JPH1060125A - 添加剤含有熱可塑性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

添加剤含有熱可塑性樹脂成形体の製造方法

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JPH1060125A
JPH1060125A JP8231441A JP23144196A JPH1060125A JP H1060125 A JPH1060125 A JP H1060125A JP 8231441 A JP8231441 A JP 8231441A JP 23144196 A JP23144196 A JP 23144196A JP H1060125 A JPH1060125 A JP H1060125A
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Yoichiro Makimura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂のポリマー分子に添加剤をエス
テル交換反応させて、添加剤を揮散しないように含有さ
せた熱可塑性樹脂成形体を製造するに際し、エステル交
換反応率を短時間で大幅に向上させることができる製造
法を提供する。 【解決手段】 ポリマー分子がエステル結合又はカルボ
キシル基を有する熱可塑性樹脂を加熱溶融して所定の形
状に成形する前に、アミノ基、水酸基、カルボキシル
基、エステル結合のいずれかを有する添加剤を熱可塑性
樹脂に配合し、二酸化炭素雰囲気中で加熱溶融状態の熱
可塑性樹脂のポリマー分子と添加剤とをエステル交換反
応させる。二酸化炭素の可塑化効果、溶媒効果、及び触
媒効果によって、エステル交換反応率が短時間で大幅に
向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の添加剤が揮
散、滲出しないように含有されている熱可塑性樹脂成形
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂で成形される外装用建材な
どの成形体は、耐候性や耐汚染性等を向上させるために
紫外線吸収剤や防汚剤等の添加剤を含有させて使用され
ている。
【0003】しかし、これまでの添加剤含有熱可塑性樹
脂成形体は、添加剤を物理的に混合して分散させたもの
であるため、添加剤が経時的に揮散、消失し、耐候性や
耐汚染性等を長期間維持することが困難であった。
【0004】そこで、本発明者らはエステル交換反応に
着目し、ポリエステル系樹脂を熱溶融成形する前に、ア
ミノ基、水酸基、カルボキシル基、エステル結合のいず
れかを有する添加剤をポリエステル系樹脂に配合して、
加熱溶融状態のポリエステル系樹脂のポリマー分子と添
加剤をエステル交換反応させることを要旨とする添加剤
含有樹脂成形体の製造方法(特願平5−128456
号)や、更にこの方法の適用範囲を広げて、ポリマー分
子の側鎖にエステル結合又はカルボキシル基を有する熱
可塑性樹脂を加熱溶融成形する前に、同様の添加剤を配
合してエステル交換反応させることを要旨とする添加剤
含有樹脂成形体の製造方法(特願平8−131201
号)を提案した。
【0005】これらの方法で製造される樹脂成形体は、
添加剤がポリマー分子とエステル結合して固定化される
ため、経時的に揮散、滲出することがなく、長期にわた
って添加剤の効能を維持することができるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
製造方法はエステル交換反応の効率があまり高くなく、
適当なエステル交換触媒を添加しても、反応時間を長時
間にしないと反応率を高くできず、この点で改良の余地
があった。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、エステル交換反応率を短時間で大幅に向上させるこ
とができる添加剤含有熱可塑性樹脂成形体の製造方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の添加剤含有熱可塑性樹脂成形体の製造方法
は、ポリマー分子がエステル結合又はカルボキシル基を
有する熱可塑性樹脂を加熱溶融して所定の形状に成形す
る前に、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、エステル
結合のいずれかを有する添加剤を熱可塑性樹脂に配合
し、二酸化炭素雰囲気中で加熱溶融状態の熱可塑性樹脂
のポリマー分子と添加剤とをエステル交換反応させるこ
とを特徴とするものである。そして、望ましくは加圧し
た二酸化炭素雰囲気中、更に望ましくは超臨界状態の二
酸化炭素雰囲気中で、上記のエステル交換反応を行わせ
るものである。ここで、超臨界状態の二酸化炭素とは、
31.1℃以上で73気圧以上の状態にある二酸化炭素
のことをいう。
【0009】本発明の製造方法のように二酸化炭素雰囲
気中で熱可塑性樹脂のポリマー分子と添加剤とをエステ
ル交換反応させると、適当なエステル交換触媒を添加し
なくても、後述の実験データに示されるようにエステル
交換反応率が60%以上と顕著に向上し、添加剤の6割
以上がポリマー分子にエステル結合して固定化された熱
可塑性樹脂成形体を得ることができる。
【0010】上記のように二酸化炭素雰囲気中でエステ
ル交換反応させると反応率が顕著に向上するのは、二酸
化炭素の可塑化効果、溶媒効果、及び触媒効果によるも
のと推測される。
【0011】二酸化炭素の可塑化効果とは、二酸化炭素
が熱可塑性樹脂の可塑剤的な作用をなし、樹脂の溶融粘
度を減少させるために、ポリマー分子のエステル結合部
分又はカルボキシル基と添加剤の官能基との接触する機
会が増大してエステル交換反応が促進されると考えられ
るものである。
【0012】また、二酸化炭素の溶媒効果とは、ポリマ
ー分子のエステル結合部分又はカルボキシル基の−CO
O−と二酸化炭素が同一の元素構成であるため、二酸化
炭素がエステル結合部分又はカルボキシル基の周囲に集
まって溶媒的な作用をし、エステル結合部分又はカルボ
キシル基が反応しやすい状態になってエステル交換反応
が促進されると考えられるものである。
【0013】また、二酸化炭素の触媒効果とは、二酸化
炭素が炭酸となり、酸触媒として働いてエステル交換反
応が促進されると考えられるものである。
【0014】本発明の製造方法は、常圧の二酸化炭素雰
囲気中でエステル交換反応させても上記のように反応率
が顕著に向上するものであるが、加圧された二酸化炭素
雰囲気中で反応させると、二酸化炭素が熱可塑性樹脂の
ポリマー分子間に浸透しやすくなって、二酸化炭素によ
る可塑化効果、溶媒効果、触媒効果が更に助長されるた
め、エステル交換反応率が一層向上するようになる。特
に、超臨界状態の二酸化炭素雰囲気中でエステル交換反
応させると、二酸化炭素が樹脂内部へ極めてすみやかに
浸透するため、可塑化効果や溶媒効果や触媒効果が顕著
に発揮され、エステル交換反応率がより一層顕著に向上
するようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の具
体的な実施形態を詳述する。
【0016】図1は本発明製造方法の一実施形態を示す
概略説明図であって、添加剤を含有した熱可塑性樹脂の
板状成形体を連続押出成形する場合を例示したものであ
る。
【0017】図1において、1は溶融押出成形機、1a
は成形機の後部に設けた樹脂投入用ホッパー、1bは成
形機の中間部に設けた添加剤投入用ホッパー、1cは成
形機に内装したスクリュー、1dは成形機の先端に設け
た成形用の金型、1eは成形機の中間部に設けた二酸化
炭素吹込み口、2は上下一対の冷却ロール、3は搬送ベ
ルト、4は切断機である。成形機1としては、2本のス
クリュー1cによって均一な混練を行える二軸押出成形
機が好適に使用される。
【0018】この実施形態では、予備加熱で乾燥させた
原料の熱可塑性樹脂5を成形機後部のホッパー1aから
成形機1の内部へ投入し、熱可塑性樹脂5を溶融温度以
上、熱分解温度以下に加熱して溶融させながらスクリュ
ー1cで混練する。そして、添加剤6を成形機中間部の
ホッパー1bから投入し、二酸化炭素吹込み口1eより
二酸化炭素を吹込みながら、加熱溶融状態の熱可塑性樹
脂5と添加剤6をスクリュー1cで均一に混練して、二
酸化炭素雰囲気中でエステル交換反応させた後、先端の
金型1dから板状に押出成形し、この板状成形体50を
上下一対の冷却ロール2,2で冷却しながら引き取って
搬送用ベルト3で切断機4へ搬送し、所定の長さに切断
する。
【0019】原料の熱可塑性樹脂5は、ポリマー分子の
主鎖又は側鎖にエステル結合又はカルボキシル基を有
し、添加剤6とエステル交換反応し得るものであれば全
て使用可能である。その代表的なものを例示すると、ポ
リマー分子の主鎖にエステル結合又はカルボキシル基を
有する熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリアリレート、ポリカプロラクトン、ポリラクチ
ド等のポリエステル系樹脂が挙げられる。また、ポリマ
ー分子の側鎖にエステル結合又はカルボキシル基を有す
る熱可塑性としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、これらのアルキルエステル(メチルエステル、エチ
ルエステル、プロピルエステル等)、マレイン化したポ
リエチレン、マレイン化したポリスチレン、ポリ酢酸ビ
ニル等が挙げられる。
【0020】一方、添加剤6は、分子末端又は分子中に
アミノ基、水酸基、カルボキシル基、エステル結合のい
ずれかを有し、上記の熱可塑性樹脂とエステル交換反応
し得るものであれば全て使用可能であり、目的とする熱
可塑性樹脂成形体に要求される効能を付与できるものを
種々選択して使用すればよい。そして、添加剤6の配合
量についても、その効能が充分発揮されるように適宜決
定すればよい。
【0021】添加剤6の代表的なものを例示すると、熱
可塑性樹脂成形体に耐汚染性が要求される場合には、下
記の[化1]の構造式で示される分子両末端にアミノ基
を有するポリジメチルシロキサン、下記の[化2]の構
造式で示される分子中にアミノ基を有するポリジメチル
シロキサン、下記の[化3]の構造式で示される分子片
末端にカルボキシル基を有するポリジメチルシロキサ
ン、下記の[化4]の構造式で示される分子両末端に水
酸基を有するポリジメチルシロキサン、下記の[化5]
の構造式で示される分子両端にエステル基を有するポリ
ジメチルシロキサン等のシリコン系化合物の防汚剤や、
分子両端に水酸基を有しているフッ素化ビスフェノール
A[2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘキ
サフルオロプロパン]等のフッ素系化合物の防汚剤が挙
げられる。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【0022】これらのシリコン系又はフッ素系の防汚剤
は、熱可塑性樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部
の割合で配合してポリマー分子にエステル結合させる
と、樹脂成形体に良好な溌水性を付与して優れた耐汚染
性を長期間保持させることができる。尚、場合によって
は、官能基をもたない下記の[化6]の構造式で示され
るポリジメチルシロキサンや、フルオロカーボン等を上
記の防汚剤と併用してもよい。
【化6】
【0023】また、熱可塑性樹脂成形体に耐候性が要求
される場合には、添加剤6として、分子末端にカルボキ
シル基を有する2−(2′−ヒドロキシ−5′−カルボ
キシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベ
ンゾフェノン−4−オキシ酢酸、或は、分子末端に2つ
以上の水酸基を有する2−ヒドロキシ−4−(2′−ヒ
ドロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2,2′,4,
4′,6,6′−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2
−(2′,4′−ジヒドロキシフェニル)ベンゾトリア
ゾール、2−ヒドロキシ−4−(2′−ヒドロキシエト
キシ)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−5−
(2′−ヒドロキシエチル)ベンゾトリアゾール、或
は、分子末端にアミノ基を有する2−(2′−ヒドロキ
シ−3′−アミノ−5′−t−ブチル)ベンゾトリアゾ
ール、或は、分子中にエステル基を有する2−ヒドロキ
シ−4−(2′−メタクリロイルオキシエトキシ)ベン
ゾフェノン、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシ)ベ
ンゾフェノン、2−ヒドロキシベンゾフェノン−4−オ
キシ酢酸メチル、2−(2′−アクリロイルオキシ−
5′−メチル)ベンゾトリアゾールなどの、2−ヒドロ
キシベンゾトリアゾール誘導体又は2−ヒドロキシフェ
ニルベンゾフェノン誘導体の紫外線吸収剤が好適に使用
される。
【0024】これらの紫外線吸収剤は、熱可塑性樹脂1
00重量部に対し0.01〜5重量部の割合で配合して
ポリマー分子にエステル結合させると、紫外線による成
形体の劣化を抑制して優れた耐候性を長期間保持させる
ことができる。
【0025】その他、熱可塑性樹脂成形体に要求される
効能に応じて、テトラブロモビスフェノール等の難燃
剤、チオジフェノール等の耐放射線剤、N,N−ジフェ
ニル−p−フェニレンジアミン等の抗酸化剤、トリブチ
ル錫ラウレート等の抗菌剤、テトラフェニルジプロピレ
ングリコールジホスファイト等の帯電防止剤、ジオクチ
ルフタレートやドデカノール等の可塑剤など、各種の添
加剤が使用可能である。
【0026】上記の添加剤6のうち、分子両端に官能基
を有する二官能の添加剤を選択使用し、且つ、熱可塑性
樹脂5としてポリマー分子の側鎖にエステル結合又はカ
ルボキシル基を有するものを選択使用してエステル交換
反応させると、熱可塑性樹脂のポリマー分子が、その側
鎖にエステル結合した二官能の添加剤によって三次元架
橋された構造となるため、得られる熱可塑性樹脂成形体
50の物性、殊に耐熱性が顕著に向上する。
【0027】熱可塑性樹脂5と添加剤6のエステル交換
反応は、空気雰囲気中や窒素雰囲気中でも生じるが、こ
の実施形態のように二酸化炭素を吹込んで二酸化炭素雰
囲気中でエステル交換反応させると、既述したように二
酸化炭素の可塑化効果や溶媒効果や触媒効果によってエ
ステル交換反応が著しく促進され、適当なエステル交換
触媒を添加しなくても、常圧(1気圧)で反応率が60
%以上と顕著に向上する。
【0028】その場合、二酸化炭素の圧力を上げ、この
加圧された二酸化炭素雰囲気中でエステル交換反応させ
ると、二酸化炭素が熱可塑性樹脂のポリマー分子間に浸
透しやすくなり、二酸化炭素による可塑化効果や溶媒効
果や触媒効果が更に助長されるため、反応率が一層向上
するようになる。特に、超臨界状態の二酸化炭素雰囲気
中でエステル交換反応させると、二酸化炭素が熱可塑性
樹脂中に極めてすみやかに浸透するため、エステル交換
反応率が一層顕著に向上するようになる。また、適当な
エステル交換触媒を添加すると、エステル交換反応が促
進され、反応率が更に向上するので好ましい。エステル
交換触媒としては、ルイス酸(例えば塩化鉄、酢酸コバ
ルト)、三級アミン類(例えばトリメチルアミン)等が
好適に使用される。これらの触媒は、熱可塑性樹脂10
0重量部に対し0.001〜0.5重量部の割合で配合
するのが適当であり、これより多量に配合すると、樹脂
成形体50が着色するといった不都合を生じる。
【0029】エステル交換の反応速度は、熱可塑性樹脂
の種類や添加剤の種類によって多少異なるが、通常1〜
15分程度で反応がほぼ終了する。従って、この実施形
態のように成形機1の内部でエステル交換反応を行わせ
て押出成形する場合は、添加剤6を成形機1に投入して
熱可塑性樹脂5と1〜15分程度混練したのち金型1d
から押出されるように、添加剤投入用ホッパー1bの位
置やスクリュー設計、その他の押出条件を設定して、エ
ステル交換反応を充分に行わせることが重要である。
【0030】以上のような本発明の製造方法によって得
られる熱可塑性樹脂成形体50は、エステル交換反応率
が高いため、含有されている添加剤の大部分がポリマー
分子にエステル結合して固定化されており、このように
固定化された添加剤は経時的に揮散、滲出することがな
いので、長期間に亘って添加剤の効能を維持することが
できる。しかも、この方法で透明な熱可塑性樹脂成形体
を製造すると、添加剤がエステル結合により分子レベル
で細かく分散して、物理的に分散させた場合のように添
加剤の粒子が二次凝集しないため、添加剤の分散粒子と
熱可塑性樹脂の光屈折率が異なっていても、透過光の屈
折、散乱により成形体の透明性が低下することは殆どな
く、透明な樹脂単独の成形体とあまり変わらない良好な
透明性を保持できる。
【0031】図1に例示した実施形態では、熱可塑性樹
脂5と添加剤6をホッパー1a,1bから別々に成形機
1に投入しているが、例えばホッパー1aから両者を一
緒に投入してもよいし、ホッパー1bから両者を混合し
たものを適量ずつ投入してもよく、このように投入方法
は適宜選択することができる。また、この実施形態で
は、添加剤をエステル結合させた溶融熱可塑性樹脂を金
型1dから単層で押出して板状の成形体50を製造して
いるが、金型1d等を変更してシート、フィルム、異形
品など種々の形状の成形体を製造できることは勿論であ
り、更に、共押出成形機等を用いて、添加剤をエステル
結合させた溶融熱可塑性樹脂を上層とし、該上層より添
加剤が少ないか又は全く含まない溶融熱可塑性樹脂を上
下二層もしくは三層に共押出成形して、添加剤を含む熱
可塑性樹脂層を表面に積層した二層ないし三層構造の板
状成形体を製造することも勿論可能である。また、射出
成形の場合でも、溶融熱可塑性樹脂を射出成形機の金型
内部へ射出する前に添加剤を混合してエステル交換反応
させれば、同様に添加剤がポリマー分子に固定化されて
揮散しない成形品を得ることができる。
【0032】
【実施例】次に、本発明の更に具体的な実施例と比較例
を説明する。
【0033】[実施例1]熱可塑性樹脂として、側鎖に
エステル結合を有するポリメチルメタクリレート(PM
MA)を100重量部、添加剤として、シリコン系防汚
剤である分子両端にアミノ基を備えたポリジメチルシロ
キサン(PDMS)を2.0重量部の割合で混合し、こ
の混合物を二軸押出成形機に投入した。そして、二軸押
出成形機に3気圧の二酸化炭素を吹き込みながら、上記
混合物を230℃で20分間溶融混練してエステル交換
反応させた後、成形機の金型から板状に押出成形して成
形体を得た。
【0034】この成形体を切削して溶剤(ジクロロメタ
ン)に溶解し、その溶液をキャスティングすることによ
り、厚さ50μmの試験用フィルムを作製した。
【0035】この試験用フィルムについて、PDMSの
エステル交換反応の反応率を以下の方法で求めたとこ
ろ、下記の[表1]に示すように、エステル交換反応し
たPDMSの量は1.25重量部であり、反応率は6
2.6%であった。
【0036】(エステル交換反応の反応率の試験方法)
試験用フィルムをジクロロメタンに溶解し、ジエチルエ
ーテルで沈殿させて未反応のPDMSを除去したのち、
濾過し、乾燥して試料を得た。そして、該試料の重クロ
ロホルム溶液の 1HNMRスペクトルを測定し、Si−
CH3 のプロトンの強度からエステル交換反応したPD
MSの量を計算し、次式[数1]から反応率を求めた。
【数1】
【0037】[実施例2]熱可塑性樹脂として、側鎖に
エステル結合を有するポリメチルメタクリレート(PM
MA)を100重量部、添加剤として、シリコン系防汚
剤である分子両端にアミノ基を備えたポリジメチルシロ
キサン(PDMS)を2.0重量部の割合で混合し、こ
の混合物を二軸押出成形機に投入した。そして、二軸押
出成形機に80気圧の二酸化炭素を吹き込んだ以外は実
施例1と同様にして、実施例2の試験用フィルムを得
た。
【0038】この試験用フィルムについて、実施例1と
同様にしてエステル交換反応率を求めたところ、下記の
[表1]に示すように、85.0%と高率であった。
【0039】[比較例1〜3]二酸化炭素に代えて窒素
ガスを二軸押出成形機に吹き込んだ以外は実施例1と同
様にして、比較例1の試験用フィルム(厚さ50μm)
を作製した。また、二酸化炭素に代えて3気圧の空気を
二軸押出成形機を吹き込んだ以外は実施例1と同様にし
て、比較例2の試験用フィルム(厚さ50μm)を作製
した。更に、二軸押出成形機に何の気体も吹き込まない
ようにした以外は実施例1と同様にして、比較例3の試
験用フィルム(厚さ50μm)を作製した。
【0040】そして、これら比較例1〜3の試験用フィ
ルムについて、実施例1と同様にしてエステル交換反応
率を求めたところ、下記の[表1]に示す通りであっ
た。
【表1】
【0041】この表1を見ると、二酸化炭素に代えて窒
素ガスや空気を吹き込んでエステル交換反応させた比較
例1,2の試験用フィルム、及び、何の気体も吹き込ま
ないでエステル交換反応させた比較例3の試験用フィル
ムは、いずれもPDMSのエステル交換反応率が20%
以下と低率である。これはエステル交換触媒を使用して
いないためである。
【0042】これに対し、二酸化炭素を吹き込んでエス
テル交換反応させた実施例1の試験用フィルムは、エス
テル交換触媒を使用していないにも拘らず、PDMSの
エステル交換反応率が62.6%と高率であり、二酸化
炭素の可塑化効果や溶媒効果や触媒効果によってエステ
ル交換反応が著しく促進されたことが判る。
【0043】そして、二酸化炭素を80気圧で吹き込ん
でエステル交換反応させた実施例2の試験用フィルム
は、さらにエステル交換反応率が85.0%と向上して
おり、超臨界状態(80気圧、230℃)の二酸化炭素
によりエステル交換反応率が非常に高くなることが判
る。
【0044】[実施例3,4]熱可塑性樹脂としてポリ
メチルメタクリレート(PMMA)を100重量部、添
加剤として分子両端にアミノ基を有するポリジメチルシ
ロキサン(PDMS)を2.0重量部、エステル交換触
媒として塩化鉄(FeCl3 )を0.00331重量部
の割合で混合した以外は実施例1と同様にして、実施例
3の試験用フィルム(厚さ50μm)を作製した。
【0045】そして、塩化鉄の配合量を0.05重量部
に変更した以外は上記と同様にして実施例4の試験用フ
ィルム(厚さ50μm)を作製した。
【0046】これら実施例3,4の試験用フィルムにつ
いて、実施例1と同様にPDMSのエステル交換反応率
を求めたところ、下記の[表2]に示すように、実施例
3の試験用フィルムは92.6%、実施例4の試験用フ
ィルムは98.6%と極めて高率であった。
【0047】[比較例4,5]熱可塑性樹脂としてポリ
メチルメタクリレート(PMMA)を100重量部、添
加剤として分子両端にアミノ基を有するポリジメチルシ
ロキサン(PDMS)を2.0重量部、エステル交換触
媒として塩化鉄(FeCl3 )を0.00331重量部
の割合で混合し、二酸化炭素に代えて3気圧の窒素ガス
を吹き込んだ以外は実施例1と同様にして、比較例4の
試験用フィルム(厚さ50μm)を作製した。
【0048】そして、塩化鉄の配合量を0.05重量部
に変更した以外は上記と同様にして比較例5の試験用フ
ィルム(厚さ50μm)を作製した。
【0049】これら比較例4,5の試験用フィルムにつ
いて、実施例1と同様にPDMSのエステル交換反応率
を求めた結果を下記の[表2]に示す。
【0050】[比較例6,7]熱可塑性樹脂としてポリ
メチルメタクリレート(PMMA)を100重量部、添
加剤として分子両端にアミノ基を有するポリジメチルシ
ロキサン(PDMS)を2.0重量部、エステル交換触
媒として塩化鉄(FeCl3 )を0.00331重量部
の割合で混合し、二酸化炭素に代えて3気圧の空気を吹
き込んだ以外は実施例1と同様にして、比較例6の試験
用フィルム(厚さ50μm)を作製した。
【0051】そして、塩化鉄の配合量を0.05重量部
に変更した以外は上記と同様にして比較例7の試験用フ
ィルム(厚さ50μm)を作製した。
【0052】これら比較例6,7の試験用フィルムにつ
いて、実施例1と同様にPDMSのエステル交換反応率
を求めた結果を下記の[表2]に示す。
【0053】[比較例8,9]熱可塑性樹脂としてポリ
メチルメタクリレート(PMMA)を100重量部、添
加剤として分子両端にアミノ基を有するポリジメチルシ
ロキサン(PDMS)を2.0重量部、エステル交換触
媒として塩化鉄(FeCl3 )を0.00331重量部
の割合で混合し、二軸押出成形機に何の気体も吹き込ま
ないようにした以外は実施例1と同様にして、比較例8
の試験用フィルム(厚さ50μm)を作製した。
【0054】そして、塩化鉄の配合量を0.05重量部
に変更した以外は上記と同様にして比較例9の試験用フ
ィルム(厚さ50μm)を作製した。
【0055】これら比較例8,9の試験用フィルムにつ
いて、実施例1と同様にPDMSのエステル交換反応率
を求めた結果を下記の[表2]に示す。
【表2】
【0056】この表2と前記の表1を対比すれば、触媒
(塩化鉄)の添加によって、いずれの試験用フィルムも
PDMSのエステル交換反応が大幅に促進され、触媒添
加量の多い実施例4、比較例5,7,9の試験用フィル
ムの方が、触媒添加量の少ない実施例3、比較例4,
6,8の試験用フィルムよりも、反応率が高くなってい
る。
【0057】しかし、触媒添加量が0.05重量部と多
いものでも、窒素ガスや空気を吹き込んでエステル交換
反応させた比較例5,7の試験用フィルムや、何の気体
も吹き込まないでエステル交換反応させた比較例9の試
験用フィルムは、いずれも反応率が70%前後であるの
に対し、二酸化炭素を吹き込んでエステル交換反応させ
た実施例4の試験用フィルムは、反応率が98.6%と
驚異的に向上しており、この事実から二酸化炭素がエス
テル交換反応の促進に如何に有効であるかを知ることが
できる。
【0058】[実施例5]熱可塑性樹脂としてポリメチ
ルメタクリレート(PMMA)を100重量部、添加剤
として分子両端にアミノ基を有するポリジメチルシロキ
サン(PDMS)を2.0重量部、エステル交換触媒と
して塩化鉄(FeCl3 )を0.00331重量部の割
合で混合した以外は実施例1と同様にして、厚さ70μ
mの試験用フィルムを作製した。この試験用フィルム
は、実施例3の試験用フィルムと厚さが異なるだけのも
のであり、PDMSのエステル交換反応率は、実施例3
の試験用フィルムと同じ92.6%である。
【0059】この試験用フィルムについて、550nm
の光の透過率を測定したところ、下記の[表3]に示す
ように87%であった。更に、この試験用フィルムを室
温で事務用インクのブルーブラックインクに浸漬し、2
週間浸漬後の550nmの光透過率を測定したところ、
下記の[表3]に示すように光透過率は82%であっ
た。
【0060】[比較例10〜12]熱可塑性樹脂として
ポリメチルメタクリレート(PMMA)を100重量
部、添加剤として分子両端にアミノ基を有するポリジメ
チルシロキサン(PDMS)を2.0重量部、エステル
交換触媒として塩化鉄(FeCl3 )を0.00331
重量部の割合で混合し、二軸押出成形機に何の気体も吹
き込まないようにした以外は実施例1と同様にして、比
較例10の試験用フィルム(厚さ70μm)を作製し
た。この試験用フィルムは比較例8の試験用フィルムと
厚さが異なるだけのものであり、PDMSのエステル交
換反応率は、比較例8の試験用フィルムと同じ55.0
%である。
【0061】また、PMMAを100重量部、PDMS
を2.0重量部の割合で混合し、この混合物をジクロロ
メタンに溶解して、これをキャスティングすることによ
り、PDMSを物理的に分散させた比較例11の試験用
フィルム(厚さ70μm)を作製した。
【0062】更に、PMMAをジクロロメタンに溶解
し、これをキャスティングすることによって、PDMS
を含まない比較例12の試験用フィルム(厚さ70μ
m)を作製した。
【0063】これら比較例10〜12の試験用フィルム
について、実施例5と同様にして、ブルーブラックイン
クに浸漬する前、及び、2週間浸漬した後の550nm
の光透過率を測定した。その結果を下記の[表3]に示
す。
【表3】
【0064】この表3を見ると、比較例12のPMMA
単独の試験用フィルムは、ブルーブラックインク浸漬前
の光透過率が90%と高く、透明性に優れているが、P
DMSを全く含まないため、ブルーブラックインク浸漬
後の光透過率が50%と大幅に低下し、耐汚染性に劣る
ことが判る。
【0065】また、PDMSを物理的に分散させた比較
例11の試験用フィルムは、PDMSの分散性が悪く、
二次凝集しやすいため、ブルーブラックインク浸漬前の
光透過率が30%と低く、しかも、PDMSが固定化さ
れていないため、ブルーブラックインク浸漬後の光透過
率が更に10%も低下して20%になっており、透明性
にも耐汚染性にも劣るものであることが判る。
【0066】一方、エステル交換反応によってPDMS
をポリマー分子にエステル結合させた実施例5の試験用
フィルムや比較例10の試験用フィルムは、エステル結
合したPDMSが分子レベルで分散しているため、PD
MSを物理的に分散させた比較例11の試験用フィルム
に比べると、光透過率が大幅に向上している。しかし何
の気体も吹き込まないでエステル交換反応させた比較例
10の試験用フィルムは、反応率が55%と低く、PD
MSの約半分近くが未反応のままフィルム中に分散して
いるため、ブルーブラックインク浸漬前の光透過率が7
5%とあまり高くなく、ブルーブラックインク浸漬後の
光透過率は68%まで低下しており、透明性も耐汚染性
も不満足なものである。
【0067】これに対し、本発明の製造方法によって二
酸化炭素を吹き込みながらエステル交換反応させた実施
例5の試験用フィルムは、反応率が92.6%と極めて
高く、PDMSの9割以上が分子レベルで細かく分散し
て固定化されているため、ブルーブラックインク浸漬前
の光透過率は87%と高く、PMMA単独の比較例12
の試験用フィルムの光透過率とあまり変わらない値であ
り、また、ブルーブラックインク浸漬後の光透過率も8
2%と高い数値を維持しており、透明性も耐汚染性も良
好であることが判る。
【0068】[実施例6]フィルムの厚さを70μmか
ら20μmに変更した以外は実施例5と同様にして、試
験用フィルムを作製した。
【0069】この試験用フィルムについて表面の接触角
を測定したところ、下記の[表4]に示すように84°
であった。次に、この試験用フィルムをジメチルエーテ
ルに浸漬し、室温で15時間放置した後、再び表面の接
触角を測定したところ、下記の[表4]に示すように8
4°であり、変化はなかった。
【0070】[比較例13〜15]フィルムの厚さを7
0μmから20μmに変更した以外は比較例10〜12
と同様にして、PDMSのエステル交換反応率が55%
の比較例13の試験用フィルムと、PDMSを物理的に
分散させた比較例14の試験用フィルムと、PDMSを
含まないPMMA単独の比較例15の試験用フィルムを
作製した。
【0071】これら比較例13〜15の試験用フィルム
について、実施例6と同様にジメチルエーテル浸漬前及
び浸漬後の表面の接触角を測定した。その結果を下記の
[表4]に示す。
【表4】
【0072】この表4を見ると、比較例15のPMMA
単独の試験用フィルムは、PDMSを全く含まないた
め、ジメチルエーテル浸漬前及び浸漬後の接触角が70
°と71°であり、溌水性があまり良くないことが判
る。
【0073】これに対し、PDMSを含有する実施例
6、比較例13,14の試験用フィルムは、ジメチルエ
ーテル浸漬前のPDMS含有量が同一であるため、浸漬
前の接触角はいずれも84°又は85°であり、良好な
溌水性を示す。しかし、ジメチルエーテルに浸漬する
と、PDMSを物理的に分散させた比較例14の試験用
フィルムは、表層部のPDMSがジメチルエーテルに溶
出されるため、浸漬後の接触角がPMMA単独の比較例
15の試験用フィルムと同じ71°となり、溌水性が大
幅に低下する。そして、エステル交換反応率が55%と
低い比較例13の試験用フィルムも、表層部に含まれる
PDMSのうち約半分近くの未反応のものがジメチルエ
ーテルに溶出されるため、浸漬後の接触角が76%まで
低下し、溌水性が不充分となる。
【0074】これに対し、二酸化炭素を吹き込んで9
2.6%の高率でエステル交換反応させた実施例6の試
験用フィルムは、ジメチルエーテルに浸漬しても、溶出
される未反応のPDMSが極く少量であり、実質的にP
DMSの含有量が減少しないため、浸漬後の接触角は浸
漬前の接触角と同じ84°であり、良好な溌水性を維持
していることが判る。
【0075】[実施例7〜9]熱可塑性樹脂として、主
鎖にエステル結合を有するポリカーボネート(PC)を
100重量部、添加剤として、ベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤である2−ヒドロキシ−5−(2′−ヒドロ
キシエチル)ベンゾトリアゾール(HHEBT)を1.
0重量部の割合で混合し、この混合物を二軸押出成形機
に投入した。そして、二軸押出成形機に3気圧の二酸化
炭素を吹き込みながら、上記混合物を255℃で10分
間溶融混練してエステル交換反応させた後、成形機の金
型から板状に押出成形して成形体を得た。
【0076】この成形体を切削して溶剤(ジクロロメタ
ン)に溶解し、この溶液をキャスティングすることによ
って、実施例7の試験用フィルム(厚さ50μm)を作
製した。
【0077】熱可塑性樹脂として上記のPCを100重
量部、添加剤として上記のHHEBTを1.0重量部、
エステル交換触媒として酢酸コバルトを0.01重量部
の割合で混合した以外は上記と同様にして、実施例8の
試験用フィルム(厚さ50μm)を作製した。更に、酢
酸コバルトの添加量を0.0498重量部に変更し、エ
ステル交換反応の反応時間を5分に変更して、実施例9
の試験用フィルム(厚さ50μm)を作製した。
【0078】これら実施例7〜9の試験用フィルムにつ
いて、HHEBTのエステル交換反応率を次の方法で求
めた。その結果は下記の[表5]に示す通りであった。
【0079】(エステル交換反応の反応率の試験方法)
試験用フィルムをジクロロメタンに溶解し、メタノール
で沈殿させて未反応のHHEBTを除去したのち、濾過
し、乾燥して試料を得た。そして、該試料の重クロロホ
ルム溶液の 1HNMRスペクトルを測定し、2位の炭素
に結合している水酸基のプロトンのシグナルの強度か
ら、エステル交換反応したHHEBTの料を計算し、次
式[数2]から反応率を求めた。
【数2】
【0080】[比較例16〜18]二軸押出成形機に何
の気体も吹き込まないでエステル交換反応させた以外は
上記の実施例7〜9と同様にして、比較例16〜18の
試験用フィルム(厚さ50μm)を作製した。
【0081】これら比較例16〜18の試験用フィルム
について、実施例7〜9と同様にしてHHEBTのエス
テル交換反応率を求めた結果を下記の[表5]に示す。
【表5】
【0082】この表5を見ると、何の気体も吹き込まな
いでエステル交換反応させた比較例16の触媒無添加の
試験用フィルムは、HHEBTの反応率がわずか7.6
%であるのに対し、二酸化炭素を吹き込んでエステル交
換反応させた実施例7の触媒無添加の試験用フィルム
は、HHEBTの反応率が71.6%であり、二酸化炭
素の可塑化効果、溶媒効果、触媒効果によってエステル
交換反応が顕著に促進されることが判る。
【0083】そして、触媒として酢酸コバルトを0.0
1重量部添加すると、何の気体も吹き込まないでエステ
ル交換反応させた比較例17の試験用フィルムは、HH
EBTの反応率が50%まで上昇するだけであるのに対
し、二酸化炭素を吹き込んでエステル交換反応させた実
施例8の試験用フィルムは、HHEBTの反応率が9
8.6%と驚異的に向上する。更に、酢酸コバルトの添
加量を0.498重量部まで増加すると、二酸化炭素を
吹き込んでエステル交換反応させた実施例9の試験用フ
ィルムは、反応時間を5分に短縮してもHHEBTの反
応率が83.2%と高率であり、何の気体も吹き込まな
いでエステル交換反応させた比較例18の試験用フィル
ムに比べると、反応率が約21%も上昇する。これらの
結果を見ても、二酸化炭素はエステル交換反応に極めて
有効であることが判る。
【0084】[実施例10]熱可塑性樹脂として前記の
PCを100重量部、添加剤として前記のHHEBTを
1.0重量部、エステル交換触媒として前記の酢酸コバ
ルトを0.01重量部の割合で混合し、実施例7と同様
にして厚さ100μmの試験用フィルムを作製した。こ
の試験用フィルムは実施例8の試験用フィルムと厚さが
異なるだけのものであり、HHEBTのエステル交換反
応率は、実施例8の試験用フィルムと同じ98.6%で
ある。
【0085】この試験用フィルムについて、キセノンウ
エザオメーターを用いて1ケ月の促進耐候性試験を行
い、黄変度(ΔYI)をΣ90カラーメジャーリングシ
ステム(日本電色株式会社製)で測定したところ、下記
の[表6]に示すように1.4であった。
【0086】[比較例19〜21]熱可塑性樹脂として
前記のPCを100重量部、添加剤として前記のHHE
BTを1.0重量部、エステル交換触媒として前記の酢
酸コバルトを0.01重量部の割合で混合し、何の気体
も吹き込まないでエステル交換反応させた以外は実施例
7と同様にして、比較例19の試験用フィルム(厚さ1
00μm)を作製した。この試験用フィルムは、比較例
17の試験用フィルムと厚さが異なるだけのものであ
り、HHEBTのエステル交換反応率は、比較例17の
試験用フィルムと同じ50.0%である。
【0087】また、PCを100重量部、HHEBTを
1.0重量部の割合で混合し、この混合物をジクロロメ
タンに溶解して、これをキャスティングすることによ
り、HHEBTを物理的に分散させた比較例20の試験
用フィルム(厚さ100μm)を作製した。
【0088】更に、PCをジクロロメタンに溶解し、こ
れをキャスティングすることによって、HHEBTを含
まないPC単独の比較例21の試験用フィルム(厚さ1
00μm)を作製した。
【0089】これら比較例19〜21の試験用フィルム
について、実施例10と同様に1ケ月の促進耐候性試験
を行い、黄変度(ΔYI)を測定した結果を下記の[表
6]に示す。
【表6】
【0090】この表6を見ると、PC単独の比較例21
の試験用フィルムは、黄変度(ΔYI)が6.0と大き
く、耐候性に劣っており、また、HHEBTを物理的に
分散させた比較例20の試験用フィルムも、1ケ月の間
にHHEBTがかなり揮散するため、黄変度(ΔYI)
が4.0と比較的大きく、耐候性が不充分であることが
判る。
【0091】一方、HHEBTをエステル交換反応で固
定化した実施例10及び比較例19の試験用フィルム
は、黄変度(ΔYI)の減少が見られるけれども、比較
例19の試験用フィルムはHHEBTの半分が未反応で
あるため、黄変度(ΔYI)の減少が小さく、良好な耐
候性を有するとは言い難いものである。これに対し、二
酸化炭素を吹き込んで98.6%の高反応率でエステル
交換反応させた実施例10の試験用フィルムは、HHE
BTの揮散が皆無に等しいので、黄変度(ΔYI)が
1.4と顕著に減少し、優れた耐候性を備えていること
が判る。
【0092】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の添加剤含有熱可塑性樹脂成形体の製造方法は、加熱溶
融成形前に、エステル交換反応に極めて有効な二酸化炭
素の雰囲気中で、加熱溶融状態の熱可塑性樹脂のポリマ
ー分子と添加剤とをエステル交換反応させるため、エス
テル交換反応の反応率を顕著に向上させることが可能と
なり、それによって含有添加剤の大部分が熱可塑性樹脂
のポリマー分子とエステル結合して揮散不能に固定化さ
れた、添加剤の効能持続期間が極めて長い成形体を容易
に製造することができるといった顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の添加剤含有熱可塑性樹脂成形体の製造
方法の一実施形態を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 押出成形機 1e 二酸化炭素吹込み口 5 熱可塑性樹脂 6 添加剤 50 添加剤含有熱可塑性樹脂成形体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリマー分子がエステル結合又はカルボキ
    シル基を有する熱可塑性樹脂を加熱溶融して所定の形状
    に成形する前に、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、
    エステル結合のいずれかを有する添加剤を熱可塑性樹脂
    に配合し、二酸化炭素雰囲気中で加熱溶融状態の熱可塑
    性樹脂のポリマー分子と添加剤とをエステル交換反応さ
    せることを特徴とする添加剤含有熱可塑性樹脂成形体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】加圧した二酸化炭素雰囲気中でエステル交
    換反応させることを特徴とする請求項1に記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】超臨界状態の二酸化炭素雰囲気中でエステ
    ル交換反応させることを特徴とする請求項2に記載の製
    造方法。
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