【発明の詳細な説明】
内燃機関
本発明は四工程(four-stroke)原理に基づいて作動する内燃機関に関する。
あらゆる面で技術的進歩が見られるにも拘わらず、非レール式路上走行車(non
-rail-bound road vehicles)を駆動させるものとして最も広く用いられている内
燃機関は、四工程クランク軸ピストンエンジン、特にオットー及びディーゼルエ
ンジンであることは長年知られている。無論これらのエンジンは相当長い年月を
経て改良されてきたものであるが、原理的に解消することが極めて困難あるいは
不可能なくつかの不利な面を含んでいる。オットー(サイクル)機関は下記の不
都合点を有していると言える。すなわち、等圧縮・膨張比によるかなり低い理論
効率;ピストンが上死点に至る前に混合気に点火することによる相当に低い品質
効率;圧縮と膨張とがピストンの一方側で生じるために大きな熱交換が生じ、こ
れにより熱及びエネルギーの大きな損失が生ずることによる相当に低い品質効率
;付加が減少しても摩擦損失が変わらないことによる、低負荷時における低い機
械的効率;及び、各シリンダを分離することが難しく、かつ電気モータとオット
ー機関とを組み合わせることも難しい、といったことである。
バンケル機関はかかるオットー機関のいくつかの欠点、特にピストンの往復運
動に係る欠点、及び弁機構に係る欠点を解消しようとしたものであったが、この
機関もオットー機関に取って代わることはできなかった。
本発明の目的は、上記欠点を排除あるいは少なくとも実質的に減少させる新規
な内燃機関を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明は、四工程原理に従って作動する内燃機関を
提案するもので、該内燃機関は、内部にロータスペースを有したハウジングと;
好ましくは前記ロータスペース内の周囲に均等に分離して形成された少なくとも
一対の燃焼室と;前記ロータ室のロータ軸周りを実際に回転するロータであり、
非円形とされ、かつ好ましくは周方向に離れた少なくとも二つのカムを備えたロ
ータと;前記ロータの周囲に設けられ、該ロータと前記ロータスペースとの間を
シールするシール手段と;前記燃焼室と連通される吸気ダクト及び排気ダクトと
;前記ロータの前記カムと共働して、前記ロータと前記ハウジングとの間を、燃
焼室の各対に対して四つに変化する室に分離し、それら各室において四工程プロ
セスの四つの工程が生じるようにする弁手段と;を備えて成る。
該内燃機関の優位点として次のことを挙げることができる:
− ロータは回転運動をして壁面に支持されるものではないので、摩擦損失は
最小限のものとなる。ベアリングの内部における摩擦損失以外で生ずる摩擦損失
は、必要なシール及びその動き、並びに弁手段の動きによる摩擦損失のみである
。
− 設計段階で、ロータのカムの周方向幅を選択することによりロータの角回
転を規定し、その回転の間に、燃焼室内でピストンあるいはロータを押し戻すこ
とによる負の仕事を生じることなく点火及び圧力発生が生ずる定常上死点条件(s
tationary UDC-condition)がより大きく又は小さく生成されるように設定す
ることができる。
− 弁手段を上方位置にロックすることによりロータの燃焼サイクルを断つこ
とが可能であり、この場合ロータはフライホイールとしてのみ回転するものとな
る。その際、ガス力がなければシールの摩擦抵抗のみが機械的損失として残留す
るが、それらは最小限のものである。シールがブランク接触シールである場合に
は、シールには摩擦抵抗は一切生じない。
− 弁手段の作動によるタイミングが如何なる回転速度であっても常に最適と
なるため、ガスの掃気は最適なものである。燃焼室でガスの流入/流出が生じる
必要がなく、吸入ガスと排出ガスとの接触が回避される(弁のオーバーラップ、
バックファイヤは生じない)。本発明の実施形態によれば、吸気ダクト及び排気
ダクトをロータの全幅にわたって延ばすことが可能で、これにより燃焼室を適正
に充填(charge)することができる。
− このエンジンのトルクの傾向は、オットーエンジンに比べて極めて規則的
なものである。一つのロータと、対向した二つの燃焼室とを有した本発明のシン
プルなタイプのエンジンでは、180°毎に、四気筒四工程オットーエンジンに
対応した燃焼が生じる。
− ロータは互いに分離したコールドサイドとホットサイドとを有しているた
め、ロータを非対称形にすること、及び/又は、カムを不均一な間隔で配置する
ことにより、圧縮比及び膨張比を独立して選択できる。これにより、理論効率の
向上が図れる。
− 本発明によるこの燃焼機関は、電気モータと組み合わせるのに非常に適し
ており、混成(ハイブリッド)駆動装置を実現する。かかる組合せでは、弁手段
を非作動状態とすれば、ロータは、フライホイールとして電気モータと共に回転
することができる。この燃焼エンジンがその駆動を電気モータから引き継ぐとき
には、弁手段が作動状態に設定され、適正な点火及び燃料噴射がなされるよう注
意すれば、動力はスムーズに引き継がれる。また、この燃焼エンジンの形状はち
ょうど電気モータの如くほぼ円形であり、その径は各電気モータに良好にフィッ
トするように選択できる。
− 本発明によるこの燃焼機関においては、低負荷時に圧縮弁がロータから僅
かに引き上げられる構成とされていれば、空気は、ほとんど閉状態となっている
スロットル弁を介して大きな抵抗に抗して吸入される代わりに、圧縮室から内部
に取り入れられ、低負荷時の効率を向上させることができる。
以下、本発明による内燃機関の実施形態の例を示した図面を参照して本発明を
さらに説明する。
図1aないし図1hはそれぞれ、本発明に係るエンジンの作動中における八つ
の異なった位置を極めて概略的に示した断面図である。
図2aないし図2hはそれぞれ、本発明の他の実施形態による内燃機関の作動
中における八つの異なった位置を極めて概略的に示した断面図である。
図3は、図2aのIII-III線に沿う断面図である。
図4、図5、図6は、それぞれ図3のIV-IV,V-V,VI-VI線に沿う断面図である
。
図7は、本発明の内燃機関の別の実施形態を示す拡大一部断面図である。
図8は、本発明の内燃機関のさらに別の実施形態を示すもので、ほぼ図7に対
応した断面図である。
図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図10は、図8の底面を若干縮小して示した部分断面底面図である。
図11は、本発明の図8に示した実施形態による内燃機関の部分断面図である
。
図12及び図13はそれぞれ、図11のXII-XII線及びXIII-XIII線に沿った概
略部分断面を縮小して示した図である。本図において、断面部の左側部分はロー
タの一部を示している。この部分は、本図の右側部分に示されたロータの部分と
正反対に位置している。また、この右側部分は図11の切断線に対応している。
図14は、ロータが軸方向に圧縮部及び膨張部に分離した本発明による内燃機
関の一実施例を極めて概略的に示した図であり、本図の左側には各ロータ位置に
おける断面形状を示してある。
図15は、図14に示した実施形態における内燃機関の部分断面図である。
図16及び図17は、軸方向に分離したロータの他の実施形態を示した、図1
4に対応した図である。
図1は本発明による内燃機関の極めてシンプルな構成を示している。該内燃機
関はハウジング1を備えている。このハウジングは、極めて概略的に示してあり
、その中に形成されたロータスペース2を有している。該ロータスペース2は、
対向配置された燃焼室3,4を除いて円筒形状のもので、その軸線はこの図の紙
面に対して垂直である。今述べたようにこの実施形態では、このロータスペース
2内の周囲には対向配置された一対の燃焼室3,4が形成されているものとして
いるが、これら燃焼室を複数組設けることも無論可能である。ロータスペース2
内ではロータ5がロータ軸6に回転可能に取り付けられている。このロータ軸6
はロータスペース2の前記軸線と一致している。ロータ5は円形ではなく、この
場合、ロータスペース2の周囲にまで至る二つのカム7,8、すなわち圧縮・膨
張カム7、及び吸入・排出カム8を有している。これらカム7,8は前記燃焼室
3,4と同じ配置形態とされており、従ってこの場合では、これらのカムが対向
配置されたものとなっている。ロータ5は長軸線9と短軸線10とを有している
。このロータの形状は、これら軸線9,10に対しては対称的なものではないが
、180°の回転に対しては略対称的なものとなっている。ただし、圧縮・膨張
比を最適化するためにこれらカム7,8を180°以外の角度にオフセットさせ
て構成することも可能であり、またそのために、両カムの両側においてロータの
形状を変えてもよい。長軸9の両側には前記各カム7,8に対してシール手段1
1が設けられており、これらシール手段によってロータ5及びハウジング1間の
気密性が確保されている。
図示の如く、ロータ5の回転方向(矢印参照)における各燃焼室3,4の僅か
手前に排気ダクト12,13が形成されている。これら排出ダクト12,13は
それぞれ対応する排気弁14,15によって開閉される。各燃焼室3,4の後方
には吸気ダクト16,17が形成されており、これらは、対応する吸気弁18,
19によってそれぞれ開閉される。これら弁14,15及び18,19は、例え
ば図示しないカムシャフトあるいはカムトラック等によって内部からの操作が可
能である。これら弁14,15及び18,19は、前記各ダクト12,13及び
16,17を開閉できるだけでなく、ロータ5及びハウジング1間の室を気密的
に分離された四つの室に分離するようにも機能し、これらの室において四工程過
程の四つの工程が生じるものとなる。無論この四つの室の分離は、ロータ5のカ
ム7,8に設けられた前記シール11との共働により成し得るものである。これ
ら室の各々において、吸気工程、圧縮工程、膨張工程、及び排気工程が代わるが
わるなされる。図では、吸気工程にある室をA、圧縮工程にある室をB、膨張工
程にある室をC、排気工程にある室をDで示してある。無論ロータ5の周囲と、
各弁14,15及び18,19の内端とは、それらが過度に摩耗することなく当
接状態で通過できかつ良好なシールを果たせるようにされたものである。そのた
めにはいくつかの技術を利用できる。
図1aないし図1hは、前記四工程が完全に行われるロータ5の一回転の途中
における八つの異なった位置を示している。
図1aには前記四つの室A〜Dを示してあり、この図には、吸気ダクト16か
ら新しい混合気を取り入れるべく前吸気弁18が開かれている状態が示されてい
る。また、この吸気弁18は室Aを一方側において制限しており、かつ、この吸
気工程にある室Aの他方側は、ロータ5のカム8のシール11によって封鎖され
ている。ロータ5のカム8は吸気弁18から離れるように移動してるため室Aの
容積は増加し、これにより吸気ダクト16から新しい混合気が吸入される。ロー
タ5をシールしているこの吸気ダクト18の反対側では、そこに形成された室B
において圧縮工程が行われる。ここにおいて、前記排気弁14は閉じられており
、またロータ5のカム7が燃焼室3に向かって移動するため、これにより室Bの
容積が減少し内部の混合気が圧縮される。膨張工程は室C内で生じ、この膨張工
程において燃焼室4では内部の混合気圧が上昇し、室Cにおけるこの圧力がロー
タ5に、室Cの容積が増加する方向すなわち矢印で示す方向のトルクを与える。
そして、室Dにおける排出工程はほとんど終了し、ロータ5のカム8の隣接した
シール11と共に室Dを形成している排気弁15がほとんど閉じられている状態
を見ることができる。
図1bでは、ロータ5がさらに若干回転し、ここにおいて排気室Dの容積はゼ
ロまで減少し、ここで排気弁15は完全に閉止される。
図1c及び図1dはロータがさらに回転された状態を示しており、図1dでは
吸気弁18がほぼ閉じられる。
図1eは、室A及び室Cが各々最大容積となり、かつ室B及び室Dが各々最小
容量となったロータの位置を示している。室Aには一定量の新しい混合気が充填
され、その混合気は、ロータ5がさらに回転することにより圧縮される。室Bで
は圧縮工程がちょうど終了し、燃焼室3内の圧縮混合気への点火を行うことがで
きる。この点火は図示しないスパークによって開始される。ロータ5のカム7の
先行側シール11及び排気弁19が、高いガス圧に耐えるよう、燃焼室3をシー
ルする。カム7の周方向の幅がロータ5の角回転を決定しており、この角回転の
間に定常上死点が現われ、従ってこの間ロータが回転しても室Bの容積変化を生
じない。この回転角の間に混合気への点火及び燃焼が生じる。この燃焼は、それ
により生じた圧力がロータ5に負の仕事を与えるものではない。エンジンタイプ
に応じて、カム7の幅は、所要の定常上死点を最適化するよう設計段階において
選択することができる。室Cにおいて膨張工程が終了し、該室内の全圧縮エネル
ギーが消費される。最後に、室Dが室Bに変換される段階となり、そこにおいて
、次の図に示されるように吸入混合気が圧縮される。
図1fは、例えば最初に吸気工程がなされる室Aが、吸入混合気を圧縮する圧
縮室Bにまさに移行する位置から、室A〜Dが幾分移動した状態を示している。
この図1fの位置において、吸気工程及び圧縮工程は実際には開始されていない
。他方、図1eにおける前の圧縮室Bでは既に膨張工程が始まっており、その時
点で圧縮室Bは室Cとなり、その中で点火された混合気が膨張でき、ロータ5を
駆動させることでその容積が増加される。この時点でロータカム8の一方のシー
ル11と排気弁14とから規定される室D内では排気工程が既になされている。
図1g及び図1hでは室A〜Dにおける四工程がさらに進み、図1hでは、ロー
タ5が図1aの位置に対して180°回転した位置に至っている。この位置から
、図1b〜図1gに示したものと180°オフセットした状態にて同様に進行す
る。
上記のことから、ロータ5の一方側では吸気工程及び圧縮工程がなされ、ロー
タ5の他方側では膨張工程及び排気工程のみが行われることが明らかである。こ
のロータ5の一方側をロータのホットサイド、また、反対側をロータのコールド
サイドと呼ぶことができる。かかる分離は、混合気の熱損失及びエネルギー損失
に関して有利となる。そしてこのことが、該エンジンの品質効率にとって有利な
効果をもたらす。
図2aないし図2hは図1に示した燃焼機関の他の実施形態を示しており、こ
の例のものは、排気ダクト12及び吸気ダクト16を一つのみ有したものとなっ
ている。これらはハウジング1に形成されたものではなくロータ5に形成されて
おり、かつ常時開状態となっている。一方、弁14,15及び18,19は単に
四つの室A〜Dを分離するために機能しているものの、前記排気ダクト12及び
吸気ダクト16は、常に固有の室D又は室Aにそれぞれ連通したものとなってい
る。この構成では、排気ダクト12及び吸気ダクト16はロータ軸6を介して延
びたものとならざるを得ず、従ってロータ軸6は中空構造のものとなる。無論原
理的には、ロータ5ではなくハウジングの方を回転させ、ロータ5を静止状態と
することも可能である。
図3ないし図6は、図2に示した実施形態による本発明の内燃機関のより詳細
な構成を概略で示したものである。ハウジング1、ロータ5、ロータ軸6、排気
ダクト12、吸気ダクト16、排気弁14、及び吸気弁19を見ることができる
。この場合、弁14,15及び18,19は、これら弁が移動できるよう、弁軸
20に回転可能に取り付けられていることが解る。本実施形態において、該弁軸
20は、これら弁14,15及び18,19を作動させるようにも機能する。何
故なら、これら弁軸20は、各弁14,15,18,19にそれぞれ回転するよ
うに固定されており、かつこれら軸の両端にはそれぞれカム21が設けられてお
り、これらカム21が該弁軸20に回転可能に取り付けられて各カム板22,2
3にそれぞれ当接しているからである。両カム板23は、上方側の上部吸気弁1
8の双方のカム21を作動させ、下方側の下部吸気弁19(図3)の双方のカム
21を作動させる。かかる対称的な構成により、二重作動カム板23によるこれ
ら弁18,19のこのような共通動作が可能となっている。このカム板22によ
る共通動作は、排気弁14,15においても可能である。図5及び図6は前記カ
ム板22,23の形状を示している。各弁14,15及び18,19を内包に回
転させるべく、コイルバネの如きトーションバネが前記各弁軸20を或る程度付
勢している。
図3及び図4はまた、ロータ5の両側に、円形外周を有した共働回転板25が
固定されていることを示している。これらの共働回転板及びシール手段26によ
って、ロータ5とハウジング1との間の側方シールがなされている。シール手段
26はハウジング1及び共働回転板の双方に取り付けられている。
図3はさらに、ロータ軸6が中空であり、かつ複数のベアリング27によって
ハウジング1内で軸受けされていることを示している。このロータ軸6はその中
心で閉塞されており、一方側では排気ダクト12として、また他方側では吸気ダ
クト16として機能するものである。
図7は、本発明に係る内燃機関の別の実施形態を示しており、該構成では特殊
な弁装置を用いている。この場合、圧縮弁14及び膨張弁18が、燃焼室3内に
設けられた軸受け部28で各弁軸20に軸受けされている。この軸受け部28に
よって、燃焼室3に通ずるダクト29が形成されている。本実施形態では、吸気
ダクト及び排気ダクトはロータ5内に形成することができる。本実施例の優位点
は、圧縮ガスが非常に好ましく燃焼室3へ流れることができ、かつこの方式によ
りその圧縮ガスが高温の膨張弁18を通過しないということである。さらに、極
めて高温の膨張ガスが前記圧縮弁14を通過することがなく、よってこの弁の熱
負荷は低いものとなる。また、この実施形態によれば、燃料を望ましい位置で噴
射することができる。その際、そのノズルは、圧縮弁14が開かれているときに
燃料を燃焼室内に直接噴射する。無論各弁のシールは高基準に合うものである必
要がある。
図8,図9,及び図10は、さらに別の形態による弁構成を示している。この
構成の特徴としてまず挙げられることは、双方の弁14,18が一本の軸31に
支持されており、少なくともこれら双方の弁が同一軸回りに回転する点である。
この構成の利点は、弁14,18を通過して燃焼室3に至る流路ダクト29をで
きるだけ短いものとでき、これにより、燃焼室のコンパクト化、圧縮ガスへのブ
レーキ作用の最小化、及び、該ダクト29を介しての燃焼室3への燃料直接噴射
の一層の容易化がなされることである。燃料噴射器のための取付け孔30を示し
てある。この燃料噴射器のノズルヘッドは、好ましくは、圧縮工程の最終段階に
て所要のガソリン(petrol)を燃焼室3内に直接噴射するものである。圧縮弁14
によって燃焼室3は閉塞されているので、その燃料噴射器が高燃焼圧にさらされ
ることはない。
図10は両弁14,18の前記軸への懸架状態を概略的に示している。弁14
は、該弁14の両側のハウジング部33に軸受けされている内部軸32により支
持されており、弁18は、前記内部軸32に軸受けされた中空軸34に固定され
ている。
さらに、図8及び図9は、膨張弁が、十分な高圧縮が得られるように燃焼室3
の幅をできるだけ大きく制限した側方シール部35を有して成る特殊タイプのシ
ール構造を備えているものを示している。これらのシール部35により、圧縮ガ
スが、比較的狭い圧縮弁14から同様に狭い燃焼室3内に流れ、上記の如き十分
に高い圧縮が可能となっている。一方、これらのシール部35によって、前記膨
張弁18が開いた際に、燃焼ガスが、広い膨張弁18の全幅からすぐには流出し
ないようになっている。もしそうでなければ、膨張圧によるパワーは急激に低下
してしまうであろう。この場合、このようなことは生じ得ない。それは、横方向
に設けられた両前壁部36によってそれらシール部35の外側の空間38を膨張
室37から締め出しているからである。これら横行壁部36は、ハウジング1内
の嵌合凹所39内にガイドされ、かつシールされている。
図8及び図11に示すように、圧縮弁14及び膨張弁18はロータ5に向いた
側が凹状となっている。すなわち、これら弁14,18がシール41を介してカ
ム7又は8の位置でロータに当接し、かつロータ5をその両端でシールできるよ
う凹所40を備えている。弁14,18の開閉動作はシール41上でなされ、カ
ム7,8がこれら弁を通過すれば、弁とロータとの間のこのシールはなされたま
まの状態となる。
ロータとハウジングとの間のシールはブランク接触シール(blank contact sea
l)であることが好ましい。このシールは、ロータ5の駆動を断った際に摩擦損失
が最小になるか全くなくなる。このような状況となるのは、複数のロータを有し
た実施形態において、僅かなパワーのみを必要とする際に或るロータの駆動を断
つような場合である。また、ロータ5を電気モータと連結し、その電気モータを
、この燃焼機関の停止中に作動状態とするような混成(ハイブリッド)実施形態
も考えられる。何れの場合でも、弁14,18は閉止位置に保持される。
図12及び図13はロータ5の両側とハウジング1との間のブランク接触シー
ル42を示している。このシール42は、例えば0.03〜0.05mmの非常
に小さい間隙43を有している。膨張が生じるロータ5の周囲に近接した部分(
断面図の右側)で、前記間隙43は、ロータ5内に内側に向けて形成された空気
室44と接続しており、好ましくは接線方向に分割されている。ハウジング1内
に形成された空気ダクトが前記空気室44内に開口するようになっている。この
空気ダクト45は例えば空気ベッセルから延出させて、その内部に圧力及び空気
の流れが生じるようにすることができる。これら圧力及び空気流は、電子的に制
御され、ロータ5の外周面におけるガス圧に対して逆圧及び逆流の形態を取るも
のである。図12と図13との比較において、前記空気室44の半径方向長さ及
び/又は軸方向深さは、ロータ5の予想局部ガス圧に応じてロータ5の周方向に
変えられることを示している。この空気室44の長さを変えることによってこの
シール間隙43の長さを変えられ、これによって異なった圧縮比及び該シール間
隙43内の流れが得られる。ロータ軸6のベアリングが、空気ダクト45からの
圧縮空気の漏れによる径方向内方の圧力を受けないように、ハウジング1内にお
けるロータ軸6近傍に圧力解放ダクト53が形成されている。ロータ5の圧縮部
(図12及び図13の左部分参照)には空気室44はないが、これは、ロータ5
の周囲における圧力が低く、従って漏洩のおそれが少ないからである。
図11を参照すると、ロータの圧縮・膨張カム7に設けられた前記シール41
には0.03〜0.05mmの非常に小さい間隙45を設け、このカムの部分を
通る流れを妨げるようにすることもできる。この間隙45は、カム7上を流れる
ガス流を妨害し、ガスが一部通過し得る状態とすることによりそのガスの流れを
乱すように膨張室の方に向けられた一つ又は複数の楔形凹所46を有している。
ここでも、ガスの漏れを防ぐために、この場合、ロータ5を介して圧縮空気を供
給することが可能である。吸入・排気カム8のシールはより単純な構成とするこ
とができる。
本発明のその他の変形としては、例えば、ロータ5及びロータスペース2を軸
方向に圧縮部及び膨張部に分離させることによってよって、コールド部及びホッ
ト部分をより完全に分離することである。ロータスペース2を吸気・圧縮室、及
び膨張・排気室に分離することにより、ロータハウジング内の吸気及び排気ダク
トは連続的に開いたままとなる。また、吸気ダクトもロータ内に形成し、中空ロ
ータ軸6を介して空気供給源に接続することもできる。
図14は、ロータ5が、圧縮及び膨張とで完全に軸方向に分離してなる例を示
している。この実施形態のものでは、ロータ中央部47が膨張部として、また両
外側部分48が圧縮部として機能する。弁14,18は、ロータ5の交差方向に
、それぞれ前記膨張部47あるいは圧縮部48のみに対応して延びている。図1
5は、圧縮空気がダクト49を介して燃焼室3に供給されることを示している。
言うまでもなく、この構成では、圧縮及び膨張がロータの幅部分のみで生じるた
め、完全分離していないロータ5に比べてパワーの発生が少ないものとなる。し
かしこの構成の利点は、圧縮弁14及び膨張弁18の双方の動きが各ロータ部4
8,47にてそれぞれガイドされ、これにより外部制御手段が不要となる点であ
る。
図16は、膨張部と圧縮部との間が一部分離された場合の一例を示している。
この場合、五つの部分があり、両外側部50では圧縮のみが行われ、中央部51
では膨張のみが行われ、それらの中間部52では膨張及び圧縮の双方が行われる
。この実施形態は、前記外側部50が圧縮弁14を制御することができ、かつ前
記中央部51が膨張弁18を制御するので、弁の外部的な操作を必要としない。
図17に示すロータ5は、部分的な軸方向分離が別の手法でなされている例で
ある。中央部47が圧縮及び膨張の双方を担い、両外側部48で膨張のみが行わ
れる。これら両外側部48、従って膨張部は、膨張弁18のみとオーバラップす
るもので、従って上半分が無効となる半円形をしている。これに対し、(図の左
側における)前記中央部47は完全な楕円形をなしている。この実施形態におい
て、膨張弁18の動きは両ロータ部48によってガイドされることができるが、
圧縮弁14には外部からの制御が必要である。図12及び図13に示したロータ
5は、図17に示した実施形態に従って構成されている。
本発明は、原理上は、一つのみの燃焼室及び一つのロータカムを用いる構成と
することも可能であることに留意されたい。その場合、二つの非活動工程を含ん
だ六工程原理が生ずることになる。ロータが三回転して一回の燃焼工程が生ずる
。また、四室、六室、八室、他の燃焼室を持った燃焼空間が考えられる。
その他の実施形態あるいは変更も可能である。例えば、ロータの両側における
前記ブランク接触シールを、ラビリンス出口が燃焼ガス排気口又は加圧ダクトに
接続されて成るラビリンスシールとすることもできる。
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