【発明の詳細な説明】
C−Cケモカイン受容体3:CKR−3またはEos−L2関連出願
本願は、1995年1月19日に出願された米国出願第08/375,199号の一部継続出願
であり、その教示はすべて参考文献により本明細書に合体させる。政府の補助
本明細書に記述する研究はその全部または一部が米国政府の助成金によって補
助された。米国政府は本発明に関して一定の権利を有する。背景技術
ケモカイン類はインテクリン(intecrine)類とも呼ばれ、化学誘引機能を持
つサイトカインファミリーの可溶性で低分子量の構成要素である。ケモカイン類
は、例えば、単球、マクロファージ、好酸球、好塩基球、マスト細胞などの白血
球、T細胞、B細胞などのリンパ球および多形核白血球(好中球)などを含む血液
を構成する(赤血球以外の)要素の走化性を選択的に誘導できる。走化性の刺激
に加えて、ケモカイン類は、細胞形状の変化、細胞内遊離カルシウム濃度([Ca2+
]i)の一過性上昇、顆粒エキソサイトーシス、インテグリン上方調節、生物
活性脂質(ロイコトリエンなど)の形成および呼吸バーストなどの応答性細胞に
白血球の活性化に伴う他の変化を選択的に誘発することもできる。したがってケ
モカイン類は炎症性応答の初期誘因剤であり、感染または炎症部位への炎症媒介
物質の放出、走化性および管外溢出を引き起こす。
現在までに特徴づけられたケモカイン類はその一次構造に関連性を持つ。これ
らは、ジスルフィド結合を形成する4つの保存されたシステインを共有する。数
種類のケモカイン類のcDNAクローニングと生化学的特徴づけによって、これらの
蛋白質は20〜25アミノ酸のリーダー配列を持ち、それが分泌時に切断されて約92
〜99アミノ酸の成熟蛋白質が生じることがわかっている。このファミリーは、こ
の保存されたシステインモチーフに基づいて、C-Cケモカイン類(β-ケモカイ
ン類)およびC-X-Cケモカイン類(α-ケモカイン類)と呼ばれる2つの種類に分
けられ、保存されたシステインの最初の2つが前者の場合は隣接しており、後者
の場合は介在残基によって分離されている。Baggiolini,M.およびC.A.Dahinde
n,Immunology Today,15:127-133(1994))。
C-X-Cケモカイン類には、インターロイキン8(IL-8)、PF4および好中球活性
化ペプチド2(NAP-2)など、好中球の強力な化学誘引物質であり活性化因子であ
るいくつかの化学誘引物質が含まれる。C-Cケモカイン類には、単球またはリン
パ球の化学誘引物質であり活性化因子であると特徴づけられているが、好中球に
とっては化学誘引物質でないと思われるヒト単球走化性蛋白質1〜3(MCP-1、MCP
-2およびMCP-3)、RANTES(Regulated on Activation,Normal T Expressed and
Secreted)およびマクロファージ炎症性蛋白質1αおよび1β(MIP-1αおよびMI
P-1β)などの分子が含まれる。例えば、組換えRANTESは試験管内で単球とメモ
リーT細胞の化学誘引物質である(Schall,T.J.ら,Nature,347:669-671(1990
))。さらに最近になって、分子内に単一のシステイン対を有し、リンパ球を誘
引するリンフォタクチン(lymphotactin)と呼ばれるケモカインが同定されてい
る(Kelner,G.S.ら,Science,266:1395-1359(1994))。
C-Cケモカイン類は、アレルギー性炎症におけるその潜在的役割ゆえに大変興
味深い。例えば、MCP-1はヒト好塩基球のエキソサイトーシスを誘発し、ヒスタ
ミンおよびロイコトリエンC4などの炎症媒介物質の高レベルな放出をもたらす。
同様に、ケモカイン結合に応答して起こるこれらの細胞事象を誘発するC-Cケモ
カイン類の受容体も極めて興味深い。最近、C-Cケモカイン類のある受容体がク
ローニングされたが、これはMIP-1αおよびRANTESを結合すると報告されている
。したがって、このMIP-1α/RANTES受容体はC-Cケモカイン受容体1と命名された
(CKR-1;Neote,K.ら,Cell,72: 415-425(1993);Horuk,R.ら,国際公開
第94/11504号パンフレット,1994年5月26日公開;Gao,J.-I.ら,J.Exp.Med.,
177: 1421-1427(1993))。MCP-1受容体もクローニングされている(
Charo,I.F.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91: 2752(1994))。CKR-2と
命名されたこの受容体はMCP-1を高い親和性で結合し、MCP-3にはそれより低い親
和性で結合すると報告されている(Charo,I.F.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,91: 2752-2756(1994))。CKR-2は、異なる細胞質テイルを産生するイソタ
イプA中の択一的スプライス部位の使用によって生じる2つのイソタイプとして
存在することが示されている。この領域でスプライシングされないイソタイプB
は、結合分析とシグナル伝達分析で、MCP-1およびMCP-3の機能的受容体であるこ
とが示されている(Charo,I.F.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:2752-27
56(1994);Myers,S.J.ら,J.Biol.Chem.,270: 5786-5792(1995))。さ
らに最近になって、CKR-4と呼ばれる新しい受容体が記述されている。この受容
体に由来するcRNAは、X.laevis卵母細胞に注射すると、MCP-1、MIP-1αおよびR
ANTESに応答して、Ca2+活性化塩素流を生じると報告された(Power,C.A.ら,J
.Biol.Chem.,270: 19495-19500(1995))。
MCP-1受容体(CKR-2)およびC-Cケモカイン受容体1は7回膜貫通型G蛋白質共
役受容体のスーパーファミリーに属すると予想される(Gerard,C.およびGerard
,N.P.,Annu.Rev.Immunol.,12: 775-808(1994);Gerard,C.およびGerard
,N.P.,Curr.Opin.Immunol.,6: 140-145(1994))。このG蛋白質共役(ヘ
ビ状)受容体ファミリーは、7つの膜貫通領域を含有する内在性膜蛋白質の大き
いグループからなる。これらの受容体のリガンドには、エピネフリンおよびノル
エピネフリンなどの生物起源の小さいアミン分子、サブスタンスPおよびニュー
ロキニンなどのペプチド、ケモカインなどのより大きな蛋白質など、多様な分子
群が含まれる。これらの受容体はG蛋白質に結合している。G蛋白質はGTP結合能
を持ち、例えば細胞内媒介因子の生産によって、結合した受容体からのシグナル
伝達を媒介できるヘテロ三量体調節蛋白質である。
2種類のIL-8受容体cDNAのクローニングと配列決定によれば、これらのC-X-C
受容体蛋白質も7回膜貫通型G蛋白質共役受容体蛋白質と配列類似性を共有する
ことが明らかである(Murphy,P.M.およびH.L.Tiffany,Science,253: 1280-1
283(1991);Murphyら,国際公開第WO93/06299号パンフレット;Holmes,W.E.
ら,Science,253: 1278-1280(1991))。アナフィラトキシンC5aや細菌ホルミ
ル化トリペプチドfMLPなどの走化性蛋白質に対する他の受容体もクローニングに
よって特徴づけられており、やはりこれらの7回膜貫通型蛋白質に対して配列類
似性を持つ受容体蛋白質をコードすることがわかっている(Gerard,N.P.および
C.Gerard,Nature,349: 614-617(1991);Boulay,F.ら,Biochemistry,29:
11123-11133(1990))。既知のケモカイン受容体に対して有意な配列類似性を
持ち、組織および白血球亜集団分布も似ている蛋白質が他にもいくつか同定され
クローニングされているが、これらの受容体のリガンドは不確定のままである。
したがって、これらの蛋白質はオーファン受容体と呼ばれている。
ケモカイン類とそれらの標的細胞との相互作用およびこの相互作用によって刺
激される白血球の走化性と細胞活性化などの事象を理解するには、さらなる遺伝
子およびコードされる受容体の単離と特徴づけならびに対応するリガンドの特徴
づけが必須である。発明の要約
本発明は、C-Cケモカイン受容体3(CKR-3)と呼ばれる哺乳類(例えばヒト)
受容体蛋白質をコードする単離および/または組換え核酸に関する。さらに本発
明は、本発明の受容体蛋白質または該受容体の一部をコードする核酸を含有する
、プラスミドまたはレトロウイルスベクターなどの組換え核酸構築物に関する。
本発明の核酸と構築物を用いることによって組換え受容体蛋白質を生産できる。
もう1つの態様として、本願核酸は、本発明の受容体をコードする第2の核酸と
ハイブリダイズ可能で、細胞に導入すると、受容体の発現を阻害できるアンチセ
ンス核酸をコードする。
本発明のもう1つの側面は、本明細書で「単離組換え哺乳類CKR-3受容体」と呼
ぶ蛋白質またはポリペプチドに関する。組換えCKR-3受容体またはポリペプチ
ドは、本明細書に記述するように、宿主細胞中で生産できる。1つの態様におい
て、受容体蛋白質は、エオタキシン、RANTESおよび/またはMPC-3などの1以上の
ケモカイン類の高アフィニティー結合および/または(1以上の)細胞応答(例え
ば走化性、エキソサイトーシス、1以上の炎症媒介物質の放出など)を刺激する
能力によって特徴づけられる。
受容体と反応する抗体は、例えば、受容体またはその一部を免役原として用い
るか、受容体蛋白質またはポリペプチドを発現する細胞を用いることによって生
産できる。かかる抗体やその断片は、受容体蛋白質の精製および研究、表面受容
体を発現する細胞の同定ならびに細胞の選別または計数を含む治療的応用、診断
的応用および研究的応用に有用である。
また本発明は、受容体のリガンドならびに受容体機能の阻害剤(例えばアンタ
ゴニスト)や促進剤(例えばアゴニスト)を同定する方法をも包含する。1つの
態様において、該細胞に導入された核酸によってコードされる受容体蛋白質また
はポリペプチドを発現するように操作されている適当な宿主細胞をアッセイに用
いて、受容体機能のリガンド、阻害剤または促進剤を同定し、その効力を評価す
る。かかる細胞は発現された受容体蛋白質またはポリペプチドの機能を評価する
際にも有用である。
本発明によれば、受容体機能のリガンド、阻害剤および促進剤を同定し、さら
に治療的効果について評価することができる。リガンドおよび促進剤は必要に応
じて正常な受容体機能の刺激するために使用でき、一方、受容体機能の阻害剤は
受容体活性を軽減または阻害するために使用できる。したがって本発明は、種々
の炎症性疾患と自己免疫疾患に有用な抗炎症療法であって、個体(例えば哺乳類
)に受容体機能の阻害剤を投与することからなる新規な方法を提供する。対照的
に、個体に対するリガンドまたは促進剤の投与による受容体機能の刺激は、例え
ば寄生虫感染症の治療に有用な白血球機能の選択的刺激に対する新規な方法を提
供する。図面の簡単な説明
図1A-1CはヒトCKR-3蛋白質(Eos L2受容体とも呼ぶ)をコードするゲノムクロ
ーンから決定したヌクレオチド配列(配列番号:1)およびそのオープンリーデ
ィングフレームによってコードされている蛋白質の予想アミノ酸配列(配列番号
:2)を示す。
図2A-2BはヒトCKR-3受容体をコードするcDNAから決定したヌクレオチド配列(
配列番号:3)およびそのオープンリーディングフレームによってコードされて
いる蛋白質の予想アミノ酸配列(配列番号:4)を示す。
図3は、経内皮走化性アッセイの一種の図解である。24ウェルプレートのウェ
ルなどの容器に培養インサートを設置することによって、そのウェル内に第1室
と第2室を作る。ECV304内皮細胞をそのインサートの内側のポリカーボネート膜
上に単層に生育させる。物質(例えばケモカイン)に対する応答について評価し
ようとする細胞を上室に入れ、その物質を下室に入れる。内皮層を通過して下室
に移動する細胞を検出する(インサートを除去し、適当な方法で細胞を検出また
は計数する)ことによって、走化性を評価できる。例えば、下室の細胞を集め、
それをフローサイトメトリー(例えばFACS分析、光散乱)で評価することができ
る。
図4は種々のケモカインに応答して起こるヒト好酸球の走化性を表すヒストグ
ラムである。標準的な手法でヒト好酸球を精製し、24ウェル経内皮走化性アッセ
イで種々のケモカイン類に対する応答を顕微鏡で評価した(細胞/ハイパワーフ
ィールド(HPF))。
図5A-5Bは種々のケモカイン類に対するHL-60細胞(図5A)および酪酸分化HL-6
0細胞(図5B)の応答を表すヒストグラムである。内皮被覆インサートを用いて
走化性アッセイを行い、それを1.5時間続けた。結果は10回行なった異なる実験
の代表例である。
図6はEos L2でトランスフェクトしたL1-2前B細胞の種々のクローンのFACS分
析の図である。200を超えるクローンから得た細胞を、M2抗FLAG MAbとそれ
に続く抗マウスIg-FITCで染色した(Y-軸は細胞数;X-軸は蛍光)。陰性対照(P
AUL001)では、トランスフェクトした細胞を無関係な抗体で染色した。
図7はヒト好酸球に対するRANTESおよびMIP-1αの結合を表すヒストグラムであ
る。精製した正常ヒト好酸球を、250nMの種々の非放射性ケモカイン類(MIP-1α
、RANTES、IL-8、MCP-1、MCP-3)の存在下または不在下で、0.1nM 125I-標識MIP
-1αまたはRANTES(放射性)と共に培養した。
図8は種々の非放射性ケモカイン類(RANTES、MIP-1α、MCP-1およびMCP-3)に
よるヒト好酸球に対する125I-標識RANTES結合の阻害を表すグラフである。ヒト
好酸球を0.1nM放射線標識RANTESおよび指定した濃度の非放射性ケモカイン類と
共にインキュベートした。プロットしたデータは各試料につき2連の平均と標準
偏差である。
図9は非放射性ケモカイン類(250nM)の存在下または非存在下における酪酸分
化HL-60細胞に対する0.1nM放射線標識MIP-1αまたはRANTES(「放射性」)の結
合を表すヒストグラムである。
図10はEos L2感染SF9細胞に対する0.1nM 125I-標識(「放射性」)RANTESまた
は0.1nM 125I-標識(「放射性」)MCP-3の結合を表すヒストグラムである(cpm
,1分あたりのカウント数)。(左から右に向かって、放射性RANTESのみ;放射
性RANTES+非放射性RANTES;放射性MCP-3のみ;放射性MCP-3+非放射性MCP-3)。
図11A-11Bは酪酸分化HL-60細胞に対するMCP-3の結合を表すグラフである。図1
1Aでは、0.1nM放射線標識MCP-3の結合を種々の濃度の非放射性MCP-3の存在下で
評価した。図11Bは図11Aのデータから計算したスキャッチャード(Scatchard)
プロットである。
図12A-12Bは、モノクローナル抗体(MAb)LS26-5H12を一次抗体とし、FITC-抗
マウスIgを二次抗体として用いた、Eos L2の発現に関するヒト好酸球(図12
A)とリンパ球(図12B)のFACS分析の結果の図である。「neg」は、一次抗体と
して非特異的抗体を用いた陰性対照を示す。
図13A-13Dは白血球におけるCKR-3発現をMAb LS26-5H12およびフローサイト
メトリーを用いて決定したグラフである。白血球の亜群を抗CKR-3 MAb LS26-
5H12(実線)またはIgG1イソタイプ適合対照抗体(MOPC-21)(影付き図)で染
色した。図13A,好酸球;図13B,T細胞;図13C,単球;図13D,好中球。ヨウ化
プロピジウム染色に基づいて死亡細胞を排除した。
図14A-14Cは、CKR-3受容体で一過性にトランスフェクトしたL1.2細胞(図14A
)、mockトランスフェクトしたL1.2対照細胞(図14B)またはE5細胞株(安定なL
1.2 CKR-3トランスフェクタント)(図14C)の抗CKR-3モノクローナル抗体(LS2
6-5H12,実線)による細胞表面染色を表すグラフである。対照モノクローナル抗
体MOPC-21によるバックグラウンド染色も示す(影付き図)。
図15A-15Dは、E5細胞株(CKR-3受容体でトランスフェクトされた安定なL1-2細
胞株;図15A)またはヒト好酸球(図15B)に対する放射線標識ヒトエオタキシン
の競合的リガンド結合の結果を表すグラフである。細胞を0.6nM 125I-標識エオ
タキシンおよび種々の濃度の非標識エオタキシン(○)、RANTES(△)またはMC
P-3(□)と共にインキュベートした。室温で60分の後、細胞ペレットを洗浄し
、計数した。非標識エオタキシン競合のスキャッチャードプロットをデータから
計算した(図15C,E5細胞株;図15D,好酸球)。
図16は種々のケモカイン類によるE5細胞株に対するヒトエオタキシン結合の阻
害を表すヒストグラムである。E5細胞(安定なL1-2/CKR-3トランスフェクタント
)を、0.6nM放射線標識エオタキシンおよび250nMの指定の非標識ケモカイン類と
共に、または競合剤なしでインキュベートした。
図17A-17CはL1.2細胞およびL1.2受容体トランスフェクタントの走化性を表す
ヒストグラムである。1×106細胞のE5細胞株(安定なL1-2/CKR-3トランスフェ
クタント)(図17A)、L1.2親細胞株(図17B)またはIL-8 RB L1.2受容体トラ
ンスフェクタント株LSLW-2(図17C)を上室に入れ、ケモカイン類を指定した濃
度で下室に入れた。4時間移動させ、下室に移動する細胞を計数した。すべての
アッセイを2連で行い、結果は少なくも3回行なった別個の実験の代表例である。
ケモカイン類をx-軸に沿って記載し、移動した細胞数をy-軸に沿って記載し、ケ
モカインの濃度をz-軸に沿って記載する。
図18A-18Bは2つの異なる個体から得た好酸球の走化性応答を表すグラフである
。その応答はCKR-3 L1.2トランスフェクタントの応答に似ている。エオタキシン
、RANTES、MCP-3およびMIP-1αに対する好酸球の走化性応答にはドナー間の相違
が観測された。好酸球を血液から精製し、種々の濃度のケモカイン類に対するそ
の走化性応答について評価した。値は、同じ2人のドナーを用いて少なくとも4回
行なった実験の代表例から得たものである。
図19は、293細胞をA31 cDNAクローンでトランスフェクトすることによって得
た安定な細胞株(A31-293-20)の膜に対する125I-標識RANTESの結合(中心に点
を打った四角)を非トランスフェクト293細胞の膜に対する結合(黒丸)と比較
したグラフである。
図20は、293細胞をA31 cDNAクローンでトランスフェクトすることによって得
た安定な細胞株(A31-293-20)の膜に対する125I-標識MCP-3の結合を非トランス
フェクト293細胞の膜に対する結合と比較したヒストグラムである。トランスフ
ェクトされた細胞(A31-20)またはトランスフェクトされていない細胞(UT293
)の膜に対する標識MCP-3の結合を、非放射性MCP-3の非存在下(0nM)または非
放射性MCP-3の存在下(100nM)で決定した。
図21は、非放射性MCP-3によってトランスフェクタント(A31-20)または非ト
ランスフェクタント(UT293)の膜から外される結合性125I-標識MCP-3の量を決
定することによって評価した、結合の特異性を表すヒストグラムである。発明の詳細な説明
本明細書に記述するように、Eos L2またはC-Cケモカイン受容体3(CKR-3)
と呼ばれる新規ヒト受容体をコードする核酸を単離した。ヒトのゲノムクローン
およびcDNAクローンの両方を特徴づけた。cDNAクローンは、過好酸球増加症候群
の患者から得た好酸球から構築された好酸球cDNAライブラリーから単離した。そ
れらのクローンを配列分析したところ、G蛋白質共役受容体であって類似の7回膜
貫通領域構造を持つと考えられる他のC-Cケモカイン受容体とアミノ酸配列類似
性を共有する355アミノ酸の予想蛋白質をコードする1065ヌクレオチドのオープ
ンリーディングフレームを含有する遺伝子が明らかになった(図1A-1Cおよび2A-
2B;配列番号:2および4)。
CKR-3ゲノムクローンおよびCKR-3 cDNAクローンがコードする予想蛋白質は、
各24位、106位、183位および273位の細胞外ドメインに1個ずつ、4つのシステイ
ン残基を含有する(配列番号:2および4)。これらの位置のシステインは、CKR
-1、CKR-2、CKR-4、IL8-RAおよびIL8-RBを含むすべてのケモカイン受容体に保存
されている。さらに、この受容体はDRYLAIVHA(残基130-138)というアミノ酸モ
チーフを含有する(配列番号:2および4)。このモチーフもC-X-CおよびC-Cケ
モカイン受容体間で高度に保存されており、細胞内にあると予想される。プロテ
インキナーゼCリン酸化の共通部位(Kishimoto,A..ら,J.Biol.Chem.,260:
12492-12499(1985);Woodgett,J.R.,Eur.J.Biochem.,161: 177-184(198
6))が2つあり、1つは第3細胞内ループのアミノ酸位置231に、もう1つは細胞
質テイルのアミノ酸位置333に存在する。さらに、細胞質テイルには8つのセリン
/スレオニン残基が存在し、これらは、例えば好中球から単離されたもの(Harib
au,B.およびR.Synderman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90: 9398(1993)
)などのG蛋白質共役受容体キナーゼや他の関連するファミリー構成員(Benovic
,J.L.およびGomez,J.,J.Biol.Chem.,268: 19521-19527(1993);Kunapu
li.P.およびBenovic,J.L.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90: 5588-5594(19
93))のリン酸化部位として機能しうる。セリン/スレオニンが豊富な細胞質テ
イルもサイトカイン受容体に共通する特徴である。CKR-1
、CKR-2、CKR-4、IL-8RAおよびIL-8RB受容体とは異なり、CKR-3はどの細胞外ド
メインにもN-結合型グリコシル化部位を含有しない。CKR-3受容体蛋白質は、MIP
-1α/RANTES受容体とも呼ばれるC-Cケモカイン受容体1とは異なる。
ゲノムライブラリーおよびcDNAライブラリーから得た核酸配列は次の例外を含
めて同一線形順序で並んでいた。2つの配列は、開始コドンの上流が異なる(図
2Aの78位)。ゲノムクローンは、プロモーターおよび5'非翻訳領域のほとんどを
コード領域から隔離するイントロンを持つようである。このゲノム配置は、IL-8
RAおよびRB(Ahuja,S.K.ら,J.Biol.Chem.,269: 26381-89(1994);Spre
nger,H.ら,J.Biol.Chem.,269: 11065-11072(1994);Sprenger,H.ら,J
.Immunol.,153: 2524-2532(1994))およびCKR-1(Gao,J.L.ら,J.Exp.M
ed.,177: 1421-1427(1993))を含む他の7回膜貫通型化学誘引物質受容体に
認められるものと類似する(Gerard,N.P.ら,Biochemistry,32: 1243-1250(1
993);Murphy,P.M.ら,Gene,133: 285-290(1993))。さらに相違点の周辺
のゲノム配列を調べると、規範的なスプライス受容配列が認められる。
当初の配列情報によって、cDNA配列が、1塩基の挿入とそれに続く1塩基の欠失
または1塩基の欠失とそれに続く1塩基の挿入から生じたイン・フレームでシフト
していると思われる2つの領域が明らかになった。これらの変異は予想される蛋
白質の263〜266と276〜279のそれぞれに、4つの連続するアミノ酸相違をもたら
した。他の相違は予想される蛋白質の182位、196位、197位および315位にアミノ
酸相違をもたらした。配列番号:5に記載のヌクレオチド配列は両クローンで配
列決定された領域を含む共通配列であり、当初の核酸配列の単純な整列(塩基対
塩基)によって構築したものである。cDNAクローンおよびゲノムクローンの間の
当初のアミノ酸相違をXaaで示す配列番号:6は、配列番号:5の予想蛋白質を
表す。しかし、さらに配列分析を行なったところ、オープンリーディングフレー
ムのヌクレオチド配列は図2Bのヌクレオチド918〜919に対応する位置でのみ異な
ると思われることが明らかになった。ゲノムクローンはこの位置
にCGを持ち、一方、cDNAクローンはこの位置にGCを持つ。したがってゲノムクロ
ーンは276位にスレオニン(ACG)をコードし、cDNAクローンは276位にセリン(A
GC)をコードする。この相違は配列決定のあいまいさによるものか、逆転写中に
cDNAに導入された間違いかもしれない。あるいは、この保存的置換(セリン/ス
レオニン)は個体間の多形性によるのかもれない。さらにまた、この相違はcDNA
ライブラリー構築用のRNAを採取した患者の好酸球中の受容体遺伝子の突然変異
によるのかもしれない。
ヒト由来のC-Cケモカイン受容体3に特異的なモノクローナル抗体とポリクロー
ナル抗体を、この受容体のN-末端合成ペプチドを用いて作製した。そのモノクロ
ーナル抗体の1つを用いるFACS(蛍光活性化細胞選別)分析によって、この受容
体がヒト好酸球にはかなり発現するが、単球、好中球、リンパ球、T細胞、T細胞
芽細胞(CD3 MAbによる活性化で生成したもの)を含む白血球には発現しない
ことが明らかになった(図13A-13D)。この発現パターンは高度に精製した白血
球亜群のRNAを用いるノーザン分析によって確認された。しかし、いくつかの実
験ではCKR-3 mRNAまたはCKR-3受容体がTリンパ球中に検出されたので、CKR-3がT
リンパ球の亜群で発現される可能性はある(実施例5)。
また、ゲノムクローンおよびcDNAクローンを種々の系で発現させた。トランス
フェクトされた哺乳類細胞およびバキュロウイルス感染昆虫細胞におけるゲノム
クローン由来の受容体の発現を、抗体を用いて検出した。CKR-3を発現する哺乳
類細胞の安定なトランスフェクタントを構築したところ、コードされている受容
体が、好酸球で観測された結合親和性に匹敵する高い親和性で、特異的に放射線
標識エオタキシンを結合することがわかった。トランスフェクト れた哺乳類細
胞を用いる研究によって、この受容体がRANTESおよびMCP-3をも高い親和性で特
異的に結合するが、試験した他のCCまたはCXCケモカイン類とは結合しないこと
が示された。この結合データと一致して、本明細書に示すように、ネズミB細胞
リンパ腫株に生成した受容体トランスフェクタントは、走化性アッセイでエオタ
キシン、RANTESおよびMCP-3に応答して移動したが、試験した他のケモカイン類
には応答しなかった。いくつかの異種系で発現させると、このヒト受容体は使用
した条件下でMIP-1αに有意な結合をしなかった。さらに、好酸球および好酸球
様細胞株を用いる走化性ならびにリガンド結合アッセイは、RANTESおよびMCP-3
が、MIP-1α/RANTES受容体であるC-Cケモカイン受容体1とは異なる受容体を介し
て好酸球に結合することを示す。
好酸球化学誘引物質としてのMIP-1αの役割には議論がある。ある研究者らは
走化性応答を検出するし(Rot,A.ら,J.Exp.Med.,176: 1489-1495(1995)
)、その一方で他の研究者らはそれを検出しない(図4、実施例1;Ebisawa,M
.ら,J.Immunol.,153: 2153-2160(1994);Ponath,P.D.ら,J.Clin.Inve
st.,(1996)(印刷中))。興味深いことに、MIP-1αはマウスにおける好酸球
化学誘引物質であり、これは、ネズミエオタキシンとも結合してシグナルを発信
するネズミCKR-3ホモログによって媒介されるようである(Post,T.W.ら,J.Im
munol.,155: 5299-5305(1995);この文献の全教示は参考文献により本明細書
に合体される)。
本発明の蛋白質および抗体を用いると、CKR-3受容体を発現するさらなる細胞
タイプ(例えば好塩基球などの白血球)とさらなるリガンドを同定できる。本発
明によれば、他のケモカイン類の哺乳類CKR-3受容体結合能を評価できる。
新規受容体をコードするクローンのクローニングおよび特徴づけならびにエオ
タキシン、RANTESおよびMCP-3のようなケモカイン類を結合し、それに応答して
起こる走化性を媒介することが示される新規CKR-3受容体の単離と特徴づけは、
この受容体が、ケモカイン類に応答して起こる選択的な白血球の走化性および活
性化に関与する7回膜貫通型G蛋白質共役受容体ファミリーの一員であることを
示唆している。CKR-3受容体およびその哺乳類ホモログはMIP-1α/RANTES受容体
およびMCP-1受容体とは異なる(つまりCKR-3受容体はC-Cケモカイン受容体1(CK
R-1)およびMCP-1受容体(CKR-2)ならびにそれらのホモログ以外の受
容体である)。
化学誘引物質に応答して起こる白血球走化性と白血球活性化の選択的誘導にお
けるケモカイン受容体の役割ゆえに、ケモカイン受容体は白血球移動、とりわけ
炎症に伴う移動に重要な役割を果たす。炎症および感染の部位で生産されたケモ
カイン類は、循環から組織内の炎症部位に、選択された白血球亜型を特異的に補
充する。白血球ケモカイン受容体に対するケモカイン結合に引き続いてインテグ
リンの活性化が起こり、白血球インテグリンおよび内皮細胞接着分子を介して白
血球が内皮細胞壁に強固に接着する。白血球は平坦な形になり、内皮を通過して
組織内の炎症部位に向かって移動する。白血球の組織または炎症部位に対する特
異性は多くの場合、インテグリンと細胞接着分子の間の接着相互作用のレベルで
はなく、ケモカイン-受容体相互作用のレベルで決定される。
RANTESおよびMCP-3は好酸球と好塩基球にとって最も強力な走化性サイトカイ
ン類に属する。さらに、RANTESは、Tリンパ球の亜集団であるメモリーT細胞にと
っても化学誘引物質であると報告されている。本明細書に示すように、RANTESお
よびMCP-3は好酸球と好酸球様細胞の走化性を誘発できる。本明細書に記述するC
KR-3受容体蛋白質も、RANTESおよびMCP-3を高い親和性で結合する。
さらに本明細書で明らかにするように、CKR-3はエオタキシンを(好酸球で観
察される結合親和性と比較して)高い親和性で特異的に結合し、CKR-3受容体は
その発現が高度に制限されている。例えばRANTESおよびMCP-3(Baggiolini,M.
およびDahinden,C.A.,Immunol.Today,15: 127-33(1994);Dahinden,C.A.
ら,J.Exp.Med.,179: 751-756(1994);Kameyoshi,Y.ら,J.Exp.Med.,1
76; 587-592(1992);Rot,A.ら,J.Exp.Med.,176: 1489-1495(1995))
ならびにPAF、C5aおよびIL-16(Wardlaw,A.J.ら,J.Clin.Invest.,78: 170
1-1706(1986);Gerard,N.P.ら,J.Biol.Chem.,264: 1760-1765(1989);R
and,T.H.ら,J.Exp.Med.,173: 1521-1528(1991))など、好酸球に対する
化学誘引物質がいくつか同定されているが、これらの化学誘引物質は他の白
血球細胞型の移動をも誘発する。対照的に、最初はモルモットで同定され、続い
てマウスとヒトで同定された強力な好酸球化学誘引物質であるケモカイン、すな
わち、エオタキシンは、選択的に好酸球の走化性を誘導する(Jose,P.J.ら,Bi
ochem.Biophys.Res.Commun.,205: 788-794(1994);Jose,P.J.ら,J.Exp
.Med.,179: 881-887(1994);Rothenburg,M.E.ら,Proc.Natl.Acad..Sci
.U.S.A.,92: 8960-8964(1995);Ponath,P.D.ら,J.Clin.Invest.,(199
6)(印刷中))。さらに、CKR-3だけでなくCKR-1とCKR-2をも結合するMCP-3(B
en-Baruch,A.ら,J.Biol.Chem.,270: 22123-22128(1995))またはCKR-1と
CKR-4を結合するMIP-1α(Neote,K.ら,Cell,72: 415-425(1993);Power,
C.A.ら,J.Biol.Chem.,270: 19495-19500(1995))のようなケモカイン類
とは対照的に、エオタキシンは高い忠実度でCKR-3に結合し、CKR-3を介してシグ
ナルを発信する。好酸球に制限されたCKR-3の発現とCKR-3に対するエオタキシン
結合の忠実さは、組織における好酸球の選択的な補充と移動の考えうる機構とな
る。これに関して、組織内におけるエオタキシンの生産は選択的な好酸球補充を
誘発することができ、アカゲザルの皮膚内にエオタキシンを注射すると選択的な
好酸球移動が起こる。さらにエオタキシンは、CKR-3トランスフェクタントの試
験管内走化性と同様に、生体内でもRANTESより10倍低い投与量で好酸球を補充す
ることが示されている(Ponath,P.D.ら,J.Clin.Invest.,(1996)(印刷中
))。
結合、シグナル発信または細胞応答の刺激などの受容体機能の阻害または促進
による本発明の哺乳類CKR-3受容体機能の調節は、白血球が媒介する炎症性作用
、とりわけ好酸球および/またはT細胞の作用の効果的かつ選択的な阻害または促
進法を提供する。例えば、本明細書に記述するように同定されるCKR-3受容体機
能のリガンド、阻害剤および促進剤を用いて、治療目的で白血球機能を調節する
ことができる。
好酸球はMIP-1α受容体を発現せず、有意な量のMCP-1受容体を発現しない。
さらに、上述のように、エオタキシンおよびRANTESは好酸球にとって最も強力な
化学誘引物質に属し、エオタキシンおよびRANTESはCKR-3受容体に高い親和性で
特異的に結合する。CKR-3受容体は、主要な好酸球およびリンパ球ケモカイン受
容体として、好酸球および/またはTリンパ球機能の干渉または促進にとって重要
な標的である。CKR-3受容体機能を阻害または促進する化合物、例えば本願方法
によって同定されるリガンド、阻害剤および促進剤などは、治療目的で好酸球お
よび/またはT細胞機能を調節する際にとりわけ有用である。核酸、構築物およびベクター
本発明は、Eos L2またはC-Cケモカイン受容体3(CKR-3)と命名された哺乳類
(例えばヒト)受容体蛋白質ならびに該受容体の一部をコードする配列を持つ単
離および/または組換え(例えば実質上純粋なものを含む)核酸に関する。1つ
の態様において、上記核酸またはその一部は、哺乳類C-Cケモカイン受容体(例
えば哺乳類CKR-3受容体)に特徴的な機能、例えば結合活性(リガンド、阻害剤
および/または促進剤結合など)、シグナル発信活性(哺乳類G蛋白質の活性化
、細胞質遊離カルシウム濃度[Ca2+]iの迅速かつ一時的な増加の誘導など)お
よび/または細胞応答の刺激(走化性、エキソサイトーシスまたは白血球による
炎症媒介物質の放出の刺激、インテグリン活性化など)などを少なくとも1つは
持つ蛋白質またはポリペプチドをコードする。より具体的には、本発明は哺乳類
CKR-3受容体またはその一部をコードする配列からなる単離および/または組換え
核酸またはその一部に関する。
さらに本発明は、(1)(a)配列番号:1、配列番号:3または配列番号:5
の配列を持つ核酸、(b)配列番号:1、3または5のいずれかの相補鎖、(c)
コード領域(配列番号:1のヌクレオチド181-1245、配列番号:3のヌクレオチ
ド92-1156または配列番号:5のヌクレオチド15-1079)からなる前述の配列の一
部または前述の配列のいずれかのRNA体(TがUで置換されているもの)とハイブ
リダイズできること、または(2)配列番号:2、配列番号:4もしく
は配列番号:6のアミノ酸配列を持つポリペプチドまたはその機能的同等物(す
なわち上記受容体の天然の(または生理学的な)リガンドの1以上に対するリガ
ンド結合活性および/またはリガンド結合に応答する刺激機能を持つため、細胞
応答(走化性、エキソサイトーシスまたは白血球による炎症媒介物質の放出など
)を刺激できるポリペプチド)をコードできること、または(3)その両特徴に
よって特徴づけられる、単離および/または組換え核酸に関する。
1つの態様において、配列番号:2、4または6およびそれらの機能的同等物
との間のアミノ酸配列同一率が少なくとも約70%(≧70%)である。好ましい態様
では、配列番号:2、4または6の機能的同等物がそれぞれ配列番号:2、4ま
たは6と少なくとも約80%の配列同一性を共有する。より好ましくは、配列番号:
2、4または6およびそれらの機能的同等物との間のアミノ酸配列同一率が少な
くとも約90%であり、さらに好ましくは、少なくとも約95%である。これらの基準
に合致する単離および/または組換え核酸には、天然に存在する哺乳類CKR-3受容
体の配列およびその一部と同一の配列を持つ核酸、または天然に存在する配列の
変異型が含まれる。かかる変異型には、1以上の残基の付加、欠失または置換に
よって相違する突然変異体、1以上の残基が修飾されている修飾核酸(DNAまた
はRNA類縁体など)および1以上の修飾残基を含む突然変異体が含まれる。
かかる核酸は、例えば高ストリンジェンシー条件または中程度のストリンジェ
ンシー条件下でのハイブリダイゼーションによって検出および単離できる。核酸
ハイブリダイゼーションに関する「高ストリンジェンシー条件」と「中程度のス
トリンジェンシー条件」はCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel,
F.M.ら編,第1巻,増補26,1991;その教示は参考文献として本明細書に合体さ
れる)の2.10.1-2.10.16頁(特に2.10.8-11を参照のこと)と6.3.1-6頁に説明さ
れている(実施例2も参照のこと)。プローブ長、塩基組成、ハイブリダイズす
る配列間のミスマッチ率、温度およびイオン強度などの因子が核酸ハイブリ
ッドの安定性に影響を与える。したがって高ストリンジェンシー条件または中程
度のストリンジェンシー条件は、一部には、未知の核酸との相同性を比較しよう
とする既知のDNAの特徴に応じて、実験的に決定できる。
配列番号:1、3もしくは5または配列番号:1、3もしくは5のいずれかの相補鎖
に(例えば高または中程度のストリンジェンシー条件下で)ハイブリダイズでき
ることを特徴とする単離および/または組換え核酸は、さらに、哺乳類C-Cケモカ
イン受容体(例えば哺乳類CKR-3受容体)に特有の機能、例えば結合活性(リガ
ンド、阻害剤および/または促進剤結合など)、シグナル発信活性(哺乳類G蛋白
質の活性化、細胞質遊離カルシウム濃度[Ca2+]iの迅速かつ一時的な増加の誘
発など)および/または細胞応答の刺激(白血球による炎症媒介物質の放出、エ
キソサイトーシスまたは走化性の刺激、インテグリン活性化など)などの少なく
とも1つを持つ蛋白質またはポリペプチドをコードしてもよい。
ハイブリダイズする核酸によってコードされる蛋白質またはポリペプチドのシ
グナル発信機能は、受容体結合に応答するG蛋白質活性の酵素的アッセイ(例え
ば膜画分を用いて、G蛋白質αサブユニットにおけるGTPのGDPへの変化など)に
よって検出できる。G蛋白質共役は、例えば細胞または適当な細胞画分(膜など
)を百日咳菌毒素などのG蛋白質の特異的阻害剤で処理または予備処理してG蛋白
質による刺激を遮断するアッセイを用いて、さらに評価できる(Bischoff,S.C.
ら,Eur.J.Immunol.23: 761-767(1993);Sozzani,S.ら,J.Immunol.14
7: 2215-2221(1991))。
ハイブリダイズする核酸がコードする蛋白質またはポリペプチドの刺激機能は
、その蛋白質またはポリペプチドを発現する細胞を用いて、走化性または媒介物
質放出に関する標準的アッセイ(例えばリガンド(エオタキシン、RANTESまたは
MCP-3などのケモカイン)または促進剤に応答して起こる走化性、エキソサイト
ーシス(例えば好酸球ペルオキシダーゼ、β-グルクロニダーゼなどの酵素)ま
たは媒介物質の放出を測定するアッセイなど)で検出できる。
ハイブリダイズする核酸がコードする蛋白質またはポリペプチドの結合機能は
、例えば受容体を含有する膜画分または受容体を発現する細胞を用いる結合アッ
セイまたは結合阻害アッセイで検出できる(実施例9;Van Riperら,J.Exp.Me
d.,177: 851-856(1993);Sledziewskiら,米国特許第5,284,746号(1994年2
月8日)を参照のこと)。したがって、コードされている蛋白質またはポリペプ
チドのエオタキシン、RANTESもしくはMCP-3などのリガンド、阻害剤および/また
は促進剤結合能を評価できる。哺乳類CKR-3受容体に特有の機能は他の適当な方
法でも評価できる(下記参照)。
これらの方法は単独で、もしくは他の適当な方法と組み合わせて、配列番号:
2、4、6またはそれらの機能的同等物のアミノ酸配列を持ち、かつ、そのアッ
セイで検出される活性を持つポリペプチドをコードする核酸の同定および/また
は単離操作にも使用できる。特定の機能を持つ配列番号:2、4または6のポリ
ペプチド部分をコードする単離核酸の一部もこの方法で同定および単離できる。
本発明の核酸は蛋白質またはポリペプチドの生産に使用できる。例えば、哺乳
類CKR-3受容体のコード配列の全部または一部を含有する核酸、または配列番号
:1、3もしくは5の配列または配列番号:1、3もしくは5のいずれかの相補鎖
にハイブリダイズするDNAを、さらなる配列操作またはコードされたポリペプチ
ドの適当な宿主細胞における生産のために作製される種々の構築物およびベクタ
ーに組込むことができる。
本明細書でいう「単離された」核酸とは、その供給源のゲノムDNAまたは細胞R
NA(例えば細胞中やライブラリーのような核酸の混合物中に存在する場合など)
の核酸から分離された核酸であり、さらなるプロセシングを受けているものであ
ってもよい。「単離された」核酸には、実質上純粋な核酸、化学合成によって生
産された核酸、生物学的方法と化学的方法の組み合わせによって生産された核酸
および単離された組換え核酸を含む、本明細書に記載の方法、類似の方法また
は他の適当な方法で得られる核酸が含まれる。本明細書でいう「組換え」核酸と
は、組換えDNA法によって生産された核酸であり、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
および/または制限酵素を用いたベクターへのクローニングなどの人工的組換え
法による操作で作製される核酸を含む。また「組換え」核酸は、細胞の天然の機
構を介して起こる組換え事象によってもたらされる核酸であるが、所望の組換え
事象を許容し、それを起こりやすくするように設計された核酸の細胞への導入後
に選択される核酸でもある。アンチセンス構築物
もう1つの態様において、核酸が、センス鎖からなる標的分子に全部または一
部が相補的で、その標的分子とハイブリダイズできるアンチセンス核酸である。
標的はDNAであってもよいし、そのRNA体(すなわちDNAのT残基がRNA体ではU残基
である)であってもよい。当該技術分野で公知の方法または他の適当な方法で細
胞に導入すると、アンチセンス核酸はそのセンス鎖がコードする遺伝子の発現を
阻害できる。アンチセンス核酸は標準的な技術で生産できる。
1つの態様において、アンチセンス核酸がある標的核酸に対して完全にまたは
部分的に相補的で、標的核酸とハイブリダイズでき、その標的核酸は配列番号:
1、3または5の相補鎖の配列を持つ核酸にハイブリダイズできる。例えばアン
チセンス核酸は、配列番号:5またはハイブリダイゼーションが可能なその一部
の配列を持つ標的核酸に相補的であってもよい。別の態様において、アンチセン
ス核酸が哺乳類CKR-3受容体(例えばヒトEos L2受容体)をコードする標的核酸
に対して完全にまたは部分的に相補的で、該標的核酸とハイブリダイズできる。
アンチセンス核酸は、研究的応用や治療的応用を含む種々の目的に有用である
。例えば、アンチセンス核酸を含む構築物を適当な細胞に導入することによって
、受容体発現を阻害できる。かかる細胞は、例えばその親細胞や他の関連細胞型
を用いて受容体リガンド相互作用の特異性を評価する際に貴重な対照細胞となる
。もう1つの側面として、かかる構築物を哺乳類の細胞の一部または全部に導入
する。アンチセンス核酸は受容体発現を阻害し、その構築物を含有する細胞にお
いてCKR-3受容体が媒介する炎症過程を阻害できる。したがって、本発明のアン
チセンス核酸を用いて、炎症性の疾患や状態を治療できる。アンチセンス構築物
を含有する適当な実験動物は、白血球機能欠損症、特に好酸球欠損症の有用なモ
デルにもなり、CKR-3受容体機能に関してさらなる情報を与える。かかる動物は
、宿主防御における好酸球および/またはTリンパ球などの白血球の役割を解明す
るのに有用な、感染性疾患の貴重なモデルにもなりうる。哺乳類核酸
ヒトの炎症性疾患と自己免疫疾患および寄生虫感染症の理解と治療における進
歩は極めて有益だろうから、ヒトCKR-3は本明細書に記載のほとんどの実験に選
択した種であった。しかし、ヒトCKR-3(Eos L2)のゲノムDNAおよびcDNAの単離
および操作、ベクターと宿主株の構築ならびに受容体もしくはその断片の作製お
よび使用に関して記述する方法は、霊長類(サル(カニクイザルなど)などのヒ
ト以外の霊長類など)、ウシ属(乳牛など)、ヒツジ(緬羊など)、ウマ科(馬
など)、イヌ科(犬など)、ネコ科(イエネコなど)および齧歯類(モルモット
、ラットやマウスなどのネズミ種など)を含むが、ただしこれらに限定されるわ
けではない他の哺乳類にも適用できる。本明細書に記載するヒトCKR-3 cDNAクロ
ーン、ヒトCKR-3ゲノムクローンまたはそれらの十分な一部は、それが単離体お
よび/または組換え体または合成物であるかどうかにかかわらず、またPCRによっ
て作製されたコード配列内の断片を含めて、相同なCKR-3遺伝子(ホモログ)ま
たは他の関連受容体遺伝子(例えば新規C-Cケモカイン受容体遺伝子)を他の哺
乳類種から(例えばハイブリダイゼーション、PCRまたは他の適当な技術によっ
て)検出および/または回収するためのプローブとして使用できる。これは本明
細書に記述する方法や他の適当な方法で達成できる。蛋白質とペプチド
本発明は、本発明の核酸がコードする蛋自質またはポリペプチドにも関する。
本発明の蛋白質およびポリペプチドは、単離体および/または組換え体である。
本明細書でいう「単離された」蛋白質またはポリペプチドとは、哺乳類細胞中に
存在していた状態よりも精製された蛋白質またはポリペプチドである。「単離さ
れた」蛋白質またはポリペプチドには、実質上純粋な蛋白質またはポリペプチド
、化学合成や生物学的方法と化学的方法の組み合わせによって作製された蛋白質
またはポリペプチド、単離された組換え蛋白質またはポリペプチドなど、本明細
書に記載の方法、類似の方法または他の適当な方法で得られる蛋白質またはポリ
ペプチドが含まれる。本明細書でいう「組換え」蛋白質またはポリペプチドとは
、組換え核酸の発現によって生産される蛋白質またはポリペプチドである。
好ましい態様において、蛋白質またはポリペプチドが哺乳類CKR-3受容体に特
有の機能、例えば結合活性(リガンド、阻害剤および/または促進剤結合など)
、シグナル発信活性(哺乳類G蛋白質の活性化、細胞質遊離カルシウム濃度[Ca2 +
]iの迅速かつ一時的な増大の誘導など)および/または細胞応答の刺激(走化
性、エキソサイトーシスまたは白血球による炎症媒介物質の放出の刺激、インテ
グリン活性化など)などの少なくとも1つを持つ。そこで、これらの蛋白質を哺
乳類由来のCKR-3蛋白質または哺乳類ケモカイン受容体3蛋白質と呼ぶ。これらの
蛋白質には、例えば天然に存在する哺乳類CKR-3受容体、それら蛋白質の変異型
および/またはそれらの一部が含まれる。かかる変異型には、1以上のアミノ酸
残基の付加、欠失または置換によって異なる多形変異型および天然または人工の
突然変異体、あるいは1以上の残基が修飾されている修飾ポリペプチドおよび1以
上の修飾残基を含む突然変異体が含まれる。一例はエオタキシンを結合する哺乳
類CKR-3受容体蛋白質である。
特に好ましい態様において、本発明の哺乳類CKR-3受容体は、天然に存在する
哺乳類CKR-3受容体蛋白質またはポリペプチドのように、1以上の天然リガンド
または生理学的リガンドに対するリガンド結合機能および/またはリガンド結合
に応答する刺激機能をもつので、細胞応答(走化性、エキソサイトーシスまたは
白血球による炎症媒介物質の放出の刺激など)を刺激できる。例えばヒトケモカ
イン受容体3蛋白質の場合、単離ヒトCKR-3蛋白質は1以上の天然リガンドまたは
生理学的リガンドを結合する。本明細書に示すように、単離ヒトCKR-3蛋白質は
エオタキシンおよびRANTESを高い親和性で特異的にならびにMCP-3を特異的に結
合する。1つの態様において、ヒトCKR-3受容体蛋白質またはポリペプチドが、
リガンド結合に応答して起こる走化性、エキソサイトーシスまたは白血球による
炎症媒介物質の放出のきっかけともなる。
さらに本発明は、上述のような哺乳類CKR-3受容体蛋白質またはポリペプチド
を第1部分とし、天然に認められる哺乳類CKR-3受容体には存在しない第2部分に
連結されたその第1部分を含む融合蛋白質にも関係する。したがって、第2部分は
アミノ酸またはポリペプチドでありうる。第1部分は融合蛋白質のN-末端に局在
してもよいし、C-末端または内部に存在してもよい。1つの態様において、融合
蛋白質が第1部分であるヒトCKR-3受容体ならびにリンカー配列およびアフィニテ
ィーリガンド(酵素、抗原、エピトープ標識など)を含む第2部分とを含む。
融合蛋白質は種々の方法で生産できる。例えば、いくつかの態様は、CKR-3遺
(Pharmacia)およびpET-15b(Novagen)などの適当な発現ベクターに挿入する
ことによって作製できる。次に、得られた構築物を適当な発現用宿主細胞に導入
する。発現後、融合蛋白質を適当なアフィニティー基盤を用いて細胞溶解液から
単離または精製できる(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausu
bel,F.M.ら編,第2巻,増補26,16.4.1-16.7.8頁(1991)を参照のこと)。さ
らにアフィニティー標識は、融合蛋白質中に存在するCKR-3受容体蛋白質または
ポリペプチドの検出手段を提供する。例えば、抗原またはエピトープアフィニテ
ィー標識からなる融合蛋白質の細胞表面発現や特定の細胞画分における該融合
蛋白質の存在は、適当な抗体を用いて検出できる(例えば実施例3を参照のこと
)。
また本発明は、例えばヒトCKR-3受容体の断片などの哺乳類由来のCKR-3受容体
の単離および/または組換え部分にも関する。後に詳述するように、哺乳類CKR-3
受容体の一部(例えば合成ペプチド)を作製し、それを抗体の生産に使用するこ
とができる。1つの態様において、選択された哺乳類CKR-3受容体の単離および/
または組換え部分(例えばペプチド)が少なくとも1つの免疫学的特性を持つ。
本明細書で受容体の一部に関して用いる免疫学的特性には、免疫反応性(本発明
の哺乳類CKR-3受容体蛋白質(その一部を含む)に対して生じた抗体によって結
合される)、免疫原性(適当な免疫感作法で使用すると、それ自身に対する抗体
応答を誘導する)および/または交差反応性(選択された哺乳類受容体と反応す
る抗体を誘導する)が含まれる。さらに、哺乳類CKR-3受容体に特有な機能、例
えば結合活性、シグナル発信活性または刺激機能(細胞応答の刺激)などの少な
くとも1つを持つCKR-3受容体の一部も作製できる。哺乳類G蛋白質共役受容体の
構造と機能に関する詳細な研究は、哺乳類CKR-3受容体を機能ドメインに分割す
ることを可能にするための基礎を提供する(例えばLefkowitzら,J.Biol.Chem
.,263: 4993-4996(2988);PanayotouおよびWaterfield,Curr.Opinion Cell
Biol.,1: 167-176(1989)を参照のこと)。さらに、完全な機能または部分的
な機能を所有する受容体の一部、または第2の受容体の別の部分と結合した時に
、哺乳類CKR-3受容体に特有な機能(例えばリガンド、阻害剤もしくは促進剤結
合機能)の少なくとも1つを持つ機能的蛋白質を構成する受容体の一部を作製す
ることもできる。(試験試料中のリガンドの存在を検出する際に有用なハイブリ
ッドG蛋白質共役受容体の構築と使用については、例えばSledziewskiら,米国特
許第5,284,746号を参照のこと)。組換え哺乳類CKR-3受容体の製造方法
本発明のもう1つの側面は、哺乳類CKR-3受容体またはその一部を製造する方
法に関する。哺乳類CKR-3受容体またはその一部の発現に適した構築物も提供す
る。この構築物は適当な宿主細胞に導入できる。組換え哺乳類CKR-3受容体また
はその一部を発現する細胞を単離し、培養中に維持することもできる。かかる細
胞は、特徴づけ、単離および/または精製用の蛋白質の生産や、リガンド、また
はリガンド結合の阻害剤もしくは促進剤を検出するための結合アッセイでの使用
など、種々の目的に有用である。適当な宿主細胞は、例えば大腸菌、枯草菌およ
び他の適当な細菌等の細菌細胞を含む原核細胞であってもよいし、例えばカビ細
胞、酵母細胞(例えばピチア・パストリス(Pichia pastoris)、アスペルギル
ス種、サッカロミセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ(pombe)、
ニューロスポラ・クラッサ)などの真核細胞、または他の下等真核細胞および昆
虫由来の細胞(例えばSf9昆虫細胞)または哺乳類由来の細胞(例えば293細胞、
チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO))などの高等真核細胞であってもよい
。(例えばAusubel,F.M.ら編,Current Protocols in Molecular Biology,Gr
eene Publishing Associates and John Wiley & Sons Inc.,(1993)を参照の
こと。)
組換え哺乳類CKR-3受容体蛋白質、その一部または融合蛋白質を生産する宿主
細胞は次のように作製できる。哺乳類CKR-3受容体または融合蛋白質のコード配
列の全部または一部をコードする核酸を、例えばプラスミド、ウイルスまたは他
の適当な発現用レプリコンなどのDNAベクターなどの核酸ベクターに挿入できる
。シングルコピーまたはマルチコピーとして維持されるベクターまたは宿主細胞
染色体に組込まれるベクターなど、種々のベクターを利用できる。
選択したCKR-3受容体の転写および/または翻訳シグナルを直接発現に使用する
ことができる。別法として、適当な発現ベクターも使用できる。哺乳類CKR-3受
容体または融合蛋白質のコード配列の全部または一部をコードする核酸の発現に
適したベクターは、いくつかの追加成分を含有してもよく、かかる追加成分には
次の1以上が含まれるがこれらに限定されない:複製起点、選択可能マーカー
遺伝子、1以上の発現制御要素、例えば転写制御要素(プロモーター、エンハン
サー、ターミネーターなど)および/または1以上の翻訳シグナル、(ベクターま
たは受容体によってコードされる膜標的用の)シグナル配列またはリーダー配列
。
プロモーターは適当な宿主細胞での発現用に提供される。プロモーターは構成
的であってもよいし、誘導性であってもよい。ベクターでは、プロモータが受容
体蛋白質、その一部または融合蛋白質をコードする核酸に有効に連結しており、
コードされたポリペプチドの発現を管理することができる。原核細胞宿主に適し
た種々のプロモーター(例えば大腸菌用のlac、tac、T3、T7プロモーター)およ
び真核細胞宿主に適した種々のプロモーター(例えば酵母アルコールデヒドロゲ
ナーゼ(ADH1)、SV40、CMV)が利用できる。
さらに、発現ベクターは、具体的には、そのベクターを保持する宿主細胞を選
択するための選択可能マーカーおよび複製可能発現ベクターの場合複製起点をも
含む。抗生物質または薬物耐性を付与する産物をコードする遺伝子は、一般的な
選択可能マーカーであり、原核細胞(例えばβ-ラクタマーゼ遺伝子(アンピシ
リン耐性)、テトラサイクリン耐性に対するTet遺伝子)および真核細胞(例え
ばネオマイシン(G418またはジェネティシン)、gpt(ミコフェノール酸)、ア
ンピシリンまたはハイグロマイシン耐性遺伝子)に使用できる。ジヒドロ葉酸レ
ダクターゼマーカー遺伝子は、種々の宿主におけるメトトレキセートによる選択
を可能にする。宿主の栄養要求性マーカー(例えばLEU2、URA3、HIS3)の遺伝子
産物をコードする遺伝子は、酵母における選択可能マーカーとしてしばしば使用
される。ウイルス(例えばバキュロウイルス)ベクターまたはファージベクター
およびレトロウイルスベクターなどの宿主細胞のゲノムに組み込むことができる
ベクターの使用も予想される。また本発明は、これらの発現ベクターを保持する
細胞にも関係する。
受容体蛋白質またはポリペプチドをコードする核酸をベクターに挿入して、こ
れらの成分の1以上に有効に連結し、発現に適した条件下に維持された宿主細胞
に、得られた構築物を導入すると、受容体蛋白質またはポリペプチドが生産され
る。構築物は、選択した宿主細胞に適した方法(例えば形質転換、トランスフェ
クション、エレクトロポレーション、感染など)で細胞に導入できる。受容体を
生産するには、上記構築物を含む宿主細胞を発現に適した条件下、例えば、適当
な塩類、成長因子、抗生物質、栄養補給物などを補足した適当な培地、誘導物質
(n-酪酸など)の存在下に維持する。抗体
さらに本発明は、CKR-3受容体またはその一部と反応する抗体にも関する。1
つの態様において、単離および/または組換えのその一部(例えばペプチド)を
含む哺乳類CKR-3蛋白質に対して抗体を生じさせる。好ましい態様では、これら
の抗体が単数または複数のCKR-3受容体またはその一部に特異的に結合する。
本発明の抗体はポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体で
あってもよく(例えば実施例5を参照のこと)、抗体という用語はポリクローナ
ル抗体とモノクローナル抗体の両方を包含するものとする。本発明の抗体は、本
発明の蛋白質またはポリペプチド、例えば単離および/または組換え哺乳類CKR-
3受容体蛋白質またはその一部または合成ペプチドなどの合成分子を含む適当な
免役原に対して生じさせることができる。さらに、受容体を発現する細胞(トラ
ンスフェクションされた細胞など)を免役原として使用したり、受容体を結合す
る抗体のスクリーニングに使用することもできる。例えばChuntharapaiら,J.I
mmunol.152: 1783-1789(1994)を参照のこと。
免疫感作抗原の調製ならびにポリクローナルおよびモノクローナル抗体の生産
は、任意の適当な技術で行なえる。様々な方法が記述されている(例えばKohler
ら,Nature,256: 495-497(1975)およびEur.J.Immunol.6: 511-519(1976
);Milsteinら,Nature 266: 550-552(1977);Koprowskiら,米国特許第4,17
2,124号;Harlow,E.およびD.Lane,1988,Antibodies: A Laboratory Manu
al,(Cold Spring Harbor Laboratory:ニューヨーク州コールドスプリングハー
バー);Current Protocols In Molecular Biology,第2巻(増補27,94年夏),A
usubel,F.M.ら編(John Wiley & Sons:ニューヨーク州ニューヨーク),第11章
(1991)を参照のこと)。一般的には、適当な不死化細胞株(例えばSP2/0のよ
うな骨髄腫細胞株)を抗体産生細胞と融合することによってハイブリドーマを作
製する。抗体産生細胞、好ましくは脾臓またはリンパ節のものは、注目する抗原
で免疫感作した動物から得る。選択培養条件を用いて融合細胞(ハイブリドーマ
)を単離し、限界希釈法でクローニングする。所望の特異性を持つ抗体を産生す
る細胞を適当なアッセイ(例えばELISA)で選択する。
単鎖抗体および異なる種に由来する部分を含有するキメラ擬人化または擬霊長
類化(CDR移植)抗体ならびにキメラまたはCDR移植単鎖抗体も本発明に包含され
、「抗体」という用語に含まれる。これらの抗体の様々な部分を、通常の技術で
化学的に結合するか、遺伝子工学的技術を用いて連続的蛋白質として調製するこ
とができる。例えば、キメラまたは擬人化鎖をコードする核酸を発現させること
によって、連続的蛋白質を製造することができる。例えばCabillyら,米国特許
第4,816,567号、Cabillyら,欧州特許第0,125,023 B1号、Bossら,米国特許第4,
816,397号、Bossら,欧州特許第0,120,694 B1号、Neuberger,M.S.ら,国際公
開第86/01533号パンフレット、Neuberger,M.S.ら,欧州特許第0,194,276B1号
、Winter,米国特許第5,225,539号およびWinter,欧州特許第0,239,400 B1号を
参照のこと。また、擬霊長類化抗体についてはNewman,R.ら,BioTechnology,1
0: 1455-1460(1992)を、単鎖抗体についてはLadnerら,米国特許第4,946,778
号およびBird,R.E.ら,Science,242: 423-426(1988)をも参照のこと。
さらに、キメラ擬人化、擬霊長類化または単鎖抗体の断片を含む抗体の機能的
断片も製造できる。上述の抗体の機能的断片は、それらが由来する完全長抗体の
結合機能および/または調節機能の少なくとも1つを保持する。例えば、哺乳類
CKR-3受容体またはその一部に結合できる抗体断片は、Fv、Fab、Fab'およびF(a
b’)2断片(ただしこれらに限られるわけではない)を含めて、本発明に包含さ
れる。かかる断片は酵素的切断や組換え技術によって生産できる。例えばパパイ
ンまたはペプシン切断によって、それぞれFabまたはF(ab’)2断片を生成する
ことができる。別法として、天然の停止部位の上流に1以上の停止コドンが導入
されている抗体遺伝子を用いて、様々な先端欠失型の抗体を生産することもでき
る。例えば、F(ab’)2重鎖部分をコードするキメラ遺伝子を、重鎖のヒンジ領
域およびCH1ドメインをコードするDNA配列を含むように設計できる。
本発明の抗体は、研究的応用、診断的応用および治療的応用を含む種々の応用
に有用である。例えば、これらを使用して、受容体またはその一部を単離および
/または精製したり、受容体の構造(例えばコンフォメーション)および機能を
研究することができる。
本発明の抗体は、研究的応用および治療的応用において受容体機能を調節する
ためにも使用できる。例えば、抗体は、(a)受容体に対する結合(例えばリガ
ンド、第2の阻害剤または促進剤の結合)、(b)受容体シグナル発信および/ま
たは(c)刺激機能を阻害する阻害剤として作用できる。受容体機能の阻害剤と
して作用する抗体は、リガンドまたは促進剤の結合を直接または間接に(例えば
コンフォメーション変化を引き起こすことによって)遮断できる。例えば抗体は
、リガンドの結合を阻害することによって、または(リガンドの結合の阻害を伴
う、または伴わない)脱感作によって、受容体機能を阻害できる。
また、受容体を結合する抗体は受容体機能のアゴニストとしても作用し、受容
体に結合すると、受容体のシグナル発信および/または刺激機能(例えば走化性
、エキソサイトーシスまたは前炎症媒介物質の放出)などといった受容体機能を
誘発または刺激する。
さらに、本発明の種々の抗体を用いて、例えば好酸球、好塩基球およびリンパ
球のような白血球または受容体遺伝子でトランスフェクションされた細胞におけ
る受容体の発現を検出または測定することもできる。したがってこれらの抗体は
、診断または研究目的の細胞選別(例えばフローサイトメトリー、蛍光活性化細
胞選別)などの応用にも有用である。
抗イディオタイプ抗体も提供する。抗イディオタイプ抗体は別の抗体の抗原結
合部位に関連する抗原決定基を認識する。第2の抗体に対する抗イディオタイプ
抗体は、その第2抗体を生産するのに使用した動物と同じ種の好ましくは同じ株
の動物を免疫感作することによって調製できる。例えば米国特許第4,699,880号
を参照のこと。
1つの態様において、抗体を受容体またはその一部に対して生じさせ、今度は
それらの抗体を使用して抗イディオタイプ抗体を生産する。そのようにして生産
した抗Idは、例えばリガンド、受容体機能の阻害剤または促進剤などの受容体を
結合する化合物を結合でき、かかる化合物を検出、同定または定量するための免
疫アッセイに使用できる。かかる抗イディオタイプ抗体は受容体自体には結合し
ないが、受容体機能の阻害剤でもありうる。
抗イディオタイプ(すなわち抗Id)抗体自体を使用して抗イディオタイプ抗体
(すなわち抗-抗Id)を生じさせることができる。かかる抗体は最初の免疫感作
抗体と特異性が似ているか同一でありうる。1つの態様において、受容体への結
合を遮断する抗体アンタゴニストを用いて抗Idを生じさせ、その抗Idを用いて、
その抗体アンタゴニストと類似するか同一の特異性を持つ抗-抗Idを生じさせる
ことができる。これらの抗-抗Id抗体を受容体機能に対する阻害効果について評
価することによって、それらがアンタゴニストであるかどうかを決定できる。
単鎖抗イディオタイプ抗体およびキメラ擬人化または擬霊長類化(CDR移植)
抗イディオタイプ抗体ならびにキメラまたはCDR移植単鎖抗イディオタイプ抗体
を調製することもでき、これらは抗イディオタイプ抗体という用語に包含される
。かかる抗体の抗体断片も調製できる。リガンド、受容体機能の阻害剤または促進剤の同定
本明細書でいうリガンドとは、受容体蛋白質に結合する物質である。選択した
哺乳類CKR-3受容体のリガンドは、選択したその哺乳類受容体に結合する物質で
ある。1つの態様において、リガンドはCKR-3を含む2以上の哺乳類ケモカイン受
容体に選択的に結合できる。好ましい態様では、哺乳類CKR-3受容体のリガンド
結合が高い親和性で起こる。リガンドという用語は、単離物および/または精製
物の天然のリガンド、合成体および/または組換え体天然リガンドのホモログ(
例えば別の哺乳類由来のもの)、抗体、かかる分子の一部および受容体を結合す
る他の物質などの物質(ただしこれらに限られるわけではない)を意味する。選
択した哺乳類受容体の天然リガンドは生理学的条件下でその受容体に結合でき、
その哺乳類CKR-3受容体と同じ哺乳類に由来する。リガンドという用語は、受容
体活性の阻害剤または促進剤である物質ならびに結合はするが阻害剤活性や促進
剤活性を欠く物質を包含する。
本明細書でいう阻害剤とは、哺乳類C-Cケモカイン受容体(例えば哺乳類CKR-
3受容体)に特有の機能、例えば結合活性(リガンド、阻害剤および/または促
進剤結合など)、シグナル発信活性(哺乳類G蛋白質の活性化、細胞質遊離カル
シウム濃度[Ca2+]iの迅速かつ一時的な増加の誘導など)および/または細胞
応答の刺激などの少なくとも1つを阻害する物質である。阻害剤という用語は、
受容体を結合するアンタゴニスト(例えば抗体、天然リガンドの突然変異体、そ
の他のリガンド結合の競合的阻害剤)および受容体に結合することなく受容体機
能を阻害する物質(例えば抗イディオタイプ抗体)とを意味する。
本明細書でいう促進剤とは、哺乳類C-Cケモカイン受容体(哺乳類CKR-3受容体
など)に特有の機能、例えば結合活性(リガンド、阻害剤および/または促進剤
結合など)、シグナル発信活性(哺乳類G蛋白質の活性化、細胞質遊離カルシウ
ム濃度[Ca2+]iの迅速かつ一時的な増加の誘導など)および/または細胞応答
の刺激などの少なくとも1つを促進(誘導または増大)する物質である。促進剤
という用語は、受容体を結合するアゴニスト(例えば抗体、別の種に由来する
天然リガンドのホモログ)および受容体に結合することなく受容体機能を(例え
ば関連する蛋白質を活性化することによって)促進する物質とを意味する。
哺乳類CKR-3受容体蛋白質またはポリペプチドのリガンド、阻害剤または促進
剤を同定するには、本発明の核酸および蛋白質による後述のアッセイを単独で、
または互いに組み合わせて、または他の適当な方法と組み合わせて使用すること
ができる。ヒトCKR-3は、通常、高処理量スクリーニングに適するレベルで細胞
内に存在しない。したがって、CKR-3受容体蛋白質のリガンド、阻害剤および促
進剤を同定するには、本発明の核酸を含有し、それを発現する細胞がとりわけ重
要である。
哺乳類からCKR-3受容体遺伝子を単離したら、受容体蛋白質またはポリペプチ
ドを生産するため、上述のように、その遺伝子を発現系に組込むことができる。
例えば本発明の核酸を含む構築物で安定に、もしくは一過性にトランスフェクト
した細胞中で発現した受容体または受容体を含有する細胞画分(例えばトランス
フェクとした細胞の膜画分)中の受容体などの単離および/または組換え受容体
蛋白質またはポリペプチドを、受容体機能に関する試験で使用することができる
。所望であれば、その受容体をさらに精製することもできる。受容体機能の試験
は試験管内でも生体内でも行なえる。
本明細書に記載の方法や他の適当な技術を用いて受容体機能を監視することに
よってある化合物の効果を評価する本発明の方法に、例えば図1A-1C(配列番号2
をも参照のこと)、図2A-2B(配列番号4をも参照のこと)または配列番号6に記
載のヒトCKR-3受容体などの単離組換え哺乳類CKR-3受容体蛋白質を使用すること
ができる。例えば安定なまたは一過性のトランスフェクタント(A31/293/#20安
定トランスフェクタント(例えば実施例9を参照)、マウスL1-2前B細胞の安定な
トランスフェクタント(例えば実施例3を参照)、バキュロウイルス感染Sf9細胞
(例えば実施例4を参照)など)は、結合アッセイに用いることができる。マウ
スL1-2前B細胞または走化性を持つ他の適当な細胞の安定なトランス
フェクタントは、例えば走化性検定に用いることができる(例えば実施例3を参
照のこと)。
本発明の方法によれば、化合物を個別にスクリーニングすることもできるし、
1以上の化合物を本明細書記載の方法に従って同時に試験することもできる。化
合物の混合物を試験する場合は、記述する工程で選択された化合物を、適当な方
法(例えばPCR、配列決定、クロマトグラフィー)で適宜分離し、同定すること
ができる。1試験試料中の1以上の化合物(リガンド、阻害剤、促進剤など)の
存在も、これらの方法によって決定できる。
複合化学合成や他の方法で作製された大きな複合化合物ライブラリー(例えば
有機化合物、組換えまたは合成ペプチド、「ペプトイド」、核酸)を試験するこ
とができる(例えばZuckeman,R.N.ら,J.Med.Chem.,37: 2678-2685(1994)
とそこに引用されている文献を参照のこと。また、Ohlmeyer,M.H.J.ら,Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 90: 10922-10926(1993)とDeWitt,S.H.ら,Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 90: 6909-6913(1993)(標識した化合物について)、Rutter
,W.J.ら,米国特許第5,010,175号、Huebner,V.D.ら,米国特許第5,182,366号
、Geysen,H.M.,米国特許第4,833,092号をも参照のこと)。本発明方法によっ
て複合ライブラリーから選択される化合物が独特の標識を持つ場合は、クロマト
グラフィー法による個々の化合物の同定が可能である。
1つの態様において、ファージ提示法を使用する。例えば、受容体結合(例え
ば適当な結合緩衝液において)に適した条件下でポリペプチドを提示するファー
ジ(例えばファージまたはライブラリーのようなファージの収集物)と受容体を
接触させる。受容体に結合したファージを、標準的な技術または他の適当な方法
で選択する。ファージは適当な溶出緩衝液を用いて受容体から分離できる。例え
ば、イオン強度やpHの変化はファージの放出をもたらしうる。別法として、溶出
緩衝液が、化合物の結合を破壊するように設計された1または複数の放出成分、
例えば提示されたペプチドの受容体に対する結合を破壊できる1以上の化合物(
結合を競合的に阻害するリガンド、阻害剤および/または促進剤など)を含んで
もよい。任意に、この選択工程を繰り返すか、別の選択工程を用いることによっ
て、受容体に結合するファージをさらに濃縮することもできる。提示されたポリ
ペプチドを(例えばファージDNAの配列決定などによって)特徴づける。同定さ
れたポリペプチドを生産し、さらにリガンド結合機能、阻害剤機能および/また
は促進剤機能について試験することができる。増大した安定性や他の望ましい特
性を持つかかるペプチドの類縁体を製造できる。
1つの態様において、任意の配列の核酸がコードするN-末端ペプチドを伴った
外殻蛋白質を含む融合蛋白質を発現し、それを提示するファージを生産できる。
本発明の受容体蛋白質またはポリペプチドを発現させる適当な宿主細胞をこのフ
ァージと接触させ、結合したファージを選択し、回収し、特徴づける。(例えば
、G蛋白質共役受容体を用いるファージ提示法について議論しているDoorbar,J
.およびG.Winter,J.Mol.Biol.,244: 361(1994)を参照のこと。)
哺乳類CKR-3受容体の潜在的リガンド、阻害剤および/または促進剤の他の供給
源としては、他の化学誘引物質(アナフィラトキシンC5a、細菌ホルミル化トリ
ペプチド(fMLP)など)、その受容体と同じ哺乳類由来の哺乳類ケモカインや別
の哺乳類由来の哺乳類ケモカイン(例えばヒト受容体については、ヒト以外の供
給源から得られるヒトケモカインのホモログ)などといった他のケモカイン類(
エオタキシンなど)、天然に存在する変種や合成または組換え変種のような他の
化学誘引物質またはケモカイン類の変異型、他の哺乳類CKR-3受容体リガンド、
阻害剤および/または促進剤(抗体、アンタゴニスト、アゴニストなど)とその
変異型、他のG蛋白質共役受容体リガンド、阻害剤および/または促進剤(アンタ
ゴニストやアゴニストなど)、適当な受容体ペプチドや受容体機能を阻害できる
類縁体などといった哺乳類CKR-3受容体の可溶性部分が挙げられるが、これらに
限られるわけではない(例えばMurphy,R.B.,国際公開第94/05695号パンフレット
を参照のこと)。
本発明の試験管内法は、高処理量スクリーニングに使用できる。これらのアッ
セイは多数の試料を加工できるように適合させることができる(例えば96ウェル
形式)。好酸球の単離は難しいので、かかるスクリーニングには、単離された好
酸球の代わりに、受容体を発現する宿主細胞を使用することが好ましい。
結合アッセイには、適当な宿主細胞における受容体の高レベル発現が好ましい
。受容体の発現は種々の方法で監視することができる。例えば、受容体またはそ
の一部を結合する本発明の抗体を用いて発現を監視することができる。また、市
販の抗体を用いて、受容体蛋白質またはポリペプチドを含む抗原標識-またはエ
ピトープ標識-融合蛋白質(例えばFLAG標識受容体;実施例3参照)の発現を検
出することもできる。結合アッセイ
本発明の単離および/または組換え受容体蛋白質、その一部または適当な融合
蛋白質は、1またはそれ以上のヒトCKR-3受容体などの哺乳類CKR-3受容体蛋白質
に結合する化合物、およびリガンドあるいは受容体活性の潜在的阻害剤または促
進剤である化合物を選択および同定する方法に使用できる。この方法によって選
択される化合物(リガンド、阻害剤または促進剤を含む)を、受容体機能に対す
る刺激または阻害効果および/または治療的用途についてさらに評価できる。
1つの態様において、活性な単離および/または組換え哺乳類CKR-3受容体蛋白
質またはポリペプチドに結合する化合物をこの方法で同定する。この態様では、
使用する受容体蛋白質またはポリペプチドが、CKR-3受容体に特有の機能、例え
ばシグナル発信活性(哺乳類G蛋白質の活性化など)、刺激機能(走化性や炎症
媒介物質放出の刺激など)および/または結合機能(リガンド、阻害剤および/ま
たは促進剤結合など)などの少なくとも1つを持つ。特に好ましい態様において
、単離および/または組換え哺乳類CKR-3受容体蛋白質またはポリペプチドがリガ
ンド結合機能を持ち、その受容体の天然のリガンドを結合する。
例えば、ある単離および/または組換え哺乳類CKR-3受容体蛋白質またはポリペ
プチドを結合に適した条件下に維持し、その受容体を被験化合物と接触させ、結
合を検出または測定することができる。1つの態様において、本発明の受容体を
コードする核酸配列を含む構築物で安定にまたは一過性にトランスフェクトした
細胞内で、受容体蛋白質を発現させることができる。その細胞を受容体の発現に
適した条件下に維持する。その細胞を結合に適した条件下に(例えば適当な結合
緩衝液中で)化合物と接触させ、標準的な技術で結合を検出する。結合を測定す
るには、結合の程度を適当な対照と比較して(例えば化合物の不在下で決定した
バックグラウンドと比較して、第2の化合物(すなわち標品)の結合と比較して
、トランスフェクトしていない細胞に対する化合物の結合と比較して)決定でき
る。任意に、受容体を含有する細胞画分(膜画分など)を全細胞の代わりに使用
してもよい(例えば実施例9を参照のこと)。
1つの態様において、化合物を適当な標識(例えば蛍光標識、同位体標識)で
標識し、その標識の検出によって結合を決定する。結合の特異性は、例えば非標
識化合物または第2のリガンドを競合剤として用いる競合または置換によって評
価できる。
哺乳類受容体のリガンドは、同じ哺乳類種由来の天然リガンドまたは別の種由
来の天然リガンドを含めて、この方法で同定できる。受容体を結合する促進剤ま
たは阻害剤の結合活性も、かかるリガンド結合アッセイで評価できる。
結合阻害アッセイを用いて、リガンドと、受容体に結合し他の化合物(リガン
ドなど)の結合を阻害する阻害剤および促進剤を同定することもできる。例えば
、第2の化合物の存在下で起こる第1の化合物の結合に比べて、(第2の化合物の
不在下で起こる)第1の化合物の結合の減少を検出または測定する結合検定を行
なうことができる。受容体を第1および第2の化合物と同時に接触させてもよいし
、逐次(順番は問わない)接触させてもよい。第2化合物の存在下で起こる第1化
合物の結合の程度は、第2化合物による結合の阻害の指標となる。例えば
、第1化合物の結合が減少したり、完全に破壊されたりすることもある。
1つの態様において、ヒトCKR-3受容体に対する第1化合物(例えばRANTESなど
のケモカイン)の結合の第2の試験化合物による直接阻害を測定する。例えば、
ヒトCKR-3に対する125I-標識RANTESまたは125I-標識MCP-3の結合を阻害するある
化合物の能力を監視することができる。かかるアッセイは、全細胞(例えば酪酸
分化HL-60細胞またはヒトCKR-3受容体をコードする核酸を含有する適当な細胞株
)を用いて行なうこともできるし、例えば該細胞の膜画分を用いて行なうことも
できる。
受容体を結合する化合物の存在を同定するには、他の方法も利用でき、例えば
、受容体結合によって誘発される事象(シグナル発信機能および/または細胞応
答の刺激など)を監視する方法である(下記参照)。
本発明の抗体の阻害効果を結合阻害アッセイで評価できることは理解されるだ
ろう。受容体結合に関する抗体間の競合も、このアッセイにおける第1化合物を
別の抗体とし、抗体結合に適した条件下でその検定を行なうことによって評価で
きる。
この方法で同定されるリガンドならびに受容体結合阻害剤(アンタゴニストな
ど)および促進剤(アゴニストなど)をさらに評価することによって、結合に引
き続いて、それらがCKR-3受容体の他の機能を阻害または活性化するように作用
するかどうかを決定し、および/または、それらの治療的有用性を評価すること
ができる。シグナル発信アッセイ
リガンドまたは促進剤(アゴニストなど)の結合は、G蛋白質共役受容体によ
るシグナル発信をもたらすことができ、G蛋白質の活性化を刺激する。ある化合
物による誘導シグナル発信機能の誘導は任意の適当な方法で監視できる。例えば
、受容体結合が誘発するG蛋白質活性(GTPからGDPへの加水分解など)や、その
後に起こるシグナル発信事象(細胞内(細胞質)遊離カルシウム濃度[Ca2+]
iの迅速かつ一過性の増加の誘導など)を、当該分野公知の方法または他の適当
な方法で評価できる(例えばNeote,K.ら,Cell,72: 415-425(1993);VanRi
perら,J.Exp.Med.,177: 851-856(1993);Dahinden,C.A.ら,J.Exp.Med.
,179: 751-756(1994)を参照のこと)。
リガンドまたは促進剤の受容体結合能とG蛋白質活性化能の測定には、ハイブ
リッドG蛋白質共役受容体を用いるSledziewskiらの機能アッセイも使用できる(
Sledziewskiら,米国特許第5,284,746号;この特許の教示は参考文献により本明
細書に合体される)。
(ハイブリッド受容体への結合が誘発する)宿主細胞の生物学的応答を監視す
る。この場合、応答の検出が試験試料中のリガンドの存在の指標となる。Sledzi
ewskiらは試験試料中のリガンドの存在を検出する方法を記述している。この場
合、リガンドは受容体のリガンド結合ドメインに結合されうる化合物である。こ
の方法の1つの態様において、生物学的に活性なハイブリッドG蛋白質共役受容
体(すなわち融合蛋白質)の発現を指示できるDNA構築物で酵母宿主細胞を形質
転換する。このハイブリッド受容体は、リガンド結合ドメイン以外のドメインの
少なくとも1つが酵母G蛋白質共役受容体(STE2遺伝子産物など)の対応するドメ
インで置換された哺乳類G蛋白質共役受容体を含む。この構築物を含有する酵母
宿主細胞を上記ハイブリッド受容体が発現される条件下に維持し、その細胞を、
ハイブリッド受容体に対するリガンドの結合が可能な条件下で、試験試料と接触
させる。アッセイを記述されているように行い、(ハイブリッド受容体への結合
が誘発する)宿主細胞の生物学的応答をアッセイする。応答の検出はシグナル発
信機能の指標となる。
例えば、STE2遺伝子産物から誘導したハイブリッド受容体への結合がBAR1プロ
モーターの誘導をもたらすようなアッセイが提供される。このプロモーターの誘
導は、BAR1プロモーターに連結され第2の構築物に乗せて宿主細胞に導入される
レポーター遺伝子(β-gal)を利用して測定される。このリポーター遺伝子の発
現は、例えば細胞溶解液に対する試験管内酵素検定によって、あるいは培地に指
示薬(X-gal)を含む平板での青色コロニーの存在によって検出できる。
もう1つの態様において、このアッセイを用いて受容体機能の潜在的阻害剤を
同定する。ある化合物の阻害活性は、このアッセイでリガンドまたは促進剤を用
い、リガンドまたは促進剤によって誘導される活性を阻害するその化合物の能力
を評価することによって決定できる。
既知リガンドの変異型を、共役G蛋白質の活性を刺激する能力の減少(能力の
減少または消滅)についてスクリーニングすることもできる。この態様では、化
合物は(先立って(または後に)行なう別の方法で決定すると)リガンド結合活
性を持つが、受容体の連動が共役G蛋白質の活性を誘発しないか、わずかにしか
誘発しない。かかる化合物は潜在的アンタゴニストであり、適当なアッセイでさ
らに評価することができる。例えば同じアッセイをリガンドまたは促進剤の存在
下に行なって、リガンドまたは促進剤の活性を阻害するその化合物の能力を評価
できる。走化性および細胞刺激アッセイ
受容体機能を評価するには走化性アッセイも使用できる。これらのアッセイは
ある化合物によって誘発される試験管内または生体内の細胞の機能的移動に基づ
いており、これらのアッセイを用いてリガンド、阻害剤または促進剤の結合およ
び/または化学誘引効果を評価できる。試験管内経内皮走化性アッセイの使用を
実施例1に記述する。Springerらは経内皮リンパ球走化性アッセイについて記述
している(Springerら,国際公開第94/20142号パンフレット,1994年9月15日公開
;この公報の教示は参考文献により本明細書に合体される;Bermanら,Immunol
Invest.17: 625-677(1988)も参照のこと)。内皮を横切るコラーゲンゲルへ
の移動も記述されている(Kavanaughら,J.Immunol,146: 4149-4156(1991)
)。
マウスL1-2前B細胞または走化性を持つ他の適当な宿主細胞の安定なトランス
フェクタントは、例えば走化性アッセイに使用できる(例えば実施例3を参照の
こと)。本明細書にさらに記述するように、好酸球様細胞株(例えばCKR-3受容
体を同化する酪酸分化HL60株)も走化性アッセイに組込むことができる。
一般に走化性アッセイでは、障壁(内皮、フィルターなど)の第1表面から反
対側の第2表面の方向に増大する化合物レベルに向かって障壁内へ、または障壁
を通過して移動する、適当な細胞(例えば白血球(リンパ球、好酸球、好塩基球
など))の指向的な運動または移動を監視する。膜やフィルターは、フィルター
の第1表面からフィルターの反対側の第2表面の方向に増大する化合物レベルに向
かってフィルター内に、またはフィルターを通過して移動する、適当な細胞の指
向的運動または移動を監視するのに便利な障壁となる。いくつかのアッセイでは
、ICAM-1、フィブロネクチンまたはコラーゲンなどの接着を容易にする物質で膜
をコーティングする。
例えば、適当な容器(含有手段)内で、第1室から細孔膜中への、もしくは細
孔膜を通過して、試験対象の化合物を含有し、膜によって第1室から隔離された
第2室への細胞の移動を検出または測定できる。化合物に応答して起こる特異的
な移動の監視に適した細孔サイズを持つ適当な膜、例えばニトロセルロース、ポ
リカーボネートなどを選択する。例えば約3〜8ミクロン、好ましくは約5〜8ミク
ロンの細孔サイズを使用できる。フィルター上の細孔サイズは均一であってもよ
いし、適当な細孔サイズの範囲に分布していてもよい。
移動を評価するため、フィルターへの移動距離、フィルターを横切ってフィル
ターの第2表面に接着している細胞数および/または第2室中に蓄積する細胞数を
標準的な技術(例えば顕微鏡)で決定できる。1つの態様において、細胞を検出
可能な標識(例えば放射性同位体、蛍光標識、抗原またはエピトープ標識)で標
識し、膜に接着したその標識および/または第2室中に存在するその標識の存在を
適当な方法で(例えば放射活性や蛍光を検出するか、免疫アッセイで)決定する
ことによって、移動を評価できる。ある化合物によって誘発される移動の程
度を、適当な対照に対して(例えばその化合物の不在下に決定したバックグラウ
ンド移動と比較して、第2の化合物(すなわち標準)によって誘発される移動の
程度と比較して、その化合物によって誘発される非トランスフェクタントの移動
と比較して)決定することができる。
小室は、プラスチック、ガラス、ポリプロピレン、ポリスチレンなど、種々の
固体で形成することができる。小室から取り外せる膜、例えばBiocoat(Collabo
rative Biomedical Products)やTranswell(Costar,マサチューセッツ州ケン
ブリッジ)培養インサートなどは、接着細胞の計数を容易にする。
容器には、第1室内の細胞を含む液体と第2室内の液体に接触するようにフィル
ターを設置する。試験化合物またはこの検定のために存在する追加のリガンド、
阻害剤もしくは促進剤以外は、膜の両側の液体が同じであるか、実質的に類似し
ていることが好ましい。小室内の液体は、細胞の安定性を増大させ、細胞の非特
異的結合を阻害するように作用する蛋白質溶液(例えばウシ血清アルブミン、ウ
シ胎児血清、ヒト血清アルブミン)および/または培養培地を含みうる。
好ましい態様では、特に好酸球、好酸球様細胞、リンパ球、CKR-3受容体を発
現する細胞について、経内皮移動を監視する。経内皮移動アッセイが好ましい。
かかるアッセイは、白血球が血管から血管壁を裏打ちする内皮細胞層を横切って
炎症部位の組織内に存在する化学誘引物質に向かって移動する生体内条件をより
正確に再現するので、生理学的モデルとして優れている。さらに、経内皮アッセ
イはバックグラウンド(信号対雑音比)が比較的低い。
この態様では、内皮細胞層を通過する移動を評価する。細胞層を調製するため
、内皮細胞の接着を促進するために任意にコラーゲン、フィブロネクチンまたは
他の細胞外マトリックス蛋白質でコーティングしておいてもよい細孔フィルター
または膜上で内皮細胞を培養できる。好ましくは、コンフルエントな単層が生成
するまで内皮細胞を培養する。単層形成には、例えば静脈、動脈または微小血管
内皮(ヒト臍静脈内皮細胞(Clonetics Corp,カリフォルニア州サンディエゴ)
など)や適当な細胞株(実施例1で使用するECV304細胞株など)など、種々の哺
乳類内皮細胞を利用できる。特定の哺乳類受容体に応答して起こる走化性を検定
するには、同じ哺乳類の内皮細胞が好ましいが、異なる哺乳類種または属由来の
内皮細胞も使用できる。
一般的には、フィルターの第1表面からフィルターの反対側の第2表面に向かっ
て、化合物レベルが増大する方向に、膜またはフィルター内へ、または膜または
フィルターを通過して移動する細胞の指向的移動を検出することによって、この
アッセイを行ない、そのフィルターは第1表面に内皮細胞層を含む。指向的移動
は第1表面に接する領域から膜内へ、または膜を通過して、フィルターの反対側
に置かれた化合物に向かって起こる。第2表面に接する領域に存在する化合物の
濃度は、第1表面に接する領域に存在する化合物の濃度より大きい。
1つの態様において、ある化合物のリガンドまたは促進剤活性の試験に走化性
を用いる。移動能を持ち哺乳類CKR-3受容体を発現できる細胞を含む組成物を第
1室に入れ、好ましくは第1室内の細胞の走化性を誘導できる(化学誘引機能を
持つ)他のリガンドや促進剤の不在下に、試験対象の化合物を含む組成物を第2
室に入れる。しかし、化学誘引機能を持つ1以上のリガンドまたは促進剤が存在
してもよい。このアッセイで受容体を結合し、哺乳類CKR-3受容体を発現する細
胞の走化性を誘導できる化合物は、受容体機能のリガンドまたは促進剤である。
阻害剤の試験に使用する1つの態様において、移動能を持ち、哺乳類CKR-3受
容体を発現できる細胞を含む組成物を第1室に入れる。第1室内の細胞の走化性を
誘導できる(化学誘引機能を持つ)1以上のリガンドまたは促進剤を含む組成物
を第2室に入れる。細胞を第1室に入れる直前か、細胞と同時に、試験対象の化合
物を含む組成物を、好ましくは第1室に入れる。このアッセイで哺乳類CKR-3受容
体を発現する細胞の受容体を結合し、リガンドまたは促進剤による走化性の誘導
を阻害できる化合物は、受容体機能の阻害剤(すなわち刺激機能の阻害剤
)である。リガンドまたは促進剤によって誘導される移動の程度が試験化合物の
存在下で減少すれば、それが阻害活性の指標となる(例えば実施例5を参照)。
別個に結合試験(上記参照)を行なって、阻害が受容体に対する試験化合物の結
合の結果であるのか、それとも異なる機構によって起こるのかを決定することも
できる。
組織に対する化合物の注射に応答して起こる組織の白血球浸潤を監視する生体
内アッセイを後述する(「炎症のモデル」を参照のこと)。これらのモデルでは
、細胞が炎症部位への移動および走化性によってリガンドまたは促進剤に応答す
る能力を測定する。
記述する方法に加えて、受容体を含有する適当な宿主細胞を用いて、活性な受
容体が誘発する細胞応答を監視することによって、受容体の刺激機能に対するリ
ガンド、阻害剤または促進剤の効果を評価することもできる。同様に、これらの
アッセイを用いて受容体の機能を決定することもできる。例えば、エキソサイト
ーシス(例えば好酸球カチオン性蛋白質および/または1以上の酵素または他の顆
粒成分の放出をもたらす好酸球の脱顆粒、好塩基球からのヒスタミンの放出)、
炎症媒介物質放出(例えばロイコトリエン類(ロイコトリエンC4など)のような
生物活性脂質の放出)、呼吸バースト(Rot,A.ら,J.Exp.Med.,176: 1489-
1495(1992))を、当該分野公知の方法や他の適当な方法で監視することができ
る。例えばBischoff,S.C.ら,Eur.J.Immunol.,23: 761-767(1993)やBaggl
iolini,M.およびC.A.Dahinden,Immunology Today,15: 127-133(1994)と
それらに引用されている文献を参照のこと。
1つの態様において、脱顆粒またはエキソサイトーシス機能を持つ細胞による
脱顆粒またはエキソサイトーシス時の酵素放出を監視することによって、リガン
ド、阻害剤および/または促進剤を同定する。エキソサイトーシスまたは脱顆粒
を刺激することのできる活性な受容体蛋白質をコードする本発明の核酸を含有す
る細胞を、適当な条件下に適当な培地中で維持し、それによって受容体を発現さ
せ、脱顆粒を誘発する。受容体を被験化合物と接触させ、酵素放出を評価する。
培地への酵素の放出は、免疫学的アッセイまたは酵素活性に関する生化学的アッ
セイなど、適当な方法で検出または測定できる。
アッセイ成分(基質、補因子、抗体など)を培地に(例えば細胞と化合物を混
合する前、後もしくは同時に)添加することによって、培地を直接的に検定でき
る。別法として、アッセイに先立って細胞から分離し、さらに分画した培地に対
して検定を行なうこともできる。
例えば、β-グルクロニダーゼや好酸球ペルオキシダーゼのような酵素に関す
る便利なアッセイを利用できる(White,S.R.ら,「好酸球および好酸球調整培
地中の好酸球ペルオキシダーゼの速度検定法」,J.Immunol.Methods,144(2
):257-63(1991))。
ある化合物による脱顆粒の刺激は、その化合物が哺乳類CKR-3受容体のリガン
ドまたは促進剤であることの指標となりうる。もう1つの態様では、脱顆粒の阻
害が阻害剤の指標となる。この態様では、受容体を発現する細胞をリガンドまた
は促進剤と混合し、その前、後または同時に被験化合物を加える。炎症のモデル
生体内でリガンド、阻害剤または促進剤の治療薬としての効果を評価するため
に使用できる様々な炎症の生体内モデルがある。
例えば、肺への好酸球浸潤を持つ霊長類モデルを生体内試験に利用できる(例
えばWenger,C.D.ら,Science,247: 456(1990)を参照のこと)。1つの態様
において、ヒトCKR-3と反応し、霊長類CKR-3と交差反応する抗体(例えばモノク
ローナル抗体)をその動物に投与する。気管支肺胞洗浄液中の好酸球数、呼吸コ
ンプライアンス、呼吸数など(ただしこれらに限られるわけではない)、いくつ
かのパラメーターを測定することによって、生体内効果を評価できる。気道過敏
症の症状の減少が治療効果の指標となる。
さらに、喘息の羊モデル、受動皮膚アナフィラキシーのモルモットモデル、そ
の他の適当なモデルを、生体内での化合物の評価に使用できる(例えばWeg,V.B
.ら,J.Exp.Med.,177: 561(1993)、Abraham,W.M.ら,J.Clin.Invest.
,93: 776(1994)を参照のこと)。
また、ウサギ、ラット、モルモットなどの適当な動物に化合物を皮膚内注射し
た時の白血球浸潤も監視できる(例えばVan Damme J.ら,J.Exp.Med.,176: 5
9-65(1992)、Zachariae,C.O.C.ら,J.Exp.Med.171: 2177-2182(1990)
、Jose,P.J.ら,J.Exp.Med.179: 881-887(1994)を参照のこと)。1つの
態様において、皮膚生検を白血球(好酸球、顆粒球など)の浸潤について組織学
的に評価する。もう1つの態様として、走化性を持ち管外溢出能を持つ標識細胞
(例えば、CKR-3受容体を発現し、111Inなどで標識された安定なトランスフェク
タント)を動物に投与する。試験試料(例えば適当な緩衝液または生理学的担体
中の被験化合物)の注射に応答して起こる細胞の浸潤が、その試料中のリガンド
または促進剤(アゴニストなど)の存在の指標となる。これらのアッセイを改良
して、走化性と白血球管外溢出の阻害剤を同定することもできる。例えば、リガ
ンドまたはアゴニストを試験動物に投与する前、後もしくは同時に、阻害剤を投
与できる。阻害剤の不在下での浸潤の程度に比べて、阻害剤の存在下で浸潤の程
度が減少したら、それが阻害の指標となる。診断的応用
本発明は様々な診断的用途を持つ。これらの用途には本明細書に記載の用途が
含まれるが、必ずしもそれらに限られるわけではない。
哺乳類CKR-3受容体蛋白質をコードする遺伝子中の突然変異は、コードされて
いる受容体の機能の少なくとも1つに欠損をもたらして、受容体機能を増減する
可能性がある。例えば、受容体の変種を生成したり、発現レベルを変えたりする
突然変異は、受容体機能を増減して、受容体が媒介する炎症過程を増減する可能
性がある。
例えば、受容体機能の検出または測定法を用いて、ある個体の細胞(白血球な
ど)中の受容体の活性やかかる細胞から単離した受容体の活性を特徴づけること
ができる。これらのアッセイでは、減少または増進した受容体機能を評価できる
。
本発明の核酸は、活性が減少または増大している受容体をコードする欠損哺乳
類CKR-3受容体遺伝子のスクリーニング、特徴づけおよび/または単離に使用でき
る試薬(プローブ、PCRプライマーなど)を提供する。例えば、標準的な欠損遺
伝子スクリーニング法を使用できる。欠損遺伝子とそこにコードされている受容
体の活性を単離し、それらを適当な宿主細胞中で発現させて、哺乳類CKR-3受容
体について本明細書に記述するような評価をさらに行なうことができる。いくつ
かのヒト疾患はG蛋白質共役受容体機能の欠損に関係している(Clapham,D.E.,
Cell,75: 1237-1239(1993)、Lefkowitz,R.J.,Nature,365: 603-04(1993)
)。
本発明の抗体は、細胞表面上に受容体を検出する操作で使用できる。受容体は
、それを発現する白血球細胞タイプ、特に好酸球のマーカーになる。例えば、受
容体蛋白質またはペプチドに対して生じた抗体を用いて、受容体を発現する細胞
を数えることができる。細胞数は、白血球細胞タイプの減少または増大が観察さ
れる種々の疾患または状態(例えば過好酸球増加症候群における過好酸球増加症
、好酸球減少症など)の診断に使用できる。ある個体から得た試料中に増大した
レベルの好酸球が存在すれば、それは炎症性の疾患または状態(例えば喘息や、
寄生虫感染などの感染症)による好酸球浸潤の指標となりうる。別法としてまた
は前記に加えて)、受容体を発現する細胞を細胞の混合物の中から選別するため
に抗体を使用することもできる。この目的には、細胞の計数および/または選別
に適した方法(例えばフローサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別法)を使用で
きる。
さらに、白血球の炎症過程が変化する(例えば適当な対照に比べて、正常な個
体における発現レベルなどが増大または減少する)種々の疾患または状態におけ
る受容体発現の増大または減少を、抗体を用いて検出または測定することもでき
る。例えば、白血球(好酸球、T細胞などのリンパ球、単球、好塩基球など)を
個体から得て、適当な免疫学的アッセイ(ELISA、FACS分析法など)を用いて、
その発現レベルを評価することができる。哺乳類CKR-3受容体の発現レベルは、
哺乳類CKR-3受容体の発現レベルが増大または減少する疾患や状態の診断に使用
できる。トランスジェニック動物
組換えDNA技術を用いて宿主動物のゲノムが改変されたトランスジェニック動
物を構築することができる。1つの態様において、その改変が遺伝性でない(例
えば骨髄中の先祖細胞などの体細胞を改変する)。別の態様において、その改変
が遺伝性である(生殖細胞系を改変する)。トランスジェニック動物は標準的な
技術または他の適当な方法で構築できる(例えばCooke,M.P.ら,Cell,65: 28
1-291(1991)(Tリンパ球の改変について)、Hanahan,D.,Science,246: 126
5-1275(1989))。
一側面として、適当な動物宿主中の内因性哺乳類CKR-3受容体遺伝子を完全に
、もしくは部分的に(例えば遺伝子破壊技術によって)不活性化または無力化す
ることによって、トランスジェニック動物を作出することができる。本発明の核
酸を用いて、不活化または無力化されたCKR-3遺伝子を含有する宿主の構築の成
功を(例えばサザンハイブリッド形成法によって)評価することができる。さら
に、不活化または無力化されたCKR-3遺伝子を含有する宿主の構築の成功は、コ
ードされている受容体の機能を監視する適当なアッセイによっても評価できる。
別の態様において、哺乳類CKR-3受容体蛋白質またはポリペプチドをコードす
る核酸を適当な宿主に導入することによって、トランスジェニック動物を作出す
ることもできる。好ましい態様では、そのトランスジェニック動物中に存在する
内因性CKR-3受容体遺伝子を、(例えば、該内因性遺伝子を破壊し置換する相同
組換えによる該核酸の導入と同時に)不活化する。例えば、白血球(例えば好酸
球、リンパ球(Tリンパ球など))中で異なる哺乳類種(例えばヒト)の哺乳類C
KR-3受容体をコードする核酸を発現できるトランスジェニック動物(マウス、モ
ルモット、羊など)を作出することができる。これらのトランスジェニック動物
は、導入された受容体の機能を評価するための便利な動物モデルを提供する。さ
らに、トランスジェニック動物にある化合物を投与し、受容体によって媒介され
る炎症過程に対するその化合物の効果を適当なアッセイで監視することもできる
(例えばWeg,V.B.ら,J.Exp.Med.,177: 561(1993)、Abraham,W.M.ら,
J.Clin.Invest.,93: 776(1994)を参照のこと)。この方法で、受容体機能
を阻害または促進する化合物を同定したり、その生体内効果を同定または評価す
ることができる。治療法
哺乳類CKR-3受容体に特有の機能の少なくとも1つを阻害または促進することに
よる本発明の哺乳類CKR-3受容体機能調節法は、白血球が媒介する炎症作用の選
択的で効果的な阻害または促進法になる。CKR-3受容体機能の1以上のリガンド、
阻害剤および/または促進剤(本明細書に記述するように同定されるものなど)
を用いて、白血球機能を治療目的で調節することができる。
哺乳類CKR-3受容体は、主要な好酸球およびリンパ球ケモカイン受容体として
、哺乳類(ヒトなど)の好酸球および/またはリンパ球機能を妨害または促進す
るための標的になる。ある種の炎症性浸潤ではT細胞と好酸球の同時局在化が一
貫して観察される。したがって、本願方法に従って同定されるリガンド、阻害剤
および促進剤などのCKR-3受容体機能を促進または阻害する化合物は、治療目的
で好酸球および/またはリンパ球機能を調節する際にとりわけ有用である。
したがって本発明は、かかる治療を必要とする個体の炎症性応答を阻害または
促進する方法であって、哺乳類CKR-3受容体機能を阻害または促進する化合物を
そのような治療を必要とする個体に投与することを含む方法を提供する。
1つの態様において、哺乳類CKR-3受容体(例えばヒトCKR-3受容体)の1以上
の機能を阻害する化合物を投与することによって、炎症を阻害(すなわち軽減ま
たは防止)する。その結果、白血球移動、走化性、(酵素、ヒスタミンなどの)
エキソサイトーシスまたは炎症媒介物質の放出などの1以上の炎症過程が阻害さ
れる。例えば、本発明の方法で、(喘息などにおける)炎症部位への好酸球浸潤
を阻害できる。
別の態様において、哺乳類CKR-3受容体(例えばヒトCKR-3受容体)の1以上の
機能を促進する化合物を投与することによって、白血球移動、走化性、(酵素、
ヒスタミンなどの)エキソサイトーシスまたは炎症媒介物質の放出などの炎症過
程を刺激(誘発または増進)して、炎症過程の有益な刺激をもたらす。例えば好
酸球を補充することによって寄生虫感染に対抗することができる。
ヒトのような霊長類に加えて、様々な他の哺乳類を本発明の方法に従って治療
できる。例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット
や、その他のウシ属、ヒツジ類、ウマ科、イヌ科、ネコ科、齧歯類またはネズミ
科種などの哺乳類を治療できるが、これらに限られるわけではない。さらには、
鳥類(例えばニワトリ)などの他の種にもこの方法を実施できる。
炎症と感染に関係する疾患と状態をこの方法で治療することができる。好まし
い態様におけるその疾患または状態とは、炎症応答を調節するために好酸球およ
び/またはリンパ球の作用を阻害または促進すべき疾患または状態である。
CKR-3受容体機能の阻害剤で治療できるヒトまたは他の種の疾患または状態の
例を次に挙げるが、これらに限られるわけではない。
・ 炎症性またはアレルギー性疾患および状態、例えばアレルギー性鼻炎、過敏
性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球増加性肺炎(レフレル症候群、慢性好酸球増加性
肺炎など)、間質性肺疾患(ILD)(特発性肺繊維症、関節リウマチに関連するI
LD、全身性エリテトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群
、多発性筋炎、皮膚筋炎など)、喘息などの呼吸アレルギー疾患;全身性アナ
フィラキシーまたは過敏性応答、(ペニシリン、セファロスポリンなどに対する
)薬物アレルギー、虫さされアレルギー;クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症
性腸疾患;脊椎関節症;硬皮症;皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー
性接触皮膚炎、蕁麻疹などの炎症性皮膚病および乾癬;血管炎(壊死性、皮膚お
よび過敏性血管炎など)など;
・ 好酸球増加性筋炎、好酸球増加性筋膜炎;
・ 自己免疫疾患、例えば慢性関節リウマチ、乾癬関節炎、多発性硬化症、全身
性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年型糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫甲状
腺炎、ベーチェット病など;
・ (移植などにおける)移植片拒絶、例えば同種移植片拒絶または対宿主性移
植片病など;
・ 皮膚または器官の白血球浸潤を伴う癌;
・ 望ましくない炎症応答を治療すべきその他の疾患または状態、例えば再灌流
損傷、アテローム性動脈硬化症、ある種の血液学的悪性腫瘍、サイトカインが誘
発する毒性(敗血症ショック、内毒素ショックなど)、多発性筋炎、皮膚筋炎な
ど(ただしこれらに限られるわけではない)も治療できる。
CKR-3受容体機能の促進剤で治療できるヒトまたは他の種の疾患または状態の
例を次に挙げるが、これらに限られるわけではない。
・ 免疫抑制、例えばAIDSなどの免疫不全症候群にかかっている患者や、放射線
療法、化学療法、自己免疫疾患の治療あるいは免疫抑制を引き起こすその他の薬
物療法(コルチコステロイド療法など)を受けている患者に認められるもの;受
容体機能の先天的欠乏症または他の原因による免疫抑制など;
・ 寄生虫病などの感染性疾患、例えば線虫(回虫)などの蠕虫感染症(鞭虫症
、蟯虫症、回虫症、鉤虫症、棹虫症、旋毛虫症、糸状虫症);吸虫(フラックス
)(住血吸虫症、肝吸虫症)、条虫(サナダムシ)(包虫症、無鉤条虫症、嚢虫
症);内臓虫、内臓幼虫移住(トキソカラ属など)、好酸球増加性胃腸炎(アニ
サキ(Anisaki)種、フォカネマ(Phocanema)種など)、皮膚幼虫移住(ブラジ
ル鉤虫、イヌ鉤虫)など(ただしこれらに限られるわけではない)。ある種の炎症反応、特に喘息における標的細胞としての好酸球
好酸球は骨髄で生産され、組織(主に肺、胃腸管および尿生殖管などの粘膜組
織)に循環する。好酸球は典型的には血中の白血球の1〜3%を構成する。しかし
、アレルギー性疾患や蠕虫寄生虫感染症にかかっている人々では、増大した好酸
球蓄積が組織または血液で起こる。好酸球蓄積は宿主にとって有益でもあり、有
害でもある。
例えば、好酸球はカチオン性蛋白質を含有する多数の顆粒を持っている。例え
ばIgG、IgAまたはIgE受容体の連動や、血小板活性化因子(PAF)、ロイコトリエ
ンまたはケモカインなどの炎症媒介物質による刺激などによって誘発される好酸
球の脱顆粒は、その顆粒中の成分の放出をもたらす。好酸球からの産物は宿主細
胞に対する損傷をも引き起こす。最も有害な産物はカチオン性蛋白質で、喘息の
患者では検出されるその濃度が増大している。好酸球は、ロイコトリエンC4と血
小板活性化因子(PAF)を含むいくつかの炎症媒介物質をも生成する。これらの
媒介物質は気道平滑筋を収縮し、粘液の分泌を促進し、血管透過性を変化させ、
さらなる好酸球および好中球浸潤を引き起こす。
好酸球はアレルギー/喘息体質の開始と維持に関与する。したがって好ましい
態様として、本願方法を、喘息や過敏(アレルギー)状態(特に粘膜組織が関与
するものや他の好酸球関連疾患における過敏状態)の治療に使用できる。特に好
ましい態様として、哺乳類CKR-3受容体(例えばヒトCKR-3受容体)の1以上の機
能を阻害する化合物を喘息患者に投与する。
好酸球は、多細胞蠕虫寄生虫のように巨大で食菌不能な生物に対抗し、これを
破壊する宿主の防御には、明らかに重要である。また好酸球は、高レベルのIgE
抗体を誘導する他の病原体に対する免疫反応において重要なエフェクター細胞で
もある。したがって、寄生虫病のような感染病の治療に本願方法を使用すること
によって、炎症性防御を刺激または促進したり、あるいは宿主に危害を加える免
疫応答を抑制することができる。好酸球と喘息病因
喘息は気道または気管支の閉塞を特徴とし、広範囲にわたる薬学的媒介物質に
応答して迅速な狭窄と気管支過剰反応を起こす。気管支粘膜内層の慢性炎症は喘
息の発生に重要な役割を果たしていると広く考えられている。
好酸球、マクロファージおよびリンパ球による気管支粘膜の著しい浸潤が喘息
と他の過敏症で観察される。炎症を起こした気道に対する好酸球の選択的移動が
しばしば認められるが、これは内皮に対する好酸球の選択的結合と血液からの抽
出の結果であると思われる。好酸球は、特に気管支粘膜損傷の原因物質であると
考えられている。喘息患者の研究は、血中好酸球数が気管支過剰反応の程度と相
関することを示唆している。さらに、喘息患者から得た気管支生検と気管支肺胞
洗浄液は、好酸球の程度と臨床的重篤度の間に明確な関係を示す。したがって、
とりわけ喘息の場合には、好酸球の存在と有害な免疫反応の間に強固な関連があ
る。
化学誘引物質に応答して起こる選択的な白血球の走化性、管外溢出および活性
化において機能する好酸球とリンパ球上の主なケモカイン受容体は、好酸球補充
を妨害するための優れた標的となる。例えば、哺乳類(例えばヒト)CKR-3受容
体の少なくとも1つの機能の阻害剤を投与することは、その受容体に対するケモ
カインの結合を阻害することなどによって、効果的で選択的な喘息の治療法とな
りうる。炎症を起こした肺および気道組織への白血球、特に好酸球の補充(管外
溢出、浸潤)を軽減または防止し、および/または、これらの組織における白血
球機能を軽減することによって、喘息の有害な炎症過程を阻害でき、その症状を
緩和できる。
肺に対する好酸球補充の遮断によって喘息の症状を緩和できるという証拠があ
る。α4インテグリンと反応するモノクローナル抗体の投与は、ヒツジにおいて
肺および気道への好酸球の蓄積を阻害し、抗原投与に対する気道の過剰反応を遮
断したと報告されている。喘息の霊長類モデルでは、ICAM-1に対するモノクロー
ナル抗体が気道好酸球増加症と過剰反応を減衰させると報告されている。さらに
、受動皮膚アナフィラキシーのモルモットモデルでは、抗α4モノクローナルに
よる好酸球の試験管内予備処理が、好酸球蓄積を抑制したとも報告されている(
これらのモデルについてはWegner,C.D.ら,Science,247: 456(1990)、Weg,
V.B.ら,J.Exp.Med.,177: 561(1993)およびAbraham,W.M.ら,J.Clin.I
nvest.,93: 776(1994)を参照のこと)。投与法
本発明によれば、1以上の化合物を単独で、あるいは別の薬物と組み合わせて
、適当な経路で宿主に投与できる。化合物(例えばリガンド結合を阻害する受容
体ペプチド、抗体または抗体断片)の有効量を投与する。有効量とは、その投与
条件下で所望の治療効果を達成するに足る量(例えばCKR-3受容体機能の阻害ま
たは促進と、それによるそれぞれ、炎症応答の阻害または促進に十分な量)であ
る。
種々の投与経路が可能で、例えば治療しようとする状態または疾患に応じて、
経口投与法、食餌法、局所投与法、腸管外投与法(静脈内注射、動脈内注射、筋
肉内注射、皮下注射など)、吸入投与法(気管支内吸入、鼻孔内吸入または経口
吸入、鼻孔内滴剤など)が挙げられるが、必ずしもこれらに限られるわけではな
い。喘息などの呼吸アレルギー性疾患には、吸入法が好ましい投与法である。
投与すべき化合物の製剤は、選択した投与経路に応じて変化するだろう(例え
ば液剤、乳剤、カプセル剤など)。投与すべき化合物を含む適当な組成物を、生
理学的に許容される担体または賦形剤中に調製することができる。例えば液剤や
乳剤の場合は、適当な担体として、食塩水や緩衝培地などの水溶液、アルコール
/水溶液、乳液、懸濁液などが挙げられる。腸管外用の賦形剤には、塩化ナトリ
ウム、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸化
リンゲルまたは脂肪油などを含めることができる。静脈内用の賦形剤には、種々
の添加物、保存剤、液体、栄養または電解物質補充剤などを含めることができる
(一般的にはRemington's Pharmaceutical Science,第16版,Mack編,1980を参
照のこと)。吸入法の場合は、化合物を可溶化し、適当な投与用ディスペンサー
(アトマイザー、ネブライザーまたは加圧エアロゾールディスペンサーなど)に
入れることができる。実施例
次に以下の実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によ
り限定されるものではない。
実施例1
ヒト好酸球と好酸球様細胞株の走化性特性 ヒト好酸球の走化性
1または複数の好酸球ケモカイン受容体のアンタゴニストを同定するには、好
酸球走化性に重要なケモカイン類を同定し、それらのケモカイン類が結合する1
または複数の受容体を決定する必要がある。走化性ウェルのポリカーボネート膜
上に生育した内皮細胞株を使用する高感度な改良走化性アッセイで走化性実験を
行なった。好酸球の単離
ヘパリン処理した血液100mlをPBSで1:1に希釈した。その20mlを65%、75%Perco
ll段階勾配に重層した。その勾配を室温、1500rpmで25分間遠心分離した。好酸
球/好中球層を新しいチューブに移し、20mlの0.2%NaClを添加して1分後、30mlの
1.8%NaClを加えることにより、赤血球を溶解した。PBS、0.5%BSA、0.5mM EDTAを
含む緩衝液で細胞を2回洗浄した。細胞を冷緩衝液(PBS、0.5%BSA、0.5mM EDTA
)に5×107細胞/50μlの密度で再懸濁し、50μlのCD16マイクロビーズをその細
胞に加えた。その混合物を4℃で25分間インキュベートした後、900μlの冷緩衝
液を加えた。miniMACSTM分離ユニット(Miltenyi Biotec,I
nc.,95603カリフォルニア州オーバン)を用いて、CD16陽性細胞(好中球)を枯
渇させた。カラムには細胞を200μlずつのせた。通過細胞を集め、組織学的に評
価した。この好酸球調製物は>99%純度であった。走化性アッセイ
ケモカイン類はPeprotech,Inc.(ニュージャージー州ロッキーヒル)から入
手した。3.0ミクロンBiocoat細胞培養インサート(Collaborative Biomedical P
roducts)を用い、24ウェルプレート中で走化性実験を行なった。走化性実験に
先立って、内皮細胞を上記インサート上でコンフルエントになるまで2日間培養
した。使用した内皮細胞は、フォン・ウィレブラント因子ならびにICAM-1および
VCAM-1などの内皮細胞マーカーを発現するECV304(European Collection of Ani
mal Cell Cultures,英国ソールズベリー・ポートンダウン)と呼ばれる細胞株で
あった。これらのアッセイはこの内皮細胞系によって極めて容易になる。という
のは、ヒト臍静脈内皮細胞は天然では変異性で、数世代しか使用できず、成長が
ECV304よりはるかに遅いからである。アッセイは37℃で1.5時間行ない、移動し
た細胞を倒立顕微鏡で数えた。結果
図4に示す結果は、少なくとも5回の実験の代表例である。ECV304内皮細胞をポ
リカーボネート膜上で生育させることによって、バックグラウンド移動がほとん
ど完全に減少した。経内皮走化性アッセイに適用した好酸球は、いくつかのケモ
カイン類、具体的にはRANTES、MCP-3およびそれより弱くMCP-1に対する移動を示
した。MIP-1β、IL-8、MCP-2およびIP-10は好酸球走化性に対してほとんど効果
を持たなかった。MIP-1αは好酸球の走化性をいくつかの実験で誘導したが、一
般的には不活性であった。異なるケモカイン類に対する白血球の応答性には変動
性があり、ケモカイン調製物の質にも不確定性があるので、これらの実験ではあ
る範囲のケモカイン濃度を使用した。RANTESとMCP-3に対する高レベルな好酸球
走化性が一貫して認められた。酪酸分化HL-60細胞におけるRANTES走化性の誘導
多くの研究、特に高処理量スクリーニングに使用できるほどの好酸球をヒト血
液から単離することは難しい。好酸球様細胞株は好酸球の代わりになりうる。HL
-60細胞が好酸球経路に分化できることは、いくつかの実験室で発見されている
(Tagari,P.ら,Int.Arch.Allergy Immunol.,101: 227-233(1993)、VanRi
per,G.ら,J.Immunol.,152: 4055-4061(1994))。かかる細胞が好酸球の
走化性機能をまねることができるかどうかを決定するため、HL-60細胞を試験し
た。
HL-60細胞をRPMI(HEPESなし)+20%ウシ胎児血清(FCS)に0.5×106細胞/ml
の密度で再懸濁した。n-酪酸(Sigma Chemical Co.,ミズーリ州セントルイス;
#B5887)を1M n-酪酸のストック溶液から0.4mMの最終濃度で加えた。HL-60細胞
を37℃、5%CO2で4日間インキュベートした。これらのHL-60細胞の好酸球様特性
は、走化性検定におけるRANTESおよびMCP-3応答性の誘導によって示される(図5
A〜5B)。さらに、ケモカイン受容体発現のノーザンブロット分析とリガンド結
合研究(下記参照)によって、これらの分化したHL-60細胞に好酸球と同様のケ
モカイン受容体が誘導されたことが確認された。
実施例2
主要な好酸球ケモカイン受容体の同定 プライマーの選択と設計
5つのケモカイン受容体遺伝子を整列させ、比較することによって、好酸球か
ら新規のケモカイン受容体をPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニングする際
に使用する一組の縮重オリゴヌクレオチドを作成した。これら5つの受容体遺伝
子の選択は、それらが結合するケモカインリガンドのタイプ(I1-8受容体A(IL8
RA)、I1-8受容体B(IL8RB)、MIP-1α受容体(MIP1αR))または発現がリン
パ様細胞または組織に限られると報告されているこれら受容体に有意な配列類似
性を持つオーファン受容体(エプスタイン-バー誘導性受容体-1(EBI1R)
とバーキットリンパ腫受容体-1(BLR1))のいずれかに基づいた。刊行されたい
くつかのアラインメントに基づいて、受容体配列を手で整列させた(IL-8RA、Ho
lmesら,Science,253: 1278-1280(1991);IL-8RB、Murphy,P.A.ら,Science
,253: 1280-1283(1991);MIP1α/RANTES、Neote,K.ら,Cell,72: 415-425
(1991);EBI1R、Birkenbach,M.ら,J.Virol.,67: 2209-2220(1993);お
よびBLR1(Dobner,T.ら,Eur.J.Immunol.,22: 2795-2799(1992))。
高度な配列相似性に基づいて、膜貫通(TM)領域2、6および7内ならびにTM3の
すぐC-末端側の領域内の配列を、縮重オリゴヌクレオチド設計の標的として選択
した。この縮重オリゴヌクレオチドプライマーのヌクレオチド配列を次の表に記
載する。
好酸球の単離および精製
ヘパリン処理した血液100mlをPBSで1:1に希釈した。その20mlを65%、75%Perco
ll段階勾配に重層した。その勾配を室温、1500rpmで25分間遠心分離した。好酸
球/好中球層を新しいチューブに移し、20mlの0.2%NaClを添加して1分後、30mlの
1.8%NaClを加えることにより、赤血球を溶解した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS
)、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.5mMエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA
)の溶液で細胞を2回洗浄した。細胞を冷緩衝液(PBS、BSA、EDTA溶液)に5×107
細胞/50μlの密度で再懸濁し、50μlのCD16マイクロビーズをその細胞に加えた
。その混合物を4℃で25分間インキュベートした後、900μlの冷緩衝液を加えた
。miniMACSTM分離ユニット(Miltenyi Biotec,Inc.,95603カリフォルニア州オ
ーバン)を用いて、CD16陽性細胞(好中球)を枯渇させた。カラムには細胞を20
0μlずつのせた。通過細胞を集め、組織学的に評価した。この基準によると、こ
の好酸球調製物は>99%純度であった。mRNA単離及びPCR
RT−PCR(逆転写−ポリメラーゼ・チェイン・リアクション)に用いるm
RNAを、インビトロジェン(Invitrogen)から購入したMicro
−FastTrackTM mRNA単離キットを用いて、精製した細胞から直接
抽出した。7TMS縮重プライマーを用いる前に、mRNAの質をβ−アクチン
及び/又はGAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)m
RNAのPCR増幅により評価した。
20〜50ngのmRNAを、製造業者により明記されているように、Gen
eAmpR RNA PCR キット(パーキン−エルマー(Perkin−E
lmer)製)を用いて、オリゴdT及び/又はランダム・ヘキサマーをプライ
マーとして、最終容量20μlで逆転写した。2〜5μlのこのcDNA(逆転
写好酸球伝達暗号)を、50μlの容量中で200μMのdNTPおよび50〜
100pmolの縮重プライマーと混合した。マグネシウム濃度およびpHを各
プライマー対に対して最適化した。マグネシウム濃度は1.0から3.0mMま
での範囲にし、pHは8.5から10.0までの範囲にした。様々なサイクル・
パラメーターの数値も求めたにもかかわらず、一般的に用いた条件は以下に類似
していた。94℃30秒;37℃30秒を3サイクル、ランプ2分で72℃に1
分、続いて、94℃45秒;48℃1分;72℃1分を30サイクル。(ランプ
=徐々に増加)。
単離した201bpの断片(以下参照)に関して、プライマー対2a−1およ
び7−1またはプライマー対2a−1および3Rを60mM Tris−HCl
,pH 9.5及び1.5mM MgCl2中でのPCR反応(前述)に用いた
。各反応の1μlの産物を、「ネスティッド(nested)」プライマー2a
−2および3Rを用いた別の(2回目の)回のPCRに用いた。(「ネスティッ
ド」プライマーは、プライマーの外側の配列にハイブリダイズするプライマーで
ある。)ネスティッドPCRの反応条件は1回目のPCRで述べたとおりであっ
た。
PCR産物をアガロースゲル電気泳動で評価、分離し、適当な大きさの断片を
精製し、pCR−ScriptTM SK+ クローニングキット(ストラタジェ
ン社(Stratagene)製)を用いてサブクローニングした。(適当な断
片の大きさは以下のようである:領域2aと7(上記表参照)からのプライマー
対でのPCRでは約700bp;領域2aからのプライマーとプライマー3Rで
のPCRでは約200bp;プライマー3Fと領域6bからのプライマーでのP
CRでは約400bp、そして、プライマー3Fと領域7のプライマーでのPC
Rでは約550bp。)期待される断片の大きさは、関連する受容体蛋白質が同
じ構造類似性を共有するであろうという仮説に基づいて予想した。迅速スクリーニングアッセイ
7TMSの新規なメンバーに対する多数のクローンを迅速にスクリーニングす
るために、上記のようにして得た細菌コロニー(すなわち、pCR−Scrip
t SK+にサブクローングした適当な大きさの断片を含むプラスミドの形質転
換体)のインサートを、pCR−ScriptTMのポリリンカーの側に位置する
配列に相補的なT3およびKSプライマーを用いたPCRによりスクリーニング
した。すなわち、オーバーナイト形質転換由来の一部の細菌のコロニーを、20
0μM dNTP、20mM Tris,pH8.5、50mM KCl、2.
5mM MgCl2、50pmol 各プライマーおよび0.25ユニット T
aq ポリメラーゼを含む40μlのPCR混合物と直接混合した。サイクル条
件は、94℃20秒;55℃20秒;72℃30秒を25サイクルにした。正し
い大きさのインサートを、20μlのPCR産物を1.5%アガロースゲルで評
価して同定した。反応の残りの20μlをAluI、HhaIRsaIで消化し
(三重消化)、そして12%ポリアクリルアミドゲル上で分離して異なる消化パ
ターンをスクリーニングした。それから、異なるパターンのクローンをシーケン
ス分析のために選択した。結果
縮重オリゴから生じた、PCR断片のシーケンス分析により、pCR−Scr
ipt中の201bpの部分cDNAクローンを同定した。(縮重オリゴは2a
−1、2a−2、3F、3R及び7−1であった)。この部分クローンは、Eo
s L2と名付けられ(L2及びEL2とも呼ぶ)、MIP1α/RANTES
受容体に対して78.3%のアミノ酸の類似性(81.1%の核酸の類似性)お
よびMCP−1受容体に対して60.8%のアミノ酸の類似性(61.6%の核
酸の類似性)を有することが分かった。最も最近の配列データベースの調査によ
り、この部分クローンはユニークであることが示された。サザン及びノーザン分析
PCR断片を標識し、サザン及びノーザンブロットの両方のプローブに用いた
。PCRプローブを調製するために、201bpの断片を制限酵素EcoRIお
よびNotIでpCR−Scriptベクターから解離させた。この消化の結果
、201bpの断片と39塩基対のベクター由来のポリリンカーから成る240
bpの断片が得られた。この断片をアガロースゲルによる電気泳動によりベクタ
ーから分離し、製造業者により推奨されているとおりに(Magic Mini
Prep,プロメガ社(Promega Corp.)、マディソン(Mad
ison)、ウィスコンシン州(WI))により精製した。約200ngの原料
を、ベーリンガー・マンハイム社(Boehringer Mannheim)
から購入したランダム プライムド DNA ラベリング キット(Rando
m Primed DNA Labeling Kit)で、製造業者の推奨す
る標識プロトコールに従って標識した。
サザンブロットに対しては、ゲノムDNA(クローンテック・ラボラトリーズ
社(Clontech Laboratories,Inc.),パロアルト(
Palo Alto),カリフォルニア(CA)から購入)を制限酵素で一晩消
化し、0.7%アガロースゲル電気泳動で分離し、続いてHybond−Nナイ
ロンメンブレン(アマシャム(Amersham)製)にキャピラリートランス
ファーした。ハイブリダイゼーションは、5×Denhardt溶液(1×De
nhardt溶液は0.02% ウシ血清アルブミン、0.02% フィコール
、0.02% ポリビニルピロリドンである)、10% W/V デキストラン
硫酸塩、2% SDSと剪断サケ精子DNA(100μg/ml)を含む6×S
SC(1×SSCは0.15M 塩化ナトリウム、0.015M クエン酸ナト
リウムである)中で一晩65℃で行なった。メンブレンを2×SSC、0.5%
SDS中65℃で2度リンスし、続いて0.2×SSC、0.5%SDS中65
℃で2度洗浄(各15分)した。
サザンハイブリダイゼーションにより、用いた各酵素で、単一の強くハイブリ
ダイズする断片と単一の弱くハイブリダイズする断片が示された。弱くハイブリ
ダイズする断片はMIP1α1/RANTES受容体のようである。
Multiple Tissue Northern Blotをクローンテ
ック・ラボラトリーズ社,パロアルト,カリフォルニア)から購入した。Exp
ressHybTM Solutionもクローンテック・ラボラトリーズ社から
購入した。Multiple Tissue Northern Blotを製
造業者により推奨されたように行なった。プローブは前記サザンブロットについ
て記述したものであった。ノーザンハイブリダイゼーションの結果により、脾臓
、末梢血白血球および胸腺に高レベルの約1.6kbの伝達暗号があることが示
された。更なるノーザン分析を実施例5に示す。ゲノムライブラリースクリーニング
クローンテック・ラボラトリーズ社(パロアルト,カリフォルニア)から購入
した、EMBL3 SP6/T7ベクターに構築したヒトゲノムファージライブ
ラリーを201bpのPCR断片でスクリーニングし、全長のクローンを得た。
約25,000のプラーク形成ユニットを、ライブラリーとともに提供された大
腸菌株K802の600μlのオーバーナイト細菌培養物とNZCYMトップア
ガロース中で混合し、NZCYMアガー(NZYCMブロス、アガーおよびアガ
ロースはGibco/BRLから購入した))を含む150mmのペトリ皿上に
プレーティングした。37℃7時間のインキュベーション後、プレートをBA−
85ニトロセルロースメンブレン(シュライヒャー・アンド・シューエル(Sc
hleicher and Schuell)製,キーン(Keene),ニュ
ーハンプシャー州(NH))で5分間かぶせてファージをメンブレンにトランス
ファーさせた。それから、メンブレンを5分間Denturing Solut
ion(1.5M 塩化ナトリウム、0.5N 水酸化ナトリウム)に浸し、続
いて1.5M 塩化ナトリウム、0.5M Tris,pH8.0で中和した。
フィルターを15分間風乾し、それから2時間、80℃、減圧下で固定した。そ
れから、フィルターをサザンブロットについて前述したようにハイブリダイズさ
せた。201bpのPCR断片は、オリゴヌクレオチドプライマー2a−2(T
M2)と3R(TM3)の間のヌクレオチドを含んでいた。
Eos L2.8と名付けた1つのゲノムファージクローンは、サザンブロッ
トで見られた1.8kbのHindIII断片を含むインサートを含んでいた(
完全なインサートの大きさは決定されていないが、約17kbである)。
ファージクローンEos L2.8をHindIII制限酵素で消化し、アガ
ロースゲルで電気泳動した。約1.8kbのHindIII断片を切り出し、ア
ガロースから電気溶出し、フェノール/クロロホルム抽出し、そしてエタノール
で沈殿させた。1.8kbの断片を水に再懸濁し、pBluescript I
I KS+ベクター(ストラタジェン社(Stratagene)製)のHin
dIIIサイトにライゲーションし、続いてGibco/BRLから購入したD
H5αコンピテントセルを形質転換した。
このHindIII断片の両ストランドを配列決定し、そして該断片がEos
L2受容体(ヒトCKR−3受容体)の全アミノ酸をコードする領域を含んで
いることが分かった。この配列と以下に述べるcDNAクローンとの比較により
、該クローンが全長のクローンであることが示されている。1065ヌクレオリ
ドのオープンリーディングフレームは、推定分子量41Kd、355アミノ酸の
蛋白質(配列番号:2)をコードしている。
全長のEos L2受容体の配列と、MIP1α/RANTES受容体及びM
CP−1受容体との比較により、各々73.4%と60.5%のアミノ酸の類似
性が示された。この比較のために、配列を手で並べて、類似アミノ酸の数をアミ
ノ酸の合計数で割り、100をかけた。)
配列をMegAlignTM(ドナスター社(DNASTAR,Inc.)製)
を用いたClustal法によっても並べた。他のケモカイン受容体配列との比
較により、CKR−1、CKR−2B、及びCKR−4に対して、各々62%、
47%、及び41%のアミノ酸配列の類似性が示された。対照的に、IL−8受
容体A及びBに対するアミノ酸配列の類似性は、両受容体に対してたった27%
であった。この受容体のMIP1α/RANTES受容体及びMCP−1受容体
、両C−Cケモカイン受容体に対する配列の類似性は、本明細書に報告した、E
os L2がC−Cケモカイン受容体であることを示す結果と一致している。
実施例3
トランスフェクション細胞株でのEos L2の発現 FLAG−付加Eos L2(CKR−3)受容体構築
Eos L2受容体融合蛋白質を以下のようにして構築した。
1. pCDM8中のFLAG−PAF受容体構築物(カンズ(Kunz,D
)ら,J.Biol.Chem.,267:9101−9106(1992))
をHindIIIおよびEcoRIで二重消化し、FLAGペプチドをコードす
るヌクレオチドを含む48bpの断片を解離させた。ヌクレオチド配列は、AA
GCTTCCA GCA GCC ATG GAC TAC AAG GACG
AC GAT GAC AAA GAATTC(配列番号:15)である。アミ
ノ酸配列は、MDYKDDDDKEF(配列番号:16)である。FLAGヌク
レオチドを含む48bpのHindIII/EcoRI断片をpcDNA3ベク
ター(インビトロジェン製,サンディエゴ(San Diego),カリフォル
ニア州(CA))のHindIII/EcoRIサイトにサブクローニングし、
pcDNA3/FLAGを生じさせた。
2. 1.8kbのEos L2のHindIII断片を含むpBluesc
ript II KS+ベクターを、BamHIおよびXhoIで消化して1.
261kbの断片を解離させた。このBamHI−XhoI断片は、Eos L
2アミノ酸の91から停止コドンまでをコードするヌクレオチドと、同じ3’非
翻訳領域と、21bpのpBluescript II KS+ベクターを含ん
でいる。
3. Eos L2遺伝子の5’末端を増幅するが最初のMetを除き、工程
1で前述したEcoRIサイトと適合できるEcoRIサイトを工作するために
2つのPCRプライマーを作製した。5’プライマー(配列番号:17)は:
EcoRI
5’−TTAA GAATTC ACA ACC TCA CTA GAT A
Cであった。
このプライマーはEcoRIサイトと、Metコドンを除くEosL2遺伝子の
最初の17ヌクレオチドを含む。
3’プライマー(配列番号:18)は:
BamHI
5’−CATAGT GGATCC AGAATGであった。
このプライマーはEos L2遺伝子のちょうどBamHIサイトの3’でプラ
イムする。1.8kbのEos L2断片を含むpBluescript II
KS+ベクターを鋳型として用いたこれら2つのプライマーでの増幅により、
Eos L2の5’末端を含む280bpの断片が増幅され、この280bpの
断片をEcoRIおよびBamHIで消化して、以下に述べるライゲーション用
断片を得ることができる。
増幅の条件は: 100ngの1.8kbのEosL2断片を含むpBlue
script II KS+を、50μlの反応量で200μM dNTP及び
50pmolのプライマーと組み合わせた。最終マグネシウム濃度は2.5μM
で、pHは8.0であった。94℃30秒;55℃30秒;72℃30秒を25
サイクルで、断片を増幅した。前述のように、増幅産物をアガロースゲルで分離
し、電気溶出で精製した。該断片をEcoRIおよびBamHIで消化し、再び
アガロースゲルで精製した。
4. Flag−付加EosL2遺伝子の構築のため、FLAG断片を含むp
cDNA3ベクター(工程1で述べた)をEcoRIおよびXhoIで消化した
。ベクター断片(FLAGコード配列を含むEcoRI−XhoI断片)を電気
泳動によりポリリンカー断片から分離し、そしてベクター断片を他の電気溶出し
た断片について述べたように精製した。ベクター断片を工程3でPCRにより生
じたEcoRI−BamHI断片と組み合わせた。これら2つの断片を工程2の
1.261kbのBamHI−XhoI断片と組み合わせた。3つの断片全てを
いっしょに3重ライゲーションしてpcDNA3中にFLAG−付加EosL2
受容体を得た。ライゲーションしたDNAでDH5αを形質転換した。一過性トランスフェクタント
293細胞(ATCC Accession No.CRL1573)をGi
bco/BRLから得て、10% 牛胎児血清、グルタミン、及びペニシリン/
ストレプトマイシン(全てGibco/BRL製)を補ったMinimal E
ssential Medium(MEM)Alpha Medium中で成長
させた。各一過性のトランスフェクションに対し、2×106個の293細胞を
トランスフェクションの1日前に35−mmの組織培養皿にプレーティングした
。トランスフェクションの日に細胞(成長して皿に接着している)をPhosp
hate Buffered Saline(PBS、Gibco/BRL製)
で1度洗い、そしてDNAとlipofectAMINETM Reagent(
Gibco/BRL製)の混合物を細胞にアプライした。
最終量100μlのOptiMEMTM(Gibco/BRL製)中の2μgの
Flag付加Eos L2受容体発現ベクターを、100μl量にした12μl
のLipofectAMINETM試薬と45分間室温でインキュベートして、D
NA/lipofectAMINETM試薬混合物を作製した。最終混合物量は2
00μlである。45分のインキュベーション後、800μlのOPtiMEMTM
を200μlのDNA/lipofectAMINETM試薬に加えて、1ml
の溶液を前記のように細胞に重層する。それから、細胞を37℃で5時間インキ
ュベーションし、その時に前記のように補った1mlのMEM Alpha M
ediumを加える。細胞をさらに12時間インキュベートし、その時に全培地
を取り除き、細胞をPBSで2度洗浄し、2mlの前記のように補ったMEM
Alpha mediumを加える。それから、トランスフェクトした細
胞をさらに72時間インキュベートする。細胞を、PBS 10mM EDTA
中でインキュベーション後、それらを穏やかにピペッティングして集める。
FLAG付加Eos L2受容体の細胞表面発現を一過性にトランスフェクト
した293細胞で行った。免疫蛍光染色及びFACS分析により決定すると、約
2.6%の細胞が該受容体を表面に発現していた。いくつかの細胞での発現のレ
ベルはバックグランドより2桁多いことが分かった。このことは高レベルの発現
がこの細胞株で達成できることを示している。Eos L2遺伝子はネオマイシ
ン耐性遺伝子を有するpcDNA3発現ベクター(インビトロジェン社製、サン
ディエゴ、カリフォルニア)により保持されているので、安定293トランスフ
ェクタントはジェネティシン(G418)選択を用いて選択することができる。安定細胞株
FLAG付加受容体を有する500以上のマウスL1−2 前B細胞の安定株
が作製された。L1−2 前B細胞は(ユージン ブッチャー博士(Dr.Eu
gene Butcher),スタンフォード大学,スタンフォード,カリフォ
ルニア)から得て、10% ウシ血清アルブミン、及びPen/Strep、ピ
ルビン酸ナトリウムおよびβ−メルカプトエタノールを補ったRPMI−164
0(Gibco/BRL製)で維持した。200以上のクローン由来の細胞をM
2抗FLAGモノクローナル抗体(インターナショナル バイオテクノロジー社
(International Biotechnologies,Inc.)
製、ニューヘーヴン(New Haven)、コネティカット州(CT))、続
いて抗マウスIg−FITC(ジャクソン イミュノリサーチ ラボラトリーズ
社(Jackson ImmunoResearch Laboratorie
s,Inc.)製)で染色することにより表面での発現をスクリーニングし、そ
して蛍光活性化セルソーティング(FACS)で分析した。免疫蛍光染色及びF
ACS分析は、Current Protocols in Immunolo
gy,1巻,コリジャン(Coligan,J.)ら,編,(ジョン・ウィリー
&ソンズ社(John Wiley & Sons,Inc.);ニューヨーク
,ニューヨーク州(NY))に記載されているように行った。いくつかの細胞株
に対するFACS分析の結果により、高レベルのEos L2でFLAG付加受
容体を発現する多数のクローンが示された(図6)。非トランスフェクション細
胞(示されていない)は染色に対して陰性であった。高レベルの発現をする安定
細胞株をEos L2受容体に反応する抗体の生産の免疫原として用いることが
できる。さらに、これらの細胞株は走化性やリガンド結合を研究するのに役立つ
。バキュロウィルス発現
バキュロウィルス発現ベクターの構築のために、pcDNA 3中のFlag
付加Eos L2受容体をHindIIIで消化してFlag付加遺伝子を除い
た。該遺伝子を含むHindIII断片をクレノウ(Klenow) フラグメ
ントとdNTPで突出を埋めて平滑末端にした。該平滑末端断片をpVL139
3(インビトロジェン製)のSmaIサイトにサブクローニングした。2.0μ
gのEos L2遺伝子を含むpVL1393ベクターを0.5μgのAcMN
PV ウイルスDNA(インビトロジェン製)と混合し、製造業者の使用説明書
に従ってInsectinTM(インビトロジェン製)でSf9昆虫細胞(インビ
トロジェン製)にコトランスフェクションした。SF−900培地(無血清)を
5mlのSF−9培養基(10% ウシ胎児血清含有Grace’s Supp
lemented Insect Media(Gibco/BRL製))で翌
日置き換えて、細胞を5日間成長させた。組み換えウイルスを、オーレイリー,
ミラー,とルコー(D.R.O’Reilly,L.K.Miller,and
V.A.Luckow) (1994) Baculovirus expr
ession vectors: A Laboratory Manual,
Oxford University Press,149−158頁に記載さ
れているようにプラーク精製した。
前記のプラーク精製組み換えウイルスでSf9細胞を感染させることにより、
Eos L2受容体の発現をSf9細胞上に得た。Sf9細胞(2×106細胞
/ml)を10:1の感染多重度で感染させた。感染を72時間続けて、その時
に細胞をM2抗FLAG抗体で染色した。
この受容体の発現の成功は、Sf9細胞でのバキュロウイルス発現システムで
も達成された。良好なレベルの発現は抗FLAG抗体での染色に基づいて達成さ
れている(実施例5参照)。FACSにより受容体を発現していることが示され
ている同じ細胞Sf9トランスフェクタントで、リガンド結合も達成された。決
定的な細胞表面発現はヨウ化プロピジウム排除により示されたが、陰性コントロ
ール(すなわち、Eos L2遺伝子インサートを欠く発現ベクターでトランス
フェクトしたSf9細胞)と比較すると、これらの細胞での発現は低いように見
えた。高細胞表面発現のために、感染の長さを減らすことができ、またMOIを
さらに最適化することができる。
実施例4
リガンド結合研究 リガンド結合手順
Eos L2受容体でトランスフェクトした細胞又は精製正常ヒト好酸球(上
記参照)をHanks Balanced Saline Solution(
HBSS)で洗浄し、それから結合緩衝液(: 50mM HEPES、1mM
CaCl2、5mM MgCl2、0.5% ウシ血清アルブミン(BSA)、
pH 7.3)に再懸濁した。微量遠心管中で、5×105個の細胞を0.1n
Mの放射線標識ケモカイン(ニューイングランド ニュークリアー(NewEn
gland Nuclear)、マサチューセッツから購入)と200μlのア
リコート中で室温で60分間インキュベートした。該細胞を放射線標識ケモカイ
ンのみと、又は、指示された濃度で用いた、競合剤としての非標識ケモカイ
ン(PeproTech製)と共に、のいずれかでインキュベートした。インキ
ュベーションの終わりに、細胞を結合緩衝液で3度洗浄した。各洗浄は、微量遠
心機で7,000×gで2分間の遠心分離からなる。洗浄後、ペレットをLP3
チューブに移し、そして、結合量を表す細胞の放射線活性をガンマカウンターで
測定した。全試料を二連にし、そして全ての実験を少なくとも3度繰り返した。
スキャッチャードプロットを結合データから、Macintoshコンピュータ
ー上でMicroSoft ExcellおよびCricketGraphによ
り計算した。ヒト好酸球への結合
走化性アッセイ(実施例1参照)からの発見に基づいて、リガンド結合研究の
焦点をRANTES、MIP−1α及びMCP−3にあわせた。リガンド結合研
究を放射線標識ケモカインと様々な「非放射性」ケモカインを競合剤として用い
て行った。精製正常ヒト好酸球を、0.1nM125I−標識MIP−1α又はR
ANTESのいずれかと、様々な非放射性ケモカイン(250nM MIP−1
α、RANTES、IL−8、MCP−1、又はMCP−3)の存在下又は非存
在下でインキュベートした。細胞をよく洗浄した後、結合をガンマカウンターに
より測定した。
図7は、ヒト好酸球のRANTES及びMIP−1αへの結合を示したヒスト
グラムである。これらの結果は、好酸球はMIP−1αへ弱く結合するだけで、
そして、この結合をMIP−1α自身や他のβ−ファミリーのケモカイン、例え
ば、MCP−1、MCP−3及びRANTESにより阻害することができること
を示している(図7)。対照的に、好酸球はRANTESにより豊富に結合した
(図7)。RANTESによる結合は、過剰量の「非放射性」MIP−1αによ
り十分に阻害できなった(図8)。このことは、好酸球に、MIP−1αおよび
RANTESに対して識別された受容体がある可能性を示している。
スキャッチャードプロット分析により、親和性が91pMのMIP−1α結合
サイトが1.8×103あることが示された。該分析により、低親和性(883
pM)でより多くの結合サイト(3.6×104/細胞)を有するRANTES
に対する受容体も示された。用いた条件下では、有意なMCP−1の好酸球への
結合はなく(示されていない)、そして、MCP−1は非常に高濃度の場合を除
きRANTESの結合を阻害しなかった(2500倍過剰、図8)。酪酸−分化HL−60細胞への結合
酪酸分化HL−60細胞をリガンド結合アッセイに用いて、これらの細胞が好
酸球と同じようにふるまうかどうかを決定した。0.1nM125I−標識MIP
−1α又はRANTESと、250nMの非放射性ケモカイン(MIP−1α、
RANTES、MCP−3、I1−8、MCP−1)の非存在下又は存在下でイ
ンキュベートした0.5×106HL−60細胞を用いて、アッセイを前記のよ
うに行った。これらの細胞では、MIP−1αおよびRANTESの両方が等し
く良好に結合し、両者が互いに交差阻害できた(図9)。この観察は、両ケモカ
インが好酸球の経内皮移動を誘導する走化性アッセイ(実施例1参照)と一致す
る(図8)。誘導過程で、MIP−1αおよびRANTESの結合は未分化HL
−60細胞では有意ではないため、両受容体は制御されなかったように見える(
データは示されていない)。Eos L2受容体トランスフェクタント
Eos L2受容体のクローニングと発現に続き、トランスフェクション細胞
を多数のケモカインへの結合を試験するために用いた。他の研究者らにより観察
された現象である、非放射性ケモカイン添加が結合を阻害したので、293トラ
ンスフェクタントを用いた最初の試みは失敗した。対照的に、バキュロウイルス
を感染させたSF9細胞を用いると、良好なRANTES結合が検出された(図
10)。SF9細胞に対するアッセイ条件は哺乳類細胞とは異なっていた。0.
1nM125I−標識RANTESの結合は、0.5% BSAを補った、50mM
HEPES、pH7.3、5mM MgCl2及び1mM CaCl2中で
起きた。室温で60分後、細胞を0.5M NaClを含む結合緩衝液で3度洗
浄し、そして、細胞ペレットの放射線活性をガンマカウンターを用いてカウント
した。
これらのリガンド結合アッセイでは、MIP−1α又はRANTESの最も有
効な異種構造競合剤はMCP−3であった。事実、MCP−3はMCP−1の活
性化T細胞への結合も効果的に阻害した。したがって、MCP−3はCKR−1
、CKR−2及びCKR−3に結合するように見える(CKR−1,ガオ(Ga
o,J.L.),ら,J.Exp.Med.,177:1421−1427(1
993)とネオテ(Neote,K.)ら,Cell,72:415−425(
1993); CKR−2,シャロ(Charo,I.F.),ら,Proc.
Natl.Acad.Sci.USA,91:2752−2756(1994)
とマイヤー(Myers,S.J.),ら,J.Biol.Chem.,270
:5786−5792(1995))。
放射線標識MCP−3(ペプロテック社(Peprotech,Inc.)製
、ロッキーヒル(Rocky Hill)、ニュージャージー州(N.J.))
も結合研究に用いた。図11A〜11BはMCR−3の分化HL−60細胞への
結合を示したグラフである。MCP−3の結合を以下の修飾をして前記のように
行った。細胞を0.1nM125I−標識MCP−3とインキュベートした。用い
た結合緩衝液は0.5%BSA及び0.1%アジ化ナトリウムを含むHBSSで
あった。結合は37℃で30分行った。結合していない同位元素を、800μl
の20%ショ糖により、12,000×gで2分間細胞を回転することにより分
離した。それから、チューブをドライアイスで急冷凍し、チップをペンチで切り
取ってカウントした。
実施例5
好酸球ケモカイン受容体の発現
Eos L2受容体が好酸球の機能的受容体であることを確認するために、受
容体の発現を、(a)ノーザンブロット分析、及び(b)受容体反応性抗ペプチ
ド抗体モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーにより評価した。ヒト好酸球、好中球、及びPBMCの精製
密度勾配遠心分離と抗CD16磁気ビーズを用いた陰性選択(ハンセル(Ha
nsel,T.T.)ら,J.Immunol.Meth.,122:97(1
989))を組み合わせて、高レベルの循環血液好酸球(5〜17%)を有する
個体のヘパリン化血液から好酸球を単離した。簡単に言えば、Percoll遠
心分離の顆粒球画分を、CD16マイクロビーズ(ミルテニー バイオテック社
(Miltenyi Biotec,Inc.)製、サニーベール(Sunny
vale)、カリフォルニア(CA))と30分間インキュベートした。それか
ら、細胞をMACSカラム(ミルテニー バイオテック社製)にかけて、そして
、好酸球を通過画分に集めた。光学顕微鏡によるDiff−Quick−染色細
胞遠心分離調製物の分析により決定すると、好酸球は組織学上99%以上の純度
であることが示された。
ヒト好中球を室温でのPercoll密度勾配遠心分離(δ=1.088)に
よりヘパリン化静脈血液から単離した(コリガン(Coligan)ら,編,1
992,Current Protocols in Immunology,
(ジョン・ウィリー&ソンズ:ニューヨーク,ニューヨーク州)。RBCを低張
溶解により除いた。
PBMCを既述のように単離した(コリガン(Coligan)ら,編,19
92,Current Protocols in Immunology,(
ジョン・ウィリー&ソンズ:ニューヨーク,ニューヨーク州))。単球を磁気ビ
ーズを用いたCD14陽性選択により精製し、そして、リンパ球をナイロンウー
ルに通過させて、T細胞を精製した。CD3芽球を生産するために、10% F
CSを含むRPMI−1640中の2×106PBMC/mlを、最初に抗CD
3抗体TR77で被覆した組織培養プレートに加えた。4〜6日後芽球を新鮮な
培地に移して、50ユニット/mlのIL−2(ジェンザイム(Genzyme
)製)を補った。ノーザン分析: CKR−3は好酸球に選択的に発現する。
エオタキシンは好酸球に対する選択的化学誘引物質であるにもかかわらず、C
KR−3受容体は、単球とT細胞を誘引することが知られているRANTESと
MCP−3にも結合する。受容体の伝達暗号の発現は、様々な白血球集団で試験
されている。
最初のノーザンハイブリダイゼーションの結果(実施例2参照)により、HL
−60細胞株においてのみならず、脾臓、末梢血液白血球および胸腺ならびに好
酸球およびT細胞等の多数の白血球亜集団においても約1.6kbの伝達暗号が
発現することが示された。伝達暗号レベルは、HL−60細胞株において酪酸誘
導により好酸球経路に沿って劇的に増加した。
サザンブロットでクロスハイブリダイズするMIP1α/RANTES受容体
に対する伝達暗号は弱く、そして約3.0kbであると報告されているので、こ
の伝達暗号はEos L2のものでありそうである。最初の201bpのPCR
断片をサザンブロットのプローブとして用いた場合、1.8kbのHindII
I断片に強くハイブリダイズするのが見られる。これは、本明細書でクローニン
グして議論した断片である。この断片に加えて、約10kbの断片に非常に弱く
ハイブリダイズするのが観察される。この10kbの断片は、報告されたMIP
1α/RANTES受容体のHindIII断片の大きさに一致する。このMI
P1α/RANTES受容体はノーザン上では観察されない約3kbの伝達暗号
を生産する。それゆえ、ノーザン上で見られる約1.6kb伝達暗号はおそらく
Eos L2遺伝子由来であろう。断然豊富なEos L2の発現は、過好酸球
症候群の患者から精製した好酸球の調製物において観察された(実施例8参照)
。
CKR−3の他のCCケモカイン受容体に対する高配列類似性およびサザンブ
ロットにおいて全長のクローンが複数の配列にハイブリダイズするという事実の
ため、さらなるノーザン分析に、サザンブロットにおいて他の配列とクロスハイ
ブリダイズしない、ゲノムクローンの3’非翻訳領域由来の250bpの断片を
用いた。ハイブリダイゼーションのため、ヌクレオチド1203〜1453を含
むCKR−3に特異的な3’非翻訳領域プローブを用いた(図1C)。
単球、好中球、リンパ球、T細胞、CD3 MAbでの活性化により生産した
T細胞芽球、及び好酸球を含む異なる白血球集団由来のRNAを用いて、ノーザ
ンブロットのパネルを調製した。TriZOLTM 試薬(Gibco/BRL製
)を用いて製造業者の推奨するプロトコルに従って、RNAを単離した。高度に
精製された各白血球集団から単離した全RNAの15μgを1.2%ホルムアル
デヒドアガロースゲル上で分離し、Nytran−PlusTMナイロンメンブレ
ン(シュライヒャー・アンド・シューエル(Schleicher and S
chuell)製)にトランスファーしてStratalinkerRを用いて
クロスリンクさせた。放射線標識3’非翻訳領域プローブを用いたハイブリダイ
ゼーションを、ExpressHybTM Solution(クローンテック(
Clontech)製)で製造業者の提示するプロトコルを用いて行なった。ノ
ーザンブロットを増感スクリーンを用いて3〜5日間X−OMAT ARフイル
ムに露光させた。CKR−3特異的プローブを0.5% SDS中で沸騰させて
除去し、負荷する時の変動をコントロールするために該ブロットをβ−アクチン
で再びプローブした。
検出可能なシグナルを与える細胞集団は好酸球だけで、そこでは、1.8kb
の大きさの伝達暗号が見つけられた。これらの結果は、図13A〜13Dの免疫
学的に検出した表面発現のパターンと一致している。この実験において伝達暗号
は休止又は活性化T細胞では検出されなかったにもかかわらず、ある亜群のT細
胞が受容体を発現することは可能である。好酸球ケモカイン受容体反応性モノクローナル抗体(MAb)
Eos L2受容体に反応性のあるMAbを、マウスをN末端の35アミノ酸
に対応する合成ペプチドで免疫することにより生産した。ヌクレオチド配列から
導き出したEos L2のN末端の35アミノ酸(図1A〜1C参照;また、配
列番号:2参照)を合成して、担体蛋白質PPD(ミコバクテリウム ツベルキ
ュロシス(Mycobacterium tuberculosis)由来の精
製蛋白質;セバン バイオテック社(Severn Biotech Ltd.
)製,ケンブリッジ,イギリス)に結合させた。
雌Balb/Cマウスを2週間間隔で4回、50μgのPBS中のペプチドペ
プチド担体コンジュゲートで免役した。Freund完全(最初の注射)及び不
完全アジュバント(以降の注射)を用いて、マウスにペプチドコンジュゲートを
腹腔内注射した。最後の免疫をアジュバントなしに静脈内注射した。ポリクロー
ナル抗血清を合成ペプチドで免役したマウスからも集めた。
15,000以上のハイブリドーマを生産する2つの好結果の融合を行なった
。最終注射の4日後、脾臓を除去し、単一細胞懸濁物を無血清DMEM培地で調
製した。ガルフレ(Galfre,G.)ら(ガルフレら,Nature,26
6:550−552(1977))に従って、これらの細胞をハイブリドーマ融
合パートナーSP2/0と融合させた。20mlの脾臓細胞と20mlのSP2
/0を組み合わせて800gで5分間回転して、培地を除いた。あらかじめ37
℃に温めておいた50%ポリエチレングリコール1500(ベーリンガー マン
ハイム(Boehringer Mannheim)製、インディアナポリス、
インディアナ州(IN))溶液を細胞ペレットに2分間かけて加えて、続いて1
0mlのDMEM培地を3分間かけて加えた。細胞懸濁物を400gで3分間回
転し、上清を除いた。20% ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、100
ユニット/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン硫酸塩、
及びHAT選択培地(ベーリンガー マンハイム製、インディアナポリス、イン
ディアナ州)を含むDMEM培地に穏やかに再懸濁した。細胞を96ウェル平底
マイクロタイタープレートに200μl/ウェルでプレーティングした。
10〜14日後、酵素標識抗マウス抗体(セイヨウワサビペルオキシダーゼ標
識抗マウスIgG(ジャクソン(Jackson)製))を用いてELISAア
ッセイで、ウェル由来の上清を該ペプチドに対する反応性についてスクリーニン
グした。合成ペプチドに対して強い反応性を示す約200のmAbを選択した。
関心のあるハイブリドーマを限定希釈を用いてサブクローニングした。
どの抗体が天然型表面発現分子を認識できるかを決定するために、ヒトEos
L2ゲノムDNAを有するAcMNPVウイルスで感染させたSf9昆虫細胞
に対してMAbをスクリーニングした。約10%の細胞の強い抗FLAG染色か
ら判断すると、これらの昆虫細胞はEos L2(CKR−3)受容体を細胞表
面に発現していた。染色はM2抗FLAG抗体、続いて抗マウスIg−FITC
(ジャクソン イミュノリサーチ ラボラトリーズ社(Jackson Imm
unoResearch Laboratories,Inc.)製)で行ない
、そしてFACScan分析を用いる蛍光活性化セルソーティングにより分析し
、発現を定量した。(Current Protocols in Immun
ology,1巻,コリガン(Coligan,J.)ら,編,(ジョン・ウィ
リー&ソンズ社;ニューヨーク,ニューヨーク州)。
約33%の抗ペプチドハイブリドーマはEos L2トランスフェクション昆
虫細胞と反応し、2次抗体として抗マウスIg−FITC(ジャクソン イミュ
ノリサーチ ラボラトリーズ社製)を用いてFACS分析により決定したところ
、染色パターンはFLAG抗体と同じであった。抗FLAGで染色した非トラン
スフェクション昆虫細胞は完全に陰性であった。抗ペプチド抗体も非トランスフ
ェクション細胞に対して試験したが、染色に対し陰性であった。
トランスフェクション昆虫細胞を染色することが分かったMAbを、FACS
分析を用いてヒト好酸球、末梢血液リンパ球、単球、好中球、及び活性化T細胞
(活性化T細胞;リンパ球を抗CD3抗体で処理してT細胞を活性化した)との
反応性について試験した。細胞をmAb LS26−5H12とそれからFIT
C−抗マウスIg(ジャクソン イミュノリサーチ ラボラトリーズ社製)で染
色した。過剰の正常ヒト血清を用いてFc受容体結合をコントロールした。
全好酸球を、選択した抗Eos L2 mAb、LS26−5H12で染色し
た(図12A)。単球は免疫蛍光に対し弱陽性であった。少量のリンパ球が染色
に対し陽性で(図12B)、そして実質上全ての活性化T細胞が抗体LS26−
5H12で弱く染色された(示されていない)。このことは、T細胞がT細胞活
性化の際に正の制御をうける受容体を発現することを示している。好中球はアッ
セイ条件下でLS26−5H12抗体により有意には染色されなかった。Eos
L2受容体の期待された分布、及びそれがRANTES結合において機能する
ことに基づくと、MAb LS26−5H12はこの受容体の天然発現型を認識
するように見える。LS26−5H12 MAbに加え、約5個のさらなるMa
bが同じようにふるまった。
LS26−5H12ハイブリドーマを限定希釈によりさらに精製した。もう1
つの実験において、高度に精製した白血球の亜群(実施例5に記載したように精
製した)をMAb LS26−5H12で染色し、フローサイトメトリーにより
分析した(図13A〜13D)。染色プロファイルは少なくとも4つの実験で表
された。T細胞をCD3染色に基づき同定した。単球及び好中球を前方及び側面
スキャッターにより同定した。
高度に精製された好酸球はLS26−5H12で強く染色され(図13A)、
このことは、好酸球の表面上での受容体の豊富な発現を示し、そして、リガンド
結合とスキャッチャード分析により決定された高い受容体数と一致していた。好
中球、血液T細胞及び単球はこのMAbによりほんのわずかしか又は全く染色を
示さなかった(図13B〜13D)。これら後者の結果により、再クローニング
したハイブリドーマ由来の抗体を用いて、CKR−3が選択的に好酸球に発現し
、そして試験した他の白血球型では識別できるほどには発現しないことが示され
ている。しかしながら、ある亜群のT細胞が受容体を発現する可能性はある。走化性の抗体阻害
前記の酪酸−分化HL−60細胞と培養インサートを用いて、ポリクローナル
抗血清(LS26−5H12 MAbを作ったのと同じマウスから集めた)を走
化性アッセイに用いた。(該インサートは、マイクロタイターディッシュのウェ
ル内に置いたときに、上室を形成する)。100ng/mlのRANTES(下
室中)に応答する酪酸−分化HL−60細胞の走化性をモニターした。RANT
ESに応答する走化性は無血清対照に対して、1μlの正常マウス血清の存在下
(細胞と共に上室に置いた)と同程度生じた。対照的に、1.0μlの抗血清の
存在下では(細胞と共に上室に置いた)、RANTES−誘導走化性を40%ま
で阻害した。異なる試験では、ポリクローナル抗ペプチドラッビト血清を用いて
同様には走化性を阻害しなかった。
実施例6
安定L1.2細胞トランスフェクタントの選択
2%〜5%の一過性トランスフェクトCOS、HEK−293及びCHO細胞
はFLAG−付加受容体に対する抗体を用いて評価すると表面陽性であったが、
しかるに実質的な細胞内蛋白質が検出でき、このことにより、効率の悪い蛋白質
の輸送が示唆される。リガンド結合特異性及びCKR−3によるシグナル伝達を
さらに評価するために、L1.2マウス前B細胞株を用いて、さらに高レベルの
表面発現を有する株を選択した(図6参照)。この細胞株は他の化学誘引物質受
容体の研究にうまく用いられていて(ホンダ(Honda,S.),ら,J.I
mmunol.,152:4026−4035(1994))、そして、トラン
スフェクトヒトケモカイン受容体の発現は様々なリガンドに対する特異的走化性
能を与える(下記参照)。
CKR−3の表面発現をモニターするために、CKR−3のN末端35アミノ
酸に対応する配列を有する合成ペプチドでマウスを免疫することにより、受容体
のN末端領域に対するモノクローナル抗体(MAb)を生産した。抗ペプチドM
AbをELISAにより検出し、そして、天然型受容体を認識するMAbをヒト
好酸球との反応性、並びに、一過性のトランスフェクタントの染色により同定し
た。CKR−3/pcDNA3の構築
PCRを用いて、開始コドンのすぐ5’側にHindIII制限サイト及び任
意のKozak配列を挿入して、1.8kbのゲノム断片に含まれるCKR−3
遺伝子を修飾した。コード領域及び448bpの3’−非翻訳領域をpcDNA
3(インビトロジェン製)のHindIIIサイトに挿入し、該遺伝子をベクタ
ーのヒトCMV即時型遺伝子プロモーターの支配化に置いた。このFLAG−付
加Eos L2(CKR−3)受容体構築物(本明細書においてCKR−3/p
cDNA3とも呼ぶ)の構築の詳細は実施例3に提示されている。トランスフェクション及び安定細胞株選択
ネズミ前Bリンパ腫細胞株L1.2をユージン・ブッチャー博士(スタンフォ
ード大学)から得て、10%ウシ血清を補ったRPMI−1640中で維持した
。20μgの直鎖状CKR−3/pcDNA3を用いて以下のようにして細胞株
をトランスフェクションした。L1.2細胞をHBSSで2度洗浄し、0.8m
lの同液に再懸濁した。プラスミドDNAを細胞と混合して室温で10分間イン
キュベートし、それから0.4cmのエレクトロポレーションキュベットに移し
、そして250V、960μFで単一パルスを与えた。エレクトロポレーション
に続いて、室温で10分間インキュベートした。G418をトランスフェクショ
ンの48時間後最終濃度0.8mg/mlになるように加え、細胞を96ウェル
プレートに25,000細胞/ウェルとなるようプレーティングした。薬剤選択
下2〜3週間後、G418耐性細胞を5H12抗受容体mAbで染色し(下記参
照)、FACScanRで分析した。
検出可能な表面染色を有する株を限定希釈により数回展開してクローニングし
た。最も明るく表面染色されたクローンを、トランスフェクトされた受容体の存
在を確認するめのノーザンハイブリダイゼーション、並びにpcDNA3ベクタ
ーに相補的なT7プライマーを5’プライマーとして、CKR−3特異的プライ
マーを3’プライマーとして用いたRT−PCRによりさらに分析した(示され
ていない)。逆転写酵素の付加なしでは増幅は見られなかった。
一過性トランスフェクションのために、安定細胞株生産で述べたとおりに、2
0μgのスーパーコイルDNAをエレクトロポレーションに用いた。細胞表面染
色を48〜72時間後に評価した。
CKR−3/pcDNA3でトランスフェクトしたL1.2細胞を組織培養培
地で1×106細胞/mlに希釈した。n−酪酸(ナトリウム塩、シグマ ケミ
カル社(Sigma Chemical Corp.)製、カタログ番号B58
87)を最終濃度5mMとなるように加えた(組織培養培地で作製した1Mスト
ック溶液から希釈した)。使用前に、細胞を37℃、5% CO2で一晩(18
〜24時間)生育させた。低濃度で用いると成功している(例えば2.5mM及
び1mM n−酪酸)。n−酪酸塩処理により、非誘導対照に比べ約10倍まで
蛋白質のレベルを誘導することが報告されている(例えば、パレルモ(Pale
rmo,D.P.),ら,J.Biotech.,19:35−48(1991
)及びそれに引用された参考文献を参照)。ヒトCMV即時型遺伝子プロモータ
ーにより駆動されるCKR−3 mRNAレベルはn−酪酸処理により劇的に高
められた。モノクローナル抗体生産及びフローサイトメトリー
合成ペプチドと反応するMAbを前記実施例5で述べたように生産した。MA
bを以下のようにELISAによりスクリーニングした。炭酸塩緩衝液中2μg
/mlの濃度でペプチド50μlを用いてNUNC 96−ウェルMaxiso
rpプレートを少なくとも4時間4℃で被覆した。300μl/ウェルのブロッ
キング緩衝液(PBS + 1% BSA)を加えて少なくとも2時間置いた。
プレートをPBS/Tween 20で4回洗浄し、そして、50μlのMAb
上清を各ウェルに加え37度で1時間インキュベートした。プレートをPBS/
Tween 20で4回洗浄し、PBSで1:500に希釈したアルカリフォス
ファターゼ結合2次抗体(ジャクソン イミュノリサーチ ラボラトリーズ製、
ウェストグローブ(West Grove)、ペンシルヴェニア州(PA))を
各ウェルに加えた。37℃で30分間のインキュベーション後、プレートをPB
S/Tween 20で4回洗浄した。発色反応に用いた基質はジエタノールア
ミン緩衝液(バイオラッド(Bio−Rad)製)に溶解したp−ニトロフェニ
ルフォスフェートであった。プレートをELISAリーダーで410nmで読ん
だ。
どの抗ペプチドMAbが天然型表面発現CKR−3を認識するかを決定するた
めに、抗ペプチドMAbを一過性にトランスフェクトした細胞及び好酸球に対し
スクリーニングした。MAb染色のため、細胞をPBSで1度洗浄し、2% F
CS、0.1% アジ化ナトリウム(FACS緩衝液)、5μg/ml 精製抗
体、5μg/ml MOPC−21 IgG1イソタイプ適合対照MAb(シグ
マ製)を含む100μlのPBS、又は100μlのハイブリドーマ培養液上清
に再懸濁した。4℃で30分後、細胞をFACS緩衝液で2度洗浄し、100μ
lのFITC−結合アフィニティー精製F(ab’)2ヤギ抗マウスIgG(ジ
ャクソン製)に再懸濁した。30分間4℃のインキュベーション後、細胞をFA
CS緩衝液で2度洗浄し、FACScanにより分析して表面発現のレベルを決
定した。ヨウ化プロピジウムを用いて死細胞を排除した。L1.2細胞株の安定トランスフェクタントでの受容体表面発現
図14Aは、抗受容体MAb、LS26−5H12を用いた、L1.2細胞の
亜集団での一過性トランスフェクション受容体の検出可能な表面染色を示してい
る。非トランスフェクションL1.2細胞は陰性であった(図14B)。前記の
ようにトランスフェクタントの限定希釈クローニング及びより高い表面染色選択
により安定細胞株を構築した。この過程で、はるかに高レベルの受容体発現をす
る株が得られた(図14C)。ノーザンブロット分析により、E5と名付けた1
つのサブクローンにトランスフェクションしたCKR−3 mRNAが存在し、
非トランスフェクションL1.2細胞では存在しないことを確かめた(示されて
いない)。
実施例7
安定L1.2トランスフェクタントのリガンド結合特異性 ケモカイン類
既述(クラーク−ルイス(Clark−Lewis,I.)ら,Bioche
mistry,30:3128−3135(1991))のようにして最適化さ
れ完全自動化ペプチド合成機(モデル430A;アプライド バイオシステムズ
社製、フォスターシティ(Foster City)、カリフォルニア(CA)
)に適合された固相法を用いて合成したヒトエオタキシンを除き、組み換えヒト
ケモカイン類をペプロテック社(Peprotech,Inc.)(ロッキーヒ
ル(Rocky Hill)、ニュージャージー州(NJ))から得た。ヒトエ
オタキシンもペプロテックから市販されている。 125 I−標識
既述(コリガン(Coligan,J.E.),ら,編,1992,Curr
ent Protocols in Immunology(ニューヨーク:ジ
ョン・ウィリー&ソンズ))のようにして、125I−標識エオタキシンをBol
ton Hunter 試薬(NEN製)を用いて生産した。放射線標識エオタ
キシンの比活性を計算すると180Ci/mMであった。リガンド結合
標的細胞へのケモカイン結合を、既に報告された方法を修飾して行なった(ヴ
ァン リッパー(Van Riper,G.),ら,J.Exp.Med.17
7:851−856(1993))。細胞をPBSで1回洗浄し、結合緩衝液(
50mM HEPES,pH7.5、1mM CaCl2、5mM MgCl2、
0.5% BSA及び0.05% アジ化物)に濃度が1×107/mlとなる
ように再懸濁した。50μlのアリコート(5×105細胞)をマイクロフュー
ジュチューブに分配し、続いて非放射性競合剤と放射線標識ケモカインを加えた
。最終反応体積は200μlであった。細胞を250〜500nMの非標識ケモ
カインの存在下で放射線標識ケモカインと共にインキュベートすることにより、
非特異的結合を決定した。室温で60分のインキュベーション後、細胞を1ml
の0.5M NaClを含む結合緩衝液で3回洗浄した。細胞ペレットをそれか
らカウントした。
競合は100(S−B)/(T−B)で計算した特異的結合のパーセンテージ
で表される。ここで、Sは試料の放射線活性、Bはバックグランド結合、Tは競
合剤無しの全結合である。バックグランド結合は、細胞を放射線標識ケモカイン
及び少なくとも400倍過剰の非標識ケモカインと共にインキュベートすること
により得られる。エオタキシンのE5細胞への全結合は11611±119cp
mで、バックグランド結合は2248±745cpmであった。エオタキシンの
好酸球への全結合は7866±353cpmで、バックグランド結合は1148
±518cpmであった。実験を通じて二連を用い、標準偏差は常に平均の10
%未満であった。全実験を少なくとも3回繰り返した。KaleidaGrap
h softwareを用いてカーブフィットを計算した。
実施例6で述べたE5細胞株を、放射線標識エオタキシンへ結合する能力につ
いて試験した。細胞を0.6nM125I−標識エオタキシン及び様々な濃度の非
放射性競合剤と共にインキュベートした。図15Aは、トランスフェクション細
胞が特異的かつ高親和性で125I−標識エオタキシンに結合したことを示す。結
合データのスキャッチャード分析により解離定数(Kd)が1.5nMであるこ
とが示され(図15C)、精製ヒト好酸球を用いて得た値0.5nM(図15D
)に似ていた。さらに、RANTESとMCP−3の両者が結合に対して特異的
に競合できた。MIP−1α、MIP−1β又はIL−8を含む他の試験したケ
モカインはどれも放射線標識したリガンドに対して特異的に競合できなかった(
図16)。走化性アッセイ
ヒト好酸球の走化性を経内皮アッセイ(カー(Carr,M.W.)ら,Pr
oc.Natl,Acad,Sci,USA,91:3652−3656(19
94))を修正して用いて評価した。このアッセイに用いた内皮細胞は、ヨーロ
ピアン コレクション オブ アニマル セル カルチャーズ(Europea
n Collection of Animal Cell Cultures
)(ポートンダウン(Porton Down)、イギリス)から得た、内皮細
胞株ECV 304であった。内皮細胞を3.0μMの孔径を有する6.5mm
径のBiocoatR Transwell組織培養インサート(コスター社(
Costar Corp.)、ケンブリッジ、マサチューセッツ州(MA))上
で培養した。ECV 304細胞用培地は、10% ウシ胎児血清、L−グルタ
ミン、及び抗生物質を含むM199から成っていた。
アッセイ培地は0.5% BSAを含む、等量のRPMI 1640及びM1
99から成っていた。アッセイの24時間前に、2×105個のECV 304
細胞を24ウェル走化性プレートの各インサートにプレーティングし、37℃で
インキュベートした。走化性因子(アッセイ培地で希釈)を最終量600μlと
なるように24ウェル組織培養プレートに加えた。内皮被覆組織培養インサート
を各ウェルに挿入し、106個の細胞を最終量100μlとなるように上室に加
えた。プレートを37℃で5% CO2/95% 空気中で4時間インキュベー
トした。
下室に移動した細胞をフローサイトメトリーを用いてカウントした。下室由来
の500μlの細胞懸濁物をチューブに入れ、細胞の相対数を、30秒を1期間
として事象をとらえることにより得た。この測定方法は再現性があることが分か
り、白血球についての入場や破片又は他の細胞の除去を可能にした。この方法で
得た数は、顕微鏡で計測して得たものと非常にマッチしていた。
内皮細胞をBiocoatR Transwell組織培養インサートを被覆
するのに用いなかった場合を除き、同じアッセイを用いてL1.2細胞又はL1
.2受容体トランスフェクタント細胞株を評価した。L1.2細胞でのCKR−3発現はエオタキン、RANTES及びMCP−3に 対する走化性応答を与える
L1.2受容体トランスフェクタントを、濃度範囲の広がりを持つケモカイン
のパネルに応答して移動する能力について試験した。CKR−3発現細胞株E5
はエオタキシン、RANTES、及びMCR−3に対して走化性応答を示し、1
00ng/mlのエオタキシンに対して応答が頂点に達したが、特異的移動が1
0ng/mlの低さでも検出できた(図17A)。RANTESへの応答は10
ng/mlと100ng/mlの両方で明白であったが、応答の程度はエオタキ
シンほど大きくなかった。MCR−3は、好酸球に対するよりも、E5細胞株に
対しては弱い化学誘引物質に見え、100ng/ml以下では移動は全く検出さ
れなかった。試験した他のケモカインに対する有意な応答はこの細胞株では見ら
れなかった。他の対照実験においては、ケモカインを単独で上のウェルに加えた
時、細胞は下室に移動しなかった。このことは、細胞移動が化学速度論的よりも
むしろ走化性であることを確証している(示されていない)。
非トランスフェクションL1.2細胞株は試験したいかなるケモカインにも応
答して移動しなかった(図17B)。事実、L1.2細胞株の顕著な面は、非特
異的リガンドに対する走化性のバックグランドが非常に低いことであった。特異
性の対照として、IL−8 RBでトランスフェクトしたL1.2細胞は、IL
−8、及びGROα(図17C)、並びにNAP−2及びENA−78(示され
ていない)に応答して特異的に移動したが、他のCXC又はCCケモカインには
応答しなかった。トランスフェクションによりL1.2細胞に導入した他のケモ
カイン受容体も特異的リガンドに対する走化性能を与え、これらは、CKR−2
トランスフェクタント(MCP−1及びMCP−3に応答した)、CKR−1ト
ランスフェクタント(MIP−1αに応答した)、及びIL−8 RAトランス
フェクタント(IL−8に応答した)を含む(示されていない)。百日咳毒素は
、好酸球及びCKR−3トランスフェクタント両方のエオタキシンへの走化性応
答を完全に排除し、このことは、正常及びトランスフェクション細胞の両方にお
いて受容体がGαサブクラス(シモン(Simon,M.I.),ら,Scie
nce,252:802−808(1991))を通じてシグナル伝達している
ことを示していた(示されていない)。好酸球の走化性プロファイルはCKR−3トランスフェクタントに似ている
正常好酸球の機能がCKR−3 L1.2トランスフェクタントに似ているか
どうかを評価するために、高レベルの好酸球(WBCの約6〜8%)(実施例5
記載のように精製した)を有する、多数の正常個体(ヒト)由来の好酸球を用い
て走化性実験を行なった。図18A〜18Bは、2つの異なる個体で観察された
2つの特徴的な好酸球の走化性のパターンを示している。1つのパターンは、エ
オタキシンに対する強い移動と、RANTES及びMCP−3に対するより弱い
応答を特徴としていた(図18A)。他方のパターンは、エオタキシン、RAN
TES及びMCP−3に応答して本質的に同等な走化性を示した(図18B)。
各個体において、長期間にわたって高度に再現性があるので、これらのパターン
はアッセイの変動によるものではなかった。MIP−1αは、2番目のクラスの
個体の好酸球に対しては弱い走化性活性しか示さなかった。
実施例8
Eos L2をコードするcDNAのクローニング 好酸球cDNAライブラリーの構築
好酸球を特発性過好酸球症候群(コスタ(Costa,J.J.)ら,J.C
lin.Invest.,91:2673(1993))と診断された患者(M
.V.)から得た。標準的なグアニジニウム イソチオシアネート/塩化セシウ
ム法(Current Protocols In Molecular Bi
ology,1巻,オウスベル(Ausubel,F.M.)ら,編,(ジョン
・ウィリー&サンズ:ニューヨーク,ニューヨーク州)4.2.2−4.2.3
頁(1991):中)を用いて、RNAを単離した。DynabeadsR(ダ
イナル社(Dynal,Inc.)製)を用いてmRNAを得て、λgt22A
のNotI−SalIアームにクローニングするような、SUPERSCRIP
TTM Lambda System for cDNA Synthesis及
びλ Cloning(Gibco BRL製、ライフ テクノロジーズ(Li
fe Technologies)製)を用いてバクテリオファージライブラリ
ーを構築した。ライブラリースクリーニング
生じたヒト好酸球cDNAライブラリーの約750,000個のバクテリオフ
ァージプラークを二連でスクリーニグした。用いたプローブはMIP−1α/R
ANTES受容体(CKR−1)(ガオ(Gao)ら,J.Exp.Med.,
177:1421(1993))をコードする全長の放射線標識cDNAプロー
ブ(p4 cDNA)であった。p4 cDNAをpcDNAI(インビトロジ
ェン製)のBamHI(5’)及びXhoI(3’)サイトにクローニングした
。このクローンのBamHI−XhoI断片(すなわち、pcDNAIのp4c
DNA)を制限消化により得て、Gene Clean(Bio101製)を用
いて単離した。ランダムプライマー標識キット(ベーリンガー マンハイム バ
イオケミカルズ(Boehringer Mannheim Biochemi
cals)製)を用いて該断片を32Pで標識した。
50% ホルムアミド、5×SSC、1×Denhardt’s、10% 硫
酸デキストラン、20mM TRIS、pH7.5、0.1% SDS(ドデシ
ル硫酸ナトリウム)の溶液中でフィルターを42℃2時間のインキュベーション
によりプレハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションを同じ溶液中で42℃
で一晩行なった。それから、好酸球cDNAライブラリーフィルターを2×SS
C/0.1% SDSで室温で2回、2×SSC/0.1% SDSで42℃で
2回洗浄した。各洗浄は30分間であった。フィルターを一晩露光し、陽性プラ
ークをつついて二連にした。低ストリンジェンシーで洗浄後の二連で陽性の場合
、クローンをさらに評価した。cDNAクローンの特徴づけ
プラークはプラーク精製し、DNAを少規模ファージ溶解プロトコルにより単
離した(Current Protocols In Molecular B
iology,1巻,補足10,オウスベルら,編,(ジョン・ウィリー&サン
ズ:ニューヨーク,ニューヨーク州)1.13.7頁(1991):中)。バク
テリオファージDNAをEcoRI(ベクターのアーム中のサイト)及びNot
Iで消化した。消化により解離されたインサートをゲルで見て、約1.6kbの
長さであることが分かった。Mip−16又はM−16と名付けたプラークに存
在する約1.6kbのインサートをGene Clean(Bio101製)を
用いて単離し、EcoRI及びNotIの両方で消化し非対称末端にしたBlu
escriptR vector KS(ストラタジェン製)のEcoRI及び
NotIサイトにクローニングした。ライゲートしたプラスミドを、ハナハン(
Hanahan)により述べられたようにして(ハナハン(Hanahan,D
.),(1985),:DNA Cloning,1巻,グローバー(D.M.
Glover),編(IRL Press:ワシントンD.C.),109−1
35頁)コンピテントにしたXL1−Blue大腸菌細胞(ストラタジェン製)
に導入した。
M−16/Bluescript構築物のジデオキシシーケンシングを、US
B(ユナイテッド ステート バイオケミカル(United States
Biochemical)、クリーブランド(Cleveland)、オハイオ
州(OH))から得たジデオキシヌクレオチドシーケンシングキットを用いて行
なった。このクローンのヌクレオチド配列を決定して、MIP−1α/RANT
ES受容体と高い相同性を有する新規の蛋白質をコードしていることが分かった
。;しかしながら、配列データからは、該クローンは全長であるようには見えな
かった。
全長のクローンを同定するために、さらに15〜20個のプラークを単離、精
製し、そしてファージに存在するインサートを制限酵素分析及び/又はシーケン
シングにより特徴づけした。単離し、M31と名付けたもう1つのλクローンが
約1.8kbのインサートを含むことが分かった。前記のように、該インサート
をBluescriptR vector KS(ストラタジェン製)のEco
RI及びNotIサイトにクローニングし、XL1−Blue大腸菌細胞(スト
ラタジェン製)に導入した。このクローン(Bluescript中のM31イ
ンサート、M31/Bluescript構築物と呼ぶ)のDNAシーケンシン
グを前記のようにして行ない、それが全長の受容体をコードしていることを示し
た。
M31インサートをM31/Bluescript構築物からEcoRI及び
NotIでの消化により解離した。生じた断片をGene Clean(Bio
101製)を用いて単離し、EcoRI及びNotIの両方で消化し非対称末端
にしたベクターAprM9のEcoRI及びNotIサイトに挿入した。ベクタ
ーAprM9(デフォウゲロル(de Fougerolles,A.R.)ら
,J.Exp.Med.,177:1187−1192(1993))は、pB
luescript由来のβ−ラクタマーゼ及びpSR64由来のポリリンカー
を含むCDM8(インビトロジェン製)の派生品である。A31と名付けた生じ
た構築物をコンピテントXL1−Blue細胞に導入した。
全長cDNAのヌクレオチド配列及びコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列
を、図2A〜2Bに示す(配列番号:3及び配列番号:4も参照)。図2A〜2
Bに示されたcDNA配列はクローンA31(塩基15〜365(図2A〜2B
の番号))、及びM−16/Bluescript構築物(塩基366〜115
2(図2A〜2Bの番号))から決定した。新規の受容体のアミノ酸配列と他の
蛋白質の比較により、新規の受容体とMIP−1α/RANTES受容体が62
%の配列の同一性を有し、そして新規の受容体とMCP−1受容体が50.57
%の配列の同一性を有していることが示された。配列の同一性は、Wiscon
sin UW GCG package(プログラム ギャップ)を用いて、N
eedleman and Wunschアルゴリズム(ニードルマン(Nee
dleman)とワンシュ(Wunsch),J.Mol.Biol.48:4
43−453(1970))で決定した。ノーザン分析
ノーザン分析用のRNAを過好酸球症の患者から得た。好酸球を既述(コスタ
(Costa,J.J.)ら,J.Clin.Invest.,91:2673
(1993))のようにして単離した。全好酸球RNAを標準的な手法(Cur
rent Protocols In Molecular Biology,
1巻,オウスベル(Ausubel,F.M.)ら,編,(ジョン・ウィリー&
サンズ:ニューヨーク,ニューヨーク州)4.2.2−4.2.3頁(1991
):中)を用いて単離した。全RNAを1% アガロースゲルで分画し、それか
ら、GeneScreenフィルター(ニューイングランドニュークリアー(N
ew England Nuclear)製)上にブロットした。Gene S
creenブロット(ニューイングランドニュークリアー製)の高ストリンジェ
ンシー洗浄についての製造業者のプロトコルに従って、フィルターを高ストリン
ジェンシーでプローブした。
いくつかのノーザンを調製した。1つはM16/Bluescript構築物
のEcoRI−NotI断片でプローブすることを伴い、他のものはクローンA
31由来のEcoRI−NotI断片でプローブした。両EcoRI−NotI
断片は3’非翻訳領域を含んでいる。ランダムプライマー標識キット(ベーリン
ガー マンハイム バイオケミカルズ製)を用いてプローブを32Pで標識した。
各ノーザンブロットは、全ヒト好酸球RNAにおいて約1.8kbの非常に強
いシグナルを示した。この結果は、A31 RNAがこの患者由来の好酸球で非
常に高いレベルで発現していることを示している。
実施例9
Eos L2受容体をコードするcDNAの発現及びリガンド結合研究 構築
ベクターA31(前記)及びA31−pcDNA3を発現及び結合分析に用い
た。A31−pcDNA3を構築するために、ベクターA31をEcoRI及び
NotIで消化し、約1.8kbのインサートをGene Clean(Bio
101製)を用いて単離し、EcoRI及びNotIの両方で消化したベクター
pcDNA−3(インビトロジェン製)のEcoRI及びNotIに挿入した。
A31−pcDNA3と名付けたライゲーション構築物をコンピテントXL1−
Blue細胞に導入した。一過性トランスフェクション
最初のA31を用いた腎細胞株293への一過性トランスフェクションは、A
31の放射線活性RANTESとの高いアフィニティー結合を示していた。これ
ら最初の結合研究は再現するのが難しかった。結果的に、安全にRBL(ラット
好塩基性白血病)及び293細胞の両方に安定に組み込まれたA31/pcDN
A3により、その後安定な細胞株が生産されている。RBL細胞(アクセション
番号 ATCC CRL 1378)を20852、メリーランド州(MD)、
ロックビル(Rockville)、パークロン ドライブ(Parklawn
Drive) 12301、アメリカン タイプ カルチャー コレクション
(American Type Culture Collection)(A
TCC)、から得て、そして293細胞(アクセション番号 ATCC CRL
1573)はシャロ(I.Charo)、グラドストーン カルディオバスキ
ュラー インスティチュート(Gladstone Cardiovascul
ar Institute)から供与された。安定細胞株
安定細胞株を以下のように構築した。A31−pcDNA3をNotIで消化
して直鎖状にした。直鎖状にしたプラスミドをエレクトロポレーションによりR
BL及び293細胞に導入した。100×20mmプレートで成長したコンフル
エント293及びRBL細胞をトリプシン処理し、1ccのリン酸緩衝生理食塩
水(PBS)に再懸濁して、0.4cmキュベット(バイオラッド(BioRa
d)製)中で960マイクロファラド、250ボルトの設定でエレクトロポレー
ションした。安定トランスフェクタントをジェネティシン含有培地での陽性選択
により単離した。具体的には、細胞を先ずDMEM(BRL製)、10%ウシ胎
児血清で数日間培養し、それから0.9mg/ccジェネティシン(BRL製)
含有DMEM、10%ウシ胎児血清に移した。(DMEM、Dulbecco’
s Modified Eagle’s Medium)。3週間後、生存コロ
ニーをクローニングシリンダーで無菌的に単離し、個々のクローンを個々のウェ
ル中で0.9mg/ccジェネティシン(BRL製)含有DMEM、10%ウシ
胎児血清で成長させた。
A31 RNAを高レベルで発現する生存クローンをノーザン分析により検出
した。120個のRBL株の安定トランスフェクタント、及び38個の293細
胞株の安定トランスフェクタントをスクリーニングした。具体的には、個々のク
ローン由来のRNAを酸フェノール法(チョムジンスキー(Chomczyns
ki,P.)及びサッチー(N.Sacchi),Anal.Biochem.
,162:156−159(1987))を用いて単離した。RNAを電気泳動
により分画し、GeneScreen(ニュー イングランド ニュークリアー
製)にブロッティングし、そしてノーザンブロットを高ストリンジェンシー洗浄
用の製造業者の指示に従いプローブした。プラスミドA31由来のEcoRI−
NotIインサートを単離し、ランダムプライマー標識キット(ベーリンガーマ
ンハイム バイオケミカルズ製)を用いて32Pで標識し、プローブとして用いた
。非トランスフェクション293又はRBLを対応するトランスフェクタントの
陰性対照として用いた。
その後、A31−293−#8、A31−293−#9、A31−293−#
17、及びA31−293−#20と名付けた安定細胞株が他の株に比べA31
RNAを高レベルで発現することが分かった。ノーザン分析によりA31伝達
暗号を高発現するクローンA31−293−#20を、さらなる研究のために選
択した。
1つのRBL株が低媒介(low−medium)量のRNAを発現すること
が分かったが、用いた条件下ではRANTESに結合するように見えなかった(
データは示されていない)。リガンド結合
安定クローンA31−293−#20を結合アッセイに十分な量で成長させた
。詳しくは、細胞を100mmプレート中でDMEM、10% ウシ胎児血清、
0.9mg/cc ジェネティシンで成長させた。プレートをコンフルエントに
なるまで成長させ、膜を以下のように調製した。培地を除き、細胞をリン酸緩衝
生理食塩水で洗浄した。細胞をTEN(40mM TRIS,pH7.5、1m
M EDTA、及び150mM NaCl)で洗浄して集めた。細胞を液体窒素
で凍結し、室温で解凍し、円錐形のチューブ中で10分間18,000rpmで
遠心分離することにより膜分画を集めた。コンフルエントになるまで成長させた
単一の100mmのプレートから集めた膜の半分を用いて、各結合ポイントを決
定した。
125I標識RANTESをニュー イングランド ニュークリアーから購入し
、そして非放射性RANTESをペプロテック(Peprotech)(プリン
ストン(Princeton)、ニュージャージー州(N.J.))から購入し
た。125I標識MCP−3はニュー イングランド ニュークリアーから供与さ
れ、そして非放射性MCP−3はヴァン デーム(J.Van Damme)、
ベルギー、ルーヴェン(Leuven) B−3000、ルーヴェン大学、リー
ガ インスティチュート フォー メディカル リサーチ(Rega Inst
itute for Medical Research)から供与された(オ
プデナッカー(Opdenakker,G.)ら,Biochem.Bioph
ys.Res.Commun.,191(2):535−542(1993)、
も参照)。以下のように変更して、結合アッセイをヴァン リッパー(Van
Riper,G.)ら,J.Exp.Med.,177:851(1993)に
述べられているように行なった。すなわち、0.125ナノモーラーの125I−
RANTESのメンブレンへの結合を、変化させた濃度の非標識リガンドの存在
下で行なった。結合緩衝液は50mM Hepes、1mM CaCl2、5m
M MgCl2、0.5% BSA、pH7.2であった。放射線標識及び非放
射性リガンドを同時にメンブレンに加え(前記参照)、そして1.5時間室温で
インキュベートした。結合反応物を2ccの洗浄緩衝液(0.5M NaCl、
50mM Hepes、1mM CaCl2、5mM MgCl2、0.5% B
SA、pH7.2)に加え、ボルテックスして混合し、それからポリエチレンイ
ミン処理Whatman GFC フィルターに置いた。フィルターをさらに2
ccの洗浄緩衝液で洗浄した。洗浄後のフィルターに残っている活性をシンチレ
ーションカウンターにより決定した。フィルターをを5ccのシンチレーション
液中に置き、それからミニアクシ−ベータ液体シンチレーションカウンター(m
iniaxi−beta liquid scintillation cou
nter)(ユナイテッド テクノロジーズ(United Technolo
gies)製、パッカード(Packard)、ドナーズグローブ(Down
ers Grove)、イリノイ州(IL))でカウントした。2連で決定した
2nMのポイントを除き、全ポイントを3連で決定した。
アッセイの結果は、A31クローンによりコードされる受容体へのRANTE
Sの高いアフィニティー結合を示していた(図19)。データのスキャッチャー
ド分析はRANTESに対するKdが約2.5nMであることを示していたが、
これは正常細胞で期待される値である。
クローンA31−293−#20由来の膜へのMCP−3の結合も、前記A3
1−293−#20膜へのRANTESの結合で述べたリガンド結合アッセイを
用いて評価した(図20)。結合反応には0.125ナノモルの125I標識MC
P−3を含んでいた。
さらに、非放射性MCP−3により置き換えられることができる標識MCP−
3(非放射性MCP−3の非存在下で結合)の範囲を決定することにより、結合
の特異性を評価した(図21)。全ポイントを2連で行なった。
非トランスフェクション細胞由来の膜に結合したMCP−3は125I標識MC
P−3により置き換えられなかった。このことは、非特異的結合を示している。
対照的に、A31−293−#20細胞由来の膜に結合したMCP−3は放射性
MCP−3により置き換えられた。このことは、特異的結合を示している。
これらのアッセイの結果は、A31 cDNAによりコードされる受容体がヒ
トMCP−3に特異的に結合することを示している。均等物
当業者であれば、単なる日常的実験手法により、本明細書に記載された発明の
具体的態様に対する多くの均等物を認識でき、あるいは確認することができるで
あろう。そのような均等物は下記クレームの範疇に含まれるものである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年1月20日
【補正内容】
請求の範囲
1.下記群から選ばれた核酸に中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリダ
イズする単離された核酸:
a)配列番号:1記載の配列、またはその一部であってコード配列からなる核酸
;
b)配列番号:3記載の配列、またはその一部であってコード配列からなる核酸
;
c)配列番号:5記載の配列、またはその一部であってコード配列からなる核酸
;
d)(a)ないし(c)のいずれかの核酸の相補鎖;および
e)(a)ないし(d)のいずれかの核酸のRNA体であって、TがUに置換さ
れたRNA体。
2.単離された核酸が本質的に純粋である、請求項1記載の単離された核酸。
3.単離された核酸が、高ストリンジェンシー条件下でa)ないしe)記載のい
ずれかの核酸にハイブリダイズする請求項1記載の単離された核酸。
4.単離された核酸が、哺乳類ケモカイン受容体3の少なくとも機能的な部分を
コードする請求項1、2または3いずれか記載の単離された核酸。
5.哺乳類がヒトである、請求項4記載の単離された核酸。
14.ポリペプチドが、RANTESと結合する請求項10記載の核酸。
15.下記群から選ばれた核酸に中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリ
ダイズする組み換え核酸からなる組み換え構築物:
a)配列番号:1記載の配列、またはその一部であってコード配列からなる核酸
;
b)配列番号:3記載の配列、またはその一部であってコード配列からなる核酸
;
c)配列番号:5記載の配列、またはその一部であってコード配列からなる核酸
;
d)(a)ないし(c)のいずれかの核酸の相補鎖;および
e)(a)ないし(d)のいずれかの核酸のRNA体であって、TがUに置換さ
れたRNA体。
16.組み換え核酸が、有効に発現制御配列に連結されている請求項15記載の
組み換え構築物。
17.組み換え核酸が、哺乳類ケモカイン受容体3の少なくとも機能的な部分を
コードする請求項15記載の組み換え構築物。
18.哺乳類がヒトである、請求項17記載の組み換え構築物。
19.哺乳類ケモカイン受容体3をコードする核酸からなる組み換え構築物。
20.哺乳類が霊長類である、請求項19記載の組み換え構築物。
21.霊長類がヒトである、請求項20記載の組み換え構築物。
22.下記群から選ばれたポリペプチドをコードする核酸からなる組み換え構築
物:
a)配列番号:2記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド;
b)配列番号:4記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド;
c)配列番号:6記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド;
d)(a)ないし(c)のいずれかのポリペプチドの機能的部分、該部分は哺乳
類C−Cケモカイン受容体の少なくとも1つの機能的特徴を有する;および
e)(a)ないし(c)のいずれかのポリペプチドの機能的同等物。
23.核酸が有効に発現制御配列に連結されている、請求項22記載の組み換え
構築物。
24.単離された組み換え哺乳類ケモカイン受容体3、または哺乳類ケモカイン
受容体の少なくとも1つの機能的特徴または免疫学的特性を有するその一部。
25.哺乳類がヒトである、請求項24記載の単離された組み換え受容体。
26.本質的に純粋な哺乳類ケモカイン受容体3、または哺乳類ケモカイン受容
体の少なくとも1つの機能的特徴、例えば、エオタキシン結合を有するその一部
。
43.下記工程からなる哺乳類ケモカイン受容体3蛋白質またはその一部の阻害
剤の同定方法:
a)リガンドの存在下、受容体へのリガンドの結合に適した条件下で、試験対象
の化合物を、活性な組み換え哺乳類ケモカイン受容体3蛋白質を発現する宿主細
胞と結合させる工程;および
b)該リガンドおよび活性な単離蛋白質間の複合体形成を検出または測定する工
程。
44.哺乳類ケモカイン受容体3蛋白質の少なくとも1つの機能的特徴に対する
阻害剤。
45.抗体またはその一部である、請求項44記載の阻害剤。
46.下記からなる群より選ばれた配列を有する核酸に中程度のストリンジェン
シー条件下でハイブリダイズする配列を有する核酸からなるアンチセンス核酸:
a)配列番号:1;
b)配列番号:3;
c)配列番号:5;
b)a)ないしc)のいずれかの配列のRNA体。
47.哺乳類ケモカイン受容体3蛋白質の少なくとも1つの機能を調節する方法
であって、該蛋白質を、該蛋白質の少なくとも1つの機能の阻害剤または促進剤
と接触させる工程からなる方法。
48.哺乳類ケモカイン受容体3蛋白質阻害剤の治療上有効量を、哺乳類に投与
し、そうすることによって炎症が低減することからなる、炎症性疾患または炎症
状態の治療方法。
49.治療に使用するための哺乳類ケモカイン受容体3蛋白質の少なくとも1つ
の機能の阻害剤または促進剤。
50.炎症性疾患または炎症状態の治療に対する医薬の製造のための哺乳類ケモ
カイン受容体3蛋白質の阻害剤の使用。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12P 21/02 G01N 33/566
C12Q 1/02 33/68
G01N 33/566 C12P 21/08
33/68 C12N 5/00 B
// C12P 21/08 A61K 37/02 ABE
(C12N 15/09 ZNA
C12R 1:91)
(C12P 21/02
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),UA(AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM
),AL,AM,AT,AU,AZ,BB,BG,BR
,BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,
ES,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,K
G,KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU
,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,
NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S
I,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US
,UZ,VN
(71)出願人 チルドレンズ メディカル センター コ
ーポレーション
アメリカ合衆国 マサチューセッツ
02115 ボストン,ロングウッド アベニ
ュー 300
(72)発明者 ジェラード,クレイグ ジェイ.
アメリカ合衆国 マサチューセッツ
02030 ドーヴァー,ウォールポール ス
トリート 117
(72)発明者 ジェラード,ノーマ ピー.
アメリカ合衆国 マサチューセッツ
02030 ドーヴァー,ウォールポール ス
トリート 117
(72)発明者 マッケイ,チャールズ アール.
アメリカ合衆国 マサチューセッツ
02161 ニュートン ハイランズ,デダム
ストリート 150
(72)発明者 ポナス,ポール ディー.
アメリカ合衆国 マサチューセッツ
02118 ボストン,ナンバー.3,アップ
トン 45
(72)発明者 ポスト,シアドール ダブリュー.
アメリカ合衆国 マサチューセッツ
02159 ニュートン,マンダレー ロード
14
(72)発明者 クイン,シクシン
アメリカ合衆国 マサチューセッツ
02173 レキシントン,タフト アベニュ
ー 14