JPH11100322A - 新規虚血・再灌流障害抑制剤 - Google Patents

新規虚血・再灌流障害抑制剤

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JPH11100322A
JPH11100322A JP27936897A JP27936897A JPH11100322A JP H11100322 A JPH11100322 A JP H11100322A JP 27936897 A JP27936897 A JP 27936897A JP 27936897 A JP27936897 A JP 27936897A JP H11100322 A JPH11100322 A JP H11100322A
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heparin
sulfo
ischemia
deoxy
reperfusion injury
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信男 櫻川
Takuo Misaki
拓郎 三崎
Takeshi Watanabe
剛 渡邊
Yasuhiro Uosaki
泰弘 宇於崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血流停止と血流の再開に伴う生体組織の障害
を回避する為に使用でき、入手容易な虚血・再灌流障害
抑制剤を提供する。 【解決手段】下記構造式(I)に示す構造単位を含み、且
つ下記(1)及び(2)に示す性質を有するヘパリン誘
導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として
含む虚血・再灌流障害抑制剤。 (1)ヘパリン分解酵素による分解とHPLC分析を組
み合わせた二糖分析から算出した二糖組成において、2-
デオキシ-2-スルファミノ-(4-デオキシ-2-O-スルホ-α-
L-threo-hex-4-エノピラノシルウロン酸)-6-O-スルホ-D
-グルコースのモル%が80%以上である。 (2)標準血漿に6μg/mlの濃度で添加した際の活性化
部分トロンボプラスチン時間(APTT)が50秒を越えな
い。 構造式(I) 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は虚血に伴う生体組織
の虚血障害及び/又は虚血後の再灌流に伴う生体組織の
再灌流障害(これらの障害を総称して「虚血・再灌流障
害」という)の抑制剤に関し、更に詳しくは、虚血及び
/又は再灌流により誘起される心筋などの各種臓器の組
織障害を抑制するための薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】血管中の血流の停止及びその後に再度血
液を流すことで、血管内壁、各種臓器、生体組織に障害
が起こることが広く知られている。例えば、虚血障害と
しては脳梗塞の際の虚血による脳組織の障害、心筋梗塞
もしくは心臓疾患治療のための手術に伴う虚血による心
筋の障害又は腎臓、肝臓もしくは肺臓などの各種臓器の
手術の際の虚血による臓器もしくは生体組織の障害など
が挙げられる。また、心臓の手術においては心臓及びそ
の周辺の血流を停止し、再度血液を流した際(再灌流
時)に血管内皮細胞及び心筋に対し重大な障害(再灌流
障害)を生じるため、生命が危ぶまれる例が跡を絶たな
いことも知られている。
【0003】更に、近年、心筋梗塞や狭心症の治療とし
て冠動脈インターベンションが行われるが、その一手法
として経皮経管冠動脈形成術(percutaneous translumi
nalcoronaryangioplasty;PTCA)が多用されている。当
該手法は、心臓の冠状動脈の塞栓や狭窄部位を,カテー
テルの先端に装着したバルーンを膨らませて開通させる
手術であり、カテーテルは下肢などから経皮的に末梢動
脈に導入され,血管内を伝わって冠状動脈まで挿入され
る。そしてバルーンを脹らませて開通させるが、虚血状
態に陥っていた患部よりも血流の下流域にあたる部位に
おいて大量の血液の灌流が起こるため患部と同様の内皮
細胞障害及び心筋障害が起こることが重大な問題点とし
て指摘されている。
【0004】ところで、例えば心筋梗塞の治療薬とし
て、従来は低分子化したヘパリンを使用する試みがなさ
れている(特表平7-503496)が、この薬剤は当該低分子
化ヘパリンの抗血液凝固活性によって血栓を溶解させて
血流を再開させることからなる心筋梗塞の抑制を目的と
している。PTCA時のバルーンによって血管内皮が損傷
し、術後数か月に過修復によってしばしば再狭窄が起こ
るが、このような血管内皮細胞の増殖を抑制することを
目的としてヘパリンの誘導体である過ヨウ素酸酸化還元
ヘパリンの使用が試みられており(WO92/17187)、当該
ヘパリン誘導体に平滑筋増殖抑制作用があることが知ら
れている。
【0005】一方、虚血・再灌流に伴う心筋の虚血・再
灌流障害抑制剤として従来はグルタチオンの前駆体のメ
チルエステルや、スーパーオキシドジスムターゼ(SO
D)の使用が試みられているが、前者は必ずしも優れた
効果を有するとはいえず、後者は優れた効果を発揮する
がその生体内における安定性に問題があり、生体内にお
いて活性を維持するための工夫が必要であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】血流停止(虚血)と血
流の再開(再灌流)に伴う生体組織の障害、特に心筋の
障害が重大な問題であるにもかかわらず、それを回避す
るために使用でき、しかも容易に入手可能である有効な
虚血・再灌流障害抑制剤は未だ見出されておらず、その
開発が期待されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく、鋭意検討を繰り返した結果、特定のヘパリ
ン誘導体が虚血・再灌流直後の組織障害を抑制する活性
を有することを見出し、この知見に基づいて本発明に達
した。すなわち、本発明は下記構造式(I)に示す構造単
位を含み、且つ下記(1)及び(2)に示す性質を有す
るヘパリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有
効成分として含む虚血・再灌流障害抑制剤を要旨とする
ものである。 (1)ヘパリン分解酵素による分解と高速液体クロマト
グラフィーによる分析を組み合わせた二糖分析から算出
した二糖組成において、2-デオキシ-2-スルファミノ-(4
-デオキシ-2-O-スルホ-α-L-threo-hex-4-エノピラノシ
ルウロン酸)-6-O-スルホ-D-グルコースのモル%が80%
以上である。 (2)標準血漿に6μg/mlの濃度で添加した際の活性化
部分トロンボプラスチン時間(activated partial thro
nboplastin time;APTT)が50秒を越えない。構造式(I)
【0008】
【化1】
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態をより詳
述する。本発明は虚血・再灌流障害抑制剤に係わるが、
その有効成分は上記構造式(I)に示す構造単位、すなわ
ちヘパリンの構成二糖中、一部のウロン酸が酸化的に開
裂し、生じたアルデヒド基が還元された構造単位を含
み、且つ下記(1)及び(2)に示す性質を有するヘパ
リン誘導体(以下NACヘパリンと記載することもある)
又はその薬理学的に許容される塩である。 (1)ヘパリン誘導体のヘパリン分解酵素による分解と
高速液体クロマトグラフィーによる分析を組み合わせた
二糖分析から算出した二糖組成において、2-デオキシ-2
-スルファミノ-(4-デオキシ-2-O-スルホ-α-L-threo-he
x-4-エノピラノシルウロン酸)-6-O-スルホ-D-グルコー
スのモル%が80%以上である。 (2)標準血漿に6μg/mlの濃度で添加した際に活性化
部分トロンボプラスチン時間(APTT)による凝固時間が
50秒を越えない。
【0010】上記NACヘパリンを製造する方法として
は、例えばWO92/17187記載の製造法、あるいは特開昭63
-278901記載の方法に基づき、所望の特性を有するよう
に反応条件を実験的に確認選定した変更を加えた製造法
などが挙げられ、例えば以下の方法により製造すること
ができる。分子量約14,000程度のヘパリンの0.5〜10
%、好ましくは1〜7%溶液に、例えば過ヨウ素酸塩や過
酸化水素等の酸化剤、好ましくは過ヨウ素酸アルカリ金
属塩、より好ましくは過ヨウ素酸ナトリウムを、0.01〜
0.3M、好ましくは0.05〜0.2Mの濃度で加えて該ヘパリン
を酸化処理し、ヘパリン骨格中の硫酸基の置換していな
いウロン酸残基の2位及び3位の炭素同志の結合を酸化
的に開裂させる。当該酸化反応は、pH3〜7、好ましくは
pH4〜5、温度0〜37℃、好ましくは0〜10℃、さらに好ま
しくは4℃前後で1日以上、好ましくは3日間の条件下で
行われる。
【0011】上記酸化処理の後に、過剰の酸化剤、例え
ば過ヨウ素酸ナトリウムを100〜500mMのエチレングリコ
ール或いはグリセリンにより処理して分解する。その
後、必要に応じて蒸留水による透析を行ったり、更に凍
結乾燥あるいはエタノール沈澱法などの方法を用いてヘ
パリンの過ヨウ素酸酸化生成物を得る。
【0012】前記酸化剤によってヘパリンを酸化処理し
た結果得られる酸化生成物はその構造中にアルデヒド基
を有しているので、当該アルデヒド基を還元剤の存在下
で還元処理する。還元処理の方法は、上記目的を達成す
る限り限定されないが、例えば0.1〜0.5M、好ましくは
0.2Mの水素化ホウ素ナトリウムを含む、pH8.5〜9.5の1
〜20%(W/V)、好ましくは5〜10%(W/V)の上記酸化
生成物溶液を、例えば4℃で3時間反応させることにより
行うことが好ましい。
【0013】反応終了後、反応液のpHを4〜5に調節する
ことにより過剰の水素化ホウ素ナトリウムを分解し、次
いで1〜2.5M、好ましくは2Mのアルカリ溶液(例えば水
酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化マグ
ネシウム溶液、水酸化カルシウム溶液など)に再溶解し
てpH9〜10に調整し、蒸留水に対して透析することによ
りNACヘパリンの塩を得ることが可能である。上記NACヘ
パリンはその薬理学的に許容される塩であってもよく、
例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩)及
びアルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム
塩)などが挙げられるが、アルカリ金属塩が好ましく、
その中でもナトリウム塩が最も好ましい。
【0014】上記反応自体は公知であるが、本発明の虚
血・再灌流障害剤の有効成分としての物性を有するヘパ
リン誘導体(以下NACヘパリンと記載する)は、その反
応条件を適宜調整することによって得ることが出来る。
具体的にはNACヘパリンは、一般にヘパリン骨格と呼ば
れるヘキスロン酸とグルコサミンの繰り返し構造中にお
いて、その中のウロン酸残基のうち、2位および3位に
硫酸基を有さないウロン酸残基が、前記2位と3位の炭
素原子間で開環、即ちそのピラノース環が開裂した構造
を有するので、原料ヘパリンの特定位の炭素原子間結合
が開裂する反応条件が選定される。また、NACヘパリン
の中でも本発明薬剤の成分として有効なものは、NACヘ
パリンをヘパリン分解酵素により分解して生じる二糖を
高速液体クロマトグラフィーで分析する方法によって求
めた二糖組成において、2-デオキシ-2-スルファミノ-(4
-デオキシ-2-O-スルホ-α-L-threo-hex-4-エノピラノシ
ルウロン酸)-6-O-スルホ-D-グルコース(以下ΔDiHS-tr
i(U,6,N)Sとも記載する)のモル%が少なくとも80%以上
であることが必要であり、85%以上であることが好まし
い。
【0015】更に、本発明薬剤の有効成分であるNACヘ
パリンは6μg/mlの濃度で標準血漿(健常人の血液より
一般的な方法によって調整した血漿)に添加して測定さ
れた凝固時間である活性化部分トロンボプラスチン時間
(APTT)が50秒を越えない特性を有するものである。
【0016】本発明の虚血・再灌流障害抑制剤は、虚血
時に生体組織に起こる虚血障害及び虚血後の再灌流時に
起こる再灌流障害を抑制するための薬剤を包含し、虚血
に先立ちあるいはその直後に使用されることに特徴を有
している。その為、例えばPTCA後の血管内皮細胞の増殖
を抑制して再狭窄を防止するための薬剤のように、手術
後長期間に渡って使用される薬剤とは明確に区別され
る。本発明の虚血・再灌流障害抑制剤は虚血時及び/又
は虚血後の再灌流において発生するフリーラジカル(活
性酸素など)によって起こる障害から組織を保護するた
めに有効な薬剤であり、主に心臓、脳、肺臓、腎臓、肝
臓の組織を保護するための薬剤として使用されるが、心
臓又は脳へ適用することが好ましく、心臓への適用が最
も好ましい。
【0017】具体的に心臓へ適用する薬剤としては、心
臓及び周辺血管の手術時に手術前から手術後にかけて連
続して投与して使用するための心筋虚血・再灌流障害抑
制剤等が挙げられるが、これらに限定されず、脳梗塞時
及びその治療時の血液の再灌流による脳の組織障害を抑
制するための脳虚血・再灌流障害抑制剤としても使用す
ることが可能である。本発明虚血・再灌流障害抑制剤
は、優れた生体組織保護効果を有し、且つ抗血液凝固活
性が低く、薬剤として投与した際に出血活性がないた
め、安全性が非常に高いことが特徴として挙げられる。
【0018】本発明虚血・再灌流障害抑制剤の剤型とし
てはNACヘパリンの前記のような作用を発揮しうる形態
であれば限定はされない。特にヒト、ウシ、ウマ、イ
ヌ、ネコ、ヒツジ又はヤギなどの哺乳類の血管中に投与
するために適した剤型が好ましい。この様な投与方法に
より投与が可能な剤型としては、例えば、注射用液剤及
び点滴用液剤などが挙げられるが、アンプル、バイアル
又は注射筒内に予め粉末として充填しておき、用時に溶
解する形態であっても良い。この様な形態としては、例
えば生理食塩水、マンニトール溶液、リンゲル液或いは
リン酸緩衝液等の適当な溶媒を用いて使用時に溶解して
投与できる剤型の製剤が挙げられ、このような製剤を溶
解可能な容器を採用することが可能である。
【0019】本発明虚血・再灌流障害抑制剤におけるNA
Cヘパリンの配合量並びに投与量は、その製剤の投与方
法、投与形態、使用目的、患者の具体的症状、患者の体
重などの変化しうる要因に応じて個別的に決定されるべ
きものであり、特に限定はされないが、一般にNACヘパ
リンの臨床投与量として1日あたり概ね100μg/kg〜100m
g/kg程度を例示することができる。また、上記製剤は、
虚血及び再灌流を伴う手術、例えば各種バイパス手術、
PTCA等の狭窄除去手術などの際に、その手術の直前から
手術後少なくとも数時間の間、点滴して患者に投与し続
けることが好ましい。
【0020】なお、本発明虚血・再灌流障害抑制剤の有
効成分であるNACヘパリンは、後述の実施例において生
体に対する毒性は見られなかった。一方、ヘパリンのマ
ウス(雄、雌)における急性毒性試験によるLD50は、経
口投与で5,000mg/kg以上、皮下又は腹腔内投与で2,500m
g/kg以上、静注で1,000mg/kg以上であることが知られて
いる。また、WO92/17187にも記載されている如く、NAC
ヘパリンの抗血液凝固活性が通常のヘパリンに比して大
幅に低下している。このことからも本発明虚血・再灌流
障害抑制剤の安全性は高いということができる。
【0021】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳述するが、
本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により
本発明が限定されるものではない。なお、本発明のNAC
ヘパリンの合成、同定及び活性評価は以下の試験例の方
法に基づいて行った。
【0022】試験例1 [NACヘパリンの合成]ヘパリンナトリウム塩(重量平
均分子量:13,700Da、Syntex社製LotNo.402109
10:以下原料ヘパリンと記載する)を使用してNACヘパリ
ンを合成した。原料ヘパリン1.3gを、過ヨウ素酸ナトリ
ウムの存在下で酸化した。この反応は、50mlの0.05Nの
過ヨウ素酸ナトリウム、50mMの酢酸ナトリウムを含んだ
pH5の溶液中で、4℃、3日間酸化処理して行った。酸
化処理後、過剰の過ヨウ素酸を最終濃度250mMのグリセ
リンを加えることで分解し、蒸留水に対して2日間透析
し、その後凍結乾燥することにより1.2gの過ヨウ素酸酸
化ヘパリンを得た。
【0023】この過ヨウ素酸酸化ヘパリンの生成時に生
じたアルデヒド基は、30mlの0.2N水素化ホウ素ナトリウ
ム、0.25N炭酸水素ナトリウム及び1.2gの該酸化ヘパリ
ンを含むpH9の溶液を4℃、3時間反応させることで還
元した。反応後のpHを氷酢酸で5に調節し、30分間室
温に放置することで過剰な水素化ホウ素ナトリウムを分
解し、ふたたび5Nの水酸化ナトリウムでpHを9に調節し
た後、蒸留水への2日間の透析と凍結乾燥により、1.1g
のNACヘパリンのナトリウム塩を得た。
【0024】試験例2 [酵素消化による二糖分析]試験例1で得たNACヘパリ
ンの二糖組成、すなわち構成二糖の硫酸基の位置の分析
を、次のようにして行った。すなわち、NACヘパリンを
酵素消化し、生成した不飽和二糖(前記構造式:(I))
を、不飽和二糖スタンダードを対照として、高速液体ク
ロマトグラフィー(HPLC)で分析した(新生化学実験講
座3、糖質II(東京化学同人刊、1991)、49−62頁に記
載の「2・8グリコサミノグリカン分解酵素とHPLCを組み
合わせた構造解析」参照)。不飽和二糖スタンダードと
しては、例えば不飽和ヘパラン/ヘパリン・二糖ミック
ス(Hミックス)(生化学工業(株)製)などを使用す
ることができる。構造決定可能な各不飽和二糖のピーク
面積を計算して、全面積に対するピーク面積をパーセン
トとして表した。
【0025】(1)NACヘパリンのヘパリン分解酵素に
よる消化 新生化学実験講座3、糖質II 54-59頁に記載の方法によ
り、ヘパリンあるいはNACヘパリン1.0mgを2mM酢酸カル
シウムを含む20mM酢酸ナトリウム(pH7.0)220μlに溶
解して、20mUのヘパリチナーゼ、20mUのヘパリチナーゼ
I及びIIを加えて、37℃時間反応させた。
【0026】(2)HPLCによる分析 上記(1)による消化を行った後の溶液20μlを、HPLC
(医理化、モデル852型)を用いて分析した。イオン交
換カラム(Dionex社、CarboPac PA-1カラム4.0mm×250
mm)を使用し、232nmでの吸光度を測定した。流速1ml/
分で、塩化リチウムを用いたグラジエント系(50mM→2.
5M)を用いる方法に準拠した(Kariya, etal.,Comp.Bio
chem.Physiol.,103B,473,(1992))。その結果、ΔDiHS-
tri(U,6,N)S含量は、原料ヘパリンで64.2%、NACヘパリ
ンで89.7%となった。
【0027】試験例3 [分子量測定]試験例1で得たNACヘパリンの3%溶液10
μlをHPLCによるゲルろ過で分析した。カラムはTSKgel-
(G4000+G3000+G2500)PWX(東ソー、7.8mm×30cm)
を用い、溶離液に0.2M塩化ナトリウムを使用して、1.0m
l/分の流速で展開した。NACヘパリンの検出には、示差
屈折計(島津製作所、AID-2A)を用いた。平均分子量は
ヘパリンの分子量標準品を対照にして求めた(Kaneda e
t al.,Biochem. Biophys. Res. Comm.,220 ,108-112(19
96))。その結果、試験例1で得たNACヘパリンの分子量
は約12,800であることが明らかになった。
【0028】試験例4 [NACヘパリンの活性化部分トロンボプラスチン時間(A
PTT)測定]APTTの測定のため、健常人より3.2%クエン
酸1/10容量で採血した。血液を1,000×g、10分間遠心分
離し、得た血奬にNACヘパリンを6μg/mlとなるように添
加し、その混合液100μlを測定用カップに入れ、37℃で
1分間保温した。その後、あらかじめ37℃に保温してお
いたアクチン(商品名:(株)ミドリ十字)100μlを添
加し、さらに2分間保温した。次いで、37℃に保温して
おいた0.02M CaCl2溶液100μlを添加し、この時より凝
固がおこるまでの時間を血液凝固自動測定装置(KC-10
A:アメルング社製)で測定した。その結果、試験例1
で得たNACヘパリンのAPTTは42秒となった。対象として
用いた上記試験例1で使用した原料ヘパリンのAPTTは30
0秒以上となった。
【0029】実施例1 本発明虚血・再灌流障害抑制剤
の製造 試験例1によって調製したNACヘパリン(ΔDiHS-tri(U,
6,N)S:89.7%、分子量:約12,800、標準血漿に6μg/ml
濃度で添加した際のAPTT:42秒)を使用することにより
本発明虚血・再灌流障害抑制剤を製造した。注射剤は、
試験例1で製造したNACヘパリン50gを用い、このNACヘ
パリンを5mg/mlとなるようにマンニトール水溶液に溶解
し、これを無菌濾過した後に、2mlずつアンプルに分注
して製造した。液剤は、上記同様の製造法によって得た
NACヘパリンを5μg/mlとなるように点滴用マンニトール
に溶解した後に、無菌濾過して、点滴用液剤として500m
lずつパックした。
【0030】実施例2 本発明虚血・再灌流障害抑制剤
の虚血・再灌流時におけるに組織保護効果 虚血・再灌流時に本発明虚血・再灌流障害抑制剤の組織
保護効果を成犬(10〜20Kg)の虚血・再灌流モデルによ
り確認した。すなわち、生理食塩水(対照群)、5mg/ml
の試験例1の原料ヘパリンを溶解したマンニトール溶液
2ml(ヘパリン群)、及び上記実施例1で製造したNACヘ
パリンの注射剤(NACヘパリン群)を用意し、対照群
(生理食塩水を静注、n=5)、ヘパリン群(2mg/kgを静
注、n=5)、NACヘパリン群(2mg/kgを静注、n=5)の3群
を以下の方法で、15匹の成犬に投与した。
【0031】初めにそれぞれの検体(各群5匹の成犬、
3群)を左第VI肋間において開胸し、心臓の左室圧測定
用の5Frミラーカテーテル(Millar、Mikro-Tip製)及び
心臓の左室容積測定用の動物研究用5Frコンダクタンス
カテーテル(Cordis,EuropaNV,Podeu製)を左室心尖部
より挿入した後、冠動脈左前下行枝に咬合器を装着し
た。薬剤の投与は、左大腿動脈にシリコンカテーテルを
留置して行った。咬合器による虚血は15分間行った。各
項目の測定は薬剤投与前、投与5分後、閉塞15分後、再
灌流15分後、再灌流60分後、再灌流120分後、再灌流180
分後に行った。各時点における左室圧容積図を左室容積
測定装置Sigma 5(Leycom製)により記録し、左室収縮
性の指標であるEmax、血圧、心拍数を求めた。
【0032】また、各時点において採血を行い、一般凝
固系(部分トロンボプラスチン時間(PT)、活性化部分
トロンボプラスチン時間(APTT)、血小板数、フィブリ
ノーゲン量)、線溶系(プラスミノーゲン活性)及び内
皮細胞障害系(NO2 -/NO3 -、エンドセリン-1量)を一般
的手法を用いて測定した。特に、NO2 -/NO3 -の測定はCay
man製のNO2 -/NO3 -測定キット、エンドセリン-1量の測定
はIBL製のエンドセリン−1測定キットを使用した。
【0033】その結果、薬剤投与前と比較して、虚血時
に内皮細胞の障害の度合を示すNO2 -/NO3 -の増加がコン
トロール群に観察され(+0.3)、ヘパリン群で変化がほ
とんど見られなかった(-0.1)のに対し、NACヘパリン
群は大きく減少し(-0.5)、他の2群と比較して内皮細
胞障害が少ないことが明らかとなった。特にNACヘパリ
ン群の内皮細胞障害の低さは虚血直後に顕著であった。
また、NACヘパリン群は、血圧や心拍数に影響はなく、
更にNACヘパリン群においてAPTT、PT、フィブリノーゲ
ン量及びエンドセリン−1量は大きな上昇はなく、血小
板数、プラスミノーゲン活性の減少が見られなかったこ
とから、血液凝固系への影響が低いことが明らかであ
り、虚血・再灌流障害抑制剤として使用した際の安全性
の高さを裏付ける結果が得られた。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、虚血・再灌流に伴って
誘起される虚血障害及び/又は再灌流障害から組織を保
護するための虚血・再灌流障害抑制剤が提供され、脳梗
塞や心筋梗塞などの血流障害、血管閉塞を改善する手
術、特にPTCAや血管バイパス手術の際に起こる虚血障害
及び/又は再灌流障害を抑制することが可能となる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記構造式(I)に示す構造単位を含み、
    且つ下記(1)及び(2)に示す性質を有するヘパリン
    誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とし
    て含有することを特徴とする虚血・再灌流障害抑制剤。 (1)ヘパリン分解酵素による分解と高速液体クロマト
    グラフィーによる分析を組み合わせた二糖分析から算出
    した二糖組成において、2-デオキシ-2-スルファミノ-(4
    -デオキシ-2-O-スルホ-α-L-threo-hex-4-エノピラノシ
    ルウロン酸)-6-O-スルホ-D-グルコースのモル%が80%
    以上である。 (2)標準血漿に6μg/mlの濃度で添加した際の活性化
    部分トロンボプラスチン時間(activated partial thro
    nboplastin time;APTT)が50秒を越えない。構造式(I) 【化1】
  2. 【請求項2】 ヘパリン誘導体の有する性質(1)が下
    記の通りであることを特徴とする請求項1記載の虚血・
    再灌流障害抑制剤。 (1)ヘパリン分解酵素による分解と高速液体クロマト
    グラフィーによる分析を組み合わせた二糖分析から算出
    した二糖組成において、2-デオキシ-2-スルファミノ-(4
    -デオキシ-2-O-スルホ-α-L-threo-hex-4-エノピラノシ
    ルウロン酸)-6-O-スルホ-D-グルコースのモル%が85%
    以上である。
  3. 【請求項3】 冠動脈の虚血に伴う心筋組織障害を抑制
    するための薬剤であることを特徴とする請求項1又は2
    記載の虚血・再灌流障害抑制剤。
  4. 【請求項4】 経皮経管冠動脈形成術又は冠動脈バイパ
    ス術を行う際に使用される薬剤であることを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の虚血・再灌流障
    害抑制剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003512385A (ja) * 1999-10-22 2003-04-02 アベンテイス・フアルマ・ソシエテ・アノニム 新規オリゴ糖、製造法およびそれらを含有する製薬学的組成物

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