【発明の詳細な説明】
細胞特異的遺伝子供給ビヒクル
本出願は、1994年10月12日提出のU.S.S.N.08/321,552の一部継続出願である。発明の背景
磁気共鳴映像法(MRI)は、非侵襲性であり且つ被験者の正確な容積表現を
もたらすため、近年、臨床的舞台装置の強力な道具として出現した。画像は、典
型的核磁気共鳴(NMR)実験における場合と同様に、高周波パルスで核スピン
を励起しながら、検体に1つ又はそれ以上の直交する磁場勾配を課することによ
り作られる。種々の勾配場に関するデータの収集後、デコンボリューションによ
り検体の1、2又は3次元画像が得られる。典型的には、画像は既定容積素子の
シグナル強度が水濃度及び緩和時間(T1及びT2)の関数である水の陽子からの
NMRシグナルに基づいている。これら3つのパラメーターの局部変動がMR画
像で観察される鮮明なコントラストを提供する。例えば、骨の含水量が低いと、
それは明瞭に暗くなり、一方凝固血液のT2時間が短いとそれは非凝固血液から
のものよりシグナル強度が高くなる。
MRIを医学的映像法において選ばれる技術にしたのと同じ利点が、それを生
物学的実験に用いるための理想的映像手段にする。染料又は蛍光色素の使用を基
礎にした光学顕微鏡映像技術とは異なり、MRIは有毒な光漂白副産物を生成し
ない。さらに、光学顕微鏡とは異なって、MRIはおよそ100 μに過ぎない表面
内の細胞に対する光散乱又はその他の光学的収差に限定されない。
MRIは、最初は純粋に非侵襲性のアプローチを考察されたが、しかし最近で
は、造影剤が本技法の診断的効用を有意に改良し得ることが判明した。MRI造
影剤は、周囲の水中での陽子の緩和時間を劇的に低減する。イオンGd3+は、そ
の大きな双極子及び緩和時間に及ぼす大きな作用のために、その非毒性キレート
化形態で、もっとも一般的に用いられる常磁性イオンである。例えば、ジエチレ
ントリアミン五酢酸(DTPA)でキレート化されるGd3+は、診断的放射線医
学で現在広範に用いられている血管造影剤である。DTPAの化学構造を図4に
示す。
伝統的MRIは迅速な非侵襲性手法での高立体分解能及び多面映像を提供する
。MRI造影剤を診断的に用いると、それらは血管で還流されて血管のコントラ
ストを増強し、器官の病変及び浸潤を報告する。しかしながら、診断的放射線医
学のための特定の組織の標識は、MRIに関しては依然として困難な挑戦である
。既存の免疫学的技法の修正による細胞及び組織特異的MRI造影剤開発の努力
は、診断的放射線医学に多くの研究が集中した。例えば、常磁性イオン、一般に
ガドリニウムキレートGd−DTPAで標識された抗体が生成され、腫瘍及びそ
の他の組織のMRIコントラストに及ぼすその作用に関して試験された(Lex,A
cta Biochim.Biophys.Hung.24:265-281(1989); 米国特許第 5,059,415号)。
分子タンブリング率の低減のために、Gd−DTPAは、抗体と結合すると、非
結合Gd−DTPAよりも有意に高い緩和度(MRIコントラスト増強の測定値
)を示すと予測された。Gd当たりの緩和度のこの増大は、期待されていたが、
タンパク質1分子当たり10〜50個のGdイオンで標識された抗体を用いて観察さ
るべき組織コントラストに十分なシグナルを発生する。
残念ながら、抗体と結合したGdの緩和度は非結合Gd−DTP
Aの場合よりわずかに良好であるに過ぎないことが判明している(Paajanen et
al.,Magn.Reson.Med.13:38-43(1990))。したがって、抗体標識化組織にお
ける検出可能なコントラスト増強を生じるためには、免疫学的試薬を、抗体1個
当たり1000個でないとしても100 個のGdイオンと結合させねばならない。一般
に、これは標準的技法の使用では到達し難い。
抗体当たりのGdイオンの数はポリリシンを抗体と結合させ、次いでポリリシ
ンをGd−DTPAで広範に標識することにより増大し得るという可能性を、数
名の研究者が試験している(WO 93/01837)。今までのところ、これらの試みは
、抗体に大きなポリマーを結合させることの望ましくないイオン的及び立体化学
的作用のために、部分的に限定された成功を示しただけである。
したがって、標的化MRI造影剤の分野の研究は、高シグナル強度T2造影剤
として酸化鉄粒子の使用に転向した(Shen et al.,Magnet.Res.Med.29:599-
604(1993); Weissleder et al.,Magnetic Resonance Quarterly,8:55-63(1992
))。しかしながら、酸化鉄粒子はまだヒトでの使用は認可されていない。
造影剤の担体としてのリポソームは、同様に組織特異的MRI剤として見込み
があることを示した(Schwendener,R.A.,Chimia 46:69-77(1992))。2種類の
このような造影剤が開発された:即ち(i)リン脂質二層間に閉じ込められた水
溶性造影剤、及び(ii)Gd−DTPAのようなMRI造影剤と共有結合する
両親媒性分子を直接取り込むリポソーム。前者の種類のリポソーム造影剤はin v
ivo で水溶性剤の漏出を蒙り、後者は肝臓及び脾臓における造影剤の長期停滞を
蒙る。
さらに、ポリリシンを用いた核酸の供給を多数の研究者が調査した。例えばト
ランスフェリン(Wagner et al.,Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 87:3410-3414(1991))及びアシアロ糖タンパク質(Wu et al.,J.Bi
ol.Chem.266:14338-14342(1991))のような細胞表面受容体に関する配位子と
結合するポリリシンは、DNAの受容体媒介性取込みを促進する。中性pHでのリ
シン側鎖の−NH3+基は、DNAの負に荷電したリン酸塩主鎖とキレート環を作
るのに用いられる。多価陰イオン性DNA及び多価陽イオン性ポリリシン−タン
パク質共役体の電気的中性錯体は、相対的に高効率で特定の細胞中にDNAを供
給し得るドーナツ型粒子であると考えられるものを形成する(Wagner et al.,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4225-4259(1991))。この技術に対する改良とし
てはトランスフェクション効率及びアデノウイルス粒子による同時トランスフェ
クション(Wagner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6099-6103(1992))
、又はfusogenic ペプチドのポリリシンとの共役結合(Wagner et al.,Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 89:7934-7938(1992))、又はクロロキンの存在下でのトラ
ンスフェクション(Wagner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:3410-3414
(1991))を増大するための疎水性多価陽イオンとの錯体形成が挙げられるが、す
べてDNAのエンドソーム性分解を低減するためである。リソソーム性分解経路
からの脱出を促すこれらの粒子の修飾が遺伝子発現を増大することが注目された
(Wagner et al.,PNAS 89:7934-7938(1992))。発明の要約
前述に基づいて、生理学的作用物質の細胞及び組織特異的供給の改良の必要性
が存在することは明らかである。したがって、組織特異性を失わずに多数の生理
学的作用物質を結合し得る組織特異的供給ビヒクルを提供することが本発明の目
的である。
本発明のさらなる目的は、遺伝子供給及び治療に有用な供給ビヒ
クルを提供するために組織特異的細胞ターゲッティング部分及び核酸と結合する
造影剤を包含する新規の供給ビヒクルを提供することである。このような遺伝子
供給は、造影剤の存在又は非存在によりモニタリングし得る。
さらに別の目的は、癌の治療に有用な供給ビヒクルを提供するために組織特異
的細胞ターゲッティング部分及び治療約を包含する新規の供給ビヒクルを提供す
ることである。
本発明のこれらのそして他の目的及び特徴は、以下の詳細な説明及び添付の請
求の範囲から当業者には明らかになる。
本目的は、細胞特異的供給ビヒクル及びこのような供給ビヒクルが少なくとも
映像造影剤をターゲッティング細胞又は組織に供給し得る方法により達成される
。いくつかの実施態様では、供給ビヒクルは付加的特異的分子(例えば核酸)を
供給するために構築される。
本発明の一態様では、a)正味陽又は陰電荷を有する一次高分子、b)一次高
分子と反対の正味電荷を有し、一次高分子とキレート環を形成するする少なくと
も1つの二次高分子であって、少なくとも1つの細胞ターゲッティング部分でそ
れに結合した二次高分子、及びc)一次又は二次高分子(図1A及び1B参照)
と、又は三次高分子(図1C参照)と結合し、三次高分子が、存在する場合には
、一次高分子と反対の正味電荷を有し、一次高分子とキレート環を作る少なくと
も1つの生理学的作用物質を包含する供給ビヒクルが提供される。
もう一つの実施態様では、高分子の1つがポリアミンを包含する1つ又はそれ
以上の高分子とキレート環を作る核酸を包含し、その結果生じる造影剤供給ビヒ
クルが細胞又は組織特異的に遺伝物質並びに生理学的作用物質を供給し得るよう
にする。
さらに別の実施態様では、本発明は生理学的作用物質を細胞に供給する方法を
提供する。本方法は、細胞を本発明の供給ビヒクルと接触させて、生理学的作用
物質の存在を検出する工程から成る。図面の簡単な説明
図1Aは、正味陽電荷又は正味陰電荷を有する一次高分子(2)が一次高分子
と反対の正味電荷を有する二次高分子(3)とキレート環を作る供給ビヒクル(
1)を示す。少なくとも1つの細胞ターゲッティング部分(4)及び少なくとも
1つの造影剤(5)が二次高分子と結合する。
図1Bは、正味陽電荷又は陰電荷を有する一次高分子(2)が一次高分子と反
対の正味電荷を有する二次高分子(2)とキレート環を作る供給ビヒクル(1)
を示す。少なくとも1つの細胞ターゲッティング部分(3)が二次高分子と結合
し、少なくとも1つの造影剤(4)が一次高分子と結合する。
図1Cは、正味陽電荷又は正味陰電荷を有する一次高分子(2)が一次高分子
と反対の正味電荷を有する二次高分子(3)とキレート環を作る供給ビヒクル(
1)を示す。一次高分子と反対の電荷を有する三次高分子(6)は一次高分子と
キレート環を作る。少なくとも1つの細胞ターゲッティング部分(4)は一次高
分子と結合し、少なくとも1つのMRI造影剤(5)が三次高分子と結合する。
図2は、Gd−DTPA−ポリ−D−リシンとキレート環を作るDNAでトラ
ンスフェクトされた細胞の遺伝子発現のレベル(カラム1)をGd−DTPA−
ポリ−D−リシン成分を欠いた粒子でトランスフェクトした細胞(カラム2)と
を比較する。カラム3では、遊離トランスフェリンを溶液に付加して遺伝子供給
ビヒクルの取込みを競合的に阻害した(Gd−DTPA−ポリ−D−リシンを含
有する場合と欠いた場合の両方で)。すべての場合、DNA 6μgはトランスフ
ェリン(Tf)3 μg 及びGd−DTPA修飾ポリ−D−リシン又は非修飾ポリ
−L−リシン(PLL) 4μg とキレート環を作った。誤差バーは1標準偏差を
示す(n−5)。
図3は、Gd−DTPA−ポリ−D−リシンを含有する遺伝子供給ビヒクルで
トランスフェクトされた細胞から得られるMRI画像(1及び2)とGd−DT
PA−ポリ−D−リシンを欠いたもの(3及び4)とを比較する。1においては
、Gdコントラスト増強を示す強いシグナルに注目。2及び4では、遊離トラン
スフェリンを付加して、粒子の取込みを競合的に阻害した。すべての場合、DN
A 12 μg はトランスフェリンポリリシン 6μg 及びGd−DTPA修飾ポリ−
D−リシン又は非修飾ポリ−L−リシン 14 μg とキレート環を作った。
図4は、Gdキレート化剤、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、並び
に1,4,7,10−テトラアザシクロ−ドデカン−N,N’−N”−N”’−
三酢酸(DOTA)及びp−アミノベンジル−DOTAを示す。本発明の詳細な説明
本発明の前には、細胞表面受容体を用いて特定の細胞又は組織に生理学的作用
物質を標的化供給するための安全且つ有効な手段はなかった。本発明は、細胞へ
の造影剤及び治療薬を含めた生理学的作用物質の供給のための供給ビヒクル及び
方法を提供する。供給ビヒクルは、2個又はそれ以上の高分子細胞ターゲッティ
ング部分及び生理学的作用物質を包含する。したがって、供給ビヒクルは使用す
るターゲッティング部分によってある種の細胞を標的にして、次いで、一般的に
は標的細胞に取り込まれる。したがって、生理学的作
用物質は特定の種類の細胞を標的にする。
本発明の供給ビヒクルは、一次高分子及び二次高分子を包含する。図1Aに示
すように、供給ビヒクル(1)は全体的に正味陽電荷又は陰電荷を有する一次高
分子(2)を包含し、これを、反対に荷電した二次高分子(3)とキレート環を
作る足場として用いる。図1Bに示すように、いくつかの供給ビヒクルは、一次
高分子と反対の正味電荷を有し、一次高分子とキレート環を作る三次高分子(6
)を包含する。好ましくは、一次及び二次高分子は静電相互作用により一緒に保
持され、したがって互いに共有結合する必要がない。ある実施態様では、一次及
び二次高分子はともに荷電基の混合物を含有し、したがって両性イオン性である
。図1に線状高分子を示したのは目的を説明するためであって、必ずしも線状で
ある必要はなく、プラスミドのような環状高分子を用いてもよい。
供給ビヒクルは細胞取込みに適したあらゆる立体配置を取る。
好ましい実施態様では、一次高分子は多価陰イオン性である(即ち、正味陰電
荷を有するポリマー)。この実施態様においては、多価陰イオンは、ヘパリン、
ポリガラクツロン酸、ムチン、核酸及び修飾リボース−リン酸塩主鎖を含むそれ
らの類似体、ポリペプチドポリグルタメート及びポリアスパルテート、並びに合
成ポリマーのカルボン酸、リン酸及びスルホン酸誘導体を基礎にした分子を包含
する。好ましい多価陰イオンは核酸である。本明細書中で用いる場合、「核酸」
とは、DNA又はRNA、あるいはデオキシ及びリボヌクレオチドを含有する分
子を指す。核酸は、ゲノムDNA、cDNA及びセンス及びアンチセンス核酸を
含めたオリゴヌクレオチドを含む。核酸の定義に特に含まれるものは、アンチセ
ンス核酸である。アンチセンス核酸は核酸の非コード鎖とハイブリダイズするが
、しかしリボヌクレオチド並びにデオキシリボヌクレオチドを含有
し得る。一般に、アンチセンス核酸は遺伝子発現又はmRNAの翻訳を妨げるよ
う機能する。核酸は二本鎖又は一本鎖であり、あるいは二本鎖又は一本鎖配列の
一部を含有する。好ましい実施態様では、核酸は二本鎖であり、最も好ましくは
二本鎖プラスミドである。
RNAまたはDNAを一次高分子として用いる場合、核酸は付加的機能として
役立つ。一実施態様では、核酸は、供給ビヒクルがレポーター遺伝子及び/又は
遺伝子にコードされるタンパク質の存在又は非存在により付加的にモニタリング
され得るように、レポーター遺伝子をコードする。例えば、実施例に示すように
、ルシフェラーゼをコードするレポーター遺伝子を用い得る。さらに、選択可能
なマーカーをコードするDNA又はRNA配列を同様に供給して、組織又は細胞
移植前にin vitroでトランスフェクト化細胞を選択する手段を提供し得る(Dema
galhaessilverman et al.,"Bone-Marrow Transplantation- A Review" Cell T ransplantation
2:75-98(1993))。
好ましい実施態様では、本発明の供給ビヒクルは細胞への遺伝物質の供給の付
加的機能を実行し得る。それゆえ、この実施態様は、遺伝子療法用の核酸及びM
RIコントラスト用の作用物質が特定細胞(例えば新形成腫瘍の細胞)に同時輸
送されて、リアルタイムに核酸供給及び治療の医学的映像モニタリングを可能に
するる新規の臨床プロトコールを包含する。
好ましい実施態様では、核酸は一種の治療薬として用いられる。例えば、本発
明の臨床的使用は、リンフォカイン、成長ホルモン、外生的抗原、ウイルス酵素
(感受性遺伝子)及び遺伝的調節因子等に関する遺伝子のような遺伝子療法のた
めの核酸に関連する。遺伝子療法の臨床的可能性を開示する多数の参考文献が利
用可能である(例えば、Gutierrez et al.,"Gene-Therapy for Cancer" Lancet 339
:715-721(1992); Zatloukal et al.,"Somatic Gene-Therapy for Cancer -
The Utility of Transferrinfection in Generating Tumor Vaccines :Gene 135
:199-207(1993)" )。特に、核酸は、中でもとりわけ嚢胞性繊維症及び鎌状
赤血球貧血のような突然変異によって引き起こされる遺伝病に関する野性型遺伝
子を包含する。
好ましい実施態様では、核酸は、適切な条件下で遺伝子を含有する細胞を殺し
得る物質をコードする遺伝子を含有する。好ましい実施態様では、供給ビヒクル
の核酸は、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。こ
の遺伝子を含有する細胞はガンシクロビルに感受性である;即ち、ガンシクロビ
ルの存在下でTKを発現する細胞が殺される。したがって、好ましい実施態様で
は、造影剤を含有する供給ビヒクルは、本明細書中に略記したように、腫瘍細胞
を標的とする。腫瘍のコントラストシグナルレベルが十分高い場合には、腫瘍細
胞を殺すためにガンシクロビルが投与される。同様に、Gpt遺伝子は細胞を6
−チオキサンチンに対して感受性にする。このアプローチのさらなる利点は、薬
剤の取込み及び腫瘍の死亡を造影剤を用いてリアルタイムにモニタリングし得る
ことである。
さらに別の実施態様では、核酸の治療的使用はアンチセンス核酸の使用に関す
る。当業界で公知のように、アンチセンス核酸を用いて特異的タンパク質をコー
ドする遺伝子の発現を低減するかまたは排除する。
いくつかの状況では、半減期が短いために、RNA又は一本鎖DNAを供給す
るのが望ましい。例えば、供給ビヒクルで細胞をトランスフェクトしてトランス
フェクト化細胞を選択し得るが、又は、例えば一本鎖核酸中のレポーター遺伝子
の存在に関して検定するこ
とによりそれらがトランスフェクトされたことをしめし得る。このような状況で
は、トランスフェクト化細胞はレポーター遺伝子を安定的に組み込めない。これ
は、組織移植及び幹細胞療法のような野性型細胞が望ましい状況で有益である。
これらの場合、供給ビヒクルの有用性は造影剤で細胞を容易に標識し、最後に移
植細胞の非侵襲性画像形成を可能にする能力にある。DNA取込みが望ましくな
い場合は、ポリアスパルテート、ポリグルタメート、ヘパリン及び長鎖炭化水素
のような他の多価陰イオンを用い得る。
多価陰イオンは陽電荷ポリマー(多価陰イオン)がキレート環を作る陰電荷分
子足場として作用する。したがって、多価陰イオン及び多価陽イオンは組合され
た場合に2つの高分子が生理学的条件下で多価錯体を形成するように十分な電荷
を有する。一般に、高トランスフェクション効率を達成するには電気的中性が一
般に必要であるため、錯体形成後、多価錯体は電気的にほぼ中性である(Wagner
et al.,(1991),上記参照)。以下で考察するように、細胞ターゲッティング部
分及び生理学的作用物質によるポリマーの誘導化の長さ及び程度を変えて、電気
的中性を達成し得る。
好ましい多価陽イオンとしては、アシルアミド及び2−アシルアミド−2−メ
チルプロパントリメチルアミン、ポリ(N−エチル−4−ビニルピリジン)又は
同様の四級化ポリピリジン、ジエチルアミノエチルポリマー及びデキストラン共
役体、ポリミキシンBスルフェート、リポポリアミン、ポリ(アリルアミン)、
例えば強多価陽イオン ポリ(塩化ジメチルジアリルアンモニウム)、ポリエチ
レンイミン、ポリブレン、スペルミン、スペルミジン及びポリペプチド、例えば
プロタミン、ヒストンポリペプチド、ポリリシン、ポリアルギニン及びポリオル
ニチンを基礎にした合成多価陽イオンが挙げられる。特に好ましい多価陽イオン
は、ポリリシン及びスペル
ミジンで、前者が特に好ましい。ポリリシンの光学異性体の両方を用い得る。D
異性体は細胞プロテアーゼに対する長期耐性を有するという利点を有する。L異
性体は被験者からより迅速に除去されるという利点を有する。
二次高分子としてポリリシンを用いる場合、高pHでのリシン側鎖の−NH2基
は活性化キレート化剤の多発性結合のための強力な求核試薬として役立つ。本発
明は、ポリリシンのようなポリアミンの多価陽イオン性及び多価求核性の両方の
利点を得る。高pHでは、平均で約5 〜20%のモノマー置換を生じる条件下で、リ
シンモノマーを生理学的作用物質と結合させる。生理学的pH〜低pHでは、残存す
る非標識化陽電荷リシンは核酸結合を促す。
多価陰イオン及び多価陽イオンのサイズは、実質的に変化する。例えば、いく
つかの核酸ベクターは100 キロ塩基の長さまで遺伝子を供給し得るし、人工染色
体(メガベース)は酵母菌に供給されたということは公知である。したがって、
多価陰イオンに対する一般的な大きさの限界はない。しかしながら、効率のよい
受容体媒介性取込みのためには、核酸が少なくとも100 キロベース未満であって
、約1〜約50キロベースが最も好ましい大きさで、約5 〜10キロベースが特に好
ましい。核酸以外の多価陰イオンを用いる場合、ポリマーに関する好ましいサイ
ズは約500 〜約50,000モノマー単位で、約5,000 〜約20,000が特に好ましい。
一般的に、核酸複合体形成に関する多価陽イオンのサイズは、約500 モノマー
残基未満である。ポリリシン及びポリアルギニンのようなポリアミノ酸を用いる
場合、好ましいサイズは約10〜約200 残基である。
好ましい実施態様では、供給ビヒクルは二次多価陽イオン分子とキレート環を
作る一次多価陰イオン分子を包含する。下記の細胞タ
ーゲッティング部分及び生理学的作用物質はいずれかの高分子と結合するが、し
かし好ましい実施態様では、それらはいずれも多価陽イオンと結合する。別の実
施態様では、それらはともに多価陰イオンと結合するか、あるいは細胞ターゲッ
ティング部分が1つのポリマーに結合し、生理学的作用物質が他のポリマーに結
合する(図1)。
別の実施態様では、供給ビヒクルは一次高分子及び一次ポリマーと反対の正味
電荷を有する2個又はそれ以上の二次高分子を包含する。即ち、図1に示すよう
に、一次高分子と関連した多数の二次高分子を有し得る。好ましい実施態様では
、一次高分子は多価陰イオン性であり、二次高分子は多価陽イオン性である。好
ましい態様では、細胞ターゲッティング部分を二次高分子の1つに付加し、生理
学的作用物質を別の二次高分子に付加するが、しかし各々の二次高分子は両方を
含有し得る。
上記のように、本発明の供給ビヒクルである高分子成分の他に、生理学的作用
物質が高分子の1つと結合した。
「生理学的作用物質」という用語は、本明細書中では、細胞特異的に供給する
のに望ましい化合物を意味する。生理学的作用物質のこの定義には、造影剤及び
治療薬がともに含まれる。
本明細書中で用いる場合、「造影剤」という用語は、医学的画像形成に関して
公知の種々の造影剤を含む。MRIに関しては、造影剤は常磁性又は超常磁性金
属を包含し得る。本明細書中の「常磁性金属イオン」、「常磁性イオン」又は「
金属イオン」とは、磁場にある程度比例して、磁場と平行に又は逆並行に磁化さ
れる金属イオンを意味する。一般に、これらは不対電子を有する金属イオンであ
る。これは、当業界で理解される用語である。適切な常磁性金属イオンの例とし
ては、ガドリニウムIII(Gd+3又はGd(III
))、鉄III(Fe+3又はFe(III))、マンガンII(Mn+2又はMn
(II))、イットリウムIII(Yt+3又はYt(III))、ジスプロシウ
ム(Dy+3又はDy(III))、クロム(Cr(III)又はCr+3)が挙げ
られるが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、その高磁気モーメン
ト(u2=63BM2)、対称電気基底状態(SE)及びヒトにおける診断的使用に
対するその今日の承認により、常磁性イオンはランタニド原子Gd(III)で
ある。
Gd(III)イオンは細胞に非常に有毒であり、したがってキレート化剤と
結合させて、次にこれを高分子と結合させねばならない。ランタニド及び常磁性
イオンをキレート環形成させるのに用いられる多数の公知の大環状キレート化剤
又は配位子がある(例えば、Alexander,Chem .Rev. 95:273-342(1995)及びJac
kels, Pharm .Med.Imag, Section III,Chap.20,p645(1990)参照。多数の大
環状キレート化剤及びその合成を記載するこれらの記載内容は、参照により本明
細書中に含まれる。)。同様に、本発明に用いるのに適切なキレート化剤を記載
する多数の特許がある(例えば、米国特許第5,155,215 号、第5,087,440 号、第
5,219,553 号、第5,188,816 号、第4,885,363 号、第5,358,704 号、第5,262,53
2 号、並びにMeyeret al., Invest .Radiol. 25:S53(1990)。これらすべての記
載内容は、参照により本明細書中に含まれる)。したがって、当業者に理解され
るように、あらゆる公知の常磁性金属イオンキレート化剤又はランタニドキレー
ト化剤を本発明に用い得る。金属イオンがGd(III)である場合、好ましい
キレート化剤は、図4に示した1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−
N,N’,N”,N”’−四酢酸(DOTA)である。別の実施態様において、
金属イオンがGd(III)である場合、好ましいキレート化剤と
してはジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及び1,4,7,10−テトラ
アザシクロドデカン−N,N’,N”,N”’−テトラエチルリン(DOTEP
)が挙げられる。Gd(DTPA)2-に関する安定定数(K)は非常に高く(lo
g K=22.4)、より一般的には生成定数として公知である。DOTA、DTPA
及びDOTEPは、当業界で公知のように、置換される(例えば、米国特許第5,
262,632 号、第4,885,363 号及び第5,358,704 号参照)。
他の常磁性イオンに対するキレート化剤も公知である(例えば、Lauffer et a
l.,J. Am .Chem.Soc. 109 :1622(1987); Lauffer,Chem .Rev. 87:901-927
(1987); 並びに米国特許第4,885,363 号、第5,358,704 号及び第5,262,532 号参
照。これらはすべて、Fe(III)及びMn(II)に適したキレート化剤を
記載する)。Yt(III)イオンに適したキレート化剤としては、DOTA及
びDPTA並びにその誘導体(Moi et al.,J.Am .Chem.Soc. 110 :6266-6267
(1988))、並びに中でも米国特許第4,885,363 号に記載されたキレート化剤が挙
げられるが、これらに限定されない。
従来技術の細胞外造影剤は、還流優位工程により組織中に蓄積される。下記に
詳述するように、本発明の供給ビヒクル中へのキレート化剤の取込みは、1つ又
はそれ以上の官能基を好ましくはキレート化剤主鎖に付加することによりキレー
ト化剤構造を修飾することを包含する。例えば、DTPA及びDOTAのカルボ
ン酸側鎖もさらなる共役のための部位として用い得る。しかしながら、この後者
のアプローチは、キレート化「爪」の1つの置換による錯体安定性の損失を引き
起こすために、好ましくない。この作用は、DOTA構造の生成定数が単一カル
ボン酸側鎖の損失に伴って有意に低減するとは思えないため、DTPAでより顕
著である。これにより、前記のように、生理学的安定性を低下させることなくM
RI造影剤の
緩和特性を利用する鍵は金属原子の結合部位をかき乱すことなく分子を官能化す
る(例えば、組織特異的又は代謝的プローブ部位を)ことであるため、DOTA
及びp−アミノベンジルDOTAは好ましいキレート化剤となる。
本明細書中に記載のMRI造影剤の他に、MRIに関して本発明を有益にする
同一の特徴は、他のイメージング様相に関連する。γ線及びポジトロン射出断層
撮影も、臨床的診断用に有効なイメージング技法である。したがって、ポジトロ
ン射出断層撮影に有用な造影剤を常磁性キレート化剤の代わりに用いて映像を増
強し得る。この例としては、19フッ素及び11炭素、あるいは51クロム、68ガリウ
ム、99テクネチウム及び111インジウムのようなγ粒子を放出するキレート化剤
が挙げられる。光学顕微鏡及び蛍光顕微鏡用の造影剤を用いてもよい。このよう
な適用に特に有用な薬剤としては、フルオレセイン及びローダミン並びにそれら
の誘導体が挙げられる(例えば、Molecular Probes Inc.,Handbook of Fluoros
cent Probes and Research Chemicals,Haugland,1989 Catalogのpp116-118の
修飾化デキストラン及びポリリシンの一覧表を参照)。これらのポリマーは、共
通の染料、例えばアミノクマリン、カスケードブルー、クマリンアミノ、ダンシ
ル、ジクロロフルオレセイン、ジメチルフルオレセイン、フルオレセイン、ボデ
ィピー、フィコビリタンパク質、例えばアロフィコシアニン及びフィコエリトリ
ン、テキサスレッド、並びにルシファーイエローで修飾される。
さらに、いくつかの光学的造影剤を用い得る。これらの光学造影剤は、下記の
ように、治療薬としても役立つ。これらの薬剤としては、ポルフィリン、アント
ラキノン、アントラピラゾール、ペリレンキノン、キサンテン、シアニン、アク
リジン、フェノキサジン及びフェノチアジンが挙げられるが、これらに限定され
ない(Diwu,
Z.J.and Lown,J.W.,Pharmacology and Therapeutics 36:1-35(1994); Gross
weiner,L.I.,American Chemical Society Symposium Series 559:255-265(19
94))。
上記の造影剤の他に、本発明の生理学的作用物質としては治療薬が挙げられる
。「治療薬」とは、本明細書中ではそれらが供給される細胞に生理学的作用を及
ぼす薬剤を意味する。
好ましい態様では、治療薬は細胞に有害又は有毒であり、したがって特定の細
胞の選択的阻害、破壊又は死を可能にする。これは、下記のターゲッティング部
分が腫瘍細胞に特異的である場合に特に有用である。この場合、供給ビヒクルは
腫瘍細胞を標的にし、細胞と接触するか又は細胞中に入ると結合治療薬が腫瘍細
胞を選択的に殺す。この方法で、本発明の供給ビヒクルはある種の治療薬、特に
抗ガン剤の全身性毒性を低減させる。
本実施態様の好ましい治療薬としては、抗ガン剤、酵素阻害剤、光線療法薬、
放射性薬品、転写因子、配位子、ペプチド、並びにウイルスタンパク質及びいわ
ゆる「腫瘍抑制剤」タンパク質を含めたタンパク質が挙げられるが、これらに限
定されない。
好ましい実施態様では、治療薬は抗ガン剤である。この場合、腫瘍細胞に対す
るビヒクルのターゲッティングがあらゆる全身性供給を最小にするため、抗ガン
剤の全身性毒性は低減される。好ましい抗ガン剤又は抗腫瘍剤としては、シスプ
ラチン、カルボプラチン、テトラプラチン、タキソール、メルファラン、5−フ
ルオロウラシル、アザシタジン、シタラビン、メラプトプリン、メトトレキセー
ト、チオグアニン、ポドフィリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ブレオマ
イシン、ブスルファン、シクロホスファミド、メクロレタミン、チオテパ、アザ
チオプリン、カルムスチン、クロラムブシル、イオムスチン、シクロホスファミ
ド、プロカルバジン、ドキ
ソルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、マイトマイ
シン、イダルビシン、ジエチルスチルベストロール、タキソキシフェン、メゲス
トロール、ロイプロリド、ブロモクリプチン、アミノグルテチミン及びミトーテ
ン挙げられるが、これらに限定されない。
好ましい実施態様では、治療薬は腫瘍抑制タンパク質又は「成長調節因子」タ
ンパク質である。適切なタンパク質としては、アデノウイルスE1A腫瘍タンパ
ク質、網膜芽腫感受性遺伝子pRBの生成物質、SV40 T抗原、ヒト乳頭腫
E7タンパク質 p53、並びにウイルス腫瘍タンパク質p107、p130及
びp300が挙げられるが、これらに限定されない(Hung et al.,Gene 159:65-
71(1995); Ludlow et al., Virus Res .35:113-121(1995)参照)。
好ましい実施態様では、治療薬は酵素阻害剤である。当業界で評価されている
ように、いくつかの酵素阻害剤も抗ガン剤である。特に好ましい酵素阻害剤とし
ては、DNA及びRNA複製経路の酵素の阻害剤、例えばリシン(リシンIII
又はリシンIV)及びα−アマニチン;タンパク質合成経路の酵素阻害剤、例え
ばシクロヘキシミド、特に抗ウイルス性又は抗菌性酵素、例えばリファンピシン
が挙げられる。さらに、細胞及びウイルスプロテアーゼ、例えばHIVプロテア
ーゼの阻害剤、並びにチロシンキナーゼを含めた細胞及びウイルスキナーゼの阻
害剤が挙げられる。特に、チロシンキナーゼを競合的に阻害する「自殺ペプチド
」が挙げられる(Thomas et al., Rev .Oncology 4(1)107(1991)参照)。
一実施態様では、治療薬は、Grossweiner (上記)及びDiwu(上記)(いずれ
の記載内容も、参照により本明細書中に含まれる)に大体記載されているような
光線療法化合物である。上記のように、いくつかの光学的造影剤は、それらの光
感受性特性のために、治療
薬と考えられる。したがって、光力学的治療薬は一般に、「光力学的ウインドウ
」(約550 〜800 nm)中で光に曝露された場合に一重項酸素、過酸化物、ヒドロ
キシラジカル、過酸化物陰イオンラジカル又はその他の酸素化物質を生成するこ
とにより作用する。これらの生成物質は生細胞にとって非常に有害である。例え
ば、アントラサイクリン、アントラセネジオン及びアントラピラゾール;ペリレ
ンキノン、ヘマトポルフィリン及びヘマトポルフィリン誘導体を含めたポルフィ
リン;アントライラゾール、キサンテン、シアニン、アクリジン、フェノキサジ
ン及びフェノチアジンのような多数の適切な光線療法薬が挙げられるが、これら
に限定されない。好ましい実施態様では、光線療法薬は、光力学療法(PDT)
薬としてカナダで認可されたヘマトポルフィリンである。
好ましい実施態様では、治療薬は放射性製剤化合物である。放射性製剤、例え
ば125I、131I、123I、111In、90Y、212Bi、213Bi、99? Tc、186?R
e、188Re、177Lu及び153Smは、十分公知の技術を用いて結合させる(例
えば、Wu et al., Bioorganic Med .Chem.Letts.4(3):449-454(1994); Larson
, Cancer Suppl .1991,67 :1253-1260; Schott et al.,Cancer Supp.73:993-
998(1994); Jurcic et al., Curr Op .Immunol.6;715-721(1994)参照)。必要
な場合には、例えばDOTA及びDTPAを用いて、放射性同位体をキレート化
する(Schott et al.,上記 参照)。
さらに別の実施態様では、治療薬を用いて細胞生存能力を増大する。例えば、
インターフェロン及びその他のサイトカイン、例えばインターロイキン、成長因
子及びコロニー刺激因子、並びにそれらの作動薬及び拮抗薬である(Thomas et
al.,上記 参照)。
べつの実施態様では、単一種の生理学的作用物質を本発明の供給
ビヒクルと結合させる。即ち、一種類の造影剤又は治療薬を結合させるが、しか
し下記のように、各ビヒクルは多数の結合した作用物質を有する。別の実施態様
では、1つ以上の種類の生理学的作用物質を各供給ビヒクルに結合させる。例え
ば、造影剤及び治療薬をともに単一ビヒクルに結合させ得る。あるいは、いくつ
かの異なる種類の治療薬又は造影剤を結合させ得る。
高分子物質及び生理学的作用物質の他に、供給ビヒクルは細胞ターゲッティン
グ部分を包含する。一次又は二次高分子の1つは、本発明の供給ビヒクルを細胞
又は組織特異性にする少なくとも1つの細胞ターゲッティング部分(4)をそれ
に結合する。細胞ターゲッティング部分の選択は、標的化される特定の細胞又は
組織に依る。増殖中の細胞が表面受容体を有するターゲッティング部分としてト
ランスフェリンを用いて、本発明を実証する。しかしながら、二次高分子に直接
又は間接的に結合し得る、そしてそれと特異的に結合子、いくつかの場合には標
的化細胞中に取り込まれ得る限りは、あらゆるターゲッティング部分を本発明に
用い得る。例えば、適切なターゲッティング部分としては、抗体、タンパク質及
び糖タンパク質配位子、ウイルス受容体及び標的、ホルモン、ペプチド、炭化水
素、糖脂質並びに配位子類似体、並びに細胞及び組織特異的分布を示す薬剤及び
毒素が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましい実施態様では、ターゲッティング部分は細胞表面受容体に対する配位
子である。好ましくは、細胞表面受容体は多数表示される(例えば少なくとも約
105個/細胞)。好ましい細胞表面受容体及び/又は表面受容体配位子としては
、トランスフェリン、アシアロ糖タンパク質、アセチルコリン、エンケファリン
、エンドルフィン、低比重リポタンパク質(LDL)受容体結合に関与するタン
パク質、ホルモン、例えばインスリン、甲状腺刺激ホルモン、副腎
皮質刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、エピネフリン、バソプレッシン、免疫計
マーカー、例えば慢性関節リウマチを含めた自己免疫疾患に関連したもの CD
4、CD5、CD7、CD25、CD33及びCD54、並びに白血病に関連し
たもの、例えばCD5、CD19及びCD22が挙げられるが、これらに限定さ
れない(Uckun,British J .of Haematology 85:435-438(1993); Uckun et al.,
Science 267:886-891(1995)参照)。公知の腫瘍抗原としては、ERB B2、F
MS、H4−RET、TPR−MET、RET、TRK−TM、IGH−IGK
、TCRαIGHも挙げられる(Urban et al.,上記 参照)。
好ましい実施態様では、ターゲッティング部分は抗体、好ましくはモノクロー
ナル抗体である。一実施態様においては、モノクローナル抗体は、上記のように
腫瘍関連抗原に向けられる。当業界で公知のように、多数のこのような抗体が存
在し、生検組織をスクリーニングするのに、並びに癌免疫療法に広く用いられて
いる(特に、Urbanet al., Ann .Rev.Immunol.10:617-644(1992); Kemshead e
tal., J .Roval Soc.Med.86;219-224(1993)及びJurcic et al., 上記 参照
)。例えば、抗TAG72抗体B72.3(King et al., 上記 参照)又はC
C49(Schott et al., 上記)、3F8、T101及び抗CEA(Larson et
al., 上記)、抗腎細胞癌抗体A6H(Wilbur et al., 上記 参照)、2E4
(Wu et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 4(3);449-454(1994
))及びJurcic等(上記)が開示した抗体が有用である(これらの記載内容は、
参照により本明細書中に含まれる)。好ましくは、モノクローナル抗体は、細胞
表面受容体のような細胞表面露呈エピトープに対する高特異性を有するIgG種
の抗体である。上記のように、露呈エピトープは好ましくは多数(少なくとも約
105個/細胞
)表示される。当業界で評価されているように、抗体の活性断片も本発明の実行
に有用である。
好ましい実施態様では、抗体又はその活性断片は、造血幹細胞上には認められ
ないBリンパ球マーカーであるCD19に向けられる。当業界で公知のように、C
D19に対して標的化される免疫療法薬を首尾よく用いて、長期免疫抑制を引き起
こさずにB細胞リンパ腫を破壊した(Uckun et al.,Sience,上記 参照)。こ
の実施態様においては、CD19抗体又は活性断片を細胞ターゲッティング部分と
して用いる。好ましい実施態様では、CD19抗体を用いる供給ビヒクルは標的化
細胞に有毒である;例えば、それらはtk遺伝子をコードする核酸を含有し得る
か、又は治療薬として細胞毒素を用い得る。
本発明の一実施態様では、造影剤供給ビヒクルは細胞ターゲッティング部分を
有さず、概して細胞又は組織特異性でない。この実施態様においては、正味陽電
荷を有する高分子を好ましくは修飾して、細胞取込みを促す疎水性残基を取り込
む。核酸及び疎水性主鎖を有する多価陽イオンの錯体の細胞取込みは、当業界で
公知である(Jean-Paul Behr,Bioconjugate Chemistry 5:382-389(1994))。本
発明の別の実施態様では、造影剤供給ビヒクルは細胞ターゲッティング部分(細
胞及び組織特異性を生じさせるための)及びトランスフェクション効率を増強す
るための疎水性残基の両方を有する。
一旦細胞ターゲッティング部分及び生理学的作用物質を選択すれば、本発明の
供給ビヒクルの調製は下記のように進行する。好ましい実施態様では、供給ビヒ
クルを以下のように構築する。下記の技法を用いて、細胞ターゲッティング部分
を高分子に付加する。この結合は、ターゲッティング部分がそのターゲッティン
グ能力を有意に損失することなく恒久的に結合されるように、好ましくは共有結
合である。次に、結合したターゲッティング部分を有するポリマーを反応に用い
て、生理学的作用物質を付加する。当業者に評価されるように、本発明の供給ビ
ヒクルは、種々の方法を用いて、種々のやり方で作り得る。下記に開示した方法
が唯一のものという訳ではない。
錯体当たりの細胞ターゲッティング部分の数は、供給ビヒクル当たり0(疎水
性多価陽イオンを非特異的DNA形質転換に用いるような場合)から1000個の細
胞ターゲッティング部分まで変化し得る。錯体当たりの細胞ターゲッティング部
分の好ましい数は、錯体のサイズによって、一般に約10〜約50である。好ましい
実施態様では、ポリマーのターゲッティング部分対モノマー単位の比は、一般に
約1対100 である。例えば、トランスフェリンを細胞ターゲッティング部分とし
て、ポリ−L−リシンを多価陽イオンとして用いた場合、トランスフェリンタン
パク質約1対リシンモノマー約100 が好ましい比である。スペルミン及びスペル
ミジンのようなポリアミンを単一窒素又は炭素で修飾して陽子化に十分な数のア
ミンを脱離させて。多価陰イオンと相互反応させる。ヒストン及びプロタミンを
、プロタミン中のシステイン残基でのようなイオン性相互作用に関与しない部位
で修飾する。
一般に、ターゲッティング部分、特にタンパク様ターゲッティング部分の4つ
の官能基の1つを用いて、細胞ターゲッティング部分を結合させる。好ましい実
施態様では、ポリマーはポリリシンであって、細胞ターゲッティング部分はグリ
コシル化タンパク質であり、結合のためには炭水化物を用いる。標準技法を用い
て炭水化物の無水物を作り、次いで無水物をポリマーのアミノ基と、例えばポリ
リシンのε−アミノ基と反応させる。
別の実施態様では、細胞ターゲッティング部分のシステイン残基
を結合の部位として用いる。例えばSPDP、マレイミド、α−ハロアセチル及
びピリジルジスルフィドのような当業界で公知の多数のスルフヒドリル反応性リ
ンカーがある(例えば、1994 Pierce Chemical Company catalog,technical s
ection on cross-linkers,pp.155-200参照。この記載内容は参照により本明細書
中に含まれる)。
別の実施態様では、細胞ターゲッティング部分のアミノ基は、ポリマーのアミ
ノ基との結合のために用いられる。例えば、多数の安定二官能基が当業界で十分
公知であって、その例としては、ホモ二官能性及びヘテロ二官能性リンカーが挙
げられる(Pierce Catolog and Handbook,pages 155-200 参照)。例えば、ス
クシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)をトラ
ンスフェリンに付加し、次いで3−メルカプトプロピオネート修飾ポリリシンと
反応させた(Wagner et al., Proc .Natl.Acad.Sci.USA 87:3410-3414(1990)
)(この記載内容は本明細書及び実施例に含まれる)。
さらに別の実施態様では、十分公知のリンカーを用いて、カルボキシ基(ポリ
マーからの又は細胞ターゲッティング部分からの)を誘導し得る(Pierceカタロ
グ参照)。例えば、カルボジイミドは、アミンのような良好な求核性物質による
攻撃に対してカルボキシ基を活性化する(Torchilin et al., Critical Rev .The rapeutic Drug Carrier Systems
, 7(4);275-308(1991)参照。この記載内容は、
本明細書中に含まれる)。
当業界で公知のその他の技法を用いて抗体細胞ターゲッティング部分を結合さ
せてもよい(Slinkin et al.,Bioconj.Chem.2:342-348(1991); Torchilin e
t al.,上記; Trubetskoy et al.,Bioconj ,Chem. 3:323-327(1992); King e
t al.,Cancer Res .54:617
6-6185(1994);及び Wilbur et al., Bioconjugate Chem .5:220-235(1994)参
照。これらの記載内容はすべて、参照により本明細書中に含まれる)。
上記の方法を含めた種々の方法で細胞ターゲッティング部分を結合させ得ると
理解すべきである。重要なことは、結合方法がターゲッティング部分の官能性を
有意に変えないことである。即ち、ターゲッティング部分は依然としてその標的
細胞表面受容体と結合して供給ビヒクルのエンドサイトーシスを引き起こし得る
。当業者に評価されるように、これは容易に立証される。
細胞ターゲッティング部分を高分子と結合させる前又は後に、生理学的作用物
質を付加する。一般に、できるだけ多くの生理学的作用物質を、ビヒクルに悪影
響を及ぼすことなく、各々の供給ビヒクルに付加するのが好ましい。多数の生理
学的作用物質をポリアミンに結合させるか、又は生理学的作用及び核酸とのキレ
ート環形成の両方ができる多価陽イオンを作るために結合させ得る。生理学的化
合物及び/又は細胞ターゲッティング部分によりアミノ基側鎖の約20%までが修
飾され、多価陰イオンとの相互作用のために生理学的pHで荷電したアミノ基の約
80%又はそれ以上が残る。これらの比は、2つの高分子種のサイズが異なる場合
には、有意の電気的中性が維持される限り、さらに変わり得る。その結果生じる
核酸ベースの生理学的作用物質供給ビヒクルは、1,000 〜10,000の生理学的作用
物質を含有する。この大きさの等級は、従来のいかなる方法に依るものよりも大
きい。造影剤の場合、このレベルの常磁性イオンは、標準MRIハードウエアを
用いたこの作用物質の生理学的に穏当な濃度での標的化MRIコントラストを増
強させる。
多価陽イオン/多価陰イオン複合体形成の阻害を伴わない、且つ毒性又は浸透
性悪作用を伴わない最大数の生理学的作用物質が望ま
しい。概して、生理学的作用物質は、多価陽イオン/多価陰イオン複合体のイオ
ン相互作用の強さに依って、2モノマー当たり作用物質約1から約100 モノマー
当たり作用物質約1までの比で、好ましくは約1作用物質/4モノマー〜1作用
物質/20モノマーの範囲の比で高分子と結合する。約4〜10が好ましい。
生理学的作用物質が造影剤、例えばMRI造影剤である場合、常磁性金属イオ
ンキレート化剤、例えばDTPA又はDOTAは先ず共有結合し、次いで複合体
が金属イオンと反応する。十分公知の技法を用いて、DTPAキレート化剤を本
発明の高分子と結合させる(Hnatowich et al., J .Immunol.Methods,65:147
-157(1983); Hnatowich et al., Int .J.Appl.Radiot.Isot. 33:327(1982)
;Torchilin et al.,上記;参照。これらの記載内容はすべて、参照により本明
細書中に含まれる)。好ましい実施態様では、キレート化剤の無水物を作り、ア
ミノ基、例えば利用可能なリシン残基と反応させて、アミド結合を形成する。
さらに、DOTAをキレート化剤として用いる場合は、別の方法でそれを修飾
して結合のための官能基を提供し得る。これは、その結果生じる毒性による複合
体の安定性損失を回避するために配位原子の1つの誘導化を避けるために好まし
い。例えば、いくつかの文献の方法は、DOTA大員環の合成的修飾として公に
された(Moi et al., J .Am.Chem.Soc.110:6266(1988);McMurry et al.,B ioconj .Che.3(2)
:108(1992); Ren et al., Bioconj .Che.3(6):563(1992);
Kumar et al., Inorg .Chem.32(20):4193(1993))。一方法では、テトラペプ
チド出発物質を用いてp−アミノベンジル部分をDOTA配位子に導入する(Mo
i et al.,上記)。p−アミノベンジル−DOTAの構造を図4に示す。次に、
p−アミノベンジル部分のアミノ基をポリマーとの結合に用い得る。テトラペプ
チド出発物質の調製方法は、溶液法を用いて修飾して、生成物質の合成により高
度の適応性を付加し得る。文献の手法を変更することにより、所望の配位子を調
製し得る。その結果生じる大員環配位子骨格は、好結果のin vivo 造影剤の設計
特徴を満たす。この場合、その後の高分子との結合のための官能基を付加し、次
いで、安定な二官能性リンカー又はカルボジイミドの使用といったような細胞タ
ーゲッティング部分結合に関して上記した技法を用い得る。DOTAと同様の方
法で官能基を含有するように、その他のキレート化剤を修飾し得る。
生理学的作用物質が治療薬、例えば抗ガン剤又は光線療法薬である場合、同様
の技法を用いる。上記の技法を用いて、タンパク様剤あるいはアミノ−又はカル
ボキシ含有剤を結合し得る。例えば、特にメトトレキセート、メルファラン、ダ
ウノルビシン、ドキソルビシン、シタラビン、ダクチノマイシン、ブレオマイシ
ン、アミノグルテチミド、メクロロエタミン及びマイトマイシンを、アミノ基を
介して結合する。メトトレキセート、メルファラン及びクロラムブシルは、カル
ボキシ基を介して結合し得る。ダウノルビシン、ドキソルビシン、シタラビン、
及びプリカマイシンは、炭水化物部分のアルデヒドを介して結合し得る。十分公
知のリンカーを用いてもよい。十分公知の技法を用いてアミン基のような官能基
をその部分と結合させ、次いで適切なリンカーを用い得る。例えば、光線療法薬
をこの方法で結合し得る。
一実施態様では、本発明の供給ビヒクルは、遺伝子発現の効率を増大するため
に、さらに他の作用物質を含有する。意外にも、DNA/ポリ−D−リシン/G
d−DTPA/トランスフェリンの多複合体を用いて細胞をトランスフェクトす
ると、MRI造影剤を欠いたDNA/ポリ−Dリシン/トランスフェリン複合体
を用いた場合
よりも高い効率の遺伝子トランスフェクションが達成される。Gd−DTPA−
ポリリシンのこの高効率は、ポリリシンのD及びLの両異性体を用いて多数の異
なる比率の成分で(例えば図2参照)認められる。この作用は、細胞内部での同
時のGd−DTPA含有粒子の取込み増大又はそれらの遺伝子発現の効率増大に
依るものと思われる。
大多数の粒子が受容体媒介取込み経路によりエンドサイトーシスを介して取り
込まれ、リソソーム区画で消化されることが公知である。リソソームからの粒子
の放出を促す作用物質は、供給される遺伝子の発現を劇的に増大することが公知
である。これらの作用物質としては、クロロキン、ウイルスゴースト及びfusoge
nic ペプチドが挙げられる。さらに、粒子を細胞質から核へ移すタンパク質及び
ペプチドは、遺伝子発現をさらに増強する。したがって、本発明の供給粒子とし
ては、リソソーム放出及び核取込みに関する作用物質、例えばインフルエンザウ
イルスfusogenic ペプチド(Wagner et al., Proc .Natl.Acad.Sci.USA 89:7
934-7938(1992))及び核タンパク質、例えばHMG1が挙げられる。さらに、核
局在シグナル(NLS)ペプチドを核への非細胞供給のためにビヒクルに付加し
得る(例えば、Goldfarb et al., Trends Cell Biol .1:20-24(1991))。上記の
技法を用いて、これらの付加的物質を付加する。
一旦作られれば、本発明の供給ビヒクルは種々の方法で用いられる。一実施態
様では、供給ビヒクルを用いて核酸を細胞に供給する。供給ビヒクルは、少なく
とも1つの結合細胞ターゲッティング部分及び結合造影剤を伴う核酸及び少なく
とも1つの多価陽イオン分子を包含する。一実施態様では、単一多価陽イオン分
子を用いる;別の実施態様では、上記のように二次又は多数の多価陽イオン分子
を用いる。供給ビヒクルを標的細胞と接触させ、次いで、造影剤の
存在を検出することにより核酸の存在をモニタリングする。この実施態様におい
ては、供給ビヒクルは造影剤を包含するが、しかしあるいは造影剤と治療薬の両
方を結合し得る。
さらに別の実施態様では、供給ビヒクルを用いて生理学的作用物質を供給する
。一実施態様では、造影剤を供給する。別の実施態様では、治療薬を供給するか
、又は造影剤及び治療薬の両方を供給する。この実施態様においては、供給ビヒ
クルは一次高分子及び二次逆荷電高分子を包含する。ポリマーの一方又は両方は
、結合細胞ターゲッティング部分及び生理学的作用物質を有する。生理学的作用
物質の供給は、生理学的作用物質の存在を用いて検出する。標準MRI法を用い
て、MRI造影剤を使用し、モニタリングし又は検出する。この実施態様におい
ては、レポーター遺伝子をコードする核酸を用い、レポーター遺伝子又はタンパ
ク質の存在又は非存在を用いて、供給検出を行う。
好ましい実施態様では、供給ビヒクルを用いて腫瘍を検出及び/又は処置する
。この実施態様においては、供給ビヒクルは、結合された細胞ターゲッティング
部分及び生理学的作用物質を有する高分子を包含する。細胞ターゲッティング部
分は、好ましくは腫瘍細胞受容体に特異的であるか、あるいは腫瘍又は急成長細
胞に優先的に見出される受容体を標的にする。供給ビヒクルを用いて腫瘍を検出
するか又は画像形成する場合、生理学的作用物質は好ましくは造影剤であり、好
ましくはMRI造影剤である。供給ビヒクルを用いて腫瘍を処置する場合、生理
学的作用物質は抗ガン剤又は光線療法剤である。好ましい実施態様では、腫瘍を
処置するのに用いられる供給ビヒクルも、治療のリアルタイムモニタリングのた
めに造影剤を組み入れる。
本発明の供給ビヒクルは、当業界で公知のように患者又は被験者
に投与する。一般に、供給ビヒクルは、静脈内及び皮下を含めて、公知の造影剤
が提供されるのと同様に患者に供給される。いくつかの場合には、例えば肺上皮
供給のためには、粒子をエーロゾル投与又は吸入投与する。ビヒクルの供給は、
いくつかの方法でモニタリングし得る。結合造影剤は、十分公知の映像法で観察
し得る。療法又はレポーター遺伝子の遺伝子供給は、標準分子生物学及びタンパ
ク質技術を用いて、あるいは療法の場合には標的化細胞に及ぼす影響により、モ
ニタリングし得る。
以下の実施例で上記の本発明の使用方法をさらに詳細に説明し、本発明の種々
の局面を実施するために意図された最良の方法を記載する。これらの実施例は、
本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の説明のためのものであると理解
される。本明細書に引用した参考文献はすべて、参照により本明細書中に含まれ
る。
実施例
実施例1:トランスフェリン−ポリ−L−リシンの調製
サイズ排除クロマトグラフィーによりヒトアポトランスフェリンを精製し、30
mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)に溶解した。4 ℃で、20モル当量の過ヨウ
素酸ナトリウムを付加した。トランスフェリン炭水化物(N−アセチルノイラミ
ン酸)をその無水物形態に酸化する反応を、4 ℃で120 分進行させた。修飾トラ
ンスフェリンをサイズ排除クロマトグラフィーにより精製し、直ちに、100 mM酢
酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)に溶解した0.5 当量のポリ−L−リシン(平均鎖
長=180 サブユニット)を含有する溶液に付加した。1時間の間隔で、4つのア
リコート中の800 当量のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを付加して、反応生成物
を第二アミンに還元した(Wagner et al., Proc .Natl.Acad.Sci.USA 89:793
4-7938(1992)
)。
サイズ排除クロマトグラフィーによりトランスフェリン修飾化ポリ−L−リシ
ンを分別した。多価陽イオン鎖当たり平均2個のトランスフェリン分子で修飾さ
れたポリリシンを含有することが確定された分画を、次の実験に用いた。
実施例2:DTPA−ポリ−D−リシンの調製
標準的文献手法の変法を用いて、ポリリシンのDTPA二無水物との共役を達
成した(Hnatowich et al.,J .Immunol.Methods 65:147-157(1983))。多価陽
イオン鎖のDNA結合能力を保持する必要に対してGd含有粒子の高シグナル強
度に対する欲求の平衡をとるために、モノマー側鎖の5 〜20%で修飾されたポリ
リシンを調製した。
ポリ−D−リシン(平均鎖長=180 サブユニット)5 mgを0.5 M炭酸ナトリウ
ム緩衝液(pH 9.8)20ml中に溶解し、攪拌棒を備えた50ml丸底フラスコに入れた
。新たに調製したDTPA無水物を1時間かけて10回に分けて等量ずつ付加した
(別々の反応で100、200及び400 倍当量過剰)。3 %水酸化ナトリウム溶液を付
加して、反応液のpHを9.8 に保持した。Pharmacia FPLC系を用いたサイズ排
除クロマトグラフィーにより、DTPA修飾ポリ−D−リシンを精製した。
リシン鎖当たりのDTPA分子の数を評価するために、精製物質のアリコート
を水中でEuCl3と反応させた。生成物の蛍光発光測定(612 nm)を、SLM8
000C分光蛍光光度計対一連の標準光度計で実施した。置換誘導体の総量は、100
倍過剰反応生成物に関しては9 〜11DTPA/ポリリシンの範囲であったが、
これに対して400 倍反応は35DTPA/ポリリシンであった。各反応からのEu
−DTPA−ポリリシンを、UV濃色検定を用いてDNAを結合す
るそれらの能力に関して試験した。この場合、多価陽イオンと錯体を形成するD
NAは非錯体化DNAより高いUV光線吸収を示す。この検定を用いて、最小重
度修飾ポリリシン(10Eu3+1s/ポリリシン)は非修飾ポリリシンと同様、D
NAと結合した;最重度修飾ポリリシンはDNAと全く結合しなかった;中等度
標識化ポリリシンはDNA結合親和性の低減を示したことが判明した。
平均10DTPAV/ポリリシンを有する化合物を、70℃で3 時間、pH 7.0の蒸
留水中で1.1 モル過剰量のGd(C1)3とキレート化させた。ゲル濾過により
Gd−DTPA−ポリ−D−リシンを精製し、その後の実験に用いた。
実施例3:組織特異的/MRI造影剤錯体の形成
Promega Corp.(Madison,Wisconsin)から「GeneLight」プラスミドを購入し、
標準手法を用いて大量に調製した。このプラスミドはSV40エンハンサー/プ
ロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子(P.pyralis)を含有し、本試験で
用いたK562のような哺乳類細胞中で強いルシフェラーゼ発現を生じた。この
遺伝子の発現は、トランスフェクト化細胞の抽出物中の光生成を測定することに
より、容易にモニタリングし得る。
典型的には、プラスミド 6μg をHEPES緩衝食塩水(150 mM塩化ナトリウ
ム、20mM HEPES,pH7.3)0.5 ml中の次善量のトランスフェリン−ポリリ
シンに付加し、室温で10分間錯体を形成させた(Wagner et al., Proc .Natl.A cad.Sci.USA 88
:4255-4259(1991))。ポリ−D−リシン又はGd−DTPA−
ポリ−D−リシンの量を変えて溶液に付加し、DNAとの3成分錯体を形成する
ことにより陰電荷を完全に中性にした。
実施例4:標的化細胞中のDNA発現
RPMI培地+10%ウシ胎児血清、100 単位/ペニシリン1ml、
100 μg /ストレプトマイシン1ml及び2mMグルタミンの懸濁液中で、K562
細胞を増殖させた。形成されたGd−DTPA−ポリリシン/DNA/トランス
フェリン−ポリリシン複合体を、細胞500,000 個及び100 μM クロロキンを含有
する細胞懸濁液 2mlに付加して、37℃で10時間インキュベートさせた。対照とし
て、いくつかの細胞を同時に遊離トランスフェリンで処理して、MRI造影剤供
給ビヒクルの受容体媒介性取込みを競合的に阻害した。その後、細胞を新鮮な培
地中で洗浄し、18時間後に収穫した。細胞をHEPES緩衝食塩水で3回洗浄し
て、抽出緩衝液 30 μl 中で溶解させた。
ルシフェラーゼ基質及びアデノシン三リン酸の付加直後に、Beckman シンチレ
ーション計数器で発光を検定した。図2は、Gd−DTPAポリ−D−リシンを
含有する遺伝子供給ビヒクルを用いて観察された遺伝子発現のレベル(カラム1
)と、造影剤の代わりに非修飾ポリ−L−リシンを含有する遺伝子供給ビヒクル
とを比較したグラフである。ポリリシンへのGdキレートの付加は、遺伝子トラ
ンスフェクションの効率を実際に増強した。これは他の粒子組成物でも同様に観
察されている。これらの実験に遊離トランスフェリン20μg を付加した場合、遺
伝子トランスフェクションの効率を示す光発生は劇的に低減した(図3)。この
作用は、遺伝子トランスフェクションのメカニズムが事実上、トランスフェリン
媒介性取込みであることを示す。
実施例5:MRI映像獲得
マイクロイメージング付属品を備えた11.7 Tesla Bruker AMX 500 MHz MRI
分光計を用いて、MRI映像を獲得した。トランスフェクション効率を検定する
のに用いたものと同一の細胞の懸濁液ヲ用いて、図3に示す映像を得た。約500,
000 個の細胞を2 mmガラス
毛細管に移して、懸濁液から沈殿させた。管を密封し、マルチスライススピンエ
コープロトコールを用いて映像を得た(TR/TE=300/13 ms)。Gdベース
の造影剤に適していたように、これらのパラメーターはT1発光映像を生じた。
図3では、Gd−DTPA−ポリ−D−リシンを含有する粒子でトランスフェ
クトされた細胞を1及び2に示す。2における遊離トランスフェリンの付加は粒
子の取込みを競合的に阻害し、MRIコントラストを低減した。これはさらに、
これらの粒子のMRIコントラスト増強が特異的で且つトランスフェリン取込み
経路を介していることを確証する。したがって、DNA、トランスフェリン、G
d−DTPA及びポリリシンで構成される粒子で処理した細胞は、有効な遺伝子
トランスフェクション並びに劇的MRIコントラスト増強を同時に示した。
本明細書中に示した文書はすべて、参照により本明細書に含まれる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 49/00 A61K 43/00
51/00 37/52
C12N 15/09 C12N 15/00 A
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AL,AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,C
A,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI
,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,
KR,KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,M
G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT
,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,
TM,TT,UA,UG,US,UZ,VN
(72)発明者 メーデ,トーマス ジェイ.
アメリカ合衆国,カリフォルニア 91007,
アルタデナ,ニューヨーク ドライブ
1656
(72)発明者 フラサー,スコット イー.
アメリカ合衆国,カリフォルニア 92660,
ニューポート ビーチ,ビソン アベニュ
720