JPH1064044A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH1064044A
JPH1064044A JP23713596A JP23713596A JPH1064044A JP H1064044 A JPH1064044 A JP H1064044A JP 23713596 A JP23713596 A JP 23713596A JP 23713596 A JP23713596 A JP 23713596A JP H1064044 A JPH1064044 A JP H1064044A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐久性に優れ、電磁変換特性が良好である磁
気記録媒体を提供する。 【解決手段】 非磁性基体上に結合材樹脂及び磁性粒子
粉末を含む磁気記録層が形成されている磁気記録媒体に
おいて、前記磁気記録層中に、Mnを10〜30重量%
含有する平均粒径0.1〜0.5μmのヘマタイト粒子
を前記磁性粒子粉末100重量部に対して1〜30重量
部含有させたことを特徴とする磁気記録媒体、非磁性基
体上に結合材樹脂及び磁性粒子粉末を含む磁気記録層が
形成されている磁気記録媒体において、前記磁気記録層
中に、Mnを10〜30重量%含有すると共に粒子表面
にAlの酸化物、Alの水酸化物、Siの酸化物及びS
iの水酸化物から選ばれる一種又は二種以上からなる被
覆層を有する平均粒径0.1〜0.5μmのヘマタイト
粒子を前記磁性粒子粉末100重量部に対して1〜30
重量部含有させたことを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性に優れ、電
磁変換特性が良好である磁気記録媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオ、オーディオ用磁気記録再
生機器の小型軽量化や長時間記録化が進むにつれて、磁
気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に対する高性
能化、即ち、高密度記録化、高耐久性、良好な電磁変換
特性などの要求が益々強まっている。
【0003】磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録
媒体は、磁気ヘッドと接触しながら記録再生を行うため
に磁気記録層の磨耗が生じやすく、磁気ヘッドが汚染さ
れ、ひいては記録、再生特性の劣化をひき起こすため、
従来より磨耗の少ない高耐久性の磁気記録媒体が求めら
れている。
【0004】従来、磁気記録媒体における磁気記録層の
磨耗耐久性を向上させるために、アルミナ(Al
2 3 )、ヘマタイト(α−Fe2 3 )及び3酸化2
クロム(Cr2 3 )等の種々のフィラー材を磁性層中
に添加する試みが行われている。
【0005】例えば、アルミナ(Al2 3 )を用いた
ものでは、アモルファス相が存在するα−Al2 3
用いた磁気記録媒体(特開平5−36059号公報)や
特定の結晶性を有するα−Al2 3 を用いた磁気記録
媒体(特開平7−244836号公報)などがある。ヘ
マタイト(α−Fe2 3 )を用いたものでは、粒状の
α−Fe2 3 を用いた磁気記録媒体(特開昭61−1
94628号公報)や、液状炭化水素とα−Fe2 3
を用いた磁気記録媒体(特開昭54−70806号公
報)などがある。また、3酸化2クロム(Cr2 3
を用いたものでは、針状Cr2 3 を用いた磁気記録媒
体(特開昭62−112221号公報)などがある。
【0006】しかしながら、これらのフィラー材には、
それぞれ固有の問題点が存在する。アルミナは結合材樹
脂中への分散性が悪く、添加量を増すにつれて電磁変換
特性が大幅に低下することが知られている。ヘマタイト
は、結合材樹脂中への分散性は比較的良好であるが、十
分な耐久性を得ようとするには多量に添加しなければな
らず、磁性粉の充填性が低下するために電磁変換特性が
低下することとなる。3酸化2クロムは、環境衛生上、
好ましくない。また、これらのフィラー材は添加量を増
すと、耐久性は向上するものの、電磁変換特性の大幅な
低下を生じることが知られている。そこで、耐久性向上
に必要な添加量としても電磁変換特性の低下が抑制され
るフィラー材を用いた磁気記録媒体が要求されている。
【0007】また、現在、汎用されているビデオテープ
のシステムにおいては磁気記録媒体の終端検出機構は、
終端部分の透明なリーダーテープ部をセンサーで検出す
ることによって行っている。したがって、磁気記録部分
は光透過率の低い、黒色度の高いものであることが必要
である。
【0008】ところが、近年、高密度記録化が要求さ
れ、そのために用いる磁性粒子が微粒子化していること
から磁気記録層の光透過率が上昇し、その結果、終端検
出に誤動作を生じるおそれが出てきた。そこで、磁気テ
ープの黒色度を改善する方法として、カーボンブラック
粒子粉末の磁性層中における含有量を増加することによ
って光透過率を低下させる方法が行われている。しか
し、カーボンブラック粒子粉末特有の分散性の悪さから
磁性粒子粉末の分散性が低下し、それに伴い電磁変換特
性の低下や耐久性の低下等の悪影響が出ている。このこ
とは、特開平4−139619号公報の「・・・結合剤
樹脂と磁性粒子粉末とを混練して塗膜組成物を生成する
にあたり、カーボンブラック粒子粉末を添加すると後出
比較例に示す通り、磁性粒子粉末の配向性及び充填性が
低下するという問題があった。更に、カーボンブラック
粒子粉末は、かさ密度が0.1g/cm3 程度とかさ高
い粉末である為取り扱いが困難で作業性が悪いものであ
った。また、発ガン性等の安全、衛生面からの問題も指
摘されている。・・・」なる記載の通りである。
【0009】そこで、カーボンブラック代替としてのフ
ィラー材が求められているが、前記アルミナ、ヘマタイ
ト、3酸化2クロムなどのフィラー材は、アルミナが白
色、ヘマタイトが赤色、3酸化2クロムは緑色と、いず
れも黒色粉末に比べて光透過率の低減効果の寄与が低い
ものである。黒色粉末をフィラー材として用いたものと
しては、例えば、黒色チタン(TiO)を使った磁気記
録媒体(特公昭62−21185号公報、特公昭62−
22179号公報)や、フッ化黒鉛を使った磁気記録媒
体(特開昭56−156930号公報)などがある。し
かし、黒色チタンは酸化されやすく、空気中での安定性
が十分ではない。フッ化黒鉛は、結合材樹脂中への分散
性が悪く、電磁変換特性の低下を引き起こすことが多
い。
【0010】そこで、結合材樹脂中への分散性が良く、
耐久性向上に必要な添加量としても電磁変換特性の低下
が抑制され、且つ、より黒色度の高いフィラー材を用い
た優れた耐久性と良好な電磁変換特性を有する磁気記録
媒体が求められている。
【0011】一方、Mn含有ヘマタイト粒子粉末につい
てはいくつかの先行技術文献が存在する。
【0012】例えば、硫酸第一鉄と変性元素としてMn
の硫酸塩との均一混合物を加熱焼成することにより、熱
安定性顔料を得る方法(特開昭52−63199号公
報)、Fe2 3 、FeOOH及びFe3 4 から選択
した1種又は2種以上を出発原料とし、マンガン化合物
及びリン酸等とともに加熱焼成することにより暗赤色系
酸化鉄顔料を得る方法(特開昭54−37004号公
報)、湿式法により球状又は粒状のマグネタイト粒子を
生成させ、該マグネタイト粒子の粒子表面にMn化合物
又はMn化合物とFe化合物とによって被覆し、次い
で、該被覆されたマグネタイト粒子を加熱焼成すること
によってMnが固溶しているヘマタイト粒子を得る方法
(特開平4−144924号公報)、ヘマタイト構造の
マンガン及び鉄の混合酸化物(特開平5−221653
号公報)、湿式酸化法によりゲータイト粒子を得るにあ
たり、あらかじめMn化合物を存在させておき、Mn含
有ゲータイト粒子を得、加熱脱水によりMn含有ヘマタ
イト粒子を得る方法(特開平6−263449号公報、
特開平7−66020号公報)などがある。
【0013】前出各公報に記載のMn含有ヘマタイト粒
子粉末は、その黒色性から黒色着色用顔料として使用さ
れているものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前出の従来から用いら
れているアルミナ、ヘマタイト、3酸化2クロム等の磁
気記録媒体用のフィラー材を用いた磁気記録媒体では、
耐久性を得るために添加するフィラー材の量を増した場
合の電磁変換特性の低下が大きく、十分な耐久性と良好
な電磁変換特性を有する磁気記録媒体については未だ得
られていない。
【0015】そこで、本発明は、耐久性向上に必要な添
加量としても電磁変換特性の低下を抑制することができ
る黒色フィラー材を用いることにより、優れた耐久性と
良好な電磁変換特性を有する磁気記録媒体を提供するこ
とを技術的課題とする。本発明者は前記技術的課題を達
成するために数多くの試作・実験を行った結果、特定量
のMnを含有し、且つ、特定の平均粒径をもつMn含有
ヘマタイト粒子粉末を黒色フィラー材として使用するこ
とにより、十分な耐久性の向上が得られ、しかも、電磁
変換特性の低下が抑えられ、且つ、光透過率の低減を図
ることができることを見出した。
【0016】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0017】即ち、本発明は、非磁性基体上に結合材樹
脂及び磁性粒子粉末を含む磁気記録層が形成されている
磁気記録媒体において、前記磁気記録層中に、Mnを1
0〜30重量%含有する平均粒径0.1〜0.5μmの
ヘマタイト粒子からなる黒色フィラー材を前記磁性粒子
粉末100重量部に対して1〜30重量部含有させたこ
とを特徴とする磁気記録媒体、及び、非磁性基体上に結
合材樹脂及び磁性粒子粉末を含む磁気記録層が形成され
ている磁気記録媒体において、前記磁気記録層中に、M
nを10〜30重量%含有しすると共に粒子表面にAl
の酸化物、Alの水酸化物、Siの酸化物及びSiの水
酸化物から選ばれる一種又は二種以上からなる被覆層を
有する平均粒径0.1〜0.5μmのヘマタイト粒子か
らなる黒色フィラー材を前記磁性粒子粉末100重量部
に対して1〜30重量部含有させたことを特徴とする磁
気記録媒体である。
【0018】まず、本発明に係る磁気記録媒体について
述べる。
【0019】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性基体
上に、結合材樹脂及び磁性粒子粉末を含む磁気記録層が
形成されている磁気記録媒体において、前記磁気記録層
中に磁性粒子粉末100重量部に対して結合材樹脂5〜
30重量部、好ましくは7〜25重量部と、Mnを10
〜30重量%含有し、必要により、粒子表面にAlの酸
化物、Alの水酸化物、Siの酸化物及びSiの水酸化
物から選ばれる一種又は二種以上からなる被覆層を有す
る平均粒径0.1〜0.5μmのヘマタイト粒子(以
下、「特定Mn含有ヘマタイト粒子」と略記する。)か
らなる黒色フィラー材1〜30重量部、好ましくは5〜
20重量部とを含有させたものである。
【0020】本発明に係る磁気記録媒体の磁気特性は、
飽和磁束密度が1000〜5000Gauss、好まし
くは1500〜5000Gaussであり、残留磁束密
度が900〜4500Gauss、好ましくは1000
〜4500Gaussであり、保磁力が300〜300
0Oe、好ましくは500〜2500Oeである。
【0021】本発明に係る磁気記録媒体の電磁変換特性
値は、後述する比較例4を基準テープとした時の基準テ
ープに対する相対値として、記録周波数1MHzにおい
て0.5dB以上、好ましくは0.7dB以上であり、
記録周波数4MHzにおいて0.5dB以上、好ましく
は0.7dB以上である。
【0022】本発明に係る磁気記録媒体の波長(λ)9
00nmの光についての線吸収係数は、1.0以上、好
ましくは1.2以上である。
【0023】本発明に係る磁気記録媒体の耐久性は、後
述する測定方法において、10分以上、好ましくは15
分以上、さらに好ましくは20分以上である。
【0024】次に、前記本発明に係る磁気記録媒体の製
造法について述べる。
【0025】本発明に係る磁気記録媒体は、常法によ
り、非磁性基体上に、磁性粒子粉末100重量部と結合
材樹脂5〜30重量部、好ましくは7〜25重量部と特
定Mn含有ヘマタイト粒子からなる黒色フィラー材1〜
30重量部、好ましくは5〜20重量部と、必要により
添加するその他の添加物とを含む塗料組成物を塗布して
塗膜を形成し、磁場配向することにより得ることができ
る。
【0026】本発明における磁性粒子粉末としては、マ
グヘマイト粒子粉末(γ−Fe2 3 )、マグネタイト
粒子粉末(Fe2+ x Fe3+ (8-2x)/34 (0<x≦
1))等の磁性酸化鉄粒子粉末、前記磁性酸化鉄粒子に
Fe以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B等の
異種元素を含有させた粒子粉末若しくはこれら磁性酸化
鉄粒子にCo等を被着させた粒子粉末、鉄を主成分とす
る金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、
Zn、Si、B等を含有する鉄合金磁性粒子粉末、板状
Baフェライト粒子粉末並びにこれに保磁力低減剤であ
る2価金属(Co、Ni、Zn等)と4価金属(Ti、
Sn、Zr等)とを含有させた板状複合フェライト粒子
粉末等のいずれをも用いることができる。また、磁性粒
子粉末の形状は、針状、紡錘状、立方状、粒状、球状、
板状等のいずれであってもよい。磁性粒子粉末の大きさ
は、BET比表面積で15m2 /g以上である。
【0027】本発明における黒色フィラー材は、特定M
n含有ヘマタイト(α−Fe2 3)粒子からなる。そ
の結晶構造は後出図2のX線回折パターンに示すように
コランダム型構造である。特定Mn含有ヘマタイト粒子
の平均粒径は0.1〜0.5μm、好ましくは0.15
〜0.4μmである。その粒子形状は、粒状、球状、針
状、板状等いずれでもよいが、殊に、分散性の点におい
て粒状が好ましい。BET比表面積は1〜50m2
g、好ましくは2〜30m2 /gである。
【0028】特定Mn含有ヘマタイト粒子のMn含有量
はMn含有ヘマタイト粒子の重量に対して10〜30重
量%、好ましくは15〜25重量%である。10重量%
未満の場合には十分な黒色度が得られない。30重量%
を越える場合には、黒色度は得られるが、工業的に不利
となりやすい。
【0029】特定Mn含有ヘマタイト粒子は、粒子表面
にAlの酸化物、Alの水酸化物、Siの酸化物及びS
iの水酸化物から選ばれる一種又は二種以上からなる被
覆層を有していることが好ましい。その場合、SiはS
iO2 換算で好ましくは0.01〜50重量%、さらに
好ましくは0.05〜20重量%である。また、Alは
Al換算で好ましくは0.01〜50重量%、さらに好
ましくは0.05〜20重量%である。なお、粒子表面
に前記被覆層を有する特定Mn含有ヘマタイト粒子粉末
を黒色フィラー材として使用した場合には、耐久性向上
効果をより高めることができる。
【0030】特定Mn含有ヘマタイト粒子の黒色度の測
色値は、L* 値が0〜30.0、a* 値が−1.0〜
6.0、b* 値が−3.0〜10.0である。なお、粒
子表面に前記被覆層を有する特定Mn含有ヘマタイト粒
子粉末を黒色フィラー材として使用した場合にも、黒色
度は変わらない。
【0031】特定Mn含有ヘマタイト粒子粉末の製造法
は、前出各公報に記載の方法等いくつかの方法があり、
これらのいずれの方法によって行ってもよい。例えば、
硫酸第一鉄と変性元素としてMnの硫酸塩との均一混合
物を加熱焼成することにより、Mn含有ヘマタイト粒子
粉末を得る方法(特開昭52−63199号公報)、ゲ
ータイト、ヘマタイト及びマグネタイトから選択した1
種又は2種以上を出発原料とし、マンガン化合物、リン
酸及び硫酸ナトリウムとともに850〜1000℃の温
度範囲で加熱焼成することによりMn含有ヘマタイト粒
子粉末を得る方法(特開昭54−37004号公報)、
湿式法等により球状又は粒状のマグネタイト粒子を生成
させ、該マグネタイト粒子の粒子表面にMn化合物又は
Mn化合物とFe化合物とによって被覆し、次いで、該
被覆されたマグネタイト粒子を750〜1000℃の温
度範囲で加熱焼成することによってMn含有ヘマタイト
粒子粉末を得る方法(特開平4−144924号公
報)、鉄及びマンガンの塩をアルカリの存在下で酸化す
る沈澱法によりスピネル構造のFe3-xMnx 4 (0
<x<3)を得、これを600〜800℃の範囲の酸化
雰囲気中で加熱焼成してMn含有ヘマタイト粒子粉末を
得る方法(特開平5−221653号公報)、湿式酸化
法によりゲータイト粒子を得るにあたり、あらかじめM
n化合物を存在させておき、Mn含有ゲータイト粒子を
得、さらに加熱脱水することによりMn含有ヘマタイト
粒子粉末を得る方法(特開平6−263449号公報、
特開平7−66020号公報)などがある。好ましくは
特開平4−144924号公報に記載の方法を主体とし
た方法である。
【0032】以下に特定Mn含有ヘマタイト粒子粉末の
好ましい製造法について具体的に説明する。
【0033】第一鉄塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液と
を反応させて得られた水酸化第一鉄コロイドを含む懸濁
液を45〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有
ガスを通気してマグネタイト粒子を生成させ、前記マグ
ネタイト粒子の懸濁液中にMn塩若しくはMn塩と第一
鉄塩とを添加することにより、前記マグネタイト粒子の
粒子表面にMn化合物又はMn化合物とFe化合物とに
よって被覆し、次いで、前記表面被覆されたマグネタイ
ト粒子を750〜1000℃の温度範囲で加熱焼成する
ことによって特定Mn含有ヘマタイト粒子粉末を得るこ
とができる。
【0034】前記第一鉄塩水溶液としては、硫酸第一鉄
水溶液、塩化第一鉄水溶液を使用することができる。
【0035】前記水酸化アルカリ水溶液としては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等の各水溶液を使用する
ことができる。
【0036】当初に添加する水酸化アルカリ水溶液の量
は、第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し、0.80〜1.
3当量である。反応温度は45〜100℃の温度範囲で
ある。45℃未満の場合には、針状ゲータイト粒子が混
在するおそれがあり、100℃を越える場合にはオート
クレーブ等の設備を必要とするため経済的でない。
【0037】前記Mn塩の水溶液としては、硫酸マンガ
ン、塩化マンガン等の各水溶液が使用できる。前記Mn
塩の添加量は全Fe及びMnの合計に対して10〜45
原子%、好ましくは15〜40原子%である。10原子
%未満の場合には、十分な黒色度が得られない。45原
子%を越える場合には、黒色度は得られるが、工業的に
不利になりやすい。
【0038】前記Mn塩の添加とともに必要により第一
鉄塩の添加を行うことができる。第一鉄塩の添加を同時
に行うことにより、粒子表面にMn化合物の被覆を容易
にすることができる。第一鉄塩は水溶液の形態で用いる
ことが好ましく、前述の第一鉄塩水溶液が使用できる。
第一鉄塩の添加量は、Fe2+として懸濁液中の全Fe及
びMnの合計量に対して75%以下である。
【0039】前記粒子表面にMn化合物又はMn化合物
とFe化合物とを被覆したマグネタイト粒子を加熱焼成
する温度範囲は、750〜1000℃である。750℃
未満の場合には、黒色度が不足し、1000℃を越える
場合には、粒子が大きくなりすぎて着色力が出なくな
る。なお、加熱焼成する場合の雰囲気は、酸化雰囲気と
する。好ましくは空気中である。酸化雰囲気中で加熱焼
成するのはマグネタイトを酸化してヘマタイトに変態さ
せるためである。
【0040】前記製造法によって得られたMn含有ヘマ
タイト粒子を含む水懸濁液にAl又はSiの一種又は二
種以上を含む化合物を20〜95℃で添加し、pH調整
を行うことによって前記Mn含有ヘマタイト粒子の粒子
表面にAlの酸化物、Alの水酸化物、Siの酸化物、
Siの水酸化物から選ばれる一種又は二種以上からなる
被覆層を形成することができる。
【0041】前記Alを含む化合物、Siを含む化合物
の添加は、一度に、若しくは数回に分割して、又は連続
的に滴下することにより行うことができる。Alを含む
化合物、Siを含む化合物のそれぞれの添加前、添加
後、又は添加の前後にpH調整を行うことができる。調
整するpHの範囲は5.0〜9.0、好ましくは6.0
〜8.0である。
【0042】前記Alを含む化合物としては、硫酸アル
ミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸
アルミニウム、シュウ酸アルミニウム等のアルミニウム
塩、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等のア
ルミン酸アルカリ及びアルミナゾル等を用いることがで
きる。前記Alを含む化合物の添加量は、Mn含有ヘマ
タイト粒子粉末に対し、Al換算で好ましくは0.01
〜50重量%、さらに好ましくは0.05〜20重量%
である。
【0043】前記Siを含む化合物としては、水ガラ
ス、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシ
ウム、コロイダルシリカ、二酸化ケイ素等を用いること
ができる。前記Siを含む化合物の添加量は、Mn含有
ヘマタイト粒子粉末に対し、SiO2 換算で好ましくは
0.01〜50重量%、さらに好ましくは0.05〜2
0重量%である。
【0044】本発明における結合剤樹脂としては、現
在、磁気記録媒体の製造にあたって汎用されている塩化
ビニル−酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニリデン、ポリウ
レタン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ブタジ
エン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラー
ル、ニトロセルロース等セルロース誘導体、ポリエステ
ル樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂、エポキシ
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイソシアネートポリマー、
電子線硬化型アクリルウレタン樹脂等とその混合物を使
用することができる。
【0045】本発明における非磁性基体材料としては、
現在、磁気記録媒体の製造にあたって汎用されているポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、
ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリサル
ホン等合成樹脂フィルム及びアルミニウム、ステンレス
等金属の箔や板および各種の紙を使用することができ
る。
【0046】その他、通常用いられる潤滑剤、研磨剤、
帯電防止剤、着色材等を添加してもよい。
【0047】本発明の磁性塗料の混練分散に当たって
は、混練機は、例えば、二軸ニーダー、二軸エクストル
ーダー、加圧ニーダー、二本ロールミル、三本ロールミ
ルなどが使用でき、分散機としては、ボールミル、サン
ドグラインダー、アトライター、ディスパー、ホモジナ
イザー、超音波分散機などを使用することができる。
【0048】本発明の磁性塗料の塗布にあたっては、グ
ラビアコーター、リバースロールコーター、スリットコ
ーター、ダイコーターなどを使用することができる。塗
布したシートは、対向磁石配向、ソレノイド磁石配向等
により磁場配向を行うことができる。
【0049】
【本発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は
以下の通りである。
【0050】尚、以下の本発明の実施の形態及び実施例
並びに比較例におけるフィラー材の平均粒径及び磁性粒
子の平均長軸径、平均短軸径、軸比はいずれも電子顕微
鏡写真から測定した数値の平均値で示した。また、比表
面積はBET法により測定した値で示した。
【0051】Mn量及び各元素の含有量は、「蛍光X線
分析装置3063M型」(理学電機工業(株)製)を使
用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に
従って測定した。
【0052】特定Mn含有ヘマタイト粒子からなる黒色
フィラー材の測色は、フーバー式マーラーを用いて得ら
れた黒色フィラー材の分散ペーストを白紙に塗布した
後、多光源分光測色計MSC−IS−2D(スガ試験機
(株)製)を用いてJIS Z9729に定めるところ
の表色指数L* 値、a* 値、b* 値をそれぞれ測定し
た。
【0053】塗布膜の表面光沢は、グロスメーターUG
V−5D(スガ試験機(株)製)で入射角45°で測定
した値であり、標準板光沢を86.3%としたときの値
を%で示した。
【0054】表面粗度(Ra)は、「surfcom−
575A」(東京精密(株)製)を用いてカレンダー後
の塗布膜の中心線平均粗さ値として測定した。
【0055】光透過率は、光電分光光度計UV−210
0((株)島津製作所製)を用いて基準のベースフィル
ムに対するλ=900nmにおける光透過率を測定した
線吸収係数で示した。線吸収係数は次式で定義され、値
が大きい程、光を透過しにくいことを示す。 線吸収係数(μm-1)=ln(1/t)/FT t:λ=900nmにおける光透過率 FT:測定に用いた磁気記録媒体の塗膜組成物層の厚み
(μm)
【0056】塗料粘度は、E型粘度計を用いて25℃に
おけるずり速度が1.92/secでの見かけ粘度を測
定した。
【0057】耐久性は、メディアデュラビリティテスタ
ーMDT−3000(Steinberg Assoc
iates社製)を用いて、相対速度16m/sec、
負荷200gにおける測定値で示した。
【0058】磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−
3S−15」(東英工業(株)製)を使用し、最大外部
磁場10kOeにて測定した。
【0059】電磁変換特性は、ドラムテスターBX−3
168(ベルデックス社製)を用いて相対速度5.8m
/secでの1MHz及び4MHzの各記録周波数にお
ける電磁変換出力値を後出比較例4の基準テープに対す
る相対値として示した。
【0060】塗布膜の表面電気抵抗は、被測定塗布膜を
温度25℃、相対湿度60%の環境下に12時間以上曝
した後、幅6.5mmの金属製の電極に幅6mmにスリ
ットした塗布膜を置き、その両端に各170gのおもり
を付け、電極に塗布膜を密着させた後、電極間に500
Vの直流電圧をかけて測定した値で示した。
【0061】<黒色フィラー材の製造>Fe2+1.40
mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液300lを、あらか
じめ攪拌機付反応器中(900l)に準備された水21
0l及び15.75Nの水酸化ナトリウム水溶液60l
に加え、pH13以上、温度85℃において水酸化第一
鉄沈澱物を含む第一鉄塩水溶液の生成を行った。
【0062】上記、水酸化第一鉄沈澱物を含む第一鉄塩
水溶液に温度90℃において毎分250lの空気を90
分間通気してマグネタイト粒子を生成させた。
【0063】次いで、前記マグネタイト粒子32.4k
gを含む水懸濁液570lに、Fe2+1.40mol/
lを含むFeSO4 水溶液100lとMn2+1.40m
ol/lを含むMnSO4 水溶液100l(Mn添加量
は、全Fe及びMnの合計に対して20原子%に相当す
る。)と11.2NのNaOH水溶液50l(添加した
Fe2+、Mnを中和する量に相当)とを加え、pH13
以上、温度90℃において毎分700lの空気を180
分間通気して粒子表面にMn化合物及びFe化合物とを
被覆したマグネタイト粒子を生成した。
【0064】生成した粒子は、常法により、濾別、水
洗、乾燥、粉砕して黒色の粒子粉末とした。続いて、得
られた黒色の粒子粉末を磁製ルツボに入れ、電気炉によ
り空気中800℃、2時間焼成し、黒色粒子粉末を得
た。
【0065】得られた黒色粒子粉末は、図1の電子顕微
鏡写真(×20000)に示す通り、平均粒径0.28
μmの粒状粒子であって、Mn含有量は、蛍光X線分析
の結果、13.6重量%であり、その測色値は、明度L
* 値が21.1、a* 値が0.9、b* 値が−1.2で
あった。また、図2のX線回折パターンに示す通り、ヘ
マタイト構造を示すピークのみが認められた。
【0066】ここに得られた特定Mn含有ヘマタイト粒
子粉末を磁気記録媒体用の黒色フィラー材として以下の
磁気記録媒体の製造において使用する。
【0067】<磁気記録媒体の製造>Co被着型針状γ
−Fe2 3 粒子粉末(長軸0.25μm、軸比(長軸
径/短軸径)7.0、比表面積31.6m2 /g、保磁
力682Oe、飽和磁化79.6emu/g、Co含有
量2.69重量%)100重量部、MR−110(塩化
ビニル系樹脂)(日本ゼオン(株)製)10.0重量
部、シクロヘキサノン23.3重量部、メチルエチルケ
トン10.0重量部、カーボンブラック粒子粉末(三菱
化成(株)製、粒径26nm、BET比表面積130m
2 /g)1.0重量部及び特定Mn含有ヘマタイト粒子
粉末7.0重量部をニーダーを用いて20分間混練した
後、該混練物にトルエン79.6重量部及びメチルエチ
ルケトン110.2重量部及びシクロヘキサノン17.
8重量部を添加して希釈し、次いで、サンドグラインダ
ーによって3時間混合、分散させた。
【0068】上記混合分散物に、ポリウレタン樹脂(製
品名TI−1075、三洋化成工業(株)製)の固形分
10.0重量部を含むメチルエチルケトン/シクロヘキ
サノンの1/1溶液33.3重量部を添加してさらに3
0分間サンドグラインダーを用いて混合・分散した後、
目開き1μmのフィルターで濾過して得られた濾過物に
ミリスチン酸1.0重量部及びブチルステアレート3.
0重量部を含むMEK/トルエン/シクロヘキサノンの
5/3/2溶液12.1重量部及びE−31(三官能性
低分子量ポリイソシアネート、武田薬品工業(株)製)
5.0重量部を含むMEK/トルエン/シクロヘキサノ
ンの5/3/2溶液15.2重量部を攪拌しながら混合
して磁性塗料を製造した。この時の塗料粘度は2270
cpであった。
【0069】上記磁性塗料を目開き1μmのフィルター
で濾過した後、厚さ14μmのポリエステルベースフィ
ルム上にギャップ幅45μmのスリットコーターを用い
て塗布し、次いで、乾燥することによって膜厚約4μm
の磁性層を形成させ、常法によりカレンダー処理を行っ
て表面平滑化した後、1/2インチの幅に裁断した。得
られた磁気テープを60℃の硬化炉で24時間静置さ
せ、十分に硬化させて、磁気テープからなる磁気記録媒
体を得た。
【0070】上記磁気記録媒体の磁気特性は、保磁力が
721Oe、残留磁束密度Brが1420Gauss、
角型比(Br/Bm)0.88、配向度が2.53であ
った。光沢度は172%、表面粗度Raは6.8nm、
線吸収係数は1.21μm-1、記録波長1MHzにおけ
る電磁変換特性は+1.8dB、記録波長4MHzにお
ける電磁変換特性は+1.6dB、耐久性は30分間以
上、電気抵抗は5.0×109 Ω/cm2 であった。
【0071】なお、前記磁気記録媒体に用いた特定Mn
含有ヘマタイト粒子粉末が分散性に優れていることは前
記光沢度及び表面粗度Raの値より認められる。
【0072】
【作用】本発明に係る磁気記録媒体は、前述の発明の実
施の形態に記載の通り、カーボンブラック併用量を低減
しても十分な線吸収係数が得られており、塗膜の光沢度
及び表面粗度が良好であって、塗膜の角形比及び配向性
が良好であり、且つ、十分な耐久性が得られている。し
かも、前出発明の実施の形態、後出実施例13及び実施
例14に記載の通り、特定Mn含有ヘマタイト粒子粉末
の添加量を7重量部から14重量部、さらには21重量
部に増加しても電磁変換特性の低下が抑制されている。
この事実について、本発明者は次のように考えている。
【0073】即ち、本発明に係る磁気記録媒体は、黒色
フィラー材として黒色度に優れた特定Mn含有ヘマタイ
ト粒子粉末を用いているためカーボンブラック併用量を
低減しても十分な線吸収係数が得られたものと考えてい
る。
【0074】前記の通り、分散性の悪いカーボンブラッ
クを低減できたこと及び分散性の良い特定Mn含有ヘマ
タイト粒子粉末との効果により、磁性塗料の分散性が良
好となり、光沢度、表面粗度等の塗膜物性及び角形比、
配向性等の磁気特性等が良好となったものと考えてい
る。
【0075】さらに、特定Mn含有ヘマタイト粒子粉末
は分散性に優れているため、前出の発明の実施の形態、
後出実施例13及び実施例14に記載の通り、特定Mn
含有ヘマタイト粒子粉末の添加量を7重量部から14重
量部、さらには21重量部に増加しても電磁変換特性の
低下が抑制され、且つ、Al2 3 同等程度の十分な耐
久性が得られたものと考えている。
【0076】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0077】実施例1〜16、比較例1〜10; <黒色フィラー材の製造> 実施例1〜6、比較例1〜3 第一鉄塩の量、水酸化アルカリの量、Mn塩の種類及び
添加量、加熱処理条件、表面処理の有無等を種々変化さ
せた以外は本発明の実施の形態と同様にしてMn含有ヘ
マタイト粒子からなる黒色フィラー材を得た。Mn含有
ヘマタイト粒子粉末の製造条件を表1から表3に、その
諸特性及び比較対象としたその他のフィラー材の諸特性
を表4に示した。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】<磁気記録媒体の製造> 実施例7〜16、比較例4〜10 磁性粒子粉末の種類、結合剤樹脂の量、黒色フィラー材
又はその他フィラー材の種類及び添加量、溶剤の量を種
々変化させた以外は本発明の実施の形態と同様にして磁
気記録媒体を得た。磁気記録媒体の製造条件を表5に、
その諸特性を表6に示した。
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
【発明の効果】本発明に係る磁気記録媒体は、耐久性向
上に必要な添加量としても電磁変換特性の低下を抑える
ことができ、また、十分な黒色度を有しているのでカー
ボンブラックの併用量を減らすことができるという諸特
性を具備している特定Mn含有ヘマタイト粒子粉末を黒
色フィラー材として用いているため、優れた耐久性と良
好な電磁変換特性を有しており高密度記録用に最適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態で得られた特定Mn含有
ヘマタイト粒子粉末の粒子形態を示す電子顕微鏡写真
(×20000)である。
【図2】 本発明の実施の形態で得られた特定Mn含有
ヘマタイト粒子粉末の粒子構造を示すX線回折パターン
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角田 博 広島県広島市中区舟入南4丁目1番2号戸 田工業株式会社創造センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基体上に、結合材樹脂及び磁性粒
    子粉末を含む磁気記録層が形成されている磁気記録媒体
    において、前記磁気記録層中に、Mnを10〜30重量
    %含有する平均粒径0.1〜0.5μmのヘマタイト粒
    子からなる黒色フィラー材を前記磁性粒子粉末100重
    量部に対して1〜30重量部含有させたことを特徴とす
    る磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性基体上に結合材樹脂及び磁性粒子
    粉末を含む磁気記録層が形成されている磁気記録媒体に
    おいて、前記磁気記録層中に、Mnを10〜30重量%
    含有すると共に粒子表面にAlの酸化物、Alの水酸化
    物、Siの酸化物及びSiの水酸化物から選ばれる一種
    又は二種以上からなる被覆層を有する平均粒径0.1〜
    0.5μmのヘマタイト粒子からなる黒色フィラー材を
    前記磁性粒子粉末100重量部に対して1〜30重量部
    含有させたことを特徴とする磁気記録媒体。
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