JPH10504181A - 保存されたt細胞レセプター配列 - Google Patents
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- JPH10504181A JPH10504181A JP7527172A JP52717295A JPH10504181A JP H10504181 A JPH10504181 A JP H10504181A JP 7527172 A JP7527172 A JP 7527172A JP 52717295 A JP52717295 A JP 52717295A JP H10504181 A JPH10504181 A JP H10504181A
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Abstract
(57)【要約】
4つの独特の転写物を、慢性関節リウマチ患者の滑液組織T細胞のT細胞レセプターのβ鎖から単離した。これらの転写物のうちの二つは、新鮮な滑液組織から単離され、二つは、滑液組織から誘導されたT細胞系から単離された。4つの転写物の配列は、高度に相同であり、高度に多様なV−D連結部に、保存されたIGQ_Nのアミノ酸配列を備えている。T細胞系誘導転写物のα鎖および抗原特異性についても調べた。
Description
【発明の詳細な説明】
保存されたT細胞レセプター配列
この発明は、1991年9月27日に出願された07/766751の一部継
続出願である。この研究は、ナショナル・インスティテュート・オブ・ヘルス(
the National Institutes of Health)からの補助に支えられたものである。発明の背景
Tリンパ球は、T細胞抗原レセプター(TCR)複合体を介して抗原を認識し
する。TCRは、T細胞上のクローン特異的ヘテロダイマーであり、その標的抗
原を主要組織適合抗原と組み合わせて認識する。さらに、TCRは、異なるT細
胞において高度に多型的である。約90%の末梢血液T細胞が、αポリペプチド
とβポリペプチドからなるTCRを発現し、少量の%のT細胞が、γポリペプチ
ドとδポリペプチドからなるTCRを発現する。DavisとBjorkman.1988,Natur
e 334:395-402; MarrackとKappler,1986,Sci.Amer.254:36; Meuerら,1984
,Ann.Rev.Immunol.2:23-50; Brennerら,1986,Nature 322: 145-159; Kran
gelら,1987,Science 237:1051-1055; Hataら,1987,Science 238:678-682; H
ochstenbackら,1988,J.Exp.Med.168:761-776を参照。
T細胞クローンのT細胞抗原レセプターの鎖は、いずれも、可変部(V)、多
様部(D)、連結部(J)、および定常部(C)と呼ばれるドメインの独特な組
み合わせからなる(Siuら,1984,Cell 37:393; Yanagiら,1985 Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 82:3430)。超可変領域も同定された(Pattenら,1984,Nature
312:40; Beckerら,1985,Nature 317:430)。各T細胞クローンにおける、αお
よびβ鎖の両方、もしくはδおよびγ鎖の両方のV、DおよびJドメインの組み
合わせが、各T細胞の独特の抗原結合部位を定義する。対照的に、Cドメインは
、抗原結合に関与しない。
TCR遺伝子は、イムノグロブリン遺伝子のように、T細胞の個体発生の間に
アレンジする領域からなる(Chienら,1984,Nature 312:31-35; Hedrickら,19
84,Nature 308:149-153; Yanagiら,1984,Nature 308:145-149)。ゲノムDN
Aでは、各TCR遺伝子は、V、JおよびC領域を備えているが、TCRβおよ
びδポリペプチドはD領域を備えている。V、D、J、およびC領域は、DNA
中でスペーサー領域によって互いに分けられている。通常は、多くの可変領域セ
グメントと、幾分少な目の多様、連結および定常領域セグメントがある。リンパ
球が成熟する際に、上記の種々のセグメントはスプライスを受け、一つのV、(
D)、J、およびC領域からなる連続的な遺伝子配列を作る。TCR多様性、し
かしてT細胞の特異性は、生殖系列(germline)遺伝子セグメントの多重性(multi
plicity)(Chienら,1984,Nature 309:322-326; Malissenら,1984,Cell 37:1
101-1110; Gascoigneら,1984,Nature 310:387-391; Kavalerら,1984,Nature
310:421-423; Siuら,1984,Nature 311:344-349; Pattenら,1984,Nature 31
2:40-46)、異なるV、D、J、およびCセグメントの組み立てを介した組み合
わせの多様性(Siuら,1984,Cell 37:393-401; Govermanら,1985,Cell 40:85
9-867)、並びに、連結柔軟性(junctional flexibility)、N領域多様性、お
よび複数のD領域もしくはDβセグメントに対する3つの翻訳読み枠の使用を含
むいくつかの原因から誘導される(Barthら,1985,Nature 316:517-523; Finkら
,1986,Nature 321:219-225)。上記メカニズムの結果、N末端(可変、もしく
はV領域と称され、V、D、およびJ遺伝子セグメントの組み合わせから構成さ
れる)においては異なるが、C末端を含む別の箇所(定常領域)では同一なTC
Rが構成される。それゆえ、無限の数のTCRが構成される。
TCRのVβ遺伝子は、イムノグロブリンV遺伝子に密接に類似しており、三
つの遺伝子セグメントVβ、Dβ、およびJβを備え、これらは連続的なVβ遺
伝子を形成するように再構成する(Siuら,1984,Cell 37:393-401)。β座(loc
us)は、マウスでよく調べられており、700−800キロベースのDNAにわ
たるものであって、二つのほぼ同一のC領域を含み、これらの5’側に一つのD
部と一塊の5−6のJ部が縦に並んでいる(Kronenbergら,1986.Ann Rev.Imm
unol.3:537-560)。約20〜30のVβ領域がD、J、およびC部の上流(5
’)に位置する(Behlkeら,1985,Science,229:566-570)が、Vβ遺伝子はマ
ウスCβ遺伝子の3’側に位置することもある(Malissenら,1986,Nature 319
:28)
。ヒトTCR β鎖可変領域遺伝子の構造および多様性の研究により、局所的な(
district)Vβサブファミリーに遺伝子が組分けされた(Tillinghastら,1986,
Science 233:879-883; Concannonら,1986,Proc.Natl.,Acad.Sci.USA 83:6
598-6602; Borstら,1987,J.Immunol.139:1952-1959)。
γTCR遺伝子は、最初にマウスで同定され(Saitoら,1984,Nature 309:75
7-762; Kranzら,1985,Nature 313:762-755; Haydayら,1985,Cell 40:259-26
9)、次いでヒトで同定された(Lefrancら,1985,Nature 316:464-466; Murre
ら,1985,Nature 316:549-552)。ヒトγTCR座は、5〜10の間の可変領域
遺伝子、5つの連結領域遺伝子、および2つの定常領域遺伝子からなるらしい(
Dialynasら,1986,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:2619)。
TCRαおよびδ座は、ヒトクロモソーム14上で互いに隣接している。セグ
メントをコードする多くのTCRδは、完全にα遺伝子座内に位置する(Satyan
arayanaら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8166-8170; Chienら,1987
,Nature 330:722-727; Elliotら,1988,Nature 331:627-631)。最低でも45
〜50のVα領域があると推定されるが(Beckerら、Nature 317:430-434)、V
δ領域はたったの10個程度である(Chienら、1987,上掲)。TCRα遺伝子
の核酸配列が報告されている(Simら,1984,Nature 312:771-775; Yanagiら、1
985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3430-3434; Berkoutら,1988,Nucl.Aci
ds Res.16:5208)。
慢性関節リウマチ(RA)は、慢性の、再発性の、主に関節に関係する炎症疾
患であり、北米の1−3%が罹患している。男性に比べて、3倍の数の女性がR
Aに罹患している。深刻なRA患者は、脈管炎、筋萎縮、皮下小結節、リンパ節
症、巨脾腫症および白血球減少症を含む外関節症状発現を示しがちである。自然
緩解が起こることもあるが、そうでない患者は、短期間の急性関節炎と長期間の
低レベルの活性を発現し、さらに別の場合には、深刻な関節の変形にまで進行す
る。約15%のRA患者が、完全に動けなくなると推定されている(“Primer o
n the Rheumatic Disease”,8th edition,1983,Rodman,G.P.& Schumacher
,H.R.Eds.,Zvaifler,N.J.,Assoc.Ed.,Arthritis Foundations,Atlanta
,Ga.)。
免疫応答の開始を刺激する抗原性の刺激および結果として生じる炎症は未知で
ある。あるHLAタイプ(DR4、DW4、DW14およびDR1)は、RAの
普及を増大させ、おそらく、疾患の進行を開始する未同定のファクターに対する
遺伝的な罹りやすさへと導く。エプスタイン-バーウイルスとRAとの間の関係
が、示唆されている。
多くの細胞型、特にマクロファージ、シノビオサイト(synoviocytes)および
多形核白血球は、RAにおける関節破壊に影響する複合炎症反応に関与する。し
かしながら、Tリンパ球が中心的役割をなすことが、1)RA疾患の主要部位、
滑液組織(the synovial tissue)における活性化T細胞の豊富な浸潤(van Boxel
,J.A.ら,1975; N.Engl.J.Med.,293:517; Panayi,J.S.ら,1992,Arthrit
is Rheum.35:729);2)RA疾患への罹りやすさと主要組織適合複合体(MH
C)クラスII分子のDRβ鎖の第三の超可変領域に定義されたアミノ酸配列とを
結びつける遺伝学的研究(P.Gregersen,J.Silver,R.J.Winchester,1987,
Arthritis Rheum.30:1205);3)抗原特異的T細胞が罹患しやすい動物に疾患
を移入できる慢性関節炎の動物モデル(R.Holmdahl,L.Klareskog,K.Rubin,
E.Larsson,H.Wigzell,1985,Scand.J.Immunol.22:295; W.van Edenら,
1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1985,82:5117);および4)CD4+T細
胞サブセットと反応するモノクローナル抗体(mAb)の投与による、自己免疫
疾患のマウスモデルとRA患者の両方における関節炎の改善(G.E.Rangers,S
.Sriram,S.M.Cooper,1985,J.Exp.Med.162:11104; G.Horneff,G.R.
Burmester,F.Emmrich,J.R.Kalden,1991,Arthritis Rheum.34:129)によ
って示唆されている。
TCR構造と抗原−MHC分子複合体認識とを関連づけるように設計された先
の研究は、α鎖とβ鎖の両方の3つの多様性CDR領域のいずれかの臨界アミノ
酸残基の重要性を強調し、CDR3は優性的役割を演じる。マウスとヒトの両方
のシステムにおいて、特定のペプチド−−MHC複合体に特異的なT細胞は、し
ばしば、CDR3領域の特徴的なアミノ酸または配列クラスターを利用する(S
.M.Hedrickら,1988,Science 239:1541)。最近の研究により、よく明らかに
された抗原ペプチドにおけるアミノ酸を変えるチャージの導入が、α鎖とβ鎖の
両
方のCDR3アミノ酸残基に相互のチャージ変化を導入した抗原特異性TCRに
よって特徴付けられたT細胞応答を導くことが証明された(J.L.Jorgensenら
,1992,Nature 355:224)。この結果は、これらのTCR残基が直接抗原ペプチ
ドに結合することを示唆する。関連した研究では、自己に高度に相同な外的ペプ
チドを認識するマウスTCRレパートリーは、TCR VαおよびVβ遺伝子の
使用、CDR3の長さ、およびCDR3ドメインにおける標準的なアミノ酸残基
の存在に関して、かなり不自然であることが見出された(J.-L.Casanovaら,1
991,J.Exp.Med.174:1371)。これらのデータは、自己免疫疾患を仲介する病
原性T細胞が、重要な構造上の特徴を共有するTCRを発現することを示唆する
。
この仮説のさらなる支持は、他の自己免疫疾患の研究に見られる。ミエリン塩
基性タンパク質(MBP)特異的Th細胞は、実験的アレルギー性脳脊髄炎(E
AE)を誘発する(S.S.Zamvilら,1988,J.Exp.Med.167:1586; J.L.Urb
anら,1988,Cell 54: 577; F.R.Burnsら,1989,J.Exp.Med.169:27)。起
脳炎T細胞クローンは、VβおよびVα遺伝子の使用とCDR3領域構造とに関
して強力に偏っている(D.P Goldら,1992,J.Immunol.148:1712)。最近、多
発性硬化症(MS)の患者の中枢神経系の病変から単離されたTCR Vβ転写
物(transcripts)が、起脳炎MBP反応性マウスT細胞クローンによって発現
されたものと相同なCDR3領域の配列モチーフを示すことが証明された(R.M
artinら,1991,J.Exp.Med.173:19; J.R.Oksenbergら,1993,Nature 362:
68)。
RAにおけるT細胞の重要性は明らかのようであるが、疾患誘発T細胞によっ
て発現されたTCRの抗原特異性もその構造も明らかにされていない。炎症を起
こした関節に存在する莫大な数のT細胞の中から病原性T細胞を同定する試みに
おいて、研究者は、1)TCRの構造的特徴を共有する、すなわち特定のTCR
可変遺伝子部の制限された使用、もしくは2)TCRの高度に多型的な抗原結合
CDR3領域に関して“オリゴクローナル”である、病原部位で抗原誘導された
増大を示唆するT細胞を検出する分子技術を用いた。これまで、この試みは、矛
盾する結果を得てきた。いくつかの研究室が、RA関節誘導T細胞の中で特定の
TCR V遺伝子産物のオリゴクローナリティー(oligoclonality)と過剰使用
の証拠を報告している(M.D.Howellら,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
8:
10921; X.Paliardら,1991,Science 253:325; W.V.Williamsら,1992,J.C
lin.Invest.90:326)。しかしながら、関連するTCR V遺伝子ファミリーは
研究によって変わり、別の研究者等は、RAにおけるTCRのゆがみ(TCR skewi
ng)の証拠を何も見出していない(Y.Uematsuら,1991,Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 88:8534; J.M.van Laarら,1991,Clin.Exp.Immunol.83:353)。発明の概要
RA患者のT細胞レセプターの保存されたCDR3領域をコードする4つの独
特のVβ17転写物が見出された。これらの独特な転写物は、同一ではないが、
TCRの可変領域において高度に相同である。また、これらの転写物の内部には
、高度に保存された配列IGQ_N(SEQ ID No.13)がある。これら
の転写物は、RA患者の滑液組織および滑液組織T細胞から増大した細胞系から
単離された。
保存されたCDR3配列を備えた二つの独特なα鎖が、独特なT細胞クローン
に利用されることも見出した。
転写物がコードするペプチドおよび/またはこのペプチドに特異的なモノクロ
ーナル抗体を用いてRAを診断および治療する方法も、本発明の一部である。図面の説明
図1は、Vβ17TCR遺伝子産物の発現を間接的な免疫蛍光法によって分析
した、健康な被験者、セロポジティブRAの患者、非RA炎症性関節炎の患者、
および全身性エリテマトーデス(SLE)の患者の単核細胞(MNC)を図示し
ている。末梢血液(PB)の結果は上のパネル、滑液(SF;synovial fluid)
の結果は下のパネルに示されており、抗TCR Vβ mAbと反応する細胞の%
/抗CD3 mAbと反応する細胞の%で表されている。
図2は、滑液から単離し、提示されたT細胞表面エピトープの発現を間接的免
疫蛍光法で分析したMNCを図示したものである。各サイトフルオログラフヒス
トグラムにおいて、蛍光は横座標に示され(対数目盛り)、細胞数は縦座標に示
されている(均等目盛り)。
図3は、SF T細胞の二つのカラー免疫蛍光分析を図示したものである。S
F T細胞は、抗Vβ(左のパネル)または抗Vβ17(右のパネル)mAbで
染色された。
図4は、新鮮に単離された滑液T細胞(Vβ17seq1およびseq2)お
よびin vitroで増大した培養5誘導T細胞クローン(Vβ17seq3およびs
eq4)から同定された優性Vβ17転写物のCDR3配列を図示したものであ
る。N−D−N領域における保存されたアミノ酸残基は、太字で示されている。
図5は、Vα2.3(A)とVα3.1(B)のCDR3領域におけるヌクレ
オチドと推定されるアミノ酸配列を図示している。Jα(IGRJa09)セグ
メントを含むVα2.3はVβ17seq3を伴い、Jαkセグメントを用いた
Vα3.1はVβ17seq4に結合され、培養5−誘導T細胞クローンに発現
する。
図6は、EBV形質転換B細胞系によって誘発された滑液組織T細胞クローン
の増殖を示す。発明の詳細な説明
本発明は、RA患者の滑液組織に保存される、独特のα/βT細胞レセプター
(TCR)配列に向けられている。これらの4つの配列は、通常はTCRの高度
に可変な領域とされる相補性決定部位(CDR3)において、配列相同性を示す
。これらの転写物のαおよびβの両方は、その抗原特異性および特徴が調べられ
ている。
これらの転写物を単離する第一段階は、RAに病原性のT細胞のタイプを同定
し、その慢性的な活性化を維持する関連抗原の特徴を調べることであった。これ
は、特定のTCR Vβ遺伝子ファミリーの産物と反応するマウスのmAbのパ
ネルを用いて行われた。この結果は、RA患者の末梢血液(PB)と滑液(SF
)におけるVβ17 TCR配列を帯びているT細胞のパーセントの選択的増加
を示した。
オリゴクローナルVβ17滑液T細胞の病原可能性を評価するために、in vit
roにおけるこれらの細胞の単離、およびTCR α/β鎖構造および抗原性の特
徴
を調べた。これをなすために、一人の“模範的な(classic)”RA患者を18ヶ
月間観察し、次いでT細胞を滑膜から体外移植した。独特の転写物を、新鮮な滑
膜T細胞および滑液組織T細胞から生じた細胞系の両方から単離した。
これらの二つの転写物は、Vβ17seq1(アミノ酸配列−seq.I.D
.No.1; ヌクレオチド配列−seq.I.D.No.2)およびVβ17
seq2(アミノ酸配列−seq.I.D.No.3; ヌクレオチド配列−s
eq.I.D.No.4)と称され、新鮮な滑液組織から誘導されたVβ17c
DNAクローンから単離された。他の二つの上記配列は、Vβ17seq3(ア
ミノ酸配列−seq.I.D.No.5; ヌクレオチド配列−seq.I.D
.No.6)およびVβ17seq4(アミノ酸配列−seq.I.D.No.
7; ヌクレオチド配列−seq.I.D.No.8)と称され、滑液組織T細
胞からin vitroで生成された細胞系から単離された。
これらの4つの転写物は、同一ではないが、高度に相同な配列を含む。CDR
3領域におけるヌクレオチドおよび推定されるアミノ酸配列は、図4に示されて
いる。
配列の比較は、95位のアミノ酸残基“I”と99位の“N”が4つの全ての
転写物に見られることを示している。#99位の残基Nは、Vβ17seq2、
3および4の生殖系列Jβ2.1セグメントによってコードされているが、Vβ
17seq1における同じ残基は、生殖系列にコードされていないものの、抗原
結合VDT領域に多様性を生じるN領域ヌクレオチド添加の工程の結果であるこ
とに注意するべきである。Lieber,M.R.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,198
8,85:8588を参照。
さらに、CDR3における転写物Vβseq1およびVβseq3領域の配列
の相同性は、ヌクレオチドレベルで78.5%であり、アミノ酸レベルで86.
4%である。また、高度に多様なV−D連結における残基#95−99の5つの
アミノ酸のうちの4つ、すなわちIGQ_N(seq.I.D.No.13)も
、両方の転写物において保存されている。
理論と結びつけることなく、4つの優性転写物が同じ連結局部化抗原(joint-
localized antigen)を認識し、TCRβ鎖のCDR3領域における保存された
ア
ミノ酸である#95位の“I”および#99位の“N”が抗原認識に重要性を与
えると信じられる。
抗原認識がTCRαおよびβの機能であることから、T細胞クローンが引き出
された細胞系のα鎖の使用も調べられた(図5)。Vβ17seq3は、Vα2
.3を発現し、Vα2.3−Jγ(IGRJa09)−Cα(アミノ酸配列−s
eq.I.D.No.9およびヌクレオチド配列−seq.I.D.No.10
)のα再構成(α rearrangement)を備える。最近の報告が、RA患者の滑液に
おけるVα2.3T細胞の選択的増加を証明したことから、Vα2.3の発現に
は興味を引くものがある。Pluschke,G.ら,Eur.J.Immunol.,1991,21:749;
Broker,B.M.ら,Arthritis Rheum.,1993,9:1234.参照。Vβ17seq4は
、Vα3.1−JαK−Cα(アミノ酸配列−seq.I.D.No.11;ヌ
クレオチド配列−seq.I.D.No.12)を発現した(図5)。
最後に、T細胞クローンを誘導した培養の抗原特異性を調べた。保存されたC
DR3配列を発現する滑液T細胞は、DR4分子に関連するRAの対立遺伝子に
反応する。
同じVβ遺伝子を利用するこれらのT細胞クローンは、抗原結合CDR3領域
において高度に相同であり、おそらくリウマチの進行に病原的可能性を備えたH
LA DR4抗原と反応、もしくはこの抗原に制限される。これは、1)他の関
節症ではなくRAのみが、Vβ17+T細胞の増大によって特徴付けられるmA
b染色結果;2)RA滑液T細胞からVβ17、14および3の選択的再提示を
示す他の研究室からのデータ(Howell,M.D.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
,1991,88:10921; Paliardら,Science,1991,90:326);および、最も決定的
なことに、3)我々のVβ17seq2の配列(“IQG_N”)に高度に相同
なCDR3配列が、幼若慢性関節リウマチのDR4+、RF+患者の滑液および
組織T細胞から単離された増大したオリゴクローナルVβ14TCR転写物に同
定されたことによって支持される。Gromら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993
,90:11104を参照。
新鮮な滑膜に同定された優性Vβ17配列に相同なTCR配列を発現するクロ
ーンの単離およびin vitroにおける生育により、潜在的に病原性のRA T細胞
に
よって発現されるαβTCRの完全な構造が説明された。これらのクローンは、
例えばタイプIIコラーゲン、プロテオグリカン、熱ショックタンパク質、および
RA関連DR分子によって共有された配列、QKRAA(seq.I.D.No
.14)を含む合成ペプチドの並び等の、自己免疫攻撃の標的と仮定される関節
に制限された抗原を含む潜在的に重要な自己抗原のパネルに対する反応性を評価
するために使用することもできる。
これらの配列は、RAの確認的診断の道具として用いることもできる。RAの
診断は、臨床的特徴に基づいてなされ、保存されたTCR配列に相同なプローブ
を用いたin vitroアッセイにより、関節に影響する他の疾患に対して、患者が確
かにRAに罹患しているかを確かめることができる。このような方法は、必然的
に、RAに罹患している疑いのある被験者の体液を、保存されたTCR配列に相
同なプローブと接触させる。体液は、これに限定されるものではないが、滑液を
含む。保存されたTCR配列の存在は、当業者に知られているあらゆる方法を用
いて調べられる。特別な実施態様は、Vβ17seq1、Vβ17seq2、V
β17seq3、およびVβ17seq4のCDR3配列のいずれか一つ、もし
くはこれらの他の部位に相同なプローブを含む。他の好ましい実施態様は、保存
されたCDR3α鎖配列に相同なプローブを含む。さらに他の好ましい実施態様
は、アミノ酸配列IGQ_Nをコードするヌクレオチド配列に相同なプローブで
ある。
独特なTCR配列は、例えば、“ブロッキング”抗原ペプチドとしての使用、
免疫制御細胞の活性化、抗TCR抗体の誘発、もしくはT細胞を発現する病原性
V遺伝子のmAb仲介欠失にそれらを用いることにより、RAの免疫治療のため
に用いることもできる。独特のTCR配列に相同なアミノ酸からなる断片を、直
接患者に投与することができる。このような配列は、患者の抗原を攻撃できない
T細胞を作り出す、T細胞のTCRをブロッキングすることで作用する。このよ
うな方法で用いられる特異的なペプチドは、Vβ17seq1、vβ17seq
2、Vβ17seq3、またはVβ17seq4のアミノ酸配列に相同である。
さらに、配列IGQ_Nに相同なペプチドも使用することができる。
免疫治療の別の方法では、当該技術分野で通常用いられる方法によって、独特
のTCR配列に向けられたmAbを作製することができる。独特のTCR配列に
向けられたこれらのmAbは、病原性であるとみられる独特のTCR配列を標的
とする。
上記方法で用いられる特異的なモノクローナル抗体は、Vβseq1、Vβs
eq2、Vβseq3、またはVβ17seq4のCDR3配列、もしくはこれ
らの部位を認識するmAbを含む。IGQ_Nに向けられたmAbも使用できる
。
ペプチドまたはmAbのいずれも、例えば、滑液中、全身的、もしくは経口的
に、適切なキャリアでRA患者に投与することができる。実施例1
RA T細胞レパートリーにおけるTCR V遺伝子の使用を直接的に評価する
ために、ヒトTCR Vβ遺伝子産物に特異的なモノクローナル抗体のパネルを
利用した。対照被験者は、25人の健康的な志願者(女性/男性=2.4、平均
年齢=43.3)を含む。疾患対照者は、全身性エリテマトーデス(女性/男性=
10.0;平均年齢=40)もしくは、変形性関節症、通風、ライター症候群、
およびモノアーティキュラー関節炎(monoarticular arthritis)を含む非RA炎
症性関節炎の19人の被験者(女性/男性=2.0;平均年齢=59.5)を含む
。RA患者は、米国リウマチ協会(American Rheumatism Association)の基準
を用いて定義した(Arnettら,1988,Arthritis Rheum.,31:315-324)。被験者
は、アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤、コルチコステロイド、メトトレキサ
ート、金、ヒドロキシクロロキン、またはスルファサラジンを含む薬学的治療に
関して選択されなかった。被験者がRFに対してセロポジティブであるか否かを
調べるために、RA患者の血清サンプルを、ラテックス固定によってアッセイし
た。ある被験者からのPB単核細胞(MNC)を、標準的な血清学の試薬を用い
てHLA DRハプロタイプについて調べた。
末梢血液サンプルを静脈穿刺によって得て、SFサンプルを治療的関節穿刺の
際に得た。ST標本を、特殊外科病院の病理学局(the Department of Patholog
y at The Hospital for Special Surgery)から得て、治療的関節鏡滑膜切除、
切
開滑膜切除(open synovectomy)、または全体的な関節のリプレースメント(total
joint replacement)を行った。滑液組織を無菌的な条件下で細かく刻み、RP
M11640(GIBCO Laboratories,Grand Island,NY)、20%の胎児性ウシ
血清(Whittaker Bioproducts,Inc.,Walkersville,MD)、1%のペニシリン
およびストレプトマイシン、1%のグルタミン(GIBCO)、0.5mg/mlの
コラゲナーゼ、0.15mg/mlのDNアーゼ、および0.1mg/mlのヒ
アルロニダーゼ(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)を含む20mlの酵素
調製物に、37℃、5%CO2で、2−4時間インキュベートした。次いで、組
織をピンセットと外科用メスで機械的に破砕し、メッシュのふるいを通した。
MNCを、Ficoll-Hypaque(Pharmacia,Uppsala,Sweden)勾配でPB、SF
もしくはST分解物から単離した。ある場合には、T細胞を、ヒツジ赤血球細胞
(SRBC)を用いたMNCのロゼット形成によって選択的に富ませ、4℃で1
6時間インキュベートし、ロゼット形成したと否とに関わらず細胞のその後のフ
ラクションをFicoll-Hypaqueにかけた。
T細胞を以下のモノクローナル抗体、すなわちOKT3(抗CD3、pan−
T);OKT4(抗CD4、ヘルパー/インデューサーサブセット);OKT8
(抗CD8、サプレッサー/細胞障害性サブセット、American Type Culture Co
llection,Rockville,MD);βV3(TCR Vβ3と反応性、T Cell Diagnos
tics,Cambridge,MA);C37(TCR Vβ5.2/5.3と反応性、Wangら
,Hybridoma,1986,5:179);OT145(TCR Vβ6.7aと反応性、Li
ら,J.Exp.Med.,1990,171:221);16G8(TCR Vβ8と反応性、T Ce
ll Diagnostics);S511(TCR Vβ12と反応性、Biglerら,J.Exp.M
ed.,1983,158:1000);C1(TCR Vβ17と反応性、Freedmanら,J.Exp
.Med.,1991,174:891)およびF1(TCR Vα2.3と反応性、Jansonら,
Cancer Immunol.Immunother.,1989,28:225)を用いて染色した。
1−2x105MNCまたはT細胞を、バッファーのみ、もしくは飽和濃度の
mAbと、4℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を3回洗浄し、飽
和濃度のヤギの抗マウスIgG(Tago,Inc.,Burlingame,CA)の蛍光ラベルさ
れたF(ab’)2フラグメントと4℃で30分間インキュベートした。バッフ
ァ
ーで3回洗浄した後、細胞をサイトフルオログラフ(cytofluorograph)で分析
した。ある場合には、二つのカラー免疫蛍光(color immunofluorescence)分析を
行った。不適切なマウスmAb(抗トリニトロフェノール)で4℃で30分間イ
ンキュベートした細胞を用いて、上記工程後にブロッキング段階を行った。3回
洗浄した後、細胞をフィコエリスリン標識したマウスmAbでインキュベートし
、洗浄し、サイトフルオログラフで分析するために調製した。細胞蛍光を、小さ
い非顆粒性リンパ球集団を選択する(Gating on)Ortho IIsサイトフルオログラ
フで分析した。バッファーまたは不適切な対照マウスmAbおよび蛍光ラベルさ
れたヤギの抗マウスIgGのみで処理した細胞蛍光のパーセントは減少した。抗
TCR mAbで染色された細胞のサイトフルオログラフヒストグラムは、ネガ
ティブピークとは別の蛍光のピークを示し、抗CD3mAbで染色された細胞に
近い蛍光強度を示した。実施例2
健康的な被験者、並びに、セロポジティブRA、非RA炎症性関節炎もしくは
SLEの患者のPB MNCを単離し、抗TCR mAbのパネルを用いて同定さ
れたTCR Vβ遺伝子産物を発現するCD3陽性細胞のパーセントを、間接的
な免疫蛍光分析によって調べた。mAb C37(Vβ5.2、5.3)、OT
145(Vβ6.7a)、16G8(Vβ8)、またはS511(Vβ12)と
反応性のT細胞の平均のパーセントは、試験したグループのいずれも似ており(
表1)、結果はこれらのモノクローナル試薬を用いた自己免疫疾患のT細胞レパ
ートリーの先の研究と一致した(Posnettら,J.Immunol.,1988,141:1963; Gu
dmundssonら,Scand.J.Immunol.,1992,36:681)。対照的に、Vβ17TC
R遺伝子産物に特異的な、最近利用できるmAb C1と反応性のCD3陽性P
B細胞の分析は、正常な被験者または対照の被験者と比べて、RA患者における
Vβ17陽性細胞の平均のパーセントの顕著な増加を示した(p=0.002)
(表1および図1)。正常の対照と比べて、非RA関節炎またはSLEの患者で
は、Vβ17陽性細胞のほとんど重要でない増加が観察された。従って、以上の
結果は、RA患者のPB中のVβ17陽性T細胞の選択的な増大を証明する。
実施例3
RA患者における病原性の部位におけるT細胞レパートリーを調べるために、
滑液(synovial fluid)、SF T細胞を、セロポジティブRA患者49人から単
離し、間接的免疫蛍光染色によってTCR Vβ遺伝子の使用を分析した(表1
および図1)。非RA炎症性関節炎の患者の19のSF標本におけるVβ17陽
性細胞のパーセント(5.3%+2.0)と比較して、Vβ17特異的mAb
C1と反応性のCD3陽性細胞の平均のパーセントは、RA患者において顕著に
上昇した(8.5%+4.1)(p=0.001)。目立って、31%(15/
49)のRA流体サンプルおよび0/19の対照サンプルが、10%以上のVβ
17陽性T細胞を含む(図1)。対照的に、Vβ5.2/5.3、Vβ6.7a
、Vβ8、またはVβ12陽性T細胞のパーセントにおいては、RAと対照SF
との間に顕著な差異は認められなかった。
Vβ17陽性T細胞の上昇したパーセントを有するRA患者のSF T細胞の
代表的な研究が、図2に示されている。この被験者におけるTCRレパートリー
の研究は、Vβ17遺伝子産物を発現する17.3%の細胞を示すが、Vβ5.
2/5.3、Vβ6.7aおよびVβ12産物をそれぞれ2.8%、2.4%お
よび1.9%しか発現しない。しかして、研究された5つのTCRVβ遺伝子フ
ァミリーのうち、RA患者の疾患部位における発現では、Vβ17のみが顕著に
増加している。全ての被験者のHLA分類データを調べていないが、RA SF
のVβ17陽性T細胞の増大したパーセントは、これらの被験者のDR4 RA
感受性対立遺伝子の発現と直接的に関連しないように考えられる。これまで、>
10%Vβ17陽性SF T細胞を有する15人の被験者のうちの4人が、HL
A分類されており、そのDRハプロタイプは、DR4,7;DR2,3;DRw
13;およびDR5,7である。実施例4
二つのカラー免疫蛍光分析を、5つのRA SFサンプルと3つの非RA炎症
性関節炎のSFサンプルに行が、いずれも10%未満のVβ17陽性T細胞を含
むものであった(表2)。SF細胞を抗Vβ3もしくは抗Vβ17mAbおよび
F
ITCヤギの抗マウスIgGで染色し、フィコエリスリン抗IL-2レセプター
抗体(抗−p55−TAC)で処理し、サイトフルオログラフで免疫蛍光を評価
した。Tac陽性細胞は、RA患者のCD4陽性SF T細胞からほぼ独占的に
見出される。さらに、Tac陽性T細胞は、RA SFのVβ17陽性T細胞の
間で豊富であるが、非RA関節炎のSFではそうではない。Vβ3陽性T細胞で
はなく(10%未満)、RA SF標本の高い割合のVβ17陽性T細胞(約4
5%)におけるTac発現を示すサイトフルオログラフヒストグラムは、図3に
示されている。しかして、顕著に増大したVβ17陽性T細胞の集団を含まない
RA SFでさえ、他のVβ遺伝子産物を発現するT細胞と比較して、T細胞フ
ラクションの優先的な活性化の証拠を示す。実施例5
Vβ17+滑液組織T細胞の病原的潜在性を調べるために、有益なRA患者を
調べた。この被験者は、“模範的な”リウマチ因子陽性(RF+)多関節の、対
称な関節炎を有し、RA関連MHCクラスII抗原DR4を発現し、増大したVβ
17+T細胞集団を示す。18ヶ月間の研究の後、Vβ17+T細胞の絶え間なく
上昇したパーセント(すなわち、平均的正常値の5.3と比べて13.2−15
.7%)によって特徴付けられた非対称な末梢血液T細胞レパートリーを保有し
ていた。
18ヶ月後、滑液組織を、関節鏡滑膜切除によって被験者から摘出し、滑液T
細胞を、1)細胞表面抗原発現の分析;2)α/B TCR再配列の分子的特徴
決定;および3)Vβ17+T細胞クローンのin vitroの繁殖およびクローニン
グに使用するために単離した。
細胞表面抗原発現を分析するために、滑液組織T細胞をリン酸バッファー食塩
水(PBS)で洗浄し、実施例1に記載したようにしてモノクローナル抗体のパ
ネルで染色した。T細胞をバッファーのみ、あるいは飽和濃度のmAbと、4℃
30分間インキュベートし、PBSで3回洗浄し、飽和濃度のヤギの抗マウスI
gGのフルオレセイン標識化F(ab’)2フラグメント(Tago,Inc.,Burling
name,CA)で、4℃で30分間インキュベートした。PBSで3回洗浄した後、
細胞をサイトフルオログラフで分析した。Coulter Immunology(Hialeah,FL)か
ら得られたフィコエリスリン標識化抗CD4および抗CD8mAbを用いて、二
つのカラー免疫蛍光分析を行った。上記工程の後に、不適切なマウスmAb(抗
トリニトロフェノール)と4℃で30分間インキュベートした細胞を用いてブロ
ッキング段階を行った。3回洗浄した後、細胞をフィコエリスリンで標識したマ
ウスmAbとインキュベートし、洗浄し、小さい非顆粒性リンパ球集団を選択す
るOrtho IIsサイトフルオログラフで分析した。バッファーまたは不適切な対照
マウスmAbおよび蛍光ラベルされたヤギの抗マウスIgGのみで処理した細胞
蛍光のパーセントは減少した。この結果を表3に示す。
表に示すように、この被験者の末梢血液におけるVβ17+T細胞の分布は、
全体にわたるCD4/CD8の比率(1/4)を反映するが、mAbを用いた滑
液組織TCRレパートリー分析は、Vβ17+T細胞が相対的に大量であること
と、CD4+サブセットにおいて選択的に提示することを示す。実施例6
RAの病理学の面からVβ17+T細胞のオリゴクローナリティ(oligoclonal
ity)を評価するために、Vβ17転写物のCDR3領域に結合する高度に多型
的な抗原の配列を調べた。Vβ17転写物を、実施例5に記載したように末梢血
液から誘導した。これらの転写物を、鋳型として細胞性RNAの全体を用いた逆
転写酵素−ポリメラーゼ・チェーン反応(RT-PCR)を用いて分析した。
全体の細胞性RNAは、マニュアル(RNazolTM,TEL-TEST,INC.,Texas)に
記載されているように、グアニジニウム/セシウムクロリド遠心法または酸性化
グアニジニウム/フェノール/クロロホルム法を用いて末梢血液または滑液組織
T細胞から単離した。一次鎖cDNAをcDNA合成キット(cDNA Cycle Kit,
Invitrogen,San Diego,California)を用いて逆転写した。TCR Vβ遺伝子
セグメントを、Vβ17(5’-ACAGCGTCTCTCGGGAGA-3’)
(seq.I.D.No.15)、Vβ6.7(5’-AGGCAACAGTG
CACCAGAC-3’)(seq.I.D.No.16)、Vβ1(5’-GC
ACAACAGTTTCCCTGACTT-3’)(seq.I.D.No.1
7)に特異的な5’センスオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、TCRβ定
常領域配列に相補的なアンチセンスプライマー(5’-GGGTGTGGGAG
ATCTCTGCT-3’)(seq.I.D.No.18)に関連して、ポリ
メラーゼ・チェーン反応(PCR)を用いて増幅した。PCR産物をInvitrogen
,San Diego,CAから提供されている指導マニュアルによってT/Aクローニン
グベクターにサブクローン化した。リゲーション混合物を、適格のDH5α細胞
を形質転換するために用いた。プラスミドDNAサンプルを調製し、シークエン
シングキット(Sequenase version 2.0,United States Biochemical,OH)を用
いて配列決定した。
滑液組織T細胞の全部で29のVβ17 cDNAクローンを配列決定した。
29クローンのうちの12は、同一の配列を含んでいる。29クローンのうちの
11は、区別できるが構造的に関連した配列を含む。二つの優性な滑液組織配列
は、それぞれVβ17seq1およびVβ17seq2と称される。CDR3領
域におけるヌクレオチドおよび推定されるアミノ酸配列を図4に示す。これらの
配列の比較は、長さの同一性、並びに#95位のイソロイシン(I)と#99位
のアスパラギンを含む、CDR3領域を備えたいくつかのアミノ酸の保存を示す
。
対照的に、RA患者の末梢血液からのVβ17転写物は、不均一であった。2
8のcDNAクローンを配列決定し、CDR3配列の22の区別できるパターン
が存在した。末梢血液cDNAクローンは、いずれも優性滑液組織Vβ17配列
を含んでいなかった。実施例7
実施例6の滑液RNAサンプルのクローン優性(clonal dominance)が、PCR
増幅の態様でないことを確かめるために、Vβ6.7aとVβ1遺伝子サブファ
ミリーの再構成も評価した。
表3に示すように、Vβ6.7a+T細胞は、1.5%のみの滑液T細胞示し
、6つの区別できる再構成が、8つの配列決定されたクローンに観察された。配
列決定された9つのVβ1 T細胞クローンの3つの区別できる再構成が見出さ
れた。これらの再構成は、CDR3配列およびJBセグメントの使用に関して全
く不均一であった。
この実施例に記載された結果は、先の実施例と併せて、Vβ17+T細胞が構
造的に関連したCDR3配列を発現し、RA患者の滑液組織において選択的に増
大することを証明する。実施例8
リウマチの進行における上記優性Vβ17配列を発現するT細胞によって演じ
られる可能性のある役割を調べるために、滑液組織T細胞を単離し、in vitroで
発現した。滑液組織細胞を、終濃度が1/2000のVβ17選択性微生物超抗
原マイコプラズマ・アースリティディス(Mycoplasma arthritidis)マイトジェ
ン(MAM,Dr.B.Cole,University of Utah School of Medicine,Salt Lak
e City,Utahから入手)、もしくは10μg/mlの抗Vβ17mAb C1を
含む、RPMI1640、10%の胎児性ウシ血清、1%のペニシリンおよびス
トレプトマイシン、1%のグルタミン(培地)中で、1x106/mlとしてイ
ンキュベートした。
Friedmanら,J.Exp.Med.174,891(1991)に記載されているように、37℃
で4日間培養した後に、生成されたインターロイキン2(IL−2)(Schiappa
relli,Columbia,MD)を、終濃度が10%となるように各培養に添加した。X
線照射した過ヨウ素酸ナトリウム処理した異系間の末梢血液非T細胞およびIL
-2を毎週添加することにより、TCLをさらに増大させた。
発生したT細胞系(TCL)の中に、多数の区別できるVβ17 TCR配列
が示されたが、培養5と称される一つのTCLの二つのVβ17転写物を実施例
6の方法を用いて分析した。図4に示すように、Vβ17seq3と称する培養
5からの最初の転写物は、Vβ17−Dβ2−Jβ2.1−Cβ2と利用する。
この配列は、優性滑液組織配列、Vβ17seq1およびVβ17seq2と高
度に相同である。
培養5からの第二のVβ17転写物であるVβ17seq4は、#95位のア
ミノ酸残基“I”と#99位の“N”を、Vβ17seq1、2および3と共有
している(図4)。実施例9
Vβ17seq3と4を発現する培養5誘導T細胞クローンによるα鎖の使用
を分析した。培養5TCL細胞を、5x104のX線照射した過ヨウ素酸処理さ
れた異系間支持細胞およびIL-2を用いた限定希釈(limited dilution)によっ
てクローン化し、さらにエプリオダート(epriodate)処理した支持細胞およびI
L-2を用いて増大させた。
TCR α再構成を、PCR、並びに、Vα2サブファミリーおよびTCR α
鎖定常領域配列に対するプライマーを除く、TCR α定常領域プライマーから
V
α特異的プライマーのパネル(J.R.Oksenbergら,Nature 345:344(1990))を
用いて分析した。Vα2に対するセンスオリゴヌクレオチドプライマー、5’-
AGGTCGACGAATGATGAAATCCTTGAGAG-3’(seq
.I.D.No.19)は、Vα2コード配列の5’リーダーに位置し、さらな
るサブクローニングのためのSal I部位を内在している。TCR α定常領域
配列に相補的な3’アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’-AATAGGT
CGACAGACTTGTCACTGG-3’(seq.I.D.No.20)
であり、さらなるサブクローニング用のSal I部位を形成するために、二つ
のヌクレオチドが変化している。
この分析は、Vβ17seq3を発現するT細胞クローンによってVα2.3
のみが提示されることを示した。正式な配列決定を行ったところ、Vα2.3−
Jα(IGRJa09)−Cαからなる配列が得られた(図5)。このVαの構
造は、Vα2.3特異的mAb F1によるこのT細胞クローンの陽性染色と一
致する(Jansonら,1989,Cancer Immunol.Immunother.28:225)。Vβ17s
eq4を発現するT細胞に係る同様の分析から、Vα3.1−Jα−CαのTC
R α再構成が得られた(図5)。しかして、優性滑液組織Vβ17転写物に相
同なレセプターを発現するT細胞クローンのTCR αおよびβ鎖の両方の特徴
が調べられた。実施例10
培養5誘導T細胞クローンを、エプスタイン-バーウイルス(EBV)形質転
換DRホモ接合リンパ芽球B細胞系(BCL)のパネルに対する増殖反応につい
てアッセイした。コントロールとして、培養10と称するクローン化されていな
い滑液組織Vβ17+、CD4+T細胞系を同時にアッセイした(図6)。培地の
み、もしくはセシウム源から4000radsでX線照射した5x104EBV
形質転換HLA DRホモ接合B細胞系細胞(Dr.S.Y.Yang,Sloan Kettering
Institute,New York,NYから入手)と共に、96ウェル丸底組織培養プレート
を用いて、2x104T細胞系細胞を3例培養した。培養に5%IL-2を補足し
、96時間後に2μCiの3[H]-チミジンを各培養に添加し、16時間後に自
動細
胞回収装置を用いてフィルターペーパーに移し、βカウンターでカウントした。
vα2.3/Vβ17seq3を発現するクローンは、弱い成長特性、並びに超
抗原および抗TCR mAbを含むあらゆる刺激に対して低レベルの増殖を示し
た。しかしながら、図6の上のパネルに示したように、DR4、Dw4およびD
w14のRAに関連する対立遺伝子を発現するBCL細胞に対して選択的に増殖
する。Vα3.1/Vβ14seq4を提示するT細胞は、DR4、Dw10を
有するBCL細胞に高度に反応性である(図6の下のパネル)。保存されたCD
R3配列を提示する滑液T細胞によるDR4の認識のこの予備的な証拠は、興味
深いものである。しかしながら、上記クローンが、このMHCクラスII抗原の対
立遺伝子と併せて未定の抗原ペプチドを認識するのか、あるいは、DR4対立遺
伝子自体に特異的なのかは、明らかでない。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 クロウ,メアリー ケイ
アメリカ合衆国 ニューヨーク 10128
ニューヨーク イースト 89ス ストリー
ト 17
(72)発明者 リー,イシン
アメリカ合衆国 ニューヨーク 10028
ニューヨーク イースト エンド アヴェ
ニュー 30 アパートメント 4エム
(72)発明者 トゥマン,ジョーセフ アール
アメリカ合衆国 ニューヨーク 11421
ウッドヘイヴン 75ス ストリート 85−
41
(72)発明者 サン,クァン−ロン
アメリカ合衆国 ニューヨーク 10028
ニューヨーク イースト 93ド ストリー
ト 333
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. RA患者の滑液組織に見られるT細胞レセプターのCDR3領域をコード するDNA配列を含む、精製され単離されたDNA。 2. 図3に示したCDR3のVβ領域であるVβ17seq1をコードするD NA配列を含む、請求項1記載の精製され単離されたDNA。 3. 図3に示したCDR3のVβ領域であるVβ17seq2をコードするD NA配列を含む、請求項1記載の精製され単離されたDNA。 4. 図3に示したCDR3のVβ領域であるVβ17seq3をコードするD NA配列を含む、請求項1記載の精製され単離されたDNA。 5. 図3に示したCDR3のVβ領域であるVβ17seq4をコードするD NA配列を含む、請求項1記載の精製され単離されたDNA。 6. 図4に示したCDR3のVα領域であるVα2.3−Jα(IGRJa0 9)−CαをコードするDNA配列を含む、請求項1記載の精製され単離された DNA。 7. 図4に示したCDR3のVα領域であるVα3.1−Jαk−Cαをコー ドするDNA配列を含む、請求項1記載の精製され単離されたDNA。 8. RA患者の滑液組織に見られるT細胞レセプターのCDR3領域を含むポ リペプチド。 9. CDR3のVβ領域であるVβ17seq1を含み、図3に示したアミノ 酸配列を備えた、請求項8記載のポリペプチド。 10. CDR3のVβ領域であるVβ17seq2を含み、図3に示したアミ ノ酸配列を備えた、請求項8記載のポリペプチド。 11. CDR3のVβ領域であるVβ17seq3を含み、図3に示したアミ ノ酸配列を備えた、請求項8記載のポリペプチド。 12. CDR3のVβ領域であるVβ17seq4を含み、図3に示したアミ ノ酸配列を備えた、請求項8記載のポリペプチド。 13. CDR3のVβ領域を含み、アミノ酸配列IGQ_Nを備えた、請求項 8記載のポリペプチド。 14. CDR3のVα領域であるVα2.3−Jα(IGRJa09)−Cα を含み、図4に示したアミノ酸配列を備えた、請求項8記載のポリペプチド。 15. 図4に示したCDR3のVα領域であるVα3.1−Jαk−Cαを含 む、請求項8記載のポリペプチド。
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