JPH107617A - 重合性化合物およびそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents

重合性化合物およびそれを用いた液晶表示素子

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JPH107617A
JPH107617A JP9034165A JP3416597A JPH107617A JP H107617 A JPH107617 A JP H107617A JP 9034165 A JP9034165 A JP 9034165A JP 3416597 A JP3416597 A JP 3416597A JP H107617 A JPH107617 A JP H107617A
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憲明 大西
Nobuaki Yamada
信明 山田
Masahiko Yoshida
昌彦 吉田
Hanyou Mizobe
帆洋 溝部
Kenji Suzuki
賢治 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ディスクリネーションラインを発生せず、応
答速度と電圧−透過率特性の劣化が少なく、電圧無印加
時にも明るく、高コントラストを有し、強度と耐熱性に
優れる液晶表示素子を得る重合性化合物、および該液晶
表示素子を提供する。 【解決手段】 一般式Iの重合性化合物。 (Xは水素またはメチル基;lとmは独立して0〜14の
整数;Yは単結合、-COO-、-OCO-または-O-;nとpは
独立して0〜18の整数;qとsは独立して0または1;
AとRBは独立して、式IIまたはIIIである: ただしq=1の時、p≧2であり;RAが式IIのとき、
Bは式IIである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重合性化合物およ
びそれを用いる液晶表示素子に関する。より詳細には、
本発明は、高分子(または高分子壁)に囲まれた液晶層
を有する液晶表示素子の高分子(または高分子壁)と液
晶領域との界面において、液晶領域内の液晶分子の配向
規制力を高めるための重合性化合物と、それを用いる液
晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
(液晶材料と高分子材料とを用いた液晶表示素子) (i)特表昭58−501631号公報には、高分子材料
でカプセル化された液晶材料を有する高分子分散型液晶
表示素子が記載されている。この液晶表示素子では、液
晶材料と高分子材料との屈折率の違いを利用して、電圧
無印加時には液晶分子の散乱による白濁状態を表示し、
電圧印加時には液晶分子の屈折率の変化により透明状態
を表示する。また、特表昭61−502128号公報に
は、液晶組成物と光硬化性樹脂との混合物に紫外線を照
射して、液晶材料と硬化した樹脂とを3次元的に相分離
させてることにより形成した液晶層を有する液晶表示素
子が記載されている。これらの素子は、基本的に、液晶
層の入射光の散乱(白濁)−透過(透明)状態の変化を
電気的に制御する液晶表示素子である。
【0003】(ii)特開平1−269922号公報には、
液晶組成物と光硬化性樹脂(高分子材料)との混合物に
対して、ホトマスクを介して紫外線を選択的に照射し
(1段目)、さらに、ホトマスクを除いて紫外線照射
(2段目)することにより、1段目の紫外線照射におい
てホトマスクで遮光した領域に選択的に紫外線を照射し
て、異なる特性の領域を形成する技術が記載されてい
る。こうして得られる素子は基本的に散乱型素子であ
る。
【0004】一方、特開平5−257135号公報に
は、配向規制力を有する配向膜が設けられた基板間に、
液晶組成物と光硬化性樹脂との混合物を注入し、基板上
に配設したホトマスクを介して紫外線を照射することに
より得られる液晶層を有する液晶素子が記載されてい
る。この素子は、ホトマスクが配置されていた内側部分
と外側部分とで液晶領域の電圧印加による光学特性が異
なることを利用して、ホトマスクのパターンの絵模様が
液晶層に反映するように形成される。この素子は、各基
板上に設けられた電極間に印加する電圧により、液晶層
の光線透過率を制御するスタティック駆動用液晶素子で
ある。従って、後述する本発明の素子のようなマトリッ
クス駆動用液晶素子とは構成が異なる。
【0005】(液晶表示素子の視角特性の改善の原理)
液晶表示素子の視角特性を改善するためには、画素(液
晶領域)内で少なくとも3方向以上の方向に液晶分子を
配向させることが必要である。この視角特性の改善の原
理を、図27および図28を参照して説明する。
【0006】図27は、高分子壁を有さないTNモード
の液晶表示素子の概略断面図であり、図28は、高分子
壁で囲まれた液晶領域を有する液晶表示素子の概略断面
図である。図27の液晶表示素子は、対向配設された基
板1と、この基板1、1間に挟まれた液晶層10とを有
する。液晶層10では、液晶分子は一方向に配向してい
る。一方、図28の液晶表示素子は、対向配設された基
板1と、この基板1、1に挟まれた液晶層20とを有
し、液晶層20は、高分子壁21に囲まれた液晶領域2
0とからなる。液晶領域20では、液晶分子は、軸Xに
対して軸対称状に配向している。図27および図28に
おいて、(a)は、それぞれ、液晶層10および20に
電圧を印加していない状態を示し、(b)は、それぞ
れ、液晶層10および20に電圧を印加して中間調を表
示している状態を示し、(c)は、それぞれ、液晶層1
0および20に飽和電圧を印加した状態を示す。
【0007】図27(b)からわかるように、中間調表
示状態では、液晶表示素子を方向Aから見た場合の液晶
分子の屈折率と、方向Bから見た場合の液晶分子の屈折
率とが異なる。従って、方向Aから見た場合と、方向B
から見た場合とでは、コントラストが異なる。一方、図
28(b)からわかるように、液晶分子が軸対称状に配
向している場合は、中間調表示状態で、方向Aから見た
場合と、方向Bから見た場合の液晶分子の見かけ上の屈
折率が平均化されて、両方向AおよびBから見た場合の
コントラストが等しくなる。
【0008】このように、図28で示すように、液晶分
子が軸対称状に配向している液晶表示素子の視角特性
は、図27で示すTNモードの液晶表示素子の視角特性
と比べて改善されることになる。
【0009】(広視角モードを有する素子の具体例) 特開平4−338923号公報および特開平4−21
2928号公報には、前述の高分子分散型液晶表示セル
に互いに直交する偏光子を組み合わせた広視野角モード
の液晶表示素子に関する技術が記載されている。
【0010】特開平5−27242号公報には、偏光
板を用いる非散乱型液晶表示素子の視角特性を改善する
方法として、液晶と光硬化性樹脂との混合物から相分離
により、液晶と高分子体との複合材料を作製する方法が
記載されている。この方法では、生成した高分子体の影
響により液晶ドメインの配向状態がランダム状態にな
る。従って、電圧印加時に個々の液晶ドメインで液晶分
子の立ち上がる方向が異なるために、各方向から見た液
晶分子の見かけ上の屈折率が等しくなり、中間調表示状
態での視角特性が改善される。
【0011】特開平6−265902号公報および特
開平6−324337号公報には、液晶表示セルを構成
する基板の各画素毎に、同心円状または軸対称状の配向
処理を施すことにより、広視野角モードの液晶表示素子
を作製する技術が記載されている。これらの技術では、
各画素毎に液晶分子の配向を制御することが重要である
が、そのためのプロセスが複雑であり、極めて制御性が
低いことが問題である。
【0012】最近、本発明者らは、特開平6−301
015号公報にて、視角特性が改善された液晶表示素子
を提案している。この液晶表示素子は、液晶組成物と光
硬化性樹脂とを含有する液晶表示セル中に、ホトマスク
を介して光照射をすることにより作製される。作製され
た液晶表示素子では、マスクの遮光領域に当たる画素部
で液晶分子が全方向的な配向状態(軸対称状配向)とな
った液晶領域が形成され、マスクの透光部で主に光硬化
性樹脂からなる高分子壁が形成される。この液晶表示素
子では、液晶分子が全方向的な配向状態を形成してお
り、図28で説明したような電圧応答挙動で動作するこ
とにより、視角特性が著しく改善されている。
【0013】図29に、図28に示した液晶表示素子
の、電圧印加時の平面図を示す。図において、素子作製
時にホトマスクを設けた位置を破線23で示す。図29
からわかるように、液晶領域20は、ほぼホトマスクの
形状を反映して形成される。このように、液晶領域20
に存在する液晶分子が、軸(図28(a)で示す基板面
に対して垂直方向の軸X)に対して対称状に配向してい
る場合、通常、電圧印加時の液晶領域20外周部などに
リバースチルトによるディスクリネーションライン22
が発生する。
【0014】そこで、本発明者らは引き続いて、特願
平6−132288号にて、上記で説明した液晶表示
素子で問題となった電圧印加時で発生するディスクリネ
ーションを改善するために、液晶組成物と光硬化性樹脂
との混合物に、液晶類似骨格を有する直鎖状重合性化合
物を添加することを提案している。
【0015】さらに、本発明者らは上記の発明にお
いて課題として残されていた応答速度および電圧−透過
率特性の急峻性などの問題点を解決するためにパーフル
オロ基などのフッ化アルキル基を導入した液晶類似骨格
を有する直鎖状重合性化合物を樹脂系として添加した材
料組成物およびこれらの材料組成物を用いて作製した液
晶素子に関する発明を特願平7−175264号におい
て提案した。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記で説明した液晶
表示素子では、高分子壁と液晶領域との界面において、
液晶分子のリバースティルトによるディスクリネーショ
ンが発生するという問題がある。このディスクリネーシ
ョンが輝線として表示されるために黒状態での表示特性
が低下する。
【0017】一方、このディスクリネーションの発生を
抑制するために、上記で提案したような重合性化合物
を用いた液晶表示素子では、次のような2つの問題が認
められている。第1に、液晶領域における液晶分子のプ
レティルトが大きくなり、電圧無印加時に明るさが減少
するという問題がある。第2に、高分子−液晶複合層お
よび高分子壁と液晶領域との界面に存在する相互作用な
どにより、液晶素子の応答速度の劣化、ならびに電圧−
透過率特性の閾値特性および急峻性の劣化などの問題が
認められる。
【0018】さらに、上記などの液晶表示素子におい
ては、視角特性改善に必要な画素内で全方位配向を取ら
せるための液晶の配向制御を行う方法と、液晶と高分子
との界面で起こる散乱による脱偏光によるコントラスト
の低下を防ぐ方法とが問題となる。液晶と高分子との界
面で起こる散乱を抑制するには、画素内に液晶と高分子
との界面を少なくする方法が考えられる。しかし、従来
の方法では、3次元高分子マトリクス中に生成する液晶
ドロップレットのサイズ、形成位置などを制御すること
が極めて困難である。
【0019】これらの問題点を解決するために、ディス
クリネーション発生の抑制だけでなく、応答速度および
電圧−透過率特牲の劣化がないような重合性化合物を選
択することは重要であり、あわせて、画素に少なくとも
1つの液晶ドロップレットを形成することが有用であ
る。すなわち、従来の液晶表示モードを疑似固体化した
液晶表示素子を実現するためには、上述の液晶配向の制
御と散乱強度の抑制という問題を両方または単独に解決
する必要がある。
【0020】さらに、従来の液晶類似骨格を有する直鎖
状重合性化合物は、(1)その反応性に起因して、未反応
の化合物が残留することにより液晶表示素子の特性が低
下するという問題;(2)重合性化合物の分子構造に起因
して、形成される高分子(壁)の強度(例えば、耐圧力
性、耐衝撃性)および耐熱性が不十分であり、その結
果、液晶表示素子の強度および耐熱性が不十分であると
いう問題;などの本質的な問題を有している。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来の課
題を解決するためになされたものであり、その目的とす
るところは、ディスクリネーションラインを発生させ
ず、応答速度および電圧−透過率特性の劣化が少なく、
電圧無印加時にも明るく、高いコントラストを有し、か
つ強度(例えば、耐圧力性、耐衝撃性)および耐熱性に
優れる液晶表示素子が得られる重合性化合物、およびそ
のような液晶表示素子を提供することにある。
【0022】本発明者らは、鋭意検討した結果、液晶類
似骨格を有し、かつ、分岐した重合性活性基を有する多
官能性化合物を用いることにより、ディスクリネーショ
ンラインを発生させず、応答速度および電圧−透過率特
性の劣化が少なく、電圧無印加時にも明るく、高いコン
トラストを有し、しかも強度(例えば、耐圧力性、耐衝
撃性)および耐熱性に優れる液晶表示素子が得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0023】本発明の重合性化合物は、下記式(I)で表
される化合物である:
【0024】
【化3】
【0025】ここで、Xは、水素原子またはメチル基で
あり;lおよびmは、それぞれ独立して、0〜14の整数
であり;Yは、単結合、-COO-、-OCO-、または-O-であ
り;nおよびpは、それぞれ独立して、0〜18の整数で
あり;qおよびsは、それぞれ独立して、0または1で
あり;RAおよびRBは、それぞれ独立して、式(II)ま
たは式(III)で表される:
【0026】
【化4】
【0027】ただし、q=1の時、p≧2であり;RA
が式(II)で表されるとき、RBは式(II)で表され
る。
【0028】好適な実施態様においては、上記式(I)に
おいて、n+p≦18である。
【0029】好適な実施態様においては、上記式(I)に
おいて、n+p≦18であり、かつ、s=0である。
【0030】好適な実施態様においては、上記式(I)に
おいて、n+p≦18であり、かつ、s=1である。
【0031】本発明の液晶表示素子は、一対の基板間
に、高分子と該高分子で囲まれた液晶領域とを有する液
晶層が挟持されている液晶表示素子であって、該高分子
が、上記重合性化合物を少なくとも含有する重合前駆体
から形成される。
【0032】好適な実施態様においては、上記液晶領域
内の液晶分子の配向状態は、軸対称状、放射状または同
心円状配向、渦巻状配向、あるいはランダム配向であ
る。
【0033】好適な実施態様においては、上記液晶表示
素子は、上記基板上に液晶分子の配向状態を規制する絶
縁膜を具備する。
【0034】好適な実施態様においては、上記液晶表示
素子は、上記基板上に、上記液晶領域に対応して、一軸
性の一様な液晶分子の配向状態を実現するための絶縁配
向膜をさらに具備し、該液晶領域の配向状態および該素
子の全体構成が、TN、STN、ECB、およびSSF
LCモードに適した配置とされる。
【0035】
【発明の実施の形態】本明細書において「高分子と該高
分子で囲まれた液晶領域とを有する液晶層」とは、完全
に液晶領域が高分子(重合体)により囲まれたり、覆われ
たりした液晶領域を有する液晶層、柱状または壁状の高
分子により区切られた液晶領域を有する液晶層、また
は、高分子が形成する3次元網目構造によって区切られ
た液晶領域を有する液晶層など、液晶領域の液晶分子が
高分子に接して区切られた構造を有する液晶層をいう。
【0036】(重合性化合物)本発明の重合性化合物は、
液晶類似骨格を有し、かつ、分岐した重合性活性基を有
する多官能性化合物である。本発明の多官能性化合物
は、3次元網目構造を形成しやすく、かつ、反応性に優
れる。従って、本発明の多官能性化合物は、従来の単官
能性の“液晶類似骨格を有する重合性化合物”としての
性質を保ちつつ、同時に、未反応の化合物による液晶表
示素子の特性の低下を低減し、高分子のガラス転移温度
(Tg)を向上させるといった多官能性化合物の特徴を同
時に実現し得ることが最大の特徴である。
【0037】本発明の重合性化合物の構造は特に限定さ
れないが、好ましくは上記式(I)で表される構造を有す
る。この重合性化合物は、重合活性基が分岐して分子中
に導入され、連結基を介して液晶に類似した構造を有す
るメソーゲン基と結合した構造を有している。上記式
(I)において、Xは、水素原子またはメチル基であ
り;lおよびmは、それぞれ独立して、0〜14の整数で
あり;Yは、単結合、-COO-、-OCO-、または-O-であ
り;nおよびpは、それぞれ独立して、0〜18の整数で
あり;qおよびsは、それぞれ独立して、0または1で
あり;RAおよびRBは、それぞれ独立して、上記式(I
I)または上記式(III)で表される。ただし、q=1の
時、p≧2であり;RAが上記式(II)で表されると
き、RBは上記式(II)で表される。
【0038】本発明の重合性化合物は、分子中に液晶に
類似した構造を有するメソーゲン骨格を有するため、本
発明の重合性化合物を含む単量体から形成された高分子
は、メソーゲン基が導入された重合体として形成され
る。このことにより、配向膜の配向規制力が液晶領域内
の液晶分子にまでおよび得るため、液晶分子の配向状態
が安定化する。さらに、液晶分子にプレティルトが発生
するため、電圧印加時にディスクリネーションラインの
発生が抑制される。併せて、メソーゲン基の一部として
シクロヘキシル環を導入した化合物を用いる場合には、
重合体(高分子)の屈折率が使用する液晶材料の常光屈折
率(no)の値と一致または近接するようになり、2枚の
偏光子を直交(クロスニコル)配置した間に液晶セルを設
置して評価すると、電圧印加時では液晶と高分子の界面
で屈折率整合のために光線透過率が低下する。これらの
要因のために電圧印加時では黒状態表示が良好となって
高コントラストの表示が実現できる。
【0039】本発明の重合性化合物は、液晶類似骨格を
有し、かつ、分岐した重合性活性基を有する多官能性化
合物である。このような液晶に類似した構造を有する重
合性化合物の効果について以下に詳細に記載する。
【0040】一般に、液晶材料と重合性樹脂材料との混
合物から重合反応を伴う相分離により作製される液晶表
示素子には、表1に示すような問題点がある。
【0041】
【表1】
【0042】上記問題点の原因は主に、高分子壁に対す
る液晶分子のアンカリング強度が強いこと、および高分
子材料と液晶材料との相溶性が良好なことにある。これ
らの問題に対しては、フッ素化した重合性化合物を使用
することが有効である。フッ素化した重合性化合物によ
り形成された高分子部分は、フッ素化していない高分子
部分と表面自由エネルギーが異なるため、高分子壁およ
び高分子層の表面に出てくる。その結果、高分子の表面
自由エネルギーが低下し高分子層と液晶分子のアンカリ
ング強度が低減するので、液晶の配向状態が安定化し得
る。あるいは、フッ素化した樹脂材料と液晶材料とは表
面自由エネルギーが異なるために、高分子材料と液晶材
料との相溶性が低下する。従って、本発明でも規定する
ようにメソーゲン基の一部をフッ素化することも有効で
ある。
【0043】しかも、本発明の重合性化合物は、液晶類
似骨格を有し、かつ、分岐した重合性活性基を有する多
官能性化合物である。本発明の多官能性化合物は、3次
元網目構造を形成しやすく、かつ、反応性に優れる。従
って、本発明の多官能性化合物は、従来の単官能性の
“液晶類似骨格を有する重合性化合物”としての性質を
保ちつつ、同時に、未反応の化合物による液晶表示素子
の特性の低下を低減し、高分子のガラス転移温度(Tg)
を向上させるといった多官能性化合物の特徴を同時に実
現し得ることが最大の特徴である。従って、液晶表示素
子の表示特性および強度(例えば、耐圧力性、耐熱性)
の観点からきわめて有効である。
【0044】本発明の重合性化合物のメソーゲン骨格と
重合活性基となるエチレン性不飽和基とは連結基を介し
て結合している。連結基としては-(CH2)l-〔(CH2)m〕CH
-(CH2)n-Y-(CH2)p-(O)q-などの分岐構造を有する骨格が
好ましい。lおよびmは、それぞれ独立して、0〜14の
整数、好ましくは0〜12の整数である。Yは、単結合、
-COO-,-OCO-,または-O-などが挙げられる。好ましく
は、単結合あるいは-COO-である。nおよびpは、それ
ぞれ独立して、0〜18の整数、好ましくは0〜12の整
数である。好ましくは、n+p≦18である。qは、0ま
たは1の整数である。lまたはmが14より大きい場合、
あるいは、nまたはpが18より大きい場合には、液晶領
域を包囲する高分子壁を構成する高分子表面からメソー
ゲン部分が突出して、液晶分子の応答速度を悪化させて
しまう。さらに、ディスクリネーションライン発生を抑
制する効果は、鎖長が長いほど少量で効果を発揮する傾
向が認められる一方で、プレティルトが大きくなるため
セルの透過率が低下する。従って、ディスクリネーショ
ンラインを制御し、かつ、プレティルトが大きくならな
いような添加量、化合物の種類を選択することが重要と
なる。
【0045】本発明の重合性化合物を用いて液晶領域を
包囲する高分子壁を構成する高分子を得る場合、本発明
の重合性化合物は、単独重合、または他の重合性単量体
と共重合され得る。他の重合性単量体としては、アルキ
ル基またはベンゼン環を有するアクリル酸、アクリル酸
エステルおよびメタクリル酸エステルを含む単官能性単
量体、および2官能性以上の多官能性単量体、例えば、
ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジ
メタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、
1,6-へキサンジオールジアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテ
トラアクリレート、R−684(日本化薬社製)などを挙
げることができる。
【0046】他の重合性単量体と共重合する場合には、
本発明の重合性化合物は、全単量体重量の好ましくは3
重量%〜60重量%、より好ましくは3重量%〜40重量%
の割合で使用され得る。
【0047】(本発明の重合性化合物の合成方法)次に、
本発明で規定する重合性化合物の合成方法について具体
的に説明する。以下に記載する合成経路は一例であり、
これらによって本発明が限定されるものではない。
【0048】(合成経路1)上記式(I)において、Y
が単結合であり、RAが式(II)で表され、そしてs=
0の場合を説明する。図1および図2に、合成経路1を
模式的に示す。
【0049】l、m≠1の場合:市販の化合物(1)と、
市販の化合物(2)をベンジル化して得られる化合物(3)と
を、アルカリ条件下で縮合反応させることにより化合物
(4)が得られる。化合物(4)と、化合物(5)のベンジル化
物(6)とを同様に縮合させることにより、化合物(7)が得
られる。化合物(7)を、塩化リチウム、ジメチルスルホ
キシドで脱炭酸させて化合物(8)を得た後、水酸化リチ
ウムアルミニウム等で還元することにより化合物(9)が
得られる。化合物(9)を四臭化炭素で臭素化して化合物
(10)とした後、ヨウ化ナトリウムを作用させることによ
り化合物(11)が得られる。
【0050】市販の化合物(12)に、ブチルリチウム、硼
酸トリメチルを作用させ、希硫酸で加水分解することに
より化合物(13)が得られる。化合物(13)と市販の化合物
(14)とのパラジウム触媒によるカップリング反応によ
り、化合物(15)が得られる。一方、化合物(16)にベンジ
ルクロライドを作用させることにより、化合物(17)が得
られる。アルカリ条件下で、化合物(17)と化合物(15)と
をエーテル化反応することにより化合物(18)が得られ
る。化合物(18)を、パラジウム触媒下、水素ガスで脱ベ
ンジル化して化合物(19)とした後、クロロクロム酸ピリ
ジニウム(PCC)で酸化することにより化合物(20)が得ら
れる。
【0051】市販の化合物(21)と化合物(13)とを、パラ
ジウム触媒下、カップリング反応させれることにより化
合物(22)が得られる。化合物(22)のグリニャール試薬を
調製した後、銅触媒下、化合物(17)とカップリング反応
させることにより化合物(23)が得られる。化合物(23)
を、パラジウム(Pd)触媒下、水素ガスで脱ベンジル化し
て化合物(24)とした後、PCCで酸化すれば化合物(25)が
得られる。
【0052】市販の化合物(26)と化合物(13)とのPd触媒
下でのカップリング反応により化合物(27)が得られる。
【0053】化合物(11)と、化合物(20)、(25)および(2
7)とのWittig反応により、それぞれ、化合物(28)、(29)
および(30)が得られる。一方、銅触媒下、化合物(22)の
グリニャール試薬を化合物(10)に作用させることにより
化合物(31)が得られる。化合物(28)、(29)、(30)および
(31)のそれぞれに、Pd触媒下、水素ガスを添加すること
により化合物(32)が得られる。化合物(32)に、アクリル
酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させ
ることにより、化合物(33)が得られる。化合物(33)はま
た、化合物(32)とアクリル酸またはメタクリル酸とのジ
シクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による脱水縮合、
光延反応によっても得られ得る。
【0054】l=m=1の場合:化合物(15)と化合物(34)
との光延反応により化合物(35)が得られる。
【0055】化合物(34)のベンジル化物(36)と化合物(2
2)のグリニャール試薬とを、銅触媒下でカップリング反
応させることにより化合物(37)を得た後、Pd触媒下の水
素ガスによる脱ベンジル化により化合物(38)が得られ
る。化合物(38)を、四臭化炭素で臭素化することにより
化合物(39)が得られる。
【0056】市販の化合物(40)と化合物(13)とのカップ
リング反応により化合物(41)が得られる。化合物(41)
を、水素化ホウ素リチウムで還元して化合物(42)を得た
後、四臭化炭素、三臭化リン等で臭素化することにより
化合物(43)が得られる。
【0057】化合物(35)、(39)および(43)のそれぞれと
化合物(1)とを、アルカリ条件下、縮合反応させること
により化合物(44)が得られる。化合物(44)を、水素ホウ
素リチウムで還元して化合物(45)を得た後、アクリル酸
クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させれ
ば化合物(46)が得られる。化合物(46)はまた、化合物(4
5)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水
縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0058】(合成経路2)上記式(I)において、Y
が単結合であり、RAが式(III)で表され、そしてs=
0の場合を説明する。図3および図4に、合成経路2を
模式的に示す。
【0059】l、m≠1の場合:化合物(12)にブチルリ
チウムを作用させ、リチウム塩とした後、市販の化合物
(47)との縮合により化合物(48)が得られる。化合物(48)
のp-トルエンスルホン酸による脱水反応により化合物(4
9)が得られる。化合物(49)を、Pd触媒下、水素添加して
化合物(50)とした後、酸性条件下で脱保護することによ
り化合物(51)が得られる。化合物(51)を水素化ホウ素ナ
トリウムで還元し、再結晶、カラムクロマトグラフィー
等により精製することにより化合物(52)が得られる。化
合物(52)と化合物(17)とのアルカリ条件下でのエーテル
化反応により化合物(53)が得られる。化合物(53)を、Pd
触媒下、水素添加することにより化合物(54)が得られ、
さらに、PCCで酸化することにより化合物(55)が得られ
る。
【0060】化合物(51)に(メトキシメチル)トリフェニ
ルホスホニウムクロライドを作用させて化合物(56)を得
た後、酸性条件下で加水分解し、アルカリ条件下で異性
化反応を行うことにより化合物(57)が得られる。化合物
(57)と、化合物(58)のベンジル化により得られる化合物
(59)とのWittig反応により化合物(60)が得られる。化合
物(60)を、Pd触媒下、水素添加して化合物(61)を得た
後、PCCで酸化することにより化合物(62)が得られる。
【0061】化合物(57)を水素化ホウ素ナトリウムで還
元して化合物(63)とした後、四臭化炭素で臭素化するこ
とにより化合物(64)が得られる。化合物(64)を、シアン
化ナトリウムでシアノ化すれば化合物(65)が得られる。
化合物(65)を、アルカリ条件下で加水分解しカルボン酸
[化合物(66)]とした後、酸性条件下、メタノール中で加
熱することにより化合物(67)が得られる。化合物(67)を
水素化イソブチルアルミニウム(DIBAH)で還元すれば化
合物(68)が得られる。化合物(68)はまた、化合物(67)を
水素化ホウ素リチウムで還元して化合物(82)を得た後、
PCCで酸化することによっても得られ得る。
【0062】化合物(11)と、化合物(55)、(62)、(68)、
(57)および(51)とのWittig反応により、それぞれ、化合
物(69)、(70)、(71)、(72)および(73)が得られる。これ
らを、Pd触媒下、水素添加して化合物(74)を得た後、ア
クリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作
用させることにより化合物(75)が得られる。化合物(75)
はまた、化合物(74)とアクリル酸またはメタクリル酸と
のDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得
る。
【0063】l=m=1の場合:化合物(52)と化合物(36)
とのアルカリ条件下でのエーテル化反応により化合物(7
6)が得られる。化合物(76)を水素添加反応により化合物
(77)とした後、四臭化炭素等で臭素化することにより化
合物(78)が得られる。一方、化合物(57)と化合物(17)と
のWittig反応により化合物(79)が得られる。化合物(79)
を、Pd触媒下で水素ガスを作用させて化合物(80)とした
後、四臭化炭素等で臭素化することにより化合物(81)が
得られる。
【0064】化合物(67)を還元して化合物(82)とし、同
様に臭素化することにより化合物(83)が得られる。
【0065】化合物(78)、(81)、(83)および(64)のそれ
ぞれと化合物(1)とのアルカリ条件下における縮合反応
により化合物(84)が得られる。化合物(84)を、水素化ホ
ウ素リチウムで還元して化合物(85)とした後、アクリル
酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させ
ることにより化合物(86)が得られる。化合物(86)はま
た、化合物(85)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDC
Cによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0066】(合成経路3)上記式(I)において、Y
が-COO-であり、RAが式(II)で表され、そしてs=0
の場合を説明する。図5に合成経路3を模式的に示す。
【0067】l、m≠1の場合:化合物(10)をシアン化
ナトリウムでシアノ化することにより化合物(87)が得ら
れる。化合物(87)を、アルカリ条件下で加水分解するこ
とにより化合物(88)が得られる。
【0068】化合物(34)の水酸基を3,4-ジヒドロ-2H-ピ
ラン(THP)で保護することにより化合物(89)が得られ
る。化合物(89)のグリニャール試薬を調製した後、銅触
媒下、化合物(10)とカップリング反応を行うことにより
化合物(90)が得られる。酸性条件下で保護基を除去して
化合物(91)とした後、PCCで酸化することにより化合物
(92)が得られる。さらに、過マンガン酸カリウム等で酸
化することにより化合物(93)が得られる。
【0069】化合物(15)と化合物(36)とのエーテル化反
応により化合物(94)が得られる。化合物(94)を、Pd触媒
下、水素ガスで脱ベンジル化を行うことにより化合物(9
5)が得られる。
【0070】化合物(8)をアルカリ加水分解することに
より、化合物(96)が得られる。
【0071】化合物(96)、(88)および(93)のそれぞれを
酸クロライドに誘導した後、化合物(15)、(42)、(38)お
よび(95)のそれぞれとエステル化反応を行うことにより
化合物(97)が得られる。また、化合物(96)、(88)および
(93)のそれぞれと、化合物(15)、(42)、(38)および(95)
のそれぞれとのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)
による縮合、あるいは、光延反応によっても化合物(97)
が得られ得る。化合物(97)を水素ガスで脱ベンジル化し
て化合物(98)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメ
タクリル酸クロライドを作用させることにより化合物(9
9)が得られる。化合物(99)はまた、化合物(98)とアクリ
ル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延
反応によっても得られ得る。
【0072】(合成経路4)上記式(I)において、Y
が-COO-であり、RAが式(III)で表され、そしてs=
0の場合を説明する。図6に合成経路4を模式的に示
す。
【0073】l、m≠1の場合:化合物(96)、(88)およ
び(93)のそれぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物
(52)、(63)、(82)、(77)および(80)のそれぞれとエステ
ル化反応を行うことにより化合物(100)が得られる。ま
た、化合物(96)、(88)および(93)のそれぞれと、化合物
(52)、(63)、(82)、(77)および(80)のそれぞれとのジシ
クロヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮合、あるい
は、光延反応によっても化合物(100)が得られ得る。化
合物(100)を水素ガスで脱ベンジル化して化合物(101)を
得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロ
ライドを作用させることにより化合物(102)が得られ
る。化合物(102)はまた、化合物(101)とアクリル酸また
はメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によ
っても得られ得る。
【0074】(合成経路5)上記式(I)において、Y
が-OCO-であり、RAが式(II)で表され、そしてs=0
の場合を説明する。図7に合成経路5を模式的に示す。
【0075】l、m≠1の場合:市販の化合物(103)の
一方の水酸基をベンジル基で保護することにより化合物
(104)が得られる。化合物(104)をPCCで酸化して化合物
(105)とした後、化合物(6)のグリニャール試薬を作用さ
せることにより化合物(106)が得られる。また、l=m
の場合には、市販の化合物(107)に、化合物(3)または化
合物(6)のグリニャール試薬を作用させ、酸で処理する
ことにより化合物(108)が得られる。
【0076】化合物(88)を水素化リチウムアルミニウム
(LAH)で還元することにより化合物(109)が得られる。
【0077】化合物(16)の水酸基をTHPで保護した化合
物(110)と化合物(10)との銅触媒によるカップリング反
応により化合物(111)が得られ、酸性条件下で保護基を
除去することにより化合物(112)が得られる。
【0078】化合物(41)をアルカリ加水分解することに
より化合物(113)が得られる。
【0079】化合物(114)をベンジル保護した化合物(11
5)と化合物(22)のグリニャール試薬とのカップリング反
応により化合物(116)が得られる。化合物(116)に水素添
加して保護基を除去し[化合物(117)]、PCCで酸化して化
合物(118)を得た後、過マンガン酸カリウム等で酸化す
ることにより化合物(119)が得られる。化合物(115)と化
合物(15)とのエーテル化反応により化合物(120)を得た
後、水素添加してベンジル基を除去し[化合物(121)]、P
CCで酸化することにより化合物(122)が得られる。化合
物(122)を過マンガン酸カリウム等で酸化することによ
り化合物(123)が得られる。
【0080】化合物(113)、(119)および(123)のそれぞ
れを酸クロライドに誘導した後、化合物(106)、(108)、
(9)、(109)および(112)のそれぞれとエステル化反応を
行うことにより化合物(124)が得られる。また、化合物
(113)、(119)および(123)のそれぞれと、化合物(106)、
(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれとのジシクロ
ヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮合、あるいは、
光延反応によっても化合物(124)が得られ得る。化合物
(124)を水素ガスで脱ベンジル化して化合物(125)を得た
後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライ
ドを作用させることにより化合物(126)が得られる。化
合物(126)はまた、化合物(125)とアクリル酸またはメタ
クリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても
得られ得る。
【0081】(合成経路6)上記式(I)において、Y
が-OCO-であり、RAが式(III)で表され、そしてs=
0の場合を説明する。図8に合成経路6を模式的に示
す。
【0082】l、m≠1の場合:化合物(57)を過マンガ
ン酸カリウム等で酸化することにより、化合物(127)が
得られる。化合物(57)と化合物(36)とのWittig反応によ
り化合物(128)が得られ、Pd触媒下、水素添加すること
により化合物(129)が得られる。化合物(129)をPCCで酸
化し[化合物(130)]、さらに、過マンガン酸カリウム等
で酸化することにより化合物(131)が得られる。
【0083】化合物(52)と化合物(115)とのアルカリ条
件下でのエーテル化により化合物(132)が得られる。化
合物(132)の水素添加による脱ベンジル化により化合物
(133)が得られる。化合物(133)をPCC酸化することによ
り化合物(134)が得られ、さらに過マンガン酸カリウム
による酸化を行うことにより化合物(135)が得られる。
【0084】化合物(127)、(66)、(131)および(135)の
それぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物(106)、
(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれとエステル化
反応を行うことにより化合物(136)が得られる。また、
化合物(127)、(66)、(131)および(135)のそれぞれと、
化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112) のそれぞ
れとのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮
合、あるいは、光延反応によっても化合物(136)が得ら
れ得る。化合物(136)を水素ガスで脱ベンジル化して化
合物(137)を得た後、アクリル酸クロライドまたはメタ
クリル酸クロライドを作用させることにより化合物(13
8)が得られる。化合物(138)はまた、化合物(137)とアク
リル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光
延反応によっても得られ得る。
【0085】(合成経路7)上記式(I)において、Y
が-O-であり、RAが式(II)で表され、そしてs=0の
場合を説明する。図9に合成経路7を模式的に示す。
【0086】l、m≠1の場合:化合物(109)および(11
2)の四臭化炭素による臭素化によって、それぞれ、化合
物(139)および(140)が得られる。化合物(106)、(108)、
(9)、(109)および(112)のそれぞれと、化合物(43)、(3
9)および(35)のそれぞれとのエーテル化反応により、あ
るいは、化合物(10)、(139)および(140)のそれぞれと、
化合物(15)、(42)、(38)および(95)のそれぞれとのエー
テル化反応により、化合物(141)が得られる。また、化
合物(141)は、化合物(10)、(139)および(140)の代わり
に、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)にp-
トルエンスルホン酸クロライドを作用させて得られるト
シレート体を用いてエーテル化反応を行っても得ること
ができる。化合物(141)を、Pd触媒下、水素添加するこ
とにより化合物(142)が得られ、さらに、アクリル酸ク
ロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させるこ
とにより化合物(143)が得られる。化合物(143)はまた、
化合物(142)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCに
よる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0087】(合成経路8)上記式(I)において、Y
が-O-であり、RAが式(III)で表され、そしてs=0
の場合を説明する。図10に合成経路8を模式的に示
す。
【0088】l、m≠1の場合:化合物(106)、(108)、
(9)、(109)および(112)のそれぞれと、化合物(64)、(8
3)、(81)および(78)のそれぞれとのエーテル化反応によ
り、あるいは、化合物(10)、(139)および(140)のそれぞ
れと、化合物(52)、(63)、(82)、(80)および(77)のそれ
ぞれとのエーテル化反応により、化合物(144)が得られ
る。また、化合物(144)は、化合物(10)、(139)および(1
40)の代わりに、化合物(106)、(108)、(9)、(109)およ
び(112)にp-トルエンスルホン酸クロライドを作用させ
て得られるトシレート体を用いてエーテル化反応を行っ
ても得ることができる。化合物(144)を、Pd触媒下、水
素添加することにより化合物(145)が得られ、さらに、
アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを
作用させることにより化合物(146)が得られる。化合物
(146)はまた、化合物(145)とアクリル酸またはメタクリ
ル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得ら
れ得る。
【0089】(合成経路9)上記式(I)において、Y
が単結合であり、RAおよびRBが式(II)で表される場
合を説明する。図11および図12に、合成経路9を模
式的に示す。
【0090】l、m≠1の場合:市販の化合物(147)と
化合物(13)とのカップリング反応により化合物(148)が
得られる。化合物(148)と化合物(17)とをアルカリ条件
下でエーテル化することにより化合物(149)が得られ
る。化合物(149)を水素ガスで脱ベンジル化することに
より化合物(150)が得られ、さらに、PCCで酸化すること
により化合物(151)が得られる。
【0091】化合物(22)のグリニャール試薬に硼酸トリ
メチルを作用させ、希硫酸で加水分解することにより化
合物(152)が得られる。化合物(152)と化合物(21)とのカ
ップリング反応により化合物(153)が得られる。化合物
(153)のグリニャール試薬と化合物(17)との銅触媒によ
るカップリング反応により化合物(154)が得られる。化
合物(154)に水素添加してベンジル基を除去することに
より化合物(155)が得られ、さらに、PCCで酸化すること
により化合物(156)が得られる。
【0092】化合物(26)と化合物(152)とのPd触媒下で
のカップリング反応により化合物(157)が得られる。
【0093】化合物(11)と、化合物(151)、(156)および
(157)とのWittig反応により、それぞれ、化合物(158)、
(159)および(160)が得られる。一方、化合物(153)のグ
リニャール試薬と化合物(10)とのカップリング反応によ
り化合物(161)が得られる。化合物(158)、(159)、(160)
および(161)を、Pd触媒下、水素添加することにより化
合物(162)が得られ、さらに、アクリル酸クロライドま
たはメタクリル酸クロライドを作用させることにより化
合物(163)が得られる。化合物(163)はまた、化合物(16
2)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水
縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0094】l=m=1の場合:化合物(148)と化合物
(34)との光延反応により化合物(164)が得られる。
【0095】化合物(153)のグリニャール試薬と化合物
(36)とのカップリング反応により化合物(165)が得ら
れ、さらに、Pd触媒下で水素添加することにより化合物
(166)が得られる。化合物(166)を四臭化炭素で臭素化す
ることにより、化合物(167)が得られる。一方、化合物
(152)と化合物(40)とのカップリング反応により化合
物(168)が得られ、さらに、水素化ホウ素リチウムで還
元することにより化合物(169)が得られる。化合物(169)
を、臭化水素酸または三臭化リンで臭素化することによ
り、化合物(170)が得られる。
【0096】化合物(164)、(167)および(170)のそれぞ
れと、化合物(1)とのアルカリ条件下での縮合反応によ
り化合物(171)が得られる。化合物(171)を水素化ホウ素
リチウムで還元することにより、化合物(172)が得ら
れ、さらに、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸
クロライドとエステル化を行うことにより、化合物(17
3)が得られる。化合物(173)はまた、化合物(172)とアク
リル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光
延反応によっても得られ得る。
【0097】(合成経路10)上記式(I)において、
Y=単結合であり、RAが式(III)で表され、そしてR
Bが式(II)または(III)で表される場合を説明する。図
13および図14に、合成経路10を模式的に示す。
【0098】l、m≠1の場合:化合物(174)を二クロ
ム酸ナトリウムで酸化することにより化合物(175)が得
られる。化合物(175)の一方のオキソ基をエチレングル
コールで保護することにより化合物(176)が得られ、さ
らに、化合物(12)のリチウム塩を縮合させることにより
化合物(177)が得られる。化合物(177)をp-トルエンスル
ホン酸で脱水することにより、化合物(178)が得られ
る。化合物(178)を、Pd触媒下、水素添加することによ
り化合物(179)が得られ、さらに、酸性条件下で保護基
を除去することにより化合物(180)が得られる。
【0099】化合物(180)を水素化ホウ素ナトリウムで
還元し、再結晶またはカラムクロマトグラフィーでトラ
ンス体を単離することにより化合物(181)が得られる。
化合物(47)と化合物(22)のグリニャール試薬との縮合に
より化合物(182)が得られる。化合物(177)から化合物(1
81)を得る操作と同様にして、化合物(182)から化合物(1
86)が得られる。
【0100】化合物(181)および(186)と化合物(17)との
エーテル化反応により、化合物(187)が得られ、さら
に、脱ベンジル化およびPCC酸化を行うことにより、化
合物(189)が得られる。
【0101】化合物(180)および(185)に、(メトキシメ
チル)トリフェニルホスホニウムクロライドを作用させ
て化合物(190)を得た後、酸性条件下で加水分解し、ア
ルカリ条件下で異性化反応を行うことにより、化合物(1
91)が得られる。化合物(191)と化合物(59)とのWittig反
応により、化合物(192)が得られる。化合物(192)を、Pd
触媒下、水素添加することにより化合物(193)を得た
後、PCCで酸化することにより化合物(194)が得られる。
化合物(191)を水素化ホウ素ナトリウムで還元して化合
物(195)とした後、四臭化炭素で臭素化することにより
化合物(196)が得られ、さらに、シアン化ナトリウムで
シアノ化することにより化合物(197)が得られる。化合
物(197)を、アルカリ条件下で加水分解してカルボン酸
[化合物(198) ] とした後、酸性条件下、メタノール中
で加熱することにより化合物(199)が得られる。化合物
(199)を水素化イソブチルアルミニウム(DIBAH)で還元す
ることにより、化合物(200)が得られる。また、化合物
(199)を水素化ホウ素リチウムで還元して化合物(214)を
得た後、PCCで酸化することによっても化合物(200)が得
られる。
【0102】化合物(11)と、化合物(189)、(194)、(20
0)、(191)、ならびに(180)および(185)とのWittig反応
により、それぞれ、化合物(201)、(202)、(203)、(204)
および(205)が得られる。これらの化合物を、Pd触媒
下、水素添加して化合物(206)を得た後、アクリル酸ク
ロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させるこ
とにより化合物(207)が得られる。化合物(207)はまた、
化合物(206)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCに
よる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0103】l=m=1の場合:化合物(181)および(18
6)と化合物(36)とのアルカリ条件下でのエーテル化反応
により化合物(208)が得られる。化合物(208)を水素添加
反応により化合物(209)とした後、四臭化炭素等で臭素
化することにより化合物(210)が得られる。
【0104】化合物(191)と化合物(17)とのWittig反応
により化合物(211)が得られ、さらに、Pd触媒下で水素
ガスを作用させることにより化合物(212)が得られる。
化合物(212)を四臭化炭素等で臭素化することにより化
合物(213)が得られる。
【0105】化合物(199)を還元して化合物(214)とし、
同様に臭素化すれば化合物(215)が得られる。
【0106】化合物(210)、(213)、(215)および(196)の
それぞれと、化合物(1)のアルカリ条件下における縮合
反応により化合物(216)が得られる。化合物(216)を水素
化ホウ素リチウムで還元して化合物(217)とした後、ア
クリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作
用させることにより化合物(218)が得られる。化合物(21
8)はまた、化合物(217)とアクリル酸またはメタクリル
酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ
得る。
【0107】(合成経路11)上記式(I)において、
Yが-COO-であり、RAおよびRBが式(II)で表される
場合を説明する。図15に合成経路11を模式的に示
す。
【0108】l、m≠1の場合:化合物(148)と化合物
(36)とのエーテル化反応により化合物(219)が得られ、
さらに、Pd触媒下、水素ガスで脱ベンジル化を行うこと
により化合物(220)が得られる。
【0109】化合物(96)、(88)および(93)のそれぞれを
酸クロライドに誘導した後、化合物(148)、(169)、(16
6)および(220)のそれぞれとエステル化反応を行うこと
により、化合物(221)が得られる。また、化合物(96)、
(88)および(93)のそれぞれと、化合物(148)、(169)、(1
66)および(220)のそれぞれとのジシクロヘキシルカルボ
ジイミド(DCC)による縮合、あるいは、光延反応によっ
ても化合物(221)が得られ得る。化合物(221)を水素ガス
で脱ベンジル化して化合物(222)を得た後、アクリル酸
クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させる
ことにより化合物(223)が得られる。化合物(223)はま
た、化合物(222)とアクリル酸またはメタクリル酸とのD
CCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0110】(合成経路12)上記式(I)において、
Yが-COO-であり、RAが式(III)で表され、そしてRB
が式(II)または(III)で表される場合を説明する。図
16に合成経路12を模式的に示す。
【0111】l、m≠1の場合:化合物(96)、(88)およ
び(93)のそれぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物
(181)、(186)、(195)、(214)、(209)および(212)のそれ
ぞれとエステル化反応を行うことにより、化合物(224)
が得られる。また、化合物(96)、(88)および(93)のそれ
ぞれと、化合物(181)、(186)、(195)、(214)、(209)お
よび(212)のそれぞれとのジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(DCC)による縮合、あるいは、光延反応によっても
化合物(224)が得られ得る。化合物(224)を水素ガスで脱
ベンジル化して化合物(225)を得た後、アクリル酸クロ
ライドまたはメタクリル酸クロライドを作用させること
により、化合物(226)が得られる。化合物(226)はまた、
化合物(225)とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCに
よる脱水縮合、光延反応によっても得られ得る。
【0112】(合成経路13)上記式(I)において、
Yが-OCO-であり、RAおよびRBが式(II)で表される
場合を説明する。図17に合成経路13を模式的に示
す。
【0113】l、m≠1の場合:化合物(168)をアルカ
リ加水分解することにより化合物(227)が得られる。
【0114】化合物(115)と化合物(148)とのエーテル化
反応により、化合物(228)が得られる。化合物(228)を、
水素添加してベンジル基を除去することにより、化合物
(229)が得られ、さらに、PCCで酸化することにより化合
物(230)が得られる。化合物(230)を過マンガン酸カリウ
ム等で酸化することにより化合物(231)が得られる。
【0115】化合物(115)と化合物(153)とのカップリン
グ反応により化合物(232)が得られ、さらに、水素添加
して保護基を除去することにより化合物(233)が得られ
る。化合物(233)をPCCで酸化して化合物(234)を得た
後、過マンガン酸カリウム等で酸化することにより化合
物(235)が得られる。
【0116】化合物(227)、(231)および(235)のそれぞ
れを酸クロライドに誘導した後、化合物(106)、(108)、
(9)、(109)および(112)のそれぞれとエステル化反応を
行うことにより、化合物(236)が得られる。また、化合
物(227)、(231)および(235)のそれぞれと、化合物(10
6)、(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれとのジシ
クロヘキシルカルボジイミド(DCC)による縮合、あるい
は、光延反応によっても化合物(236)が得られ得る。化
合物(236)を水素ガスで脱ベンジル化して化合物(237)を
得た後、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロ
ライドを作用させることにより、化合物(238)が得られ
る。化合物(238)はまた、化合物(237)とアクリル酸また
はメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によ
っても得られ得る。
【0117】(合成経路14)上記式(I)において、
Yが-OCO-であり、RAが式(III)で表され、そしてRB
が式(II)または(III)で表される場合を説明する。図
18に合成経路14を模式的に示す。
【0118】l、m≠1の場合:化合物(191)を過マン
ガン酸カリウム等で酸化することにより、化合物(239)
が得られる。
【0119】化合物(191)と化合物(36)とのWittig反応
により化合物(240)が得られ、さらに、Pd触媒下、水素
添加することにより化合物(241)が得られる。化合物(24
1)をPCCで酸化することにより化合物(242)が得られ、さ
らに、過マンガン酸カリウム等で酸化することにより化
合物(243)が得られる。
【0120】化合物(181)および(186)のそれぞれと化合
物(115)とのアルカリ条件下でのエーテル化により化合
物(244)が得られ、さらに、水素添加による脱ベンジル
化により化合物(245)が得られる。化合物(245)をPCC酸
化することにより化合物(246)が得られ、さらに、過マ
ンガン酸カリウムによる酸化を行うことにより化合物(2
47)が得られる。
【0121】化合物(239)、(243)、(247)および(198)の
それぞれを酸クロライドに誘導した後、化合物(106)、
(108)、(9)、(109)および(112)のそれぞれとエステル化
反応を行うことにより、化合物(248)が得られる。ま
た、化合物(239)、(243)、(247)および(198)のそれぞれ
と、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(112)のそ
れぞれとのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)によ
る縮合、あるいは、光延反応によっても化合物(248)が
得られ得る。化合物(248)を水素ガスで脱ベンジル化し
て化合物(249)を得た後、アクリル酸クロライドまたは
メタクリル酸クロライドを作用させることにより、化合
物(250)が得られる。化合物(250)はまた、化合物(249)
とアクリル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮
合、光延反応によっても得られ得る。
【0122】(合成経路15)上記式(I)において、
Yが-O-であり、RAおよびRBが式(II)で表される場
合を説明する。図19に合成経路15を模式的に示す。
【0123】l、m≠1の場合:化合物(106)、(108)、
(9)、(109)および(112)のそれぞれと、化合物(170)、(1
67)および(164)のそれぞれとのエーテル化反応により、
あるいは、化合物(10)、(139)および(140)のそれぞれ
と、化合物(148)、(169)、(166)および(220)のそれぞれ
とのエーテル化反応により、化合物(251)が得られる。
また、化合物(251)は、化合物(10)、(139)および(140)
の代わりに、化合物(106)、(108)、(9)、(109)および(1
12)にp-トルエンスルホン酸クロライドを作用させて得
られるトシレート体を用いてエーテル化反応を行っても
得ることができる。化合物(251)を、Pd触媒下、水素添
加することにより化合物(252)が得られ、さらに、アク
リル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドを作用
させることにより、化合物(253)が得られる。化合物(25
3)はまた、化合物(252)とアクリル酸またはメタクリル
酸とのDCCによる脱水縮合、光延反応によっても得られ
得る。
【0124】(合成経路16)上記式(I)において、
Yが-O-であり、RAが式(III)で表され、そしてRB
式(II)または(III)で表される場合を説明する。図2
0に合成経路16を模式的に示す。
【0125】l、m≠1の場合:化合物(106)、(108)、
(9)、(109)および(112)のそれぞれと、化合物(196)、(2
15)、(210)および(213)のそれぞれとのエーテル化反応
により、あるいは、化合物(10)、(139)および(140)のそ
れぞれと、化合物(181)、(186)、(195)、(214)、(212)
および(209)のそれぞれとのエーテル化反応により、化
合物(254)が得られる。また、化合物(254)は、化合物(1
0)、(139)および(140)の代わりに、化合物(106)、(10
8)、(9)、(109)および(112)にp-トルエンスルホン酸ク
ロライドを作用させて得られるトシレート体を用いてエ
ーテル化反応を行っても得ることができる。化合物(25
4)を、Pd触媒下、水素添加することにより化合物(255)
が得られ、さらに、アクリル酸クロライドまたはメタク
リル酸クロライドを作用させることにより化合物(256)
が得られる。化合物(256)はまた、化合物(255)とアクリ
ル酸またはメタクリル酸とのDCCによる脱水縮合、光延
反応によっても得ることができる。
【0126】(液晶表示素子)本発明の液晶表示素子は、
少なくとも一方が透明である一対の基板とその基板間に
挟まれた高分子または高分子壁と、この高分子または高
分子壁で囲まれた液晶領域とを有する液晶層を有し、こ
の高分子または高分子壁は、重合前駆体として少なくと
も1種類の本発明の重合性化合物を含む単量体から形成
される。
【0127】本発明に用いられる液晶材料は、常温付近
で液晶伏態を示す有機物混合体であれば特に制限されな
いが、好ましい液晶材料としてネマティック液晶(2周
波駆動用液晶、△ε<0の液晶を含む)、コレステリッ
ク液晶(特に、可視光に選択反射特性を有する液晶)、も
しくはスメクティック液晶、ディスコティック液晶など
を挙げることができる。これらの中では、特に、ネマテ
ィック液晶またはコレステリック液晶、あるいはカイラ
ル剤の添加されたネマティック液晶が特性上好ましい。
カイラル剤の添加されたネマティック液晶においては、
ヒステリシス、均一性、d△n(位相差)による着色の問
題などから10μm以上の螺旋ピッチを有するようにカイ
ラル剤を添加することが好ましい。さらに、加工時に光
重合反応を伴うため耐化学反応性に優れた液晶が好まし
い。このような液晶は、化合物中にフッ素原子などの官
能基を有する液晶であり、具体的には、ZLI-4801-000、
ZLI-4801-001、ZLI-4792、MLC-6419(メルク社製)などを
挙げることができる。これらの液晶材料は、単独で、ま
たは混合して用いられ得る。
【0128】液晶材料と少なくとも本発明の重合性化合
物を含む単量体との混合比は、液晶材料と単量体との重
量比(液晶材料:重合性化合物)が、60:40〜98:2が好
ましい。60:40より単量体が多くなると、液晶素子にお
いて電極に印加する電圧に対して変化する液晶領域が減
少するため、コントラストが不十分である場合が多い。
一方、98:2より単量体が少なくなると、高分子壁が十
分に形成できなくなり、液晶表示素子の強度(例えば、
耐圧性、耐衝撃性)が不十分となり実用上問題が多い。
【0129】本発明の液晶表示素子は、例えば、以下の
手順で作製され得る:まず、ITO(酸化インジュウム
および酸化スズ複合物、膜厚50nm)を透明電極とす
る液晶セルを作製し、その上に所定のホトマスクを配置
する。セル中に少なくとも本発明の重合性化合物を含む
単量体および液晶材料の均一混合物を毛管注入し、液晶
セルを作製する。その後、透明電極間に電圧を印加しな
がらホトマスク側から平行光線を得られる高圧水銀ラン
プで紫外線を照射して単量体を硬化させて、液晶領域を
包囲する高分子(壁)を有する液晶セルを作製する。こ
の液晶セルの基板の両側に、互いの光軸が所定の角度を
有するように偏光板を配置して液晶表示素子を作製す
る。
【0130】本発明の重合性化合物を用いて得られる液
晶素子は、(1)飽和電圧印加時に液晶分子が基板に対し
てほぼ直立(△ε>0の場合)しているために、偏光板が
視角特性を有しており、そして(2)液晶層がリタデーシ
ョンd・△nを有しているために偏光板の偏光軸から45
°方向に視角特性が十分ではない領域が存在し得る。
(2)の原因としては、軸方向から入射した光は、液晶層
の屈折率楕円体を横切る際には常光もしくは異常光のみ
の成分しか有さないが、偏光板の偏光軸から45°方向か
ら光が入射した場合、液晶層の屈折率楕円体を横切る際
に常光と異常光との両成分を有するために(見かけ上、
互いに直交した偏光板の偏光軸が互いに開いた状態に対
応している)、楕円偏光となり光の漏れが顕著になるた
めである。従って、液晶層のリタデーションは、なるべ
く小さくし、楕円偏光を生じにくくすることが好まし
い。しかし、電圧印加しない時の透過率T0が、液晶層
のリタデーションに影響されるため、リタデーションは
300nm〜650nmであることが、視角特性の全方位性とセル
の明るさを確保する観点から好ましい。(300nm以下で
は、電圧OFF時の明るさが確保できず暗い表示とな
る。)ツイスト角は、45〜150°が好ましく、特に、ファ
ーストミニマム条件を満たす90°付近が最も明るく好ま
しい。
【0131】本発明の重合性化合物を用いて液晶表示素
子を作製すると、液晶分子の配向性が良好になるが、種
々の配向法を用いて液晶分子の配向を制御することも可
能である。本発明で使用し得る配向法としては、液晶セ
ルを作製するために用いられる基板にポリイミドなどの
高分子材料や無機材料を塗布後、布で擦るラビング法;
表面張力の低い化合物を塗布する垂直配向法;SiO2
などの斜め蒸着による斜め配向法;ラビング処理を行わ
ない水平配向膜を用いる方法;無処理基板(基板に透明
電極を設置した基板)を用いる方法などが挙げられる。
【0132】本発明の液晶表示素子で使用できる基板と
しては、透明基板、非透明基板のいずれもが使用され得
る。透明基板としては、ガラス基板、高分子フィルムな
どのプラスティック基板などが挙げられる。非透明基板
としては、金属薄膜が形成された基板、Si基板などが
挙げられる。反射型の液晶表示素子として使用する場合
には、金属薄膜が形成された基板が有効である。また、
プラスティック基板としては、可視光に吸収領域を持た
ない材料で形成することが好ましく、例えば、PET、
アクリル系ポリマー、ポリカーボネートなどが挙げられ
る。プラスティック基板を使用する場合には、基板自身
に偏光能が付与され得る。さらに、これらの異種の基板
を2種組み合わせた積層基板を使用することも可能であ
り、同種異種を問わず厚みの異なった基板を2枚組み合
わせた積層基板を使用することもできる。
【0133】上記形成方法によって形成される液晶セル
に、さらに従来のラビング、SiO2斜方蒸着などの液
晶配向技術を適用した場合、この液晶セルを2枚の偏光
板で挟むことにより、ハイコントラストで低駆動電圧、
電圧−透過率特性の急峻な従来の配向制御型液晶表示モ
ード(TN、STN、ECB、強誘電性液晶)の液晶をポ
リマー中に疑似固体化した液晶表示素子を作製し得る。
【0134】このようにして作製された液晶表示素子の
液晶領域における液晶分子は、あらゆる配向状態をとり
得る。配向状態の代表例としては、軸対称状、放射状ま
たは同心円状配向、渦巻状配向、およびランダム配向が
挙げられる。
【0135】本発明の液晶表示素子は、特に限定されな
いが、単純マトリックス駆動、a−SiTFT、p−S
iTFT、MIMのようなアクティブ素子を用いてアク
ティブ駆動法で駆動し得る。
【0136】以下、作用について説明する。
【0137】液晶材料と光硬化性樹脂などの重合性樹脂
材料との混合物から、基板上の配向規制力を制御した表
示モードの液晶表示素子を作製する場合、通常、配向膜
と液晶領域間に高分子と液晶が混在した高分子層が形成
される。この高分子層は、一般に、配向膜の液晶分子に
対する配向規制力を弱める傾向にある。これに対して、
高分子層に本発明の重合性化合物を含む単量体から形成
された高分子を含有させると、この高分子中の本発明の
重合性化合物に由来する部分が液晶材料に類似した骨格
を有するので、高分子層に液晶領域内の液晶分子に対し
て配向規制効果を及ぼす能力が出現する。その結果とし
て、液晶の配向状態が安定化する。
【0138】液晶領域内の液晶分子が軸(基板面に対し
て垂直方向の軸)対称状に配向した液晶表示素子におい
ては、多くの場合、電圧印加時の液晶領域外周部にリバ
ースティルト(図29参照)によるディスクリネーション
ラインが発生する。しかし、本発明の重合性化合物を用
いることにより、黒表示レベルを悪化させていた電圧印
加時のディスクリネーションラインの発生が抑制され
る。しかも、本発明の重合性化合物は、液晶類似骨格を
有し、かつ、分岐した重合性活性基を有する多官能性化
合物であるので、3次元網目構造を形成しやすく、か
つ、反応性に優れる。従って、本発明の多官能性化合物
は、従来の単官能性の“液晶類似骨格を有する重合性化
合物”としての性質を保ちつつ、同時に、未反応の化合
物による液晶表示素子の特性の低下を低減し、高分子の
ガラス転移温度(Tg)を向上させるといった多官能性化
合物の特徴を同時に実現し得る。従って、本発明の重合
性化合物は、液晶表示素子の表示特性および強度(例え
ば、耐圧力性、耐熱性)の観点からきわめて有効であ
る。加えて、本発明の重合性化合物は、従来問題となっ
ていた重合性化合物の添加による応答速度の劣化、電圧
−透過率特性の閾値特性または急峻性の劣化などの問題
に対しても有効な解決手段となり得る。以上のように、
本発明の重合性化合物を用いることにより、液晶表示素
子の表示特性(例えば、視野角特性、コントラスト、応
答速度、閾値特性、急峻性)、強度(例えば、耐圧力
性、耐衝撃性)および耐熱性が、飛躍的に向上し得る。
【0139】本発明者らは、上述したような重合性化合
物の検討と併せて、これらの重合性化合物と液晶材料と
を組み合わせることにより、高分子に囲まれた液晶滴
(液晶領域)の大きさを画素とほぼ同じ大きさにし、1画
素に対してほぼ1つの液晶滴が規則的に配置される手法
について検討した結果、以下の2つの方法が極めて有効
であることを見いだした。
【0140】加工時に規則的で、かつ、画素の大きさ
とほぼ同等の液晶滴径に近いUV照度むらをもつUV光
を、画素の大部分に当たる領域を遮光してUV光が当た
らないように照射することで高分子壁に囲まれた液晶領
域を有する液晶層を備えた液晶表示素子を作製する方
法、および 液晶相と等方相とに対する界面自由エネルギーの異な
る材料を予め基板上にパターニングして形成しておき、
この表面パターンに基づいて液晶相を配置するなどの自
由エネルギーをパターン化して制御することで高分子壁
に囲まれた液晶領域を有する液晶表示素子を作製する方
法。
【0141】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。実施例に記載の略記号は、下記のことを意味する。
【0142】GC:ガスクロマトグラフィー HPLC:高速液体クロマトグラフィー TLC:薄層クロマトグラフィー IR:赤外線吸収スペクトル Mass:質量スペクトル b.p:沸点 m.p:融点 Y:収率 (実施例1)下記化5で表される重合性化合物を合成し
た。
【0143】
【化5】
【0144】以下に合成手順を示す。
【0145】(a) 下記化6で表される化合物の合成:
【0146】
【化6】
【0147】1リットルフラスコに、4-ブロモフェノー
ル34.6g、2,3-ジフルオロフェニルボロン酸37.9g、ジメ
トキシエタン380ml、水380ml、炭酸セシウム97.8g、お
よびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム7g
を仕込み、還流下で20時間撹拌した。反応液を水に注加
し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗
し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン
/酢酸エチル=9/1)により精製し、へキサンより再
結晶して2,3-ジフルオロ-4'-ヒドロキシビフェニル30.9
g(Y:75%)を得た。得られた化合物の純度はGCで99.8
%であり、m.pは132〜134.4℃であった。
【0148】(b) 下記化7で表される化合物の合成:
【0149】
【化7】
【0150】200mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-4'-ヒ
ドロキシビフェニル5.0g、11-ブロモ-1-ウンデカノール
7.3g、炭酸カリウム6.7g、およびメチルエチルケトン15
0mlを仕込み、還流下で20時間撹拌した。反応液を水に
注加し、有機層をトルエンで抽出した。トルエン層を水
洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去し、残留分をア
セトンより再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-(11-ヒドロキ
シウンデシル)オキシビフェニル8g(Y:88%)を得た。
得られた化合物の純度はGCで98.8%であった。
【0151】(c) 下記化8で表される化合物の合成:
【0152】
【化8】
【0153】200mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-4'-(11
-ヒドロキシウンデシル)オキシビフェニル8g、および
四塩化炭素100mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷
下、三臭化リン2.3gを四塩化炭素50mlに溶解した溶液を
滴下し、室温で3時間、還流下で2時間撹拌した。反応
液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテ
ル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。
残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離
液:トルエン/ヘキサン=1/9)により精製し、さら
に、ヘキサンより再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-(11-ブ
ロモウンデシル)オキシビフェニル4.5g(Y:47.8%)を
得た。得られた化合物の純度はGCで95.3%であった。
【0154】(d) 下記化9で表される化合物の合成:
【0155】
【化9】
【0156】内部をアルゴン置換した100mlフラスコ
に、ナトリウムエトキシド0.62g、マロン酸ジエチル1.5
g、および無水エタノール50mlを仕込んだ。この反応系
に、2,3-ジフルオロ-4'-(11-ブロモウンデシル)オキシ
ビフェニル4gを溶解したテトラヒドロフラン溶液20ml
を滴下し、還流下で8時間撹拌した。反応液を希塩酸に
注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水
洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエ
ン)により精製して2,3-ジフルオロ-4'-[12,12-ビス(エ
トキシカルボニル)ドデシル]オキシビフェニル4g(Y:
84.7%)を得た。得られた化合物の純度はGCで99.8%で
あった。
【0157】(e) 下記化10で表される化合物の合
成:
【0158】
【化10】
【0159】100mlフラスコに、水素化ホウ素リチウム
1.7g、およびテトラヒドロフラン20mlを仕込んだ。この
反応系に、2,3-ジフルオロ-4'-[12,12-ビス(エトキシカ
ルボニル)ドデシル]オキシビフェニル4gを溶解したテ
トラヒドロフラン溶液60mlを滴下し、還流下で18時間
撹拌した。反応液に冷希塩酸を加え、有機層をエーテル
で抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた
後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶離液:酢酸エチル/トルエン=8/2)
により精製し、アセトンより再結晶して2,3-ジフルオロ
-4'-[12,12-ビス(ヒドロキシメチル)ドデシル]オキシビ
フェニル2.4g(Y:71.6%)を得た。得られた化合物の純
度はHPLCで99.6%であった。
【0160】(f) 下記化11で表される化合物の合
成:
【0161】
【化11】
【0162】200mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-4'-[1
2,12-ビス(ヒドロキシメチル)ドデシル]オキシビフェニ
ル2.4g、トリエチルアミン1.3g、およびテトラヒドロフ
ラン100mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、アク
リル酸クロライド1.1gを溶解したテトラヒドロフラン溶
液15mlを滴下し、室温に戻して3時間撹拌した。反応液
を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル
層を希塩酸で、次いで水で洗浄し、芒硝で乾燥させ、溶
媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=20/1)により
精製し、さらに、へキサンより再結晶して2,3-ジフルオ
ロ-4'-[12,12-ビス(アクリロイルオキシメチル)ドデシ
ル]オキシビフェニル1.7g(Y:57%)を得た。得られた
化合物の純度は、GCで99.6%、HPLCで100%、そしてTLC
で1スポットであり、得られた化合物のm.pは33.4℃〜3
4.4℃であった。
【0163】IR測定の結果により、およびMass分
析で542に分子イオンピークが認められたことにより、
ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化
5で表される化合物であることを確認した。
【0164】(実施例2)下記化12で表される重合性
化合物を合成した。
【0165】
【化12】
【0166】以下に合成手順を示す。
【0167】(a) 下記化13で表される化合物の合
成:
【0168】
【化13】
【0169】300mlフラスコに、60%水素化ナトリウム
2.4g、および無水テトラヒドロフラン100mlを仕込ん
だ。この反応系に、ベンジルブロマイド11.3gを溶解し
たテトラヒドロフラン溶液15ml、6-ブロモヘキサノール
10.9gを溶解したテトラヒドロフラン溶液15ml、および
テトラブチルアンモニウムヨーダイド0.1gを加え、還流
下で3時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をト
ルエンで抽出した。トルエン層を水洗し、芒硝で乾燥さ
せた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲル力ラムク
ロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/
3)により精製し、減圧蒸留を行って1-ブロモ-6-ベンジ
ルオキシヘキサン8.6g(Y:52.8%)を得た。得られた化
合物の純度はGCで97.9%であり、b.pは115〜127℃/0.4
mmHgであった。
【0170】(b) 下記化14で表される化合物の合
成:
【0171】
【化14】
【0172】200mlフラスコに、ナトリウムエトキシド
2.7g、および無水エタノール100mlを仕込んだ。この反
応系に、マロン酸ジエチル7gのエタノール溶液20mlを6
0℃で滴下し、2時間撹拌した。次に、1-ブロモ-6-ベン
ジルオキシヘキサン9gのエタノール溶液20mlを滴下
し、還流下で3時間撹拌し、反応液を希塩酸に注加し
た。有機層をエーテルで抽出し、エーテル層を水洗し、
芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢
酸エチル=9/1)により精製してジエチル 2-(6-ベン
ジルオキシヘキシル)マロナート11.5g(Y:98%)を得
た。得られた化合物の純度はGCで86.3%であった。
【0173】(c) 下記化15で表される化合物の合
成:
【0174】
【化15】
【0175】200mlフラスコに、60%水素化ナトリウム
1.5g、および無水ジメチルホルムアミド30mlを仕込ん
だ。この反応系に、氷水冷下、ジエチル 2-(6-ベンジル
オキシヘキシル)マロナート11.5gのジメチルホルムアミ
ド溶液30mlを滴下し、室温で1時間、130℃で30分間撹
拌した。次に、1-ブロモ-6-ベンジルオキシヘキサン10g
のジメチルホルムアミド溶液30mlを滴下し、3時間撹拌
した後、反応液を希塩酸に注加した。有機層をエーテル
で抽出し、エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、
溶媒を留去し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶離液:へキサン/酢酸エチル=9/1)により
精製してジエチル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシ
ル)マロナート14.8g(Y:91.5%)を得た。得られた化合
物の純度はGCで94.7%であった。
【0176】(d) 下記化16で表される化合物の合
成:
【0177】
【化16】
【0178】100mlフラスコに、ジエチル 2,2-ビス(6-
ベンジルオキシヘキシル)マロナート14.8g、水0.5g、塩
化リチウム2.3g、およびジメチルスルホキシド50mlを仕
込み、180℃で12時間撹拌した。反応液を水に注加し、
有機層を塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン層を水
洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサ
ン/酢酸エチル=9/1)により精製してエチル 2,2-ビ
ス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート9.4g(Y:72.
9%)を得た。得られた化合物の純度はGCで97.9%であっ
た。
【0179】(e) 下記化17で表される化合物の合
成:
【0180】
【化17】
【0181】500mlフラスコに、エチル 2,2-ビス(6-ベ
ンジルオキシヘキシル)アセテート12g、メタノール250m
l、および85%水酸化カリウム16.8gの水溶液100mlを仕
込み、還流下で2時間撹拌した。反応液を希塩酸に注加
し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗
し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をヘ
キサン/アセトンの混合溶媒より再結晶して2,2-ビス(6
-ベンジルオキシヘキシル)酢酸6.2g(Y:55%)を得た。
【0182】(f) 下記化18で表される化合物の合
成:
【0183】
【化18】
【0184】100mlフラスコに、6-ブロモ-1-ヘキサノー
ル5g、2,3-ジフルオロ-4'-ヒドロキシビフェニル5.7g、
炭酸カリウム7.6g、およびメチルエチルケトン70mlを仕
込み、還流下で20時間撹拌した。反応液を水に注加し、
有機層をトルエンで抽出した。トルエン層を水洗し、芒
硝で乾燥させた後、溶媒を留去し、残留分をアセトンよ
り再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-(6-ヒドロキシヘキシ
ル)オキシビフェニル5.4g(Y:63.5%)を得た。得られ
た化合物の純度はGCで99.9%であった。
【0185】(g) 下記化19で表される化合物の合
成:
【0186】
【化19】
【0187】100mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオ
キシヘキシル)酢酸2.47g、2,3-ジフルオロ-4'-[6-ヒド
ロキシヘキシル]オキシビフェニル1.85g、トリフェニル
ホスフィン1.6g、およびテトラヒドロフラン50mlを仕込
んだ。この反応系に、アゾジカルボン酸ジエチル1.1gを
5℃で滴下した後、室温に戻して8時間撹拌した。反応
液を濃縮し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/4)により精
製して6-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシへ
キシル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテー
ト4g(Y:97.8%)を得た。得られた化合物の純度はHPL
Cで99%であった。
【0188】(h) 下記化20で表される化合物の合
成:
【0189】
【化20】
【0190】300mlオートクレーブに、6-[2,3-ジフルオ
ロビフェニル-4'-イル]オキシヘキシル 2,2-ビス(6-ベ
ンジルオキシヘキシル)アセテート4g、10%Pd-C 1.3
g、およびテトラヒドロフラン150mlを仕込み、水素圧を
10kg/cm2に設定して室温で二日間撹拌した。触媒を濾別
し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=2/
3)により精製して6-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イ
ル]オキシヘキシル 2,2-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)ア
セテート2.6g(Y:90%)を得た。得られた化合物の純度
はHPLCで99.3%であった。
【0191】(i) 下記化21で表される化合物の合
成:
【0192】
【化21】
【0193】200mlフラスコに、6-[2,3-ジフルオロビフ
ェニル-4'-イル]オキシヘキシル 2,2-ビス(6-ヒドロキ
シヘキシル)アセテート2.6g、トリエチルアミン1.2g、
およびテトラヒドロフラン100mlを仕込み、これに、氷
水冷下、アクリル酸クロライド1.1gを少量のテトラヒド
ロフランに溶かして滴下し、室温に戻して3時間撹拌し
た。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出し
た。エーテル層を希塩酸で、次いで水で洗浄し、芒硝で
乾燥させ、溶媒を留去した後、残留分をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/トルエン
=1/9)で精製して6-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-
イル]オキシヘキシル 2,2-ビス(6-アクリロイルオキシ
ヘキシル)アセテート0.9g(Y:28%)を得た。得られた
化合物は、室温で液体であった。得られた化合物の純度
は、HPLCで99%、TLCで1スポットであった。
【0194】IR測定の結果により、およびMass分
析で656に分子イオンピークが認められたことにより、
ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化
12で表される化合物であることを確認した。
【0195】(実施例3)下記化22で表される重合性
化合物を合成した。
【0196】
【化22】
【0197】以下に合成手順を示す。
【0198】(a) 下記化23で表される化合物の合
成:
【0199】
【化23】
【0200】100mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオ
キシヘキシル)酢酸3.0g、2,3-ジフルオロ-4'-[11-ヒド
ロキシウンデシル]オキシビフェニル2.8g、トリフェニ
ルホスフィン2.2g、およびテトラヒドロフラン50mlを仕
込み、5℃でアゾジカルボン酸ジエチル1.4gを滴下した
後、室温に戻して8時間撹拌した。反応液を濃縮し、残
留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:
酢酸エチル/へキサン=1/9)により精製して11-[2,3
-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシウンデシル 2,2
-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート5g(Y:9
2.6%)を得た。得られた化合物の純度はHPLCで98%であ
った。
【0201】(b) 下記化24で表される化合物の合
成:
【0202】
【化24】
【0203】300mlオートクレーブに、11-[2,3-ジフル
オロビフェニル-4'-イル]オキシウンデシル 2,2-ビス(6
-ベンジルオキシヘキシル)アセテート4.9g、10%Pd-C
1.5g、およびテトラヒドロフラン100mlを仕込み、水素
圧を10kg/cm2に設定して室温で二日間撹拌した。触媒を
濾別し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=
7/3)により精製して11-[2,3-ジフルオロビフェニル-
4'-イル]オキシウンデシル 2,2-ビス(6-ヒドロキシヘキ
シル)アセテート3.7g(Y:97.5%)を得た。得られた化
合物の純度はHPLCで98%であった。
【0204】(c) 下記化25で表される化合物の合
成:
【0205】
【化25】
【0206】100mlフラスコに、11-[2,3-ジフルオロビ
フェニル-4'-イル]オキシウンデシル2,2-ビス(6-ヒドロ
キシヘキシル)アセテート3.66g、トリエチルアミン1.3
g、およびベンゼン30mlを仕込んだ。この反応系に、氷
水冷下、アクリル酸クロライド1.2gを少量のベンゼンに
溶かして滴下し、室温に戻して3時間撹拌した。反応液
を水に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル
層を希塩酸で、次いで水で洗浄し、芒硝で乾燥させ、溶
媒を留去した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶離液:酢酸エチル/トルエン=1/20)で精
製して11-[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシ
ウンデシル 2,2-ビス(6-アクリロイルオキシヘキシル)
アセテート1.36g(Y:32%)を得た。得られた化合物は
室温で液体であった。得られた化合物の純度は、HPLCで
99%、TLCで1スポットであった。
【0207】IR測定の結果により、およびMass分
析で726に分子イオンピークが認められたことにより、
ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化
22で表される化合物であることを確認した。
【0208】(実施例4)下記化26で表される重合性
化合物を合成した。
【0209】
【化26】
【0210】以下に合成手順を示す。
【0211】(a) 下記化27で表される化合物の合
成:
【0212】
【化27】
【0213】1リットルフラスコに、1,16-へキサデカ
ンジオール10g、48%臭化水素酸26g、およびトルエン40
0mlを仕込み、系内の水を除去しながら、還流温度で48
時間撹拌した。反応液を水洗し、芒硝で乾燥させた後、
溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=9/1)によ
り精製し、へキサンより再結晶して16-ブロモ-1-へキサ
ドデカノール5.7g(Y:46%)を得た。得られた化合物の
純度はGCで95%であった。
【0214】(b) 下記化28で表される化合物の合
成:
【0215】
【化28】
【0216】100mlフラスコに、16-ブロモ-1-へキサド
デカノール3g、2,3-ジフルオロ-4'-ヒドロキシビフェ
ニル1.9g、炭酸カリウム2.6g、およびメチルエチルケト
ン50mlを仕込み、還流下で32時間撹拌した。反応液を水
に注加し、有機層をエーテルで抽出した。エーテル層を
水洗し、芒硝で乾燥させた後溶媒を留去し、残留分をア
セトンより再結晶して2,3-ジフルオロ-4'-(16-ヒドロキ
シヘキサデシル)オキシビフェニル3.5g(Y:84%)を得
た。得られた化合物の純度はGCで97.4%であった。
【0217】(c) 下記化29で表される化合物の合
成:
【0218】
【化29】
【0219】100mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオ
キシヘキシル)酢酸3.4g、2,3-ジフルオロ-4'-[16-ヒド
ロキシヘキサデシル]オキシビフェニル3.3g、トリフェ
ニルホスフィン2.3g、およびテトラヒドロフラン50mlを
仕込み、アゾジカルボン酸ジエチル1.5gを5℃で滴下し
た後、室温に戻して8時間撹拌した。反応液を濃縮し、
残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離
液:酢酸エチル/へキサン=1/9)により精製して16-
[2,3-ジフルオロビフェニル-4'-イル]オキシヘキサデシ
ル 2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート5.9
g(Y:92.1%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLC
で98.3%であった。
【0220】(d) 下記化30で表される化合物の合
成:
【0221】
【化30】
【0222】300mlオートクレーブに、16-[2,3-ジフル
オロビフェニル-4'-イル]オキシヘキサデシル 2,2-ビス
(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート5.8g、10%Pd-C
1.8g、およびテトラヒドロフラン100mlを仕込み、水素
圧を10kg/cm2に設定して室温で二日間撹拌した。触媒を
濾別し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=
7/3)により精製して16-[2,3-ジフルオロビフェニル-
4'-イル]オキシヘキサデシル 2,2-ビス(6-ヒドロキシヘ
キシル)アセテート3.9g(Y:85.5%)を得た。得られた
化合物の純度はHPLCで99.2%であり、m.pは45.2〜48.8
℃であった。
【0223】(e) 下記化31で表される化合物の合
成:
【0224】
【化31】
【0225】100mlフラスコに、16-[2,3-ジフルオロビ
フェニル-4'-イル]オキシヘキサデシル 2,2-ビス(6-ヒ
ドロキシヘキシル)アセテート3.4g、トリフェニルホス
フィン3g、アクリル酸0.9g、およびテトラヒドロフラ
ン30mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、アゾジカ
ルボン酸エチル2gを10mlのテトラヒドロフランに溶か
して滴下し、室温に戻して3時間撹拌した。反応液を濃
縮後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶離液:酢酸エチル/トルエン=1/20)で精製し、へ
キサンより再結晶して16-[2,3-ジフルオロビフェニル-
4'-イル]オキシヘキサデシル 2,2-ビス(6-アクリロイル
オキシヘキシル)アセテート2.7g(Y:59.7%)を得た。
得られた化合物の純度はHPLCで99%、TLCで1スポット
であり、m.pは33.8〜35.5℃であった。
【0226】IR測定の結果により、およびMass分
析で796に分子イオンピークが認められたことにより、
ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化
26で表される化合物であることを確認した。
【0227】(実施例5)下記化32で表される重合性
化合物を合成した。
【0228】
【化32】
【0229】以下に合成手順を示す。
【0230】(a) 下記化33で表される化合物の合
成:
【0231】
【化33】
【0232】アルゴン置換した300mlフラスコに、60%
水素化ナトリウム2.4g、および無水テトラヒドロフラン
100mlを仕込んだ。この反応系に、ベンジルブロマイド1
1.3gのテトラヒドロフラン溶液15ml、12-ブロモドデカ
ノール15.9gのテトラヒドロフラン溶液15ml、テトラブ
チルアンモニウムヨーダイド0.1gを加え、還流下で2.5
時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をトルエン
で抽出した。トルエン層を水洗し、芒硝で乾燥させた
後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶離液:トルエン/へキサン=1/3)に
より精製し、1-ブロモ-12-ベンジルオキシドデカン14.0
g(Y:65.7%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで9
8.4%であった。
【0233】(b) 下記化34で表される化合物の合
成:
【0234】
【化34】
【0235】アルゴン置換した200mlフラスコに、1-ブ
ロモ-12-ベンジルオキシドデカン12.4g、ヨウ化ナトリ
ウム6.3g、およびアセトン125mlを仕込み、還流下で5
時間撹拌した。不溶物を濾別し、濾液を濃縮した後、残
留分にエーテルを投入した。エーテル層を水洗し、芒硝
で乾燥させた後、溶媒を留去し、残留分をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン
=1/1)により精製し、1-ヨード-12-ベンジルオキシ
ドデカン14.7g(Y:100%)を得た。得られた化合物の純
度は、GCで96.1%であった。
【0236】(c) 下記化35で表される化合物の合
成:
【0237】
【化35】
【0238】アルゴン置換した500mlシュレンク管に、
1,2-ジフルオロベンゼン18.3g、および無水テトラヒド
ロフラン150mlを仕込み、-60〜-70℃で1.6Mブチルリチ
ウム−へキサン溶液102mlを滴下し、同温度で3時間撹
拌した。これに、1,4-シクロヘキサンジオン・モノエチ
レンケタール25.0gのテトラヒドロフラン溶液80mlを滴
下し、徐徐に室温まで昇温し、一夜撹拌した。
【0239】反応液に、5%希塩酸を加えて酸性とした
後、有機層をトルエンで抽出した。トルエン層を水洗
し、芒硝で乾燥させ、溶媒を留去した。残留分に、p-ト
ルエンスルホン酸・一水和物1g、トルエン300mlを加
え、生成水を除去しながら9時間加熱撹拌した。反応液
を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去して、粗製
の4-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-シクロヘキセノンエ
チレンケタール39.4g(Y:71.8%)を得た。得られた化
合物の純度は、GCで73.6%であった。
【0240】(d) 下記化36で表される化合物の合
成:
【0241】
【化36】
【0242】500mlオートクレーブに、4-(2,3-ジフルオ
ロフェニル)-3-シクロヘキセノンエチレンケタール39.4
g、酢酸エチル150ml,10%Pd-C 1.0gを仕込み、水素圧
を10kg/cm2に設定して、室温で43時間撹拌した。触媒を
濾別後、濾液を濃縮し、残留分に1,4-ジオキサン225m
l、水675ml、p-トルエンスルホン酸・一水和物1gを加
え、還流下で2時間撹拌した。反応液をエーテルで抽出
し、エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を
留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶離液:トルエン/へキサン=19:1)により精製
し、さらに、減圧蒸留して4-(2,3-ジフルオロフェニル)
シクロヘキサノン17.5g(Y:72%)を得た。得られた化
合物の純度はGCで98.9%であり、b.pは125〜128℃/0.6m
mHgであった。
【0243】(e) 下記化37で表される化合物の合
成:
【0244】
【化37】
【0245】アルゴン置換した500mlフラスコに、(メト
キシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド27.4
g、t-ブトキシカリウム9g、無水エーテル225mlを仕込
み、氷水冷下、30分間撹拌した。この反応系に、4-(2,3
-ジフルオロフェニル)シクロヘキサノン16.8gのエーテ
ル溶液50mlを滴下し、氷水冷下で30分、室温で8時間撹
拌した後、沈殿物を濾別し、濾液を水洗し、芒硝で乾燥
させた。溶媒を留去した後、残留分をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=1
/4)により精製して1-(2,3-ジフルオロフェニル)‐4-
メトキシメチレンシクロヘキサン17.1g(Y:89.7%)を
得た。得られた化合物の純度は、GCで99.2%であった。
【0246】(f) 下記化38で表される化合物の合
成:
【0247】
【化38】
【0248】200mlフラスコに、1-(2,3-ジフルオロフェ
ニル)‐4-メトキシメチレンシクロヘキサン17.1g、3N
塩酸19ml、テトラヒドロフラン80mlを仕込み、還流下で
30分間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテ
ルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた
後、溶媒を留去した。
【0249】一方、別のフラスコに、苛性カリ1g、メ
タノール170mlを仕込んだ。この反応系に、上記残留分
をメタノール85mlに溶かして、0〜3℃で滴下した。同
温度で1時間撹拌した後、反応液を水に注加し、有機層
をエーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾
燥させた後、溶媒を留去してトランス-4-(2,3-ジフルオ
ロフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド14.3g(Y:
88.9%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで95%で
あった。
【0250】(g) 下記化39で表される化合物の合
成:
【0251】
【化39】
【0252】アルゴン置換した100mlフラスコに、(b)
で得られた1-ヨード-12-ベンジルオキシドデカン14.7
g、トリフェニルホスフィン9.2g、およびトルエン50ml
を仕込み、還流下で30時間撹拌した。溶媒を減圧下で留
去し、フラスコ内部を再度アルゴン置換し、無水テトラ
ヒドロフラン70mlを添加した。これに、氷水冷下、1.6
Mブチルリチウム−ヘキサン溶液22.4mlを滴下し、室温
に戻して40分間撹拌した後、再度、氷水冷下、トランス
-4-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキサンカルバル
デヒド7.85gのテトラヒドロフラン溶液35mlを滴下し
た。室温に戻して一昼夜撹拌した後、不溶物を濾別し、
濾液を塩化メチレンで希釈した。塩化メチレン層を水洗
し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去して2,3-ジフルオ
ロ-1-[トランス-4-{13-ベンジルオキシ-1-トリデセニ
ル}シクロヘキシル]ベンゼン11.9g(Y:70.4%)を得
た。得られた化合物の純度は、GCで96%(E,Z体混合
物)であった。
【0253】(h) 下記化40で表される化合物の合
成:
【0254】
【化40】
【0255】500mlオートクレーブに、2,3-ジフルオロ-
1-[トランス-4-{13-ベンジルオキシ-1-トリデセニル}
シクロヘキシル]ベンゼン10.9g、10%Pd-C 1g、エタノ
ール50ml、および酢酸エチル50mlを仕込み、水素圧を8
kg/cm2に設定して、室温で5日間撹拌した。触媒を濾別
し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=4/
1)により精製し、アセトンより再結晶して2,3-ジフル
オロ-1-[トランス-4-(13-ヒドロキシトリデシル)シクロ
ヘキシル]ベンゼン5.7g(Y:64%)を得た。得られた化
合物の純度は、GCで97.2%、HPLCで99.8%であった。
【0256】(i) 下記化41で表される化合物の合
成:
【0257】
【化41】
【0258】100mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-1-[ト
ランス‐4-(13-ヒドロキシトリデシル)シクロヘキシル]
ベンゼン3g、2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)酢
酸3g、トリフェニルホスフィン2.2g、およびテトラヒ
ドロフラン30mlを仕込んだ。この反応系に、氷水冷下、
アゾジカルボン酸エチル1.5gを滴下し、室温に戻して2
時間撹拌した。反応液を濃縮し、残留分をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチ
ル=9/1)により精製して13-[トランス-4-(2,3-ジフ
ルオロフェニル)シクロヘキシル]トリデシル 2,2-ビス
(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート5.4g(Y:97%)
を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで93.7%であっ
た。
【0259】(j) 下記化42で表される化合物の合
成:
【0260】
【化42】
【0261】300mlオートクレーブに、13-[トランス-4-
(2,3-ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]トリデシル
2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテート5.3g、
10%Pd-C 1.7g、およびテトラヒドロフラン100mlを仕込
み、水素圧を10kg/cm2に設定して室温で二日間撹拌し
た。触媒を濾別し、濾液を濃縮した後、残留分をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢
酸エチル=7/3)により精製して13-[トランス-4-(2,3
-ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]トリデシル 2,2-
ビス(6-ヒドロキシヘキシル)アセテート 4.1g(Y:98
%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで99%であ
った。
【0262】(k) 下記化43で表される化合物の合
成:
【0263】
【化43】
【0264】100mlフラスコに、13-[トランス-4-(2,3-
ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]トリデシル 2,2-
ビス(6-ヒドロキシヘキシル)アセテート2.8g、トリエチ
ルアミン1g、およびベンゼン30mlを仕込んだ。この反
応系に、氷水冷下、アクリル酸クロライド0.9gを少量の
ベンゼンに溶かして滴下し、室温に戻して3時間撹拌し
た。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで抽出し
た。エーテル層を希塩酸で、次いで水で洗浄し、芒硝で
乾燥させ、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/トルエン=
1/20)で精製して13-[トランス-4-(2,3-ジフルオロ
フェニル)シクロヘキシル]トリデシル 2,2-ビス(6-アク
リロイルオキシヘキシル)アセテート1.12g(Y:33%)を
得た。得られた化合物は室温で液体であった。得られた
化合物の純度は、HPLCで99.6%、TLCで1スポットであ
った。
【0265】IR測定の結果により、およびMass分
析で744に分子イオンピークが認められたことにより、
ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化
32で表される化合物であることを確認した。
【0266】(実施例6)下記化44で表される重合性
化合物を合成した。
【0267】
【化44】
【0268】以下に合成手順を示す。
【0269】(a) 下記化45で表される化合物の合
成:
【0270】
【化45】
【0271】300mlフラスコに、マグネシウム2.6g、少
量のヨウ素、テトラヒドロフラン70mlを仕込んだ。この
反応系に、1-ブロモ-12-ベンジルオキシドデカン25.5g
のテトラヒドロフラン溶液60mlを40〜50℃で滴下してグ
リニャール試薬を調製した。これを5℃まで冷却した
後、ギ酸メチル2.1gのテトラヒドロフラン溶液20mlを滴
下し、室温に戻して2時間、還流下で2時間撹拌した。
【0272】反応液を希塩酸に注加し、有機層をエーテ
ルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させた
後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶離液:トルエン)により精製し、アセト
ンより再結晶してビス(12-ベンジルオキシドデシル)メ
タノール6.25g(Y:30.7%)を得た。得られた化合物の
純度は、HPLCで94.7%であった。
【0273】(b) 下記化46で表される化合物の合
成:
【0274】
【化46】
【0275】100mlフラスコに、ビス(12-ベンジルオキ
シドデシル)メタノール3g、ピリジン20mlを仕込んだ。
この反応系に、p-トルエンスルホニルクロライド1.15g
を加え、室温で三日間撹拌した。反応液をエーテルで希
釈し、この希釈液を、希塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶
液、水の順で洗浄した後、芒硝で乾燥させた。溶媒を留
去後、残留分をアセトンより再結晶してビス(12-ベンジ
ルオキシドデシル)メチル p-トルエンスルホネート1.6g
(Y:42%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで9
8.5%であった。
【0276】(c) 下記化47で表される化合物の合
成:
【0277】
【化47】
【0278】100mlフラスコに、60%水素化ナトリウム
0.1g、ジメチルホルムアミド20mlを仕込んだ。この反応
系に、氷水冷下、2,3-ジフルオロ-4'-ヒドロキシビフェ
ニル0.42gのジメチルホルムアミド溶液5mlを滴下し、
しばらく撹拌した。次に、ビス(12-ベンジルオキシドデ
シル)メチル p-トルエンスルホネート1.5gを加え、還流
下で12時間撹拌した後、反応液を水に注加し、有機層を
エーテルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥
させた後、溶媒を留去し、残留分をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=20
/1)により精製して2,3-ジフルオロ-4'-ビス(12-ベン
ジルオキシドデシル)メトキシビフェニル0.45g(Y:29
%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで98.7%で
あった。
【0279】(d) 下記化48で表される化合物の合
成:
【0280】
【化48】
【0281】100mlオートクレーブに、2,3-ジフルオロ-
4'-ビス(12-ベンジルオキシドデシル)メトキシビフェニ
ル0.39g、10%Pd-C 0.5g、およびテトラヒドロフラン30
mlを仕込み、水素圧を10kg/cm2に設定して室温で三日間
撹拌した。触媒を濾別し、濾液を濃縮した後、残留分を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエ
ン/酢酸エチル=1/1)により精製して2,3-ジフルオ
ロ-4'-ビス(12-ヒドロキシドデシル)メトキシビフェニ
ル0.23g(Y:77%)を得た。得られた化合物の純度は、H
PLCで100%であった。
【0282】(e) 下記化49で表される化合物の合
成:
【0283】
【化49】
【0284】50mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-4'-ビス
(12-ヒドロキシドデシル)メトキシビフェニル0.23g、ア
クリル酸0.06g、トリフェニルホスフィン0.26g、および
テトラヒドロフラン20mlを仕込んだ。この反応系に、氷
水冷下、アゾジカルボン酸エチル0.17gを滴下し、室温
に戻して2時間撹拌した。反応液を濃縮し、残留分をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン
/酢酸エチル=20/1)により精製して2,3-ジフルオロ-
4'-ビス(12-アクリロイルオキシドデシル)メトキシビフ
ェニル0.14g(Y:51.4%)を得た。得られた化合物は室
温で液体であった。得られた化合物の純度は、HPLCで99
%、TLCで1スポットであった。
【0285】IR測定の結果により、およびMass分
析で696に分子イオンピークが認められたことにより、
ならびに用いた原料の関係から、得られた物質が上記化
44で表される化合物であることを確認した。
【0286】(実施例7)下記化50で表される重合性
化合物を合成した。
【0287】
【化50】
【0288】以下に合成手順を示す。
【0289】(a) 下記化51で表される化合物の合
成:
【0290】
【化51】
【0291】100mlフラスコに、水素化リチウムアルミ
ニウム0.44g、およびジエチルエーテル50mlを仕込ん
だ。この反応系に、氷水冷下、実施例2−(d)で得られ
たエチル2,2-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)アセテー
ト5.4gを滴下し、室温に戻して1時間、そして還流下で
1時間撹拌した。反応液を冷希塩酸に注加し、エーテル
層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残
留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:
トルエン/酢酸エチル=4/1)により精製して、2,2-
ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)エタノール4.7g(Y:9
6%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで97.1%であ
った。
【0292】(b) 下記化52で表される化合物の合
成:
【0293】
【化52】
【0294】200mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオ
キシヘキシル)エタノール13.8g、トリフェニルホスフィ
ン10.2g、および塩化メチレン50mlを仕込んだ。この反
応系に、室温で、四臭化炭素16.1gの塩化メチレン溶液5
0mlを滴下し、1時間撹拌した。反応液を、炭酸水素ナ
トリウム水溶液および水の順で洗浄し、芒硝で乾燥させ
た後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(溶離液:トルエン)により精製して2,2-
ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)エチルブロマイド11g
(Y:69%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで97.5
%であった。
【0295】(c) 下記化53で表される化合物の合
成:
【0296】
【化53】
【0297】300mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオ
キシヘキシル)エチルブロマイド6g、ヨウ化ナトリウム
2.19g、および2-ブタノン150mlを仕込み、還流下で16時
間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエーテルで
抽出した。エーテル層を水洗した後、芒硝で乾燥させ
た。溶媒を留去後、残留分をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶離液:トルエン)により精製して2,2-ビス
(6-ベンジルオキシヘキシル)エチルヨージド6g(Y:9
1.2%)を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで95.3%
であった。
【0298】(d) 下記化54で表される化合物の合
成:
【0299】
【化54】
【0300】200mlフラスコに、クロロクロム酸ピリジ
ニウム6.4g、酢酸ナトリウム0.48g、および塩化メチレ
ン10mlを仕込んだ。この反応系に、室温で、実施例2−
(f)で得られた2,3-ジフルオロ-4'-(6-ヒドロキシヘキ
シル)オキシビフェニル6gの塩化メチレン溶液50mlを滴
下し、18時間撹拌した。反応液を濃縮し、残留分をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)に
より精製し、ヘキサン/アセトン混合溶媒より再結晶し
て2,3-ジフルオロ-4'-(5-ホルミルペンチル)オキシビフ
ェニル2.56g(Y:42.9%)を得た。得られた化合物の純
度は、GCで95.1%であった。
【0301】(e) 下記化55で表される化合物の合
成:
【0302】
【化55】
【0303】100mlフラスコに、2,2-ビス(6-ベンジルオ
キシヘキシル)エチルヨージド4.3g、トリフェニルホス
フィン2.1g、およびトルエン50mlを仕込み、還流下で36
時間撹拌した後、トルエンを留去してホスホニウム塩を
得た。次いで、テトラヒドロフラン30mlを加えてホスホ
ニウム塩を溶解させた後、氷水冷下、2,3-ジフルオロ-
4'-(5-ホルミルペンチル)オキシビフェニル1.93gのテト
ラヒドロフラン溶液20ml、続いて、ターシャリ−ブトキ
シカリウム1gを添加し、同温度で4時間、室温に戻し
て24時間撹拌した。反応液を水に注加し、有機層をエー
テルで抽出した。エーテル層を水洗し、芒硝で乾燥させ
た後、溶媒を留去し、残留分をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶離液:トルエン/へキサン=9/1)に
より精製して2,3-ジフルオロ-4'-[8,8-ビス(6-べンジル
オキシヘキシル)-6-オクテン-1-イル]オキシビフェニル
3.3g(Y:74.5%)を得た。得られた化合物の純度は、HP
LCで98.9%であった。
【0304】(f) 下記化56で表される化合物の合
成:
【0305】
【化56】
【0306】200mlオートクレーブに、2,3-ジフルオロ-
4'-[8、8-ビス(6-ベンジルオキシヘキシル)-6-オクテン-
1-イル]オキシビフェニル3.3g、10%Pd-C 1g、および
テトラヒドロフラン100mlを仕込み、水素圧を10kg/cm2
に設定して、室温で二日間撹拌した。触媒を濾別し、濾
液を濃縮した後、残留分をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=3/2)によ
り精製して2,3-ジフルオロ-4'-[8,8-ビス(6-ヒドロキシ
ヘキシル)オクチル]オキシビフェニル2.3g(Y:93.6%)
を得た。得られた化合物の純度は、HPLCで98.8%であっ
た。
【0307】(g) 下記化57で表される化合物の合
成:
【0308】
【化57】
【0309】100mlフラスコに、2,3-ジフルオロ-4'-[8,
8-ビス(6-ヒドロキシヘキシル)オクチル]オキシビフェ
ニル2.3g、アクリル酸0.8g、トリフェニルホスフィン2.
9g、およびテトラヒドロフラン50mlを仕込んだ。この反
応系に、氷水冷下、アゾジカルボン酸エチル1.93gを滴
下した後、室温に戻して2時間撹拌した。反応液を濃縮
し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶
離液:ベンゼン)にて精製して2,3-ジフルオロ-4'-[8,8-
ビス(6-アクリロイルオキシヘキシル)オクチル]オキシ
ビフェニル1.31g(Y:47.1%)を得た。得られた化合物
は室温で液体であった。得られた化合物の純度は、HPLC
で99.5%、TLCで1スポットであった。
【0310】IR測定の結果により、およびMass分
析で627(CI法)に分子イオンピークが認められたこ
とにより、ならびに用いた原料の関係から、得られた物
質が上記化50で表される化合物であることを確認し
た。
【0311】(実施例8)本発明の重合性化合物を用い
た液晶表示素子を、マスクパターン露光により作製し
た。以下、その作製方法を説明する。
【0312】まず、ITO(酸化インジュウムおよび酸
化スズの混合物、厚み50nm)を透明電極として有す
る、厚さ1.1mmのガラス基板2枚を対向させ、平均粒径
5μmのスペーサーを挟持させることにより、セル厚が
保たれたセルを作製した。作製したセルの片面上に、図
21に示すような遮光部31および透光部32を有する
ホトマスク3を配置した。この遮光部31は、画素に対
応するように設けた。
【0313】次いで、このセル中に、高分子(壁)を構
成するための樹脂組成物として、イソボルニルアクリレ
ート0.65g、1,4-ブタンジオールジアクリレート0.25g、
p-フェニルスチレン0.15g、下記表2に示す重合性化合
物D0.15gと、液晶組成物MLC−6419(メルク社
製;△n=+0.0977、no=1.4802、カイラル剤S−8
11をd/p=0.25となるよう添加したもの)12.0gと、光
重合開始剤Irgacure651 0.04gとの混合物を均一に混合
した後、毛管注入して液晶セルとした。
【0314】
【表2】
【0315】その後、透明電極間に±3Vの電圧を印加
しながら、ホトマスクを介して平行光線を得られる高圧
水銀ランプ下8mW/cm2のところで、80℃で8分間照射し
た。(なお、この状態で、紫外線は、液晶セルに対して
空間的に規則性を有したパターンとして照射されてい
る。) 次いで、電圧はそのまま印加した状態で、10℃/hrの冷
却速度で、25℃(液晶はネマティック状態となる)まで液
晶セルを徐々に冷却し、さらに3分間連続で紫外線を照
射することにより樹脂組成物を硬化させた。
【0316】樹脂組成物硬化後の液晶セルを偏光顕微鏡
で観察したところ、図22に示すように、ほぼホトマス
クの遮光部の形状を反映した液晶領域20が形成され、
かつ、液晶分子が液晶領域20の中央を中心軸とした軸
対称状の配向状態になっていることが観察された。
【0317】この液晶セルの各基板の外側に、偏光板を
互いに光軸が直交するように貼り合わせて、液晶表示素
子を作製した。
【0318】液晶表示素子の電気光学特性の評価は、液
晶特性評価システムLCD−5000(大塚電子社製)を
用いて、上記ガラス基板を2枚貼り合わせた空セルの両
側に偏光板を平行ニコルに配置して作製したセルをリフ
ァレンスとして、電圧−透過率特性および液晶セルの応
答速度を測定した。ここで、応答速度は、電圧10V印加
による光線透過率変化が初期透過率から90%変化するの
に要した時間を、立ち上がりの応答速度τr(ms)と
し、印加電圧遮断による光線透過率変化が黒状態透過率
から90%変化するのに要した時間を、立ち下がりの応答
速度τd(ms)としたとき、それらの和τr+τd(ms)
として評価した。また、駆動特性の急峻性については全
透過率変化幅の10%および90%の透過率変化をおこす電
圧V10とV90の比(V90/V10)の絶対値αとして評価し
た。
【0319】電気光学特性の測定結果を、後述の実施例
9、12〜15、比較例1〜4の結果と併せて表3に示
す。
【0320】さらに、重合性化合物の特性を、ガラス転
移温度および液晶表示素子の加熱保存試験により評価し
た。評価結果を表3に示す。なお、測定の具体的な手順
は、以下の通りである:引っ張りモード(テンションモ
ジュール)の粘弾性スペクトロメータ(セイコー電子工業
社製;DMS210)を用いて、測定周波数1Hzでの
E’(貯蔵弾性率)とE”(損失弾性率)との比tanδ(=E"
/E';損失正接)の最大値を与える温度として高分子フィ
ルムのTgを規定した。さらに、液晶表示素子の100時間
での加熱保存試験により配向不良が発生する下限温度を
調べ、Tgとの関係を考察した。
【0321】
【表3】
【0322】さらに、ディスクリネーションラインにつ
いて調べたところ、ディスクリネーションラインは全く
認められなかった。
【0323】(実施例9)重合性化合物Dとして上記表
2に示す化合物を用いたこと以外は、実施例8と同様に
して液晶表示素子を作製し、電気光学特性を評価した。
結果を表3に示す。さらに、ディスクリネーションライ
ンについて調べたところ、ディスクリネーションライン
は全く認められなかった。
【0324】(実施例10)重合性化合物Dとして上記
表2に示す化合物を用いたこと以外は、実施例8と同様
にして液晶表示素子を作製し、ディスクリネーションラ
インについて調べたところ、ディスクリネーションライ
ンは全く認められなかった。
【0325】(実施例11)重合性化合物Dとして上記
表2に示す化合物を用いたこと以外は、実施例8と同様
にして液晶表示素子を作製し、ディスクリネーションラ
インについて調べたところ、ディスクリネーションライ
ンは全く認められなかった。
【0326】(実施例12)本発明の重合性化合物を用
いた液晶表示素子を、絶縁体パターン露光により作製し
た。以下、その作製方法を説明する。
【0327】ガラス基板(1.1mm厚)上にITO(50nm)を
透明電極として有する第1および第2の基板を使用し
た。第1の基板には、所定のレジスト材料(OMR8
3:東京応化社製)を用いて、図24で示すような絶縁
性物質のパターニング膜40を形成した。パターニング
膜40は、具体的には、レジスト材料塗布、焼成、図2
1のホトマスク3を用いた露光、現像、リンスおよび焼
成の各工程により形成した。パターニング膜40は、非
画素部に対応するように形成した。一方、第2の基板に
は、ポリイミド絶縁膜AL4552(日本合成ゴム社製)
を塗布、形成した(ラビングは未処埋)。作製した上記第
1および第2の基板を対向させ、この2枚の基板間に5
μmのスペーサーを挟持させることにより、セル厚が保
たれたセルを作製した。次いで、このセル中に、高分子
(壁)を構成するための光重合性樹脂材料としてイソボ
ルニルアクリレート0.6g、ネオペンチルジアクリレート
0.3g、p-メチルスチレン0.15g、および下記表4に示さ
れる重合性化合物E0.15gと、液晶組成物MLC−64
19(メルク社製:△n=+0.0977、no=1.4802、カイ
ラル剤S−811をd/p=0.25となるように添加したも
の)12.0gと、光重合開始剤Irgacure651 0.04gとを混合
した均一混合物を、減圧下から真空注入し、液晶セルを
作製した。
【0328】
【表4】
【0329】その後、液晶セルの温度を90℃に保って、
かつ、透明電極間に実効電圧2.5V:60Hzの電圧を印加
しながら、第1の基板側から高圧水銀ランプ下6mW/cm2
のところで8分間紫外線を照射することにより、樹脂組
成物を硬化させた。
【0330】次いで、電圧を印加した状態で、液晶セル
を、5時間かけて40℃まで冷却した後、室温(25℃)に戻
してから同じ紫外線照射装置で紫外線照射をして硬化を
促進させた。
【0331】樹脂組成物硬化後の液晶セルを偏光顕微鏡
で観察した結果を、模式的に図25に示す。図25から
明らかなように、レジストのパターニング膜が形成され
た部分(すなわち、非画素部)に高分子が、ITOの領
域に一区面ごとに、液晶領域20が、モノドメイン状態
で、かつ液晶分子が軸対称状に配向して形成されてい
た。このことは、互いに直交する2枚の偏光板を固定し
て得られた液晶セルを回転させたところ、液晶領域20
のシュリーレン模様(消光模様)の位置が一定で、周り
の高分子壁だけが回転しているように観察されたことか
らわかる。
【0332】この液晶セルの各基板の外側に、偏光板を
互いに光軸が直交するように貼り合わせて、高分子壁に
囲まれた液晶領域を有する液晶表示素子を作製した。
【0333】本実施例の液晶表示素子では、本発明の重
合性化合物を用いないTNモード液晶表示素子(後述の
比較例1)で見られるような反転現象は見られず、電圧
飽和時の広視角方向での透過率の増加も見られない。さ
らに、中間調表示状態においても、ざらつきは観察され
なかった。
【0334】(実施例13)重合性化合物Eとして上記
表4に示す化合物を用いたこと以外は、実施例12と同
様にして液晶表示素子を作製し、電気光学特性を評価し
た。結果を表3に示す。
【0335】得られた液晶表示素子の電圧−透過率特性
を図23に示す。この特性は、他の実施例で得られた液
晶表示素子についてもほぼ同様であった。
【0336】さらに、本実施例の液晶表示素子では、本
発明の重合性化合物を用いないTNモード液晶表示素子
(後述の比較例1)で見られるような反転現象は見られ
ず、電圧飽和時の広視角方向での透過率の増加も見られ
ない。さらに、中間調表示状態においても、ざらつきは
観察されなかった。
【0337】(実施例14)重合性化合物Eとして上記
表4に示す化合物を用いたこと以外は、実施例12と同
様にして液晶表示素子を作製し、電気光学特性を評価し
た。結果を表3に示す。
【0338】本実施例の液晶表示素子では、本発明の重
合性化合物を用いないTNモード液晶表示素子(後述の
比較例1)で見られるような反転現象は見られず、電圧
飽和時の広視角方向での透過率の増加も見られない。さ
らに、中間調表示状態においても、ざらつきは観察され
なかった。
【0339】(実施例15)重合性化合物Eとして上記
表4に示す化合物を用いたこと以外は、実施例12と同
様にして液晶表示素子を作製し、電気光学特性を評価し
た。結果を表3に示す。
【0340】本実施例の液晶表示素子では、本発明の重
合性化合物を用いないTNモード液晶表示素子(後述の
比較例1)で見られるような反転現象は見られず、電圧
飽和時の広視角方向での透過率の増加も見られない。さ
らに、中間調表示状態においても、ざらつきは観察され
なかった。
【0341】(実施例16)本発明の重合性化合物を用
いて、TNモードの液晶表示素子を作製した。以下、そ
の作製方法を説明する。
【0342】ITO(50nm)を透明電極として有するガラ
ス基板(1.1mm厚)上に、ポリイミド配向膜(AL455
2:日本合成ゴム社製)をスピンコート法により塗布し
た後、ナイロン布により所定のラビング処理を行った。
このような基板を2枚作製した。作製した2枚の基板を
互いにラビング方向が直交するように、平均粒径5μm
のLCDスペーサーを介して貼り合わせた。
【0343】このようにして貼り合わされた基板に、図
21に示すホトマスクを配置し、さらに基板間に、実施
例13と同様の樹脂組成物と液晶材料ZLI−4792
(メルク社製:△n=0.094)と光重合開始剤Irgacure65
1とを実施例13と同様の比率で混合した混合物を、毛
管注入により注入した。以下の手順は実施例8と同様に
して、高分子に囲まれた液晶領域を有する液晶セルを作
製した。
【0344】この液晶セルに、偏光軸がラビング方向と
一致するように偏光板を貼り合わせてTNモードの液晶
表示素子を得た。
【0345】本実施例で作製した液晶表示素子は、均一
な配向状態を有するTN配向であった。この液晶表示素
子は、表示面上をペンなどで押しても表示特性に変化が
認められなかった。すなわち、この液晶表示素子は、液
晶領域が高分子によって囲まれているため、従来のTN
モード液晶表示素子(後述の比較例1)に比べて、素子の
耐圧力性が飛躍的に向上することが確かめられた。
【0346】(実施例17)本発明の重合性化合物を用
いて、STNモードの液晶表示素子を作製した。以下、
その作製方法を説明する。
【0347】ITO(50nm)を透明電極として有するガラ
ス基板(1.1mm厚)上に、ポリイミド配向膜(サンエバー:
日産化学社製)をスピンコート法により塗布した後、ナ
イロン布により所定のラビング処理を行った。このよう
な基板を2枚作製した。作製した2枚の基板を互いにラ
ビング方向が240゜になるように、平均粒径9μmの
LCDスペーサーを介して貼り合わせた。
【0348】このようにして貼り合わされた基板に、図
21に示すホトマスクを配置し、さらに基板間に、実施
例13と同様の樹脂組成物と液晶材料ZLI−4427
(メルク社製)と光重合開始剤Irgacure651とを実施例1
3と同様の比率で混合した混合物を、毛管注入により注
入した。以下の手順は実施例8と同様にして、高分子に
囲まれた液晶領域を有する液晶セルを作製した。
【0349】この液晶セルに、偏光軸がラビング方向か
ら45°かつ、互いに105°となるように偏光板を貼り合
わせてSTNモードの液晶表示素子を得た。
【0350】本実施例で作製した液晶表示素子は、均一
な配向状態を有するSTN配向であった。この液晶表示
素子は、表示面上をペンなどで押しても表示特性に変化
が認められなかった。すなわち、この液晶表示素子は、
液晶領域が高分子によって囲まれているため、従来のS
TNモード液晶表示素子に比べて、素子の耐圧力性が飛
躍的に向上することが確かめられた。
【0351】(実施例18)本発明の重合性化合物を用
いて、SSFLCモードの液晶表示素子を作製した。以
下、その作製方法を説明する。
【0352】ITO(50nm)を透明電極として有するガラ
ス基板(1.1mm厚)上に、ポリイミド配向膜(サンエバー:
日産化学社製)をスピンコート法により塗布した後、ナ
イロン布により所定のラビング処理を行った。このよう
な基板を2枚作製した。作製した2枚の基板を互いにラ
ビング方向が直交するように、平均粒径2μmのLCD
スペーサーを介して貼り合わせた。
【0353】このようにして貼り合わされた基板に、図
21に示すホトマスクを配置し、さらに基板間に、樹脂
組成物としてポリエチレングリコールジアクリレート
(NKエステルA−200、新中村化学工業社製)0.005
g、ラウリルアクリレート 0.13g、スチレン 0.01g、お
よび実施例13の化合物E0.05gと、液晶材料としてZ
LI−4003(メルク社製)0.80gと、光重合開始剤Irg
acure651 0.005gとの混合物を、均一に混合した後、加
熱状態で減圧下から真空注入した。以下の手順は実施例
8と同様にして、高分子に囲まれた液晶領域を有する液
晶セルを作製した。
【0354】この液晶セルに、偏光軸が互いに90゜に
なるように偏光板を貼り合わせてFLCモード(SSF
型の配向)の液晶表示素子を得た。
【0355】本実施例で作製した液晶表示素子は、均一
な配向状態を有するSSFLC配向であった。この液晶
表示素子は、表示面上をペンなどで押しても表示特性に
変化が認められなかった。さらに、通常のFLCモード
の液晶表示素子で認められて問題となる外力による配向
乱れについても確認されなかった。すなわち、この液晶
表示素子は、液晶領域が高分子によって囲まれているた
め、従来のFLCモード液晶表示素子に比べて、素子の
耐圧力性が飛躍的に向上することが確かめられた。
【0356】(比較例および参考例)以下、本発明の実施
例の効果を検証するために有効な比較例及び参考例を説
明する。
【0357】(比較例1)従来のTNモードの液晶表示
素子を作製した。
【0358】実施例8と同様にして、透明電極が形成さ
れた2枚の基板を貼り合わせた。この基板間に、実施例
8と同様の液晶材料MLC−6419(メルク社製、カ
イラル剤S−811をd/p=0.25となるように添加した
もの)を注入し、液晶セルを作製した。この液晶セルの
各基板の外側に、偏光板を互いに光軸が直交するように
貼り合わせて、従来のTNモードの液晶表示素子を作製
した。
【0359】実施例8と同様にして、得られた液晶表示
素子の電気光学特性を評価した。評価結果を表3に示
す。さらに、この液晶表示素子の視角特性を図26に示
す。
【0360】(比較例2)実施例8と同様にして、透明
電極が形成された2枚の基板を貼り合わせ、セルを作製
した。作製したセルの片面上に、図21に示すような遮
光部31および透光部32を有するホトマスク3を配置
した。この遮光部31は、画素に対応するように設け
た。このセル中に、ステアリルアクリレート 0.65g、1,
4-ブタンジオールジアクリレート 0.25g、p-フェニルス
チレン 0.10g、および液晶材料MLC−6419(メル
ク社製、カイラル剤S−811をd/p=0.25となるよう
に添加したもの)10gと、光重合開始剤Irgacure651 0.03
gとの均一な混合物を毛管注入し、液晶セルを作製し
た。以下の手順は実施例12と同様にして、高分子に囲
まれた液晶領域を有する液晶セルを作製した。
【0361】次いで、作製した液晶セルに偏光板を直交
ニコルに配置して貼り合わせ、液晶表示素子を作製し
た。実施例8と同様にして、得られた液晶表示素子の電
気光学特性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0362】本比較例の液晶表示素子では、液晶と高分
子との相分離が不十分であり、液晶領域中に樹脂材料の
混在が認められた。さらに、電圧印加時にディスクリネ
ーションラインの発生が観察されて表示特性の点で満足
できるものではなかった。10V電圧印加時の透過率は2.
0%であった。この値は、実施例8〜16の液晶表示素
子の値よりも大きく、ディスクリネーションラインの発
生が大きな原因であると思われる。
【0363】(参考例1)樹脂組成物としてイソボルニ
ルアクリレート0.6g、ネオペンチルジアクリレート0.3
g、p-メチルスチレン 0.15g、下記表5に示す重合性化
合物Z0.15gと、液晶組成物としてMLC−6419(メ
ルク社製、カイラル剤S−811をd/p=0.25となるよ
うに添加したもの)12gと、光重合開始剤Irgacure651 0.
04gとの均一混合物を用いたこと以外は、実施例12と
同様にして液晶表示素子を作製した。実施例8と同様に
して、得られた液晶表示素子の電気光学特性を評価し
た。評価結果を表3に示す。
【0364】
【表5】
【0365】(参考例2)重合性化合物Zとして上記表
5に示す化合物を用いたこと以外は、参考例1と同様に
して液晶表示素子を作製した。実施例8と同様にして、
得られた液晶表示素子の電気光学特性を評価した。評価
結果を表3に示す。
【0366】参考例1および2で作製した液晶表示素子
の偏光顕微鏡観察によれば、液晶類似骨格を分子中に有
する重合性化合物の添加により、電圧印加時のディスク
リネーションラインの発生が抑制されていることが観察
された。そのため、10V電圧印加時の透過率は0.7%程
度と比較的良好な黒状態表示となっていた。
【0367】このように、参考例の液晶表示素子は比較
的良好な特性を示すものの、本発明の実施例の液晶表示
素子と参考例の液晶表示素子とを比較すると、本発明の
液晶表示素子が、より優れた特性を有することが確認さ
れた。以下に説明する。
【0368】第一に、本発明の多官能性重合化合物の液
晶配向の耐熱上限温度は、参考例の直鎖状単官能性化合
物よりも15〜20℃程度高く、分岐した重合性活性基を導
入した重合性化合物を用いることにより、本発明の液晶
表示素子の耐熱性が飛躍的に向上することがわかる。
(なお、表3から明らかなように、ガラス転移温度(Tg)
と、液晶表示素子の100時間での加熱保存試験により配
向不良が発生する下限温度との関係を調べると、上記結
合基部分の原子数が少ないほど、Tgが大きくなり、か
つ、耐熱温度が高くなる傾向が認められる。) さらに、液晶表示素子の液晶領域の転移温度を偏光顕微
鏡により評価すると、例えば、実施例12では83℃であ
り、参考例1では68℃であった。すなわち、本発明の多
官能性化合物を用いる方が、液晶材料単独の転移温度
(87℃)にきわめて近いことが確認された。このこと
は、本発明の多官能性化合物の方が、参考例の直鎖状単
官能性化合物よりも反応性に優れ、従って、液晶表示素
子の表示特性の観点から、より優れていることを示して
いる。
【0369】さらに、本発明の多官能性化合物を用いた
液晶表示素子と参考例の直鎖状単官能性化合物を用いた
液晶表示素子とは、電気光学特性および表示特性におい
てほぼ同等であった。
【0370】以上のように、本発明の重合性化合物を用
いる液晶表示素子は、ディスクリネーションラインを発
生させず、応答速度および電圧−透過率特性の劣化が少
なく、電圧無印加時にも明るく、高いコントラストを有
し、しかも強度および耐熱性に優れることが確認され
た。
【0371】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の重合性化合物は、液晶類似骨格を有し、かつ、分岐し
た重合性活性基を有する多官能性化合物である。本発明
の多官能性化合物は、3次元網目構造を形成しやすく、
かつ、反応性に優れる。従って、本発明の多官能性化合
物は、従来の単官能性の“液晶類似骨格を有する重合性
化合物”としての性質を保ちつつ、同時に、未反応の化
合物による液晶表示素子の特性の低下を低減し、高分子
のガラス転移温度(Tg)を向上させるといった多官能性
化合物の特徴を同時に実現し得る。従って、液晶表示素
子の表示特性、強度(例えば、耐圧力性、耐衝撃性)お
よび耐熱性の観点からきわめて有効である。特に、液晶
−高分子複合体を用いて構成される液晶表示素子におい
ては、素子の保存耐熱温度および動作温度領域などが飛
躍的に向上するので、本発明の重合性化合物は、液晶表
示素子の耐熱信頼性の観点からきわめて有効である。さ
らに、本発明の重合性化合物を液晶表示素子に用いる
と、電圧印加時のディスクリネーションラインの発生が
抑制される。従って、液晶表示素子において、高コント
ラストの表示が実現できる。
【0372】本発明の重合性化合物はまた、液晶表示素
子作製時に液晶と樹脂材料との分離性を向上させて液晶
材料中への樹脂材料の混入を抑制し、かつ、高分子と液
晶分子との表面でのアンカリングを低下させる効果を有
しており、液晶分子の配向の安定化にも有効である。
【0373】さらに、これらの重合性化合物を液晶表示
素子に使用することにより、従来問題となっていた応答
速度の劣化、あるいは電圧−透過率特性の閾値特性また
は急峻性の劣化などが、大きく改善される。すなわち、
本発明の重合性化合物を用いることにより、液晶表示素
子の表示特性が向上する。このような液晶表示素子は、
以下の特徴を有している:(1)軸対称状の配向状態を
しているために、視角特性が良好で、かつ、高分子壁を
セル中に有するために、耐衝撃性に優れている。特に、
大画面表示体やペン入力型の液晶表示素子等に広く応用
することができる。(2)基板上の配向規制力を液晶領
域内に生かせる液晶表示素子において、配向状態が均一
化し、かつ、ペン入力などの外圧に対して耐圧性が向上
する。
【0374】以上のように、本発明の液晶表示素子は、
液晶分子の配向規制力を向上せしめる効果を有する重合
性化合物が構成体として具備されていることにより、液
晶領域内の液晶分子の軸対称状配向状態が従来よりも優
れたものとなる。従って、本発明の液晶表示素子は、視
角特性が改善され、表示品位の高い表示素子である。し
かも、この液晶表示素子は、耐熱性に非常に優れてい
る。このような液晶表示素子は、広視野角特性を生かし
たディスプレイ(例えば、パソコン、ワープロ、液晶テ
レビ、カーナビゲーション用表示パネル)などに好適に
使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重合性化合物の合成経路1を示す図で
ある。
【図2】本発明の重合性化合物の合成経路1を示す図で
ある。
【図3】本発明の重合性化合物の合成経路2を示す図で
ある。
【図4】本発明の重合性化合物の合成経路2を示す図で
ある。
【図5】本発明の重合性化合物の合成経路3を示す図で
ある。
【図6】本発明の重合性化合物の合成経路4を示す図で
ある。
【図7】本発明の重合性化合物の合成経路5を示す図で
ある。
【図8】本発明の重合性化合物の合成経路6を示す図で
ある。
【図9】本発明の重合性化合物の合成経路7を示す図で
ある。
【図10】本発明の重合性化合物の合成経路8を示す図
である。
【図11】本発明の重合性化合物の合成経路9を示す図
である。
【図12】本発明の重合性化合物の合成経路9を示す図
である。
【図13】本発明の重合性化合物の合成経路10を示す
図である。
【図14】本発明の重合性化合物の合成経路10を示す
図である。
【図15】本発明の重合性化合物の合成経路11を示す
図である。
【図16】本発明の重合性化合物の合成経路12を示す
図である。
【図17】本発明の重合性化合物の合成経路13を示す
図である。
【図18】本発明の重合性化合物の合成経路14を示す
図である。
【図19】本発明の重合性化合物の合成経路15を示す
図である。
【図20】本発明の重合性化合物の合成経路16を示す
図である。
【図21】本発明の実施例で使用したホトマスクの概念
図である。
【図22】本発明の液晶表示素子の液晶セルの偏光顕微
鏡による観察結果を示す概略図である。
【図23】本発明の液晶表示素子の電気光学特性および
視角特性を説明するグラフおよび概略図である。
【図24】本発明の液晶表示素子におけるパターニング
膜が形成された基板の概略図である。(a)は上面図、
(b)は(a)のB−B’断面図である。
【図25】本発明の液晶表示素子における液晶領域の配
向状態を示す概略図である。
【図26】比較例1のTNモードの液晶表示素子の電気
光学特性および視角特性を説明するグラフおよび概略図
である。
【図27】従来のTNモードの液晶表示素子の視角によ
るコントラスト変化を説明する概略図である。
【図28】従来の広視角モードの液晶表示素子の視角に
よるコントラスト変化を説明する概略図である。
【図29】従来の液晶表示素子における電圧印加時のデ
ィスクリネーションラインの発生状況を説明する概略図
である。
【符号の説明】
1 基板 3 ホトマスク 10 液晶層 20 液晶領域 21 高分子壁 22 ディスクリネーションライン 30 画素部(ホトマスクのパタ−ン) 31 ホトマスクの遮光部 32 ホトマスクの透光部 40 レジストのパターニング膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/1333 G02F 1/1333 1/1337 1/1337 // C07C 43/174 7419−4H C07C 43/174 43/225 7419−4H 43/225 D 43/23 7419−4H 43/23 E 47/457 8114−4H 47/457 49/697 8114−4H 49/697 (72)発明者 吉田 昌彦 埼玉県草加市稲荷1丁目7番1号 関東化 学株式会社中央研究所内 (72)発明者 溝部 帆洋 埼玉県草加市稲荷1丁目7番1号 関東化 学株式会社中央研究所内 (72)発明者 鈴木 賢治 埼玉県草加市稲荷1丁目7番1号 関東化 学株式会社中央研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I)で表される重合性化合物: 【化1】 ここで、Xは、水素原子またはメチル基であり;lおよ
    びmは、それぞれ独立して、0〜14の整数であり;Y
    は、単結合、-COO-、-OCO-、または-O-であり;nおよ
    びpは、それぞれ独立して、0〜18の整数であり;qお
    よびsは、それぞれ独立して、0または1であり;RA
    およびRBは、それぞれ独立して、式(II)または式(I
    II)で表される: 【化2】 ただし、q=1の時、p≧2であり;RAが式(II)で
    表されるとき、RBは式(II)で表される。
  2. 【請求項2】 前記式(I)において、n+p≦18であ
    る、請求項1に記載の重合性化合物。
  3. 【請求項3】 前記式(I)において、n+p≦18であ
    り、かつ、s=0である、請求項1に記載の重合性化合
    物。
  4. 【請求項4】 前記式(I)において、n+p≦18であ
    り、かつ、s=1である、請求項1に記載の重合性化合
    物。
  5. 【請求項5】 一対の基板間に、高分子と該高分子で囲
    まれた液晶領域とを有する液晶層が挟持されている液晶
    表示素子であって、該高分子が、請求項1から4のいず
    れかに記載の重合性化合物を少なくとも含有する重合前
    駆体から形成される、液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 前記液晶領域内の液晶分子の配向状態
    が、軸対称状、放射状または同心円状配向、渦巻状配
    向、あるいはランダム配向である、請求項5に記載の液
    晶表示素子。
  7. 【請求項7】 前記基板上に液晶分子の配向状態を規制
    する絶縁膜を具備する、請求項5または6に記載の液晶
    表示素子。
  8. 【請求項8】 前記基板上に、前記液晶領域に対応し
    て、一軸性の一様な液晶分子の配向状態を実現するため
    の絶縁配向膜をさらに具備し、該液晶領域の配向状態お
    よび該素子の全体構成が、TN、STN、ECB、およ
    びSSFLCモードに適した配置とされる、請求項5ま
    たは7に記載の液晶表示素子。
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