【発明の詳細な説明】
EおよびPセレクチンに対するリガンドのオリゴ糖構造
発明の分野
本発明は、細胞接着生物学の分野、EおよびPセレクチンならびにEおよびP
セレクチンに対するリガンドのオリゴ糖構造に関する。
情報開示
Hemmerich,Stefanら「Identification of the Sulfated Monosaccharides
of GlyCAM-1,an Endothelial-Derived Ligand for L-Selectin.」(1
994)Biochemistry,Vol.33,pp.4820-4829。
Hemmerich,StefanおよびRosen,Steven「6'-Sulfated Sailyl Lewis x
Is a Major Capping Group of GlyCAM-1.」(1994)Biochemistry,Vo
l.33,pp.4830-4835。1994年4月19日に発行されたLasky,Laurence A.ら米国
特許第5,304,640号「DNA Sequence Encoding a Selectin Ligand.」。こ
の特許は、可能性のあるセレクチンリガンドのDNA配列を特許請求している。
オクラホマ州立大学に発行されたLasky,Laurence A.ら,WO94/11498-A1号
「New glycoprotein for P-selectin.」。この出願は、可能性のあるP-セレ
クチンリガンドの幾つかのアミノ酸および糖蛋白質の特徴付けを試みている。
1992年9月1日に発行されたBrandleyら米国特許第5,143,712号;1993年5月18
日に発行された米国特許第5,211,936号;および1993年5月18日に発行された米国
特許第5,211,937号「Method of Determining a Cite of Inflammation Uti
lizing ELAM-1 Ligands.」。
Varki,Ajit(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.91,pp.7390-7397「
Selectin Ligands」。セレクチンリガンド文献を概説しており、クラスター化
した糖パッチの認識に特異性が関与し得るという仮説を論じている。
Imai,Yら(1991)J.Cell.Biol.113:1213。双方ともL-セレクチンリガン
ドと考えられている50kD分子および90kD分子のマウス腹膜間リンパ節か
らの沈殿。
Lasky,L.A.ら(1992)Cell 69:927。モレキュラークローニングは、「Gly
CAM-1」と呼称されている50kD蛋白質がムチン様分子であることを示して
いる。
Baumhueter,S.ら(1993)Science 262:436。L-セレクチンに対する90kD
リガンドの蛋白質コアは血管シアロムチンCD34と同一である。
Levinovitz,A.ら(1993)J.Cell.Biol.121:449-459。E-セレクチン-IgG
キメラを用いて、E-セレクチンに対する150kD糖蛋白質リガンドをマウス
好中球前駆細胞系統から単離した。
Moore,K.L.ら(1992)J.Cell.Biol.118:445-456。P-セレクチンリガン
ドの部分的特徴付け。
Lenter,M.ら(1994)J.Cell.Biol.125:471。各々、E-およびP-セレク
チンに対する単一特異性リガンドである150kDおよび160kDの2種の分
子、ならびに、各々、E-およびP-セレクチンの双方と相互作用する230kD
および130kDの分子量を有する2つの他の分子の部分的説明。
Tiemeyerら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1138。固相アッセイ
においてE-セレクチン・トランスフェクト細胞に対してリガンド活性を有する
数種のミエロイド-由来糖脂質の精製。
Larsenら(1990)Cell 63:467。LeX決定基(Galβ1,4(α1,3Fuc)GlcNAc
)は、ミエロイド細胞上のP-セレクチンリガンドの重要な因子である。
Polleyら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:6224。P-セレクチンに
対するリガンドは、E-セレクチンに対するものと同一または酷似し得る。
Sakoら(1993)Cell 75:1179。
Varki,A.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:7390。HL-60リ
ガンド上のオリゴ糖構造は、E-およびP-セレクチンに対するリガンドで先に報
告されたN-アセチルラクトサミンの特徴を分有するが、ルイス型置換は欠失し
ている。
Springer,G.F.(1984)Science 224:1198;Springer,G.F.(1989)Mol
.Immunol.26:1;Orntoft,T.F.ら(1990)Int.J.Cancer 45:666。しば
しばTn(GalNAc)およびT(Galβ1,3GalNAc)と呼称される2種の構造は、
各々、多くのガン、例えば、腸ガンおよび乳ガンで見られる公知のガン抗原であ
る。
Elhammerら(1993)J.Biol.Chem.268:10029。
van Halbeek,Hら(1982)Eur.J.Biochem.127:7。
Amano,J.ら(1991)J.Biol.Chem.266:11461。
Hirano,Tら(1993)Eur.J.Biochem.214:763。
出典明示して本明細書の一部とみなす。
発明の背景
細胞認識における蛋白質-蛋白質相互作用はしばしば認識されていたが、細胞
認識における炭水化物の役割についてはわずかに最近になって真剣に研究されて
いるにすぎない(Brandley,B.K.およびSchnaar,R.L.(1986)J.Leuk.Bi
ol.40:97;Sharon,N.およびLis,H.(1989)Science 246:227参照)。近年
においては、炭水化物化学の領域の研究者の大部分の焦点は糖蛋白質である。
糖蛋白質は、真核生物細胞によって合成される異なる集団の分子を構成する。
これらの蛋白質の共通の特徴は、それらがすべて共有結合炭水化物基を含んでお
り、そのサイズは1〜>25単糖類の範囲となり得ることである。オリゴ糖構造
が糖蛋白質に結合する結合の2の共通型は、オリゴ糖構造がオリゴ糖上の還元N
-アセチルグルコサミンと蛋白質上のアスパラギン残基との間のアミド結合によ
って結合したN-結合オリゴ糖、ならびにオリゴ糖上の還元N-アセチルガラクト
サミンと蛋白質上のセリンまたはスレオニン残基との間のエーテル結合を介して
コンジュゲートしたムチン型O-結合オリゴ糖において見出される。炭水化物基
と蛋白質との間の他の型の結合は実際存在するが、これらは、この論議にほとん
ど関連しない。
幾つかの特徴は、N-結合およびムチン型O-結合オリゴ糖によって分有される
。幾つかの類似性とは:その要素単糖の大部分が同一であり;非形質転換哺乳動
物
細胞によって合成された場合、両方の型の構造が末端シアル酸を運搬し;両方の
型の構造がシアリルルイス(Sialyl Lewis)Xのごとき血液群型置換を運搬し得(
下記参照);および、両方の型のオリゴ糖がポリ-N-アセチルラクトサミン反復
構造を含み得るということである。文献においても示されているこれらの知見は
、ある種のN-結合とムチン型O-結合オリゴ糖との間に機能重複が存在し得るこ
とを示唆している(Fukuda,M.(1992)およびOlden,K.,Yeo,T.-K.およ
びYeo,K.-T.(1992)Glycoconjugates,Allen,H.J.およびKisailu,E.
C.編,pp379-401および403-420,Marcel Dekker Inc.社,New York)。
それとは反対に、O-結合オリゴ糖の幾つかの機能および特徴はN-結合構造の
ものとは異なり(Jentoft,N.(1990)Trends.Biochem.Sci.15:291)、2の型
の構造の生合成経路は全く異なる(Kornfeld,R.およびKornfeld,S.(1985)
Ann.Rev.Biochem.54:631;Schachter,H.およびBrockhausen,I.(1992
)Glycoconjugates,Allen,H.J.およびKisailu,E.C.編,pp.263-332,
Marcel Dekker Inc.社,New York)。
オリゴ糖はよく位置決定されていて、その細胞表面ロケーションおよび構造多
様性に起因して認識分子として作用する。O-結合鎖は、この型の置換の「クラ
スター」を含有する細胞表面糖蛋白質がよく伸長した強固な構造を形成し得ると
いう事実に鑑みると興味深い(Jentoft,N.(1990)Trends.Biochem.Sci.15:
291-294)。かくして、これらの分子は理想的に位置して認識機能を行う。まった
く異なる多数のオリゴ糖構造が、限定された数のグリコシルトランスフェラーゼ
の活性を介して生成され得る。したがって、これらの構造は、比較的少数の遺伝
子産物で生成され得、このことは、広範な細胞-細胞相互作用に指向のにする必
要な情報を確立するもっともな機構を示唆している。相互作用細胞上の細胞表面
炭水化物および予想炭水化物結合蛋白質、いわゆるレクチンの異なる発現の例は
Dodd,J.およびJessel,T.M.(1985)J.Neurosci.5:3278;Regan,L.
J.ら(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:2248;Constantine-Paton
,M.ら(1986)Nature,324:159;およびTiemeyer,M.ら(1989)J.Biol.Che
m.,263:1671に記載されている。
動物レクチンは3つのグループ:C-型(Ca2+-依存性)レクチン、S-型(可溶
性)レクチンおよびP-型レクチンに分けられる(Drickamer,K.(1993)Annu.R
ev.Cell Biol.9:237-264)。C-型レクチンの重要なグループはセレクチンで
ある。セレクチンは炎症部位の白血球管外遊出において重要な機能を有する。
白血球は、種々の微生物感染症ならびにガンのごとき疾患に対する身体の保護
に関与している。しかしながら、白血球細胞が血管の管腔部位の内皮細胞に接着
した場合、身体組織に移動し、そこに蓄積して、しばしば、障害、腫張、痛みお
よび炎症を引き起こす。例えば、白血球細胞が接合部に侵入し、組織を攻撃する
場合、リューマチ関節炎が起きる。白血球細胞上の幾つかの分子は内皮細胞表面
上のその受容体を認識し、その血管壁を通して炎症部位への移動を許容すると考
えられている。白血球および内皮細胞上のこれらの細胞表面分子は細胞接着受容
体と呼称される。これらの細胞性受容体間の認識を遮断し得る場合には、炎症応
答を減じ、または削除し得ると考えられる。種々の接着受容体が異なる時間に内
皮細胞表面上に提示され、これは、異なる型の白血球細胞によって認識され得る
。2また3以上の受容体が共に働いてこの仕事を行い得る可能性がある。幾つか
の分子は、この様式で作用することがすでに知られている。
血流から内皮細胞を通過して標的組織、例えば、傷害または感染の部位へ循環
する白血球の補充および管外遊出は、炎症の初期応答で必須の工程である。これ
らのプロセスは、細胞表面接着分子の少なくとも3つのファミリー:インテグリ
ン、イムノグロブリンスーパーファミリーおよびセレクチンによって開始する(
Springer,T.A.(1990)Nature 346:425;Hynes,R.O.およびLander,A
.D.(1992)Cell 68:303)。
セレクチンは、白血球-内皮細胞接着分子のファミリーであり、LEC-CAM:
s(Lectin EGF Complement regulatory-Cell Adhesion Molecule)とも呼
称される(Inflammation:Basic Principles and Clinical Correlates,第
2版,J.I.Gallinら編,Raven Press,Ltd社,NY 1992,pp407-419)。
セレクチンとは、当該分野に従事する研究者によって好まれる言葉である(Bevi
lacqua M.P.ら(1991)Cell 67:233)。セレクチンは、一般的に、生理学
的および病理学的刺激の際の細静脈内皮細胞で白血球の「ローリング」と呼ばれ
る初期相互作用に最初に関与すると考えられている(Lawrence,M.B.およびS
pringer,T.A.(1990),Cell 65:859-873)。白血球なる語には、好中球、好
塩基性細胞、好酸球、単球およびT-細胞サブセットのごとき細胞が包含される(
de Bruijne-Admiraal,L.G.(1992)Blood 80:34)。
セレクチンファミリーは、現在のことろ、3つの細胞表面膜蛋白質よりなる(
Lasky,L.A.(1992)Science 258:964;McEver,R.P.(1991)Thromb.H
eamostasis 66:80)。L-セレクチンは、大部分の白血球において、リンパ球ホ
ーミング受容体(a.k.a.末梢リンパ節ホーミング受容体(pnHR)を構造的に発
現している。L-セレクチンは:LECAM-1、LEC-CAM-1、LAM-1、
gp90MEL、gp100MEL、gp110MEL、MEL-14、MEL-
14抗原、Leu-8(抗原)、Ly-22(抗原)、TQ1(抗原)およびDREG56(抗
原)としても知られているが、「L-セレクチン」なる語が好ましい。ELAM-1
、LECAM-2およびLEC-CAM-2としても知られているE-セレクチンは
、好中球、単球およびメモリーT-細胞と相互作用する一過性サイトカイン-誘導
性内皮細胞表面分子である。LEC-CAM-3、LECAM-3、CD-62、GM
P-140およびPADGEMとしても知られているP-セレクチンは、細胞性活
性化および脱顆粒の間に内皮細胞および血小板の原形質膜上に迅速に発現され;
それは好中球および単球に対する受容体として作用する。
構造的には、すべてのセレクチンは、他のC-型レクチンに相同性のある11
8アミノ酸残基よりなるNH2-末端細胞外炭水化物認識ドメイン(CRD)、つづ
いて、上皮細胞増殖因子(EGF)様ドメイン、種々の数の補体調節蛋白質-様反
復(異なるセレクチンについて異なる)、貫膜ドメインおよび細胞質テールを含む
。機能的には、すべてのセレクチンは、反対側の細胞上のオリゴ糖リガンドに結
合することによってCa2+-依存性細胞-細胞接触を媒介する。
セレクチンは、その反対側の細胞の表面上に発現されている「セレクチンリガ
ンド」と呼称されるもう1の糖蛋白質上のオリゴ糖構造と相互作用することが知
られている。免疫沈降実験は、L-セレクチン-IgGキメラの構築物が、セレク
チンリガンドを単離するのに用い得る化合物を提供することを示した。50kD
分子および90kD分子は、双方ともL-セレクチンリガンドと考えられ、この
型の化合物を用いたマウス腸間膜リンパ節から特異的に沈降した(Imai,Y.ら(
1991)J.Cell Biol.113:1213)。モレキュラー・クローニングは、50kD蛋
白質がムチン様分子であることを示し、それを「GlyCAM-1」という(Lasky,
L.A.ら(1992)Cell 69:927)。90kDリガンドに対する最近の仕事により、
この分子の蛋白質コアが血管シアロムチンCD34と同一であることが明らかと
なった(Baumheuter,S.ら(1993)Science 262:436)。
リガンドは、また、E-セレクチンについて部分的に特徴付けられている。1
50kD糖蛋白質は、E-セレクチン-IgGキメラを用いて、マウス好中球前駆
細胞系統から単離した(Levinovitz,A.ら(1993)J.Cell Biol.121:449-459
、また、Brandleyら,米国特許第5,143,712号、米国特許第5,211,936号および
米国特許第5,211,937号特許も参照)。P-セレクチンリガンドは同様にして同定
された。ヒト好中球からの 120kD糖蛋白質は、125I-P-セレクチン・ブ
ロッティングアッセイ、および3H-グルコサミン標識HL-60細胞抽出物のP-
セレクチン・アフィニティークロマトグラフィーによって同定した(Moore,K.
L.ら(1992)J.Cell.Biol.118:445-456)。
加えて、E-およびP-セレクチンの両方に対するリガンドはマウスミエロイ
ド細胞上で記載された。2種の分子、150kDおよび160kDは、各々、E-
およびP-セレクチンに対して単一特異的リガンドであり、そのうえ、230k
Dおよび130kDの分子量を有する2つの他の分子も、各々、E-およびP-セ
レクチンの両方と相互作用する(Lenter,M.ら(1994)J.Cell Biol.125:471)
。
マンノース-6-ホスフェート(M6P)およびフルクトース-1-ホスフェートの
ごとき単純な単糖がネズミおよびヒトリンパ球と末梢リンパ節(pln)のHEV
との相互作用を遮断し得るという知見(Stoolmanら(1993)J.Cell Biol.96:7
22;Stoolmanら(1994)J.Cell Biol.99:1535;Stoolmanら(1987)Blood 70
:1842)は、L-セレクチンによって認識される内皮細胞リガンドが炭水化物-ベ
ースであることを示唆している。さらに、一連の実験において、Rosenおよび
彼の共同研究者らは、pln HEVに対するリンパ球のホーミング受容体-依存
性の結合が、広スペクトルのシアリダーゼでのイン・ビトロ(in vitro)またはイ
ン・ビボ(in vivo)のいずれかの処理によってなくなることを立証した(Rosenら
(1985)Science 228:1005;Rosenら(1989)J.Immunol.142:1895)。このこと
は、末端のシアル酸が認識の重要な因子であることを強く示唆している。これら
の研究者らは、また、L-セレクチンリガンド上のオリゴ糖構造が硫酸化されて
おり、その硫酸化がセレクチン認識に重要であることを示唆するデータも示した
(以下で比較)。
幾つかの研究室は、広い範囲のアプローチを用いて、シアリルルイスX(sLex;
NeuAcα2,3Galβ1,4(Fuc α1,3)GlcNAc)として知られている血液群オリ
ゴ糖構造および幾つかの関連する構造が、E-セレクチンのリガンドとして機能
し得ると結論した。Loweら,(1990)Cell 63:475は、α1,3/4-フコシルトラン
スフェラーゼで非-ミエロイド細胞をトランスフェクトし、sLex決定基の発現と
関連するE-セレクチンのリガンド活性を生成した。Goeltzら(1990)Cell 63:1
349は、ミエロイド細胞におけるELAM-1リガンドの合成に関与しているよう
であるα1,3-フコシルトランスフェラーゼを同定し、クローン化した。より直
接的なアプローチを用いてPhillipsら,(1990)Science 250:1130、およびWa
lzら,(1990)Science 250:1132は、sLeX-含有糖コンジュゲートまたはsLex
に対する抗体のいずれかで、E-セレクチン依存性接着の阻害を示し得た。
Tiemeyerら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1138は、固相アッセ
イにおいて、E-セレクチン・トランスフェクト細胞に対してリガンド活性を有
する幾つかのミエロイド-由来糖脂質を精製した。精製したE-セレクチン結合糖
脂質の質量分析により、活性に必要な最小構造がN-アセチルグルコサミン(CD
65)上のα1,3-結合フコースを含有する第二の内部N-アセチルラクトサミン
単位を有するシアリル化ラクトサミンであることを明らかにした。Tiemeyerは
、sLeX置換を含む他の研究のように、シアル酸およびフコースの両方が予想リ
ガンドの結合活性に必須であると結論した。他の研究者らは、E-セレクチンリ
ガンドのO-結合オリゴ糖中にフコース、硫酸塩およびシアル酸が存在し、完全
なリガンド活性にはシアル酸のようにそのフコースを要すると結論した(Lasky
ら,米国特許第5,304,640号参照)。最後に、Hemmerichおよび共同研究者らは、
最近、6-硫酸化sLexがL-セレクチンリガンドGlyCAM-1上の主要なキャッ
ピング基であることを立証した(Hemmerich,S.ら(1994)Biochemistry 33:48
20;Hemmerich,SおよびRosen,S.D.(1994)Biochemistry 33:4830)。
P-セレクチンに対するリガンドの同定においても進歩があった。P-セレクチ
ンに対するリガンドは、特に、両方のセレクチンが酷似したスペクトルの細胞型
に結合するため、E-セレクチンに対するものと同一または酷似する可能性があ
る(Polleyら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:6224)。セレクチン構
造における顕著な相同性、ならびに、リガンドにおけるすでに立証された類似性
は、これらの分子が、関連するが微妙に異なる構造を含むであろうことを示唆し
ている。本明細書に引用した全ての刊行物および文献は出典明示して本明細書の
一部とみなす。
本発明者らは、その発明の1の態様において、Eおよび/またはP-セレクチ
ンに対して共通のリガンドをここに単離し、そのリガンドのオリゴ糖部分を同定
した。
発明の概要
本発明者らは、EおよびP-セレクチンに対する共通リガンド上のO-結合オリ
ゴ糖の構造を報告する。この分子は、多数のO-結合オリゴ糖を含むが、N-結合
オリゴ糖をほとんど含まない。Eおよび/またはP-セレクチンに対する他のリガ
ンドについて報告された知見とは反対に、本発明者らは、本明細書で同定したリ
ガンド上のO-結合オリゴ糖構造がLeX、Lea、sLeXまたはsLea型置換を全く
含んでいないことを見い出した。驚くべきことには、このリガンド上のO-結合
オリゴ糖構造はほとんどまたはまったくフコースを有していない。本明細書に記
載するリガンドもまた硫酸化オリゴ糖をほとんどまたはまったく含まない。かく
して、本発明者らは、真にユニークなリガンドを記載する。
本発明の1の目的は、セレクチンリガンドの精製方法を提供することである。
本発明のもう1の目的は、精製セレクチンリガンド、特にはEおよびP-セレク
チンに対する共通リガンドを提供することである。本発明のさらなる目的は、こ
のリガンド上のO-結合オリゴ糖構造を同定することである。もう1の態様は、
天然では見い出すものがない、セレクチンリガンドのグリコシル化変形の調製を
可能にすることである。もう1の態様において、本発明は、セレクチンリガンド
の炭水化物ベースの決定基を模倣するセレクチンインヒビターの設計方法を提供
する。本明細書中に論じる本発明のこれらのおよびさらなる目的は、この書類を
勉強した後の当業者には明らかであろう。
精製リガンドまたはそのフラグメント、ならびにリガンドの炭水化物およびポ
リペプチド要素、またはリガンドもしくはそのフラグメントに対する抗体は、P
-またはE-セレクチンあるいはその両方の結合インヒビター、診断アッセイおよ
びキットとして使用し得る。
本発明は、Eおよび/またはP-セレクチンに接着するこれらの単離分子、そ
のフラグメント、組合せおよび変形を包含する。Eおよび/またはP-セレクチ
ンに接着するそれらの能力に加えて、それらのムチン型O-結合オリゴ糖に加え
て、フコシル化O-結合オリゴ糖のそれらの欠失に加えて、Lexもしくはaまたは
sLexもしくはaのそれらの欠失に加えて、硫酸化オリゴ糖のそれらの欠失に加え
て、単離リガンドは、以下の具体例によって一般に特徴付けることができ、それ
は、分離してか、または種々の組合せで、および遊離状態または基質に結合して
いるかのいずれかで生じ得る。
(1)単糖類GalNAc、
(2)二糖類Galβ1,3GalNAc、
(3)Gal上の3で0または1のシアル酸で置換され、0または1のシアル酸が
GalNAcに結合した二糖類Galβ1,3GalNAc、
(4)四糖類Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,3GalNAc、
(5)1のシアル酸で置換され、該置換基が末端(非-還元)Galの3-位にあるか
、または還元GalNAcに結合しているかのいずれかである四糖類Galβ1,4Glc
NAcβ1,3/6Galβ1,3GalNAc、
(6)2のシアル酸(1のシアル酸は末端(非還元)Galの3-位にあり、もう1の
シアル酸は還元GalNAcの6-位に結合している)で置換された四糖類Galβ1,4
GlcNAcβ1,3/6Galβ1,3GalNAc、
(7)末端(非還元)Galの3-位または還元GalNAcのいずれかで1のシアル酸
で置換された六糖類Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Gal
β1,3GalNAc、
(8)2のシアル酸(1のシアル酸は末端(非還元)Galの3-位にあり、もう1の
シアル酸は還元GalNAcの6-位に結合している)で置換された六糖類Galβ1,4
GlcNAcβ1,3/6Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,3GalNAc、
(9)2のシアル酸(1のシアル酸は末端(非還元)Galの3-位にあり、もう1の
シアル酸は還元GalNAcに結合している)で置換された八糖類Galβ1,4GlcN
Acβ1,3/6Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,3Ga
lNAc。
図面の簡単な説明
図1;QAE-セファデックス(Sephadex)上でのE-およびP-セレクチンに対
するHL-60共通リガンドから単離した標識O-結合オリゴ糖の分離。
図2;サイズ-排除クロマトグラフィー上でのE-およびP-セレクチンに対す
るHL-60共通リガンドから単離したO-結合オリゴ糖の分離。
図3;E-およびP-セレクチンに対するHL-60共通リガンドから単離した
中性および電荷O-結合オリゴ糖のサイズ-排除分離。
図4;E-およびP-セレクチンに対するHL-60共通リガンドから単離した
O-結合12.8GUオリゴ糖の一連のエキソグリコシダーゼ消化。
図5;E-およびP-セレクチンに対するHL-60共通リガンド上の12.8G
U O-結合オリゴ糖のエキソグリコシダーゼ消化から得られた放射性フラグメン
トの分離。
図6;E-およびP-セレクチンに対するHL-60共通リガンド上の3.5およ
び2.5GU O-結合オリゴ糖の同定。
図7;P-およびE-セレクチンに対するほぼ120kDリガンドの精製。
本発明のさらなる説明および好ましい具体例、定義、略語および材料の供給源
本発明と結合して用いる幾つかの標準的な略語には:BSA(ウシ血清アルブ
ミン);DEAE(ジエチルアミノエチル);DMSO(ジメチルスルフォキシド);
ELAM-1(内皮細胞/白血球接着分子-1);NANA(N-アセチルノイラミン
酸);TFA(トリフルオロ酢酸);トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ン)が含まれる。
他の略語:C-型(カルシウム-型);Gal(ガラクトース);GlcN(グルコサミン)
;GalN(ガラクトサミン);GlcNAc(N-アセチルグルコサミン);GalNAc(
N-アセチルガラクトサミン);Fuc(フコース);Gal-6S(ガラクトース 6-
硫酸);GlcNAc-6S(N-アセチルグルコサミン 6-硫酸);GlcU-S(グルク
ロン酸モノ硫酸塩);HEV(高内皮細静脈);HPAEC(高-pHアニオン-交換
クロマトグラフィー);N-アセチルラクトサミン。
他の略語:Neu5Ac(N-アセチルノイラミン酸);SA(シアル酸);シアリルル
イスXまたはsLeX(Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAc);
ルイスXまたはLeX(Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAc);ルイスaまたは
Lea(Galβ1→3(Fucα1→4)GlcNAc);SDS-PAGE(ドデシル硫酸
ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)。
L-立体配置にあるフコース以外のすべての糖はD-立体配置にある。「リガン
ド」なる語は、適当な受容体に結合し得るいずれかのサイズまたは形態のいずれ
かの分子構造を説明するのに用いる。セレクチンに対する天然に発生するリガン
ドは、通常、該セレクチンと相互作用するオリゴ糖と共にポリペプチド骨格を有
する。ここに、リガンドなる語は、所望の様式で作用し得、かつ所望の効果を有
し得るいずれかの構造をいう。リガンドは、オリゴ糖部分のみを有し得る。より
好ましくは、該リガンドは、天然または合成ポリペプチド、天然または合成ポリ
マー、非ペプチド有機化合物、無機化合物、基質、または他の適当な骨格物質よ
りなる骨格とともにオリゴ糖部分を有する。特に断らない限り、リガンドなる語
の中にサイズ制限は本来存在しない。
物質
D-[6-3H]グルコサミン塩酸塩(32Ci/mmol)はAmersham Corp.社から、D
-[2-3H(N)]マンノース(21.0Ci/mmol)はNew England Nuclear(NEN)社か
ら購入した。コンカナバリンA-セファロースおよびQAE-セファデックスはP
harmacia社から、バイオゲル(Biogel)P-6はBioRad社から購入した。タチナ
タマメ β-ガラクトシダーゼおよびタチナタマメ β-N-アセチルグルコサミニ
ダーゼはSigma社から購入した。ザンソモーナス・マニホティス(Xanthomonas manihotis
)のβ-ガラクトシダーゼはNew England Biolabs社からのものであ
る。アースロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)のノ
イラミニダーゼはBoehringer社からのものである。アーモンド α-フコシダー
ゼはOxford Glycosystems社からのものである。Dulbecco修飾イーグル培地(
DMEM)、熱不活化ウシ胎児血清(FBS)、トリプシン、ペニシリンおよびス
トレプトマイシンはGibco社からのものである。供給は特に断らない限り標準的
な供給源からのものである。
利用、組成物および投与
本開示および本出願の請求の範囲に記載した化合物である炭水化物、オリゴ糖
、蛋白質、リガンドおよびそれらのフラグメントは、EおよびP-セレクチンに
対する結合および遮断活性を示す。この活性は、種々の血液関連疾患および障害
の予防または治療において治療的価値を有する。特に、該化合物を用いれば、血
小板白血球ロゼット形成および内皮細胞への白血球接着を阻害し得る。「白血球
」なる語には、好中球、好塩基球、好酸球、単球およびT-細胞サブセットが包
含される(de Bruijne-Admiraal,L.G.,Blood,vol.80.pp.134-142(1992年
8月)参照)。かくして、該化合物は、診断アッセイおよびキットの作製および使
用に重要であって、その調製に用い得る。当該分野において公知である多くの方
法を用いれば、血小板白血球ロゼット形成および白血球接着の阻害を立証し得、
それ故に診断キットまたはアッセイを製造し得る。
種々の疾病および障害もまた、本発明の化合物で治療または制御し得る。特に
、
本発明の具体例は:経皮経管冠動脈形成(PTCA)、心筋虚血、発作、血栓塞栓
症、深静脈血栓症、血栓溶解の促進、心肺バイパスに関連する肺傷害後の再狭窄
を包含する心血管疾患のごとき血液関連疾患;リューマチ関節炎、喘息、肺過敏
感疾患、特に腎臓、心臓および肝臓器官の器官移植;(出血性および敗血性)ショ
ック、多発性器官傷害症候群;熱傷害;自己免疫疾患、多発性硬化症;炎症性腸
疾患;ならびに、一般的炎症、血管新生および(特に、乳房、腸および肺の転移
ならびに神経芽腫のような)癌転移を包含する感染性疾患を治療するために該患
者に投与し得る。
オリゴ糖の機能は、それが結合する蛋白質とのコンジュゲートにおける以外は
単独で考慮してはならない(Rademacherら,Ann.Rev.Biochem.57,785-838(1
988)参照)。本発明の新規な剤は、したがって、例示的な以下の種々の可能性の
ある治療用途を有する:サイトカイン(例えば、TNF、腫瘍壊死因子)が関与す
る毒性およびカヘキシー症候群の治療(例えば、悪性腫瘍、前-痙攣毒症、出血性
ショック、肝臓疾患、呼吸器系苦痛症候群)。免疫抑制状態の化学療法(例えば、
悪性腫瘍-関連免疫-抑制、医原性免疫-抑制(すなわち、薬物))。糖蛋白質(EP)
または多価(EPC)オリゴ糖の使用、例えば、移植片-対-宿主反応(移植)を患う
患者の治療、宿主-対-移植片反応(移植)を患う患者の治療、ならびに、悪性疾患-
対-TNFの活性化の治療。
さらに、本発明の化合物を用いれば、心臓弁およびジョイント移植(特に、臀
部、膝部および一時的大腿)をコートして、白血球接着を阻害し得る。オリゴ糖
でのこれらの装置のコーティングには、また、オリゴ糖がポリマーに導入され、
ついで該装置に結合するポリマー調製物も含むであろう。
炭水化物、オリゴ糖、蛋白質、リガンド、それらのフラグメントまたはそれら
の処方を含む医薬組成物が本発明により提供される。本発明によるか、または本
発明の請求の範囲によって記載される炭水化物構造を有する種々のリガンドのご
とき本発明の化合物は、炎症を予防的に防ぐ、および/またはそれが始まった後
にそれを回避するかのいずれかによって、それを要する対象に投与して、該対象
を治療し得る。種々のデリバリーシステムが公知であり、該化合物の治療的デリ
バリーにそれを用い得る。該リガンドは好ましくは、医薬上許容される担体と一
緒に投与し、該担体の性質は、例えば、通常固体担体を用いる経口投与および/
またはIV、液体溶液担体の投与の投与様式で異なる。
投与方法には、限定するものではないが、静脈内経路が含まれる。一般に、成
人ヒトに投与するオリゴ糖の量は、約0.1〜20mg/kg、i.v.で4-14
日の範囲である。より好ましい範囲は、0.5〜2.5mg/kg投与量レベルで
あろう。当業者であれば、治療すべき疾患を容易に同定し、最適投与量をルーチ
ン的に決定し得るであろう。
選択の処方は、例えば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン
、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンセルロースナトリウム、炭酸マグネシ
ウム他を包含する種々の賦形剤を用いてなし得る。経口組成物は、溶液剤、懸濁
液、錠剤、丸薬、カプセル剤、持放性処方または粉末剤の形態を採り得る。主題
のリガンド分子は、DMSOのごとき浸透エンハンサーを含む経皮処方で直接投
与し得る。
他の局所処方を投与して皮膚炎症を治療し得る。十分量のリガンド分子を投与
して、炎症が予防し得るか、または緩和し得るかのいずれかとなり得るように、
炎症を起こすまたは実際に起こしていると予想されるEまたはP-セレクチンの
実質部分に結合させ得る。かくして、本明細書で用いる「炎症を治療する」とは
、炎症および/または炎症に関連する症状を予防し、または緩和することを意味
しなければならない。
典型的に、本発明の組成物は、1%未満〜約95%の有効成分、好ましくは約
10%〜約50%を含むであろう。
投与頻度は、患者応答性をベースとした注意によって決定する。他の有効投与
量は、確立した用量応答曲線の通常の試行を介して当業者によって容易に決定し
得る。投与すべきEまたはP-セレクチンリガンドの用量の決定においては、E
またはP-セレクチン受容体の全部を完全に遮断することを望むものがいないこ
とを注意しなければならない。正常な治癒過程を進行させるためには、少なくと
も幾つかの白血球細胞または好中球が、傷、感染または疾患状態を発生する領域
における組織に運ばれなければならない。遮断剤として投与するEまたはP-セ
レクチンの量は、患者の特定の要望に基づいて注意深く調整しなければならない
一方、治療すべき疾患のタイプのごとき種々の因子を考慮しなければならない。
本発明のリガンドまたは遮断剤を用いれば、リューマチ関節炎および多発性硬
化症のごとき疾患を包含する広範な範囲の疾患を治療し得ると考えられる。本発
明の組成物は、適用して、組織障害、腫張、炎症および/または苦痛を引き起こ
す範囲で組織中に蓄積する白血球細胞を発生する身体に対して免疫系が向けられ
るいずれの疾病状態も治療されなければならない。
リューマチ関節炎の炎症は、例えば、多数の白血球細胞が疾患領域の接合部に
迅速に入り、周辺の組織を攻撃した場合に発生する。
本発明の処方を投与すれば、また、心臓発作から生じた組織障害の効果後の望
ましくないものも予防し得る。心臓発作が発生して、抗凝固剤または血栓溶解剤
(例えば、tPA)の適用によるごとき患者が回復した場合、血塊が形成される内
皮細胞内層がしばしば障害を受ける。抗血栓剤が該血塊を除去した場合、酸素を
奪う内皮細胞内層における該血塊および他の障害組織の下側の障害組織が活性化
される。ついで、細胞が障害を受けてから数時間以内に、活性化内皮細胞はEま
たはP-セレクチンを発現する。ついで、セレクチンが血管に拡がり、そこでそ
れは白血球細胞表面上の糖蛋白質リガンド分子に接着する。多数の白血球細胞が
迅速に捕獲され、活性化内皮細胞の領域を取り囲む組織に運ばれ、炎症、腫張お
よび壊死を発生させ、それによって患者の生存の見込みが低下する。
心臓発作から生じる障害を患う患者の治療に加えて、実際の身体的障害を患う
患者を本発明の処方で治療して、身体の領域が重症の障害に付された後に通常生
じる炎症および膨潤の量を緩和し得る。本発明の処方を用いて治療し得る他の疾
病状態には、種々のタイプの関節炎および成人呼吸器系苦痛症候群が包含される
。本発明の開示を読んだ後は、当業者であれば、本発明の処方の投与によって治
療および/または緩和し得る他の疾患状態および/または症候群を認識するであ
ろう。
投与の他の様式は、本発明での使用も発見するであろう。例えば、本発明のリ
ガンド分子は、坐薬中に、ある種の場合においてはエアゾールおよび鼻腔内組成
物に処方化し得る。坐薬については、ビヒクル組成物には、ポリアルキレングリ
コールまたはグリセライドのごとき典型的な結合剤および担体が含まれるであろ
う。
鼻腔内処方は、通常、鼻粘膜への刺激を引き起こさず、繊毛機能も重大に障害
しない担体が包含されるであろう。水、生理食塩水または他の公知物質のごとき
希釈剤を本発明と一緒に使用し得る。鼻腔処方には、限定するものではないが、
クロロブタノールおよび塩化ベンザルコニウムのごとき保存料も含有し得る。界
面活性剤を存在させて、鼻粘膜による主題の蛋白質の吸収を向上し得る。
本発明のリガンド分子は、注射し得るものとして投与することもできる。典型
的には、注射し得る組成物は、溶液または懸濁液;注射前にも調製し得る液体担
体中の、溶液に適した固形形態として調製する。該調製物は、乳化するか、また
はリポソーム担体中に有効成分をカプセル化することができる。糖脂質および炭
水化物形態のリガンド、またはより詳細にはチャート1に記載した化合物は、和
合性の医薬上許容し得る賦形剤と混合し得る。適当な担体は、例えば、水、生理
食塩水、デキストロース、グリセリン、エタノール他ならびにそれらの組合せで
ある。加えて、所望により、該担体は、湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝化剤
のごとき微量の補助物質を含有し得る。投与量形態のごときの実際の製法は公知
であり、または、当業者に明らかであろう(Remington's Pharmaceutical Sci
ences,Mack Publishing Company社,Easton,PA,第17版,1985年参照
)。投与すべき組成物または処方は、いずれの場合においても、治療すべき対象
において望ましい状態を達成するに十分なリガンド分子の量を含むであろう。
本発明の種々のリガンド化合物は、それ自体で、あるいは前記した医薬上許容
される賦形剤物質と組合せて使用し得る。しかしながら、本発明のリガンド化合
物は、本発明の化合物がある種の様式で標識に結合したコンジュゲートとして製
造し得る。かかるコンジュゲートを形成することによって、本発明のリガンド化
合物は、炎症部位を検出し得るような標識用の生化学的デリバリーシステムとし
て作用する。本発明のリガンド化合物は、研究室プローブとして用いて、試料中
のEまたはP-セレクチンの存在につき試験することもできる。かかるプローブ
は、好ましくは放射性標識のごときで標識される。本発明は、最も実践的かつ好
ましい具体例が何であると考えられるかを本明細書で示し、記載する。しかしな
がら、本発明の範囲内から離れ得ることおよび明白な変形は、本開示を読めば当
業者が気付くであろうことは理解される。
発明の化合物
EおよびP-セレクチンに結合するO-結合オリゴ糖を有する糖蛋白質形態のリ
ガンドを開示する。より詳細には、本発明は、(a)Eおよび/またはP-セレク
チンの存在を検出し、(b)炎症領域をアッセイし、ならびに、(c)Eおよび/ま
たはP-セレクチンの効果を遮断することによって炎症を緩和するのに有用であ
る、Eおよび/またはP-セレクチンに結合する炭水化物リガンド、ならびに、
かかるリガンドを含有する組成物に関する。本発明らは、EおよびP-セレクチ
ンが、HL-60細胞から単離したムチン-様リガンド糖蛋白質上のオリゴ糖構造
を認識することに加えて、正常ヒト白血球から単離され、本発明を展開する酷似
蛋白質を見出した。
EおよびP-セレクチンに関連する事象の生物鎖に結合する能力を有し、妨害
し得るリガンド分子、ならびにEおよび/またはP-セレクチンを開示する。該
リガンド分子は、Eおよび/またはP-セレクチンに結合し、刺激された内皮細
胞に循環する好中球が結合するのを妨害することによって生化学的遮断剤として
作用し、それによって炎症応答の一次事象が予防される。該リガンドは、O-結
合オリゴ糖の形態であり、それは標識し、抗-炎症薬剤に結合し、および/また
は処方化して、(1)Eおよび/またはP-セレクチンの存在につき試料をアッセ
イするのに有用な組成物、(2)患者における炎症部位を検出するのに有用な組成
物、および(3)炎症を治療する(または特定の疾患の炎症症候を治療する)、ある
いは(4)Eおよび/またはP-セレクチンと循環する好中球との相互作用に関与
する他の効果を遮断するのに有用な医薬組成物を提供し得る。
本発明の重要な態様は、Eおよび/またはP-セレクチン受容体と循環する好
中球との相互作用から生じるいずれの望ましくない効果をも治療し、予防し、お
よび/または緩和するのに有用な医薬組成物である。かかる組成物は、医薬上許
容される賦形剤物質の形態の不活性成分、ならびにEおよび/またはP-セレク
チンに結合し得る化合物を含み、該化合物はチャート1に開示する一般構造式を
有する。本発明の第一の目的は、有用な処方中のEおよび/またはP-セレクチ
ンリガンドを提供することである。
もう1つの目的は、試料中のEおよび/またはP-セレクチンの存在につきア
ッセイするのに使用し得るEおよび/またはP-セレクチンリガンドを含む組成
物を提供することである。もう1つの目的は、炎症を治療するのに有用なEおよ
び/またはP-セレクチンリガンドを含有する医薬処方を提供することである。
他の目的には、炎症を治療し、該炎症部位を検出する方法を提供することが含
まれる。本発明の利点は、リガンドが、Eおよび/またはP-セレクチンに効率
的に結合し、それによって、炎症および/または他の有害な効果を生じる多くの
受容体に好中球が結合することを遮断する、非-毒性形態のオリゴ糖および/ま
たはその誘導体および模倣物であることである。本発明の特徴は、該リガンドを
標識し得、かつ該標識リガンドをアッセイに使用して試料中のEおよび/または
P-セレクチンの存在を検出し得ることである。本発明の他の特徴には、過剰量
の白血球の部位への結合によって特徴付けられる広範囲の疾患の炎症症候を緩和
する本発明の医薬処方の能力が含まれる。
本発明のこれらのおよび他の目的、利点および特徴は、以下に十分に記載する
単離、構造、処方および慣習の詳細を読み、(記号等が分子基等を全体にわたっ
て示す)本発明の一部を形成する添付図面および一般構造式に参照すれば、当業
者に明らかになるであろう。
本発明のEおよび/またはP-セレクチンリガンド、オリゴ糖、蛋白質、DN
A、それらのフラグメントならびにかかるリガンドを含有する組成物、ならびに
かかるものを単離し使用する方法を記載する前に、本発明が、記載する特定の組
成物、方法またはプロセスそれ自体に限定されるものでないことは理解される。
組成物および方法は、勿論、変動し得る。また、本明細書にて用いる用語が特定
の具体例を説明するのみの目的であって、限定することを意図したものでないこ
とも理解される。
本明細書および添付する請求の範囲において使用する「ある種」および「該」
を形成する冠詞には、文脈が特に明らかに示さなければ、複数の指示対象を包含
することを注意しなければならない。かくして、例えば、「リガンド」に対する
参照にはリガンドの混合物が含まれ、「Eおよび/またはP-セレクチンリガン
ド」に対する参照にはかかる分子の混合物に対する参照が含まれ、「処方」また
は「方法」に対する参照には本明細書に記載するタイプの1または2以上の処方
、方法および/または工程が含まれ、および/または、このことは、本開示、本
明細書に引用する参照、参照および記載した他の適当なものを読めば、当業者な
ら明らかになるであろう。
全体像 血管壁は、内皮細胞と共に内部的に並んでいる。内皮細胞は、細胞に
Eおよび/またはP-セレクチンを発現させるように活性化し得る。赤血球およ
び白血球は双方とも血管中を流動する。白血球は、リガンドが受容体、すなわち
、セレクチンへ結合することを許容する化学および物理特性を有する炭水化物リ
ガンドを示す。リガンドが受容体に結合したら、白血球細胞が血管壁を通って周
辺組織に運ばれる。周辺組織に運ばれた白血球細胞は、疾病と戦うごときプラス
の効果と、炎症のごときマイナスの効果とを有し得る。
本発明者らは、白血球細胞の表面上の存在から離れてリガンドを単離し、特徴
付けた。これらの単離リガンドは、それ自体でEおよび/またはP-セレクチン
に接着し、医薬組成物に処方化し得、これを投与した場合には、Eおよび/また
はP-セレクチンを効果的に遮断し、白血球細胞へ結合する受容体の接着を阻害
するであろう。医薬上有効な量のリガンドを投与することにより、全部ではない
が幾分かの白血球細胞は周辺組織に到達しないであろう。白血球細胞が周辺組織
に到達する速度を遅くすることによって、炎症を予防および/または緩和し得る
。
生じる急性炎症応答については、循環好中球が結合し、血管壁を侵入して傷害
部位に接近しなければならないことが知られている。幾つかの分子がこの相互作
用に関与しており、これには、予想炭水化物リガンドのファミリーおよびそれら
の受容体、すなわち、セレクチンが含まれる。本発明は、かかるリガンドの単離
および特徴付けを含む。本発明は、Eおよび/またはP-セレクチンに接着する
単離分子、それらのフラグメント、組合せおよび変形を包含する。Eおよび/ま
たはPセレクチンに対して接着するそれらの能力に加えて、それらのムチンタイ
プO-結合オリゴ糖に加えて、フコシル化o-結合オリゴ糖のそれらの欠失に加え
て、LexもしくはaまたはSLexもしくはaのそれらの欠失に加えて、硫酸化オ
リゴ糖のそれらの欠失に加えて、単離リガンドは、別々に、または種々の組合せ
のいずれかの以下の具体例:
(1)単糖類GalNAc、
(2)二糖類Galβ1,3GalNAc、
(3)GalNAcに結合したGal上の3位にある0または1のシアル酸
で置換された二糖類類βGalβ1,3GalNAc、
(4)四糖類Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,3GalNAc、
(5)末端(非還元)Galの3-位にあるか、または、還元GalNAcに結
合しているかの1のシアル酸で置換された四糖類Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6
Galβ1,3GalNAc、
(6)2のシアル酸(そのうちの1のシアル酸は末端(非還元)の3位に
あり、もう1のシアル酸は還元GalNAcに結合している)で置換された四糖類G
alβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,3GalNAc、
(7)末端(非還元)Galの3位にあるか、または、還元GalNAcに結
合しているかの1のシアル酸で置換された六糖類Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6
Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,3GalNAc、
(8)2のシアル酸(そのうちの1のシアル酸は末端(非還元)Galの3-
位にあり、もう1のシアル酸は還元GalNAcに結合している)で置換された六糖
類Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,3GalN
Ac、
(9)2のシアル酸(そのうちの1のシアル酸は末端(非還元)Galの3-
位にあり、もう1のシアル酸は還元GalNAcに結合している)で置換された八糖
類Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,4GlcNAcβ1,3/6Galβ1,4GlcN
Acβ1,3/6Galβ1,3GalNAc
によって一般的に特徴付けられ得る。
HL-60細胞から単離したEおよびP-セレクチンに対して共通のリガンドか
ら回収したO-結合オリゴ糖構造も、チャート1に示して要約する。チャート1
は、タイプA-Eと命名した5タイプの構造を要約している(チャート1には図示
していない2のさらなるタイプの構造もリガンド上に存在し得、それらは、タイ
プFおよびGといい、「明らかな変形および好ましい化合物」と標した以下のセ
クションで論じる)。チャート1が、結合記号でスラッシュによって分離した2
の数字を含む場合、それはこの結合が決定的に決定したものでないことを示し;
幾つかの末端シアル酸の「±」は、この位がシアル酸とコンジュゲートし得るか
、または、し得ないことを示している。
これらの5タイプのオリゴ糖は、グルコース単位(GU)で、それの対応するサ
イズ(シアル酸なしの)によって示され得る。GUとはサイズ指標である。12.
8GUオリゴ糖は、いずれかのグルコースも含む必要はなく、むしろ、12.8単
位を含有するグルコースオリゴマーとそれが同サイズであろう。かくして、チャー
ト1は、一番上から一番下にかけて、最初は、示すごとく2のシアル酸残基を含
有する12.8GUのサイズの1タイプのオリゴ糖を示しており、このオリゴ糖
をタイプAまたは12.8GUと命名する。チャート1において一番上から2番
目は9.8GUのサイズのオリゴ糖であり、これは、2の形態、すなわち、示す
位置に1または2のシアル酸残基を含むものが存在し得、このオリゴ糖はタイプ
Bまたは9.8GUと命名する。3番目は、示すごとく、0、(いずれかの位置に
)1または2のシアル酸残基を含有する6.3GUのサイズのオリゴ糖であり、タ
イプCまたは6.3GUと命名する。4番目は、0、1または2のシアル酸残基
を有する3.5GUのサイズのオリゴ糖であり、タイプDまたは3.5GUと命名
する。ついで、5番目は、2.5GUのサイズのシアル酸残基を有していないオ
リゴ糖であり、タイプEまたは2.5GUと命名する。グルコース単位、GUで
示したサイズはシアル酸を含まない。
チャート1に示す各炭水化物についてのシアル酸残基の相対分布を表3に示す
。
1のシアル酸を運ぶ構造については、(末端ガラクトース上または還元N-アセ
チルガラクトサミン上の)オリゴ糖上のこの置換基の位置は決定していない。Ga
lNAcそれ自体以外のすべてのオリゴ糖は、比較的にシンプルな設計の構造に基
づくコア1である。12.8、9.8および6.3GUオリゴ糖は、N-アセチルラ
クトサミン反復単位の数およびシアル化パターンであるそれらの間の変動のみを
有するすべて線状の非分岐ポリ-N-アセチルラクトサミン反復構造である。
E-およびP-セレクチンに対するオリゴ糖リガンド上のルイスXまたはルイスa
タイプ-フコース置換を示唆する文献中の豊富なデータによると、これらのタイ
プの置換が、この分子から回収した構造に欠失しているようであることは注目に
値する。幾つかの実験(そのすべては失敗した)が、HL-60リガンドからのオ
リゴ糖上のフコースの存在を立証することを目的として行われた。
3H-マンノースは該分子上の同定し得るオリゴ糖構造に取り込むことができず
、該分子から単離した[3H]-グルコサミン標識オリゴ糖はα-フコシダーゼ消化
に対して感受性でなかった。さらに、すべての構造は、β-ガラクトシダーゼお
よびβ-N-アセチルグルコサミニダーゼでの別の消化によって完全に分解するこ
とができ、このことは、分岐フコースが存在しないことを示唆している。
最後に、オーレリア・アウアランティア(Aurelia auarantia)のレクチンに結
合するか、または、それといずれかの他の方法で相互作用するリガンド分子から
o-結合オリゴ糖は全く単離されなかった。このレクチンは、末端フコースを含
むオリゴ糖を特異的に認識する。
かくして、HL-60リガンド上のO-結合オリゴ糖構造は、E-およびP-セレ
クチンに対するリガンドについて以前に報告したN-アセチルラクトサミン特徴
を分有するが、ルイスタイプの置換基を欠失している(Varki,A.(1994)Proc.
Natl.Acad.Sci.USA,91:7390)。
より大きな(12.8、9.8および6.3GU)構造の大部分は、再度、セレク
チン結合についてのシアル酸の報告された要件と一致して、シアル化されている
(表3)。
しかしながら、GalNAc(2.5GU)が全く、および、ほぼ75%のGalβ1
,3GalNAc(3.5GU)がいずれのシアル酸も含んでいないことは注意しなけ
ればならない。しばしば、各々、Tn(GalNAc)およびT(Galβ1,3GalNA
c)と呼称されるこれらの2種の構造は、多くの癌、例えば、腸および乳癌で見ら
れる公知の癌抗原である(Springer,G.F.(1984)Science 224:1198;Spring
er,G.F.(1989)Mol.Immunol.26:1;およびOrntoft,T.F.ら(1990)Int
.J.Cancer 45:666参照)。
E-およびP-セレクチンに対するHL-60共通リガンド上のO-結合オリゴ糖
上のシアル酸の分布の概要については、表3に示す。
リガンドのすべての構造によって分有運されているさらなる特徴は、それらが
非分岐であることである。前記したごとく、(GalNAcを除く)すべての構造は
同一のコア、コア1に基づいており、還元N-アセチルガラクトサミンが2のシ
アル酸を含む構造上のシアル酸で恐らく置換されていることを除いては分岐が存
在せず;1のシアル酸を含有するいずれかの構造上のシアル酸でこの位置を置換
した場合は知られていない。
非分岐の、ラクトサミンを含有するO-結合オリゴ糖は、哺乳動物においては
比較的限定して分布するようである。Complex Carbohydrate Databaseにおい
て構造を合致させる検索により、6.3GUオリゴ糖がヒト呼吸器外傷ムチンの
種々の調製で以前に記載されている(van Halbeek,Hら(1982)Eur.J.Biochem
.127:7;Lamblin,Gら(1984)Eur.J.Biochem.143:227;Lamblin,G.ら(
1984)J.Biol.Chem.259:9051;Berg,J.ら(1987)Eur.J.Biochem.168:5
7;Klein,Aら(1988)Eur.J.Biochem.171:631;Lehrmitte,M.ら(1991)
Glycobiology 1:277;human salivary mucins,Klein,A.ら(1992)Bio-chem
istry 31:6152;human seminal mucins,Hanish,F.G.ら(1986)Eur.J.Bi
ochem.155:239;human meconium glycoproteins,Lawson,A.M.ら(1991)Ca
rbohydr.Res.221:191;human milk β1,4galactosyltransferase,Amano,J
.ら(1991)J.Biol.Chem.226:11461;およびporcine zona pellucida,Hiran
o,T.ら(1993)Eur.J.Biochem.214:763)ことが明らかとなった。
9.8GUオリゴ糖は、human milk β1,4 galactosyltransferase,Amano,
J.ら(1991)J.Biol.Chem.266:11461;porcine zona pellucida,Hirano,T
.ら(1993)Eur.J.Biochem.214:763;Collocalia mucin,Hanisch,F.G.
およびUhlenbruck,G.(1984)Hoppe-Seyler's Z.Physiol.Chem.365:119;
およびhuman leucocyte common antigen,Childs,R.A.ら(1983)Biochem.B
iophys.Res.Commun.110:424に報告されている。
12.8GUオリゴ糖の1のみの以前の記載は、porcine zona pellucida,Hi
rano,T.ら(1993)Eur.J.Biochem.214:763において見出された。
幾つかの他の哺乳動物糖蛋白質上のこれらのオリゴ糖構造の異常な特徴の欠失
および存在(前記参照)は、結合特異性および親和性がリガンド上の単一オリゴ糖
を超えるものと関連し得ることを示している。チャート1に同定した2または3
以上の炭水化物は、リガンド上に高親和性結合ドメインを協同的に生成し得る。
本明細書に記載するリガンドは、ムチン様と記載し得る特徴を有し;それは広
範囲にわたってO-グリコシル化されており;リガンド上には3またはより少な
いN-結合オリゴ糖しか存在しない。O-結合オリゴ糖は強固なクラスターを形成
するようである。該分子は、プロナーゼまたはトリプシンによる分解に対して非
常に耐性である。
結合「パッチ」のタイプを含む高親和性結合ドメインに関するさらなる事実は
、以下の実験によって提供され、この実験では、固定化E-またはP-セレクチン
に結合し得る単一オリゴ糖構造(群)または糖ペプチドフラグメント(群)を同定す
ることができないことを示している。
精製した、[3H]-グルコサミン標識リガンド分子のE-またはP-セレクチンカ
ラムへの再-適用は、親和性マトリックスへのかなりの結合を生じた。トリプシ
ンは、ある程度の結合活性を保有するフラグメントを生じた。同様にして、合計
精製O-結合リガンドオリゴ糖、すなわち、全5の構造を一緒にE-セレクチンカ
ラムに適用し、カラムから素通りした画分中に実質的に全部の適用した放射能が
回収された。一まとめにすると、これらの結果は、より好ましいリガンドが単一
オリゴ糖構造を超えるもの(おそらくはセレクチンとの高-親和性相互作用に要し
得る特異的配置で示されている)を有するという観察と一致する。本明細書に引
用した書類は出典明示して本明細書の一部とみなす。
明白な変形および好ましい化合物
前記の議論は、好中球が本明細書ではリガンドと呼称する表面分子を有し、そ
のリガンドが、本明細書ではE-またはP-セレクチンと呼称する受容体である内
皮細胞表面上の受容体分子に対して高親和性を有し、それに結合することを立証
している。リガントとして作用する抽出したより大きな分子はそのように作用す
る。なぜならば、それは、EまたはP-セレクチンに対する接着に要する分子の
特定の点に特定の分子立体配置を有するからである。本明細書の実験は、最初に
、EまたはP-セレクチンに対して接着する分子群を単離し、特徴付け、その後
に、これらの分子のオリゴ糖構造を詳細に同定し、特徴付けた。
チャート1に開示する一般構造式には、EまたはP-セレクチン受容体に接着
し得る単離化合物の特徴的な特徴を含む多数の化合物が包含される。構造の変形
も可能であるが、但し、それらの変形は、EまたはP-セレクチンへのリガンド
の接着を妨害するであろう構造および/または電荷-関連特徴を変化させるもの
であってはならない。かくして、その最も広い意味において、本発明は、チャー
ト1、および以下に論じるタイプFおよびGに開示する分子のみならず、その同
等物をも包含し、その同等物は、Eおよび/またはP-セレクチンに接着するチャ
ート1の分子と同等またはそれより大きな程度でEおよび/またはP-セレクチ
ンに接着する親和性および能力を有する。もちろん、かかるさらなる分子の特徴
は、本明細書に記載する接着アッセイおよび/または制御された脱着力条件下で
Eおよび/またはP-セレクチンに対する予想リガンドの接着を試験する関連ア
ッセイを用いて確認し得る。
抽出され、および/または合成し得る他のかかる分子は、患者のEおよび/ま
たはP-セレクチン受容体を少なくともある程度で遮断し、かくして、Eまたは
P-セレクチンの表面上のセレクチンリガンドの接着が阻害され、それによって
かかる好中球が結局起こす有害な応答(例えば、炎症)が回避されるように、患者
に直接使用し、および/または処方化し、デリバリーし得る。
前記で論じ、チャート1、タイプA-Eに示す5タイプのオリゴ糖が存在する
。
これらの5タイプに加えて、より少量の少なくとも2の他の僅かに異なるタイ
プのオリゴ糖、タイプFおよびGが存在し得る。
ここで、チャート1および図4に参照して、12.8および9.8GUオリゴ糖
からの11.8および8.8GU分解産物のβ-N-アセチルグルコサミニダーゼ消
化の際に、各々、11.8GUおよび8.8GUピーク中の全放射能は溶出容量に
おけるシフトを示しておらず、したがって、2のピーク(9.8および12.8G
U)はさらなる構造を含有している可能性がある。これらの2のピークはタイプ
FおよびGオリゴ糖を表す。タイプFおよびGオリゴ糖はタイプBまたはAとし
ての同分布のシアル酸を有し、それらは同サイズで、それらはフコースおよび硫
酸塩を全く含有していない(タイプ-A-12.8GUはタイプGに相当し、タイプ
B-9.8GUはタイプFと同サイズである)。
リガンド分子上の5または7タイプの各オリゴ糖の1コピーは、リガンド上の
合計炭水化物を表すことを意図するものではない。
リガンドのムチン様特徴は、それが多数のオリゴ糖構造を含有することを示唆
している。同様なリガンド分子(クローン化されたもの)は、o-グリコシド的グ
リコシル化用の53の予想部位を含有している(Sakoら,(1993)Cell 75:1179;
Elhammerら,(1993)J.Biol.Chem.268:10029)。したがって、5または7の
オリゴ糖がリガンド分子上に2以上のコピーで存在し、セレクチンによって認識
される特徴はいずれかの数の異なるタイプの構造のいずれかの組合せを含み得る
ようである。
リガンドが受容体、EまたはP-セレクチンと結合した場合、それは選択され
た組合せの炭水化物を用いて結合する。ある種の組合せが確かに必要であり、そ
の範囲は1〜7タイプのオリゴ糖(群)、好ましくは5タイプA〜Eとし得る。
数種の他の哺乳動物糖蛋白質における異常な特徴の欠失およびこれらのオリゴ
糖構造の存在は、結合特異性および親和性を付与する特徴がリガンド上の単一オ
リゴ糖と関連せず、むしろ2以上の構造が高親和性結合ドメインを協同的に作成
し得ることを示唆している。
セレクチンリガンドに関する最近の概説においてVarkiは、セレクチンとその
リガンドとのこのタイプの相互作用が最もありそうであると結論しており;また
、彼は、現在に至って簡単に記載されてきたある種のリガンド分子のムチン様特
徴がいかにしてこのタイプの結合「パッチ」に適応し得たかも記載している(Vark
i,A.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA:7390)。本明細書に記載するリガ
ンドは、ムチン様として記載し得る特徴(それが広範囲にわたってO-グリコシル
化されていること;該分子に顕著な量のN-結合オリゴ糖も存在すること)を有す
る。O-結合オリゴ糖は、強固なクラスターを形成するようであり、該分子はプ
ロナーゼまたはトリプシンによる分解に対して非常に耐性である。
特異的オリゴ糖リガンド構造の例をこれにより提供する。
本発明のある種の具体例において、予想リガンドのいずれかの数および1〜3
、より好ましくは2のいずれかの数および組合せて組合せた、7タイプ(A-G)
、好ましくは5タイプ(A-E)のオリゴ糖の1のみ、2のみまたは3のみのいず
れかの組合せ(タイプA-Eのみをチャート1に示す)が存在する。また、記載し
、特許請求するのは、オリゴ糖組合せがそれ自体でいずれかの数の回数反復する
多価形態である。
例えば、予想リガンドに対して、1〜3のいずれかの数および組合せで、7タ
イプ(A-G)のオリゴ糖の7のうちの1のみが存在する場合の具体例が考えられ
る。3の可能な組合せで、いずれかの数の回数反復する7タイプのオリゴ糖のう
ちの1のみが存在するであろう。これにより、3のみ×7または21の可能性(
A、AA、AAA、B、BB、BBB、C他)が許容される。より好ましくは、
2の可能な組合せで5タイプのみのうちの1が具体化するであろう。これにより
、5のみの可能性(AA、BB、CC、DD、EE)が許容されるであろう。
なおより好ましくは、2のみの可能な組合せで、恐らくいずれかの数の回数反
復する5タイプのオリゴ糖のうちの2のみが存在する具体例である。この具体例
により、予想リガンドについて15のみのユニークな可能性(AA、AB、AC
、AD、AE、BB、BC、BD、BE、CC、CD、CE、DD、DE、EE
)
が許容される。
オリゴ糖の順序も重要となり得る。
1の具体例は、いずれかの数の回数反復する、3のユニークな可能な組合せで
7の可能なオリゴ糖のうちの3を許容するであろう。これにより、7×(7×7)
または343の可能性が許容されるであろう。これらの可能性のいくつかをここ
に示す。
AAA、AAB、AAC、AAD、AAE、AAF、AAG、
ABA、ABB、ABC、ABD、ABE、ABF、ABG、
ACA、ACB、ACC、ACD、ACE、ACF、ACG、
ADA、ADB、ADC、ADD、ADE、ADF、ADG、
AEA、AEB、AEC、AED、AEE、AEF、AEG、
AFA、AFB、AFC、AFD、AFE、AFF、AFG、
AGA、AGB、AGC、AGD、AGE、AGF、AGG、
BAA、BAB、BAC、BAD、BAE、BAF、BAG、
BBA、BBB、BBC、BBD、BBE、BBF、BBG、
BCA、BCB、BCC、BCD、BCE、BCF、BCG、
BDA、BDB、BDC、BDD、BDE、BDF、BDG、
BEA、BEB、BEC、BED、BEE、BEF、BEG、
BFA、BFB、BFC、BFD、BFE、BFF、BFG、
BGA、BGB、BGC、BGD、BGE、BGF、BGG、
このシリーズはすべての可能なタイプ、すなわち、CAA...CCC...CGG
他;DAA...DDD...DGG他;EAA...EEE...EGG他;FAA...F
FF...FGG他;GAA...GGG...GGG他に連続している。3の組合せシ
リーズは、タイプA-FにわたってタイプA-Eが好ましい。
化合物の調製および分析方法分析方法
代謝的標識、リガンド分子の単離ならびに放射標識オリゴ糖および糖ペプチドの
調製
HL-60細胞は、ノーマルRPMI培地において48時間、3H-グルコサミ
ン(50μCi/ml)で標識した。
P-セレクチンリガンドの調製
P-セレクチン・アフィニティーカラム(Affi-Gel 15樹脂10ml上にカップ
リングした精製ヒト血小板P-セレクチン10mg)およびウシ血清アルブミンで
ガードしたカラムは、Maら(1994)J.Biol.Chem.269,27739-27746によって
記載されているごとく調製した。標識細胞は、Mooreら((1992)J.Cell Biol.
118,445-456)によって記載されているごとく洗剤で溶解し、その細胞溶解物を
、CaCl2存在下でBSAガードカラムを通したP-セレクチン・アフィニティー
カラムに適用した。PBS 50ml、pH7.4、1mM CaCl2、0.01%Bri
j-35および0.02%NaN3で洗浄した後、Maら((1994)J.Biol.Chem.印刷中
)によって記載されているごとく、結合物質を10mM EDTAを含有する同緩
衝液で溶出した。
リガンド分子の純度は、SDS-PAGE上でルーチン的に測定し;該精製調
製物は1のみの放射性蛋白質バンドを含有していた(図7)。ついで、Wesselお
よびFlugge,(1984)Anal.Biochem.138:141によって記載されている方法を
用いて、精製放射標識分子を沈殿させて塩および洗剤を除去し、実質的にCarlson
,(1968)J.Biol.Chem.24:616によって記載されているごとく温和なアルカリ
性ホウ水素化ナトリウム処理によってO-結合オリゴ糖を遊離させた。(SDS-
PAGEによって測定した)沈殿工程におけるリガンド分子の回収率は、不変動
で>90%であった。遊離したオリゴ糖構造は、分析前にSepPak C18カート
リッジ上で精製した。
55℃にて4時間、100mM Tris-HCl、pH8.0、20mM CaCl2
中のプロナーゼ(2mg/ml)で消化することによって、糖ペプチドを無傷の精製
放射標識リガンド分子から調製した。
図7.P-およびE-セレクチンに対する〜120kDリガンドの精製
[3H]GlcNAcで標識したHL-60細胞をTriton X-100で溶解し、Ca2+
存在下にてP-セレクチン・アフィニーカラムまたはE-セレクチン受容体-グロ
ブリン・アフィニティーカラムに別々に負荷した。よく洗浄した後、結合物質を
EDTAで溶出し、(還元条件下の)7%SDS-PAGE、つづいてオートラジ
オグラフィーに付した。レーン1、P-セレクチン・アフィニティーカラムから
の溶出物;レーン2、E-セレクチン受容体-グロブリン・アフィニティーカラム
からの溶出物。
酵素処理
アースロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)のノイ
ラミニダーゼ(2U/ml)での消化は、100mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH5
.0中で18時間行い;タチナタマメ β-ガラクトシダーゼ(400mU/ml)は
50mM クエン酸-リン酸、pH4.6中で48時間;タチナタマメ β-N-アセ
チルグルコサミニダーゼ(4.15mU/ml)は50mMクエン酸ナトリウム、p
H5.6中で18時間;ザンソモーナス・マニホーティス(Xanthomonas manihot is
)のβ-ガラクトシダーゼ(167U/ml)は50mMクエン酸ナトリウム、pH4.
5中で18時間;アーモンド α-フコシダーゼ(0.2mU/ml)は50mMクエ
ン酸ナトリウム、pH5.0中で18時間行った。すべての酵素消化は、トルエ
ン大気下37℃で行った。
カラムクロマトグラフィー
QAE-セファデックス上のイオン-交換クロマトグラフィーは、実質的にVar
ki,A.およびKornfeld,S.(1983)J.Biol.Chem.258,2808-2818によって記
載されているごとく行った。電荷オリゴ糖は、2mM Tris塩基中の上昇する濃
度のNaClでステップ-ワイズ溶出し;1.5ml画分を採取し;カラムベッド容
量は1mlであった。アースロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ur eafaciens
)のノイラミニダーゼでの消化によってシアル酸を除去した。
サイズ排除クロマトグラフィーおよび脱シアル化オリゴ糖の一連のエキソグリ
コシダーゼ消化は、Biogel P-4タイプのカラム(Glycan Sizing Column,
Oxford Glycosystems社)およびHigh-Resolution Program(30μl/分で3
66分につづき234分にわたって200μl/分まで線形上昇する)を用いた
GlycoMap Chromatograph上で行い;2滴の画分(ほぼ90μl)を採取した。
濾紙クロマトグラフィー
合計放射性アミノ糖組成を決定するため、試料を6N HCL中、100℃に
て4時間加水分解(強酸加水分解)し、再-アセチル化し、Cummings,R.D.およ
びKornfeld,S.(1982)J.Biol.Chem.257,11230-11234によって記載されて
いるごとくホウ酸を浸透させたペーパー上で分離した。中性糖(マンノースおよ
びフコース)組成は、酢酸エチル-ピリジン-水(8:2:1)中で16時間下降型
濾紙クロマトグラフィー上で3H-マンノース標識オリゴ糖加水分解物(2M トリ
フルオロ酢酸、100℃にて4時間)を分離することによって測定した。小さな
放射性オリゴ糖は、ピリジン-酢酸エチル-氷酢酸-水(5:5:1:3)中の下降型濾
紙クロマトグラフィー上で19-20時間分離した。シアル酸は、酢酸イソアミ
ル-氷酢酸-水(3:3:1)中の下降型濾紙クロマトグラフィー上で20時間分離
した。
好ましい具体例の調製
E-およびP-セレクチンに対するHL-60リガンド上のオリゴ糖構造の特徴
付け
放射性単糖(アミノ糖)の分離は、HL-60リガンド分子上の合計オリゴ糖構
造の強酸加水分解からホウ酸濾紙クロマトグラフィーによって得られ、大部分の
放射能はGalNAc標準と共-移動し、GalNAc:GlcNAc比はほぼ1.8:1と
なった。
プロナーゼでの無傷[3H]-グルコサミン標識分子の消化によって調製した糖ペ
プチドは、コンカナバリン A-セファロース上で分離した。これは、実質的に全
部の適用した放射能をカラムから素通りする画分に溶出し、顕著な量の放射能を
ハプテン糖、α-メチルマンノシドおよびα-メチルグルコシドによって溶出し、
このことは、リガンド分子がいずれの高-マンノース、ハイブリッドまたは二-触
覚(antennary)複合体タイプのオリゴ糖も含んでいないことを示唆している。
リガンド分子上のN-結合グリカンの部分的特徴付けからの結果は、これらの
構造が、外側鎖を含有する多量のポリ-N-アセチルラクトサミンとの複数接触複
合体が優勢であり;これらの構造の大部分がコア-フコシル化されていることを
示唆している。
合計O-結合オリゴ糖は、温和なアルカリ性ホウ水素化ナトリウム処理によっ
て精製[3H]-グルコサミン標識リガンド分子から切断した。ついで、遊離したオ
リゴ糖をQAE-セファデックス上で分画し、電荷構造をステップ-ワイズで上昇
するNaCl濃度で溶出した(図1および表1)。
図1.QAE-セファデックス上での、E-およびP-セレクチンに対するHL-
60共通リガンドから単離した標識O-結合オリゴ糖の分離
O-結合オリゴ糖構造の電荷分離
総計O-結合オリゴ糖は、精製イン・ビボ[3H]-グルコサミン標識共通リガン
ドまたはEおよびP-セレクチンから単離し、QAE-セファデックス上で分画し
た。中性ならびに1および2個のオリゴ糖を含有するオリゴ糖は、各々、カラム
素通り画分中ならびに20および70mM NaClで溶出された。
カラム上に負荷した放射能のほぼ12%は、イオン-交換マトリックスと相互
作用せず、素通り画分に回収された。残りの放射能は1および2の電荷を有する
画分に各々溶出された(表1および図2参照)。QAEクロマトグラフィーからの
電荷および中性画分中の放射能の分布における幾分かの変動が、異なるリガンド
調製物において認められた。
対照実験は、140mM NaClで溶出された小ピーク中の放射能が部分的に
70mM NaCl溶出物中の後期溶出画分の一部分を、および部分的に(糖)ペプ
チドフラグメントを表すことを示している。
アースロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)のノイ
ラミニダーゼで消化後の電荷画分の再クロマトグラフィーは、QAE-セファデ
ックスカラム素通り画分中に溶出される電荷画分および1の電荷を有する物質を
含有する画分に溶出される残りの部分(70mMおよび20mM溶出物について
各々24%および25%)の両方に大部分の放射能を生じた。これらのノイラミ
ニ
ダーゼ耐性の電荷画分中の放射性物質は、濾紙クロマトグラフィーによって同定
した。
1または2のいずれかの電荷を有する構造を含有する画分からのノイラミニダ
ーゼ耐性放射能は、遊離シアル酸としてクロマトグラフィーに付したものの95
%を超える放射能を含有していた。このことは、ノイラミニダーゼ消化が試料中
のオリゴ糖からシアル酸を完全に除去し、ノイラミニダーゼ処理後にその電荷を
保持する放射能が遊離シアル酸のみを表すことを意味している(表1参照)。O-
結合オリゴ糖構造の電荷分離は、E-およびP-セレクチンに対するHL60共通
リガンドから単離した。
O-結合オリゴ糖構造のサイズ排除クロマトグラフィー
ノイラミニダーゼ消化オリゴ糖を、続いてサイズ-排除クロマトグラフィーに
よって分離した。図2は、分子上のO-結合オリゴ糖の完全な混合物の分離を示
している。糖の混合物は、各々、12.8、9.8、6.3、3.5および2.5グ
ルコース単離(GU)よりなるオリゴマーの位置に溶出する5のピークに分離され
た。表2は、クロマトグラム上の5のピーク中の放射能の分布を示している。ま
た、この表には、分子上のオリゴ糖構造の最終特徴付けに基づく、各構造中のア
ミノ糖の数および分子上の個々のオリゴ糖の分布(合計オリゴ糖の%)も含まれる
。図3は、各々、0、1および2の電荷を含有する構造部分のサイズ分離を示す
(表3、図2および図3参照)。
図2.E-およびP-セレクチンに対するHL-60共通リガンドから単離した
O-結合オリゴ糖のサイズ排除クロマトグラフィー上での分離
合計O-結合オリゴ糖を精製イン・ビボ(in vivo)[3H]-グルコサミン標識E/
P-セレクチンリガンドから単離し、シアル酸をノイラミニダーゼ消化によって
除去し、得られた中性オリゴ糖をGlycoMapカラム上で分離した。クロマトグラ
ム上の5の放射能ピーク(右側から左側)は、各々、12.8、9.8、6.3、3.
5および2.5単位より構成されるグルコースオリゴマーに対応する溶出容量を
有する。
図3.E-およびP-セレクチンに対するHL-60共通リガンドから単離した
中性および電荷O-結合オリゴ糖のサイズ-排除分離
HL-60リガンドからの合計[3H]-グルコサミン標識O-結合オリゴ糖を図1
記載するごとくQAE-セファデックス上で分画した。ノイラミニダーゼ消化に
よって電荷オリゴ糖からシアル酸を除去した後に、中性オリゴ糖(パネルA)なら
びに1(パネルB)および2のシアル酸(パネルC)を含有するオリゴ糖をGlyco-
Mapカラム上で別々に分画した。測定可能な量の放射能を含有するクロマトグラ
ム部分のみを図に示す。
単離オリゴ糖の構造決定
HL-60リガンドから単離したオリゴ糖の構造を決定するために、3のより
大きなピーク(12.8、9.8および6.3GU)を一連のエキソグリコシダーゼ
消化およびGlycMap上の再クロマトグラフィーに付した。
図4は最も大きな(12.8GU)オリゴ糖の一連の分解を示す。最初に、この
構造をタチナタマメ β-ガラクトシダーゼおよびタチナタマメ β-N-アセチル
グルコサミニダーゼで順次消化すると;これは、各々、溶出容量において1およ
び2のGUシフトを生じた。2GU放射性消化産物は、β-N-アセチルグルコサ
ミニダーゼ消化によって遊離した。これらは、1の末端N-アセチルラクトサミ
ン単位の除去につき、予想された結果であった(図4、最上パネル)。遊離した放
射能は、濾紙クロマトグラフィーによってN-アセチルグルコサミンと同定され
た。これらの2の消化からの産物は、9.8GUに溶出された(図4、最上パネル
)。
図4から明らかなごとく、12.8GUオリゴ糖の最初のβ-N-アセチルグル
コサミニダーゼ消化はこのピーク中のすべての放射性物質を消化せず;幾分かの
放射能は消化後の11.8GUにも溶出された(図4、最上パネル)。かくして、
12.8GUピークはさらなるオリゴ糖構造を含んでいるようである。
図4.E-およびP-セレクチンに対するHL-60共通リガンドから単離した
O-結合12.8GUオリゴ糖の一連のエキソグリコシダーゼ消化
HL-60リガンド上の合計O-結合オリゴ糖の画分から単離した12.8GUオ
リゴ糖(図2参照)を、「実験方法」に記載するごとく、一連のエキソグリコシダー
ゼ消化およびGlycoMapカラム上の再クロマトグラフィーに付した。グルコース
オリゴマー標準の溶出位置は、クロマトグラムの上部に矢印で示し;数字は個々
の標準分子のサイズ(GUでの)を同定している。鍵は、非消化分子について、な
らびにタチナタマメ β-N-アセチルグルコサミニダーゼおよびタチナタマメβ-
ガラクトシダーゼでの消化からの産物について得られた溶出特性を同定している
。E、溶出容量(ml);R、放射能
9.8GUピーク中の放射能の分解は、タチナタマメまたはエス・ニューモニエ
(S.pneumoniae)β-ガラクトシダーゼでの消化によって開始した。このことは、
ピーク中の放射能の50-75%(この数字は異なる調製物で変動する)につき、
溶出容量中に1のGUシフトを生じた。残りの25-50%の放射能はβ-ガラク
トシダーゼ消化に対して耐性で、これは再度、9.8GUピークがさらなるオリ
ゴ糖(群)を含むことを示唆している。
これらの構造の完全なエキソグリコシダーゼ消化に十分な量の[3H]-グルコサ
ミン標識12.8および9.8GUオリゴ糖を個別に得ることが困難なことに起因
して、12.8GUオリゴ糖(前記参照)の部分消化からの9.8GU産物を、連続
したエキソグリコシダーゼ分解の前に9.8GUオリゴ糖(前記参照)からの8.8
GU β-ガラクトシダーゼ消化産物と一緒にプールした。プールした構造の一連
のエキソグリコシダーゼ消化を図4、中位および下位パネルに示す。
タチナタマメ β-ガラクトシダーゼに続くタチナタマメ β-N-アセチルグル
コサミニダーゼでの2連続サイクルの消化は、両方の消化サイクルについて、各
々、1および2のグルコース単位の溶出容量におけるシフトを生じた(図4)。
β-N-アセチルグルコサミニダーゼ消化により遊離された2のGUフラグメン
トおよび最後の3.5GU消化産物は、各々、濾紙クロマトグラフィー上でN-ア
セチルグルコサミンおよびGalβl,3GalNAc-olと同定された(図5、パネル
AおよびB;クロマトグラフィー標準は:1、Galβ1,3GalNAc-olおよび2
、GalNAc-ol)。
図5.E-およびP-セレクチンに対するHL-60共通リガンド上の12.8G
U O-結合オリゴ糖のエキソグリコシダーゼ消化から得た放射能フラグメント
の分離
12.8GUオリゴ糖のエキソグリコシダーゼ消化によって生成した2および
3.5GUフラグメントを、ピリジン-酢酸エチル-氷酢酸-水(5:5:1:3)中の
下降型濾紙クロマトグラフィー上で分離した。パネルAおよびBは、各々、2お
よび3.5GUエキソグリコシダーゼ消化フラグメントの分離を示す。標準は1
、Galβ1,3GalNAc-ol;2、GalNAc-olであった。
タチナタマメ β-ガラクトシダーゼでの6.3GUオリゴ糖の消化がカラム上
の溶出容量における1のGUシフトを生じたことは、1の末端ガラクトースの除
去を示していた。ザンソモーナス・マニホーティス(Xanthomonas manihotis)の
β-ガラクトシダーゼでの6.3GUオリゴ糖の消化が溶出容量におけるシフトを
生じなかったことは、この構造上の末端ガラクトースがN-アセチルグルコサミ
ンに1,4結合していることを示唆していた。
タチナタマメ β-N-アセチルグルコサミニダーゼでの(タチナタマメ β-ガラ
クトシダーゼ消化産物の)続く消化がさらに2のGUシフトを生成することは、
1のN-アセチルグルコサミンの除去を示唆しており;この消化から遊離された
放射能は2のGUで溶出され、濾紙クロマトグラフィー上でN-アセチルグルコ
サミンと同定された。
再度、残りの(6.3GUオリゴ糖の)3.5GUフラグメントは、濾紙クロマト
グラフィー上の分離によって、Galβ1,3GalNAc-olと同定された。
リガンド分子上の2のより小さなO-結合構造を濾紙クロマトグラフィー上で
同定した。3.5GUオリゴ糖はGalβ1,3GalNAc-ol標準と共-移動し、タチ
ナタマメおよびウシ精巣β-ガラクトシダーゼでのこの構造の消化につづく濾紙
上の再クロマトグラフィーによって、この標準とその同一が明らかにされた。
最後に、2.5GU構造が濾紙クロマトグラフィー上でGalNAc-olと共-移動
することは、同一構造を示唆している(図6、各々、パネルAおよびB;クロマ
トグラフィー標準は:1、Galβ1,3GalNAc-olおよび2、GalNAc-ol)。
GalNAc、およびリガンド上のGalβ1,3GalNAcの重要な部分がいずれのシ
アル酸も含まないことは注目に値する。したがって、HL-60リガンド分子は
TおよびTn抗原の両方を運んでいる。
図6.E-およびP-セレクチンに対するHL-60共通リガンド上の3.5およ
び2.5GU O-結合オリゴ糖の同定。HL-60リガンド上の合計O-結合オリ
ゴ糖の分画から単離した3.5および2.5GU構造(図2参照)を、ピリジン-酢
酸エチル-氷酢酸-水(5:5:1:3)中の下降型濾紙クロマトグラフィーに付し
た。パネルAおよびBは、各々、2.5および3.5GUオリゴ糖の分離を示して
いる。標準は1、Galβ1,3GalNAc-ol;2、GalNAc-olであった。[F]
可能性のあるフコース分岐の分析
文献中の膨大な量のデータが、セレクチンを有するHL-60細胞から単離し
たリガンド分子を含むE-およびP-セレクチンに対するリガンドの間の相互作用
が、リガンドオリゴ糖上の外側(Lewisタイプの)フコース分岐の存在に依存する
ことを示唆しているため、本発明者らは、このタイプの置換を検出することを特
に目的とした実験を行った。
HL-60リガンドから単離した無傷12.8、9.8および6.3GUオリゴ糖
をアーモンドα-フコシダーゼで個別に消化したが;これは、3のオリゴ糖のい
ずれかについての溶出容量におけるシフトを生じ得なかった。加えて、本発明者
らは、リガンドを単離する前に[3H]-マンノースでHL-60細胞をイン・ビボ(
in vivo)標識することによって、いずれのマンノースまたはフコース結合放射能
もO-結合リガンドオリゴ糖に導入できなかった。
【手続補正書】
【提出日】1997年4月16日
【補正内容】
補正した請求の範囲
1.EおよびP-セレクチンの両方に結合し、かつ、NおよびO-結合オリゴ糖
を含み、そのオリゴ糖の大部分はO-結合である実質的に純粋なリガンド。
2.2%未満のLeX、Lea、sLeXまたはsLeaタイプの置換を含むことを特徴
とする請求項1記載の実質的に純粋なリガンド。
3.LeX、Lea、sLeXまたはsLeaタイプの置換を実質的に含まないことを特
徴とする請求項2記載の実質的に純粋なリガンド。
4.当該リガンド上のo-結合オリゴ糖が2%未満のフコースを含むことを特
徴とする請求項1記載の実質的に純粋なリガンド。
5.当該リガンド上のo-結合オリゴ糖がフコースを実質的に含まないことを
特徴とする請求項4記載の実質的に純粋なリガンド。
6.2%未満の硫酸化オリゴ糖を含むことを特徴とする請求項1記載の実質的
に純粋なリガンド。
7.硫酸化オリゴ糖を実質的に含まないことを特徴とする請求項6記載の実質
的に純粋なリガンド。
8.イン・ビボ(in vivo)3H-グルコサミン標識分子上で、GalNAc:GlcN
Acに関連する放射能の比が約1.8:1であることを特徴とする請求項1記載の
実質的に純粋なリガンド。
9.当該リガンドのo-結合オリゴ糖構造が、シアル酸置換を含まない分岐を
全く示さないことを特徴とする請求項1記載の実質的に純粋なリガンド。
10.該リガンドがa)2%未満のLeX、Lea、sLeXまたはsLeaタイプの置
換、およびb)2%未満の硫酸化オリゴ糖を含み、かつ、c)当該リガンド上の
o-結合オリゴ糖が2%未満のフコースを含むことを特徴とする請求項1記載の
実質的に純粋なリガンド。
11.イン・ビボ(in vivo)3H-グルコサミン標識分子上で、GalNAc:GlcN
Acに関連する放射能の比が約1.8:1であることを特徴とする請求項10記載
の実質的に純粋なリガンド。
12.当該リガンドのオリゴ糖構造が、シアル酸置換を含まない分岐を示さな
いことを特徴とする請求項11記載の実質的に純粋なリガンド。
13.該リガンドがa)LeX、Lea、sLeXまたはsLeaタイプの置換を実質的
に含まず、b)フコシル化o-結合オリゴ糖を実質的に含まず、かつ、c)硫酸
化オリゴ糖を実質的に含まないことを特徴とする請求項12記載の実質的に純粋
なリガンド。
14.7の同一タイプのオリゴ糖を包含する、チャート1に示すタイプA-E
の5タイプのうちの複数のオリゴ糖を含むことを特徴とする請求項13記載の実
質的に純粋なリガンド。
15.6の同一タイプのオリゴ糖を包含する、チャート1に示すタイプA-E
のうちいずれか5タイプのうちの複数のオリゴ糖を含むことを特徴とする請求項
14記載の実質的に純粋なリガンド。
16.5の同一タイプのオリゴ糖を包含する、チャート1に示すタイプA-E
のうちのいずれか5タイプのうちの複数のオリゴ糖を含むことを特徴とする請求
項15記載の実質的に純粋なリガンド。
17.4の同一タイプのオリゴ糖を包含する、チャート1に示すタイプA-E
のうちのいずれか4タイプのうちの複数のオリゴ糖を含むことを特徴とする請求
項16記載の実質的に純粋なリガンド。
18.3の同一タイプのオリゴ糖を包含する、チャート1に示すタイプA-E
のいずれか3タイプのうちの複数のオリゴ糖を含むことを特徴とする請求項17
記載の実質的に純粋なリガンド。
19.2の同一タイプのオリゴ糖を包含する、チャート1に示すタイプA-E
のうちのいずれか2タイプのうちの複数のオリゴ糖を含むことを特徴とする請求
項18記載の実質的に純粋なリガンド。
20.タイプA-Eのうちのいずれか1タイプのうちの複数のオリゴ糖を含む
ことを特徴とする請求項19記載の実質的に純粋なリガンド。
21.以下のオリゴ糖:
を含むことを特徴とする請求項12記載の実質的に純粋なリガンド。
22.以下のオリゴ糖:
を含むことを特徴とする請求項12記載の実質的に純粋なリガンド。
23.以下のオリゴ糖:
を含むことを特徴とする請求項12記載の実質的に純粋なリガンド。
24.以下のオリゴ糖:
を含むことを特徴とする請求項12記載の実質的に純粋なリガンド。
25.以下のオリゴ糖:
を含むことを特徴とする請求項12記載の実質的に純粋なリガンド。
26.いずれかの組合せで、チャート1に示す5の構造によって表される5タ
イプのうちいずれか5のうちの複数のオリゴ糖を含むことを特徴とする請求項1
2記載の実質的に純粋なリガンド。
27.いずれかの組合せで、チャート1に示す5の構造によって表される5タ
イプのうちいずれか4のうちの複数のオリゴ糖を含むことを特徴とする請求項2
6記載の実質的に純粋なリガンド。
28.いずれかの組合せで、チャート1に示す5の構造によって表される5タ
イプのうちいずれか3のうちの複数のオリゴ糖を含むことを特徴とする請求項2
7記載の実質的に純粋なリガンド。
29.いずれかの組合せで、チャート1に示す5の構造によって表される5タ
イプのうちいずれか2のうちの複数のオリゴ糖を含むことを特徴とする請求項2
8記載の実質的に純粋なリガンド。
30.いずれかの組合せで、チャート1に示す5の構造によって表される5タ
イプのうちいずれか1のうちの複数のオリゴ糖を含むことを特徴とする請求項2
9記載の実質的に純粋なリガンド。
31.以下のオリゴ糖タイプAA、AB、AC、AD、AE、BB、BC、B
D、BE、CC、CD、CE、DD、DEまたはEEのうちのいずれかのうちの 複
数を含むことを特徴とする請求項29記載の実質的に純粋なリガンド。
32.以下のオリゴ糖タイプAA、AB、AC、ADまたはAEのうちのいず
れかのうちの複数を含むことを特徴とする請求項31記載の実質的に純粋なリガ
ンド。
33.以下のオリゴ糖タイプBA、BB、CB、DBまたはEBのうちのいず
れかのうちの複数を含むことを特徴とする請求項31記載の実質的に純粋なリガ
ンド。
34.以下のオリゴ糖タイプCA、CB、CC、DCまたはECのうちのいず
れかのうちの複数を含むことを特徴とする請求項31記載の実質的に純粋なリガ
ンド。
35.以下のオリゴ糖タイプDA、DB、DC、DDまたはEDのうちのいず
れかのうちの複数を含むことを特徴とする請求項31記載の実質的に純粋なリガ
ンド。
36.以下のオリゴ糖タイプEA、EB、EC、EDまたはEEのうちのいず
れかのうちの複数を含むことを特徴とする請求項31記載の実質的に純粋なリガ
ンド。
37.請求項1記載のリガンドを含むことを特徴とする医薬組成物。
38.5またはそれ未満の炭水化物のうちいずれかの組合せのうちの複数で、
チャート1に示される炭水化物のうちのいずれかを含むことを特徴とする医薬組
成物。
39.請求項1記載のリガンドをそれを要する患者に投与することを特徴とす
る疾病治療法。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 31/70 ACD A61K 31/70 ACD
ACV ACV
ADS ADS
ADU ADU
AED AED
C07H 13/06 C07H 13/06
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C
H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR,
KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M
K,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO
,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,
TT,UA,US,UZ,VN