JPH1084970A - 新規転写調節因子 - Google Patents

新規転写調節因子

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JPH1084970A
JPH1084970A JP8307085A JP30708596A JPH1084970A JP H1084970 A JPH1084970 A JP H1084970A JP 8307085 A JP8307085 A JP 8307085A JP 30708596 A JP30708596 A JP 30708596A JP H1084970 A JPH1084970 A JP H1084970A
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JP
Japan
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dna
polypeptide
yeast
gene
amino acid
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Application number
JP8307085A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazutoshi Mori
和俊 森
Tetsushi Kawahara
哲史 川原
Hideki Yanagi
秀樹 柳
Takashi Yura
隆 由良
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
H S P KENKYUSHO KK
Original Assignee
H S P KENKYUSHO KK
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Publication date
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】小胞体ストレスによるGRP誘導の分子機構を
明らかにすることにより、酵母における有用外来タンパ
ク質の大量分泌発現を可能にする技術を確定すること。 【解決手段】配列表の配列番号:2又は3に記載のアミ
ノ酸配列、又はその一部であって、かつ、転写調節活性
を有するポリペプチドをコードするDNAを含有するD
NA、配列表の配列番号:1に記載の塩基配列、又はそ
の一部であって、かつ、転写調節活性を有するポリペプ
チドをコードするDNAを含有するDNA、前記DNA
によりコードされるポリペプチド、前記ポリペプチドと
特異的に結合する抗体又はその断片、前記DNAを破壊
したサッカロミセス セレビシエ変異株、前記DNA発
現ベクターで酵母を形質転換する酵母小胞体内腔の分子
シャペロン及びフォールディング酵素を制御する方法並
びに前記発現ベクターと外来タンパク質発現ベクターで
酵母を形質転換する外来タンパク質の発現方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規転写調節因子
に関する。詳しくは、該転写調節因子を用いた真核細胞
のストレス応答の制御方法及び外来タンパク質の発現方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ストレスタンパク質の中心をなすものは
熱ショックタンパク質(HSP)であるが、これ以外に
もグルコース調節タンパク質(GRP)と総称される一
群のタンパク質の存在が古くから知られている。酵母か
ら哺乳動物までの真核細胞において、グルコース調節タ
ンパク質はよく保存された形でいずれも小胞体の内腔に
存在し、分子シャペロンやフォールディング酵素として
小胞体内での分泌系タンパク質の折り畳み(フォールデ
ィング)に極めて重要な役割を果たしている。例えば、
酵母のKar2p(GRP78またはBiPとも呼ばれ
る、以下GRP78を用いる)は酵母では生命活動に必
須であり、哺乳動物細胞のGRP78とGRP94は抗
体や細胞膜レセプターのフォールディング過程に深く関
与しており、さらにラットを用いた実験では虚血などの
ストレスを受けたときにHSP70mRNAとともにG
RP78mRNAが誘導されることが報告されている。
このように臨床的にも重要な分子であると考えられてい
るが、熱ショックタンパク質(HSP)に代表される細
胞質のストレスタンパク質に比べて小胞体内のストレス
タンパク質(分子シャペロンやフォールディング酵素)
の研究は大きく立ち遅れているのが現状である。
【0003】HSPが熱ショックによって誘導されるの
に対し、GRPは熱ショックによっては誘導されず、細
胞が様々なストレス、例えば、グルコース飢餓、タンパ
ク質のグリコシル化阻害剤であるツニカマイシン(T
M)、カルシウムイオノフォアA23187、カルシウ
ムキレート剤または還元剤等により小胞体内に正常な立
体構造をとれないタンパク質(アンフォールドタンパク
質)が蓄積することによって転写レベルで誘導されるこ
とから、GRPのストレス応答過程とHSPの応答過程
とは別系統であると考えられる。しかしながら、GRP
の発現誘導機構の解析はHSPに比べて大きく遅れてお
り、小胞体から核へのストレスシグナルの伝達経路およ
びGRP遺伝子の転写制御配列や転写調節因子について
はほとんど解明されていない。
【0004】サッカロミセス セレビシエ(Saccharomy
ces cerevisiae)では、ストレスにより小胞体内にアン
フォールドタンパク質が蓄積すると、小胞体に存在する
Ern1pを介して情報が小胞体内腔から細胞質側、さ
らに核へ伝わり、転写調節因子(UPRF)が活性化さ
れ、最終的にGRP78等小胞体内ストレスタンパク質
遺伝子の転写が誘導されることがこれまでに明らかにな
った(Mori,K.et al.,Cell 74,743-756(1993))。また、
酵母GRP78遺伝子のプローモーター上に小胞体スト
レスに応答するシス配列(UPRE)も同定された(Mo
ri,K.et al.,EMBO J.11,2583-2593(1992):Kohno,K.et a
l.,Mol.Cell.Biol.13,877-890(1993))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】新規に合成された分泌
タンパク質や膜タンパク質は、小胞体内でペプチド鎖の
折り畳みやサブユニットの会合によるオリゴマータンパ
ク質の形成、ジスルフィド結合の形成により機能を持つ
タンパク質となり、ゴルジ体へ輸送される。小胞体での
このようなタンパク質の高次構造の形成は、小胞体内腔
の分子シャペロン及びフォールディング酵素の介在によ
り迅速かつ正確に進行すると考えられている。一方、組
換えDNAにより有用外来タンパク質を宿主で分泌発現
させるとき、大量の外来タンパク質に対応するには小胞
体内の分子シャペロンあるいはフォールディング酵素が
不足し、正しい高次構造の形成ができずに小胞体内で分
解されたり蓄積することにより、目的のタンパク質を期
待通りに高レベルに発現させることができないことが多
かった。GRPを構成する分子シャペロン及びフォール
ディング酵素を量的に調節する技術は、有用外来タンパ
ク質の大量分泌発現を可能にする重要な技術である。
【0006】従って、小胞体内にアンフォールドタンパ
ク質の蓄積を引き起こす、いわゆる小胞体ストレスによ
るGRP誘導の分子機構を明らかにすることにより、有
用外来タンパク質の大量分泌発現を可能にする技術を確
定することが求められる。本発明の第1の目的は、配列
表の配列番号:2又は3に記載のアミノ酸配列、又はそ
の一部であって、かつ、転写調節活性を有するポリペプ
チドをコードするDNAを含有するDNAを提供するこ
とである。そして、本発明の第2の目的は、該DNAを
破壊したサッカロミセス セレビシエ変異株であるer
n4Δを提供することである。さらに、本発明の第3の
目的は、該DNAを含む発現ベクターで酵母を形質転換
することにより酵母小胞体内の分子シャペロン及びフォ
ールディング酵素を制御する方法、ならびに、該DNA
を含む発現ベクターと外来タンパク質発現ベクターで酵
母を形質転換することにより外来タンパク質を発現させ
る方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはサ
ッカロミセス セレビシエを用いた解析においては遺伝
学的手法を駆使できることを利用して鋭意検討を重ね、
まずGRP遺伝子プロモーター上の小胞体ストレスに応
答するシス配列(UPRE)について詳細に解析し、こ
の知見をもとに小胞体ストレスタンパク質の誘導にかか
わる新規転写調節因子(UPRF)遺伝子(ERN4と
命名)のクローニングに成功し、本発明を完成するに至
ったものである。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、(1) 配列
表の配列番号:2に記載のアミノ酸配列、又はその一部
であって、かつ、転写調節活性を有するポリペプチドを
コードするDNAを含有するDNA、(2) 配列表の
配列番号:3に記載のアミノ酸配列、又はその一部であ
って、かつ、転写調節活性を有するポリペプチドをコー
ドするDNAを含有するDNA、(3) 配列表の配列
番号:1に記載の塩基配列、又はその一部であって、か
つ、転写調節活性を有するポリペプチドをコードするD
NAを含有する前記(1)又は(2)記載のDNA、
(4) 配列表の配列番号:2に記載のアミノ酸配列、
又はその一部からなるアミノ酸配列において、1又は2
以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換の少な
くとも1つを生じさせ、かつ、転写調節活性を有するポ
リペプチドをコードするDNA、(5) 配列表の配列
番号:3に記載のアミノ酸配列、又はその一部からなる
アミノ酸配列において、1又は2以上のアミノ酸残基の
欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも1つを生じさ
せ、かつ、転写調節活性を有するポリペプチドをコード
するDNA、(6) 前記(1)〜(5)いずれか記載
のDNAにハイブリダイズ可能なDNAであって、か
つ、転写調節活性又はその機能的に同等の活性を有する
ポリペプチドをコードするDNA、(7) DNAがサ
ッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisia
e)の転写調節因子遺伝子ERN4、又はその変異遺伝
子である前記(1)〜(6)いずれか記載のDNA、
(8) 前記(1)〜(7)いずれか記載のDNAによ
りコードされるポリペプチド、(9) 酵母内で機能す
る転写調節因子の転写活性化ドメインと前記(8)記載
のポリペプチドとの融合タンパク質、(10) 転写活
性化ドメインがサッカロミセス セレビシエの転写調節
因子Gal4pの転写活性化ドメインGal4p(a
d)である前記(9)記載の融合タンパク質、(11)
前記(9)又は(10)記載の融合タンパク質をコー
ドするDNA、(12) 前記(1)〜(7)又は(1
1)いずれか記載のDNAを含有する組換えDNA、
(13) 前記(12)記載の組換えDNAを含有する
発現ベクター、(14) 前記(8)記載のポリペプチ
ド又は前記(9)もしくは(10)記載の融合タンパク
質と特異的に結合する抗体又はその断片、(15) E
RN4遺伝子を破壊したサッカロミセス セレビシエ変
異株であるern4Δ、(16) 前記(13)記載の
発現ベクターで酵母を形質転換することを特徴とする酵
母小胞体内腔の分子シャペロン及びフォールディング酵
素を制御する方法、(17) 酵母がERN4遺伝子を
破壊した変異株ern4Δである前記(16)記載の制
御方法、(18) 前記(13)記載の発現ベクターと
外来タンパク質発現ベクターで酵母を形質転換すること
を特徴とする外来タンパク質の発現方法、(19) 酵
母がERN4遺伝子を破壊した変異株ern4Δである
前記(18)記載の外来タンパク質の発現方法、に関す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の転写調節活性を有するポ
リペプチドをコードするDNAとは、DNAからmRN
Aへの転写を活性化させたり、または抑制する活性を有
するポリペプチドをコードするDNAであれば特に限定
されないが、例えば、配列表の配列番号:2又は3に記
載のアミノ酸配列、又はその一部をコードするDNAで
あり、配列表の配列番号:1に記載の塩基配列、又はそ
の一部を有するDNAである。また、配列表の配列番
号:2又は3に記載のアミノ酸配列、又はその一部から
なるアミノ酸配列において、1又は2以上のアミノ酸残
基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも1つを生じ
させるポリペプチドをコードするDNAでも構わない。
さらに、これらのDNAにハイブリダイズ可能なDNA
も本発明のDNAに含まれる。具体的には、サッカロミ
セス セレビシエの転写調節因子遺伝子ERN4、又は
その変異遺伝子が挙げられる。
【0010】本発明のポリペプチドは、前記記載のDN
Aによりコードされ、転写調節活性を有するポリペプチ
ドであれば特に限定されるものではなく、酵母内で機能
する転写調節因子の転写活性化ドメイン(ad)と該ポ
リペプチドとの融合タンパク質も含まれる。転写活性化
ドメインとしては、サッカロミセス セレビシエの転写
調節因子Gal4pに由来するGal4p(ad)等が
好適である。
【0011】本発明の組換えDNAは、前記記載の融合
タンパク質をコードするDNAをも含めた本発明の転写
調節活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含
有するものである。
【0012】本発明の発現ベクターとは、本発明の組換
えDNAを含有し、目的の宿主に導入され所望のタンパ
ク質を発現するものであれば、特に限定されない。
【0013】本発明のポリペプチドと特異的に結合する
抗体は、例えば常法(Current Protocols in Immunolog
y (Coligan,J.E.et al.eds)2.4.1-2.4.7,John Wiley &
Sons,New York(1991))に従って該ポリペプチドを抗原と
してウサギ等に免疫した後、採血して抗血清として得る
ことができる。さらに、該ポリペプチドを抗原として、
常法(Cell & Tissue Culture;Laboratory Procedure(D
oyle,A.et al.,eds)25A:1-25C:4,John Wiley & Sons,Ne
w York(1994)) に従ってモノクローナル抗体として得る
こともできる。これらの抗体を精製後、プロテアーゼ消
化により生じた断片も本発明の抗体に含まれる。
【0014】本発明において、小胞体内腔の分子シャペ
ロンとは、標的タンパク質の折り畳みされていないまた
は一部折り畳みされた領域を一時的に安定化させ、不適
当な分子内または分子間の相互作用の形成を防止するも
ので、サッカロミセス セレビシエでは、GRP78
(大腸菌のDnaKホモログ)とScjlp(大腸菌の
DnaJホモログ)等が挙げられる。
【0015】フォールディング酵素とは、ある種のタン
パク質の折り畳みの速度を限定する特異的な異性化を触
媒するアクセサリータンパク質の一群である。サッカロ
ミセス セレビシエでは、Pdilp(ジスルフィド結
合の形成促進)、Euglp(PDI〔プロテインジス
ルフィドイソメラーゼ〕1破壊株のマルチコピーサプレ
ッサー)、Fkb2p(プロリンのシス−トランス異性
化酵素)等が挙げられる。
【0016】サッカロミセス セレビシエの小胞体内ス
トレスタンパク質の誘導機構についてこれまでに明らか
になっていることは、次の3点である。 i)誘導されるタンパク質は、分子シャペロンとして機
能すると考えられるGRP78とScjlpおよびフォ
ールディング酵素であるPdilp、Euglp、Fk
b2pの計5種類であること。 ii) ストレスにより小胞体内にアンフォールドタンパク
質が蓄積すると、小胞体に存在する膜貫通型糖タンパク
質であるErnlpが活性化され、情報が細胞質側に伝
達される(小胞体内の変化がErnlpの二量体化を促
進し、その結果Ernlpの細胞質側に存在するリン酸
化酵素領域が活性化されて細胞質に存在する基質がリン
酸化される)こと。 iii) 細胞質側に伝えられた情報は何らかの機構により
核へ伝わり、転写調節因子UPRFが活性化され、誘導
される遺伝子のプロモーター上に存在するシス配列UP
REを介して転写誘導が起こること。UPREはGRP
78遺伝子のプロモーター上に存在し、誘導に関し必要
十分条件として機能する22bpの配列として同定され
ている(図1)。
【0017】(1)転写調節因子UPRFのクローニン
グ そこでまずUPREに関する詳細な構造活性相関を明ら
かにし、この情報をもとに、酵母を用いて転写調節因子
等のDNA結合タンパク質を遺伝学的にクローニングす
る方法であるワン−ハイブリッド(One−Hybri
d)法により、UPRFをクローニングする。
【0018】シス配列UPREの解析 レポータープラスミドは、酵母でよく用いられるCYC
1−lacZ(チトクロームCイソフォーム1プロモー
ターにβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を結合したもの)発
現プラスミドpLGΔ−178(Guarente,L.and Maso
n,T. Cell 32,1279-1286(1983))を改良して使用する。
野生型(Yと命名)のUPREをCYC1−lacZの
上流に挿入し、酵母細胞に形質転換により導入する。ス
トレスとしてツニカマイシン(TM)を5μg/mlの
濃度で添加して3時間培養する。ツニカマイシンは小胞
体内での新生タンパク質への糖鎖の付加過程を阻害する
ことにより、折り畳み構造の異常なタンパク質を蓄積さ
せ小胞体ストレスを惹起することが知られている。レポ
ータープラスミドが導入された形質転換体をストレス存
在下あるいは非存在下で培養し、細胞内で発現している
β−ガラクトシダーゼ活性を測定する。
【0019】次に、UPREに関する詳細な構造活性相
関を知る目的で、22bpのUPRE配列のうち19の
塩基について点変異体を作製し、それらの活性を野生型
Yの場合と同様に測定する(図1)。その結果、10〜
12番目のCAGと14〜16番目のGTGに変異を導
入すると、ストレスを与えてもβ−ガラクトシダーゼ活
性の上昇があまり見られなくなり、UPREとしての活
性がほとんど失われる。CAG−GTGという配列はい
わゆるEボックス(CANNTG)コンセンサス配列と
同じであることから、塩基性アミノ酸に富んだ領域をD
NA結合ドメインとして持つ転写調節因子がこの部分に
結合する可能性が高いと考えられる。CAGとGTGの
間の13番目のCをG、A、Tにそれぞれ置換させる
と、β−ガクトシダーゼ活性は低下する。また、CAG
とGTGの間のスペーシングを0にすると活性は7%程
度になり、逆にCを挿入することによりスペーシングを
2以上にすると活性は完全に消失する(図2)。したが
って、CAGとGTGの間にCが1個だけ存在すること
がUPREの活性に極めて重要である。
【0020】また、この領域は部分的にパリンドローム
構造になっている。表1に示すように、野生型Yでは4
bpからなるパリンドロームである。12番目のGをC
に置換したり(12C)、19番目のGをCに置換した
り(19C)、さらに、両方置換して7bpからなる完
全なパリンドロームにする(UY)。これらの変異とβ
−ガラクトシダーゼ活性の相関を、ストレス存在下、非
存在下で調べる。UYは、野生型Yの約2倍の活性を示
し、UPRFは、パリンドロームを認識すると推定され
る。
【0021】さらに、UPREの2〜4番目のGAAの
部分も活性に重要な働きをしており、この部分に変異が
導入されると誘導活性がかなり低下する(図1)。以上
の結果から、UPREには2〜4番目のGAA、10〜
12番目のCAGおよび14〜16番目のGTGを中心
に認識する3つの転写調節因子が結合し、このうち10
〜16番目のCGCCGTG部分には塩基性アミノ酸に
富んだ領域をDNA結合ドメインとして持つ転写調節因
子がホモあるいはヘテロダイマーとして結合する可能性
が高いと推定される。
【0022】UPRFのクローニング UPREに関する情報をもとに、まずCAGCGTGに
結合するタンパク質をコードする遺伝子をクローニング
する手法としてワン−ハイブリッド法を選択する。ワン
−ハイブリッド法とは、酵母の転写調節因子Gal4p
の転写活性化ドメイン(ad)との融合タンパク質を用
いて、酵母内でのレポーター遺伝子の活性化を指標とし
てDNA結合タンパク質をクローニングする方法であ
る。すなわち、レポーターの上流にUPRFが認識する
配列UPREを挿入しておけば、UPRFがGal4p
の転写活性化ドメインと融合タンパク質を形成した場
合、この融合タンパク質はレポーター遺伝子の転写をス
トレスにかかわりなく構成的に活性化すると考えられ
る。レポーター遺伝子として酵母HIS3を用いれば、
目的の融合タンパク質を発現した細胞は培地中にヒスチ
ジンが無くても生育することができ、さらにHIS3の
発現量が高ければ、3-アミノトリアゾール(HIS3遺
伝子産物の拮抗的阻害剤) に対し抵抗性を獲得すること
ができる。ただし得られたクローンの中にはUPREに
特異的ではなく、もっと一般的に転写を促進するものも
含まれていると思われる。これらをスクリーニングの早
い段階で排除するため、もう一つのネガティブなレポー
ターとしてlacZを用い、その上流にUPRFが認識
しない変異体のシス配列UPREを挿入しておく。目的
とするクローンはHIS3の転写を促進し薬物抵抗性を
細胞に与えるがlacZの転写は促進せず、細胞内のβ
- ガラクトシダーゼ活性は低いままであるという表現型
を示すことが期待される。
【0023】図3に示すように、ポジティブなレポータ
ーとしてUPRE(UY)−PERN1−HIS3、ネガテ
ィブなレポーターとしてUPRE(Tv10)−PERNI
−lacZを1つのプラスミド内に構築し(pRCE4
と命名)、URA3遺伝子を用いた相同的組み換えによ
り宿主細胞のERN1破壊株(ern1Δ)の染色体中
に組み込む。ERN1破壊株では小胞体から核への情報
伝達経路が遮断されているため、融合タンパク質が小胞
体内へ移行して小胞体ストレスとなった場合でも内在性
のUPRFを活性化することはなく、バックグラウンド
を低く押さえることができる。UPRFはUPRE(U
Y)には野生型のYよりも強く結合するが、UPRE
(Tv10)にはほとんど結合しない。プロモーターと
しては基礎転写活性の低いERN1の上流約300bp
(PERNI) を用いる。得られた形質転換体をスクリーニ
ングし、ura3−52遺伝子座に組み込まれたpRC
E4を1コピー有するYHCE4株を得る。
【0024】米国ヒューストンのエリッジ博士(Dr.
Elledge)によって作製された酵母のcDNAラ
イブラリーを入手し、図4のpACTベクターのGal
4p(ad)をコードするDNAの下流に該cDNAを
挿入したプラスミドでYHCE4株を形質転換し、Hi
+ とβ−ガラクトシダーゼ活性の二重スクリーニング
及びシークエンスにより、目的のcDNAを単離する。
【0025】つぎに、この遺伝子がコードするタンパク
質のDNA結合特異性が図1、2および表1で示した内
在性のUPRFの特異性と一致するかどうかを調べる。
Gal4p(ad)とこの遺伝子産物との融合タンパク
質を発現するpACTベクターと、種々のUPREをC
YC1−lacZの上流に持つレポーター遺伝子とを共
に酵母細胞に導入し、構成的に発現されたβ−ガラクト
シダーゼ活性を測定する(図5)。この遺伝子産物のU
PRE特異的結合性はUPRFとしての期待されるもの
とよく一致する。
【0026】このUPRE結合性を示す遺伝子産物であ
るErn4pは、配列番号:2記載の230個のアミノ
酸からなり、図4に示すようにN末端側に塩基性領域−
ロイシンジッパー構造を有する転写調節因子であると考
えられ、活性の面でも構造の面でもUPRFとして期待
されるものとよく一致していることから、この遺伝子を
ERN4と名付ける。
【0027】pACTライブラリーから単離したERN
4cDNAを使用して、マルチコピー酵母ベクターであ
るYEp13上に構築された酵母のゲノムライブラリー
(ATCC37323;Nasmyth,K.A. and Reed,S.I.,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 77,2119-2123(1980))をスクリ
ーニングすることによりゲノムERN4DNAを得る。
得られたクローンをDNAシークエンサーで合成オリゴ
ヌクレオチドプライマーを使用して、タンパク質をコー
ドする領域の配列を決定する。配列番号:1記載のER
N4遺伝子は、塩基番号1037番目のATGから翻訳
を開始し、1727番目のTGAの終止コドンで翻訳を
終了する。配列番号:1記載の全ERN4遺伝子を含む
2.5kbのBamHI−EcoNI断片をYCp−L
2に接続し、YCp−ERN4を作製する。YCp−L
2は、LEU2選択マーカーを含むCEN4−ARS1
ベースのシングルコピーの酵母ベクターであり、pSB
32(Rose,M.D.and Broach,J.R.,Meth.Enzymol.194,19
5-230(1991)) の0.53kbのHindIII −Sph
I断片をpUC119のマルチクローニング部位に置換
することにより構築する。YCp−ERN1は、公知の
pERN1BCと同一である(Mori,K.et al,Cell 74,7
43-756(1993))。
【0028】(2)ERN4破壊サッカロミセス セレ
ビシエ変異株(ern4△)の作製 染色体上のERN1及びERN4遺伝子を公知の方法に
より破壊する(Rothstein,R.,Meth.Enzymol.194,281-30
1(1991))。ERN1の中央のSalI−SacI断片
(アミノ酸配列1−747に相当)又はERN4の中央
のSpeI−MfeI断片(アミノ酸配列11−215
に相当)を酵母TRP1遺伝子に置換することにより、
それぞれpKOE1TRP又はpKOE4TRPを作製
する。該プラスミドを直鎖状にし、SEC+ 及びsec
53ハプロイド細胞を形質転換後、Trp+ の形質転換
体を単離し、適当なプローブを用いてサザン分析により
破壊を確認する。1段階の相同的組換えによりERN4
破壊株の作製を試みたところ、ハプロイド細胞でも破壊
株を得ることができたことからERN4は必須遺伝子で
はないことがわかる。
【0029】つぎに、ハプロイド細胞を用いてERN4
破壊株でストレスによるリポーター遺伝子の活性化が起
こるかどうかを調べる。図6に示すように、野生株(E
RN+ )ではツニカマイシン添加によりUPRE(Y)
−CYC1−lacZレポーター遺伝子から発現される
β−ガラクトシダーゼ活性が約10倍誘導されるのに対
し、ERN1破壊株(ernl△)の場合と同様に、E
RN4破壊株(ern4△)でも全く誘導が見られな
い。また、ERN1はイノシトール要求性変異株を相補
する遺伝子として単離されたIRE1と同一のものであ
り、ERN1破壊株は、至適な生育のためにイノシトー
ル要求性を示す。そこで、600nmにおける吸光度
(A600 )が0.1になるように水で希釈した細胞懸濁
液をイノシトールを含まない培地上にスポットして調べ
たところ、ERN4破壊株もシノシトール要求性を示す
(図6)。
【0030】さらに、ERN4破壊株で失われたβ−ガ
ラクトシダーゼ誘導活性が本当にERN4によるものか
どうか確かめるため、前述のERN4をシングルコピー
ベクターに入れたプラスミドYCp−ERN4をERN
4破壊株に導入する。野生株(ERN+ )にシングルコ
ピーベクターのみのYCp−Vを導入したものを対照と
すると、ERN4破壊株(ern4Δ)にYCp−Vを
導入しても全く変化が見られないが、ERN4破壊株に
YCp−ERN4を導入すると誘導活性は野生株のレベ
ルまで完全に回復する(図7)。ERN4破壊株の示す
イノシトール要求性も、YCp−ERN4により完全に
相補される。よって、ERN4の産物(Ern4p)が
UPRFを構成する転写調節因子である。また、ERN
4破壊株にERN1をマルチコピーで導入しても(YE
p−ERN1)、誘導活性もイノシトール要求性も回復
しない(図7)。
【0031】一方、ERN1破壊株(ernl△)で失
われた誘導活性は、シングルコピーベクターに入れたE
RN1遺伝子YCp−ERN1により完全に回復する
(図7)。ERN1破壊株にERN4をマルチコピーで
導入すると、(YEp−ERN4)、誘導活性の方は全
く回復されないのに対し(図7)、イノシトール要求性
の方は完全ではないが回復し、イノシトール要求性に関
しては、ERN4がERN1破壊株のマルチコピーサプ
レッサーとして機能することがわかる。誘導活性の消失
はイノシトール要求性をいつも伴っているが、細かいと
ころでの機構はかなり異なっていると考えられる。
【0032】(3)GAL4(ad)−ERN4遺伝子
によるアンフォールドタンパク質応答過程の構成的な活
性化 SEC+ のERN+ 、ern1Δ及びern4Δ株に、
pACTベクターのみまたはERN4をGAL4(a
d)にフレームを合わせた遺伝子を含むpACT発現ベ
クターと、種々のUAS(上流の活性化配列)を挿入し
たpSCZレポータープラスミドとを共に導入し、得ら
れる形質転換体をストレス処理をせずにCYC1−la
cZ遺伝子より発現したβ−ガラクトシダーゼの活性を
測定する(図5)。また、イムノブロッティング法によ
りそれぞれの形質転換体の培養物から抽出した総タンパ
ク質(50μg)中のKar2p(GRP78)とPd
i1pの量を決定する(図5)。GAL4(ad)−E
RN4遺伝子を発現させることにより、UPRE(Y)
及びUPRE(UY)を上流にもつβ−ガラクトシダー
ゼがストレス非存在下でも活性化され、Kar2p(G
RP78)とPdi1pの発現も誘導される。
【0033】(4)ERN4遺伝子産物の小胞体から核
へのシグナル伝達のための必要性 シングルコピーのUPRE(Y)−CYC1−lacZ
レポーター遺伝子を有するSEC+ のERN+ 株、er
n1Δ株及びern4Δ株を、ツニカマイシン(5μg
/ml)の存在下、非存在下で3時間インキュベート
し、β−ガラクトシダーゼ活性を測定する(図6)。培
養物の2μlをイノシトールを含むまたは含まないSC
(−Ura)プレート上にスポットし、2日間30℃で
インキュベートすると、2つの変異株(ern1Δ及び
ern4Δ株)がイノシトール要求性を示す(図6)。
【0034】次に、sec53のERN+ 、ern1Δ
及びern4Δ株を23℃(許容温度)で培養し、対数
増殖期の一部を1時間23℃(小胞体内のアンフォール
ドタンパク質の蓄積なし(−))または小胞体内にアン
フォールドタンパク質が蓄積(+)する30℃(半−非
許容温度)で培養し、全RNAを抽出する。KAR2
(GRP78)、SCJ1、PDI1、EUG1、FK
B2、lacZ及びACT1(酵母アクチン)に特異的
なDNAプローブを用いて、ノーザンハイブリダイゼー
ション法により分析する(図8)。ERN+ 株では、小
胞体内のアンフォールドタンパク質の蓄積によりKAR
2(GRP78)、SCJ1、PDI1、EUG1及び
FKB2のRNAの転写が誘導されたのに比べ、ern
1Δ及びern4Δ株ではこれらのRNAの転写は誘導
されない。
【0035】(5)小胞体ストレスに対する防御におけ
るERN4遺伝子の欠失の影響 シングルコピーのUPRE(Y)−CYC1−lacZ
レポーター遺伝子及びシングルコピーの(YCp)発現
プラスミドを有するsec53のERN+ 株、ern1
Δ株及びern4Δ株を、SC(−Ura,Leu)培
地中23℃で一晩培養し、培養物をOD600 が約0.2
になるように希釈し、さらに30℃でインキュベートす
る。0〜10時間の2時間ごとにβ−ガラクトシダーゼ
活性と生存細胞の比率を測定する(図9)。次に、2時
間ごとに採取した試料由来の総タンパク質の10μgを
用いて、イムノブロッティング法によりKar2p及び
Pdi1pを検出する(図10)。ern4Δ株では、
外来性のErn4pを発現させることにより、小胞体ス
トレスから細胞を防御できる。
【0036】(6)Ern4p−融合タンパク質の発
現、精製及びUPREへの特異的結合 ERN4の0.8kbのSpeI−HindIII 断片(
アミノ酸配列10−230に相当)を、プラスミドpG
EX−2TK(ファルマシア社製)上のグルタチオンS
−トランスフェラーゼをコードする塩基配列、又はプラ
スミドpMAL−c2(ニューイングランドバイオラブ
ズ社製)上のマルトース結合タンパク質をコードする塩
基配列の3' 末端にフレームを合わせて融合させ、それ
ぞれGST−Ern4p、MBP−Ern4pを発現さ
せる。両融合タンパク質は、1mMのイソプロピルβ−
D−チオガラクトピラノシドで誘導させると、大腸菌で
効率よく発現し、アフィニティークロマトグラフィーに
より精製する。
【0037】UPRE(Y,Tv10,UY及びTv2
34(UPREの2〜4番目の三重変異体))並びにC
REをコードする二本鎖の合成オリゴヌクレオチドの5
' 及び3' 両末端を、DNAポリメラーゼIのKlen
ow断片と[ α−32P] dATPを用いて放射標識し、
8%ポリアクリルアミドゲルの電気泳動により精製す
る。0.25〜0.3ngの放射標識プローブ(8,0
00〜10,000cpm)、1μgのポリ(dI−d
C):ポリ(dI−dC)(ファルマシア社製)及び1
μgの変性サケ精子DNAを含む結合緩衝液中に精製し
たMBP−Ern4p(0.1μg)又はGST−Er
n4p(0.5μg)を添加することにより、結合反応
を開始する。5倍量のGST−Ern4pを用いたの
は、GST−Ern4pが凝集してゲルの上部に留まる
傾向があるからである。20μlの最終容量で4℃で1
0分間インキュベーション後、試料を0.5%のフィコ
ールを含む5% ポリアクリルアミドゲルで非変性条件
下で電気泳動を行い、ゲルを乾燥させ、X線フィルムに
曝す(図11)。精製したMBP−Ern4pとGST
−Ern4pは、両方ともUPRE(Y)およびUPR
E(UY)に特異的に結合する。
【0038】(7)Ern4p発現ベクターで形質転換
することによる酵母小胞体内分子シャペロン及びフォー
ルディング酵素の制御方法 Ern4p又は酵母内で機能する転写調節因子の転写活
性化ドメインとErn4pとの融合タンパク質を発現す
るように、これらをコードするDNAをErn4p遺伝
子自身のプロモーターや他の適当なプロモーターの下流
に連結した発現プラスミドを構築する。酵母宿主用ベク
ターとしては、1コピーで染色体に組み込まれるYIp
型プラスミド、酵母内でプラスミドとして1コピーで維
持されるYCp型プラスミド、多コピーで維持されるY
Ep型プラスミドやYRp型プラスミドが利用できる。
また、プロモーターとしては、ERN4遺伝子自身のプ
ロモーターのほかADH1、ENO1、PGK1、GA
PDH、GAL1、GAL10、GAL7、PHO5等
のプロモーターから選択して用いることができる。AD
H1、ENO1、PGK1及びGAPDHプロモーター
を用いることにより構成的な発現が、GAL1、GAL
10及びGAL7プロモーターを用いることによりガラ
クトースによる発現の誘導が、またPHO5プロモータ
ーでは無機リン酸による発現の抑制が可能である。酵
母、好ましくはern4Δ株をこのようなErn4p発
現ベクターで形質転換することにより、酵母内Ern4
p量を人為的に調節することができる。このとき発現し
たErn4pは小胞体ストレスに応答して、小胞体内分
子シャペロン及びフォールディング酵素をコードする遺
伝子の転写を誘導する。一方、他の転写調節因子の転写
活性化ドメインとErn4pとの融合タンパク質は構成
的に転写活性を有し、該融合タンパク質の発現ベクター
で形質転換された酵母では、発現した該融合タンパク質
の量に依存して小胞体内分子シャペロン及びフォールデ
ィング酵素の遺伝子が転写される。このとき、宿主酵母
としてはern4Δ株である必要性はない。
【0039】(8)Ern4p発現ベクターを用いた外
来タンパク質の発現方法 外来タンパク質発現ベクターは、YIp型、YCp型、
YEp型あるいはYRp型プラスミドを用い、ADH
1、ENO1、PGK1、GAPDH、GAL1、GA
L10、GAL7、PHO5等のプロモーターの下流に
目的の外来タンパク質をコードする遺伝子を連結して構
築する。外来タンパク質を分泌発現させるため、SUC
2、PHO5、MFα1あるいは異種遺伝子由来のシグ
ナルペプチドをN末端に付加するように作製した外来タ
ンパク質遺伝子を用いる。このように作製した外来タン
パク質発現ベクターを、Ern4p発現ベクター又は酵
母内で機能する転写調節因子の転写活性化ドメインとE
rn4pとの融合タンパク質の発現ベクターともに酵母
に導入し、共形質転換体を得る。次いで、通常行われる
方法により該共形質転換体を培養し、必要に応じて発現
の誘導を行い、外来タンパク質を生産する。
【0040】(9)Ern4p活性化機構の解析 本発明のErn4pは、配列番号:2に記載の230ア
ミノ酸残基からなるポリペプチドであり、該配列中にU
PREに特異的に結合する領域(塩基性領域、図4参
照)は存在するが、転写調節活性化領域と考えられる領
域は認められない。そこで、Ern4p自身の活性化機
構を解析する。
【0041】第1に、ノーザンブロッティング法によ
り、ERN4遺伝子転写産物の解析を行う。ツニカマイ
シン処理したサッカロミセス セレビシエの細胞株か
ら、一定時間毎に全RNAを抽出し、電気泳動に付した
後、ニトロセルロースメンブレン上にブロッティング
し、ERN4、KAR2及びPDI1に特異的なプロー
ブを用いてハイブリダイズすることにより、ERN4遺
伝子転写産物の検出を行う。なお、内部標準として、A
CT1(酵母アクチン)に特異的なプローブを用いる。
ツニカマイシン処理前の定常的に見られる1.4kbの
バンドは、ツニカマイシン処理後、速やかに減少し、新
たに2つの短いバンド(1.2kb及び0.7kb)が
生じる(図12)。さらに、この現象は、KAR2及び
PDI1遺伝子の発現誘導前に始まる(図13)ことや
ern1Δ株では見られない(図12)ことから、スト
レス特異的なERN4遺伝子の転写後における調節機構
の存在が示唆される。
【0042】第2に、RT−PCR法により、短鎖転写
産物の解析を行う。前記全RNAより、オリゴ−dTプ
ライマーを用いて合成したcDNAを鋳型とし、ERN
4遺伝子内部の領域から、種々のプライマーを設計し
(図14)、RT−PCRを行う(図15)。5' 非翻
訳領域のプライマーと3' 非翻訳領域のプライマーを用
いた場合、ツニカマイシン処理したcDNA由来のPC
R増幅産物中にのみ、予想される長さのバンドに加え、
それより約250bp短いバンドが見られる。この長さ
の差は、前記ノーザンブロッティングによる解析結果の
1.4kbから1.2kbへの変化に由来するものと考
えられる。該バンドをクローニングし、塩基配列を決定
する。その結果、図14のプライマーfとプライマーo
の間に欠失が見出され、サッカロミセス セレビシエで
は頻度が少ないが、スプライシングにより、該欠失が生
じていることが示唆される。スプライシングの結果、新
しいオープンリーディングフレーム(ORF)が現れ、
前記230アミノ酸残基からなるErn4pとは221
位以降のアミノ酸配列が異なる、238アミノ酸残基か
らなるポリペプチド(配列番号:3)が生じる(図1
6)。
【0043】第3に、前記欠失が見出された領域(イン
トロンに相当)又は欠失していない領域(エキソンに相
当)に特異的にハイブリダイズする5種類のオリゴヌク
レオチドプローブを合成し(図16)、ノーザンブロッ
ティング解析を行う(図17)。イントロンの領域とハ
イブリダイズするプローブは、ツニカマイシン処理によ
るストレスにより誘導される1.2kbのバンドとはハ
イブリダイズしないことから、1.4kbから1.2k
bへのバンドの変化は、実際に約250塩基がスプライ
シングにより取り除かれた結果生じる現象であると結論
される。図16の3' 側のプローブとハイブリダイズし
ない0.7kbのバンドは、5' 側エキソンと予想され
る。
【0044】第4に、新規ORF由来のポリペプチド
(配列番号:3)の転写調節活性能を調べる。ERN4
遺伝子本来のプロモーターを用い、イントロンを除いた
新規ORF由来のポリペプチドが発現するように、前記
シングルコピーベクター上にDNAを構築し、レポータ
ー遺伝子(UPRE(Y)−CYC1−lacZ)とと
もに、ern4Δ株に導入して、前記のように、β−ガ
ラクトシダーゼ誘導活性を調べる(図18)。新規OR
F由来のポリペプチドは、ストレスのない状態でもβ−
ガラクトシダーゼ誘導活性があることから、このポリペ
プチドこそが、転写調節活性化能を有するErn4pで
あり、以下活性型Ern4pと称する。Ern4pの活
性は、ストレス特異的なスプライシングにより調節を受
けていることが示唆される。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定
されるものではない。
【0046】菌株及び微生物学的技法 本明細書で用いたサッカロミセス セレビシエの菌株
は、以下の通りである:KMY1005(MATα l
eu2−3,112 ura3−52 his3−Δ2
00 trp1−Δ901 lys2−801);KM
Y1015(KMY1005 ern1Δ::TRP
1);KMY1045(KMY1005 ern4
Δ::TRP1);KMY2005(MATα leu
2−3,112ura3−52 his3−Δ200
trp1−Δ901 lys2−801sec53−
6);KMY2015(KMY2005 ern1
Δ::TRP1);KMY2045(KMY2005
ern4Δ::TRP1)。遺伝学的手法並びにリッチ
ブロス培地(YPD)及び、SC(−Ura)又はSC
(−Ura,Leu)のような形質転換体の選択培地の
組成は、シェルマンら(Sherman,F.et al.) の「Method
s in Yeast Genetics,1986 Cold Spring Harbor Labora
tory Press」に記載の方法に従った。イノシトール無添
加培地は、クルベルトソンとヘンリー(Culbertson,M.
R.and Henry,S.A.)の「Genetics 80,23-40(1975) 」に
記載の方法により調製した。酵母菌の形質転換は、酢酸
リチウム法により行った(Ito,H.et al.,J.Bacteriol.1
53,163-168(1983)) 。
【0047】レポータープラスミドの構築 組換えDNA技法は、サンブルックら(Sambrook,J.et a
l.) の「Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2
版,1989 Cold Spring Harbor Laboratory Press 」に記
載の方法で行った。レポータープラスミドpMCZ2
(URA3選択マーカーを含む2μmDNAベースのマ
ルチコピープラスミド)及びpSCZ2(URA3選択
マーカーを含むCEN4−ARS1ベースのシングルコ
ピープラスミド)の構築は、別に報告している(Mori,
K.et al. 、投稿中)。pMCZ2及びpSCZ2は両
方ともUPREのクローニングのためにCYC1プロモ
ーターの上流に位置するEcoRI及びXhoI部位を
持つCYC1−lacZ融合遺伝子を含む。EcoRI
及びXhoI切断により生じる突出末端にそれぞれ5'
及び3' 末端が相補的な種々の二本鎖、合成オリゴヌク
レオチドを、EcoRI及びXhoI部位間に挿入し
た。
【0048】アッセイ、プローブ及び抗体 酵母細胞抽出物中のβ−ガラクトシダーゼ活性のアッセ
イ及び酵母RNAのノーザンハイブリダイゼーションア
ッセイは、既報に従って行った(Mori,K. et al.,Cell
74,743-756(1993)) 。酵母PDI1のプローブ(中央の
1.47kbのXhoI−SalI断片)は、pMTY
17(Tachikawa,H. et al.,J.Biochem.110,306-313(19
91))より単離した。酵母SCJ1及びFKB2遺伝子の
プローブは、PCR法により調製した。イムノブロッテ
ィングは、基本的には既報に従って行った(Kohno,K. e
t al.,Mol.Cell.Biol.13,877-890(1993)) 。プラスミド
pMTY17及びPdi1p特異的ウサギポリクローナ
ル抗体はタチカワ博士(Tachikawa,H. 、東京農工大学)
より供与された。
【0049】実施例1シス配列UPREの解析 前記レポータープラスミドpMCZ2のCYC1プロモ
ーターの上流に位置するEcoRI及びXhoI部位に
野生型のUPRE(Yと命名)又は図1の横軸に示した
位置(1〜19番目)に1塩基置換した点変異体(G,
A,T,CをそれぞれT,C,G,Aに置換、Tv1〜
19と命名)を挿入し、それを酵母の野生株KMY10
05に形質転換し、得られたUra+ 形質転換体をSC
(−Ura)培地中、30℃で培養し、対数増殖期の菌
体を3時間、ツニカマイシン(TM、5μg/ml)存
在下又は非存在下インキュベートし、CYC1−lac
Z融合遺伝子より発現したβ−ガラクトシダーゼ活性を
測定した(図1)。野生型のUPREの場合は、TM処
理により約50倍β−ガラクトシダーゼ活性が上昇し
た。10〜12番目のCAG及び14〜16番目のGT
Gの点変異体の場合は、TM処理をしてもβ−ガラクト
シダーゼ活性がほとんど上がらず、UPREの活性がほ
とんど失われていることが明らかになった。また、2〜
4番目のGAAの点変異体もβ−ガラクトシダーゼ活性
が低下した。次に、CAGとGTGの間の13番目のC
の重要性を調べるために、13番目のCを他の塩基G、
A又はTに置換したり、13番目のCを除去したり(ス
ペーシング0)、逆にCを1〜4個挿入した(スペーシ
ング2〜5)変異体を作製し、同様にβ−ガラクトシダ
ーゼ活性を測定した(図2)。スペーシングを0にする
と、その活性は、野生型の7%程度になり、スペーシン
グを2以上にすると、活性がほとんど消失した。従っ
て、CAGとGTGの間にCが1個だけ存在することが
UPREの活性に極めて重要であることが示された。ま
た、CAG−GTGを含む領域は、部分的にパリンドロ
ーム構造になっている。表1に示すように、野生型Yで
は4bpからなるパリンドロームであり、前述のように
ストレスによりβ−ガラクトシダーゼ活性は、約50倍
増加した。12番目のGをCに置換(12C)したり、
19番目のGをCに置換(19C)した場合、ストレス
存在下、非存在下とも野生型Yに比べてβ−ガラクトシ
ダーゼ活性が上昇した。さらに、両方置換して7bpか
らなる完全なパリンドローム構造にする(UY)と、野
生型Yに比べてストレスを加える前は約4倍、ストレス
を加えた後は約2倍に活性が上昇した。従って、酵母U
PRFは、パリンドローム構造を認識することが示され
た。
【0050】
【表1】
【0051】実施例2UPRFのワン−ハイブリッド(one−hybri
d)スクリーニング法 pUC119(宝酒造社製)にクローニングされた酵母
HIS3遺伝子の翻訳開始部位のすぐ上流にSalI部
位を作製した。2個のTATAAボックスを含む0.3
kbのDraI−SalI断片を、ERN1遺伝子(Mo
ri,K.et al.,Cell 74,743-756(1993))のプロモーター領
域から単離し、pSZWT(Mori,K.etal.,EMBO J. 11,
2583-2593(1992)) 由来のlacZをコードする領域ま
たはHIS3遺伝子の上流に挿入した。ERN1プロモ
ーターは、従来使用された最小のGAL1プロモーター
(Wang,M.M. and Reed,R.R.,Nature 364,121-126(199
3);Chong,J.A. et al.,Cell 80,949-957(1995)) のよう
に非常に低い基礎転写活性を有するという理由で使用さ
れた。変異体UPRE(Tv10及びUY)をそれぞ
れ、lacZ及びHIS3の発現を制御するERN1プ
ロモーター(PERN1)の上流に挿入した。UPRE(T
v10)−PERN1−lacZ構築物をUPRE(UY)
−PERN1−HIS3遺伝子を有するプラスミドと融合さ
せた。酵母URA3遺伝子をさらに挿入し、pRCE4
を作成した(図3)。pRCE4をNcoIで消化し、
ern1Δ株(KMY1015)の形質転換に用いた。
ern1Δ細胞を宿主として使用したのは、前述の理由
による。染色体上のGAL4とGAL80遺伝子は、ス
クリーニングを妨害しなかった。サザン(Southe
rn) 分析法でスクリーニング後、ura3−52遺伝
子座に組み込まれたpRCE4を1コピー有するYHC
E4株を得た。YHCE4株は、非常に低レベルのβ−
ガラクトシダーゼを発現し、ヒスチジンを含まないプレ
ート上では成育しなかった。酵母cDNAライブラリー
は、エレッジ博士(Elledge,S.、ベイラー医科大学)よ
りハヤシ博士(Hayashi,N.、九州大学)を通じて供与さ
れた。図4のpACTベクター(Durfee,T.et al.,Gene
s Dev.7,555-569(1993))のGal4p(ad)をコード
するDNAの下流のXhoI部位に該cDNAを挿入し
たプラスミドを構築した。YHCE4細胞を100μg
の該プラスミドで形質転換し、His+ のコロニーを選
択した。約5×106 の形質転換体からの100個のH
is+のコロニーの内、23クローンはβ−ガラクトシ
ダーゼのレベルが有意に上昇(2倍以上)していたので
廃棄した。77候補のうち47クローンは、1mMの3
−アミノトリアゾールの存在下で成育することができ
た。これは、UPRE依存性のHIS3の転写が強力に
活性化したことを示した。
【0052】これらのコロニーからライブラリー由来の
プラスミドを回収して塩基配列を調べると、インサート
の始まる位置は異なっているもののいずれも1つの遺伝
子に由来することがわかった。
【0053】実施例3ERN4遺伝子発現のためのプラスミドの構築 pACTライブラリーから単離したERN4cDNAを
使用して、マルチコピー酵母ベクターであるYEp13
上に構築された酵母のゲノムライブラリー(ATCC3
7323;Nasmyth,K.A. and Reed,S.I.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 77,2119-2123(1980))をスクリーニングする
ことによりERN4ゲノムDNAを得た。得られた1ク
ローンがフランキング領域を持つ全遺伝子を含み、アプ
ライドバイオシステムズ社製のDNAシークエンサーで
合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、タンパ
ク質をコードする領域の配列を決定した。得られた塩基
配列は、既報の配列とは異なっていた(Nojima,H.et a
l.,Nucleic Acids Res.22,5279-5288(1994);Murakami,
Y.et al.,Nature Genet.10,261-268(1995)) 。全ERN
4遺伝子を含む2.5kbのBamHI−EcoNI断
片をYCp−L2に接続し、YCp−ERN4を作製し
た。YCp−L2は、LEU2選択マーカーを含むCE
N4−ARS1ベースのシングルコピーの酵母ベクター
であり、pSB32(Rose,M.D.and Broach,J.R.,Meth.
Enzymol.194,195-230(1991)) の0.53kbのHin
dIII −SphI断片をpUC119のマルチクローニ
ング部位に置換することにより構築した。YCp−ER
N1は、公知のpERN1BCと同一である(Mori,K.e
t al.,Cell 74,743-756(1993))。
【0054】実施例4ERN4遺伝子座の破壊 染色体上のERN1及びERN4遺伝子を公知の方法に
より破壊した(Rothstein,R.,Meth.Enzymol.194,281-30
1(1991))。ERN1の中央のSalI−SacI断片
(アミノ酸配列1−747に相当)又はERN4の中央
のSpeI−MfeI断片(アミノ酸配列11−215
に相当)を酵母TRP1遺伝子に置換することにより、
それぞれpKOE1TRP又はpKOE4TRPを作製
した。該プラスミドを直鎖状にして、SEC+ 及びse
c53ハプロイド細胞を形質転換させた。Trp+ の形
質転換体を単離し、適当なプローブを用いてサザン分析
により破壊を確認した。
【0055】実施例5GAL4(ad)−ERN4遺伝子によるアンフォール
ドタンパク質応答過程の構成的な活性化 SEC+ のERN+ 、ern1Δ及びern4Δ株に、
pACTベクターのみまたはERN4をGAL4(a
d)にフレームを合わせた遺伝子を含むpACT発現ベ
クターと、種々のUAS(上流の活性化配列)を挿入し
たpSCZレポータープラスミドとを共に導入して形質
転換体を得た。該形質転換体をSC(−Ura,Le
u)培地中30℃で培養し、対数増殖期の細胞をストレ
ス処理をせずにCYC1−lacZ遺伝子より発現した
β−ガラクトシダーゼの活性を測定した(図5)。3つ
の別々の形質転換体を2回ずつ測定して値を求めた。ま
た、イムノブロッティング法によりそれぞれの形質転換
体の培養物から抽出した総タンパク質(50μg)中の
Kar2p(GRP78)とPdi1pの量を決定した
(図5)。GAL4(ad)−ERN4遺伝子を発現さ
せることにより、UPRE(Y)及びUPRE(UY)
を上流にもつβ−ガラクトシダーゼがストレス非存在下
でも活性化され、Kar2p(GRP78)とPdi1
pの発現も誘導された。
【0056】実施例6ERN4遺伝子産物の小胞体から核へのシグナル伝達の
ための必要性 シングルコピーのUPRE(Y)−CYC1−lacZ
レポーター遺伝子を有するSEC+ のERN+ 株、er
n1Δ株及びern4Δ株をSC(−Ura)培地中3
0℃で培養した。対数増殖期の細胞の一部を分取し、ツ
ニカマイシン(5μg/ml)の存在下、非存在下で3
時間インキュベートした。β−ガラクトシダーゼ活性を
2回の平均で表した(図6)。培養物の2μlをイノシ
トールを含むまたは含まないSC(−Ura)プレート
上にスポットし、2日間30℃でインキュベートし、2
つの変異株(ern1Δ株及びern4Δ株)がイノシ
トール要求性を示した(図6)。
【0057】次に、sec53のERN+ 株、ern1
Δ株及びern4Δ株を23℃(許容温度)で培養し、
対数増殖期の細胞の一部を1時間23℃(小胞体内のア
ンフォールドタンパク質(−))または小胞体内にアン
フォールドタンパク質が蓄積(+)する30℃(半−非
許容温度)で培養した。全RNAを抽出し、KAR2
(GRP78)、SCJ1、PDI1、EUG1、FK
B2、lacZ及びACT1(酵母アクチン)に特異的
なDNAプローブを用いて、ノーザンハイブリダイゼー
ション法により分析した(図8)。ERN+ 株では、小
胞体内のアンフォールドタンパク質によりKAR2(G
RP78)、SCJ1、PDI1、EUG1及びFKB
2のRNAの転写が誘導されたのに比べ、ern1Δ株
及びern4Δ株ではこれらのRNAの転写は誘導され
なかった。
【0058】実施例7小胞体ストレスに対する防御におけるERN4遺伝子の
欠失の影響 シングルコピーのUPRE(Y)−CYC1−lacZ
レポーター遺伝子及びシングルコピーの(YCp)発現
プラスミドを有するsec53のERN+ 、ern1Δ
及びern4Δ株を、SC(−Ura,Leu)培地中
23℃で一晩培養した。培養物をOD600 が約0.2に
なるように希釈し、さらに30℃でインキュベートし
た。0〜10時間の2時間ごとにβ−ガラクトシダーゼ
活性と生存細胞の比率を測定した。生存細胞の比率は、
YPDプレート上に適当に希釈して播くことにより求め
た。値は対照(0時間)の%で表した(図9)。次に、
2時間ごとに採取した試料由来の総タンパク質の10μ
gを用いて、イムノブロッティング法によりKar2p
及びPdi1pを検出した(図10)。ern4Δ株で
は、外来性のErn4pを発現させることにより、小胞
体ストレスから細胞を防御できることがわかった。
【0059】実施例8Ern4p−融合タンパク質の発現と精製 ERN4の0.8kbのSpeI−HindIII 断片(
アミノ酸配列10−230に相当)を、プラスミドpG
EX−2TK(ファルマシア社製)上のグルタチオンS
−トランスフェラーゼをコードする塩基配列、又はプラ
スミドpMAL−c2(ニューイングランドバイオラブ
ズ社製)上のマルトース結合タンパク質をコードする塩
基配列の3' 末端にフレームを合わせて融合させ、それ
ぞれGST−Ern4p、MBP−Ern4pを発現さ
せた。両融合タンパク質は、1mMのイソプロピルβ−
D−チオガラクトピラノシドで誘導させると、大腸菌で
効率よく発現し、製造者の説明書に従ってアフィニティ
ークロマトグラフィーにより精製した。
【0060】実施例9ERN4遺伝子産物のUPREへの特異的結合 UPRE(Y,Tv10,UY及びTv234)並びに
CREをコードする二本鎖の合成オリゴヌクレオチドの
' 及び3' 両末端を、DNAポリメラーゼIのKle
now断片と[ α−32P] dATP(3000Ci/m
mol)を用いて放射標識し、8%ポリアクリルアミド
ゲルの電気泳動により精製した。結合用緩衝液の組成
は、20mM HEPES(pH7.9)、50mM
KCl、10mM MgCl2 、0.25mM EDT
A、0.5mM ジチオトレイトール、2% フィコー
ル及び5% グリセロールであった。0.25〜0.3
ngの放射標識プローブ(8,000〜10,000c
pm)、1μgのポリ(dI−dC):ポリ(dI−d
C)(ファルマシア社製)及び1μgの変性サケ精子D
NAを含む結合緩衝液中に精製したMBP−Ern4p
(0.1μg)又はGST−Ern4p(0.5μg)
を添加することにより、結合反応を開始した。5倍量の
GST−Ern4pを用いたのは、GST−Ern4p
が凝集してゲルの上部に留まる傾向があるからである。
20μlの最終容量で4℃で10分間インキュベーショ
ン後、試料を0.5%のフィコールを含む5% ポリア
クリルアミドゲルで非変性条件下で電気泳動を行った
(アクリルアミドとビスアクリルアミドの比は30:
0.8であった)。ゲルは、2〜3時間プレランし、
0.5xTBE中、4℃、150Vで3時間試料を泳動
した。それから、ゲルを乾燥させ、X線フィルムに曝し
た(図11)。精製したMBP−Ern4pとGST−
Ern4pは、両方ともUPRE(Y)およびUPRE
(UY)に特異的に結合することがわかった。
【0061】実施例10Ern4p活性化機構の解析 10−1)ノーザンブロッティング法によるERN4遺
伝子転写産物の解析 実施例1と同様にツニカマイシン処理したサッカロミセ
ス セレビシエの野生株及びern1Δ株から、一定時
間(0、10、20、30、45、60分)毎に全RN
Aを抽出し、1.5%アガロースホルムアミドゲルによ
る電気泳動に付した後、ノーザンブロッティング法によ
り、ERN4、KAR2及びPDI1に特異的なプロー
ブを用いてERN4遺伝子転写産物の検出を行った。な
お、内部標準として、ACT1(酵母アクチン)に特異
的なプローブを用いた(図12)。また、図12のオー
トラジオグラフィーの各バンドの放射線量をバイオイメ
ージングアナライザーBAS2000(富士フィルム社
製)を用いて定量し、グラフ化した(図13)。図12
より、ツニカマイシン処理前の定常的に見られる1.4
kbのバンド(レーン1及び3)は、ツニカマイシン処
理後、速やかに減少し、新たに2つの短いバンド(1.
2kb及び0.7kb)が生じた(レーン4〜8)。さ
らに、この現象は、KAR2及びPDI1遺伝子の発現
誘導前に始まる(レーン4及び図13)ことやern1
Δ株では見られない(レーン2)ことから、ストレス特
異的なERN4遺伝子の転写後における調節機構の存在
が示唆された。
【0062】10−2)RT−PCR法による短鎖転写
産物の解析 前記45分間ツニカマイシン処理した株の全RNAよ
り、オリゴ−dTプライマー及び逆転写酵素を用いてc
DNAを合成した。該cDNAを鋳型とし、ERN4遺
伝子内部の領域から設計した種々のプライマー(図1
4)及び Takara ExTaq (宝酒造社製)を用いて、PC
Rを行った(図15)。図15より、5' 非翻訳領域の
プライマーb並びに3' 非翻訳領域のプライマーo若し
くはmを用いた場合、ツニカマイシン処理したcDNA
由来のPCR増幅産物中にのみ、予想される長さのバン
ドに加え、それより約250bp短いバンドが見られた
(レーン9、11)。この長さの差は、前記ノーザンブ
ロッティングによる解析結果の1.4kbから1.2k
bへの変化に由来するものと考えられた。
【0063】10−3)RT−PCR法による増幅産物
の塩基配列の決定 実施例3と同様に、前記PCR増幅産物の塩基配列を決
定した。その結果、図14のプライマーfとプライマー
oの間に欠失が見出され、サッカロミセス セレビシエ
では頻度が少ないが、スプライシングにより、該欠失が
生じていることが示唆された。スプライシングの結果、
新しいオープンリーディングフレーム(ORF)が現
れ、230アミノ酸残基からなるErn4p(配列番
号:2)とは221位以降のアミノ酸配列が異なる、2
38アミノ酸残基からなるポリペプチド(配列番号:
3)が生じた(図16)。
【0064】10−4)ノーザンブロッティング法によ
るスプライシングの解析 前記欠失が見出された領域(イントロンに相当)又は欠
失していない領域(エキソンに相当)に特異的にハイブ
リダイズする5種類のオリゴヌクレオチドプローブを合
成し(図16)、ノーザンブロッティング解析を行った
(図17)。図17より、イントロン外の領域とハイブ
リダイズするプローブ(af、jo及びlm)は、ツニ
カマイシン処理によるストレスにより誘導される1.2
kbのバンドとハイブリダイズした(レーン2、8及び
10)。一方、イントロンの領域とハイブリダイズする
プローブ(gd及びhi)は、ツニカマイシン処理によ
るストレスにより誘導される1.2kbのバンドとはハ
イブリダイズしない(レーン4、6)ことから、1.4
kbから1.2kbへのバンドの変化は、実際に約25
0塩基がスプライシングにより取り除かれた結果生じる
現象であった。これらの3' 側の領域を認識するプロー
ブとはハイブリダイズしない0.7kbのバンドは、5
' 側エキソンと予想された。
【0065】10−5)新規ORF由来のポリペプチド
の転写調節活性能の測定 ERN4遺伝子本来のプロモーターを用い、イントロン
を除いた新規ORF由来のポリペプチドが発現するよう
に、前記シングルコピーベクターYCp−L2上にDN
Aを構築し、レポータープラスミド(UPRE(Y)−
CYC1−lacZ)とともに、ern4Δ株に導入し
て、前記のように、β−ガラクトシダーゼ誘導活性を測
定した(図18)。図18より、新規ORF由来のポリ
ペプチドは、ストレスのない状態でもβ−ガラクトシダ
ーゼ誘導活性があることから、このポリペプチドこそ
が、転写調節活性化能を有するErn4pであることが
わかり、以下、活性型Ern4pと称する。Ern4p
の活性は、ストレス特異的なスプライシングにより調節
を受けていることが示唆された。
【0066】
【発明の効果】本発明の転写調節因子Ern4pあるい
は活性型Ern4pを用いて、小胞体ストレスによるG
RP78の転写誘導機構が解析され、酵母における有用
タンパク質の大量分泌発現が可能となる。
【0067】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:2535 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces
cerevisiae) 株名:AB320 配列 GGATCCGAGA ATAAGGTCTG CAATGTACGT CGGAGAAGAG CCACTATCAT CGGCGACTCC 60 TGTGATCGTG TTCCACTGTG GAGAGCCATA TCGCACCTTG CCGTCCAGTT CCAGCTCCAA 120 GATCATACAC GGATTCTTCT CTGTGGCCAG CTGCAGATAT TTTTCATAAT TGGAGGAAGT 180 CAATGAGCTT GGGTTCGAAT TCGATGATAT CGGGGAGAGC TTGTTTATGC CAAGTCCCTC 240 TTTCATAGCC TGAGATCCGC CTGCGGTGTT ACTTCTATTG AACATCTGTC TTCCTCTACT 300 GGGCTTATCT ATTCTATCAA ATGAGGCAAG AGAAAGGAAA GGGAAAAAAA AAAAGGGAAA 360 ATGCTTGATG AGTTAGGAAT TCAGTAAAAG CACCCACCAG AACCTCTACA GCAGGCCTTC 420 CAGGAGTGGT TAAGAGGATA GAGAATTCTG TATATATATA TACGTCTATA TCTATACAAA 480 AAACGGCAGA CAATGCAGAA GTTGAAAATG CTGTGATACG AACAACAACT TATTTTTACA 540 ATGAAAAACA ACACCAAGCT GCCAAAAGCT GTATATTAAA GTTAAAGCTC CCTCATTTTT 600 AGTAAGGACG CTTTCTTTTC CCACAAAAGG GACGAGGAAA AAAAGAAAAA CCTGGAAATA 660 TAGTCACGTG ACATGAATAA ACAAGACCTA GGGCAATATG GAAAAAGAAG CTAGGATAAA 720 AATACATTTA TGAGGGTTGT AAGGCAAAGT GGCTCAGCAT TAAGTAGGGC TAAAAAGAGT 780 CGCAAATATA CATCGTACCG AGTGATGAAC GTGGTTTTGA ACACCTTGTT CTCTTTTGTT 840 CTCGCTCCCT ACATTCACTA TATATTAGAA GAAATTTCAC CTCAATGGAC AACTCGAGAA 900 ATGAATACAG AAATATGTTT TTTAGCGAAA TTTTCCTTTC TTCTTGTCTT CTTGTTTTAT 960 TTAAACTTCC AAGGCTTTAA CTCAGTGTCA AACATAACAA CCTCCTCCTC CCCCACCTAC 1020 GACAACAACC GCCACTATGG AAATGACTGA TTTTGAACTA ACTAGTAATT CGCAATCGAA 1080 CTTGGCTATC CCTACCAACT TCAAGTCGAC TCTGCCTCCA AGGAAAAGAG CCAAGACAAA 1140 AGAGGAAAAG GAACAGCGAA GGATCGAGCG TATTTTGAGA AACAGAAGAG CTGCTCACCA 1200 GAGCAGAGAG AAAAAAAGAC TACATCTGCA GTATCTCGAG AGAAAATGTT CTCTTTTGGA 1260 AAATTTACTG AACAGCGTCA ACCTTGAAAA ACTGGCTGAC CACGAAGACG CGTTGACTTG 1320 CAGCCACGAC GCTTTTGTTG CTTCTCTTGA CGAGTACAGG GATTTCCAGA GCACGAGGGG 1380 CGCTTCACTG GACACCAGGG CCAGTTCGCA CTCGTCGTCT GATACGTTCA CACCTTCACC 1440 TCTGAACTGT ACAATGGAGC CTGCGACTTT GTCGCCCAAG AGTATGCGCG ATTCCGCGTC 1500 GGACCAAGAG ACTTCATGGG AGCTGCAGAT GTTTAAGACG GAAAATGTAC CAGAGTCGAC 1560 GACGCTACCT GCCGTAGACA ACAACAATTT GTTTGATGCG GTGGCCTCGC CGTTGGCAGA 1620 CCCACTCTGC GACGATATAG CGGGAAACAG TCTACCCTTT GACAATTCAA TTGATCTTGA 1680 CAATTGGCGT AATCCAGCCG TGATTACGAT GACCAGGAAA CTACAGTGAA CAAGAACACT 1740 AGCCCCAGCT TTTGCTTTCT GCTTTTTTTC TTTTTTTTTT TTTTTAGTCG TGGTTCTCTG 1800 ATGGGGGAGG AGCCGGTTAA AGTACCTTCA AAAGCAGAAT GCAGGGTTAT TGGAAGCTTT 1860 CTTTTTTTCT TTTATGCTAG TTTTTCCTGA ACAAATAGAG CCATTCTTTT CTTATTACTA 1920 AGAAATGGAC GGCTTGCTTG TACTGTCCGA AGCGCAGTCA GGTTTGAATT CATTTGAATT 1980 GAATGATTTC TTCATCACTT CATGAAGACA ATCGCAAGAG GGTATAATTT TTTTTTTCTC 2040 GTTATTATCG CTGTTGGTGG GTTTTTTCTT TTCATATATT TCTTTTTCGC TTAGTGGTTT 2100 CTACTGTTCT GTCTCCGGTT AGTGTGTGCT ACTTCAACCG AAGAAGAAGA GGCTTTTCAA 2160 GAATGCAAAC GTGAGGTTGG CGCGCCCTCC TACAATTATT TGTGGCGACT GGGCAGCGAC 2220 ACTGAACATA GCTCTTGAAC AAGACCCTTT TTTGGCTGCA AGGAGCAAGA CTGGCTGGGG 2280 TTCCACCTCA AAGAGCCACG CTCTGCTTTT TTTCTATCTG TTTGTGTCAT ATCTATCTGT 2340 CTATTTATCT ATATATATAT TTTTTTATAT AAAACTATAA AGAATTCTTG ATGTATGCCC 2400 TTAGGTTGGG CAGCTTTTCA ACCTTAGACT TGATGCTAAC GCCGCTCTGT TCCTTCTCCC 2460 GTGCTCCCGC AAGCGAACAT CTCCCCCTAA CTCCGGGCCA ATGAGTGATA ACTATATCAA 2520 ATACCTTCGA AAGGA 2535
【0068】配列番号:2 配列の長さ:230 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Glu Met Thr Asp Phe Glu Leu Thr Ser Asn Ser Gln Ser Asn Leu 1 5 10 15 Ala Ile Pro Thr Asn Phe Lys Ser Thr Leu Pro Pro Arg Lys Arg Ala 20 25 30 Lys Thr Lys Glu Glu Lys Glu Gln Arg Arg Ile Glu Arg Ile Leu Arg 35 40 45 Asn Arg Arg Ala Ala His Gln Ser Arg Glu Lys Lys Arg Leu His Leu 50 55 60 Gln Tyr Leu Glu Arg Lys Cys Ser Leu Leu Glu Asn Leu Leu Asn Ser 65 70 75 80 Val Asn Leu Glu Lys Leu Ala Asp His Glu Asp Ala Leu Thr Cys Ser 85 90 95 His Asp Ala Phe Val Ala Ser Leu Asp Glu Tyr Arg Asp Phe Gln Ser 100 105 110 Thr Arg Gly Ala Ser Leu Asp Thr Arg Ala Ser Ser His Ser Ser Ser 115 120 125 Asp Thr Phe Thr Pro Ser Pro Leu Asn Cys Thr Met Glu Pro Ala Thr 130 135 140 Leu Ser Pro Lys Ser Met Arg Asp Ser Ala Ser Asp Gln Glu Thr Ser 145 150 155 160 Trp Glu Leu Gln Met Phe Lys Thr Glu Asn Val Pro Glu Ser Thr Thr 165 170 175 Leu Pro Ala Val Asp Asn Asn Asn Leu Phe Asp Ala Val Ala Ser Pro 180 185 190 Leu Ala Asp Pro Leu Cys Asp Asp Ile Ala Gly Asn Ser Leu Pro Phe 195 200 205 Asp Asn Ser Ile Asp Leu Asp Asn Trp Arg Asn Pro Ala Val Ile Thr 210 215 220 Met Thr Arg Lys Leu Gln 225 230
【0069】配列番号:3 配列の長さ:238 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Glu Met Thr Asp Phe Glu Leu Thr Ser Asn Ser Gln Ser Asn Leu 1 5 10 15 Ala Ile Pro Thr Asn Phe Lys Ser Thr Leu Pro Pro Arg Lys Arg Ala 20 25 30 Lys Thr Lys Glu Glu Lys Glu Gln Arg Arg Ile Glu Arg Ile Leu Arg 35 40 45 Asn Arg Arg Ala Ala His Gln Ser Arg Glu Lys Lys Arg Leu His Leu 50 55 60 Gln Tyr Leu Glu Arg Lys Cys Ser Leu Leu Glu Asn Leu Leu Asn Ser 65 70 75 80 Val Asn Leu Glu Lys Leu Ala Asp His Glu Asp Ala Leu Thr Cys Ser 85 90 95 His Asp Ala Phe Val Ala Ser Leu Asp Glu Tyr Arg Asp Phe Gln Ser 100 105 110 Thr Arg Gly Ala Ser Leu Asp Thr Arg Ala Ser Ser His Ser Ser Ser 115 120 125 Asp Thr Phe Thr Pro Ser Pro Leu Asn Cys Thr Met Glu Pro Ala Thr 130 135 140 Leu Ser Pro Lys Ser Met Arg Asp Ser Ala Ser Asp Gln Glu Thr Ser 145 150 155 160 Trp Glu Leu Gln Met Phe Lys Thr Glu Asn Val Pro Glu Ser Thr Thr 165 170 175 Leu Pro Ala Val Asp Asn Asn Asn Leu Phe Asp Ala Val Ala Ser Pro 180 185 190 Leu Ala Asp Pro Leu Cys Asp Asp Ile Ala Gly Asn Ser Leu Pro Phe 195 200 205 Asp Asn Ser Ile Asp Leu Asp Asn Trp Arg Asn Pro Glu Ala Gln Ser 210 215 220 Gly Leu Asn Ser Phe Glu Leu Asn Asp Phe Phe Ile Thr Ser 225 230 235
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、酵母野生株KMY1005を1〜19
番目のUPRE配列の点変異を含むレポータープラスミ
ドで形質転換し、ツニカマイシン(TM)で処理したと
きのβ−ガラクトシダーゼ活性を示す図である。図中、
Yは親のUPREの配列を示す。
【図2】図2は、UPREの13番目のCを置換、欠失
または挿入し、図1と同様の方法で形質転換したときの
β−ガラクトシダーゼ活性を示す図である。
【図3】図3は、レポータープラスミドpRCE4の概
略図である。
【図4】図4は、プラスミドベクターpACTの概略図
である。GAL4(ad)の下流にcDNA(ERN
4)を挿入する。ERN4からコードされるタンパク質
の構造を下方に示す。
【図5】図5は、SEC+ のERN+ 株、ern1Δ株
及びern4Δ株を、Gal4p(ad)−Ern4p
の融合タンパク質を発現させるベクターとレポータープ
ラスミドで形質転換し、ストレス処理をしないでβ−ガ
ラクトシダーゼを測定した結果を示す図である。図中の
挿入部分は、イムノブロッティング法による各形質転換
体より抽出したタンパク質(50μg)中のKar2p
とPdi1pの量を示す図である。
【図6】図6は、シングルコピーのUPRE(Y)−C
YC1−lacZレポーター遺伝子を有するSEC+
ERN+ 株、ern1Δ株及びern4Δ株を、ツニカ
マイシン(TM)で無処理または処理したときのβ−ガ
ラクトシダーゼ活性を示す図である。図中の挿入部分
は、前述の培養株の一部(2μl)をイノシトールを含
む(+)または含まない(−)SC(−Ura)プレー
ト上で培養した結果を表す図である。
【図7】図7は、シングルコピーのUPRE(Y)−C
YC1−lacZレポーター遺伝子を有するERN
+ 株、ern1Δ株及びern4Δ株に、シングルコピ
ー(YCp)もしくはマルチコピー(YEp)のERN
1発現プラスミドまたはシングルコピー(YCp)もし
くはマルチコピー(YEp)のERN4発現プラスミド
を導入したときのβ−ガラクトシダーゼ活性を示す図で
ある。
【図8】図8は、シングルコピーのUPRE(Y)−C
YC1−lacZレポーター遺伝子を有するsec53
のERN+ 株、ern1Δ株及びern4Δ株を、23
℃(小胞体内のアンフォールドタンパク質(−))また
は30℃(小胞体内のアンフォールドタンパク質
(+))で培養後、抽出した全RNAをノーザンハイブ
リダイゼーション法により解析したオートラジオグラフ
ィーの結果を示す電気泳動の写真である。
【図9】図9は、シングルコピーのUPRE(Y)−C
YC1−lacZレポーター遺伝子とシングルコピーの
(YCp)発現プラスミドを有するsec53のERN
+ 株、ern1Δ株及びern4Δ株を、23℃で一晩
培養後、希釈してさらに30℃で培養し、各時点でのβ
−ガラクトシダーゼ活性と細胞の生存率を示す図であ
る。図中の記号は、図10のパネルの上部に示す記号と
同じ内容を示す。
【図10】図10は、30℃で培養した図9の各株から
2時間毎に総タンパク質を調製し、その10μgを用い
るイムノブロッティング法により検出されたKar2p
とPdi1pの量を示す電気泳動の写真である。
【図11】図11は、精製したErn4p融合タンパク
質と32P標識合成二本鎖オリゴヌクレオチドを用いるゲ
ルシフトアッセイのオートラジオグラフィーの結果を示
す電気泳動の写真である。
【図12】図12は、ツニカマイシン処理したサッカロ
ミセス セレビシエの野生株及びern1Δ株から、一
定時間毎に全RNAを抽出し、ノーザンブロッティング
法により、ERN4、KAR2、PDI1及びACT1
(内部標準)のmRNAの検出を行ったオートラジオグ
ラフィーの結果を示す電気泳動の写真である。レーン
1、2は、ern1Δ株のツニカマイシン処理後、それ
ぞれ、0、60分のRNA、レーン3〜8は、野生株の
ツニカマイシン処理後、それぞれ、0、10、20、3
0、45、60分のRNAを表す。
【図13】図13は、図12のレーン3〜8のオートラ
ジオグラフィーの各バンドの放射線量を、バイオイメー
ジングアナライザーBAS2000(富士フィルム社
製)を用いて定量し、グラフ化した図である。
【図14】図14は、ERN4遺伝子とプライマーの位
置を示す模式図である。
【図15】図15は、45分間ツニカマイシン処理した
野生株の全RNAより、図14の種々のプライマーを用
いて、RT−PCRを行った電気泳動の写真である。レ
ーン1、12は、分子量マーカーを示す。レーン2、3
は、プライマーbとプライマーf、レーン4、5は、プ
ライマーbとプライマーd、レーン6、7は、プライマ
ーbとプライマーi、レーン8、9は、プライマーbと
プライマーo、レーン10、11は、プライマーbとプ
ライマーmを用いた結果を表し、それぞれ、偶数番号
は、ツニカマイシン処理なし、奇数番号は、ツニカマイ
シン処理ありを示す。
【図16】図16は、新規ORFの配置と図17のノー
ザンブロッティング法に用いるプローブの位置を示す模
式図である。
【図17】図17は、図16のプローブを用いたノーザ
ンブロッティング法による電気泳動の写真である。レー
ン1、2は、プローブaf、レーン3、4は、プローブ
gd、レーン5、6は、プローブhi、レーン7、8
は、プローブjo、レーン9、10は、プローブlmを
用いた結果を表し、それぞれ、奇数番号は、ツニカマイ
シン処理なし、偶数番号は、ツニカマイシン処理ありを
示す。
【図18】図18は、イントロンを除いた新規ORF由
来のポリペプチドの発現によるβ−ガラクトシダーゼ誘
導活性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C12P 21/08 C12P 21/08 (C12N 15/09 ZNA C12R 1:865) (C12N 1/19 C12R 1:865) (C12P 21/02 C12R 1:865)

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表の配列番号:2に記載のアミノ酸
    配列、又はその一部であって、かつ、転写調節活性を有
    するポリペプチドをコードするDNAを含有するDN
    A。
  2. 【請求項2】 配列表の配列番号:3に記載のアミノ酸
    配列、又はその一部であって、かつ、転写調節活性を有
    するポリペプチドをコードするDNAを含有するDN
    A。
  3. 【請求項3】 配列表の配列番号:1に記載の塩基配
    列、又はその一部であって、かつ、転写調節活性を有す
    るポリペプチドをコードするDNAを含有する請求項1
    又は2記載のDNA。
  4. 【請求項4】 配列表の配列番号:2に記載のアミノ酸
    配列、又はその一部からなるアミノ酸配列において、1
    又は2以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換
    の少なくとも1つを生じさせ、かつ、転写調節活性を有
    するポリペプチドをコードするDNA。
  5. 【請求項5】 配列表の配列番号:3に記載のアミノ酸
    配列、又はその一部からなるアミノ酸配列において、1
    又は2以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換
    の少なくとも1つを生じさせ、かつ、転写調節活性を有
    するポリペプチドをコードするDNA。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか記載のDNAにハ
    イブリダイズ可能なDNAであって、かつ、転写調節活
    性又はその機能的に同等の活性を有するポリペプチドを
    コードするDNA。
  7. 【請求項7】 DNAがサッカロミセス セレビシエ
    (Saccharomyces cerevisiae)の転写調節因子遺伝子E
    RN4、又はその変異遺伝子である請求項1〜6いずれ
    か記載のDNA。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7いずれか記載のDNAによ
    りコードされるポリペプチド。
  9. 【請求項9】 酵母内で機能する転写調節因子の転写活
    性化ドメインと請求項8記載のポリペプチドとの融合タ
    ンパク質。
  10. 【請求項10】 転写活性化ドメインがサッカロミセス
    セレビシエの転写調節因子Gal4pの転写活性化ド
    メインGal4p(ad)である請求項9記載の融合タ
    ンパク質。
  11. 【請求項11】 請求項9又は10記載の融合タンパク
    質をコードするDNA。
  12. 【請求項12】 請求項1〜7又は11いずれか記載の
    DNAを含有する組換えDNA。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の組換えDNAを含有
    する発現ベクター。
  14. 【請求項14】 請求項8記載のポリペプチド又は請求
    項9もしくは10記載の融合タンパク質と特異的に結合
    する抗体又はその断片。
  15. 【請求項15】 ERN4遺伝子を破壊したサッカロミ
    セス セレビシエ変異株であるern4Δ。
  16. 【請求項16】 請求項13記載の発現ベクターで酵母
    を形質転換することを特徴とする酵母小胞体内腔の分子
    シャペロン及びフォールディング酵素を制御する方法。
  17. 【請求項17】 酵母がERN4遺伝子を破壊した変異
    株ern4Δである請求項16記載の制御方法。
  18. 【請求項18】 請求項13記載の発現ベクターと外来
    タンパク質発現ベクターで酵母を形質転換することを特
    徴とする外来タンパク質の発現方法。
  19. 【請求項19】 酵母がERN4遺伝子を破壊した変異
    株ern4Δである請求項18記載の外来タンパク質の
    発現方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001072783A3 (en) * 2000-03-24 2002-07-18 Genencor Int Production of secreted proteins by recombinant eukaryotic cells
CN1111602C (zh) * 1998-05-15 2003-06-18 中国科学院上海生物化学研究所 一种使用分子伴侣促进蛋白质分泌的方法
CN113999870A (zh) * 2020-02-26 2022-02-01 森瑞斯生物科技(深圳)有限公司 一种表达cbdas的重组酿酒酵母及其构建方法和应用

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