JPH1057060A - 第VIII因子凝固活性およびvWF結合活性を示す医薬製剤 - Google Patents

第VIII因子凝固活性およびvWF結合活性を示す医薬製剤

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JPH1057060A
JPH1057060A JP9134976A JP13497697A JPH1057060A JP H1057060 A JPH1057060 A JP H1057060A JP 9134976 A JP9134976 A JP 9134976A JP 13497697 A JP13497697 A JP 13497697A JP H1057060 A JPH1057060 A JP H1057060A
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factor viii
protein
factor
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vwf
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JP9134976A
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Jan Voorberg
ヤン・フォールベルヒ
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Oesterreichisches Institut fuer Haemoderivate
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    • C07K14/745Blood coagulation or fibrinolysis factors
    • C07K14/755Factors VIII, e.g. factor VIII C (AHF), factor VIII Ag (VWF)
    • AHUMAN NECESSITIES
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    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/04Antihaemorrhagics; Procoagulants; Haemostatic agents; Antifibrinolytic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第VIII因子凝固促進活性およびvWF結
合活性を有する安定な医薬的製剤およびその製法と使用
法。 【解決手段】 第VIII因子凝固促進活性およびvW
F結合活性を有し、第VIII因子蛋白質のアミノ酸配
列に由来するアミノ酸配列を持ち、第VIII因子の免
疫優性領域中の少なくとも1個所に少なくとも1個の突
然変異を含む蛋白質を含有する安定な医薬的製剤を提供
する。また、この安定な医薬的製剤の製法およびその製
剤の医学的使用法を記載する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は第VIII因子凝固
促進(procoagulant)活性およびvWF結
合活性を有する安定な医薬的製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】第VIII因子は内因性血液凝固経路で
はCa2+および燐脂質の存在下に第X因子から第Xa因
子への第IXa因子依存性変換に対する補助因子として
機能している。第VIII因子cDNAの分子クローニ
ングで第VIII因子は一連の相同的なドメインから構
成されており、A1−A2−B−A3−C1−C2とし
て表示できることが判明した。血漿中では、第VIII
因子はフォンビルブラント因子(vWF)に非共有結合
的に結合した金属イオン結合ヘテロ2量体として循環し
ている。分子量90000から200000を持つ第V
III因子の重鎖はA1−およびA2−ドメインならび
にBドメインの可変部分を含む。80kDaの第VII
I因子軽鎖は、A3−、C1−およびC2−ドメインか
ら構成されている。第VIII因子の活性化は重鎖内の
Arg372とArg740および軽鎖内のArg1609アミノ
酸位置におけるトロンビンによる限定的な蛋白質分解に
よって起きる。従って活性化された第VIII因子はト
ロンビンが切断した軽鎖とともに独立したA1−および
A2−ドメインのヘテロ3重体から構成されている。
【0003】X連鎖出血性疾患である血友病Aは第VI
II因子の不在(機能的)に関連付けられてきた。何年
もかかって、多数の血友病A患者での第VIII因子遺
伝子中の分子的欠陥が特定された(Tuddenham
など、NAR、22巻(1994年):3511〜35
33頁;Antonarakisなど、Human・M
utation、5巻(1995年):1〜22頁)。
血漿中に交差反応物質(CRM+)を有する血友病A患
者には特別に注視されてきた。CRM+−血友病A患者
の血漿からの第VIII因子の微細精製法を採用する洗
練された研究によって第VIII因子の構造−機能相関
関係に関する現在の知識に明白な寄与がなされた。Ar
372およびArg1689のアミノ酸位置にあるトロンビ
ン切断部位における突然変異が第VIII因子の活性化
を妨害することが証明されたが、これはトロンビンの切
断部位が部位特異的突然変異誘発によって変化させた組
換え蛋白質で得られたデータと符合した。
【0004】さらに、第VIII因子遺伝子中の2個の
突然変異がこの蛋白質に付加的なグリコシル化を招き、
これが第VIII因子の活性を妨害することが証明され
た。血漿中の第VIII因子濃度が低い患者での遺伝子
的欠陥の分子的根拠はまだこのような明確さでは解明さ
れていない。Higuchiとその協力者は軽症血友病
Aに罹患している患者の第VIII因子遺伝子中にアミ
ノ酸番号1680にあるフェニルアラニンの代わりにチ
ロジンが置換した突然変異を確認した(PNAS、88
巻(1991年):8307〜8311頁)。この特定
のアミノ酸置換を有する組換え第VIII因子蛋白質は
vWFとの結合に欠陥を持つことが証明された。
【0005】アミノ酸番号2307にあるアルギニンが
グルタミンによって置換された第VIII因子分子の別
種の突然変異は軽症から中等度な血友病Aに関連付けら
れている(Gitschierなど、Science、
232巻(1986年):1415〜1416頁;Ca
sulaなど、Blood、(1990年):662〜
670頁)。第VIII因子の機能における残基Arg
2307の機能的な重要性はこの特異的残基を有する合成ペ
プチドが第VIII因子の燐脂質への結合を阻害する性
能によって示唆された。さらにその上、在来型第VII
I因子分子のこの部分がvWFに結合することができる
という事実が証明された。血漿から精製した材料を用
い、この突然変異によって起される欠陥を特徴付ける最
初の試みは不成功に終わった。
【0006】その一方では、第VIII因子濃縮物で処
置した血友病A患者の約20%は第VIII因子阻害剤
(すなわち、第VIII因子に対する抗体)を産生し、
それが投与した第VIII因子製品の効果を阻害するこ
とが知られている。
【0007】第VIII因子阻害性患者の処置は非常に
困難で、現在までにこれら血友病A阻害性患者を処置す
るための特効的な方法はごく僅かしかない。
【0008】高用量の第VIII因子を投与するのは非
常に高価ではあるが第VIII因子抗体を生体内で中和
することも可能である。過剰な第VIII因子が次に止
血剤として作用する。多くの場合、脱感作が起きるが、
そうすれば再び標準的な第VIII因子処置を採用する
ことが可能である。しかしながら、このような高用量で
の処置には多量の第VIII因子が必要であり、時間が
かかり、重症なアナフィラキシー副作用に苦しめられる
こともある。
【0009】費用に拘らずに第VIII因子阻害性を取
除く別法の一つでは免疫グロブリン(プロテインA、プ
ロテインG)に結合する植物性凝集素または固定化第V
III因子への体外免疫吸着を用いる。この処置の間、
患者をアフェレース装置に結合しなければならないの
で、この方法は経済的にも患者にも大きな負担となる。
これとは別に、この方法による急性出血を凝血させるこ
とも可能ではない。
【0010】しかしながら、現在選択すべき治療法はF
EIBA(商標)およびAUTOPLEX(商標)のよ
うな活性化プロトロンビン複合体濃縮物(APCC)の
投与であって、これは阻害性指数の高い患者でも急性出
血を処置するために適当である(たとえばドイツ特許公
報3127318参照)。
【0011】現在活発に研究されているその他の方法に
は抗遺伝子型抗体を含む免疫グロブリン製品の投与およ
び組換え第VIIa因子の投与がある。しかし、両方法
ともそれらの臨床的効果に最終的な評価を与えることは
現在のところ不可能である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】第VIII因子阻害剤
およびそれに関連する凝血疾患を有する患者を処置する
ための医薬的製剤であって、簡単に投与でき、投与すべ
き製品が高度に安定であり、効果的に処置でき、そして
半減期が長いために患者の負担を軽減できるものを提供
することが本発明の目的の一つである。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的は第VIII因
子凝固促進活性およびvWF結合活性を有し、第VII
I因子蛋白質、好ましくはヒトの第VIII因子蛋白
質、のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を持ち、第
VIII因子の免疫優性領域の少なくとも1個所に少な
くとも1個の突然変異を有する蛋白質を含有する安定な
医薬的製剤によって達せられる。第VIII因子蛋白質
の免疫優性領域はこの蛋白質に存在して優先的に抗体形
成を起こすエピトープ、構造またはドメインであると定
義される。
【0014】この突然変異は、あるアミノ酸の交換、置
換または欠失(たとえば、生体内で第VIII因子の活
性に必須ではない領域の欠失など)または挿入(たとえ
ばある領域の倍加など)を起こす点突然変異であっても
よい。
【0015】この突然変異が第VIII因子分子のC2
−および/またはA2−ドメインに存在するものが好ま
しい。
【0016】本発明に従えば、この製品に含まれる蛋白
質は第VIII因子凝固促進活性およびvWF結合活性
の双方を示すべきである。
【0017】本医薬的製剤中の第VIII因子突然変異
体蛋白質が免疫優性領域において突然変異を有しない第
VIII因子蛋白質、例えば組換え第VIII因子:C
に基づく商業的に入手可能な第VIII因子製品、の第
VIII因子凝固促進活性および/またはvWF結合活
性に比べ少なくとも30%、好ましくは少なくとも50
%、さらに好ましくは少なくとも80%、殊に少なくと
も100%の第VIII因子凝固促進活性および/また
はvWF結合活性を示すのが好都合である。
【0018】第VIII因子凝固促進活性およびvWF
結合活性の評価は、それぞれ一段法凝固検定、たとえば
第VIII因子IMMUNOCHROM(IMMUNO
社)のようなクロモーゲン検定法および固定化vWFへ
の第VIII因子の吸着またはその逆、など特に第VI
II因子試料を検定する時に通常実施する検査法による
これらの性質に適切な検査法のいずれによっても実行で
きる(Veltkampなど、Thromb.Diat
h.Haemos.、19巻(1968年):279〜
303頁も参照)。
【0019】本発明による突然変異体蛋白質の第VII
I因子凝固活性は、好ましくはたとえばMikaels
sonとOswaldsson、Scand.J.Ha
ematol.、33巻(1984年)Suppl.、
79〜86頁に記載のような「1段法凝固検定」によっ
て検査する。
【0020】第VIII因子活性はまた、第X因子から
第Xa因子への変換における第IXa因子の補助因子と
して機能する第VIII因子の性能を第Xa因子に対す
る発色性基質を用いて(Coatest・Factor
・VIII、Chromogenix社、メルンダー
ル、スウェーデン)測定することによって評価してもよ
い。これに加えて、試料中の第VIII因子活性量を測
定するために役立つその他の方法も本発明に記載する突
然変異体蛋白質の第VIII因子活性を検査するために
利用しうる。
【0021】ある新規突然変異体第VIII因子蛋白質
がどのような割合で第VIII因子凝固促進活性を示す
かを測定する実際の検定法は、免疫優性領域に突然変異
のない同一の第VIII因子分子に対する検定(たとえ
ば第VIII因子野生型または完全な活性を示すB−ド
メイン欠失第VIII因子)と並行して実施するのが好
ましい。このような突然変異第VIII因子分子の補正
検定法で相対的凝固促進活性(野生型またはB−ドメイ
ン欠失第VIII因子の活性を100%として比較する
百分率活性)が環境的誤差の危険なしに検定しうる。
【0022】vWF結合活性はvWF結合のための検定
の間に形成された第VIII因子:C/vWF複合体を
測定することができるいかなる検査系によって検定して
もよい。vWFへの突然変異体第VIII因子蛋白質の
結合は文献記載の検定法(たとえばLeyteなど、B
iochem.J.、257巻(1990年)、679
〜683頁;Donathなど、Biochem.
J.、312巻(1995年)、49〜55頁)を使用
して実施しうる。これらの検定法においては精製または
非精製vWFのいずれを使用してもよい。使用するvW
Fは精製vWFであることが好ましい。これらの方法
は、これに限定するものではないがマイクロタイター板
ウェルの精製vWF被覆(Leyteなど、Bioch
em.J.、257巻(1990年)、679〜683
頁)を包含する。これとは別に、vWFに対するモノク
ローナル抗体を使用して精製または非精製vWFを固定
化してもよい(Leyteなど、Biochem.
J.、274巻(1991年)、257〜261頁;D
onathなど、Biochem.J.、312巻(1
995年)、49〜55頁)。これに続き、異なる量の
第VIII因子を固定化vWFに添加して結合した第V
III因子の量を通常の方法で測定する。前記の方法を
第VIII因子突然変異体蛋白質の結合をvWFに向け
るために使用しうる。同様にしてvWFに対する第VI
II因子蛋白質の親和性測定に役立つ別の方法を本発明
に開示する突然変異体蛋白質のvWF結合性に向けるた
めに採用しうる。
【0023】第VIII因子凝固促進活性およびvWF
結合活性のための試験管内検査においては結果はしばし
ば人工的設計に起因する誤差に影響されうるので、両性
質を生体内または生体外での試験法で検定して活性値に
ついてさらに信頼度の高い結果を得るのが好ましい。
【0024】試験管内での検定のように生体内試験を実
施する時にも免疫優性領域において突然変異を有しない
第VIII因子分子との並行検査をするのが好ましい。
阻害剤の存在下に第VIII因子:C活性を評価するた
めに適当な動物モデルはWO95/01570およびA
987/95に記載されている。
【0025】好適な態様によれば、本発明の安定な医薬
的製剤中の第VIII因子突然変異体蛋白質は第VII
I因子阻害剤の存在下に第VIII因子凝固促進活性お
よび/またはvWF結合活性を示すが、これは阻害性患
者から分離したものであることも、それと等価なハイブ
リドーマ技術によって、特に抗第VIII因子抗体の存
在下に製造した抗体であることもでき、これに限定する
ものではないが第VIII因子のC2−ドメインおよび
A2−ドメインに対するヒト由来の抗体、これに限定す
るものではないがCLB−CAg117を包含するマウ
スモノクローナル抗体を包含する。阻害剤複数、少なく
とも2種類の抗体、の存在下に活性で、第VIII因子
分子の免疫優性領域に結合する第VIII因子突然変異
体を提供することは好適である。
【0026】これら好適な突然変異体蛋白質が第VII
I因子阻害剤によって阻害されないかまたは僅かしか阻
害されない事実があれば、第VIII因子阻害性患者の
処置の成功のためにはそれらが適当であることになる。
本発明による製品の第VIII因子分子の好適な突然変
異は第VIII因子の免疫優性エピトープまたは領域、
特にC2−またはA2−ドメインに存在する。部位特異
的突然変異誘発に好適な領域は、例えばThr2302およ
びTrp2313のように、アミノ酸番号2182から23
32までの領域など、Arg2307およびArg593の近
くに存在する。そこでアルギニンをグルタミンまたはシ
ステインに置換することが望ましい。好ましい例には突
然変異体R2307QおよびR593Cがある。A2−
ドメインに存在する別種の免疫優性領域はArg484
よびIle508の間(Healey,G.F.など、J
BC、270巻(1995年)、14505〜1450
9頁)およびここに近い領域に存在する。新規突然変異
体は各々本発明による製品のために必要な性質を示すか
どうかについて前に略述したようにして検定できる。
【0027】本発明による第VIII因子突然変異体は
好ましくはその他の突然変異、すなわち第VIII因子
の生理学的活性に必須ではない領域であるB−ドメイン
の少なくとも一部に欠失を示す。欧州特許第06901
26号に例示されている欠失突然変異体を本発明による
突然変異を作成するために使用できる。本発明によるこ
のようなB−ドメイン欠失第VIII因子突然変異体の
ための第VIII因子凝固活性およびvWF結合活性の
ための比較検定法はそこで免疫優性領域に突然変異を有
しないB−ドメイン欠失第VIII因子蛋白質と並行し
て実施するのが好ましい。
【0028】その他の突然変異体および/または断片な
らびに第VIII因子蛋白質の誘導体は第VIII因
子:C活性およびvWF結合活性を有する限り使用でき
る。
【0029】本発明の第VIII因子突然変異体が通常
の阻害剤によって阻害されないにもかかわらずなおvW
F結合活性を維持していることは驚異に価する。当分野
ではvWFおよび阻害剤の結合部位が重複していること
が以前から知られていたのでこの発見はなお驚異的であ
る。
【0030】試験管内または生体内でのvWFへの結合
は製品中または患者への製剤投与後における第VIII
因子突然変異体の安定性についての必要条件である。v
WF存在下では第VIII因子:C活性は安定化してお
り、その活性は長期間貯蔵後にさえ実質的に維持されて
いる。また、患者の中での第VIII因子:Cレベルも
vWF結合およびこのように安定化された第VIII因
子突然変異体の長い半減期のおかげで投与後長時間経過
後にさえ上昇したままである。
【0031】本発明の別の側面は前記第VIII因子突
然変異体とvWFまたはvWF断片とを含む生物学的に
活性な第VIII因子複合体に関する。たとえば欧州特
許第0197562号に記載されているような組換えv
WFを使用することは好適である。
【0032】本発明のさらに別の側面は哺乳類細胞中で
前記第VIII因子突然変異体蛋白質を発現すること、
これらの細胞からこの突然変異体蛋白質を精製すること
および精製された突然変異体蛋白質を医薬的製剤に製剤
化することを包含する本発明による医薬的製剤の製法で
ある。
【0033】発現および精製の段階は第VIII因子、
第VIII因子突然変異体またはこれらに関連する蛋白
質の組換え生産について公知の方法のいずれかによって
実施しうる。医薬的製剤への製剤化技術には医薬的に許
容しうる添加剤、安定化剤、別種活性成分の添加、なら
びに適当な用量剤型および即時使用型包装の提供、を包
含しうる。
【0034】発現は20℃から45℃までの範囲内の温
度で実施するのが好ましい。この発明に開示する突然変
異体蛋白質の生産のためには25℃から37℃までの温
度での発現は調整培地中での第VIII因子をかなりな
量を得るために有用かもしれず;さらに好ましくは突然
変異体蛋白質の発現を促進するためには28℃の温度を
採用しうる。
【0035】共発現の標準的な技術を使用して、第VI
II因子突然変異体蛋白質をvWFまたはその断片とと
もに共発現することも可能である。
【0036】これとは別に、第VIII因子の免疫優性
領域に特定の突然変異を有する患者の血漿から突然変異
体第VIII因子蛋白質を精製して、その精製された蛋
白質を本発明の安定な医薬的製剤を調製するために使用
することも可能である。
【0037】vWFおよび/またはvWF断片の添加は
好ましくは精製または製剤化段階の間に実施する。
【0038】本発明はまた第VIII因子阻害性を持つ
患者または第VIII因子阻害性の可能性がある患者を
処置するための医薬的製剤の製造への前記第VIII因
子突然変異体蛋白質の使用に関する。
【0039】本発明によれば、このような患者を本安定
化医薬的製剤の有効量で処置する。この有効量は彼また
は彼女が患っている疾患の重症度および患者の阻害性指
数の高さによって各患者ごとに容易に決定しうる。また
標準的な第VIII因子療法の用量は本発明による医薬
的製剤の初期用量として信頼するに足る重要な基準とな
りうる。この突然変異体蛋白質は半減期が長いので本製
剤によるその後の処置の間に用量を減少させるのがよい
(本質的に必須ではないが)と思われる。
【0040】さらに別の側面によれば、本発明は前記第
VIII因子突然変異体蛋白質に対して産生した抗体を
含む抗体製品を提供する。これらの抗体製品は、たとえ
ば本発明にによる第VIII因子突然変異体蛋白質の精
製または検出および/または測定のためにまたは、殊に
患者の血液または血漿中の、第VIII因子突然変異体
および在来型第VIII因子を識別するために使用しう
る。
【0041】
【実施例】以下の実施例および付随する図面によって本
発明をさらに詳細に説明するものであるが、しかしなが
らこれを限定するものではない。
【0042】実施例1プラスミドの構築 Ala867がAsp1583に融合している第VIII因子
突然変異体をコードするプラスミドpCLB−BPVd
B695はMertensなどが(Brit.J.Ha
ematol、85巻(1993年)、133〜145
頁)記載している。プラスミドpCLB−BPVdB6
95は合成リンカー(5’−TCGACCTCCAGT
TGAACATTTGTAGCAAGCCACCATG
GAAATAGAGCT−3’)を導入することによっ
て修正したもので、第VIII因子cDNAの5’−末
端において出発コドン(下線部分)の前に翻訳開始のた
めの共通配列に連結する第VIII因子cDNAの5’
−非翻訳領域の一部を含む(Kozak、J.Bio
l.Chem.、266巻(1991年):19867
〜19870頁)。3’−末端である第VIII因子c
DNAのヌクレオチド番号7066にあるPstI部位
(出発コドンの第一ヌクレオチドに対応するヌクレオチ
ド1)に第VIII因子dB695cDNAをプラスミ
ドBPVにクローニングするために使用するNotI部
位を含むリンカーを挿入してプラスミドpCLB−BP
VdB695を得た。プラスミドpCLB−BPVdB
695−R2307Qは重複伸長法を使用する部位特異
的突然変異誘発によって構築した(Hoなど、Gen
e、77巻(1989年):51〜59頁)。オリゴヌ
クレオチドプライマーRQ2307−1(5’−CGC
TACCTTCAAATTCACCCC−3’;第VI
II因子のヌクレオチド番号6967〜6987;セン
ス配列)およびオリゴヌクレオチドプライマーRQ23
07−2(5’−CCATAGGTTGGAATCTA
A−3’;pBPVのヌクレオチド番号1221〜12
39;アンチセンス配列)を使用して、第VIII因子
cDNAの一部およびプラスミドpBPVを含む302
bp断片を増幅した。オリゴヌクレオチドプライマーR
Q2307−3(5’−TTAGGATCCCACTA
AAGATGAGTTT−3’;ヌクレオチド番号55
30〜5547;センス配列)をオリゴヌクレオチドプ
ライマーRQ2307−4(5’−GGGGTGAAT
TTGAAGGTACCC−3’;第VIII因子のヌ
クレオチド番号6967〜6987;アンチセンス配
列)と共に使用して、第VIII因子の1464bp断
片を増幅した。反応条件は次の通り:2分間90℃、2
0分間50℃、3分間72℃;37回、45秒間90
℃、90秒間50℃、3分間72℃;5分間65℃、1
mM−dNTPs、Pfu−ポリメラーゼ反応緩衝液、
各オリゴヌクレオチドプライマー50pMol、および
Pfu−ポリメラーゼ(Lundbergなど、Gen
e、108巻(1991年)、1〜6頁)2.5U存在
下。302bpおよび1464bp断片の両方を精製し
てArg2307をGlnに交換した第VIII因子cDN
Aのカルボキシ末端を含む1738bp断片を増幅する
ためにプライマーRQ2307−1およびプライマーR
Q2307−4を使用する第二のPCRで鋳型として使
用した。増幅した断片をSalIおよびApaIで消化
して得たアミノ酸番号Arg2307での突然変異を含む8
79bp断片を用いて対応するpCLB−dB695の
ApaI−SalI断片を置換した。得られた構築物を
pCLB−dB695−R2307Qと命名した。pC
LB−dB695−R2307Qを構築するために使用
したこのSalI−ApaI断片のヌクレオチド配列は
検証がなされたものである。
【0043】実施例2組織培養および遺伝子移入 C127細胞を10%ウシ胎仔血清、100U/mLペ
ニシリンおよび100pg/mLストレプトマイシン添
加Iscove培地に維持した。C127細胞の亜密集
成長単層に本質的にDonathなど(Bioche
m.J.、312巻(1995年)、49〜55頁)の
記載のようにして遺伝子移入した。培養培地中における
第VIII因子蛋白質の存在は第VIII因子活性なら
びに第VIII因子抗体(Mertensなど(199
3年))の測定によって監視した。第VIII因子補助
因子活性は第Xa因子の第IXa因子依存性形成に対す
る補助因子として機能する第VIII因子の性能によっ
て第Xa因子に対する発色性基質(Coatest・F
actor・VIII、Chromogenix社、M
olndal、スウェーデン)を採用して評価した。第
VIII因子抗原は前に確認された(Lentingな
ど、J.Biol.Chem.、264巻(1994
年)、7150〜7155頁)モノクローナル抗体を使
用して測定した。第VIII因子軽鎖に対するモノクロ
ーナル抗体CLB−CAg12を固相として使用し、他
方では第VIII因子軽鎖に対するペルオキシダーゼ標
識モノクローナル抗体CLB−CAg117を結合した
第VIII因子を定量するために使用した。第VIII
因子重鎖の量は以下の通りに測定した:マイクロタイタ
ーのウェルにモノクローナル抗体ESH−5(2.5μ
g/mL)を50mM−NaHCO3(pH9.5)
中、4℃で一夜固定化した。ウェルを50mM−トリス
−HCl(pH7.4)、100mM−NaCl、0.
1%(v/v)トゥイーン−20で洗浄し、1%(w/
v)HSAを含有する同一の緩衝液中で1時間ブロック
した。第VIII因子の試料はブロッキング緩衝液で希
釈し、固定化抗体とともに2時間37℃でインキュベー
ションした。続いてウェルを洗浄して、結合した第VI
II因子重鎖の量をペルオキシダーゼ標識モノクローナ
ル抗体CLB−CAg9を0.7pg/ウェルの濃度で
採用して測定した。この特殊なELISAの検出限界は
10mU/mLである。提供者40名からの正常血漿の
プールを標準として使用した。これらの発現実験の結果
を表1(測定値はmU/mLで示す)に示す。
【0044】
【表1】 表1 第VIII因子dB695 第VIII因子dB695 −R2307Q 補助因子活性 181.4± 2.4 1.73±0.06 抗体(軽鎖) 199 ± 4.4 検出不能 抗体(重鎖) 225 ±39 検出不能
【0045】第VIII因子dB695とは対照的に、
第VIII因子dB695−R2307QcDNAを遺
伝子移入した細胞の培地中には補助因子活性は僅かしか
検出できなかった。第VIII因子軽鎖に特異的なEL
ISAでは免疫反応性物質は検出できなかった。Arg
2307のGlnへの突然変異の存在が使用したモノクロー
ナル抗体の結合に影響を与えることもあるので、第VI
II因子のA2−ドメインのカルボキシ末端にある酸性
領域に対するモノクローナル抗体CLB−CAg9を、
第VIII因子の重鎖に対するモノクローナル抗体ES
H−5(Griffinなど、Thromb.Haem
ostasis、55巻(1986年):40〜46
頁)とともに採用して第VIII因子抗原を試験した。
第VIII因子dB695−R2307QのcDNAを
安定に遺伝子移入した細胞の培地には第VIII因子の
抗原は検出できなかったが、この抗体の組合せを使用し
て第VIII因子dB695は検出できた。
【0046】実施例3代謝標識および免疫沈降 10%ウシ胎仔血清、100U/mLペニシリンおよび
100pg/mLストレプトマイシン添加Iscove
培地に維持した遺伝子移入細胞を80%密集成長下に代
謝的に標識した。細胞をPBSで2回洗浄し、25mM
−HEPESに対して(pH7.0)透析した10%ウ
シ胎仔血清を添加したメチオニン不含のRPMI中で3
0分間インキュベーションした(Voorbergな
ど、J.Cell.Biol.、113巻(1991
年):195〜205頁)。続いて細胞を[35S]−メ
チオニン(50μCi/mL、比放射能>800μCi
/ミリモル)の存在下に30分間標識した。代謝的に標
識した細胞の培地を1%NP−40、50mM−トリス
−HCl(pH7.5)、150mM−NaCl、0.
5%SDS、10μg/mLの大豆トリプシン阻害剤、
10mM−ベンズアミジンおよび5mM−N−エチルマ
レイミドからなる同容の2倍濃縮免疫沈降緩衝液(IP
B)に入れた。細胞を燐酸塩緩衝食塩水(PBS)で2
回洗浄し、細胞をIPBで溶解した。溶解物および調整
培地は−20℃で貯蔵するか、直ちに免疫沈降に使用し
た。細胞抽出物および調整培地をゼラチン−セファロー
スと室温で1時間インキュベーションし、プロテインA
セファロースと2回連続してインキュベーションするこ
とによって事前処理した。血漿から精製した第VIII
因子に対して産生したウサギのポリクローナル抗第VI
II因子抗血清とともにプロテインA−セファロースか
ら予め準備しておいた複合体によって一夜4℃で特異的
吸着を行った。免疫沈降物をIPBで十分に洗浄し、最
後に20mM−トリス−HCl(pH7.4)で洗浄
し、還元条件下に7.5%(w/v)SDS−ポリアク
リルアミドゲルで分析した。電気泳動後、ゲルを30%
メタノールと10%酢酸で固定し、20%ジフェニルオ
キサゾール酢酸用役で30分間処理した。続いて、ゲル
をH2O中でインキュベーションし、乾燥し、異なる時
間に露光した。免疫沈降物のエンドグリコシダーゼH消
化はVoorbergなど(J.Cell・Bio
l.、113巻(1991年):195〜205頁)に
よって実行した。
【0047】本実験によって細胞中で第VIII因子d
B695は単鎖分子として出現し、時間と共に徐々に細
胞から消失することが証明できた(図2A:チェース時
間の異なる遺伝子移入細胞の細胞抽出物の分析。レーン
1:0時間チェース、レーン2:1時間チェース、レー
ン3:3時間チェース、レーン4:4時間チェース、レ
ーン5:6時間チェース、レーン6:対照。図2B:チ
ェース時間の異なる調整培地の分析。レーン1:0時間
チェース、レーン2:1時間チェース、レーン3:3時
間チェース、レーン4:4時間チェース、レーン5:6
時間チェース、レーン6:対照。第VIII因子の単鎖
(sc)、軽鎖(lc)および重鎖(hc)を図中に示
す。分子量マーカーは図の右端に示す。
【0048】細胞中に観察されるシグナルの減少と同時
に培地中には第VIII因子反応性物質の増加が観察さ
れた。以前のデータと一致して、第VIII因子dB6
95は一部が単鎖蛋白質として分泌されるが、他方では
以前に第VIII因子dB695のBドメインの一部を
含有する軽鎖および重鎖と同定されている(Merte
nsなど(1991年))二型を検出できる。細胞内に
ある第VIII因子dB695−R2307Qの生合成
は第VIII因子dB695で観察されたものと同様で
ある。しかしながら、安定に遺伝子移入した細胞の培地
には免疫反応性物質は検出できず、第VIII因子dB
695−R2307Qは細胞から分泌されないことが判
明した(図3A:チェース時間の異なる遺伝子移入細胞
からの細胞抽出物の分析:レーン1:0時間、レーン
2:1時間、レーン3:3時間、レーン4:4時間、レ
ーン5:6時間、レーン6:対照。図3B:チェース時
間の異なる調整培地の分析:レーン1:0時間、レーン
2:1時間、レーン3:3時間、レーン4:4時間、レ
ーン5:6時間、レーン6:対照。分子量マーカーは図
の右端に示し、単鎖第VIII因子dB695−R23
07Qを図の左端に示す)。この観察は最初に合成され
た第VIII因子dB695−R2307Qの大部分が
細胞内で第VIII因子dB695とは異なる機序を経
てプロセッシングされることを示唆する。
【0049】実施例4細胞内部にある第VIII因子
の生化学的分析 第VIII因子dB695および第VIII因子dB6
95−R203Q双方の細胞内配置を検討するために、
瞬間標識追跡分析を実行した。免疫精製蛋白質のエンド
Hに対する感受性は両蛋白質の分子内局在についてのマ
ーカーを提供した。図4に示す通り、第VIII因子d
B695ならびに第VIII因子dB695−R203
Qの双方は提示した異なる時点でエンドHに対する感受
性を維持した(図4A:第VIII因子dB695cD
NA遺伝子移入細胞:レーン1:チェース0時間+エン
ドH、レーン2:チェース0時間−エンドH、レーン
3:チェース2時間+エンドH、レーン4:チェース4
時間+エンドH、レーン5:チェース6時間+エンド
H。図4B:第VIII因子dB695−R2307Q
・cDNA遺伝子移入細胞:レーン1:チェース0時間
−エンドH、レーン2:チェース0時間+エンドH、レ
ーン3:チェース2時間+エンドH、レーン4:チェー
ス4時間+エンドH、レーン5:チェース5時間+エン
ドH、分子量マーカーは各ゲルの右端に示す。
【0050】これらの結果は第VIII因子dB695
および第VIII因子dB695−R2307Qの双方
とも中間ゴルジに移行する前は主としてコンパートメン
ト区画内に存在することを示す。
【0051】実施例528℃および37℃における第
VIII因子dB695および第VIII因子dB69
5−R2307Qの発現 前パラグラフに提示した結果は第VIII因子dB69
5−R2307Qはマウス繊維芽細胞C127株から殆
ど分泌されないことを示す。第VIII因子dB695
−R2307Qの細胞内残留がC127細胞に特異的な
現象であるかどうかを判断するために第VIII因子d
B695−R2307Qおよび第VIII因子dB69
5のcDNAをSKHEP細胞中で発現させた。第VI
II因子dB695および第VIII因子dB695−
R2307Qの双方のcDNAを用いてプラスミドpC
MV−dB928(欧州特許公開0711835号−
A)にある第VIII因子dB695cDNAを交換し
た。
【0052】プラスミドpCLB−BPVdB695
(実施例1参照)を次の通りに修正して合成二重鎖リン
カー5’−GGCCGCCCGGGC−3’をpCLB
−dB695およびpCLB−dB695−R2307
QのNotI部位に挿入した。続いて第VIII因子・
cDNAのカルボキシ末端に対応するpCLB−dB6
95から誘導されたKpnI−XmaI断片を使用して
pCMV−dB928の対応するKpnI−XmaI断
片と交換した。得られたプラスミドをpCLB−CMV
−dB695と命名した。同様にして第VIII因子−
dB695−R2307Q・cDNAのカルボキシ末端
に対応するBglII−XmaI断片を用いてpCMV
−dB928の対応する断片と交換してプラスミドpC
LB−CMV−dB695−R2307Qを得た。SK
HEP細胞を10%ウシ胎仔血清、100U/mLペニ
シリンおよび100μg/mLストレプトマイシン添加
Iscove培地に維持した。本質的にDonathな
ど(Biochem.J.、312巻(1995年)、
49〜55頁)に記載のようにしてSKHEP細胞の亜
密集成長単層に遺伝子移入した。遺伝子移入した細胞を
ハイグロマイシン濃度100〜1050mg/mLで選
択し、各クローンを分離して選択培地中で増殖させた。
遺伝子移入細胞の調整培地中に存在する第VIII因子
蛋白質は第VIII因子活性ならびに第VIII因子抗
原の測定によって監視した。第VIII因子補助因子活
性は第Xa因子の第IXa因子依存性形成に対する補助
因子として機能する第VIII因子の性能によって第X
a因子に対する発色性基質(Coatest・Fact
or・VIII、Chromogenix社、Moln
dal、スウェーデン)を採用して測定した。第VII
I因子抗原は以前に確認されたモノクローナル抗体(L
eyteなど、Biochemical.J.、263
巻(1989年)、187〜194頁)を使用して測定
した。第VIII因子軽鎖に対するモノクローナル抗体
CLB−CAg12を固相として使用し、他方では第V
III因子軽鎖に対するペルオキシダーゼ複合モノクロ
ーナル抗体CLB−CAg69またはCLB−CAg1
17を使用して、結合した第VIII因子を定量した。
【0053】第VIII因子dB695を発現する遺伝
子移入SKHEP細胞を28℃および37℃で増殖させ
て培地中に分泌される第VIII因子蛋白質の量を前に
略述した第VIII因子補助因子活性を測定することに
よって監視した。37℃では第VIII因子−dB69
5は遺伝子移入SKHEP細胞から2U/mLの濃度で
分泌された。4日目に第VIII因子dB695の発現
はいくらか上昇して5U/mLに達した(図5)。28
℃では調整培地中にある第VIII因子活性の量は2〜
10U/mLの範囲内であった(図5)。第VIII因
子dB695−R2307Qを発現する遺伝子移入SK
HEP細胞を同様な手法で分析した。37℃では遺伝子
移入細胞からはごく僅かな量の第VIII因子活性(±
10mU/mL)が分泌された。驚くべきことに28℃
ではかなりな量の第VIII因子活性が第VIII因子
dB695−R2307Q・cDNAを遺伝子移入した
細胞の調整培地中に認められた(図6)。次に第VII
I因子dB695−R2307Q・cDNAを安定に遺
伝子移入したSKHEP細胞の調整培地中の第VIII
因子抗原の量を前記のモノクローナル抗体を使用して測
定した。モノクローナル抗体CLB−CAg12および
モノクローナル抗体CLB−CAg69で測定した第V
III因子抗原の量(Ag(12−69):■)は調整
培地中に存在する補助因子活性(Act:○)の量と同
様であることが判明した(図7)。この観察は第VII
I因子dB695−R2307Qは遺伝子移入SKHP
細胞から28℃では機能的に完全に活性な第VIII因
子蛋白質として分泌されることを示す。次に第VIII
因子抗原の量をモノクローナル抗体CLB−CAg12
およびCLB−CAg117を用いて検討した。驚くべ
きことに、モノクローナル抗体のこの特殊な組合せを使
用すると第VIII因子dB695−R2307Q・c
DNAを遺伝子移入した細胞の調整培地中には第VII
I因子抗原は検出できなかった(Ag(12−11
7):●)(図7)。これらのデータはモノクローナル
抗体CLB−CAg117は第VIII因子dB695
−R2307Qとは反応しないことを示す。遺伝子移入
したSKHEP細胞を免疫螢光法で分析したところCL
B−CAg117が第VIII因子dB695−R23
07Qと反応しないことが確認された。CLB−CAg
117と第VIII因子dB695−R2307Qとの
反応性がないという観察は第VIII因子中でのアミノ
酸残基Arg2307→Glnの置換がモノクローナル抗体
CLB−CAg117の結合を阻害することを証明す
る。
【0054】実施例6モノクローナル抗体CLB−C
Ag117の確認 前実施例中ではモノクローナル抗体CLB−CAg11
7は第VIII因子dB695−R2307Qには反応
性がないことを示した。これに加えて第VIII因子d
B695−R2307Qは機能的に完全に活性な第VI
II因子蛋白質であってSKHEP細胞中で28℃で発
現できることを証明できた。モノクローナル抗体CLB
−CAg117の性質をさらに確認した。モノクローナ
ル抗体CLB−CAg117のエピトープは第VIII
因子軽鎖にある。モノクローナル抗体CLB−CAg1
17が第VIII因子dB695−R2307Qと反応
しないとの観察はこの抗体のエピトープが第VIII因
子のC2−ドメインに存在していることを強く示唆す
る。プラスミドpCLB−GP67−80KおよびpC
LB−GP67−C2を構築した。第VIII因子の軽
鎖をコードするプラスミドpCLB−GP67−80K
をオリゴヌクレオチドプライマー80K−1(5’−G
CCCCATGGGGGAAATAACTCGTACT
ACTC−3’;第VIII因子のヌクレオチド番号5
000〜5020、センス配列)およびオリゴヌクレオ
チドプライマー80K−2(5’−CTGTACTGT
CACTTGTCTCCC−3’;第VIII因子のヌ
クレオチド番号5659〜5679、アンチセンス配
列)を利用して689bp断片を増幅することによって
構築した。この689bp生産物を精製してNcoIお
よびNdeIで消化した。プラスミドpCLB−dB6
95をNdeI(第VIII因子のヌクレオチド番号5
521)およびNotIで消化して第VIII因子軽鎖
のカルボキシ末端部分に対応する断片を得た。このNc
oI−NdeI断片とNdeI−NcoI断片とをプラ
スミドpAcGP678(Pharmingen社、サ
ンジェゴ、CA、米国)に共クローニングしてプラスミ
ドpCLB−GP67−80Kを得た。プラスミドpC
LB−GP67−C2はオリゴヌクレオチドプライマー
C2−1(5’−GTGCCATGGGTAGTTGC
AGCATGCCATTG−3’;第VIII因子のヌ
クレオチド番号6574〜6591;センス配列)およ
びプライマーC2−2(5’−CCATAGGTTGG
AATGTAA−3’;pBPVのヌクレオチド番号1
222〜1239;アンチセンス配列)を使用して構築
し、これを用いて第VIII因子のC2−ドメインに対
応する断片を増幅した。増幅に続いて断片をNcoIお
よびNotIで消化してプラスミドPAcGP67Bに
クローニングした。クローニングした配列のヌクレオチ
ド配列はオリゴヌクレオチド配列決定によって確証し
た。Sf−9細胞にBaculogold(商品名)B
aculovirus・Autographa・cal
ifornica・DNA(Pharmingen社、
サンジェゴ、CA、米国)とともに遺伝子移入すること
によって第VIII因子軽鎖および第VIII因子C2
−ドメインを発現する組換えバキュロウイルスが得られ
た。第VIII因子軽鎖および第VIII因子C2−ド
メインを発現する組換えウイルスを使用してHigh・
Fivc(商品名)細胞を感染多重度7で感染させた。
この細胞を2.5%ウシ胎仔血清、100U/mLペニ
シリンおよび100mg/mLストレプトマイシン添加
EX−CELL401培地を75%(v/v)およびG
race昆虫培地を25%(v/v)からなる培地中に
維持した。感染の24時間後にメチオニン不含の同様な
培養培地中、細胞を24時間[35S]メチオニン(50
μCi/mL、比放射能>800Ci/ミリモル)でパ
ルス標識した。代謝的に標識した細胞の培地を同容の2
倍濃縮免疫沈降緩衝液(IPBB)に投入した。IPB
Bは50mM−トリスHCl(pH7.6)、1M−N
aCl、1.2%(v/v)トリトン−X−100、
0.1%(w/v)トゥイーン−20、1.0%(v/
v)BSA、35mM−EDTA、10μg/mLの大
豆トリプシン阻害剤、10mM−ベンズアミジンおよび
5mM−N−エチルマレイミドからなる。モノクローナ
ル抗体CLB−CAg117による免疫沈降は次の通り
に行った。調整培地をゼラチン−セファロース4Bと室
温で2時間インキュベーションし、さらにプロテインG
セファロース4FFと連続して2回インキュベーション
することによって前処理した。プロテインG−セファロ
ースに1μg/mLのモノクローナル抗体CLB−CA
g117を添加することによって一夜4℃で特異的吸着
を行った。免疫沈降物をIPBBで十分に洗浄し、最後
に20mM−トリス−HCl(pH7.6)で洗浄し
た。結合した蛋白質をSDS−PAGE−試料緩衝液中
で5分間煮沸することによって溶離し、還元条件下に1
0%(w/v)SDS−ポリアクリルアミドゲルで分析
した。電気泳動後、ゲルを30%メタノールと10%酢
酸で固定し、10%ジフェニルオキサゾール−酢酸で3
0分間処理した。最後にゲルをH2O中でインキュベー
ションし、乾燥し、異なる時間に露光した。モノクロー
ナル抗体CLB−CAg117による免疫沈降でこの特
定の抗体が放射能標識第VIII因子軽鎖およびC2−
ドメインの双方と反応することが判明した。CLB−C
Ag117のエピトープは第VIII因子のC2−ドメ
インに存在する。CLB−CAg117自体は第VII
I因子処置後の血友病A患者に産生される抗第VIII
因子抗体に類似している。これらの抗第VIII因子抗
体のエピトープのかなりの部分はC2−ドメインに存在
する。明らかにCLB−CAg117は血友病Aの罹患
者を第VIII因子で処置すると産生される抗第VII
I因子抗体の作用を真似るために有用なモデルを提供す
る。第VIII因子活性を阻害するCLB−CAg11
7の性能を検討した。量の異なるCLB−CAg117
を正常な血漿とともに37℃で2時間インキュベーショ
ンした。続いて正常血漿の第VIII因子活性を1段凝
固検定法を使用して測定した(Mertensなど、B
rit.J.Haematol.、85巻(1993
年)、133〜145頁)。実験結果を図8に掲載する
が、これはモノクローナル抗体CLB−CAg117は
第VIII因子活性の強力な阻害剤であることを示す。
10μg/mLと僅かなCLB−CAg117でも第V
III因子活性を初期値の10%まで低下させることが
できる。要するにこれらの結果はCLB−CAg117
がそのエピトープを第VIII因子軽鎖のC2−ドメイ
ン上に有しており第VIII因子活性の強力な阻害剤と
して作用することを解明した。前記実験はCLB−CA
g117の性質が特発性にまたは第VIII因子置換療
法の結果として血友病A患者に産生される第VIII因
子のC2−ドメインに対するヒトのアロ抗体または自己
抗体の性質によく近似していることを示す。
【0055】実施例7CLB−CAg117による第
VIII因子dB695−R2307Qの阻害 前実施例では第VIII因子のC2−ドメインに対する
阻害性抗体であるモノクローナル抗体CLB−CAg1
17を確認した。実施例5にはSKHEP細胞中での第
VIII因子dB695−R2307Qの発現を記載し
た。驚くべきことに第VIII因子dB695−R23
07Qの分泌は温度依存性であって、相当量の第VII
I因子dB695−R2307Qが28℃の調整培地中
に分泌された。分泌された第VIII因子dB695−
R2307Qは機能的に活性であることが判明した。第
VIII因子抗原検定法および免疫螢光法の両方を採用
してCLB−CAg117の反応性を研究した結果、第
VIII因子dB695−R2307Qはモノクローナ
ル抗体CLB−CAg117とは反応しないことが判明
した。この観察は第VIII因子dB695−R230
7QはCLB−CAg117の第VIII因子阻害活性
に対しても非感受性であることを示唆する。この仮説を
検証するためにモノクローナル抗体CLB−CAg11
7が第VIII因子dB695−R2307Qを阻害す
る性能を測定した。対照としてはモノクローナル抗体C
LB−CAg117による第VIII因子dB695の
阻害を試験した。量の異なるCLB−CAg117を第
VIII因子dB695または第VIII因子dB69
5−R2307Qとともに室温で2時間インキュベーシ
ョンした。続いて、残留第VIII因子活性を1段法凝
固検定(Mertensなど、Brit.J.Haem
atol.、85巻(1993年):133〜145
頁)を使用して測定した。モノクローナル抗体CLB−
CAg117による第VIII因子dB695の阻害か
ら得られたパターンを観察すると0.2μg/mLと僅
かなCLB−CAg117でも残留活性を20%にする
ことが明らかになった。CLB−CAg117を増量し
てもそれ以上の第VIII因子活性阻害は得られなかっ
た。CLB−CAg117と第VIII因子dB695
−R2307Qとのインキュベーションで得られたパタ
ーンは全く相違していた。第VIII因子dB695−
R2307Qの活性はCLB−CAg117には阻害さ
れなかった。高濃度の抗体(20μg/mL)でさえ第
VIII因子dB695−R2307Qの第VIII因
子活性を阻害することができなかった(図9)。これら
の結果は第VIII因子の免疫優性領域における点突然
変異を第VIII因子活性を維持しながら阻害抗体の結
合を選択的に妨害するために使用できることを示す。A
rg2307からGlnへの交換と同様にして、第VIII
因子阻害抗体の結合を阻害するために他のアミノ酸置換
も使用しうるであろう。
【0056】実施例8第VIII因子dB695−R
2307QのvWF結合活性の測定 前実施例ではCLB−CAg117は第VIII因子d
B695−R2307Qの生物学的活性を阻害できない
ことを示した。ここでは以前に記載されている結合検定
(Leyteなど、Biochem.J.、257巻
(1990年)、679〜683頁;Donathな
ど、Biochem.J.、312巻(1995年)、
49〜55頁)を使用して第VIII因子dB695−
R2307QのvWFへの結合活性を測定した。マイク
ロタイターウェル上に精製フォンビルブラント因子(5
μg/mL)を一夜4℃で固定化した。続いて、量の異
なる第VIII因子dB695−R2307Qおよび第
VIII因子dB695を含有する血清不含培地を固定
化フォンビルブラント因子とともに1時間インキュベー
ションした。この固定化したフォンビルブラント因子に
結合した第VIII因子を定量した。この結果を図10
に示すが、これらのデータから第VIII因子dB69
5は以前のデータ(Mertensなど、Brit.
J.Haemoatol.、85巻(1993年)、1
33〜145頁)に一致して固定化フォンビルブラント
因子に結合することができることが明らかである。驚く
べきことに、第VIII因子dB695−R2307Q
も固定化フォンビルブラント因子に定量的に結合した。
これらの結果は第VIII因子dB695と同様にして
第VIII因子dB695−R2307Qもフォンビル
ブラント因子に高度な親和性で結合することができるこ
とを示す。現在のデータは第VIII因子のArg2307
→Gln置換がこの分子のフォンビルブラント因子への
結合性に影響を与えないことを示す。総合すると、これ
らの結果は第VIII因子dB695−R2307Qは
正常な第VIII因子活性を持ち、フォンビルブラント
因子に結合することができることを示す。これに加えて
第VIII因子dB695−R2307Qは抗第VII
I因子抗体の阻害効果に抵抗性であることが示された。
これが第VIII因子dB695−R2307Qを第V
III因子の凝固活性を阻害することができ、患者の抗
第VIII因子抗体の処理に有用にするかもしれない。
そこで、第VIII因子dB695−R2307Qは後
天的な血友病Aの患者の処置または第VIII因子交換
療法に続いて産生されるアロ型抗体を獲得した血友病A
患者の処置に医薬的製剤の一部分として使用されるかも
知れない。
【0057】実施例9A2−ドメイン突然変異体の調
前実施例では第VIII因子dB695−R2307Q
は、第VIII因子のC2−ドメインに対する抗第VI
II因子抗体であるCLB−CAg117によっては阻
害されないことを確認した。抗第VIII因子抗体は第
VIII因子蛋白質の別の領域に対するものであっても
よい。第VIII因子の免疫優性エピトープの一つは第
VIII因子のA2ドメインに存在する。一群の患者集
団を第VIII因子のA2−ドメインに対する抗第VI
II因子抗体の存在について検索した。患者の検索を促
進するために第VIII因子の重鎖およびA2−ドメイ
ンを発現する組換えバキュロウイルスを構築した。第V
III因子のA2−ドメインをコードするプラスミドP
CLB−GP67−A2をオリゴヌクレオチドプライマ
ーA2−1(5’−ATTCCATGGGATCAGT
TGCCAAGAAGCAT−3’、第VIII因子の
ヌクレオチド番号1174〜1191、センス配列)お
よびオリゴヌクレオチドプライマーA2−2(5’−C
TTGCGGCCGCGGAGAATCATCTTGG
TTCAATGGC−3’、第VIII因子のヌクレオ
チド番号2263〜2277、アンチセンス配列)を採
用して1135bpの断片を増幅することによって構築
した。1135bp断片を精製し、NcoIおよびNo
tIで消化し、プラスミドpAcGP67Bにクローニ
ングした。得られた構築物をpCLB−GP67−A2
と命名したが、ここでは第VIII因子のアミノ酸配列
Ser373〜Arg740が酸性糖蛋白質GP67のリーダ
ーペプチドに融合している。第VIII因子の重鎖のA
la1〜Arg740アミノ酸をコードするプラスミドpC
LB−GP67−90Kをオリゴヌクレオチドプライマ
ー90K−1(5’−TCTCCATGGGTGCCA
CCAGAAGATACTAC−3’、第VIII因子
のヌクレオチド番号58〜75、センス配列)およびオ
リゴヌクレオチドプライマー90K−2(5’−ACA
TACTAGTAGGGCTCC−3’、第VIII因
子のヌクレオチド番号577〜594、アンチセンス配
列)を使用して548bp断片を増幅することによって
構築した。548bpのPCR生成物を精製し、Nco
IおよびNdeIで消化した。プラスミドpCLB−B
PVdB695をNdeI(第VIII因子のヌクレオ
チド番号461)およびKpnI(第VIII因子のヌ
クレオチド番号1811)で消化して1351bp断片
を得た。プラスミドpCLB−GP67−A2をKpn
IおよびNotIで消化し、得られた断片を前記Nco
I−NdeI断片およびこのKpnI−NotI断片と
ともにpAcGP67Bにクローニングした。得られた
構築物をpCLB−GP67−90Kと命名した。実施
例5に記載したようにして第VIII因子重鎖およびA
2−ドメインを発現する組換えウイルスを調製した。患
者血漿20μLを使用する免疫沈降実験を実施例5に記
載のようにして実施した。以下に記載の研究では代謝的
に標識したA2−ドメインおよび第VIII因子重鎖を
使用した。血友病A患者集団の検索によって軽症血友病
A患者に由来する血漿は代謝的に標識したA2−ドメイ
ンおよび第VIII因子重鎖の双方と反応性のある抗第
VIII因子抗体を含むことが示された。軽症血友病患
者での抗第VIII因子抗体の産生はこれらの患者の血
漿中にはしばしば内因性第VIII因子がかなりな量が
存在するので比較的希である。このことは軽症病状下に
産生される抗第VIII因子抗体は外因性第VIII因
子には存在するが、内因性第VIII因子には存在しな
いエピトープに指向することを示唆する。この可能性を
検討するため抗第VIII因子抗体を有する患者の第V
III因子遺伝子内の突然変異を第VIII因子のエク
ソン26個をポリメラーゼ連鎖反応を採用して増幅する
ことによって決定した。第VIII因子遺伝子内にある
点突然変異の存在は単鎖配置多型(SSCP)を増幅し
たPCR断片の直接配列決定法と組合せて利用して検討
した。SSCPによって第VIII因子遺伝子のエクソ
ン12に対応するPCR断片の異所移動が見出された。
直接的な配列決定でArg593のCysによる置換を示
す点突然変異(C→T)を見出した。このミスセンス突
然変異が内因的に合成された第VIII因子蛋白質に立
体配座的な変化を起こしているのであろうと思われる。
この問題を解くためにArg593→Cys突然変異を第
VIII因子のA2−ドメインをコードする構築物に導
入した。Arg593がCysで置換された第VIII因
子のA2−ドメインをコードするプラスミドpCLB−
GP67B−A2−R593Cを重複伸長法を用いる部
位特異的突然変異誘発によって構築した。オリゴヌクレ
オチドプライマーR593C(5’−GAGAATAT
ACAATGCTTTCTCCC−3’、第VIII因
子のヌクレオチド番号1822〜1844、センス配
列)をオリゴヌクレオチドプライマーA2−2とともに
使用して476bpの断片を増幅した。オリゴヌクレオ
チドプライマーR593C−2(5’−GGGAGAA
AGCATTGTATATTCTC−3’、第VIII
因子のヌクレオチド番号1822〜1844、アンチセ
ンス配列)およびオリゴヌクレオチドプライマーA2−
1を使用して682bp断片を増幅した。増幅した両断
片を精製して鋳型として使用するPCRでオリゴヌクレ
オチドプライマーA2−1およびA2−2を使用してD
NA断片を増幅し、増幅した断片を精製した後にNco
IおよびNotIで消化し、プラスミドpAcGP67
BにクローニングしてプラスミドpCLB−GP67−
A2R593Cを得た。A2−ドメインを修飾したヌク
レオチド配列はオリゴヌクレオチド配列決定によって検
証した。実施例2および3に記載のようにしてArg
593→Cys突然変異を有する代謝的に標識したA2−
ドメインを含む調整培地を調製した。この代謝的に標識
した修正A2−ドメインをA2R593Cと命名した
が、これをモノクローナル抗体CLB−CAg9で免疫
沈降するとA2R593Cは野生型A2−ドメインと同
様な量で調整培地中に存在することが判明した。しかし
ながら、患者の血漿中に存在する抗体は修正A2−ドメ
イン(A2R593C)とは反応しなかった。この観察
は第VIII因子での処置の間に患者体内に産生される
抗第VIII因子抗体は野生型第VIII因子に特異的
なことを示唆する。この抗第VIII因子抗体はArg
593→Cys突然変異を含む組換えA2−ドメインとは
反応しない。以上のデータは抗第VIII因子抗体の結
合は第VIII因子蛋白質上にある免疫優性部位の選択
的な修正によって調節できることを示す。この実施例と
同様にして第VIII因子上にある他の免疫優性領域の
選択的な修正を抗第VIII因子抗体の結合を妨害する
ために利用しうるであろう。
【0058】実施例10精製した突然変異体蛋白質製
品の医薬的製剤への製剤化 実施例2および9に従って製造した突然変異体蛋白質を
クロマトグラフィー操作および/または沈降技術を含む
常法によって精製しておく。精製した蛋白質製品を次に
無菌濾過および限外濾過/透析濾過のような標準的技術
を使用して生理学的に許容される製品に製剤化した。こ
の医薬的製品に使用した好適な緩衝液は生理学的NaC
l緩衝液またはトリス緩衝液で、pH範囲が6〜8、好
ましくは7と7.5との間のものである。この医薬的製
剤中の蛋白質の濃度は患者を処置するために必要な用量
に従って選択する。
【0059】本発明による第VIII因子製品の用量は
各々出血損傷の性質、程度、および期間ならびに血友病
の重症度および阻害性指数に依存する。初期用量は通常
1U/kg体重と500U/kg体重との間、好ましく
は10U/kg体重と200U/kg体重との間に存在
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第VIII因子・dB695および第VII
I因子・dB695−R2307Qの図示。
【図2】 第VIII因子・dB695−cDNAを遺
伝子移入した細胞の瞬間標識追跡分析。
【図3】 第VIII因子・dB695−R2307Q
−cDNAを遺伝子移入した細胞の瞬間標識追跡分析。
【図4】 第VIII因子・dB695および第VII
I因子・dB695−R2307Qのエンドグリコシダ
ーゼH消化。
【図5】 SKHEP細胞中における第VIII因子・
dB695の発現。
【図6】 SKHEP細胞中における第VIII因子・
dB695−R2307Qの発現。
【図7】 SKHEP細胞中における第VIII因子・
dB695−R2307Qの発現。
【図8】 CLB−CAg117による第VIII因子
の阻害。
【図9】 CLB−CAg117による第VIII因子
の阻害。
【図10】 第VIII因子−vWF結合。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第VIII因子凝固促進活性およびvW
    F結合活性を有する蛋白質を含有する安定な医薬的製剤
    であって、その蛋白質は第VIII因子蛋白質のアミノ
    酸配列から誘導されたアミノ酸配列を持ち、その誘導さ
    れたアミノ酸配列は第VIII因子の免疫優性領域の少
    なくとも1個に少なくとも1個の突然変異を含むもの。
  2. 【請求項2】 その免疫優性領域がC2−および/また
    はA2−ドメインであることを特徴とする請求項1の製
    剤。
  3. 【請求項3】 その蛋白質が前記突然変異を有しない第
    VIII因子蛋白質の第VIII因子凝固促進活性と比
    べて少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、
    さらに好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも1
    00%の第VIII因子凝固促進活性を示すことを特徴
    とする請求項1または請求項2の製剤。
  4. 【請求項4】 その蛋白質が前記突然変異を有しない第
    VIII因子蛋白質のvWF結合活性と比べて少なくと
    も30%、好ましくは少なくとも50%、さらに好まし
    くは少なくとも80%、特に少なくとも100%のvW
    F結合活性を示すことを特徴とする請求項1から請求項
    3までのいずれかの製剤。
  5. 【請求項5】 その蛋白質が第VIII因子阻害剤の存
    在下に第VIII因子凝固促進活性を示すことを特徴と
    する請求項1から請求項4までのいずれかの製剤。
  6. 【請求項6】 その蛋白質が第VIII因子阻害剤の存
    在下にvWF結合活性を示すことを特徴とする請求項1
    から請求項5までのいずれかの製剤。
  7. 【請求項7】 その蛋白質が第VIII因子阻害性患者
    から分離した第VIII因子阻害剤の存在下またはCL
    B−CAg117のようにハイブリドーマ技術によって
    製造した等価な抗体の存在下に活性を示す請求項5また
    は請求項6の製剤。
  8. 【請求項8】 その免疫優性領域が第VIII因子阻害
    性患者から分離した第VIII因子阻害剤によって認識
    されるか、またはCLB−CAg117のようにハイブ
    リドーマ技術によって製造された等価な抗体によって認
    識されることを特徴とする請求項1から請求項7までの
    いずれかの製剤。
  9. 【請求項9】 その突然変異が突然変異体R2307Q
    および突然変異体R563Cを含む群から選択されるこ
    とを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの
    製剤。
  10. 【請求項10】 その蛋白質が前記突然変異を含むB−
    ドメイン欠失第VIII因子蛋白質であることを特徴と
    する請求項1から請求項9までのいずれかの製剤。
  11. 【請求項11】 さらにvWFおよび/またはその断片
    を含む請求項1から請求項10までのいずれかの製剤。
  12. 【請求項12】 請求項1から請求項11までのいずれ
    かによる蛋白質およびvWFまたはその断片を含有する
    生物学的に活性な第VIII因子複合体。
  13. 【請求項13】 その蛋白質が哺乳類細胞中で発現さ
    れ、その細胞から精製され、さらに医薬的製品に製剤化
    されることを特徴とする請求項1から請求項11までの
    いずれかによる製品を製造する方法。
  14. 【請求項14】 その発現が20℃から45℃までの間
    の温度、好ましくは25℃から37℃までの温度で実行
    されることを特徴とする請求項13の方法。
  15. 【請求項15】 その蛋白質がvWFまたはその断片と
    ともに共発現されることを特徴とする請求項13または
    請求項14の方法。
  16. 【請求項16】 その蛋白質が第VIII因子の免疫優
    性領域に前記突然変異を有する患者の血漿から精製した
    ものであって、それを医薬的製品に製剤化することを特
    徴とする請求項1から請求項11までのいずれかの製品
    を製造する方法。
  17. 【請求項17】 vWFおよび/またはその断片を精製
    または製剤化の段階の間に添加することを特徴とする請
    求項13から請求項16までのいずれかの方法。
  18. 【請求項18】 請求項1から請求項11までのいずれ
    かによる蛋白質を含有する第VIII因子阻害性を有す
    る患者または第VIII因子阻害性の可能性を有する患
    者を処置するための医薬的製品。
  19. 【請求項19】 請求項1から請求項11までのいずれ
    かによる蛋白質に対して産生される抗体を含む抗体製
    品。
  20. 【請求項20】 請求項1から請求項11までのいずれ
    かによる蛋白質を精製または測定するための請求項19
    による抗体製品の使用。
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EP0808901A2 (de) 1997-11-26
ATA92196A (de) 1997-07-15
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