JPH10510136A - 静電モータおよびその製造方法 - Google Patents
静電モータおよびその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
静電モータおよびその製造プロセスに関するものであり、電気モータは、ステータと称され弾性変形可能な膜(208)を備えた静止部分(200、204、206、208)と、ロータと称され膜(208)上に設けられるとともに弾性膜からの変形波を受けて駆動される可動部分(230)と、を具備し、膜(208)を変形させるための静電手段(204、205)を具備することを特徴としている。
Description
【発明の詳細な説明】
静電モータおよびその製造方法発明の属する技術分野
本発明は、概して、静電モータおよびその製造方法に関するものである。本発
明のモータは、センチメートルやマイクロメートルの程度のサイズとすることが
できる。したがって、本発明は、また、マイクロモータに関するものである。す
なわち、そのサイズのために、マイクロエレクトロニクス技術を利用して製造さ
れるようなモータに関するものである。本発明の静電モータは、例えばレーザー
ビームのスキャンを行うための集積された光学の分野において、例えば微小な外
科用メスを製造するための医療分野において、自動車の分野において、および、
概して言えば、小さな負荷や微小視野における負荷の移動が必要なすべての応用
において、などの多くの応用に適用することができる。従来の技術
モータまたはマイクロモータは、モータがもたらす動きの特性に応じて、ある
いは、その物理原理に応じて、のいずれかにより分類される。
したがって、例えば、回転式マイクロモータと直線式マイクロモータとは、区
別される。回転式マイクロモータは、本質的には、ステータと称される静止部分
と、ロータと称され静止部分に対して相対移動する回転部分と、から構成される
。直線式マイクロモータも、同様に、可動部分と静止部分とを備えている。そし
て、考え方を拡張して、本明細書中においては、ロータとは、回転式モータの可
動部分と直線式モータの可動部分との両方を総称するものとし、同様に、ステー
タとは、回転式モータおよび直線式モータの両方の静止部分を総称するものとす
る。
マイクロモータは、異なる物理原理を含んで機能することができる。したがっ
て、例えば、静電タイプのマイクロモータ、電磁タイプのマイクロモータ、およ
び、圧電タイプのマイクロモータを、区別することができる。
マイクロモータにおいては、とりわけ静電モータにおいては、ロータを駆動す
るには、電極内における電荷蓄積に関連する静電力を利用する。電荷蓄積からく
るキャパシタ力は、電位差を受ける導電板すなわち電極どうしにもたらされる。
例えば、直線式静電モータにおいては、ロータおよびステータの各々は、一連の
電極を有している。各一連の電極、すなわち、ステータの電極およびロータの電
極は、異なるステップで、周期的に配置されている。これにより、電圧を印加す
ると、ステータに対して、ロータを変位させることができる。
静電マイクロモータに関しては、主に、3つのカテゴリーに分類することがで
きる。第1のカテゴリーは、”側部駆動モータ”と称されるモータを含有してい
る。このようなモータは、モータを駆動するために、電極にかかる接線方向の静
電力を利用している。このような静電力は、ロータの電極とステータの電極とを
軸合わせしようとする。これら静電力によって駆動されるロータは、中央軸回り
に回転する。このようなモータは、非常に高速の回転速度を達成することができ
る。これに対して、これらモータのトルクおよび性能は、非常に低い。というの
は、本質的に、キャパシタの有効表面積が小さく、よって、有効な力が非常に小
さいからである。さらに、キャパシタ力の径方向成分、言い換えれば、キャパシ
タ力のうちのモータを回転させるのに役立っていない成分は、明らかに、有効な
接線方向成分よりも、大きい。この径方向力は、摩擦、および、モータの急速な
摩耗をもたらす。
第2のカテゴリーは、”上部駆動モータ”と称されるマイクロモータを含有し
ている。このタイプのモータは、また、接線方向の静電力を使用している。しか
しながら、キャパシタの有効表面領域は、ロータのポールの上および下に位置し
ている。電気エネルギーは、ステータのポールおよびロータのポールのオーバー
ラップにより形成される空間内に貯蔵される。モータを回転させるために、例え
ば、3相励起が、中央軸回りに回転するロータに対して印加される。このタイプ
のモータの電気容量が、より大きいことにより、このモータは、興味のある大き
なトルクをもたらすことができる。しかしながら、鉛直力が、ロータを、ステー
タのボール上に保持しようとする。よって、ロータが、鉛直方向に非常に不安定
である。
マイクロモータの第3のカテゴリーは、”調和型”または”揺動型”マイクロ
モータと称される回転式マイクロモータを含有している。このカテゴリーは、径
方向のキャパシタ力を使用していることにより、上記2つのカテゴリーとは明瞭
に区別される。この場合、ロータは、ステータ上を直接的に回転する。径方向力
が接線方向力よりも大きいことから、含有される力は、より大きい。しかしなが
ら、回転速度が低く、加えて、ロータが中心軸から外れやすいことが観測される
。この逸脱は、軸に対してロータを側方から支持するものがないこと、および、
通常の静電力によってもたらされる引き付けのためである。”調和型”マイクロ
モータに関する実験結果は、これらモータがセンチメートルの程度のマクロなサ
イズとされた場合よりも、むしろ良好な性能であることを示している。これに対
して、マイクロエレクトロニクス技術によるこのようなモータの製造は、”上部
駆動型”または”側部駆動型”モータの製造よりも、一切、満足な結果をもたら
さない。静電マイクロモータの、より詳細なまたより完全な説明に関しては、例
えば、この説明の最後の部分における参考文献のうちの文献(1)、(2)を参
照することができる。
最後に、製造技術が何であったとしても、静電マイクロモータは、比較的小さ
な効率を有している。関連する困難さは、可動部分に対して、すなわちロータに
対して、良好な電気接触をもたらす必要性があることから生じている。電気的に
帯電してしまう傾向のあるロータは、実際、良好な動作のためには、接地される
必要がある。
マイクロモータとは、通常、サブミリメートルのサイズ、すなわち、100〜
200μmの直径の程度であることを、付け加えることができる。より大きなサ
イズの静電モータの製造は、例えば、ロータのそりといったような技術課題をも
たらす。
他のタイプの公知のマイクロモータは、静電力ではなく、電磁力を使用してい
る。これらモータにおいては、コイル内に電流が流れると、ロータを移動させよ
うとする方向に力を産み出すために、磁石と相互作用する磁界が誘起される。こ
のタイプのマイクロモータを製造するための唯一の方法は、大きな質量のある磁
石を使用し、その後、電力コイルが磁石の回りに巻回するものとして、公知であ
る。マイクロモータにおいて、薄い磁石層を使用することは、実際、電磁力の利
用に関してはあまり適切ではない。成膜された磁石層は、極度に薄いので、つま
り1μmよりも薄いので、また、電磁力は、体積力であるので、もたらされる力
は、ロータだけを駆動するのに対してさえも、あまりにも小さすぎる。したがっ
て、電磁タイプの”マイクロモータ”は、通常、ミリメートルの程度のサイズを
有している。電磁タイプのマイクロモータについてのより詳細な説明に関しては
、この説明の最後の部分における参考文献のうちの文献(3)を参照することが
有効である。
マイクロモータにおいて適用される第3のタイプの物理現象は、圧電効果であ
る。超音波モータと称される圧電モータの原理は、エネルギーの二重変換に基づ
いている。第1の変換は、電圧効果のもとに、モータのステータにおいて定常波
または進行波を作り出す圧電セラミクスを介することによる、電気エネルギーか
ら機械振動エネルギーへの変換である。第2の変換は、ステータ・ロータ間にも
たらされる接触力を介しての、ステータからロータへの波動エネルギーの移動に
対応している。
よって、超音波モータのステータは、電界励起が印加された場合に弾性材料を
変形させ得る圧電素子と、この圧電素子上に成膜された例えば金属材料層と、を
備えており、ロータは、弾性材料層上に設けられている。上述したように、圧電
素子が励起されたときには、圧電素子は、弾性材料内において、ロータを駆動さ
せるような変形波を作り出す。変形波は、進行することも、静止(定在)してい
ることもできる。
ミリメートル範囲およびサブミリメートル範囲の圧電モータに関しては、弾性
材料の部材内部において変形させるよりも、膜の変形を生成することの方が好ま
しい。図1には、公知のマイクロエレクトロニクス技術により製造された回転式
圧電マイクロモータの構造の例を示す。図1においては、モータのステータは、
窒化シリコン膜2、白金電極4、および、圧電材料の微細層6の積層により形成
された、膜1を備えている。膜1をなしているこれら積層全体は、厚いシリコン
基板8上に設けられている。ここで、シリコン基板8は、膜の移動を可能とする
ようなスペース10をもたらすために、円状にエッチングされている。層6上に
環状に設けられた電極12は、膜1に変形波を生成し得る圧電材料に対して、電
界励起を印加することができる。最後に、ロータ14が、膜上において、電極1
2を含む領域上に設けられている。ロータ14は、膜1からの変形波によって、
回転駆動される。
このような圧電モータは、いくつかの利点を有している。すなわち、ロータを
停止させ得る保持トルクが大きいこと、結合表面が膜および電極12と接触する
ようになるロータの断面と同じであることにより摩擦を介して良好な軸結合が得
られること、および、回転速度を低減することができてギヤシステムが不要であ
ること、である。圧電タイプのモータについてのより詳細な説明に関しては、こ
の説明の最後の部分における参考文献のうちの文献(4)〜(7)を参照するこ
とが有効である。
有利な特性にもかかわらず、圧電型マイクロモータは、また、本質的に、薄層
内に成膜される圧電材料の品質が悪いことに関連した欠点を有している。これら
材料は、不均一であることが多く、そのため、圧電効果が小さく、変形波の正確
な制御ができない。その結果、一般に、膜の変形強度が小さいものとなってしま
う。さらに、圧電モータおよびマイクロモータは、圧電材料が収縮および膨張を
繰り返すというモードで動作することにより、圧電材料内に大きな応力を引き起
こしてしまう。このような応力は、ジュール効果および機械損失によって、圧電
材料内に加熱をもたらし、その結果、機械的機能を果たしている部材の劣化をも
たらすとともに、膜のパラメータの(マイクロモータの場合)、または、圧電材
料上に成膜された弾性部材のパラメータの(マクロモータの場合)、緩和をもた
らす。これにより、使用途中において、モータの共振周波数が変化してしまうこ
とになる。この共振周波数の変化によって、モータのサイズが小さくなればなる
ほど重要となる効率を、悪くしてしまう。
圧電部材の使用に関する他の制約は、ステータの変形強度の制御に関する制約
である。実際、ステータを過度に変形させると、圧電部材がダメージを受ける。
圧電部材は、大きな収縮を支持するものの、膨張時には、非常に脆い。よって、
変形波モータにおいては、圧電部材の膨張強度は、収縮強度と等しくなければな
らない。圧電部材が膨張時に脆いことにより、ステータの変形強度を、十分に小
さな値に制限する必要があり、したがって、回転速度および効率が、限りなく制
限されてしまうことになる。
従来技術についての説明を補足するために、この説明の最後の部分における参
考文献のうちの文献(8)、(9)を参照することができる。これら文献におい
ては、また、マイクロアクチュエータの構成における課題および制約に関しての
一般的な説明がなされている。
本発明の目的は、公知のモータまたはマイクロモータの欠点を有していない、
新規なタイプのモータまたはマイクロモータを提供することである。
本発明の他の目的は、構造が単純であって、低コストで製造し得るマイクロモ
ータを提案することである。発明の開示
上記目的を達成するため、本発明は、詳細には、ステータと称され変形可能な
弾性膜を備えた静止部分と、ロータと称され膜上に設けられるとともに弾性膜か
らの変形波を受けて摩擦により駆動される可動部分と、を具備する電気モータで
あって、膜の静止平面と平行な平面内においてロータを駆動し得るよう、膜を変
形させるための静電手段を具備することを特徴としている。
本発明によるモータの静電手段は、公知の静電モータの場合のように、ロータ
とステータとの間にもたらされる静電力を一切含有していない。静止部分、すな
わちモータのステータは、例えば、膜の第1面に対向して形成された第1セット
の電極を有した絶縁基板を備え、電極は、空間により膜から離間されているとと
もに、静電力の適用により膜を変形させるために膜に対して作用し、ロータは、
第1面とは反対側の膜の自由面に対して設けられている。
空間とは、空虚な空間と、電気絶縁材料を備える空間と、の双方を意味するも
のとして理解される。
励起電圧が1セットの電極に対して印加されたときには、電極と膜との間にも
たらされる静電力は、膜の弾性変形を引き起こし、膜に変形波を引き起こすこと
ができる。
本発明のある特別の形態においては、変形手段は、膜の共振モードに応じて、
膜を変形させるために構成することができる。共振は、電極に印加される所定の
励起電圧に対して、変形強度の効果をもたらすことができる。
膜を共振させるよう励起するための1つの方法は、電極に対して、所望の変形
波に関して決定された位相差を伴った、交流電圧を印加することである。この位
相差は、例えば、定常変形波に対してはゼロである。
本発明の第1実施形態においては、膜は、電気絶縁材料から製造することがで
きる。この場合、膜自身に、第1セットの電極をなす電極のそれぞれに関連して
1つまたは複数のものからなる第2セットの電極を有している。そして、周期的
な電気的励起電圧が、第1セットの電極をなす各電極と、膜上の第2セットの電
極に関連する電極と、の間に印加される。他の実施形態においては、膜は、また
、導電材料から製造することができる。この場合、電気的励起電圧が、周期的に
、1セットの電極をなす各電極と、膜自身と、の間に印加される。
したがって、本発明においては、静電手段は、第1セットの電極と、第2セッ
トの電極(または、膜が導電体である場合には、膜自身)と、第1セット・第2
セット(または膜)間に電位差を印加するための手段と、により形成される。
膜を共振させるよう励起したい場合には、電極は、膜の共振モードに応じて、
膜の変形の非節箇所に設けられることが有利である。
電極の正確な位置は、励起したい共振モードに関連して、明確に決定される。
本発明は、直線式モータ、単一方向性モータ、または多方向性モータの製造だ
けではなく、回転式モータの製造にも、適用可能である。
直線式モータの場合には、膜は、第1方向Xに沿って延在する矩形形状を有し
ており、第1セットの電極は、膜を変形させる少なくとも1つの定常波を生成す
るために、X方向に直交するY方向に互いに平行であるとともに、X方向に沿っ
て膜に対して対向して配置されている。電極の第1セットは、電極のいくつかの
グループに分割することができる。電極のセットがX方向に沿って膜の各端部に
電極のグループを備えている特別の場合においては、これら電極は、膜内に第1
および第2定常波を生成することができる。これら2つの定常波は、空間的およ
び時間的に位相がずれている。電極に対して印加される励起が膜の共振周波数に
対応している場合には、膜のX方向に沿って伝搬する進行波が観測される。変形
波にかかわらず、膜上に配置されたロータは、X方向に摩擦により駆動される。
多方向性モータの場合には、ステータ上の電極は、ほぼ直交するX、Y方向に
沿ってそれぞれが延在する行および列からなるマトリクス状に配置されている。
電極は、膜内に進行変形波または定常変形波を生成するよう、膜に対して作用す
る。
最後に、回転式モータを製造するために、電極は、基板上に環状に配置されて
おり、膜内に環状対称性を備えた変形波を生成するよう、膜に対して作用する。
所望された変位モードにかかわらず、静止タイプの変形波(定常変形波)を利
用するモータまたはマイクロモータを製造するために、圧電マクロモータの場合
に公知であるように、周期的な擾乱を、また、膜に与えることができる。
本発明のモータは、公知のマイクロエレクトロニクス技術により製造されるの
に好適であり、とりわけシリコンの製造技術により製造されるのに好適である。
モータのステータの製造方法は、本質的に、
a)非導電性基板上に、順に、第1セットの電極、犠牲層、および、第1層を
備える構造を形成し、
b)犠牲層に対するアクセスのため、少なくとも1つの開口を形成するために
、第1層をエッチングし、
c)弾性膜を形成する第1層を部分的に解放するために、開口を通して、犠牲
層を等方性エッチングし、
d)膜上に、および、電極上に、電気コンタクトを製造する。
電極の第1セットは、犠牲層の形成に先立っての導電材料の基板上への成膜に
よるか、あるいは、直接的なまたは上部層を挿通しての基板内へのイオンインプ
ランテーションによるか、のいずれかにより製造することができる。非導電基板
であることにより、基板は、絶縁材料、半導体材料、または、絶縁層で被覆され
た導電材料とすることができる。
本発明の1つの有利な実施形態においては、シリコン技術に関し、犠牲層およ
び第1層を形成するというa)ステップにおいて、
−犠牲層をなす埋設酸化シリコン層を形成するよう、シリコン基板内に酸素の
インプランテーションを行うとともに、犠牲層上にシリコンフィルムを形成し、
−第1層を形成するために、フィルムに対してシリコンをエピタキシャル成長
させる。
本発明の他の有利な実施形態においては、シリコン技術に関し、犠牲層および
第1層を形成するというa)ステップにおいて、
−犠牲層を形成するために、シリコン基板の熱酸化を行い、
−第1層を形成するために、犠牲層上にシリコンをエピタキシャル成長させる
。
または、
−所望の厚さに調整するために、シリコン基板を封止するとともにシリコン基
板を磨くことにより、第1層を形成する。
膜が非導電材料により製造されている場合には、第1層の上面または下面に電
極を形成するために、電極の第2セットは、第1層上への成膜によるか、あるい
は、第1層内へのイオンインプランテーションによるか、のいずれかにより製造
される。
本発明のある実施形態においては、ロータを製造するために、
−膜上に第1犠牲層を形成し、
−犠牲層上に材料層を形成し、
−ロータの形状を規定するために、材料層をエッチングし、
−ロータを解放するために、犠牲層を除去する。
回転式ロータの場合には、例えば、ロータは、また、マイクロエレクトロニク
スにおいて公知の製造技術によって製造することができる。この場合、例えば、
a)ステータの膜上に第1犠牲層を形成し、
b)この犠牲層内に、ステータの電極へと向かわせてリングの形態の凹所をエ
ッチングし、
c)犠牲層上および凹所内に、第1材料層を形成し、
d)ロータの直径を規定するために、第1材料層をエッチングし、
e)第1材料層の周囲に第2犠牲層を製造し、
f)第2犠牲層の周囲に第2材料層を形成し、
g)第2犠牲層を露出させるとともに、ロータのための端部ピースを形成する
ために、第2材料層に開口を形成し、
h)ロータを解放するために、第1および第2犠牲層を等方性エッチングする
。
本発明の他の特徴点および利点は、単に例示のためのものであり本発明を何ら
制限するものではないものであって添付図面を参照した以下の説明により、より
明瞭となるであろう。図面の簡単な説明
図1は、既に説明済みのものであって、公知のタイプの圧電型マイクロモータ
を示す概略的な斜視図である。
図2は、本発明によるマイクロモータのステータを示す概略的な断面図である
。
図3は、本発明によるマイクロモータのステータを示すもので、A−A断面を
概略的に示す図である。
図4は、本発明によるモータのマクロな実施形態を示す概略的な断面図である
。
図5は、本発明による直線式モータの断面図である。
図6は、図5に示す直線式モータのB−B断面図である。
図7は、本発明による多方向性マイクロモータを示す平面図である。
図8A、8B、8Cは、本発明による回転式マイクロモータのステータの製造
ステップを示す概略的な断面図である。
図9A、9B、9Cは、本発明による回転式マイクロモータのロータの製造ス
テップを示す概略的な断面図である。本発明の実施形態の説明
図2〜図7に関しては、同じ機能の部材については、100ちがいの符号を付
すこととする。
図2は、マイクロエレクトロニクス技術によって製造された、本発明によるマ
イクロモータのステータを一例を示している。図2に示すステータ101は、電
極104が嵌め込まれる表面102を有した基板100を備えている。酸化シリ
コンからなるプロップ(prop)106が、表面102上に支持されている。プロッ
プ106は、膜108を、基板表面102から距離dだけ離れた位置に保持して
いる。膜は、基板に対して、プロップ106を介して、また、膜108と基板1
00との間に空間112を形成している中央プラグ110により、連結されてい
る。膜108が導電材料で製造される場合には、周期的な励起電圧を、嵌込電極
104と膜との間に印加することができる。電圧源114を備えた電圧印加手段
は、非常に概略的に図示されている。電圧源114の端子116、118は、そ
れぞれ、膜108、および、嵌込電極104の接続箇所120に接続されている
。膜108が電気絶縁材料で製造されている特別の場合には、膜108の基板側
を向く表面上に電極122を製造することができる。電極122は、基板の電
極104に対して接続される。図2においては、モータの実施形態の変形例に対
応している電極122は、破線で示されている。
図3は、図2に示すデバイスのA−A断面を示す図であって、電極104の環
状配列を示している。電極104は、プロップ106によって側方が拘束された
空間112内において、基板表面102上に設けられている。プロップ106の
周縁領域においては、ステータの外側部分に向けて、電気接触箇所120が形成
されており、嵌込電極104に対して電圧を印加できるようになっている。
図4は、本発明によるモータのマクロな実施形態を示している。モータは、セ
ラミックプレートであって、例えば機械加工により環状凹所212が形成される
基板200を備えている。ステータを形成するために、金属コーティングされた
ポリマーからなる膜208が、機械加工されたセラミックプレートを被覆してい
る。膜208は、例えば、セラミックプレートの環状側端部206による、およ
び、中央箇所210によるスティッキング(sticking)により保持されている。
図2に示すモータの膜の厚さはマイクロメートルの程度であり、かつ、基板の
厚さは数百マイクロメートルの程度である。これに対して、”マクロな”モータ
の対応箇所の厚さは、すなわち、膜208およびセラミックプレート200の厚
さは、それぞれ、数百マイクロメートルおよびセンチメートルの程度である。凹
所212内においては、プリント回路には、膜208に向けて、電極204が設
けられている。プリント回路は、電気接触をも可能とする固定システム205に
補助されて、セラミックプレート上に保持されている。モータのロータ230は
、単に膜208上に設けられたアルミニウム部材である。しかしながら、材料選
択は、ロータが電気的機能または機械的機能を一切もたらさないことにより、あ
まり重要ではない。ロータは、電極と膜との間に印加された電圧によって得られ
た対応する電磁界の効果のもとに、膜208内に生成された変形波によって単に
駆動される。
図2、3、4は、とりわけ回転式モータに関するものであり、図5、6、7は
、直線式モータに関するものである。
図5においては、上記図面中の部材と同様の部材を見いだすことができる。特
に、電極304が形成される表面302を有するシリコン基板300を見いだす
ことができる。プロップ306は、膜308を、表面302から距離dの位置に
保持することを可能としている。したがって、空間312は、膜308と基板3
00の表面302とを隔離している。例えばガラスまたはシリコンから形成され
た平行六面体形状のロータ330が、膜308上に設けられている。明瞭化のた
めに、図5においては、電極における接触箇所の図示が省略されている。
より明瞭に図6に示すように、基板は、実際、それぞれが膜308のX軸に沿
った両側の領域に配置された2シリーズの電極304’、304”を備えている
。電極の各シリーズは、膜上において静止波を生成することができる。これら2
つの静止波は、空間および時間において、位相差を有している。位相差が、時間
的にはπ/2であり、かつ、空間的には3λ/4(ここで、λは変形波の波長)
である場合には、結果的に膜上において進行波が得られる。この進行波は、膜3
08上に配置されたロータ330をX軸に沿って移動させることができる。
図7は、本発明の他の変形例を示すもので、多方向性マイクロモータと称され
るマイクロモータを示している。このモータは、直線式モータと同じようにして
動作する。しかしながら、電極404は、図においてXおよびYが付された方向
に沿って、行列配置されている。明瞭化のために、図においては、電極404の
位置および膜408の方向のみが示されている。膜上に設けられたロータ430
は、膜408内に生成された進行波または静止波により、2つの直交方向X、Y
に沿って、移動することができる。直線式モータまたは多方向性モータにおける
変形可能膜上のロータの移動に関しては、この説明の最後の部分における参考文
献のうちの文献(6)を参照することが有効である。
本発明のマイクロモータおよびモータは、マイクロエレクトロニクスの分野に
おいて既知の技術のうち、異なる技術によって製造することができる。図8A〜
図8Cは、例示によって、これらモータの製造方法を示している。第1ステップ
は、図8Aに示すように、構造を形成することである。構造は、例えばシリコン
製であって、参照符号500が付された、厚い基板を備えている。表面502上
において、基板は、順に、0.4μmの程度の厚さの酸化シリコン層503、お
よび、0.2μmの程度の厚さのシリコン層508を支持している。この構造は
、例えばシリコン基板上に、上述の技術により製造することができる。
電極504は、例えば、マスクを通しての層508、503を挿通するイオン
インプランテーションにより、基板500の表面502に形成される。このステ
ップは、図8Bに顕著に図示されている。モータのステータの製造に関しては、
引き続いて、層508の厚さを増加させるために、層508上にシリコン層がエ
ピタキシャルにより形成される。厚くされた層508は、同じ参照符号が付され
るステータの膜を、後に形成することになる。その後、層508は、酸化シリコ
ン層503へと到達するアクセス開口509を形成するために、例えばドライエ
ッチングにより、エッチングされる。そして、開口509を通しての酸化シリコ
ン層のウェットエッチングが行われ、膜を解放させる。このようにして、図8C
に示すようなキャビティ512が形成される。
膜508は、プロップ506により、基板上に保持されている。プロップ50
6は、層503のうちの、酸化シリコンのウェットエッチング時に除去されなか
った部分である。ステータの製造に関しては、引き続いて、プラグ510が成膜
される。プラグ510は、例えば窒化シリコン製であって、膜の中央部において
開口509を充填して、基板表面502に支持させることにより、膜を堅固なも
のとする。プラグ510は、例えば気相における化学成長によって、製造するこ
とができる。ステータの製造は、膜508上へのまた電極504上への電気コン
タクトの形成(孔を形成して金属コーティングすることにより、古典的な方法で
製造される)により完了する。このような電気コンタクトは、図示の明瞭化の目
的で図示されていない。
膜508が電気絶縁材料から構成されている場合には、ステータの製造は、膜
508上への、基板の電極504に対応する1つまたは複数の電極の形成により
完了する。モータのステータができると、モータの製造は、ロータの製造へと移
行する。
ロータの製造におけるステップは、回転式モータの場合に関して、図9A〜図
9Cに示されている。これらステップにおいては、ステータの膜508上に、例
えば酸化シリコン製の、犠牲層518を成膜する。その後、リングの形態であっ
て2μmの程度の深さとされた凹所520が、例えばウェットエッチングにより
、層518のうちの電極504側に向けてエッチングされる。このようなステッ
プは、図9Aに顕著に図示されている。
ロータの製造においては、引き続いて、層518上におよび凹所520内に、
例えばシリコン製の、層523が成膜される。数μmの厚さのシリコン層523
は、先々はロータ530となる。その後、この層523は、ロータ530の直径
を規定するために、犠牲層518とともにエッチングされる。そして、エッチン
グされた層518、523の周囲に、第2犠牲層524が形成される。その後、
層524を覆うシリコン層526が、膜508まで延在するとともにロータ53
0を拘束するカプセルを形成する。このようにして得られた構造は、図9Bに図
示されている。
そして、層526は、酸化シリコン層524を露出させるために、例えばドラ
イエッチングにより、プラグ510の反対側が局部的にエッチングされる。シリ
コン層526のドライエッチングに続いては、酸化シリコン層524、518の
選択的なウェットエッチングが行われる。これにより、ロータ530が解放され
る。
図9Cに示すモータが得られる。ロータは、エッチングされた層526を介し
て、回転可能な状態で、膜508上に保持されている。この場合、エッチングさ
れた層526の側部527が、膜上におけるロータの側方移動を防止し、エッチ
ングされた層526の上部フランジ529が、膜から離れてしまうようなロータ
の軸方向移動を防止している。
ロータ530は、層518内にエッチングによって形成された凹所520内へ
のモールディングにより得られた環状リング531(図9B参照)により、膜5
08上に支持されている。
膜508と電極504との間に印加された励起電圧の効果によって、膜508
と基板500との間に静電力が生成されたときには、膜内には、環状波が形成さ
れる。その場合、ロータは、中央プラグ510を挿通するZ軸回りに、回転駆動
される。
最後に、本発明によれば、公知のマイクロモータの欠点を有することのない、
高トルクのモータが得られる。実際、活性材料の品質に影響されることがなく、
製造方法を簡単化することができ、また、より良好にかつより容易に制御可能な
電気機械結合を得ることができる。良好な電気機械結合は、電極に印加される電
圧に直接的に関連した、膜の機械的変形として理解される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 ディエム, ベルナール
フランス国 38130 エシロール アレ
デ トゥルーネ 9
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.ステータと称され変形可能な弾性膜(108、208、308、408、5 08)を備えた静止部分(101)と、ロータと称され前記膜上に設けられると ともに前記弾性膜からの変形波を受けて摩擦により駆動される可動部分(230 、330、430、530)と、を具備する電気モータであって、 前記膜の静止平面と平行な平面内において前記ロータを駆動し得るよう、前記 膜を変形させるための静電手段(104、114、122、204、304、4 04、504)を具備することを特徴とする電気モータ。 2.前記静電手段は、前記膜の共振モードに応じて、前記膜を変形させることが できることを特徴とする請求項1記載の電気モータ。 3.前記静止部分は、前記膜の第1面に対向して形成された第1セットの電極( 104、204、304、404、504)を有した絶縁基板(100、200 、300、400、500)を備え、 前記電極は、空間(112、212、312、512)により前記膜(108 、208、308、408、508)から離間されているとともに、静電力の適 用により前記膜を変形させるために前記膜に対して作用し、 前記ロータは、前記第1面とは反対側の前記膜の自由面に対して設けられてい ることを特徴とする請求項1記載のモータ。 4.前記膜(108、208、308、408、508)は、導電材料から形成 されており、 周期的な電気的励起電圧が、各電極(104、204、304、404、50 4)と前記膜との間のそれぞれに印加されることを特徴とする請求項3記載のモ ータ。 5.前記膜(108、208、308、408、508)は、電気絶縁材料から 形成されているとともに、前記第1セットの電極をなす前記電極(104)のそ れぞれに関連して1つまたは複数のものからなる第2セットの電極(122)を 有しており、 周期的な電気的励起電圧が、前記第1セットの電極をなす各電極(104)と 前記第2セットの電極に関連する電極(122)との間に印加されることを特徴 とする請求項3記載のモータ。 6.前記電極は、前記膜の共振モードに応じて、前記膜の変形の非節箇所に設け られていることを特徴とする請求項5記載のモータ。 7.直線式であるとともに、X方向に延在する矩形部材(308)を具備し、 前記第1セットの前記電極は、前記膜を変形させる少なくとも1つの静止波を 生成するために、X方向に直交するY方向に互いに平行であるとともに、X方向 に沿って前記膜(308)に対して対向して配置されていることを特徴とする請 求項3記載の直線式モータ。 8.多方向性であり、 前記第1セットの前記電極は、ほぼ直交するX、Y方向に沿ってそれぞれが延 在する行および列からなるマトリクス状に配置された電極(404)に沿って設 けられ、 前記電極(404)は、前記膜内に進行変形波または定常変形波を生成するよ う前記膜に対して作用することを特徴とする請求項3記載の多方向性モータ。 9.回転式であり、 前記第1セットの電極をなす前記電極(104)は、前記基板(100)上に 環状に配置されており、前記膜内に環状対称性を備えた変形波を生成するよう前 記膜に対して作用することを特徴とする請求項3記載の回転式モータ。 10.ステータと称され静電力により変形可能な弾性膜を備えた静止部分と、ロ ータと称され前記膜上に設けられた可動部分と、を具備するモータのうちの、前 記静止部分を製造するための方法であって、 a)非導電性基板(500)上に、順に、第1セットの電極、犠牲層(503 )、および、第1層(508)を備える構造を形成し、 b)前記犠牲層に対するアクセスのため、少なくとも1つの開口(509)を 形成するために、前記第1層(508)をエッチングし、 c)前記弾性膜を形成する前記第1層(508)を部分的に解放するために、 前記開口(509)を通して、前記犠牲層(503)を等方性エッチングし、 d)前記膜上に、および、前記電極上に、電気コンタクトを製造することを特 徴とする方法。 11.犠牲層(503)および第1層(508)を形成するという前記a)ステ ップにおいては、 −前記犠牲層をなす埋設酸化シリコン層を形成するよう、シリコン基板内に酸 素のインプランテーションを行うとともに、前記犠牲層上にシリコンフィルムを 形成し、 −前記第1層を形成するために、前記フィルムに対してシリコンをエピタキシ ャル成長させることを特徴とする請求項10記載の方法。 12.犠牲層(503)および第1層(508)を形成するという前記a)ステ ップにおいては、 −前記犠牲層を形成するために、前記シリコン基板の熱酸化を行い、 −前記第1層を形成するために、前記犠牲層上にシリコンをエピタキシャル成 長させることを特徴とする請求項10記載の方法。 13.犠牲層(503)および第1層(508)を形成するという前記a)ステ ップにおいては、 −前記犠牲層を形成するために、前記シリコン基板の熱酸化を行い、 −所望の厚さに調整するために、シリコン基板を封止するとともに該シリコン 基板を磨くことにより、前記第1層を形成することを特徴とする請求項10記載 の方法。 14.前記第1層の前記エッチングは、ドライエッチングであり、前記犠牲層の 前記エッチングは、ウェットエッチングであることを特徴とする請求項10記載 の方法。 15.前記アクセス開口(509)内にプラグ(510)を形成するステップを さらに具備し、 前記プラグは、前記膜(508)を堅固なものとするために、前記基板(50 0)上に支持されていることを特徴とする請求項10記載の方法。 16.請求項10記載のモータのためのロータを製造するための方法であって、 −前記膜(508)上に第1犠牲層(518)を形成し、 −該犠牲層上に材料層(523)を形成し、 −前記ロータの形状を規定するために、前記材料層をエッチングし、 −前記ロータを解放するために、前記犠牲層(518)を除去することを特徴 とする方法。 17.請求項10記載のモータのための環状ロータを製造するための方法であっ て、 a)前記膜(508)上に第1犠牲層(518)を形成し、 b)該犠牲層内に、前記電極(504)へと向かわせてリングの形態の凹所( 520)をエッチングし、 c)前記犠牲層上および前記凹所内に、第1材料層(523)を形成し、 d)ロータ(530)の直径を規定するために、前記第1材料層(523)を エッチングし、 e)前記第1材料層(523)の周囲に第2犠牲層(524)を製造し、 f)該第2犠牲層(524)の周囲に第2材料層(526)を形成し、 g)前記第2犠牲層を露出させるとともに、前記ロータ(530)のための端 部ピース(529)を形成するために、前記第2材料層(526)をエッチング し、 h)前記ロータを解放するために、前記第1および第2犠牲層(518、52 4)を等方性エッチングすることを特徴とする方法。
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