【発明の詳細な説明】
デスメチルセレギリンを用いる方法および医薬組成物
発明の分野
本発明は、セレギリン代謝物であるデスメチルセレギリンおよびそのエナンチ
オマー、エント-デスメチルセレギリンを用いる方法および医薬組成物に関する
。特に、本発明は、セレギリン-応答性の疾病および症状用のこれらの剤を用い
た組成物ならびに方法を提供する。
発明の背景
当該分野において、2の異なるモノアミン・オキシダーゼ酵素:モノアミンオ
キシダーゼA(MAO-A)およびモノアミンオキシダーゼB(MAO-B)、が知
られている。これらの酵素をコードするcDNAは、異なるプロモーター領域お
よび異なるエキソン部分を示し、これらは異なる遺伝子位置で独立してコードさ
れることを示す。加えて、2の蛋白質の分析により、それらの対応するアミノ酸
配列においても相異が示されている。
MAO-Bを選択的に阻害することが判明した最初の化合物は、R-(-)-N-メ
チル-N-(プロプ-2-イニル)-2-アミノフェニルプロパンであり、これはL-(-)
-デプレニル、R-(-)-デプレニル、またはセレギリンとしても知られている。セ
レギリンは以下の構造式:
を有する。
MAO-Bの阻害におけるセレギリンの選択性は、経口投与後のその安全特性
に対して重要である。トラニルシプロミン(tranylcypromine)(30年前に導入
されたMAO阻害剤であるが、その後、その重症の高血圧副作用のために中止さ
れた)は、セレギリンとは反対に、MAOの非-選択的阻害剤である。トラニルシ
プロミンの急性毒性は、チラミンの代謝を妨害するMAO-Aの阻害から生じる
。チラミンはMAO-Aによって胃腸管で通常代謝されるが、MAO-Aが阻害さ
れると、チーズ、ビール、ニシン他のごときチラミン含有食品の消費後にチラミ
ン吸収が上昇する。これは、「チーズ効果」を生じる高血圧発症を沈静化し得る
カテコールアミンの放出を生じる。この効果は、MAO-A阻害剤に関連する最
も重大な毒性効果として、GoodmanおよびGilmanによって特徴付けられている
。
セレギリンの1の代謝物はそのN-デスメチルアナログである。構造的には、
該デスメチルセレギリン代謝物は式:
の第二級アミンのR(-)エナンチオマー形である。
以前は、デスメチルセレギリンが医薬上有用なMAO-関連効果、すなわち、
MAO-Bに対する強力かつ選択的な阻害効果を有することは知られていなかっ
た。本発明の目的につきデスメチルセレギリンの有用性を測定する過程において
、デスメチルセレギリンのMAO-関連効果がより完全に特徴付けられた。この
特徴付けにより、セレギリンと比較して、デスメチルセレギリンが非常に弱いM
AO-B阻害作用しか有さず、MAO-Bに関する選択性において何ら利点を有し
ないことが確立された。
例えば、本特徴付けにより、セレギリンがヒト血小板のMAO-Bに対して5
×10-9MのIC50値を有する一方、デスメチルセレギリンのIC50値が4×
10-7Mであることが確立され、これは後者が前者よりもMAO-B阻害剤とし
て約80倍活性が低いことを示している。同様な特徴は、ラット髄質ミトコンド
リア-リッチ画分におけるMAO-BおよびMAO-Aの阻害を測定した以下のデ
ータに見ることができる:
上表から明らかなごとく、セレギリンがMAO-Aの阻害剤としてよりもMA
O-Bのものとして約128倍も強力である一方、デスメチルセレギリンはMA
O-Aの阻害剤としてよりもMAO-Bのものとして97倍しか強力でない。した
がって、デスメチルセレギリンは、セレギリンとしてのMAO-Aと比較して、
MAO-Bに対してほぼ同等の選択性を有するが、実質的に活性が低いようであ
る。
同様な結果はラット脳組織で得られる。セレギリンがMAO-Bに対して0.1
1×10-7MのIC50を示す一方、デスメチルセレギリンのIC50値は7.3×
10-7Mであり、これは、デスメチルセレギリンがセレギリンよりもMAO-B
阻害剤として約70倍低い活性であることを示している。両方の化合物ともラッ
ト脳中のMAO-A阻害において低い活性を示す:セレギリンについては0.18
×10-5、デスメチルセレギリンについては7.0×10-5。かくして、デスメ
チルセレギリンは、MAO-Aを阻害することにおいてセレギリンよりもほぼ3
9倍活性が低い。
前記したその薬理学的特性に基づき、MAO-B阻害剤としてのデスメチルセ
レギリンは、セレギリンと比較して活性または選択性のいずれにおいても何ら利
点を供しない。反対に、前記のイン・ビトロ(in vitro)データは、MAO-B阻
害剤としてのデスメチルセレギリンの使用には、70倍ほどの量のセレギリンが
必要であることを示唆している。
イン・ビボ(in vivo)におけるMAO-B阻害剤としてのデスメチルセレギリン
の活性は、Heinonen,E.H.らによって報告されている(ツルク大学、神経細胞
学部(Turku,Finland)研究報告、33号(1995)59-61頁からのAcademi
c Dissertation「Selegiline in the Treatment of Parkinson's Disease
」に引用されている「Desmethylselegiline,a metabolite of selegiline,is
anirreversible inhibitor of MAO-B in human subjects」)。Heinonenに
よると、イン・ビボにおけるデスメチルセレギリンは、セレギリンのMAO-B
阻害効果の約5分の1しか有していない、すなわち、1.8mgのセレギリンと
同一のMAO-B効果には、10mgのデスメチルセレギリンの用量を要するで
あろう。
セレギリンが有用であることが知られている種々の疾病および症状には:鬱病
(米国特許第4,861,800号);特に、軟膏、クリーム剤およびパッチを包含する経
皮投与形の使用を介するアルツハイマー病およびパーキンソン病;黄斑変性(米
国特許第5,242,950号);空間学習能力によって明らかにされる眼機能および認識
機能を包含する老化性デジェネラシー(米国特許第5,151,449号);脳下垂体依存
性-クッシング病(米国特許第5,192,808号);免疫系不全(米国特許第5,276,057号
);
および精神分裂症(米国特許第5,151,419号)が含まれる。PCT国際公開番号W
O 92/17169号は、神経筋および神経変性疾患の治療、ならびに低酸素状態、低
血糖状態、虚血性の卒中または外傷によるCNS障害の治療におけるセレギリン
の使用を開示している。
前記の症状の治療にセレギリンが有効であることは知られているが、その機作
の正確な数もしくは性質または作用機作はいずれも知られていない。しかしなが
ら、恐らく、酸化的ニューロン障害を低下し、酵素スーパーオキシドジスムター
ゼ量を増加し、かつ/または、ドーパミン異化作用を低下することによって、ニ
ューロン保護(neuronal protection)またはニューロン救済(neuronal rescue)を
セレギリンが供するという事実が存在する。例えば、PCT国際公開番号WO 9
2/17169号は、動物の神経機能を、直接維持し、その損失を防ぎ、かつ/または
、それを補助することによってセレギリンが作用することを報告している。
ニューロン細胞に対するセレギリンの生化学的効果は広範に研究されている。
例えば、Tattonら、「Selegiline Can Mediate Neuronal Rescue Rather
than Neuronal Protection」,Movement Disorders 8(増刊号1):S20-S30(
1993);Tattonら、「Rescue of Dying Neurons」,J.Neurosci.Res.3
0:666-672(1991);およびTattonら、「(-)-Deprenyl Prevents Mitochondrial
Depolarization and Reduces Cell Death in Trophically Deprived Ce
lls」11th Int'l Symp.on Parkinson's Disease(Roma,Italy)、1994年3
月26-30日参照。
セレギリンは広範な投与経路および投与量形を介して対象に投与しても有用で
あることが知られている。例えば、米国特許第4,812,481号(Degussa AG社)は
、経口、口周囲、腸、肺、直腸、鼻、膣、舌、静脈内、動脈内、心内、筋肉内、
腹膜内、皮内および皮下処方における、同時セレギリン-アマンタジン(amantadi
ne)の使用を開示している。米国特許第5,192,550号(Alza Corporation社)は、
セレギリンに対して非透過性であるが外部流体に対して透過性である外部膜を含
む投与量形を記載している。この投与量形は、セレギリンの経口、舌下または口
内投与について適用性を有し得る。同様に、米国特許第5,387,615号は、錠剤、
丸
剤、カプセル剤、粉剤、噴霧剤、坐薬、皮膚パッチ剤、非経口剤、ならびに油-
水性懸濁液、溶液および乳液を包含する経口液剤を含む、種々のセレギリン組成
物を開示している。また、セレギリン含有持放性(長期作用性)の処方および装置
も開示している。
デスメチルセレギリンに加えて、セレギリンは1の他の主要な直接代謝物、メ
タンフェタミン(methamphetamine)を産生する。デスメチルセレギリンおよびメ
タンフェタミンは、両方ともさらにアンフェタミン(amphetamine)に代謝される
。最後の2の代謝物、アンフェタミンおよびメタンフェタミンは、ドーパミン神
経細胞に対して持続的に神経毒性効果に対して活性を有し、望ましくない副産物
であることが知られている。セレギリンとは異なり、デスメチルセレギリンは、
代謝物としてアンフェタミンのみを産生し、メタンフェタミンは産生しない。
したがって、非常に活性が高く、選択的なMAO-B阻害剤であるが、セレギ
リンの実際の使用は、MAO-Bに対するその用量-依存的特異性、および投与後
に生成するセレギリン代謝物の薬理学によって制限される。
発明の概要
本発明は、両方のデスメチルセレギリン(「DMS」または「R(-)DMS」)
およびそのエナンチオマー(「エント-DMS」または「S(+)DMS」と略する
エント-デスメチルセレギリン)が、セレギリンと比較してMAO-B阻害活性が
顕著に低く、MAO-Bに対する選択性が明らかに不足しているにも拘わらず、
対象にセレギリン-様効果を供するのに有用であるという驚くべき知見に関する
。特に、本発明は、デスメチルセレギリン、エント-デスメチルセレギリンおよ
びそれらの異性体混合物が、セレギリン-応答性の疾病または症状においてセレ
ギリン-様治療効果を得るより有利な方法を提供するという驚くべき知見に関す
る。かくして、本発明は、有効成分としてデスメチルセレギリンおよび/または
エント-デスメチルセレギリンを用いる新規な医薬組成物、ならびにデスメチル
セレギリンおよびエント-デスメチルセレギリンの投与に関する新規な治療方法
を提供する。
特に、本発明は:
(1)セレギリン-応答性の疾病または症状に罹った患者に、セレギリン-様治療
効果を生じるのに十分な量で、デスメチルセレギリン、エント-デスメチルセレ
ギリン、またはそれらの混合物を投与する
ことを特徴とする、該患者においてセレギリン-様治療効果を得るための改良さ
れた方法;ならびに
(2)1または2以上の任意の医薬上許容される補助剤または担体に加えて、一
定周期ベースで投与したその医薬組成物の1または2以上の単位用量が、その単
位用量を投与した対象における1または2以上のセレギリン-応答性の疾病また
は症状を治療するに有効であるように一定量のデスメチルセレギリン、エント-
デスメチルセレギリン、またはそれらの混合物を含む医薬組成物
を提供する。
本明細書で用いる「セレギリン-応答性の疾病または症状」なる語は、セレギ
リンが有用であることが知られている、ヒトを含む哺乳動物におけるいずれの種
々の疾病または症状をもいう。特に、「セレギリン-応答性の疾病または症状」
とは、前記した種々の疾病および症状、例えば、アルツハイマー病、認識不全、
ニューロン救済などをいう。同様にして、「セレギリン-様治療効果」なる語は
、セレギリン-応答性の疾病または症状につき治療する対象においてセレギリン
によって奏される1または2以上の健康効果をいう。
本方法に応答するニューロン変性または外傷に関連するセレギリン-応答性の
疾病または症状には、パーキンソン病、アルツハイマー病、鬱病、緑内症、黄斑
変性、虚血、糖尿病性神経障害、注意力欠乏障害、後ポリオ症候群、多発性硬化
症、不能、ナルコレプシー、慢性疲労症候群、遺伝性脱毛症、老人性痴呆症、低
酸素症、認識不全、精神分裂症の負の総体的症状、筋萎縮性側索硬化症、ツーレ
ット症候群、後発性運動障害、および毒性神経変性が含まれる。
本発明は、R(-)DMS、S(+)DMSまたはそれらの混合物による免疫系機
能の回復または改善も包含する。かかる改善または回復は、セレギリンを動物に
投与した場合に起こることが報告されている。治療可能な症状または疾病には、
老化性免疫系不全、AIDS、ガンおよび感染症が含まれる。
用いる特定の経路に依存して、デスメチルセレギリンまたはエント-デスメチ
ルセレギリンのいずれかは遊離塩基の形態または生理学上許容される非毒性の酸
付加塩として投与する。かかる塩には、限定するものではないが、塩酸塩、臭化
水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩
、コハク酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ソルビン酸塩、アコニ
ット酸塩、サリチル酸塩、フタル酸塩、エンボン酸(embonic acid)塩、エナント
酸塩などのごとき有機または無機酸由来のものが含まれる。塩、特に塩酸塩の使
用は、特に投与経路が、例えば非経口投与のような水性溶液を用いる場合に望ま
しく;遊離塩基形の送達デスメチルセレギリンまたはエント-デスメチルセレギ
リンの使用は、経皮投与に特に有用である。したがって、本明細書に引用するD
MSもしくはエント-DMSまたはそれらの混合物の投与は、遊離塩基および酸
付加塩形態の両方を包含する。
本発明の目的に有用なデスメチルセレギリンおよび/またはエント-デスメチ
ルセレギリンの最適日用量は、例えば、治療すべき疾病または症状の重度、治療
を行う対象の状態、治療応答性の望む程度、および患者または動物に投与する同
時療法に基づくような当該分野で公知の方法によって決定される。しかしながら
、普通は、治療に対する応答性によっては進行的により高用量を用いつつ、遊離
第二級アミンに基づいて算出して少なくとも約0.0015mg/kgの初期用
量を付き添いの医師または獣医師が投与するであろう。典型的に、日用量は約0
.01mg/kg患者体重であろうが、約0.5mg/kg患者体重まで拡げても
よい(かかる全ての用量は、遊離第二級アミンに基づいて再度算出する)。これら
のガイドラインは、さらに、個々の患者または動物の年令、体重、臨床的状態、
および認められた応答に依存して、付き添いの医師または獣医師によって実際の
用量が注意深く力価測定されることを要求している。
該日用量は単一または複数の投与様式で投与できる。投与の形態または様式は
、例えば、1または2日以上の工程にわたる経皮パッチのごとき、単一投与単位
からの比較的少量の有効成分の連続的放出を許容できる。これは、パーキンソン
病、
アルツハイマー病および鬱病のごとき慢性症状の治療において特に望ましい。別
法として、それは、虚血または神経障害のごとき症状においては静脈内または吸
引によるごときより直接的な全身経路により1または2以上の分別した用量を投
与することが望ましい。緑内障および黄斑変性のごときなお他の症例においては
、眼内経路を介するごとき局所投与を指示すことができる。
経口投与の場合においては、本発明は、デスメチルセレギリンおよび/または
エント-デスメチルセレギリンの経口使用が、種々の症状および疾病における使
用につき、経口セレギリンよりもより有効であるという予期せぬ知見を包含する
。したがって、デスメチルセレギリンおよびそのエナンチオマーは、セレギリン
それ自体の使用が副作用によって禁避される対象において経口的に使用する。
デスメチルセレギリンおよび/またはエント-デスメチルセレギリンを含有す
る医薬組成物は、慣用技術に従って調製することができる。例えば、デスメチル
セレギリン用投与の非経口経路、例えば、筋肉内、静脈内および動脈内経路用の
調製物には、滅菌等張圧生理食塩水を用いることができる。滅菌等張溶液は、眼
内投与にも用いることができる。
デスメチルセレギリンおよび/またはエント-デスメチルセレギリンの経皮用量
単位形は、種々の以前に記載されている技術(例えば、米国特許第4,861,800号;
第4,868,218号;第5,128,145号;第5,190,763号;および第5,242,950号;ならび
に欧州特許出願EP-A 404807号、EP-A 509761号およびEP-A 593807号参照)を用い
て調製できる。例えば、例えば、デスメチルセレギリンが直接粘着剤に取り込ま
れていて、この混合物が裏打ちシート上にキャストされた一体パッチ構造を使用
し得る。
別法として、デスメチルセレギリンおよび/またはエント-デスメチルセレギ
リンは、例えばEP-A 593807号記載のごとく、塩から遊離塩基への変換に作用す
る複層パッチに酸付加塩として取り込ませることもできる。
デスメチルセレギリンおよび/またはエント-デスメチルセレギリンは、例え
ば、5〜15%のデスメチルセレギリンを液体および固体ポリエチレングリコー
ル、ポリマー、および非イオン性界面活性剤(所望により、プロピレングリコー
ルおよび乳化剤を添加してもよい)の混合物と合したリオトロピック液晶組成物
を利用した装置によって投与することもできる。かかる経皮調製物の調製に関す
るさらなる詳細については、EP-A 5509761号に参照することができる。
「エント-デスメチルセレギリン」なる語はデスメチルセレギリンのS(+)-異
性体形をいうため、セレギリンおよびエント-デスメチルセレギリンの前記混合
物には光学異性体のラセミ体および非-ラセミ体の両方の混合物が含まれる。
本発明の調製物および方法により治療可能な対象には、セレギリン-様-治療効
果が有用であることが知られているヒトおよび非-ヒト対象の両方が含まれる。
したがって、前記の組成物および方法は、哺乳動物に、特に家庭の哺乳動物に特
に有用な治療を提供する。かくして、本発明の方法および組成物はイヌおよびネ
コ種におけるセレギリン-応答性の疾病および症状の治療に用いる。
前記の組成物および方法の首尾よい使用には、有効量のデスメチルセレギリン
、エント-デスメチルセレギリンまたはそれらの混合物の使用が要求される。デ
スメチルセレギリンおよびエント-デスメチルセレギリンは両方とも、MAOの
阻害剤としてセレギリンよりも顕著に活性が低いが、これらの剤またはこれらの
剤の混合物の使用は、セレギリン-様治療応答性を得るために有理の多量の投与
量を要しない。驚くべきことには、セレギリン-様治療効果を達成するために必
要な投与量は、セレギリンの知られている用量と同程度である。したがって、デ
スメチルセレギリンおよびエント-デスメチルセレギリンは両方ともかかる投与
量でははるかに低いMAO-A阻害しか示さないため、デスメチルセレギリンお
よびエント-デスメチルセレギリンは、セレギリンと比較して、MAO-Aに関連
する毒性に関して実質的に広い幅の安全性を提供する。特に、MAO-A阻害の
悪影響の危険性、例えば、高血圧の発症は、MAO-A阻害の40-70倍低い活
性によって最小限化される。
前記したごとく、MAO-B阻害に関するその証明し得る劣る阻害特性にも拘
わらず、デスメチルセレギリンおよびそのエナンチオマーは、セレギリン-応答
性症状、例えば、ニューロン変性またはニューロン外傷から生じる症状を治療す
ることにおいて、セレギリンよりも顕著に有効である。この点に関して、デスメ
チルセレギリンおよび/またはそのエナンチオマーは、セレギリンそれ自体のよ
うに、上部GI管または他の胃腸吸収によらない経路によって投与した場合に特
に有用である。好ましい経路には、非経口、局所、経皮、眼内、口内、舌下、鼻
内、吸入、膣および直腸経路が含まれる。
前記したごとく、本発明は、デスメチルセレギリンが光学活性形態およびラセ
ミ体形の両方で、すなわち、デスメチルセレギリンおよびエント-デスメチルセ
レギリンの混合物として使用できるというさらなる知見を包含する。デスメチル
セレギリン、そのエナンチオマーおよびそれらの混合物は、実施例1で後記する
ごとく、当該分野で公知の方法によって簡便に調製する。
図面の簡単な説明
図1:ニューロン生存性に対するセレギリンの効果。中脳培養物は、胎生14
日齢ラットから調製した。培養物は、プレート当たり約1.5×106個の細胞で
用い、増殖培地単独(対照培養物)またはセレギリンを補充した増殖培地のいずれ
かで維持した。1、8および15日目に、チロシンヒドロキシラーゼ(「TH」)
の存在について細胞を免疫染色した。横線棒グラフは50μMセレギリン存在下
で維持した培養物につき得られた結果を表し、白抜き棒グラフは対照培養物につ
いての結果を表す。すべての場合において、結果は、1日目の対照培養物中に存
在するTH陽性細胞の%として表す。「DIV」なる略語は、「イン・ビトロで
の日数」をいう。図1および以下に論じる図の両方における棒グラフ上側のアス
タリスクまたは星印は、統計学的に有意、すなわち、P<0.05である、一定
量における対照から異なる結果を示す。
図2:中脳細胞における[3H]-ドーパミン取り込み。図1で前記したごとく培
養した細胞を、標識ドーパミンのその取り込みにつき試験し、その結果を図2に
示す。横線棒グラフは50μMセレギリン存在下で維持した細胞における取り込
みを表し、白抜き棒グラフは対照培養物における取り込みを表す。
図3:グルタミン酸受容体依存性のニューロン死に対するセレギリンの効果。
ラット胎児中脳細胞を前記のごとく培養した。培養を安定化させた後は、その培
養培地を4日間毎日取り換えて、グルタミン酸受容体-依存性の細胞死を誘導し
た。培養に応じて、培地には0.5、5.0または50μMのいずれかのセレギリ
ンが含まれていた。最後に培地を取り換えた後に、培養した細胞をチロシンヒド
ロキシラーゼの存在につき免疫染色した。左から右に、棒グラフは対照、0.5
、5.0および50μMセレギリンについての結果を表す。
図4:ニューロン培養物におけるドーパミン取り込みに対するセレギリンの効
果。
図3に論じたごとく、ラット中脳細胞を培養し、培地を日ベース取り換えた。細
胞によるトリチウム化ドーパミンの取り込みを測定し、その結果を図に示す。左
から右に、棒グラフは図3と同順序である。
図5:グルタミン酸受容体依存性のニューロン死に対するR(-)デスメチルセ
レギリンの効果。ラット胎児中脳培養物は、セレギリンの代わりにR(-)DMS
を用いた以外は前記のごとく調製した。9日目に、培養中のTH陽性細胞数を計
測した。結果は、対照の%として表す。左から右に、棒グラフは対照、0.5、
5および50μMのR(-)DMSについての結果を示す。
図6:ニューロン培養物におけるドーパミン取り込みに対するR(-)デスメチ
ルセレギリンの効果。細胞培養物を図5について前記したごとく調製し、ついで
トリチウム化ドーパミンの取り込みについて試験した。対照の、ならびに0.5
μM、5μMおよび50μMデスメチルセレギリンの存在下で維持した細胞につ
いての結果を図の左から右に示す。
図7:種々のモノアミンオキシダーゼ阻害剤の存在下でインキュベートした中
脳細胞のドーパミン取り込みの比較。ラット胎児中脳細胞を図3-6について記
載したごとく調製し、種々のモノアミンオキシダーゼ阻害剤の存在下でインキュ
ベートした。検査した阻害剤は、すべて0.5、5および50μM濃度における
、セレギリン;R(-)デスメチルセレギリン;パルギリン(pargyline);およびク
ロルギリン(clorgyline)である。さらに、細胞を、グルタミン酸受容体ブロッカ
ーであるMK-801 10μM濃度存在下でもインキュベートした。培養物を
トリチウム化ドーパミンの取り込みにつき試験した。
図8:デプレニルおよびデスメチルセレギリンのエナンチオマーによる神経細
胞ドーパミンのニューロン再取り込みの阻害。イン・ビトロ神経末端調製物(シ
ナプトソーム調製物)は、新鮮なラット新線条体組織を用いて調製した。これは
、緩衝液単独、または種々の濃度のセレギリン、R(-)デスメチルセレギリンも
しくはS(+)デスメチルセレギリンを補充した緩衝液中でトリチウム化ドーパミ
ンを取り込むその能力について試験した。各MAO阻害剤存在下の取り込みは、
緩衝液単独存在下における取り込みに対する%阻害として表し、その結果を図8
に示す。図に示すごとく、プロットを用いて各供試剤についてのID50を算出し
た。S(+)DMSについてのにID50は20μM;セレギリンについては80μ
M;およびR(-)DMSについては約100μMであった。
図9:モルモット海馬におけるイン・ビボMAO-B阻害。種々の用量のセレ
ギリン、R(-)デスメチルセレギリン、およびS(+)デスメチルセレギリンを5
日間、モルモットに毎日注射した。ついで、動物を殺し、脳の海馬部分のMAO
-B活性を測定した。結果は対照動物の海馬MAO-B活性に対する%阻害として
表し、図9に示す。プロットを用いて各剤についてのID50用量を算出した。セ
レギリンについてのID50は約0.03mg/kg;DMSの両方のエナンチオ
マーについては約0.3mg/kgであった。
図10:セレギリン、R(-)DMSまたはS(+)DMSを注射したラットから
の脾臓細胞中のイン・ビトロのインターフェロン(「IFN」)産生。F344ラ
ットを生理食塩水、セレギリン、R(-)DMSまたはS(+)DMSで、60日間
、毎日ip注射した。注射したラットはすべて老齢、すなわち、18〜20月齢
であった。10日間の全く注射を行わない「洗い出し」期間経過後に、ラットを
殺してその脾臓を取り出した。刺激した脾臓細胞(リンパ球)によるインターフェ
ロン−γのイン・ビトロ産生を測定し、注射していない老齢ラットおよび若齢ラ
ット(3月齢)からの脾臓細胞(リンパ球)による産生と比較した。左から右に、棒
グラフは、若齢ラット;老齢ラット、生理食塩水を注射した老齢ラット;0.2
5mg/kgのセレギリンを注射した老齢ラット;1.0mg/kgのセレギリ
ンを注射した老齢ラット;0.025mg/kgのR(-)DMSを注射したラット
;
0.25mg/kgのR(-)DMSを注射したラット;1.0mg/kgのR(-)D
MSを注射したラット;および1.0mg/kgのS(+)DMSを注射したラッ
トからの脾臓細胞についての結果を反映している。水平線は、IFNレベルが若
齢ラット脾臓細胞を用いて認められるIFNレベルからレベルが有意(p<.05
)に異なる点を示す。結果は、単位/mlとして表す。
図11:老齢ラットからの脾臓細胞中のイン・ビトロのIFN産生:図10に
示したのと同結果が11で繰り返されるが、若齢ラットの脾臓細胞についての結
果を含んでいない。「#」は、生理食塩水を注射した老齢ラットからの脾臓につ
いて得られたものとは有意に異なる(p<0.05)結果を示す。「*」は、1.
0mg/kgのデプレニルを注射した老齢ラット以外の全グループから有意に異
なる結果を示す。
図12:老齢ラットからの脾臓細胞によるイン・ビトロのインターロイキン-
2産生。ラットを前記(図10参照)のごとく注射し、刺激した脾臓細胞によるイ
ンターロイキン-2の産生を測定した。左から右への棒グラフの順序は図10と
同じである。
図13:IgM陽性であるラット脾臓細胞の%。ラットに、前記(図10参照)
のどとく生理食塩水、セレギリン、R(-)DMSまたはS(+)DMSを注射した
。ラットからの脾臓をアッセイして、IgM陽性である細胞の%を算出し、その
結果を図に示す。図中の水平線は、若齢ラットから得られた脾臓で認められた%
と比較して統計学的に有意(P<0.05)であるIgM%の低下に対応する。棒
グラフは、左から右に、図10および12中と同じ順序である。
図14:CD5陽性であるラット脾臓細胞の%。IgM陽性である細胞の%を
測定する代わりにCD5陽性であるものの%を測定した以外は、図13の実験を
繰り返した。
発明の詳細な説明
セレギリン-応答性の疾病または症状を治療することにおけるデスメチルセレ
ギリンおよびエント-デスメチルセレギリンの驚くべき有用性は、一部分、修復
および回復を促進することによるドーパミン作動性ニューロンの損失を防ぐこと
におけるそれらの強力な作用に起因し得る。したがって、僅かかまたは全くMA
O-B阻害が一般的に認められない0.01mg/kgほど低い用量で、ニューロ
ンの損傷および/または死の反転を認めることができる。デスメチルセレギリン
およびエント-デスメチルセレギリンはニューロン機能の損失を防ぎ、その回復
を促進するため、それらは、広範な神経変性および神経筋の疾病において価値を
有する。この点に関して、デスメチルセレギリンおよびエント-デスメチルセレ
ギリンは、以下の実施例でより経験的に記載するごとく、セレギリンよりも実質
的により強力である。実施例は説明目的のみのものであって、本発明の範囲を限
定するものではない。
実施例
実施例1:デスメチルセレギリンおよびエント-デスメチルセレギリンの調製
A.デスメチルセレギリン
デスメチルセレギリン(以下、「R(-)DMS」と示す)は、当該分野で公知の
方法により調製する。例えば、デスメチルセレギリンは、米国特許第4,925,878
号記載のごとくセレギリン調製の公知の化学中間体である。デスメチルセレギリ
ンは、トルエンのごとき不活性有機溶媒中のR(+)-2-アミノフェニルプロパン
(レボアンフェタミン(levoamphetamine)):
の溶液を、僅かな高温(70°-90°)にて、臭化プロパルギル(Br-CH2-C
≡CH)のごとき反応性ハロゲン化プロパルギルの等モル量で処理することによ
って調製できる。所望により、該反応は、炭酸カリウムのごとき酸受容体存在下
で行うこともできる。ついで、該反応混合物を、水性酸、例えば、5%塩酸で抽
出し、その抽出物をアルカリ性とした。形態が分離したその非水性層を、例えば
ベンゼンにより抽出し、乾燥し、減圧下にて蒸留する。
別法として、該プロパルギル化は、米国特許第4,564,706号記載のセレギリン
の調製と同様に、酒石酸のごとき弱酸と共にR(+)-2-アミノフェニルプロパン
の塩を用いる、水-非混和性の溶媒および水性アルカリの二相系で行うこともで
きる。
B.エント-デスメチルセレギリン
エント-デスメチルセレギリン(以下、「S(+)DMS」と示す)は、エナンチ
オマーS(-)-2-アミノフェニルプロパン(デキストロアンフェタミン(dextroam-
phetamine))、すなわち:
からデスメチルセレギリンについて前記した方法に従って簡便に調製する。
C.エナンチオマー混合物
ラセミ体デスメチルセレギリンを含有するデスメチルセレギリンのエナンチオ
マー形の混合物は、前記のアミノフェニルプロパン出発物質のラセミ体混合物を
含有するエナンチオマー混合物から簡便に調製する。
D.酸付加塩への変換
光学活性またはラセミ体形のいずれかのN-(プロプ-2-イニル)-2-アミノフ
ェ
ニルプロパンは、鉱酸での処理のごとき慣用技術によって生理学上許容される非
毒性の酸付加塩に変換できる。例えば、イソプロパノール中の塩酸を、塩酸デス
メチルセレギリンの調製に用いる。遊離塩基または塩のいずれかは、結晶化また
はクロマトグラフィーのごとき慣用技術によって再度さらに精製できる。
実施例2:チロシンヒドロキシラーゼを用いて測定しニューロン生存性
ニューロン生存性に対するデスメチルセレギリンの効果は、チロシンヒドロキ
シラーゼ(ドーパミン生合成における律速酵素)に相関し得る。アッセイは、7〜
14日間にわたる培養E-14胎生中脳細胞中のチロシンヒドロキシラーゼ陽性
細胞の数を測定することによって行う。この系における保護は、BDNF、GD
NF、EGFおよびβ-FGFを含む種々の栄養因子で認められた。
A.試験方法
一定期妊娠Sprague-Dawleyラットを用いて、妊娠14日目の胎生ラット脳か
らのニューロン培養物を確立した。膜被覆物なしに中脳を切り出し、4℃の無C
a++Mg++バランス塩溶液に採取した。小孔パスツールピペットで温和にトリチ
ュレートすることによって、組織フラグメントを化学規定培地中で分離させた。
細胞懸濁液をポリオルニチン-被覆35mmFalconプラスチック皿(0.1mg/
ml、Sigma社)に、1.5×106細胞/皿の密度で平板した。培養物は10%
CO2/90%空気の雰囲気、100%相対湿度中、37℃にて維持し、MEM
/F12(1:1、Gibco社)、グルコース(33mM)、HEPES(15mM)、
NaHCO3(44.6mM)、トランスフェリン(100mg/ml)、インスリ
ン(25mg/ml)、プトレシン(60nM)、セレン酸ナトリウム(30nM)、
プロジェステロン(20nM)およびグルタミン(2mM)よりなる化学規定培地を
1週間当たり2回補充した。対照細胞は、全くさらなる添加物を与えない。他の
細胞に用いた培地も、1または2以上の濃度の供試物質、例えば、セレギリンを
含む。
培養物を室温にて30分間、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中の4%パラホ
ルムアルデヒド中で固定し、0.2%トリトンX-100を30分間浸透させ、ブ
ロッキング血清存在下、4℃にて48時間、抗-チロシンヒドロキシラーゼ抗体(
1:1000;Eugene Tech社)とインキュベートした。ついで、それを、着色
源(chromagen)として3',3'-ジアミノベンジジンを入れたペルオキシダーゼー
カップル化アビジン-ビオチン染色キット(Vectastain ABC kit;Vector L
abs社)を用いて染色した。
培養物中のドーパミン作動性ニューロン数は、TH抗体で陽性免疫染色した細
胞をカウントすることによって測定する。全面積の2.5%を示す、皿の直径を
横切る2の横線中の100領域(0.5mm×0.5mm)を、200×倍率でNik
on倒立顕微鏡を用いてカウントした。
B.結果
前記した手法を用いて、以下の結果を得た:
実施例3:ドーパミン取り込みを用いて測定したニューロン生存性
培養物中でTH陽性細胞数を測定することに加えて(実施例2参照)、ニューロ
ン細胞に対するデスメチルセレギリンの保護効果は、ドーパミン取り込みを直接
測定することによって測定することができる。培養脳細胞による取り込み量は軸
索増殖に対応する。
A.試験方法
前記で論じた方法で確立した細胞培養物は、0.9mM CaCl2および0.5
mM MgCl2を補充したPBS(pH7.3)中のアルコルビン酸(0.2mg/
ml)存在下、[3H]ドーパミン(0.5mCi/ml;37Ci/ミリモル;New
England Nuclear社)と15分間インキュベートした。2回濯ぎ、新鮮な緩衝
液で5分間インキュベートした後に、該培養物を95%エタノールと一緒に37
℃にて30分間インキュベートすることにより、細胞中に蓄積した[3H]ドーパ
ミンを放出させた。ついで、調製物を10ml Ecoscint(National Diagnost
ics社)に添加し、シンチレーション分光器でカウントした。非特異的取り込み値
は、10mM マジンドール(mazindol)でドーパミン作動性ニューロンの取り込
みをブロッキングすることにより得た。
B.結果
前記手法を用いて、表3に示す結果を得た。
C.実施例2および3からの結論
実施例2および3に記載の結果から、デスメチルセレギリンがニューロン保護
剤として、セレギリンよりも優れていることが示された。デスメチルセレギリン
はMAO-Bの阻害剤としてセレギリンよりも遥かに活性が低いという事実にも
拘わらず、これは真実である。
実施例4:イン・ビトロにおける、培養したドーパミン-含有中脳ニューロン中
のデスメチルセレギリンエナンチオマーの神経保護作用
ラット脳組織の中脳、ドーパミン-含有ニューロン培養物の生存性をこれらの
実験に用いて、セレギリンおよびR(-)デスメチルセレギリンの神経保護特性を
試験した。TH陽性神経細胞の数は、ドーパミン作動性ニューロンの生存性に直
接比例し、3H-ドーパミン取り込みはこれらのニューロン中の軸索増殖の尺度で
ある。
A.ドーパミン作動性ニューロンの生存性に対するセレギリンの効果
胎生14日齢ラットから調製した中脳培養物を0.5、5または50μMセレ
ギリンで、平板した日から始めて15日間処理した。(細胞の培養およびこれら
の実験で用いた他の方法に関するさらに詳細な議論については、Mytilineouら
、J.Neurochem.61:1470-1478(1993)参照)。ドーパミンニューロンの生存性お
よび増殖は、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)免疫化学および[3H]ドーパミン
取り込みによって評価し、その結果を図1および2に示す。
セレギリンを0.5および5μMの濃度で試験した場合のニューロン生存性に
対しては何ら効果は認められなかった。50μMにおいては、セレギリンは、平
板後8および15日にTH-陽性ニューロンの損失を低下し(図1)、15日には
ドーパミン取り込みを上昇した(図2)。別の実験において、0.5、5、50ま
たは100μMセレギリンでの前-処理により、実験で用いたアッセイ条件下で
のドーパミン取り込みが阻害されないことが測定された。
結果は、得られた取り込み値がドーパミンニューロンの生存性およびプロセス
結果を反映すること、およびセレギリンが神経保護効果を有することを示してい
る。
B.グルタミン酸受容体依存性の細胞死に対するセレギリンの効果
セレギリンの神経保護効果も、グルタミン酸受容体の阻害によってブロックし
得るニューロン細胞死を引き起こす実験パラダイムを用いて試験した。これらの
実験において、細胞を平板し、数日間安定化させた。ついで、細胞の増殖培地を
日ベースで取り換えて、例えば、MK-801を用いてグルタミン酸受容体をブ
ロッキングすることによって防ぐことができる細胞死を誘導した。毎日培地を取
り換えて4日後に、培養物をチロシンヒドロキシラーゼについて染色し、トリチ
ウム化ドーパミンの取り込みについてアッセイした。図3および4に示した結果
も、さらに、セレギリンがドーパミン作動性ニューロンの生存性を促進するとい
う結論を支持する。
C.ドーパミンニューロンの生存性に対するデスメチルセレギリンの効果
ニューロン死のグルタミン酸受容体依存性モデルを用いると、セレギリンの代
わりにデスメチルセレギリンを用いた場合に、ドーパミン作動性ニューロンのな
おより強力な保護が供された。試験した最低用量(0.5μM)でさえ、セレギリ
ンまたはデスメチルセレギリンのいずれも補充することなく用いた培地中の対照
培養物に対して、デスメチルセレギリンは、TH陽性ニューロンの損失における
顕著な低下(図5)およびドーパミン取り込みにおける顕著な上昇(図6)を引き起
こした。
D.他のMAO阻害剤との比較
神経毒性のグルタミン酸受容体依存性のパラダイムを用いて、セレギリンおよ
びデスメチルセレギリンの効果を2の他のMAO阻害剤、パルギリン(pargyline
)およびクロルギリン(clorgyline)と比較した(図7)。以前の結果と同じく、ド
ーパミン取り込みの測定値は、50Mデプレニルならびに5および50μMデス
メチルセレギリンによる神経保護を示した。パルギリンは用いた濃度で何ら保護
を付与しないようであったが、クロルギリンは50μMで保護した。予期したご
とく、保護はNMDA受容体ブロッカーMK-801(10μM)によっても得ら
れた。
E.3H-ドーパミン取り込みに対するDMSエナンチオマーの効果
表4に要約するデータは、R(-)DMSおよびS(+)DMSが両方とも、培養
中の中脳ドーパミン-含有ニューロンにおいて神経保護剤として有効であること
を示唆している。
これらの結果は、非処理対照細胞と比較して、R(-)DMSおよびS(+)DM
Sで処理した後に、各々、40%および134%の大きな軸索増殖および末端軸
索生存性が存在したことを立証している。かくして、S(+)DMSはR(-)DM
Sよりもさおより強力、かつ/または有効な神経保護剤となり得る。
実施例5:ドーパミン再-取り込みの阻害剤としてのデスメチルセレギリンおよ
びエント-デスメチルセレギリン
脳神経伝達物質ドーパミンの生物学的作用は、高-親和性の、前シナプスドー
パミン-含有神経末端の制限膜内に存在するナトリウムおよびエネルギー-依存性
伝達系(神経細胞再取り込み)によってシナプスで終結する。この伝達機構の阻害
は、シナプスにおけるドーパミンの作用を拡張し、したがって、ドーパミンシナ
プス伝達を向上する。
A.試験方法
デスメチルセレギリン(DMS)のR(-)およびS(+)エナンチオマーを、ドー
パミン再-取り込み系を阻害するその能力について試験し、セレギリンと比較し
た。このアッセイにおける阻害活性は、高いシナプスドーパミン活性を要する疾
病の治療において価値を有する剤の指標である。現在、これには、パーキンソン
病、アルツハイマー病および注意欠損機能冗進病(Attention Deficit Hyper-
activity Disorder(ADHD))が含まれるであろう。
用いたアッセイ系は、実質的に、Fangら(Neuropharmacology 33:763-768(19
94))によって記載されているものである。イン・ビトロ神経-末端調製物(シナプ
トソーム調製物)は、新鮮なラット新線条体脳組織から得た。ドーパミン神経-末
端による輸送は、トリチウム化ドーパミンの取り込みを測定することによって測
定した。
B.結果
表5に示すデータに見られるように、セレギリン、R(-)DMSおよびS(+)
DMSはすべて、ドーパミン-含有神経末端によるドーパミンの再-取り込みを阻
害した。セレギリンおよびR(-)DMSはほぼ等しい活性であった。それとは反
対に、S(+)DMSは、セレギリンまたはR(-)DMSのいずれかよりも4-5倍
強い活性であった。
相対活性は、50%ドーパミン再取り込みを阻害するのに要する濃度(ID50)
によって表すことができる。ID50値はグラフ的に算出し(図8参照)、以下の表
6に示す。
C.結論
結果は、適当な濃度において、セレギリンおよびDMSの各エナンチオマーが
、神経細胞シナプスで放出されたドーパミンの輸送を阻害し、シナプスにおける
この神経伝達物質の相対活性を上昇すること立証している。この点に関して、S
(+)DMSは、R(-)DMSよりもより強力なセレギリンよりもなお強力である。
この効果は、パーキンソン病、アルツハイマー病および注意欠損機能冗進病(A
DHD)の治療における有益な剤の指標である。試験した剤の中では、S(+)DM
Sが、ADHDの治療に関して最も好ましいようである。
実施例6:ヒト血小板MAO-Bおよびモルモット脳MAO-BおよびMAO-A
活性に対するデスメチルセレギリン(DMS)のR(-)およびS(+)エナンチオマ
ーの作用
ヒト血小板MAOは、該酵素のB型異性形より全面的になる。本実験において
は、DMSの2のエナンチオマーによるこの酵素の阻害を測定し、セレギリンに
よる阻害と比較する。加えて、本実験は、モルモット海馬組織におけるMAO-
AおよびMAO-Bに関する阻害活性について、DMSの2のエナンチオマーを
試験した。モルモット脳組織は、脳ドーパミン代謝、MAOの複数形の酵素動力
学、およびこれらの酵素と相互作用する新規な剤の阻害特性、を研究する最良の
動物モデルである。この動物種における複数形のMAOは、ヒト脳組織で見出さ
れたものと同様な動力学特性を示す。最後に、剤をモルモットに注射して、イン
・ビボにおいて、脳MAOの阻害剤として作用し得るそれらの範囲を試験した。
B.試験方法:
試験系は、ヒト血小板および/またはモルモット海馬ホモジネートによる、M
AO-A(14C-セロトニン)およびMAO-B(14C-フェニルエチルアミン)の特異
的基質のイン・ビトロ変換を用いた。各基質の変換速度は、S(+)DMS、R(-)
DMSまたはセレギリン存在下で測定し、これらの剤の不存在下でのアイソザイ
ム活性と比較した。%阻害はこれらの値から算出した。活性は、50&阻害を引
き起こす各剤の濃度(IC50)を比較することによって評価した。
ある実験においては、R(-)DMS、S(+)DMSまたはセレギリンを、殺し、
酵素海馬ホモジネートを調製し、MAO-AおよびMAO-B活性をイン・ビトロ
アッセイする前の5日間、1日に一回、皮下的(s.c.)にイン・ビボ投与した。
これらの実験を行い、DMSエナンチオマーが脳組織に入り、MAO活性を阻害
することができることを立証した。
C.結果
イン・ビトロMAO-B阻害活性
MAO-B阻害の結果を表7および8に示す。セレギリンと比較したMAO-B
阻害についてのIC50値および活性を表9に示す。
認められるごとく、R(-)DMSは、MAO-B阻害剤としてS(+)DMSより
も20-35倍活性が高く、両方のエナンチオマーともセレギリンよりも活性が
低かった。
MAO-A阻害活性
モルモット海馬におけるMAO-Aの阻害を測定した実験から得た結果を表1
0に要約し、DMSの2のエナンチオマーおよびセレギリンについてのIC50値
を表11に示す。
R(-)DMSはMAO-A阻害剤としてS(+)DMSの2倍の活性であり、両方
ともセレギリンよりも20-40倍低い活性であった。さらに、これらの各剤は
2-3桁、すなわち100から1000倍、海馬脳組織におけるMAO-Bの阻害
剤よりもMAO-Aの阻害剤として活性が低かった。したがって、セレギリンお
よびDMSの両方のエナンチオマーは、脳組織における選択的MAO-B阻害剤
として分類し得る。
イン・ビトロ実験の結果
DMSの各エナンチオマーを、5日間連続して毎日1回、皮下投与によってイ
ン・ビボ投与し、ついで脳MAO-B活性の阻害を測定した。これらの条件下で
は、R(-)DMSおよびS(+)DMSはMAO-B阻害剤として等活性であったが
、セレギリンよりも10倍活性が低かった。その結果を図9に示し、IC50値を
表12に要約する。
この実験により、DMSの各エナンチオマーが非経口イン・ビボ投与後に血液
脳-関門を透過し、脳MAO-Bを阻害することが立証された。また、DMSの各
エナンチオマーおよびセレギリンの間でイン・ビトロで認められたMAO-B阻
害剤としての活性差がイン・ビボ条件下では減少することも立証された。この実
験で投与した投与量は、MAO-A活性を阻害するに十分ではない。
D.結論
R(-)DMSおよびS(+)DMSは両方とも、MAO-BおよびMAO-A阻害剤
としての活性を立証した。各エナンチオマーはMAO-Bに対して選択的であっ
た。S(+)DMSは、一般的にR(-)DMSよりも活性が低く、DMSの両方のエ
ナンチオマーはMAO-AおよびMAO-Bの両方を阻害することにおいてはセレ
ギリンよりも活性が低い。両方のエナンチオマーは、これらのエナンチオマーが
非経口投与後に脳組織に侵入できることを示す、イン・ビボ投与後の活性を立証
した。MAO-AまたはMAO-Bを阻害するこれらの剤の可能性は、これらの剤
がパーキンソン病、アルツハイマー病または鬱病の治療に価値を有することを示
唆している。
実施例7:デスメチルセレギリンのエナンチオマーによるイン・ビボの神経保護
神経学的変性を予防するDMSのエナンチオマーの能力は、運動神経疾患、特
に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の動物モデルであるウォブラーマウスにこの剤を
投与することによって測定した。ウォブラーマウスは、経時的に悪化してゆく前
脚弱体、歩行障害、および前脚筋の屈曲収縮を示す。
B.試験方法
R(-)DMS、S(+)DMSまたはプラセボは、ランダムにした二重盲検実験で
、30日間毎日腹膜内注射することによってウォブラーマウスに投与した。この
期間の最後に、マウスを、その握力、走行時間、休止運動活性について検査し、
半定量的脚姿勢異常および半定量的歩行異常について等級付けした。溶液を調製
し、それを動物に注射した研究者と、行動変化を分析した研究者とは異なる。
アッセイおよび等級付けは、Mitsumotoら、Ann.Neurol.36:142-148(1994)
記載と実質的に同様に行った。マウスの前脚の握力は、動物に両前脚でワイヤー
を握らせることによって測定した。該ワイアーはグラム力量計に接続され、マウ
スにワイヤーを強制的に離させるまで、該動物の尾に牽引力を負荷した。離した
時点の力量計の示数を握力の測定値として採用した。
走行時間は、特定の距離、例えば2.5フィート、を走行するのに要した最短
時間として定義し、幾つかの試行の最良時間を記録した。
脚姿勢異常は、収縮の程度に基づく尺度で等級付けし、歩行異常は、正常な歩
行から、脚を用いて体を支える無能力性までの範囲で等級付けした。
運動活動は、床が四角のグリッドで覆われた検査空間に動物を移動させること
によって測定した。活動は、定めた時間間隔、例えば、9分間に、マウスによっ
て横切られる四角部の数によって測定した。
C.結果
実験を開始する時点において、いずれかの変数において異なる群は全くなく、
これは3の群がベースラインで比較できることを示している。体重の増加は全3
群において同一であり、これはいずれの動物においても大きな副作用が全く起こ
らなかったことを示している。表13は、供試動物の平均握力において認められ
た差を要約している。
すべての動物において、第一週の終わりに握力が顕著に低下した。実験の最後
に、握力は、0-15gに分布し、平均9gである対照動物において最低であっ
た。R(-)群は、0-63gに分布する値で、20gの平均握力を有していた。S
(+)DMSで注射した第3群は、7-20gに分布する個別値で、14gの平均握
力を有していた。処理した動物群における握力の変動性はこのデータの有意な統
計分析を妨げたが、DMS-処理動物において測定された平均握力は対照につい
てよりも高かった。
走行時間、休止運動活動、半定量的脚姿勢異常等級付け、および半定量的歩行
異常等級付けも試験した。しかしながら、これらの試験のうちで、これら3群の
うちのいずれかの1群が他から異なることを示唆するデータを示した試験は全く
なかった。
実施例8:R(-)DMSおよびS(+)DMSによる免疫系回復
より老齢の個人が感染症およびガンにより感受性となる、動物およびヒトにお
いて生じる免疫学的機能の老化性の衰退が存在する。米国特許第5,276,057号お
よび第5,387,615号は、セレギリンが免疫系不全の治療に有用であることを示唆
している。本実験は、R(-)DMSおよびS(+)DMSがかかる不全の治療にも有
用であるか否かを判定するために行う。患者の正常な免疫的防御を強める能力が
、ガン、AIDSならびに細菌性およびウイルス性の両方の感染症を包含する広
範
な急性および慢性の疾患の治療に有益であることは認識されなければならない。
A.試験方法
本実験は、ラットモデルを用いて免疫機能を回復するためのR(-)DMSおよ
びS(+)DMSの能力を試験する。ラットは以下の実験群に分けた:
1)若齢ラット(3週齢、非注射);
2)老齢ラット(18-20週齢、非注射);
3)生理食塩水で注射した老齢ラット;
4)0.25mg/kg体重の投与量でセレギリンを注射した老齢ラット;
5)1.0mg/kg体重の投与量でセレギリンを注射した老齢ラット;
6)0.025mg/kg体重の投与量でR(-)DMSを注射した老齢ラット;
7)0.25mg/kg体重の投与量でR(-)DMSを注射した老齢ラット;
8)1.0mg/kg体重の投与量でR(-)DMSを注射した老齢ラット;
9)1.0mg/kg体重の投与量でS(+)DMSを注射した老齢ラット;
ラットは、60日間毎日、ip注射した。ついで、それを、注射を全く投与し
ない期間である10日間のさらなる「洗出し」期間維持した。この期間の最後に
動物を殺し、その脾臓を取り出した。ついで、その脾臓細胞を免疫系機能の指標
である種々の因子についてアッセイした。特に、標準試験を用いて以下の事項を
測定した:
1)脾臓細胞によるイン・ビトロのインターフェロン−γ産生;
2)インターロイキン-2のイン・ビトロ産生;
3)IgM陽性脾臓細胞の%(IgMはBリンパ球のマーカーである);
4)CD5溶性脾臓細胞の%(CD5はTリンパ球のマーカーである)
B.結果
ラット脾臓細胞によるインターフェロン産生に対するセレギリン、R(-)DM
SおよびS(+)DMSの注射の効果を図10および11に示す。図10に示すご
とく、(若齢動物からの細胞による産生と、老齢動物または生理食塩水を注射し
た老齢動物からの細胞による産生とを比較して)加齢につれて生じる細胞性イン
ター
フェロン産生の急激な低下が存在する。セレギリン、R(-)DMSおよびS(+)
DMSの注射は、すべて、γ-インターフェロンレベルの部分的な回復を誘導し
、最も顕著な増加は1.0mg/kg体重の投与量で起こった。
図10に示すのと同一のデータが、若齢ラットからの細胞についての結果が略
されていること以外、図11においても繰り返されている。該図は、デプレニル
、R(-)DMSおよびS(+)DMSが老齢ラットの脾臓細胞におけるγ-インター
フェロン産生を回復できる能力の範囲をより明確に示している。インターフェロ
ン-γは、ウィルス複製を阻害し、種々の免疫学的機能を調節する多機能蛋白質
である。それは、B-細胞により産生されるクラスの抗体に作用し、クラスIお
よびクラスII MHC複合体抗原を上方調節し、細胞内寄生体のマクロファージ-
媒介死殺の効率を高める。
図12は、ラット脾臓細胞によるインターロイキン-2の産生に対する注射の
効果を示している。R(-)DMSおよびS(+)DMSの両方が、若齢動物からの細
胞で認められるレベルまで産生を回復し得ることを認めることができる。
IgM陽性である脾臓細胞の%に対する注射の効果を図13に示す。セレギリ
ンおよびR(-)DMSは両方とも、若齢ラットの脾臓において認められるものに
近いレベルまでIgM陽性細胞を部分的に回復したことが判明した。かくして、
これらの剤はBリンパ球細胞数を回復しているようである。
図14は、0.025mg/kgのR(-)DMSまたはS(+)DMSのいずれか
の注射が、老齢ラットから得た脾臓におけるCD5陽性細胞の%をわずかに上昇
し得たことを示唆している。しかしながら、セレギリン、または0.25もしく
は1.0mg/kgのR(-)DMSでの注射はいずれも何ら効果を有していないよ
うであった。
C.結論
全体として、結果はDMSのエナンチオマーが免疫系機能に対するセレギリン
の効果を模倣するという結論を支持している。そのうえ、インターフェロン、I
L-2の産生、およびIgM陽性脾臓細胞の%に関して得られた結果は、DMS
エナンチオマーが老化性の免疫系機能の損失を少なくとも部分的に回復できると
いう結論を支持している。かくして、R(-)DMSおよびS(+)DMSは、弱化し
た受容体免疫により促進される疾病および症状に対して治療上有益な効果を有す
るであろう。この疾病および症状には、ガン、AIDSおよびすべてのタイプの
感染症が含まれよう。
実施例9:投与形の実施例
A.デスメチルセレギリン・パッチ
2成分を完全に混合し、ScotchpakR9723ポリエステルフィルム裏打ちシート
上にキャストし、乾燥する。その裏打ちシートをパッチに切り出し、ScotchpakR
1022フルオロポリマー放出ライナーを適用し、そのパッチを包装に密閉する。
神経細胞変性または神経細胞外傷により発生したヒトにおける症状、例えばパー
キンソン病の治療においては、1のパッチを毎日適用して、24時間当たり1-
5mgのデスメチルセレギリンを供給する。
B.眼科用液剤
塩酸塩としてのデスメチルセレギリン(0.1g)、ホウ酸1.9g、および硝酸
フェニル水銀0.004gを滅菌水に溶解して全量100mlとする。その混合
液を滅菌し、密封する。それは、ニューロン変性またはニューロン外傷によって
発生する症状、例えば、緑内障性の視神経障害および黄斑変性の治療に、眼科的
に用いることができる。
実施例3:静脈内溶液
1%溶液は、HCl塩としてのデスメチルセレギリン1gを0.9%等張生理
食塩水溶液に十分に溶解し、最終用量を100mlとすることによって調製する
。その溶液をクエン酸でpH4に緩衝化し、密封し、滅菌して、ニューロン変性
またはニューロン外傷によって発生する症状の治療において静脈内投与するのに
適した1%溶液を得る。
C.経皮パッチ
自己架橋性アクリルベースの感圧粘着剤を、メチルエチルケトンのごとき有機
溶媒中のメタクリル酸とジメチルアミノエチルメタクリル酸とのコポリマーの溶
液に添加する。これを、EP-A 593807号に記載のごとく、第一の除去可能な包装
上にキャストし、溶媒を蒸発させ、その被覆包装をポリエステルの裏打ち層に置
く。
塩酸デスメチルセレギリンを、適当な有機溶媒、例えば、酢酸エチル中の非-
架橋性アクリルベースの感圧粘着剤の溶液に添加する。分散液の形成を促進する
ために、さらなる溶媒を添加し、加熱および撹拌を適用することができる。これ
を第二の除去可能な包装上に被覆し、溶媒を蒸発させる。以前に調製したポリエ
ステル裏打ち層から包装を除去した後に、それを被覆した第二の除去可能な包装
に積層する。メチルエチルケトンのごとき有機溶媒中のさらなる自己架橋性アク
リルベースの感圧粘着剤およびメタクリル酸とジメチルアミノエチルメタクリル
酸とのコポリマーを第三の除去可能な包装上にキャストし、溶媒を蒸発させる。
該第二および第三の包装を除去し、残りの層を積層し、得られた積層をパッチに
切り出して包装した。得られたパッチは、除去可能な放出ライナー、最初はデス
メチルセレギリンを含んでいない粘着層、および塩酸塩(または他の塩)としての
デスメチルセレギリンを含有するマトリックス層を有するであろう。非浸透性の
裏打り層は、除去可能な放出ライナーに接する粘着層と同様に、中間粘着層を介
してマトリックス層に粘着している。ニューロン変性またはニューロン外傷によ
って発生するヒトにおける症状、例えば、パーキンソン病の治療においては、毎
日1のパッチを適用して、遊離塩基としてデスメチルセレギリンを供給する。
D.経口投与形
デスメチルセレギリンを含有する錠剤およびカプセル剤は、以下の成分
(mg/単位用量)から調製する:
デスメチルセレギリン 1-5
マイクロクリスタリン・セルロース 86
ラクトース 41.6
クエン酸 0.5-2
クエン酸ナトリウム 0.1-2
ステアリン酸マグネシウム 0.4
ほぼ1:1の比のクエン酸とクエン酸ナトリウムを混合する
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年2月28日
【補正内容】
請求の範囲
1.治療用途のS(+)-デスメチルセレギリンまたはその医薬上許容される酸
付加塩である化合物。
2.ニューロン保護(neuroprotection)またはニューロン救済(neuronal rescu
e)に使用する請求項1記載の化合物。
3.免疫系機能を回復または改善するのに使用する請求項1記載の化合物。
4.セレギリン-応答性の疾病を治療するのに使用する請求項1記載の化合物
。
5.パーキンソン病、アルツハイマー病またはADHDの治療に使用する請求
項1記載の化合物。
6.ニューロン保護またはニューロン救済に使用する薬剤を製造するための請
求項1規定の化合物の使用。
7.免疫系機能を回復または改善するのに使用する薬剤を製造するための請求
項1規定の化合物の使用。
8.セレギリン-応答性の疾病を治療するのに使用する薬剤を製造するための
請求項1規定の化合物の使用。
9.パーキンソン病、アルツハイマー病またはADHDを治療するのに使用す
る薬剤を製造するための請求項1規定の化合物の使用。
10.有効成分、デスメチルセレギリンまたはその医薬上許容される酸付加塩
である化合物を含む非経口薬剤。
11.全身投与に適した請求項10記載の薬剤。
12.非経口、舌下、口内または直腸投与に適した請求項11記載の薬剤。
13.デスメチルセレギリンが実質的に純粋なS(+)-エナンチオマーである
請求項10〜12いずれかに記載の薬剤。
14.デスメチルセレギリンが実質的に純粋なR(-)-エナンチオマーである請
求項10〜12いずれかに記載の薬剤。
15.化合物が塩酸塩である請求項14記載の薬剤。
【手続補正書】
【提出日】1997年10月13日
【補正内容】
補正した請求の範囲
1.有効成分としてS(+)エナンチオマー-デスメチルセレギリンまたはその医
薬上許容される酸付加塩を含むニューロン保護またはニューロン救済用の医薬組
成物。
2.有効成分としてS(+)エナンチオマー-デスメチルセレギリンまたはその医
薬上許容される酸付加塩を含む免疫系機能を回復または改善させるための医薬組
成物。
3.有効成分としてS(+)エナンチオマー-デスメチルセレギリンまたはその医
薬上許容される酸付加塩を含むセレギリン-応答性の疾病を治療するための医薬
組成物。
4.有効成分としてS(+)エナンチオマー-デスメチルセレギリンまたはその医
薬上許容される酸付加塩を含むパーキンソン病、アルツハイマー病またはADH
Dを治療するための医薬組成物。
5.有効成分としてR(-)エナンチオマー-デスメチルセレギリンまたはその医
薬上許容される酸付加塩を含むニューロン保護またはニューロン救済用の医薬組
成物。
6.有効成分としてR(-)エナンチオマー-デスメチルセレギリンまたはその医
薬上許容される酸付加塩を含む免疫系機能を回復または改善させるための医薬組
成物。
7.有効成分としてR(-)エナンチオマー-デスメチルセレギリンまたはその医
薬上許容される酸付加塩を含むセレギリン-応答性の疾病を治療するための医薬
組成物。
8.有効成分としてR(-)エナンチオマー-デスメチルセレギリンまたはその医
薬上許容される酸付加塩を含むパーキンソン病、アルツハイマー病またはADH
Dを治療するための医薬組成物。
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