JPH11100215A - 光学ガラスの製造方法 - Google Patents

光学ガラスの製造方法

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JPH11100215A
JPH11100215A JP9262131A JP26213197A JPH11100215A JP H11100215 A JPH11100215 A JP H11100215A JP 9262131 A JP9262131 A JP 9262131A JP 26213197 A JP26213197 A JP 26213197A JP H11100215 A JPH11100215 A JP H11100215A
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porous body
glass
refractive index
calcined
component
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Takahisa Fukuoka
荘尚 福岡
Yuko Morita
祐子 森田
Takashi Koike
尚 小池
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔質体を経由した共通の工程を用いて多品
種の光学ガラスを製造する方法を提供する。 【解決手段】 加熱処理によって分解する少なくとも一
種の成分を含有した多孔質体を加熱処理し、該成分を多
孔質体中に固定した仮焼多孔質体を製造した後に、さら
に仮焼多孔質体中に少なくとも一種の成分を導入して焼
成することによって、光学フィルタ機能を有しているも
のと有していないものを共通の製造工程を利用して製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質体を経由し
て、光学ガラス、光学フィルタを製造する方法に関し、
とくに、ゾルゲル法によって作製した多孔質体を経由し
て光学ガラス、屈折率分布型光学ガラス、光学フィルタ
を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔質体を焼成してガラスを製造する方
法が知られている。多孔質体を経由したガラスの製造方
法では、多孔質体中に任意の成分を導入することができ
るために、導入する成分の濃度を所定の割合で変化させ
ることによって、屈折率の分布を有する屈折率分布型光
学素子用のガラスを製造することができる。例えば、特
公昭60−6295号公報には、多孔質ガラス体を形成
する連結孔に充填したスタッフィング剤の一部を溶媒中
に溶解除去した後に、連結孔内のスタッフィング剤を熱
分解して固定し、溶融してガラス体を製造する方法が記
載されており、多孔質体は、分相ガラスの特定の相を酸
で溶出して得られたものであった。
【0003】一方、溶融法によらずにゾルのゲル化によ
って得られた多孔質体の焼成によってガラスを製造する
ゾルゲル法によるガラスの製造方法が知られており、屈
折率を制御する成分、分散を制御する成分、透過率を制
御する成分、熱膨張を制御する成分、ガラス転移点を制
御する成分、機械的な性質を制御する成分、化学的な性
質を向上させる成分等の種々の成分を導入した後に焼成
してガラス化を行っている。
【0004】また、光学機器においては、レンズ系に光
学フィルタを設けることが行われており、光源、感光材
料、撮像素子の特性等に応じて所定の波長の光が感光材
料や撮像素子に入射されるようにしている。例えば、ビ
デオカメラ、デジタルカメラ等に用いられている電子撮
像素子上に結像させるレンズ系には、一般に撮像素子の
前に赤外線カットフィルタが配置されており、近赤外域
の波長範囲の光を除き、撮像素子の感度を人の比視感度
と同等となるように補正をすることが行われている。
【0005】本出願人は、光学フィルタと屈折率分布型
光学素子を一体化した光学素子を特開平9−12731
1号として提案している。このような屈折率分布を有し
たガラス体に光学フィルタ機能を付与すれば、光学系の
小型化が達成できるという特徴を有している。
【0006】また、屈折率分布光学素子には、その目的
によって各種の成分を導入する必要があるが、従来の方
法ではそれぞれの目的に応じて、ゾルの調製に必要な成
分の導入を行う必要があり、他品種の組成の屈折率分布
型光学素子を製造するためには、それぞれの屈折率分布
型光学素子に応じてゾルの調製から必要な成分の導入ま
でを分けて行うことが必要であり、一部の成分がわずか
に相違するものであっても、それぞれの屈折率分布型光
学素子毎にゾルの調製からゲル化を行う必要があった。
【0007】また、ゾルゲル法による光学フィルタの製
造においても、それぞれの目的に応じてゾルの調製を行
いゲル化を作製し、更には必要な成分の導入を行うこと
が必要であり、光学フィルタの機能を有する屈折率分布
型光学素子の場合には、光学フィルタの機能を有さない
ものとは別に光学フィルタの機能を有するものの製造に
使用するゾルを調整することが行われていた。
【0008】このように、従来の屈折率分布型光学素子
やフィルタの製造においては、それぞれの特性に応じて
多種類の製造工程が必要であるという問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、他種類の屈
折率分布型光学素子を、比較的簡単な工程で、安定した
品質で効率よく製造する方法を提供することを課題とす
るものであり、またフィルタ機能を有したガラスあるい
は屈折率分布型光学素子を安定した品質で製造する方法
を提供することを課題とするものであり、光学ガラスを
容易に、しかも安価に製造する方法を提供することを課
題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、光学ガラスの
製造方法において、加熱処理によって分解する少なくと
も一種の成分を含有した多孔質体を加熱処理し、該成分
を多孔質体中に固定した仮焼多孔質体を製造した後に、
さらに仮焼多孔質体中に少なくとも一種の成分を導入し
て焼成する光学ガラスの製造方法である。
【0011】仮焼多孔質体に導入する成分が、ガラスの
光学特性、化学的特性、または機械的特性の少なくとも
いずれかの特性を付与するものである前記の光学ガラス
の製造方法である。
【0012】仮焼多孔質体に導入する成分が特定の波長
を吸収する成分であり、光学ガラスが光学フィルタ機能
を有している前記の光学ガラスの製造方法である。
【0013】仮焼多孔質体に特定の波長を吸収する成分
を導入して光学フィルタを製造する前記の光学ガラスの
製造方法である。
【0014】仮焼多孔質体に導入する成分が光学ガラス
の特性修正のための成分である前記の光学ガラスの製造
方法である。
【0015】多孔質体が含有している成分もしくは、仮
焼多孔質体へ導入する成分が、光学ガラスに赤外線の吸
収作用を発現する物質である前記の光学ガラスの製造方
法である。
【0016】赤外線の吸収作用を発現する物質が銅、
鉄、コバルト、バナジウムを含有する物質から選ばれる
少なくとも一種の物質である前記の光学ガラスの製造方
法である。
【0017】屈折率分布を付与する成分と特定の波長を
吸収する成分を導入して製造した、光学フィルタ機能を
有している屈折率分布ガラスである前記の光学ガラスの
製造方法である。
【0018】多孔質体が含有している成分に濃度分布を
付与することにより屈折率分布を付与した後に、仮焼多
孔質体を製造し、仮焼多孔質体中に赤外線の吸収作用を
発現する物質を導入する前記の光学ガラスの製造方法で
ある。
【0019】また、多孔質体をゾルゲル法により製造す
る前記の光学ガラスの製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明は、少なくとも
1種類のガラス特性に寄与する元素を含有した多孔質体
を用いた屈折率分布を有する光学ガラスまたはフィルタ
の製造方法において、第1の元素の化合物を含有した多
孔質体を、前記第1の化合物の一部または全部が熱分解
によって固定される温度まで加熱処理して仮焼多孔質体
を製造した後、仮焼多孔質体の一部または全部に第2の
元素をドープするものである。一般に、屈折率に分布を
有したガラスはガラス中の屈折率に寄与する成分に濃度
分布を付与して屈折率に分布を形成している。
【0021】したがって、屈折率分布型ガラスは、ガラ
ス骨格を形成する物質に加えて少なくとも1種の屈折率
に寄与する屈折率調整成分を含有していることが必須で
ある。屈折率に分布を有したガラス体では、屈折率分布
を与える成分を少なくとも1種を含んでいれば良いが、
1種の屈折率調整成分では、屈折率に分布を有したガラ
ス体の分散成分は高分散分布特性になるため、屈折率分
布を与える成分が凸分布の場合、均質レンズのそれに比
して非常に色収差の発生が大きくなるため用途が限られ
る。
【0022】また、凹分布の場合、ガラス体の面で発生
する色収差と媒質で発生する色収差が打ち消し合うので
凸分布の場合に比べて色収差が小さい。
【0023】そこで、特性の優れた屈折率に分布を有し
たガラス体とするためには、少なくとも2種の屈折率調
整成分を含有させて媒質内で色収差の補正を行ったよう
な、低分散分布、負分散分布と呼ばれる色収差補正能力
を持った屈折率に分布を有したガラス体にすることが望
ましい。そのような特性の屈折率に分布を有したガラス
体を実現するためには、特開平3−151302号公
報、特開平5−88003号公報などに示されているよ
うに、原子価が2価以上の複数の成分に濃度分布を付与
して分布を複合化することが望ましい。これらの複数の
成分の濃度分布により、種々の光学特性を有した屈折率
に分布を有したガラス体を製造することができる。特
に、屈折率に分布を有したガラス体を用いて高性能な、
種々の特性を持つ光学系を形成する場合は、屈折率に分
布を有したガラス体の分散特性として、低分散分布、負
分散分布と呼ばれる特性を有することが必須となる。
【0024】本発明によって、このような種々の特性を
持つ屈折率に分布を有したガラス体を共通の材料を用い
てできるだけ共通化して製造する方法を提供することが
できる。
【0025】例えば、シリカ成分を骨格に有した多孔質
体中に第1の成分の濃度分布を付与する。次に、第1の
成分の少なくとも一部分が熱分解によって固定される温
度まで、多孔質体を加熱処理する。第1の成分の濃度分
布の一部または全部が固定される。次いで、 1)そのまま、特別の処理をしないで焼成し、緻密なガ
ラスとする。
【0026】2)透過率を調整する成分を多孔質体を接
触させる。
【0027】例えば、銅成分を含有した溶液に多孔質体
を浸漬し、反応させて仮焼多孔質体に固定したり、必要
に応じて銅化合物の溶解度の低い溶液に再度浸漬して、
銅を仮焼多孔質体中に固定し、乾燥後、焼成して、透過
率を調整した緻密なガラスとすると赤外線を吸収するこ
とができる。また、銅に代えて、チタンやセリウムを用
いれば、紫外線を吸収するガラスを製造することができ
る。両者をドープして、赤外、紫外の両方を吸収させる
ことも可能であるし、多種類の金属をドープすることに
よって特定の波長域の光のみを吸収させたり透過させる
ことも可能である。
【0028】3)屈折率を調整する成分に多孔質体を接
触させる。
【0029】例えば、鉛を含有した溶液に多孔質体を浸
漬し、反応させて仮焼多孔質体に固定する。また、必要
に応じて、鉛化合物の溶解度の低い溶液に再度浸漬し
て、鉛を仮焼多孔質体に固定し、乾燥後、焼成して屈折
率を調整したり、ドープした鉛を再度溶出後に固定し、
乾燥後、焼成して基体の屈折率を調整した緻密なガラス
とする。
【0030】4)分散を調整する成分に多孔質体を接触
させる。
【0031】例えば、チタンを含有した溶液に多孔質体
を浸漬し、反応させて仮焼多孔質体に固定したり、必要
に応じてチタン化合物の溶解度の低い溶液に再度浸漬し
て、チタンを仮焼多孔質体中に固定し、乾燥後、焼成し
て、分散の分布を調整した緻密なガラスとする。
【0032】5)耐アルカリ性の化学的特性を調整する
成分に多孔質体を接触させる。
【0033】例えば、ジルコニウムを含有した溶液に多
孔質体を浸漬し、反応させて仮焼多孔質体に固定した
り、必要に応じてジルコニウム化合物の溶解度の低い溶
液に再度浸漬して、ジルコニウムを仮焼多孔質体中に固
定し、乾燥後、焼成して耐アルカリ性を調整した緻密な
ガラスとする。アルミナの導入によって耐水性を、また
ジルコニアの導入によって耐アルカリ性等の化学的な耐
性を向上させることができる。
【0034】6)機械的特性、例えば、熱膨張係数を調
整する成分に多孔質体を接触させる。カリウム等のアル
カリ金属を含有した溶液に多孔質体を浸漬し、反応させ
て仮焼多孔質体に固定したり、必要に応じてアルカリ金
属化合物の溶解度の低い溶液に再度浸漬して、アルカリ
金属を仮焼多孔質体中に固定したり、ドープしたアルカ
リ金属を再度溶出後に固定し、乾燥後、焼成して熱膨張
係数を調整した緻密なガラスとする。
【0035】7)多孔質体の温度特性を調整することが
できる物質を添加する。
【0036】アルカリ元素やホウ素酸化物、リン酸化物
は仮焼ゲルを低温で軟化させることができるので、仮焼
ゲルのガラス化を容易にするために添加しても良い。
【0037】多孔質体にこれらの金属成分を接触させる
方法としては、最も一般的には多孔質体を各種特性を調
整する成分を含有している溶液中に浸漬する方法、また
は、多孔質体中の一部分解していない第1の元素の化合
物を溶出させたり、交換する方法を挙げることができ
る。
【0038】また、霧状、泡状、シャワー状にした液
体、あるいは導入すべき成分を含有した気相との接触に
よる導入も可能である。その際に処理時間や濃度、溶媒
の選択、後処理の条件の設定等によって特性調整成分に
濃度分布を付与したり、均一に導入しても良い。
【0039】また、導入する順序については、導入すべ
き化合物の性状等によって設定すれば良く、例えば、屈
折率分布を付与する物質と特定波長を吸収する物質の両
者を含む光学ガラスを製造する場合には、いずれの物質
を先に導入しても良い。
【0040】本発明の方法では、途中まで共通の工程に
よって、多種類の屈折率分布型ガラスを製造することが
できるので、仮焼多孔質体という半製品を用いて、目的
に応じた多種類の製品を得ることができ、また透過率の
調整も任意に行うことができる。
【0041】以下に、本発明の方法によって仮焼多孔質
体を用いて製造することができる光学素子の製造につい
て説明する。
【0042】(1)透過率を調整した光学素子 特定の波長域の光を吸収する光学素子の製造に適用する
ことができる。
【0043】屈折率分布型ガラスに、赤外カットの特性
を付与するためには、CuO、FeO、CoO、VO2
の金属酸化物を含有させるとよい。これはこれらの元素
は比較的可視域の吸収が少なく、赤外域の吸収は十分で
あるためである。
【0044】酸化鉄の場合は、二価の鉄でないと効果が
得られない。3価の鉄が共存すると、Fe2++−O−F
3+結合により可視部に吸収が現れる。これを防ぐには、
FeF6 3-やFePO4 を形成させればよい。
【0045】酸化銅の場合も一価の銅が共存すると、C
2 +−O−Cu+ が発色団になる。また、二価の銅に
配位するO2 -が減少すると、色調が青から緑、黒と変化
する。これを防ぐためにF、Pをドープしてもよい。
【0046】CuO、FeO、CoO、VO2 のドープ
量はわずかな場合が多いので、屈折率分布等への影響は
実質的に無視することができる。特に、透過率調整のた
めの成分を均一にドープした場合は、屈折率分布形状は
ほとんど変化せず、屈折率や分散のみが変化する。した
がって、屈折率分布形状はそのままに、屈折率や分散が
平行移動したような光学素子を得ることができる。
【0047】また、CCD等の撮像素子を用いた電子撮
像光学系の需要が高まっている。CCDは赤外域にも感
度を有するために、赤外線カットフィルターが必要とな
る。屈折率分布型レンズ中に赤外カット機能を付与すれ
ば、超小型光学系を実現できる。赤外線をカットする成
分は多少なりとも可視域の光もカットしてしまうため
に、着色が生じてしまう。このために、通常の光学系で
は用いることができず、無色の屈折率分布型レンズが必
要である。通常の光学系に用いるために必要な屈折率分
布は同じで透過率だけが異なった屈折率分布型レンズを
以下のようにすると共通の工程で製造できる。この方法
によって、仕掛り期間の短縮をすることができる。
【0048】組成分布を有したゲル(無色)→金属成分
の一部または全部が分解する温度まで仮焼→そのまま焼
成→無色屈折率分布型ガラス→銅含有溶液に浸漬→焼成
→赤外カット屈折率分布型ガラス (2)濃度分布を修正した光学素子 以下のように、仮焼多孔質体に屈折率分布を付与する成
分を含浸等によって屈折率分布型光学素子を製造する過
程において、一部の多孔質体に濃度分布を付与した後に
光学特性を測定し、その結果に基づいて多孔質体へ導入
する成分の濃度分布を修正して所望の濃度分布の光学素
子を得ることができる。
【0049】組成分布を有したゲル→金属成分の一部ま
たは全部が分解する温度まで仮焼→一部を焼成してガラ
ス化→光学特性測定→光学特性の測定結果に基づき仮焼
した多孔質体の濃度分布を修正→所定の光学特性を有す
る屈折率分布型ガラス (3)光学特性以外の特性の付与 光学素子は使用する用途に応じて、必要とする特性が異
なり、例えば、医療用の内視鏡は、高温高圧蒸気中で滅
菌することが必要であり、また工業用に使用される内視
鏡には、燃焼工程の観察等のように高温環境下で使用す
る場合もあり、これらの内視鏡用には、高温環境下での
耐性の高いガラスが必要である。
【0050】一方、通常の使用環境の光学系で用いるも
のは、特に耐性を向上したものを用いる必要はない。
【0051】そこで、以下のように、両者に共通に使用
可能な仮焼多孔質体を製造し、耐熱性等の特性を向上す
る成分を導入することによってガラスを製造することが
できる。こうした目的で仮焼多孔質体へ導入することが
できる成分としては、Al、Ti、Zr等が挙げられる
が、光学特性の影響が少ないAlが好ましい。
【0052】組成分布を有したゲル→金属成分の一部、
または全部が分解する温度まで仮焼→耐性等の向上用金
属成分含有溶液に浸漬→焼成・ガラス化 また、本発明の方法に用いることができる多孔質体は、
ゾルゲル法によるもの、溶融したガラスを分相させて製
造した多孔質体ガラスを用いるもの、CVDにより製造
したスートを用いることができる。
【0053】とくに、ゾルゲル法による製造の場合に
は、液体原料から液体状のゾルを作製した後、ゲル成型
容器中にそそぎ、一定時間放置してゲル化させてゼリー
状のゲルを作る。続いて該ゲルを乾燥して多孔質体であ
るドライゲルとし、最後に焼成して緻密化しガラス体と
している。
【0054】ゾルゲル法による光学素子の製造において
は、ゾル中にガラスの特性を調整する物質の添加、多孔
質体であるウェットゲルまたはドライゲルまたは仮焼多
孔質体にガラスの特性を調整する物質を導入する等のい
ずれの方法を用いることも可能である。また、ゲル中へ
の成分の導入のみではなく、あらかじめゾル形成工程等
において導入した成分を浸漬液中に溶出して濃度分布を
形成する等の処理を行ってもよく、さらに付与された濃
度分布が乱れないようにするために適当な溶液中へ浸漬
処理を施してから該ゲルを乾燥して多孔質体であるドラ
イゲルとし、最後に焼成して緻密な屈折率分布型ガラス
としても良い。また、本発明の方法では、このように種
々の工程で様々な成分をドープすることができるので、
組成の自由度が高く、ゾルゲル法はとくに好適である。
【0055】
【実施例】以下に、実施例を示し、本発明を説明する。
【0056】実施例1 テトラメトキシシラン50ml、テトラエトキシシラン
50mlとを混合し、これに1/100規定の塩酸42
mlを加えて室温で1時間攪拌して部分加水分解を行っ
た。この溶液に、1.25mol/lの酢酸鉛水溶液1
80mlと酢酸26mlを混合した溶液を添加して、1
0分間攪拌しゾルを調製した。このゾルを内径50mm
のフッ素樹脂製容器に注入し、ゲル化させた。
【0057】得られたゲルを60℃のイソプロパノー
ル:水=8:2(体積比、以下液体の比は体積比とす
る)の混合溶媒に溶解した0.61mol/l酢酸鉛溶
液に接触させ、酢酸の除去およびゲルの熟成を行った。
このゲルをイソプロパノール、2−プロパノール:アセ
トン=8:2、2−プロパノール:アセトン=5:5、
アセトンの順にゲルを各24時間ずつ浸漬することによ
り、ゲル細孔中に酢酸鉛の微結晶を析出・固定させた。
得られた均質ゲルを0.3mol/lの酢酸カリウムの
メタノール溶液350mlに8.5時間浸漬して、濃度
分布を付与した後、2−プロパノール、2−プロパノー
ル:アセトン=8:2、5:5、アセトンの順に浸漬す
ることにより、酢酸鉛、酢酸カリウムの微結晶をゲル細
孔中に析出、固定させた。
【0058】このゲルを乾燥後に、430℃まで酸素流
通下で仮焼し、室温に冷却後にAl(OsecC493
2−プロパノール溶液に浸漬した後に、乾燥し、570
℃まで焼成したところ、直径約20mmの屈折率に分布
を有したガラス体が得られた。 このガラスはアルミニ
ウムをドープしないものより耐水性に優れていた。
【0059】また、Al(OsecC493の2−プロパ
ノール溶液の代わりにAl(NO33・9H2Oのメタ
ノール溶液を用いても同様にして、アルミニウムをドー
プすることが可能であり、耐水性の向上が図れた。
【0060】実施例2 テトラメチルシリケート50mlに0.01規定の塩酸
25mlを加えて1時間攪拌し、部分加水分解反応を行
った。ここに1.5mol/lの酢酸バリウム水溶液9
8mlと酢酸40mlを混合したものを添加した。これ
をさらに30分間攪拌した後、内径10mmの真円度の
高い穴加工を施したフッ素樹脂製容器に注ぎ入れ、容器
に蓋をして密閉し、室温でゲル化させた。得られたゲル
を5日間熟成し、さらに60℃の2−プロパノール:水
=6:4の混合溶媒を用いた酢酸バリウムの0.45m
ol/l溶液中に浸漬し、酢酸の除去を行った。得られ
たゲルをメタノールとエタノールの混合溶媒およびエタ
ノールに浸漬することにより、ゲル細孔中に酢酸バリウ
ムの微結晶を析出、固定させた。
【0061】得られた均質ゲルを0.3mol/lの酢
酸カリウムのメタノール溶液150mlに8.5時間浸
漬して濃度分布を付与した後、エタノール:アセトン=
5:5、アセトンの順に浸漬することにより、酢酸バリ
ウム、酢酸カリウムの微結晶をゲル細孔中に析出、固定
させた。
【0062】このゲルを60℃から徐々に100℃まで
昇温して乾燥させて、450℃まで酸素通気下で仮焼し
た後に室温まで冷却した。
【0063】仮焼後のゲルの一部を0.1Mの酢酸銅エ
タノール溶液に浸漬後に乾燥し、600℃まで酸素フロ
ーを行い、700℃まではヘリウム通気下で緻密なガラ
ス体とした。このガラス体はΔn≒0.04の屈折率分
布を有し、かつ、赤外カット機能を有していた。可視〜
赤外域の分光透過率を測定を行ったところ、800nm
付近から長波長域(近赤外域)での透過率が低く、可視
域では問題がない高い透過率を示した。
【0064】一方、仮焼多孔質体を、600℃まで酸素
通気下で、700℃まではヘリウム通気下で焼成を行っ
て緻密なガラス体とした。このガラス体は赤外カット機
能のないΔn≒0.04の屈折率分布を有していた。
【0065】これら2種類のガラス体の屈折率分布は同
等であった。
【0066】実施例3 実施例1と同様にして調整したゲルを実施例1と同様に
して処理を行った仮焼多孔質体を製造した。仮焼多孔質
体を室温に冷却後に仮焼多孔質体の一部を2−プロパノ
ール:水=8:2の混合溶媒を用いた0.61mol/
l酢酸鉛溶液、2−プロパノール、2−プロパノール:
アセトン=8:2、5:5、アセトンにゲルを各24時
間ずつ浸漬することにより、仮焼多孔質体の細孔中に酢
酸鉛の微結晶を均一に析出・固定した後に、乾燥し、5
25℃まで焼成したところ、図1に示す屈折率分布を有
する直径20mmのガラス体が得られた。
【0067】また、仮焼多孔質体の一部は、450℃ま
で酸素通気下で焼成し、540℃まではヘリウム通気下
で焼成を行って緻密なガラス体とした。図2に屈折率分
布を示す直径20mmの屈折率に分布を有したガラス体
が得られた。
【0068】このように、仮焼多孔質体を浸漬する鉛溶
液の濃度を調整することにより、屈折率分布が異なった
ガラス体を製造することができる。
【0069】実施例4 実施例1と同様にして調整したゲルを実施例1と同様に
して処理を行った仮焼多孔質体を製造した。仮焼多孔質
体を室温に冷却後に仮焼多孔質体の一部を2−プロパノ
ール:水=8:2の混合溶媒を用いた0.61mol/
l酢酸鉛溶液、2−プロパノール、2−プロパノール:
アセトン=8:2、5:5、アセトンにゲルを各24時
間ずつ接触させることにより、仮焼多孔質体のゲル細孔
中に酢酸鉛の微結晶を均一に析出固定した。この後に、
さらに0.3mol/lの酢酸カリウムのメタノール溶
液350mlに8.5時間浸漬して濃度分布を付与した
後、2−プロパノール、2−プロパノール:アセトン=
8:2、5:5、アセトンの順に浸漬することにより、
酢酸鉛、酢酸カリウムの微結晶を仮焼多孔質体の細孔中
に析出、固定した。
【0070】次に、熱膨張係数の分布を補正するため
に、再び、450℃まで酸素通気下で仮焼し、室温で冷
却し、0.3mlの酢酸カリウムメタノール溶液350
mlに15分間間浸漬した後に乾燥し、焼成、ガラス化
したところ割れることなしに屈折率に分布を有したガラ
ス体が得られた。
【0071】一方、仮焼多孔質体を酢酸カリウム溶液に
よって浸漬処理しなかった点を除き、乾燥、焼成、ガラ
ス化すると、冷却中に割れてしまった。これは、鉛の濃
度分布が大きいために熱膨張係数に分布を有しているた
めとみられる。
【0072】実施例5 実施例2と同様にして仮焼多孔質体を製造した。この仮
焼後のゲルの一部を0.1MのTi(OnC474
エタノール溶液に浸漬後に乾燥し、600℃まで酸素通
気下で加熱し、また700℃まではヘリウム通気を行っ
て緻密なガラス体しとた。このガラス体は、図3におい
て斜めの実線で示すような屈折率と分散分布を有する光
学特性であった。
【0073】仮焼後のゲルの残りの一部はそのまま焼成
し、600℃まで酸素通気下で焼成を行い、700℃ま
ではヘリウム通気下で焼成を行って緻密なガラス体とし
た。このガラス体は、図4において斜めの実線で示すよ
うな屈折率と分散分布を有する光学特性であった。
【0074】このように、仮焼後のゲルを浸漬するチタ
ン成分の含有溶液の濃度によって、光学特性、特に分散
特性を制御し、種々の光学特性を持った屈折率に分布を
有したガラス体を製造することができる。
【0075】実施例6 シリコンテトラメトキシド(Si(OCH34)の4
9.5gと、ノルマルプロパノールの90gを混合し、
次に1/100規定の塩酸の6.0gを加え、60分攪
拌し、部分加水分解した後にチタンテトラノルマルブト
キシド(Ti(OnC494) の25.6gを添加し
てさらに30分間攪拌した。次いで、酢酸ランタン1.
5水塩65.5gを溶解した1N−塩酸の200mlを
添加して攪拌後、フッ素樹脂製の円筒容器に流しこんで
ゲル化させ、湿潤ゲルを得た。この湿潤ゲルを60℃で
7日間熟成して、酢酸カリウムを含有したメタノール/
エタノール混合溶液に浸漬して、ランタンに濃度分布を
付与した。この後に、酢酸を含有したアセトン/2−プ
ロパノール混合液、アセトンに24時間順次浸漬し、1
00℃まで乾燥した後に600℃まで酸素通気下で焼成
を行い、仮焼多孔質体を製造した。
【0076】得られた仮焼多孔質体を0.1Mのアルミ
ニウムトリSEC−ブトキシド(Al(OsecC493
のエタノール溶液に浸漬後に乾燥し、600℃まで酸素
通気下で焼成を行い、950℃まではヘリウム通気下で
焼成を行って緻密な屈折率に分布を有したガラス体を製
造した。
【0077】比較例2 実施例6と同様にして仮焼多孔質体を製造し、アルミニ
ウムをドープせずに焼成したところ、結晶化してガラス
を製造することができなかった。
【0078】実施例7 実施例2と同様にして、仮焼多孔質体を製造した。得ら
れた仮焼多孔質体の3個を、600℃まで酸素通気下で
焼成を行い、700℃まではヘリウム通気下で焼成を行
って緻密なガラス体とした。このガラス体の屈折率分布
を測定すると、周辺部分の屈折率がやや高いために分布
形状が公差範囲外であった。そこで、残りの仮焼ゲルの
一部をホウ素トリメトキシド(B(OCH33)の蒸気
中に曝し、周辺部のみにホウ素をドープした。この処理
を行った仮焼多孔質体を600℃まで酸素通気下で焼成
を行い、700℃まではヘリウム通気下で焼成を行って
緻密なガラス体とした。このガラス体の屈折率分布を測
定すると、分布形状が公差範囲内となり、処理を行うこ
とにより不良を良品とすることができた。実施例8実施
例2と同様にして仮焼ゲルを製造した。この仮焼多孔質
体の3個を、600℃まで酸素通気下で焼成を行い、7
00℃まではヘリウム通気下で焼成を行って、緻密なガ
ラス体とした。このガラス体の屈折率分布を測定する
と、周辺部分の屈折率がやや低いために分布形状が公差
範囲外であった。そこで、残りの仮焼多孔質体を0.0
5Mの酢酸バリウムのメタノール溶液に20分間浸漬
し、周辺部のみにバリウムをドープした。この後に、ア
セトンに浸漬してバリウムを固定し乾燥した。この処理
を行った仮焼多孔質体を600℃まで酸素通気下で焼成
を行い、700℃まではヘリウム通気下で焼成を行っ
て、緻密なガラス体とした。得られたガラス体の屈折率
分布を測定すると、分布形状が公差範囲内となり、所望
の屈折率分布を有する屈折率分布型ガラスを得ることが
できた。
【0079】
【発明の効果】本発明を用いることにより、多孔質体を
経由したガラス体の製造方法において、一部の成分を熱
処理によって固定した仮焼多孔質体を製造した後に、目
的に応じた成分の導入によって、他種類のガラス体を製
造することができ、製造工程の簡素化をすることことが
できるとともに、多孔質体中の濃度分布の調整等も容易
に行うことができ、屈折率に分布を有したガラス、フィ
ルタ等の製造を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によって製造した屈折率分布型ガ
ラスの屈折率分布を説明する図である。
【図2】本発明の方法によって製造した屈折率分布型ガ
ラスの屈折率分布を説明する図である。
【図3】本発明の方法によって製造した屈折率分布型ガ
ラスの光学特性を説明する図である。
【図4】本発明の方法によって製造した屈折率分布型ガ
ラスの光学特性を説明する図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 5/20 G02B 5/22 5/22 1/10 Z

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学ガラスの製造方法において、加熱処
    理によって分解する少なくとも一種の成分を含有した多
    孔質体を加熱処理し、該成分を多孔質体中に固定した仮
    焼多孔質体を製造した後に、さらに仮焼多孔質体中に少
    なくとも一種の成分を導入して焼成することを特徴とす
    る光学ガラスの製造方法。
  2. 【請求項2】 屈折率分布を付与する成分と特定の波長
    を吸収する成分を導入して製造した、光学フィルタ機能
    を有している屈折率分布ガラスであることを特徴とする
    請求項2記載の光学ガラスの製造方法。
JP9262131A 1997-09-26 1997-09-26 光学ガラスの製造方法 Withdrawn JPH11100215A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007018208A1 (ja) * 2005-08-08 2007-02-15 Isuzu Glass Co., Ltd. 赤外線吸収能を有する屈折率分布型光学素子の製造方法
JP2010514173A (ja) * 2006-12-21 2010-04-30 カール・ツァイス・エスエムティー・アーゲー 透過性光学素子

Cited By (3)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007018208A1 (ja) * 2005-08-08 2007-02-15 Isuzu Glass Co., Ltd. 赤外線吸収能を有する屈折率分布型光学素子の製造方法
JP2007047310A (ja) * 2005-08-08 2007-02-22 Isuzu Seiko Glass Kk 赤外線吸収能を有する屈折率分布型光学素子の製造方法
JP2010514173A (ja) * 2006-12-21 2010-04-30 カール・ツァイス・エスエムティー・アーゲー 透過性光学素子

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