JPH1064925A - 化合物半導体薄膜とその製造方法及び太陽電池 - Google Patents

化合物半導体薄膜とその製造方法及び太陽電池

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JPH1064925A
JPH1064925A JP8219580A JP21958096A JPH1064925A JP H1064925 A JPH1064925 A JP H1064925A JP 8219580 A JP8219580 A JP 8219580A JP 21958096 A JP21958096 A JP 21958096A JP H1064925 A JPH1064925 A JP H1064925A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ga濃度の少ない高品質な膜でかつ太陽光ス
ペクトルにマッチしたバンドギャップをもつ光吸収層を
得る。Ia族を加えた条件でCu(In,Ga)3Se5がp
形化するためのInとGaの固溶率の条件範囲に関する
詳細については明らかでなく、さらに基板から拡散、混
入しているNa等の不純物元素によってCu(In,G
a)3Se5の物性値がどのように変化しているかについ
てはわかっていないので、その詳細を検討することが重
要な課題である。 【解決手段】 Ia族元素を含有した[Cu2(SzSe
1-z)]x[(In1-yGa y)2(SzSe1-z)3]1-x化合物半
導体薄膜(但し、0.16≦x≦0.34、0.05≦
y≦0.55、0≦z≦1.0)を太陽電池の光吸収層
に適用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化合物半導体薄膜
とその製造方法及び太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽電池の光吸収層として用いられるI
族、III族、VI族元素からなる半導体薄膜は光吸収係数
が大きく、薄膜化が可能な太陽電池材料として注目を集
めている。例えばCu(In,Ga)Se2薄膜を光吸収層
に用いた太陽電池は理論上の変換効率が高く、光照射等
による効率の劣化がないという利点を有していることが
報告されている。現在高い変換効率を示す太陽電池に用
いられているCu(In,Ga)Se2薄膜はGa/(In
+Ga)比が0.2〜0.3程度であり、バンドギャッ
プにして1.2eV程度になっている。
【0003】一方、この高効率Cu(In,Ga)Se2薄
膜の表面にはIn,Ga過剰相であるCu(In,Ga)3
Se5が存在していると言われ、Cu(In,Ga)3Se5
の結晶構造、及びその膜物性について研究報告されてい
る。例えば1995年のプログレス イン フォトボル
タイック、第3巻、第6(Progress in Photovoltaics,V
ol.3,No.6,1995)においてショック(W.Schock)等はソー
ラーセルズ ベーストオン CuInSe2 アンド
リレーテッド コンパウンズ:マテリアルアンド プロ
シーディング(Solar Cells Based on CuInSe2 and Rela
ted Compounds:Material and Device Properties and P
rocessing)という題で、In,Ga過剰組成のCuIn
Se2薄膜表面にはCuIn3Se5相が存在し、Inを
Gaで置換したCuGaSe2薄膜やSeをSで置換し
たCuInS2薄膜ではCuIn5Se8相やCuIn5S
e8相に変化することを報告している。しかしIII族元素
やVI族元素の固溶率の違いによる結晶構造の変化につい
ての詳細は明らかでない。その他Cu(In,Ga)3Se
5の物性に関する報告例として、1995年の刊行物ア
プライド フィジックス レター(Applied Physics Le
tters,Vol.67,No.6,1995)で我々はプリパレーション
アンド キャラクタライゼーション オブ Cu(In
1-xGax)3Se5 シン フィルムス(Preparation and
characterization of Cu(In,Ga)3Se5 thin films)と
いう題で、同じGa含有率ではCu(In,Ga)3S
e5がCu(In,Ga)Se2に比べて大きなバンドギ
ャップを有し、さらにGa量xの増加に伴いCu(I
n,Ga)3Se5のバンドギャップが増加することを報
告している。また、1996年5月に行われた第25回
IEEE太陽エネルギー変換国際会議(25th IEEE First
World Conference on Pkotovoltaic Energy Conversio
n)においてコントレラス(M.Contreras)等はディフェク
ト カルコパイライト Cu(In,Ga)3Se5 ポリ
クリスタラインシン フィルム マテリアルズ(Defect
Chalcopyrite Cu(In,Ga)3Se5 Polycrystalline Thin-Fi
lm Materials)という題で、我々同様、同じGa含有率
では欠陥カルコパイライト構造を有するCu(In,G
a)3Se5相がカルコパイライト構造のCu(In,Ga)
Se2相よりも約200meV程度バンドギャップ大きくな
ることを報告し、さらにCuIn3Se5ではn型を示し
ていた伝導形がGa/(In+Ga)比の値が0.3以上
になるとp形に変化すると報告している。しかしCu
(In,Ga)3Se5は約106Ω-cmと抵抗値が高いた
め、測定上の誤差等を含めその詳細はわからない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上の報告からCu
(In,Ga)Se2を太陽電池の光吸収層に適用した場
合、Cu(In,Ga)Se2のバンドギャップを太陽光ス
ペクトルにマッチングさせる必要性があるが、現在高い
変換効率を示す太陽電池に用いられているCu(In,G
a)Se2薄膜はGa/(In+Ga)比が0.2〜0.
3程度であり、バンドギャップにして1.2eV程度にな
っているため、より高い変換効率を得るためにはさらに
Ga濃度を上げ、Ga/(In+Ga)≒0.7でバン
ドギャップを1.5eV程度にする必要がある。しかしバ
ンドギャップを広げる目的でGa濃度を上げるとCu
(In,Ga)Se2の結晶性が低下し、光を吸収して生成
したキャリアを消滅させるような欠陥を多く含むCu
(In,Ga)Se2薄膜になり、その結果太陽電池の変換
効率が低下する結果となる。しかし高品質な膜を得るた
めのGa/(In+Ga)比が0.2〜0.3程度では
太陽光スペクトルとのマッチングを考えた場合、バンド
ギャップが小さく損失が大きくなり、バンドギャップの
値から計算される理論的上の変換効率の最高値も低い値
となる。従って如何にGa濃度の少ない高品質な膜でか
つ太陽光スペクトルにマッチした大きなバンドギャップ
をもつ光吸収層を得るかが重要な課題である。
【0005】また、同じGa含有量でバンドギャップの
大きなCu(In,Ga)3Se5を光吸収層に適用させる
ためには従来n形の伝導形を示すと考えられていたCu
In 3Se5がGaを含有することによりp形の伝導形に
なる必要性があるが、Ia族を加えた条件でCu(In,
Ga)3Se5がp形化するためのInとGaの固溶率の
範囲に関する詳細については明らかでなく、また基板か
ら拡散、混入しているNa等の不純物元素によってCu
(In,Ga)3Se5がどのような影響を受けるかについ
てはわかっていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題を解
決するためにIa族元素を含有する[Cu2(SzS
e1- z)]x[(In1-yGay)2(SzSe1-z)3]1-x化合物
半導体薄膜を提供する。但し、0.16≦x≦0.3
4、0.05≦y≦0.55、0≦z≦1.0である。
【0007】Ia族元素としてLi、Na、Kのうち少
なくとも一種類を用いることが好ましい。
【0008】また、Ia族元素の含有率は1mol%を上限
とすることが好ましい。本発明はIa族元素の蒸着源と
してLi化合物、Na化合物、K化合物のうち少なくと
も一種類を用いた製造方法を提供する。
【0009】ここでLi化合物としてLi2O、Li2O
2、Li2S、Li2Se、Li2Te、LiF、LiC
l、LiBr、LiIのうち少なくとも一種類を用いて
製造することが好ましい。
【0010】また、Na化合物としてNa2O、Na2O
2、Na2S、Na2Se、Na2Te、NaF、NaC
l、NaBr、NaIのうち少なくとも一種類を用いて
製造することが好ましい。
【0011】さらに、K化合物としてK2O、K2O2、
K2S、K2Se、K2Te、KF、KCl、KBr、K
Iのうち少なくとも一種類を用いて製造することが好ま
しい。
【0012】また、本発明は[Cu2(SzSe1-z)]
x[(In1-yGay)2(SzSe1-z)3]1- x化合物の構成元
素に対して、各構成元素の単体あるいは化合物のうち少
なくとも一種類を用いた製造方法を提供する。
【0013】さらに、上記化合物を不活性ガスあるいは
VIb族元素蒸気のうち少なくとも一種類を用いた雰囲気
中で熱処理することが好ましい。
【0014】また、本発明は上記化合物半導体薄膜を光
吸収層に用いた太陽電池を提供する。
【0015】前記した本発明によれば、Ia族を含有し
た[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1- yGay)2(SzSe
1-z)3]1-x化合物半導体薄膜(但し0.16≦x≦0.
34、0.05≦y≦0.55、0≦z≦1.0)を用
いることによりIa族元素を添加することにより半導体
薄膜の導電率が向上し、さらにIa族を添加しない半導
体薄膜に比べて広範囲での限定されたx、yの値に対し
て太陽電池の光吸収層として機能する伝導形を得ること
が可能となる。ここで0.16≦x≦0.34とするこ
とで同じGa含有量のCu(In,Ga)Se2よりも
大きなバンドギャップを有する単一相Cu(In,G
a)3Se5薄膜を得ることができ、少ないGa含有量で
より太陽光スペクトルにマッチしたバンドギャップを有
する化合物半導体薄膜を得ることが可能となる。さらに
0.05≦y≦0.55とすることにより太陽電池の光
吸収層として機能する伝導形(p形)を有するCu(I
n,Ga)3Se5薄膜を得ることが可能となり、同じバ
ンドギャップでy≧0.5のCu(In,Ga)Se2
膜より結晶性に優れ、より太陽光スペクトルにマッチし
たバンドギャップを有する化合物半導体薄膜を得ること
が可能となる。
【0016】また、Ia族元素としてLi、Na、Kの
うち少なくとも一種類を用いることによりCu(In,
Ga)3Se5薄膜の結晶成長を促進し、導電率を向上さ
せることが可能となる。
【0017】さらに、[Cu2(S,Se)]x[(In1-y
Gay)2(S,Se)3]1-x化合物半導体薄膜中に占めるI
a族元素の割合は1mol%を上限とすることにより、
[Cu2(S,Se)]x[(In1-yGay)2(S,Se)3]
1-x薄膜の組成を変化させること無くIa族元素を混入す
ることが可能となる。
【0018】Ia族元素の蒸着源としてLi化合物、N
a化合物、K化合物のうち少なくとも一種類を用いて製
造することにより安定した状態でIa族元素を[Cu
2(SzSe1-z)]x[(In1-yGay)2(SzSe1-z)3]
1-x化合物半導体薄膜中に混入させることが可能にな
り、前記化合物半導体薄膜の結晶成長促進と導電率を向
上させるのに有効な手段となる。
【0019】Li化合物としてLi2O、Li2O2、L
i2S、Li2Se、Li2Te、LiF、LiCl、L
iBr、LiIのうち少なくとも一種類を用いて、また
Na化合物としてNa2O、Na2O2、Na2S、Na2
Se、Na2Te、NaF、NaCl、NaBr、Na
Iのうち少なくとも一種類を用いて、またK化合物とし
てK2O、K2O2、K2S、K2Se、K2Te、KF、K
Cl、KBr、KIのうち少なくとも一種類を用いて製
造することにより安定した状態でIa族元素を[Cu
2(S,Se)]x[(In1-yGay)2(S,Se)3]1-x化合
物半導体薄膜中に混入させることが可能になり、有効に
前記化合物半導体薄膜の結晶成長を促進させ、導電率を
向上させることが可能となる。
【0020】また、[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1-y
Gay)2(SzSe1-z)3]1-x化合物の構成元素に対し
て、各構成元素の単体あるいは化合物のうち少なくとも
一種類を用いて製造することにより蒸着源に多様な選択
性をもち自由度が広がるほか、精密かつ容易に組成制御
が可能となる。
【0021】さらに、上記化合物を不活性ガスあるいは
VIb族元素蒸気のうち少なくとも一種類を用いた雰囲気
中で熱処理することにより[Cu2(SzSe1-z)]
x[(In1 -yGay)2(SzSe1-z)3]1-x化合物薄膜に存
在する欠陥を低減させ、より高品質な薄膜作製が可能と
なる。
【0022】上記化合物半導体薄膜を太陽電池の光吸収
層に用いることにより高効率な薄膜太陽電池作製が可能
となる。
【0023】さらに、太陽電池の光吸収層として0.1
6≦x≦0.34、0.05≦y<0.55、0≦z≦
1.0の[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1-yGay)2(S
zSe1-z)3]1-x化合物半導体薄膜を用いることにより
高効率な薄膜太陽電池作製が可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を参照して説明する。
【0025】(実施例1)本実施例におけるIa族元素
を含有した[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1-yGay)
2(SzSe1-z)3]1-x化合物半導体薄膜について述べ
る。図1にCu(In,Ga)3Se5薄膜作製に用いた
真空容器の概略図を示す。図1の排気口7を備えた真空
容器1の内部に、基板ホルダー2と基板を加熱するタン
タルヒーター3を設け、約1μmのMo膜5をコートし
たアルミナ基板4上にIa族の蒸着源であるNa2S12
を蒸着レート100Å/min.で10分間Mo膜上に蒸着
を行った。さらにその上にx=0.25、y=0.2、
z=0のCu(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜6を約2μ
m形成する。Cu(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜の堆積
に際し、Cu(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜の主成分で
あるCuの蒸着源8と、Inの蒸着源9、Gaの蒸着源
10、Seの蒸着源11を用意し、各元素の同時蒸着を
行った。このとき、それぞれの蒸着源が入ったルツボの
温度を1150℃、850℃、900℃、200℃一定
で加熱し、Cu、In、Ga、Seの蒸着レートが化学
量論比組成となるCu(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜が
得られるレートになっている。ここで基板温度は500
℃一定とした。
【0026】表1にNa元素を添加したCu(In0.8
Ga0.2)3Se5薄膜とNa元素を添加していないCu
(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜の導電率を示す。
【0027】
【表1】
【0028】この表よりNa2Sを同時に蒸着したCu
(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜はNa2Sを同時蒸着し
なかった膜よりも約2桁導電率が増加し、太陽電池の光
吸収層に適した導電率を有していることがわかる。すな
わち、Cu(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜にIa族であ
るNaを加えることによってCu(In0.8Ga0.2)S
e2の導電率を向上させることが可能となる。
【0029】次に上記2種類のCu(In0.8Ga0.2)
3Se5薄膜を太陽電池の光吸収層に適用するため、太陽
電池の作製を行った。図2に太陽電池の構成を示す。以
下にそれぞれの作製法について述べる。アルミナ基板4
の上に裏面電極であるMo膜5をスパッタ法により約1
μm形成し、この上にCu(In0.8Ga0.2)3Se5薄
膜5を約2μm形成する。さらにこの上に溶液析出法に
よりCdS薄膜14を約500Åの厚さで形成し、この
上にスパッタ法によりZnO薄膜15を0.5μm、IT
O薄膜16を1μmの厚さで形成した。さらに、ITO
膜上とMo薄膜の上に取り出し電極として真空蒸着法に
よりAu電極17を0.5μmの厚さで形成した。
【0030】図3は上記Naを添加したCu(In0.8
Ga0.2)3Se5薄膜を光吸収層として用いた太陽電池
の分光感度特性を示したものである。分光感度特性の測
定はA.M.1.5、100mW/cm2の条件下で行った。C
u(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜上部に形成したITO
/ZnO/CdSがn形の伝導形を示すことから、x=
0.25、y=0.2のCu(In0.8Ga0.2)3Se5
薄膜はp形の伝導形になっていることが考えられ、太陽
電池の光吸収層に適応することが可能である。なお、N
aを添加していないCu(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜
を光吸収層として用いた同一構造の太陽電池からは分光
感度特性を得ることができなかった。すなわちIaぞく
を含有しなければx=0.25、y=0.2の条件では
Cu(In0 .8Ga0.2)3Se5薄膜はp形にはならず、
光吸収層として機能しない。
【0031】次にガラス基板上に作製したy=0.2一
定でx=0.5と0.25のIa族元素を含有したCu
(In0.8Ga0.2)Se2、Cu(In0.8Ga0.2)3S
e5薄膜の透過特性から(hν)vs(αhν)2をプロ
ットし、算出したバンドギャップの値を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】この表よりx=0.25の膜の方がx=
0.5の膜よりもバンドギャップが大きくなっているこ
とがわかる。ここでx=0.25のCu(In0.8Ga
0.2)3Se5の結晶構造は欠陥カルコパイライト構造で
あり、x=0.5のCu(In0 .8Ga0.2)Se2はカ
ルコパイライト構造であることがX線回折の結果からわ
かっている。薄膜太陽電池の光吸収層としては太陽光ス
ペクトルとのマッチングを考えた場合、バンドギャップ
が1.4〜1.5eV程度になることが理想であるか
ら、今回作製した薄膜試料(y=0.2)では欠陥カル
コパイライト構造を持つ膜の方がより理想的なバンドギ
ャップを有していることがわかる。このことよりx=
0.25、y=0.2のCu(In0.8Ga0.2)3Se5
薄膜を太陽電池の光吸収層に適用することにより、理想
的な太陽電池作製が可能である。
【0034】次に、欠陥カルコパイライト構造になるI
a族元素を含有した[Cu2(SzSe 1-z)]x[(In1-y
Gay)2(SzSe1-z)3]1-xのxの条件範囲を調べるた
めに、xの値をx=0.1から0.5まで変化させた
[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1 -yGay)2(SzS
e1-z)3]1-x薄膜(y=0.2、z=0)を作製した。
【0035】図4に作製した薄膜試料(x=0.1、
0.3、0.5)のX線回折パターンを示す。x=0.
1の試料からはCu(In0.8Ga0.2)3Se5と(In
0.8Ga0.2)2Se3と思われる回折パターンが得られ、
2成分が混在した形で膜形成されているものと思われ
る。これに対しx=0.3の試料からは欠陥カルコパイ
ライト構造のCu(In0.8Ga0.2)3Se5相を示す回
折パターンのみが得られ、x=0.25と同じ単一相C
u(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜が形成されていること
がわかる。またx=0.5ではカルコパイライト構造の
Cu(In0.8Ga0.2)Se2相のみが形成され、欠陥
カルコパイライト相に特有の110、202、114と
いったピークが観測されていないことがわかる。欠陥カ
ルコパイライト構造のCu(In0.8Ga0.2)3Se5薄
膜はカルコパイライト構造のCu(In0.8Ga0.2)S
e2薄膜と比べて大きなバンドギャップを有し、y=
0.2ではより太陽光スペクトルにマッチしたバンドギ
ャップに近い値を持つ。以上の結果からx=0.3にお
いて欠陥カルコパイライト構造を有する単一相のCu
(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜が形成されていることが
わかった。
【0036】なお、x=0.3付近で欠陥カルコパイラ
イト構造となる組成領域を精密に検討を行ったところ、
0.16≦x≦0.34の範囲において単一相の欠陥カ
ルコパイライト構造を有するCu(In0.8Ga0.2)3
Se5薄膜が形成されていることがわかった。このこと
より0.16≦x≦0.34の範囲においてカルコパイ
ライト構造Cu(In0.8Ga0.2)Se2薄膜よりもバ
ンドギャップの大きな単一相欠陥カルコパイライト構造
のCu(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜を得ることが可能
である。
【0037】次に、光吸収層としての機能を有するIa
族元素を含有した[Cu2(SzSe1- z)]x[(In1-yG
ay)2(SzSe1-z)3]1-xのyの条件範囲を調べるた
め、yの値をy=0〜1.0まで0.1刻みで変化させ
てCu(In1-yGay)3Se5薄膜(x=0.25、z
=0)を作製した。
【0038】図5にy(=Ga/(In+Ga))の値
に対する導電率の変化を示す。この図よりy=0.6以
上になると導電率が低下していることがわかる。また、
Na添加してガラス基板上に作製したCu(In1-yG
ay)3Se5薄膜の透過特性から(hν)vs(αh
ν)2をプロットし、算出したバンドギャップを図6に
示す。この図よりy=0.5付近でバンドギャップが
1.5eV程度になり、太陽電池の光吸収層としては最
適なバンドギャップであることがわかる。また、Gaの
含まない(y=0)CuIn3Se5薄膜を用いて同じ構
造の太陽電池を作製すると量子効率が得られないことか
らGaを含まない(y=0)CuIn3Se5薄膜はn形
の伝導形を示し、Gaを含むことによって太陽電池の光
吸収層としての機能を果たし、p形に変化することがわ
かる。上記の導電率、伝導形の変化と併せて考えると
0.05≦y≦0.55の範囲において比較的導電率が
よく、最適なバンドギャップを有する光吸収層(p形)
Cu(In1-yGay)3Se5薄膜作製が可能となる。
【0039】なお、ここでは[Cu2(S,Se)]x[(I
n1-yGay)2(S,Se)3]1-x化合物半導体薄膜をz=
0のCu(In,Ga)3Se5薄膜に限定しているが、
Sの入った薄膜試料に対しても同様な結果が得られてい
る。
【0040】(実施例2)次に、第2の実施例における
Ia族元素を含有した[Cu2(SzSe1-z)]x[(In
1-yGay)2(SzSe1-z)3]1-x化合物半導体薄膜につい
て述べる。薄膜作製の条件は第1の実施例とほぼ同様で
あるが、Ia族の蒸着源としてNa2S12の代わりにL
i2Sを用意し、蒸着レート100Å/min.でMo膜上に
10分間蒸着を行い、その後x=0.25、y=0.
2、z=0のCu(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜形成を
行い、実施例2と同様の構造の太陽電池を作製したとこ
ろ、実施例2と同様な結果を得ることができた。すなわ
ちIa族の蒸着源はNa化合物に限られるものではな
い。
【0041】その他K化合物、あるいはそれぞれの混合
物を用いても同様の結果を得ることができた。
【0042】(実施例3)次に、第3の実施例における
Ia族元素を含有した[Cu2(SzSe1-z)]x[(In
1-yGay)2(SzSe1-z)3]1-x化合物半導体薄膜につい
て述べる。薄膜作製の条件は第1の実施例とほぼ同様で
あるが、Ia族の蒸着源であるNa2S12において蒸着
レート100Å/min.と200Å/min.で10分間蒸着を
行い、引き続きx=0.25、y=0.2、z=0のC
u(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜形成を行った。
【0043】作製したCu(In0.8Ga0.2)3Se5薄
膜をEPMAにより組成分析した結果、100Å/min.
でNa2Sを蒸着した膜からはNaはほとんど検出され
ず、200Å/min.でNa2Sを蒸着した膜からはNaが
1.5mol%検出された。
【0044】これら2枚の薄膜に対し、実施例1と同様
の構造の太陽電池を作製した。その結果、200Å/mi
n.でNa2Sを蒸着した膜の太陽電池の方が低い収集効
率を示した。これはNaがCu(In0.8Ga0.2)3S
e5薄膜に多く混入したためにCu(In0.8Ga0.2)3
Se5の組成が変化して、その結果太陽電池特性が劣化
したものと考えられる。従ってCu(In0.8Ga0.2)
3Se5の組成を変化させない程度のNa含有量が望まし
く、1mol%を上限とすることで最適組成を有するCu
(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜を太陽電池の光吸収層に
適用することが可能となる。
【0045】(実施例4)次に、第4の実施例における
Ia族元素を含有した[Cu2(SzSe1-z)]x[(In
1-yGay)2(SzSe1-z)3]1-x化合物半導体薄膜につい
て述べる。薄膜作製の条件は第1の実施例とほぼ同様で
あるが、Na化合物としてNa2O2を用いて実施例1と
同様の構造の太陽電池を作製した。その結果、実施例1
とほぼ同様の結果を得ることができた。
【0046】その他、Na化合物としてNa2O、Na2
S、Na2Se、Na2Te、NaF、NaCl、NaB
r、NaI、Li化合物としてLi2O、Li2O2、L
i2S、Li2Se、Li2Te、LiF、LiCl、L
iBr、LiI、またK化合物としてK2O、K2O2、
K2S、K2Se、K2Te、KF、KCl、KBr、K
Iのうち少なくとも一種類を用いてもほぼ同様な結果を
得ることができたが、Na 2Sを用いた場合にその効果
がより顕著であった。
【0047】(実施例5)次に、第5の実施例における
Ia族元素を含有した[Cu2(SzSe1-z)]x[(In
1-yGay)2(SzSe1-z)3]1-x化合物半導体薄膜につい
て述べる。薄膜作製の条件は第1の実施例とほぼ同様で
あるが、Cu(In0.8Ga0.2)3Se5の蒸着源として
Cu蒸着源8、In蒸着源9、Ga蒸着源10、Se蒸
着源11の代わりにCu2Se、In2Se3、Ga2Se
3を用いてそれぞれの共蒸着によりCu(In0.8Ga
0.2)3Se5薄膜形成を試みた。この場合も基板温度は
約500℃である。
【0048】X線回折による分析結果、実施例1で作製
したCu(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜と同様の配向性
を示すX線回折パターンが得られた。また、この膜を用
いて実施例1と同様の構造の太陽電池を作製したとこ
ろ、実施例1と同程度の収集効率を得ることができた。
すなわち、Cu(In0.8Ga0.2)3Se5薄膜形成は各
々独立した各構成元素からの共蒸着に限られるものでは
ない。
【0049】(実施例6)次に、第6の実施例における
Ia族元素を含有した[Cu2(SzSe1-z)]x[(In
1-yGay)2(SzSe1-z)3]1-x化合物半導体薄膜につい
て述べる。薄膜作製の条件は第1の実施例とほぼ同様で
あるが、作製したCu(In0.8Ga0.2)3Se5をSe
雰囲気中400℃、30分間熱処理を行った。その結
果、熱処理を行わなかった試料よりもわずかながら太陽
電池特性を向上させることができた。これはCu(In
0.8Ga0.2)3Se5薄膜形成時に生成した欠陥を熱処理
を行うことにより低減させることができたことによるも
のと考えられる。
【0050】その他、熱処理雰囲気として不活性ガスあ
るいはVIb族元素蒸気のうち少なくとも一種類を用いて
も同様な効果を得ることができた。
【0051】
【発明の効果】本発明により、太陽電池の光吸収層に適
した伝導形、バンドギャップを有する高品質なIa族元
素を含有した[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1-yGay)
2(SzSe1-z)3]1-x化合物半導体薄膜を作製すること
ができ、変換効率の高い太陽電池を作製することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるIa族元素を含有し
た[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1-yGay)2(SzSe
1-z)3]1-x化合物半導体薄膜形成装置の断面を示す図
【図2】本発明の一実施例におけるIa族元素を含有し
た[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1-yGay)2(SzSe
1-z)3]1-x化合物半導体薄膜を用いた太陽電池の断面を
示す図
【図3】本発明の一実施例におけるIa族元素を含有し
た[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1-yGay)2(SzSe
1-z)3]1-x化合物半導体薄膜を用いた太陽電池の分光感
度特性を示す図
【図4】本発明の一実施例におけるIa族元素を含有し
た[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1-yGay)2(SzSe
1-z)3]1-x化合物半導体薄膜のX線回折パターンを示す
図
【図5】本発明の一実施例におけるIa族元素を含有し
た[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1-yGay)2(SzSe
1-z)3]1-x化合物半導体薄膜の導電率を示す図
【図6】本発明の一実施例におけるIa族元素を含有し
た[Cu2(SzSe1-z)]x[(In1-yGay)2(SzSe
1-z)3]1-x化合物半導体薄膜のバンドギャップを示す図
【符号の説明】
1 真空容器 2 基板ホルダー 3 タンタルヒーター 4 アルミナ基板 5 Mo薄膜 6 Cu(In,Ga)3Se5薄膜 7 排気口 8 Cu源 9 In源 10 Ga源 11 Se源 12 Na2S源 13 シャッター 14 CdS薄膜 15 ZnO薄膜 16 ITO薄膜 17 Au電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 隆博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ia族元素を含有した[Cu2(SzSe
    1-z)]x[(In1-yGay)2(SzSe1-z)3]1-x化合物半
    導体薄膜。但し、0.16≦x≦0.34、0.05≦
    y≦0.55、0≦z≦1.0である。
  2. 【請求項2】 Ia族元素がLi、Na、Kよりなる群
    から選ばれた少なくとも一種類である請求項1記載の化
    合物半導体薄膜。
  3. 【請求項3】 Ia族元素の含有率が1mol%を上限とす
    る請求項1記載の化合物半導体薄膜。
  4. 【請求項4】 Ia族元素の蒸着源がLi化合物、Na
    化合物、K化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一
    種類である請求項2記載の化合物半導体薄膜の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 Li化合物がLi2O、Li2O2、Li2
    S、Li2Se、Li2Te、LiF、LiCl、LiB
    r、LiIよりなる群のうち少なくとも一種類である請
    求項4記載の化合物半導体薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 Na化合物がNa2O、Na2O2、Na2
    S、Na2Se、Na2Te、NaF、NaCl、NaB
    r、NaIよりなる群のうち少なくとも一種類である請
    求項4記載の化合物半導体薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 K化合物がK2O、K2O2、K2S、K2
    Se、K2Te、KF、KCl、KBr、KIよりなる
    群のうち少なくとも一種類である請求項4記載の化合物
    半導体薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 [Cu2(SzSe1-z)]x[(In1-yGa
    y)2(SzSe1-z)3]1- x化合物の構成元素に対して、前
    記構成元素の単体あるいは化合物よりなる群のうち少な
    くとも一種類を用いて形成する請求項1記載の化合物半
    導体薄膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 不活性ガスあるいはVIb族元素蒸気より
    なる群のうち少なくとも一種類を用いた雰囲気中で熱処
    理する工程を含む請求項1記載の化合物半導体薄膜の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 光吸収層が請求項1〜3記載の化合物
    半導体薄膜よりなる太陽電池。
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