JPH1086378A - インクジェットプリンターの噴射装置及び噴射方法 - Google Patents

インクジェットプリンターの噴射装置及び噴射方法

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JPH1086378A
JPH1086378A JP9194999A JP19499997A JPH1086378A JP H1086378 A JPH1086378 A JP H1086378A JP 9194999 A JP9194999 A JP 9194999A JP 19499997 A JP19499997 A JP 19499997A JP H1086378 A JPH1086378 A JP H1086378A
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で耐久性の高いインクジェットプ
リンタの噴射装置及び噴射方法を提供する。 【解決手段】 相互に異なる層として構成された個別電
極14とノズルプレート21の一部を成す共通電極22
との間に低電圧を印加して,導電性インクの発熱を利用
してバブルを発生させ,その蒸気圧を用いてインクを開
口部20から噴射させて所望の印字を形成する。その際
に,本発明では,ノズルプレート21のインクと湿着す
る部分を導電層として共通電極22を構成し,単位面積
当たりの電流密度を集中させることにより,高周波駆動
を容易にし,さらに印刷媒体側の面を絶縁層で構成して
電気的な漏れを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェットプリ
ンタの噴射装置及び噴射方法に係り,特に相異なる層の
二つの電極間に低電圧を印加し,そのジュール熱により
インクチャンバ内の導電性インクにバブルを発生させ,
その蒸気圧でインクを開口部から外部に噴射して印字を
行う装置において,共通電極を構成するノズルプレート
のインクと湿着しない部位を絶縁層で構成することによ
り,エネルギー漏れを防ぐことが可能なインクジェット
プリンタの噴射装置及び噴射方法に関する。
【0002】
【従来の技術】まず,一般のインクジェットプリンタの
構成及び動作原理を図6を参照しながら説明する。
【0003】図示のように,CPU10は,プリンタイ
ンタフェースを介してコンピュータ(図示せず)から所
定の印刷信号が入力され,印刷動作に必要な初期設定値
及びシステム動作に必要なデータ値を格納するEPRO
M11内のシステムプログラムを読み出して,解釈,実
行し,そのプログラム内容に応じて,印刷動作に必要な
制御信号を出力する。ROM12には,制御に必要なプ
ログラム及び多数のフォントが格納されており,RAM
13には,システム動作時のデ−タが一時的に格納され
る。ASIC回路部20には,CPU10の制御に必要
な殆どのロジック回路が具体化され,CPU10と周辺
機能部との間のデ−タ伝送を実行している。ヘッドドラ
イバ30は,ASIC回路20から伝送されるCPU1
0の制御信号に応じて,インクカートリッジ31の駆動
を制御し,メインモータドライバ40は,メインモータ
41を駆動して,インクカートリッジ31のノズル部分
が空気に露出することを防止するように機能し,キャリ
ッジモータ駆動回路50は,キャリジリターン駆動モー
タ51の動作を制御し,さらにラインフィード駆動回路
60は,ステッピングモータを主として用いて,給紙及
び排紙を行うようにラインフィードモータ61の駆動を
制御している。
【0004】コンピュータからプリンタインタフェース
を通してプリンタに入力された印刷信号は,CPU10
の制御信号に応じて各モータドライバ40,50,60
などを駆動して印字を行う。この際,インクカートリッ
ジ31は多数個の開口部を有するノズルから微細なイン
ク滴を噴射させドットを形成させる方式が用いられてい
る。
【0005】次に,インク滴を形成するインクカートリ
ッジ31の構成についてさらに詳しく説明する。
【0006】図7は,インクカートリッジの構造を示し
た断面図であって,容器の外面をなすケ−ス1内には,
スポンジに吸入されているインク2が貯蔵され,そのそ
の下方部にインク噴射部3が形成されている。
【0007】図8は,図7に示したインク噴射部の拡大
断面図である。図示のように,インク噴射部には,イン
ク内に混入した不純物を除去するためのフィルタ32
と,フィルタ32により濾過されたインクを貯蔵するイ
ンクスタンバイチャンバ33と,そのインクスタンバイ
チャンバ33内のインクをインク加熱ヒータ部及びイン
クチャンバが形成されたチップ35に供給するインクバ
イア34と,インクバイア34から伝達された加熱ヒー
タ部(図示せず)のインクをメディアに噴射させるため
の多数個の開口部が設けられたノズルプレート36より
構成されている。
【0008】図9には,図8に示したインク噴射部のE
−E軸を断面としてA側から見た平断面図が示されてい
る。図中,インクバイア34から複数のインクチャネル
37を介して,多数個の開口部を有するノズルプレート
36とチップ35との間に形成されるインクチャンバ3
7にインクが供給される。インクチャンバ37には,電
気的接続手段38を介して電気的エネルギーが供給され
ており,制御信号に応じて適宜インク滴を噴射する。
【0009】図10は,図9に示すインク噴射部のF−
F軸を断面としてB側から見た拡大断面図である。図示
のように,シリコン(Si)基板101上には,酸化膜
処理により酸化膜(SiO2)102が形成され,その
酸化膜の上部に電気的エネルギーが供給されて発熱する
レジスタ層103が形成され,レジスタ層103の上部
には第1及び第2電極104a,104bが形成されて
いる。さらに,第1及び第2電極104a,104bと
レジスタ層103を覆うように,多層構造の保護層10
6が形成されて,第1及び第2電極104a,104b
とレジスタ層103がインクと直接接触して,化学変化
により腐食や変形が生じないように保護している。そし
て,保護層106の上部にインクチャンバ107が形成
され,その内部のインクは,ヒータ部105からの伝熱
によりバブルを生じる。また,このインクチャンバ10
7にはインクバイア34(図9)からインクを供給する
インクチャネル108が連通しており,このインクチャ
ネル108の流路は,保護層106の上に形成されるイ
ンクバリヤ109により規定される。そして,インクチ
ャンバ107の上部には多数の開口部110を有するノ
ズルプレート111が形成されており,この開口部11
0から,インクチャンバ107で発生するバブルによる
体積変化に応じて押し出されたインクが噴射される。
【0010】なお,ノズルプレート111と加熱ヒータ
105は相互に干渉しないように一定距離を開けて配置
されている。また,一対の電極104a,104bは,
外部から電気的エネルギーを供給可能なように端子バン
パ(図示せず)と接続されている。この端子バンパに
は,ヘッド制御部から適宜信号が送られ,所望の位置の
ノズル開口部からインクを噴射させることができる。
【0011】次に,上記のような構成を有する従来のイ
ンク噴射装置の噴射方法を,図9を参照しながら説明す
る。まず,不図示のコンピュータからプリンタインタフ
ェースを介して印刷指令を受けると,CPU10は対応
する制御指令をヘッドドライバ30に送り,印字を形成
したい位置にある一対の電極104a,104bに電気
的エネルギーを供給する。その結果,ヒータ部105が
電気的な抵抗熱,すなわちP=I2Rにより一定時間の
ジュール熱相当分発熱する。このようにして,例えば,
このヒータ部105の表面は,略500℃〜550℃ま
で加熱され,その熱が上部にある複数の保護層106に
伝達される。
【0012】すると,熱はさらに保護層106と相互湿
着しているインクに伝達されるが,その際に,ヒータ部
105における蒸気圧及び蒸気圧バブルの分布Cは,図
9に示すように,ヒータ部105の中心を対称軸として
中心部が最高に現れる。このように,かかる伝熱により
インクが加熱されて,蒸気圧バブルが形成され,この蒸
気圧バブルによりヒータ部105の上部のインクに体積
変化が生ずる。そして,この体積変化によりノズルプレ
ート111の開口部110からインクが外部に押し出さ
れる。
【0013】この時点で,二つの電極104a,104
bへの電気的エネルギーの供給を遮断すると,瞬間的に
ヒータ部105が冷却され,膨張した蒸気圧バブルが収
縮し,それに応じてインクが再び正常形態に復元しよう
とする。ところが,膨張してノズルプレートの開口部か
ら外部に押し出されたインクは,表面張力などの作用に
よりインク滴を形成し,紙などの印刷媒体に向けって噴
射され,所望の像を形成する。その結果,噴射されたイ
ンクに相当する体積分だけ内部圧力が降下し,新しいイ
ンクがインク貯蔵筒からインクバイアを介して再充填さ
れる。
【0014】ここで,上記のような従来のインク噴射装
置を用いた噴射方法には,以下のような問題点があっ
た。
【0015】第1に,インクを噴射させるために高熱を
用いてバブルを形成するので,インク成分に熱的変化が
生じ,また,バブルによる衝撃波で素子の内部寿命が短
縮し,印刷の質が劣化することがあった。これは高品質
の印刷を求めるユーザの不満の原因ともなっていた。
【0016】第2に,インクとレジスタ層103及び一
対の電極104a,104bが保護層106を中間媒体
として接合されているので,電気的に相互反応し,ヒー
タ部105と二つの電極104,104’の境界層でイ
オンの相互移動による腐食が発生し,ヘッドの寿命が縮
まることがあった。
【0017】第3に,インクを含有しているインクバリ
ヤ内でバブルを発生させるので,そのバブルの衝撃によ
りインク再充填のためのサイクルタイムが長くなるとい
う問題もあった。
【0018】第4に,インク滴の形状,直進性,円形
性,滴量の均一性などが,不確定に形成されるバブルの
形状に依存しているので,バブルの出来次第に応じて,
プリント品質に影響を与えることがあった。
【0019】第5に,複数の保護層を電極とレジスタの
上部に形成する必要があるため,製造工程が複雑にな
り,また,クリーンルーム内で製造を行う必要も生じ,
したがって製造工程費用の増大を招き問題となってい
た。
【0020】上記問題点を解決するために,図12に示
されるような改善された噴射方式が提案されている。
【0021】この噴射方式では,ノズルプレート200
に第1電極層201と第2電極層202を形成し,エキ
シマレーザなどを用いてノズル203を加工している。
そして,このノズル203を直接インク貯蔵筒(図示せ
ず)と連結して,導電性インクを毛細管現象を用いてノ
ズル203内に流入させるように構成している。
【0022】そして,この二つの電極201,202に
高電圧を印加して,ノズル内の導電性インクを加熱及び
蒸発させ,その蒸気圧によりノズル内のインクを所定の
印刷媒体上に噴射させる方法である。
【0023】この際,ノズル203は印刷媒体に面する
上部の断面積より下部の断面積が小さいテ−パ形状を有
している。そして,各電極に印加される電圧は約100
0V〜3000Vから10kHzまで駆動できる。
【0024】ところで,図12に示すような噴射装置で
は,高電圧によりノズル内のインクを加熱して,ノズル
内のインクを用紙上に噴射させる必要があるため,ノズ
ルを長く構成しなければならない。
【0025】また,図示のように,下部側の電極部の断
面積,すなわちノズルと連結される第2電極部の開口部
Dがノズル下端部の断面積D1より大きい。従って,各
電極に電圧を印加した時に,電流密度を集中させること
が困難となり,したがってそのロス分も含めた高電圧が
要求される。また,二つの電極とノズル部が構成される
ノズルプレートの厚みが大きいため,加工上の所要工程
時間が延び,製造コストが嵩むという問題点を抱えてい
る。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記問題点
に鑑みてなされたものであり,その目的は,ノズルプレ
ートを共通電極として用い,その表面全体に絶縁層を均
一に塗布するとともに,その内側であるインクチャンバ
側を導体で構成することにより,簡単な構造で,加工が
容易であり,しかも電流の損失を効果的に防止すること
が可能な,新規かつ改良されたインクジェットプリンタ
の噴射装置及び噴射方法を提供することである。
【0027】本発明の他の目的は,電流密度の集中化を
図るとともに,電流損失を防止して,低電圧での駆動を
可能にし,さらにバブル生成位置を一定化させて,イン
ク滴の直進性を向上させることが可能な,新規かつ改良
されたインクジェットプリンタの噴射装置及び噴射方法
を提供することである。
【0028】本発明のさらに他の目的は,一旦バブルが
生成すると,その周囲の電流密度が自然増加して,その
周辺に連鎖的にバブルを生成して全体的な蒸気圧を増や
すことが可能な,新規かつ改良されたインクジェットプ
リンタの噴射装置及び噴射方法を提供することである。
【0029】本発明のさらに他の目的は,インク噴射装
置内のチャンバにおいて,二つの電極に印加される電気
的エネルギーに応じて導電性インク内で発生する電流密
度の流れを安定化させるように,ノズルプレートの開口
部の所定の部位を導体層で囲むことにより,印刷の品質
を向上させることが可能な,新規かつ改良されたインク
ジェットプリンタの噴射装置及び噴射方法を提供するこ
とである。
【0030】本発明のさらに別の目的は,ノズルプレー
トのインクチャンバ内のインクと湿着する部分を,Ni
あるいはPt合金から成る導電層より構成するとともに
他の面を絶縁層で構成する多層構造を採用して,導電性
インクを通して発生するエネルギーを集中させ,電気的
エネルギーの漏洩を効果的に防止することが可能な,新
規かつ改良されたインクジェットプリンタの噴射装置及
び噴射方法を提供することである。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に,本発明の特徴は,バブルの生成が,電極の表面でな
く,インクチャンバ内の導電性インクの内部において電
流密度の流れにより生じる発熱により行われる点にあ
る。そして,本発明の構造的な特徴はノズルプレートを
共通電極として使用し,その表面を絶縁体で塗布した点
にある。
【0032】すなわち,本発明の第1の観点によれば,
複数のインク噴射用開口部が形成されたノズルプレート
と,その開口部と連通してインクが一時的に貯留される
インクチャンバと,そのインクチャンバの一部を成す複
数の個別電極とを備え,前記インクチャンバに貯留され
たインク内において電気エネルギーを熱エネルギーに変
換することによりバブルを生成し,そのバブルにより体
積変化を利用してインク滴を前記開口部から噴射するよ
うに構成されたインクジェットプリンタの噴射装置は,
請求項1によれば,前記ノズルプレートは,前記インク
チャンバを形成する絶縁バイヤ層により前記個別電極と
電気的に絶縁されており,前記開口部の少なくとも前記
個別電極側の一部は導電層により構成されており,前記
ノズルプレートの前記印刷媒体側の全面に絶縁層が形成
されていることを特徴としている。
【0033】その場合に,前記導電層は,請求項2に記
載のように,前記絶縁バイヤ層のほぼ全面を覆って共通
電極を構成するようにし,さらに請求項3に記載のよう
に,前記導電層の前記印刷媒体側に絶縁層を塗布するよ
うに構成しても良い。
【0034】あるいは,前記導電層は,請求項4に記載
のように,前記各開口部周りを囲繞するとともに,それ
ぞれが共通接続されて共通電極を構成するようにし,さ
らに請求項5に記載のように,前記導電層以外の部分は
絶縁層として構成しても良い。
【0035】また,前記インクは,請求項6に記載のよ
うに,導電性インクであり,一定範囲の抵抗値を有する
ことが好ましく,さらに前記インク内には,請求項8に
記載のように,導電性活性化のために塩化ナトリウムが
含有されることが好ましい。
【0036】また,前記個別電極及び前記ノズルプレー
トの導電層は,請求項7に記載のように,前記インクと
の腐食を防止するためにNiとPtの合金より構成され
ることが好ましい。
【0037】さらに,前記個別電極及び前記ノズルプレ
ートの導電層に印加される電圧は,請求項9に記載のよ
うに,DC100V以下であることが好ましく,また,
前記個別電極及び前記ノズルプレートの導電層に印加さ
れる電流は,請求項10に記載のように,5A以内の範
囲であることが好ましい。
【0038】また,前記バリヤ絶縁層は,請求項11に
記載のように,前記ノズルプレートと接着剤で接着して
構成しても良いし,あるいは,請求項12に記載のよう
に,前記ノズルプレートと熱融着方法によりシ−ルされ
るように構成しても良い。
【0039】さらに,本発明の第2の観点によれば,請
求項13に記載のように,バリヤ絶縁層を境界として複
数の個別電極とノズルプレートを相異なる層において相
互に絶縁されるよう形成するとともに,前記ノズルプレ
ートを導電層と絶縁層より構成し,印字を行う際には,
前記個別電極及びノズルプレートの導電層に相異なる極
性の電気エネルギーを供給して,前記個別電極と前記導
電層との間に形成されるインクチャンバ内の導電性イン
クの電流密度流れに前記ノズルプレートの導電層の作用
により直進性を付与し,インクの内部電流及び抵抗成分
により発生される熱エネルギーを用いてバブルを生成
し,そのバブルによる蒸気圧変化によりインクを液滴化
し,液滴化されたインクを前記ノズルプレートの開口部
から噴射することを特徴とする,インクジェットプリン
タの噴射方法が提供される。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照しながら,
本発明に基づいて構成されたインクジェットプリンタの
噴射装置及び噴射方法の好適な実施形態について詳細に
説明することにする。
【0041】図1は,本発明の好適な実施形態にかかる
インクジェットプリンタの噴射装置の拡大断面図であ
る。図示のように,シリコン(Si)基板11の支持面
上を酸化処理することにより,表面酸化膜(SiO2
12を形成し,さらにその上部に個別電極14が形成さ
れている。この個別電極14の一部分は,バブル生成用
チャンバ17の一方壁を成して,インク内にバブルを生
成させるようにインクと湿着しており,その他の部分
は,バリヤ層19により覆われている。
【0042】さらに個別電極14とバリヤ層19を介し
て電気的に分離されるようにノズルプレート21が形成
されている。ノズルプレート21はバブル生成用チャン
バ17の対応する位置に複数のインク噴射用開口20が
設けられている。また,ノズルプレート21は,インク
噴射用開口20を囲むように配された導電性の共通電極
22と,その上部を覆う絶縁層23から構成されてい
る。
【0043】バリヤ層19は,個別電極14と共通電極
22とを電気的に分離するとともに,インク流路を形成
し,インクをノズルプレート21の開口部20から噴射
させるための噴射力を増加させるとともに,蒸気圧の直
進性を付加するように作用する。
【0044】なお,符号24は電気的連結手段であり,
個別電極14とノズルプレート21共通電極22に電気
的エネルギーを供給することにより,チャンバ17内の
インクにバブルを生成されるものである。
【0045】なお,ノズルプレート21の表面に形成さ
れる絶縁層23は,導体から構成される,共通電極23
の表面全体に絶縁材料を均一に塗布することにより形成
することが可能であるので,加工及び構造が簡単であ
り,同時に電流の損失を防げるよう構成されている。
【0046】また,共通電極を成す導電層22は,イン
クチャンバ17の寸法と同一かあるいは若干小さめであ
り,周辺のチャンバに跨がらないよう構成されて,電流
密度の集中化と電流損失の防止を同時に達成し得るよう
になっている。従って,本実施の形態にかかる噴射装置
は,低電圧で駆動が可能であり,また,バブル生成位置
が一定なので,インク滴の直進性を向上することが可能
なように構成されている。
【0047】なお,個別電極14及びノズルプレート2
1の共通電極22の材質は,導電性インクとのイオン作
用による腐食を防止するためにNiとPtの合金で構成
される。
【0048】ノズルプレート21に形成された開口部2
0は,図2に示したように,印刷媒体側の断面積T’が
インクチャンバ側の断面積Tより小さくなっている。か
かる形状を採用することにより,インク滴の直進性を向
上させることができる。
【0049】かかる構成になるインクジェットプリンタ
の印刷方法について,実質的に従来の装置と同様であ
り,本発明はインクジェットプリンタの噴射装置に係る
ものなので,以下においては,本発明にかかるインクジ
ェットプリンタの噴射装置に特徴的な動作についてのみ
説明する。
【0050】まず,所望の位置,すなわち印刷を行うた
めに設定された位置に印字を形成するために,ヘッドド
ライバ(図示せず)から該当する個別電極に電気的信号
エネルギーを供給する。
【0051】この際,電気的連結手段24を介して該当
する位置にある個別電極14に電圧が印加されると共
に,共通電極をなすノズルプレート21の導電層22に
は逆極性の電圧が印加される。この際,印加される電圧
は,例えば直流電圧(DC)100V以下であり,各電
極に流れる電流は,例えば5A以下であることが好まし
い。
【0052】この結果,個別電極14と共通電極22と
の間に介在する導電性インクに沿って電流が流れる。
【0053】導電性インクは,例えば塩化ナトリウム
(NaCl)を含有しており導電性を有するとともに,
一定の抵抗成分を有しており,内部電流と抵抗により発
熱する。これは,P=I2R(I:電流,R:抵抗)に
示されるようなジュ−ルの法則により電気的エネルギー
が熱エネルギーに変換されるためである。
【0054】次に,本発明にかかるインクジェットプリ
ンタの噴射装置の他の実施の形態の構成について,図3
を参照しながら説明する。なお,本明細書において,実
質的に同一の機能構成を有する構成要素について,同一
の符号を付することにより重複説明を省略することにす
る。
【0055】本実施形態が,図1に示す実施形態と異な
る点は,多数の開口部20aを有するノズルプレート2
1aを構成する絶縁層23a内に,導電層22aがドー
ナッツ形状に構成されている点である。
【0056】この導電層22aは,開口部20aの周囲
を囲むように構成されており,チャンバ17内で発生さ
れる電流密度の流れがノズルプレート21aにより分散
されることを防止して,バブルの生成をさらに安定的に
することにより印字の品質を向上させるためのものであ
る。
【0057】図4は,図3に示したような構成を有する
ノズルプレート21aを上部,すなわち開口部20a側
から見た水平断面図である。図示のように,開口部20
aの周囲が,ドーナッツ形状の導電層22aにより囲ま
れていることが分かる。
【0058】次に図5を参照しながら,図1及び図3に
示した本発明の第1及び第2の実施の形態にかかる噴射
装置によるバブル生成及び印字形成過程について説明す
る。
【0059】まず,個別電極14とノズルプレート21
(21a)の導電層22(22a)に相異なる極性の電
源を供給する。すなわち,両電極間に直流電圧(DC)
を印加すれば,個別電極14側からノズルプレート21
(21a)方向に電流密度の差が発生し,この電流密度
差によりチャンバ17内のインクは内部電流及び抵抗に
より発熱する。
【0060】そして,個別電極14及びノズルプレート
21(21a)の間に形成されたインクチャンバ17で
バブルが発生すると,電流密度はこのバブルの周囲に沿
って流れ,バブルを突き抜けられなくなる。そして,バ
ブルの周囲で電流密度が集中し,さらに,電流が高まる
につれ,初期バブルが発生した周囲に連鎖的にP=I2
Rの増加により熱が発生し,バブルが発生する。
【0061】言い換えれば,初期バブルが発生すると,
そのバブル周辺の電流密度が増加し,これにより連鎖的
にバブルとバブル間の連結及び変形などば作用し,局所
的に大きい形態のバブルが形成され蒸気圧を増加させ
る。
【0062】このようにして,ある一定時間にわたり印
加される電気エネルギーにより,二つの電極間のインク
チャンバ17内の一定空間で,バブルの連鎖的な発生が
起きる。そして,このように生成されたバブルにより,
大きな蒸気圧が発生し,それによりインク内の体積変形
が発生し,インクチャンバ17のインクがノズルプレー
ト21(21a)の開口部20(20a)から外部に押
し出される。
【0063】開口部20(20a)の外へ押し出された
インクは,インク滴を形成するが,ノズル部でその粘性
により次第に体積を増加しながら留まっている。そし
て,適当なタイミングで,電極に印加される電気的エネ
ルギーを遮断すると,インクチャンバ17内のバブルが
消滅し,インクチャンバ17内の内部圧力降下により,
ノズル部に留まっていた噴射直前のインク滴は相互分離
して,紙などの印刷媒体に向けて噴射される。
【0064】同時に,インクチャンバ17内の圧力降下
により,新しいインクがインク貯蔵筒(図示せず)から
インクバイアを経て,さらにインクチャンネルを通して
インクチャンバ17に再充填される。
【0065】本実施の形態によれば,以上のような動作
を反復することにより,インク噴射と再充填を行い,所
望の像を印刷媒体上に具現化することができる。
【0066】言い換えれば,インクチャンバ17内のイ
ンクと湿着した個別電極14と,ノズルプレート21
(21a)の導電層22(22a)との間に印加された
電気的エネルギーが,中間媒体である導電性インクを通
して内部のいずれの部分で熱が発生し,その熱によりイ
ンクが加熱及び蒸発して,バブルを発生させ,インクを
開口部20(20a)から噴射させる。
【0067】また,ノズルプレート21(21a)の導
電層22(22a)は,インクチャンバ17内のインク
と湿着した個別電極14に対応する部分のみが電気的に
通電するので,単位面積あたり電流密度を集中すること
が可能であり,高周波駆動が容易になる。
【0068】一方,ノズルプレート21(21a)の絶
縁層23(23a)は,高温,高湿及び低抵抗のメディ
アが移送する場合や,不規則な移動により発生する電気
的漏れを防止して,その効率を向上させるように機能す
る。
【0069】以上,添付図面を参照しながら本発明にか
かるインクジェットプリンタの噴射装置の好適な実施形
態について説明したが,本発明はかかる例に限定されな
い。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術
的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想
到し得ることは明らかであり,それらについても当然に
本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0070】
【発明の効果】以上述べたように,本発明によれば,バ
ブル生成の構造に関して,従来のヘッド構造が電極と抵
抗で形成されたヒ−タ部でインクを加熱する構造を採用
していたのに対して,個別電極と共通電極として作用す
るノズルプレートを絶縁層を用いて電気的に分離させ,
二つの電極に相異なる極性の電圧を印加して,電流密度
差による電流の流れを用いてインク内の内部電流と抵抗
成分により発生する熱を用いてバブルを生成するように
構成している。かかる構成により,内部電極保護用の保
護層が不要となり,またヒータ部からの伝熱により電極
表面が損傷されるような問題も生じない。
【0071】また,本発明によれば,バブルがインク内
部おいて生成されるので,従来装置のように,バブルが
直接に電極表面で発生し消滅する際の衝撃波により電極
表面が破壊され寿命が縮まる問題が生じない。さらに,
内部の構造が簡単なので,工程が簡略化され,製作コス
トの節減を図ることができる。
【0072】以上のように,本発明は,バブルがインク
の内部において,ジュ−ルの法則により連鎖的に生成さ
れる点において,従来装置と比べて大きく改善されてい
る。また,個別電極とノズルプレートを電気的に絶縁し
て分離することにより,バブル生成のための電流密度を
向上させることが可能であり,常に均一な蒸気圧が保て
る。その結果,インクの直進性及び均一の噴射速度を保
持することができる。
【0073】さらに,インクチャンバ内のインクと湿着
する部分を導体で構成することにより個別電極を形成
し,その個別電極の断面積に応ずるよう導電層を構成す
ることにより共通電極を形成しているので,電流密度を
増加させることが可能となり,低電圧でもバブル生成を
容易に行える。さらに,インクの噴射を高周波駆動する
ことが容易に行え,しかもその構造及び製造工程が簡単
であり,量産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるインクジェッ
トプリンタの噴射装置の略拡大断面図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの噴射装置
のノズルプレート部の説明図である。
【図3】本発明の第2の実施形態にかかるインクジェッ
トプリンタの噴射装置の略拡大断面図である。
【図4】図3に示すインクジェットプリンタの噴射装置
のプレートノズル部分の水平方向断面図である。
【図5】本発明にかかるインクジェットプリンタの噴射
装置の動作状態を示す説明図である。
【図6】一般のインクジェットプリンタの構成を示す概
略的なブロック図である。
【図7】インクカートリッジの概略的な断面図である。
【図8】従来のインクカートリッジのヘッド部の拡大断
面図である。
【図9】図3に示すヘッド部をE−E軸を基準として断
裁し,A側から見た略拡大断面図である。
【図10】図4に示すヘッド部をF−F軸を基準として
断裁し,B側から見た略拡大断面図である。
【図11】従来技術にかかるインク噴射方式を示す説明
図である。
【図12】別の従来技術にかかる噴射装置のノズルプレ
ート部の説明図である。
【符号の説明】
11 基板 12 酸化膜 14 個別電極 17 インクチャンバ 19 バリヤ層 20 開口部 21 ノズルプレート 22 共通電極 23 絶縁層 24 電気的接続手段

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のインク噴射用開口部が形成された
    ノズルプレートと,その開口部と連通してインクが一時
    的に貯留されるインクチャンバと,そのインクチャンバ
    の一部を成す複数の個別電極とを備え,前記インクチャ
    ンバに貯留されたインク内において電気エネルギーを熱
    エネルギーに変換することによりバブルを生成し,その
    バブルにより体積変化を利用してインク滴を前記開口部
    から噴射するように構成されたインクジェットプリンタ
    の噴射装置において:前記ノズルプレートは,前記イン
    クチャンバを形成する絶縁バイヤ層により前記個別電極
    と電気的に絶縁されており,前記開口部の少なくとも前
    記個別電極側の一部は導電層により構成されており,前
    記ノズルプレートの前記印刷媒体側の全面に絶縁層が形
    成されていることを特徴とする,インクジェットプリン
    タの噴射装置。
  2. 【請求項2】 前記導電層は,前記絶縁バイヤ層のほぼ
    全面を覆って共通電極を構成することを特徴とする,請
    求項1に記載のインクジェットプリンタの噴射装置。
  3. 【請求項3】 前記導電層の前記印刷媒体側に絶縁層が
    塗布されることを特徴とする,請求項2に記載のインク
    ジェットプリンタの噴射装置。
  4. 【請求項4】 前記導電層は,前記各開口部周りを囲繞
    するとともに,それぞれが共通接続されて共通電極を構
    成することを特徴とする,請求項1に記載のインクジェ
    ットプリンタの噴射装置。
  5. 【請求項5】 前記導電層以外の部分は絶縁層として構
    成されることを特徴とする,請求項4に記載のインクジ
    ェットプリンタの噴射装置。
  6. 【請求項6】 前記インクは,導電性インクであり,一
    定範囲の抵抗値を有することを特徴とする,請求項1,
    2,3,4または5のいずれかに記載のインクジェット
    プリンタの噴射装置。
  7. 【請求項7】 前記個別電極及び前記ノズルプレートの
    導電層は,前記インクとの腐食を防止するためにNiと
    Ptの合金より構成されることを特徴とする,請求項
    1,2,3,4,5または6のいずれかに記載のインク
    ジェットプリンタの噴射装置。
  8. 【請求項8】 前記インク内には導電性活性化のために
    塩化ナトリウムが含有されることを特徴とする,請求項
    1,2,3,4,5,6または7のいずれかに記載のイ
    ンクジェットプリンタの噴射装置。
  9. 【請求項9】 前記個別電極及び前記ノズルプレートの
    導電層に印加される電圧は,DC100V以下であるこ
    とを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7ま
    たは8のいずれかに記載のインクジェットプリンタの噴
    射装置。
  10. 【請求項10】 前記個別電極及び前記ノズルプレート
    の導電層に印加される電流は,5A以内の範囲であるこ
    とを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8
    または9のいずれかに記載のインクジェットプリンタの
    噴射装置。
  11. 【請求項11】 前記バリヤ絶縁層は,前記ノズルプレ
    ートと接着剤で接着されることを特徴とする,請求項
    1,2,3,4,5,6,7,8,9または10のいず
    れかに記載のインクジェットプリンタの噴射装置。
  12. 【請求項12】 前記バリヤ絶縁層は,前記ノズルプレ
    ートと熱融着方法によりシ−ルされていることを特徴と
    する,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,1
    0または11のいずれかに記載のインクジェットプリン
    タの噴射装置。
  13. 【請求項13】 バリヤ絶縁層を境界として複数の個別
    電極とノズルプレートを相異なる層において相互に絶縁
    されるよう形成するとともに,前記ノズルプレートを導
    電層と絶縁層より構成し,印字を行う際には,前記個別
    電極及びノズルプレートの導電層に相異なる極性の電気
    エネルギーを供給して,前記個別電極と前記導電層との
    間に形成されるインクチャンバ内の導電性インクの電流
    密度流れに前記ノズルプレートの導電層の作用により直
    進性を付与し,インクの内部電流及び抵抗成分により発
    生される熱エネルギーを用いてバブルを生成し,そのバ
    ブルによる蒸気圧変化によりインクを液滴化し,液滴化
    されたインクを前記ノズルプレートの開口部から噴射す
    ることを特徴とする,インクジェットプリンタの噴射方
    法。
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