【発明の詳細な説明】
ケル式血液型の遺伝子型決定のための診断法及びキット発明の背景
本発明は、ケル式血液型の遺伝子型を決定する方法に関する。更に詳細に述べ
ると、本発明は、とりわけ、K1/K2、K6/K7、K10/K(-10)、及びK3/K4/K12の遺伝
子型を決定する分子遺伝学的方法に関する。
ケル式血液型システムは、周知であるが、20以上の異なる関連抗原を含む、血
液抗原の複雑な群である。抗原K1(K、ケル)が、これらの23の公知の表現型の
中で最も強力な免疫源であることは公知である。血清学的には、K1サブ遺伝子座
は、高頻度抗原K2(K、セラノ(Cellano))と対立遺伝子の関係がある。人口のお
よそ9%が、K1赤血球表現型を有し、かつ不適合血液のシングルユニット(singl
e unit)の輸血を受けたヒトの約5%において、K1に対する抗体が発現される(
参照1)。
新生児溶血性疾患(HDN)は、一般に、Rh(D)に対する母児同種異系免疫化に関連
しているが、K1不適合性も、新生児において重篤な溶血性疾患を引き起こし得る
(参照2〜7)。前回の妊娠によるK1感作は、その胎児がK1キャリヤである場合に
は、次回の妊娠時にHDN及び合併症を引き起こし得る。より稀なK2感作の場合に
も、同様の問題が起こり得る。胎児のK1/K2遺伝子型の同定は、父親がK1/K2ヘテ
ロ接合体である場合に特に重要である。母親は過去に感作されているので必ずホ
モ接合体であるので、K:1,2である父親を持つ胎児がHDNの危険性を伴う可能性は
50%である。この50%の危険率のために、このような妊娠における胎児のK1/K2
遺伝子型のホモ接合性またはヘテロ接合性を同定することは、それらを適切に管
理する際の助けとするために重要になってくる。しかし、K1/K2以外のケル抗原
に関して両親の遺伝子型を決定することも、妊娠の管理において意義があると考
えることは重要である。
ケル遺伝は、常染色体性及び相互優性であり、かつケルタンパク質の遺伝子(K
EL)は、染色体7q33に位置している(参照8〜11)。ケル抗原は、高および低頻
度の抗原を発現する対照をなす対になった対立遺伝子の5セットにコードされて
いることが明らかである。従って、K1(K)及びK2(K)は対立遺伝子の産物であ
り、K3(Kpa)、K4(Kpb)及びK21(Kpc);K6(Jsa)及びK7(Jsb);K17及びK11;並びに
K24及びK14も同様である。しかし、K12、K13、K18及びK22のようないくつかの高
頻度抗原は、単独で発現される。ケル表現型の一部は、人種的又は民族的グルー
プで分類される。例えば1958年に最初に報告されたK6は、アフリカ系アメリカ人
においてより頻発し、シアトル(ワシントン州)で実施された研究においては、
この群の19.5%までにおいて生じている(参照12)。同様にK10(Ula)は、フィン
ランド人において頻度が高い(参照13)。これらの様々な関係、及びこれらのケ
ルシステムにおける位置は、情報の多い家系について血清学的に分析することに
よって、長年にわたって確立されている(参照14〜18)。
分子クローニングを含む様々な研究は、ケル式血液型抗原が、赤血球細胞表面
(参照26)に認められる93KDaのII型糖タンパク質(参照19〜25)上に保持され
ていることを証明している。このケルタンパク質は、短い、46個のアミノ酸であ
り、細胞質にN-末端ドメインがあり、かつ赤血球細胞の外側表面上に665個のア
ミノ酸からなる巨大なC-末端を有している。糖質は全て、N-結合型であり(参照
27)、おそらく、アスパラギンの93、115、191、345及び627の5部位に位置する
。初期の生化学的研究では、ケル抗原は、立体配置がジスルフィド結合に大きく
依存するようなタンパク質上に存在することが示唆されていた(参照28)。この
ケルタンパク質は、16個のシステイン残基を有し、1個は膜貫通領域にあり、及
び15個は外側にある(参照25)。スルフヒドリル試薬による赤血球の還元は、ケ
ル抗原の消失、及びいくつかの新たなエピトープ(neo-epitope)の露出をもたら
す(参照28)。
このケルタンパク質の抗原構造のマッピングも開始されている。最近開発され
た免疫学的試験法である、様々なケル抗原に対しモノクローナル抗体を使用する
MAIEA法は、同定されたあるケル抗原が、その糖タンパク質の空間的に離れた領
域に出現することを示している(参照26)。例えば、K1/K2、及びK6/K7ドメイン
は、互いに近接して出現する一方で、K3/K4エピトープは、異なる位置にあり、
かつK18は更に別のタンパク質ドメインにある(参照29)。
これまでのケル遺伝子型の決定は、ケル抗原の検出及び同定から導かれた推測
の範囲に限られている。このような方法は、抗体、もしくはケルタンパク質又は
その一部を識別し、かつこれらと相互作用するような他の化合物を利用している
。例えば特定のケル抗原に特異的な各種抗体が、同定されている(参照13、22)
。ケルタンパク質及び他の血液型抗原の凝集反応法が、米国特許第5,324,479号
、第5,302,512号、第5,213,963号、第4,560,647号、第4,403,042号、第4,358,43
6号、及び第4,148,607号に開示されている。これらの方法は、発現されたタンパ
ク質のプロフィールに関する情報をもたらすが、タンパク質の分子構造又は個々
の分子遺伝学的構成(maKeup)に関する情報はもたらさない。ZelinsKiらは、マー
カー遺伝子を用いる連鎖試験から、ケル遺伝子型を間接的に推定する方法を発表
した(参照30)。しかしこのような方法は、ケル遺伝子型に関する限定的かつ間
接的情報のみを提供する。更に一般にこれらの方法は、試験対象から血液試料を
得ることが必要である。同じく胎児のケル表現型を決定するためには、胎児の血
液試料が通常必要である。これは、胎児が出血しやすく、かつ死亡の可能性があ
るような、潜在的に危険な手技と関連している。これまでに発表された方法では
、KEL遺伝子構造を基に、ケル遺伝子型を簡便かつ直接的に決定するような方法
は明らかにされていない。
その結果、ケル遺伝子型を安全かつ簡便に検出する方法が必要である。更に、
血液試料採取の必要の無い、胎児におけるケル遺伝子型の決定法を提供すること
も所望である。羊膜細胞から採取したDNA試料を基にした試験は、臨床医に、胎
児に害を及ぼすリスクをなくし、かつ抗ケル関連HDNの可能性をより正確に予測
することをもたらすであろう。発明の要約
本発明は、対象におけるケル式血液型の遺伝子型の鑑別決定のための診断法を
提供する。この診断法は、ケル多型遺伝子座を含む核酸の供給源又は試料から、
特有の核酸生成物を、ケル遺伝子型の特徴づけを可能にするのに十分な量生成す
ることを含む。この方法は、1種以上のケル多型又はケル表現型に関して、ケル
遺伝子型を決定するために使用することができる。好ましくはこの方法は、K1/K
2遺伝子型、K6/K7遺伝子型、K10/K(-10)遺伝子型、及び/又はK3/K4/K21遺伝子
型を決定する、ケル多型遺伝子座を検出するように定められている。
第一の好ましい実施態様において、本方法は下記の工程を含む:ケル多型の遺
伝子座、好ましくは対象のゲノムDNAを含む核酸試料を選択的に切断し、1個以
上の核酸断片を含む核酸生成物を、ケル遺伝子型の特徴づけに十分な量を提供す
る工程である。この方法は、K1/K2多型遺伝子座、K6/K7多型遺伝子座、K10/K(-1
0)多型遺伝子座、及びK3/K4/K21多型遺伝子座を含む核酸を、選択的に切断する
工程を含むことが好ましい。
DNAの選択的切断は、該DNAをケル多型遺伝子座を基にして区別して切断する制
限酵素による、試料核酸の消化によって達成される。いずれか適当な制限酵素を
、所望のように使用することができる。K1/K2多型遺伝子座においては、好まし
い制限酵素はBsmIである。K6/K7多型遺伝子座においては、好ましい制限酵素はM
nlI及び/又はDdeIを含む。K10遺伝子型においては、好ましい制限酵素はAccIで
ある。K3/K4/K21多型においては、好ましい制限酵素はNlaIII及び/又はPvuIIで
ある。1種以上のケル多型性を識別することが所望である場合には、このような
酵素の組合わせを使用することができる。
この診断法は、好ましくは対象から得られたDNA試料から、ケルDNAを増幅する
ことを含む。典型的にはこの増幅は、特異的ケル多型を決定する遺伝子座を含む
核酸のみを増幅するようなプライマーを使用することを含む。プライマーは、K1
/K2多型遺伝子座、K6/K7多型遺伝子座、K10/K(-10)多型遺伝子座、及び/又はK3
/K4/K21多型遺伝子座を含む、特定のケル多型遺伝子座を含むDNAを、選択的に増
幅するように選択することができる。
制限酵素によるケル核酸の消化は、対象から得られた核酸を増幅した後に行う
ことが好ましいが、この消化をこのような増幅の前に行うこともできる。
第二の好ましい実施態様において、本発明の診断法は、ケル多型遺伝子座を含
む核酸試料を区別して増幅し、ケル遺伝子型の特徴づけに使用することができる
核酸生成物を提供することを含む。ケル多型に関連した対立遺伝子セットの1個
の特異的対立遺伝子をコードしている核酸を区別して増幅するようなプライマー
による増幅を可能にする鋳型として、この核酸試料を取扱うことが好ましい。
プライマー又はプライマーセットを必要とする本発明の診断法において、これ
らのプライマー又はプライマーセットは、単一のプライマーを含むか、もしくは
例えば多数のプライマー対を含むような、多数のプライマーを含むことができる
。
例えば好ましい態様において、本発明の方法は、K1 DNAを特異的に増幅するプラ
イマー(K1対立遺伝子に特異的なプライマー)、K2 DNAを特異的に増幅するプラ
イマー(K2対立遺伝子に特異的なプライマー)、及び各々K1及びK2 DNAの両方を
増幅する2個のプライマー(対立遺伝子に非特異的なプライマー)を用いること
ができる。この態様においては、K1 DNA、K2 DNA、及びK1/K2 DNAに対応する、
異なる大きさのPCR生成物が生成される。これらのPCR断片のパターンは、K1/K1
、K2/K2、及びK1/K2の遺伝子型間で異なる。
プライマーには、K6遺伝子座及び/又はK7遺伝子座を含む核酸鋳型を、区別し
て増幅するものが含まれる。更にプライマーには、K10遺伝子座及び/又はK(-10
)遺伝子座を含む核酸鋳型を、区別して増幅するものが含まれる。同じくプライ
マーには、K3遺伝子座、K4遺伝子座、及び/又はK21遺伝子座に関連した核酸鋳
型を、区別して増幅するものが含まれる。
特に好ましい、K1を有する核酸に対し対立遺伝子が特異的であるオリゴヌクレ
オチドプライマーは、下記のヌクレオチド配列群から選択されたヌクレオチド配
列を含む:ATA CTG ACT CAT CAG AAG TTT CAG CA(SEQ ID NO:1)、及びATA CTG A
CT CAT CAG AAG TCT CAG CA(SEQ ID NO:2)、及びATA CTG ACT CAT CAG AAG TGT
CAG CA(SEQ ID NO: )。
特に好ましい、K2を有する核酸に対し対立遺伝子が特異的であるオリゴヌクレ
オチドプライマーは、下記のヌクレオチド配列である:TGG ACT TCC TTA AAC TTT
AAC TGA AC(SEQ ID NO:3)。
特に好ましい、K1及びK2を有する核酸に対し特異的である(しかし対立遺伝子
は非特異的である)オリゴヌクレオチドプライマーは、下記のヌクレオチド配列
群から選択されたヌクレオチド配列を含む:TTT AGT CCT CAC TCC CAT GCT TCC(
SEQ ID NO:4)、及びTAT CAC ACA GGT GTC CTC TCT TCC(SEQ ID NO:5)、及びTTA
GTC CTC ACT C-C CAT GCT TCC(SEQ ID NO: )、及びTCA CAC AGG TGT CCT CTC T
TC C(SEQ ID NO: )である。これらのプライマーは、増幅のために対で使用する
ことができる。
特に好ましい、K6及びK7を有する核酸に対し特異的であるオリゴヌクレオチド
プライマーは、下記のヌクレオチド配列群から選択されたヌクレオチド配列を含
む:CTC ACC TAG GCA GCA CCA ACC CTA(SEQ ID NO: )、及びTTA CCT GGA GGG C
AT GGT TGT CAC T(SEQ ID NO: )である。
更に本発明の診断法は、好ましくは生成された核酸制限断片又は増幅生成物か
ら情報を導くことを含む。好ましくは、この情報の誘導は、核酸生成物を分離し
、ケル遺伝子型を特徴づける特異的情報をもたらす断片のパターンを提供するこ
とを含む。更に好ましくは、この分離は、K1/K2遺伝子型、K6/K7遺伝子型、K10/
K(-10)遺伝子型、及び/又はK3/K4/K21遺伝子型を特徴づける特異的情報を提供
するような核酸生成物のパターンをもたらす。更に、ケル核酸生成物の一部又は
全てを、例えば1種以上の生成物の印付け又は染色によって検出することが好ま
しい。生成物は、非特異的マーカー物質によって印付けることができる。このよ
うな物質は、それらの分離パターンを基にそれらの識別を可能にするために、該
生成物の一部又はすべてを染色するように使用することができる。代わりにこの
検出工程は、1種以上のケル核酸生成物を、選択的又は特異的形式で、1種以上
のハイブリダイゼーションプローブで印付ける工程を含むことができる。好まし
くはハイブリダイゼーションプローブ(複数)は、K1遺伝子座又はK2遺伝子座の
ような、興味深いケル多型遺伝子座を含む1種以上の核酸生成物を、特異的に印
付けするものが使用される。
本発明の分子遺伝学的方法は、一般に、ヒト対象又は患者から採取した生物学
的試料から、核酸、好ましくはゲノムDNAを得ることを伴う。典型的には血液試
料が好ましいが、赤芽球組織を含む他種の組織試料も有用である。特に好ましい
実施態様において、本発明は、胎児におけるK1/K2ケル式血液型の遺伝子型の決
定法を提供する。この実施態様において、好ましい組織試料は、羊水又は漿膜絨
毛の試料を含む。
本発明は更に、ケルのゲノムDNA、mRNA又はcDNAのような、ケルをベースにし
た核酸の多型領域と少なくとも実質的に相補的であるヌクレオチド配列を有する
、ケルをベースにした核酸オリゴマーを提供する。特に本発明は、K1 DNAと実質
的に相補的である核酸配列を有する核酸オリゴマーに加え、K2 DNAと実質的に相
補的である核酸配列を有するオリゴマーを提供する。好ましくは、本発明のオリ
ゴマーは、興味深い領域に対し完全に相補的である。
更に、本発明は、ケルのゲノムDNA、mRNA、又はcDNAのような、ケルをベース
にした核酸の多型領域と実質的に相同である核酸配列を有する核酸オリゴマーを
提供する。特に本発明は、K1 DNAと実質的に相同である核酸配列を有する核酸オ
リゴマーに加え、実質的にK2 DNAと相同である核酸配列を有するオリゴマーを提
供する。本発明のこれらのオリゴマー類は、ケルをベースにした核酸の標的部分
と、少なくとも一部が完全に相同であるような核酸配列を含むことが好ましい。
本発明の核酸オリゴマーは、標的核酸配列の存在を、このような標的配列との
結合又はハイブダイズによって同定するための、ハイブリダイゼーションプロー
ブとして使用することができる。従って、これらの核酸オリゴマーは、蛍光標識
物、高電子密度物質、レポーター部分、特異的又は非特異的結合部分、もしくは
当該技術分野で公知である他の検出可能な部分のような、検出可能なマーカー部
分との結合によって、検出可能であるように標識される。本発明のオリゴマーは
、任意に、更に標的核酸配列と架橋結合することが可能であるような反応基を含
むことができる。その上本発明のオリゴマーは、そのオリゴマーを固定するため
に、例えばゲル又は樹脂などの支持体物質と結合することができる。
本発明のオリゴマーは、ケル多型遺伝子座を含むケル核酸領域と、特異的に結
合するか、もしくはその延長を引き起こすような、増幅プライマーとしても使用
することができる。好ましいプライマーは、K1/K2遺伝子座、K6/K7遺伝子座、K1
0/K(-10)遺伝子座、及び/又はK3/K4/K21遺伝子座を含むケル核酸と結合するか
、もしくはその延長を引き起こす。
更に、K1/K2多型を特徴づけている遺伝子座の同定は、該ケルタンパク質のK1
ドメイン又はK2ドメインに対し実質的に相同であるようなアミノ酸配列を含むケ
ルをベースにしたポリペプチドの調製を可能にしている。これらのポリペプチド
は、天然の原料から誘導されかつ実質的に精製されるか、もしくは所望の実質的
に純粋な形状に合成される。このようなポリペプチドは、同じく検出可能である
ように標識され、反応基に付着され、かつ当該技術分野において公知の方法で支
持体に結合される。本発明のポリペプチドは、例えば対象又は患者における同種
異系免疫化を検出するためのプローブとして有用である。このようなアッセイに
おいて、該ポリペプチドは、K1抗原と実質的に相同であり、かつ抗K1抗体と特異
的に反応することが可能な免疫学的プロフィールを示すアミノ酸配列を含むこと
ができる。
従って別の実施態様において、本発明は、ケル抗原、好ましくはK1抗原に対す
る患者の同種異系免疫化を検出する診断法を提供する。この実施態様において、
この方法は、患者又は対象から血液試料を採取すること、及びポリペプチドプロ
ーブで、該試料の免疫反応性のパラメーターを測定することを含む。このポリペ
プチドプローブは、ケルタンパク質のK1/K2ドメインと実質的に相同であるアミ
ノ酸配列を含むことが好ましい。更にこのポリペプチドプローブは、該試料中に
存在する抗K1抗体と特異的に反応することが望ましい。本発明は更に、K6、K10
に加え、K3及びK21を含む、他のケル抗原に対する、対象の同種異系免疫化の検
出のための類似の方法を可能にする。
別の実施態様においては、患者の組織試料中のケル式血液型の遺伝子型を決定
するための診断用キットが提供される。この実施態様において、本発明は、例え
ばK1及びK2に特異的な配列のような、標的核酸配列を検出することによって、ケ
ル式血液型の遺伝子型を決定するための診断キットを提供する。このキットは、
増幅プライマー、すなわちK1及びK2に特異的な配列と結合するか、もしくはその
延長を引き起こすようなオリゴヌクレオチドを含んでいる。更にこのin vitro用
キットは、多数のウェルを備え、K1及びK2標的配列に対し実質的に相補的な核酸
配列を有するオリゴヌクレオチド捕獲(capture)プローブが結合されている微量
滴定プレートのような、容器を備えている。
あるいは本発明は、K1及びK2のような、特定のケル抗原に特異的な標的核酸配
列を検出することによって、ケル式血液型遺伝子型を決定する診断キットを提供
する。この実施態様において、キットは下記を備えている:
(a) 第一のPCRプライマーは、K1に特異的な配列に結合するか又は延長を引き起
こすようなオリゴヌクレオチドであり、かつ第二のPCRプライマーは、K2に特異
的な配列に結合するか又は延長を引き起こすようなオリゴヌクレオチドであるよ
うな、第一及び第二のPCRプライマーを含むプライマーセット;及び
(b) 多数のウェルを有し、該標的配列と実質的に相補的な核酸配列を有するオリ
ゴヌクレオチド捕獲プローブが結合されている微量滴定プレートのような容器で
ある。
本発明は更に、ケル核酸配列を運搬する組換え発現ベクターを提供する。本発
明は、ケル多型部位をコードしているタンパク質の一部を含むケルタンパク質の
少なくとも一部をコードしている核酸配列を含む発現ベクターを提供する。特に
本発明は、その細胞表面にK1タンパク質を発現するような形質転換細胞又は形質
転換体を産生するために、細胞に形質転換をもたらすK1 cDNAを運搬する発現ベ
クターを提供する。ベクター類は、K6 cDNAを運搬するベクター、並びにK3又はK
21 cDNAを運搬するベクターも提供され、それぞれ、細胞を形質転換し、K6、並
びにK3及びK21を発現する。更に本発明は、修飾され(すなわち形質転換され)
、その細胞表面にタンパク質を発現するような安定した細胞系に加え、このよう
なタンパク質を発現するための細胞系の形質転換法を提供する。K1の発現につい
ては、このようなタンパク質は、好ましくは少なくともK1ドメインを含み、更に
好ましくはこのタンパク質はK1タンパク質である。同様にK6、並びにK3及びK21
の発現については、発現されたタンパク質は、好ましくはそれぞれ、K6、並びに
K3及びK21ドメインを含み;更に好ましくは、これらのタンパク質は、それぞれ
、K6、K3又はK21タンパク質である。本発明は更に、本発明に従って産生された
形質転換細胞系によって発現されたケル抗原に対する少なくとも1種の抗体の生
成を含むことにより、ケル抗原に特異的な抗体の調製法を提供する。この抗体は
、ポリクローナル抗体が意図されているが、モノクローナル抗体又はその抗原結
合領域のような、単一の特異性であることが好ましい。
従って、本発明の結果として今回、患者のケル遺伝子型の鑑別決定のための安
全かつ簡便な診断法が提供された。特に、血液試料を採取する必要のない、子宮
内胎児のケル遺伝子型を決定する方法が提供されている。羊水から得られたDNA
由来の、ケル遺伝子型、特にK1/K2遺伝子型の決定を基本とした試験は、臨床医
に、被験胎児の危険性の低下をもたらす。更に、この新規診断法は、新生児の抗
-K-に関連した溶血性疾患の可能性の正確な予測を可能にする。
本発明のこれら及び他の利点は、本願明細書において述べられている詳細な説
明及び実施例によって理解されるであろう。これらの詳細な説明及び実施例は、
本発明の理解を助けるが、本発明の範囲の限定を意図するものではない。図面の簡単な説明
本発明の好ましい実施態様は、具体化及び説明を目的として選択されているが
、あらゆる点で本発明の範囲の限定を意図するものではない。本発明のある態様
の好ましい実施態様を、下記の添付図面に示す:
図1は、ケルエクソンの遺伝子座を示すケル遺伝子地図、及びエクソンの位置
を確定するために使用されたクローン間の関係、更には該ケル遺伝子の制限部位
を示す。
図2A-2Dは、該ケル遺伝子のエクソンのヌクレオチド配列を示す。
図3は、該ケル遺伝子の5'フランキング領域及びエクソン1を示す。
図4は、該ケル遺伝子の5'フランキング領域のプロモーター活性を図示するオ
ートラジオグラムを示す。
図5は、該遺伝子の各種クローンから選られたケル遺伝子の3'末端の比較を示
す。
図6は、該ケル遺伝子の特異的断片に対応する増幅されたDNAの区別的分離を
図示している、臭化エチジウム/アガロースゲルを示す。
図7は、K1 DNA及びK2 DNAの対応する部分の比較を示す。
図8は、本発明の方法に従った、K1 DNA及びK2 DNAに対応する増幅されたDNA
の区別的分離を図示している、臭化エチジウム/アガロースゲルを示す。
図9は、本発明の方法に従って得られたPCR生成物の、臭化エチジウム/アガ
ロースゲル電気泳動による分析を示す。
図10は、K6 DNA及びK7 DNAの対応する部分の比較を示す。
図11は、本発明の方法に従って得られたK6/K7 PCR生成物の、臭化エチジウム
/アガロースゲル電気泳動による分析を示す。
図12は、本発明の方法に従って得られたK6/K7 PCR生成物の、臭化エチジウム
/アガロースゲル電気泳動による分析を示す。
図13は、K10 DNA及びK(-10)DNAの対応する部分の比較を示す。
図14は、K3 DNA、K4 DNA、及びK21 DNAの対応する部分の比較を示す。発明の詳細な説明
ケル式血液型システムは、その抗原性の複雑さによって特徴づけられる(参照
18)。異なる20以上の抗原が、ケルシステムによるものとされている。これらの
抗原の大部分は、独立に発現される他のケル抗原と共に、高及び低頻度抗原の5
種の対照をなすセットに編成されている。この抗原の多様性の分子的根拠につい
ては、これまで理解されてはいない。本発明では、KEL遺伝子の構造及びその19
種のエクソンの境界を説明し、各種ケル表現型の分子的特徴付けを可能にした。
各種ケル表現型の分子的根拠は、これまで確立されていない。KEL遺伝子の構
造が研究され、かつケルタンパク質をコードしている19種のエクソンが始めて同
定されたことで、今回は、ケル遺伝子型の多型性の分子的根拠が確立された。
特にK1/K2多型性及びその遺伝子座は、K1/K1 DNAのエクソンを配列決定し、こ
れをK2/K2配列と比較することによって決定されている。予想外のこととして、K
1遺伝子型のエクソン6における塩基置換が、アミノ酸の変更を予期することが
わかった。更にこの塩基置換は、40以上の異なる試料を試験する際に使用される
ような制限酵素切断部位を形成し、この塩基置換が、K1遺伝子型を同定するとい
うことを確認した。
該ケル抗原群の別のものであるK6(Jsaとしても公知である)は、高頻度K7抗
原と対立遺伝子の関係にある、低頻度赤血球抗原である。K6は、全人口の1.0%
未満に出現するが、アフリカ系アメリカ人の19.5%もが、K6抗原キャリアである
。我々は、今回、K:6,-7であるヒトのケル遺伝子(KEL)の19種のエクソンを配列
決定することによって、K6/K7多型における多型の分子的根拠を決定した。K:6,-
7 DNAから得られた配列を、K:6,7 DNAの配列と比較することで、エクソン17に、
ロイシンからプロリンへのアミノ酸の変更を予期させるような、予想外の塩基置
換が示された。この塩基の変化は、制限酵素切断部位の欠失も生じる。K7におけ
る別の塩基の変更は、発現されたタンパク質に変化を生じないサイレント(silen
t)であるが、これはK6/K7遺伝子型を識別するために利用することができる、別
の制限酵素切断部位の欠失を生じる。
K10(Ula)抗原は、対応する血清学的に検出可能な高頻度抗原がない、低頻度
ケル抗原である。従って、野生型表現型(ここではK(-10)と称す)は、K10抗原
の欠損によって特徴づけられる。今回エクソン13において、K10多型残基の分子
的根拠が決定された。nt 1601での点突然変異は、グルタミン酸からバリンへ
のアミノ酸の変更が予測されることがわかった。この塩基の変更は、同様に本発
明に従ってK10遺伝子型を決定するために使用することができる、新たな制限酵
素切断部位を生じる。
別のケル遺伝子型の対照をなす対立遺伝子のセットは、K3/K4/K21(Kpa/Kpb/Kpc
)セットである。KEL遺伝子に関する我々の研究では、意外にもこのセットの3
種の対立遺伝子を、エクソン8における2個の隣接するヌクレオチドの変更を基
にして識別することができ、これらは各々、該ケルタンパク質のアミノ酸配列の
同位置での、個別のアミノ酸の変更を予測することを明らかにした。更にこれら
の塩基変更は、各々、該遺伝子において、新規かつ個別の制限酵素切断部位を生
じる。
最も認められるケル表現型は、K:-1,2,-3,4,-6,7,9,11,12,14,18,19,22である
。今回我々は、一般的ケル表現型を有するヒトのKEL遺伝子の19種のエクソンを
定義した。ケル多型の分子的根拠を決定するために、我々は、ケルの19種のエク
ソンを増幅すると思われる一連のプライマーを設計した。その後我々は、高及び
低頻度抗原の様々な組合わせを発現している複数のヒトのDNA配列を比較し、抗
原発現において認められた変異に関連している可能性がある配列の変異を決定し
た。
例えば我々は、K1/K1及びK2/K2 DNAのDNA配列を比較した。異なるアミノ酸を
コードしていると思われる単なる塩基の変更が、エクソン6において認められ、
共通の(consensus)N-グリコシル化部分で、スレオニンからメチオニンへと変更
していた(Asn.X.Thr→Met)。この変更は、この部位でのN-結合型グリコシル化
を妨げるであろう。一般的表現型のケルタンパク質のアミノ酸配列を基に、6種
の可能性のあるN-グリコシル化部位、すなわちアスパラギン残基93,115,191,345
,627及び724が示された。しかし742位のアスパラギンは、これがAsn.Pro.Ser.配
列の一部であり、かつアスパラギン及びセリン/スレオニン間のプロリンの存在
が、N-グシコシル化を阻害する(参照31)ために、おそらくグリコシル化されな
いであろう。いずれの場合においても、193位のスレオニンからメチオニンへの
変更は、アスパラギン191のグリコシル化を阻害するであろう。従って、K1タン
パク質は、5個の糖部分の代わりに、多くても4個で構成されるであろう。糖側
鎖の欠如は、免疫原性を生じるタンパク質の異なる部位を露出し得る。赤血球
表面タンパク質におけるグリコシル化の欠損は、血液型表現型の変更をもたらす
ことができる。WebbグリコホリンC変異体も、N-グリカンが欠如している(参照3
2〜33)。
エクソン6におけるCからTへの点突然変異も、新たな制限酵素切断部位で、周
知の制限エンドヌクレアーゼであるBsmIによって切断される、5'-GAATGCT-3'を
生じることも今回わかった。制限酵素による消化を用いて、K1/K1及びK2/K2ホモ
接合体、並びにK1/K2ヘテロ接合体の識別を可能にし、診断用遺伝子型操作の開
発をもたらす。
理論的にまとめることは欲しないが、非常に稀に、ケル抗原を全く発現しない
赤血球細胞が認められることは、公知である。K0(null)として公知の表現型にお
いて、該赤血球細胞は、その細胞膜上に全くケルタンパク質を有さないことが明
らかである。しかし我々の実験室での予備実験では、K0であるヒト2名が、末梢
血中にケルのmRNAを有していること、並びにこの開始ATGコドンからポリA鎖まで
のmRNAの配列は、一般的ケル表現型を有するヒトから得られたmRNAと同一である
ことを示している。これは、K2及び一部K0のヒトの19種のエクソンの塩基配列が
同一であることを指摘している。従って、エクソン6のPCR増幅、及びBsmI処理
による遺伝子型決定は、K0のヒトのK2遺伝子型を示すことができる。血清学的分
析は、容易にK0ホモ接合体は検出するが、K0ヘテロ接合体は、K2又はK1として血
清学的には同定されず、かつBamI分析は、更なる分離をもたらさない。おそらく
同様のことが、全てのケル関連抗原の発現が弱められるような、Kmod表現型にお
いても生じるであろう。それにもかかわらず、K0及びKmod表現型は非常に稀であ
るので、実用を目的とした場合の、このようなあいまいな表現型の臨床的意義は
少ない。K0ヘテロ接合体は、表現型としてのものであり、従って臨床的にはK1又
はK2ホモ接合体と同等である。K1に感作された妊娠において一般に重要なことは
、胎児がK1のキャリアであるかどうかを確認することである。本発明の方法は、
K1遺伝子の同定を含む、ケル遺伝子型の同定を可能にする。
更に我々は、今回、K:6,-7であるヒトのケル遺伝子(KEL)の19種のエクソンを
配列決定することによって、K6/K7の対立遺伝子のセットの多型性(“K6/K7多型
”)の分子的根拠を決定した。K:6,-7 DNAから得られた配列を、K:6,7 DNAの
ものと比較すると、エクソン17のnt 1910での、TからCへの塩基置換が示され、
これはK7のロイシンからK6のプロリンへのアミノ酸の変更が予期された。nt 191
0でのTからCへの置換は、K7において認められるMnlIの制限酵素切断部位を除外
した。111個の塩基対である、TからCへの置換に及ぶエクソン17のPCR-増幅生成
物の分析は、MnlIによって行った。K6表現型を有する8名の血縁関係のないヒト
について試験したところ、全員、nt 1910でのTからCへの置換を有していた。エ
クソン17におけるnt 2019でのAからGへの別の塩基置換も認められたが、この点
突然変異は、異なるアミノ酸はコードしていなかった。それにもかかわらずこの
置換は、新たなDdeI制限酵素切断部位を生じることがわかった。従って、これら
の塩基置換は、本発明でK7からK6を識別するための診断的方法をもたらす。
K3/K4/K21多型の分子的根拠も特徴づけられている。単一コドンにおける個別
の2個の変化が、K4から、K3又はK21のいずれかへのタンパク質発現の変化に関
連していることがわかった。更に同様の変化が、野生型K4核酸と異なるように、
K3及びK21核酸を特異的に特徴づける新規かつ独特な制限酵素切断部位をコード
している。K3の場合は、C 961 T置換が、Arg 281 Glnの変更をもたらす。この塩
基置換は、同じく新たなNlaIII制限酵素切断部位を形成する。K21の場合は、G 9
62 A置換が、Arg 281 Glnをコードしている。この置換も、新たなPvuII制限酵素
切断部位を生じる。従って、K3及びK21遺伝子型からK4遺伝子型を識別すること
は、本発明の診断法を利用することによって可能である。
本願明細書において本発明をより明確かつ正確に説明するために、特定の技術
用語に関する取り決めが、下記の考察において採用される。これらの取り決めは
、本発明の説明を補助するための実際的意味を提供することを意図しているが、
限定を意図するものではなく、かつ当業者は、その他及び追加の解釈も含み得る
ことを理解するであろう。
本願明細書において使用される、用語“制限酵素断片長多型”又は“RFLP”と
は、該ゲノム全体に無作為に分布されていて、かつゲノムDNAの消化により、異
なる個人について、異なる制限エンドヌクレアーゼパターンを形成するようなDN
Aヌクレオチド配列の差異を意味する。加えて“制限部位”とは、制限酵素が
核酸を切断する核酸部位を意味する。制限酵素による核酸の切断は、“制限断片
”と称される核酸の小片を産生する。突然変異又は対立性の結果、制限部位が得
られるかもしくは失われる場合には、この制限断片パターンは変動し、その部位
に関する情報をもたらす。
“多型性”又は“DNA多型”は、特定のDNA配列の2種以上の変異が、同じ品種
(interbreeding)集団の中に共存する状態を意味する。多型性の差異は、点突然
変異、遺伝子再編成又は可変スプライシングに起因し得るアミノ酸配列の差異に
よって生じる。“対立遺伝子”は、互いに多型性変異体であり、かつそのゲノム
内の所定の遺伝子座に一方ずつ生じるような遺伝子である。
ケルタンパク質をコードしている遺伝子は、“ケル遺伝子”と称される。ケル
タンパク質の特異的ドメインをコードしているケル遺伝子の領域は、“ケル遺伝
子座”と称される。例えば、本発明の結果、K1抗原及びK2抗原が、ケル遺伝子の
対立遺伝子によってコードされていることが確認されている。更に詳細に述べる
と、K1抗原及びK2抗原は、ケルタンパク質の同一ドメインの別の型であり、ここ
では単一のアミノ酸置換が認められ、K1抗原を含むケルタンパク質及びK2抗原を
含むケルタンパク質の間の差異を生じる。今回この単一のアミノ酸置換は、ケル
遺伝子の単一のヌクレオチド置換から生じることがわかった。従って、このヌク
レオチド変異部位を含むケル遺伝子部分は、“K1/K2遺伝子座”と称される。こ
のK1/K2遺伝子座がK1抗原をコードしている場合には、このケル遺伝子の領域は
、“K1遺伝子座”と称される。このK1/K2遺伝子座がK2抗原をコードしている場
合には、ケル遺伝子のこの領域は“K2遺伝子座”と称される。K1/K2遺伝子座は
、“K1/K2多型”、すなわちK1及びK2抗原間に認められた表現型の差異を、決定
するかもしくは特徴づけるような部位又は遺伝子座とも称される。同様に他のケ
ル遺伝子座は、K6/K7、K10/K(-10)、及びK3/K4/K21多型のような、他のケル多型
を決定するかもしくは特徴づける。
本発明の目的については、興味深い特定のドメインを含むケルタンパク質は、
該タンパク質の他のドメインとは関わりなく、そのドメインで示され得る。従っ
て、ケルタンパク質がK1抗原の原因となるドメインを含む場合は、このタンパク
質は、“K1タンパク質”と称されるのに対し、K2抗原又はK2ドメインを含むケル
タンパク質は、“K2タンパク質”と称される。同様の分析を用いて、K1タンパク
質をコードしているDNAは、該DNAが更に他のケルドメインをコードしているかど
うかに関わりなく“K1 DNA”と称される一方で、K2タンパク質をコードしている
DNAは、“K2 DNA”と称される。同様に、他のケル関連の又はケルベースの染色
体DNA(エクソン及びイントロン、並びにそれらの一部を含む)、核酸鋳型、核
酸転写物、更にはcDNAも、状況又は用途に応じて、同様に、K1/K2、K1、又はK2
と称されることが理解される。同様の考察が、K6/K7、K10、及びK3/K4/K21抗原
のような、このケルシステムの他の抗原の状況においても適用される。
本発明の結果として、ケル遺伝子の多型を検出するために使用することができ
る核酸オリゴマー又はオリゴヌクレオチドを含む、プローブ及び/又はプライマ
ーを設計することが可能である。この目的に適したプローブ又はプライマーは、
ヌクレオチド配列の点突然変異が、多型を特徴とするケル遺伝子産物の変化をも
たらすような部位又は領域を含むケル遺伝子の領域を、区別してハブリダイズす
るか、もしくはこれに対し特異的である。従って、これらのプローブ又はプライ
マーは、より高頻度の対立遺伝子とハイブリダイズするものに加え、より低頻度
の対立遺伝子とハイブリダイズするものを含む。特定の用途において、ヘテロ接
合性の存在を明示することが望ましい。このような場合、2種以上の対立遺伝子
及び/又は遺伝子座を区別して検出することが可能であるような、プローブ又は
プライマーの組合わせが有用であることがわかっている。
例えば本発明のプローブは、これがケルDNAの限定された領域を特異的に認識
するならば、ケルDNAと結合するか、もしくはハイブリダイズするということが
できる。プローブが、K1 DNAとハイブリダイズすると考えられる“K1プローブ”
のような、特異的対立遺伝子とハイブリダイズするといわれる場合には、より正
確さが求められる。
本発明のプライマーは、ケルDNAの限定された領域と結合するか、もしくはそ
の延長を引き起こす場合には、ケルDNAを特異的に増幅するということができる
。従って、プライマーがK1/K2遺伝子座を含む領域を区別して増幅する場合には
、プライマーは、K1/K2 DNAを特異的に増幅する。従って、K1/K2プライマーは、
K1/K2遺伝子座を含むDNAを増幅するが、K1 DNA及びK2 DNAの両方を、非選択
的に増幅する。他方で、プライマーが、K1 DNAのような対立遺伝子に関連したDN
Aのみを特異的に増幅する場合は、K1のような、特定の対立遺伝子に対し特異的
である(K1プライマー)一方で、K2に特異的なプライマー(K2プライマー)は、
K2 DNAのみを特異的に増幅する。同様の考察を、該ケルシステムの他の多型にも
適用する。
プローブは、単一のヌクレオチド修飾のみによって区別する、2種の対立遺伝
子を区別することが可能であることが特に好ましい。プローブ及びプライマーを
選択的に構成することにより、並びにハイブリダイゼーション又は他の実験条件
を調節することにより、ハイブリダイゼーションの特異性を制御することが可能
であることは、当該技術分野において公知である。しかし、いくらか低い選択性
でハイブリダイズするプローブを使用することが望ましいような状況もある。従
ってこれは、本発明のプローブ又はプライマーが、特有のケル配列に対して“実
質的に相補的”といわれるような特定の状況の範囲内である。高度の正確さが必
要な状況においては、プローブ又はプライマーは、オリゴマーが特異的標的配列
以外の配列と結合する可能性が非常に低い場合にのみ、標的配列と実質的に相補
的である。別の状況においては、プローブ又はプライマーは、独自のハイブリダ
イゼーションの確率が実質的に1.0未満である場合に、標的配列に対して実質的
に相補的であると考えられる。従って、本発明のプローブ又はプライマーは、該
方法のパラメーターの必要なストリンジェンシーに応じて、標的領域に対して、
それが完全に相補的であるか、もしくはわずかに部分的に相補的であるような場
合に、標的領域に対して“実質的に相補的”であり得る。
従って、本発明は、前述のケル遺伝子座の一部又は全てとハイブリダイズする
ようなプローブ及びプライマーを提供する。このようなプローブは、ケル遺伝子
又はその転写物の特徴づけが所望である場合に有用である。更に本発明は、染色
体DNAのケル遺伝子座中の1個以上のイントロンの一部又は全てを含む、プロー
ブ及びプライマーを提供する。このようなプローブは、ケル遺伝子それ自身が特
徴づけられることが望ましく、かつに特定の個人の遺伝子構造に関して更なる情
報が得られることが望ましい場合に、有用である。
本発明のプローブ又はプライマーは、更にそのヌクレオチド配列の一部として
、
標的配列に隣接又は近傍のあらゆる領域に対し、実質的に相補的でない領域も含
む。従って、本発明のプローブ又はプライマーのいずれかにおいて、プローブ又
はプライマーの少なくとも一部は、該標的セグメントに対し実質的に相補的であ
る。
“増幅”は、鋳型核酸配列を、指数的に増幅することによって、微量の特定の
核酸配列を検出する、いずれかの分子生物学的方法を意味する。DNA及びRNAの増
幅、並びにDNAから増幅されたRNAの生成、又はその逆の生成に関する技術は、公
知である。特に、増幅技術は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、及びリガーゼ連鎖
反応(LCR)のような技術を含む。PCRは、高感度の技術として公知であり、かつ広
範に使用されている。LCRは、非常に特異的であることが公知であり、点突然変
異を検出することが可能である。ある環境においては、検出精度を改善するため
に、これら2種の技術を組合わせることが望ましい。PCRは、周知の技術であり
、かつ例えばInnisらの論文(参照34)に記載されている。LCRは、より最近に開
発されたものであり、Landegrenらの論文(参照35)及びBaranyらの論文(参照3
6)に記載されている。LCRキットは、ストラータジーン社から入手可能である。
他の増幅技術を、本発明の方法に従って使用することも期待される。
“プライマー”は、天然、クローン化された、又は合成されたかのいずれかの
オリゴヌクレオチドを意味し、これは、増幅技術により、標的又は鋳型の核酸配
列を指数的に増幅するために、核酸合成を開始することが可能である。PCRに関
しては、プライマーは、核酸鎖に対し相補的なプライマー延長生成物の合成が誘
導される、すなわち適当なバッファー及び適温で、4種の異なるヌクレオシド三
リン酸及び重合開始剤(すなわちDNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)が存在する
ような条件下で、DNA合成の開始点として作用する。LCRに関しては、プライマー
は、標的核酸へのアニーリング及び隣接プライマーへの結合により、増幅の鋳型
として利用することが可能である。更にLCRの目的については、該プライマーは
一般に、一本鎖標的分子へにアニーリングし、及びそれらを互いに結合すること
ができるような、隣接する相補的オリゴヌクレオチドの1対のセットを含む。DN
AのLCR増幅については、プライマーは、隣接する相補的オリゴヌクレオチドを2
セット含む。
プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドであることが好ましく、かつ
増幅において最大の効果を挙げるためには一本鎖であるが、二本鎖であることも
できる。プライマーが二本鎖である場合には、延長生成物を調製するために使用
する以前に、これを最初に処理して、その鎖を解離する。典型的には、LCRプラ
イマーは、二本鎖である。プライマーの正確な長さは、多くの因子によって決ま
るが、通常は15〜25個の範囲のヌクレオシドである。短いプライマー分子では一
般に、該鋳型との十分に安定したハイブリッド複合体を形成するために、比較的
低い温度が求められる。プライマーは、該鋳型の配列を正確に反映する必要はな
いが、鋳型とのハイブリダイズに十分な程に相補的でなければならない。該プラ
イマーに組込まれることができる相補的でない配列の例は、制限酵素認識部位を
コードしている配列である(米国特許第4,800,159号参照)。
本願明細書において使用された“プライマー”は、特に増幅される標的領域の
一方又は両方の末端に関する情報が、いくらか不明確である場合には、1種以上
のプライマーを意味する。例えば、核酸配列が、タンパク質配列から推定された
場合には、操作可能な“プライマー”は、実際には遺伝暗号の縮重をもとにした
、可能なコドンの変異の一部又は全てを表す配列を含むプライマーオリゴヌクレ
オチドの集合体を含んでいる。この集合体の中の1個のプライマーオリゴヌクレ
オチドは、該標的配列の末端と相同であろう。同様に“保存された”領域が、集
団の中の多型の顕著なレベルを示すならば、近隣配列を増幅するようなプライマ
ーの混合物が調製される。
本発明のプライマー又はプローブは、所望であるならば、分光分析的、光化学
的、生化学的、免疫学的、又は化学的手段によって検出可能な標識物を組込むこ
とによって、標識することができる。例えば有用な標識物は、32P、蛍光染料、
高電子密度試薬、酵素のようなリポーター分子(ELISAにおいて一般的に使用さ
れる)、ビオチン、もしくは抗血清又はモノクローナル抗体が入手できるような
ハプテン又はタンパク質である。標識物は、プライマーの“捕獲体”として使用
することもでき、その結果プライマー又は増幅されたDNAのいずれかの、固形支
持体上での固定化が容易になる。
“オリゴヌクレオチド”又は“核酸オリゴマー”は、プライマー、プローブ、
検出される核酸断片、核酸制御剤、及び非標識のブロックオリゴマーを意味し、
かつ2個以上のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドからなる分子と
定義される。本発明の核酸オリゴマーは、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(
RNA)の一本鎖オリゴマーであってよい。オリゴヌクレオチドの正確な大きさは、
多くの因子、及び該オリゴヌクレオチドの最終的な機能又は用途によって決まる
であろう。このオリゴデオキシリボヌクレオチド及びオリゴリボヌクレオチドは
、天然の材料から、公知の方法によって得るか、もしくは誘導することができる
。代わりに、このオリゴヌクレオチドを、当該技術分野において公知の方法で、
合成的に生成することもできる。このような方法は、例えば、適当な配列のクロ
ーニング及び切断、並びにNarangらのホスホトリエステル法(参照37);Brown
らのホスホジエステル法(参照38);Beaucageらのジエチルホスホラミジテ法(
参照39);及び米国特許第4,458,066号の固形支持体法のような方法による直接
的化学合成を含む。これらのオリゴマーは、遺伝子型決定法への人工物の混入を
避けるために、少なくとも実質的に精製されることが好ましい。
更に本発明は、ケル遺伝子に関連したかもしくは由来した遺伝物質の、一部又
は全てに対し、構造的に相同であるオリゴヌクレオチドを提供する。オリゴマー
が、そのヌクレオチド配列が変動するにもかかわらず、表現型が比較されるアミ
ノ酸配列と同一であるようなアミノ酸配列をコードする場合には、他方に対しこ
のオリゴマーは”実質的に相同である”といわれる。従って発現の際に、配列が
ケル表現型へのシフトを生じる場合は、この配列は実質的には相同ではない。他
方で、同じ遺伝子座又はサブ遺伝子座をコードしている2種の配列が同一ではな
いにもかかわらず、該ケルタンパク質の表現型で区別できない変異の一部又は全
てに対応している配列をコードしているような場合は、これらは実質的に相同で
ある。従って、K1ドメインをコードしている配列及びK2ドメインをコードしてい
る配列は、たとえこれらがこれまでわかっているように、単一のヌクレオチド置
換により異なるとしても、実質的には相同ではない。対照的に、コードされた遺
伝子産物におけるアミノ酸シフトを生じないようなヌクレオチド配列の変動は、
実質的に相同であり得る。
本発明の方法は、対象のケル遺伝子型の1種以上の態様の決定をもたらす分子
遺伝学的方法である。この方法は一般に、ヒト対象又は患者の生物学的試料から
、DNA又は他の核酸を得ることを含む。典型的にはこの方法は、血液試料を必要
とするが、赤芽球組織を含む他種の組織試料も有用である。この方法は、ケル遺
伝子型についてあらゆる個体を試験するために、使用することができる。しかし
特に好ましい実施態様において、本発明は、胎児におけるケル式血液型の遺伝子
型を決定する方法を提供する。この実施態様において好ましい組織試料は、羊水
試料を含む。しかしこのような試料は、血液銀行のような標本ライブラリー又は
組織保管施設から、もしくは法医学的証拠などから入手することができると考え
られる。従って本方法は、独自の又は代用のきかない試料について使用すること
ができ、もしくは多数の試料のスクリーニングに使用することもできる。
一般に本発明の方法は、核酸試料から少なくとも1種の特有の核酸生成物を生
成することを含む。この核酸試料は、ケル遺伝子型が決定されることが所望であ
る対象から採取されるか又は誘導され、かつあらかじめ正確な配列又は構造が明
確にされる必要はないが、ケル多型遺伝子座を含むヌクレオチド配列を含むこと
が好ましい。好ましい実施態様において、この核酸試料は、対象のゲノムDNAを
含む。
本発明の方法は、特異的ケル遺伝子型を特徴とする核酸生成物を、ケル遺伝子
型の少なくとも1種の態様を特徴づけるのに十分な量生成する。好ましくは本発
明の方法は、K1及びK2;K6及びK7;並びにK3、K4及びK21のような、ケル多型の
対立遺伝子の識別をもたらすか;もしくは野生型K(-10)からK10を区別するよう
な、特有の核酸生成物を生成する。
ある好ましい実施態様において本発明の診断法は、ケル多型遺伝子座を含む核
酸を区別して切断又は消化する制限酵素への、ケルDNAの暴露を含む。典型的に
はこの制限酵素は、大きさが独特であり、かつ一貫した理論を基に特異的ケル対
立遺伝子と連結することができるような、少なくとも1種の制限断片を含む核酸
生成物を生成する。例えばこの制限酵素は、多型セットのひとつの対立遺伝子を
、このセットの他の対立遺伝子を消化することなく、消化することができる。あ
るいいはこの制限酵素は、無傷のまま残されかつそのために認識可能なものを除
いて、該セット中の対立遺伝子を切断する。多くの制限酵素が、当該技術分野に
お
いて公知であり、かつこの方法で少なくとも1種の独特かつ特有の断片を生成す
るような制限酵素のいずれかを、本発明の方法のこの実施態様に従い使用するこ
とができる。
K1/K2の識別について好ましい制限酵素は、今回意外にも明らかになった、K1
DNAには生じるが、K2 DNAには生じないような制限部位で切断する、BsmIである
。従ってBsmIは、K1 DNAは切断するが、K2 DNAは無傷のまま残す。K6/K7の多型
について、好ましい制限酵素は、MnlI及びDdeIであり、これらは予想外にK7 DNA
は切断するが、K6 DNAは切断しない。K10については、好ましい制限酵素は、Acc
lであり、これは予想外にK10 DNAは切断するが、野生型K(-10)DNAはその遺伝子
座では切断しない。K3/K4/K21群においては、好ましい制限酵素は、意外にもK3(
Kpa)DNAのみを切断するNlaIII、及び/又は意外にもK21(Kpc)DNAのみを切断す
るPvuIIであり;K4(Kp)DNAはこれらの酵素のいずれによっても切断されない。所
望であるならば、これら又は他の酵素の組合わせを使用することができる。
別の好ましい実施態様において、本発明の診断法は、ケル多型遺伝子座を含む
DNAを区別して増幅する。好ましくは、このケルDNAは、ケル多型に関連した対立
遺伝子のセットの中で、特定の対立遺伝子を区別して増幅するようなプライマー
によって増幅される。例えば、適当な増幅プライマーを慎重に選択することによ
って、K1遺伝子座を含むDNAは増幅され、独特な増幅生成物を産生するが、K2遺
伝子座を含むDNAはあらゆる実質的度合いにおいて増幅されない。代わりに、対
立遺伝子の有無を決定するために分析することができるような増幅生成物の独特
のセットを生成するようなプライマーのセットを、使用することができる。例え
ば、K1に特異的なプライマーは、K1遺伝子型を特徴とする生成物を生成すること
ができ、かつK2プライマーは、K2遺伝子型を特徴とする生成物を生成することが
できる。他のケル多型の別の対立遺伝子も、適当なプライマーを選択することに
よって区別して増幅することができる。
前述の増幅生成物(複数)が、ケル遺伝子型の所望の態様を特徴づけるという
条件で、プライマーのいずれかの組合わせを、本実施態様において使用すること
ができる。好ましいプライマーのセットは、下記を含む:K1及びK2 DNAを区別し
て増幅するプライマー;K1及びK2 DNAを区別して増幅するプライマー;K6及びK7
DNAを区別して増幅するプライマー;K10及びK(-10)DNAを区別して増幅するプライ
マー;K3、K4及びK21 DNAを区別して増幅するプライマー;並びにこれらの組み
合わせである。
適当なプライマーの組合わせを用いることによって、制限酵素によるDNAの消
化のあらゆる必要条件を伴うことなく、DNAの特定の断片を増幅し、ケル遺伝子
型を特徴づけるのに十分量の生成物を提供することは、この方法の利点のひとつ
である。しかしながら、DNA断片を識別するセットを提供するプライマーを使用
すること、並びに制限酵素による該断片の選択的切断によって、生成物の識別、
及びケル遺伝子型の結果的特徴づけを補うことは、本発明の範囲である。これは
特に、いくつかの断片の選択的切断のあいまいさは解決されるが、技術的限界に
より、これらの断片を完全に分離又は識別することができないような状況におい
て有用である。
本発明の診断法は典型的には、消化されたDNA又はRNA断片もしくは増幅された
DNA又はRNA生成物のような核酸生成物を、ケル遺伝子型を特徴づけるのに十分な
量生じる。この核酸の小片は、該断片の少なくとも一部を他から識別するようこ
とができるようなそれらの配列及び/又は大きさに関する情報を有するので、こ
のような特徴付けを可能にする。これらの断片の特徴の識別は、当該技術分野に
おいて公知の方法のいずれかによって利用される。
例えば断片は、物理的特徴を基に、他から分離することができる。非常に好ま
しい特徴の識別は、分子量である。その断片の特異的かつ特有の分子量は、制限
酵素による部位特異的切断によって、直接決定される。特定のプライマー類は、
特異的分子量を有する増幅生成物を生成することができる。これらの断片は、分
子量に加え、正味の分子電荷を基に分離するポリアクリルアミドゲル電気泳動の
ような方法により、互いに分離することができる。このような技術は、ケル遺伝
子型の決定を可能にする情報の豊富な断片のパターンをもたらす。
更にケル核酸生成物は、それらの配列の同一性を基に、互いに識別することが
できる。特異的プローブを、公知の方法に従って、特異的断片と、特異的又は独
特にハイブリダイズするために使用することができる。いくつかのプローブの識
別用標識により、特定のケル多型に特異的断片の有無を確定することができる。
代わりに、断片の分離後に、公知の方法で、特異的又は非特異的に断片の一部又
は全てを印付け又は染色することによって、これらの検出を可能にすることがで
きる。臭化エチジウムのような、様々な配列に非特異的なマーカー物質が、公知
である。
ハイブリダイゼーションプローブを、試験可能なシステム中の特異的ケル核酸
の有無の検出に使用することができる。ハイブリダイゼーション技術を基にした
診断用試験は、非常に特異的かつ高感度の両方であることができ、ケル遺伝子型
の特徴づけに関する情報を提供する。このような技術は、例えばGlicK BR及びPa
sternaK JJの論文(分子生物工学:組換えDNAの原理及び利用、ASMプレス社、ワ
シントンD.C.、192-201頁(1994))に発表されている(参照40)。
好ましい実施態様において、診断法は下記の工程を含む:
(a) 患者の組織試料からDNAを得る工程;
(b) このDNAを、特異的ケル多型を特徴づけるか又は決定するようなDNAを特異的
に増幅するようなプライマー又はプライマーのセットを用いるポリメラーゼ連鎖
反応によって、増幅する工程;
(c) この増幅されたDNAを、ケルDNAを区別して切断する制限酵素によって、選択
的に切断し、DNA断片パターンを生成する工程;及び
(d) これらのDNA断片を、分子量で分離し、DNA断片のパターンを作成する工程で
あり、
この方法において、該DNA断片のパターンは、特異的ケル多型に関する患者のケ
ル遺伝子型を特徴づける特異的情報を提供する。
別の好ましい実施態様においては、診断法は下記の工程を含む:
(a) 患者の組織試料からDNAを得る工程;
(b) このDNAを、ケル対立遺伝子のセット中の1種の対立遺伝子のDNAのみを増幅
するような少なくとも1種のプライマーを含むプライマー又はプライマーのセッ
トを用いるポリメラーゼ連鎖反応によって、増幅する工程;
(c) この増幅されたDNAを、分子量で分離し、DNA断片のパターンを作成する工程
であり、
この方法において、該DNA断片のパターンは、特異的ケル多型に関する患者の遺
伝子型を特徴づける特異的情報を提供する。
更に別の実施態様においては、診断法は下記の工程を含む:
(a) 患者の組織試料からDNAを得る工程;
(b) このDNAを、ケル対立遺伝子のセット中の1種のDNAのみを増幅するようなプ
ライマーのセットを用いるリガーゼ連鎖反応によって増幅し、DNA断片のパター
ンを作成する工程;及び
(c) これらのDNA断片を、分子量で分離し、DNA断片のパターンを作成する工程で
あり、
この方法において、該DNA断片のパターンは、該ケル多型に関する患者の遺伝子
型を特徴づける特異的情報を提供する。
これら以外の別の実施態様においては、診断法は下記の工程を含む:
(a) 患者の組織試料からDNAを得る工程;
(b) このDNAを、ケル対立遺伝子のセット中の少なくとも1種の対立遺伝子のDNA
を区別して切断するような制限酵素により、選択的に切断し、DNA断片のパター
ンを作成する工程;
(c) これらのDNA断片を、該対立遺伝子セットのDNAのみを増幅するようなプライ
マー又はプライマーセットを用いるポリメラーゼ連鎖反応によって、増幅する工
程;及び
(d) この増幅されたDNAを、分子量で分離し、DNA断片のパターンを作成する工程
であり、
この方法において、該DNA断片のパターンは、該ケル多型に関する患者の遺伝子
型を特徴づける特異的情報を提供する。
更に別の実施態様においては、診断法は下記の工程を含む:
(a) 患者の組織試料からDNAを得る工程;
(b) このDNAを、K1 DNA及びK2 DNAを区別して切断するような制限酵素に晒し、D
NA断片のパターンを作成する工程;
(c) これらのDNA断片を分子量で分離し、DNA断片のパターンを作成する工程:及
び
(d)このK1 DNA及び/又はK2 DNAの存在を、検出可能である標識されたケルcDNA
プローブを用いて決定する工程であり、
この方法において、該DNA断片のパターンは、患者のK1/K2遺伝子型を特徴づける
特異的情報を提供する。このような方法は、例えば当該技術分野で公知であるサ
ザンブロット法を含む。
代わりとなる実施態様において、本発明は、K1又はK2に特異的な標的核酸を検
出する診断法を提供する。この実施態様においては、この方法は下記の工程を含
む:
(a) 患者の組織試料から核酸フラクションを得る工程;
(b) この核酸フラクションにおいて、該ケルタンパク質の少なくとも一部をコー
ドし、かつK1/K2多型を特徴づける部位を含む標的核酸の存在を確認する工程で
ある。この方法において、該標的核酸の存在は、K1 DNA又はK2 DNA、もしくはこ
れらの転写物と特異的に結合するか、又はハイブリダイズすることが公知である
ような核酸配列を有するプローブ核酸によって、確認される。この方法で有用な
プローブ核酸は、本願明細書に記載されたケルをベースにしたオリゴマー類のい
ずれかであることができ、検出可能であるように標識されるか、もしくは支持体
に付着されたものを含む。この方法は、染色体又はゲノムDNA、mRNA、及びcDNA
である標的核酸、更にはケルタンパク質のK1/K2ドメインをコードしている核酸
の他の関連形を検出するために使用することができる。このような方法は、例え
ば、当該技術分野において公知である、ドットブロット法を含む。
更に別の実施態様においては、本発明は、ケル式血液型の遺伝子型を決定する
方法を提供する。この実施態様において、方法は下記の工程を含む:
(a) 公知のケルエクソン又はそれらの転写物の少なくとも一部に実質的に対応し
ている、プローブ核酸配列を選択する工程で、ここにおいて公知のケルエクソン
が、ケル多型の遺伝子座を含み、かつ特異的ケル対立遺伝子をコードしている工
程;
(b) このプローブ核酸配列と、ケル多型遺伝子座に関する未知の表現型を有する
対象から採取又は誘導された試料核酸配列を、該核酸配列が顕著に相補的である
場合にハイブリダイゼーションを生じるような条件下で、接触する工程;及び
(c) このプローブ核酸配列及び試料核酸配列の間のハイブリダイゼーションの量
を測定する工程である。
この実施態様において、顕著に相補的である配列から生じた量に一致する、ハ
イブリダイゼーション量の検出は、該対象が、検査している特異的ケル対立遺伝
子を有することを示している。他方で、ハイブリダイゼーションの異常に低い量
が検出されると、該対象が、検査している特異的ケル対立遺伝子を有さないこと
を示す。
本発明は更に、ケル核酸配列を有する組換え発現ベクターを提供する。このよ
うなベクター類は、細胞、特に酵母及びヒト細胞のような真核細胞の形質転換を
もたらし、このような細胞に、異種タンパク質生成物を出現させる。本発明は、
ケル多型部位をコードしているタンパク質の一部を含むような、ケルタンパク質
の少なくとも一部をコードしている核酸配列を持つ発現ベクターを提供する。特
に、本発明は、細胞の形質転換をもたらすK1 cDNAを運搬し、その細胞表面にK1
タンパク質を発現している形質転換細胞又は形質転換体を生じる発現ベクターを
提供する。K6 cDNAを運搬するベクターに加え、K10 cDNAを運搬するベクター、
及びK3又はK21 cDNAを運搬するベクターも提供され、それぞれ、細胞を形質転換
し、K6、K10、K3及びK21を発現する。本発明は更に、その細胞表面にタンパク質
を発現するように、修飾された(すなわち形質転換された)安定した細胞系に加
え、このようなタンパク質を発現するように細胞系を形質転換する方法を提供す
る。K1の発現については、このようなタンパク質は少なくともK1ドメインを含む
ことが好ましく、このタンパク質がK1タンパク質であることが更に好ましい。同
様に、K6、K10、更にK3及びK21の発現に関して、発現されたタンパク質は、それ
ぞれ、K6、K10、K3又はK21ドメインを含むことが好ましく;タンパク質が、それ
ぞれ、K6、K10、K3又はK21タンパク質であることが更に好ましい。組換え発現ベ
クターの調製法、及びこのようなベクターを用いる細胞系の形質転換の方法は、
当該技術分野において公知であり、かつ一般的には内容が本願明細書に引用とし
て組込まれている、GlicK BR及びPasternaK JJの論文(分子生物工学:組換えDN
Aの原理及び利用、ASMプレス社、ワシントンD.C.、第5章(1994))に記載されて
いる(参照40)。
本発明のケル遺伝子型の決定法は、特に胎児のケル遺伝子型を決定する際に有
用である。本願明細書に記載された分子遺伝学的方法は、胎児の羊膜細胞から得
られたDNA試料に、容易に適用することができ、かつ胎児のケル遺伝子型を決定
するために有用である。本発明の方法は、同じくヒトに関する分子遺伝学的情報
が望まれるような、様々な別の状況においても有用である。例えば、本発明の方
法は、法医学的試料から、個人の特定に関する情報を得ることが所望であるよう
な状況において有用である。あるいは本発明の方法は、父親であることが疑わし
い又は争われているような状況において、父親の決定を可能にする遺伝的情報を
得るために有用である。更に本発明の方法は、輸血不適合を避けるための、輸血
レシピエントのケル遺伝子型の決定、及び貯蔵された血液のケル遺伝子型のスク
リーニングに有用である。本発明のペプチドをベースにした方法は、特にK1のよ
うなケル抗原に対するヒトの同種異系免疫化の決定において有用である。このよ
うな同種異系免疫化に関する情報は、将来の妊娠に伴う危険性について女性にア
ドバイスする際に有用であると期待される。本発明の方法の他の用途は、当業者
自身で提案されるであろう。
更に本発明の遺伝子型を特徴づける方法は、対立遺伝子のケルファミリーの一
部又は全てを説明するために、選択して行うことができる。この方法はまた、抗
原のケルファミリーの一部又は全ての表現型を決定することに組み合わせて行う
ことができる。従って、制限酵素を用いるゲノム解析と組合わせた血清学的試験
を用いることによって、ケル遺伝子型を確認することが可能である。このような
血清学的試験の工程は、前述のゲノム試験に先立って、試験と平行して、又は試
験後のいずれかに行うことができる。更に試験法の計画は、例えばある稀な遺伝
子型の可能性を除外するか又は伴うような、予備的不完全な結果を基にすること
ができる。本発明のRh遺伝子型決定法と共に、他のマーカー又は血液型について
、遺伝子型を試験することも所望である。例えば、Rh遺伝子型の決定に関する、
1995年 に出願された米国特許出願第08/ 号に記載された遺伝子型決定法
(事件整理番号454-5)を、本発明の方法と共に行い、妊娠の潜在的障害につい
て、幅広い多様な助言を提供することができる。一般に、本発明の診断法、組成
物及びキットは、様々な公知の医学的試験及びアッセイと共に利用し、臨床医が
入手可能な患者に関する情報を増しかつ捕捉することが期待されている。例えば
WalKer RHらが編集した技術マニュアル(第10版、米国血液銀行協会、アーリン
トン、バージニア(1990))を参照(参照41)。
下記の実施例は、本発明の一層の理解を助けることを意図するものである。使
用された特定の物質及び条件は、本発明を更に詳細に説明することを意図するも
のであり、その正当な範囲を限定するものではない。
本願明細書に記載された各実施例において、使用された分子生物学的技術は、
一般に当該技術分野において容認された方法に従って行った。例えば、その内容
が本願明細書に参照として引用されている、SambrooKらの論文(参照42)、及び
Innisらの論文(参照34)を参照。実施例1
ケル遺伝子の組織は以下の手順を用いて決定された。
遺伝子ライブラリーのスクリーニング
EMBL3 Sp6/T7中に構築されたヒト胎盤遺伝子ゲノムDNAライブラリーを、
クローンテック社(パロ・アルト(Palo Alto)、CA)から得た。このゲノムDNA
ライブラリーは、ヒト胎盤ゲノムDNAをSau3A1で部分的に消化し、そのフラグ
メントをベクターのBamHI部位にライゲートすることによって構築された。スク
リーニングのために、λファージライブラリーを大腸菌(E.coli)のMN528株また
はLE392株の中で増殖させ、平板培養した。そのDNAをハイボンドTM(Hybon
dTM)-N+膜(アマーシャム社、アーリントンハイツ、IL)上に載せ、標準の
方法に従って(参照文献43)、Kell・cDNAプローブとハイブリダイズさせ
た。このcDNAプローブを、商業的なキット(ベーリンガーマンハイム社、イ
ンディアナポリス、IN)を用いたランダムプライマー延長法(random primer e
xtension)により、32Pでラベルした。該プローブの比放射能は、略1×108cpm/
μgであった。14の陽性クローンが単離された。
エキソンおよびイントロンの特性分析
更に特徴分析を行うために、同定された14の陽性クローンのうちの5種類(λ
2、λS、λB、λFおよびλE)が選択された。二つのクローン(λ2およびλE)は
ケル遺伝子の殆どに広がっており、約21.5Kbをカバーしている(図1
を参照)。クローンλSが研究されたのは、これが5′隣接領域(5’flankingreg
ion)のより多くにまで延出し、またクローンλ2から決定された配列を再確認す
るために役立つからである。クローンλBおよびλFが用いられたのは、これらは
λEと重なっており、更にλFの小さな部分がλ2の3′末端と重なっているから
である(図1を参照のこと)。
これら5つのクローンは、先ずXhoI+PstIおよびXhoI+EcoRIで消化し、続い
てKell・cDNAの種々の位置に特異的な異なったオリゴヌクレオチド類を
用いたサザンブロット・ハイブリダイゼーションを行うことによってマッピング
された。次いで、このゲノムクローンを下記の酵素、即ち、Pst、EcoRI、BamHI
、BglIIおよびXhoIの夫々またはこれらの組合せで消化した。個々の遺伝子フラ
グメントをPUC18(ギブコBRL社、Gaithersburg、MD)またはpGEM-3Zf(+)(
プロメガ社)の中にサブクローニングし、自動373ADNAシーケンサー(アプラ
イドバイオシステムズ社、フォスターシティー、CA)で配列決定した。Kel
l・cDNA配列に関して決定されたエキソンおよびその隣接配列は、幾つかの
短いイントロンと同様に、完全に配列決定された。一つの例外として、長いイン
トロンは、該イントロンの側面領域に由来するプライマーを用いたPCRによっ
てサイジングされた。エキソン10およびエキソン11の間の長いイントロンは
、YACクローンを鋳型に用い、λ2およびλEから得た公知のイントロン配列
に由来するプライマーを用いて部分的にサイジングされた。(7種類の酵母の人
工染色体(YAC)クローンは、ケルエキソン6に特異的なPCRによって、染
色体7DNAを富化されたYAC源から別々に単離された。イントロンのこの領
域は、ヒトゲノムDNAを鋳型に用いたPCRによって確認された。
ゲノムクローン類の制限酵素によるマッピングおよびサザンブロット分析
サブクローン類を、BamHI、EcoRIおよびPstIでマッピングした。異なったサイ
ズの消化されたDNAを、アガロースゲル電気泳動によって分離した。このDN
Aフラグメントの幾つかについては、ケル・cDNAの異なった位置に由来する32
P標識オリゴヌクレオチドを用いたサザンブロットによって更に分析し、また
サブクローニングされた遺伝子フラグメントの入手可能な配列を用いて同定した
。これらの手法を組合せることによって、BamHI、EcoRIおよびPstIの制限
酵素地図の構築が可能になった。これら5つのゲノムクローンに由来するサブク
ローニングされたKell遺伝子フラグメントの配列分析によって、ヒトケル遺
伝子は、63bp(エキソン7)から288bp(エキソン19)のサイズ範囲に亘
る19のエキソンを含むことが明らかになった。
図1は、新たに決定された、制限酵素酵素部位を伴うヒトKell遺伝子(ケ
ル)の構造を示している。エキソン類の位置は黒く塗り潰したボックスで示され
ており、イントロンはエキソン類を連結する線で示されている。高さが異なる垂
直の複数の線は、Kell遺伝子における制限酵素部位をマークしている。λフ
ァージ、即ちゲノムクローンが図の底部に示されている(λ2、λS、λE、λF)
。商業的なゲノムライブラリーから得た二つのゲノムクローン、即ちクローンλ
EおよびλFは、他のクローン類(λ2、λS)と比較して、相互に一致しない配列
を与えている。クローン類λBおよびλFの5′切片は、λ2およびλSの3′切片
と同一のはずであるが、配列分析の結果はこれらが異なっていることを示した。
その理由は分かっていないが、多分、ゲノムライブラリーを調製する際のDNA
物質のライゲーションによるものであろう。これらの異なった領域は、図1に破
線で描かれている。このサブクローニングおよび分析された制限酵素消化生成物
は、ゲノムクローン類の上に示されている。夫々のサブクローンは、使用された
制限酵素および当該サブクローンが導かれたゲノムクローンを示している。また
、PCRで誘導された4種類のサブクローン類(PCR25、PCR6、PCR
1およびPCR20)も示されている。括弧の中において、夫々のPCR生成物
は、それが増幅されたゲノムクローンを示している。λ2、λSおよびλEでカバ
ーされない大きなイントロンの小さな切片は、YACクローン(yWSS679)およ
びゲノムDNAからのPCR生成物を配列決定することによって決定された。λ
Fクローンはλ2クローンの3′をカバーしていても、この戦略が用いられた。こ
れによって、我々はKell遺伝子の全体をカバーし、エキソン10とエキソン
11との間のイントロンを、曖昧さを伴うことなくサイジングすることが可能に
なった。
全てのエキソン/イントロン接合ジャンクションは、5′ドナー -gt配列お
よび3′アクセプター -ag配列を含むことが分かった。イントロン類は、93
bpから略6bpのサイズに亘っており、1kbよりも大きい6種類のイントロ
ンがあった(図1および図2)。この長いイントロン類は完全には配列決定され
なかったが、PCRでサイジングされた。クローンλBおよびλFの5′領域はク
ローンλ2およびλSの3′領域と重なると思われたが、実際はそうではなかった
ので、エキソン10とエキソン11との間のイントロン分析には曖昧さが存在し
た。クローンλBおよびλFのこれらの曖昧な領域は、図1に点線で示されている
。この不確実性の故に、クローンλ2およびλEでカバーされない遺伝子の小さな
ギャップは、Kell遺伝子を含むYACクローンyWSS679のPCR増幅によっ
てブリッジされた(図1)。このPCR増幅された領域のサイズは、更に、YA
Cクローンについて用いたのと同じプライマーを用いることにより、共通のKe
llフェノタイプの人から得たゲノムDNAのPCRによって確認された。
全てのエキソンを配列決定し、クローンテックラボラトリーズ社から入手した
ヒト骨髄ライブラリーから単離された完全長のKell・cDNAの配列と比較
した。このライブラリーのKellフェノタイプは未知であった。公表されたK
ell・cDNAの配列(参照文献14)と比較して、エキソン3の4塩基にお
ける相違が注目された。これらの相違は、最初の研究における配列決定の誤りに
よるものであった。この訂正された配列は、受付番号M64943号で、EMBL/ジ
ーンバンク・アップデート(国立バイオテクノロジー情報センター、ベテスダ(B
ethesda)、MD)に提出された。一つの注目すべき相違は膜貫通領域における塩
基置換であり、これはプロリンの代わりにロイシンをコードする。訂正された塩
基配列は、図2に太字で示されている。
図2A〜2Dは、接合ジャンクション配列に隣接する中間のイントロンと共に
、ヒトのKellタンパクをコードする個々のエキソンの配列を示している。個
々のエキソンの塩基配列は大文字で示されており、隣接するイントロン配列は小
文字で示されている。エキソンによってコードされるアミノ酸配列は、塩基配列
の上に示されている。指示されたエキソンの下の左側の番号は、cDNA由来の
塩基番号を意味する。左側および右側の他の番号は、cDNAについて以前に記
述された(参照文献25)、アミノ酸残基および塩基を示している。イントロン
の
サイズは、エキソンの末端において特定されている。また、5′および3′のス
プライス部位も示されている。
遺伝子DNAライブラリーが構築されたヒトのKellフェノタイプは未知で
あるので、我々は、既知の共通フェノタイプ(K:−1,2,−3,4,−6,
7)のヒトの抹消血液からRNAを単離した。cDNAは、RNA−PCRによ
って調製され、当該技術で公知の方法に従って配列決定された。その推定アミノ
酸配列は、クローンテックのゲノムライブラリーから得た図2に示す配列と同一
であった。既知のフェノタイプのヒトにおいて、C→Tの塩基の相違が二つの位
置(nt1656および1664)で起きたが、これらの置換は予想されたアミノ酸を変
化させなかった。
興味があるのは、エキソン1が5′非翻訳領域を含んでおり、また開始メチオ
ニンのみをコードしていることである。一つの膜貫通領域がエキソン3に位置し
ており、また亜鉛中性エンドペプチダーゼ(zinc neutral endopeptidases)(参
照文献43)の活性部位に見られるコンセンサス配列(HEXXH)に従う5量
体配列(HELIH)がエキソン16にある(図2)。
天然のタンパクのコード化領域は、19のエキソンのうちの18に存在してい
る;第一のエキソンは5′非翻訳領域および開始メチオニンを含んでいる。第一
のエキソン中に開始コドンのみを有する他の例が知られている(参照文献44)
。エキソン3には一つの膜貫通領域がコード化される一方、エキソン4〜19は
殆どの細胞外タンパクをコードしている。亜鉛メタロペプチダーゼ(zinc metall
opeptidase)に独特なHEXXHモチーフ(参照文献29)は、68bpのエキソ
ン(エキソン16)中にコード化されている。コンセンサス5量体配列に加えて
、Kellは、膜に結合した亜鉛中性エンドペプチダーゼ(EC24.11)(参照
文献25)のファミリーとの配列的および構造的な相同性を有しており、エンケ
ファリナーゼ(enkephalinase)およびCALLAは該ファミリーの例である(参照文献
45〜46)。CALLA遺伝子は、Kell遺伝子よりも大きく、約80kbであり
、24のエキソンで構成されている(参照文献47)。CALLAにおいて、推定の
酵素活性部位はエキソン19にコード化されており、CALLAのエキソン18およ
び19の塩基配列をKellのエキソン15および16と比較すると、54.5%の
塩
基同一性が示される。実施例2
転写開始部位
ケル遺伝子の転写開始部位は、ヒト胎児ライブラリー(5′RACEレディー
TM(5’RACE ReadyTM)cDNAライブラリー、クローンテックラボラトリー
ズ、パロ・アルト、CA)を用いたcDNA末端(5′RACE)の迅速な増幅
によって決定された。ポリ(A)RNAの供給源は、妊娠22週および26週の2人
の女性白人胎児からプールされた正常な肝臓であった。一本鎖cDNAライブラ
リーは、プライマーとしてランダム6量体を用いた逆転写によって製造された。
オリゴヌクレオチドアンカーの3'-NH3-GGA GAC TTC CAA GGT CTT AGC TAT CAC T
TA AGC AC-P-5’(配列ID番号6)をcDNAに連結した。5′RACEのた
めに、Kell・cDNA上の二つの異なった位置に由来するプライマーを用い
て、2セットの入れ子式PCR反応(nested PCR reaction)を行った。第一のP
CRでは、5′RACEレディーTMcDNAを鋳型に用いた。一つのセット(
PCR1)に用いられたプライマーには、クローンテック社によって提供された
アンカープライマー(5'-CTG GTT CGG CCC ACC TCT GAA GGT TCC AGA ATC GAT A
G-3')(配列ID番号7)およびKell・アンチセンスプライマー(5'-CTC G
GC TCT TCC TCA CTT TGG TCC-3'、nt 132)(配列ID番号8)が含まれていた
。他のセット(PCR2)については、プライマーは、クローンテック社のアン
カープライマー(配列ID番号7)およびKell・アンチセンスプライマー(5
'-CTC TTG GCT CCA GAG AGT TCC CAT-3'、nt 178)(配列ID番号9)を含んで
いた。第二の入れ子式PCRについては、第一のPCR反応の生成物が鋳型に用
いられ、またクローンテック社のアンカープライマー(配列ID番号7)が両平
行反応のためのセンスプライマーとして再度用いられた。PCR1では、Kel
l・アンチセンスプライマー(5'-CCC ACC TTC CAT CTG TCT ATC TTC -3'、nt 1
09)(配列ID番号10)が用いられた。PCR2については、Kell・アン
チセンス、nt 132、(配列ID番号8)が用いられた。
PCRは、自動温度サイクラー(ミニサイクラー、MJリサーチ社、ウオータ
ータウン、MA)中において、94℃で3分、62℃で1分および72℃で30秒の初期
サイクルを用いて行われた。サイクル2〜30での条件は、94℃で30秒、62℃で
30秒および72℃で30秒であった。最後のサイクルにおいて、72℃での重合工程は
10分まで延長された。試薬の最終濃度は、50μLの最終容量において、50mM KCl
,10mM Tris-HCl(pH9.0),3mM MgCl2,400nMの各プライマー,200μMの各dN
TP,0.1%のトリトン-X100および2.5単位のtaqポリメラーゼであった。パ
ーキン・エルマー社(ブランチバーグ、NJ)のアンプリワックスTM(Ampliwa
x TM)を使用した「ホットスタート」法が用いられた。PCR生成物は、0.8%
の低融点アガロースゲル中での電気泳動によって分離され、溶出され、ノバジェ
ン(Novagen)社(マジソン、WI)のpT7-Blue(R)プラスミドベクターに直接ライ
ゲートされ、大腸菌DH5αF′に形質転換された。
夫々のプライマーは、三つの異なったサイズの生成物を与えた。これらの生成物
はサブクローニングされ、配列決定された。夫々のPCR反応から得られた最大
の生成物は、開始コドンから120bp上流に5′末端を有していた。より短い二
つのPCR生成物は、開始コドンから81bpおよび30bp上流でそれぞれ終端し
ていた。
図3は、エキソン1を示すケル5′隣接領域のヌクレオチド配列、および可能
なcis調節要素を示している。有望なcap部位の上流の185bpの領域が示
されている。三つの可能な転写開始部位がVでマークされている。GATA−1
、Sp1およびCACCC領域についてのコンセンサス配列がボックスで囲まれ
ている。PCRによってコピーされてCAT発現ベクターの中に配置された、-1
76〜-1の領域が示されている。開始メチオニンは太字で記載されている。
5′RACE法および胎児肝臓由来のポリ(A)+RNAを用いることにより、三
つの可能な転写開始部位が発見された。三つのcap部位のうちの第一の部位(
開始ATGから120bp上流)はまた、ヒト骨cDNAライブラリー(参照文献
25)からクローニングされたcDNAの5′末端であり、他の二つの部位はS
1および開始コドンから30bp上流である。三つの部位は全て、二つの異なった
Kell・cDNAアンチセンスプライマーを用いて得られた。三つの位置は全
てプリン塩基であるが、転写開始部位として作用し得るであろう。ATGから81
bpおよび30bp上流にあるこれらの位置は、不完全な逆転写による人為的な
産物である可能性もある。これがcDNAライブラリーの調製にランダム6量体
が用いられた結果であることはありそうもない。しかし、二次RNA構造は逆転
写の未成熟終止(premature termination)をも起こすことができる。実施例3
5′隣接領域の分析
5′隣接領域の構成は、PstIを用いた消化(図1参照)に続いて、サブクロ
ーンλSをDNA配列決定することにより得られた。この5′隣接領域は、ヌク
レオチド-176〜-1に亘っていると決定された。
図5は、第一の可能な転写開始部位の上流の185bpの配列を示している。この
領域およびエキソン1の分析によって、TATA配列はないことが示されるが、
他の可能な幾つかの転写因子結合部位が注目された。少なくとも二つのGATA
−1部位が、CACCCボックスに近接して存在する。Sp1およびGATA−
1配列がエキソン1に存在している。5′隣接領域はプリンに富んだ領域を含ん
でいる。これら問題の領域が図3に示されている。
-176〜-1の5′隣接領域(図3)の転写活性は、プロモータのないpCATベ
クターと比較した、トランスフェクトされたK562細胞でのCAT試験によって
測定された。この方法において、第一のcap部位に対するヌクレオチド-176〜
-1に亘るPCR生成物が、プロメガ社から入手したpCAT基本ベクター中にサ
ブクローニングされた。次いで、赤白血病細胞系X562の細胞が、リポフェクチ
ン法を使用してトランスフェクトされた。プロメガ社によろ提供されたプロトコ
ールに従って、CATベクターの構築、トランスフェクション、およびクロラム
フェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)活性が試験された。CA
T酵素活性は、[14C]−クロラムフェニコール(50〜60mCi/mmol、アマーシ
ャム社、アーリントンハイツ、IL)を用いて測定された。反応生成物は、液体
シンチレーションスペクトル分析によって測定され、また薄層クロマトグラフィ
ーによって反応生成物を分析した。陰性対照として、プロモータのないpCAT
基本ベクターが用いられた。全ての細胞抽出物は、測定値を比較するために、タ
ンパク分析によって正規化された。
CATレポータ遺伝子の前方に導入されると、5′隣接領域は、赤白血病細胞
系K562中でプロモータ活性を示した。5′隣接領域を有するpCATベクター
は、1gの細胞抽出タンパク当たり略0.8単位のCAT活性を発現することが分か
った。1単位のCAT酵素活性は、37℃において、クロラムフェニコールのアセ
テート1nmolを1分間で変換するのに必要な酵素の量として定義される。図4は
、5′隣接領域のCAT活性を示している。48時間露出されたオートラジオグラ
ムが示されている。レーン1は5′隣接領域を有するpCATベクターを有して
おり、レーン2はプロモータのないpCAT基本ベクターを有している。放射活
性のブチリル化したクロラムフェニコールは「bCm」で示されており、未反応
のクロラムフェニコールは「Cm」で示されている。
推定のプロモータ領域は、通常はcap部位に対して-25〜30ntに位置する
典型的なTATAボックスを含んでいない(参照文献48)。しかし、幾つかの
赤血球特異的な遺伝子におけると同様に、GATA−1因子のコンセンサス配列
がプロモータ領域に見られた。加えて、可能なSp1およびGATA−1結合部
位がエキソン1に見られた。GATA−1およびSp1がケル遺伝子の発現を調
節するかどうかは知られていないが、GATA−1は赤血球遺伝子に共通してお
り(参照文献49〜55)、また造血前駆細胞において低レベルで発現し、赤血
球の成熟の際に上方調節されることが知られている。これらの転写因子が赤血球
組織特異性を定義するのであれば、それは、骨髄および胎児肝臓ではKell転
写が検出されたが、幾つかの非赤血球組織では検出されなかった我々のノーザン
ブロット研究の結果(参照文献8)と一致する。実施例4
3′末端の分析
エキソン19は最大のKellエキソンであり、C末端の53アミノ酸をコード
し、終止コドンから100bp下流のポリアデニル化信号を伴う3′非翻訳領域を
含んでいる。以前のノーザンブロット分析によって、少量の大きなmRNA(注
目すべきは6.6kbのもの)も観察されるが、骨髄および胎児肝臓における主要
なKell転写物は2.5kbであることが示された(参照文献8)。最初にヒト
骨髄ライブラリー由来のKell・cDNAをクローニングした際、我々は大き
な(3kb)3′非翻訳領域を伴うcDNAを単離した(参照文献25)。
Kell遺伝子の3′末端構造を決定するために、グーセンス等(Goosens et
al.)(参照文献59)が記載したようにして抹消血液からRNAを単離し、パーキ
ンエルマーRNA・PCRキット(ロッシュ・モレキュラー・システムズ社、ブ
ランチバーグ、NJ)を用いた逆転写およびPCR増幅によってcDNAを調製
した。第一鎖の合成は、アンカーされたオリゴd(T)16プライマーを用いて
開始された。Kell・cDNAの3′末端のPCR増幅は、Kell・cDN
Aのコード化配列由来のアンカープライマーおよびオリゴヌクレオチドプライマ
ーを用いて行われた。使用されたアンカー・アンチセンスプライマーは、オリゴ
5'-GACTCGAGTCGACAACGTT(T)16-3'(配列ID番号11)であり、Kell・c
DNAの3′末端コード化配列由来のセンスプライマーは、5'-ATGGGGAGACTGTCC
TG-3'(配列ID番号12)であった。
約400bpのPCR生成物が得られ、サブクローニングおよび配列決定がなさ
れた。異なるサブクローン類の3′末端配列が図5に示されている。ヒト骨髄ラ
イブラリー由来(上段)および共通Kellフェノタイプをもった人の抹消血液
由来(下段)の、cDNA塩基配列(ポリA領域の前)が示されている。(A)
はポリA領域を示している。
抹消血液から得られた四つの異なったサブクローンの3′末端配列が、図5の
底部に示されている。四つの全てのサブクローンは、終止コドンからポリアデニ
ル化信号(AATAAA)まで同一の配列を有していた。3′末端において、ポリA配
列が開始する前の塩基配列は長さが若干異なっている。ポリアデニル化信号と開
裂部位との間の距離は変化することが知られている(参照文献60)。ヒト骨髄
cDNAライブラリーから得られた三つの異なるKell・cDNA(クローン
185,182および190)において、3′末端における同様の変化が観察された。一つ
のcDNAクローン(クローン191)、即ち、骨髄ライブラリーから得られた元
の完全な長さのcDNAのみが、大きな3′非翻訳領域を含んでいた。このcD
NAクローンに由来する3kbの非翻訳フラグメントは、ヒトゲノムDNAとハ
イブリダイズせず、それが外来DNAであることが示された。この外来フラグメ
ントはEcoRI部位に続いており、多分線形であり、ライブラリーの調製の際に人
為的に挿入されたものであろう。
RNA・PCRによる抹消血液中における転写物の3′切片の配列は、短い複
数の非翻訳領域のみを検出し、これらはポリA微部の前の長さが若干変化した。
ヒト骨髄由来の他のcDNAを分析したときに、同様の配列が得られた。大きな
Kell転写物は、長いためにRNA・PCR法を用いて増幅できなかったが、
それらの存在はノーザン分析によって示された。大きな3′非翻訳領域を伴う多
重転写物の発生は共通したものではなく、それらの機能は十分に理解されてはい
ないが、この3′非翻訳領域は発現の調節において役割を果たしていると考えら
れる(参照文献61〜62)。実施例5〜7
DNAの調製
実施例5〜7において、DNAは、血清学的にKellフェノタイプが決定さ
れた人から得た抹消血液から調製された。DNAは、抗凝固剤を用いて採取した
1〜5mlの全血から調製され、或いは1000×gの遠心分離によって赤血球を除
去したときに得られたバフィーコートから調製された。両者の場合において、ジ
ョン等(John et al.)が記載した方法(参照文献63)が用いられた。カナダの
フッター派の人々から幾つかのDNAサンプルが得られ、これらの家族の血清学
的研究によって、それらはK1またはK2の何れかについてホモ接合であること
が示された。これらのサンプルにおいて、DNAはツェリンスキー等(Zelinski
et al.)が記載したようにして単離された(参照文献30)。
ポリメラーゼ連鎖反応
実施例5から7のために、ポリメラーゼ連鎖反応は次のようにして行われた:
変性工程、アニーリング工程および重合工程は自動サーモサイクラー(ミニサイ
クラー、MJリサーチ社、ウオータータウン、MA)中で行われた。94℃で3分
、62℃で1分および72℃で30秒の初期サイクルを用いた。サイクル2〜30での
条件は、94℃で30秒、62℃で30秒および72℃で30秒であった。最後のサイクルに
おいて、72℃での重合工程は10分まで延長された。試薬の最終濃度は、100μL
の最終容量において、50mM KCl,10mM Tris-HCl(pH9.0),3mM MgCl2,350nMの
各プライマー,200μMの各dNTP,0.1%のトリトン-X100,100〜200ngのゲ
ノムDNAおよび2.5単位のtaqポリメラーゼであった。パーキン・エ
ルマー社(ブランチバーグ、NJ)のアンプリワックスTM(Ampliwax TM)を
使用した「ホットスタート」法が用いられた。PCR生成物は、0.8%アガロー
スゲル中での電気泳動によって分離され、臭化エチジウム染色によって検出され
た。
制限酵素消化
最終PCR反応混合物にBsmIを直接添加した。このPCR混合物(10μL)は
、2μLの35mM MgCl2,1μLの10mMメルカプトエタノールまたは10mM DTT,1
μLの10×BsmI緩衝液、4μLの水および2μLの5単位/mLBsmIを添加する
ことにより、BsmI消化によって最適化された。この混合物を65℃で90分間インキ
ュベートした。反応混合物中のDNAを、0.8%アガロース中で電気泳動により
分析した。
他の試薬
Taq-DNAポリメラーゼおよびdNTPsはプロメガ社(マジソン、WI)か
ら購入した。X−Galはアプリジーン社(プレザントン、CA)から購入した
。DNA・1kb梯子状標準、DH5αF株大腸菌コンピテント細胞、および低
融点アガロースは、ベテスダリサーチラボラトリーズ社(ガイテルスバーグ、M
D)から購入した。T4・DNAリガーゼおよびBsmIは、ニューイングランド・
バイオラボズ(ベバーリー(Beverly)、MA)から購入した。pT7・blue(R
)プラスミドベクターは、ノバジェン(Novagen)社(マジソン、WI)から購入
した。DNA精製のためのクイックスピンTM(Quick Spin TM)カラム(G-50
セファデックス)は、ベーリンガーマンハイム社(インディアナポリス、IN)
から購入した。実施例5
K1およびK2DNA配列の比較
9対のフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、19のケル
エキソンを増幅した。これらのプライマー対は、エキソンのリーディングフレー
ムをカバーするために選択された。プライマーおよび標的エキソン(スパンニン
グ領域)の配列は、表1に示されている。K1ホモ接合の人に由来するゲノムD
NAが、鋳型DNAとして用いられた。PCR生成物は、0.8%アガロースゲ
ル上での電気泳動によって分離され、臭化エチジウムで染色された。全ての場合
に、0.48〜1.5kbに亘る単一の生成物が得られた。図6は、ケルエキソンのP
CR増幅を示している。図6のレーン1および11は、1kbのDNA梯子状標
準である。レーン2〜10は、プライマー対PCR1,2,3,4,5,6,7
,8および9のPCR生成物をこの順序で含んでいる。
第一のプライマーはフォワード配列であり、第二のプライマーはアンチセンス
プライマーである。PCRのアンチセンスプライマーの5′末端における2G塩
基は、遺伝子中には存在せず、他の目的でのSmaI部位を作成するために追加され
たものである。幾つかのPCR生成物は全体のエキソンをカバーなかった。これ
らエキソンは★でマークしてある。エキソン1のPCR生成物(PCR1)およ
びエキソン19のPCR生成物(PCR9)は、全体の翻訳された領域を含んで
いる。エキソン2は、重なったPCR生成物(PCR1&2)に亘っており、ま
たエキソン14はPCR7でカバーされていた。実施例6
実施例1で得たPCR生成物は、次のプロトコールを用いて配列決定された。
まず、2.8%の低融点アガロース上で分離されたPCR生成物を溶出し、pT7B
lue(R)プラスミドベクターに連結し、大腸菌DHaF′株に形質転換した。
プラスミドDNAは、アルカリ溶解法によって小スケールで調製され、クイック
スピンTM(G-50セファデックス)カラムを用いて精製された。サムブルック等
(Sambrook et al)(参照文献42)に詳細に説明されている標準分子生物学の手
法を用いた。DNA配列決定は、自動化された装置(アプライド・バイオシステ
ムズ社、モデル337A、バージョン1.2.0)によって行われた。配列決定された生
成物は、以前に記述されたK2・cDNAの配列(参照文献25)と比較された
。予想しなかったことだが、一つの塩基の変化を除いて、K1・DNAはK2・
DNAと同じアミノ酸配列をコードすることが見出された。K1とK2との間の
この相違は、エキソン6におけるヌクレオチド701でのCからTへのシフトとし
て生じる。
このPCR生成物であるPCR3(表1)は、エキソン5および6に亘ってお
り、K2・DNAと比較したときに一つの塩基の相違を有していた。エキソン6
の一部の塩基配列およびこれらがコードするアミノ酸は、図7に示されている。
K2・DNAの配列は上段に、K1・DNAの配列は下段に示されている。長さ
が740bpのPCR3生成物には、Kell・cDNAの701位置に対応した、シ
トシン(C)からチミン(T)への一つの置換が存在する。CからTへの置換
は太字でマークされ、且つ矢印で強調されている。この変化は、コンセンサスな
N−グリコシル化部位(Asn.X.Thr)におけるスレオニンのメチオニンへの変
化を予言する。K2におけるN-結合したグリコシル化モチーフ、およびK1に
おける崩壊したモチーフには下線が付されている。この一つの塩基変化は、K1
とK2との間のアミノ酸の変化をコードする唯一の相違であるので、この観察は
、193位置でのスレオニンのメチオニンへの変化(Thr→Met)によって、K1を
発現しているタンパクのアスパラギン191におけるN-グリコシル化が妨げられ、
K1/K2多形が同定されるであろうことを示唆している。実施例7
エキソン6におけるヌクレオチド位置701(nt701)でのCからTへの置換は、
BsmIに特異的な制限酵素部位を定義することが知られた、5'-GAATGCT-3'の配列
を含む新たな配列を作り出す。その結果、エキソン5および6に亘る740bpの
PCR生成物(PCR3)のBsmIでの処理は、K1/K2ゲノタイプを区別する
手段を提供するとの仮説が成り立つ。BsmIでの消化を用いたPCR法において、
K1/K1ゲノタイプは、540bpおよび200bpの2つのフラグメントを生じる
はずであり;K2/K2ゲノタイプは、切断されていない740bpのPCR生成
物を生じるはずであり;K1/K2ヘテロ接合は、740bp、540bpおよび200
bpの3つのフラグメントを生じるはずである。この塩基変化によって実際にK
1ゲノタイプが同定されることを確認するために、K1/K2フェノタイプが知
られている42人の異なった人において、この領域を分析した。
PCR3プライマー(表1)を用いて、種々のKellフェノタイプから得た
DNAのPCR増幅によりPCR生成物(740bp)を作成した。増幅の後、こ
のサンプルをBsmIで処理し、0.8%アガロースゲル上での電気泳動により分離し
た。
図8は、上記の実験で得られた結果を示している。ゲルレーンは次のように定義
される。
レーン1および20は、1kbの梯子状DNA標準を含んでいる。レーン2は
、K1ホモ接合由来の未処理PCR3である。レーン3〜19は、BsmIで処理さ
れた。全てのK2ホモ接合(K:−1,2)サンプルは、切断されていない740b
p生成物を与えた。K1ホモ接合(K:1,−2)は、540bpおよび200bpの
フラグメントのみを生じた。K1/K2ヘテロ接合(K:1,2)は、切断され
ていない740bpの生成物、並びに小さい540bpおよび200bpの生成物の3つ
のバンドを有していた。
試験された42のDNAサンプルのうち、12のサンプルはK1ホモ接合また
はK2ホモ接合であり、6つのサンプルはK1/K2ヘテロ接合であり、24の
サンプルK;−1,2フェノタイプであったが、優勢の低いまたは希なKell
フェノタイプを含んでいた。これらには、K3,K6,Ko,K14/k24ヘ
テロ接合、およびMcLeodフェノタイプを含まれていた。42のうちの40のサン
プルにおいて、BsmIゲノタイピングは、赤血球の血清学的分析により決定された
Kellフェノタイプと一致した。2つの場合には、ゲノタイピングは一つのサ
ンプルをK:−1,2ホモ接合と同定し、他方をk:1,2ヘテロ接合と同定し
た。しかし、これら二つのサンプルは、血清学的には「弱い」K1フェノタイプ
を有するものとして同定された。
上記で列記した他の優勢の低いまたは希なKellフェノタイプは、エキソン
6の中にCからTへの塩基置換を有しており、この変化がK1/K2多形に特異
的であることを示した。実施例8
K1/K2ゲノタイプを差別的に決定する方法において、独特のプライマー混
合物を用いてゲノムDNAの試験サンプルを処理するポリメラーゼ連鎖反応が用
いられた。このプライマー混合物には次のプライマー類が含まれていた。
MK1RプライマーはK1・DNAに特異的であり、長さが540bpのPCR
生成物を生じる。MK2FプライマーはK2・DNAに特異的であり、長さが24
0bpのPCR生成物を生じる。他のプライマーであるEI5Fプライマーおよ
びEI6RプライマーはK1/K2に特異的であり、長さが740bpのPCR生
成物を生じ、内部対照として用いられる。
プライマー混合物には以下の濃度のプライマー類が含まれていた:20ng/μL M
K1R; 20ng/μL MK2F; 30ng/μL EI5F; 30ng/μL EI6R。EI5FおよびEI6R
プライマーは、二つの反応のためのPCRに用いられるのに対して、MK1Rお
よびMK2Fプライマーは夫々一つの反応だけに用いられる。プライマー類の濃
度は、EI5FおよびEI6Rプライマーが、反応の継続のために充分な量にな
るように調節される。
血液サンプルは、ヒトのボランティアから入手された。DNAは、本明細書の
他の箇所に記載された方法を用いて、血液サンプルのバフィーコート中に存在す
る白血球から単離された。
反応管は、一つのアンプリワックスTMおよび25μLの第一の試薬カクテルを
含むようにセットアップされた。第一の試薬カクテルには、2.5μLの10X緩衝液
(プロメガ社、マジソン、WI);4μLのdNTP;3μLの25mM MgCl2;7μLのプ
ライマー混合物;および8.5μLのH2Oを含んでいた。これにより、25μL容積の
予備反応混合物を得た。これらの予備混合物を80℃で5分間インキュベートし、
加工する前に5分間室温に冷却した。このチューブの夫々に対して、23μLの第
二の試薬カクテルを添加した。この第二の試薬カクテルは、2.5μLの10X緩衝液
;3μLの25mM MgCl2;17μLのH2O;および0.5μLのtaqDNAポリメラー
ゼ(プロメガ社、5単位/μL)および2μLのH2O中の100ngの単離されたゲノ
ムDNAを含んでいた。
PCR反応は、次のサイクルプログラムを用いて行われた。初期サイクルは、
94℃で3分、62℃で1分および72℃で30秒を含んでいた。サイクル2〜30には
夫々、94℃で30秒、62℃で30秒および72℃で30秒が含められた。最後のサイクル
において、72℃での重合工程は10分まで延長された。
PCRの完了後に、当該技術で公表されているように、臭化エチジウム/アガ
ロースゲル電気泳動を用いて増幅された生成物を解析した。
この方法の結果は、図9に示されている。レーン1およびレーン11は、既知
サイズの混合DNAフラグメントを含む対照サンプルと同一である。レーン2〜
4は、K1/K2ゲノタイプが既に知られている患者由来の内部対照サンプルを
表している。対照レーン2は、540bpおよび740bpのフラグメントの存在を示
しており、これは患者がホモ接合K1(K:1,−2)であることを示す。対照
レーン3は、200bpおよび740bpのフラグメントの存在を示しており、これは
患者がホモ接合K2(K:−1,2)であることを示す。対照レーン4は、K1
/K2フラグメントの夫々、即ち、200bp、540bpおよび740bpのフラグメ
ントの存在を示しており、これは患者がヘテロ接合(K:1,2)であることを
示す。
図9のレーン5〜7は、被検患者の家族から得たサンプルを表しており、レー
ン5およびレーン6は両親を表し、レーン7は胎児を表す。試験バンドと対照バ
ンドとを比較することによって、レーン5に対応する親はヘテロ接合(K:1,
2)であり、またレーン6に対応する親はホモ接合K2(K:−1,2)である
ことが明らかになる。胎児は明らかにホモ接合K2(K:−1,2)である。図
9のレーン8〜10は、他の被検患者の家族から得たサンプルを表している。レ
ーン8に表されている第一の親はヘテロ接合(k:1,2)であるのに対して、
レーン9に表されている第二の親はホモ接合K2(k:−1,2)である。レー
ン10に表されている胎児は、ホモ接合K2(K:−1,2)として同定可能で
ある。
実施例7および8に与えられた実験データは、明らかに本発明の方法が診断的
効力を有することを示している。これらの実施例は、三つのK1/K2ゲノタイ
プの夫々の個体が、K1・DNAとK2・DNAとの間の相違によって積極的に
区別できることを示している。より詳しくいえば、新たに同定されたK1/K2
多形の遺伝子座は、K1およびK2に特異的な核酸プローブを用いたKell・
DNAの増幅によって、並びに制限酵素でのK1/K2・DNAの差別的消化に
よって開発することができる。実施例9
今回、思いがけずもK6/K7多形の分子的基礎が見出され、それは、Kel
lタンパクのアミノ酸位置597におけるロイシン(K7)の代わりにプロリンを
コードさせるエキソン17での点突然変異によるものであることが示された。こ
のアミノ酸置換は、Kellタンパクの亜鉛結合推定酵素活性部位(zinc-bindin
g putative enzyme active site)に極めて近接している。
DNAの調製
白血球DNAは、ジョン等が記載した方法(参照文献63)に基づき、実施例
5〜7に記載したようにして、K6フェノタイプをもった8人の関連のない個体
の抹消血液から調製された。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
ケル遺伝子の19エキソンを複製および増幅するために用いたフォワードプラ
イマーおよびリバースプライマーは、その殆どが、この明細書の他の箇所で先に
説明したものと同じである。若干の場合にのみ、配列決定を容易にするもっと小
さいPCR生成物を製造するために、他のプライマーが設計された。エキソン1
7および18から807bpの切片を増幅するために用いたフォワードプライマ
ーおよびリバースプライマーは、夫々、
5'-CTCACCTAGGCAGCACCAACCCTA-3'(配列ID番号 )および
5'-CAGTGAGGACATCTGCAGAAGAGG-3'(配列ID番号 )であった。使用したPC
Rの条件は、サイクル数を35に増やしたことを除き、上記の実施例5〜7におい
て先に説明したのと同じであった。
DNA配列決定
PCR生成物は、0.8%の低融点アガロース上でのゲル電気泳動によって分離
された。溶出した後、DNAを直接配列決定し、またはpT7Blue(R)Tプラスミド
ベクター(ノバジーン社、マジソン、ウイスコンシン州)中にサブクローニング
し、大腸菌のDH5αF′株(ギブコBRLライフテクノロジー社、ガイテルス
バーグ、メリーランド州)に形質転換した。サブクローン化するときは、プラス
ミドDNAをアルカリ溶解法によって小スケールで調製し、クイックスピンTM
(セファデックスTMG50)カラムを用いて精製した。標準の分子生物学区的方
法を用いた。DNA配列決定は、自動化された装置(モデル373A、バージョン1-
2.0、アプライド・バイオシステムズ社、フォスターシティー、CA)によって
行った。
PCR生成物の制限酵素消化
K6ゲノタイプについて点突然変異を含むことが予想されたエキソン17の短
い111bpの配列が、PCRによって複製および増幅された。エキソン17は、
他の隣接するMnlI開裂部位を含んでいるので、エキソン17の短い切片のみが複
製された。PCR反応のために、下記のオリゴヌクレオチドプライマーが用いら
れた。即ち、5'-CTCACCTAGGCAGCACCAACCCTA-3'(配列ID番号 )(フォワー
ドプライマー、実施例 に記載したのと同じ)および5'-TTACCTGGAGGGCATGGTT
GTCACT-3'(配列ID番号 )(リバースプライマー)である。PCR生成物
(10pLの最終反応混合物)を10単位のMnlI(ニューイングランドバイオラボ社、
ベバリー、マサチューセッツ州)で処理し、37℃で90分間インキュベートした。
最終反応容積は20μLであった。次いで、DNAを0.7%のアガロースゲル上で
の電気泳動によって分離し、1.65%のゲルツインTM(GelTwinTM)ブランドの
表面活性剤[?](J.T.ベーカー社、フィリップスバーグ、ニュージャージー
州)を補充した。
K6およびK7・DNAの配列決定
K:6,−7のエキソン19に対応するPCR生成物の塩基配列が、「野生型
」のDNA(K:−6,7)と比較されたが、これは高い発生率でK7を含むK
ellフェノタイプを発現する(参照文献43)。両者共に、エキソン17に生
じる二つの別々の塩基置換が注目された。この変化は図10に模式的にされてい
る。nt1919においてTのCへの変化が観察され、これはアミノ酸位置597での
ロイシンの代わりにプロリンをコードする。他の塩基置換(AからG)がnt20
19で観察されたが、この変化は異なったアミノ酸のコード化を生じない。
MnlI消化によるK6/K7多型の確認
nt1920におけるTからCへの置換は、制限エンドヌクレアーゼMnlIの認識部
位を除去する。従って、野生型のK7・DNAはMnlIに晒されるとこの点で開裂
されるのに対して、低頻度のK6・DNAは影響を受けない。このこの明白な特
徴は、この点突然変異を分析するために使用してもよく、またこの置換がK6ゲ
ノタイプを同定するかどうかを決定するために用いてもよい。エキソン17のこ
の領域に亘る111bpの配列が、8人の関連のないK:6,−7およびK:−6
,7の人から得たゲノムDNAのPCR、およびMnlIでの処理によって得られた
。K7(野生型)DNAはMnlI部位を含んでおり、MnlIで処理すると91bpおよ
び20bpの生成物を生じる。他方、K6PCR生成物はMnlI処理によって開裂さ
れず、111bpの生成物は切断されないまま残る。従って、ヘテロ接合は未切断
のPCR生成物および二つの小さいバンドの両者を与える。
結果は図11に示されている。関連のない7人のK6フェノタイプの人に由来
するPCR生成物は全て、111bpのバンドを示した。四つの例が示されている
(レーン3,6,7,9)。全てK7フェノタイプの人に由来するPCR生成物
は小さい91bpの生成物を示したが(レーン4および8)、20bpの生成物は、
そのサイズが小さいために、臭化エチジウム染色によって検出することは困難で
あった。K:6,7ヘテロ接合(レーン5および10)は、未切断の111bpバ
ンドおよび小さい91bpのバンドの両方を示した。
チンパンジーの赤血球は、K6(Jsa)抗原を有している(参照文献27)
。
チンパンジー由来の一つのDNAサンプルが分析され、それもまた111bpの未
切断PCR生成物を生じ、そのパターンはk:6,−7ゲノタイプに一致した。
この結果は、図11二示したゲルにレーン11として示されている。実施例10
K6/K7多形が更に研究され、nt2019での点突然変異に関連した第二の制
限酵素開裂部位が同定された。これは無症状の突然変異であるが、nt1910で発
現される突然変異に一貫して関連しているから、本発明に従って利用することが
できる。
DNAは、実施例9で同定された7人の個体の抹消血液から、そこに記載した
ようにして調製された。PCRおよびDNA配列決定は、実施例9に記載したよ
うにして行われた。807bpのPCR生成物をDdeIで消化した。10マイクロリッ
トル(10μL)のPCR生成物を、10〜20単位のDdeI(ニューイングランドバイ
オラボズ社、ベバリー、マサチューセッツ州)と共に37℃で90分間インキュベー
トし、酵素消化された混合物を、実施例9に記載したようにして、1.65%のゲル
ツインTMを補充した0.7%アガロースゲル上で分離した。
PCR生成物は幾つかのDdeI部位を有することが分かり、消化に際して複数の
バンドが得られた。4人のK6フェノタイプの個体に由来するDNAは、454,18
3および170bpの三つ顕著なバンドを生じた(図12、レーン3,6,7および
9)。対照的に、K7フェノタイプは、454bpのバンドが更に266bpと188b
pの生成物に消化されたので(レーン4および8)、四つのバンド(266,188,18
3,および170bp)を生じた。188bpおよび183bpの生成物は十分に分離され
ず、ある時は一緒に移動する。二つのヘテロ接合体(レーン5および10)は、
五つのバンド(454、266、188、183、および170bp)を生じるので、K6およ
びK7ホモ接合から区別することができた。
また、チンパンジーDNAの一つのサンプルは、DdeIを用いて消化された。実施
例9で上述したように、チンパンジーの赤血球はタイプK:6,−7を有してい
る。図12に示したように、454bpの生成物はDdeIによって切断されなかった
が、これもK:6,−7ゲノタイプと一致している。K6およびK7・DNAに
おけるケル遺伝子のコード化領域の塩基配列を比較することによって、両者共エ
キソン17で起きる2つの塩基の相違のみが示された。図10を参照されたい。
これらの塩基置換のうちの一つだけが、異なったアミノ酸をコードした。nt19
10におけるTからCへの変化は、アミノ酸残基597におけるロイシンをプロリン
に変化させた。nt2019における他の塩基置換は、当該位置にロイシンを保持す
る無症状の突然変異である。実施例9および10で説明した7人の無関係な個体
の分析によってこれら塩基変化が示されたから、nt1910およびnt2019におけ
る塩基置換の両者は、K:6,−7ゲノタイプに共通している。予想されたよう
に、K:6,7ヘテロ接合は、野生型およびK:6,7配列の両者を有していた
。
Kellタンパクが亜鉛エンドペプチダーゼのファミリーと共有している5量
体コンセンサス配列、即ちMEXXHは、アミノ酸残基581〜585に生じる。従っ
て、この推定活性部位は、ロイシン(K7)からプロリン(K6)への変化を有
する残基597に近接している。我々は、このアミノ酸変化がKellの推定酵素
活性に影響するかどうかを予測できないが、その近接性は無視できない。ロイシ
ンからプロリンへの変化が、二つのシステイン残基(図10)の間に位置する残基
で起き、K6においてCys.Pro.Ala.Cys配列を生じ、K7にCys.Leu.Ala.Cys.配
列を生じることもまた興味深い。それらの明瞭な分子構造のために、プロリン残
基はタンパク中で局部的な構造変化を誘導することができ、またヘリックスの形
態を変化させることができる。この場合、それは二つのシステイン残基の間に位
置しているから、プロリンはジスルヒド結合の再配置を起こすことができ、従っ
てタンパクの二次構造および三次構造を顕著に変化させて、新たなエピトープを
露出させる。Kellタンパクの二次構造のコンピュータに補助されたチョウ−
ファスマン(Chou-Fasman)の分析によって、残基597でロイシンをプロリンで置換
することは、実際に、当該領域について予想されるターン(turn)を変化させるで
あろうことが示される。
なお、Kellは16のシステイン残基を有し、これらの残基のうちの15は
細胞外ドメインに存在し、一つは膜貫通領域に存在することに留意すべきである
。これは、該タンパクが広範に折り畳まれることを示しており、還元剤によるK
ell抗原の不活性化を示す初期の生化学的研究と一致している。全ての
Kell抗原のうち、K6およびK7は、最低濃度(1-2mM)のジチオトレイトー
ル(DTT)で不活性化される抗原である。K1,K2,K3およびK21のよ
うな他のKell抗原は、不活性化のために遥かに高い濃度(100〜200mM)のD
TTを必要とする。
MAIEAと称する免疫学的方法は、Kellエピトープ類の間の空間的関係をマ
ッピングするために使用されてきた。この方法は、天然のKellタンパクにお
いて、K6/K7がK1/K2エピトープに近接していることを予測した。K1
/K2多形を識別する点突然変異はアミノ酸残基193に生じるのに対して、K6
/K7についてのそれは直線的に離間しており、アミノ酸597に発生する。この
見かけの矛盾は、再度、Kellタンパクの折り畳まれた性質と、エピトープが
突然変異点から遠くに移されることを指摘する。
実施例9および10に与えられた実験データもまた、本発明の診断的な効力を
示している。特に、種々のK6/K7ゲノタイプを有する個体は、K6・DNA
とK7・DNAとの間の相違に基づいて積極的に識別できる。より具体的には、
新たに同定されたK6/K7多形の遺伝子座は、K6およびK7に特異的な核酸
プローブを用いたKell・DNAの増幅によって、並びに制限酵素でのK6/
K7・DNAの差別的消化によって開発することができる。実施例11
更なる研究によって、ケル遺伝子のエキソン13におけるnt1601の一つのヌ
クレオチド置換が、K10ゲノタイプに関連していることが明らかになった。K
10の分子的基礎は図13に示されており、これはK10多形遺伝子座における
野生タイプのKell・DNAのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列、並びに
アミノ酸配列の変化(Glu 495 Val)を生じる点突然変異(A 1601 T)を与える
。nt1601における点突然変異はK10フェノタイプをもたらす。
RFLP分析は、一般に、本明細書の他の箇所で説明した方法に従って行われ
た。ヌクレオチド置換は制限酵素AccIのための新たな開裂部位を形成して、K1
0および野生型DNAからの増幅生成物の差別的検出と、結果的にはK10ゲノ
タイプの差別的測定を可能にする。実施例12
RFLP法がK3/K4/K21ゲノタイプの決定に使用できるかどうかを確
立するために、K3/K4/K21多形遺伝子座の分析が行われた。思いがけず
、一つのコドンにおける二つの別々のヌクレオチド置換が、K3/K4/K21
遺伝子座の多形に関連することが研究によって明らかになった。K4の分子的基
礎が図14に示されており、これはK4・DNAのヌクレオチド配列およびアミ
ノ酸配列、並びにアミノ酸配列に変化を生じさせる点突然変異を提供している。
nt961?における点突然変異(C→T)はアミノ酸配列における変化を生じ(A
rg 281 Trp)、K3フェノタイプをもたらす。nt962における点突然変異(G
→A)はアミノ酸配列における変化を生じ(Arg 281 Gln)、K21フェノタイ
プをもたらす。
RFLP分析は、一般に、この明細書の他の箇所で説明した方法に従って行わ
れた。C961 Tヌクレオチド置換は、制限酵素NleIIIのための新たな開裂部位を
形成して、K3および野生型K4・DNAからの増幅生成物の差別的検出を可能
にし、結果的にはK3/K4ゲノタイプの差別的測定を可能にする。また、G96
2Aヌクレオチド置換は、制限酵素PvuIIのための新たな開裂部位を形成して、K
21および野生型K4・DNAからの増幅生成物の差別的検出と、結果的にはK
21/K4ゲノタイプの差別的測定とを可能にする。同時に、これらの制限部位
の発見によって、K3/K4/K21ゲノタイプを直接決定するための方法が可
能になる。
以上、現時点で本発明の好ましい実施例と思われるものを説明してきたが、当
業者は、他の更なる実施例が本発明の精神を逸脱することなく可能であること、
並びにこのような更なる変形および変更は全て、後述の請求範囲の真の範囲内に
含まれるものであることを容易に理解するであろう。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,C
A,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI
,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,
KR,KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,M
G,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO
,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,
TT,UA,UG,UZ,VN
(72)発明者 レッドマン コルヴィン エル
アメリカ合衆国 ニューヨーク州 11010
フランクリン スクエア レンケン ブ
ールヴァード 187