oakridge超遠心チューブに分け入れる。3mg リゾチームを含
有する1mlの緩衝液Iを各チューブに添加し、そしてチューブを1時間氷上で静
置する。緩衝液I+プロテアーゼインヒビター混合物をさらに1ml添加し、そし
てチューブをSorvall T-1250ローターで35krpmで4℃にて回転させる。次いで、
明澄化した上清をアリコートにし、そして-70℃にて凍結させる。
2.アフィニティー精製
チミジリル−セファロースカラムを1工程精製手順に用いる(実施例2を参照
のこと)。カラムに10mlの緩衝液Iを通し、続いて10mlの吸着緩衝液(50mM Tris
(pH7.5)、10% スクロース、2mM DTT、25mM MgAc2、10mM ATP)を通すことによ
り1mlのベッド容量のカラムを調製する。2mlの明澄化溶解物を、2mlの吸着緩
衝液と混合し、そして0.2μmのフィルターに通す。この混合物をカラムに3回通
す。カラムを5ml吸着緩衝液で3回洗浄し、そして5ml画分を集める。酵素を溶
出するために、チミジン緩衝液(300mM Tris(pH7.5)、10% スクロース、2mM DT
T、50mM KCl、600μMチミジン)の3〜1ml画分をカラムに通し、各1ml画分を集
める。カラムを、10mlの高塩緩衝液(50mM Tris(pH7.5)、10% スクロース、2mM
DTT、0.5M KCl)、および10mlの50mM Tris(pH7.5)を載せることにより再活性化
する。カラムを、50mM Tris(pH7.5)+0.004%アジドナトリウム中で保存する。
精製程度を、クマシー染色SDS:PAGE分析によりモニターし、精製タンパク質の濃
度をBioRad Reagent(Bradford Reagent)を用いて測定する。TKタンパク質を含む
画分を、4℃にて数リットルの50mM Tris(pH7.5)、10% スクロース、2mM DTT
に対して透析し、チミジンを除去する。
3.酵素反応速度論
上記の酵素アッセイを用いて、基質であるチミジン、ガンシクロビル、および
アシクロビルに対する精製TK酵素のKm、Vmax、およびKcatを決定する。
実施例9
ヒトおよびマウスのグアニル酸キナーゼの単離
ならびに
HSV-1チミジンキナーゼおよびグアニル酸キナーゼ2重発現ベクターの構築
本実施例は、ヒトおよびマウスのグアニル酸キナーゼ遺伝子の単離、ならびに
ヘルペスチミジンキナーゼおよびグアニル酸キナーゼの2重発現のためのベクタ
ー構築を記載する。
A.ヒトグアニル酸キナーゼ遺伝子の単離
1.ヒトグアニル酸キナーゼ遺伝子の単離
2つのオリゴヌクレオチドを、完全長のヒトグアニル酸キナーゼオープンリー
ディングフレームを増幅するために設計する。以下の2つのオリゴヌクレオチド
をGenSet(La Jolla,CA)により合成する:
各末端のBamHI部位に下線を付し、そして開始メチオニンコドンのNcoI部位を括
弧で示す。太字のヌクレオチドは、元々の配列(GenBankアクセス番号A11042)か
らのヌクレオチド変更を示す。ヒトグアニル酸キナーゼ遺伝子を、α-CD3で刺激
したヒト増殖Bリンパ球のcDNAライブラリーから増幅する。得られる単一のバン
ド(〜600bp)をBamHIで制限処理し、そしてpUC118(BamHI)にクローン化してpUC
118:Hugmkを得る。挿入物を、以下のオリゴヌクレオチドのセットを用いて完全
に(両鎖について)配列決定する:
(ABIのM13逆方向プライマー)(配列番号33)。配列分析は、セリンからアラニン
への変化(S2A)をもたらすNcoI部位の予期される変更を除いてGenBank配列と同一
であることを明らかにした(図21)。
2.ノーザンブロット
sP2/0マウスBリンパ球由来の8μgの全RNAを、1×MOPS緩衝液/75%ホルム
アミド中に調製し、そして55℃にて10分間加熱変性し、そして1×MOPS緩衝液中
の1.2%アガロースゲルに載せる。ニトロセルロースへのトランスファー後、ブ
ロットをヒトgmk遺伝子でプローブする。
600bpのBamHIフラグメントを、pUC118:Hugmkからゲル単離し、そして製造者の
説明書に従ってAmershamのランダムプライマーラベリングキットを用いて標識す
る。遊離の放射標識をサイズ排除クロマトグラフィーにより除去する。ハイブリ
ダイゼーションおよび洗浄の後、ブロットを-70℃にて2日間、X線フィルムに
曝す。ノーザンブロットのオートラジオグラフィーは、単一の約750nt RNA種を
示す。増殖Bリンパ球由来のヒトpoly A+RNAを用いる同様の実験において、単
一の約750ntバンドがまた観察される。
B.マウスグアニル酸キナーゼ遺伝子の単離
1.マウスcDNAライブラリーのスクリーニング
マウス702/3細胞(Bリンパ球)のλgt10 cDNAライブラリーを、ヒト遺伝子を
用いてプローブする(ノーザンブロット解析に用いるのと同じプローブ)。スク
リーニングするプラークの総数は2×105pfuである。9個の独立したλクローン
がヒトプローブにハイブリダイズし、これらをプラーク精製する。
2.ポジティブクローンのサブクローンニングおよび配列分析
8個のファージDNA調製物由来のEcoRIフラグメントをゲル単離し、そしてEcoR
Iで制限処理しかつ脱リン酸化したpUC118にサブクローン化する。DNA挿入物のサ
イズは、約300bp〜1.2kbの範囲であった。プライマー(M13正方向プライマー)を
用いる予備配列分析は、全てのクローンが、ヒトとウシとのグアニル酸キナーゼ
配列の配列アラインメントにより決定される推定上のATG開始コドンに対して約6
0bp5'から始まり、そしてそれぞれの3'末端が異なっていたことを明らかにす
る。1つの代表的なクローン(両鎖)を、以下のオリゴヌクレオチドを用いて完
全に配列決定する:
最終的なマウスグアニル酸キナーゼ遺伝子の配列を、推定アミノ酸とともに図22
に示す。
3.新規制限部位の導入
新規のNcoI制限部位を、Black,M.EおよびHruby,D.E(J.Biol.Chem.265: 17584
-17592,1990)に記載のようにマウスグアニル酸キナーゼオープンリーディング
フレームの開始コドンに導入する。用いた変異誘発オリゴヌクレオチドは、5'-C
TAGGTCCTG[CCATGG]CGTCCGCG-3’である(NcoI部位を括弧で示し、そして太字の
ヌクレオチドはCからGへの変化を意味する)。得られるクローンpUC118:Mugmk
-NotIを配列決定して、方向および5'連結領域を確認する。
C.インビトロ転写および翻訳分析のためのベクターの構築
ヒトおよびマウスのグアニル酸キナーゼ遺伝子の両方をpET23d(実施例8を参
照のこと)にサブクローン化する。pUC118:Hugmk由来の600bp NcoI/BamHIフラグ
メントをゲル単離し、そしてNcoIおよびBamHIで制限処理したpET23dに定方向的
にサブクローン化(directionally subcloned)する(実施例8を参照のこと)。
マウスグアニル酸キナーゼ遺伝子を、ATGに導入したNcoI部位およびpUC118 3'
ポリリンカー領域に由来するEcoRI部位を用いて約800bpのNcoI/EcoRIフラグメン
トとしてゲル単離し、そしてNcoIおよびEcoRIで制限処理したpET23d(実施例8
を参照のこと)にクローン化する。次いで、得られるプラスミドpET23d:Hgmkお
よびpET23d:Mgmkを、インビトロ転写のためのテンプレートとして用い、そして
生成されるmRNAを実施例3および8に記載のようにウサギ網状赤血球溶解物無細
胞翻訳システムに用いる。完全長タンパク質の生成および活性を確認するための
酵素アッセイは、Agarwalら(Methods in Enzymol.51: 483-490,1978)に記載の
通りであり、ポジティブコントロールとしてSigmaから購入したウシグアニル酸
キナーゼを用いる。
D.ヒトおよびマウスグアニル酸キナーゼの精製および特徴付け
1.発現ベクターの構築
pET23dベクター(Novagen,Madison,WI)を、pET:HTの構築のためのベクター骨格
として用いる。このベクターは、標的遺伝子産物のN末端に融合した除去可能な
ヒスチジンタグの発現を考慮して、6個のヒスチジン残基のペプチド、それに続
いてトロンビン切断部位を含む。6his-トロンビン融合物コード領域の合成を、p
ET23dのプロモーター領域のPCR増幅、および3連続のPCR増幅工程において以下
のプライマーを用いる伸長により行う。
配列DMO 604は、全てのPCR増幅工程においてpET23dのBglII領域にアニールする
。配列DMO 605は、3'から5'方向のNcoI部位に相当する領域にアニールし、そ
して上記の配列の太字で示すヌクレオチド変異に起因するNcoI部位の欠失をもた
らす。配列DMO 606またはDMO 607による3'から5'方向のその後の増幅は、配列
DMO 604と対になり、6個のヒスチジンコドンおよびトロンビン切断部位の付加
物のための配列を伸長する。さらに新規のNcoI部位が、上記括弧内に示すように
配列DMO 607により導入される。最終的なBglII/NcoIフラグメントをpET23d内の
対
応する部位にクローン化して、pET:HTを作製する。pET:HTを配列決定して、正し
い合成および挿入であることを確認する。新たなベクター融合ペプチドのアミノ
酸配列は:
である(トロンビン切断認識部位に下線を付す)。トロンビンでの切断は、アル
ギニンとグリシン残基との間である。
2.E.coliにおける過剰発現およびアフィニティー精製
過剰発現および分析のための方法は、実施例8の通りである。His-Bind樹脂(N
ovagen,Madison WI)を用いるアフィニティー精製を製造者の説明書に従って行う
。トロンビンを用いて末端の17個のアミノ酸を切断し、グアニル酸キナーゼの開
始メチオニンのN末端に3個のアミノ酸を残す。次いで、切断混合物をHis-Bind
カラムに2回目に通すことによりリーダーペプチドを除去する。
3.酵素反応速度論
グアニル酸、GCV-モノホスフェートおよびアシクロビル-モノホスフェートに
対するKm、Vmax、およびKcat値を、精製したヒトおよびマウスのグアニル酸
キナーゼを用いて決定する。Agarwalら(Methods in Enzymol.51: 483-490,197
8)に記載のアッセイプロトコルの使用に加えて、放射性ヌクレオチド基質を用い
て行うアッセイにより生成したヌクレオチド産物を、薄層クロマトグラフィーお
よびシンチレーション計数により分析する。
E.インビボでの2重発現ベクターの構築および分析
HSV1 tk遺伝子をpLXSN(MillerおよびRosman、BioTechniques 7: 980-990,198
9)のHpaI部位にNcoI(平滑末端)フラグメントとしてクローン化し、そして制限
酵素マッピングにより方向を決定する。これにより、HSV-1 tk遺伝子は、MoML V
LTRプロモーターの後方に配置される。ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ
遺伝子を、BamHI(平滑末端)フラグメントとしてグアニル酸キナーゼ遺伝子(
ヒトまたはマウス)により置換する。これにより、グアニル酸キナーゼ遺伝子の
発現はSV40プロモーターにより駆動される。さらに、tkおよびgmk遺伝子の順番
が逆であるベクターを構築する。これにより、tk遺伝子はSVプロモーターから
発現され、そしてgmkはLTRプロモーターから発現される。個々の遺伝子(tkまた
はgmk)を含有するベクター構築物もまた構築する。さらに、野生型HSV-1 tk遺
伝子の代わりにHSV-1 tk変異体を含有する発現ベクターもまた構築する。
実施例8のように、上記構築物由来のプラスミドDNAを用いて、ts13 BHK tk-
細胞、SF767ヒトグリア芽腫細胞、およびラットC6グリア芽腫細胞を、G418で
のトランスフェクタントの選択を可能にするマーカープラスミド(pSV2-neo)の存
在下でトランスフェクトする。
安定なトランスフェクタントの選択、ならびにACVおよびGCVに対する増大した
感受性のアッセイは、実施例8に記載の通りである。
前述より、本発明の特定の実施態様が例示の目的で本明細書中に記載されたが
、本発明の精神および範囲から逸脱せずに種々の改変が作製され得ることが認識
される。従って、本発明は、添付される請求の範囲以外には限定されない。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12N 5/10 C12N 5/00 B
9/12 A61K 37/52 ABC
//(C12N 1/21
C12R 1:19)
(C12N 9/12
C12R 1:91)
(C12N 9/12
C12R 1:19)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C
Z,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KE,KG
,KP,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,
MG,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,RO,R
U,SD,SG,SI,SK,TJ,TM,TT,UA
,UG,UZ,VN