JPH11100576A - 液晶組成物および表示素子 - Google Patents

液晶組成物および表示素子

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JPH11100576A
JPH11100576A JP9262538A JP26253897A JPH11100576A JP H11100576 A JPH11100576 A JP H11100576A JP 9262538 A JP9262538 A JP 9262538A JP 26253897 A JP26253897 A JP 26253897A JP H11100576 A JPH11100576 A JP H11100576A
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JP9262538A
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Takahiro Fujiyama
山 高 広 藤
Toyotaro Maruyama
山 豊太郎 丸
Yukari Sakai
井 由香里 酒
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の液晶組成物は、次式で表される化
合物を含有しており、本発明の表示素子ではこの液晶組
成物が用いられている。 【化1】 式中、R1は、アルキル基またはポリフルオロアルキル
基等であり、X1は、−O−基または単結合である。 【効果】本発明の組成物は三安定性反強誘電性を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、含フッ素カルボン酸エス
テル化合物を含有する新規な液晶組成物およびこの液晶
組成物を用いた表示素子に関するものである。さらに詳
しくは本発明は、作動温度範囲が広く、スイッチング速
度が大きく、しかも安定したコントラストが得られる液
晶素子を形成し得る液晶組成物およびこの液晶組成物を
用いた表示素子に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】液晶化合物を用いた表示素子は、
低電圧駆動性、低消費電力性および小型・薄型化の観点
から広く使用されている。現在使用されているスイッチ
ング素子は、通常TN(ツイストネマチック)モードに
よって駆動している。
【0003】しかしながら、この方式を採用した場合、
表示される画面を変えるためには、素子中における液晶
化合物の分子の位置を変えることが必要であり、こうし
た表示素子には、液晶化合物の分子位置を変えるために
必要となる電圧、すなわち消費電力が大きくなるという
問題がある。
【0004】ところで、強誘電性液晶材料を用いたスイ
ッチング素子が知られており、この強誘電性液晶材料を
用いた素子は従来のTNモードあるいはSTNモードを
利用したスイッチング素子とは異なり、強誘電性液晶化
合物の有する自発分極(Ps)と電界強度(E)とによ
り与えられるPs×Eの値が液晶化合物の配向方向を変
えるための実効エネルギーであることから、スイッチン
グ速度が非常に短縮されるという利点を有している。さ
らに、このような強誘電性液晶材料は、印加電界の方向
によって二つの安定した状態、すなわち双安定性を形成
するため、スイッチングのしきい値も非常に良好であ
り、動画用の表示デバイス等として用いるのに特に適し
ている。
【0005】しかしながら、このような強誘電性液晶材
料を光スイッチング素子等として使用する場合、次のよ
うな問題点が指摘されている。第一の問題点は、自発分
極に起因する残像現象(スイッチング不良)である。す
なわち、強誘電性液晶材料を用いて二つの一様状態を用
いて表示をさせようとする場合、セル内で双極子を配向
させ、ある一定時間この状態に保持させる必要があるた
め、一方の一様状態を形成している間に生じた電荷の分
極による内部電場が、他方の一様状態へのスイッチング
を阻止するように作用してスイッチング不良を生じさせ
る。第二の問題点は、機械的ショックに対する安定性の
低さである。すなわち、スメクチック液晶はネマチック
液晶とは異なり、層構造を有する一次元結晶であるの
で、一度乱れた配合の修復は基本的には困難である。ま
た、強誘電性液晶材料は、セル内で層構造が「く」の字
に屈曲したシェブロン構造や分子がねじれたツイスト構
造を採りやすく、高いコントラストおよびメモリー性が
得られにくい。
【0006】このような強誘電性液晶化合物を用いた表
示素子における問題点は、表示素子における本質的な問
題点であると認識されてきている。
【0007】
【従来技術における問題点】これに対して、反強誘電性
液晶は、強誘電性液晶に匹敵する高速対応性を有すると
共に、単純マトリックス駆動に適したダブルヒステリシ
ス特性を有し、かつ安定配向性等の特性に優れた液晶で
ある。この反強誘電性液晶を用いた表示素子の動作モー
ドは、電場誘起相転移スイッチングモードである。すな
わち、電場ゼロのときには、隣接する分子が相互に反対
方向に双極子を向けた反強誘電状態をとり、自発分極は
ゼロである。ここに、しきい値以上の電圧を印加する
と、電場の極性に応じて二つの強誘電状態が誘起され
る。この電場による三安定状態スイッチングによって、
反強誘電性液晶材料は、反強誘電性に特有のダブルヒス
テリシスと急峻なしきい値とを示す。
【0008】ところで、液晶材料の特性の中で、相転移
温度は表示デバイスの動作温度範囲を決定するものであ
り、液晶材料を用いる上で重要な特性である。液晶材料
を用いる際に液晶材料の動作温度は、室温付近にあり、
かつこの動作温度範囲ができるだけ広いことが望まし
い。一般的なディスプレーとしての素子を考えると、バ
ックライトにより表示素子の表面温度は少なくとも40
℃位にはなっていると考えられる。従って、素子駆動の
ためには反強誘電相の上限温度は40℃以上であること
が必要であり、望ましくは50℃以上である。
【0009】一般に液晶材料の動作温度を低くして動作
温度範囲を拡大するために、2種類以上の分子形状の異
なる液晶化合物をブレンドする方法が採用されている。
しかしながら、従来の組成は、主として反強誘電相の下
限温度を下げるための組成であり、反強誘電相の上限温
度を上げるのにどのような液晶材料を用いるかについて
は明示されていない。さらに、従来は、反強誘電相の上
限温度を上げて動作温度範囲を拡大する方法はこれまで
一般的ではなかった。
【0010】また、反強誘電性液晶を表示デバイスとし
て用いる場合、そのチルト角はデバイスのコントラスト
に係わる重要な材料物性である。ここでチルト角とはス
メクチック層の層法線方向と液晶分子のなす角度であ
る。電圧を印加した明状態での透過光量はチルト角に依
存し、理想チルト角は45度である。
【0011】一般にこうしたチルト角を最適化する方法
として、チルト角の大きい強誘電性液晶をブレンドする
方法が知られている(特開平6-271852号公報参
照)。
【0012】しかしながら、このようにチルト角を最適
化しても、反強誘電相の上限温度が低いために、反強誘
電性液晶材料は充分な実用性を有していないとされてい
た。また、特開平7-242601号公報には、特定の
式で表される含フッ素カルボン酸エステル化合物を含有
する液晶組成物についての記載があるが、この公報に記
載されている特定の式で表される化合物のうち、どの化
合物が三安定性反強誘電性液晶化合物として有用性が高
く、さらに、三安定性反強誘電性液晶組成物をを製造す
る際に、この公報に記載された特定の式で表される含フ
ッ素カルボン酸エステル化合物のうちのどの化合物を選
択し、さらにこれと混合して三安定性反強誘電性液晶組
成物を形成する際に用いられる他の液晶化合物に関して
具体的には記載されていない。
【0013】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決するためになされたものであって、含フッ
素カルボン酸エステル化合物を含有する新規な液晶組成
物を提供することを目的としている。さらに詳しくは本
発明は、動作温度範囲が広く、しかもチルト角が大きい
ので安定したコントラストが得られる液晶素子を形成し
得る液晶組成物を提供することを目的としている。
【0014】また、本発明は、上記のような液晶組成物
を用いた、コントラストが高く実用性のある表示素子を
提供することを目的としている。
【0015】
【発明の概要】本発明の液晶組成物は、次式[I]で表さ
れる化合物群から選ばれる少なくとも一種類の化合物を
含有することを特徴とする液晶組成物である。
【0016】
【化5】
【0017】上記式[I]において、R1は、炭素数3〜2
0のアルキル基または炭素数3〜20のポリフルオロア
ルキル基を表し(ただし、これらの基中に存在する1個
または隣接していない2個以上−CH2−基または−C
F2−基は、−O−基で置き換えられていてもよい)、
X1基は、−O−基または単結合を表す。
【0018】また、本発明の表示素子は、隙間を設けて
互いに対抗するように配置された2枚の基板と、該基板
によって形成されるセルと、該基板間の隙間に充填され
た液晶組成物とを有する表示素子であって、該液晶組成
物が、上記[I]で表される化合物群から選ばれる少なく
とも一種類の化合物を含有することを特徴としている。
【0019】本発明の液晶組成物およびこれを用いた表
示素子によれば、動作温度範囲が広く、しかもチルト角
が大きいので安定したコントラストが得られる等、優れ
た特性を有する各種デバイスを得ることができる。
【0020】
【発明の具体的説明】次に、本発明に係る液晶組成物に
ついて具体的に説明する。本発明の液晶組成物は、次式
[I]で表される化合物群から選ばれる少なくとも一種類
の化合物を含有する液晶組成物であり、好ましくは次式
[I]で表される化合物群から選ばれる少なくとも一種
類の化合物を含有する三安定性反強誘電性液晶組成物で
ある。
【0021】
【化6】
【0022】上記式[I]において、R1は、炭素数3〜2
0のアルキル基または炭素数3〜20のポリフルオロア
ルキル基を表す。さらに、これらの基中に存在する1個
または隣接していない2個以上−CH2−基または−C
F2−基は、−O−基で置き換えられていてもよい。
【0023】また、上記式[I]において、X1は、−O−
基または単結合を表す。上記式[I]において、R1および
X1の具体的な例としては、以下の表1に記載する基ま
たは単結合を挙げることができる。
【0024】
【表1】
【0025】液晶組成物が反強誘電性液晶組成物の場
合、そのチルト角は、素子のコントラストおよび輝度を
充分確保するためには27度以上、好ましくは32度以
上であることが必要になる。
【0026】このチルト角と光透過率との間には、 I/I0=sin22Θ・sin2(Δnd π/λ) の関係が成り立つことが知られている。上記式から、チ
ルト角が27度であれば光透過率は65%であり、チル
ト角が32度であれば光透過率は81%である。現在使
用されているTFT液晶の光透過率(開口率)は60%
程度である。本発明の液晶組成物のチルト角は、通常は
29〜34度、好ましくは30〜34度の範囲内にあ
り、従って、本発明の液晶組成物の光透過率は、通常は
72〜86%、好ましくは75〜86%の範囲内にあ
り、本発明の液晶組成物は充分実用化できるレベルにあ
る。
【0027】上記式[I]で表される含フッ素カルボン酸
エステル化合物は、例えば特開平7-242601号公
報に記載された方法で合成することができる。本発明の
液晶組成物には、上記式[I]で表される化合物の他に、
下記の式[II]および/または[III]で表される含有され
ていることが好ましい。
【0028】
【化7】
【0029】上記式[II]において、R2は、炭素数3〜
20のアルキル基または炭素数3〜20のポリフルオロ
アルキル基を表す、さらに、これらの基中に存在する1
個または隣接していない2個以上−CH2−基または−
CF2−基は、−O−基で置き換えられていてもよい。
【0030】また、式[II]において、X2は、−O−基
または単結合を表す。さらに、式[II]において、R
*は、光学活性基である。
【0031】
【化8】
【0032】上記式[III]において、R3は、炭素数3〜
20のアルキル基または炭素数3〜20のポリフルオロ
アルキル基を表す。さらに、これらの基中に存在する1
個または隣接していない2個以上−CH2−基または−
CF2−基は、−O−基で置き換えられていてもよい。
【0033】また、式[III]において、X3は、−O−基
または単結合を表す。さらに、式[III]において、R
*は、光学活性基である。上記式[II]および式[III]にお
いて、R2およびR3の例としては、それぞれ独立に、C
8H17−、C9H19−、C10H21−、C11H23−、C12H
25−、C13H27−、C14H29−、C8F17−、C9F
19−、C10F21−、C11F23−、C12F25−、C13F27
−、C14F29−、CH3-O-(CH2)6−、CH3-O-(C
H2)7−、CH 3-O-(CH2)8−、CH3-O-(CH2)
9−、CH3-O-(CH2)10−、CH3-O-(CH2)11−、
CH3-O-(CH2)12−、C2H5−O−(CH2)5−、C
2H5−O−(CH2)6−、C2H5−O−(CH2)7−、
C2H5−O−(CH2)8−、C2H5−O−(CH2)
9−、C2H5−O−(CH2)10−を挙げることができ
る。
【0034】上記式[II]および式[III]において、本発
明の液晶組成物の反強誘電相の安定性を考慮すると、R
*は、それぞれ独立に、 −C*H(CF3)−C4H9 −C*H(CF3)−C6H13 および −C*H(CF3)−C8H17 よりなる群から選ばれる一種類の基であることが好まし
い。
【0035】本発明の液晶組成物は、上記式[I]で表さ
れる含フッ素カルボン酸エステル化合物、必要により式
[II]および/または[III]で表される化合物、ならび
に、所望の他の液晶材料および添加剤を混合することに
より製造することができる。
【0036】本発明の液晶組成物中における上記式[I]
で表される含フッ素カルボン酸エステル化合物の配合割
合は、得られる液晶組成物の特性を考慮して任意に設定
することができる。本発明の液晶組成物は、上記式[I]
で表される含フッ素カルボン酸エステル化合物を、液晶
組成物を形成する液晶成分の総量中に、通常は10モル
%以上、好ましくは10〜80モル%、特に好ましくは
20〜70モル%の範囲内の量で含有している。この式
[I]で表される含フッ素カルボン酸エステル化合物の量
が10モル%に満たないと、上限温度およびチルト角の
向上の程度が小さくなることがある。また、80モル%
を超えると、化合物によっては三安定状態を示さない場
合がある。
【0037】また、本発明の液晶組成物が、上記式[II]
および/または式[III]で表される化合物を含有する場
合、本発明の組成物を構成する液晶成分の総量中に、こ
の式[II]および/または式[III]で表される化合物は、
通常は90モル%以下、好ましくは80モル%以下の量
で含有されている。
【0038】本発明の表示素子は、液晶組成物が充填さ
れたセルと偏光板とからなる。すなわち、本発明の表示
素子は、例えば、図1に示すように、液晶組成物を充填
する間隙14を形成するように配置された二枚の透明基板
11と、この二枚の透明基板11の液晶組成物12に対面する
面に形成された透明電極15とからなるセル13と、このセ
ル13の間隙14に充填された液晶組成物12およびこのセル
13の両外側に一枚ずつ配置された偏光板(図示なし)か
ら形成されている。
【0039】本発明において、透明基板としては、例え
ば、ガラスおよび透明高分子板等を用いることができ
る。透明基板の厚さは、例えばガラス基板の場合には通
常は0.01〜1.0mmの範囲内にある。
【0040】また、本発明においては、透明基板とし
て、可撓性透明基板を用いることもできる。この場合、
透明基板の少なくとも一方の基板として可撓性透明基板
を用いることができ、さらに両者とも可撓性基板であっ
てもよい。このような可撓性透明基板としては、高分子
フィルム等を用いることができる。
【0041】このような透明基板の表面には透明電極が
設けられている。透明電極は、例えば酸化インジウム、
酸化スズ等で透明基板表面をコーティングすることによ
り形成される。透明電極は、公知の方法により形成する
ことができる。透明電極の厚さは通常は100〜200
0オングストロームの範囲内にある。
【0042】このような透明電極が設けられた透明基板
には、さらに透明電極上に配向層あるいは強誘電体層が
設けられていてもよい。配向層としては、例えば有機シ
ランカップリング剤あるいはカルボン酸多核錯体等を化
学吸着させることにより形成される有機薄膜および無機
薄膜を挙げることができる。有機薄膜の例としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリビニルアルコール(ポバール)およびポリイミ
ドなどの高分子薄膜を挙げることができる。このような
有機薄膜は、塗布、接着、蒸着、基板上での重合(例え
ばプラズマ重合)等の方法を利用することにより形成す
ることができる。また、無機薄膜の例としては、酸化珪
素、酸化ゲルマニウムおよびアルミナ等の酸化物薄膜、
窒化珪素のような窒化物薄膜並びに他の半導体薄膜を挙
げることができる。このような無機薄膜は、蒸着(例え
ば斜方蒸着)およびスパッタリングなどの方法を利用し
て形成することができる。
【0043】さらに、上記のような薄膜に配向性を賦与
する方法としては、膜成形時に薄膜自体に異方性あるい
は形状特異性を賦与する方法、薄膜作成後に外部から配
向性を賦与する方法がある。具体的には、透明電極上に
ポリイミド樹脂などの高分子物質を塗布して薄膜を形成
した後、この薄膜を一定方向にラビングする方法、高分
子フィルムを延伸して配向性を賦与する方法、酸化物を
斜方蒸着する方法などを挙げることができる。
【0044】このような薄膜、例えば配向層等は後述の
スペーサを兼ねるように形成されていてもよい。上記の
ような透明基板を、透明電極が対面し、そしてこの透明
基板により液晶組成物を充填する間隙が形成されるよう
に二枚配置する。上記のようにして形成される間隙の幅
は、通常は1〜10μm、好ましくは1〜5μmであ
る。このような間隙は、例えば、スペーサを挟持するよ
うに二枚の基板を配置することにより、容易に形成する
ことができる。このようなスペーサとしては、例えば、
感光性ポリイミド前駆体をパターニングして得られるポ
リイミド系高分子物質等を用いることができる。スペー
サを用いることにより、このスペーサと液晶分子との界
面効果により、モノドメインが形成される。
【0045】上記のようにして間隙を形成して配置され
た二枚の透明基板は、通常は周辺をシール材でシールす
ることにより貼り合わされる。シール材としては、エポ
キシ系樹脂およびシリコン系樹脂等を用いることができ
る。さらに、このエポキシ樹脂等がアクリル系材料ある
いはシリコン系ゴム等で変性されていてもよい。
【0046】上記のような構成を有する液晶セルには、
上述したような式[I]で表される含フッ素カルボン酸
エステル化合物を含む液晶組成物が充填されている。液
晶セルに充填された液晶組成物は、たとえばスペーサエ
ッジを利用した温度勾配法あるいは配向膜を用いた表面
処理法等の一軸配向制御方法を利用して配向させること
ができる。また、本発明においては、例えば、液晶組成
物を加熱しながら、直流バイアス電圧を用いて電界を印
加することにより、液晶化合物の初期配向を行うことも
できる。
【0047】このようにして液晶組成物が充填され、初
期配向された液晶セルは、二枚の偏光板の間に配置され
る。さらに図2に示すように、上記ようにして調製され
た二枚の透明基板11、透明電極15および液晶組成物12か
らなるセル13を、この二枚の偏光板16の間に二個以上配
置することもできる。
【0048】本発明の素子において、それぞれの偏光板
の偏光面のなす角度が70〜110度になるように配置
することができる。そして、この二枚の偏光板の偏光方
向が直交するように、すなわち上記角度が90度になる
ように偏光板を配置することが好ましい。
【0049】本発明において、上記のような液晶セル
は、上記のように配置された偏光板の間に、透過する光
量が最も少ない状態(すなわち、最暗状態)から±10
度の範囲内の角度(回転角度)を形成するように、好ま
しくは最暗状態になるように二枚の偏光板の間に配置す
ることができる。さらに、上記のように配置された偏光
板の間に、透過する光量が最も多い状態(すなわち、最
明状態)から±10度の範囲内の角度(回転角度)を形
成するように、好ましくは最明状態になるように二枚の
偏光板の間に配置することができる。
【0050】上記のような光学活性を有する液晶組成物
が充填された液晶セルを、偏光面が直交するように配置
された二枚の偏光板の間に、電界を印加しない状態で最
暗状態になるように配置した本発明の液晶素子に、例え
ば周波数50Hz〜100KHz、好ましくは70Hz
〜10KHzの矩形波(あるいはパルス波)、三角波、
正弦波およびこれらを組み合わせた波形の内のいずれか
の波形の電界を印加することによりこの素子を駆動させ
ることができる。例えば、矩形波(あるいはパルスまた
は両者の組み合わせ波)を印加する場合には、電界の幅
を10ミリ秒以下、好ましくは0.01〜10ミリ秒の
範囲内にすることにより、素子の駆動速度を高くするこ
とができ、この領域では本発明の素子を双安定型液晶素
子として使用することができる。また、この電界の幅を
10ミリ秒より大きくすることにより、好ましくは33
〜1000ミリ秒の範囲内にすることにより、それほど
高速で駆動することが必要ではない領域で、本発明の素
子は三安定型液晶素子として使用することができる。こ
こで、電界の幅とは、例えば矩形波においては、所定の
電圧に維持される電界の長さ(すなわち時間)を意味す
る。
【0051】本発明の素子を用いて各種の液晶表示装置
および電気光学表示装置を製造することができる。ま
た、本発明の素子の内、スメクチック相を呈する液晶組
成物が充填された素子は、熱書き込み型液晶表示素子、
レーザー書き込み型液晶表示素子等の記憶型液晶表示装
置のような液晶表示装置あるいは電気光学表示装置を製
造することができる。さらに、反強誘電性を示す含フッ
素カルボン酸エステル化合物を含有する液晶組成物を用
いることにより、上記のような用途の他、光シャッター
あるいは液晶プリンターなどの光スイッチング素子、圧
電素子および焦電素子のような液晶表示装置あるいは電
気光学表示装置を製造することができる。
【0052】さらに、前記式[I]で表される含フッ素
カルボン酸エステル化合物を用いてスイッチング素子を
形成することにより、このスイッチング素子は、分子の
配向方向を変えるだけでスイッチング操作が可能にな
り、この場合、電界強度の一次項がこのスイッチング素
子の駆動に作用するため、このスイッチング素子では低
電圧駆動が可能になる。
【0053】そして、このスイッチング素子を用いるこ
とにより、数十μ秒以下の高速応答性を実現することが
できるので、素子の走査時間は大幅に短縮される。従っ
て、本発明の素子を用いることにより走査線の多い大画
面のディスプレイ(液晶表示装置)を容易に製造するこ
とができる。しかも、このディスプレイは、室温あるい
はそれ以下の温度で駆動させることができるので、駆動
温度をコントロールするための補助手段を用いることな
くこのディスプレイを駆動させることができる。
【0054】本発明の素子を用いた表示装置は、種々の
方法で駆動させることができるが、この駆動方法の具体
的な例としては以下に記載する方法を挙げることができ
る。第1の方法は、本発明の素子を二枚の偏光板の間に
介在させ、この素子に外部電圧を印加し、液晶化合物の
配向ベクトルを変えることにより、二枚の偏光板と液晶
材料との複屈折を利用して表示を行う方法である。
【0055】第2の方法は、二色性色素が配合された液
晶組成物を用いて色素の二色性を利用する方法である。
この方法は液晶化合物の配向方向を変えることにより色
素による光の吸収波長を変えて表示を行う方法である。
この場合に使用される色素は、通常二色性色素であり、
このような二色性色素の例としては、アゾ色素、ナフト
キノン色素、シアニン系色素およびアントラキノン系色
素等を挙げることができる。
【0056】本発明の素子を用いて形成される表示装置
は、スタティック駆動、単純マトリックス駆動および複
合マトリックス駆動等の電気アドレス表示方式、光アド
レス表示方式、熱アドレス表示方式並びに光ビーム表示
方式により駆動させることができる。
【0057】また、本発明の素子を用いた表示装置を電
界駆動する際には各画素を駆動させるための素子とし
て、非線形素子あるいは能動素子を用いることができ
る。より具体的には、2端子素子の非線形素子として
は、一方の透明基板上にバリスタ、MIM(Metal Insu
lator Metal)、ダイオードなどを配置し、これらの非線
形性を利用した素子を挙げることができる。また、3端
子素子の能動素子としては、TFT(薄膜トランジス
タ)、Si-MOS(Si-metal oxide semi conductor f
ield-effect transistor)、SOS(Sillicon on Sapp
hire)などが画素に配置された素子を挙げることができ
る。
【0058】
【発明の効果】本発明により含フッ素カルボン酸エステ
ル化合物を用いた新規な液晶組成物が提供される。この
液晶組成物は、光学的に活性であり、室温を含む広範な
温度範囲においてスメクチック相を示し、また反強誘電
性液晶組成物としても機能し得る。
【0059】本発明の組成を採用することにより、液晶
組成物の相転移温度の上限温度を高くすることができ、
これにより素子の動作温度幅が拡大される。このような
本発明の液晶組成物は、特定の含フッ素カルボン酸エス
テル化合物に、同種および/または多種の液晶材料を配
合することにより、含フッ素カルボン酸エステル化合物
が有している反強誘電性を有している場合、その反強誘
電性を損なうことなく、チルト角の向上により安定した
コントラストを得ることができる。
【0060】従って、このような液晶組成物を用いるこ
とにより、広い温度範囲において高速応答性を有する素
子を得ることができる。さらに、このような素子を用い
て製造される液晶ディスプレイにおいては、走査時間を
大幅に短縮することができる。このようなディスプレイ
では、消費電力の低減を図ることができる。
【0061】また、本発明の含フッ素カルボン酸エステ
ル化合物を含有する液晶組成物を、強誘電性液晶組成物
として使用する場合、メモリー性の実現が容易になり、
配向性を向上させる等の特性を付与することができる。
【0062】
【実施例】次に本発明の実施例を示して本発明をさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限
定されるものではない。
【0063】なお、以下に示す実施例中の相転移温度の
測定および相の同定は、液晶セルを作成し、その電場応
答を偏光顕微鏡で観察する方法により実施した。また、
以下に示す実施例において、液晶セルは、次のようにし
て製造した。
【0064】透明電極付きの2枚のガラス基板に配向膜
として、ポリイミド(低プレチルト角)をスピンコート
した後、ラビング処理を施し、それらをそれぞれのラビ
ング方向は反平行になるように、2.0μmの間隙を形
成して貼り合わせてセルを組み立てた。
【0065】本発明において、液晶セル中の液晶組成物
のチルト角は次のようにして測定した。すなわち直流電
圧(±30V)を液晶素子中の液晶セルに印加し、プラ
ス電圧、マイナス電圧印加時にそれぞれ液晶素子の出力
光が最も暗くなるようにクロスニコル位に配置された2
枚の偏光板に対して液晶セルを回転して位置決めした。
この際、プラス電圧印加時に液晶セルを回転した角度θ
1、およびマイナス電圧印加時に液晶セルを回転した角
度θ2を測定し、次の式によりチルト角θを算出した。
【0066】θ=(θ1−θ2)/2 本発明において、液晶セル中の液晶組成物のしきい値電
圧は次のようにして測定した。液晶素子中の液晶セルに
三角波電圧(周波数0.01Hz、ピーク電圧30V/
μm)を印加し、液晶素子の透過光量Trをモニターし
た。液晶セルに印加する電圧Vをゼロから正方向に増加
させていくと反強誘電状態から強誘電状態へと相転移
し、液晶素子の透過光量が増加するようになり、例えば
図6に示すV−Tr曲線を示す。たとえば図6の場合に
は、このV−Tr曲線の曲線の接線Irと反強誘電状態
領域のV−Tr曲線との接線IAfとの交点Pを求め、こ
の交点Pの電圧値Vpをしきい値電圧として評価した。
【0067】
【実施例1】下記式[IV]および[V]で示される化合物
を、表2に示される組成比(モル%)で混合して液晶組
成物を調製した。
【0068】
【化9】
【0069】得られた液晶組成物のチルト角、相転移温
度を表2に示す。また、化合物の配合比率の変動に伴う
相転移温度の変化を図3に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
【実施例2】下記式[VI]および[VII]で示される化合物
を表3に示される組成比(モル%)で混合して液晶組成
物を調製した。
【0072】
【化10】
【0073】得られた液晶組成物のチルト角、相転移温
度を表3に示す。また、化合物の配合比率の変動に伴う
相転移温度の変化を図4に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
【実施例3】下記式[VIII]および[IX]で示される化合物
を表4に示される組成比(モル%)で混合して液晶組成
物を調製した。
【0076】
【化11】
【0077】得られた液晶組成物のチルト角、相転移温
度を表4に示す。また、化合物の配合比率の変動に伴う
相転移温度の変化を図5に示す。
【0078】
【表4】
【0079】
【実施例4】下に示す化合物[A-1]、[A-2]を、[A-1]と
[A-2]の組成比([A-1]のモル%/[A-2]のモル%)が6
0/40になるように配合して組成物[A]を作製し
た。
【0080】
【化12】
【0081】前記組成物[A]に下記化合物[B]を表
5に示される組成比(モル%)で混合して液晶組成物を
調製した。
【0082】
【化13】
【0083】
【表5】
【0084】これらの組成物では上限温度の向上する程
度は小さかったが、反強誘電状態から強誘電状態へと相
転移する電場(しきい値電圧)が、組成比に応じて低下
する効果が認められた。この結果を表6に示す。この効
果は、反強誘電性液晶素子を駆動する場合において駆動
電圧が小さくて良いことを示しており、消費電力の低減
に寄与する。
【0085】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の表示素子の例を示す断面図で
ある。
【図2】図2は、本発明の表示素子の他の例を示す断面
図である。
【図3】図3は、実施例1において、配合する化合物の
組成を変えたときの相転移温度の変化を示す図である。
【図4】図4は、実施例2において、配合する化合物の
組成を変えたときの相転移温度の変化を示す図である。
【図5】図5は、実施例3において、配合する化合物の
組成を変えたときの相転移温度の変化を示す図である。
【図6】図6は、しきい値電圧の評価方法を説明する図
である。
【符号の説明】
11・・・透明基板 12・・・液晶組成物 13・・・セル 14・・・間隙 15・・・透明電極 16・・・偏光板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式[I]で表される化合物群から選ばれ
    る少なくとも一種類の化合物を含有することを特徴とす
    る液晶組成物; 【化1】 [上記式[I]において、R1は、炭素数3〜20のアルキ
    ル基または炭素数3〜20のポリフルオロアルキル基を
    表し(ただし、これらの基中に存在する1個または隣接
    していない2個以上−CH2−基または−CF2−基は、
    −O−基で置き換えられていてもよい)、 X1は、−O−基または単結合を表す。]。
  2. 【請求項2】 上記式[I]で表される化合物群から選ば
    れる少なくとも一種類の化合物を10〜80モル%の量
    で含有することを特徴とする請求項第1項記載の液晶組
    成物。
  3. 【請求項3】 液晶組成物が三安定性反強誘電液晶組成
    物である請求項第1項または第2項記載の組成物。
  4. 【請求項4】 上記式[I]で表される化合物群から選ば
    れる少なくとも一種類の化合物と次式[II]で表される化
    合物群から選ばれる少なくとも一種類の化合物を含有す
    ることを特徴とする請求項第2項記載の液晶組成物; 【化2】 [上記式[II]において、R2は、炭素数3〜20のアル
    キル基または炭素数3〜20のポリフルオロアルキル基
    を表し(ただし、これらの基中に存在する1個または隣
    接していない2個以上−CH2−基または−CF2−基
    は、−O−基で置き換えられていてもよい)、 X2は、−O−基または単結合を表し、 R*は、光学活性基を表す。]。
  5. 【請求項5】 上記式[I]で表される化合物群から選ば
    れる少なくとも一種類の化合物と次式[III]で表される
    化合物群から選ばれる少なくとも一種類の化合物を含有
    することを特徴とする請求項第2項記載の液晶組成物; 【化3】 [上記式[III]において、R3は、炭素数3〜20のアル
    キル基または炭素数3〜20のポリフルオロアルキル基
    を表し(ただし、これらの基中に存在する1個または隣
    接していない2個以上−CH2−基または−CF2−基
    は、−O−基で置き換えられていてもよい)、 X3は、−O−基または単結合を表し、 R*は、光学活性基を表す。]。
  6. 【請求項6】 上記式[II]および[III]において、R
    *は、それぞれ独立に、 −C*H(CF3)−C4H9 −C*H(CF3)−C6H13 および −C*H(CF3)−C8H17 よりなる群から選ばれる一種類の基であることを特徴と
    する請求項第4項または第5項に記載の液晶組成物。
  7. 【請求項7】 隙間を設けて互いに対抗するように配置
    された2枚の基板と、該基板によって形成されるセル
    と、該基板間の隙間に充填された液晶組成物とを有する
    表示素子であって、該液晶組成物が、次式[I]で表され
    る化合物群から選ばれる少なくとも一種類の化合物を含
    有することを特徴とする表示素子; 【化4】 [上記式[I]において、R1は、炭素数3〜20のアルキ
    ル基または炭素数3〜20のポリフルオロアルキル基を
    表し(ただし、これらの基中に存在する1個または隣接
    していない2個以上−CH2−基または−CF2−基は、
    −O−基で置き換えられていてもよい)、 X1は、−O−基または単結合を表す。]。
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