JPH1051041A - 複合圧電材料およびその製造方法 - Google Patents

複合圧電材料およびその製造方法

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JPH1051041A
JPH1051041A JP20195996A JP20195996A JPH1051041A JP H1051041 A JPH1051041 A JP H1051041A JP 20195996 A JP20195996 A JP 20195996A JP 20195996 A JP20195996 A JP 20195996A JP H1051041 A JPH1051041 A JP H1051041A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より高い周波数で使用することができる超音
波探触子用の複合圧電材料を提供する。 【解決手段】 圧電セラミックスからなる多数の柱状体
が有機ポリマー材料からなるマトリックス中に配列され
た複合圧電材料において、柱状体の長手方向にほぼ垂直
な断面は、1辺が75μm以下の正方形、またはそれと
同等の面積となる円もしくは多角形である。柱状体の長
手方向にほぼ垂直な断面における最大幅に対する柱状体
の長さの比は、2以上、好ましくは3.3以上である。
複合圧電材料における圧電セラミックスの体積百分率は
10〜30%の範囲内である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合圧電材料およ
びその製造方法に関し、特に超音波プローブ等に用いら
れる複合圧電材料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1に示すような構造を有する複合圧電
材料が、超音波医療用診断装置の超音波プローブ等に用
いられてきた。複合圧電材料100において、多数の四
角柱形状の圧電セラミックス体101が、所定の間隔を
空けて樹脂マトリックス102中に規則的に配列されて
いる。たとえば超音波探触子を得るため、このような板
状材料の主要面にストリップ電極を含む電極が形成され
る。
【0003】図1に示す複合材料は、従来たとえば図2
に示すようなプロセスによって製作された。所定の厚み
を有するPZTセラミックス板111を樹脂基板112
上に接着した後(図2(a))、ダイシングソーを用い
てセラミックスを網目状に切断し、多数の角柱状体を形
成する(図2(b))。切断により生じた溝に樹脂材料
を充填し固化させた後、接着剤を溶解して基板112か
らセラミックスを分離させると、図2(c)に示すよう
な複合圧電材料が得られる。
【0004】たとえば超音波探触子に関し、分解能の向
上を目的として、使用周波数が高くなっていく傾向にあ
る。使用周波数を高くしたい場合、複合圧電材料上に形
成される電極の幅とともに、複合圧電材料中の圧電セラ
ミックス体の寸法も小さくする必要がある。ダイシング
ソーを用いる従来の製造方法では、この要求に応えてよ
り小さな圧電セラミックスを形成することは困難であ
る。圧電セラミックス板に溝を形成する際、溝同士の間
隔をより小さくしようとすれば、機械的および熱的な影
響により、圧電セラミックスが損傷しやすくなるからで
ある。また、ダイシングソーを用いるプロセスは、溝加
工のために時間がかかる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、より
寸法の小さな圧電セラミックス体を有する複合圧電材料
を提供することにある。
【0006】本発明のさらなる目的は、より高い分解能
を達成することができる複合圧電材料を提供することに
ある。
【0007】本発明のさらなる目的は、より寸法の小さ
な圧電セラミックス体を有する複合圧電材料を、比較的
高い歩留りで製造することのできる方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、圧電セラミッ
クスからなる複数の柱状体が、それぞれの長手方向が互
いに平行になるよう間隔を空けて有機ポリマー材料から
なるマトリックス中に配列された構造を有する複合圧電
材料であって、柱状体の長手方向にほぼ垂直な断面が、
1辺が75μm以下の正方形、またはそれと同等の面積
となる円もしくは多角形であることを特徴とする。
【0009】本発明による複合圧電材料において、柱状
体の長手方向にほぼ垂直な断面における最大幅に対する
柱状体の長さの比は、2以上、または3.3以上とする
ことができる。
【0010】本発明による複合圧電材料において圧電セ
ラミックスの体積百分率は10〜30%の範囲内が好ま
しい。
【0011】本発明の複合圧電材料において、柱状体の
長手方向に垂直な方向の周波数定数は、560kHz・
mm〜940kHz・mmの範囲の外であることが望ま
しい。
【0012】本発明の複合圧電材料において、柱状体の
形状は円錐台または角錐台とすることができ、円錐台ま
たは角錐台のテーパ角度を0.1°〜20°の範囲内と
することができる。
【0013】また本発明は、圧電セラミックスからなる
複数の柱状体が、それぞれの長手方向が互いに平行にな
るよう間隔を空けて有機ポリマー材料からなるマトリッ
クス中に配列された構造を有する複合圧電材料の製造方
法を提供する。この方法では、まず基板上にリソグラフ
ィのための樹脂材料からなる層を形成する。樹脂材料か
らなる層には、1辺が88μm以下の正方形またはそれ
と同等の面積となる円もしくは多角形が複数、間隔を空
けて配列されたパターンを有するレジストパターン形成
のためのマスクを介して、シンクロトロン放射によるX
線が照射される。次いで、樹脂材料からなる層を現像し
て、パターン形成された樹脂を得る。パターン形成され
た樹脂材料上に金属材料を堆積させた後、樹脂材料を除
去してパターン形成された樹脂材料の形状が転写された
金属材料からなる型を得る。得られた金型に樹脂材料を
充填する。金型から樹脂材料を抜取り、金型の形状が転
写された樹脂型を得る。得られた樹脂型にセラミックス
を生成させるための材料を充填し固化させる。次いで、
樹脂型を、樹脂を溶融状態にすることなく気化または昇
華させるか、または溶剤に溶解させることにより、除去
する。残った固化物を加熱し、断面が1辺が75μm以
下の正方形またはそれと同等の面積となる円もしくは多
角形である複数の柱状体が間隔を空けて台座部から延び
た構造を有するセラミックス構造体を得る。得られたセ
ラミックス構造体上に有機ポリマー材料を付着させる。
有機ポリマー材料が付着したセラミックス構造体から、
台座部を除去して、複数の柱状体が有機ポリマー材料中
に間隔を空けて配列された複合材料を得る。
【0014】本発明による製造方法において、シンクロ
トロン放射によるX線を照射する工程は、シンクロトロ
ン放射光のマスクを介する回折光が樹脂材料からなる層
に十分照射されるよう、マスクと樹脂材料からなる層と
の間に所定の間隔を設ける工程を備えることができる。
この回折光を伴う露光により樹脂材料において基板から
遠ざかるに従い開口面積が大きくなった孔を得ることが
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】たとえば医療用超音波画像診断装
置の超音波探触子を一具体例に挙げて、本発明をより詳
細に説明する。図1に示すような複合圧電材料に電極を
形成して超音波探触子を得る場合、形成すべき電極の幅
は、使用する超音波の体内における波長と密接な関係が
ある。たとえば文献T.R.Gururaja, “Piezoelectrics f
or medical ultrasonic imaging ”, American Ceramic
Society Bulletin vol. 73, No. 5, (1994)による
と、この探触子をフェーズドアレイ電子セクタスキャン
方式で使用する場合、電極の幅は体内における波長の1
/2、リニアスキャン方式で使用する場合、電極の幅は
体内波長の3/2が好ましい。一方、現在は分解能の向
上を目的として使用周波数が高くなる傾向にあり、5〜
10MHzでの検査に対する要求が高い。この傾向は、
心臓病に対する検査や血管内の検査に使用される探触子
において顕著である。このことを考慮して、形成すべき
電極の幅を計算すると、表1のようになる。なお、ここ
で体内での音速を1500m/sとして計算を行なっ
た。
【0016】
【表1】
【0017】医療用超音波診断装置の探触子材料として
図1に示すような複合圧電材料が用いられる主な理由は
次のとおりである。
【0018】(a) 複合圧電材料では、音響インピー
ダンスが圧電セラミックス単体より低い。そのため、音
響インピーダンスマッチング層を設けずとも、体内に効
率よく音波を伝播させることができる。
【0019】(b) 複合圧電材料では、画像劣化の原
因となる電極面に平行な方向(横方向)の振動が抑制さ
れ、必要とされる垂直な方向(縦方向)の振動は圧電セ
ラミックス単体と比較して大差がない。
【0020】(c) 複合圧電材料では、電極面に垂直
な方向の電圧圧電定数が圧電セラミックス単体と比べて
高く、超音波の感度が高い。
【0021】これらのメリットを十分に発揮させること
ができる複合圧電材料の設計において、圧電セラミック
スの占積率が非常に重要となる。音響インピーダンス
は、構成材料の加重平均になるので、なるべく圧電セラ
ミックスの占積率を減らすことが望まれる。電極面に平
行な方向の振動の強さ(横振動の歪み圧電定数)は、お
およそ圧電セラミックス占積率に比例するので、この点
からも圧電セラミックス占積率は低い方がよい。一方、
電極面に垂直な方向の振動(縦方向の歪み圧電定数)
は、典型的には圧電セラミックス占積率が0〜10%の
範囲で急激に増加し、その後10〜30%の範囲で緩や
かに増加し、30〜100%の範囲ではほとんど変化し
ない。電圧圧電定数は、縦方向の歪圧電定数を誘電率で
割った値に比例する。誘電率は圧電セラミックス占積率
に比例するため、電圧圧電定数の点からは、圧電セラミ
ックス占積率は10%前後がよい。以上を総合すると、
複合圧電材料における圧電セラミックスの体積百分率は
10〜30%の範囲がより好ましい。
【0022】以上に述べてきたような電極幅と圧電セラ
ミックス占積率に対する要求から、複合圧電材料におい
て配列される各圧電セラミックスの好ましい寸法を次に
求める。電極で分割された各素子において圧電セラミッ
クスの占積率は10〜30%の範囲にあることが望まし
いため、各圧電セラミックス体の断面を正方形とする
と、その一辺の長さは電極幅の1/4以下にすることが
望ましい。そこで、望まれる圧電セラミックス断面の寸
法を表2にまとめる。また、複合圧電材料の厚さ方向の
周波数定数(共振周波数と厚さの積)は1800kHz
・mm程度であることから、この定数を使用周波数で割
れば必要な探触子の厚さが表2に示すように求められ
る。なお探触子の厚さは周波数定数から算出した厚さの
1/2にすることもあるので、表2には2通りの値を示
した。さらに、「圧電セラミックス断面の最大幅(正方
形の対角線の長さ)」に対する「探触子の厚さ(これは
圧電セラミックスの高さに相当する)」の比(縦横比)
を計算した結果を表2に併せて示す。
【0023】
【表2】
【0024】表2から明らかなように、使用周波数7.
5MHz以上のフェーズドアレイ電子セクタスキャン方
式に望まれる複合圧電材料において、正方形の各圧電セ
ラミックスの1辺の長さは25μm以下である。すなわ
ち断面は1辺が25μm以下の正方形、またはそれと同
等の面積となる円や多角形であることが望まれる。ま
た、使用周波数7.5MHz以上のリニアスキャン方式
に望まれる複合圧電材料において、正方形の各圧電セラ
ミックスの1辺の長さは75μm以下である。すなわち
断面は1辺が75μm以下の正方形、またはそれと同等
の面積となる円や多角形であることが望まれる。縦横比
はいずれの場合も2以上が望ましく、特にフェーズドア
レイ電子セクタスキャン方式では3.3以上がより望ま
しい。
【0025】超音波プローブに複合圧電材料を使用する
ことで、横方向の振動が抑制されるが、さらに横方向の
共振周波数が使用する帯域からずれているならば好都合
である。生体内での音速を1500m/sとした場合、
使用する周波数fと電極幅wとの間には次の関係が成立
する。
【0026】(フェーズドアレイ電子セクタスキャン方
式) f・w=750(kHz・mm)または(MHz
・μm) (リニアスキャン方式) f・w=2250(kHz・
mm)または(MHz・μm) 使用する周波数にはある程度の帯域が存在する。この幅
は、中心値の約50%程度であるので、これを加味する
と次のようになる。
【0027】(フェーズドアレイ電子セクタスキャン方
式) f・w=560〜940(kHz・mm) (リニアスキャン方式) f・w=1690〜2810
(kHz・mm) 仮に、複合圧電材料の横方向モードの周波数定数がこれ
らの帯域にある値であれば、使用する周波数帯域に横方
向の共振周波数が存在することになる。この場合、その
周波数あたりで、画像素子間のクロストークが大きくな
り支障をきたすことが考えられる。一方、縦方向モード
の周波数定数が上記の範囲内の場合、超音波の送受信に
おける周波数特性がフラットでなくなってしまうので好
ましくないが、クロストークなどによって画質が劣化す
ることはない。通常、探触子材料として使用されるPZ
Tでは、必要とされる縦方向の振動モードの周波数定数
は2200kHz・mm、支障となる横方向の振動モー
ドの周波数定数は1400kHz・mm程度である。一
方、複合圧電材料の周波数定数は、圧電セラミックスの
周波数定数と複合化すべき樹脂のヤング率によって決ま
る。複合圧電材料の縦方向の振動モードにおける周波数
定数は1600〜1800kHz・mm程度、横方向の
振動モードにおける周波数定数は500〜1100kH
z・mm程度である。横方向の方が樹脂のヤング率の影
響を強く受ける。以上を考慮すれば、横方向の振動モー
ドにおける周波数定数が560〜940kHz・mmの
範囲外であることが望ましい。このような周波数定数
は、たとえばPZTの占積率や複合化する樹脂のヤング
率により制御することができる。
【0028】本明細書において、「圧電セラミックス」
という用語は圧電効果を示すセラミックス材料を示す。
圧電セラミックスには、たとえば、チタン酸バリウムや
ジルコン酸鉛−チタン酸鉛系固溶体などの灰チタン石型
構造の結晶が含まれ、たとえば、チタン酸ジルコン酸鉛
(PZT)およびチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PL
ZT)などのチタン酸ジルコン酸塩が好ましく用いられ
る。さらに圧電セラミックスとして、チタン酸鉛等を用
いることもできる。
【0029】本発明において、有機ポリマー材料には、
エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂等
の樹脂、または、シリコンゴム、ウレタンゴム、ブタジ
エンゴム等のゴムを使用することができる。
【0030】有機ポリマー材料中に配列される柱状体の
高さは、たとえば90〜360μm、使用周波数によっ
て好ましくは90〜240μmとすることができる。柱
状体の断面は円または多角形とすることができるが、多
角形として、正三角形、正方形、正六角形等の正多角形
の他、長方形等を用いることもできる。また、後述する
ように、圧電セラミックスからなる柱状体を、円錐台ま
たは角錐台の形状とすることができる。円錐台または角
錐台のテーパ角度は、たとえば0.1°〜20°の範囲
内とすることができ、好ましくは1〜5°の範囲とする
ことができる。このような形状は、後述するようにマス
クを介する回折光をリソグラフィ工程において用いるこ
とにより容易に形成することができる。
【0031】上述したように寸法の小さい圧電セラミッ
クス体を有する複合材料は、次のプロセスにより調製す
ることができる。以下、図を参照して本発明による製造
方法を詳細に説明する。図3(a)に示すように、本発
明のプロセスにおいて基板1上にはリソグラフィのため
の樹脂層2が形成される。基板として、たとえば、銅、
ニッケル、ステンレス鋼などの金属基板、チタン、クロ
ムなどの金属をスパッタ蒸着したシリコン基板等からな
る基板を用いることができる。樹脂層を形成するための
材料として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の
ポリメタクリル酸エステルを主成分とするレジスト材
料、X線に感受性を有する化学増幅型レジスト材料等を
挙げることができる。樹脂層の厚みは、目的に応じて任
意に選ぶことができ、通常0.1〜0.5mmが用いら
れる。
【0032】次いで、図3(b)に示すように基板1上
にマスク3を配置し、マスク3を介してシンクロトロン
放射のX線(以下SR光と略す)10が樹脂層2に照射
される。マスク3は、所定のパターンで形成されたX線
吸収層3aを有している。所定のパターンは、複数の1
辺が88μm以下の正方形、または複数のそれと同等の
面積となる円もしくは多角形が間隔をあけて配列された
パターンを含む。マスクを構成する透光性基材には、た
とえば窒化シリコン、シリコン、ダイヤモンド、チタン
等を用いることができ、X線吸収層には、たとえば金、
タングステン、タンタルなどの重金属あるいはその化合
物等を用いることができる。X線吸収層の厚みは、所望
のレジストパターンの厚みによって任意に選ぶことがで
きるが、たとえば3〜10μmとすることができる。ま
た、場合によっては透光性基材のないマスクの使用も可
能である。
【0033】樹脂層に照射すべきSR光の波長は、たと
えば1〜10Åとすることができ、そのエネルギは、1
〜10keVとすることができる。SR光の光源は、た
とえば産業用小型SR装置(蓄積電子エネルギ0.6〜
1.5GeV)、中型SR装置(蓄積電子エネルギ1.
5〜3GeV)等とすることができる。
【0034】露光された樹脂層を現像してたとえばSR
光により変質した部分を除去すると、図3(c)に示す
ような樹脂パターン2′が得られる。樹脂パターン2′
は、複数の孔2′aを有する。この孔の形状は、最終的
に得られる複合圧電材料の圧電セラミックスの形状に相
当する。ただし、圧電セラミックスは、焼成時に線収縮
率約85%で縮むため、寸法は変化する。したがって、
孔の断面は、1辺が88μm以下の正方形、またはそれ
と同等の面積となる円もしくは多角形である。孔の断面
における最大幅に対する孔の深さの比は、2以上が好ま
しく、3.3以上がより好ましい。
【0035】次いで、図3(d)に示すように、樹脂パ
ターン2′上に金属5を堆積する。金属5は、たとえば
樹脂パターン2′の厚みを超えて0.5〜1mmの範囲
の厚みで堆積する。基板1をめっき電極としてめっきを
行なえば、樹脂パターン2′上に容易に金属を堆積させ
ることができる。金属として、たとえばニッケル、銅、
金およびそれらの合金、パーマロイ等を用いることがで
きるが、金属5を後で金型として用いるため、ニッケル
がより好ましい。
【0036】次に、ウエットエッチング等によって基板
を除去し、ウエットエッチングあるいはプラズマエッチ
ングにより樹脂を除去すれば、図3(e)に示すような
金型5′が得られる。金型5′には、樹脂パターン2′
の形が転写されている。したがって、樹脂パターンの孔
に対応する凸部5′aは、断面が1辺が88μm以下の
正方形、またはそれと同等の面積となる円もしくは多角
形である。
【0037】次に、図4(a)に示すとおり、以上のプ
ロセスにより得られた金型5′に樹脂7を注入する。樹
脂には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアク
リル樹脂(メタクリル樹脂)、ポリウレタン樹脂(PU
R)、ポリオキシメチレン(POM)等のポリアセター
ルなどの熱可塑性樹脂、エポキシ、シロップ状アクリル
などの熱硬化性樹脂等を用いることができる。樹脂を硬
化させた後、冷却して樹脂を金型5′から離して樹脂型
7′を得る。
【0038】樹脂型を形成した後、図4(c)に示すよ
うに、樹脂型7′に微細構造体を構成すべき材料を充填
する。本発明の場合、セラミックスを生成させるための
材料が充填される。材料は、樹脂型からあふれる程度ま
で充填される。このような材料として、たとえばセラミ
ックス粒子を含有するスラリーを用いることができる。
スラリーには、低粘度のものより高粘度のものを用いる
ことが好ましい。低粘度のスラリーを注入する場合、真
空下での注入が必要になってくる。一方高粘度のスラリ
ーは、大気中で樹脂型に圧入することが可能となる。圧
入のための圧力は、たとえば100kgf/cm2
上、より好ましくは100〜150kgf/cm2 の範
囲とすることができる。また低粘度のスラリーは水を多
く含むので、その後の乾燥工程において精密なコントロ
ールを必要とする。高粘度のスラリーの場合、そのよう
な精密なコントロールを必要としない。
【0039】次に図4(d)に示すように、樹脂型を除
去する。除去のため、樹脂を溶融状態にすることなく気
化もしくは昇華させるか、または適当な溶剤に溶解させ
る。樹脂を気化させる場合、たとえば真空中で加熱する
ことにより樹脂成分を蒸発させることができる。この場
合、たとえば500℃の温度において10-4Torr以
下の圧力下で樹脂を分解および蒸発させることができ
る。またレーザアブレーションにより樹脂成分を気化さ
せることもできる。レーザにはたとえばArFエキシマ
レーザを用いることができ、350mJ/cm3 以下の
エネルギ密度にてレーザを照射することにより、セラミ
ックスに影響を及ぼすことくなく樹脂のみを除去するこ
とができる。さらに樹脂を酸素プラズマ等のプラズマに
よりエッチングしてもよい。たとえば、酸素とフレオン
のプラズマによるエッチングを行なうと、樹脂の分解速
度は速いが、セラミックスのエッチング速度は極端に遅
い。このようなセラミックスと樹脂のエッチング耐性の
差を利用することにより、樹脂のみを速やかに除去する
ことができる。より具体的には、たとえば50Wのプラ
ズマパワー、0.5Torrの反応ガス圧において、ア
クリルからなる樹脂型は約3μm/分でエッチングする
ことができる。プラズマの条件は、樹脂の厚みや材質等
によって適宜選択することができる。また、溶剤に樹脂
型を溶解することによって、セラミックスの構造体を傷
つけることなく樹脂型のみを除去することができる。た
とえばアクリル樹脂型の場合、溶剤としてアセトンを用
いることができる。樹脂型の材質によって、適宜好まし
い溶剤を選択することができる。これらの方法はいずれ
もセラミックス構造体を傷つけたり破壊することなく、
樹脂型のみを速やかに除去できる方法である。これらの
方法を用いれば、非常に微細な構造物を樹脂型で形成す
ることができる。一方、樹脂を溶融状態にするような条
件下で樹脂型を除去すると、溶融した樹脂によって微細
な柱状体が倒されたりするおそれがある。
【0040】樹脂を除去することにより、図4(e)に
示すような微細構造体が得られる。セラミックス粒子の
スラリーを用いる場合、スラリーの乾燥固化物を焼成す
ることにより、セラミックス焼結体からなる微細構造体
8′が得られる。この微細構造体は、台座部8′aから
所定の間隔をあけて圧電セラミックスからなる複数の柱
状体8′bが延びた構造を有する。柱状体8′bの長手
方向に垂直な断面は、1辺が75μm以下の正方形、ま
たはそれと同等の面積となる円もしくは多角形である。
柱状体の高さは、使用周波数とスキャン方式によって、
たとえば90〜360μmの範囲であり、好ましくは9
0〜240μmの範囲である。柱状体の縦横比は2以
上、好ましくは3〜7である。また柱状体は、40〜7
00個/mm2 の密度で配置させることができる。
【0041】このようにして作製した圧電セラミックス
構造体に樹脂を含浸することで複合圧電材料を調製する
ことができる。たとえば図5(a)に示すように、カッ
プ120に圧電セラミックス構造体121を入れ、上か
ら有機ポリマー材料122を含浸させる。これを硬化さ
せ、固めたものをカップ120から取出す(図5
(b))。次いで、図5(c)および(d)に示すよう
に圧電セラミックス構造体の高さや幅を超えた樹脂部分
および台座部分を研削や研摩によって除去すると、複合
圧電材料を123を得ることができる。
【0042】本発明において、円錐台または角錐台の形
状の柱状体を有する複合圧電材料は、次のようなプロセ
スによって調製することができる。まず図6(a)に示
すように、基板1上にリソグラフィのための樹脂層2を
形成する。次に、図1(b)に示すように基板1の上方
にマスク3を配置し、マスク3を介してSR光10を樹
脂層2に照射する。マスク3は、所定のパターンで形成
されたX線吸収層3aを有している。この場合、マスク
3と樹脂層2との間の間隔dは顕著に大きくとられる。
このようにマスクを樹脂からかなり離れたところに配置
することによって、SR光10の直進光10aに加えて
マスク3によるSR光の回折光10bも樹脂層2の変質
に寄与するようになる。回折光10bは、図に示すよう
にマスクのX線吸収層の真下(点線で示す)から少し外
側にずれた樹脂層の部分に到達する。たとえば、図7に
示すような直進光10aに対する回折光10bの角度θ
は、0.05〜10°、好ましくは0.5〜2.5°の
範囲とすることができる。角度θが適当な範囲となるよ
う、間隔dを設定することができる。回折光10bは、
直進光10aよりも長い波長を有し、強度も低いため、
直進光よりも浅い部分を変質させる。したがって、露光
により変質された樹脂層の部分2aは、表面に行くに従
って幅が広くなっている。樹脂層に照射すべきSR光の
波長は、たとえば1〜10Åとすることができ、そのエ
ネルギは、1〜10keVとすることができる。この場
合、特に5〜10Åの長波長成分を除去せずに用いるこ
とが好ましい。これらの長波長成分は適当な回折光をも
たらす。SR光の光源は、上述したものを用いることが
できる。マスクと樹脂層との間の間隔dは、必要とされ
るテーパ角度および照射するSR光の波長に応じて任意
に選ぶことができる。
【0043】露光された樹脂層を現像してSR光により
変質した部分を除去すると、図6(c)に示すような樹
脂パターン2′が得られる。樹脂パターン2′におい
て、孔2′aの開口幅Wは、基板1から遠ざかるに従っ
て大きくなっている。したがって、孔の開口面積は基板
1から遠ざかるに従って大きくなる。孔2′aを構成す
る側壁2′bは、樹脂層の厚み方向(矢印で示す)に対
して傾いている。孔は、たとえば円錐台または角錐台の
形状とすることができる。孔の断面は、1辺が88μm
以下の正方形、またはそれと同等の面積となる円もしく
は多角形とされる。孔の側壁の傾きは、図8に示すよう
な断面における相い交わるべき2本の直線6および6′
のなす角度(テーパ角度)αとして表わすことができ
る。テーパ角度αは、0.1〜20°の範囲、好ましく
は1〜5°の範囲とすることができる。
【0044】次いで、図6(d)に示すように樹脂パタ
ーン2′上に金属5を堆積する。次に、ウエットエッチ
ングなどによって基板を除去し、ウエットエッチングあ
るいはプラズマエッチングにより樹脂を除去すれば、図
6(e)に示すような金型5′が得られる。金型5′に
は、樹脂パターン2′の形が転写されている。したがっ
て、樹脂パターンの孔に対応する凸部5′aは、樹脂パ
ターンにほぼ等しいテーパ角度α′を有しており、凸部
5′aの幅は、先端にいくほど狭くなっている。テーパ
角度α′は、0.1〜20°の範囲、好ましくは1〜5
°の範囲である。
【0045】次に図9(a)に示すとおり、得られた金
型5′に樹脂7を注入する。樹脂を硬化させた後、冷却
して樹脂を金型5′から離して樹脂型7′を得る。この
とき、金型5′の凸部は、上述したように所定のテーパ
角度で先端にいくほど細くなっているので、樹脂型7′
は金型5′から容易に抜取ることができる。抜取る際、
樹脂と金型の間に働くのは初期の接着力であり、摩擦力
はほとんど働かない。また、接着力において金型凸部を
破壊する方向に働く成分は小さく、金型凸部が抜取りの
際に破壊されることはない。このように回折光を用いて
所定のテーパ角度を有する構造体を得ることで、樹脂型
の形成において金型の破壊をより効果的に防止すること
ができ、金型の寿命を長くすることができる。
【0046】樹脂型を形成した後、図9(c)に示すよ
うに、樹脂型7′にセラミックスを生成させるための材
料8を充填する。次に図9(d)に示すように樹脂型を
除去する。樹脂は、溶融状態にすることなく気化または
昇華させるか、適当な溶剤に溶解させる。樹脂を除去す
ることにより、図9(e)に示すような微細構造体が得
られる。セラミックススラリーの乾燥固化物を焼成する
ことにより、圧電セラミックス焼結体からなる微細構造
体8′が得られる。微細構造体8′は、台座部8′a
と、台座部8′a上に形成される複数の柱状体8′bを
有する。柱状体8′bの断面は、1辺が75μm以下の
正方形、またはそれと同等の面積となる円もしくは多角
形である。柱状体の高さは、使用周波数とスキャン方式
によって、たとえば90〜360μmの範囲であり、好
ましくは90〜240μmの範囲である。柱状体の縦横
比は2以上、好ましくは3〜7である。また柱状体は、
40〜700個/mm2 の密度で配置させることができ
る。円錐台または角錐台の形状を有する柱状体のテーパ
角度は、0.1〜20°の範囲、好ましくは1〜5°の
範囲である。得られた圧電セラミックス体から、図10
に示すように複合圧電材料が調製される。プロセスは上
述のとおりである。
【0047】この方法では、X線マスクと基板との間隔
を制御して回折光を積極的にリソグラフィーに用いるこ
とにより、所定のテーパ角度を有する構造体を容易に製
作することができる。この方法では、基本的に1回の露
光工程により厚み方向に対して傾斜した壁を有する構造
体を得ることができる。製作に要する時間も比較的短
く、露光のため複雑な工程を必要としない。基板に垂直
な方向にSR光を照射するリソグラフィー工程によって
も、傾斜した壁を有する構造体を得ることができる。回
折光を用いるプロセスにおいて、解像度は直進光のみを
用いる場合よりも若干低下する。しかしながら、回折光
の照射は、再現性よく制御することができるため、高い
精度で必要な金型および微細構造体を得ることができ
る。
【0048】一方、従来の技術によって同様の構造を得
ようとすると、以下に述べるように種々の困難が伴う。
たとえば、図11(a)に示すように斜めの方向からS
R光30をマスク23を介して基板21上のレジスト層
22に照射した後、さらに図11(b)に示すように、
傾斜角度を変えてSR光30を照射することができる。
しかしながら、このような場合、得られる構造体は図1
1(c)に示すとおりであり、開口の幅が表面にいくに
従って狭くなった孔を有するレジストパターン22′が
得られる。このようなレジストパターンは、本発明が必
要とする形状の反対である。また図12に示すように、
SR光40に対して、レジスト32が塗布された基板3
3を所定の角度で傾け、回転させる方法も考えられる。
この場合、露光領域32′は円錐台の形状を有する。し
かしながら、この方法では、露光領域の中心部と周辺部
との移動速度が異なるため、全体的に均一な照射量を実
現することが困難である。この方法は、精度の高い微細
構造体を得る方法として実際的ではない。SR光を斜め
に照射する方法では、図13に示す方法がより実際的で
あると考えられる。図13に示す方法では、まず図13
(a)に示すようにSR光50を基板41上のレジスト
42に斜めに照射した後、図13(b)に示すようにマ
スク43の位置をずらし、基板41の角度を変えてSR
光50を照射する。このような工程によれば、図13
(c)に示すような構造体が得られる。しかしながらこ
の方法では、マスクを精度よくずらす必要があるが、そ
れにはマスクと基板との位置関係を合わせる(整合させ
る)必要がある。このような工程を1枚のマスクで行な
うことは不可能であり、複数枚の異なるマスクが必要と
なる。この方法では、マスクの位置合わせのために作業
時間が長くなり、製造における精度も低下する。また得
ようとする形状によってSR光の照射を何度も行なう必
要があるため、ある領域では必要以上に露光時間が長く
なる。吸収エネルギ密度が上限値を超える場合、レジス
トにおいてポジ−ネガの反転が起こってしまい、所望の
レジストパターンが得られない。またこの方法において
単波長の光を使用することが望ましいが、SR光におい
て単波長の光は相対的に強度が低いため、さらに露光時
間が長くなる。また、角錐台のレジストパターンを得る
ことができるが、円錐台を得ることができないなど、形
状も制限される。この方法は、作業時間、コスト、精度
および効率の点において多くの問題を抱えている。これ
らの方法と本発明の方法とを比べると、本発明の方法
が、如何にシンプルであり、精度が高く、効率でありか
つ低コストであるかが容易に理解されるはずである。
【0049】
【実施例】チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる多
数の柱状体が樹脂に分散された複合圧電材料を以下に示
すようにして調製した。
【0050】(1) 金型の製作 図3および図6に示すようなプロセスに従ってPZTア
レイ構造体用の金型を作製した。まず、X線に感受性が
あるレジスト、メタクリル酸メチルとメタクリル酸の共
重合体(P(MMA+MAA))を180μmの厚みで
チタンをスパッタ蒸着したシリコン基板からなる導電性
基板に塗布した。次に、窒化シリコンからなる透光性基
板上に窒化タングステンからなる吸収層パターンを形成
したマスクを、レジスト層の上方に配置した。マスクを
介してシンクロトロン放射光(SR光)をレジストに照
射した。SR装置はNIJI−3(偏向部の磁場4テス
ラー、蓄積電子エネルギ0.6GeV)であった。SR
照射において、通常はカプトンなどをフィルタに用いて
3Å以上の超波長光をなるべくカットするが、本実施例
の場合は超波長光のカットを行なわなかった。SR装置
自体から放射される光のピーク波長は約6Åであった
が、100μmの厚さのベリリウム窓を通過する光を使
用したためレジストに実際に照射されるSR光のピーク
波長は約4Åであった。マスクとレジスト層の間隔d
を、50μm以下、5mm、14mmおよび28mmに
それぞれ設定し、SR光の照射をそれぞれ行なった。マ
スクには、直径30μmの円が、相対角60°、ピッチ
57μmで規則的に配列したもの、または1辺が30μ
mの正方形のパターンが30μmの間隔で規則的に配列
したものを用いた。円または正方形のパターンの部分
は、X線を透過させるようになっている。SR光の照射
の後、メチルイソブチルケトン(MiBK)により現像
を行ない、レジストパターンを得た。円形のパターンを
有するマスクを用いた場合、マスクとレジスト層の間隔
dが50μm以下のときは、直径30μmの円柱形状の
孔が多数形成されていた。円形のパターンを有するマス
クとレジスト層の間隔dが5mm、14mmおよび28
mmである場合、テーパ角度がそれぞれ2°、6°、1
4°の円錐台の形状を有する孔が多数レジストパターン
に形成されていた。円錐台における基板側の直径は30
μmであった。このように、マスクとレジスト層の間隔
を顕著に大きくすることで、SR光の回折効果を利用し
て、適当な範囲のテーパ角度を得ることができた。また
30μm角の正方形のパターンを有するマスクを用いた
場合、角柱形状または角錐台形状の孔が多数形成された
レジストパターンを得ることができた。角錐台のテーパ
角度は、間隔dが5mmのとき2°、間隔dが14mm
のとき6°、間隔dが28mmのとき14°であった。
【0051】次に、導電性基板をめっき電極としてめっ
きを行ない、ニッケルを1mmの厚さまで堆積させた。
基板を水酸化カリウム水溶液で溶解した後、レジストを
酸素プラズマにより除去し、金型を得た。金型は、図1
4(a)または図15(a)に示すような形状を有して
いる。図14(a)に示す金型55において、台座部5
5aから円柱または角柱形状の微細な柱55bが多数延
びている。また図15(a)に示す金型55′におい
て、台座部55′aから円錐台または角錐台形状の微細
な柱55′bが延びている。柱55′bの上面は直径3
0μmの円であるかまたは1辺が30μmの正方形であ
る。柱55bおよび55′bの高さは180μmであ
る。柱55bまたは55′bは、30μmの間隔で配列
されている。
【0052】(2) セラミックス微細構造体の作製 図4および図9に示すようなプロセスに従ってPZT焼
結体からなる微細構造体を形成した。まず得られた金型
に樹脂を充填した。樹脂として、ポリメタクリル酸メチ
ル(PMMA)からなるアクリル樹脂を用いた。シロッ
プ状のアクリル樹脂を金型に流し込み、加熱して硬化さ
せた後、室温まで冷却して樹脂を金型から離し、樹脂型
を得た。樹脂型は、所望する微細構造体の形状を反転さ
せたものである。次いで、樹脂型にPZT粒子を含有す
るスラリーを充填した。スラリーは、水および有機バイ
ンダーを用いて、調製した。次に、乾燥により充填した
スラリーを固化した。続いて酸素プラズマを用いるアッ
シングを行ない、樹脂型を除去した。アッシングの条件
は、反応ガス圧0.5Torr、RFパワー50Wであ
った。残ったスラリーの固化物に、500℃において仮
焼成を施し、さらに1100℃において本焼成を施し
た。焼成によりPZT焼結体からなる微細構造体が得ら
れた。得られた構造体の形状を図14(b)および図1
5(b)に示す。微細PZTアレイ構造体68におい
て、板状の台座部68aから円柱形状または角柱形状の
微細な柱68bが多数延びている。本焼成によって約8
5%収縮するため、柱68bの断面は直径25μmの円
であるか1辺の長さが25μmの正方形である。板状の
台座部68′aからは円錐台または角錐台形状の微細な
柱68′bが多数延びている。柱68′bの上面は、直
径25μmの円であるかまたは1辺が25μmの正方形
である。柱68bおよび68′bの高さは150μmで
ある。柱68bおよび68′bは、いずれも25μmの
間隔で配列されている。
【0053】このようにして作製したPZTアレイに樹
脂を含浸することで、複合圧電材料を作製することがで
きた。作製方法は、たとえば図5および10に示すとお
りである。樹脂にはエポキシ樹脂を用いた。図5(a)
および図10(a)に示すように、カップ120にPZ
Tアレイ121を入れ、上からエポキシ樹脂122を真
空下で含浸した。これを加熱して樹脂を硬化させ、固め
たものをカップ120から取出した(図5(b)および
図10(b))。続いて、図5および図10の(c)お
よび(d)に示すように、PZTアレイの高さや幅を超
えた樹脂部分およびPZTアレイの台座部分を研削や研
磨によって除去すると、複合圧電材料123を形成する
ことができた。得られた複合圧電材料の厚みは100μ
mであった。
【0054】このようにして調製した複合圧電材料の両
面に金をスパッタ蒸着して電極を形成した。分極を行な
った後、カッティングを行ない、5mm×5mmの寸法
の超音波探触子を得た。得られた探触子の特性を測定し
たところ、縦振動モードの電気機械結合係数Ktは60
〜65%であり、PZT単体において得られる値43〜
45%を大きく上回っていた。縦振動の歪み圧電定数d
38はおよそ300×10-12 m/Vであり、この値はP
ZT単体の約8割であった。横振動モードに関しては、
31が15%程度、d31が60×10-12 m/Vであ
り、これはPZT単体の1/4〜1/3であった。これ
により、画像診断で支障となる横振動モードが抑制さ
れ、必要な縦振動モードはPZTと大差がないことがわ
かった。また、縦振動の感度を与える電圧圧電定数g33
は、100〜120×10-3Vm/Nであり、これはP
ZT単体の23×10-3Vm/Mの4〜5倍程度であ
る。したがって、得られた複合圧電材料はPZT単体の
ものよりも感度が高い。得られた複合圧電材料の音響イ
ンピーダンスについては、10Mraylの計算値が得
られた。これは、PZT単体の場合の30Mraylよ
りもはるかに生体の場合の1.5Mrayl(ただし骨
は4〜8Mrayl)に近い。
【0055】横振動の周波数定数については、使用周波
数帯域でのヤング率が5.5×10 8 Pa以下であれ
ば、周波数定数560kHz・mm以下となり、ヤング
率が2.4×109 Pa以上であれば周波数定数940
kHz・mm以上となることが実験から示され、横振動
の周波数定数を560〜940kHz・mmの範囲の外
で制御することが可能であることがわかった。その実験
結果を図16に示す。しかし実際は、製造プロセスの都
合から後者の条件の樹脂を使用する方が望ましい。ま
た、使用する周波数帯域が中心周波数の50%以上の場
合には、それに応じた周波数定数が得られるよう、樹脂
のヤング率を制御することが必要である。
【0056】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、より高い周波数で使用することのできる複合圧電材
料を提供することができる。本発明による複合圧電材料
は、高い分解能を必要とする超音波探触子に適してい
る。本発明は、フェーズドアレイ電子セクタスキャン方
式およびリニアスキャン方式で使用される超音波プロー
ブにそれぞれ適した複合圧電材料を提供するものであ
る。本発明は、特に医療用超音波画像診断装置の探触子
に適した複合圧電材料を提供するものであるが、その用
途は特にこれに限定されるものではない。本発明はま
た、上述したような優れた能力を有する複合圧電材料を
高い歩留りで製造できる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合圧電材料の一般的な構造を示す斜視図であ
る。
【図2】複合圧電材料を製造するための従来のプロセス
を示す斜視図である。
【図3】本発明による製造プロセスの一例を説明する概
略断面図である。
【図4】本発明による製造プロセスの一例を示す概略断
面図である。
【図5】本発明による製造プロセスの一例を示す概略断
面図である。
【図6】本発明による製造プロセスのもう一つの例を示
す概略断面図である。
【図7】SR光について直進光と回折光とがなす角度を
示す模式図である。
【図8】本発明によるもう一つの製造プロセスにおいて
X線リソグラフィーにより得られたレジストパターンの
形状を示す概略断面図である。
【図9】本発明による製造プロセスのもう一つの具体例
を示す概略断面図である。
【図10】本発明による製造プロセスのもう一つの具体
例を示す概略断面図である。
【図11】従来法により傾斜した壁を有する構造体を製
造するための方法を示す概略断面図である。
【図12】もう一つの従来法により、傾斜した壁を有す
る構造体を製造するプロセスを示す概略断面図である。
【図13】従来法を用いて本発明と同様の傾斜した壁を
有する構造体を得るための工程を示す概略断面図であ
る。
【図14】実施例により得られた金型およびPZTアレ
イ構造体の形状を示す部分断面図である。
【図15】実施例により得られた金型およびPZTアレ
イ構造体の他の形状を示す部分断面図である。
【図16】本発明により得られる複合圧電材料に関し、
樹脂ヤング率と横振動モードの周波数定数との関係を示
す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 樹脂層 3 マスク 5 金属 5′ 金型 7 樹脂 7′ 樹脂型 8 セラミックス材料 8′ セラミックスからなる微細構造体
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 41/22 H01L 41/22 C H04R 17/00 330 Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電セラミックスからなる複数の柱状体
    が、それぞれの長手方向が互いに平行になるよう間隔を
    空けて有機ポリマー材料からなるマトリックス中に配列
    された構造を有する複合圧電材料であって、 前記柱状体の前記長手方向にほぼ垂直な断面が、1辺が
    75μm以下の正方形、またはそれと同等の面積となる
    円もしくは多角形であることを特徴とする、複合圧電材
    料。
  2. 【請求項2】 前記柱状体の前記長手方向にほぼ垂直な
    断面における最大幅に対する前記柱状体の長さの比が、
    2以上であることを特徴とする、請求項1記載の複合圧
    電材料。
  3. 【請求項3】 前記柱状体の前記長手方向にほぼ垂直な
    断面における最大幅に対する前記柱状体の長さの比が、
    3.3以上であることを特徴とする、請求項1記載の複
    合圧電材料。
  4. 【請求項4】 前記複合圧電材料における前記圧電セラ
    ミックスの体積百分率が10〜30%の範囲内であるこ
    とを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の複
    合圧電材料。
  5. 【請求項5】 前記柱状体の長手方向に垂直な方向の周
    波数定数が、560kHz・mm〜940kHz・mm
    の外にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか
    1項記載の複合圧電材料。
  6. 【請求項6】 前記柱状体が円錐台または角錐台の形状
    であり、前記円錐台または角錐台のテーパ角度が0.1
    °〜20°の範囲内であることを特徴とする、請求項1
    〜5のいずれか1項記載の複合圧電材料。
  7. 【請求項7】 圧電セラミックスからなる複数の柱状体
    が、それぞれの長手方向が互いに平行になるよう間隔を
    空けて有機ポリマー材料からなるマトリックス中に配列
    された構造を有する複合圧電材料の製造方法であって、 基板上にリソグラフィのための樹脂材料からなる層を形
    成する工程と、 前記樹脂材料からなる層に、1辺が88μm以下の正方
    形またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形が複
    数、間隔を空けて配列されたパターンを有するレジスト
    パターン形成のためのマスクを介して、シンクロトロン
    放射によるX線を照射する工程と、 前記樹脂材料からなる層を現像する工程と、 現像によりパターン形成された樹脂材料上に金属材料を
    堆積させる工程と、 前記樹脂材料を除去して前記パターン形成された樹脂材
    料の形状が転写された前記金属材料からなる型を得る工
    程と、 得られた金型に樹脂材料を充填する工程と、 前記金型から前記樹脂材料を抜取り、前記金型の形状が
    転写された樹脂型を得る工程と、 得られた樹脂型にセラミックスを生成させるための材料
    を充填し、固化させる工程と、 前記樹脂型を、樹脂を溶融状態にすることなく気化また
    は昇華させるか、または溶剤に溶解させることにより、
    除去する工程と、 残った固化物を加熱して、断面が1辺が75μm以下の
    正方形またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形
    である複数の柱状体が間隔を空けて台座部から延びた構
    造を有するセラミックス構造体を得る工程と、 得られたセラミックス構造体上に有機ポリマー材料を付
    着させる工程と、 有機ポリマー材料が付着したセラミックス構造体から、
    前記台座部を除去して、前記複数の柱状体が前記有機ポ
    リマー材料中に間隔を空けて配列された複合材料を得る
    工程とを備える、複合圧電材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記シンクロトロン放射によるX線を照
    射する工程は、前記シンクロトロン放射光の前記マスク
    を介する回折光が前記樹脂材料からなる層に十分照射さ
    れるよう、前記マスクと前記樹脂材料からなる層との間
    に所定の間隔を設ける工程を備え、 前記回折光を伴う露光により前記樹脂材料において前記
    基板から遠ざかるに従い開口面積が大きくなった孔が得
    られることを特徴とする、請求項7記載の製造方法。
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