【発明の詳細な説明】
組織造影及び治療を目的としたヌクレオシド類似体組成物の使用及び遺伝子トラ
ンスフェクション発明の属する技術分野
本発明は、遺伝子治療技術と共に使用する、診断法、放射線療法及び化学療法
、並びにこれらの方法を実施する際の特定の化合物の使用に関する。発明の背景
組織及び細胞集団において異種タンパク質を発現するための遺伝子治療技術の
利用が、それらの機能及び適応性について考察されている。これらの技術は、広
範な生理的経過を研究しかつ治療するために、うまく使用されている。In vivo
におけるトランスジェニック生成物の操作、及び遺伝物質の細胞特異的送達の達
成における進歩は、これらの技術の価値並びにこれらによるヒト及び動物の疾患
の治療の可能性の高まりを助長している。
遺伝子治療のひとつの態様は、標的組織に感受性遺伝子を導入する転移を含ん
でいる。これは、標的組織にDNA を直接注入するか、リポソームを介して、又は
該遺伝子を該標的組織に導入するウイルスベクターを介して、DNA を送達するこ
とで達成される。後者の場合、このウイルスベクターは、遺伝的に修飾され、そ
のゲノム中に新規の感受性遺伝子を有している。このようなベクターは、哺乳類
細胞に“形質導入”することが可能であり、この新規遺伝子でコードされたタン
パク質の発現をもたらす。この発現タンパク質は、標的組織に、発現タンパク質
の基質である薬品に対する感受性をもたらす。この薬品によって誘発された酵素
的プロセスが、該タンパク質を発現している標的組織細胞を死滅させる。形質導
入されていない細胞中に存在するタンパク質は、該薬品に対して親和性が非常に
低いので、この機序に関連した全身の毒性は、認められない。
遺伝子転移は、レトロウイルスを介在して行うことができ、これはDNA を活発
に合成する標的細胞においてのみ遺伝子組込みをもたらし、その結果、近隣の非
増殖性正常標的組織又は細胞は、この遺伝子を獲得せず、かつ該薬品に対して非
感受性であり続ける。全ての形質導入された標的細胞及びウイルスベクターが産
生する細胞は、該薬品の投与及び/又は悪性細胞に生じる挿入型突然変異に対す
る可能性のある関連を減じる宿主の免疫応答によって死滅する。
遺伝子治療は、in vivo における腫瘍ゲノムの遺伝子操作による悪性腫瘍の治
療に使用されている。例えば、癌の遺伝子治療における、単純ヘルペスウイルス
タイプ1チミジンキナーゼ(HSV-1 TK)遺伝子の“自殺ベクター”としての有効性
が、公表されている(M.P.Short らの論文、J.Neurosci.Res.、27:427頁(1990)
;Y.Takamiyaらの論文、J.Neurosurg.、79:104頁(1993))。最も確実な方法のひ
とつは、脳腫瘍へHSV-1 TK遺伝子を形質導入し、その後HSV-1 TKによる選択的リ
ン酸化のために、形質導入された細胞に対し選択的毒性を示す、ガンシクロビル
{9-[1,3- ジヒドロキシ-2- プロポキシ)メチル]グアニン、GCV}を静注する
ことである(K.W.Culverらの論文、Science、256:1550頁(1992))。GCV-一リン
酸は、その後内因性の哺乳類のキナーゼ類により、ウイルスDNA ポリメラーゼの
強力な阻害剤であるGCV-三リン酸へと転換される。この治療において、モロニー
マウスレトロウイルスベクターの送達は、脳腫瘍塊への、マウスの繊維芽プロデ
ューサー細胞の立体走性の移植(stereotactic implantation)を通じて達成され
ている。形質導入率及びその後の新生組織におけるHSV-1 TKの発現は様々であり
、かつ最適の治療時間は現時点では不明である。しかし動物モデルにおいて、劇
的な腫瘍退縮(又は治癒)が認められ、かつ全身毒性がなく、ヒトにおける臨床
試験の開始が進められている(E.H.Oldfieldらの論文、Hum.Gene Ther.、4:60頁
(1993);S.M.Freeman らの論文、Hum.Gene Ther.、3:242 頁(1992))。
別の研究も、癌治療における遺伝子治療技術の価値を指摘していて(F.L.Mool
ten らの論文、J.Natl.Cancer Inst.、82:29 頁(1990);S.Freeman らの論文、
Cancer Res.、53:5274 頁(1993);D.Barba らの論文、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S
.A.、91:4348 頁(1994))、これはヒトの肺癌(Y.Hasegawaらの論文、Am.J.Re
sp.Cell and Mol.Biol.、8:655 頁(1993))及び乳癌(Y.Manomeらの論文、Cance
r Res.、54:5408 頁(1994))のような種類の癌を含んでいる。癌細胞へのアデ
ノウイルスHSV-TK遺伝子導入を用いる関連研究も、胸部(W.Roy Symtheらの論文
、Cancer Res.、54:2055 頁(1994))、脳(S.H.Chenらの論文、Proc.Natl.Acad
.
Sci.U.S.A.、91: 3054頁(1994))、並びに頭部及び頚部(B.W.O'Malleyらの論文
、Cancer Res.、55:1080 頁(1995))で励みとなる結果を提供している。ブタ動
脈においてHSV-TKをコードしているアデノウイルスベクターが、GCV 治療に対し
感受性がある細胞を産生し、かつ動脈損傷に反応した平滑筋細胞の増殖を抑制す
る働きがあることも示唆されている(T.Ohnoらの論文、Science、265:781 頁(19
95))。しかし、5-(チエン-2- イル)-及び5-(フラン-2- イル)-2'- デオキシウ
リジンは、HSV-TK遺伝子でトランスフェクションされたFM3A細胞に対しての方が
、野生型FM3A/O細胞よりも、少なくとも100 倍以上細胞分裂を抑制すること、並
びにHSV-1 TK遺伝子がトランスフェクションされた腫瘍細胞において発現したウ
イルスのTKは、活性酵素としてほとんど作用しないが、チミジル酸シンターゼが
、これらの化合物の細胞分裂抑制作用の標的酵素として利用されることが示され
ている(C.Bohmanらの論文、J.Biol.Chem.、269:8036頁(1994))。別のウイルス
遺伝子は、選択されトランスフェクションされたウイルス遺伝子でコードされた
タンパク質によって細胞毒性型へと生物転換されたプロドラッグ中の、抗ウイル
ス性ヌクレオシドと共に、遺伝子治療に同様に使用することができる。
あらゆる遺伝子治療技術に関連した重要な限界点のひとつは、遺伝子導入が、
腫瘍又は他の標的組織に限定されているかどうか、並びに骨髄細胞又は腸管上皮
細胞のような、他の感受性分裂(sensitive dividing)細胞においても生じるかど
うか定かではないことである。第二の重要な限界は、たとえ標的組織においてで
あっても、遺伝子導入は、必ずしもその遺伝子が実際に発現し、標的組織全域で
活性タンパク質を産生することを意味するものではないことである。現在、形質
導入された標的組織の生検標本を入手することが必要な侵襲的方法を用い、β-
ガラクトシダーゼ染色法のようなin vitro法により、遺伝子導入の程度を決定し
ている(Z.Ram らの論文、Cancer Res.、53: 83頁(1993);R.G.Vileらの論文、
Cancer Res.、53: 962 頁(1993))。ドップラーカラーフロー及び超音波造影の
ような他の方法は、腫瘍血管及び腫瘍容積の画像を提供するのみであるが、遺伝
子導入率に関する情報はもたらさない(Z.Ram らの論文、J.Neurosurg、81: 256
頁(1994))。コンピューター断層撮影法(CT)及び核磁気共鳴画像(MRI)のような
形態学的造影法も、遺伝子導入率に関する情報を提供しない。
従って、遺伝子治療技術と共に使用される、標的組織を含む細胞集団全域で、
外来遺伝子の導入を追跡する診断法で、in vivo で非侵襲的に実施される方法が
必要である。この診断法を実施する際には、使用に適した特異性を有する化合物
を同定することも必要である。このような診断法、並びにこの診断法の実施にお
けるこのような化合物の使用は、遺伝子治療技術と共に同様の方法で用いられる
放射線療法及び化学療法の必要条件を満足するようにも適合させ得る。発明の説明
本発明は、遺伝子治療技術と共に用いることができる、診断法、放射線療法及
び化学療法を提供する。本発明は更に、これらの方法を実施する際の、標識及び
未標識化合物で、物理的及び化学的特性を有する標識及び非標識化合物の使用を
提供する。
本発明は、好ましくは該細胞内では天然には生じることがないタンパク質を発
現する外来遺伝子が導入された細胞集団に、適用可能である。この化合物が、診
断目的又は放射線療法又は化学療法の目的のいずれに使用されるかによって、化
合物が、外来遺伝子によって発現されたタンパク質と選択的に相互作用し、該細
胞内で捕捉されるか、該細胞に対し細胞毒性又は細胞分裂抑制性を示すか、もし
くはこれらの両方であるかのような生成物を生成するように、化合物は選択され
る。診断に用いる場合は、標識された前記生成物の捕捉は、外来遺伝子によって
タンパク質が発現される細胞における、該生成物の蓄積をもたらし、その結果こ
のような細胞における標識生成物の検出が容易になる。放射線療法において利用
する場合は、該化合物が放射標識された結果、放射性である生成物の捕捉は、該
外来遺伝子によってタンパク質が発現される細胞における、該生成物の蓄積をも
たらし、その結果このような細胞で特に指示された放射線療法の効果の検出が容
易になる。化学療法において利用する場合は、この化合物と該タンパク質の相互
作用は、細胞に対し細胞毒性又は細胞分裂抑制性を生じ、これは、該生成物が、
該タンパク質が発現されている細胞中に捕捉されるならば、増強される。
本発明の診断での利用に関連する第一の実施態様において、本発明は、細胞集
団全域の外来遺伝子の導入を追跡する方法を含み、この方法は、該外来遺伝子に
よって発現されたタンパク質と標識化合物が選択的に相互作用し、標識生成物を
生成するように、該標識化合物を有効量、該細胞に投与する工程、その後この標
識生成物を検出する工程を含み、ここにおいて、該標識生成物が、該外来遺伝子
によってタンパク質が発現された細胞内で捕捉されるために、この標識化合物は
、該外来遺伝子によって発現されたタンパク質と選択的に相互作用するように選
択される。この第一の実施態様において、本発明は、この診断法の実施における
標識化合物の使用も含む。
前述の外来遺伝子は、いずれかの真核細胞又は原核細胞由来のものか、もしく
は単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ヘルペスウ
イルス及びエプスタイン・バールウイルスからなるウイルス群から選択されたウ
イルスを含む、ウイルス由来のものから選択された遺伝子であってよい。好まし
い外来遺伝子は、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼを発現する遺伝子であ
る。
前述の標識化合物は、好ましくは放射線標識されるが、その標識生成物の検出
を容易にするいずれか他の標識の形も適している。外来遺伝子が、単純ヘルペス
ウイルスチミジンキナーゼを発現する遺伝子である場合は、好ましい標識化合物
は下記式を有するもの、又はその医薬として許容できる塩である:
(式中、X は、放射性ハロゲン置換基で、R1は、水素、ヒドロキシル又はフッ素
置換基で、R2は、水素又はフッ素置換基で、R3は、水素、アリールカルボニル、
ヘテロアリールカルボニル、ヘテロシクロカルボニル、1-メチル-1,4- ジヒドロ
ピリジル-3- カルボニル、3-7Cシクロアルキルカルボニル、及び炭素原子1〜8
個の直鎖又は分枝した鎖のアルキルカルボニルからなる群から選択された置換基
であり、並びにR4は、水素、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、
ヘテロシクロカルボニル、1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カルボニル、3-
7Cシクロアルキルカルボニル、及び炭素原子1〜8個の直鎖又は分枝した鎖のア
ルキルカルボニルからなる群から選択された置換基である。)。好ましくは、R3
及びR4の少なくとも一方は水素であり、最も好ましくはR4は水素である。好まし
いX は、123I、124I、131I、75Br、76Br及び18F からなる群から選択され、最も
好ましくは123Iである。前述の外来遺伝子で使用するために特に好ましいいくつ
かの標識化合物の置換基は、下記のものである:
1.X =123I、124I、又は131I、最も好ましくは123I
R1=水素
R2=水素
R3=水素又は1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カルボニル
R4=水素
2.X =123I、124I、又は131I、最も好ましくは123I
R1=水素
R2=フッ素
R3=水素又は1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カルボニル
R4=水素
3.X =123I、124I、又は131I、最も好ましくは123I
R1=フッ素
R2=水素
R3=水素又は1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カルボニル
R4=水素
4.X =123I、124I、又は131I、最も好ましくは123I
R1=ヒドロキシル
R2=水素
R3=水素又は1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カルボニル
R4=水素である。
本発明の放射線療法での利用に関連している第二の実施態様において、本発明
は、外来遺伝子が導入されている細胞集団全域を用いる放射線療法を含み、この
方法は、該外来遺伝子によって発現されたタンパク質と該放射標識化合物が選択
的に相互作用し、放射標識生成物を生成するように、該放射標識化合物を放射線
療法の有効量、該細胞に投与する工程を含み、ここにおいて、該放射標識生成物
が、該外来遺伝子によってタンパク質が発現された細胞内で捕捉されるために、
該放射標識化合物が、該外来遺伝子によって発現されたタンパク質と選択的に相
互作用するように選択される。この第二の実施態様において、本発明は、この放
射線療法を実施する際の放射標識化合物の使用も含む。
本発明の放射線療法における使用のための外来遺伝子の選択のパラメーターは
、本発明の診断法の場合と同じであり、好ましい外来遺伝子は、単純ヘルペスウ
イルスチミジンキナーゼを発現する遺伝子である。
この外来遺伝子が、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼを発現する場合は
、好ましい放射標識化合物は、X が放射性ハロゲン置換基である以外は、本発明
の診断法の一般式(I)と同じであり、好ましくは、123I、125I、131Iからなる群
から選択される。最も好ましいX は、131Iである。好ましくは、R3及びR4の少な
くとも一方は水素であり、最も好ましくは、R4は水素である。この外来遺伝子で
使用するために特に好ましい放射標識化合物の置換基は、特定の放射標識された
化合物のX が123I、125I、131Iからなる群から選択される以外は、本発明の診断
法のものと同じである。
本発明の化学療法での利用に関連している第三の実施態様において、本発明は
、外来遺伝子が導入されている細胞集団全域で用いる化学療法を含み、この方法
は、該外来遺伝子によって発現されたタンパク質と該化合物が選択的に相互作用
し、生成物を生成するように、該化合物を化学療法の有効量、該細胞に投与する
工程を含み、ここにおいて、該生成物が、該外来遺伝子によってタンパク質が発
現された細胞に対し細胞毒性又は細胞分裂抑制性であるために、この化合物は、
該外来遺伝子によって発現されたタンパク質と選択的に相互作用するように選択
される。この第三の実施態様において、本発明は、この化学療法を実施する際の
化合
物の使用も含む。
本発明の化学療法において使用するための外来遺伝子の選択のパラメーターは
、本発明の診断法の場合と同じであり、好ましい外来遺伝子は、単純ヘルペスウ
イルスチミジンキナーゼを発現する遺伝子である。
この外来遺伝子が、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼを発現する場合は
、好ましい化合物は、X がハロゲン置換基である以外は、本発明の診断法の一般
式(I)と同じであり、好ましくは、ホウ素、塩素、フッ素及びヨウ素からなる群
から選択される。最も好ましいX は、ホウ素、塩素又はヨウ素置換基のいずれか
である。好ましくは、R3及びR4の少なくとも一方は水素であり、最も好ましくは
、R4は水素である。この外来遺伝子で使用するために特に好ましい化合物の置換
基は、特定の好ましい化合物のX が一般にヨウ素置換基であり得る以外は、本発
明の診断法のものと同じである。図面の簡単な説明
本発明の実施態様は、添付図面を参照して説明される:
図1は、実施例12の、KBALB-LNL 及びKBALB-STK 細胞における、[125I]-IVDU の
in vitroでの細胞取込みを示すグラフである;
図2は、実施例12の、KBALB、KBALB-LNL 及びKBALB-STK 細胞における、[125I]-
IVFRUのin vitroでの細胞取込みを示すグラフである;
図3は、実施例13の、マウスが形成するKBALB-STK 腫瘍における、[131I]-IVFRU
のin vivo での生体分布を示すグラフである;
図4は、実施例13の、マウスが形成するKBALB 腫瘍における、[131I]-IVFRUのin
vivo での生体分布を示すグラフである;
図5は、実施例13の、マウスが形成するKBALB 又はKBALB-STK 腫瘍における、in
vivo での腫瘍対血液の比を示すグラフである;
図6は、実施例14の、ガンシクロビル投与前の、[131I]-IVFRU注入8時間後、HS
V-1 TKを発現しているKBALB -STKのシンチグラム像である;
図7は、実施例14の、ガンシクロビル投与4日目の、[131I]-IVFRU注入8時間後
、HSV-1 TKを発現しているKBALB -STKのシンチグラム像である。本発明実施の最良の態様
本発明の第一の実施態様において、本発明は、標識化合物の診断的使用、及び
この化合物を用いる診断法からなる。この使用及び方法は、細胞集団全域で外来
遺伝子の導入を追跡するためである。この方法は、最初に、下記の選択的相互作
用により標識生成物を生成するために、標識化合物の有効量を該細胞に投与する
工程、次にこの標識生成物を検出する工程からなる。
この外来遺伝子は、細胞集団又は細胞集団の一部に、所望のように遺伝子治療
技術により、意図的に導入され、形質導入され、もしくはトランスフェクション
されることが好ましい。この外来遺伝子は、タンパク質の発現をコードしている
。この導入された外来遺伝子を含む細胞に有効量の標識化合物が投与される場合
は、この標識化合物は、この発現されたタンパク質と選択的に相互作用し、標識
生成物を生成する。この外来遺伝子の細胞への導入は、特異的外来遺伝子が配列
された細胞に導入された外来遺伝子全てが、タンパク質を活発に発現することを
意味する必要はない。いくつかの外来遺伝子は、該タンパク質を活発に発現する
ことができるが、他は休眠状態である。その結果、この標識生成物は、実際に該
外来遺伝子によってタンパク質が発現している細胞においてのみ産生される。そ
の後この標識生成物は、該細胞における外来遺伝子の導入を追跡するために、検
出することができる。
この標識化合物は、捕捉されかつその後その中に局在され、かつ該タンパク質
を発現した細胞から容易に流出することのないような標識生成物を産生するため
に、該外来遺伝子によって発現された特異的タンパク質と選択的に相互作用する
か、もしくはタンパク質により作用を受けるように選択される。従って外来遺伝
子を有さないか、もしくは休眠状態の外来遺伝子を有する細胞と比較した場合に
、この標識生成物の優先的蓄積又は局在又は選択的代謝捕捉が、このタンパク質
を発現している細胞において生じる。この選択的捕捉は、該外来遺伝子を有する
細胞及び該特異的タンパク質を発現している細胞の両方の特異的検出を可能にす
る。リン酸化のような標識化合物の修飾が、該タンパク質の存在下で生じ、これ
は該細胞内部での標識生成物の産生をもたらす。得られる標識生成物は、容易に
細胞から離れることはなく、従って該細胞中に蓄積もしくは局在する。この細胞
中に
捕捉された標識生成物は、前述の必要条件を満たす相互作用の結果のいずれかの
生成物であることができ、これは標識を、更にはこの標識単独で細胞中に選択的
に捕捉されることが可能である場合にはこの標識自身を単離された形で含む。
この診断での使用及び方法は、細胞集団全域の外来遺伝子の導入を追跡するた
めに、in vivo 及びin vitroの両方で使用することができる。更に詳細に述べる
と、この方法は、該細胞全域の外来遺伝子の導入の局在又は部位、程度、及び反
応速度論を決定しすること、プロドラッグを用いて哺乳類対象における化学療法
の最適の開始時を決定すること、癌治療において遺伝子を形質導入された腫瘍を
破壊すること、放射性医薬品を用いて特異的細胞集団を効果的に放射線療法する
こと、もしくは遺伝子の変調過程を研究することに有用である。更にこの診断法
は、治療効果、並びに該細胞集団での再増殖の発生のような事象において反復治
療が必要かどうかどうかを評価する臨床試験に使用することができる。
従って、本発明の細胞集団は、in vitro又はin vivo での細胞集団、もしくは
より大きい細胞集団の小さい特定部分のいずれかであることができる。好ましい
実施態様において、この細胞集団は、例えばヒトのような哺乳類対象の特定の組
織(例えば脳、肝、乳房など)、又は特定の組織中の癌性腫瘍のような組織の一
部のいずれかである。このような細胞への前述の外来遺伝子の導入又は組込みに
より、この診断法は、細胞増殖を生じるようなヒト疾患において認められるよう
な、外来遺伝子の導入が追跡される細胞又は組織が、活発にDNA 合成している場
合に、特に有用となる。このような細胞増殖性の疾患は、癌、及び動脈損傷に呼
応する平滑筋細胞の増殖のような、損傷後の組織修復を含む。
前述の導入された遺伝子は、あらゆる真核細胞又は原核細胞、もしくはあらゆ
るウイルスから選択されたいずれかの遺伝子であり得、これは外来遺伝子の導入
が追跡される細胞集団によって容易に取り込まれることが好ましい。更にこの遺
伝子は、好ましくはその細胞集団においては天然には存在しないタンパク質を、
発現しなければならない。このためにこの導入された遺伝子は、外来遺伝子であ
ることが好ましい。外来遺伝子は、外来遺伝子の導入が追跡される細胞集団にお
いて、そのままの形又は特異的形状で存在することがない、いずれかの遺伝子で
ある。別の言い方をすると、外来遺伝子は、外来遺伝子によって発現されたタン
パク質が、それらの細胞においては天然には発現されないような、それらの細胞
中に全く存在しないか、もしくはその細胞中には異なる形状で存在するかのいず
れかである。外来遺伝子によって発現されたタンパク質は、酵素であり得る。
前述のように、外来遺伝子は、外来遺伝子が導入される細胞によって容易に取
り込まれることが好ましい。このため、この外来遺伝子は、ウイルスから選択さ
れることが好ましい。更にこの外来遺伝子は、単純ヘルペスウイルス、ヒトサイ
トメガロウイルス、水痘帯状疱疹ヘルペスウイルス、及びエプスタイン・バール
ウイルスからなるウイルス群から選択されることが好ましい。これらのウイルス
では、単純ヘルペスウイルスが、遺伝子治療における使用のために選択された遺
伝子として、現在一般的に使用されている。従って、診断法及び使用における好
ましい実施態様において、外来遺伝子は、単純ヘルペスウイルスから、更に詳細
に述べると単純ヘルペスウイルスタイプ1から選択される。好ましい実施態様の
特異的外来遺伝子は、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)を発現す
る。しかし、前述のいずれかの外来遺伝子を、その外来遺伝子によって発現され
たタンパク質が、適当な標識化合物と選択的に相互作用し、必要な標識生成物を
産生することに適応する限りは、使用することができる。
この化合物は、発現タンパク質との相互作用が細胞中で、好ましくは非侵襲的
手段で検出可能な標識生成物を生じる限りは、いずれか適当な通常の手段で標識
することができる。好ましい実施態様においては、この標識化合物は、放射標識
され、かつこの放射標識化合物の発現タンパク質との選択的相互作用により、放
射標識生成物が生成される。好ましい実施態様において、この放射標識生成物は
、公知の核医学造影技術を用いて検出される。この化合物の放射標識に使用され
る特異的放射性標識は、得られる放射標識生成物の検出のために使用される造影
技術の種類に関連して選択され、これは当業者に公知の選択的方法である。例え
ば、シングルフォトンエミッション断層撮影(SPECT)については、放射性同位元
素123I及び131Iの両方が標識として適しているが、臨床での使用においては123I
が好ましい。ポジトロン放出断層撮影(PET)に適した標識は、124I、75Br、76Br
及び18F である。
多くの外来遺伝子に関して、いずれか適当な標識ヌクレオシド又は核酸塩基を
、
前述の化合物として選択することができる。他の外来遺伝子に関しては、ヌクレ
オシド又は核酸塩基以外の化合物が適している。前述のように、導入された外来
遺伝子によって発現されたタンパク質、及び標識ヌクレオシド又は核酸塩基は、
タンパク質が発現された細胞内で捕捉される標識生成物を産生するために、選択
的に相互作用しなければならないことが適当とみなされる。例えば、適切に標識
されたヌクレオシド5-フルオロ-2'-デオキシウリジンは、遺伝子が発現している
チミジル酸シンターゼを有する細胞の検出に使用することができ、もしくはフル
オロシトシンは、遺伝子が発現しているシトシン脱アミノ酵素を有する細胞に使
用することができる。
同様に別の化合物類は、異なる生体分布特性を示し、従って特定の化合物を特
異的細胞集団(例えば脳、肺、乳房、卵巣、結腸、膵臓など)の検出及び造影に
より適したものにする、異なる効果又は別の特性を持ち得る。従って、化合物を
選択する場合には、これらは外来遺伝子の導入が追跡される特異的細胞集団に関
連があるので、具体的な化合物の特性も考慮しなければならない。
導入された外来遺伝子が、HSV-TKを発現する好ましい実施態様において、下記
式(1)を有する化合物、又はその医薬として許容できる塩が使用されることが好
ましい:
式(1)に関して、X は、該化合物の標識であり、これは前述のように放射標識
であることが好ましい。この放射標識は、放射性ハロゲン置換基であることが好
ましい。この放射性ハロゲン置換基は、前述のように、この放射標識生成物の検
出に使用される核医学造影技術の種類に関連して選択される。適当な放射性ハロ
ゲン置換基は、123I、124I、125I、131I、75Br、76Br及び18F を含む。この群の
中で、診断目的では125Iが最も適さず、124I及び131Iの方がより好ましく、一方
臨床使用については123Iが最も好ましい。従って好ましい実施態様において、式
(1)の化合物のX は、123Iである。放射標識は、通常の方法で該化合物に組込ま
れる。
X が放射性ハロゲン置換基である場合は、式(1)の化合物は、高い比放射能の
担体不添加の化合物であることが好ましい。別の言い方をすると、好ましい実施
態様において、放射性123Iの濃度は、比放射能を高めるために、該化合物に含ま
れたすべてのヨウ素又はヨウ素塩の源に比例してできるだけ高くなる。
式(1)のR1は、水素、ヒドロキシル又はフッ素置換基であり、かつR2は、水素
又はフッ素置換基である。糖残基のC-2'位に水素以外のR1又はR2置換基を有する
式(1)の化合物は、ほとんどのC-2'未置換ピリミジンヌクレオシドのグリコシドC
-N 結合を開裂するピリミジンホスホリラーゼに対しより安定であることがわか
っている。例えば、グリコシド結合の開裂に抵抗性があり、失活をもたらす、2'
- リボフルオロR2- 置換基(J.R.Mercerらの論文、J.Med.Chem.、30:670頁(198
7))、2'- アラビノフルオロR1- 置換基(C.Lopez らの論文、Antimicrob.Agen
ts Chemother.、17:803頁(1980);J.A.Codereらの論文、J.Med.Chem.、26:114
9 頁(1983))又は2'- アラビノヒドロキシルR1- 置換基(M.J.Robinsらの論文、
J.Med.Chem.、34: 2275頁(1991);N.K.Ayusi らの論文、Mol.Pharmacol.、31:4
22頁(1987);T.C.Chouらの論文、Antimicrob.Agents Chemother.、31:1355頁(19
87))が公知である。
更に式(1)において、R3は、水素、アリールカルボニル、ヘテロアリールカル
ボニル、ヘテロシクロカルボニル、1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カルボ
ニル、3-7Cシクロアルキルカルボニル、及び炭素原子1〜8個の直鎖又は分枝し
た鎖のアルキルカルボニルからなる群から選択された置換基である。同様にR4は
、水素、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロシクロカルボ
ニル、1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カルボニル、3-7Cシクロアルキルカ
ル
ボニル、及び炭素原子1〜8個の直鎖又は分枝した鎖のアルキルカルボニルから
なる群から選択された置換基である。R3及びR4が両方とも水素である場合、親化
合物が形成される。R3、R4又は両方が水素以外である場合、誘導化合物が形成さ
れる。R3及びR4の少なくとも一方が水素であることが好ましく、下記の式(1)の
好ましい実施態様において示されるようにR4が水素であることが好ましい。
式(1)のR3が1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カルボニルであり、かつR4
が水素である場合は、R3はケミカルデリバリーシステム(CDS)又はCDS 基とみな
され、より親油性の高い誘導化合物が形成される。CDS 誘導体は、血液- 脳関門
(BBB)の通過、並びに形質導入又はトランスフェクションされた脳細胞又は組織
での局在化を増強する能力を有す。GCV のようなピリミジンヌクレオシド又は非
環状ヌクレオシドは、その極性のために、BBB を容易には通過しない。式(1)の
ヌクレオシドの親油性の増加は、その抗ウイルス特性を維持したままで、脳での
局在を増強する実行可能な方法である。親油性医薬品の設計に現在使用される比
較的優れた方法のひとつは、ジヒドロピリジン←→ピリジニウム塩のケミカルデ
リバリーシステム(CDS)である(N.Bodor らの論文、Science、214:1370頁(1981)
)。この脳を標的とした概念は、親油性の1-メチル-1,4- ジヒドロピリジルプロ
ドラッグ化基(promoiety)の、容易に加水分解されるエステル又はアミド結合を
介しての、医薬分子への結合に関連している。式(1)のR3が3'-[O-(1- メチル-1,
4- ジヒドロピリジル-3- カルボニル)]のケミカルデリバリーシステム(CDS)であ
り、かつR4が水素である化合物は、さらに容易にBBB を通過し、その後脳組織に
おいて、NAD←→NADH酸化還元システムに類似した方法により酸化される。生じ
るピリジニウム塩は、非常に極性が高く、このことは大脳での捕捉において、脳
組織中濃度の上昇及び飽和をもたらしている。末梢血のあらゆる酸化生成物は迅
速に消失するので、血液からのクリアランスは容易である。捕捉されたピリジニ
ウム塩のエステル結合は加水分解され、R3及びR4置換基が水素であり、かつR1及
びR2置換基が上記に定義されたものであり、酸化されたプロドラッグ化基がトリ
ゴネリンであるような、式(1)の親化合物を放出する。R4が水素である式(1)の化
合物は、代謝により捕捉され、喪失が阻止されるように選択された、形質導入さ
れた組織又は細胞において生成された、ウイルスによってコードされ
た酵素によって、選択的にリン酸化されて5'- 一リン酸誘導体となることが所望
である、遊離の5'- ヒドロキシル基を有する。
従って、R3置換基としてCDS 基を含むヌクレオシドは、親油性が増大し、かつ
細胞集団を浸潤する能力が強化される。同じくR3置換基としてCDS 基を含むヌク
レオシドは、前述の追加の極性による捕捉効果に加え、発現タンパク質と該化合
物の選択的相互作用の結果選択的捕捉が生じるという利点がある。様々な他の基
も、このヌクレオシドに付加することができ、親油性及び組織浸潤性を強化する
。例えば、炭素原子7〜8個までのアルコキシ鎖のエステル化を用いることがで
きる。
前述の式(1)に含まれる様々な化合物において、外来遺伝子がHSV-TKを発現す
る場合には、下記の化合物が最も好ましいことがわかっている:IVDU、IVDU-CDS
、IVFRU、IVFRU-CDS、IVFAU、IVFAU-CDS、IVAU及びIVAU-CDSである。これらの好
ましい化合物は全て、式(1)を有し、かつ下記の置換基を含んでいる。更に、こ
れらの好ましい化合物は全て、診断及び造影において使用される場合は、前述の
ようにX はヨウ素であり、好ましくは123Iである。好ましい化合物の他の置換基
は各々、下記のものである:
IVDUは、R1は水素、R2は水素、R3は水素、及びR4は水素;
IVDU-CDSは、R1は水素、R2は水素、R3は1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カ
ルボニル、及びR4は水素;
IVFRU は、R1は水素、R2はフッ素、R3は水素、及びR4は水素;
IVFRU-CDS は、R1は水素、R2はフッ素、R3は1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3
- カルボニル、及びR4は水素;
IVFAU は、R1はフッ素、R2は水素、R3は水素、及びR4は水素;
IVFAU-CDS は、R1はフッ素、R2は水素、R3は1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3
- カルボニル、及びR4は水素;
IVAUは、R1はヒドロキシル、R2は水素、R3は水素、及びR4は水素;
IVAU-CDSは、R1はヒドロキシル、R2は水素、R3は1-メチル-1,4- ジヒドロピリジ
ル-3- カルボニル、及びR4は水素である。これらの化合物において、より安定性
の高い化合物が使用されることが好ましい。例えば親化合物において、IVDUは、
IVFRU、IVFAU 及びIVAUよりも安定でないことがわかっている。しかし、IVDUは
、IVDU-CDSとして安定性を増すこともわかっている。
R3はCDS である誘導化合物を除いた、R4が水素であるような式(1)の親化合物
及び誘導化合物は全て、不活性溶媒中における、式(2)の5'- ヨウ化ウラシルヌ
クレオシド:
(式中、R1、R2及びR3は、先に定義したものである。)を、式(3)の(E)-1-(トリ
-n- ブチルスタンニル)-2-(トリメチルシリル)エテンと:
好ましくは式(4)の適当な交差カップリング触媒の存在下で反応することによっ
て調製し:
[(Ph)3P]2Pd(II)Cl2 式(4)
この反応はテトラヒドロフランのような不活性溶媒中で(通常50℃)反応が進行
し、式(5)の(E)-5-(2- トリメチルシリルビニル)-2'- デオキシウリジン又は-
アラビノウリジン化合物へと転換する:
(式中、R1、R2及びR3は、先に定義したものである。)。式(5)の化合物(式中
、R1、R2及びR3は、先に定義したものである。)の、求電子ハロゲン化は、式(6
)のハロゲン化試薬を用い:
X−Y 式(6)
(式中、X は先に定義したものであり、かつY は、ヨウ素、ホウ素、塩素、フッ
素、アセトキシ及びトリフルオロメトキシからなる群から選択される。)、乾燥
アセトニトリルのような不活性溶媒中で反応を進行し(通常25℃)、式(7)の生
成物へと転換する:
(式中、X、R1、R2及びR3は、先に定義したものである。)。
式(1)の誘導化合物(式中R3はCDS で、R4は水素)は、式(8)の化合物:
(式中R1及びR2は先に定義したものである。)の、アセトンのような不活性溶媒
中における(好ましくは灌流温度)、ヨードメタン又はブロモメタンによる四級
化によって、式(9)の化合物:
(式中R1及びR2は先に定義したものである。)に転換することで調製することが
できる。式(9)の化合物(式中R1及びR2は先に定義したものである。)の求電子
ハロゲン化反応は、式(10)のハロゲン化試薬:
X−Y 式(10)
(式中、X は先に定義したものであり、かつY は、ヨウ素、ホウ素、塩素、フッ
素からなる群から選択される。)を用いて、アセトニトリルのような不活性溶媒
中で反応を進行し(通常25℃)、式(11)の化合物:
(式中、X、R1及びR2は、先に定義したものである。)へと転換する。式(11)の
化合物の還元は、適当な不活性2相溶媒系(好ましくは水- 酢酸エチル、1:1,v
/v)の中、炭酸水素ナトリウムのような適当な塩基の存在下で、好ましくは亜ジ
チオン酸ナトリウムのような適当な還元剤を用い、好ましくは温度25℃で、式(1
2)の化合物:
(式中、X、R1及びR2は、先に定義したものである。)へと転換する。
式(1)の化合物調製の出発材料、即ち式(2)の5-ヨウ化ウラシルヌクレオシド、
式(3)の(E)-1-(トリ-n- ブチルスタンニル)-2-(トリメチルシリル)エテン、式(4
)のビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)、及び式(6)の求電子ハ
ロゲン化試薬は、いずれも公知であるか、もしくはそれ自身公知である方法によ
って出発材料から都合よく調製される。
式(1)の化合物は全て、非経口的に、好ましくは注射により、もしくは経口に
より投与することができる。液体担体として、例えば水、エチルアルコール又は
ポリエチレングリコールのような担体、リポソーム、もしくは他の医薬として許
容できる溶媒又は分散液を、使用することができる。経口投与においては、固形
又は液体の担体を使用することができる。一般的に使用される固形担体のひとつ
は、アラビアゴムであるが、他のものも適している。
医学診断の熟練者は、同様の標識を有する他の化合物に関する経験を基に、ヒ
トでの使用を含む具体的な用途のための、前述の標識化合物の有効量を算出する
ことができるであろう。しかし一般に、診断に使用する限りは、対象へのあらゆ
る毒性を避けるために、いずれの標識化合物も少量でなければならない。
本発明の第二の実施態様において、本発明は、放射標識された化合物の放射線
療法での使用、並びにこの放射標識化合物を使用する放射線療法の方法からなる
。この方法及び使用は、タンパク質を発現する外来遺伝子が導入された細胞集団
に関連している。この方法は、放射標識化合物が、該タンパク質と選択的に相互
作用し、放射標識生成物を生成するために、この放射標識化合物の放射線療法の
有効量を、該細胞に投与する工程からなる。この放射標識生成物は、所望の治療
機能又は効果を達成もしくは執行する。この放射標識化合物は、該外来遺伝子に
よりタンパク質が発現された細胞内で、放射標識生成物が捕捉されるように、該
タンパク質と、選択的に相互作用するように選択される。この放射線療法は、診
断法又は化学療法と共に使用することができるか、もしくは個別に使用すること
ができる。
前述の診断の方法及び使用に関する、細胞集団、外来遺伝子、化合物及び生成
物、並びに各好ましい実施態様について提供された、考察、パラメーター、特性
、調製及び投与の方法、並びに他の特性は全て、下記に特記するものを除いて、
放射線療法の方法及び使用において適用可能である。
この放射線療法の方法及び使用の細胞集団は、診断の方法及び使用において示
された細胞集団と同型であることができる。特に、細胞集団の少なくとも一部は
、活発にDNA を合成していることが好ましい。従って放射線療法の方法及び使用
に適用できるほとんどの細胞は、癌性細胞又は組織、もしくは他の細胞増殖状態
である。
この放射線療法の方法及び使用において、化合物及び生成物は、前述の診断法
の好ましい実施態様と同じく、放射標識されている。従って、放射標識されてい
る、式(1)のX 置換基も、いずれか適当な放射性ハロゲン置換基である。適した
放射性ハロゲン置換基は、123I、125I及び131Iを含む。放射線療法のためには、
これらの群の中で、131Iが最も好ましい。124I、75Br、76Br及び18F は、放射線
療法にはあまり適さないことがわかっている。従って、放射線療法の方法及び使
用の好ましい実施態様において、式(1)の化合物のX は、131Iである。更に診断
の方法及び使用と同じく、式(1)の化合物は、高い比放射能の担体不添加の化合
物であることが好ましい。
医学の放射線療法の方法及び使用の熟練者は、同様の放射標識を有する他の化
合物に関する経験を基に、ヒト又はヒト以外に適した、前述の放射標識化合物の
有効量を算出することができるであろう。しかし前述のように、この放射標識化
合物を診断に使用する限りは、細胞集団又は周辺組織への毒性を最小にするため
に、できる限り少い用量でなければならない。放射線療法を目的として該化合物
を用いる場合は、該放射標識化合物の放射線療法に有効な用量を使用しなければ
ならない。典型的には、治療を目的とする放射標識化合物の用量は、所望の放射
線治療効果を達成するために、診断を目的として使用される用量よりも多い。癌
性細胞に使用する場合は、所望の放射線治療効果は、該外来遺伝子によってタン
パク質が発現されている細胞の分解によるであろう。
前述のように、細胞集団への外来遺伝子の導入法では、該細胞集団の少なくと
も一部が、活発にDNA を合成している場合に、この放射線療法の方法及び使用は
、特に有用である。非増殖性細胞又は周辺組織は、該外来遺伝子を獲得せず、従
ってこの放射標識化合物に対して非感受性でありつづけるであろう。その結果、
全身毒性は、この放射標識化合物の使用においては認められない。
本発明の第三の実施態様において、本発明は、化合物の化学療法での使用、並
びにこの化合物を使用する化学療法の方法からなる。この化学療法の方法及び使
用も、同じくタンパク質を発現する外来遺伝子が導入された細胞集団に関連して
いる。この化学療法は、化合物が、該タンパク質と選択的に相互作用し、生成物
を生成するために、該化合物の化学療法の有効量を、該細胞に投与する工程から
なる。この化合物は、生成された生成物が、該外来遺伝子によってタンパク質が
発現されている細胞に対し、細胞毒性又は細胞分裂抑制性であるように、該タン
パク質と選択的に相互作用するように選択される。この化学療法は、診断法又は
放射線療法と共に使用することができるか、もしくは個別に使用することができ
る。
前述の診断の方法及び使用に関する、細胞集団、外来遺伝子、化合物及び生成
物、並びに各好ましい実施態様について提供された、考察、パラメーター、特性
、調製及び投与の方法、並びに他の特性は全て、下記に特記するものを除いて、
化学療法の方法及び使用において適用可能である。
前述の診断法及び放射線療法のように、この細胞集団の少なくとも一部は、活
発にDNA を合成している組織であることが好ましい。従って化学療法の方法及び
使用に適用できるほとんどの細胞は、癌性細胞又は組織、もしくは他の細胞増殖
状態である。前述のように、生成物は、細胞毒性、又は分裂細胞に対して細胞増
殖抑制性である。
この化学療法の方法及び使用において、化合物も生成物も標識される必要はな
い。従って、化学療法の方法及び使用において、式(1)のX 置換基は、いずれか
適当なハロゲン置換基である。適したハロゲン置換基は、ヨウ素、ホウ素、塩素
及びフッ素である。化学療法のためには、これらの群の中でフッ素が、最も適さ
ないハロゲン置換基である。
この化学療法の方法及び使用の好ましい実施態様において、単純ヘルペスウイ
ルス遺伝子、特にHSV-TKを発現する遺伝子を使用するが、その遺伝子によって発
現されたタンパク質が、適当な化合物と共に、該細胞に細胞毒性又は細胞増殖抑
制性であるような必要な生成物を生成することに適応する限りは、他の遺伝子も
化学療法の方法及び使用のために使用することができる。例えば、GCV をリン酸
化するタンパク質をコードしているヒトサイトメガロウイルス(HCMV)UL97遺伝子
は、HCMV感染症の治療の可能性を提唱されている(E.Littler らの論文、Nature
、358:160 頁(1992);V.Sullivanらの論文、Nature、358:162 頁(1992))。これ
に加え、真核生物又は原核生物由来のチミジル酸シンターゼ(TS)、ポリメラーゼ
又はシトシン脱アミノ酵素をコードしている遺伝子類の導入を利用することがで
きる。
医学の化学療法の方法及び使用の熟練者は、同様の類似の化合物に関する経験
を基に、ヒト又はヒト以外に適した、前述の化合物の有効量を算出することがで
きるであろう。前述のように、外来遺伝子は、活発にDNA を合成している細胞に
導入することが好ましく、その結果非増殖性細胞又は周辺組織は、この外来遺伝
子を獲得せず、従って化学療法化合物に対して非感受性でありつづける。その結
果、全身毒性は、この化学療法化合物の使用においては認められない。更にGCV
のような抗ウイルス薬を使用し、効果的腫瘍崩壊を生じるためには、癌性細胞の
わすかに約10%がHSV-TKで形質導入される必要があることは公知である。この重
要な知見は、形質導入されない細胞も死滅するという第三者効果のためである。
この効果の機序は、完全には解明されてはいないが、この現象を説明するものと
して、(i)連続性のウイルス感染;(ii)有糸分裂時に組込まれたHSV-TK遺伝子の
導入;(iii)ギャップ結合又はアポートシス小胞による毒性のあるGCV-三リン酸
の導入;(iv)免疫に関連した作用が挙げられる(S.Freeman らの論文、Cancer R
es.、53: 5274頁(1993);W.Roy Symtheらの論文、Cancer REs.、54: 2055頁(1
994))。
下記の限定を意図しない実施例は、本発明の化合物の製造のためのいくつかの
選択された方法、更にin vitroでの物理化学的及び生物学的特性並びにin vitro
での生体分布を説明する比較データ、並びに本発明の化合物を説明している画像
データを例示している。調製法 実施例1
(E)-5-(2- ヨウ化ビニル)-2'- フルオロ-2'-デオキシウリジン(IVFRU)
(下記の実施例を表す図参照)
乾燥THF(5ml)を溶媒とする5-ヨウ化-2'-フルオロ-2'-デオキシウリジン溶液(1
97mg,0.53mmol)に、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)(37mg,0.
053mmol)及び(E)-1-(トリ-n- ブチルスタンニル)-2-(トリメチルシリル)エテン(
412mg,1.06mmol)を、50℃で撹拌しながら添加した。この反応混合物を、アルゴ
ン雰囲気中で50℃で16時間攪拌し、その後のTLC 分析により、この反応が完了し
たことを確認した。この溶媒を真空で除去し、かつ得られた残渣を、溶離液とし
てMeOH-CH2Cl2(1:25,v/v)を用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより
精製し、酢酸エチルで再結晶後、(E)-5-(2- トリメチルシリルビニル)-2'- フル
オロ-2'-デオキシウリジンの白色固体(146mg、収率80%)を得た;
mp.164-165 ℃;1
H NMR(DMSO-d6):
δ0.08(s,9H,SiMe3),3.64(m,1H,Jgem=9.9Hz,H-5'),3.86(m,1H,H-5"),3.89(d,1
H,J3',4'=8.8Hz,H-4'),4.21(m,1H,J3'f=24.2Hz,H- 3'),5.04(dd,1H,J2F=53.3Hz,
J2',3'=3.8Hz,H-2'),5.43(t,1H,JOH,3'=6.6Hz,C-3'OH,重水と交換),5.92(d,1H,
J1'F=17.0Hz,H-1'),6.52及び6.59(2d,1H,各Jtrans=19.8Hz,CH=CHSiMe3),8.33(s
,1H,ウラシルH-6),11.51(s,1H,NH,重水と交換);
C14H21FN2O5Si の正確な質量計算値:344.1204、
実測値(HRMS):344.1208(M+,2.2%);
C14H21FN2O5Si の分析計算値:C,48.82;H,6.15;N,8.13 ;
実測値:C,48.68;H,6.16;N,7.87
該白色固体を(E)-5-(2- トリメチルシリルビニル)-2'- フルオロ-2'-デオキシ
ウリジン(40mg,0.116mmol)を、アセトニトリル(2ml)に溶解し、次に一塩化ヨウ
素(19mg,0.116mmol)を、25℃で攪拌しながら添加した。この反応混合物を25℃で
30分間攪拌し、TLC 分析により、この反応が完了したことを確認した。この溶媒
を真空で除去し、かつ得られた残渣を、溶離液としてMeOH-CH2Cl2(7:93,v/v)を
用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メタノールで再結晶
後、(E)-5-(2- ヨウ化ビニル)-2'- フルオロ-2'-デオキシウリジン(IVFRU)の白
色固体(36mg、収率78%)を得た。
mp.108-110 ℃、1
H NMR(DMSO-d6):
δ3.65(d,1H,Jgem=12Hz,H-5'),3.82-3.96(m,2H,H-4',H-5"),4.20(dd,1H,J3',F=2
3Hz,J2',3'=6Hz,H-3'),5.06(dd,1H,J2',F=54Hz,J2',3'=6Hz,H-2'),5.47(brs,1H,
C-5'OH,重水と交換),5.72(brs,1H,C-3'OH,重水と交換),5.92(d,1H,J1'F=18Hz,H
-1'),7.09(d,1H,Jtrans=16Hz,CH=CHI),7.20(d,1H,Jtrans=16Hz,CH =CHI),8.23(s
,1H,ウラシルH-6),11.6(brs,1H,NH,重水と交換);
C11H12FIN2O5の正確な質量計算値:397.9775、
実測値(HRMS):397.9773(M+,3.6 %);
C11H12FIN2O5の分析計算値:C,33.19;H,3.04;N,7.04 ;
実測値:C,33.83;H,3.32;N,7.00。
実施例1の図
実施例2
実施例1で使用した方法と類似の方法で、関連化合物(E)-5-(2- ヨウ化ビニル
)-2'- フルオロ-2'-デオキシアラビノウリジン(IVFAU)、(E)-5-(2-ヨウ化ビニル
)-アラビノウリジン(IVAU)、及び(E)-5-(2-ヨウ化ビニル)-2'- デオキシウリジ
ン(IVDU)を調製し、下記の実施例2の図に示されたように、実施例1の(E)-5-ヨ
ウ化-2'- フルオロ-2'-デオキシウリジンの代わりに、式(2)の(E)-5-ヨウ化ウラ
シルヌクレオシドを等量を用いて、IVFAU、IVAU及びIVDUを得、融点は各々176-1
78 ℃、171-175 ℃及び166-170 ℃であった。
実施例2の図
実施例3
[131I]-(E)-5-(2-ヨウ化ビニル)-2'- フルオロ-2'-デオキシウリジン{[131I]IV
FRU}の担体を添加した合成
(下記の実施例を説明する図参照)
0.1N NaOH(5 μl)を溶媒とする[131I]-NaI(74MBq)溶液を、ウィートン(Wheato
n)バイアルに入れ、かつ酢酸- アセトニトリル(1:4,v/v,10 μl)を溶媒とするIC
I(124 μg,0.765 μmol)溶液を添加した。その後酢酸- アセトニトリル(1:4,v/v
,10 μl)を溶媒とする(E)-5-(2- トリメチルシリルビニル)-2'- フルオロ-2'-デ
オキシウリジン(500μg,1.53μmol)溶液を、先のウィートンバイアル内容物に添
加し、かつ反応を25℃で15分間継続した。この生成物を、ワットマン・パーチシ
ル(Partisil)M9 10/25 C8カラムを用いる分取逆相HPLCにより、無勾配の溶離液
アセトニトリル- 水(70:30,V/V)を流速1.5ml /分で流して、精製した。この生
成物[131I]-IVFRUの保持時間はこの条件で11.76 分であったが、未反応の(E)-5-
(2- トリメチルシリルビニル)-2'- フルオロ-2'-デオキシウリジンの保持時間は
24.19 分であった。この方法を用いて、[131I]-(E)-5-(2-ヨウ化ビニル)-2'-フ
ルオロ-2'-デオキシウリジン(63Mbq、放射化学的収率85%、放射化学的純度>9
8%、比放射能252GBq/mmol)が調製され、これは様々なクロマトグラフィー条件
下で非標識IVFRU の基準試料について認められたクロマトグラフィー保持時間に
対し、同等の値を示した。
実施例3の図
実施例4
[131I]-(E)-5-(2-ヨウ化ビニル)-2'- フルオロ-2'-デオキシウリジン{[131I]IV
FRU}の担体を添加しない合成
(下記の実施例を説明する図参照)
ウィートンバイアル中の0.1N NaOH(5 μl)を溶媒とする[131I]-NaI(11.3MBq)
溶液に、酢酸- アセトニトリル(1:4,v/v,10 μl)を溶媒とする(E)-5-(2- トリメ
チルシリル)-2'- フルオロ-2'-デオキシウリジン(100μg,0.306 μmol)溶液を添
加した。その後酢酸- アセトニトリル(1:4,v/v,10 μl)を溶媒とするN-クロロス
クシンイミド(100μg,0.749 μmol)溶液を添加し、かつ反応を25℃で30分間継続
し、水(10 μl)を溶媒とするチオ硫酸ナトリウム(100μg,0.632 μmol)を添加し
て反応を停止した。この反応混合物を、実施例3の方法を用いて、HPLCで分離し
、担体非添加の生成物として、[131I]-(E)-5-(2-ヨウ化ビニル)-2'- フルオロ-2
'-デオキシウリジン(8.0Mbq、放射化学的収率71%、放射化学的純度>98%、比
放射能5.29TBq/mmol)を得た。
実施例4の図
実施例5
実施例3で使用した方法と類似の方法で、関連化合物[123I]-、[124I]-、[125
I]- 及び[131I]- 標識されたIVFAU、IVAU及びIVDUを調製し、実施例3の(E)-5-(
2-トリメチルシリルビニル)-2'- フルオロ-2'-デオキシウリジンの代わりに、式
(5)の(E)-5-(2-トリメチルシリルビニル)-ウラシルヌクレオシドを等量を用いて
、[123I]-、[124I]-、[125I]- 及び[131I]- 標識されたIVFAU、IVAU及びIVDUを
得た。例えば、この方法を用いて、[125I]- IVDUを調製した(放射化学的収率59
%、放射化学的純度>98%、比放射能12.7Gbq/mmol)。
実施例5の図
実施例6
(E)-5-(2- ヨウ化ビニル)-3'-O-(1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カルボニ
ル)-2'- フルオロ-2'-デオキシウリジン(IVFUR-CDS)
(下記の実施例を表す図参照)
アセトン(3ml)を溶媒とする(E)-5-(2- トリメチルシリルビニル)-3'-O-(3-ピ
リジルカルボニル)-2'- フルオロ-2'-デオキシウリジン溶液(26mg,0.058mmol)に
、
ヨウ化メチル(165mg,1.16mmol)を添加し、かつこの反応混合物を、16時間灌流加
熱した。この溶媒を真空で除去し、かつ得られた残渣をエーテルで摩砕し(3×
10ml)、(E)-5-(2- トリメチルシリルビニル)-3'-O-(1-メチルピリジニウム-3-
カルボニル)-2'- フルオロ-2'-ヨウ化デオキシウリジンの黄色結晶(31mg,90%)
を得た。
mp.172-174 ℃、1
H NMR(DMSO-d6):
δ0.1(s,9H,SiMe3),3.7-3.9(m,2H,H- 5'),4.44(brs,4H,NCH3,H-4'),5.44(t,1H,JOH,5'
=3Hz,C-5'OH、重水と交換),5.55-5.58(m,1H,H-3'),5.58-5.80(m,1H,H-2')
,6.12(dd,1H,J1.F =17.0,J 1',2'=1.8Hz,H-1'),6.60(s,2H,CH=CHTMS),8.22(s,1H
,ウラシルH-6),8.29(dd,1H,J4,5=7.6,J5,6=5.0Hz,ピリジニウム,H-5),9.06(d,
1H,J4,5=7.6Hz,ピリジニウム,H- 4),9.23(d,1H,J5,6=5.0Hz,ピリジニウム,H-6),
9.66(s,1H,ピリジニウム,H-2),11.62(s,1H,NH,重水と交換);
C21H27FIN3O6Si・1/2H2Oの分析計算値:C,42.00;H,4.71;N,6.99 ;
実測値:C,42.37;H,4.57;N,6.57。
アセトニトリル(1ml)を溶媒とする(E)-5-(2- トリメチルシリルビニル)-3'-O-
(1-メチルピリジニウム-3- カルボニル)-2'- フルオロ-2'-ヨウ化デオキシウリ
ジン(6mg,0.0101mmol)溶液に、一塩化ヨウ素(1.7mg,0.01mmol)を添加し、前述の
反応で調製した直後に、この反応混合物を、25℃で15分間攪拌した。この溶媒を
真空で除去し、かつ黄色固形物の(E)-5-(2- ヨウ化ビニル)-3'-O-(1-メチルピリ
ジニウム-3- カルボニル)-2'- フルオロ-2'-ヨウ化デオキシウリジンを得、これ
は更に精製すること無くその後の反応に用いた。この黄色固形物を、水- 酢酸エ
チル(各々1ml)の2相溶媒系に溶解し、亜ジオン酸ナトリウム(10mg,0.057mmol
)及び炭酸水素ナトリウム(4mg,0.048mmol)を添加し、かつ反応を25℃で攪拌しな
がら、15分間行った。酢酸エチル分画を、水(1ml)で洗浄し、かつこの酢酸エチ
ル溶液を乾燥した(Na2SO4)。この溶媒を真空で除去し、生成物を、短い中性酸化
アルミニウムカラムを用いて、溶離液としてクロロホルム- メタノール(90:10,v
/v)を用いて精製し、メタノールで再結晶した後、黄色固形物の(E)-5-(2- ヨウ
化ビニル)-3'-O-(1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カルボニル)-2'- フ
ルオロ- 2'- デオキシウリジン(IVFRU-CDS,3mg,59 %)を得た。
m.p.131-133 ℃、1
H NMR(CDCl3):
δ3.02(s,3H,NCH3),3.11(brs,2H,ジヒドロピリジル,H-4),3.86及び4.10(2d,1H,
各々Jgem=12.5Hz,H-5'),4.27(d,1H,J3',4'=7.5Hz,H-4'),4.87(dt,1H,J5,6=8.0,J4,5
=3.8Hz,ジヒドロピリジル,H-5),5.18(m,1H,J2',F=51Hz,H-2'),5.32(m,1H,
H-3'),5.68(d,1H,J5,6=8.0Hz,ジヒドロピリジル,H-6),6.05(d,1H,J1,F=16Hz,
H-H-1'),7.06(d,1H,Jtrans=15Hz,CH=CHI),7.11(s,1H,ジヒドロピリジル,H-2),7
.40(d,1H,Jtrans=15Hz,CH=CHI),8.12(s,1H,ウラシルH-6);
C18H19FIN3O6・H2O の分析計算値:C,40.24;H,3.94;N,7.82 ;
実測値:C,40.52;H,4.09;N,7.61。
実施例6の図
実施例7
関連化合物(E)-5-(2- ヨウ化ビニル)-3'-O-(1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル
-3- カルボニル)-2'- フルオロ-2'- デオキシアラビノウリジン(IVFAU-CDS)及び
(E)-5-(2- ヨウ化ビニル)-3'-O-(1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3- カルボニ
ル)-2'- デオキシウリジン(IVDU-CDS)は、実施例6と類似の方法で、実施例6の
(E)-5-(2- トリメチルシリルビニル)-3'-O-(3-ピリジルカルボニル)-2'- フルオ
ロ- 2'- デオキシウリジンの代わりに、式(9)の(E)-5-(2- トリメチルシリルビ
ニル)ウラシルヌクレオシドを等量使用して調製し、各々融点が148-152 ℃及び1
65-168 ℃である、IVFAU-CDS 及びIVDU-CDSを得た。
実施例7の図
実施例8
[131I]-(E)-5-(2-ヨウ化ビニル)-3'-O-(1-メチル-1,4- ジヒドロピリジル-3-
カルボニル)-2'- フルオロ-2'- デオキシウリジン{[131I]-IVFRU-CDS}の担体
を添加した合成
(下記の実施例を表す図参照)
アセトニトリル(100μl)を溶媒とする(E)-5-(2- トリメチルシリルビニル)-3'
-O-(1-メチルピリジニウム-3- カルボニル)-2'- フルオロ-2'- ホウ化デオキシ
ウリジン(1mg,0.00184mmol)溶液に、アセトニトリル(20 μl)を溶媒とするICI(3
0μg,0.185 μmol)及び[131I]-NaI(26.8Mbq)の攪拌溶液に一気に添加した。この
反応を、25℃で15分間進行し、その溶媒を窒素ガス流上で蒸発させ、かつ得られ
た残渣を、脱気した水(200μl)及び酢酸エチル(200μl)に溶解した。亜ジチオン
酸ナトリウム(4mg,0.0229mmol)及び炭酸水素ナトリウム(2mg,0.0238mmol)を添加
し、かつ25℃で20分間攪拌して、反応を進行させた。次に酢酸エチル相を分離し
、かつその溶媒を窒素流上で蒸発させた。得られた残渣を、メタノールに溶解し
、かつワットマンパーチシルM9 10/25 C8 カラムを用いて、分取逆相HPKLC によ
り精製した。アセトニトリル:水(60:40,v/v)の無勾配溶離液を、2.0ml /分で
流して、純粋な[131I]-(E)-5-(2-ヨウ化ビニル)-3'-O-(1-メチル-1,4- ジヒドロ
ピリジル-3- カルボニル)-2'- フルオロ- 2'- デオキシウリジン{[131I]-IVFRU
-CDS}を得、これは、保持時間が19.54 分であり、分離された放射化学的収率が
14%(3.8Mbq)で、比放射能が4.3Gbq/mmol で、並びにHPCL精製後の放射化学的純
度は98%以上であった。
実施例8の図
実施例9
関連化合物[123I]-、[124I]-、[125I]- 及び[131I]- 標識されたIVFAU-CDS、I
VAU-CDS及びIVDU-CDSを、実施例8と類似の方法で、実施例8の(E)-5-(2- トリ
メチルシリルビニル)-3'-O-(1-メチルピリジニウム-3- カルボニル)-2'- フルオ
ロ- 2'- ホウ化デオキシウリジンの代わりに、式(10)の(E)-5-(2- トリメチルシ
リルビニル)ウラシルヌクレオシドを等量使用して調製し、[123I]-、[124I]-、
[125I]- 及び[131I]- 標識されたIVFAU-CDS、IVAU-CDS及びIVDU-CDSを得た。例
えば、[131I]- IVDU-CDSを、この方法で調製した(放射化学的収率59%、放射化
学的純度が98%以上、比放射能が12.7Gbq/mmol)。
実施例9の図
本発明関連の生物学的評価 実施例10
分配係数及び擬一次酸化速度定数
被験化合物の分配を、n-オクタノール及び水の未飽和混合物(1:1,v/v)間で測
定し、分配係数(log P)を計算した。分析方法は、これらの2相を遠心分離した
後に、改良された浸透フラスコ法及び紫外線(UV)分光定量測定法を行った。分配
前のオクタノール相の被験化合物濃度は、0.5mM であった。IVDU-CDS及びIVFRU-
CDS の定量UV分析のために、ジヒドロピリジン発色団(λmax=360nm)を用い、
結果を表1に示した。IVDU-CDS及びIVFRU-CDS のlog P 値は、IVDU(log P=1.10)
及びIVFRU(log P=1.21)の値よりも、有意に高かった。
IVDU-CDS及びIVFRU-CDS の酸化の擬一次速度定数及び半減期を、50%マウス血
液、20%マウス脳ホモジネート及び20%マウス肝ホモジネートについて測定した
。DMSO(10Mm)を溶媒とする被験化合物溶液を、各マトリックスに添加し、かつ37
℃でインキュベートした。被験化合物添加後様々な時間経過で、アリコートを分
取
し、アセトニトリル(100μl)に添加した。これらの試料を、迅速に遠心分離し、
かつその上清を定量的逆相HPLCで分析した。1-メチル-1,4- ジヒドロピリジン-C
DSの消失速度は、360nm でのUV測定によって決定した。結果を表1に示し、これ
は、選択された生体組織及び体液において、1-メチル-1,4- ジヒドロピリジンの
プロドラッグ化基が、ピリジニウム塩へと容易に酸化されることを示している。
実施例11
ヘルペスウイルスに対するin vitroでの活性
単純ヘルペスウイルスタイプ1(HSV-1)及び単純ヘルペスウイルスタイプ2(HS
V-2)に対する選択されたいくつかの被験化合物の、in vitroにおける抗ウイルス
活性を、培養したヒト包皮繊維芽細胞(HFF)を用いて、細胞変性効果(CPE)阻害ア
ッセイで測定した。水痘帯状疱疹ヘルペスウイルス(VZV)に対する抗ウイルス活
性は、プラーク減数アッセイで測定した。細胞毒性試験には、非感染HFF 細胞を
用いる細胞増殖アッセイを行った。これらの結果は、本被験化合物が、2種のヘ
ルペスウイルスに対する強力な抗ウイルス性化合物であること、並びにこれらの
被験化合物の宿主細胞への毒性が非常に小さいことを示している。遺伝子治療の研究のためのKBALB 細胞モデル
本試験に用いたKBALB 肉腫モデルは、野生型KBALB 細胞を、複製能のない同種
指向性レトロウイルスを含むモロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)のプロデュー
サー細胞の上澄みに暴露することによって得た。このKBALB-STK 細胞系を、HSV-
1 TK及びネオマイシン耐性遺伝子を有するベクターで形質導入した一方で、KBAL
B-LNL 細胞を、ネオマイシン耐性遺伝子のみを有するベクターで形質導入した。
これらの形質導入された細胞系を、抗生物質G-418 含有培地で培養し、ネオマイ
シン耐性遺伝子を発現した細胞のみを選択した。これらの易増殖性肉腫は、
広く特徴づけられていて、複製能のあるレトロウイルス粒子は産生しない(S.Fr
eeman らの論文、Cancer Res.、53:5274 頁(1993))。実施例12
in vitroでの形質導入された又はされていない肉腫細胞系における放射性医薬品
の細胞取込み
KBALB-STK、KBALB-LNL 又は野生型KBALB 細胞を、24ウェルの培養プレートで
密集するまで増殖した。[125I]-IVDU(比放射能=12Gbq/mmol)、[125I]-IVFRU(
比放射能=11Gbq/mmol)、[131I]-IVDU-CDS(比放射能=2.8Gbq/mmol)又は[131I]
-IVFRU-CDS(比放射能=4.3Gbq/mmol)を、生理食塩水溶液100 μl を含む各ウェ
ルに添加し、37℃でインキュベートした。被験化合物への暴露後、様々な時点で
、上澄みを除去し、細胞を生理食塩水で洗浄し、その後接着細胞を、トリプシン
処理して除去した。細胞の取込みは、ベックマン8000γ線測定器を用いて、γ線
を測定した。図1及び2に示された結果は、KBALB-LNL 又はKBALB 細胞と比較し
て、HSV-1 TKを発現しているKABALB-STK細胞において、[125I]-IVDU 及び[125I]
-IVFRUの選択的取込みが生じたことを示した。実施例13
KBALB 又はKABALB-STK腫瘍形成マウスにおける[131I]-IVFRUの生体分布
KBALB 又はKABALB-STK細胞(1 ×105細胞)を、雄のBalb-cマウスの側腹部に
皮下注射した。注射後14日で、触知可能な腫瘍が形成された。腫瘍を有する各々
のマウスに、[131I]-IVFRU(370KBq,比放射能59Gbq/mmol)を、尾静脈から注射し
た。各時間間隔で、動物3匹を屠殺し解剖した。興味深い選択された組織での放
射能取込みを、ベックマン8000γ線測定器を用いて測定した。組織の取込みは、
時間に対する組織g 当たりの投与用量の百分率で表し、図3及び4に示した。両
方の腫瘍モデルについて、腫瘍対血液の比を算出し、図5に示した。HSV-1 TKを
発現している腫瘍における優先的腫瘍取込みが明らかであり、注射の8時間後に
は、KBALB-STK 腫瘍形成動物では、腫瘍/血液の最大比が約3倍であった。対照
的に、野生型KBALB 腫瘍形成動物では、あらゆる時点でKBALB-STK 腫瘍と比べて
、腫瘍の放射能は有意に低く、かつ腫瘍/血液比も非常に低いことが認められた
。実施例14
KBALB-STK 腫瘍のシンチグラフィー造影
KBALB-STLK細胞(1 ×105細胞)を、12匹のBalb-cマウスの側腹部に皮下注射
した。14日目に、注射した全動物において、造影に適した、触知可能な腫瘍が形
成され、この時点で腫瘍の直径は、約10mmであった。[131I]-IVFRU 3.7Mbq(比
放射能=252Gbq/mmol)を尾静脈から注射した後、静止画像(static image)を得た
。Searleγカメラ(シンチビュー(Scintiview)社)を用い、ピンホールコリメー
ターの下側に、動物をうつ伏せにし、データーをADACコンピューター(DPS3300)
で処理した。画像は、15分間にわたって、256 ×256 マトリックスを用いて得た
。最初の画像を得た後、動物群(n=6)に、腹腔内注射(ip)により、ガンシクロビ
ル(100mg/kg)を、1日1回、7日間連続して投与した。対照群(n=6)には、毎日
生理食塩水を注射した。4日後、これらの動物に、[131I]-IVFRUを前述の方法で
投与し、かつ前述のものと同一の獲得(acquisition)プロトコールを用いて、造
影を行った。投与群の腫瘍の大きさは、平均5mm 未満に縮小したことが注目され
た。7日間のガンシクロビル投与後、KBALB-STK 腫瘍は、投与した動物全てにお
いて、完全に退縮していた。生理食塩水を投与した対照動物の腫瘍は、実験終了
時まで増殖を続けた。図6のシンチグラムは、ガンシクロビル投与前、[131I]-I
VFRU投与後8時間の画像で、[131I]-IVFRUが、HSV-1 TKを発現しているKABALB-S
TK腫瘍に選択的に取り込まれたことを示している。図7のシンチグラムは、同じ
動物の、ガンシクロビルを4日間投与した後の、[131I]-IVFRU投与後8時間の画
像である。図7に示されたシンチグラム像では、放射能の大部分が、膀胱に存在
し、これは、退縮した腫瘍残部は、放射能を比較的失っているが、マウスからは
排泄されていないためである。
独占的所有権又は特権が請求された本発明の実施態様は下記のものである。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
// A61K 38/45 A61K 49/02 C
48/00 37/52
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AL,AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,C
A,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI
,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,
KR,KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,M
G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT
,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,
TM,TT,UA,UG,US,UZ,VN
(72)発明者 ウィーブ レナード アイ
カナダ アルバータ ティ6ジー 0ダブ
リュー6 エドモントン 85 アベニュー
11022
(72)発明者 モーリン ケヴィン
カナダ アルバータ ティ5エル 1イー
4 エドモントン 128 ストリート
12815