JPH1085947A - 抵抗溶接制御方法及び装置 - Google Patents

抵抗溶接制御方法及び装置

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JPH1085947A
JPH1085947A JP8262438A JP26243896A JPH1085947A JP H1085947 A JPH1085947 A JP H1085947A JP 8262438 A JP8262438 A JP 8262438A JP 26243896 A JP26243896 A JP 26243896A JP H1085947 A JPH1085947 A JP H1085947A
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JP8262438A
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Ren Mukai
錬 向井
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Miyachi Technos Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 シリーズ溶接等において被溶接材の複数の溶
接箇所を短い通電時間でほぼ均一な溶接強度に同時接合
できるようにする。 【解決手段】 通電時間の前半部では、制御部56が第
1組(正極側)のスイッチング素子32,36だけをP
WM制御で連続的にスイッチングする。これにより、ほ
ぼ台形状の電流波形を有する正極性の溶接電流I2 が第
1の溶接電極48→被溶接材W1 →第1の溶接箇所Pa
→被溶接材W2 →第2の溶接箇所Pb→被溶接材W1 →
第2の溶接電極50の経路で流れる。通電時間の後半部
では、制御部が第2組(負極側)のスイッチング素子3
4,38だけをPWM制御で連続的にスイッチングす
る。これにより、ほぼ台形状の電流波形を有する負極性
の溶接電流I2 が上記とは逆の経路で流れる。この結
果、全通電時間が終了した時点では、第1の溶接箇所と
第2の溶接箇所におけるナゲットがほぼ同じ大きさに成
長する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0010】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリーズ溶接等で
被溶接材を複数の溶接箇所で同時に接合する抵抗溶接方
法および装置に関する。
【0020】
【従来の技術】近年、電源部にインバータを用いる抵抗
溶接装置が多く普及している。図7に従来の典型的なイ
ンバータ式抵抗溶接装置の構成を示す。インバータ回路
100は、スイッチング素子を内蔵しており、インバー
タ制御部102からの制御パルスCPにしたがい、直流
入力電圧Eを高周波のスイッチングで切り刻むようにし
て高周波交流のパルスを出力する。インバータ回路10
0より出力された交流パルスは溶接トランス104の一
次側コイルに供給され、二次側コイルには一次側と相似
な交流パルスが得られる。この二次側交流パルスは一対
のダイオード106a,106bからなる整流回路10
6によって直流に変換され、この直流の二次電流つまり
溶接電流I2 が一対の溶接電極108,110を介して
被溶接材(W1 ,W2 )に供給される。
【0030】従来より、上記のようなインバータ式抵抗
溶接装置が、主に電子部品等の小物金属を対象(被溶接
材)とする2点同時接合型の抵抗溶接(シリーズ溶接)
にも用いられている。
【0040】図8に、シリーズ溶接の一例を示す。この
例において、両溶接電極108,112は、被溶接材
(W1 ,W2 )の片側面に互いに離れた位置で当接し、
加圧機構(図示せず)からの加圧力によって被溶接材
(W1 ,W2 )に加圧接触する。通電時間中、直流の溶
接電流I2 は、点線で示すように、第1の溶接電極10
8→被溶接材W1 →第1の溶接箇所Pa →被溶接材W2
→第2の溶接箇所Pb →被溶接材W1 →第2の溶接電極
110の経路で流れる。これにより、被溶接材(W1 ,
W2 )の接触面(合わせ面)における第1および第2の
溶接箇所Pa ,Pbではジュール熱により被溶接材(W1
,W2 )が溶融し、この溶融部分が通電後に凝固する
ことで、被溶接材(W1 ,W2 )が冶金的に接合され
る。
【0050】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のインバータ式抵抗溶接装置によるシリーズ
溶接では、ペルチェ効果の影響により、両溶接箇所Pa
,Pb にそれぞれ生成されるナゲット(溶融凝固した
部分)Na ,Nb の大きさが不均一になるという不具合
があった。ここで、ペルチェ効果とは、異種の導体の接
点に電流を流すとき該接点でジュール熱以外に熱の発生
または吸収が起こる現象であり、電流の方向を逆にすれ
ば熱の発生と吸収が反対になるという性質がある。
【0060】シリーズ溶接では、被溶接材(導体)W1
,W2 から見て両溶接箇所(接点)Pa ,Pb を流れ
る溶接電流I2 の方向が互いに逆となる。すなわち、図
8に示すように、第1の溶接箇所Pa では溶接電流I2
が被溶接材W1 側から被溶接材W2 側へ流れるのに対
し、第2の溶接箇所Pb では溶接電流I2 が被溶接材W
2側から被溶接材W1 側へ流れる。
【0070】このように、両溶接箇所Pa ,Pb で溶接
電流I2 が逆方向に流れることにより、ジュール熱は等
しくても、たとえば第1の溶接箇所Pa では熱を吸収す
るペルチェ効果が発生する一方で、第2の溶接箇所Pb
では熱を出すペルチェ効果が発生する。その結果、図8
に示すように、第1の溶接箇所Pa に生成されるナゲッ
トNa は相対的に小さく、第2の溶接箇所Pb に生成さ
れるナゲットNb は相対的に大きくなる。抵抗溶接の強
度はナゲットの大きさに比例するから、ナゲットの大き
さが不均一であれば、溶接箇所の接合強度にばらつきが
生じて、溶接品質の点で具合がよくない。
【0080】その点、従来の単相交流式抵抗溶接装置で
は、正極性と負極性で交互に溶接電流を流すため、シリ
ーズ溶接において上記のようなペルチェ効果を補償し、
第1および第2の溶接箇所で均一なナゲットを得ること
ができる。しかし、単相交流式は、発熱効率が低いた
め、所望のナゲットを得るための通電時間が長くなって
しまい、電子部品等の小物溶接物に対してはダメージを
与えやすいという欠点がある。
【0090】本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み
てなされたもので、シリーズ溶接等において被溶接材の
複数の溶接箇所を短い通電時間でほぼ均一な溶接強度に
同時接合できるようにした抵抗溶接方法および装置を提
供することを目的とする。
【0100】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のうち請求項1に記載の発明は、被溶接材
に第1および第2の溶接電極を互いに離れた位置で加圧
接触させ、前記第1および第2の溶接電極の間で前記被
溶接材に溶接電流を流すことにより、前記被溶接材を前
記第1および第2の溶接電極の加圧接触位置にそれぞれ
対応する第1および第2の溶接箇所にて接合するように
した抵抗溶接方法において、商用周波数の交流を整流回
路により直流に変換して双方向通電型のスイッチング手
段に入力し、前記スイッチング手段の出力を溶接トラン
スの一次側コイルに供給し、前記溶接トランスの二次側
コイルに得られる電圧を前記第1および第2の溶接電極
に印加することにより二次側回路で前記溶接電流が流れ
るようにし、通電時間の前半部では前記スイッチング手
段を一方の極性で連続的に高周波スイッチングし、前記
通電時間の後半部では前記スイッチング手段を他方の極
性で連続的に高周波スイッチングすることを特徴とす
る。
【0110】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の抵抗溶接方法において、前記通電時間の前半部
と後半部とはほぼ等しい長さの時間に設定されることを
特徴とする。
【0120】また、請求項3に記載の発明は、請求項2
に記載の抵抗溶接方法において、前記前半部における溶
接電流の波形と前記後半部における溶接電流の波形とが
前記通電時間内の所定の時点を中心点として互いに点対
称となるように溶接電流の波形を設定することを特徴と
する。
【0130】また、請求項4に記載の発明は、商用周波
数の交流を直流に変換する整流回路と、前記整流回路か
らの直流を高周波パルスに変換する双方向通電型のスイ
ッチング手段と、前記スイッチング手段の出力を一次側
コイルに入力し、二次側コイルより高周波パルスの電圧
を出力する溶接トランスと、前記溶接トランスの二次側
コイルの両端にそれぞれ接続され被溶接材に対して互い
に離れた位置で加圧接触する第1および第2の溶接電極
と、通電時間の前半部では前記スイッチング手段を一方
の極性で連続的に高周波スイッチングし、前記通電時間
の後半部では前記スイッチング手段を他方の極性で連続
的に高周波スイッチングするスイッチング制御手段とを
具備することを特徴とする。
【0140】また、請求項5に記載の発明は、請求項4
に記載の抵抗溶接装置において、前記スイッチング制御
手段が、スイッチング・サイクル毎に前記溶接トランス
の一次側の電流または二次側の前記溶接電流を検出して
その電流測定値を求める電流検出手段と、前記電流検出
手段からの前記電流測定値を所望の設定電流値と比較
し、その比較誤差に応じて次のスイッチング・サイクル
における前記スイッチング手段の出力パルスのパルス幅
を演算するパルス幅制御手段とを含むことを特徴とす
る。
【0150】また、請求項6に記載の発明は、請求項4
または5に記載の抵抗溶接装置において、前記整流回路
が、それぞれのアノード端子およびカソード端子が商用
周波数を有する単相交流電源の一方の端子に接続されて
いる第1および第2のダイオードと、一方の端子が前記
第1のダイオードのカソード端子に接続されるとともに
前記スイッチング手段の一方の入力端子に接続され、か
つ他方の端子が前記単相交流電源の他方の端子に接続さ
れている第1のコンデンサと、一方の端子が前記単相交
流電源の他方の端子に接続され、かつ他方の端子が前記
第2のダイオードのアノード端子に接続されるとともに
前記スイッチング手段の他方の入力端子に接続されてい
る第2のコンデンサとを含むことを特徴とする。
【0160】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図6を参照して本発
明の実施例を説明する。
【0170】図1に、本発明の一実施例によるシリーズ
溶接用抵抗溶接装置の回路構成を示す。この抵抗溶接装
置は、商用周波数(50Hzまたは60Hz)のたとえ
ば100V単相交流電源10を用いる。この抵抗溶接装
置における双方向通電型スイッチング手段30は、GT
R(シ゛ャイアント・トランシ゛スタ)またはIGBT(絶縁ケ゛ート・ハ゛イホ゜
ーラ・トランシ゛スタ)等からなる4つのトランジスタ・スイッチ
ング素子32,34,36,38を有している。
【0180】これら4つのスイッチング素子32〜38
のうち、第1組(正極側)のスイッチング素子32,3
6は駆動回路58からの第1のスイッチング制御信号F
a により所定の高周波数(たとえば8kHz)で同時に
オン・オフ制御され、第2組(負極側)のスイッチング
素子34,38は駆動回路58からの第2のスイッチン
グ制御信号Fb によって同時に上記所定の高周波数(8
kHz)でオン・オフ制御されるようになっている。
【0190】スイッチング手段30の入力端子(La ,
Lb )は後述する整流回路28の出力端子に接続されて
おり、出力端子(Ma ,Mb )は溶接トランス46の一
次側コイルの両端にそれぞれ接続されている。溶接トラ
ンス46の二次側コイルの両端には一対の溶接電極4
8,50が直接(つまり整流回路を介さずに)接続され
ている。両溶接電極48,50は、溶接時には被溶接材
(W1 ,W2 )に対して互いに離れて当接し、加圧機構
(図示せず)からの加圧力で加圧接触する。
【0200】整流回路28は、主として一対のダイオー
ド20,22と一対のコンデンサ24,26とから構成
されている。ダイオード20のアノード端子およびダイ
オード22のカソード端子が交流電源10の一方の端子
10aに接続されている。ダイオード20のカソード端
子は、コンデンサ24の一方の端子に接続されるととも
に、スイッチング手段30の一方の入力端子La に接続
されている。コンデンサ24の他方の端子は、コンデン
サ26の一方の端子に接続されるとともに、交流電源1
0の他方の端子10bに接続されている。コンデンサ2
6の他方の端子は、ダイオード22のアノード端子に接
続されるとともに、スイッチング手段30の他方の入力
端子Lb に接続されている。
【0210】この整流回路28において、商用周波数の
正極性の半サイクルでは、交流電源10からの商用交流
がダイオード20により半波整流され、コンデンサ24
が充電される。そして、商用周波数の負極性の半サイク
ルでは、交流電源10からの商用交流がダイオード22
により半波整流され、コンデンサ26が充電される。両
コンデンサ24,26は極性の向きを同一方向にして互
いに直列接続されているため、それぞれの充電電圧を加
算した値の直流電圧が整流回路28の出力電圧としてス
イッチング手段30の入力端子(La ,Lb )に与えら
れる。
【0220】また、交流電源10の一方の端子10aと
ダイオード20のアノード端子およびダイオード22の
カソード端子との間には、主電源スイッチ12a、チョ
ークコイル14および電流制限用抵抗16が直列に挿入
され、さらに電流制限用抵抗16と並列にバイパス用
(抵抗外し用)のスイッチ18が接続されている。交流
電源10の他方の端子10bとコンデンサ24,26の
接続点との間にも、主電源スイッチ12bが挿入されて
いる。電流制限用抵抗16は、主電源スイッチ12a,
12bの閉成直後の充電立ち上げ時に動作し、立ち上げ
終了後は回路から外される。
【0230】かかる構成の整流回路28によれば、単相
交流電源10からの100Vの商用交流を直流に変換し
て、たとえば280V程度まで昇圧した直流電圧をコン
デンサ(24,26)に充電することができる。
【0240】スイッチング手段30内には、入力端子L
a とLb との間に、抵抗40,ダイオード(42a,4
2b)およびコンデンサ(44a,44b)からなるス
イッチング・ノイズ除去回路が設けられている。
【0250】スイッチング手段30の出力端子と溶接ト
ランス46の一次側コイルとの間には、たとえばカレン
トトランスからなる電流センサ52が設けられている。
溶接通電中、一次側電流I1 の電流値(瞬時値)を表す
電流検出信号が電流センサ52より出力され、この電流
検出信号に基づいて電流検出回路54により所定のスイ
ッチング・サイクル毎に一次側電流I1 の電流測定値
[I1 ]が求められる。電流検出回路54より得られた
電流測定値[I1 ]は制御部56に与えられる。
【0260】制御部56は、マイクロコンピュータから
なり、CPU、ROM(プログラムメモリ)、RAM
(データメモリ)、クロック回路、インタフェース回路
等を含んでいる。本実施例において、制御部56はフィ
ードバック方式の定電流制御を行う。この定電流制御の
ために、制御部56は、電流検出回路54からの電流測
定値[I1 ]をメモリに登録されている設定電流値[I
s ]と比較し、その比較誤差に応じて次のスイッチング
・サイクルにおけるスイッチング手段の出力パルスを演
算し、その出力パルスを規定するパルス幅変調(PW
M)信号をスイッチング制御信号Fとして駆動回路58
に与える。
【0270】また、制御部56は、主電源スイッチ(1
2a,12b)およびパイパス用スイッチ18の制御を
も行う。もっとも、主電源スイッチ(12a,12b)
は、手動操作で切り換えるようにしてもよい。入力部6
0は、キーボードまたはマウス等のポインティング装置
からなり、各種設定値の入力に用いられる。他の周辺装
置たとえば表示装置(図示せず)等も制御部56に接続
されている。
【0280】次に、図2〜図5につき本実施例の抵抗溶
接装置における作用を説明する。
【0290】溶接通電を行うに先立ち、制御部56は、
主電源スイッチ12a,12bを閉じて、整流回路28
のコンデンサ24,26を所定電圧(たとえば280
V)まで充電する。この充電の立ち上げの際には、バイ
パス・スイッチ18をオフにして、電流制限用抵抗16
を通して充電電流を流す。
【0300】上記のようにしてコンデンサ24,26を
所定電圧まで充電した後、溶接ロボット等の外部装置
(図示せず)より起動信号STが送られてくると、これ
に応動して制御部56は溶接通電を開始する。たとえ
ば、図3に示すような被溶接材(W1 ,W2 )に対して
シーム溶接を行う場合、制御部56は、通電時間の前半
部TF では第1組(正極側)のスイッチング素子(3
2,36)だけをPWM制御で連続的にスイッチング
し、通電時間の後半部TL では第2組(負極側)のスイ
ッチング素子(34,38)だけをPWM制御で連続的
にスイッチングする。
【0310】したがって、図2に示すように、通電時間
の前半部TF ではスイッチング手段30より正極性の出
力パルスが溶接トランス46の一次側コイルに供給さ
れ、二次側回路ではほぼ台形状の電流波形を有する正極
性の溶接電流I2 が流れる。この場合、図3の(A)に
示すように、溶接電流I2 は第1の溶接電極48→被溶
接材W1 →第1の溶接箇所Pa →被溶接材W2 →第2の
溶接箇所Pb →被溶接材W1 →第2の溶接電極50の経
路で流れる。すなわち、第1の溶接箇所Pa では被溶接
材W1 側から被溶接材W2 側に溶接電流I2 が流れ、第
2の溶接箇所Paでは被溶接材W2 側から被溶接材W1
側に溶接電流I2 が流れる。これにより、たとえば第1
の溶接箇所Pa では熱を吸収するペルチェ効果が生じる
一方で、第2の溶接箇所Pb では熱を発生するペルチェ
効果が生じる。こうして、通電時間の前半部TF では、
第1の溶接箇所Pa におけるナゲットNa よりも第2の
溶接箇所Pb におけるナゲットNb のほうが大きく成長
する。
【0320】しかし、図2に示すように、通電時間の後
半部TL ではスイッチング手段30より負極性の出力パ
ルスが溶接トランス46の一次側コイルに供給され、二
次側回路ではほぼ台形状の電流波形を有する負極性の溶
接電流I2 が流れる。この場合は、図3の(B)に示す
ように、溶接電流I2 は第2の溶接電極50→被溶接材
W1 →第2の溶接箇所Pb →被溶接材W2 →第1の溶接
箇所Pa →被溶接材W1 →第1の溶接電極48の経路で
流れる。すなわち、第1の溶接箇所Pa では被溶接材W
2 側から被溶接材W1 側に溶接電流I2 が流れ、第2の
溶接箇所Pa では被溶接材W1 側から被溶接材W2 側に
溶接電流I2 が流れる。これにより、今度は、第1の溶
接箇所Pa で熱を発生するペルチェ効果が生じる一方
で、第2の溶接箇所Pb で熱を吸収するペルチェ効果が
生じることとなる。このため、通電時間の後半部TL で
は、第1の溶接箇所Pa におけるナゲットNa のほうが
第2の溶接箇所Pb におけるナゲットNb よりも大きく
成長する。
【0330】この結果、通電時間の後半部TL が終了し
た時点、つまり全通電時間が終了した時点では、第1の
溶接箇所Pa におけるナゲットNa と第2の溶接箇所P
b におけるナゲットNb とはほぼ同じ大きさに成長して
いる。したがって、第1の溶接箇所Pa と第2の溶接箇
所Pb とでほぼ均等な溶接強度が得られる。
【0340】なお、通電時間の前半部TF および後半部
TL をたとえば各々5msの長さに設定した場合、台形
状の波形で溶接電流I2 を流すため、被溶接材(W1 ,
W2)において発熱効率が高く、このように10ms程
度の短い通電時間でも十分大きなナゲットないし溶接強
度が得られる。因に、単相交流式によれば、最短(1サ
イクル)でも20ms(50Hzの場合)を要し、実際
上は、発熱効率が低いため2〜3サイクル(40〜60
ms)の通電時間を要する。
【0350】また、ペルチェ効果の影響等により電流の
流れ具合が正極の時と負極の時とで異なることがある
が、本実施例の抵抗溶接装置では、通電時間の前半部T
F および後半部TL の各々において一定の方向(極性)
に流れる電流をPWM制御方式で制御するので、定電流
制御を安定に行うことができる。
【0360】また、本実施例の抵抗溶接装置では、スイ
ッチング手段30がたとえば8kHzのような高周波数
でスイッチング動作しても、溶接トランス46には、通
電時間の前半部TF および後半部TL の時間で規定され
る周期の電流が流れる。このため、溶接トランス46を
高周波タイプのものではなく、単相交流用(商用周波数
用)の溶接トランスで構成することが可能である。
【0370】なお、スイッチング周波数を高くすると、
単位時間当たりのパルス数が増えるので、通電時間をよ
り精細な値で設定することができる。通電時間の前半部
TFと後半部TL との間に通電休止期間(冷却時間)を
挿入することも可能である。
【0380】また、図4に示すように、通電時間の前半
部TF と後半部TL とを積極的に異なる長さに設定する
ことも可能である。図4の例は、たとえば図5に示すよ
うなシリーズ溶接に適用できる。
【0390】図5の例では、断面コ字状の被溶接材W2
の相対抗する両外側面に同じ材質からなる比較的厚い平
板状の被溶接材W1 と比較的薄い平板状の被溶接材W1'
とを溶接する。この場合、比較的厚い被溶接材W1 側の
溶接箇所Pa に形成されるナゲットNa の方を比較的薄
い被溶接材W1'側の溶接箇所Pb に形成されるナゲット
Nb よりも大きくしたほうが溶接強度のバランスをとる
ことができる。なお、図5において、溶接時に、断面コ
字状の被溶接材W2 の内側空間にはバック・バー電極6
2が挿入される。
【0400】図6は、入力部60および制御部56にお
ける溶接電流I2 の波形の設定例を示す。この例では、
通電時間の前半部TF における溶接電流をアップ・スロ
ープ波形IF にするとともに、後半部TL における溶接
電流をダウン・スロープ波形ID とし、両電流波形IF
,ID が所定の時点tc を中心点として互いに点対称
となるように設定している。
【0410】この場合の通電時には、制御部56におい
て設定電流値[Is ]がアップ・スロープ波形IF およ
びダウン・スロープ波形IL に対応して時々刻々と変化
し、PWM制御によって溶接電流I2 が設定通りの波形
で流されることになる。
【0420】このように通電時間の前半部TF における
溶接電流波形と後半部TL における溶接電流波形とを点
対称とする場合は、入力部60で前半部TF における溶
接電流波形のみを設定入力するだけで、制御部56にお
いて自動的に後半部TL における溶接電流波形も設定さ
れることになり、設定入力が容易となる。また、正極側
と負極側とで電流が同じ大きさになるため、溶接トラン
スにおける偏磁を気にすることもなくなる。
【0430】また、本実施例の抵抗溶接装置によれば、
通電時間の前半部TF と後半部TLの個々の長さまたは
相対比を任意に選定できるため、両溶接箇所Pa ,Pb
に生成されるナゲットNa ,Nb の個々の大きさおよび
相対比を任意に選定できる。ただし、このように通電時
間の前半部TF と後半部TL とを積極的にアンバランス
させるに際しては、溶接トランス46に偏磁現象を来さ
ないように考慮する必要がある。偏磁現象を防止するに
は、たとえば本願出願人が特開昭64−22477号公
報で開示した磁気飽和防止技術を利用してよい。この磁
気飽和防止技術によれば、一次側電流の各パルスの立ち
上がり部と立ち下がり部との間の中間部について該中間
部の変化部分の電流変化量と基準変化量との差分から磁
気飽和の状態および程度または度合いを割り出し、両変
化量の差分が零になるようにスイッチング手段のスイッ
チング動作を制御してパルス幅を調整し、磁気飽和状態
または偏磁状態を精細かつ迅速に抑制することができ
る。この方式は、ソフトウェアで実現できるため、制御
部56に組み込んでよい。
【0440】上記した実施例の抵抗溶接装置は、単相交
流を直流に変換する整流回路28を備えている。上記し
たように、この整流回路28によれば、100Vの商用
交流から高圧(たとえば280V程度)の直流電圧を得
ることができる。しかし、三相整流回路を用いて、三相
交流を直流に変換することも可能である。スイッチング
手段30の回路構成も一例であり、種々の変形が可能で
ある。また、一次側の電流I1 を検出する代わりに、二
次側の溶接電流I2 を検出してもよい。
【0450】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の抵抗溶接
方法または装置によれば、通電時間の前半部では双方向
通電型のスイッチング手段を一方の極性で連続的に高周
波スイッチングし、通電時間の後半部では該スイッチン
グ手段を他方の極性で連続的に高周波スイッチングする
ことにより、シリーズ溶接等において被溶接材の複数の
溶接箇所を短い通電時間でほぼ均一な溶接強度に同時接
合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるシリーズ溶接用抵抗溶
接装置の回路構成を示す図である。
【図2】実施例の抵抗溶接装置における作用の一例を示
す波形図である。
【図3】実施例の抵抗溶接装置における作用の一例を示
す部分断面図である。
【図4】実施例の抵抗溶接装置における作用の別の例を
示す波形図である。
【図5】実施例の抵抗溶接装置における作用の別の例を
示す部分断面図である。
【図6】実施例の抵抗溶接装置における溶接電流波形の
設定例を示す図である。
【図7】従来の典型的なインバータ式抵抗溶接装置の回
路構成を示す図である。
【図8】シリーズ溶接において従来のインバータ式抵抗
溶接装置による不具合を示す部分断面図である。
【符号の説明】
10 単相交流電源 20,26 ダイオード 24,26 コンデンサ 28 整流回路 30 スイッチング手段 32,34,36,38 スイッチング素子 46 溶接トランス 48,50 溶接電極 W1 ,W2 被溶接材 52 電流センサ 54 電流検出回路 56 制御部 58 駆動回路 60 入力部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被溶接材に第1および第2の溶接電極を
    互いに離れた位置で加圧接触させ、前記第1および第2
    の溶接電極の間で前記被溶接材に溶接電流を流すことに
    より、前記被溶接材を前記第1および第2の溶接電極の
    加圧接触位置にそれぞれ対応する第1および第2の溶接
    箇所にて接合するようにした抵抗溶接方法において、 商用周波数の交流を整流回路により直流に変換して双方
    向通電型のスイッチング手段に入力し、前記スイッチン
    グ手段の出力を溶接トランスの一次側コイルに供給し、
    前記溶接トランスの二次側コイルに得られる電圧を前記
    第1および第2の溶接電極に印加することにより二次側
    回路で前記溶接電流が流れるようにし、 通電時間の前半部では前記スイッチング手段を一方の極
    性で連続的に高周波スイッチングし、前記通電時間の後
    半部では前記スイッチング手段を他方の極性で連続的に
    高周波スイッチングすることを特徴とする抵抗溶接方
    法。
  2. 【請求項2】 前記通電時間の前半部と後半部とはほぼ
    等しい長さの時間に設定されることを特徴とする請求項
    1に記載の抵抗溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記前半部における溶接電流の波形と前
    記後半部における溶接電流の波形とが前記通電時間内の
    所定の時点を中心点として互いに点対称となるように溶
    接電流の波形を設定することを特徴とする請求項2に記
    載の抵抗溶接方法。
  4. 【請求項4】 商用周波数の交流を直流に変換する整流
    回路と、 前記整流回路からの直流を高周波パルスに変換する双方
    向通電型のスイッチング手段と、 前記スイッチング手段の出力を一次側コイルに入力し、
    二次側コイルより高周波パルスの電圧を出力する溶接ト
    ランスと、 前記溶接トランスの二次側コイルの両端にそれぞれ接続
    され、被溶接材に対して互いに離れた位置で加圧接触す
    る第1および第2の溶接電極と、 通電時間の前半部では前記スイッチング手段を一方の極
    性で連続的に高周波スイッチングし、前記通電時間の後
    半部では前記スイッチング手段を他方の極性で連続的に
    高周波スイッチングするスイッチング制御手段とを具備
    することを特徴とする抵抗溶接装置。
  5. 【請求項5】 前記スイッチング制御手段が、スイッチ
    ング・サイクル毎に前記溶接トランスの一次側の電流ま
    たは二次側の前記溶接電流を検出してその電流測定値を
    求める電流検出手段と、前記電流検出手段からの前記電
    流測定値を所望の設定電流値と比較し、その比較誤差に
    応じて次のスイッチング・サイクルにおける前記スイッ
    チング手段の出力パルスのパルス幅を求めるパルス幅制
    御手段とを含むことを特徴とする請求項4に記載の抵抗
    溶接装置。
  6. 【請求項6】 前記整流回路が、それぞれのアノード端
    子およびカソード端子が商用周波数を有する単相交流電
    源の一方の端子に接続されている第1および第2のダイ
    オードと、一方の端子が前記第1のダイオードのカソー
    ド端子に接続されるとともに前記スイッチング手段の一
    方の入力端子に接続され、かつ他方の端子が前記単相交
    流電源の他方の端子に接続されている第1のコンデンサ
    と、一方の端子が前記単相交流電源の他方の端子に接続
    され、かつ他方の端子が前記第2のダイオードのアノー
    ド端子に接続されるとともに前記スイッチング手段の他
    方の入力端子に接続されている第2のコンデンサとを含
    むことを特徴とする請求項4または5に記載の抵抗溶接
    装置。
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