JPH11103825A - 麹菌を利用したγ−アミノ酪酸富化食品の製造方法 - Google Patents
麹菌を利用したγ−アミノ酪酸富化食品の製造方法Info
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- JPH11103825A JPH11103825A JP10174032A JP17403298A JPH11103825A JP H11103825 A JPH11103825 A JP H11103825A JP 10174032 A JP10174032 A JP 10174032A JP 17403298 A JP17403298 A JP 17403298A JP H11103825 A JPH11103825 A JP H11103825A
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Abstract
菌を作用させ、生体の代謝反応に属さないγ−アミノ酪
酸への変換反応で、効率的なγ−アミノ酪酸の強化食
品、味噌、醤油、豆乳等の製造方法を得る。 【解決手段】 本発明γ−アミノ酪酸富化食品の製造方
法は、グルタミン酸及びその塩の含有割合の比較的高い
食品素材に麹菌を添加し、その混合物を含水状態に維持
し、麹菌の持つ生育に係わる基本的な代謝反応には属さ
ない反応で該グルタミン酸と麹菌内に含まれるグルタミ
ン酸デカルボキシラーゼとを反応させ、食品素材中のグ
ルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換することを特徴とす
る。
Description
較的多量に含む食品素材に麹菌を作用させてγ−アミノ
酪酸を富化させる手段に関する。
布しているアミノ酸の一種で、動物の脳髄に存在し、神
経の主要な抑制伝達物質として、脳の血流を活発にし、
脳への酸素供給量を増加させ、脳細胞の代謝機能を促進
させ、脳卒中後遺症、脳動脈硬化症等による頭痛、耳鳴
り、記憶障害、意欲低下などの症状を改善する作用や、
延髄の血管運動中枢に作用して血圧を降下させる作用等
が認められている物質である。
酸を含む食材の存在も知られており、その例は次の如く
である。 (a)紅麹 精米した米粒を蒸した後、その表面に紅麹胞子を付着さ
せ、約30℃で発芽させ、7日間程度培養させることに
より菌体を増殖させ、米内に存在する多少のグルタミン
酸を利用し、菌体内にγ−アミノ酪酸を蓄積することが
知られている。
送り込むと、その窒素ガスの刺激を受けて、茶葉内に存
したグルタミン酸がγ−アミノ酪酸に変換される。
で2〜12時間浸漬すると、発芽の予備段階として、米
内のグルタミン酸がγ−アミノ酪酸に変換される。
謝反応の関連で起こる反応であるから、該生体が要求す
る一定量が満たされると、代謝調整機能が働き、一定濃
度以上には富化しない性格を有する。又、これらは元
々、真にγ−アミノ酪酸の富化を目的としたものという
より、自然現象のなかにそのような反応が見られるとい
うことを確認した程度のものであり、従って、γ−アミ
ノ酪酸の富化食材と言えるには、γ−アミノ酪酸の含有
割合が低かったり、又は、生産効率が悪い等あまりに不
十分なものでしかなかった。
は、例えば、清酒、味噌及び醤油の製造等があり、この
中ではグルタミン酸が醸造の過程でγ−アミノ酪酸に変
換される可能性がある。しかし、清酒では醸造中に酒米
から遊離してくるグルタミン酸の量が極く少量しかな
く、又、味噌、醤油等では大豆に多量のグルタミン酸が
含まれるものの、微生物汚染を防ぐために醸造過程で多
量の食塩を加えるため、高食塩濃度となりγ−アミノ酪
酸への変換反応は殆ど起こらない。従って、麹菌を利用
した食品製造にあっても、真にγ−アミノ酪酸を富化す
る製造技術は未開発の段階にある。
基づき、食品素材を対象としてγ−アミノ酪酸を富化し
た食材の開発を試みたもので、鋭意研究を重ねた結果、
比較的グルタミン酸含有の高い食品素材に麹菌を作用さ
せたところ、成育に係わる基本的な代謝反応に属さない
反応で、グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換させる反
応が起こることを見い出し、これを利用して効率的なγ
−アミノ酪酸の強化食品、味噌、醤油、豆乳等の製造方
法を得たものである。
素材は、グルタミン酸を比較的多く含む食品素材をい
い、合成及び発酵法で作られたグルタミン酸単体、大豆
及び小麦等の食材が含まれ、逆に、なし、りんご等のグ
ルタミン酸含有が極く微量とされる食材を含まない意味
である。これを本発明の目的にそって、定量的に表現す
ると、遊離の状態でグルタミン酸が5mg/100g以
上(望ましくは30mg/100g以上)、若しくは食
材中の蛋白質分解後に、グルタミン酸の含有率が5mg
/100g以上(望ましくは30mg/100g以上)
となる蛋白質を含む食品素材となる。蛋白質を含むもの
を規定した意味は、食材中のグルタミン酸を含んだ蛋白
質はプロテアーゼ等で分解することによって本法に使用
可能となるからである。具体的には、合成及び発酵法で
作られたグルタミン酸単体や、味噌、醤油、豆乳糖の大
豆製品、及び牛乳の乳製品等を指す。又、このグルタミ
ン酸はグルタミン酸ナトリウム等の塩の形態のものであ
っても構わない。
しては、麹菌が有効であるが、本発明で麹菌とは、As
pergillus(アスペルギルス)属、Penic
illium(ペニシリウム)属、Mucor(ムコー
ル)属、Rhizopus(リゾープス)属、Mona
scus(モナスカス)属、Absidia(アプシデ
ィア)属に属する微生物で、グルタミン酸デカルボキシ
ラーゼ(GAD)を持ち、食して害のない菌をいう。該
麹菌は、直接添加するか、或いは、糖質・蛋白質・アミ
ノ酸等を含む培地に成育させたものを添加する方法のい
ずれでも良い。麹菌の具体例を挙げると、アスペルギル
ス属のオリゼがある。又、該麹菌は、接種する相手によ
って、米麹、大麦麹、大豆麹等となるが、このいづれで
あっても良い。該麹菌の持つグルタミン酸をγ−アミノ
酪酸に変換する機能は、麹菌に存在するグルタミン酸デ
カルボキリラーゼ(GAD)によるものと推定され、該
GADは基質特異的に脱炭酸を含む下記反応を起こす。 COOH−CH2−CH2−CH(NH2)−COOH (グルタミン酸) → COOH−CH2−CH2−NH2 +CO2 ・・・(1) (γ−アミノ酪酸)
を多分に含んでグルタミン酸とGADとの間に流動性が
保たれる状態とし、水溶液はもちろん、定量的には食品
素材と麹菌の混合物を含水率が10wt%以上、望まし
くは25wt%以上の状態に維持させる。該麹菌の含有
水分は少ないのが一般的であるが、液体培養した麹菌の
場合は多量の水分を含むことがあるので、上記含水率は
両者が混合された後の状態で判断することとする。即
ち、基質としてのグルタミン酸と酵素としてのGADと
が互いに移動自在で、接触機会を増し、酵素反応が活発
に行われる状態を指し、そのためには食品素材と麹菌の
混合物を含水率を10wt%以上、望ましくは25wt
%以上の状態に維持させる。
を含まない状態とする。なぜなら、下記の試験を行った
結果、食塩は上記γ−アミノ酪酸(GABA)への変換
反応を阻害することが明らかとなったからである。 <培地の調製A>蒸留水に酵母エキス0.5gと、ファ
イトンペプトン1.0gと、燐酸カリウム0.5gと、
硫酸マグネシウム・7H2O0.2gと、ブドウ糖4.
0g及びグルタミン酸ナトリウム・H2O6.0gを溶
解したものを100mlに定容し、121℃で15分間
高圧滅菌処理し、液体培地を調製した。該液体培地10
0mlに米麹40gを添加し、ホモジナイズ処理した
後、室温(25℃前後)で一晩放置した。該培地に食塩
を各濃度に変化させつつ添加して、その食塩濃度の変化
とγ−アミノ酪酸(GABA)の生成量との関係を求め
た。その結果は、表1の通りであった。
えられ、食品素材と麹菌の混合物には可及的に食塩が少
ないことが要求され、望ましくは10%以下とする。
100℃以下の温度、望ましくは5〜30℃程度の温度
で3時間〜3日間程度反応させる。すると、上記反応
(1)が惹起されるが、この反応は成育に係わる基本的
な代謝反応に属さない、一定条件下で起こる酵素反応で
あると推定される。その理由は、先ず、従来の反応で
は、例えば紅麹による方法の場合はγ−アミノ酪酸への
生成量が25〜50mg/100g、茶葉による方法の
場合は150mg/100g、米胚芽の場合に350〜
400mg/100gとなり、その生成量は低い段階で
一定の飽和点に達してしまうのに対し、これに対し、本
発明では、図1に示す如く、グルタミン酸の濃度を変化
させていったところ、6%程度までは直線的に増加し、
従来のGABAの生成量をはるかに上回る500mg/
100g程度のGABAの生成量を示したからである。
このことは、従来の反応が、生体の代謝反応の調整作用
によるものと認められるのに対し、本発明による方法で
は、麹菌の細胞壁の外側から侵入したグルタミン酸が細
胞膜のGAD若しくは破砕により菌体外に分散した細胞
質のGADと接触し、麹菌の成育に係わる基本的な代謝
反応に属さない反応として、上記(1)式の反応が起こ
るものと考えられる。尚、図1の試験条件は、グルタミ
ン酸の量を変化させ、他はすべて培地調整Aにおける条
件と同様とした。
砕して微粒子とすると、反応率が増加することからも裏
付けられる。即ち、麹菌をホモジナイザーで破砕してし
たところ表2の通りの結果が得られた。 条件:培地調整Aと同様で、一方にホモジナイズ処理
し、他方は無処理とした。
ものは、GABAの変換率が32%程度増加しており、
これは麹菌が破砕されると、細胞膜若しくは細胞質に存
在するGADが液体培地中に分散し、グルタミン酸と接
触する機会が増え、変換率が増加したものと考えられ、
これは(1)式の反応が細胞膜内の代謝反応に属さない
形態で起こっていることを裏付けている。
ると、その変換率を増加させ得ることを見い出した。即
ち、図2に示す如く、培地にグルコース等の糖類を添加
すると、その濃度が上昇するに従ってGABAの生成量
は増大し、4%程度で飽和状態に達するが、無添加の場
合と比較すると2倍程度にまでGABAの生産割合は増
大している。グルコースの他に、ガラクトース、フルク
トース、マンノース、キシロース、マルトース、ラクト
ース、スクロース、ラフィノース、ソルビトール等の糖
類について同様の効果を確認した。この原因は明らかで
ないが、高圧滅菌処理による液体培地の加熱により、培
地中のグルタミン酸と糖が結び付いて麹菌の作用し易い
物質が形成されるのではないかと推定される。尚、図2
の試験条件は、グルコースの添加量を変化させ、他はす
べて培地調整Aにおける条件と同様とした。
したところ、図3の通りで、時間経過と共にGABAの
生成量が増大し、4時間程度で反応が終了することが確
認され、反応時間も極めて短いものであることが判明し
た。図3の試験条件は、反応時間を変化させただけで、
他はすべて培地調整Aにおける条件と同様である。
ナトリウムを60gとブドウ糖40gを水に溶解して1
lに定容し、121℃で15分間高圧滅菌処理した。次
いで、該水溶液に米麹400gを添加し、ホモジナイズ
処理した後、室温(25℃前後)で一晩放置した。この
結果、616.3mg/100mlという高い割合のG
ABAを含んだ生成物を得た。従って、これを乾燥粉末
化若しくは液体の形とすると各種食品のGABA強化用
の食添素材となり、又、乾燥粉末化した素材を顆粒状に
したり、他の素材と組み合わせて飲料化すると、GAB
Aを手軽に摂取できる健康増進食品とすることができ
る。
豆、食塩等の全材料を混合し、食塩濃度を10〜20%
程度に調整した後、酵母及び乳酸菌を添加し、適温で発
酵させて製造している。本発明法では、これを2段階に
分け、第1段階で食塩以外の味噌原料(麹菌、大豆、種
水)を混合後、雑菌汚染を防止しつつ、大豆蛋白質の分
解を無塩下で行い、生成したグルタミン酸を麹菌と反応
させ、GABAへの変換を行わせる。そのため、雑菌汚
染のない無菌的な麹菌や大豆を用いるか、若しくは50
℃以上の高温で数分間から数日間処理したり、100M
Pa以上の圧力で数分間から数時間高圧処理する等の、
主として麹菌と大豆の混合物中の雑菌数を低減させる処
理を行った後、雑菌の増殖や新たな雑菌汚染を防止しつ
つ、適温で大豆蛋白の分解及び麹菌の糖化を行い、同時
に生成したグルタミン酸のGABAへの変換を促す。第
2段階で、食塩や酵母、乳酸菌等の微生物を添加し、適
温に保って発酵させて味噌を得る。例えば、蒸煮した大
豆1070gに、米麹562g及び種水138mlを混
合し、55℃で3日間消化し、大豆蛋白質の分解及び麹
の糖化を行うと共に生成したグルタミン酸のGABAへ
の変換を行わせる。次いで、食塩230g添加し、酵母
2×105/g、乳酸菌2×106/gを混合し、30℃
で30日間発酵させ、味噌を醸造した。この結果、香味
は従来の味噌と変らず、且つ、GABAが112.4m
g/100g含まれる味噌が得られた。
階で雑菌汚染を防止しつつ、無塩下で蛋白質の分解と生
成したグルタミン酸のGABAへの変換を行い、第2段
階で食塩、酵母、乳酸菌を添加し発酵させる2段階工程
で進めた。例えば第1段階として、醤油麹800gに水
1200mlを加えて混合し、約55℃で2日間保ち、
大豆蛋白質の分解及び麹の糖化を行い、同時に生成した
グルタミン酸のGABAへの変換を促した。第2段階
で、上記溶液に食塩を16.5%となるよう添加、混合
し、次いで、乳酸菌を106/ml、後熟酵母105/m
l添加し、pH5.2になるまで、30℃で10日間発
酵させた。その後、主発酵酵母を105/ml添加し、
25℃で60日間発酵させた。そして、醤油諸味を搾
り、醤油をとり、火入れを行い製品を得た。この結果、
得られた醤油から81.5mg/100mlの濃度のG
ABAが得られた。
塩下での醸造製品中の雑菌数の低減を図るため、55℃
程度の高温で分解を行ったが、その時にGADが失活し
易い。そこで、これを防ぐため、高温処理を行う前の仕
込み時に、酵素の安定化剤としてグリセロールやスクロ
ースなどの多価アルコールや各種蛋白質を混合したり、
ガラス壁への酵素の吸着を防ぐためにプラスチック容器
を使用したりすることでGABAの生産量はさらに増大
する。
ホモジナイズ処理した後、雑菌の増殖を防ぐため、冷蔵
庫で約5℃として一夜放置した。その結果、表3の通り
のGABAを含んだ豆乳が得られた。
ば、麹菌の持つ生育に係わる基本的な代謝反応には属さ
ない反応で該グルタミン酸と麹菌内に含まれるグルタミ
ン酸デカルボキシラーゼとを反応させることにより、グ
ルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換できるので、グルタ
ミン酸を含む食品素材をγ−アミノ酪酸の含有割合が極
めて高い食品に変えることができるという優れた効果を
奏する。又、この反応は反応時間も短時間で済む等実用
上も有利である。更に、γ−アミノ酪酸の強化食品の
他、味噌、醤油や豆乳等対象食品素材が広いので応用が
可能で、多種の健康増進機能を持たせた食品が得られる
優れた発明である。
係を示すグラフ。
を示すグラフ。
ラフ。
Claims (6)
- 【請求項1】 グルタミン酸及びその塩の含有割合の比
較的高い食品素材に麹菌を添加し、その混合物を含水状
態に維持し、麹菌の持つ生育に係わる基本的な代謝反応
には属さない反応で該グルタミン酸と麹菌内に含まれる
グルタミン酸デカルボキシラーゼとを反応させ、食品素
材中のグルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換することを
特徴とするγ−アミノ酪酸富化食品の製造方法。 - 【請求項2】 麹菌をアスペルギルス属オリゼとした請
求項1記載のγ−アミノ酪酸富化食品の製造方法。 - 【請求項3】 麹菌を破砕処理する請求項1,2項のう
ちいずれか1項記載のγ−アミノ酪酸富化食品の製造方
法。 - 【請求項4】 糖を添加する請求項1ないし3項のうち
いずれか1項記載のγ−アミノ酪酸富化食品の製造方
法。 - 【請求項5】 食品素材に麹菌を添加した混合物の含水
率を10wt%以上とした請求項1ないし4項のうちいず
れか1項記載のγ−アミノ酪酸富化食品の製造方法。 - 【請求項6】 食品素材に麹菌を添加した混合物の塩分
を10wt%以下とした請求項1ないし5項のうちいずれ
か1項記載のγ−アミノ酪酸富化食品の製造方法。
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