【発明の詳細な説明】
磁気共鳴イメージングで顕著な効果を示すキレート錯体
発明の背景
現代臨床医学診療では、工業技術及び製造法の進歩とともに、複雑な非侵襲的
映像化技術の需要が生まれた。こうした需要は、放射線医学及びコンピュータと
の結合によって満たされてきた。その最終結果が、映像化技術の変革となって現
れた。
この変革の産物が磁気共鳴映像法(MRI)であった。MRIは、化学分析手
段として長年使用されてきた核磁気共鳴(NMR)法に端を発する。この技術は
その後改良され、コンピュータ技術と結合された。これによって電磁気ゆらぎが
分析され、その結果が映像の形で提示される。こうして出現した技術は、当該技
術分野では、磁気共鳴イメージングとして知られるようになった。
MRI法は、特に生物医学で使用するうえで、価値ある映像化療法となった。
生物医学分野で使用されるMRIは、診断対象となる器官組織への高エネルギー
の放射線、即ち電磁パルスの照射に依存するコンピュータ断層撮影(CT)及び
X線技法とは異なり、低エネルギーの放射線、即ち電波を用いて人体内深部の器
官及び組織を診断する。この場合、生体組織が比較的X線を透過し易いため、M
RIはCT及びX線よりも有効で、構造及び組織機能の両方に関する詳細な情報
を提供する。
例えば、MRI法は異なる組織のタイプの識別、即ち生化学的環境が疾患突起
に起因して変化する組織の検出が可能である。MRIはまた、体の内部構造、器
官、及び疾患突起を、高解像度で、特定的に、詳細に、しかも動的に観察及び診
断する手段を提供する。更に、使用する磁気及び電波振動数領域のレベルが低い
ため決定的な危険はないことが分かっており、従って、横切断面、前頭切断面、
及び矢状切断面など(これに限定される訳ではないが)、任意の面に沿って繰り
返し走査させることができる。
MRI法では、各原子種がそれぞれ特徴的な磁気モーメントを持つという性質
を利用する。偶数個のプロトン若しくは中性子が存在する場合、即ちこうした粒
子が所定の種の中で対をなす場合には、磁気ポテンシャルが統計的に打ち消し合
う。しかしながら、対を形成しない、即ち奇数個のプロトン又は中性子を有する
ある種の原子及び同位体の核は、固有のスピンを持つ。不対粒子を迅速に回転さ
せると磁化を発生させることができる。こうした要因を満足する種には、例えば
、リン−31、炭素−13、ナトリウム−23、フッ素−19、酸素−17、及
び水素−1があり、これらはMRI研究で使用できる。従って、多くの生化学的
過程及び組織を取り囲む1Hプロトン及び水がしばしば、体内深部の状態を明ら
かにするための原子種として選ばれる。
MRI法を実施するにあたって、所定の強さの磁場(B、通常、ガウス単位又
はテルサ(telsa)単位で表される)が、診断対象領域へ印加される。MR
I技師は、磁場環境を操作してかなり特定の部位のプロトンだけをその磁場の影
響下に置くようにできる。標的領域中の種々の原子種の磁気核は整列し、即ち、
許容される量子力学状態に応じて磁場に対して特定の配向をとる。水素の主同位
体であるプロトンの場合には、磁場に対して2つの許容される配向状態−−並行
(低エネルギー)状態又は逆並行(高エネルギー)状態が存在する。
電波パルスはまた、標的領域の原子種に向けられる。所定の磁場内の原子種又
はプロトンは、特徴的な磁気モーメントを呈する。これらの原子種又はプロトン
は、特定の特徴的な電波振動数を有する予め設計された入力エネルギーを吸収し
て共鳴を起こす。所定の磁場の下で原子種が共鳴を起こす特徴的な振動数は、ラ
ーモア(Larmor)振動数として知られる。この場合、共鳴とは、原子種が
エネルギーを繰り返し、かつ迅速に吸収及び放出する作用である。従って、磁場
を印加した状態で電波のエネルギーを吸収させると、エネルギー状態の変化に起
因して磁場の中で原子種が再配向し、続いて種々のエネルギー状態の間で振動が
起こる。
この原子種のこうした振動活性、即ち、共鳴シグナルは、電波受信機で検出す
ることができる。次に、この情報は、原子種、たいていは1H原子、が指向性パ
ルスから吸収したたエネルギーを失うのに要する測定可能な時間にわたって積算
される。1Hプロトンの原子的挙動は予測しうるので、挙動のいかなる変化もプ
ロトンの局所的生化学的環境へ帰属される。従って、共鳴シグナルのパターン及
び特徴は、標的領域を取り囲む生化学的環境を反映する映像に変換される。
この方法による緩和(relaxation)の観測値の1つは、スピン−格子緩和時間、
即ち熱的又は縦緩和時間(T1)である。この測定値は、励起された核が過剰の
エネルギーを周囲、即ち、格子領域へ散逸させることによって基底状態に戻るの
に要する時間を反映している。この散逸過程は、ラーモア振動数、磁場強度、分
子サイズ、及び生化学的環境など(これらに限定される訳ではないが)、多くの
要因に依存する。緩和時間は、色々な種類の動物の中の種々の流体、器官及び組
織に対して測定されてきた。研究の結果、水含有量の多い組織は長いT1緩和時
間を有し、一方、脂質又は常磁性種を含有する組織はT1を短くする作用を有す
ることが分かった。このことは重要である。なぜなら、種々の例で見られるよう
に、T1時間が短くなると、シグナル強度が増大し、従ってより輝度の高い映像
が得られるようになるからである。従って、熟練した開業医は、多くの変数を変
化させて、観測対象の種から成るボクセル(voxel)、即ち、体積要素の映
像を強化、又は改良することができる。Stark,D.D.及びW.G.Br
adley(eds.),1992,Magnetic Resonance
Imageing(第2版,第1巻及び第2巻,Mosby,St.Louis
)を参照されたい。この文献は、引用により本明細書中に含まれるものとする。
緩和の測定値のもう1つは、スピン−スピン緩和時間、即ち、横緩和時間(T
2)である。この測定値は、磁化の損失を引き起こす格子に対するときとは異な
り、種々の励起状態にある核が互いにエネルギーを交換し合うのに要する特徴的
な時間を反映する。この磁気減衰は、種々の核磁気モーメントが相互作用の結果
として位相のずれ、すなわちデフェージングを起こすことに起因する。この現象
は、診断対象の生体系中の磁場の不完全性及びその結果生じる場の直接的な結果
であり、これによって核が僅かに異なった速度で歳差運動するようになる。こう
して位相が一致しなくなると、磁化されなくなる。スピン−スピン緩和時間、即
ち横緩和時間(T2)は、磁化の損失を測る手段である。研究の結果、大きな巨
大分子及び巨大分子に結合する水分子は小さい分子よりもゆっくりと再配向又は
回転する。ラーモア振動数よりもはるかにゆっくりした速度で回転するこうした
分子では、比較的非効率的なT1緩和となる。
緩和をパラメータとしてMRIシグナル強度を表す簡単な式は、以下の通りで
ある:
SI=N(H)[1−e-TR/T1]e-TE/T2、
但し、
SI=シグナル強度
N(H)=スピン密度、即ち、所定の体積(例えば、組織の分離体積など)
中の共鳴スピン密度(例えば、プロトンの数)
TR=繰り返し時間、即ち、特定の組織の位置における1つの電波振動パル
スシーケンスの開始と、それに続くパルスシーケンスとの間の時間
TE=エコー時間遅延、即ち、90度パルスの中心と、スピンエコーの中心
との間の時間
T1=スピン−格子緩和時間
T2=スピン−スピン緩和時間
上記表現は、N(H)が増大し、T1が減少し、またはT2が増大する時に、シグナル
強さが増大することを説明する。また、N(H)が減少し、T1が増大し、またはT2が
減少する時に、シグナル強さは減少するであろう。こうして、T1時間およびT2時
間は画像強さに相互効果を有する。上記パラメーターは画像形成プロセスの力学
に固有の役割を果たす。
T1およびT2に関する交互の効果は重要なことに造影剤中に使用される磁性体お
よびその濃度に依存する。常磁性体はT1およびT2の両方を減少するが、T1に関す
る効果は、特に低濃度で支配的である。これは、T1重み付き技術を使用してそれ
らが最良に検出されることを意味する。逆に、強磁性体および超常磁性体はT2重
み付き画像形成に頼る。
MRI 造影剤またはその磁性体の濃度間の関係は明らかに非線形である。この現
象は、シグナル強さが存在するその物質の濃度に線形に依存する放射線写真造影
剤とは明らかに異なる。その結果、MRI 剤のシグナル強さまたは濃淡差(conspi-
cuity)はT1およびT2(これらは両方とも濃度依存性である)の正および負の寄与
の正味の効果を表す。例えば、常磁性種であるガドリニウムの場合、T1の寄与が
低濃度で支配的であり、一方、濃度が増大する時に、T2の効果が更に顕著になる
。こうして、ガドリニウム濃度が増大するにつれて、初期の閾値レベルが満足さ
れ、その時に画像形成が可能になる。これに続いて、最適閾値が満足され、その
時点でT2の寄与がシグナル強さまたは濃淡差(conspi-cuity)の減少をもたらすま
で、ガドリニウム濃度の増大とともにシグナル強さが連続的に増大する。
画像形成を改良するのに普通の手段は造影剤の使用によるものであり、これら
が上記パラメーターを変化する。これらの造影剤は診断画像の情報の内容を増大
し、明瞭にする。造影剤は、異なる生化学的環境(例えば、組織)間で画像コン
トラストまたはシグナル強さの相違を変化することにより診断画像を増進する。
MRI では、造影剤は主として組織弛緩速度を変化することにより組織の局所の磁
気環境を変化することにより作用する。種々の造影剤の寄与は造影剤の不対電子
と水分子の水素核の相互作用に帰属されていた。これらの相互作用の効果の理論
的な説明は、造影剤の常磁性種の中心から弛緩を行う水素核の中心までの距離が
重要であることを示した。この理論的研究は、弛緩時間が第6出力に上昇された
距離に比例することを示す。こうして、シグナル強さの変化は、試験されるサン
プルのプロトンに接近する造影剤の常磁性種の能力に依存する。Stark および B
radley の“Contrast Agents”,14章並びにAddison Greenwood,National Aca-
demy Press,Washington,D.C.1992 のScience at the Frontier,1巻の第6章
,“MRI:New Breakthroughs in Medical Diagnosis”を参照のこと。
従来、磁性体は共鳴プロトンの弛緩時間に影響することが示された。初期の研
究は溶液中の常磁性鉄(III)イオンに集中した。この研究はその後種々の常磁性
遷移金属に拡大された。続いて、その研究は弛緩時間を変化するための常磁性イ
オンおよびキレート錯体の使用をもたらした。この研究の系列は最初の市販のMR
I 造影剤であるガドリニウム−ジエチレントリアミンペンタ酢酸−ジメグルミン
([NMG]2Gd-DTPA])またはガジオペンテテートジメグルミンをもたらした。
最近の研究は金属キレート錯体を大きな分子量の物体、例えば、巨大分子と会
合させて弛緩性を改良しようとする試みに集中していた。また、これらの巨大分
子は輸送のビヒクルとして利用でき、オリゴペプチド、タンパク質、脂質、多糖
、および合成ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。更に、これに関
して、金属キレート錯体を巨大分子、例えば、モノクローナル抗体と組み合わせ
て標的特異性画像形成を得ようとする試みがなされていた。
最適の弛緩増進(これは改良された画像形成をもたらす)は、核スピンを有す
る分子または組織が常磁性分子に近いできるだけ多くの部位に速く接近する時に
生じる。この効果は、重合により巨大分子当たりの金属イオンの濃度または数を
増大することにより増幅し得る。キレート剤への金属イオンの添加は有効な結合
部位および相互作用部位の数を減少する。
有効な造影剤であるためには、金属キレート錯体は安定でなければならない。
錯体の増大された安定性はキレート剤と金属イオンの間の多くの結合形成により
生じる。こうして、安定性はキレート剤の結合部位の数、金属イオンの配位数、
立体因子および生化学的環境の関数である。
金属キレート錯体の安定性およびその毒性は密接に関係している。これは、過
剰量の遷移金属およびランタニド金属が毒性であり得るという事実のためである
。安定な金属キレート錯体は遊離金属イオンの存在を阻止し、結合された金属イ
オ
ンの毒性作用を遮蔽する。また、錯体の熱力学的安定性は、遊離金属イオンおよ
び遊離リガンドが得られる金属錯体よりも毒性である傾向があるという点で重要
である。加えて、熱力学的に安定な金属キレート錯体はin vivo の金属イオン置
換およびキレート解離を妨害するであろう。最後に、熱力学的に安定な金属キレ
ート錯体は毒性代謝産物の放出をもたらし得る代謝発作を変化または軽減するこ
とができる。
有効な造影剤を与えるための別の因子は金属キレート錯体の生体分布および薬
物速度論である。錯体は毒性成分を有するので、試験の標的部位からのこれらの
化合物の摂取およびクレアランスが重要である。これは特に敏感な臓器系につい
て特に真実である。また、これらの化合物の生体分布および輸送速度論の特性は
、これらのパラメーターが有効な画像形成が起こり得る期間に影響する点で重要
である。こうして、造影剤化合物はしばしばそれらの有効性において臓器特異性
である。
重金属の錯体からなる、画像形成診断のために現在までに提案された全ての薬
剤はヒトにおけるそれらの実用的使用に関して非常に満足ではなく、または弛緩
性および寛容性に関して多少の重大な問題を生じる。また、それらは頻繁に重金
属との結合の不十分な選択性、不十分な安定性、および特に、或る臓器への選択
的ターゲッティングの欠如を示す。
別の問題は、生物に必須である痕跡の金属、またはin vivo で比較的多量に存
在するイオン、例えば、Ca+2に中心金属イオンを交換する多くの錯体の傾向であ
る。錯体の不十分な特定の安定性の場合、生体に重要な痕跡金属は、実際に、生
物から抽出し得る。それらの場所では、ガドリニウムの如き望ましくない重金属
がそれらの場所に付着され、これらが長時間にわたって生物中に残存し得る。画
像形成診断に好適または望ましい用量のこれらの錯体の使用が特に問題である。
造影剤の合成に関して、キレート化ポリマーキャリヤーとの巨大分子の結合を
利用するMRI 造影剤の調製(Sieving,1990)は水および空気感受性試薬を用いる
操作を含む。これはミリグラム量の試薬について達成することが困難であった。
更に、これらの調製された接合体は生細胞中で低い安定性を有し、これがMRI に
ついてそれらのin vivo の実用性を制限し得る。
安定性の問題の他に、従来の方法はまた造影剤金属の充分に有効な数の原子(
常磁性原子)をキレート剤に結合してMRI の如き画像形成技術に臨床上有益であ
るようにするのに成功していなかった。
それ故、上記欠点に関して、in vivo の使用に安定である造影剤に対する緊急
かつ満たされていない要求が存在する。また、これらの造影剤は理想的には造影
剤金属の充分に濃縮された数の結合または錯生成された常磁性原子を有するであ
ろう。この濃縮された原子の数は有利なことにはMRI において視覚化に必要とさ
れる閾値レベルを越える。このような造影剤が臨床画像に理想的であろう。次に
このような有益な臨床薬剤は正常な組織から疾患組織を分化し、同定するための
診断道具として医療コミュニティに重要な商用価値があるであろう。
更に、ガドリニウムを使用する際に固有の毒性および安定性の問題を回避する
有効な造影剤に対する要望がある。更に、造影剤がガドリニウムを含み、または
ガドリニウムに代えてその他の常磁性金属を含むことを問わないで、新規かつ改
良された造影剤に対する要望がある。
別の局面では、幾つかの金属キレート錯体と巨大分子の組み合わせが巨大分子
の減少された生物活性をもたらした。その組み合わせは巨大分子の化学または立
体因子を変化することが理論化された。この変化が減少された生物活性をもたら
した。こうして、受容体または抗原部位への特異性ターゲッティングのために巨
大分子、例えば、抗体と結合される標的特異性造影剤に対する緊急の要望があり
、これらのターゲッティング巨大分子は有利なことにはin vivo のそれらの生物
活性または免疫活性を保持する。発明の概要
本発明は、上述の要望に取り組み、これを満足させるものである。本発明は、
以下にさらに詳細に記載するように、安定で、安全、かつ臨床的に有用な、イメ
ージング技術のための造影剤の技術分野における要望、とりわけ、これに限定さ
れるものではないが、MRIのための造影剤についての要望に取り組み、そして
遊離にこれを満足させるものである。
本発明は、イメージング用の造影剤、特に、限定されるものではないがMRI
のための造影剤、および種々の非イメージング技術における別の応用のための造
影剤を有利に提供するものである。これらの他の応用としては、臨床、モニタリ
ング、マーク付け(marking)、およびマッピングが含まれる。
本発明の造影剤は、有利にかつ予期されないことに、イメージング手順におい
て可視化を増強するものであり、キレート剤と担体とのコンジュゲートを含む。
コンジュゲートは有効数の常磁性金属原子と錯体を形成する。有効数の原子は、
シグナル強度を増強するかまたはイメージの可視化を増強する数として定義され
る。本発明の造影剤は、予期されない、濃淡差(conspicuity)における増加ま
たは高められたコントラストを有し、明確にシグナル強度の増強または可視化を
向上させる。このような可視化の向上は、陽性または陰性のコントラストのいず
れかを包含する。
つぎに、本発明の別の態様は本発明の造影剤と製剤学的に許容される担体とを
含む組成物である。
本発明の別の態様は、本発明の造影剤の合成方法である。本発明の方法は、予
期されないことに、他の現在有効な技術より簡単かつ効率的である。また、この
方法は経済的でもある。この方法は、予期されないことに、以前に達成されたよ
りも高濃度で結合された常磁性原子を有する、臨床的に有効な量の造影剤を、提
供する。造影剤の合成のための本発明の方法は、キレート剤と担体とを結合させ
る工程と、コンジュゲートと有効数の常磁性金属原子とで錯体を形成させる工程
とを含む。このため、この方法は、濃淡差における好ましい増加または増強され
たシグナル強度を有する本発明の造影剤を提供する。
本発明の他の態様は、本発明の造影剤と特異的な器官もしくは組織標的化のた
めのタンパク質またはその他の巨大分子とのさらなる結合のための方法を有効に
提供する。
本発明の別の態様は、例えば、臨床家または診断医によって使用されるキット
である。このキットは、投与に好適な剤形および用量における本発明の造影剤の
ための分離された容器、および適当な希釈剤または担体を含むパッケージからな
る。また、このキットは、本発明の造影剤を本発明の方法で作成するための試薬
の、分離された容器を提供することもできる。
得られる新規な造影剤は、毒性が低く、安定性が高く、遊離な選択的生体分布
または標的特性、およびより安全な分解と排泄という有益なイメージング特性な
どによって、これらの造影剤を特に有利なものとする予期されない多くの特性を
有する。
さらに、本発明の造影剤は、MRIまたは他の好適なイメージング技術におい
て、ヒトを含む哺乳類において投与するかまたはin vivoで使用するための、安
定、安全、かつ有効な医薬組成物を有利に形成する。
造影剤の適用は、イメージング手順に限定されるものではない。本発明の造影
剤はまた、非イメージング技術を包含する広範な分野における応用または使用に
とって優れて好適である。
本発明による造影剤は、コントラストを強める常磁性金属の毒性を弱めるかま
たは妨げるが、シグナル強度または濃淡差は高める。本発明の造影剤は非常に低
い生物学的毒性を有する。これは、他のいかなる造影剤によって達成されたより
も高濃度の常磁性原子が1分子あたりに結合しているにもかかわらず、そうであ
る。さらに、この造影剤は、予期されないことに、他の造影剤よりも実質的によ
りよいリラクゼーション(relaxation)特性を有し、このことは本発明の造影剤
をより少量使用することにより、同じかまたは同様の効果を達成することを可能
にする。
本発明の造影剤は、予期されないことに、近縁かつ意図した効果を生じる常磁
性種の相互作用および標的とされた生体系のための好適な生化学的環境を提供す
る。これは、この造影剤の安定性と構造的完全性とが保存されている間に達成さ
れる。
本発明の造影剤は、MRI試薬、ガンの検出、痴呆および精神病の診断、並び
に神経経路の追跡とボディマッピング(body mapping)のための試薬として優れ
て有用である。
本発明のこれらの特長および他の態様、利点は、以下の記載、添付図面および
請求の範囲の記載に関してよりよく理解されるであろう。図面の簡単な説明
図1はシグナル強度に基づいてin vivo で使用するものを選択する前に行った
、多数の溶液含有試験チューブの緩和時間実験で得られるサンプルイメージであ
る。底部に示されるチューブには本発明の造影剤が入っており、鋭いシグナル強
度を示す。
図2は抗原301 に対する抗体を結合した本発明の造影剤を左脳室に導入したネ
コの冠状イメージである。白色部分(矢印)は造影剤の所在位置である。
図3は本発明の造影剤である小麦胚芽アグリチニン−ガドリニウムコンジュゲ
ートを用いた、ネコの脳内における軸索追跡(矢印)を示す。
図4は図3に示した軸索追跡の拡大図である。
図5はネコの脳内における本発明の造影剤の存在の組織学的配座が白色部分(
矢印)で表される、蛍光顕微鏡写真である。発明の詳細な説明 略語
DOTA: 1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N',N'',N'''−四酢酸:
デスロー(Desreux)(1980)の方法に従って、シクレン(Aldrich,#33,965-2)から
調製した。
DTPA: ジエチレントリアミン五酢酸(Aldrich,#28,556-0)
EDAC: 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミ
ドヒドロクロリド(Sigma,#E6383)
EDTA: エチレンジアミン四酢酸
PL: ポリ−d−リジンヒドロブロミド、分子量15,000〜30,000、重合度
(DP)100(Sigma,#P4408)
WGA: 小麦胚芽アグルチニン;レクチン トリティカム・ブルガリス(tri
ticum vulgaris)(Sigma,#L9640)
イメージの視覚性増長用の又は非イメージ法で使用するための、本発明の造影
剤は担体とキレート剤とのコンジュゲートである。更に、前記コンジュゲートと
、視覚性増長するだけの数の適切な常磁性金属原子とで錯体を形成する。前記造
影剤が全体的に濃淡差(conspicuity)を増したのは有利であり、かつ予期せぬこ
とであった。このように濃淡差が増えると、例えばMRIのようなイメージの視
覚性を増長することができ、好ましい。本発明の目的として、イメージの視覚性
増長が、陽造影又は陰造影について規定されている。濃淡差は本発明の造影剤に
より、背景の組織と比較して増長される部分を検出する能力であると規定しても
よい。濃淡差は対象の部分の、組織の他の部分に対する相対的シグナル強度の測
定単位であり、背景のシグナル強度をノイズとして計算する。従って、濃淡差は
イメージの増長された若しくは改良された造影、又は本発明の造影剤を用いる方
法によって得られるシグナル強度の測定単位である。
本発明の造影剤製造用の反応物は一般的に知られた化合物であり、他の物は化
学分野の当業者の持つ技術によって機械的に調製できる。
本発明の造影剤の合成のための、キレート剤との結合用の適切な担体群は一般
的な物であり、オリゴペプチド、タンパク質、脂質、多糖類、デキストランポリ
マー、および合成ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
担体としては、どのようなタンパク質でも適していると考えられる。特に適し
たタンパク質担体群としては、ポリアミノ酸の重合体または共重合体が含まれる
。好ましくは、ポリリジンおよびポリオルニチンのような塩基性アミノ酸の重合
体または共重合体である。本発明の造影剤を、長時間に渡るプロテアーゼ分解か
ら保護するためには、ユビキチンのような、ポリアミノ酸のd−異性体によるの
が特に好ましい。d−異性体はほとんどの生体組織中で分解されにくいが、d−
プロテアーゼが存在する肝臓及び腎臓によっては分解されうる。
ポリアミノ酸重合体または共重合体の担体としての特性を失わないかぎり、ポ
リアミノ酸重合体または共重合体担体における様々なアミノ酸置換が許容される
ことは、当業者には容易に認められる。従って、このような置換は本発明の範囲
内であると考えられる。
キレート剤−常磁性金属錯体用の他の適切な担体の例としては、肺の中で引っ
掛からない(可能性のある有害効果を避ける)ように典型的サイズが直径5ミク
ロン未満である、巨大分子、乳剤、リポソーム、およびミクロスフェアが挙げら
れる。更に、キレート剤−常磁性金属イオン錯体用の代替または置換可能な担体
の例が米国特許番号第 5,213,788号に記載されており、それは本明細書中に参考
文献として含まれている。更に別の適切なタンパク質担体はコレラ毒素である。
担体の鎖長は約50〜200残基であれば良く、もっと好ましくは約100残
基である。分子量(MW)は約15,000〜60,000であれば良く、好ましくは約15,0
00〜30,000である。
担体分子と結合させ、そして常磁性原子とともに錯体を形成させるためのキレ
ート剤は、スタークとブラッドリー(Stark and Bradley)の第14章に記載のポ
リアミノポリカルボン酸のキレート剤の無毒性群から選択することができる。本
発明を実施するに当たって特に適したキレート剤はDOTAおよびDTPAであ
る。
他の適切な代替可能なキレート剤は次のものである:アコ鉄、EDTA、DT
PA−BMA、BOPTA、TTHA、NOTA、DO3A、HP−DO3A、
TETA、HAM、DPDP、酢酸塩、TPPS4、EHPG、HBED、およ
びデスフェリオキサミンB(Desferrioxamine B)。更に本発明中で置換可能なキ
レート剤誘導体は、米国特許番号第 5,281,704号に記載されており、本明細書中
に参考文献として含まれている。
常磁性種に関しては、常磁性を持つ原子ならどれでも本発明の実施に適してい
ると考えられる。この例としては、元素番号21〜29、42または44の遷移
元素及びランタニドに属する元素が挙げられる。これらの遷移金属としてはCr+3
、Cr+2、Mn+3、Mn+2、Fe+3、Fe+2、Cu+2、Co+3、Co+2、Ni+2およびこれらの放射
性同位体がある。好ましくは、元素番号59〜70のランタニドに属する元素で
ある。これには、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYb、並びに
そ
れぞれの放射性同位体が含まれる。さらに特に好ましくは、ランタニド元素であ
るガドリニウム(Gd)である。ガドリニウムは大きな磁気モーメントを持っており
、磁気を帯びた原子核を有効に緩和するので、本発明の造影剤の常磁性金属とし
て特に適している。ガドリニウムの強い常磁性は、7つの不対電子を持つことに
由来する。思いがけないほど高濃度のガドリニウムが本発明の造影剤に取り込ま
れても、容易に体を通過し、毒性の方の効果を表すことなく安全に排出される。
他の代替可能な常磁性種の例は、米国特許番号第 5,213,788号に記載されており
、本明細書中に参考文献として含まれている。
本発明の造影剤の他の有利な点は、その造影剤と様々な巨大分子との結合とい
う態様であり、前記巨大分子は一つの組織または器官を標的とすることがてきる
。本発明の造影剤は、試験対象の器官または器官の一部を標的とすることが知ら
れている巨大分子とカップリングさせ、コンジュゲートとすることができる。特
に望まれる又は対象となる巨大分子は、例えば細胞のレセプター又は抗原のよう
な特異的部位を標的とすることができるものである。
このような標的特異性巨大分子としては、インスリンのようなホルモン、プロ
スタグランジン、ステロイドホルモン、アミノ糖、ペプチド、例えば血清アルブ
ミンのようなタンパク質、脂質、および多糖類が挙げられるが、これらに限定さ
れない。ポリクローナルまたは、更に特には、モノクローナルのような抗体は、
本発明の造影剤と結合して対象の特異的部位を標的とするのに、特に適している
。特に対象となるモノクローナルの例は、腫瘍会合抗原に特異的なもの又は望ま
しい診断上の特異性を示すものであり、例えば、アンチミオシン(antimyosin)が
挙げられる。これら本発明の造影剤は、更に、診断上のイメージ分析用の道具一
式を供給する。腫瘍特異的モノクローナルの非限定的な例としては、乳癌、肺癌
、および前立腺癌が挙げられる。他の適したモノクローナル抗体は、例えばアル
ツハイマーのマーカー抗原のような非腫瘍性抗原に対するものでも良く、疾患を
改善するための初期臨床診断および製薬学的介入に有利に貢献する。
本発明は有利にかつ思いがけず、in vivo で標的特異性を維持する標的特異性
造影剤を提供するものである。このように結合した本発明の標的特異性造影剤を
使用すれば、適当な生体内分布特性を選択でき、有利である。これらのコンジュ
ゲートは組織または器官を標的とすることができる、即ち、例えば腫瘍のような
組織物に選択的に送られる。一方これは、改良イメージ特性、例えば対象の標的
をイメージするための、造影、より良い選択性、コントラスト/ノイズの比率、
イメージ時間、増強シグナル強度などに貢献する。
合成法
本発明の造影剤の製造法又は合成法は、以下の記載のように実施される。本発
明の方法によって、安定で無毒性の造影剤を調製することができる。その合成法
は、他の一般的に使用される方法よりも簡単であるとともに効率がよい。その合
成法では、市販されている試薬を用いる。また、その合成法によって、少量又は
多量の投与用の本発明の造影剤を、投与される動物の大きさに応じて、柔軟に製
造することもできる。本発明の造影剤の適当で好ましい原料又は置換基は、上記
してある。
その合成法において、適当なキレート試薬(chelating agent)及び結合試薬(co
njugating agent)を水性溶液に溶解することができる。その水性溶液は、添加さ
れる担体の線状構造を維持させるのに適している。好ましくは、飽和尿素溶液で
ある。水性溶液の容量は、約200μlから約20mlの範囲とすることができる。いか
なる結合試薬であっても用いることができる。好ましい結合試薬は、EDAC又はグ
ルタルアルデヒドである。キレート試薬が完全に溶解したのを確認するために十
分な量の適当な塩基を、適当ないかなる方法によっても、その溶液に添加するこ
とができる。
キレート試薬の量は、約 9mgから900mg の範囲とすることができる。結合試薬
の量は、約20μmol から約 2mmolの範囲とすることができる。また、所望の造影
剤の量に応じて変更してもよい。
適当な量の担体は、そのキレート試薬との結合のために、その溶液に加えられ
る。その量は、約 2mgから約200mg の範囲とすることができる。pHを、適当な酸
を加えることによって、約 5未満に維持する。約 1時間後、十分な量の水をその
溶液に加える。その後、担体と錯体試薬(complexing agent)とが完全に結合する
ために十分な時間、その溶液をインキュベートする。例えば、典型的にはその溶
液を約 4℃の温度で約12時間インキュベートする。
インキュベートの後、その溶液を室温程度まで温める。その後、適当な常磁性
金属塩をその溶液に加える。例えば、塩化ガドリニウム6水和物(GdCl3・6H2O)を
加えることができる。その常磁性塩の適当な量は、約10mgから約1gの範囲とする
ことできる。その反応のpHを、適当な塩基を加えることによって、約 7よりも
大きいpHに維持する。担体-キレート試薬-常磁性金属錯体が完全なコンジュゲー
トを形成するために十分な時間の後、その溶液を透析してもよい。完全に結合す
るための典型的な時間は、少なくとも約 5時間である。透析は、適当なキレート
試薬を用いて、すべての過剰の常磁性金属を除去するために十分な時間実施する
。一般的に、EDTAを用いた24時間の透析が適当である。透析は、当業者に公知の
いかなる方法を用いて実施してもよい。その後、本発明の造影剤を含有する溶液
を、脱塩するために十分な時間、水に対して透析してもよい。この場合、典型的
には約24時間透析を実施する。ゲル濾過のような他の公知の脱塩方法を用いても
よい。その後、その溶液を、必要であれば後で使用できるように、液体又は凍結
乾燥の状態で保存してもよい。
蛍光を用いて分析したい場合には、適当な蛍光化試薬を常磁性金属とともに添
加してもよい。典型的には、蛍光化試薬に対する常磁性金属のモル比を約2:1 の
範囲とする。適当な蛍光化試薬の例は、TbCl3である。
本発明の方法の第一結合反応後の担体とキレート試薬との結合の程度は、典型
的には、約35% よりも少ない。この値は、過剰のキレート試薬とは無関係である
。低pHでの沈殿の可能性のために、二倍過剰の、例えばDOTAが必要である。結合
の程度は、より高いpHでは減少することが明らかとなっている。いかなる特定の
理論によっても制限または拘束されないことが望ましいが、第一結合が相対的に
低い効率であるのは、結合したキレート試薬と担体との相互作用に帰する。錯体
試薬であるDOTAは、pK1=4.41; pK2=4.54; pK3=9.73である(Stetter,1976)。これ
らの値は、修飾されたカルボキシルを有する結合分子の場合にはさらに減少し得
る。おそらく、このことは、DOTAの2個のカルボキシルが約 5のpHにおいて負の
電荷を有していることを意味する。同時に、ポリリジンのようなポリアミノ酸担
体のほとんどのアミノ基は、正に荷電している。静電気的相互作用の結果として
、DOTAのすべての結合分子は、その反応においてさらなる沈殿を抑制するポリリ
ジンの少なくとも2個の非結合アミノ基をブロックすることができる。Gd+を用
いた錯体化は、DOTAの負の電荷を補う。これにより、好ましいことに、さらなる
結合のためにアミノ基が放出され、当業者が望む場合には、本発明の方法の結合
の効率を有利に増加させることができる。
本発明の方法は、結合の効率を増加さるための第二結合工程を有利に提供し、
この工程では、上記の全ての工程を有する第一結合において合成されたコンジュ
ゲートを利用に供する。その第二結合において、そのコンジュゲートは第一結合
で用いられた担体を元に戻す。第二結合では、思いがけなく有利に、そのコンジ
ュゲートに結合した常磁性原子の濃度の増加を生じる。第二結合の後、常磁性原
子の濃度は、約50% から約55% の範囲の結合の効率の増加を示す。結合した常磁
性原子の濃度の増加(及び結合の効率の増加)は、各々の結合のための緩和時間
を比較することによって明らかにされる。第一結合反応では、緩和時間 T1が0.1
5秒に等しいことが示される。第二結合におけるT1の値は、1.5ml 溶液では、思
いがけなく有利に、0.08秒に短縮され、これは、Gd.DOTAの緩和性(relaxivity)
(3.4mM-1s-1)では、それぞれ3μmol,5μmol のGd.DOTAに等しい。
結合した常磁性原子の濃度の増加を計測すると、思いがけず有利に、約150 か
ら200 原子の間の範囲の数を示す。これは、これまでに報告されていない濃度で
ある。
本発明の方法によって合成される造影剤の量又は収率は、典型的には約 2mgか
ら約200mg の範囲であり、使用する反応体の量に依存する。
本発明の造影剤は、さらに有利に、別の方法ではin vivo 使用の間に起こり得
るバイオデグラデーション(biodegradation)から保護され得る。錯体の結合性を
妨げない限りは、当業者に公知のいかなる処理も用いることができる。好ましく
は、アセチル化である。他の例としては、無水琥珀酸又は無水プロピオン酸での
処理が挙げられる。
本発明の造影促進剤は、常磁性マーカー又はトレイサーイオンの投与を含むい
かなる検出システム又はイメージングシステムにおいても、容易に用いることが
できる。適当な常磁性金属を、安定なキレート化結合に合致する適当なpHで、担
体-キレート錯体に添加してもよい。
本発明の他の態様では、イメージング、特に、これに限定されるわけではない
が、MRI の使用のためのターゲット特異的造影剤を製造する方法を提供する。本
発明のこれらの造影剤は、臨床薬における治療薬として及び生物学的プローブと
しての使用に適している。ターゲット特異的造影剤は、特に有用であるので、異
常な組織又は病的な組織の検出の必要がある患者における目的の特異的組織又は
器官の位置を見つけ出す点で、医者の役に立つ。調査すべき組織又は器官への造
影剤の特異的結合によって、位置の特異性が示される。調査すべき目的の組織は
、こうして本発明のターゲット特異的造影剤と結合する。ターゲット組織は、疾
患があると、イメージング工程期間に、正常な周りの組織と効果的に対比される
。増強された特徴又はシグナル強度を有する本発明のターゲット特異的造影剤は
、目的の特異的組織の視覚的に増強されたイメージを有利に提供する。そのよう
な利点は、明らかである。
ターゲット特異的造影剤の合成に関して、ターゲット特異的な性質を有するい
かなる巨大分子も本発明の造影剤との結合に適していると考えられる。
いかなるタンパク質又はそのペプチドフラグメントも、特異的組織をターゲッ
ティングするために、本発明の造影剤に結合又はコンジュゲートするのに適して
いる。そのような適当なターゲッティングタンパク質としては、ホルモン、抗体
、ポリクローナル抗体若しくは特にモノクローナル抗体、又はそれらのFab フラ
グメント、及び小麦麦芽凝集素のようなレクチンが挙げられるが、これらに限定
されるわけではない。例えば、造影剤-抗体結合体は、本発明の造影剤に結合し
た抗体に特異的な抗原性決定子を有する、胸部、肺、脳、及び前立腺腫瘍のよう
な特異的疾患組織の位置を決定するために用いることができる。また、目的組織
の腫瘍以外の部位も、適当な抗体、例えば、アルツハイマー病の組織のためのマ
ーカー抗体によって、ターゲッティングすることができる。
造影剤-小麦麦芽凝集素結合体は、脳のマッピング(mapping)のために、哺乳動
物の脳内の目的の特定の神経接合部の位置を決定するとともにターゲッティング
する手段として有利に使用することができる。
ターゲッティングに適した他の巨大分子としては、プロスタグランジン、アミ
ノ糖、ポリ糖類及び脂質が挙げられる。また、これらの巨大分子は本発明のター
ゲッティング特異的造影剤の合成に使用することもできる。
本発明のターゲッティング特異的造影剤の合成に関して、本発明の方法によっ
て、本発明の造影剤と巨大分子とが結合できる。例えば、造影剤は、適当な塩溶
液中に調製される。その後、巨大分子を、適当な結合試薬とともにその溶液に添
加してもよい。その反応体を、造影剤と巨大分子とが結合するために十分な時間
インキュベートする。典型的には、約24時間であり、この間、ターゲット特異的
コンジュゲートを約 4℃の温度に維持するのが適当である。その後、当業者に公
知のいかなる方法によっても、ターゲット特異的造影剤を過剰の結合試薬から分
離することができる。一つの適当な方法は、ゲル濾過である。他の方法は、当業
者に既に知られている。上記のようにして、造影剤を保存することもできる。
コンジュゲートの巨大分子1個当たり、約150 から200 の間の常磁性イオンが
固着していることが、思いがけず有利に、明らかにされた。これは、これまでに
報告されたものよりも大きい数の固着した又は結合した常磁性イオンである。
投与方法
本発明の別の面は、宿主、好ましくは哺乳類の宿主に、所望の増強された造影
(又はシフト)をもたらすのに十分な量で本発明の造影剤を投与することにより
、臨床的又は診断的解析をするための方法に向けられる。宿主はこうして診断的
解析の被験者となり得る。好ましくは、診断的解析はMRI又はNMR画像解析
である。さらに、造影剤はX線画像又は超音波解析に有用である。造影増強剤と
して最初に記載したが、本発明の造影剤はNMRシフト試薬として作用すること
もでき、このような使用は本発明の範囲内のものとして考慮する。
MRI及びNMRの診断的解析のための適当なパラメーターを選択する際の理
論的考察事項の詳細な議論は、米国特許4,749,560 号に開示されており、これは
参照として本明細書に組み込まれる。CATスキャン、X線画像解析及び超音波
診断は、十分確立された技術に従って行う。
本発明の造影剤は、ヒト患者を含む哺乳類に、造影上又は視覚上増強する量に
おける医薬組成物の形態で、薬学的に許容される担体とともに投与することがで
きる。
本発明の造影増強剤は、所望の増強された造影をもたらすのに臨床的又は診断
的に十分な量で投与する。MRIについては、この量はMRIシグナルに影響を
及ぼす量、すなわちMRIシグナルのスピン−格子、スピン−スピン又はスピン
一エコー緩和時間を変える量である。この変化は、患者のある領域に関して前記
緩和時間を減少させることにより、解析中の患者から受けたシグナルを増強する
ように作用する。
別の態様において、MRIシグナルに影響を及ぼす量は、患者におけるMRI
シグナルの緩和時間を変化させることに加え、優位に十分にこのような緩和時間
を変化させることもでき、その結果所望のレベルの区別をすることができる量で
ある。これにより、本発明の造影剤を取り込んだ患者部分と取り込まなかった患
者部分との間で、視覚的に増強された区別が提供される。
本発明による画像の増強された視覚化は、上記したように、結合した常磁性原
子の上昇した濃度を有利にもたらす。
投与に関しては、本発明の組成物は、所望の増強又は改良された造影を達成す
るのに有効な用量で投与する。この用量は、使用する特定の常磁性イオン複合体
、標的となる器官又は組織、MRI装置などに依存して変えることができる。有
効量は、典型的にはリットルあたり約5〜約500 μmol の常磁性イオン複合体の
範囲に変化させることができる。経口に又は非経口に投与される用量は、kg体重
あたり約1〜約100 μmol の範囲で変化させることができ、これは成人ヒト患者
について約1〜約20mmolに対応する。幼い患者又は動物については、投与量はそ
れに従って変えることができる。
使用する特定の常磁性原子及び造影すべき器官により、投与と造影との間の待
ち時間が決定される。一般には、少なくとも15分であるが、典型的には約1時間
よりも少ない時間である。
造影剤の有効用量を有する組成物は、NMR診断については約0.001 〜5mmol
/kg、好ましくは約0.005 〜0.5mmol/kgの範囲で、X線診断については約0.1 〜
5mmol/kg の範囲で、そして超音波診断については約0.1 〜5mmol/kg の範囲で
提供される。
本発明の組成物は、かなり多数の周知経路により投与することができる。これ
らは、静脈内、動脈内、鞘内、腹膜組織内、腸管外、経小腸、経口、胸膜内、皮
下、カテーテルと通した注入による、又は直接の病巣内注入による投与を含む。
当業者は本発明の造影剤の効果的な投与経路を容易に確かめることができるが
、以下のガイドラインを提供する。静脈内、動脈内又は胸膜内投与は、一般には
肺、乳房及び白血病の腫瘍に対して使用するのに適している。腹膜組織内投与は
卵巣腫瘍に適している。鞘内投与は脳腫瘍に適している。皮下投与はホジキン氏
病、リンパ腫及び乳癌に適している。カテーテル注入は肝臓の転移性肺癌、乳癌
又は胚細胞癌に有用である。直接の病巣内注入は肺及び乳房の病巣に有用である
。投与経路に依存して、医薬組成物は当技術分野で知られている保護的被覆を要
求してもよい。
腸管外投与については、当該組成物を直接に、又は全身投与に十分な容量の担
体と混合して注入することができる。経小腸投与のための処方については、当技
術分野で周知のように幅広く変えることができる。一般に、このような処方は水
性溶液又は懸濁液中に本発明の造影剤の有効量を含む。かかる経小腸の組成物は
緩衝液、界面活性剤、チキソトロピー性試薬などを任意に含めることができる。
経口投与のための組成物は、器官感覚受容性の質を増大させるため、着香料及び
その他の成分を含めてもよい。
本発明の造影剤を含む本発明の医薬組成物(造影剤は実質的に中性である)は
、滅菌した溶液若しくは分散液における、又は滅菌した注射可能な溶液若しくは
分散液の即時調製用滅菌粉末における注射可能な使用のために提供することがで
きる。この組成物は、好ましくは滅菌液体である。
滅菌は、組成物の造影剤の完全性が不利に影響されない限り、抗菌的又は抗真
菌的保存剤、例えばパラベン (paraben)、クロロブタノール、フェノール、ソル
ビン酸、チメロサール(thimerosal)などを添加することを含む(これらに限定さ
れない)、当該分野で認識された任意の手法により行うことができる。さらに、
糖又は塩化ナトリウムなどの等張化剤を本発明の組成物中に混合することができ
る。
本発明の造影剤を含む滅菌した注射可能な溶液の製造は、上記列挙した種々の
成分とともに適当な溶媒中に造影剤を混合することにより達成される。滅菌は、
例えば滅菌濾過により行ってもよい。滅菌粉末を得るため、上記溶液を必要なよ
うに真空又は凍結乾燥してもよい。
こうして、本発明の造影剤は、投与形態において薬学的に許容可能な適切な担
体とともに、薬学的に有効量を便利かつ有効に投与するために混ぜ合わせること
ができる。この組成物は、これまで達成されなかった方法での造影の増大又は濃
淡差に有利に作用する。
ここに使用したように、薬学的に許容可能な担体は、任意の、そしてすべての
溶媒、分散媒体、被覆剤、保存剤、抗菌及び抗真菌剤、等張化剤などを含む。か
かる材料の使用は当該技術分野で周知である。
典型的な薬学的に許容可能な担体は周知であり、例えば水、緩衝化水性溶液(
即ち生物適合性緩衝液)、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレン
グリコール、ポリエチレングリコールなど)、これらの適当な混合物、界面活性
活性剤又は植物油を含有する溶媒又は分散媒体を含む。
キット
本発明のさらなる態様は市販用に適した本発明の造影剤を含むキットである。
キットについては、本造影剤の溶液を滅菌し、アンプル容器またはバイアル容
器に充填してもよいし、あるいは凍結乾燥して粉末化し、用時に溶解してもよい
。本造影剤は上述したような担体と混合してもよい。本造影剤を凍結乾燥形態で
提供する場合は、凍結乾燥粉末と混合するために、担体もまた適当なバイアルま
たはアンプルに入れて提供してもよい。所望により、アンプルは一つの隔室に入
れた凍結乾燥粉末と別の隔室に入れた担体とを含み、こわれやすい隔壁によって
分離させることもできる。用時にその隔壁を破りアンプルを振って投与に適した
溶液とする。
本発明の造影剤の投与に先立って、再組成した造影剤を適切な希釈剤、例えば
リンゲル液(Ringers Injection,USP)、
塩化ナトリウム液(Sodium Chloride Injection,USP)、
デキストロース液(Dextrose Injection,USP)(5%デキストロース滅菌水)
、
デキストロース塩化ナトリウム液(Dextrose Sodium Chloride Injection,US
P)(5%デキストロース塩化ナトリウム液)、
乳酸加リンゲル液(Lactated Ringers Injection,USP)、
タンパク加水分解物低塩液(Protein Hydrolysate Injection Low Sodium,USP
)、
好ましくは適当な浸透性を有する注射用水(Water for Injection,USP)を添
加してさらに希釈してもよい。
溶液または凍結乾燥粉末形態の造影剤の量は、適当な臨床現場で用いられるよ
うな市販用としてあらゆる適切な量で提供することができる。
あるいは、販売者またはユーザーが本発明に従って造影剤を合成することを目
的として本発明の造影剤を調製するための試薬を別のアンプルまたはバイアルに
入れて提供することもできる。
代替的な方法論
本発明の造影剤は、広い多様な用途に用いることができると考えられる。
MRIおよびその関連技術の近年の発展は、本発明の造影剤の新規なかつ可能
性のある応用をもたらした。超伝導量子干渉デバイス(SQUIDS)は、ここに参照と
してして挙げる、Scjentific American,August,1914 に記載されるような緩和
(relaxation)現象を測定するために利用されうる、磁気域における極めて高感度
の検出機器をもたらした。磁気流量の変化を検出することにおけるSQUIDSの感度
は、地球の重力域または10-32ジュールにおいて、単一の電子を1ミリメートル
引き上げるための機械的エネルギー量よりも100倍以上の感度である。これら
の装置はHeisenbergの不確定理論によって確立されたような量子原理限界に近づ
く。SQUID システムはますますバイオメディカル用途に利用されつつある。よっ
て、本発明の造影剤はこの関連技術に重要な役割を果たしうる。
本発明の造影剤はまた、X−線、超音波、および音響造影を含む他のタイプの
造影技術と組み合わせて利用することもできるが、これらに限定されない。特に
、放射活性の金属種と本発明の造影剤の複合体は、診断剤、モニター剤、および
治療剤として利用されうる。特に興味深い医療用途に関しては、本発明の造影剤
は、カルジオグラフィー、冠動脈造影、大動脈造影、脳血管および末梢血管造影
、関節造影、静脈内腎う尿管造影、および尿路造影を含む種々のX線撮影技法に
利用されるが、これらに限定されない。
さらに、本造影剤は放射性薬品を含む薬品を標的特異性を有し、または有しな
いで体の各部位に運搬するための担体として有利に利用できる。本技術の利点は
ドラッグデリバリーが、試験下にある器官系または組織に対して特異性を有して
リアルタイムでモニターできることである。さらに、本薬剤は所望の部位(例え
ば、腫瘍または感染部位)を標的する、および/または標的部位でその薬剤を放
つことができる。
造影剤の用途は医薬用途に限定されない。磁気共鳴、他の造影およびモニター
技術が蔓延するにつれ、より産業的な用途も展開しつつある。例えば、磁気共鳴
技術は石油探査に応用されている。SQUIDSの出現により石油または地熱エ
ネルギー源の所在を決定するために地殻を調査することも可能となった。かかる
状況下では、造影剤は石油埋蔵量およびその流速を調査し、追跡し、そしてモニ
ターすることにも利用されうる。さらに、造影剤は石油パイプライン輸送システ
ムで流速および/または漏れを診断するのにも使用されうる。
他のタイプの産業用途としては、参考としてここに組み込む、US特許5,015,95
4 に開示されるような生産または製造プロセスにおけるモニタリングおよびフィ
ードバック系が含まれる。本発明の造影剤はそのようなプロセスに応用して、モ
ニタリング、分析、および品質管理の手段として補助させることができる。
利点
本発明は、造影剤およびその合成方法に関する技術分野で顕著な改良を示す。
抗体をガドリニウムと結合させることは数年にわたり知られているが、本発明の
結合方法は臨床的にも商業的にも有用な造影剤を生成する。本発明の方法はこれ
まで達成されたよりも高濃度の結合常磁性原子を有する造影剤を提供する。この
ことは、より高められたシグナル強度と顕著さを有利にかつ予想外に提供する。
よって、本発明の造影剤は他の造影剤と比較してより優れたMRI造影を提供す
る。
さらにこれに関し、本発明は、標的分子に結合した、これまで達成されたより
も有意に高濃度の常磁性金属、例えばガドリニウムを有する造影剤を有利に提供
する。より重く負荷した標的分子が驚いたことに他に報告される方法よりもその
生物学的活性を維持する。
本発明の造影剤は、予期せぬことに、点解析の与えられたレベルにおいて、よ
り短い造影時間をもたらす。より短い造影時間が達成されるのは、使用された一
単位当たりの本発明の造影剤により生成されるより大きなシグナル増強と造影コ
ントラストのためである。
本造影剤を調製する本発明の方法もまた、他に報告される方法よりも有利にま
た予想外に、単純でかつ簡単である。
過去十年にわたる臨床MRI技術の進展における途方もない成長、および診断
試験のコスト高と重複を懸念する現代のヘルスケア事情を考慮すれば、本発明は
、MRIの技術力と核医薬のような標的−特異性造影技術を組み合わせることの
有意な可能性を示す。
本発明の好ましい側面と態様は当業者が本発明を実施できるように、上記に詳
述されているが、もし当業者がより好ましいまたは最も望ましい造影剤にしか満
足できない場合は、種々の置換がなされうると理解すべきである。
本発明をさらに以下の実施例によって説明するが、これらの本発明の精神と範
囲を限定するように理解されるべきではない。利点
本発明は、造影剤および造影剤の合成方法に関する技術の現状における有意な
改良を表す。ガドリニウムと抗体とを結合することは数年前に知られているが、
本発明の結合方法により、一層臨床的にそして商業的に有用な造影剤が製造され
る。本発明の方法により、それまでに達成されたよりも高い濃度の、結合された
常磁性原子を有する造影剤が提供される。このことは、増強されたシグナル強度
または高められた濃淡差を、有利かつ予期されずに提供する。こうして、本発明
の造影剤は、他の造影剤と比較したときに、優れたMRIのコントラストを提供
する。さらにこのことについては、本発明は、これまでに達成されたよりも有意
に高い濃度で標的分子に結合した、常磁性金属(例えば、ガドリニウム)を含有
する造影剤を有利に提供する。より大きな負荷を荷された標的分子は、驚くべき
ことに、他の既報の方法よりもその生物学的活性をよりよく保持する。
本発明の造影剤は、予期されないことに、与えられたレベルの点の分解におい
てより短いイメージング時間を提供する。より大きくシグナルが増強され、本発
明の造影剤の使用された単位あたりで産生されるイメージコントラストがより大
きいために、より短いイメージング時間が達成される。
造影剤を作成するための本発明の方法はまた、有利かつ予期されないことに、
他の既報の方法よりも簡単かつ容易である。
過去10年間にわたる臨床的なMRI技術の普及における驚くべき進展と、コス
ト超過を心配する現在のヘルスケアの環境と診断試験の重複から、本発明は標的
特異的イメージング技術(例えば核医学)とMRIの技術的耐久力とを結合させ
るための重要な可能性を有利に表す。
本発明の好適な特長と実施態様を以上に詳細に説明し、当業者にとっての本発
明の実施を可能なものとしたが、当業者が好適なまたは最適な造影剤以下で満足
するならば、種々の置換が可能であることを理解すべきである。
本発明を、さらに、以下の実施例によって説明するが、これらは本発明の神髄
および範囲を限定するようなものとして解釈すべきではない。
実施例1
二段階カルボジイミド結合(conjugation)によるPL−Gd−DOTAの調製
典型的な調製においては、DOTA 9mg(22μmol)及びEDAC 3.84mg(20
μmol)を飽和尿素溶液 200μLに溶解する。1N NaOH の添加することにより、D
OTAを完全に溶解させることができる。ポリリシンPL 2.1mg(10μmol リシ
ン、100nmol PL)が加えられる。pHは1N HClによって5以下に維持する。1時
間後、水 200μLを加えて、次いでその溶液を4℃で12時間インキュベートする
。
溶液を室温まで温めて、GdCl3・6H2O 10mg(27μmol)を加える。pHは1N NaOHに
よって 7.0以上に維持する。実験に蛍光の分析が含まれる場合、GdCl3とTbCl3の
混合物(モル比2:1)の当量が用いられる。5時間後、溶液を8mMのEDTA三ナ
トリウムに対して24時間及び水に対して24時間透析し(MWCO 12,000-14,000
)、凍結乾燥する。凍結乾燥後のPL−Gd・DOTAの収量は典型的には2.2-
2.5mgである。
結合の第2段階においては、全ての手順が、PLの代わりに調製されたPL−
Gd・DOTAを用いて同様の方法で行われる。もう一つのキレート化剤である
DTPAをDOTAの代わりに反応に用い得る。この場合、全ての操作及び試薬
の量は第1の結合と同様である。
実施例2
生分解によるPL−Gd・DOTAの調製
細胞内の結合ポリリシンの解離はin vivo 使用に対して重大な問題を引き起こ
す。細胞が外因性タンパク質を分解し得る幾つかのメカニズムが存在する。最も
重大なことは、タンパク質鎖からの結合アミノ酸のさらなる分離を伴うリシンの
アミノ基へのユビキノンの結合である。このプロセスは、PL−Gd・DOTA
の残留アミノ基をアシル化してそれらのアミノ基とユビキノンの結合を不可能に
することによって防ぐことができる。
第2段階の結合の後、等容量の飽和酢酸ナトリウムを透析溶液に添加する。そ
の混合物を氷上で冷却し、無水酢酸30μL を5μL ずつ30分間隔で添加する。各
々の添加の前にpHをチェックし、酸媒体中でのGd・DOTAの解離を防ぐため
に1N NaOH によってpH9に維持する。次いで、溶液を4℃で12時間インキュベー
トし、透析及びゲル濾過(Sephadex G-25、水)によって脱塩する。
アシル化によって、ユビキノンによる急速な分解からのポリマーの保護が保証
される。造影剤をプロテアーゼ分解からより長時間保護するために、ポリ-d- リ
シン(又はポリ-d- オルニチン)が生物学的1-異性体の代わりに用いられる。こ
のポリマーは大部分の生きている組織において簡単には分解され得ないが、d-プ
ロテアーゼが存在する肝臓及び腎臓によって利用され得る。
実施例3
PL−Gd・DOTAとタンパク質の結合
本質的に脱塩されたPL−Gd・DOTA溶液を凍結乾燥して10mMのKH2PO410
0μL に溶解した後、EDAC 1mg及びWGA 0.5mg(12nmol)を添加する。4℃
、24時間後、そのコンジュゲートを過剰のグルタルアルデヒドからゲル濾過(Se
phadex G-50、水)によって分離する。MRI分析によって、150-200 個のGd
原子(又は3-4 個のポリマー鎖)がWGAI分子に結合していることがわかる。
Wright(1984)によれば、WGA は二量体構造を有する;各単量体は6リシン残
基を有しており、それは恐らくそのコンジュゲート中でPL−DOTA錯体のカ
ルボキシル基と関係している。調製した造影剤はネコ脳における軸索輸送の直接
的MRI研究及び(30%TbCl3の添加による)その蛍光視覚化に用いられる。
実施例4
PL−Gd・DOTAと抗体の結合
同様の結合法が、モノクローナルIgGl抗ビタミンB12抗体(Sigma、#V
9505、クローン#CD−29)を用いたMRI造影剤の調製に用いられる。
抗体溶液を水に対して透析し、30μL (タンパク質5nmol)をPL 1mgから得
られたPL−Gd・DOTAと結合する。次いで抗原を加え、混合物をSephadex
G-200を通して水で溶出することによりゲル濾過する。280nmに吸収をもつ最初
の溶出ピークはビタミンB12の 360nm及び 548nmの吸収ももち、これは抗体−抗
原複合体の存在を意味する。このピークは、過剰のポリリシン及び抗原のメジャ
ーピークから分離している。抗体−抗原複合体の溶出液は、抗体の濃度が 0.6μ
M、抗原の濃度が 1.7μM(分光光学的に測定)、Gd・DOTAの濃度が 130μ
M(MRIにより測定;T1=1.5s)である。これは 200Gd原子までは抗体の抗原
と結合する能力の損失なしにその抗体に結合するということを意味する。
実施例5
グルタルアルデヒドとの結合
カルボジイミド反応の条件がタンパク質生存性に適していない場合、PL−G
d・DOTAとの結合はグルタルアルデヒドによってもたらされ得る。アセチル
化ポリマーの分子はさらにいくつかの遊離アミノ基を有しており、グルタルアル
デヒドと反応させることができる。典型的な調製においては、100mMリン酸緩衝
液 300μL にPL−Gd・DOTAを溶かした溶液(pH=7)を、30μL ずつ氷
冷した2%グルタルアルデヒド 200μL に加える。12時間後、インキュベートし
た混合物をゲル濾過(Sephadex-25、PBS)する。280nmに吸収をもつ画分を集
めてタンパク質溶液に加える。混合物を4℃で24時間インキュベートし、用いた
タンパク質に適したゲルを通してゲル濾過する。この結合方法はカルボジイミド
反応に匹敵するほど効率的であり、抗体及びその他の高分子に結合したMRI造
影剤の調製に適している。
実施例6
コントラストの濃淡差及びリラクシビティ(relaxivity)のin vitro試験
シグナル増強に十分な電位を1.5テスラ臨床MRイメージングマシーン(Signa
Systems,GE,Milwaukee,USA)でサンプル溶液を満たしたバイアルを検査する
ことによって確認した。水バイアル及びゲル像に対応するシグナル強度の定量的
評価をより綿密な定量的評価を行うように行った。定量的測定のために、多重イ
メージングセッション(multiple imaging sessions)を、固定TE値に対するTRを
変化させるとともに、その他のパラメーターは一定に保ちながらリニア先端コイ
ル(linear extremity coil)を用いて行った。シグナル強度を、関心領域カーソ
ル(region of interest cursor)を用いるイメージングシステムコンソールでコ
ンセンサスファッション(consensus fashion)において観察者二人で測定した。
これは各バイアルについてそれぞれのTR増大の後に行った。TRは1600msから 100
ms未満まで変化させた。おおよその緩和速度定数(relaxation rate constant)T1
の計算を可能にするために、シグナル強度の変化を繰り返し時間に対してプロッ
トした。図1にT1緩和試験からのサンプルイメージを示す。
実施例7
小麦胚芽凝集素(WGA)に結合した造影剤の投与
定位フレーム(stereotaxic frame)を用いて、麻酔をかけたネコをHorsley-Cla
rk 平面に保持した。無菌条件下、アメリカ合衆国、大学及び地方の全ての規則
に従って、開頭術を行った。視覚皮質が露出した。注射のためにハミルトン30ゲ
ージマイクロシリンジにWGAと結合したガドリニウムを含む造影剤を予備装填
した。これをその皮質表面下2mmまで導き、20mg/mlの濃度のコンジュゲート 0
.2-0.4マイクロリットルを1mm以上の表面裂け目を付けて注射した。注射が完了
した後、開いた頭を閉じて、動物を回復させた。軸索トレースを図3及び4に示
したように行った。蛍光顕微鏡検査をTbCl3を用いて行って、図5に示したよう
に、造影剤の存在を確認した。
実施例8
抗体を抗原301 に結合した造影剤の投与
定位フレームを用いて、麻酔をかけたネコをHorsley-Clark 平面に保持した。
無菌条件下、アメリカ合衆国、大学及び地方の全ての規則に従って、開頭術を行
った。視覚皮質が露出した。25ゲージ 3.5インチ針を定位キャリヤに垂直に取り
付けた。誘導のために環椎(atlas)を用いて、脳室(ventricle)に挿入し、少量の
CSF(注射物質とほぼ同じ容量)を除去した。3mg/mlの濃度の本発明のガド
リニウム造影剤と結合したネコ301 材料(0.33ml)を左脳室(left venticle)に
注入して、開いた頭を閉じた。図2にネコ脳の 301抗原部位に局在化した、抗原
301 に特異的な抗体と結合した造影剤の冠状イメージ(矢印で示した白色材料)
を示す。これは、本発明の造影剤に結合した抗体が、都合がよいことにその標的
となる抗原にin vivo で結合する能力を保持すること示している。
上記の詳細な説明及び添付の実施例は単に説明的なものであり、本発明の範囲
を限定するものとして受け取られることはないということは理解されるものであ
る。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定され
る。種々の変更及び修飾(置換基、誘導体、合成、処方及び/又は本発明の使用
の方法に関係する変更及び修飾が限定されることなく含まれる)が本発明の精神
及び範囲から逸脱することなくなされ得る。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
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,SI,SK,TJ,TM,TT,UA,UG,US,
UZ,VN
(72)発明者 カチュール,アレクサンダー ザ フィフ
ス
アメリカ合衆国 19130 ペンシルバニア
州 フィラデルフィア,ノース 23アール
ディー ストリート 844
(72)発明者 ローゼンクィスト,アラン シー.
アメリカ合衆国 19096 ペンシルバニア
州 ウィンウッド,ハンセル ロード
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