JPH1061777A - 合成樹脂製シールリング - Google Patents

合成樹脂製シールリング

Info

Publication number
JPH1061777A
JPH1061777A JP9142487A JP14248797A JPH1061777A JP H1061777 A JPH1061777 A JP H1061777A JP 9142487 A JP9142487 A JP 9142487A JP 14248797 A JP14248797 A JP 14248797A JP H1061777 A JPH1061777 A JP H1061777A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seal ring
resin
weight
outer diameter
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9142487A
Other languages
English (en)
Inventor
Kozo Kakehi
幸三 筧
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP9142487A priority Critical patent/JPH1061777A/ja
Publication of JPH1061777A publication Critical patent/JPH1061777A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sealing Devices (AREA)
  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧の高い状態においても使用可能であり、
かつ、組み込み性の良好なシールリングとする。 【解決手段】 ポリエーテルケトン樹脂などの耐熱性樹
脂85〜60重量%および繊維状強化材(炭素繊維)な
どの添加剤15〜40重量%を含有する樹脂組成物から
なり、その外径を10〜30mmとする。または、耐熱
性樹脂85〜60重量%および繊維状強化材などの添加
剤15〜40重量%を含有する樹脂組成物100重量部
に対して、PTFE、グラファイト、二硫化モリブデン
などの潤滑性付与剤を1〜20重量部添加した潤滑剤含
有樹脂組成物からなり、その外径が10〜30mmであ
る合成樹脂製シールリングとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、合成樹脂製シー
ルリングに関し、詳しくは、自動車等における連続無段
可変変速機や動力舵取り装置など、封止するオイル等の
流体圧力が高い装置に適用される合成樹脂製シールリン
グに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、連続無段可変変速機(コンティ
ニュアスリー・バリアブル・トランスミッション:以
下、CVTと略記する。)は、広範囲に変化する車両の
走行条件に合わせて駆動車輪の駆動力と走行速度を変更
し、自動車の内燃機関の性能を発揮させるものである。
CVTの機構は、図4に示すように、被駆動軸1に固定
された固定プーリ2とこの固定プーリ2に接触分離可能
に装着された可動プーリ3とを有するプーリの両プーリ
部片間に形成される溝部の幅を増減することによりプー
リに巻掛けられたベルトの回転半径を増減させて動力を
伝達し、変速比を変化させるものである。
【0003】上記CVTの被駆動軸1には、油圧式クラ
ッチ4が設けられ、この油圧式クラッチ4と可動プーリ
3には、それぞれ油圧室5および6が設けられている。
上記油圧室5および6の潤滑油は、油圧通路7および8
を通って被駆動軸1の外周面およびその周囲の部材に供
給される。このため、被駆動軸1上等の摺動部位(例え
ば軸溝10内)には、潤滑油漏れを防止するため多数の
オイルシールリング9が設けられている。
【0004】このオイルシールリング9は、低摩擦であ
るとともに耐摩耗性に優れ、しかも被駆動軸1等の相手
材を傷つけずに充分なオイルシール性を発揮するという
多くの特性が要求される。
【0005】一般にオイルシールリング材料としては、
四フッ化エチレン樹脂(以下、PTFEと略する。)が
使用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、CVT
においては、上記潤滑油の油圧が3〜6MPaと、通常
用途(AT等)における潤滑油の油圧1〜2MPaに比
べてかなり高く、これに用いられるオイルシールリング
9は、この高い油圧への耐久性が要求される。
【0007】このようなオイルシールリングには、常用
使用温度の40℃以上に耐える耐熱性、瞬間最高温度約
180℃程度に耐える耐熱性、具体的には80〜160
℃の連続使用温度下で溶融しない耐熱性が要求される。
【0008】また、このようなオイルシールリング9の
外径は、10〜30mmと小径のため、オイルシールリ
ングを組み込む際に折れ損じたりする等といった問題が
生じないように、良好な組み込み性が要求される。
【0009】また、上記したPTFE製のオイルシール
リングは、PV値(押付圧力(P)と摺動速度(V)の
積)が高くなるとリング自体の摩耗やクリープが大きく
なり、充分なオイルシール性が得られない状態になると
いう問題もある。
【0010】また、オイルシールリングは、高速運動時
に各部より発生する熱によって高温になる場合があり、
また寒冷地における使用にも耐える耐寒性が要求され、
具体的には−40〜180℃の幅広い温度条件に耐える
特性も要求される。
【0011】そこで、この発明の課題は上記した問題点
を解決して、油圧の高い状態でも使用可能であり、シー
ル性に優れ、また良好な摩擦摩耗特性を有し、かつ組み
込み性の良好なシールリングを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、耐熱性樹脂85〜60重量%
および添加剤15〜40重量%を含有する樹脂組成物か
らなる高圧流体封止用の合成樹脂製シールリングとした
のである。
【0013】また、耐熱性樹脂85〜60重量%および
添加剤15〜40重量%を含有する樹脂組成物100重
量部に対して、潤滑性付与剤を1〜20重量部添加した
組成物からなる高圧流体封止用の合成樹脂製シールリン
グとしたのである。
【0014】前記した添加材は、繊維状、棒状、粒状、
球状、鱗片状、板状などの任意形態の添加剤を採用でき
る。
【0015】または、前記の課題を解決するため、本願
の発明では耐熱性樹脂85〜60重量%および繊維状強
化材15〜40重量%を含有する樹脂組成物からなり、
その外径は10〜30mmのシールリングとしたのであ
る。
【0016】または、耐熱性樹脂85〜60重量%およ
び繊維状強化材15〜40重量%を含有する樹脂組成物
100重量部に対して、潤滑性付与剤を1〜20重量部
添加した潤滑剤含有樹脂組成物からなり、その外径を1
0〜30mmのシールリングとしたのである。
【0017】さらに、前記繊維状強化材は、繊維長0.
01〜1mmであり、繊維径1〜25μmのものを採用
できる。
【0018】前記耐熱性樹脂は、芳香族系ポリエーテル
ケトン樹脂であり、前記繊維状強化材はカーボン繊維を
採用することができる。
【0019】前記のCVTは、一般に外径が10〜30
mmのオイルシールリングが用いられ、上記2成分以上
の組成物からなるシールリングは、良好な摺動特性があ
り、かつ組み込み性がよい。また、油圧の高い状態にお
いても使用可能なシールリングである。
【0020】
【発明の実施の形態】実施形態のシールリングは、油
圧、水圧、気圧などの流体圧力が作用するあらゆる密封
装置に関して適用することが可能である。その一例のオ
イルシールリングが用いられるCVTは、前述の機構
(図4)を有しており、これに用いられるオイルシール
リングの大きさは、外径10〜30mmのものが多い。
また、この発明のオイルシールリングにかかる油圧は、
3〜6MPaと一般のシールリングに比べて高圧であ
り、CVTの回転数は、100rpm以上であり、通常
は約1000〜10000rpmという高速回転で使用
される。
【0021】ここでは、前記したCVTを一例として軸
もしくはハウジング等で密封された装置のうち、少なく
とも一方が主として相対的に回転駆動する密封装置につ
いて説明する。
【0022】所定の外径を有し、上記油圧に耐えるシー
ルリングを得るために、その材料として耐熱性樹脂85
〜60重量%、および繊維状強化材15〜40重量%を
含有する樹脂組成物を用いる。また、上記した樹脂組成
物100重量部に対して、潤滑性付与剤を1〜20重量
部、好ましくは5〜15重量部添加した潤滑剤含有樹脂
組成物を用いることもできる。
【0023】この発明に用いる耐熱性樹脂としては、重
合体の主鎖中に芳香族環が例えば10重量%以上、好ま
しくは20〜100重量%を含有するような芳香族系耐
熱性樹脂が好ましく、特に、高い耐熱性と耐燃焼性に加
えて優れた機械的特性、電気的特性および耐薬品性を有
するものが好ましい。
【0024】このような耐熱性樹脂の例として、ポリエ
ーテルケトン(以下、PEKと略称する。)、ポリエー
テルエーテルケトン(以下、PEEKと略称する。)、
ポリエーテルニトリル樹脂(以下、PENと略称す
る。)、芳香族熱可塑性ポリイミド樹脂(以下、TPI
と略称する。)、ポリアミド4−6樹脂(以下、PA4
−6と略称する。)、ポリフェニレンスルフィド樹脂
(以下、PPSと略称する。)が挙げられ、これらの二
種以上の混合物であってもよい。また、主に射出成形可
能な合成樹脂を主成分とする耐熱性樹脂が好ましい。
【0025】上記PEEK等を含むPEK系樹脂等の芳
香族系耐熱性樹脂は、その融点の下限値が280℃以
上、好ましくは300℃以上、より好ましくは330℃
以上であって、その上限値は550℃以下、好ましくは
500℃以下、より好ましくは450℃以下であれば、
耐熱性および射出成形性に優れたオイルシールリングを
製造できる。
【0026】芳香族系耐熱性樹脂のうち、結晶性樹脂
は、より高度の耐熱性を満足するので好ましいものであ
り、例えば最大結晶化度が少なくとも20%以上、好ま
しくは30〜80%、より好ましくは40〜70%のも
のは、耐熱性、耐折損性に優れている。しかしながら、
この発明に用いる耐熱性樹脂は、必ずしも芳香族環が含
有されていなくてもよく、前記した融点の範囲や結晶化
度の数値の範囲外の耐熱性樹脂、例えば前記以外の熱硬
化性樹脂であったり、また非晶性樹脂であってもよい。
【0027】これらの耐熱性樹脂の溶融粘度は、せん断
速度が1×(102 〜104 )sec-1、好ましくは1×
103 sec -1、樹脂温度300〜500℃の条件下にて
300ポイズ以上、100000ポイズ以下、好ましく
は500ポイズ以上10000ポイズ以下、さらに好ま
しくは1000〜6000ポイズであり、好ましくは2
000〜4000ポイズである。溶融粘度が300ポイ
ズより小さいと、150℃以上の高温域で耐クリーブ特
性などの機械的特性が低下し、変形しやすいので好まし
くない。また、100000ポイズより大きいと、組成
物材料にもよるが成形性が劣り、また柔軟性が低下し
て、軸、ピストン等の溝部(図4中の符号10で示され
る部分)にシールリングを組み込み難いので、好ましく
ない。なお、PEEKの溶融粘度は、せん断速度1×1
3sec -1 、樹脂温度400℃にて約1500〜450
0ポイズである。
【0028】前記したポリエーテルケトン系樹脂として
は、エーテル結合を有するケトン系ポリマーを用いるこ
とができ、主たる構造単位として、下記の化1〜化4
(いずれも、nは整数を示す。)で示されるものが挙げ
られる。
【0029】これらはいずれも結晶性の樹脂であり、こ
れら化1〜化4の構造単位の繰り返しからなるものだけ
でなく、下記の化5や化6(いずれも、nは整数を示
す。)の式で示される重合体が共重合したものでもよ
い。このような共重合体における化1〜化4の構造の割
合は、重合体全体の50重量%以上、好ましくは70重
量%以上、より好ましくは80重量〜100重量%の範
囲であり、そのような共重合体であれば耐熱性等のケト
ン系樹脂として本来の特性を発揮できる。
【0030】なお、耐熱性の点で最も好ましいポリエー
テルケトン系樹脂は、エーテル基、ケトン基間の結合が
全て芳香族環からなる熱可塑性全芳香族PEKまたは熱
可塑性全芳香族PEEKである。
【0031】
【化1】
【0032】
【化2】
【0033】
【化3】
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】これらの市販されている具体例としては、
(化1)のPEKとしてビクトレックス・リミテド社
製:VICTREX−PEK220G、(化2)のPE
EKとしてビクトレックス・リミテド社製:VICTR
EX−PEEK150P(融点334〜337℃)、
(化3)のPEEKとしてヘキスト社製:HOSTAT
EC、(化4)のPEKとしてビー・エー・エス・エフ
社製:ULTRA PEK−A1000が挙げられる。
【0038】また、PENとしては、出光興産社製:I
D300、TPIとして三井東圧化学社製:オーラム4
50、PA46として日本合成ゴム社製:スタニールT
W300、ユニチカ社製:F5001が挙げられ、PP
Sとしてはトープレン社製:K4、T4、LCX−7な
どがあげられる。
【0039】この発明に用いる繊維(ウィスカも含む)
状強化材の具体例としては、炭素繊維(カーボンファイ
バ)が挙げられる。炭素繊維としては、ピッチ系、PA
N系等のものがあるが、ピッチ系がよい。これは、ピッ
チ系の炭素繊維は、PAN系のものに比べて相手材への
攻撃性が小さく、かつ耐摩耗性に優れているからであ
る。
【0040】炭素繊維の平均繊維長は0.01〜1mm
が好ましく、0.01〜0.3mmがより好ましい。ま
た、平均繊維径は、1〜25μmが好ましく、5〜25
μmがより好ましく、10〜20μmが更に好ましい。
平均繊維長が0.01mm未満だと、上記樹脂組成物の
マトリックス自体の補強効果が損なわれて機械的特性が
低下し、また、1mmを越えると、混合時の均一分散が
極めて困難で、摩耗特性に支障をきたし品質低下を招
く。また、平均繊維径が1μm未満の場合は、繊維間の
凝集が起こり、均一分散が困難となり、また、25μm
を越えると相手材を摩耗するからである。また、ウィス
カのサイズは、平均繊維径0.1μm以上1μm未満、
平均繊維長1μm以上10μm未満のものが好ましい。
【0041】炭素繊維の平均引張強度は、490〜98
0MPaが好ましく、平均引張弾性率は30〜50GP
aが好ましい。平均引張強度が980MPaを越える
と、炭素繊維自体の剪断力が強く、相手材と摺動すると
きに剪断されず、ベース樹脂より抜け出して相手材との
間に介在するため、摩耗に悪影響を及ぼすためである。
490MPa未満のときは、高圧流体圧力や高温使用下
において、所望の機械的強度や熱変形温度等の物性を有
するオイルシールリングを提供することが困難となる。
【0042】上記範囲の引張強度を有する炭素繊維は、
適度な機械的強度を有する繊維であるので、これを用い
た合成樹脂製オイルシールリングは適度な機械的強度を
有する。このため、摺動相手材を攻撃して摩耗させるの
を抑えることを期待できる。因みに、以上の条件を満足
する炭素繊維として、ピッチ系カーボンファイバが、機
械的強度や摺接相手材損傷性および入手性(価格)の点
で好ましく、総合的観点からも好ましい。
【0043】ピッチ系炭素繊維の市販例としては、呉羽
化学工業社製:クレカM207S(繊維径12〜13μ
m)等の「クレカ」(商品名)シリーズがあり、特に同
社製のクレカチョップM201F(平均繊維径12.5
μm、平均繊維長0.13mm)、同M201S(平均
繊維径14.5μm、平均繊維長0.13mm)、同M
107T(平均繊維径18.0μm、平均繊維長0.7
0mm)等が挙げられる。
【0044】また、PAN系炭素繊維は、ポリアクリロ
ニトリル繊維等のアクリル系繊維を加熱して焼く方法で
製造することができる。加熱温度によって所定の引張弾
性率を得ることができ、例えば、約1000〜1500
℃で加熱すると引張弾性率は平均200〜350GP
a、引張強度は平均3000〜6000MPaとなる。
また、約2000℃で加熱して、引張弾性率を平均35
0〜500GPa、好ましくは平均400〜500GP
aとすることもできる。従って、PAN系炭素繊維は、
高い引張強度の繊維で、加熱温度により引張強度は平均
2000〜6000MPaの範囲のものも得られ、要求
により平均2500〜3000MPaの範囲のものを製
造することもできると考えられる。これらの数値が低す
ぎると圧縮クリープ等に関する補強が期待できず、これ
らの数値が高すぎると、軸、ピストン、シリンダ等の相
手材を攻撃することも予想される。
【0045】このPAN系炭素繊維の例としては、東邦
レーヨン社製「ベスファイト」(商品名)シリーズ全般
があげられ、その具体例としては、ベスファイトHTA
−CMF−0040−E、ベスファイトHTA−CMF
−0160−E、ベスファイトHTA−CMF−100
0−E、ベスファイトHTA−C6−E等(いずれも、
繊維長6mm)があげられる。また、東レ社製の「トレ
カ」(商品名)シリーズ全般もあげられ、その具体例と
しては、トレカMLD−300、トレカMLD−100
0等があげられる。これらのピッチ系やPAN系の炭素
繊維は、酸やアルカリ等の薬品類の影響を受けにくく、
また、耐摩耗性も有している。
【0046】なお、これらの炭素繊維などの繊維状強化
材と耐熱性樹脂との密着性を高め、シールリングの機械
的特性等を向上させるために、これらの炭素繊維の表面
をエポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネー
ト系樹脂、ポリアセタール系樹脂等含有の処理剤や、エ
ポキシシラン系、アミノシラン系などのシラン系カップ
リング剤等により表面処理を施してもよい。
【0047】上記樹脂組成物中の芳香族系耐熱性樹脂と
繊維状強化材との配合割合は、芳香族系耐熱性樹脂が8
5〜60重量%、繊維状強化材が15〜40重量%の場
合が好ましい。繊維状強化材が15重量%未満の場合
は、耐摩耗性の向上をほとんど期待できないからであ
る。また、40重量%を越えると、上記樹脂組成物の溶
融流動性が著しく低下し、成形性が低下するからであ
り、さらに、成形してオイルシールリングとしたときに
組み付け性が低下し、オイルシールリングを組み付ける
ときに折損してしまうからである。
【0048】この発明に係るシールリングのうち、外径
が10〜30mm、好ましくは10〜25mm、特に2
5mm未満のものであるものは、摺動時の摩擦トルクを
減少させる。より詳しくは、シールリングの矩形断面の
少なくとも一方の長さ(矩形断面の幅、側面の肉厚)
が、リング外周径の5/100〜15/100、好まし
くは6/100〜12/100、より好ましくは8/1
00〜10/100の比例関係であるものは、摺動時の
摩擦トルクを減少させる。
【0049】このため、樹脂組成物として上記芳香族系
耐熱性樹脂および繊維状強化材からなる樹脂組成物を用
い、これに潤滑性付与剤や充填物を添加しなくても、充
分な摺動性や潤滑性を得ることができる。このようなシ
ールリングの展開長さは、100mm以下、好ましくは
80mm以下であり、より好ましくは30〜70mmで
ある。尚、高圧流体がオイルである場合は、オイル自体
も潤滑性付与剤としての役割を果たすため、より一層の
摩擦トルクの低減と耐摩耗性の向上を期待できる。
【0050】また、上記潤滑性付与剤の添加量が多い
と、外径が10〜30mmのような小さなオイルシール
リングを成形するときの成形性が低下する。そのため、
成形性に支障の出ない程度の量の潤滑性付与剤を上記樹
脂組成物に添加した材料を用いて、この発明のシールリ
ングを成形してもよい。
【0051】潤滑性付与剤の添加量は、外径が10〜3
0mmのような小さなオイルシールリングを成形すると
きの成形性が低下しないように、芳香族系耐熱性樹脂お
よび繊維状強化材からなる樹脂組成物100重量部に対
し、1〜20重量部、好ましくは5〜15重量部添加す
ることが好ましい。なお、流体制御装置等に合わせてシ
ールリングを適当な仕様で設計する場合には、必ずしも
前記外径寸法範囲内に設定する必要はない。
【0052】また、潤滑性付与剤としては、フッ素樹脂
などのフッ化化合物、グラファイト、二硫化モリブデン
等のモリブデン化合物や二硫化タングステン等のタング
ステン化合物、そしてまたこれらのような硫化物、マイ
カ、カーボン、またはエコノールなどの芳香族ポリエス
テル等が挙げられる。また、溶融混合成形等の射出成形
時における樹脂組成物の溶融温度(例えば融点)よりも
高い温度(例えば350℃以上)のものも潤滑性付与剤
として好ましいものである。
【0053】フッ素樹脂としては、PTFEの他、テト
ラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル(プロピ
ル)ビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FE
P)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTF
E)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(E
TFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重
合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(P
VDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)、テトラ
フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフ
ルオロオレフィン(アルキルビニルエーテル)共重合体
(EPE)等をあげることができる。
【0054】このなかでもPTFE、PFA、FEP等
のパーフルオロ系のフッ素樹脂は、炭素の周囲を全て、
あるいは酸素を介して全て取り囲まれているので安定し
ており、摺動性や耐熱性に優れる。これらのフッ素系樹
脂、例えば射出成形可能なフッ素樹脂をシールリングの
主成分としてもよい。
【0055】パーフルオロ系フッ素樹脂は、微分熱分解
開始温度が比較的高く好ましい。例えば、PTFE,P
VDFの熱分解点はそれぞれ約490℃、約350℃で
あり、これらの微分熱分解開始温度は、それぞれ約55
5℃、約460℃を示し、中でも、PTFE、PFA、
FEP等は、高温特性に優れていて好ましい。このた
め、上記樹脂を含む組成物を溶融してシールリングとす
る過程での熱履歴に比較的耐え得る。特に、PTFEの
分解点は、溶融温度が約330〜390℃前後のケトン
系樹脂より100〜200℃高く好ましい。なお、PT
FEの単体またはPTFEを主成分とする樹脂組成物
は、極めて溶融粘度が高く、340〜380℃での溶融
粘度が約11〜1012ポイズまたはこれ以上であるの
で、射出成形法で成形体を製造することが困難である
か、不可能であるといってもよい。
【0056】PTFEを粉末状にして耐熱性樹脂に添加
する場合は、粉末状にすればその形状や大きさを特に限
定することなく用いることができるが、粒状のもので平
均粒径が70μm以下(好ましくは1〜50μm、より
好ましくは3〜30μm)のものは、樹脂組成を均一に
するために好ましい。
【0057】また、この発明で添加剤、潤滑性付与剤と
してPTFEを用いる場合には、バージン材のPTFE
粉末に代え、再生PTFE粉末を用いることによってよ
り好ましい結果が得られる。再生PTFE粉末は、バー
ジン材を一度焼成した後、粉砕して得られる粉末である
から、バージン材のPTFEを樹脂組成物に添加したと
きのように樹脂組成物の溶融粘度を著しく上昇させるこ
とがなく、射出成形性を阻害しないものである。また、
再生PTFE粉末は、一度焼成されているので、これを
混合した樹脂成形品の寸法変化、形状変化またはクラッ
クの発生なども起こらず安定した成形品が得られる添加
剤である。
【0058】再生PTFE粉末の原料であるPTFE樹
脂は、骨格となる分子鎖を構成する炭素原子の周囲が全
てフッ素原子で取り囲まれたものであり、C−F間の強
固な結合により、フッ素系樹脂のなかでも最も耐熱性が
高く、また摩擦係数、非粘着性、耐薬品性等の諸特性に
優れている。なお、PTFE樹脂の熱分解温度は、約5
08〜538℃である。上述した再生PTFE粉末の市
販品としては、例えば喜多村社製:KT300M、KT
300H、KT400M、KT400H、KTL610
などがある。
【0059】また、前記したグラファイトは、鱗片状、
球状などいかなる形状であってもよく、また天然黒鉛、
人造黒鉛であってもよく、鱗片状の天然黒鉛は、摺動
性、価格などにおいて優れている。そして、グラファイ
トは、固定炭素量が例えば90%以上、好ましくは95
%以上、より好ましくは97%以上、100%以下のも
のであれば、これを配合したシールリングは、耐摩耗
性、結晶化などの熱処理工程による成形体の収縮などの
点で好ましいものになる。
【0060】上記モリブデン化合物としては、モリブデ
ンを含有する化合物であればよく、代表例の二硫化モリ
ブデン(MoS2 )以外に、セレン化モリブデン、酸化
モリブデン(MoO3 )、窒化二モリブデン(Mo
2 N)、モリブデン酸カルシウム(CaMoO4 、Ca
3 MoO6 )、モリブデンブロンズ(NaX MoO3
ここで、0<x≦1)等があげられる。
【0061】タングステン化合物としては、タングステ
ンを有する化合物であればよく、二硫化タングステン
(WS2 )以外に、セレン化タングステン、酸化タング
ステン(WO3 )、窒化二タングステン(W2 N)、タ
ングステン酸カルシウム(CaWO4 、Ca3
6 )、タングステンブロンズ(NaX WO3 :ここ
で、0<x≦1)等が挙げられる。
【0062】これらの化合物のなかでもパーフルオロ系
フッ化化合物や硫化化合物、また固定炭素量が97〜1
00%の黒鉛は、分子構造上安定しているため、耐熱
性、摺動性等の点で好ましいと考えられる。
【0063】シールリングの成形方法は、特に限定され
ることなく、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー
等の混合機に上記樹脂組成物中の繊維状、粒状などの各
種添加剤を配合し、乾式混合した後、圧縮成形、射出成
形、押出成形等の任意の方法で行うことができる。寸法
精度の良いシールリングを射出成形するためには、前記
樹脂組成物を溶融混合して造粒体を製造し、これを射出
成形することが好ましい。
【0064】射出成形では、図1および図2に示すよう
な複雑な形状のシールリングを容易に効率よく生産で
き、低コストでシールリングを製造できる。成形品は、
合い口部を閉じた状態で例えば80〜380℃、PEE
K材では140〜320℃といったように樹脂材のガラ
ス転移点以上融点未満の温度で、約1〜24時間程度の
熱処理を施せば、高温で使用する場合の寸法が安定す
る。
【0065】シールリングの合い口部分の形状は、シー
ル性を阻害しない範囲で任意の形状をとることができ、
例えば、図1および図2に示すような複雑なカット形状
の合い口11や、図3に示すようなストレートカット1
2であってもよい。その他にアングルカット、ステップ
カット等の周知形状であってもよい。このように合い口
部を有するシールリングは、合い口部を捩じるように広
げた状態で軸(すなわち軸溝10)への組み込みが容易
にできる。
【0066】図3に示すように、ストレートカット27
は、切欠部を設けるときに比較的容易で効率的であるた
め、生産性に優れる。一方、ステップカットや複雑なカ
ット形状の合い口11は、シールの密封性に優れてお
り、アングルカットはこれら2つの中間的な特性を持っ
ている。なお、この発明におけるシールリングは、仕様
により合い口部を有しないエンドレスのものであっても
よいのは勿論である。
【0067】図2(a)(b)(c)に、複合ステップ
カット型の1つの型を有する合い口11、11´を示し
た。この合い口11、11´は外径面側突起12と外径
面側段部17から成り、両方の合い口11、11´の外
径面側突起12と外径面側段部17、外径面側段部17
と外径面側突起12とが相補的に一定の間隙をおいて嵌
合するものである。
【0068】外径面側突起12と外径面側段部17との
関係は、少なくとも一方の部分がこのような形状であれ
ば密封性が高まるが、油圧側、背圧側に関係なく、軸に
対してシールリングを効率よく組み込めるように互いに
一対の突起および段部を有する合い口形状であることが
好ましい。更に詳細に説明すると次のとおりである。
【0069】一方の合い口11について、リング本体か
ら外径面側突起12が周方向に突き出す部分及び外径面
側段部17を形成する凹所が反対方向へ延び出す部分の
内径面側の先端の面を基準とし、この面を突き合わせ面
20と呼ぶことにすると、外径面側突起12は、その突
き合わせ面20を左右両側に二分した場合の一側面側、
かつ内外(リング本体9の内径側と外径側)に二分した
場合の外径側に設けられ、その外径面側突起12の外径
面21は、リング本体の外面と段差なく連続し、同じ曲
率をもつように形成される。このような形状の合い口部
分は、厳密には突き合わせ面20の間の中心部16を指
すものと考えてよいが、この部分のみを合い口に特定す
るものではない。
【0070】また、外径面側段部17は、上記の突き合
わせ面20を同様に左右及び内外に二分した場合の他の
側面側かつ外径側に設けられ、その外径面側段部17の
内面22は、リング本体の内径面と同じ曲率をもつよう
に形成される。
【0071】他方の合い口11´は、上記の合い口11
と相補的な形態に形成され、両方の合い口11、11´
は一定の間隙をおいて相互に嵌合し、シールリングはほ
ぼ真円形をなす。このような合い口形状のシールリング
は、リーク量を非常に少なくでき、また組み込み性も良
好である。
【0072】また、この合い口11、11´は、所望に
応じて、面取り部や、すみ肉をもうけてもよい。面取り
部は、所定の曲率をもった円弧状のもの(アールともい
う。)でもよいが、曲率0のもの、すなわち斜面により
面取り状のもの(チャンファーともいう。)であっても
差し支えない。このような面取り部は、例えば、連続し
て曲率がさまざまに変化するような形状をとることがで
きる。面取り部やすみ肉を設けることにより、合い口1
1、11´同士、または、合い口と相手材との間の突出
量が零となるか、又は少なくなるので、局部的接触を防
止することができる。
【0073】合い口11、11´に設けることのできる
面取り部、すみ肉としては、次のものがあげられる。各
外径面側突起12の先端面19とその外径面21との境
界に面取り部13、各外径面側段部17の段差面18と
リング本体の外径面21との間に面取り部13´、各外
径面側突起12と先端面19と外径面側突起12の内側
面23との境界に面取り部14、各外径面側突起12の
先端面19と外径面側突起12の内径側面26との境界
に面取り部14´、各外径面側段部17の内面22と、
突き合わせ面20との境界に面取り部14”、各外径面
側段部17の段差面18と外径面側突起12の内側面2
3との境界にすみ肉15´、又は、各外径面側段部17
の段差面18と外径面側段部内面22の境界に丸みであ
るすみ肉15を設けることができる。なお、前述の角部
分に相当する部位以外の角部分を面取り形状、又はすみ
肉を加えた形状としてもよい。
【0074】さらに、合い口11、11´同士の接触を
防止するため、外径面側突起12の内径側面26と、こ
れと対面した他方の合い口11´又は11の外径面側断
部17の内面22との間に所定の間隙g1 を設けること
ができる。このようにすると、外径面側突起12がシー
ルリングの外径面側へ突出する量が一層少なくなる。ま
た、外径面側突起12及び外径面側段部17の厚さ方向
の寸法公差もこの間隙g1 により吸収することができ、
各前記外径面側突起12の外径面側への突出を防止す
る。
【0075】また、両方の合い口11、11´の各前記
外径面側突起12の相互に対面する内側面23相互間に
も所定の間隙g2 を設けることもできる。この間隙g2
は各前記外径面側突起12の幅方向の寸法公差を吸収
し、各前記外径面側突起12の両側面側への突出を防止
する。
【0076】ところで、これらの面取り部分又はすみ肉
部分の形状は、曲率もしくは斜面のものいずれでもよい
が、より好ましい形状は曲率の面取り形状である。その
面取り部分又はすみ肉部分の最小値付近の寸法は、シー
ルリングの矩形断面部の軸方向寸法又は径方向寸法のい
ずれかの約5%〜50%程度、好ましくは約5%〜25
%程度、より好ましくは5〜15%である。この値が小
さすぎると、合い口部分の突出量がわずかに有る場合に
相手部材を傷つけると考えられる。
【0077】一方、曲率または斜面の面取り部分又はす
み肉部分の形状の最大値付近の寸法は、シールリング外
周径、内周径、またはそれらの中間部の径寸法のいずれ
かのうちの約1〜50%程度、好ましくは約2〜15%
程度、より好ましくは3〜12%であればよい。この値
が大きすぎると、面取り部を設けるという効果が薄れ、
実質的にシールリングの外周径の曲率とほぼ同等の面取
り部しか形成できず、合い口部分の突出量を零とする
か、又は少なくすること期待できない。いずれにしても
面取り部寸法はこれらの最小値以上又はこの値を越え、
これらの最大値以下又はこれ未満の範囲であればよい。
【0078】間隙g1 、g2 は、シールリングの矩形断
面の幅や側面の肉厚の寸法の少なくとも一方のうちの1
〜20%、好ましくは3〜10%程度であれば、密封性
を維持しつつ合い口部分の各寸法公差を吸収することが
できる。特に、間隙g1 を設けても密封性は低下しな
い。これらの曲率、面取り部および間隙は、射出成形金
型で成形してもよく、タンブラー加工(たる研磨)によ
って形成してもよい。
【0079】また、ゲート位置は、シールリングの合い
口部から180°の位置以外の部分、例えば合い口部か
ら0以上または0を越えて±179°以下の範囲、好ま
しくは合い口部から±5°以上、±175°以下の位
置、より好ましくは±30°以上、±170°以下の位
置にゲートを設けたシールリングであれば、リングを広
げて軸溝への組み込み時に合い口部と対向部(180
°)の部位に応力が集中してもリングが折損し難い。
【0080】シールリングが相手材と接する面の表面粗
さ(算術平均粗さ)は、0.1〜2.5μmRaであれ
ば、相手軸または相手シリンダの少なくとも一方の面と
回転摺動してもリング自体または相手部材とも損傷し難
いので好ましい。このような傾向から、前記表面粗さ
は、0.2〜2.0μmRa好ましく、特にリング外径
面では0.3〜1.3μmRa、リング側面では0.7
〜2.3μmRaに設定することが好ましい。
【0081】上記の方法で得られたシールリングは、流
体圧力1〜20MPa(好ましくは2〜10MPa、更
に仕様や条件により3〜6MPa)の高圧で、常用使用
温度40℃以上に耐える耐熱性、瞬間最高温度約180
℃程度に耐える耐熱性、具体的には80〜160℃の連
続使用温度下で溶融しない耐熱性が要求されるCVT等
に装着されて、相対的に回転する部分でオイルをシール
できる。また、このようなオイルシールリングは、当然
のことながら、流体圧力が3MPa未満の通常の装置、
例えば流体圧力が1〜2MPaのAT(オートマチック
・トランスミッション)装置等においても有効に使用で
きる。
【0082】また、軸(ピストン)、シリンダーなどの
相手材は、S15C、S45C、SCM420Hなどの
炭素含有鋼、FCD45等の球状黒鉛鋳鉄、その他の炭
素含有金属、またはこれらの硬化処理材その他の硬質材
料であるか、またはADC12などのアルミニウム合金
その他の軟質材料であってよい。このような相手材は、
加工効率などの生産性、価格などの点で優れている鋳物
系の金属、また仕様・条件によってはADC系の軽量鋳
物金属系の合金を採用してもよい。
【0083】
【実施例】〔実施例1〜6、比較例1〜4〕下記に示す
材料を、表1に記載の量に従って混合し、オイルシール
リングを成形した。オイルシールリングのサイズは、φ
20mm(外径)×φ16.4mm(内径)×2.0m
m(幅)であり、リング外周径とリングの肉厚、幅の尺
度の比は、1.8(mm)/20(mm)〜2(mm)
/20(mm)、すなわち9/100〜10/100で
ある。また、このシールリングの先端面19からもう一
方の先端面19までの展開長さは68mmである。
【0084】合い口の形状は、実施例1〜6および比較
例1〜3の場合は、図1および図2に示すような複雑な
カット形状の合い口11であり、比較例4の場合は、ス
トレートカット27である。ゲート位置は、リングの合
い口部から170°の位置(図1中に矢印で示す。)に
設けた。
【0085】また、成形方法は、実施例1〜6および比
較例1〜3については、下記〜の材料を溶融混合し
て造粒し、得られたペレットなどの造粒物を射出成形
し、その後、シールリングの合い口部分を閉じた状態に
治具で固定して200℃、2時間の熱処理をした。比較
例4については、圧縮成形、焼成したのち機械加工する
ことによる成形方法を採用した。
【0086】なお、図2中の角部は、角部13がR2m
m、角部14´はR0.2mm、間隙g1 が0.1mm
となるように射出成形金型により形成し、その後、タン
ブリング処理して各角部のバリを除去し、角部はR0.
1mm以下にした。また、シールリングの表面粗さは、
算術平均粗さ(Ra)の評価により、リングの外径面に
て0.5〜1.0μm、リングの側面にて0.8〜2.
0μmであった。
【0087】PEEK(ポリエーテルエーテルケト
ン) 三井東圧化学社製:VICTREX−PEEK1
50P(融点:334〜337℃、最高結晶化度:48
%) 炭素繊維(ピッチ系) 呉羽化学社製:クレカチョッ
プM107T(引張強度:590〜790MPa、引張
弾性率:30〜33GPa、平均繊維径:18μm) 炭素繊維(PAN系) 東レ社製:MLD100(引
張強度:2450〜7060MPa、引張弾性率:20
0〜500GPa、平均繊維径:7〜8μm) 再生PTFE 喜田村社製:KTL610(平均粒径
3〜20μm〔走査電子顕微鏡〕) 鱗片状天然グラファイト 日本黒鉛社製:ACP(固
定炭素量99.5%) 二硫化モリブデン ダウコーニング社製:モリコート
Zパウダ。
【0088】得られたシールリングを用いて下記の条件
下で耐久試験を行い、リングの摩耗および相手材の摩耗
を測定し、さらに軸への組み込み性を検討した。耐久試
験条件における油圧条件は、自動車用連続無段可変変速
機における実際の使用条件に対応させた。これらの結果
を表1にまとめて示した。表1中の◎、○、×は、次の
ことを示している。 ◎ 容易に組み込める ○ 容易ではないが、破損なく組み込める × 破損し、組み込めない耐久試験条件 油圧 5MPa 軸回転数 4000rpm 油温 120℃ 時間 24時間 使用オイル 昭和シェル石油社製:デキシロンII 相手材 シリンダ S15C 軸 S45C
【0089】
【表1】
【0090】表1の結果からも明らかなように、実施例
1〜6のいずれもリング摩耗量、相手材の摩耗量、相手
材の摩耗量とも問題がない。また、実施例3は、炭素繊
維が40重量%配合されているため、他の実施例と比べ
ると剛直であり、組み付け性は若干低下するが、リング
の耐摩耗性はよい。
【0091】これに対して、比較例1は、特殊な性質を
有するPAN系炭素繊維を多量に成形体内に配合してい
ることもあり、リング自体の耐摩耗性が劣る。比較例2
は、ピッチ系炭素繊維の配合量が所定量より少ない10
重量%程度であるので、リングの耐摩耗性に劣る。比較
例3は、ピッチ系炭素繊維の配合量が所定量よりも多い
50重量%のものであり、リングの摩耗量と相手の摩耗
量に関しては適度で問題はないが、剛直であるために組
み付け性に劣る。比較例4は、耐クリープ性に劣り、芳
香族環を含有していない主成分のPTFEにピッチ系炭
素繊維でもって補強しているが、リング自体の耐摩耗性
に劣っている。
【0092】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、少な
くとも2成分または3成分という所定の成分からなる組
成物でシールリングを形成したので、油圧の高い条件で
シール性に優れたものになり、また良好な摺動特性を有
し、しかも軸などへの組み込み性の良好なオイルシール
リング等のシールリングであるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のシールリングの正面図
【図2】(a)第1実施形態の合い口部を拡大して示す
正面図 (b)同上の平面図 (c)同上の斜視図
【図3】第2実施形態のシールリングの正面図
【図4】連続無段可変変速機の構造の1例を示す断面図
【符号の説明】
1 被駆動軸 2 固定プーリ 3 可動プーリ 4 油圧式クラッチ 5 油圧室 6 油圧室 7 油圧通路 8 油圧通路 9 オイルシールリング 10 軸溝 11、11´ 合い口 12 外径面側突起 13、13´ 面取り部 14、14´、14” 面取り部 15、15´ すみ肉 16 合い口中心部 17 外径面側段部 18 段差面 19 先端面 20 突き合わせ面 21 リング外径面 22 外径面側段部内面 23 外径面側突起内側面 24 リング側面 25 段差部 26 外径面側突起内径側面 27 ストレートカット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16J 9/28 F16J 9/28

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性樹脂85〜60重量%および添加
    剤15〜40重量%を含有する樹脂組成物からなる高圧
    流体封止用の合成樹脂製シールリング。
  2. 【請求項2】 耐熱性樹脂85〜60重量%および添加
    剤15〜40重量%を含有する樹脂組成物100重量部
    に対して、潤滑性付与剤を1〜20重量部添加した組成
    物からなる高圧流体封止用の合成樹脂製シールリング。
  3. 【請求項3】 耐熱性樹脂85〜60重量%および繊維
    状強化材15〜40重量%を含有する樹脂組成物からな
    り、その外径が10〜30mmである合成樹脂製シール
    リング。
  4. 【請求項4】 耐熱性樹脂85〜60重量%および繊維
    状強化材15〜40重量%を含有する樹脂組成物100
    重量部に対して、潤滑性付与剤を1〜20重量部添加し
    た潤滑剤含有樹脂組成物からなり、その外径が10〜3
    0mmである合成樹脂製シールリング。
  5. 【請求項5】 上記繊維状強化材は、繊維長0.01〜
    1mmであり、繊維径1〜25μmである請求項3また
    は4に記載の合成樹脂製シールリング。
  6. 【請求項6】 上記繊維状強化材は、引張強度が490
    〜980MPaである請求項3〜5のいずれか1項に記
    載の合成樹脂製シールリング。
  7. 【請求項7】 耐熱性樹脂が、芳香族系ポリエーテルケ
    トン樹脂であり、繊維状強化材がカーボン繊維である請
    求項3〜6のいずれか1項に記載の合成樹脂製シールリ
    ング。
  8. 【請求項8】 上記繊維状強化材が、ピッチ系カーボン
    繊維である請求項3〜7のいずれか1項に記載の合成樹
    脂製シールリング。
JP9142487A 1996-05-30 1997-05-30 合成樹脂製シールリング Pending JPH1061777A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9142487A JPH1061777A (ja) 1996-05-30 1997-05-30 合成樹脂製シールリング

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8-136201 1996-05-30
JP13620196 1996-05-30
JP9142487A JPH1061777A (ja) 1996-05-30 1997-05-30 合成樹脂製シールリング

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1061777A true JPH1061777A (ja) 1998-03-06

Family

ID=26469843

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9142487A Pending JPH1061777A (ja) 1996-05-30 1997-05-30 合成樹脂製シールリング

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1061777A (ja)

Cited By (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001015390A (ja) * 1999-06-28 2001-01-19 Elna Co Ltd 電気二重層コンデンサおよびそのガスケット
JP2001074057A (ja) * 1999-09-02 2001-03-23 Ntn Corp 滑りキー用樹脂組成物
JP2002364762A (ja) * 2001-06-11 2002-12-18 Ntn Corp 切換弁および樹脂製部品
JP2003056714A (ja) * 2001-08-13 2003-02-26 Nok Corp 密封装置
JP2007145934A (ja) * 2005-11-25 2007-06-14 Nok Corp 樹脂組成物及びオイルシールリング
WO2007105589A1 (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Ntn Corporation シールリング
JP2009156440A (ja) * 2007-12-28 2009-07-16 Riken Corp 樹脂製シールリング
JP2013510280A (ja) * 2009-11-10 2013-03-21 フェデラル−モーグル ブルシェイド ゲーエムベーハー ピストンリング
JP2013151995A (ja) * 2012-01-25 2013-08-08 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ピストンリングおよび、そのピストンリングを備えたエンジン
JP5568184B2 (ja) * 2011-09-28 2014-08-06 株式会社リケン シールリング
JP2015143753A (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 株式会社トスカバノック 係止ピン材及びその成形方法と成形された係止ピン材の使用方法
WO2015190353A1 (ja) * 2014-06-12 2015-12-17 三菱電線工業株式会社 シールリング
JP2016014481A (ja) * 2014-06-12 2016-01-28 三菱電線工業株式会社 シールリング
JP2017066281A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 ニチアス株式会社 成形体及びその製造方法
JPWO2015190365A1 (ja) * 2014-06-13 2017-04-20 日本バルカー工業株式会社 編組体およびグランドパッキン
WO2022186258A1 (ja) * 2021-03-03 2022-09-09 Ntn株式会社 ピストンリング
JP2022135873A (ja) * 2021-03-03 2022-09-15 Ntn株式会社 ピストンリング
WO2023017833A1 (ja) * 2021-08-11 2023-02-16 Ntn株式会社 ピストンリング
JP2023028623A (ja) * 2021-08-19 2023-03-03 Ntn株式会社 ピストンリングおよびその製造方法
KR20230105102A (ko) * 2022-01-03 2023-07-11 나노씰(주) 기계적 물성이 우수한 실링재 제조방법
CN116964361A (zh) * 2021-03-03 2023-10-27 Ntn株式会社 活塞环
WO2024203999A1 (ja) * 2023-03-27 2024-10-03 東洋製罐グループホールディングス株式会社 ピッチ系炭素繊維含有ビスマレイミド系樹脂成形体及びその製造方法
EP4481242A4 (en) * 2022-02-17 2025-05-14 NTN Corporation RESIN COMPOSITION FOR SEAL, AND SEAL

Cited By (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001015390A (ja) * 1999-06-28 2001-01-19 Elna Co Ltd 電気二重層コンデンサおよびそのガスケット
JP2001074057A (ja) * 1999-09-02 2001-03-23 Ntn Corp 滑りキー用樹脂組成物
JP2002364762A (ja) * 2001-06-11 2002-12-18 Ntn Corp 切換弁および樹脂製部品
JP2003056714A (ja) * 2001-08-13 2003-02-26 Nok Corp 密封装置
JP2007145934A (ja) * 2005-11-25 2007-06-14 Nok Corp 樹脂組成物及びオイルシールリング
US8454024B2 (en) 2006-03-10 2013-06-04 Ntn Corporation Seal ring
WO2007105589A1 (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Ntn Corporation シールリング
JP2009156440A (ja) * 2007-12-28 2009-07-16 Riken Corp 樹脂製シールリング
JP2013510280A (ja) * 2009-11-10 2013-03-21 フェデラル−モーグル ブルシェイド ゲーエムベーハー ピストンリング
JP5568184B2 (ja) * 2011-09-28 2014-08-06 株式会社リケン シールリング
US9085690B2 (en) 2011-09-28 2015-07-21 Kabushiki Kaisha Riken Resin composition and sliding member using same
JP2013151995A (ja) * 2012-01-25 2013-08-08 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ピストンリングおよび、そのピストンリングを備えたエンジン
JP2015143753A (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 株式会社トスカバノック 係止ピン材及びその成形方法と成形された係止ピン材の使用方法
JP2016014471A (ja) * 2014-06-12 2016-01-28 三菱電線工業株式会社 シールリング
WO2015190353A1 (ja) * 2014-06-12 2015-12-17 三菱電線工業株式会社 シールリング
JP2016014481A (ja) * 2014-06-12 2016-01-28 三菱電線工業株式会社 シールリング
CN106415085A (zh) * 2014-06-12 2017-02-15 三菱电线工业株式会社 密封圈
CN106415085B (zh) * 2014-06-12 2018-11-13 三菱电线工业株式会社 密封圈
JPWO2015190365A1 (ja) * 2014-06-13 2017-04-20 日本バルカー工業株式会社 編組体およびグランドパッキン
TWI656290B (zh) * 2014-06-13 2019-04-11 日商華爾卡股份有限公司 編織體及封軸襯墊
JP2017066281A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 ニチアス株式会社 成形体及びその製造方法
JP2022135873A (ja) * 2021-03-03 2022-09-15 Ntn株式会社 ピストンリング
WO2022186258A1 (ja) * 2021-03-03 2022-09-09 Ntn株式会社 ピストンリング
CN116964361A (zh) * 2021-03-03 2023-10-27 Ntn株式会社 活塞环
US12578017B2 (en) 2021-03-03 2026-03-17 Ntn Corporation Piston ring
WO2023017833A1 (ja) * 2021-08-11 2023-02-16 Ntn株式会社 ピストンリング
EP4386208A4 (en) * 2021-08-11 2024-12-11 NTN Corporation PISTON RING
JP2023028623A (ja) * 2021-08-19 2023-03-03 Ntn株式会社 ピストンリングおよびその製造方法
KR20230105102A (ko) * 2022-01-03 2023-07-11 나노씰(주) 기계적 물성이 우수한 실링재 제조방법
EP4481242A4 (en) * 2022-02-17 2025-05-14 NTN Corporation RESIN COMPOSITION FOR SEAL, AND SEAL
WO2024203999A1 (ja) * 2023-03-27 2024-10-03 東洋製罐グループホールディングス株式会社 ピッチ系炭素繊維含有ビスマレイミド系樹脂成形体及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH1061777A (ja) 合成樹脂製シールリング
JP7189989B2 (ja) シールリング
CN103201531B (zh) 复合滑动轴承
JP3723982B2 (ja) 含フッ素溶融樹脂組成物を用いた動的シール材料
KR20150048900A (ko) 시일 링
US6349943B1 (en) Lubricating resin composition seal rings
JP2013155846A (ja) シールリング
JPH0875007A (ja) 合成樹脂製シールリング
JPH09100919A (ja) シールリング
JP4226249B2 (ja) 樹脂製ナットおよびすべりねじ装置
JP6109537B2 (ja) 電動オイルポンプのシール構造
JP4215785B2 (ja) 合成樹脂製の複合ステップカット型シールリングの製造方法
JP2875773B2 (ja) 合成樹脂製オイルシールリング
JPH0989111A (ja) 合成樹脂製シールリング
JP4818304B2 (ja) すべりねじ装置
JP2011149557A (ja) シールリング
JP4039791B2 (ja) 潤滑性樹脂組成物およびシールリング
JPH07286670A (ja) オイルシールリング
JP3894752B2 (ja) 合成樹脂製シールリング
JP2005307090A (ja) 油中摺動材用樹脂組成物、油中摺動材およびシールリング
JP2002081551A (ja) シールリング
JP2000170770A (ja) すべり軸受装置
JP3703219B2 (ja) フッ素樹脂組成物
JP2010043698A (ja) 樹脂製ナットおよびすべりねじ装置
JP3576235B2 (ja) 耐熱・潤滑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060530

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060731

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061010