【発明の詳細な説明】
サイクリン依存性キナーゼCDK4およびCDK6のインヒビター、InK4c-p18およびInK
4d-p19、ならびにそれらの使用
発明の分野
本発明は、2つの関連はするが別個のタンパク質が関与する、細胞増殖の制御
、ならびに癌の検出および処置の方法に関する。第1のタンパク質は、「InK4c-
p18」、「p18INK4c」、「p18INK4c」、または単に「p18」と呼ばれ、そして第2
のタンパク質は、「InK4d-p19」、「p19INK4d」、「p19INK4d」、または単に「p
19」と呼ばれる。これらは、真核生物の細胞周期を制御し、そして過剰発現され
ると、細胞が細胞周期のG1期を通過して進行することを阻害する(すなわち、細
胞が染色体DNA分子の複製を開始することを妨げる)。詳細には、本明細書中に
開示される物質および方法は以下を含む(1)マウス、ヒト、および他の哺乳類
から単離されたp18またはp19ポリペプチド配列をコードする核酸;(2)p18ま
たはp19タンパク質をコードする核酸、またはそのような核酸中の変化を検出す
る方法;(3)p18またはp19をコードする核酸を用いて、それぞれp18またはp19
ポリペプチド配列を有するタンパク質を産生する方法;(4)精製されたp18ま
たはp19タンパク質、およびそれらに由来するペプチドフラグメント、オリゴペ
プチド、または融合タンパク質;(5)精製されたp18またはp19タンパク質また
はそれらの誘導体を用いて、細胞がそれらの染色体DNAを複製することを阻害す
る方法;(6)p18またはp19に特異的に結合する抗体;(7)p18およびp19タン
パク質を検出する方法;(8)p18またはp19ポリペプチド配列をコードする核酸
に相補的なヌクレオチド配列を含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを用い
て、p18またはp19発現をブロックすることにより細胞増殖を刺激する方法;(9
)p18またはp19をコードする核酸を用いる遺伝子治療の方法;および(10)p18
またはp19をコードする遺伝子中にあるいはその両方の遺伝子中に遺伝的に操作
された変化を有するトランスジェニック非ヒト動物を作製する方法。
連邦政府後援の研究開発の下で作製された発明に対する権利に関する声明
本発明は、National Institutes of Healthにより授与された補助金CA-47064
およびCA-20150、およびCancer Center CORE 補助金CA-21765の下で米国政府後
援を伴って作製された。米国政府は本発明に所定の権利を有する。本発明への後
援はまた、Howard Hughes Medical InstituteおよびAmerican Lebanese Syrian
Associated Charities of St.Jude Children's Research Hospitalにより提供
された。
発明の背景
それにより腫瘍が発生する病的プロセスである新形成には、制御されていない
か、またはせいぜい誤って制御された細胞増殖および細胞分裂が必然的に関与す
る。細胞増殖を制御する分子経路は、細胞周期を制御する分子経路と不可避的に
交差しなければならない。細胞周期は、細胞分裂期および連続的な細胞分裂の間
の期間(間期として知られる)に起こる事象からなる。間期は、連続したG1期、
S期、およびG2期からなり、そして通常全体の細胞周期時間の90%以上を構成す
る。ほとんどの細胞成分は、間期を通じて連続的に作製される;それ故、間期を
通じての増殖細胞の進行における明確なステージを定義することは困難である。
1つのの例外はDNA合成である。なぜなら、細胞核中のDNAは、間期の限定された
部分の間にのみ複製されるからである。この期間は細胞周期のS期(S=合成)
として示される。細胞周期の他の明確なステージは細胞分裂期である。これは、
核分裂(有糸分裂)およびそれに続く細胞質分裂(細胞分裂)の両方を含む。細
胞分裂期全体は、M期(M=有糸分裂)として示される。M期は、M期とDNA合
成の開始との間の期間(G1期(G=gap)と呼ばれる)、およびDNA合成完了と次
のM期との間の期間(G2期と呼ばれる)を通り過ぎる(Alberts,B.ら、Molecul
ar Biology of the Cell,Garland Publishing,Inc.,New York & London(1983
),611〜612頁)。
真核生物の細胞周期における異なる移行期(transition)を通じる進行は、マ
スター酵素であるサイクリン依存性キナーゼのファミリーによって正に制御され
ている(Sherr,C.J.,Cell 73:1059〜1065(1993)に総説されている)。これら
のホロ酵素は、制御サブユニット(サイクリン)、および会合する触媒サブユニ
ット(真のサイクリン依存性キナーゼまたはCDK)の2つのタンパク質からなり
、それらのレベルは細胞周期の異なる期で変化する(Peters,G.,Nature 371:2
04-205(1994))。サイクリンおよびCDKは両方とも、遺伝的に関連するが、機能
的には異なる種々のタンパク質を含む分子ファミリーを表す。一般に、異なる型
のサイクリンは、文字により示される(すなわち、サイクリンA、サイクリンB
、サイクリンD、サイクリンEなど);CDKは数字によって区別される(CDK1,C
DK2、CDK3、CDK4、CDK5など;CDK1は別称CDC2である)。
CDK-サイクリンD複合体は、細胞がそれらの染色体DNAを複製するための決定
を制御する(Sherr,Cell 73:1059-1065(1993))。細胞が静止期から細胞周期に
入るとき、CDK-サイクリンDホロ酵素の蓄積が、G1中期に最初に検出されそして
細胞がG1/S期の境界に近づくにつれて増大するそのキナーゼ活性を伴って、分裂
促進刺激に応答して生じる(Matsushimeら、Mol.Cell.Biol.14:2066-2076(1994
);MeyersonおよびHarlow,Mol.Cell.Biol.14:2077-2086(1994))。制御サブユ
ニットであるサイクリンDは非常に不安定であり、そしてG1期における増殖因子
の時期尚早な除去が、S期に進入し得ないことに関連するCDK-サイクリンD活性
の迅速な消失を生じる。対照的に、G1期後期における増殖因子の除去は、CDK-サ
イクリンD活性の類似した減少を引き起こすが、細胞周期のさらなる進行に影響
しない(Matsushimeら、Cell 65:701-713(1991))。G1期の間の線維芽細胞への
サイクリンD1抗体のマイクロインジェクションは、S期への進行を妨げるが、G1
/S移行期またはその後に行われるインジェクションは効果がない(Baldinら、Ge
nes & Devel.7:812-821(1993); Quelleら、Genes & Devel.7:1559-1571(1993)
)。それ故、CDK-サイクリンD複合体は、G1後期のチェックポイントで重要な機
能を果たし、その後、細胞はこの周期の完了について分裂促進因子に依存しなく
なる。
哺乳類では、細胞は、D型サイクリンの転写誘導を引き起こす細胞外増殖シグ
ナルに応じて細胞周期に進入し、そしてG1期を通過して進行する。Dサイクリン
の蓄積は、2つの異なる触媒パートナー(CDK4およびCDK6)とのそれらの会合を
導き、キナーゼホロ酵素を形成する。
いくつかの観察により、G1期−S期移行を通過しての進行を促進するために必
要とされるpRB関連転写因子の放出を導く、網膜芽細胞腫タンパク質pRbをリン酸
化することにおけるサイクリンD依存性キナーゼの重要な役割が主張されている
。第1に、CDK-サイクリンD複合体は、pRbに対して明確な基質優先性を有する
が、正準のCDK基質であるヒストンH1をリン酸化しない(Matsushimeら、Cell 71
:323-334(1992); Matsushimeら、Mol.Cell.Biol.14:2066-2076(1994);Meyerson
およびHarlow,Mol.Cell.Biol.14:2077-2086(1994))。これらの基質特異性は
、D型サイクリンのpRbに直接結合する能力、DサイクリンがDNA腫瘍性タンパク
質(これもまたpRbに結合する)と共有するLeu-X-Cys-X-Gluペンタペプチドによ
り促進される相互作用により部分的に媒介され得る(Dowdyら、Cell 73:499-511
(1993); Ewenら、Cell 73:487-497(1993); Katoら、Genes & Devel.7:331-342(
1993))。第2に、変異、欠失によるか、またはDNA腫瘍ウイルスによる形質転換
後にpRb機能が崩壊された細胞は、もはやDサイクリンに対する抗体のマイクロ
インジェクションによってS期への進入を阻害されない。このことは、細胞が、
サイクリンDにより制御されたG1チェックポイントへの依存性を喪失したことを
示す(Lukasら、J.Cell.Biol.125:625-638(1994); Tamら、Oncogene 9:2663-26
74(1994))。しかし、このような細胞へのpRbの導入は、サイクリンDの機能に
対する要求性を回復する(Lukasら、J.Cell.Biol.125:625-638(1994))。第3
に、pRb陰性細胞は、上昇したレベルのCDK4の16kDaポリペプチドインヒビター、
「p16InK4a」(別称「InK4a-p16」または単に「p16」)を合成する。これは、細
胞周期制御タンパク質の近年発見されたクラスのメンバーである(Nasmyth およ
びHunt,Nature 366:634-635(1993); Peters,G.,Nature 371:204-205(1994))
。InK4a-p16は、G1期の間にD型サイクリンを排除した形でCDK4との複合体中で
見出されている(Batesら、Oncogene 9:1633-1640(1994); Serranoら、Nature 3
66:704-707(1993); Xiongら、Genes & Devel.7:1572-1583(1993))。このよう
な細胞が明らかなCDK4阻害に直面しても周期する事実は、Rb陰性環境でD型サイ
クリンが必ずしも必要とされないことをさらに暗示する。
p16に関連するひとつのタンパク質は、CDK4およびCDK6の両方を阻害する15kDa
タンパク質「p15InK4b」(別称「InK4b-p15」または単に「p15」)である。これ
は、
トランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)により処理されたヒト上皮細胞中
で誘導される(HannonおよびBeach,Nature 371:257-261(1994))。従って、成
長因子によるD型サイクリン合成の正の制御とは対照的に、G1期進行の細胞外イ
ンヒビターは、InK4タンパク質を誘導することによってD型サイクリン依存性キ
ナーゼの活性を負に制御し得る。構造的には、既知のInK4タンパク質は、繰り返
しの32アミノ酸アンキリンモチーフからなる。他の普遍的なCDKインヒビター(
例えば、p21Cipl/Wafl(El-Deiryら、Cell 75:817-825(1993); Guら、Nature 366
:707-710(1993); Harperら、Cell 75:805-816(1993); Xiongら、Nature 366:701
-704(1993)、およびp27Kipl(Polyakら、Genes & Devel.8:9-22(1994); Polyak
ら、Cell 78:59-66(1994); ToyoshimaおよびHunter,Cell 78:67-74(1994)))と
は異なり、InK4タンパク質は、CDK4およびCDK6の活性を選択的に阻害するが、他
のCDKの活性を阻害しない(Guanら、Genes & Devel.8:2939-2952(1994); Hanno
nおよびBeach,Nature 371:257-261(1994); Serranoら、Nature 366:704-707(19
93))。
関連文献
Mullisら(米国特許第4,965,188号(1990年10月23日))は、ポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)を用いて核酸配列を増幅する方法を記載している。Beach(公開され
たPCT特許出願第WO92/20796号(1992年11月26日))は、Dサイクリンをコードす
る遺伝子およびその使用を記載している。Berns(米国特許第5,174,986号(1992
年12月29日))は、T細胞リンパ腫を発生し易くしたトランスジェニックマウス
を用いて、化合物の発癌性潜在力を決定する方法を記載している。Crissmanら(
米国特許第5,185,260号(1993年2月9日))は、合成G1キナーゼインヒビターを
用いて、形質転換された(新生物)細胞を区別し、そして選択的に死滅させる方
法を記載している。Guanら(Genes & Devel.8:2939-2952(1994))は、本明細書
中に記載されるマウスp18の明確なホモログである、ヒトp18をコードする遺伝子
の単離を記載している。
発明の要旨
本発明は、新規細胞周期調節タンパク質の哺乳類細胞における発見に関する。
このタンパク質は、19kDaの見かけ上の分子量を有し、本明細書中では「InK4d-p
19」、「p19ink4/6」、またはより単純には「p19」と称する。詳細には、本発明
はマウスまたはヒトに由来する細胞から単離されたp19に関する。
本発明はまた、新規細胞周期調節タンパク質のマウス細胞における発見に関す
る。このタンパク質は、18kDaの見かけ上の分子量を有し、本明細書中では「InK
4c-p18」、「p18ink4/6」、またはより単純には「p18」と称する。マウスp18は
、ヒトp18の見かけ上のホモログである。この遺伝子は、単離され、そしてヒト
第1染色体にマップされている(Guanら、Genes & Devel.8:2939-2952(1994))
。
本発明のタンパク質はInK4遺伝子ファミリー(「InK4」はInhibitors of CDK4
を意味する)に属する。このファミリーは、少なくとも2つの他の低分子量ポリ
ペプチド、InK4a-p16およびInK4b-p15(Serrano,M.ら、Nature 366:704-707(19
93); Hannon G.J.およびBeach,D.,Nature 371:257-261(1994))を含むことが
知られている。InK4ファミリーのメンバーは、代表的には、各々32アミノ酸長の
繰り返しのアンキリンモチーフからなる。InK4ファミリーの既知の全てのメンバ
ーは、D型サイクリン依存性キナーゼ(例えば、CDK4およびCDK6)の酵素的活性
を特異的に阻害するように作用する。多くのCDKインヒビター(CKI)(Nasmythおよ
びHunt,Nature 366:634-635(1993)のように、InK4ファミリーのメンバーは、抗
増殖細胞外シグナルに部分的に応じて、哺乳類の細胞周期を通過する進行を負に
制御する。InK4タンパク質は、特定クラスのD型サイクリン依存性キナーゼ(す
なわち、CDK4および/またはCDK6)の活性を阻害することにより、細胞周期進行
をG1期に停止させ、そのようにして細胞がそれらの染色体DNAを複製することを
妨げる。InK4d-p19は、細胞周期の間に周期的に発現され、細胞がS期に進入す
るときに最大限に誘導される。重要なことに、マウスNIH-3T3線維芽細胞におい
て構成的に発現される場合、p19は、インビボでサイクリンD依存性キナーゼ活
性を阻害し、そしてG1期停止を誘導する。
本発明の1つの局面は、癌細胞の増殖を阻害するため、および/または癌細胞
がそれらの染色体DNAを複製することを妨げるために本発明のタンパク質を使用
する方法に関する。InK4-p16およびInK4-15は両方とも腫瘍サプレッサーとして
作用するようである(Noburi,T.ら、Nature 368:753-756(1994); Kamb,A.ら、
Science 264:436-440(1994))。p16およびp15をコードする遺伝子は、癌細胞に
おいて頻繁に欠失される領域内のヒト第9染色体の短腕に縦に並んでマップされ
、そして生じる抗増殖能の喪失は、腫瘍形成に寄与し得る(Noburiら、Nature 3
68:753-756(1994))。InK4遺伝子ファミリーのメンバーとして、p18およびp19は
類似の特性を有する。すなわち、(I)それらは、正常な哺乳類細胞においてG1-
S期移行を妨げる役割を果たす;(2)p18またはp19の合成は、G1期で細胞を停
止させる特定の抗分裂促進化合物により誘導される;(3)そしてp18またはp19
をコードする遺伝子の欠損は、このような調節能力を破壊することにおいて、い
くつかの癌における腫瘍形成に寄与する。
別の局面では、本発明は、マウス、ヒト、および他の哺乳類由来のp19ポリペ
プチドをコードする核酸配列、ならびに非ヒト哺乳類由来のp18ポリペプチドを
提供する。本発明の核酸配列は、単離された核酸の形態(例えば、cDNAクローン
、ゲノムDNAクローン、cDNAまたはゲノムDNAクローンのいずれかから転写された
mRNA、合成オリゴヌクレオチド、および/またはPCRから得られる合成増幅産物)
で発現され、そして一本鎖または二本鎖であり得る。
関連する局面では、本発明は、上記の本発明の核酸配列を用いて、p18またはp
19をコードする核酸を検出する方法を提供する。p18またはp19をコードする遺伝
子の欠失、または他の変異の検出は、所定の型の癌への素因の予言(predicativ
e)または診断である。
別の関連する局面では、上記の本発明のDNA分子は、p18またはp19タンパク質
またはp18またはp19ポリペプチド配列を含有する融合タンパク質を産生するため
に、発現ベクター中にクローン化され得、そして適切な宿主に配置され得る。癌
を有する動物中に配置される場合、本発明のこの局面は、所定の型の癌に対する
遺伝子治療に関する。
別の関連する局面では、本発明は、p18またはp19ポリペプチド配列をコードす
る核酸に相補的なヌクレオチド配列を含有するアンチセンスオリゴヌクレオチド
を用いてp18またはp19発現をブロックすることにより、細胞増殖を刺激する方法
を提供する。これらの方法は、染色体DNAを複製し、そして増殖状態に進入する
ように細胞(特に造血幹細胞)を刺激するのに用いられる。
別の局面では、本発明は、p18またはp19タンパク質に特異的に結合する抗体組
成物を提供する。本発明の抗体組成物は、ポリクローナル、モノクローナル、ま
たは単一特異的(monospecific)であり得る。本発明の抗体組成物は、p18また
はp19、あるいはp18またはp19ポリペプチド配列を含有する融合タンパク質また
はオリゴペプチドに特異的に結合する。
関連する局面では、本発明は、上記の抗体組成物を用いて、p18またはp19タン
パク質を検出するための方法を提供する。p18またはp19タンパク質の量の減少、
または形態の変化の検出は、所定の型の癌の罹り易さの予言または診断である。
別の局面では、本発明は、p18、p19、またはp18およびp19の両方をコードする
遺伝子中に少なくとも1つの変異を有するトランスジェニック非ヒト動物を提供
する。非ヒト動物のゲノム中に導入されたトランスジェニック変異のために、こ
の動物は、野生型動物と比較して減少したレベルのp18および/またはp19活性を
有し、そして結果として再現可能かつ従って予想可能な様式で所定の型の癌を発
生する。
関連する局面では、組成物は、本発明のトランスジェニック非ヒト動物を用い
て、所定の型の癌を刺激または阻害する潜在力について評価される。
図面の簡単な説明
図1は、ヒトInK4a-p16とアラインメントをとったマウスInK4c-p18のアミノ酸
配列(配列番号1)およびマウスInK4d-p19のアミノ酸配列(配列番号2)を示
す。パネルAでは、(Intelligenetics FAST DBコンピュータープログラムを用
いて)マウスp18およびヒトInK4a-p16の予想されるアミノ酸配列が、マウスp19
のアミノ酸配列とアラインメントをとった。5つのアンキリンリピートの制限が
、アラインメントされた配列の下の矢印で示される。パネルBでは、ヒトp16な
らびにマウスp18およびp19のアンキリンリピート1〜3を視覚的検査によって互
いにアラインメントをとって示す。同じタンパク質内の3つのリピートの内の少
なくとも2つの間(例えば、p16のリピート1と2との間)で共有される配列は
太字で示され、一方、2つの相同なタンパク質内の少なくとも1つ内の同系リピ
ー
トにより(例えば、p19およびp18内のリピート1により)共有される配列は、2
重下線で区別される。マウスInK4d-p19のcDNAのヌクレオチド配列(配列番号6
)およびマウスInK4c-p18のcDNAのヌクレオチド配列(配列番号4)は、1995年
5月1日以降、登録番号U19597およびU19596の下でGENBANKから入手可能である
。
図2は、マウスp19のcdk4およびcdk6遺伝子産物への結合を実証する結果を示
す。パネルAは、レーン1〜6の下の注釈中に示されるcdcまたはcdk遺伝子のcD
NAコード配列を含有するプラスミドのインビボ転写および翻訳に由来し、そして
変性ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動により分離された、35S-メチオニン標
識産物のアリコートのオートラジオグラフである。レーン1〜6に示される「イ
ンプット」サンプルの等量のアリコートを、コントロールビーズ(レーン7〜12)
(すなわち、GST-Sepharose;GST=グルタチオンS-トランスフェラーゼ)またはG
ST-p19融合タンパク質を含有するビーズ(レーン13〜18)とともにインキュベー
トし、ビーズを洗浄した後、吸着した放射標識産物をゲルで分離し、そしてオー
トラジオグラフした。パネルBでは、放射標識したサイクリンD2およびD3をcdk
遺伝子産物に置換し;cdk4遺伝子産物をポジティブコントロールとして用いた以
外は、実験をパネルAのように行った。全てのオートラジオグラフの曝露時間は
15時間であった。
図3は、p19およびp18がCDK-4サイクリンDおよびCDK-6サイクリンDのpRbキ
ナーゼ活性を阻害することを実証する結果を示す。CDK-4サイクリンD2(パネル
AおよびC)およびCDK-6サイクリンD2(パネルBおよびD)からなる活性ホロ
酵素複合体を、適切なベクターを同時感染させた昆虫Sf9細胞中で産生させた(K
atoら、Genes & Devel.7:331-342(1993))。野生型バキュロウイルスを感染さ
せたSf9抽出物を、バックグラウンドキナーゼ活性のためのコントロールとして
用いた(全てのパネルのレーン1(模擬))。マウスp19、マウスp18、またはヒト
p16の完全なコード配列を含有するGST融合タンパク質を、精製し、そしてグルタ
チオン-Sepharoseビーズから溶出し、そして各レーンの上示される量のタンパク
質(ng)を示された酵素を含有する固定量のSf9溶解物に添加した。次いで、こ
の抽出物を上記のようにpRbキナーゼ活性についてアッセイし(Katoら、Genes
& Devel.7:331-342(1993))、そして産物を変性ゲルで分離した。パネルCおよ
びDは、マウスIκB(MAD3)(レーン9および10)またはそのアンキリンリピートを
含有するタンパク質のサブドメイン(アミノ酸73〜242)(レーン11および12)のい
ずれかを含有するGSTタンパク質を用いる同様の実験を含む。オートラジオグラ
フの曝露時間は15時間であった。
図4は、p19がサイクリンD依存性キナーゼを特異的に阻害することを実証す
る結果を示す。各パネルの下に示すホロ酵素を含有する昆虫抽出物または野生型
バキュロウイルスで感染された細胞由来の抽出物(模擬、各パネルのレーン1)
を、両方のパネルの上部に示される量の精製GST-p19タンパク質とともにインキ
ュベートした。次いで、この抽出物を、pRbキナーゼ活性(パネルA)またはヒ
ストンH1キナーゼ活性(パネルB)についてアッセイし、そしてこの反応の産物
を変性ゲルで分離した。曝露時間は、15時間(パネルA)および4時間(パネル
B)であった。
図5は、p19のCDK4-サイクリンD2複合体への結合およびpRbキナーゼ活性の阻
害を示す。CDK4をコードするバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞(レーン1
および2)、CDK4およびサイクリンD2の両方をコードするベクター(レーン3、
4、6〜10)で同時感染させた昆虫細胞、または野生型バキュロウイルスで感染
させた模擬(レーン5)を、感染の最後の8時間の間35S-メチオニンで標識した
。放射標識cdk4およびサイクリンD2を含有する溶解物を等量のアリコートに分配
し、そして精製p19タンパク質(0.3μg)を示した2つの抽出物に添加した(レ
ーン9および10)。抽出物を、非免疫ウサギ血清(NRS)または示されたサイク
リンD2またはCDK4に対する抗血清で沈降させた。レーン1〜4で分離した免疫複
合体を変性ゲルで直接分離し、放射標識したサイクリンD2およびCDK4の回収量を
定量した。それらの電気泳動の移動度をパネルの右に示す。残りの免疫複合体を
用いて、沈降したpRbキナーゼ活性をアッセイした。その後、反応産物を同様に
分離した。32P標識pRbの位置をまた右の余白に示す。オートラジオグラフの曝露
時間は15時間であった。
図6は、細胞株およびマウス組織におけるp19およびp18mRNAの発現を示す。全
細胞RNAを、示した細胞株(パネルA)またはマウス組織(パネルB)から抽出
し、ホルムアミド(10μg/レーン)を含有するアガロースゲルで電気泳動的に分
離し、ニトロセルロースにトランスファーし、そして示した32P標識cDNAプロー
ブとハイブリダイズさせた。オートラジオグラフの曝露時間は5日間(p19)、1
2日間(p18)、および2日間(G6PD)であった。
図7は、マクロファージ細胞周期の間のp19および異なるサイクリンの発現を
示す。18時間のCSF-1飢餓によってG1期初期に停止させたBAC1.2F5マクロファー
ジをCSF-1で再刺激し、同調的に細胞周期に進入させた。示した時間の細胞から
抽出した全RNA(パネルA)を、左の余白に示したプローブを用いてノーザンブ
ロッティング分析に供した。異なる細胞周期の時期を、細胞のDNA含量のフロー
サイトメトリー分析により決定した(パネルB)。細胞が2回目の細胞周期に進
行したとき、それらは同調性を喪失し、そしてそれらの2回目のG1期は1回目よ
りも短かった(Matsushimeら、Cell 65:701-713(1991))。ホスホイメージャー
で定量したp19mRNAの濃度をパネルCに示す。ノーザンブロットの曝露時間は、p
19については6日間であり、p18については8日間であり、サイクリンD1および
サイクリンAについては2日間であり、そしてG6PDmRNAについては1日間であっ
た。
図8は、p19タンパク質発現を示す。パネルAでは、NIH-3T3線維芽細胞(レー
ン1〜3)およびBAC1.2F5マクロファージ(レーン4および5)を、35S-メチオ
ニンで1時間代謝的に標識し、抗血清で免疫沈降した細胞溶解物を、p19C-末端
に基づく合成ペプチドに指向させ、そして変性ゲルで分離した。同系ペプチドで
競合させた後にはNo p19は検出されなかった(レーン2および5)、無関係なペ
プチドは競合的な影響を有さなかった(レーン3)。パネルBでは、BAC1.21F5
マクロファージの溶解物を非免疫ウサギ血清(NRS、レーン1)、p19C-末端に
対する抗血清(レーン2)、およびCDK4に対する抗血清(レーン3)で免疫沈降
させ、変性ゲルで分離し、ニトロセルロースにトランスファーし、そしてCDK4に
対する抗血清でイムノブロットした。パネルCでは、同調的に周期に再進入する
ように刺激したCSF-1飢餓マクロファージ(図7のような)を、35S-メチオニン
で上部に示した時間に1時間パルス標識し、そしてp19C-末端に対する抗血清で
調製した沈降物を変性ゲルで分離した。パネルDは、パネルCに示したデータの
ホ
スホイメージング分析によって決定された細胞周期を通してのp19の合成率を示
す。曝露時間は、パネルA、B、およびCについて、それぞれ5、2、および4
日間であった。
図9は、ベクター媒介p19発現がG1期停止を誘導することを実証する実験の結
果を示す。p19およびCD8の両方をコードするベクターでトランスフェクトしたNI
H-3T3細胞を、CD8蛍光およびDNA含量について48時間後に分析した(パネルA)
。CD8陰性線維芽細胞で得られるのと等価な蛍光プロフィールを産生する細胞(
四角R1)および最も高いレベルのCD8抗原を産生する細胞(四角R2)を別々に通
過させ(gate)、そしてDNA含量について分析した(パネルB)。パネルCでは
、コントロールCD8ベクターまたはp19を含有するベクターで感染させたNIH-3T3
線維芽細胞由来の免疫沈降物(パネルの底部に示されるような)を、pRbキナー
ゼ活性について48時間後に分析した。パネルの上部に示すような、正常なウサギ
血清(NRS)、サイクリンD1(D1)に対するモノクローナル抗体(D1-72-13G)、
cdk4C-末端(CDK4)に対する抗血清、またはCDK4に対する抗血清+競合する同
系ペプチド(CDK4+P)を用いて免疫複合体を得た。沈降物を、サイクリンD1を
過剰発現するように操作した細胞(3T3-D1、レーン1〜8)または親のNIH-3T3
細胞(3T3、レーン9〜11)から調製した。釣り合ったオートラジオグラフシグ
ナルを得るために、溶解物を、親細胞に対して1/8数の3T3-D1細胞から調製した
。曝露時間は8時間であった。
図10は、ヒトInK4d-p19のcDNAヌクレオチドおよび予測されるアミノ酸配列(
パネルA)ならびにInK4タンパク質(ヒトp19(Hu-P19)、マウスp19(Mu-P19)
、ヒトp18(Hu-P18)、ヒトp16(Hu-P16)、およびヒトp15(Hu-P15))のポリペ
プチド配列のアラインメントを示す(パネルB)
図11は、ヒトINK4d-p19の発現パターンを示す。ノーザンブロットを、示した
ヒト成人および胎児の組織を用いて調製した。2μgのポリ(A)+RNAをホルムア
ルデヒドを含有するアガロースゲルで電気泳動的に分離し、ナイロンにトランス
ファーし、そして31P標識InK4d-p19 cDNAプローブ(p19InK4d)とハイブリダイ
ズさせた。次いでフィルターをストリップし、そしてβアクチンプローブ(「ア
クチン」)と再ハイブリダイズさせ、レーン当たりのRNAの量を評価した。オー
トラ
ジオグラフの曝露時間は、p19については18時間であり、そしてアクチンについ
ては8時間であった。
図12は、ヒト子宮頸癌細胞株HeLaにおける細胞周期の間のp19の発現を示す。
ヒトHeLa細胞を、連続的なチミジン/ノコダゾールブロックによって有糸分裂期
に停止させた。次いで、有糸分裂期細胞を、機械的放出によって収集し、10%FC
Sを含有する完全培地の存在下で培養皿中に再播種した。全細胞RNAを、示した時
間で細胞から抽出し、そしてp19(上部パネル)またはβアクチンプローブ(中
間のパネル)のいずれかを用いるノーザンブロット分析に供した。異なる細胞周
期相を、細胞DNA含量のフローサイトメトリー分析によって決定した(底部パネ
ル)。このメンブランを、6時間(p19)または1時間(β-アクチン)のいずれ
かでMolecular Dynamics Phosphoimager 400Aを用いて視覚化した。
図13は、Fas媒介アポトーシスの間のp19の発現を示す。p19の発現を、Fasモノ
クローナル抗体(Fas Ab)で処理したヒトCEM-C7未成熟T細胞を用いて調査した
。ヒトCEM-C7細胞を、1ml当たり2×106細胞の濃度に増殖させ、そして100ng/ml
のFas Abで処理した。同等数の細胞(2×107)を、Ab処理後の種々の時間に回収
し、そしてRNAおよびDNA単離に用いた。パネルAでは、DNAを、エチジウムブロ
マイド含有2%アガロース-TBEゲルの電気泳動によって分析し、そして紫外線下
で視覚化した。特徴的なDNAラダーが、Ab処理の約2時間後に見られる。パネル
Bでは、未処理およびFas Ab処理CEM-C7細胞から抽出した全RNAを、ヒトp19cDNA
プローブでプローブした(左のパネル)。Fas Ab処理後の時間を各レーンの下に
示す。エチジウムブロマイドで視覚化した同じRNAゲルを、印をつけた18Sおよび
28S RNAとともに示す(右のパネル)。ノーザンブロットを、6時間Molecular D
ynamics Phosphoimager 400Aを用いて視覚化した。
図14は、プローブとしてヒトp19配列のゲノムP1ファージクローンを用いたヒ
ト染色体の蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)の結果を示す。
開示の詳細な説明
用語および記号
本開示を通して、ポリペプチド配列および核酸配列にそれぞれ存在するアミノ
酸およびヌクレオチド残基の略語は、(1994年7月1日に改訂された)米国特許
法施行規則§1.822に記載の通りである。
他に示されなければ、以下のさらなる略語および定義を本明細書中で使用する
。
略語
3-AT = 3-アミノ-1,2,4-トリゾール
ATP = アデノシン三リン酸
CDK = サイクリン依存性キナーゼ(タンパク質);
cdk = 遺伝子
cDNA = 相補性デオキシリボ核酸
cpm = カウント/分
DNA = デオキシリボ核酸
DMEM = ダルベッコ改変イーグル培地
DTT = ジチオトレイトール
EDTA = エチレンジアミン四酢酸
EGTA = エチレングリコールービス(β−アミノエチルエーテル)
N,N,N',N'-四酢酸
ES = 胚幹
FISH = 蛍光インサイチュハイブリダイゼーション
G6PD = グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ
GST = グルタチオンS−トランスフェラーゼ
HSV = 単純ヘルペスウイルス
InK = CDKのインヒビター(タンパク質)
Ink = 遺伝子
IP = 免疫沈降
IPTG = イソプロピル-β-D-チオガラクトシド
kb = キロ塩基
kDa = キロダルトン
LTR = 長末端反復
mRNA = メッセンジャーRNA
MSV = マウス肉腫ウイルス
NRS = 非免疫ウサギ血清
PBS = リン酸緩衝化生理食塩水
PCR = ポリメラーゼ連鎖反応
pRB = 網膜芽細胞腫タンパク質
RT = 逆転写酵素
SDS = ドデシル硫酸ナトリウム
Sf9 = Spodoptera frugiperda
Tg = トランスジェニック
TK = チミジンキナーゼ
YPD = 酵母抽出液+ペプトンおよびデキストロース
用語
アミノ酸配列:アミノ末端(N末端)からカルボキシル末端(C末端)の順に
示されるポリペプチドの配列。「ポリペプチド配列」、「ペプチド配列」、「タ
ンパク質配列」、または「一次タンパク質配列」と同義。
動物:(1)他に示されなければ、個々にかつ集合的に、発生(胚形成期および
胎児期を含む)の全ての段階におけるヒトを除く;そして(2)発生(胚形成期お
よび胎児期を含む)の任意の段階における個々の動物を含む、全ての他の脊椎動
物を含む。「非ヒト動物」は、「動物」と同義である。
動物モデル:ヒト疾患を忠実に模倣し、そして潜在的な治療用組成物または潜
在的に有害な組成物がそれらの疾患における効果について評価され得る非ヒト動
物。
抗体:抗原に曝されたときその抗原と特異的に結合され得る、B細胞により合
成されるタンパク質分子。免疫グロブリン(Ig)と同義。
ポリクローナル抗体:それら全てが1つの特定の抗原を認識する異なる抗体の
組合せを含む組成物。
モノクローナル抗体:ハイブリドーマにより産生される唯一の単離された抗体
分子。
単一特異的抗体:(1)短い単離された合成抗原または(2)短い単離されたキャリ
ア結合ハプテンにおいて見出される単一または少数のエピトープに対する免疫学
的応答において産生されたポリクローナル抗体。
抗原:(1)動物において免疫応答を誘発し、そして(2)免疫動物の免疫系の抗原
認識成分と特異的に相互作用する分子またはもの(composition of matter)。
キャリア:ハプテンに対する免疫応答が生じるために、ハプテンとの組み合わ
せに必要な分子。すなわち、ハプテンを、そのハプテンが増強された免疫原性を
有するような分子状況におく分子。
検出可能標識:生体分子に結合してその生体分子の検出を可能にする化学的部
分であって、そしてその化学的部分は、放射性標識、酵素(例えば、西洋ワサビ
ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)、ストレプトアビジン、ビオ
チン、抗体により認識されるエピトープ、およびそれらの等価物からなる群から
選択され得る。
検出可能に標識された:生体分子が検出可能標識をそれ自身に共有結合させた
生体分子の状態。
疾患:(1)妊娠それ自体を除くが、妊娠に関連した自己免疫および他の疾患を
除かない;(2)(特に感染、先天性衰弱、環境ストレスの結果として)正常な生
理機能を損なう生物またはその一部の任意の異常状態を含む;そして(3)癌およ
び腫瘍を含む。
DNA配列:5'から3'へ読まれるDNA鎖の連続したヌクレオチド塩基の配列。「DN
A分子」と同義。
酵素:特異的化学反応のための触媒であるタンパク質。しばしばタンパク質は
基質および/または生成物として1つまたはそれ以上の生体分子を含む。非生体
由来触媒とは異なり、酵素は、立体特異的に基質を認識し得る。すなわち、酵素
の中には、1対のL-およびD-エナンチオマーの一方のみを認識し得、従ってその
一方のみの化学反応を触媒し得るものがある。
エピトープ:動物の免疫系の抗原認識成分と特異的に相互作用する抗原の一部
。ポリペプチド抗原では、エピトープは、隣接したアミノ酸の短い配列に相当し
得
る。抗原の残りの部分はキャリアと呼ばれる。抗原決定基と同義。
発現ベクター:外来または異常遺伝子が、ベクターに適切な宿主生物における
それらの発現のために挿入され得る、人工DNA配列、または人工的に改変された
天然に存在するDNA配列。
外来または異常:健常な野生型生物に対して内因性でないこと。「外来または
異常遺伝子」とは、生物ゲノムに対して内因性でない核酸配列、またはそれらが
由来する内因性核酸配列が有さない特性(すなわち、ゲノム位置、発現の調節、
コピー数など)を有するように再編成された、変異された、または他に遺伝子操
作された元来内因性の核酸配列を称する。
遺伝子:標準的な遺伝コードに従う構造遺伝子(例えば、ポリペプチド配列を
コードするリーディングフレーム);および構造遺伝子の転写に必要な発現エレ
メント(例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサーなど)からなる
DNA配列。
遺伝子操作された:遺伝的変化を導入することを意図された人的操作に供せら
れること。
ハプテン:(1)それ自身では動物において免疫応答を誘発し得ず、(2)それが結
合されるキャリアと組み合わせられて、動物において免疫応答を誘発し得、そし
て(3)免疫動物の免疫系の抗原認識成分と特異的に相互作用する小分子。
宿主動物:(1)天然に存在するかまたは遺伝子操作された細胞内寄生体による
動物の細胞の侵入;または(2)人的操作による外来または異常遺伝子の細胞への
導入の結果として導入された外来および/または異常遺伝子を有する動物。
免疫動物:免疫量の抗原が与えられ、そしてそれらに対する体液性および/ま
たは細胞仲介免疫応答を生じた動物。
哺乳類:(1)他に示されなければ、個々にかつ集合的に、発生(胚形成期およ
び胎児期を含む)の全ての段階におけるヒトを除く;そして(2)発生(胚形成期
および胎児期を含む)の任意の段階における個々の動物を含む、哺乳綱脊椎動物
の構成員である全ての他の動物を含む。ここで、この綱の構成員は、恒温性、毛
髪、および雌においては、乳産生乳房によって区別される。
微生物:単細胞生物(例えば、細菌)または細胞内寄生体(例えば、リケッチ
アまたはウイルス);「生」微生物および「減毒」微生物の両方を含む。
ポリペプチド:アミノ酸残基のポリマー。
タンパク質:機能性三次元形態に配置された1つまたはそれ以上のポリペプチ
ドを含む生体分子。
制限エンドヌクレアーゼ:DNA中のそれぞれ特異的認識配列の存在する部分で
そのDNAを切断するエンドヌクレアーゼ。「制限酵素」と同義。
トランスジーン:非天然手段(すなわち、人的操作)により動物に導入された
、動物において天然に存在しない遺伝子(すなわち、外来または異常遺伝子)。
トランスジェニック動物:非天然手段(すなわち、人的操作)により1つまた
はそれ以上のトランスジーンが導入された動物。
好ましい実施態様の詳細な説明
最も広い形態においては、本発明は、InK4ファミリーの2つの新規な哺乳類タ
ンパク質メンバー(これらのメンバーは、「InK4c-p18」(別称「p18」)および
「InK4d-p19」(別称「p19」)として知られ、CDK4のようなサイクリン依存性キ
ナーゼを阻害することにより細胞周期を調節する);p18およびp19のポリペプチ
ド配列をコードする配列を有する核酸分子;p18またはp19ポリペプチド配列に対
して特異的な抗体;p18、p19、またはp18およびp19の両方をコードする遺伝子(
1つまたは複数)において改変を有するトランスジェニック非ヒト動物;p18お
よびp19の核酸およびポリペプチドを作製する方法;p18またはp19特異的抗体を
作製する方法;p18、p19、またはp18およびp19の両方をコードする遺伝子(1つ
または複数)において改変を有するトランスジェニック非ヒト動物を作製する方
法;ならびにサンプルにおいてp18およびp19の核酸またはタンパク質を検出する
、癌または癌の素因を診断する、組成物をそれらの治療潜在性または発癌潜在性
について評価する、および腫瘍および癌の処置のために治療用組成物を調製する
ための、本発明の核酸、タンパク質、抗体、およびトランスジェニック動物を使
用する方法を含む。
核酸および関連する実施態様
1つの実施態様では、本発明は、マウスp19、ヒトp19、および他の哺乳類由来
のp19ポリペプチドをコードする配列を有する核酸を含む。例えば、本発明は、
マウスp19(配列番号6)およびヒトp19(配列番号7)をコードするcDNA分子を
提供する。本発明のp19 cDNAは、次いで、p19ポリペプチド配列をコードするさ
らなる核酸(例えば、マウスおよびヒトのゲノムDNAクローン)を単離するため
に用いられる。さらに、マウスおよびヒトp19遺伝子のヌクレオチド配列間の相
同性が非常に高いので、マウスおよびヒトの核酸は、他の哺乳類由来のp19遺伝
子のcDNAクローンおよびゲノムクローンを単離するために、プローブを設計する
か、またはPCR用プライマーを縮重させるために用いられ得る。
並行した実施態様では、本発明は、マウスp18および他の非ヒト哺乳類由来のp
18ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。例えば、本発明は、マウスp18を
コードするcDNA分子(配列番号4)を提供する。本発明のp18核酸は、次いで、p
18ポリペプチド配列をコードするさらなる核酸(例えば、マウスゲノムDNAクロ
ーン、および他の哺乳類由来のcDNAクローンおよびゲノムクローン)を単離する
ために用いられる。ヒトp18をコードする核酸は、Guanらによって近年記載され
ている(Genes & Develop.8:2939-2952(1994))。
当業者は、本発明の核酸配列を、本発明の核酸を生成するために、核酸を生成
させ得る任意の系に容易に適合させ得る。本発明の核酸(必要に応じて、検出可
能標識を含み得る)は、cDNAクローン、ゲノムクローン、cDNAクローンまたはゲ
ノムクローンのいずれかから転写されたRNA、合成オリゴヌクレオチド、および
/または(例えばPCRから)得られる合成増幅産物として調製され得る。本発明
の核酸は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態で調製され得る。
cDNAクローンを調製する方法は当該分野で公知である(例えば、Sambrookら、
Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2巻、第2版、Cold Spring Harb
or Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)の第8章、8.1〜8.86頁を
参照のこと)。ゲノムDNA配列を分析する方法およびゲノムクローンを調製する
方法は当該分野で公知である(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Lab
oratory Manual、第2巻、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Col
d Spring Harbor,NY(1989)の第9章、9.1〜9.62頁;およびCurrent Protoco
ls in Molecular Biology、第1巻、Ausubelら編、John Wiley & Sons.Inc.,B
oston,MA(1994)の第2章、2.1.1〜2.14.8頁を参照のこと)。ゲノムDNA配列(
すなわち、染色体由来核酸)は、マウスおよび他の非ヒト動物から単離され(実
施例9を参照のこと)、そしてトランスジェニック非ヒト動物の生成のために用
いられる。p18またはp19配列を含むRNAは、当該分野で公知の方法に従って、そ
れぞれp18またはp19を発現する細胞から調製され得る(例えば、Current Protoc
ols in Molecular Biology、第1巻、Ausubelら編、John Wiley & Sons.Inc.,
Boston,MA(1994)の第4章、4.1.1〜4.10.11頁を参照のこと)か、または本発明
のDNA分子を用いてインビトロ転写により生成され得る(例えば、Sambrookら、M
olecular Cloning: A Laboratory Manual、第2巻、第2版、Cold Spring Harbo
r Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)の第10章、10.1〜10.70頁
を参照のこと)。p18またはp19ヌクレオチド配列を有する合成オリゴヌクレオチ
ドは、公知の方法により、本発明の核酸配列を用いて調製され得る(例えば、Sa
mbrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2巻、第2版、Cold S
pring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)の第11章、11.
1〜11.61頁を参照のこと)。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)におけるプライマーと
して用いられる場合、合成オリゴヌクレオチドは、好ましくは、本発明のp18ま
たはp19に正確に相当する約15〜約30の連続したヌクレオチドを含むが、必要に
応じてそこから5'へさらなるヌクレオチドを含み得る(Innis,M.A.およびGelfa
nd,D.H.、PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications,Innisら編
、Academic Press,Inc.,New York(1990)の第1章、3〜12頁;Saiki,R.K.、P
CR Protocols: A Guide to Methods and Applications,Innisら編、Academic P
ress,Inc.,New York(1990)の第2章、13〜20頁)。合成増幅産物は、PCRのよ
うな増幅系において本発明の合成オリゴヌクレオチドを用いて調製される(例え
ば、Mullisらの米国特許第4,965,188号(1990年10月23日);Scharf,S.J.、PCR
Protocols: A Guide to Methods and Applications,Innisら編、Academic Pre
ss,Inc.,New York(1990)の第11章、84〜98頁;Current Protocols in Molecul
ar Biology、第2巻、Ausubelら編、John Wiley & Sons.Inc.,Boston,MA(199
4)の第15章、15.0.1〜15.8.8頁;およびSambrookら、Molecular Cloning: A
Laboratory Manual、第2巻、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,
Cold Spring Harbor,NY(1989)の第14章、14.1〜14.35頁を参照のこと)。当業
者は、ヌクレオチド構造の化学誘導体が、本発明の核酸において天然ヌクレオチ
ドの代わりに用いられ得ることを理解する。
タンパク質を作製する方法:本発明の本実施態様の1つの局面では、本発明の
核酸は、組換えDNA技術によって、p18またはp19タンパク質、あるいはp18または
p19由来の融合タンパク質を調製するために用いられる。p18またはp19ポリペプ
チド配列をコードする本発明の核酸のいずれかを適切な発現ベクター中に挿入し
、そして得られた発現ベクター構築物を適切な宿主細胞中に導入することにより
、当業者は、大量のp18またはp19ポリペプチドを生成し得る。
本発明の単離された核酸からのタンパク質の生成のために利用可能な多数の宿
主/発現ベクター系がある。これらは、細菌/プラスミド系、細菌/ファージ系
、真核細胞/プラスミド系、真核細胞/ウイルス系などを含むが、これらに限定
されない(例えば、Rutterらの米国特許第4,440,859号(1984年4月3日);Cur
rent Protocols in Molecular Biology、第2巻、Ausubelら編、John Wiley & S
ons.Inc.,Boston,MA(1994)の第16章、16.0.5〜16.20.16頁;およびSambrook
ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3巻、第2版、Cold Spring
Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)を参照のこと)。当
業者は、本発明のタンパク質またはポリペプチドを生成するために、本発明の核
酸を、異種の核酸を増殖し、そして発現し得る宿主/発現ベクター系に容易に適
合させ得る。好ましい宿主/発現系は、細菌/プラスミド系および昆虫細胞/バ
キュロウイルス発現ベクター系を含む。
診断方法およびキット:本実施態様の別の局面では、p18およびp19核酸配列は
、哺乳類から単離された細胞のサンプルにおけるp18またはp19発現、変異、また
は欠失に関する診断テストのための材料として働く、オリゴヌクレオチドプロー
ブまたはPCRプライマーを調製するために用いられる。p15およびp16をコードす
る遺伝子の欠失は癌細胞において頻繁に生じ、そして生じた抗増殖機能の喪失は
腫
瘍形成に寄与し得る(Noburiら、Nature 368:753-756(1994))。同様に、p18お
よびp19をコードする遺伝子における欠失または他の変異は、癌の診断指標とな
り、または特定のタイプの癌を発症させる素因を示す。
p19のヒト遺伝子における変異は、目的とする変異の性質に一部依存する種々
の方法のいずれかによって検出される。約100塩基対(bp)またはそれ以上の欠失
または挿入は、ゲノムDNAの電気泳動分離および好ましくはヒトp19コード配列の
ヌクレオチド配列(配列番号8)に由来する核酸プローブを用いるハイブリダイ
ゼーション分析により、またはヒトp19コード配列のヌクレオチド配列に由来の
合成オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号14および15)をプライマーとして用
いるゲノムDNAのPCRにより検出される。
1つの局面では、本発明は、哺乳類(例えば、マウスまたはヒト)由来のp19
遺伝子由来のヌクレオチド配列またはそれらの逆相補物を含む核酸分子を用いて
、哺乳類由来のDNAまたはRNAを分析することにより、癌を発症する素因に関連し
た核酸多型の存在を検出する方法を含む。並行した局面では、本発明は、非ヒト
哺乳類(例えば、マウス)由来のp18遺伝子由来のヌクレオチド配列またはそれ
らの逆相補物を含む核酸分子を用いて、非ヒト哺乳類由来のDNAまたはRNAを分析
することにより、癌を発症する素因に関連したDNA多型の存在を検出する方法を
含む。両方法とも、本発明の核酸を検出する任意の手順と併用して用いられる。
このような手順の例は、本発明の核酸を用いるハイブリダイゼーション分析、す
なわち、哺乳類の細胞からの核酸の単離、次いで制限消化、ゲル電気泳動のよう
な手段による分離、ニトロセルロースまたは匹敵する物質へのトランスファー、
およびその物質上でのp18またはp19ポリペプチド配列をコードするヌクレオチド
配列を含む検出可能に標識された核酸プローブへの暴露によるp18またはp19核酸
配列の検出を含む。検出手順は、非ヒト哺乳類においてp18(InK4c)の遺伝子内
に存在する多型、または哺乳類においてp19(InK4d)多型を同定し得るように選
択される。特に、ヒト第19染色体上に位置するヒトInK4dの多型は、本発明の方
法によって検出される。
本発明の1つの実施態様では、癌を発症する素因に関連したDNA多型の存在を
検出する好ましい方法は、PCRによるp19配列の増幅、次いで制限消化、およびア
ガロースゲル電気泳動に基づくRFLP(制限フラグメント長多型)技術を含む。こ
の方法において、有核細胞(好ましくは白血球)を含有する生物学的サンプルは
、ヒトから得られる。本発明において用いられ得る有核細胞を有する適切な生物
学的サンプルは、血液および組織を含むが、これらに限定されない。生物学的サ
ンプルを得る方法は、サンプルの性質に依存して変化する。用語「有核細胞」と
は、核を含有する任意の細胞を意味する。このような細胞の例は、白血球、内皮
細胞、または間葉細胞を含むが、これらに限定されない。次いで、細胞はサンプ
ルから単離され、そして有核細胞由来のDNAが当該分野で公知の従来法を用いて
精製される。この従来法としては、例えば、フェノール−クロロホルム抽出、溶
解酵素、化学溶液および遠心分離、またはサイズ排除クロマトグラフィーが挙げ
られる(例えば、BlinおよびStafford、Nucl.Acid Res.3:2303-2308(1976);M
aniatis、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Labo
ratory,Cold Spring Harbor,New York(1982)を参照のこと)。単離後、目的と
するDNA配列は、従来のPCR法を用いて増幅される(例えば、Innisら、PCR Proto
cols、Academic Press,NY(1990);Mullisら、Cold Spring Harbor Symp.Quant
.Biol.51:263-273(1986);MullisおよびFaloona,Methods Enzymol.155:335-
350(1987);およびMullisら、米国特許第4,965,188号(1990年10月23日)を参照
のこと)。
本実施態様の1つの局面では、InK4dのp19のコード配列に隣接する配列が、配
列増幅のためのプライマーとして利用される。この局面では、5'プライマーは、
好ましくは、ヒトp19 DNA配列(配列番号7)の塩基239〜塩基263であり、そし
て以下の配列を有する:
3'プライマーは、好ましくは、ヒトp19 DNA配列(配列番号7)の塩基440〜塩基
464の配列の逆相補物であり、そして以下の配列を有する:
このような実施態様では、増幅産物は、可視化の前に制限消化に供せられる。In
K4dの異なる対立遺伝子は、適切な制限エンドヌクレアーゼでの消化後にサイズ
が異なる増幅フラグメントを生じる。
次いで、増幅DNAは沈降され、そして制限酵素(例えば、BamHI、BglII、PstI
、またはEcoRI)で消化される。消化DNAフラグメントは、典型的にはアガロース
ゲル電気泳動を用いて、パターンを形成するそれらの分子量に従って分離される
。電気泳動後、ゲルは、標準的なプロトコルを用いて、適切な薬剤(例えば、エ
チジウムブロミド)で染色され、そして紫外線徹照下で撮影する。多型は、ゲル
上にさらなるバンド(すなわち、野生型InK4d対立遺伝子において見られないバ
ンド)の出現を生じる。
本実施態様の別の局面では、細胞核から単離されたDNAが、PCR増幅を利用して
、所定の制限エンドヌクレアーゼで消化される。本発明で用いられ得る制限エン
ドヌクレアーゼは、BamHI、BglII、PstI、またはEcoRIを含むが、これらに限定
されない。消化物が得られ、そしてDNAが標準技術(例えば、アガロースゲル電
気泳動)により分離された後、分離されたバンドは、ヒトp19ポリペプチド配列
をコードする配列を含むDNAフラグメントでプローブされる。本実施態様の1つ
の局面では、本発明の好ましいプローブは、ヒト第19染色体上のヒトp19、InK4d
の遺伝子由来のcDNAまたはゲノム配列に基づく。
RFLP技術の使用は、本発明の核酸における多型の検出のただ1つの好ましい実
施態様である。最終的に、RFLPの使用は、核酸分子に従ってDNA制限部位におけ
る多型に依存するので、多型を検出する他の方法もまた用いられ得る。当業者が
本発明のプローブおよびプライマーにより検出される多型間の連鎖を決定するこ
とを可能にする任意の分析方法が利用され得る。放射性標識、蛍光標識、または
酵素標識プローブを用いるインサイチュハイブリダイゼーションによる第19染色
体上の多型の直接位置決めのような技術が用いられ得る。他の適切な技術は、増
幅法(例えば、リボヌクレアーゼミスマッチ切断アッセイおよび直接オリゴヌク
レオチドハイブリダイゼーション)を含むが、これに限定されない。
ヒトInK4d遺伝子(配列番号7)の任意のサイズフラグメントが、第19染色体
上のInK4d遺伝子中のイントロンまたはエキソン内で多型を示す制限フラグメン
トにハイブリダイズし得る限り、プローブとして利用され得る。ハイブリダイゼ
ーションプローブは、標準的な標識化技術(例えば、放射性標識、酵素標識、蛍
光標識、ビオチン−アビジン標識、ケミルネッセンスなど)により標識され得る
。
ハイブリダイゼーション後、プローブは公知の方法を用いて可視化される。研究
中の被験体についてRFLP(1つまたは複数)の比較により、癌の素因に連関した
ヒトp19をコードする遺伝子において多型が存在するかまたは存在しないかが迅
速に明らかになる。本発明の方法により検出され得る多型は、RFLP、点変異、挿
入、欠失、逆位、交互スプライスmRNAなどを含む。
本発明のこの局面で用いられる材料は、キットの調製のために理想的に適合さ
れる。特定すると、本発明は、以下を含む、1つまたはそれ以上の容器を密閉し
て収容する区画化されたキットを提供する:(a)1つまたはそれ以上の本発明の
プローブまたは増幅プライマーを含む第1の容器;および(b)1つまたはそれ以
上の以下のものを含む1つまたはそれ以上の他の容器:サンプルリザーバー、洗
浄試薬、第1容器からの結合プローブの存在を検出し得る試薬、または増幅プラ
イマーにハイブリダイズする配列を増幅し得る試薬。
詳細には、区画化されたキットは、試薬が別個の容器に含有された任意のキッ
トを含む。このような容器は、小さなガラス容器、プラスチック容器、またはプ
ラスチック片または紙片を含む。このような容器は、サンプルと試薬とが交差汚
染せず、そして各容器の薬剤または溶液がある区画から別の区画へ定量的に添加
できるように、ある区画から別の区画へ効率的に試薬を移すことを可能にする。
このような容器は、テストサンプルを受容する容器、アッセイにおいて用いられ
るプローブまたはプライマーを含有する容器、洗浄試薬(Tris緩衝液など)を含
有する容器、および結合プローブまたは増幅産物を検出するために用いられる試
薬を含有する容器を含む。
検出試薬のタイプは、標識二次プローブ、または別の場合において、一次プロ
ーブが標識される場合、酵素的試薬、または標識プローブと反応し得る抗体結合
試薬を含有する。当業者は、本発明の開示されたプローブおよび増幅プライマー
が、当該分野で周知の確立されたキット形式の1つに容易に取り込まれ得ること
を容易に認識する。一例では、第1の容器はハイブリダイゼーションプローブを
含有し得る。第2の容器は、消化において用いられる制限酵素を含有し得る。他
の容器は、標識プローブの局在化において有用な試薬を含有し得る。この試薬は
、ビオチン化プローブが用いられる場合、x-galタグ化アビジンのような酵素基
質
である。さらに別の容器は緩衝液などを含有し得る。
遺伝子治療およびアンチセンスオリゴヌクレオチド治療:本発明の別の実施態
様では、本発明の核酸配列を用いて、p18またはp19核酸配列が、遺伝子治療、す
なわち減少または変化したp18またはp19活性を有するか、あるいはp18またはp19
活性を有さない細胞において、p18またはp19の発現を阻害、増大、または回復す
るのに用いられる。
1.増殖調節を必要とする細胞にp18および/またはp19活性を増大または回復
させるために、p18、p19、またはp18/p19発現構築物を調製する。発現構築物は
、発現ベクターにおいて、細胞における遺伝子発現に必要とされる核酸配列(例
えば、プロモーター)に作動可能に連結された、p18ポリペプチド配列を有する
タンパク質をコードする核酸配列、p19ポリペプチド配列を有するタンパク質を
コードする核酸配列、または両方の型の核酸配列からなる。この発現構築物を細
胞に導入する。ここでこれらは、p18またはp19ポリペプチド配列を有するタンパ
ク質、あるいはp18/p19発現構築物の場合には、p18およびp19の両方に由来する
ポリペプチド配列を有する両方の型のタンパク質または単一のタンパタ質の発現
を指示する。発現されたタンパク質は、発現構築物により発現される遺伝子産物
のインビボ活性、標的化、および/または安定性を改善するように設計されたポ
リペプチド配列をさらに含有する融合タンパク質であり得る。
発現されたタンパク質は、それらの宿主細胞におけるp18および/またはp19の
機能を回復または増大するように機能し、従って細胞の細胞周期の進行をネガテ
ィブに調節する。この開示は、サイクリンDを過剰発現するように遺伝子操作さ
れ、従って相当する野生型の細胞よりも5〜10倍高いレベルのCDKを保有する細
胞においてさえも、細胞におけるp19の構成的発現はG1期停止、すなわちDNA複製
の阻害を生じることを示す(実施例7を参照のこと)。従って、正常を逸した(
runaway)サイクリンD発現をともなう細胞においてさえも、過剰なp19機能の導
入が細胞の細胞周期の進行を阻害し、従ってそれらのさらなる増殖を妨げる。
2.増殖刺激を必要とする細胞においてp18またはp19活性を阻害するために、
合成アンチセンスオリゴヌクレオチドを、cDNAまたはゲノムクローン中に見出さ
れたp18またはp19をコードする配列から調製する。アンチセンスオリゴヌクレオ
チドは、p18またはp19コード配列、あるいはインビボ発現のためにp18またはp19
のmRNAまたはDNA分子に存在することが必要とされる他の配列の逆相補物に相当
する核酸配列からなる。このアンチセンスオリゴヌクレオチドを細胞に導入する
。ここでそれらは、p18またはp19のmRNA分子に特異的に結合するか(従ってp18
またはp19遺伝子産物の翻訳を阻害する)、あるいは三重鎖を形成するように二
重鎖DNA分子に特異的に結合する(Inouyeの米国特許第5,190,931号(1993年3月
2日);RiordanおよびMartin,Nature 350:442-443(1991)を参照のこと)。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、高度な特異性を有してそれらの標的と結
合するので、オリゴヌクレオチドの設計、調製、および化学的改変、ならびに細
胞への送達の手段に関する当該分野の現状を特に考慮すれば、選択性は高く、そ
して化合物の誤った指向から生じる毒性の副作用は最小になる(例えば、Wagner
,R.W.,Nature 372:333-335(1994); TsengおよびBrown,Cancer Gene Therapy
1: 65-71(1994); Morishita,R.ら、J.Clin.Invest.93: 1458-1464(1994); Ste
inおよびCheng,Science 261: 1004-1012(1993); Lisziewicz,J.ら、Proc.Natl
.Acad.Sci.(USA)90:3860-3864(1993); Watson,P.H.ら、Cancer Res.51: 399
6-4000(1991); Han,L.ら、Proc.Natl.Acad.Sci(USA)88:4313-4317(1991); Fl
oriniおよびEwton,J.Biol.Chem.265:13435-13437(1999); ならびにUhlmannお
よびPeyman,Chem.Reviews 90:543-583(1990)を参照のこと)。オリゴヌクレオ
チドの細胞への送達の手段には、リポソーム(例えば、Renneisen,Kら、J.Biol
.Chem.265:16337-16342(1990)を参照のこと)およびインビボでアンチセンスオ
リゴリボヌクレオチドの転写を指揮する発現構築物の導入(例えば、Shohat,O.
ら、Oncogene 1:277-283(1987))が挙げられるが、これらに限定されない。
増殖刺激を必要とする細胞には幹細胞が挙げられ得る。これはインビボで自己
複製し、かつ分化する。幹細胞は多能性であり、そして種々の分化細胞型を生じ
る;例えば、いくつかの造血幹細胞は致命的に放射線照射された成体マウスの完
全な造血系(白血球、赤血球、および血小板を含む)を再増殖させ得る。InK4c-
p18およびInK4d-p19は、造血組織(すなわち、骨髄および脾臓)において高レベ
ルで発現する。原則として、p18および/またはp19は、造血幹細胞の細胞周期を
妨げるように作用するようである。FIAUでの細胞の処理は、細胞周期中の細胞を
死滅させるが、造血幹細胞を死滅させないことが周知である。それ故、造血幹細
胞は、ほどんどが細胞周期しておらず、そして新しい血液細胞が必要とされる場
合に細胞周期に進入するように駆動される。移植治療の鍵となる目標は、インビ
トロで造血幹細胞を増殖させ、未成熟な多分化能状態にそれらを維持することで
ある。これらの細胞がCDKインヒビターp18またはp19によって細胞周期に進入し
ていない場合、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処理により幹細胞
中に存在するp18またはp19の量を減少させることによってそれらを細胞周期に移
動させることが可能である。
ポリペプチドおよび関連する実施態様
1つの実施態様では、本発明は、マウスp19タンパク質、ヒトp19タンパク質、
および他の哺乳類由来のp19ポリペプチドのアミノ酸配列を有するタンパク質を
含む。例えば、本発明は、マウスp19のアミノ酸配列(配列番号2)およびヒトp
19のアミノ酸配列(配列番号9)を提供する。類似した実施態様では、本発明は
、マウスp18タンパク質および他の非ヒト哺乳類由来のp18ポリペプチドのアミノ
酸配列を有するタンパク質を含む。例えば、本発明はマウスp18のアミノ酸配列
(配列番号1)を提供する。
当業者は、本発明のアミノ酸配列を種々の公知の応用技術に容易に適合させ得
る。例えば、p18またはp19由来のアミノ酸配列および第2のポリペプチドを含有
する融合タンパク質は組換えDNA技術によって産生され得、両方の親タンパク質
の特性を有する新規のタンパク質が産生され得る(実施例2を参照のこと)。同
様に、本発明のタンパク質を他のタンパク質に接合され、細胞中のCDK-サイクリ
ン複合体に対しその接合タンパク質を標的化させ得る。合成オリゴペプチド(別
称「ペプチド」)は、一般に、本発明のp18またはp19のポリペプチド配列に正確
に相当する約5〜約100の連続したアミノ酸を含有するが、必要に応じて、カル
ボキシル末端、アミノ末端、または両方にさらなるアミノ酸を含有し得る。さら
に、当業者は、アミノ酸の化学的誘導体および/またはアイソマーによる内因性
アミノ酸の置換が天然のp18またはp19タンパク質と比較して増強した特性を有す
るペプチドを生じることを理解する。非常に変化し得る特性としては、インビボ
安定性、CDK-サイクリン複合体に対する親和性などが挙げられるが、これらに限
定されない。
治療の実施態様:本発明の別の実施態様は、内因性CDKの活性を阻害するp18ま
たはp19の模倣体として働く、p18およびp19の構造に基づく薬物を同定および産
生することを含む。これらは、細胞がそれらで処理された場合、その細胞は、細
胞周期を進行することを妨げられ、それらの染色体DNAを複製することを阻害さ
れ、そして/または細胞増殖の減少または停止を受けるという効果を結果として
伴う。治療的には、この処置は、制御されていない細胞増殖により特徴付けられ
る疾患(例えば、ガン、癌腫、腫瘍、新生物など)のために用いられる。関連し
た実施態様では、本発明は、内因性p18またはp19の活性を阻害するp18またはp19
の模倣体として働く、p18およびp19の構造に基づく薬物を同定および産生するこ
とを含む。これらは、細胞が細胞周期を前進するように刺激され、それらの染色
体DNAを複製するように刺激され、そして/または増強された細胞増殖を受けると
いう効果を結果として伴う。この処置は、細胞を培養するため、または治療的に
は内因性組織の治療を促進するためまたは移植組織の増殖を刺激するために、イ
ンビトロで用いられる。
1.第一の治療(抗ガン)の実施態様の例として、p19を真核細胞に導入し、
そして中期の間のG1からS期へのそれらの進行を停止させ、従って、細胞、特に
迅速または制御されていない増殖を受けている細胞の増殖を阻害する(実施例7
を参照のこと)。
InK4c-p18およびInK4d-p19、またはそれらの誘導体(すなわち、融合ポリペプ
チド(実施例2)、タンパク質分解により生成されたペプチドフラグメントある
いはp18またはp19ポリペプチド配列の異なる部分を含有する合成オリゴペプチ
ド)が、実施例3に記載のアッセイを用いることによりCDK4およびCDK6キナーゼ
に結合する能力についてアッセイされ得る。この様式で、CDK結合モチーフ内に
含まれるポリペプチド配列を同定する。次いで、これらのポリペプチドモチーフ
の構造をコンピューター補助合理的薬物設計に用いて、p18またはp19の模倣体を
生成させる。これらは、本発明の方法に従ってCDK4および/またはCDK6キナーゼ
に結合する能力についてアッセイされる(Martin,Y.C.,Methods in Enzymolog
y 203: 587-613(1991))。
別の例として、変異体p18またはp19タンパク質が調製され得る。これらは、そ
れぞれ、本明細書中に記載のアッセイを用いて、CDK-サイクリン複合体により強
固に結合するが、野生型p18またはp19タンパク質と同じかまたはより高い程度で
CDK-サイクリン複合体の触媒(キナーゼ)活性を阻害する。これらの「強固に結
合する」変異体p18またはp19タンパク質、あるいはそれらのペプチドフラグメン
ト、オリゴペプチド、または他の誘導体は、細胞内に導入された場合、内因性CD
Kの活性を阻害し、細胞が(1)細胞周期の進行を妨げられる、(2)それらの
染色体DNAを複製することを阻害される、そして/または(3)未処理細胞と比較
して減少した速度で細胞の増殖を受けるという効果を結果として伴う。
2.本発明の関連する実施態様は、p18またはp19の活性を阻害する化合物をス
クリーニングすることおよび産生することを含み、この化合物はインビトロまた
はインビボで、細胞周期の進行、DNA複製、および/または細胞増殖の刺激を必
要とする細胞に対して適用される。本発明の組成物および方法によるこのような
刺激を必要とする細胞は造血細胞であり、これはインビボで哺乳類の骨髄および
脾臓内に存在するが、インビトロでは無限には維持され得ない。1つの例として
、CDK-サイクリン複合体に結合する能力を保持するが、CDKの触媒(キナーゼ)
活性を妨げる能力は欠失しているp18またはp19変異タンパク質が調製される。こ
れらの「ネガティブ優性」変異p18またはp19タンパク質、あるいはそれらのペプ
チドフラグメント、オリゴペプチドまたは他の誘導体は、細胞に導入されたとき
に、内因性p18またはp19タンパク質を競合的に阻害し、細胞は、(1)細胞周期
を前進する、(2)それらの染色体DNAの複製を刺激する、および/または(3
)非
処理細胞と比較して増強された速度で細胞増殖を受けるという効果を結果として
伴う。
3.上記の実施態様に伴うp18またはp19タンパク質、それに由来する融合タン
パク質、ペプチドフラグメント、合成オリゴペプチド、または模倣体は、従来の
賦形剤(すなわち、活性化合物と有害に反応しない非経口的な適用のために適切
な薬学的に受容可能な有機または無機キャリア物質)と組み合わせて使用され得
る。適切な薬学的に受容可能なキャリアは、水、塩類溶液、アルコール、植物油
、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、マグネシウム
ステアリン酸、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、芳香油、脂肪酸モノグリセリ
ドおよびジグリセリド、石油エーテル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロ
ース、ポリビニルピロリドンなどが含まれるが、これに限定されない。薬学的調
製物は、滅菌され得、そして所望であれば活性化合物と有害に反応しない補助剤
(例えば、潤滑剤、保護剤、安定剤、湿剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝
液、着色剤、香味および/または芳香物質など)と混合し得る。非経口投与のた
めに、特に適切なビヒクルは、溶液、好ましくは油状または水性の溶液、ならび
に懸濁液、乳濁液、またはインプラントからなる。水性懸濁液は、懸濁液の粘性
を増大させる物質を含有し得、そして例えば、ナトリウムカルボキシメチルセル
ロース、ソルビトール、および/またはデキストランを含み得る。必要に応じて
、懸濁液はまた安定剤を含有し得る。
用語「治療有効量」は、本発明の目的のために、p18またはp19タンパク質、そ
れに由来する融合タンパク質、合成オリゴペプチド、または模倣物の、その意図
された目的を達成するための有効な量を言う。個人の必要性は様々であるが、p1
8またはp19タンパク質、それに由来する融合タンパク質、合成オリゴヌクレオチ
ドまたは模倣物の有効量に対する最良の範囲の決定は、当業者の範囲内で行われ
る。ヒト投与量は動物の研究に基づいて推測され得る(FingleおよびWoodbury、
Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics、第5版、
MacMillan Publishing Co.,New York(1975)の第1章、1-46頁)。一般的に、組
成物の効果的な量を提供するために必要とされ、そして当業者により調製され得
る投与量は、年齢、健康生理的状態、体重、受容者の疾病の程度、治療の頻度、
および所望の効果の性質および範囲に依存して変化する。
p18またはp19タンパク質、それに由来する融合タンパク質、ペプチドフラグメ
ント、合成オリゴペプチド、または模倣物は、1つ以上のこれらの組成物、ある
いはこれらの組成物を1つ以上含むリポソーム(RahmanおよびSchein、Liposomes
as Drug Carriers,Gregoriadis編、John Wiley,New York(1989)、381-400頁;Ga
bizon,A.,Drug Carrier Systems,第9巻、Roerdinkら編、John Wiley,New York(
1988)、185-212頁)またはミクロ粒子(Ticeら、米国特許第4,542,025号(1985年
9月17日)処方の、継続的または連続的な静脈注射によって;薬物-ポリマー結合
体の皮下移植によって(Duncan,R.,Anti-Cancer Drugs 3:175-210(1992));ミクロ
粒子ボンバードメントによって(Sanfordら、米国特許第4,945,050号(1990年7
月31日);注入ポンプによって(BlackshearおよびRohde、Drug Carrier System
s、第9巻、Roerdinkら編、John Wiley、New York(1989)、293-310頁);または
当該分野で既知の他の適切な方法により(一般に、Remington's Pharmaceutical
Sciences,第18版、Gennaro編、Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)を参照の
こと)、哺乳類に送達され得る。もちろん、本発明の抗ガン(細胞周期、DNA複製
、および/または細胞増殖の阻害)治療組成物は、当該分野で公知の他の抗ガン
組成物と組み合わせて使用され得る。同様に、細胞周期の進行、DNA複製、およ
び/または細胞増殖を刺激する本発明の治療組成物は、同様の効果を有する既知
の組成物と組み合わせて使用され得る。
p18またはp19タンパク質、それに由来する融合タンパク質、ペプチドフラグメ
ント、合成オリゴペプチド、または模倣体での細胞の処理は、細胞周期のG1期で
の羅患細胞の停止を生じる(実施例7を参照のこと)。従って、本発明の治療組
成物での処置の結果は、腫瘍のサイズの付随的縮小を伴う悪性細胞の増殖の減速
または停止であり、そして癌腫または新生物に関連した一次および二次の徴候の
軽減である。新生物および癌腫のこれらのおよび他のパラメーターは、当該分野
で公知の方法により測定される(一般に、Mendelesohn,J.,およびDeVita,V.,Har
rison's Principles of Internal Medicine,第11版、Braunwaldら編、McGraw-Hi
ll,New York(1987、421-446頁)を参照のこと)。
あるいは、比較的低用量で、p18またはp19タンパク質、それに由来する融合タ
ンパク質、ペプチドフラグメント、合成オリゴペプチド、または模倣物での細胞
の処理は、非新生物細胞においてG1期停止を生じる。この様式は、G1期において
正常細胞には影響しない治療剤で新生物細胞を選択的に殺傷するために使用され
る(Crissmanら、米国特許第5,185,260号(1993年2月9日))。p18またはp19
タンパク質またはその誘導体は、この別の様式において、G1キナーゼ(すなわちC
DK4、CDK6)、およびそれにより特異的に影響される細胞型(すなわち、哺乳類の
骨髄および脾臓で見出される造血および他の細胞)に関して増強された選択性を
伴って機能する。
抗体および関連実施態様
本発明の別の実施態様において、p18またはp19タンパク質、それに由来するペ
プチドフラグメント、融合タンパク質、またはオリゴペプチドは、p18またはp19
エピトープを特異的に認識(結合)する抗体組成物を作出するために使用される
。p18および/またはp19に対する抗体は、p18および/またはp19発現についての
診断試験のためのプローブとして、または診断材料として働く。
精製されたタンパク質または合成オリゴペプチドを用いて抗体を生成する方法
は、当該分野で公知である(Antibodies:A Laboratory Manual,Harlow,E.,および
Lane,D.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor(1998)を参照のこ
と)。本発明の抗体組成物はポリクローナル、単一特異的、またはモノクローナ
ルであり得る。
診断方法およびキット:本実施態様の1つの局面において、哺乳類由来の細胞
のサンプル中のp18またはp19タンパク質濃度を、それぞれp18またはp19に特異的
な検出可能に標識された抗体組成物とサンプルとを接触させ、サンプル中の結合
した標識または結合していない標識の量を質的または量的に決定し、そしてサン
プル中のp18またはp19濃度をそこから算出することにより決定する。細胞のサン
プルを哺乳類から得、そしてHank's平衡塩類溶液のような適切な緩衝液で洗浄す
る。p18およびp19タンパク質を放出するために、細胞およびその核を当該分野に
公知の方法により溶解する(HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual
,Cold Spring Harbor Laboratory.Cold Spring Harbor,(1988)446-460頁)。p18
およびp19タンパク質を安定化するためにサンプルにプロテアーゼインヒビター
を添加すること(Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版
、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor(1989),18.28-18.41頁
)、または非特異的に免疫グロブリンに結合するタンパク質を除去するためにサ
ンプルを前処理すること(HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,C
old Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor(1988),461-463頁;Sambrook
ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Lab
oratory,Cold Spring Harbor(1989),18.43頁)が必要であり得る。
サンプルを、検出可能に標識されたp18またはp19特異的抗体組成物で適切な時
間インキュベートし、そして非結合抗体を除去するために緩衝液で2回洗浄する
。次いで、結合した標識抗体または結合していない標識抗体を当該分野に公知の
手法で決定する。p18またはp19を検出するためのサンドイッチ免疫アッセイおよ
び競合アッセイを含む免疫アッセイの適切なタイプを従来の方法を用いて行った
(CattyおよびRaykundalia,Antibodies:A Practical Approach,第2巻、Catty編
、IRL Press,Oxford(1989)、97-154頁)。p18またはp19に対して特異的な他のリ
ガンドは、p18またはp19特異的抗体の代わりとして用いられ得る。
あるいは、サンプル中の結合したかまたは結合していない非標識p18またはp19
特異的抗体組成物を、2次抗体、または例えば、プロテインA、プロテインG、
抗IgMまたは抗IgG抗体のような免疫グロブリンに対して特異的なタンパク質を用
いて検出する。この別の実施態様において、モノクローナルまたはポリクローナ
ルであり得る、2次(抗免疫グロブリン)抗体を検出可能に標識し、そして方法
を実施する間に検出する(CattyおよびRaykundalia,Antibodies:A Practical Ap
proach,第2巻、Catty編、IRL Press(Oxford)1989、97-154頁)。
あるいは、哺乳類細胞のサンプル中のp18またはp19レベルをそれぞれ、溶解し
た細胞のサンプル中の可溶化p18またはp19のレベルを検出することにより決定す
る。この局面において、哺乳類から得た溶解した細胞のサンプルを、固体マトリ
ックス上で不動化されたp18またはp19特異的抗体組成物と接触させ、そしてp18/
pI8特異的抗体またはp19/p19特異的抗体複合体を形成するようにインキュベート
する。非結合抗体を除去するための適切な緩衝液での洗浄工程に続いて、p18ま
たはp19特異的抗体組成物に結合する検出可能な標識分子を添加する。次いで、
結合した標識の量を、サンプル中に存在するp18またはp19の濃度を決定するため
に検出する(NakamuraおよびRobbins,Manual of Clinical Laboratory Immunolo
gy,第3版、Roseら編、American Society for Microbiology,Washington,D.C.(1
986)、116-123頁)。
勿論、特定の量のp18またはp19特異的抗体組成物および検出可能に標識された
2次抗体、インキュベーションの温度および時間、ならびに他のアッセイ条件は
、サンプル中のp18またはp19の濃度、サンプルの性質などを含む種々の因子に依
存して変化され得る。当業者は、ルーチンの実験を行うことにより、各決定に対
する効力のある、かつ最良のアッセイ条件を決定し得る。特定の状態に対して習
慣的であるかまたは必要である場合、洗浄、撹拌、振盪、濾過などの他のこのよ
うな工程をこのアッセイに加え得る。
種々の手段が、本発明の方法における使用のための検出可能な標識抗体組成物
に対して使用され得る。例えば、p18またはp19特異的抗体組成物、または2次抗
体を検出可能に標識し得る1つの手段は、酵素に結合することである。結合され
る酵素は、後にその基質に曝露されたときに、例えば、分光測光法的に、蛍光測
定法により、または視覚的手段により、検出され得る化学的部分を産生するよう
な様式で、基質と反応する。抗体組成物を検出可能に標識するために使用され得
る酵素は、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ-v-ス
テロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロホスフ
ェートデヒドロゲナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、西洋ワサビペ
ルオキシダーゼ、アルカリホスファアターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオ
キシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラー
ゼ、グルコース-VI-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、および
アセチルコリンエステラーゼを含むが、これらに限定されない。抗体組成物はま
た、ガンマカウンターまたはシンチレーションカウンターの使用のような手段に
より、またはオートラジオグラフィーにより決定され得る放射性同位体で標識さ
れ得る。抗体組成物を蛍光化合物で標識することもまた可能である。蛍光標識抗
体が適切な波長の光に曝露されると、次いでその存在が蛍光色素により検出され
得る。最も一般的に使用される蛍光標識化合物は、フルオレセインイソチオシア
ネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン
、o-フタルアルデヒド(o-phtaldehyde)、およびフルオレスカミンである。抗体
はまた、152Euまたは他のランタニド系のような蛍光発光金属を用いて検出可能
に標識され得る。これらの金属は、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)また
はエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)のような金属キレート群を用いて、p18ま
たはp19特異的抗体に付着され得る。抗体はまた、化学ルミネッセンス化合物に
カップリングすることにより検出可能に標識され得る。次いで、化学ルミネッセ
ンスタグ化抗体の存在を、化学反応の経過の間上昇するルミネッセンスの存在を
検出することにより決定する。特に有用な化学ルミネッセンス標識化合物の例は
、ルミノール、イソルミノール、テロマティックアクリジウムエステル、イミダ
ゾール、アクリジニウム塩、およびシュウ酸エステルである。同様に、生物ルミ
ネッセンス化合物を、本発明の方法における使用のために抗体組成物を標識する
ために使用し得る。生物ルミネッセンスは、生物学的な系において見出された化
学ルミネッセンスの1つのタイプである。ここでは触媒タンパク質が、化学ルミ
ネッセンス反応の効果を増大する。生物ルミネッセンスタンパク質の存在は、ル
ミネッセンスの存在を検出することにより決定される。標識の目的のために重要
な生物ルミネッセンス化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびエクオ
リンである。
結合抗体または非結合抗体の検出は、例えば、検出可能な標識が放射性γエミ
ッターである場合、シンチレーションカウンターにより達成され得るか、または
、例えば、標識が蛍光物質である場合、フルオロメーターにより達成され得る。
酵素標識の場合、検出は酵素に対する基質を使用する比色方法により達成され得
る。検出はまた、同様に調製された標準に対して基質の酵素反応の範囲を視覚的
に比較することにより達成され得る。
本発明の別の実施態様において、先に記載されたp18またはp19特異的抗体での
免疫アッセイを行うために必要な試薬を含むキットが提供される。これは、哺乳
類において、ある種の癌を診断するか、またはある種の癌に対する素因を検出す
るためのものである。
特に、本発明は、限られた制限内で以下の物を含む1つ以上の容器を受容する
ための区画されたキットを提供する:(a)p18またはp19特異的抗体を含む第1の
容器:および(b)以下のものを1つ以上含む1つ以上の他の容器:洗浄試薬、お
よび結合したまたは結合していないp18またはp19特異的抗体の存在を検出し得る
試薬。
詳細には、区画されたキットは、試薬が別々の容器に含まれるいかなるキット
も包含する。このような容器は、小さなガラス容器、プラスチック容器、または
プラスチックまたは紙の細片を包含する。このような容器により、1つの区画か
ら別の区画へと試薬を効果的に移すことが可能になり、その結果、サンプルおよ
び試薬は交差汚染せず、そして各容器の薬剤または溶液は、1つの区画から別の
区画へ定量的な様式で添加され得る。このような容器には、試験サンプルを受容
する容器、このアッセイで使用される抗体を含む容器、洗浄試薬(例えば、リン
酸緩衝化生理食塩水、Tris緩衝液など)を含む容器、および結合した抗体を検出
するために使用される試薬を含む容器が含まれる。
検出試薬のタイプは、検出可能に標識された2次抗体、または代替法として1
次抗体が検出可能に標識された場合、標識された抗体と反応し得る適切な酵素的
試薬または抗体結合試薬を含む。当業者は、本発明の開示された抗体が、当該分
野で周知の種々の確立されたキット形式の1つに容易に組み込まれ得るというこ
とを容易に認識する。
トランスジェニック動物および関連の実施態様
本発明の別の実施態様において、p18またはp19核酸配列は、p18またはp19過剰
発現(トランスジェニック発現)、または欠失のような変異(「ノックアウト」
または「ヌル対立遺伝子」)、または1つ以上のp18またはp19活性が変化した他
の変異のための動物モデルとして役立つトランスジェニック非ヒト動物を作製す
るために使用され得る。例えば、p19遺伝子(ink4d)の1つまたは両方の対立遺伝
子の変異のためにp19活性がほとんどないか、または全くないトランスジェニッ
クマウスは、ある型の腫瘍を発達させる傾向にある。他の例は、p18遺伝子(ink4
c)の1つまたは両方の対立遺伝子の変異のためにp18活性がほとんどないか、ま
たは全くないトランスジェニックマウス、およびp18およびp19活性の両方を欠失
しているトランスジェニックマウスを含む。
本発明の非ヒト動物は、p18および/またはp19をコードする遺伝子(単数また
は複数)のトランスジェニック妨害または変化の結果としてのp18および/また
はp19活性の欠失を有するいかなる動物も含む。このような非ヒト動物は、げっ
歯類、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、両生類、は虫類などのような脊椎動
物を含む。好ましい非ヒト動物を、動物の非ヒト哺乳類種から、最も好ましくは
ラットおよびマウスを含むげっ歯類ファミリーの動物から、最も好ましくはマウ
スから選択する。
本発明のトランスジェニック動物は、動物中に天然では存在しない1つ以上の
遺伝子(例えば、外来遺伝子、遺伝子操作された内因性遺伝子など)を、非天然
的手段(すなわち、人工操作)により導入された動物である。非天然的に導入さ
れた遺伝子(トランスジーンとして知られる)は、その動物と同じ種または異な
る種由来であり得るが、トランスジーンにより与えられる配置および/または染
色体座において、その動物内で天然には見出されない。トランスジーンは、外来
DNA配列(すなわち、宿主動物のゲノム内では通常見出されない配列)を含み得
る。あるいは、またはさらに、トランスジーンは、遺伝子の発現の正常なインビ
ボのパターンを変化させるために、あるいは遺伝子によりコードされた内因性の
遺伝子産物の生物学的活性を変化または削除するために、インビトロで再編成ま
たは変異された異常な内因性のDNA配列を包含し得る(Watson,J.D.,ら、Recombin
ant DNA 第2版、W.H.Freeman & Co.,New York(1992)、255〜272頁;Gordon,J.W
.,Intl.Rev.Cytol.115:171-229(1989);Jaenisch,R.,Science 240:1468-1474(198
9);Rossant,J.,Neuron 2:323-334(1990))。
トランスジェニック動物の調製方法:本発明のこの実施態様の1つの局面におい
て、本発明の核酸は、本発明のトランスジェニック動物を生成するために非ヒト
動物に導入されるべきトランスジェニック構築物を調製するために使用される。
特に、選り抜きの非ヒト動物のゲノム由来のp18またはp19配列が、このようなト
ランスジェニック構築物を作製するために使用される。
本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、p18および/またはp19トランスジ
ェニック構築物を、非ヒト動物の生殖細胞系に導入することにより産生される。
種々の発生段階の胚標的細胞が本発明のトランスジーンを導入するために使用さ
れる。異なる方法が、胚標的細胞(単数または複数)の発生段階に依存して使用
される。
1.接合子のマイクロインジェクションは、本発明の実行の間に動物のゲノム
にトランスジーンを組み込むための好ましい方法である。接合子は、前核融合ま
たはその後の細胞分裂がまだ行われていない受精卵であり、これはトランスジェ
ニックDNA配列のマイクロインジェクションのために好ましい標的細胞である。
マウス雄性前核は、トランスジェニックDNA配列を含有する溶液の1〜2ピコリ
ットルの再現可能な注射を許容する特徴である、直径約20マイクロメーターのサ
イズに達する。トランスジーンの導入のための接合子の使用は、大部分の場合、
最初の細胞分裂の前に宿主動物のゲノム中へ注入されたトランスジェニックDNA
配列を組み込むという利点を有する(Brinsterら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82
:4438-4442(1985)。結果として、生じたトランスジェニック動物(創始動物)の
すべての細胞は、特定の遺伝子座において組み込まれたトランスジーンを安定に
保有する。これをトランスジェニック対立遺伝子という。このトランスジェニッ
ク対立遺伝子は、メンデル性遺伝を示す:トランスジェニック動物と非トランス
ジェニック動物の交配から生じる子孫の半分は、メンデルの法則の無作為分類に
従って、トランスジェニック対立遺伝子を受け継ぐ。
2.ウイルス組込みはまた、本発明のトランスジーンを動物に導入するために
使用され得る。発生している胚を、未分化胚芽細胞として知られる発生段階へと
インビトロで培養する。この時、卵割球を適切なレトロウイルスで感染し得る(J
aenich,R.,Proc.Natl.Sci.(USA)73:1260-1264)。卵割球の感染を、透明帯の酵素
的な除去により増強させる(Hoganら、Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spr
ing Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1986))。トランスジーンを、典型
的には複製欠損であるが、このようなウイルス配列に連結されたトランスジェニ
ックDNA配列を含む、ウイルス関連DNA配列の組込みに対してコンピテントなまま
であるウイルスベクターを介して、宿主動物のゲノム中へ導入する(Jahner
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82:6927-6931(1985);Van der Puttenら、Proc.Na
tl.Acad.Sci.(USA)82:6148-6152(1985))。トランスフェクションは、トランスジ
ーンを含有するウイルスベクターを産生する細胞の単層上の卵割球の培養により
容易かつ効率的に得られる(Van der Puttenら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82:61
48-6152(1985);Stewartら、EMBO Journal 6:383-388(1987))。あるいは、感染は
、卵割腔のようなより後の段階で行われ得る(Jahner,D.,ら、Nature 298:623-6
28(1982))。いずれの事象においても、ウイルス組込みにより産生された大部分
のトランスジェニック創始動物は、トランスジェニック対立遺伝子についてモザ
イクである;すなわち、このトランスジーンはトランスジェニック創始動物を形
成するすべての細胞のサブセットのみに組み込まれる。さらに、複数のウイルス
組込み事象が、単一創始動物において生じ得、将来の子孫の世代において分離す
る複数のトランスジェニック対立遺伝子を生成する。この方法による生殖細胞系
細胞へのトランスジーンの導入は可能であるが、おそらく低い頻度で起こる(Jah
ner,D.,ら、Nature 298:623-628(1982))。しかし、ひとたびトランスジーンがこ
の方法で生殖細胞系細胞に導入されれば、トランスジェニック対立遺伝子が動物
細胞のすべて(すなわち、体細胞および生殖細胞系細胞の両方)に存在する子孫
が産生され得る。
3.胚幹(ES)細胞はまた、本発明のトランスジーンの動物への導入に対する標
的細胞として働く。ES細胞は、インビトロで培養された移植前胚から得られる(
Evans,M.J.,ら、Nature 292:154-156(1981);Bradley,M.O.,ら、Nature 309:255-
258(1984);Gosslerら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)83:9065-9069(1986);Robertso
nら、Nature 322:445-448(1986);Robertson,E.J.,Teratocarcinomas and Embryo
nic Stem Cells:A Practical Approach,Robertson,E.J.編、IRL Press,Oxford(1
987),71-112頁)。ES細胞(例えば、Genome Systems,Inc.,St.Louis,MOより市販
されている)は、確立された方法により1つ以上のトランスジーンで形質転換さ
れ得る(Lovell-Badge,R.H.,Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Pr
actical Approach,Robertson,E.J.編、IRL Press,Oxford(1987)、153-182頁)。
形質転換されたES細胞は動物未分化胚芽細胞と組み合わされ得、その後このES細
胞は胚にコロニーを形成し、そしてキメラ(2つ以上の動物由来の細胞で構成さ
れる)である生じる動物の生殖細胞系に寄与する(Jaenisch,R.,Science 240:14
68-1474(1988);Bradley,A.Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Prac
tical Approach,Robertson,E.J.編、IRL Press,Oxford(1987)、113-151頁)。さ
らに、トランスジーンがひとたびこの方法で生殖細胞系細胞に導入されれば、ト
ランスジェニック対立遺伝子が動物細胞のすべて(すなわち、体細胞および生殖
細胞系細胞の両方)に存在する子孫が産生され得る。
どのうようにそれが起こっても、トランスジーンの最初の導入はラマルク(非
メンデル)事象である。しかし、本発明のトランスジーンは生殖細胞系細胞へ安
定に組み込まれ得、そしてメンデル遺伝子座としてトランスジェニック動物の子
孫に伝達され得る。他のトランスジェニック技術は、モザイクトランスジェニッ
ク動物を生じ、そこで、いくつかの細胞はトランスジーンを保有し、そして他の
細胞は保有しない。生殖細胞系がトランスジーンを保有しないモザイクトランス
ジェニック動物において、トランスジーンの子孫への伝達は起こらない。それに
もかかわらず、モザイクトランスジェニック動物はトランスジーンと関連した表
現型を示し得る。
トランスジーンは、ヒト疾患のための動物モデルを提供するために動物に導入
され得る。このような動物モデルを生じるトランスジーンは、例えば、ヒト遺伝
子疾患における先天性の代謝のエラーと関連する変異遺伝子産物をコードするト
ランスジーン、およびヒト病原体(すなわち、細菌、ウイルス、または他の病原
性微生物)に対する感受性を与えるために必要とされるヒト因子をコードするト
ランスジーンを含む(Lederら、米国特許第5,175,383号(1992年12月29日);Kindt
ら、米国特許第5,183,949号(1993年2月2日);Smallら、Cell 46:13-18(1986
);Hooperら、Nature 326:292-295(1987);Staceyら、Nature 332:131-136(1988);
Windleら、Nature 343:665-669(1990);Katzら、Cell 74:1089-1100(1993))。疾
患の素因をつくられるトランスジェニック動物は、疾患を誘導する組成物を同定
するため、および疾患を誘導することが既知のまたは予想される組成物の病原性
潜在性を評価するために使用され得る(Berns,A.J.M.,米国特許第5,174,986(199
2年12月29日)。本発明のトランスジェニック動物はある種の癌腫および新生物の
発現の素因を作り、そして従ってそれらのための動物モデルとして役立つ。
本発明のトランスジーンが遺伝した子孫は、生体分子の存在についての子孫由
来の遺伝物質の分析により、トランスジーンを遺伝しなかった同腹子と区別され
る。この生体分子は、本発明のトランスジーンの配列、またはそれによりコード
される配列に対応する独特の配列を含む。例えば、本発明のトランスジーンによ
り独特にコードされるポリペプチドを含む生物学的流体は、このポリペプチドの
存在について免疫アッセイされ得る。トランスジェニックの子孫を同定するため
のより簡単かつ信頼できる手段は、動物の末端(例えば、尾)由来の組織サンプ
ルを得る工程、および本発明のトランスジーンの独特の部位または複数の部位の
DNA配列に対応する核酸配列の存在についてサンプルを分析する工程を含む。こ
のような核酸配列の存在は、例えば、トランスジーンの独特の部位に対応するDN
A配列でのハイブリダイゼーション(「サザン」)分析、基質としてのサンプル
中のDNA配列、およびトランスジーンのDNA配列由来のオリゴヌクレオチドを用い
るPCR反応産物の解析などにより決定され得る。p18およびp19トランスジーンの
両方を有するトランスジェニック動物を産生するために、トランスジェニックp1
8マウスをトランスジェニックp19マウスと掛け合わせ、そして生じた子孫をp18
およびp19両方のトランスジーンの存在についてスクリーニングする。
ヌル対立遺伝子:好ましい実施態様は、Ink4c(p18をコードする)またはInk4d(
p19をコードする)、あるいはInk4cおよびInk4dの両方のヌル(「ノックアウト」
としても知られる)対立遺伝子に対してホモ接合型であるトランスジェニック動
物である。これらの動物は、再現可能であり、および従って信頼できる様式で、
ある型の癌の発現の素因を作られる。胚幹細胞でInk4cおよびInk4dのヌル対立遺
伝子を生成するために、Mansourら(Nature 336:348-352(1988))の陽性-陰性選択
ストラテジーを適用する。陽性選択マーカー、例えばハイグロマイシンホスホト
ランスフェラーゼカセット(van DeursenおよびWieringa,Nucl.Acids Res.29:381
5-3820(1992))を、Ink4遺伝子の5’部分に挿入する。陽性選択マーカーについ
てのこの位置は、純粋なヌル変異対立遺伝子を得るため、すなわち、先端が欠損
したポリペプチドの翻訳を回避するために、選択される。生じた標的ベクターに
おいて、ハイグロマイシン遺伝子は、相同なマウスゲノム配列の数kbの5’およ
び3’の側面に位置する。さらに、陰性選択マーカー、例えば単純ヘルペス
ウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)遺伝子を、非相同組込み体を選択し得るよ
うに相同配列の領域の側面にある3’位置に配置する。陽性および陰性両方の選
択マーカーをInk4遺伝子の転写方向に関してアンチセンス方向に挿入し、そして
TKプロモーターおよびPy F441ポリオーマエンハンサーにより発現させる。直鎖
状にされた標的構築物をエレクトロポレーションまたは他の適切な手段によりES
細胞に導入し、そしてハイグロマイシンおよびFIAU(1-[2-デオキシ,2-フルオロ-
β-D-アラビノフラノシル])での選択を7〜10日間行う。耐性コロニーを24ウェ
ルプレートで拡大する;各ウェルの半分の細胞は低温保存し、そして他の半分を
遺伝子型解析のために拡大する。陽性クローンを液体窒素中で保存し、そして未
分化胚芽細胞注入の少なくとも3日前に解凍する。未分化胚芽細胞を例えば、自
然に掛け合わせたC57BL/6妊娠した雌の子宮角(uterine horn)を性交後(post coi
tum)3.5日目にDMEM+10% FBSで洗い流すことにより単離する。正常核型を有す
る各相同組換えクローン由来の約10〜15のES細胞を、レシピエントの未分化胚芽
細胞にマイクロインジェクションし、そして約10〜20の胚を、(C57BL/6 x CBA/C
a)F1偽妊娠里親の子宮角に移す(Bradley,A.,Teratocarcinomas and Embryonic
Stem Cells:A Practical Approach,Robertson,E.J.編、IRL Press,Oxford(1987)
、113-151頁)。キメラ雄を、C57BL/6またはFVB/J雌と交配させ、そして変異対
立遺伝子の生殖細胞系伝達を、野ネズミ色またはグレーコート色のいずれかのF1
子孫由来の尾DNAのサザンブロット分析により証明する。交配されたヘテロ接合
子由来のF2子孫をホモ接合型ヌル変異体を同定するためにサザンブロットにより
遺伝子型を決定する。
組成物の治療能または発癌潜在性を評価する方法:本発明のトランスジェニッ
ク動物を用いて、治療能または発癌潜在性について種々の組成物を評価すること
ができる。1.一般的に、癌処置のための組成物の治療能を決定するための方法
は、減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有するトランスジ
ェニック動物に、既知の用量の組成物を投与する工程、癌に相関する生物学的ま
たは生化学的パラメーターの生成をモニターする工程、および処置動物の徴候と
非処置動物の徴候を比較する工程を包含する。
本発明のトランスジェニック動物を用いる組成物の治療能を評価する第1の方
法は、以下の工程を包含する:
(1)減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第1のト
ランスジェニック動物に、既知の用量の組成物を投与する工程;
(2)第1のトランスジェニック動物中の癌の開始時間を検出する工程;および
(3)第1のトランスジェニック動物の癌の開始時間と、組成物を曝露されてい
ない、減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第2のト
ランスジェニック動物中の癌の開始時間とを比較する工程。
ここで、第2のトランスジェニック動物における徴候の開始時間と比較した、第
1のトランスジェニック動物における癌の開始時間における統計学的に有意な減
少は、癌の処置のための組成物の治療能を示す。
本発明のトランスジェニック動物を用いる組成物の治療能を評価する第2の方
法は、以下の工程を包含する:
(1)減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第1のト
ランスジェニック動物に、開始時間、t0において、既知の用量の組成物を投与す
る工程;
(2)第1のトランスジェニック動物中の癌の範囲を、後の時間、t1で検出する
工程;および
(3)第1のトランスジェニック動物の癌の範囲を、t0において組成物に曝露さ
れていない、減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第
2のトランスジェニック動物中の癌の範囲とt1で比較する工程。
ここで、第2のトランスジェニック動物のt1における徴候の範囲とt1で比較した
第1のトランスジェニック動物のt1における癌の範囲の統計学的に有意な減少は
、癌処置のための組成物の治療能を示す。
本発明のトランスジェニック動物を用いる組成物の治療能を評価する第3の方
法は、以下の工程を包含する:
(1)減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第1のト
ランスジェニック動物に既知の用量の組成物を投与する工程;
(2)第1のトランスジェニック動物の生存期間を測定する工程;および
(3)第1のトランスジェニック動物の生存期間を、組成物に曝露されていない
、
減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第2のトランス
ジェニック動物の生存期間と比較する工程。
ここで、第2のトランスジェニック動物の生存期間と比較した第1のトランスジ
ェニック動物の生存期間における統計学的に有意な増加は、癌処置のための組成
物の治療能を示す。
2.一般的に、癌を発生または悪化させるための組成物の潜在性を決定するた
めの方法は、減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有するト
ランスジェニック動物に、既知の用量の組成物を投与する工程、癌に相関する生
物学的または生化学的パラメーターの生成をモニターする工程、および処置動物
の徴候と非処置動物の徴候を比較する工程を包含する。
本発明のトランスジェニック動物を用いる組成物の発癌潜在性を評価する第1
の方法は、以下の工程を包含する:
(1)減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第1のト
ランスジェニック動物に、既知の用量の組成物を投与する工程;
(2)第1のトランスジェニック動物中の癌の開始時間を検出する工程;および
(3)第1のトランスジェニック動物の癌の開始時間と、組成物を曝露されてい
ない、減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第2のト
ランスジェニック動物中の癌の開始時間とを比較する工程。
ここで、第2のトランスジェニック動物における徴候の開始時間と比較した、第
1ののトランスジェニック動物における癌の開始時間における統計学的に有意な
増加は、癌の発生または悪化のための組成物の潜在性を示す。
本発明のトランスジェニック動物を用いる組成物の発癌潜在性を評価する第2
の方法は、以下の工程を包含する:
(1)減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第1のト
ランスジェニック動物に、開始時間、t0において、既知の用量の組成物を投与す
る工程;
(2)第1のトランスジェニック動物中の癌の範囲を、後の時間、t1で検出する
工程;および
(3)第1のトランスジェニック動物の癌の範囲を、t0において組成物に曝露さ
れていない、減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第
2のトランスジェニック動物中の神経学的徴候の範囲とt1で比較する工程。
ここで、第2のトランスジェニック動物のt1における徴候の範囲と比較した第1
のトランスジェニック動物のt1における癌の範囲の統計学的に有意な増加は、癌
の発生または悪化のための組成物の潜在性を示す。
本発明のトランスジェニック動物を用いる組成物の発癌潜在性を評価する第3
の方法は、以下の工程を包含する:
(1)減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第1のト
ランスジェニック動物に既知の用量の組成物を投与する工程;
(2)第1のトランスジェニック動物の生存期間を測定する工程;および
(3)第1のトランスジェニック動物の生存期間を、組成物に曝露されていない
、減少または変化したp18および/またはp19活性の表現型を有する第2のトラン
スジェニック動物の生存期間と比較する工程。
ここで、第2のトランスジェニック動物の生存期間と比較した第1のトランスジ
ェニック動物の生存期間における統計学的に有意な減少は、癌の発生または悪化
のための組成物の潜在性を示す。
3.上記の両方法において、組成物は、循環注入または経口摂取により投与さ
れる化学的化合物を含有し得る。あるいは、評価されるべき組成物は、生存して
いるかまたは減毒された、単離されているかまたは組換えの細菌またはウイルス
の循環注入により投与されるポリペプチドを含み、ここでこのポリペプチドは注
入前に細菌またはウイルスの表面上に存在するか、または単離されているかまた
は組換えの細菌またはマウス内で再生産され得るウイルスの循環注入により投与
されるポリペプチドであり、そしてこのポリペプチドは、このポリペプチドをコ
ードするDNA配列の遺伝子発現によりマウス内で産生される。あるいは、評価さ
れるべき組成物は、ヒトゲノム由来の遺伝子またはプロセッシングされたRNA転
写産物自身を含む1つ以上の核酸を含み得る。
さらに詳細に記載せずとも、当業者は、前述の記載を用いて、本発明を完全な
範囲まで利用し得ると考えられる。それゆえ、以下の実施例は、単に例示として
解釈され、そしていかなる方法においても本開示の残りを限定しない。
上記および下記で引用された全ての出版物の完全な原文は、本明細書中に援用
される。
実施例
実施例1:マウスp18およびp19cDNAのクローニング
Durfeeら(Genes & Devel.7:555-569(1993))により改変された、Bartelらの酵
母ツーハイブリッドスクリーニング(Cellular Interactions in Development:A
Practical Approach,Hartley,D.A.編、Oxford University Press,Oxford UK(199
3)153-179頁)を用いて、cDNAを、CDK4と相互作用し得るタンパク質をコードする
マウスT細胞リンパ腫ライブラリーから単離した。マウスCDK4(Matsushimeら、C
ell 71:323-334(1992))の完全なオープンリーディングフレームをコードするBam
HIフラグメントを、プラスミドpAS2のBamHI部位に挿入した。このプラスミドは
、TRP1およびCYH遺伝子を含有し、これらはそれぞれトリプトファンに対する栄
養要求性およびシクロヘキシミドに対する感受性を与える(Durfeeら、Genes & D
evel.7:555-569(1993)。生じた「ベイト(bait)」プラスミド(pAS2cdk4)は、アミ
ノ末端にGAL4 DNA結合配列(1-147アミノ酸)を含むGAL4-CDK4融合タンパク質のア
ルコールデヒドロゲナーゼプロモーターからの発現を駆動する。スクリーニング
を、2つのGAL4誘導性マーカーである、HIS3およびLacZを発現する酵母Y190株を
用いて行った。pAS2-CDK4を含有するY190細胞を、GAL4転写活性化ドメイン(Clon
tech,Palo Alto,CA)に対して3’に融合したcDNA(マウスTリンパ腫細胞から調
製した)を含有するLEU2 pACTプラスミドで形質転換した。形質転換体をプレー
ティングし、ロイシン、トリプトファンおよびヒスチジンを欠乏し、そして50mM
3-アミノ-1,2,4-トリアゾール(3-AT)を含有するSD合成培地上で30℃で9日間選
択した。1.6×107個の形質転換体のうち327個のHIS+コロニーを得、これらをHyb
ond-Nナイロンフィルター(Amersham,Arlington Heights,IL)に移し、-70℃で15
分間凍結し、解凍し、そして60mM Na2HPO4、40mM NaH2PO4、10mM KCl、1mM MgSO4
、40mM β-メルカプトエタノール、および0.033% X-galを含むWhatman 3M紙に
重ねて置いた。30℃での20時間のインキュベーション後、158個の青色コロニー
を同定し、そしてpAS2-CDK4を分離するためにロイシンを欠乏し、そして2.5また
は10μ
g/mlのシクロヘキシミドを含有するSD合成培地にストリークし、そして生存して
いるコロニーをロイシンまたはトリプトファンのいずれかを欠乏している培地に
再びストリークしてプラスミドの分離を確実にした。このような99個のコロニー
を、pAS2-CDK4または他のトランス活性化するGAL4融合タンパク質(酵母キナー
ゼSNF1およびヒトラミン(lamin)を含む)をコードするプラスミドのいずれかを
含む酵母Y187株と、YPD培地中で30℃で15時間共にインキュベートすることによ
り掛け合わせ、そして子孫を、ロイシン、トリプトファン、ヒスチジンを欠乏し
、そして50mM 3-ATを含有するSD合成培地にストリークした。GAL4-CDK4の存在下
でのみHIS3およびLacZを活性化する83個のライブラリープラスミドを酵母より単
離し、そしてEscherichia coli HB101株を形質転換するために使用した。E.coli
形質転換体を培養し、そして83個のライブラリー由来のプラスミドをそこから個
々に精製した。
陽性プラスミドをHybond Nフィルターにドットブロットし、そして35%ホルム
アミドを含有する3×SSC(1×SSCは0.15M NaCl、0.015M クエン酸Na)中で、32P
標識したサイクリンDプローブ(マウスサイクリンD1、D2、およびD3の1:1:1の混
合物)を用いて42℃で20時間ハイブリダイズした。フィルターを0.1%ドデシル硫
酸ナトリウム(SDS)を含有する1×SSC中で65℃、30分間洗浄し、29個のサイクリ
ン陽性クローンを生じた。無作為に選択された残りの54個のプラスミドDNAのい
くつかをニックトランスレーションにより放射性標識し、そしてフィルターに再
ハイブリダイズし、最終的にいくつかのファミリーの関連配列を示した。各群の
代表的なプラスミド由来のcDNAインサートのヌクレオチド配列を、Sequenaseバ
ージョン2.0キット(USB.Cleveland,OH)を用いて決定した。
83個の単離されたライブラリー由来プラスミドのうち29個がD型サイクリンを
コードするcDNAを含んだ。18個のプラスミドが9セットのより豊富でない遺伝子
配列を含み、これらのいずれもGenBankの既知の配列と有意な相同性を示さなか
った。36個のプラスミドが2つの新規のInk4関連遺伝子のコード配列を含み、そ
れらをここで「p19」(29個のクローンにより表示された)および「p18」(7個
のクローンにより表示された)と称する。このInK4タンパク質は、最初は見かけ
の分子量に基づいて命名された:2つのcDNAがインビトロで転写および翻訳され
、
そして電気泳動により変性15%ポリアクリルアミドゲル上で同時に分離された場
合、p19産物はp18産物よりゆっくりと移動した。しかし、これら2つのマウスIn
k4ファミリーメンバーのヌクレオチド配列は、それぞれ18,005ダルトンおよび18
,176ダルトンの分子量を有する166(p19)および168(p18)アミノ酸のポリペプチド
を予想する。
予想されたアミノ酸配列に基づくと、2つのマウスInK4タンパク質は、お互い
に約40%同一であり、そして先に記載されたヒトp16InK4aおよびp15InK4bポリペ
プチドと同様の程度のアミノ酸相同性を共有する。後者のタンパク質のように、
p19およびp18は、各約32アミノ酸の長さのタンデムなアンキリンモチーフで構成
される(図1、パネルA)。マウスp19およびp18の最も高度に保存された領域は
、リピート1〜3およびリピート4の半分を含むアミノ酸配列を含む。p16、p18
、およびp19の最も保存されたリピートは、他のInK4ファミリーメンバーならび
にお互いに整列され得る(図1、パネルB)。この研究の完了後、ヒトp18をコ
ードするcDNA分子のクローニングおよび配列決定が報告された(Guanら、Genes &
Devel.8:2939-2952(1994))。ヒトおよびマウスp18ポリペプチドは、各168アミ
ノ酸の長さであり、153残基にわたって同一である。
マウスp19およびp18は、お互い約40%の同一性しか示さず、そして両方ともヒ
トp16InK4aおよびp15InK4bに対して同様の限られた程度の相同性を示す。対照的
に、マウスp19およびp18は、それらのヒト対応物と>90%のアミノ酸同一性を示
す。ヒトp16およびp15は、ヒト第9染色体の短腕上にタンデムに位置する(Kamb
ら、Science 264:436-440(1994))。ヒトp18の遺伝子は第1染色体に指定され(Gu
anら、Genes & Devel.8:2939-2952(1994))、最低限4つの別個の遺伝子を含むIn
K4ファミリーを示す。それゆえ、本発明者らはp18およびp19遺伝子をそれぞれIn
k4cおよびInk4dと命名することを提案する。
実施例2:マウスp18およびp19融合タンパク質の産生
p19の全コード配列を含むフラグメントを、以下のオリゴヌクレオチドプライ
マーを用いてPCRにより増幅した:
および
p18の全コード配列を含むフラグメントを、以下のオリゴヌクレオチドプライ
マーを用いてPCRにより増幅した:
および
センス鎖オリゴヌクレオチド中の下線を付したATGは、p19およびp18の開始コ
ドンに対応し、これらの前にBamHI部位が配置され、後のクローニングを可能に
する。BamHIおよびEcoRIで消化された産物を、pGEX-3X(Pharmacia,Uppsala,Swed
en)にGSTとインフレームで挿入した。pGST-MAD3(マウスIκBをコードするプ
ラスミド)、およびpGST-ANK6(5つのアンキリンリピート(アミノ酸73-242)の
みを含むMAD3のサブドメインをコードする)は、Dr.Lawrence Kerr(Vanderbilt
University,Nashville,TN)により好意で提供された。
GST融合タンパク質をコードするプラスミドで形質転換された細菌の一晩培養
物を、新鮮な培地で10倍希釈し、そして37℃で2〜4時間培養した。組換えタン
パク質を、1mMイソプロピル-β-D-チオガラクトシド(IPTG)を用いて37℃で1
時間誘導し、そして回収した細胞を、1%Triton X-100含有リン酸緩衝化生理食
塩水(PBS)中で超音波処理により溶解し、そして遠心分離により明澄化した。GST
融合タンパク質をグルタチオン-Sepharoseビーズ(Pharmacia)に吸着させ、50mM
Tris HCl(pH 7.5)で洗浄し、そして5mMの還元グルタチオン(Sigma,St Louis,MO
)を含有する同じ緩衝液で溶出した。タンパク質を、50mM Hepes(pH 7.5)、150mM
NaCl、および1mM EDTAに対して透析し、そしてビシンコニン酸(bicinchoninic
acid)アッセイキット(Pierce,Rockford,IL)でタンパク質標準としてウシ血清ア
ルブミン(BSA)を用いて定量した。
実施例3:マウスInK4タンパク質はCDK4およびCDK6キナーゼに
特異的に結合し、そしてそれらを阻害する
cDK結合アッセイ
ヒトInK4ポリペプチドは、サイクリンD依存性触媒サブユニットである、CDK4
およびCDK6(5、18、45)に特異的に結合する。マウスp19およびp18のCDKとの相
互作用を研究するために、CDC2(CDK1)およびCDK2〜6をコードするcDNAをインビ
トロで転写および翻訳し、そして放射性標識した産物を、グルタチオン-Sepharo
seビーズまたはコントロールとしてGST-Sepharoseビーズに吸着させたGSTタグ化
p19およびp18融合タンパク質と混合した。
pBluescript由来であり、そしてマウスcdk2、cdk4、cdk5、またはcdk6遺伝子(
Matsuokaら、Mol.Cell.Biol.14:7265-7275(1994);Matsushimeら、Cell 71:323-3
34(1992))、あるいはヒトcdc2/cdk1またはcdk3遺伝子(Matthew Meyerson博士お
よびEdward Harlow博士(MGH Cancer Center,Cambridge,MA)より提供された)の
全長をコードする配列を含むプラスミドを、インビトロで転写および翻訳した(
Matsuokaら、Mol.Cell.Biol.14:7265-7275(1994))。マウスcdk6 cDNAを、全長
ヒトcdk6クローン(M.Meyerson博士およびE.Harlow博士よりまた提供された)で
スクリーニングすることによりマウスマクロファージライブラリー(Stratagene,
La Jolla,CA)からクローニングした。転写および翻訳に続いて、35Sメチオニン
標識CDK(20〜40μl)を含有するウサギ網状赤血球溶解物を、10mg/ml BSA含有IP
キナーゼ緩衝液(150mM NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、0.1% Tween-20を含有する5
0mM Hepes(pH 7.5))に希釈して0.5mlとし、そしてグルタチオン-Sepharoseビー
ズ上で不動化された1μgの精製GSTまたはGST-p19と混合した。4℃でのインキ
ュベーションの2時間後、ビーズを遠心分離により回収し、IPキナーゼ緩衝液で
4回洗浄し、そして結合タンパク質を変性し、そしてSDS含有12.5%ポリアクリ
ルアミドゲル上での電気泳動により分析した(Anderson,S.J.ら、J.Virol.51:730
-741(1984))。
先に報告されたように(Matsuokaら、Mol.Cell.Biol.14:7265-7275(1994))、い
くつかのcdk翻訳産物を、cdc2、cdk2、cdk4、およびcdk5 cDNAで得られた34kDa
の範囲内の主要な放射性標識された種を用いて、各テンプレートから産生した(
図2、パネルA、レーン1、2、4、および5)。優勢なCDK6種はその核酸配列
(Batesら、Oncogene 9:71-79(1994);Meyersonら、EMBO J.11:2909-2917(1992))
から予想されたように約38kDa(レーン6)であったが、cdk3産物は不適切な翻
訳終了のために予想よりも有意に大きかった(レーン3)(Matsuokaら、Mol.Cel
l.Biol.14:7265-7275(1994))。放射性標識翻訳産物のいずれもコントロールのグ
ルタチオン-Sepharoseビーズに結合せず(図2、パネルA、レーン7〜12)、そし
てCDK4およびCDK6タンパク質のみがGST-p19融合タンパク質を含有するビーズに
効率的に結合した(レーン16および18)。同じアッセイにおいて、D型サイクリン
はGST-p19ビーズと相互作用することができなかった(図2、パネルB)。実質
的に同一の結果をGST-p18を用いて得た。
CDK阻害アッセイ
この結合がCDK4およびCDK6活性を阻害し得るかどうかを決定するために、細菌
産生性のp19およびp18融合タンパク質を、バキュロウイルスベクター感染昆虫細
胞において産生されたCDK4-サイクリンD2およびCDK6-サイクリンD2の酵素的に活
性である複合体を含有する抽出物と、異なる濃度で混合し、そしてこの酵素をpR
bキナーゼ活性についてアッセイした(Katoら、Genes & Devel.7:331-342(1993)
)。図3は、GST-p19融合タンパク質の添加が、CDK4-サイクリンD2(パネルA)
およびCDK6-サイクリンD2(パネルB)ホロ酵素(レーン2〜7)のpRbキナーゼ
活性を、コントロールの野生型バキュロウイルスで感染させた細胞の抽出物(レ
ーン1)で観察されるものと等しいバックグラウンドレベルまで減少させたこと
を示す。GST-p19は、CDK4-サイクリンDまたはCDK6-サイクリンDのいずれかのp
Rbキナーゼ活性を阻害することにおいて、ヒトp16と同じ位強力であった(パネル
AおよびB、レーン9〜11)。しかし、1μgまでのコントロールGSTタンパク質
の添加は、いずれの酵素にも影響を及ぼさなかった(レーン8)。
ヒトp18はCDK4よりもCDK6に対して優れた親和性を有すると報告されている(Gu
anら、Genes & Devel.8:2939-2952(1994))が、マウスGST-p18融合タンパク質は
、両キナーゼをインビトロで阻害することにおいてGST-p19と同じ位強力である
(図3、パネルCおよびD、レーン2〜7)。しかし、アンキリンモチーフのリ
ピートを有する全てのタンパク質が効果的にこれらの酵素を阻害できるわけでは
ない。例えば、マウスIκB(MAD3)(図3、パネルCおよびD、レーン9および10
)またはアンキリンリピートのみを含むタンパク質のサブドメイン(レーン11お
よび12)は、CDK4およびCDK6活性を無効にすることにおいて、p19およびp18融合
タンパク質より少なくとも効果が30倍少ない。さらに、CDK4と任意のD型サイク
リンとの組み合わせは、p19を介した阻害に対する効果的な基質であることを証
明した(図4、パネルA、レーン1〜10)が、p19は、CDK2-サイクリンEのpRb
キナーゼ活性(図4、パネルA、レーン11〜13)を弱めず、CDK2-サイクリンE、C
DK2-サイクリンA、またはCDC2-サイクリンBのヒストンH1キナーゼ活性にも影
響しなかった(図4、パネルB)。同様のデータをマウスp18を用いて得た。従
って、p19およびp18の両方は、CDK4およびCDK6と特異的に相互作用してD型サイ
クリンとの複合体においてそのpRbキナーゼ活性を阻害する。
実施例4:マウスp19タンパク質はCDK4との複合体由来
サイクリンDを置換しない
CDKおよびサイクリンを含むSpodoptera frugiperda(Sf9)細胞溶解物(5×104
個の細胞に相当する2.5〜5ul)(Katoら、Genes&Devel.7:331-342(1993))を、
精製した可溶性GST、またはすでに述べたGST融合タンパク質と、10mM MgCl2およ
び1mM DDTを含む、50mM Hepes緩衝液(pH7.5)の10ul中で混合し、そして4℃で
2時間インキュベートした。キナーゼ活性を、25ulの反応混合物において、2.5m
M EGTA、10mM β-グリセロホスフェート、0.1mMオルトバナジウム酸ナトリウム
、1mM NaF、20μM ATP、5μCi γ-32P-ATP(6000Ci/mmol;Amersham)を加えた同じ
緩衝液中で30℃で20分間アッセイした。0.2ugの可溶性GST-pRb(Ewenら、Cell 73
:487-497(1993); Katoら、Genes&Devel.7:331-342(1993))または1ugのヒストン
HI(Boehringer Mannheim)のいずれかを基質として用いた。反応生成物を、変性
ゲル上で電気泳動して分離し、そしてオートラジオグラフィーによりリン酸化タ
ンパク質を検出した。
放射性標識したSf9溶解物の調製のために、サイクリンD2およびCDK4をコー
ドする組換えバキュロウイルスベクターを感染させた細胞を、記載されるとおり
に(Katoら、Genes&Devel.7:331-342(1993))、8時間の感染40時間後に200μCi/
mlの35S-メチオニン(比活性1000Ci/mmol;ICN,Irvine,CA)で代謝的に標識し、そ
して回収した。溶解物の一部(7.5ul)を、10mg/ml BSAを含む0.5mlのIPキナーゼ
緩衝液で希釈し、そして上記のように、4℃で2時間インキュベートする前に、
GST-p19(0.3ug)を加えた。サイクリンD2およびCDK4を含む複合体を、プロテイ
ンA-セファロースビーズに前もって吸着させたインタクトな組換えサイクリン
D2に対するウサギ抗血清(血清RT)、またはCDK4のC末端に対するウサギ抗血
清(血清Rz)のいずれかで沈殿させる(Matsushimeら、Mol.Cell.Biol.14:2066
-2076(1994))。免疫複合体におけるキナーゼ活性の検出のために、ビーズを、IP
緩衝液で2回、そしてプロテアーゼインヒビターを含まないキナーゼ緩衝液で2
回洗浄し、25ulのキナーゼ反応混合物中に懸濁し、そして上記のようにアッセイ
した。リン酸化GST-pRbおよび代謝的に標識されたサイクリンD2およびCDK4を
、12.5%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動により分離し、そしてオートラジ
オグラフィーで検出した。
機能的pRbタンパク質を発現しない細胞内では、p16Ink4aは、サイクリンDを
犠牲にして、CDK4との複合体中に見出されることが報告されている(Batesら、On
cogene 9:1633-1640(1994);Serranoら、Nature 366:704-707(1993))。従って、p
16Ink4aはCDK4上の結合部位についてサイクリンDと競合し得、ポジティブレギ
ュレーターを置換することによってその活性を失う。サイクリンD2およびCDK
4を含むバキュロウイルス感染Sf9細胞由来の代謝的に標識された溶解物が、個
々のサブユニットに対する抗体により免疫沈降する場合、いずれかのサブユニッ
トに対する抗体はもう一方を共沈させた(図5、レーン3および4)。このシス
テムにおいて、CDK4の二つの形態が産生された(Katoら、Genes&Devel.7:331-34
2(1993))。より早く移動する形態(右端に示される)は、哺乳類細胞で検出され
たものと質量が同等である。実験が示すように、同時感染したSf9細胞の溶解物
はサイクリンD2(レーン3)をCDK4(レーン4)より多く含み、その結果すべ
てのCDK4はこれらの条件下でサイクリンDと共沈した(レーン3および4のCDK4
シグナルを比較のこと)。これらのデータと一致して、いずれかの抗血清により
沈殿
した後に回収された洗浄免疫複合体は、類似した量のpRbキナーゼ活性を含有し
た(レーン7および8)。免疫沈降前にp19をこれらの溶解物に添加した場合、
回収された免疫複合体におけるpRbキナーゼ活性はバックグラウンドのレベルに
低下した(レーン9および10をレーン6と比較のこと)。しかし、複合体中の
サイクリンDの量は、大きく低下しなかった(レーン10対レーン4)。サイク
リンDはp19と直接的に相互作用しないにも関わらず、これらの条件下で、類似
した量のp19が、サイクリンD2またはCDK4に対する抗血清で生成した免疫複合
体中に回収された。従って、p19は、サイクリンDとCDK4との間の相互作用を破
壊することなく、CDK4-サイクリンDホロ酵素と結合し得、そしてその活性を直
接的に阻害し得る。
考察。 p19およびp18はともに、先に述べたヒトのInk4遺伝子産物のp16Ink4a
およびp15Ink4bの主要な構造的および生化学的特性を有する。それらは、反復し
たアンキリンモチーフから成り、CDK4およびCDK6に結合し、そして、CDK4-サイ
クリンD複合体およびCDK6-サイクリンD複合体のpRbキナーゼ活性を特異的に阻
害する。Ink4d-p19は、サイクリンDを置換することなく、2要素からなる(bina
ry)CDK4-サイクリンD複合体に結合し得、そしてインビトロでその活性を阻害し
得る。しかし、p19に対する抗体は、増殖する哺乳類細胞溶解物由来のCDK4およ
びCDK6と共沈したが、サイクリンDはこれらの複合体の中に検出されなかった。
このことは、p19は、インビボでこれらのCDKの非サイクリンDの複合化形態と優
先的に相互作用し得ることを示す。CDK4およびCDK6との相互作用は、Ink4ポリペ
プチドの少なくとも30倍過剰の量で添加されたときのみに、IκBのようなアンキ
リンモチーフを含む他のタンパク質がこれらのCDKとごく弱くしか結合せず、そ
してインビトロでそれらの活性を阻害するという意味で、アンキリン反復タンパ
ク質のInk4サブファミリーに対し極めて特異的である。p19をコードするcDNAは
、酵母ツーハイブリッドスクリーン(yeast two hybrid sceen)からのD型サイク
リンと同じくらいの頻度で単離され、その一方で、他のアンキリン反復タンパク
質(p18を除く)が、相互作用する残りのクローンの中で同定されなかったという
事実は、CDK4とのその結合の特異性においてさらなる確信を提供する。次に、グ
ループとしてのInk4タンパク質は、他のCDK-サイクリン複合体(CDK2-サイクリン
E、CDK
2-サイクリンA、およびCDC2-サイクリンBを含む)を阻害しない。そして、これ
らはCDC2、CDK2、CDK3、またはCDK5とインビトロで結合しない。この事実は、こ
れらのタンパク質が、インビボで、CDK4およびCDK6活性の特異的調節因子として
の生理学的役割を果たすという見解を支持する。
実施例5:マウスにおけるp18およびp19の発現
Ink4c-p18およびInk4d-p19は多くのマウス組織で発現する
p19 cDNAをハイブリダイゼーション研究におけるプローブとして用いた場合、
長さ1.3kbのp19 mRNA転写物が、様々なマウス細胞株ならびに多くのマウス組織
で検出された(図6)。p19 cDNAは、最初は胸腺リンパ腫細胞から単離され、そし
て比較的高レベルのp19 mRNAが、骨髄や脾臓のような造血器官(図6、パネルB
)ならびにMEL(赤血球)、32D、DA-3、およびFDC-P1(未成熟骨髄性)を含む血液
細胞株、BACI.2F5(マクロファージ)、およびCTLL-2(T細胞)(図6、パネルA)で
検出された。ヒトの同族体について報告されているように(Guanら、Ganes&Deve
l.8:2939-2952(1994))、p18の発現パターンはより複雑である。第一に、少なく
とも3つのmRNAの形態が観測され、そしてこれらは様々な組織で異なる発現をし
た。例えば、皮膚と肺は主として1.1kbのp18転写物を発現し、その一方で、骨髄
および脾臓における主なmRNAは、非常に大きかった(1.9kb)ことに留意のこと。
ヒトInk4aおよびInk4b遺伝子と異なり(これらは、多くの組織で非常に低いレベ
ルで発現し、樹立された細胞株のうち非常に高い割合で消失する)、p19およびp
18の発現はともに、容易に検出され得る。
マクロファージの細胞周期中のp19の発現
マウスBAC1.2F5マクロファージを、15%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100U
/mlペニシリン、100ug/mlストレプトマイシン、およびコロニー刺激因子1(CSF-
1)の供給源としての25%L細胞馴化培地を補充したダルベッコ改変イーグル培地(
DMEM)中で培養した(Stanley、Methods Enzymol.116:564-587(1986))。細胞を、
18時間CSF-1を枯渇させてG1初期で停止させ、その後CSF-1で再刺激し細胞周期を
同期的に再開させた(Matsushimeら、Cell 65:701-713(1991);Tushinskiおよ
びStanley、J.Cell.Physiol.122:221-228(1985))。細胞(各データポイントに
つき2×107個)を、その後指示された間隔で回収し、そして、代表的なアリコ
ートのDNA含量を、ヨウ化プロピジウム染色の核のフローサイトメトリーによっ
て測定した(Matsushimeら、Cell 65:701-713(1991))。RNAの調製のために、洗浄
した細胞を、4.2Mグアニジンチオシアネート、0.1M酢酸ナトリウム(pH5)、5mM E
DTA中にかき集め、そしてBeckman SW41遠心管中で、2M CsCl2、0.1M酢酸ナトリ
ウム、5mMEDTAに重層した。33,000rpmで一晩遠心分離した後、ペレット化したRN
Aを10mM Tris HCl(pH7.5)、10mM EDTA、および0.5%SDS中に懸濁し、フェノール
で2回およびクロロホルムで2回抽出し、そして2.5倍量のエタノールで、-20℃
で沈殿させた。RNAを1%アガロースゲルで電気泳動して分離し、ニトロセルロ
ースにブロットし、そして50%ホルムアミドを含む5×SSPE緩衝液(1×SSPEは
、0.15M NaCl,10mM NaH2PO4,1mM EDTAである)中で42℃で20時間、指示されたcDN
Aプローブを用いてハイブリダイズさせた(Deanら、Oncogene Res.1:279-296(19
87))。フィルターを、0.1%SDSを含む2×SSCで、最初42℃で、その後65℃で洗
浄した。
非同調的に増殖するマクロファージまたは上記のように調製された同調化した
細胞(各時点あたり1×106細胞)を、200μCi/ml35S-メチオニンで1時間代謝的
に標識し、そして細胞溶解物から免疫沈降されたp19を変性ポリアクリルアミド
ゲル上で分離し、そして上記の方法によりオートラジオグラフィーで検出した(M
atsushimeら、Cell 65:701-713(1991))。いくつかの実験において、ゲル上で分
離された免疫沈降したp19を、ニトロセルロースに移動し、そしてCDK4に対する
抗血清でイムノブロットした;抗体結合の部位を、125I-標識のS.aureusプロテ
インAを用いて検出した(Downingら、Mol.Cell.Biol.8:1795-1799(1988))。
p19およびp18はともに骨髄由来のマクロファージにおいて発現するため、本発
明者は、細胞周期を通してそれらの制御を研究し得た。BAC1.2F5マクロファージ
は、CSF-1を18〜22時間枯渇させるとG1初期で停止し、そして成長因子の再添加
により細胞周期を同調的に再開させるように誘導され得る(Matsushimeら、Cell
65:701-713(1991);TushinskiおよびStanley,J.Cell.Physiol.122:221-228(198
5))。図7は、p19 mRNAが、枯渇した静止細胞(時間0)で検出され得るが、細
胞がG1期に入ると量が減少し得るということを示している。しかし、細胞がG1/S
転換に近づくと(約10時間)、p19 mRNA合成は突然再開され、そして周期の残り
を通して細胞が進行するにつれ増加した。最大の細胞分裂は18〜20時間で生じた
。2度目の周期で細胞は同期性を急速に失うが、2度目のG1期は1度目よりも短
く(Matsushimeら、Cell 65:701-713(1991))、p19のレベルはG1の間(約22〜28時
間)に再び落ち込んだが、しかしS期(32〜36時間)で増加した。比較的多量の
p19 mRNAが、ホスホイメージャーを用いたノーザンブロットの走査によって検出
され、図7の下に図で要約されている。事実上同一の結果が、血清の再添加によ
り静止から細胞周期を再開するよう誘導されたNIH-3T3細胞を用いて得られた。
細胞周期への再開の間、p18 mRNAは、p19と類似した動力学で誘導された。し
かし、CSF-1を枯渇させたマクロファージは1.1kbのp18 mRNA種を発現し、その一
方で、1.9kbの形態だけがG1/S転換で誘導され、そして細胞が別の周期に再度入
るまで高いままだった。最初の周期におけるp19およびp18 mRNAの誘導の動力学
はサイクリンAの動力学と類似していた。それは、G1/S境界の付近でも誘導され
るが(PinesおよびHunter、Nature 346:760-763(1990))、サイクリンD1 mRNAの
動力学と容易に区別される。サイクリンD1 mRNAは、G1初期に誘導され、そして
細胞が増殖を続ける際にはごくわずかしか変動しない(Matsushimeら、Cell 65:7
01-713(1991))。「ハウスキーピング」遺伝子のグルコース6-ホスフェートデヒ
ドロゲナーゼ(G6PD)の発現は、周期を通して最も小さい変動を示したが、そのmR
NAは成長因子が誘導した細胞においていくらか少なかった。
p18Ink4cおよびp19Ink4dのmRNAの発現は、細胞周期を通して変動することが明
らかなマウスの組織および細胞株において容易に検出され得る。種々の組織で異
なる制御を受けたp18 mRNAのいくつかの形態が観測された一方で、p19の発現パ
ターンは複雑さが少なく、単一の1.3kbのmRNAが観測されたのみであった。同期
化されたマクロファージにおいて、p19 mRNAの量は、細胞周期を通して観察され
るp19タンパク質の合成の速度と一時的に相関しており、mRNAおよびタンパク質
のレベルはG1期に最低点に達し、細胞がS期に入るとき突然増加し、そして細胞
が有糸分裂を完了し再びG1期に入ると再び低下した。
実施例6:p18およびp19に対する抗体
ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体組成物を、例えば、適切な宿主/ベクター系(実施例2を
参照のこと)においてp18またはp19をコードする核酸配列の発現により生成され
る、精製されたp1またはp19タンパク質で動物を免疫し、そして免疫した動物か
ら血清を調製することによって作製される(HarlowおよびLane、Antibodies:A La
boratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor(1989),5
5-137頁)。
単一特異的抗体
マウスp19の8個のC末端アミノ酸に対応する合成ペプチドを、キーホールリ
ンペット(keyhole limpet)ヘモシアニンに結合し、ウサギを免疫するために使用
した(Downingら、Mol.Cell.Biol.11:2489-2495(1991))。抗血清は、インビトロ
翻訳により生成した放射性標識したマウスp19を沈殿させたが、並行して作製し
たマウスp18またはヒトp16と交差反応を起こさなかった。
p19のカルボキシル末端に指向した抗ペプチド(単一特異的)血清を用いて、
増殖するマウス細胞由来の代謝的に標識されたタンパク質を免疫沈降反応させた
(図8パネルA、レーン1および4)。免疫沈降した19kDaのタンパク質は、同
族ペプチドと競合し得るが(レーン2および5)、CDK2のC末端に基づく無関係
なペプチドとは競合し得ない(レーン3)。Ink4d-p19免疫沈降物はまた、CDK4
を含むが(図8パネルB、レーン2)、サイクリンD1の検出可能なレベルを含
まなかった。同様の結果が、CDK6を発現する細胞株を用いて得られた。このよう
に、p19は、他のInk4タンパク質と同様に、インビトロで、CDK4-サイクリンD複
合体と結合し得るが(図5)、インビボでは非結合のCDK4およびCDK6と優先的に
相互作用応し得る。同調化されたマクロファージにおけるp19 mRNA発現の動力学
と一致して(図7)、p19タンパク質の合成は、最初G1/S境界の近くで検出され
、細胞が分裂し第2ののG1期再び入っていくと減少し、そして、次のS期の間に
再び増加した(図8、パネルC)。従って、p19 mRNAおよびタンパク質の合成は
、G1期の間で、周期的に相対的な最低となる。
モノクローナル抗体
モノクローナル抗体の調製のために、p18もしくはp19タンパク質、または合成
p18もしくはp19オリゴペプチドで免疫した動物の脾臓細胞を摘出し、SP2/0-AG14
骨髄腫細胞のような骨髄腫細胞と融合し、そしてモノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマ細胞にする(HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manu
al,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor(1989),139-281頁)。当
該分野で周知の多くの方法のいずれもが、所望の特性を有する抗体を産生するハ
イブリドーマ細胞を同定するために使用され得る。これらは、ELISA法、ウエス
タンブロット法、またはラジオイムノアッセイによるハイブリドーマのスクリー
ニングを含む(Lutzら、Exp.Cell Res.175:109-124(1988))。
所望のp18-またはp19-特異的抗体を分泌するハイブリドーマをクローン化し、
そしてそのクラスおよびサブクラスを、当該分野で公知の手順によって決定する
(Campbell,A.M.,Monoclonal Antibody Technology: Laboratory Techniques i
n Biochemistry and Molecular Biology,Elsevier Science Publishers,Amste
rdam,The Netherlands(1984))。モノクローナル抗体を、当該分野で公知の方法
で精製する(HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual,Cold Spring
Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor(1989),283-318頁; Grandics,Biotech
nology Laboratory,5月号,58-65頁(1994);Grandics,Biotechnology Laborato
ry,6月号,12-14頁(1994); Grandics,Biotechnology Laboratory,7月号,16-1
8頁(1994))。
実施例7:G1のInk4d-p19媒介による停止
哺乳類線維芽細胞におけるp19の強制発現
p19をコードするBamHI-EcoRIフラグメント、およびマウスCD8の全コード配列
を含むHindIII-BamHIフラグメント(Zamoyskaら、Cell 43:153-163(1985))をとも
に、Charles Sawyers博士(UCLA Medical Center,Los Angels,CA)から提供された
pSRα-MSV-TKレトロウイルスベクター(Mullerら、Mol.Cell.Biol.11:1785-1792
(1994))にサブクローン化した。この構築において、p19はウイルスLTR配列の制
御下で発現し、一方、CD8発現は内部のチミジンキナーゼプロモーターにより制
御される。プラスミドをNIH-3T3細胞にトランスフェクトし(ChenおよびOkayama
、Mol.Cell.Biol.7:2745-2752(1987))、そして48時間後、トランスフェクト細
胞を抗CD8で免疫染色し、ヨウ化プロピジウムで対比染色し、そしてゲート化(ga
ted)CD8-ポジティブおよびCD8-ネガティブ細胞のDNA含量を決定するためにフロ
ーサイトメトリーにより分析した(Lookら、J.Clin.Invest.73:1617-1628(1984
))。
ウイルス産生および感染のために、同一プラスミドを自己向性(ecotropic)へ
ルパーウイルスをコードするプラスミドとともに293T細胞にコトランスフェク
トした(Pearら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)90:8392-8396(1993))。この自己向
性ヘルパーウイルスは、欠陥ビリオンのパッケージング(ψ)配列を含有する(M
ullerら、Mol.Cell.Biol.11:1785-1792(1994))。トランスフェクションの後48
-72時間で回収したレトロウイルスを含む培養上清を、増殖しているNIH-3T3線維
芽細胞を感染させるために使用した。感染細胞を上記のように48時間後にフロー
サイトメトリーで分析するか、またはIPキナーゼ緩衝液中で溶解した。そしてCD
K4-サイクリンD複合体を免疫沈降させ、そしてRbキナーゼ活性をアッセイした(
Matsushimeら、Mol.Cell.Biol.14:2066-2076(1994))。
Ink4d-p19はG1進行を停止する。
p19の発現は、CDK4-サイクリンDまたはCDK6-サイクリンDがその重大な機能
を果たすG1期の間に消失する。p19の構成的な発現がG1期で細胞周期を特異的に
停止するかどうかを調べるために、p19 cDNAをCD8細胞表面抗原をもコードする
レトロウイルス発現ベクターに挿入した。非同期的に増殖するマウスNIH-3T3線
維芽細胞を、p19 cDNAを欠損するかまたは含むCD8ベクターでトランスフェクト
し、そして48時間後、トランスフェクト細胞を2色フローサイトメトリーでCD8
発現およびDNA含量の両方を分析した。CD8およびp19の両方をコードするベクタ
ーでトランスフェクトした細胞は、バックグラウンドのCD8蛍光を表す非トラン
スフェクト受容体の割合を生じ、そして細胞周期を通して分布した(図9、パネ
ルAおよびBのボックスR1で示す)。対照的に、高レベルのCD8抗原を発現した
これらの細胞の85%(ボックスR2で囲む)は、G1期の細胞の特性をもつ2N DNA
含量を示した(図9、パネルAおよびB)。コントロールCD8発現ベクターでトラ
ンスフェクトした細胞は、CD8ポジティブであろうとなかろうと、細胞周期を通
して非トランスフェクト細胞のそれらと区別できない様式で分布した(G1=54.6%
±4.9;S=36.5%±3.1;および残りはG2/M)。このことは、トランスフェクション
それ自体は毒性がなく、そして細胞周期の停止を誘導しないことを示した。5つ
の独立した実験で、p19を同時に発現するCD8ベクターでのトランスフェクション
は、G1期の細胞の割合が22%±12増加し、一方で、コントロールCD8ベクターで
のトランスフェクトションは、影響しなかった。
レトロウイルスヘルパー機能を提供する第2のプラスミドとともに、p19ベク
タープラスミドをSV40T抗原陽性293T細胞にコトランスフェクトすることにより
、NIH-3T3細胞を効率的に感染し得るビリオンを産生した。感染の48時間以内に
、このような細胞の大部分はCD8ポジティブになり、そしてp19 cDNAを欠くコン
トロールCD8ベクターで感染させた細胞と比較して、G1期部分での付随する(18
%±3%)増加を示した。実験終了後回収した細胞は、増殖するのNIH-3T3細胞と
異なり、検出可能なサイクリンDキナーゼ活性を欠いた(図9、パネルB、レー
ン9〜11)。サイクリンDを過剰発現するように操作された細胞を使用したとき
でさえ(Quelleら、Ganes&Devel.7:1559-1571(1993))、その場合、サイクリン
D依存性キナーゼのレベルは5〜10倍上昇し(Matsushimeら、Mol.Cell.Biol.1
4:2066-2076(1994))、p19ベクターでの感染は、サイクリンD依存性キナーゼ(
またはCDK4キナーゼ)の活性をほとんど完全に阻害した(図9。パネルB、レー
ン1〜8)。従って、構成的なp19発現により誘導されるG1期停止は、インビボ
で、サイクリンD依存性キナーゼ活性の阻害を伴う。
NIH-3T3線維芽細胞にp19をコードするベクターを導入すると、G1期停止を導い
た。このことは、G1期の合間(しかし、明らかに後期の間ではない)のp19合成
は、細胞周期の進行を停止させ得ることを示す。サイクリンD1依存性(CDK4)キナ
ーゼ活性は、サイクリンD1を過剰発現するように操作された細胞を含む、p19
を異所性に発現するように操作された細胞で顕著に低下した。このことは、p19
は、インビボで潜在的にCDK4阻害活性を有することを実証する。最も単純な説明
として、CDK4キナーゼ活性のp19媒介の阻害はこのような細胞がサイクリンD依
存性G1期チェックポイントを通過し得なくする、ということである。
実施例8:ヒトp19 cDNA配列のクローニング
Ink4d-p19をコードするヒトcDNAを得るために、マウスp19 cDNAの約300bp Spe
I-HincIIフラグメントを単離し、ランダムヘキサマーおよびDNAポリメラーゼの
クレノウフラグメント(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)を用いてα32P-
dCTP(DuPont-NEN,Boston,MA)で標識した(FeinbergおよびVogelstein、Anal.Bioc
hem.132:6-13(1983))。そして、これを用いてヒト骨髄より調製したラムダgt-1
0 cDNAライブラリ(Clontech Laboratories,Palo Alto,CA)をスクリーニングした
。このライブラリを、Ink4d遺伝子のメッセージが、マウス臓器由来の組織のノ
ーザンブロットによって実証されたように、造血組織で高度に発現したという予
備的な観察に基づいて選択した(実施例5)。ナイロン膜フィルター(Amersham,
Arlington Heights,IL)上に載せられたコロニーを、3×SSC、1×Denhardt、40
ug/ml変性サケ精巣DNA、および35%ホルムアミド中で、mlあたり1×106cpmのプ
ローブを用いて、一晩42℃でハイブリダイズした。フィルターを、42℃で、1×
SSC、0.1% SDS中で洗浄し、その後オートラジオグラフィーを行った。ハイブリ
ダイズおよび洗浄の条件を、分画されたヒトゲノムDNAに関して、マウスプロー
ブを用いるサザンブロット分析によってあらかじめ決定した。候補のクローンを
プラーク精製し、そしてcDNA挿入物を、pBluescript(Stratagene,La Jolla,CA)
プラスミドベクターにサブクローン化し、そして標準的な方法による制限酵素マ
ッピング(Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2版、Col
d Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1989),5.28-5.32頁
)、および2本鎖DNAテンプレートを用いる使用のために改変されたジデオキシヌ
クレオチド鎖−終結法(Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci(USA)74:5463-5467(19
77))による配列分析に供した(United Stated Biochemical,Cleveland,OH)。
Ink4d-p19のヒトcDNAを得るために、ヒト骨髄cDNAライブラリ由来の百万個の
プラークをスクリーニングした。1.4-kb cDNAクローン(クローン19-4)、およ
び2つのより小さな、予測される部分的なcDNAクローン(クローン19-1および19-
3)を含む、3つの独立したヒトp19 cDNAクローンを単離した。ノーザンブロット
分析において検出されたmRNA転写物のサイズ(約1.4-kb; 実施例10を参照のこ
と)が与えられたことから、クローン19-4は全長のcDNAを含むようである。3つ
のクローンの配列分析で、17.7キロダルトン(kDa)と予想される分子量を有する1
66アミノ酸ポリペプチドをコードする498bpのオープンリーディングフレームを
明らかにした(図10A)。実施例1に示したように、マウスInk4d遺伝子産物はア
ンキリンモチーフの4回の反復を含み、そしてInk4遺伝子ファミリーに属する。
ヒトInk4d-p19ポリペプチドの配列は、マウスInk4d-p19クローンの配列に対して
アミノ酸レベルで86%の同一であり、そして最も密接に関連するInKファミリー
メンバーであるヒトInk4c-p18と44%が同一である(図10B)。
実施例9:ヒトp19ゲノムDNA配列の分析およびクローニング
サザンブロット分析
高分子量のゲノムDNAを、健常者ボランティアの末梢血より樹立した、エプス
タインバールウイルス(EBV)で形質転換したリンパ芽球様細胞株から、標準的な
技術によって単離した。単離したDNAを、制限エンドヌクレアーゼEcoRI,BglIIま
たはHindIIIで消化し、0.9%アガロースゲルで電気泳動してサイズ分画し、ナイ
ロン膜(HyBond-N,Amersham)に移し、そして32P標識の1.4-kbヒトInk4d-p19 cDNA
(クローン19-4)を用いてハイブリダイズした。0.1×SSCおよび0.1%SDS中で65℃
での高いストリンジェントの洗浄後、フィルターを増強スクリーンとともにXAR-
5フィルム(Kodak,Rochester,NY)に-70℃で感光させた。この分析の結果は、1コ
ピーの遺伝子によってコードされるInk4d-p19と一致して、EcoRI(約23kb)、BglI
I(約22kb)、およびHindIII(約9kb)での消化後の、Ink4d-p19をハイブリダイズ
する1つの制限フラグメントを示した。ヒトInk4d遺伝子のゲノム座の予想される
サイズは20kb未満である。
ヒトp19座のP1ファージクローンの単離
ヒトのゲノムP1ファージライブラリ(Genome Systems,St.Louis,MO)を、1
対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によ
ってスクリーニングした。プライマーの配列は、クローン化したヒトp19 cDNAヌ
クレオチド配列:
および
から誘導される。
Ink4a-p16遺伝子のゲノム構成とp19の配列を比較することにより予想されるよ
うに、プライマーを、この遺伝子の推定されるエキソン2内の225bpフラグメン
トを増幅するように設計した(Serranoら、Nature 366:704-707(1993); Kambら、
Science 264:436-440(1994); Noburiら、Nature 368:753-756(1994))。予想され
るゲノム構成を、ヒトゲノムDNAから予想したサイズの産物を生成する増幅反応
によって確認した。PCR増幅の条件を、ライブラリのスクリーニングの前に最適
化した。
3つの部分的に重複するP1ファージクローン(#3857、#3858、#3859)は、予想
されたサイズのInk4d-p19 PCR増幅フラグメントを生成した。これらのクローン
から単離されたDNAのサザンブロット分析は、全てのヒトゲノムDNAで見られたフ
ラグメントと比較して、EcoRI、BglII、HindIII制限フラグメントをハイブリダ
イズする同一のサイズのInk4d-p19であることを示した(すなわち、それぞれ約2
3kb、約22kb、および約9kb)。このことは、P1ファージクローンはInk4d-p19ゲ
ノム座全体を含むことを示す。クローン#3857を、蛍光インサイチュ(in situ)ハ
イブリダイゼイション分析のプローブとして使用した(実施例11を参照のこと
)。
実施例10:ヒト細胞におけるp19の発現
細胞培養、細胞周期の分画、およびアポトーシスの誘導
HeLaおよびCEM-C7(ヒト未熟T細胞株)細胞を標準的な条件下(Zieveら、Exp.
Cell Res.126:397-405(1980); Lahtiら、Mol.Cell Biol.15:1-111(1995))で
培養した。細胞周期を分画するために、HeLa細胞をZieveらが示したように、5mM
チミジンおよび0.4ug/mlノカダゾール(nocadazole)を用いて、それぞれ8時間お
よび12時間の連続的な処理により有糸分裂で停止させた。次いで、有糸分裂の
細胞を培養ディッシュから機械的にはがして回収した。リン酸緩衝液での洗浄に
よりノカダゾールブロックから解放し、そして細胞を完全な培養培地に戻した後
、細胞周期に入る細胞を、RNA単離のために、2時間毎に24時間連続して回収し
、そして各時点でのアリコートのDNAの含量を、ヨウ化プロピジウム染色した核
のフローサイトメトリー分析により測定した(実施例5を参照のこと)。アポト
ーシスを、CEM-C7細胞をFASモノクローナル抗体(Upstate Biotechnology,Inc)
を100ng/mlで処理することで誘導し、そして細胞をRNAおよびにDNA分析のために
種々の時点で集めた。プログラムされた細胞死は、0.9%アガロースゲルで分画
し、その後臭化エチジウム染色により核の形態学的分析およびDNA分析により確
認した(Lahtiら、Mol.Cell Biol.15:1-11(1995))。
ノーザンブロット分析
全細胞RNAおよびポリ(A)+RNAを、標準的な方法によりマウスおよびヒト細胞
株から単離した(Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2
版,Cold Spring Harbor.Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)7.39
-7.52頁)。全細胞RNAの約20ugまたはポリ(A)+RNAの4ugを1.0%アガロース-ホ
ルムアルデヒドゲル上で電気泳動により分画し、そしてニトロセルロース膜フィ
ルターまたはナイロン膜フィルターにブロットした。様々なヒト成人および胎児
の組織由来のポリ(A)+RNAを含むノーザンブロットを購入した(Clontech)。フ
ィルターをヒトInk4d-p19のcDNAプローブ、またはβ-アクチンのニワトリもしく
はヒトcDNAを用いてハイブリダイズした。フィルターの最終洗浄は、60℃で0.1
×SSC、0.1%SDSであった。
様々なヒト成人および胎児の器官のノーザンブロット分析を用いて、ヒトInk4
d(p19)発現の組織分布を評価した。図11に示すように、1.4kbの転写物は、脳、
胸腺、脾臓、末梢血白血球および胎児肝臓で高いレベルで偏在的に発現した。マ
ウスp19 mRNAの発現レベルはマウスマクロファージにおいて細胞周期の間変動す
るため(実施例5)、ヒトp19の発現パターンを、ヒト子宮ガン細胞株LeLaでの
細胞周期の関数として調べた。図7に示す結果と類似して、ヒトInk4d mRNAは、
ノカダゾールブロックにより有糸分裂で同調化された細胞において存在し、そし
て
mRNAレベルは、薬剤から解放後のG1の進行に従って段階的に低下した。約50%の
細胞がS期に入り始めるとき(解放後12時間)、p19 mRNAシグナルは上昇し始め
、そして細胞の大部分についてS期の中間から後期への移行に対応する点で、最
大の発現に達した(解放後18〜20時間後)(図12)。
ヒトp19遺伝子が高度に発現するいくつかの器官が、アポトーシスを起こして
いる細胞を含むことは公知である。従って、FAS誘導アポトーシスの間のp19発現
を分析した。図13に示すように、未成熟T細胞株CEM-C7は、FAS抗体処理後1〜
2時間でアポトーシス細胞死を起こす。この系において、p19遺伝子はこの処理
により迅速に(60分以内に)ダウンレギュレートされた。対照的に、Ink4遺伝子フ
ァミリーの他のメンバーであるInk4a-p16およびInk4b-p18の発現レベルは、FAS
処理後6時間までの間一定のレベルを維持した(データを示さず)。
実施例11:ヒトp19遺伝子の染色体の特定
蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を、ヒトp19遺伝子の染色体
位置を決定するために使用した(Selleriら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)88:88
7-891(1991); Tkachukら、Science 250:559-562(1990))。ブロモデオキシウリジ
ンで同期化し、フィトヘマグルチニンで刺激した、正常な男性ドナーの末梢血リ
ンパ球を、分裂中期の染色体の供給源として使用した。ヒトp19を含むP1-ファー
ジクローン#3857由来のDNA(実施例9)を、ジゴキシゲニン-11-UTP(Boehringer
Mannheim)を用いてニック-翻訳し、そして上記の固定された分裂中期の染色体
に37℃で一晩ハイブリダイズさせた(Okudaら、Genomics 21:217-821(1994))。ヒ
ト染色体19バンドq13を示すコントロールプローブとして、ヒトD部位結合タン
パク質遺伝子(DBP)のコスミドクローン(Khatibら、Genomics 23:344-351(1994))
を、ビオチン-11-dUTP(Gibco-BRL,Gaithersburg,MD)で標識し、そしてインキュ
ベーション混合物中で含んだ。特異的ハイブリダイゼイションシグナルを、デゴ
キシゲニンに対するフルオレセイン結合ヤギ抗体(Boehringer Mannheim)を、そ
してヨウ化プロピジウム(Sigma Chemicals,St.Louis,MO)で対比染色した後、
ビオチンに対するアビジンテキサスレッド(Vector Laboratories Inc.,Burlinga
me,CA)を適用することによって検出した。蛍光顕微鏡法を、赤色シグナル(19q1
3上のテキサスレッド標識DBP)と比較して緑色シグナル(フルオレセイン標識p19)
を検出する蛍光フィルターを備えたZeiss標準的顕微鏡を用いて行った。
分裂中期の調製物の分析は、染色体19の短腕上のテロメア領域に対してp19ハ
イブリダイズする配列の局在性を実証した(図14)。染色体19の同一性を、2色
分析において、この染色体の短腕におけるヒトDBP遺伝子のシグナルの同時局在
性によって確認した。短腕の全長に関して動原体からのシグナルの距離に基づき
、Ink4d(ヒトp19の遺伝子)を、バンド19p13に帰属した。染色体19バンドp13は、
ランダムでない転座t(1;19)(q23;p13)に関与する。この転座は、前B細胞免疫表
現型を持つ急性リンパ芽球性白血病の小児患者で最初に見出されている。本発明
の核酸をプローブとして使用し、白血病細胞がt(1;19)転座を含む3人の小児ALL
患者でサザンブロットを調製した。これらのケースにおいて、Ink4d-p19におけ
る再配列、またはInk4d-p19のヘミ接合もしくはホモ接合の消失のいずれかの証
拠は、認められなかった。このことは、Ink4d遺伝子はこれらの特別な転座に関
与しなかったことを示唆する。本発明の核酸は、さらなる場合およびタイプのガ
ンおよび新生物における染色体構造のさらなる研究において、ハイブリダイゼー
ション分析の際のプローブとして、または、本発明のオリゴヌクレオチドの場合
、PCRによるゲノムDNAの増幅および分析のためのp19特異的プライマーとして有
用である(Bos,J.,PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amp
lification,Erlich編,Stokton Press,New York(1989),225-233頁)。
寄託
マウス由来のInk4c(p18)遺伝子に由来するコード配列を有するcDNAクローンは
、プラスミドpSKp18Ink4c(mouse)中に含まれる。マウス由来のInk4d(p19)遺伝子
に由来するコード配列を有するcDNAクローンは、プラスミドpSKp19Ink4d(mouse)
中に含まれる。ヒト由来のInk4d(p19)遺伝子に由来するコード配列を有するcDNA
クローンは、プラスミドp19-4B中に含まれる。プラスミドpSKp18Ink4c(mouse)お
よびpSKp19Ink4d(mouse)は、ブタペスト条約下で、the American Type Culture
Collection(A.T.C.C.)(12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland,20852,U.
S.A.)に1995年2月6日に寄託され、そしてそれぞれ、寄託番号97045,および97044
が指定された。プラ
スミドp19-4Bは、ブタペスト条約下で、the American Type Culture Collection
(A.T.C.C.)(12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland,20852,U.S.A.)に1995
年2月6日に寄託され、寄託番号97043が指定された。本出願に関する特許が発行
された後、A.T.C.C.は、ブタペスト条約および適用され得る米国特許法および規
制に従い、これらのプラスミドを要求者に対して入手可能にする。これらの寄託
物は、本発明を実施するための許可ではなく、そして、この寄託物が米国または
他のいかなる国の特許法を満たすために必要であったという許可をなす意図はな
い。
本発明の有用性
上記の本発明の実施態様は、下記の目的のために、単独で、またはお互いの組
み合わせ、もしくは他の補足の方法および/または組成物との組み合わせで使用
され得る。
(1)本発明の核酸は、非ヒトの哺乳類由来のp18タンパク質またはマウス、
ヒト、および他の哺乳類由来のp19タンパク質のポリペプチド配列をコードする
配列を含み、組換えDNA技術を使用して、p18またはp19タンパク質、またはそれ
らに由来する融合タンパク質の産生に有用である(実施例2を参照のこと)。
(2)p18またはp19ポリペプチド配列をコードする1つ以上の核酸、またはこ
のような核酸での変化を検出する方法は、ある種のガンの診断、またはある種の
ガンの素因の同定に有用である。本発明の方法は、p18またはp19遺伝子配列に特
異的なハイブリダイゼイションおよび/または増幅アッセイにおいて、p18また
はp19ポリペプチド配列をコードする1つ以上の核酸を利用する。ガンと相関し
、本発明の方法によって検出されるp18またはp19核酸における遺伝子変化は、RF
LP、欠失、挿入、逆位、点変異、変化したmRNAスプライシング産物などを含む。
p18またはp19核酸を検出する方法はまた、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、ウシなどの
ような他の哺乳類由来のp18またはp19核酸の単離に有用である(実施例8を参照
のこと)。
(3)本発明の核酸はまた、例えば、細胞増殖、細胞周期、またはDNA複製の
制御が必要な細胞におけるp18またはp19ポリペプチド配列を含むタンパク質の構
成的な発現を指向する、哺乳類細胞におけるp18またはp19活性を増強させるかま
たは回復させるための遺伝子治療の方法で有用である(実施例7を参照のこと)
。
(4)本発明の核酸の1つのサブセットである、p18またはp19をコードするmR
NA分子に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞増殖、細胞周期、ま
たはDNA複製の刺激を必要とする哺乳類細胞におけるp18および/またはp19活性
を阻害するのに有用である。とくに、増殖刺激を必要とする細胞は、造血幹細胞
を含む。Ink4c-p18およびInk4d-p19は、造血組織、すなわち骨髄および脾臓で高
レベルで発現し、そして造血幹細胞のサイクルを阻害するために作用するようで
ある。移植療法の重要な目標は、未成熟で多くの潜在的な状態で保たれている造
血系細胞をインビトロで増殖させることである。これらの細胞がCDK阻害剤のp18
またはp19により周期からはずれている程度まで、本発明のアンチセンスオリゴ
ヌクレオチドの処理によって、幹細胞に存在するp18またはp19の量を減らすこと
によって、インビトロで幹細胞を細胞周期に移し、そして増殖させることが可能
になる。
(5)本発明の核酸は、p18、p19またはp18およびp19の両方をコードする1つ
以上の核酸において遺伝的に操作された変化を有する非ヒトのトランスジェニッ
ク動物の作成に有用である。特に、マウス由来のp18およびp19のゲノムDNA配列
は、p18の効果のない(null)対立遺伝子、p19の効果のない対立遺伝子、またはp1
8およびp19両方の効果のない対立遺伝子に対するホモ接合体であるトランスジェ
ニックマウスを作成するために使用される。p18および/またはp19活性が減少し
たかまたは存在しないトランスジェニックマウスは、あるタイプのガンや新生物
を再現可能に、従って予測可能な方法で発生させ、ヒトのガンの有用な動物モデ
ルとして提供される。
(6)精製されたp18またはp19タンパク質、ペプチドフラグメントおよびオリ
ゴペプチド、あるいはp18またはp19ポリペプチド配列の結合に由来する、第2の
ポリペプチド配列との融合タンパク質は、哺乳類細胞が細胞周期のG1期を越えた
進行を阻害する。すなわち、細胞が染色体DNA分子の複製を開始することを防げ
る。精製されたp18またはp19タンパク質、あるいはそれらに由来する融合タンパ
ク質は、ガン、癌腫、腫瘍、新生物などのような制御されない細胞増殖によって
特徴づけられる疾患の処置に有用である。p18またはp19タンパク質、融合タンパ
ク質、それらに由来するペプチドフラグメントまたは合成オリゴペプチドは、分
裂期間のG1からS期への移行を停止させるために真核生物細胞に導入され得、従
って細胞、特に、急速にまたは制御されずに増殖する細胞の増殖を阻害する(実
施例7を参照のこと)。
(7)形質転換された(新生物の)細胞を識別して選択的に殺生する非ポリペ
プチドG1キナーゼ阻害剤の使用法は、当該分野で公知であり、そして例えば、Cr
issmanらによって示されている(米国特許第5,185,260(1993年2月9日))。このよ
うな方法は、低用量で、G1キナーゼ阻害剤は新生物細胞を停止することなく正常
細胞を選択的および可逆的に停止する;後者は、G1期の正常細胞に影響しない治
療薬剤により選択的に殺生し得るという事実を反映している。本発明のポリペプ
チドG1キナーゼ阻害剤(すなわち、p18およびp19タンパク質または融合タンパク
質またはそれらに由来するオリゴペプチド)は、それによって特異的に阻害され
るG1キナーゼ(すなわち、CDK4,CDK6)に関して、増強された選択制を有するこれ
らの方法において機能する。そしてこの阻害剤は、新生物細胞を殺すために、当
該分野で公知の化学療法剤との組み合わせで使用され得る。
(8)本発明の方法および組成物は、インビボでp18またはp19活性を阻害する
合成組成物の同定および設計に有用である。例えば、融合ポリペプチド(実施例
2を参照のこと)、タンパク質分解により生じるペプチドフラグメントあるいは
p18またはp19ポリペプチド配列の異なる部分を含む合成オリゴペプチドは、本明
細書中に記載したアッセイの使用により、そのCDK4およびCDK6キナーゼを結合す
る能力をアッセイされ得る(実施例3を参照のこと)。このように、CDK結合モ
チーフ内に含まれるポリペプチド配列が同定される。次いで、これらのポリペプ
チドモチーフの構造は、p18またはp19模倣体を生成するためにコンピューター補
助による合理的な薬剤設計に使用される。これらは、本発明の方法に従ってCDK4
および/またはCDK6キナーゼに結合する能力についてアッセイされる(Martin,Y
.C.,Methods in Enzymology 203:587-613(1991))。p18またはp19模倣体は、分
裂期の間のG1期からS期への進行を停止するために真核生物細胞内に導入され得
、その結果、細胞の増殖を阻害する(実施例7を参照のこと)。
(9)本発明のタンパク質およびポリペプチドの配列はまた、p18またはp19エ
ピトープに特異的に結合する抗体を産生するための抗原として有用である。特に
、p18またはp19タンパク質、またはそれらに由来する融合タンパク質は、組換え
DNA技術により作成され、そして動物を免疫するために使用される。あるいは、p
18またはp19タンパク質由来のポリペプチド配列を有する合成オリゴペプチドが
調製され、そして動物を免疫するために使用される(実施例6を参照のこと)。
(10)p18またはp19ポリペプチド配列を有するタンパク質に特異的に結合す
る抗体(実施例6を参照のこと)は、哺乳類由来の細胞中のp18またはp19タンパ
ク質の種々の形態を検出し、そのレベルを定量し、またはその存在(または非存
在)および分布を決定するアッセイに有用である。ガンと相関し、そして本発明
の方法で検出されるp18またはp19ポリペプチドにおける変化は、例えば、翻訳が
中断した結果による短縮されたタンパク質を含む。p18またはp19ポリペプチドに
対する抗体はまた、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、ウシなどのような他の哺乳類由来
のp18またはp19タンパク質を単離するために使用される。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12Q 1/68 C12Q 1/68 A
G01N 33/15 G01N 33/15 Z
33/53 33/53 D
33/574 33/574 A
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),UA(AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM
),AL,AM,AT,AU,AZ,BB,BG,BR
,BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,
ES,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,K
G,KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU
,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,
NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S
I,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ
,VN
(72)発明者 ヒライ,ヒロシ
アメリカ合衆国 テネシー 38138,メン
フィス,ヒドゥン レイク ドライブ
4999, アパートメント 301
(72)発明者 オクダ,ツカサ
アメリカ合衆国 テネシー 38128,メン
フィス,ヒドゥン レイク ドライブ
4955, アパートメント 207