JPH1082423A - すべり軸受 - Google Patents

すべり軸受

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JPH1082423A
JPH1082423A JP9215493A JP21549397A JPH1082423A JP H1082423 A JPH1082423 A JP H1082423A JP 9215493 A JP9215493 A JP 9215493A JP 21549397 A JP21549397 A JP 21549397A JP H1082423 A JPH1082423 A JP H1082423A
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JP
Japan
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bush
bearing
sliding
bearing according
lubricating oil
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Pending
Application number
JP9215493A
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English (en)
Inventor
Hideki Akita
秀樹 秋田
Makoto Ota
誠 太田
Hideaki Nakatani
英昭 中谷
Kazuyoshi Hatano
和好 波多野
Manabu Ogasawara
学 小笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH1082423A publication Critical patent/JPH1082423A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 数年間以上の長期間にわたって無給脂で摺動
させることができる、低速、高面圧用のすべり軸受を提
供する。 【解決手段】 軸を支持するブッシュを有し、前記ブッ
シュは多孔質の鉄系焼結材からなるすべり軸受におい
て、前記ブッシュは260cSt〜950cStの範囲
内の粘度を有する潤滑油が含浸されていることを特徴と
するすべり軸受。このすべり軸受は6.0Kgf/mm
2 以上の動作面圧および2〜5cm/秒の範囲内の摺動
速度の環境下で使用することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はすべり軸受に関する。更
に詳細には、本発明は長期間にわたって無給脂で摺動さ
せることができる、低速、高面圧用のすべり軸受に関す
る。
【0002】
【従来の技術】建設機械等の掘削装置においては、その
駆動機構を動作させるために、この駆動機構を構成する
各部材を相対的に回動または揺動可能に連結し、シリン
ダその他のアクチュエータで駆動するように構成してい
る。例えば、油圧ショベルにおいては、アームの先端に
バケットが連結されるが、このバケットによる掘削動作
はバケットシリンダを作動させることにより、バケット
をアームとの連結部を中心として回動または揺動させる
ようにする。このため、バケットとアームとはこれらの
いずれかに設けたすべり軸受用のブッシュと、このブッ
シュに挿入される軸とによって連結される。
【0003】従来から使用されているすべり軸受の一例
の断面図を図13に示す。ボス1の内部にすべり軸受用
のブッシュ2が嵌着されている。ブッシュの側部外周に
はダストシール3が圧入されている。ボス1の両側部に
はブラケット6が設けられ、ボス1とブラケット6との
隙間にはシム5が介在している。そして、この隙間の上
端の外部にO−リング4が装着されている。両端のブラ
ケット6およびブッシュ2を貫通して軸7が挿入されて
いる。軸7は、この軸とブラケット6を貫通する回転係
止ボルト8により、回転不能にされている。この回転係
止ボルト8の装着位置と反対側の軸の側端からブッシュ
2の略中央部に向けてグリース給脂孔30が配設されて
いる。グリース給脂孔30の一端には封止栓32が螺着
されている。グリース給脂孔30の内部にはグリース3
4が充填されている。
【0004】掘削作業時には、すべり軸受用のブッシュ
と軸とは低速で摺動するが、極めて大きな面圧がかか
る。このため、このような高面圧用のすべり軸受にあっ
ては、その摺動面にグリースなどの糊状潤滑油を十分に
介在させておかなければ、早期に焼き付き、かじり、偏
摩耗などが生じる。従って、頻繁に給脂を行わなければ
ならないが、この給脂作業は必ずしも容易に実施できる
わけではない。
【0005】また、新たなグリースを給脂するためには
軸受内の液状化した古いグリースを軸受外へ排出しなけ
ればならない。この給脂および排出は一般的に掘削作業
が行われている現場で行われる。この場合、排出された
液状化グリースは現場の土壌表面に蒔き散らかされて廃
棄され、土壌汚染の問題を引き起こす。特に、最近で
は、都市部での宅地造成および造園作業において、液状
化グリースを土壌表面に廃棄したり、散乱させることは
環境保護の観点から問題である。
【0006】長期間にわたってグリースなどの潤滑剤を
補給しなくても、摺動面における潤滑性を維持する手段
として、図14に示されるように、ブッシュ2の摺動面
に黒鉛36などの固体潤滑剤を埋設したり、あるいは、
ブッシュ自体を自己潤滑性のあるプラスチック材などで
形成するか、または特殊なものとして磁気軸受や空気軸
受などが開発されている。しかし、磁気軸受や空気軸受
は高荷重用の軸受としては不適当である。一方、固体潤
滑剤(例えば、黒鉛)や自己潤滑性部材(例えば、プラ
スチック)を使用した軸受にも様々な欠点が存在する。
例えば、固体潤滑剤を使用する軸受の場合、母材金属同
士の接触があり、微視的な“かじり”発生が避けられな
い。また、プラスチックなどのような自己潤滑性部材
は、強度および硬さ不足から突発的な異常摩耗や変形
(クリープ現象)を起こすことがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、数年間以上の長期間にわたって無給脂で摺動させる
ことができる、低速、高面圧用のすべり軸受を提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明では、軸を支持するブッシュを有し、前記ブ
ッシュは多孔質の鉄系焼結材からなるすべり軸受におい
て、前記ブッシュは260cSt〜950cStの範囲
内の粘度を有する潤滑油が含浸されていることを特徴と
するすべり軸受を提供する。本発明のすべり軸受は6.
0Kgf/mm2 以上の動作面圧および2〜5cm/秒
の範囲内の摺動速度の環境下で使用することが好まし
い。
【0009】
【作用】前記のように、本発明のすべり軸受は、多孔質
ブッシュに高粘度の潤滑油を含浸させることにより、低
速、高面圧の環境下でも長期間(例えば、5年間以上)
にわたり無給脂のまま連続的に使用することができる。
特公昭63−60247号公報には、軸を回転自在に嵌
挿する軸受メタル(本発明における多孔質ブッシュに相
当する)の軸孔に、複数の傾斜した溝を形成すると共
に、前記軸と、前記溝を含む軸孔との間に、潤滑油を介
在させた動圧軸受が開示されている。この軸受メタルは
多孔質性の焼結合金からなり、この焼結合金の多孔部分
に動粘度が1000C/S相当のオイルを含浸させると
共に、前記軸と軸孔との間に、潤滑油として、前記オイ
ルと同一種かつ同一動粘度のグリースを介在させて流体
膜を形成する。この動圧軸受では、動圧作用を生じない
軸の回転始動時には軸受メタルのオイルで潤滑機能が達
成され、また、始動後には、グリースによる流体膜が形
成され、この動圧作用により軸が非接触状態で支持され
る態勢となる。このように、特公昭63−60247号
公報に記載された動圧軸受では、グリースの流体膜によ
る動圧作用が主たる潤滑作用を発揮し、軸受メタル内に
含浸された潤滑油は従たる潤滑機能しか果たさない。こ
れに対し、本発明の軸受では、グリースを使用する必要
はなく、多孔質ブッシュに含浸された260〜950c
Stの範囲内の粘度を有する潤滑油だけで全ての潤滑作
用が果たされる。本発明の軸受ではグリースを使用する
必要がないので、多孔質ブッシュの軸孔にグリース流体
膜形成用の溝などを形成する必要もない。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明のすべり軸
受を具体的に説明する。
【0011】図1は本発明のすべり軸受を備える軸受組
立体の一例の断面図である。本発明のすべり軸受の基本
的な構成自体は図14に示されたすべり軸受と同じであ
る。従って、図14における部材と同一の部材について
は同じ参照符号を使用して説明する。図1に示された本
発明のすべり軸受においても、ボス1の内部にブッシュ
9が嵌着されている。ボス1の両側部にはブラケット6
が設けられ、ボス1とブラケット6との隙間にはシム5
が介在している。そして、この隙間の上端の外部にO−
リング4が装着されている。両端のブラケット6および
ブッシュ2を貫通して軸10が挿入されている。軸10
は、この軸とブラケット6を貫通する回転係止ボルト8
により、回転不能にされている。
【0012】本発明のすべり軸受を構成するブッシュ9
は例えば、銅粉と鉄粉とから形成された多孔質複合焼結
合金である。その他の素材からなる多孔質ブッシュも使
用できる。このブッシュの気孔率は5〜30%程度であ
ることが好ましい。気孔率が5%未満では高粘度潤滑油
の含浸量が不十分となり、無給脂軸受として使用できな
い恐れがある。一方、気孔率が30%よりも高いと、ブ
ッシュ自体の機械的強度が弱くなり、使用中に破壊する
危険性がある。ブッシュ内の気孔は相互に連通している
ことが好ましい。
【0013】この多孔質ブッシュに260〜950cS
tの範囲内の粘度を有する高粘度潤滑油を含浸させる。
粘度が260cSt未満では潤滑油の流動性が高過ぎる
ため、ブッシュの気孔内に止めさせておくことが困難に
なり、使用中に“かじり”などが発生し、無給脂軸受を
構成することができない。一方、粘度が950cStを
越える潤滑油の場合、ブッシュの多孔部分内に含浸させ
ることが非常に困難となるばかりか、仮に含浸させるこ
とができたとしても、摩擦熱によって摺動部に滲み出た
潤滑油が再び多孔質部に戻りづらくなり、長期的に安定
した摺動特性を維持できなくなる恐れがある。
【0014】多孔質ブッシュに含浸させる潤滑油は、粘
度が前記範囲内のものであれば、その組成自体は特に限
定されない。鉱物油あるいは合成油など一般に市販され
ている組成の潤滑油は全て使用できる。但し、グリース
は繊維を含有するのでブッシュに含浸させることはでき
ない。この潤滑油にはMoS2 ,WS2 ,六方晶形B
N,グラファイトなどの、粒径が500μm以下の固体
潤滑性微粒子を配合することもできる。これらの固体潤
滑性微粒子は本発明のすべり軸受を寒冷地で使用する際
に効果を発揮する。
【0015】本発明の多孔質ブッシュに高粘度潤滑油を
含浸させる場合、潤滑油を加熱してより低粘度に液状化
させ、この液状化潤滑油内にブッシュを浸漬し、真空雰
囲気下で静置する。これにより、ブッシュの気孔内の空
気が吸い出され、代わりに液状化潤滑剤がブッシュの気
孔内に吸引される。このブッシュを空気中に取り出して
室温にまで放冷すると液状化潤滑油はブッシュの気孔内
で再び元の高粘度潤滑油に戻り流動性を失う。斯くし
て、高粘度潤滑油をブッシュの気孔内に留めておくこと
ができる。高粘度潤滑油の加熱温度は特に限定されな
い。各粘度に応じて加熱温度は変化する。従って、潤滑
油が液状化するまで加熱すればよい。このような作業は
当業者に容易である。また、液状化潤滑油へのブッシュ
の浸漬時間および真空度も特に限定されない。浸漬時間
および真空度も使用する潤滑油の粘度により左右され
る。重要なことは、ブッシュの気孔が潤滑油で飽和され
るまで、ブッシュを液状化潤滑油内に浸漬させておくこ
とである。一例として、粘度が460cStの潤滑油を
60〜80℃にまで加熱し、2×10-2mmHgの真空
下で、ブッシュをこの潤滑油に浸漬させる場合、約1時
間でブッシュの気孔が潤滑油で飽和される。
【0016】ブッシュ9の摺動面は浸炭、窒化または浸
硫処理法などにより表面改質処理することが好ましい。
例えば、ブッシュ9の摺動面に厚さ1〜3mm、好まし
くは2mm程度の浸炭硬化層を形成させると、ブッシュ
の耐摩耗性を向上させることができる。ブッシュ9に挿
入される軸10は例えば、鉄鋼材からなる。この鉄鋼製
の軸10を浸炭,窒化および高周波焼入れした後、その
外表面を、化成(例えば、燐酸亜鉛,燐酸マンガンな
ど)または浸硫処理法などにより表面改質処理すること
が好ましい。理由は明らかでないが、軸10の表面改質
処理を行うとブッシュ9内に含浸されている高粘度潤滑
油との“ぬれ”性が改善され、潤滑効果およびトライボ
ロジ特性が向上する。
【0017】ボス1とブッシュ9は当業者に周知の任意
の方法により相互に嵌着固定させることができる。例え
ば、焼きばめまたは冷却ばめなどのような収縮ばめによ
り相互に嵌着固定させることができる。
【0018】図2はブッシュ9と軸10との界面の模式
的な部分拡大断面図である。図示されているように、多
孔質ブッシュ9の気孔内14に含浸されている高粘度潤
滑油16がブッシュ9の内周面上に表出して薄い油膜1
8を形成する。この油膜18がブッシュ9と軸10との
間の摺動界面となり、潤滑効果が発揮され、優れたトラ
イボロジ特性が得られる。ブッシュの気孔内に含浸され
た高粘度潤滑油は流動性が極めて低いので、ブッシュと
軸が相対的な摺動を繰り返しても、ブッシュから流失さ
れることはない。その結果、潤滑油膜18は極めて長期
間にわたって安定的に供給され続ける。これにより、本
発明の無給脂すべり軸受を確実に得ることができる。特
に、低速,高荷重下で揺動駆動する軸10とブッシュ9
間における“かじり現象”はミクロ的な金属接触によっ
て引き起こされるが、本発明により粘度260cSt〜
950cStの潤滑油を含浸させると、微視的な“油だ
まり(油膜18)”の存在によって、かじりなどによる
損傷を皆無にすることができる。
【0019】再び図1を参照する。ブッシュ9に含浸さ
れた高粘度潤滑油は、時には、前記の潤滑油膜18(図
2参照)を形成するのに必要十分な供給量を超えて、軸
10とブッシュ9との摺動界面に滲出してくることがあ
る。この滲出は主に、軸10とブッシュ9との摺動によ
る摩擦熱によって潤滑油が膨張し、かつ、粘度が若干低
下するために起こるものと思われる。この滲出してきた
液状化潤滑油が軸受外へ漏出すると、軸10とブッシュ
9間のトライボロジ特性の低下のみならず、従来のグリ
ースの場合と同様に、環境汚染を起こすので好ましくな
い。このため、本発明のすべり軸受では、ブッシュ9の
両側面に遮油部材12を配設し、この遮油部材12をブ
ッシュ9に向かって当接させるように、ダストシール3
が軸10とボス1の間に圧入されている。この遮油部材
12は軟質で弾性を有し、吸油性の素材から形成されて
いることが好ましい。この目的にかなう素材としては、
例えば、不織布、織布、多孔質弾性プラスチック,海
綿,石綿,フエルトなどが挙げられる。コスト,耐久性
および吸油性の点からフエルトが好ましい。ブッシュ9
から滲出してきた液状化潤滑油は軸10の長手方向に沿
って移動する際、フエルト製の遮油部材と接触し、フエ
ルト内に吸収される。その結果、液状化潤滑油が軸受外
へ漏出することは効果的に防止される。
【0020】図3はブッシュに含浸させる潤滑油の面圧
と摩擦係数との関係を示す特性図である。前記のような
多孔質複合焼結合金からなる、気孔率が15%の、浸炭
焼入れしたブッシュ3個にそれぞれ粘度230cSt
(出光石油から市販されている出光ダフニスーパーギヤ
230),粘度360cSt(出光石油から市販されて
いる出光ダフニスーパーギヤ360)および粘度460
cSt(出光石油から市販されている出光ダフニスーパ
ーギヤ460)の潤滑油を前記のような方法で含浸させ
た。このブッシュを使用し、図1に示されるようなすべ
り軸受組立体を組み立てた。このすべり軸受組立体に様
々な値の面圧を加え、120度の角度で揺動させながら
軸受の耐かじり性を測定した。図3に示された結果から
明らかなように、粘度230cStの潤滑油の場合、約
5Kgf/mm2 程度の面圧でかじりが発生する。これ
に対し、本発明による粘度360cStおよび460c
Stの潤滑油の場合、10Kgf/mm2 以上の面圧で
もかじりの兆候すら認められない。
【0021】図4は従来のグリース給脂型すべり軸受と
本発明の高粘度潤滑油含浸型すべり軸受のトライボロジ
特性を比較した特性図である。従来のグリース給脂型す
べり軸受は図13に示されるような構成のすべり軸受組
立体を使用した。軸7にはS45C高周波焼入鋼を使用
し、ブッシュ2には同じくS45C高周波焼入鋼を使用
した。グリースには(株)出光興産から市販されている
ダフニコロネックスEPNo.2を使用した。一方、本
発明の高粘度潤滑油含浸型すべり軸受は図1に示される
ようなすべり軸受組立体を使用した。軸10にはS45
C高周波焼入鋼を使用し、ブッシュ9には多孔質複合焼
結合金(Fe/Cu)からなる、気孔率が15%の、浸
炭焼入れしたブッシュを使用した。このブッシュに粘度
460cStの潤滑油(出光石油から市販されている出
光ダフニスーパーギヤ460を使用)を含浸させた。図
4に示された結果から明らかなように、従来のグリース
給脂型すべり軸受の場合、面圧が5Kgf/mm2 を超
えるあたりからかじりの兆候が認められるが、本発明の
すべり軸受の場合、面圧が10Kgf/mm2 を超えて
もかじりの兆候は全く認められない。
【0022】図5および図6は本発明のすべり軸受を8
00時間にわたって連続的に揺動運動させた際の、ブッ
シュおよび軸の摩耗量を示す特性図である。このすべり
軸受は基本的に図1に示されるような構成を有する。軸
10にはS45C高周波焼入鋼を使用し、ブッシュ9に
は多孔質複合焼結合金(Fe/Cu)からなる、気孔率
が15%の、浸炭焼入れしたブッシュを使用した。この
ブッシュに粘度460cStの潤滑油(出光石油から市
販されている出光ダフニスーパーギヤ460を使用)を
含浸させた。面圧8Kgf/mm2 、揺動角120度、
荷重方向一定、しゅう速12rpmの条件で試験した。
測定結果は揺動方向としてX1およびX2方向とY1お
よびY2方向にそれぞれ分けて示す。図5に示された結
果から明らかなように、800時間経過後であっても、
揺動方向に拘り無く、ブッシュは殆ど偏摩耗を受けてい
ない。同様に、軸も800時間経過後であっても、揺動
方向に拘り無く、殆ど偏摩耗を受けていない。また、摩
耗量もせいぜい0.4mm程度と極めて少量である。換
言すれば、これらの結果は、本発明の高粘度潤滑油含浸
焼結ブッシュを使用するすべり軸受では、8Kgf/m
2 の高面圧でも、800時間の連続運転中にかじりが
全く発生しなかったことを示す。
【0023】本発明のすべり軸受を組立後に所定時間
(例えば、50時間程度)摺動させ続けると、ブッシュ
に含浸させた潤滑油以外の黒色で高粘度の潤滑物質が生
成されることを発見した。この新たな黒色の高粘度潤滑
物質は多分、軸とブッシュとの摺動によるメカノケミス
トリ反応による生成物であると思われる。ブッシュに含
浸させた潤滑油とこの新たな黒色の高粘度潤滑物質との
混合物が長期無給脂摺動の実現に寄与しているものと思
われる。“メカノケミストリ”とは、固体物質に摩砕,
摩擦,延伸,圧縮などの機械的エネルギを加えることに
よって引き起こされる構造,相転移,反応性,吸着性,
触媒活性等の変化をいう(岩波理化学事典,第4版,1
276頁参照)。
【0024】図7及び図8は黒色の高粘度潤滑物質の組
成分析の結果を示すチャート図である。図7(a)はブ
ッシュ9に含浸させた潤滑油,出光ダフニスーパーギヤ
460(新品で未使用の状態のもの)の赤外線分光分析
結果を示すチャート図であり、図7(b)はこの潤滑油
が含浸されたブッシュと軸を100時間摺動させること
により生成された黒色の高粘度潤滑物質の赤外線分光分
析結果を示すチャート図である。これから明らかなよう
に、黒色の高粘度潤滑物質は赤外線波長1720cm-1
と1660cm-1に、新品潤滑油とは異なる顕著な吸収
帯が認められた。赤外線波長1720cm-1はカルボニ
ル基(エステル)に帰属するものであり、一方、波長1
660cm-1は炭素間二重結合(オレフィン)に帰属す
るものである。これらの結果から、含浸潤滑油は化学的
に変質していることが確認できた。
【0025】図8は、黒色の高粘度潤滑物質から油状成
分と固形物を分離し、乾燥後に粉末にしてX線によって
同定解析したチャート図である。この結果、固形物は主
として、SiO2,Fe34,C,グラファイト,α−
Fe23から構成されていることが判明した。従って、
図7の結果と合わせて、軸10とブッシュ9との摺動部
にメカノケミストリ反応が生じていることが確認でき
る。
【0026】図9は、黒色の高粘度潤滑物質の生成が確
認されたすべり軸受を分解し、軸10とブッシュ9の摺
動面の変化を触針式の粗さ計で測定した結果の波形図で
ある。(a)は軸10の表面粗さを示す波形図である。
図示された結果から明らかなように、軸10のブッシュ
9との摺動面は、駆動前の表面粗さ10〜12μmが1
μm以下の鏡面状態にまで改善されているが、ブッシュ
9と摺動しない、ダストシール3との接触部及び高周波
焼入れ部は、依然として駆動前の表面粗さのままであ
る。一方、(b)はブッシュ9の表面粗さを示す波形図
であるが、ブッシュの全面にわたって、1μm以下の鏡
面状態にまで改善されていることが認められる。軸10
とブッシュ9との間に再々認められる“かじり損傷”は
皆無であった。
【0027】図10は、本発明のすべり軸受の別の実施
例を示す部分断面図である。軸10とブッシュ9との片
当り(例えば、軸/ブッシュの隙間や軸の変形などに起
因するもの)現象に対して強度的信頼性を向上させるた
めに、ブッシュ9の両端にクラウニング部20が設けら
れている。
【0028】図11は、本発明のすべり軸受の他の実施
例を示す部分断面図である。図11では、O−リング4
から侵入してくる土砂等(例えば、ビッカース硬さ(H
v)=1000程度のSiO2 )に起因する摩耗作用に
よりボス1およびブラケット6の摩耗損傷を防ぐため
に、土砂等と同等あるいはそれ以上の硬さを有する耐摩
耗板22を配設している。この耐摩耗板22により、す
べり軸受組立体のトライボロジ特性のみならず、軸受自
体の強度向上およびガタの発生防止を図っている。
【0029】図12は、本発明のすべり軸受の更に別の
実施例を示す部分断面図である。図12では、多孔質複
合焼結合金ブッシュ9の端面部などの強度不足を補うた
めに、このブッシュ9とボス1の間に更に鉄鋼製(例え
ば、S45C焼入鋼)の高強度ブッシュ24を介在させ
ている。この高強度ブッシュ24の存在により、本発明
のすべり軸受を一層高い面圧下で使用することが可能に
なる。
【0030】本発明のすべり軸受は6Kgf/mm2
上の高面圧および1.0Kgf・m/mm2 ・s以上の
高PV値の条件下で使用するのに特に適する。本発明の
すべり軸受は例えば、掘削機械のフロント部品用軸受、
クレーンのアーム用軸受、ダム水門のローラゲイト軸
受、プレス金型の上下スライドカム軸受、水力発電水車
案内羽根軸受、海上クレーンアンローダピン軸受など、
低速、高面圧用途に特に適する。
【0031】無給脂軸受として多孔質含油軸受自体は公
知である。例えば、鋳成銅合金含油軸受、粉末焼結含油
軸受などが使用されてきた。しかし、従来の多孔質含油
軸受では、比較的低粘度の潤滑油が使用されており、高
面圧下では、軸とブッシュとの摺動による摩擦熱によ
り、潤滑油の粘度が一層低下することと、軸とブッシュ
との摺動運動とにより、相当量の潤滑油がブッシュおよ
び摺動面から早期に外部へ排出されてしまう。このた
め、潤滑油のロスが大きく、給脂間隔をある程度は長く
することはできるが、全く無給脂で数年以上の長期間に
わたって駆動させることはできない。また、従来の多孔
質含油軸受のPV値は1Kgf・m/mm2・s未満で
あるが、最近の掘削機械では高効率、高出力化に伴っ
て、そのフロント部のPV値は1Kgf・m/mm2
s以上で、摩擦係数(μ)が0.15以下であることが
強く望まれている。従来の低粘度潤滑油を含浸させた多
孔質含油軸受は、このような数値要件を満たす無給脂す
べり軸受組立体とはなり得ない。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
6Kgf/mm2 以上の高面圧を受ける使用環境下で、
数年間以上の長期間(例えば、5年間)にわたって無給
脂で摺動させることができるすべり軸受が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のすべり軸受の一例を備えたすべり軸受
組立体の一例の概要断面図である。
【図2】図1に示されたすべり軸受組立体における軸と
ブッシュとの摺動界面の部分拡大断面図である。
【図3】本発明のすべり軸受におけるブッシュに含浸さ
せる潤滑油の粘度の種類に応じた、面圧と摩擦係数の関
係を示す特性図である。
【図4】従来のグリース給脂型すべり軸受と本発明の高
粘度潤滑油含浸型すべり軸受のトライボロジ特性を比較
した特性図である。
【図5】本発明のすべり軸受を800時間にわたって連
続的に揺動運動させた際のブッシュの摩耗量を示す特性
図である。
【図6】本発明のすべり軸受を800時間にわたって連
続的に揺動運動させた際の軸の摩耗量を示す特性図であ
る。
【図7】黒色の高粘度潤滑物質の赤外線分光分析の結果
を示すチャート図であり、(a)は新品で未使用の潤滑
油のチャート図であり、(b)はこの潤滑油が含浸され
たブッシュと軸を100時間摺動させることにより生成
された黒色の高粘度潤滑物質のチャート図である。
【図8】黒色の高粘度潤滑物質から油状成分と固形物を
分離し、乾燥後に粉末にしてX線によって同定解析した
チャート図である。
【図9】黒色の高粘度潤滑物質の生成が確認されたすべ
り軸受を分解し、軸10とブッシュ9の摺動面の変化を
触針式の粗さ計で測定した結果の波形図であり、(a)
は軸10の表面粗さを示す波形図であり、(b)はブッ
シュ9の表面粗さを示す波形図である
【図10】本発明のすべり軸受の別の例の部分概要断面
図である。
【図11】本発明のすべり軸受の他の例の部分概要断面
図である。
【図12】本発明のすべり軸受の更に別の例の部分概要
断面図である。
【図13】従来のグリース給脂型すべり軸受を備えたす
べり軸受組立体の一例の概要断面図である。
【図14】従来の固体潤滑剤埋込型ブッシュの一例の部
分概要断面斜視図である。
【符号の説明】
1 ボス 2 従来の鉄製ブッシュ 3 ダストシール 4 O−リング 5 シム 6 ブラケット 8 回転係止ボルト 9 多孔質複合焼結合金ブッシュ 10 軸 12 遮油部材 14 気孔 16 高粘度潤滑油 18 油膜 20 クラウニング 22 耐摩耗板 24 高強度ブッシュ 30 グリース給脂孔 32 封止栓 34 グリース 36 黒鉛
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波多野 和好 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 (72)発明者 小笠原 学 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸を支持するブッシュを有し、前記ブッ
    シュは多孔質の鉄系焼結材からなるすべり軸受におい
    て、前記ブッシュは260cSt〜950cStの範囲
    内の粘度を有する潤滑油が含浸されていることを特徴と
    するすべり軸受。
  2. 【請求項2】 前記ブッシュは気孔率が5〜30%の、
    銅粉と鉄粉との複合焼結合金からなり、前記気孔は連通
    気孔であり、前記ブッシュは浸炭、窒化または浸硫窒化
    処理法により表面改質処理されている請求項1のすべり
    軸受。
  3. 【請求項3】 6Kgf/mm2 以上の面圧で使用され
    る請求項1のすべり軸受。
  4. 【請求項4】 6Kgf/mm2 以上の面圧および2〜
    5cm/秒の範囲内の摺動速度で使用される請求項3の
    すべり軸受。
  5. 【請求項5】 前記潤滑油はMoS2 ,WS2 ,六方晶
    形BNおよびグラファイトからなる群から選択される少
    なくとも1種類以上の、粒径が500μm以下の固体潤
    滑剤を更に含有する請求項1のすべり軸受。
  6. 【請求項6】 前記ブッシュの外周側壁面に遮油部材が
    当接されている請求項1のすべり軸受。
  7. 【請求項7】 前記遮油部材は軟質で、弾性を有し、吸
    油性の素材から形成されている請求項6のすべり軸受。
  8. 【請求項8】 前記遮油部材は不織布、織布、多孔質弾
    性プラスチック,海綿,石綿またはフエルトから形成さ
    れている請求項7のすべり軸受。
  9. 【請求項9】 前記ブッシュはクラウニング加工されて
    いる請求項1のすべり軸受。
  10. 【請求項10】 内周面にブッシュが配設されたボス
    と、ブラケットとを有し、前記ボスと前記ブラケットと
    の摺接面には、それぞれ高硬度の耐摩耗板が配設されて
    いる請求項1のすべり軸受。
  11. 【請求項11】 ボスを有し、該ボスの内周面には、半
    径方向外方寄りに高強度ブッシュが、更に半径方向内方
    寄りに多孔質複合焼結合金ブッシュが配設されている請
    求項1のすべり軸受。
  12. 【請求項12】 掘削機械のフロント部品用軸受として
    使用される請求項1のすべり軸受。
  13. 【請求項13】 クレーンのアーム用軸受として使用さ
    れる請求項1のすべり軸受。
  14. 【請求項14】 ダム水門のローラゲイト軸受として使
    用される請求項1のすべり軸受。
  15. 【請求項15】 プレス金型の上下スライドカム軸受と
    して使用される請求項1のすべり軸受。
  16. 【請求項16】 水力発電水車案内羽根軸受として使用
    される請求項1のすべり軸受。
  17. 【請求項17】 海上クレーンアンローダピン軸受とし
    て使用される請求項1のすべり軸受。
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