JPH11113904A - 超音波組織評価装置 - Google Patents

超音波組織評価装置

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JPH11113904A
JPH11113904A JP10225600A JP22560098A JPH11113904A JP H11113904 A JPH11113904 A JP H11113904A JP 10225600 A JP10225600 A JP 10225600A JP 22560098 A JP22560098 A JP 22560098A JP H11113904 A JPH11113904 A JP H11113904A
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Naoki Otomo
直樹 大友
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動子ユニットを被検体に押し付けて超音波
の送受を行う超音波組織評価装置において、振動子ユニ
ットの押圧力を一定化する。 【解決手段】 振動子ユニット10a、10bは、アー
ム22a、22b及びネジ受け部24a、24bを介し
て送りネジ30に係合される。送りネジ30巻き方向
は、中央を境に互いに逆向きになっており、ネジ受け部
24a及び24bはそれぞれ異なる巻き方向の部分に係
合されている。送りネジ30は、トルクリミッタ32を
介してハンドル34に接続されている。操作者がハンド
ル34を回すことにより、送りネジ30が回転して振動
子ユニット10a、10bは互いに近づいたり、遠ざか
ったりする。送りネジ30とハンドル34との間にトル
クリミッタ32を設けた構成により、振動子ユニット1
0a、10bが所定以上の力で被検体を挟み込むことが
防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波を利用して
生体組織の状態を評価する超音波組織評価装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、生体(例えば踵)に対して超音波
を放射し、そのときの生体組織(例えば踵骨)内の超音
波の速度(以下、音速という)や生体組織による超音波
の減衰度合いなどを測定して、その生態組織の状態を評
価・診断する超音波組織評価装置が普及しつつある。ま
た、超音波とX線とを併用して、骨などの組織の評価を
行う装置なども提案されている。
【0003】周知のように、このような超音波を用いた
組織評価においては、送波用超音波振動子から受波用超
音波振動子までの経路上に空気層が介在すると、超音波
の反射・減衰が生じるため、音速や減衰度合いの正確な
測定・評価が行えなくなる。このため、従来は、水など
の音響整合材を入れた測定槽内に被検体及び超音波振動
子を沈め、このような状態で超音波を送受波して測定を
行っていた。
【0004】しかしながら、このように被検体を音響整
合材内に入れる方法は、被検者が違和感を覚えることが
あり、また衛生面の管理が繁雑になるという問題があっ
た。そこで、本出願人は、特願平6−7010号におい
て、超音波振動子を整合材収納部というカバー部材で覆
い、この整合材収納部の内部を音響整合材で満たし、整
合材収納部の生体接触面を被検体に接触させて超音波送
受波を行う装置を提案した。この装置によれば、整合材
収納部の生体接触面が被検体表面に対して無理なく接触
し、超音波伝搬経路において空気層の介在を防ぐことが
できる。
【0005】しかしながら、このような装置を用いた場
合でも、測定を行う環境、特に温度や気圧の変化によっ
て音響整合材の特性が変化し、ひいては被検体組織内の
音速などの組織の評価値に影響を与え、誤差を生じさせ
てしまう。
【0006】すなわち、従来は、互いに対向する超音波
振動子の間に被検体を配置した状態で超音波を送受波し
て超音波振動子間の超音波の伝搬時間を求め、この伝搬
時間によってそのときの超音波振動子間の距離を割るこ
とにより被検体組織内の音速を求めていた。この場合、
被検体と超音波振動子との間に介在する音響整合材層の
厚さ及びこの音響整合材層中を超音波が伝搬するのに要
する時間が、音速の演算に用いる値の中に含まれること
になり、被検体が同一でも音響整合材の特性が変化する
と、求められる音速の値が異なっていた。また、これに
伴い、この音速を用いて算出する他の評価値の値も、音
響整合材の特性の変化によってゆらいでいた。
【0007】例えば、音響整合材にひまし油などを使用
している場合では、室温付近ではひまし油の温度が1℃
変化するとひまし油内の音速がおよそ3m/s程度変化
してしまう。従って、音響整合材としてのひまし油層の
厚さが4cm程度であり、評価対象とする生体組織の厚
さが6cm程度である場合を例にとると、ひまし油の温
度が1℃変わると被検体内の音速測定結果に対して1.
2m/s程度の誤差が生じてしまう。
【0008】また、整合材収納部内部の音響整合材には
気体が混入している場合もあり、測定環境の気圧が変化
すると、その気体が膨脹・収縮するため、整合材収納部
を被検体に押圧したときの変形の度合いが気圧によって
変わり、音響整合材層の平均的厚さを変化させてしま
う。
【0009】更に、経年的な使用による音響整合材の漏
れによっても音響整合材層の厚さは変化する。また、従
来装置においては、整合材収納部の生体接触面は、超音
波の透過性に優れ、柔軟性に富んだポリウレタンシート
などの薄膜によって形成されるが、経年的な使用により
この生体接触面の柔軟度が変化し、同一圧力で被検体に
押圧したとしても生体接触面のつぶれ量が異なってくる
ため、このことによっても音響整合材層の厚さは変化す
る。
【0010】一般に、音響整合材内の音速と被検体組織
内の音速は同じではないため、音響整合材層の平均的厚
さが変化すると、同じ被検体を測定しても、音速測定結
果が変わり、測定誤差を生じてしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、超音波組織
評価装置において安定的に正確な評価値を得るために、
振動子が所定の圧力で被検体等に押し付けられるように
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、超音波を用いて生体組織を評価する超音
波組織評価装置であって、超音波の送受波を行う少なく
とも1つの振動子ユニットと、前記振動子ユニットを、
対象物に当接させるために移動させる振動子ユニット移
動機構とを含み、前記振動子ユニット移動機構は、前記
対象物に前記振動子ユニットを当接させる力が所定値に
制限されるよう、前記振動子ユニットを移動させる力を
制限する制限手段を有することを特徴とする。
【0013】また、本発明は、超音波を用いて生体組織
を評価する超音波組織評価装置であって、超音波の送受
波を行う少なくとも1つの振動子ユニットと、前記振動
子ユニットを移動させる振動子ユニット移動機構とを含
み、前記振動子ユニット移動機構は、駆動力を発生する
駆動力発生手段と、前記振動子ユニットを移動させるた
めに、前記駆動力発生手段からの駆動力によって回転す
る送りネジと、前記駆動力発生手段と前記送りネジとの
間に設けられ、前記駆動力発生手段から前記送りネジに
伝達される駆動力を所定値に制限するトルクリミッタと
を含むことを特徴とする。
【0014】また、本発明は、超音波を用いて生体組織
を評価する超音波組織評価装置であって、超音波の送受
波を行う一対の振動子ユニットと、前記一対の振動子ユ
ニット間の距離を変える振動子ユニット移動機構とを含
み、前記振動子ユニット移動機構は、駆動力を発生する
駆動力発生手段と、前記一対の振動子ユニットを移動さ
せるために、前記駆動力発生手段からの駆動力によって
回転する送りネジと、前記駆動力発生手段と前記送りネ
ジとの間に設けられ、前記駆動力発生手段から前記送り
ネジに伝達される駆動力を所定値に制限するトルクリミ
ッタと、を含むことを特徴とする。
【0015】また、本発明の好適な態様では、送りネジ
は、巻き方向が互いに逆向きの順方向ネジ部及び逆方向
ネジ部を有し、前記順方向ネジ部には一方の振動子ユニ
ットを支持するネジ受けが係合し、前記逆方向ネジ部に
は他方の振動子ユニットを支持するネジ受けが係合する
ことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る超音波組織
評価装置(以下、装置と略す)の機械的構成の一例を示
す模式図である。図1において、一対の振動子ユニット
10a及び10bは、各々の超音波振動子12a及び1
2bの振動面が対向するように配置されている。超音波
振動子12a及び12bの振動面には、ポリウレタンシ
ートなどの柔軟で超音波透過性に優れた薄膜からなる振
動子カバー14a及び14bが設けられており、超音波
振動子12a、12bと振動子カバー14a、14bと
で囲まれた内空間には、ひまし油などの液体の音響整合
材16a、16bが充填されている。超音波振動子12
a、12bの後端からはそれぞれコード20a、20b
が出ており、これらコード20a、20bは、図示しな
い振動子制御部に接続されている。また、これら超音波
振動子12a、12b及び振動子カバー14a、14b
は、振動子ケース18a、18bに収納されている。そ
して、これら振動子ケース18a、18bは、それぞれ
アーム22a、22bで支持されている。
【0017】アーム22a、22bの下端には、送りネ
ジ30を通すためのネジ受け部24a、24bが配設さ
れており、送りネジ30が回転することによってアーム
22a、22bが移動し、ひいては振動子ユニット10
a、10bが移動する構造となっている。なお、この送
りネジ30は中央部分を境に逆ネジとなっているので、
送りネジ30を一方向に回した場合、一対の振動子ユニ
ット10a、10bは、互いに遠ざかるか、近づくかの
動作をすることになる。従って、検査時には、送りネジ
30を所定方向に回転させることにより、被検体を一対
の振動子ユニット10a及び10bによって挟むことが
できる。送りネジ30は、ハンドル34を回すことによ
って回転させるが、このハンドル34は、トルクリミッ
タ32を介して送りネジ30に接続されているため、検
査時に一定以上の力で被検体を挟み込まないようになっ
ている。また、アーム22aにはレーザ測長器26が設
けられ、アーム22bには反射板28が設けられてお
り、これらによって超音波振動子の振動面間距離が計測
できるようになっている。
【0018】図2は、この装置の全体構成を示すブロッ
ク図である。図2において、図1に示したものと同一の
部材には同一の符号を付してその説明を省略する。図に
おいて、超音波振動子12aは、送信用超音波振動子と
して送信アンプ40に接続されている。また超音波振動
子12bは、受信用超音波振動子として受信アンプ42
に接続されている。また、受信アンプ42は、A/D変
換器44に接続されている。制御部50内の振動子制御
部52は、送信アンプ40を制御して送信用超音波振動
子12aから超音波パルスを送信させるとともに、A/
D変換器44から、デジタル化された受信信号を受けと
り、その受信信号について所定の処理を行う。
【0019】この動作を更に詳しく説明すると、まず検
査の開始が指示されると、振動子制御部52は、送信ア
ンプ40に対してトリガーを送信する。このトリガーを
受けて、送信アンプ40は所定の負パルスを超音波振動
子12aに供給し、これにより超音波振動子12aから
超音波パルスが発せられる。この超音波パルスは、被検
体などを透過した後、超音波振動子12bで受信され、
その微弱な受信信号は受信アンプ42で所定の増幅をう
ける。増幅後の受信信号は、A/D変換器44でデジタ
ル化され、制御部50内の振動子制御部52に送られ
る。振動子制御部52では、このデジタル化された受信
信号に基づいて所定の測定値が求められる。特に、振動
子制御部52内の伝搬時間測定部54では、被検体組織
内の音速測定に必要な超音波振動子間の超音波伝搬時間
(以下、伝搬時間と略す)が求められる。振動子制御部
52では、伝搬時間のほかにも、超音波の減衰度合いな
どが求められる。
【0020】また、制御部50は、振動子制御部52の
ほかに、測長器制御部56を有している。測長器制御部
56は、レーザ測長器26を制御して、超音波振動子1
2a、12bの振動面間の距離(以下、振動子間距離と
呼ぶ)を測定する。
【0021】更に、制御部50には音速演算処理部58
及びメモリ60が設けられている。伝搬時間測定部54
で求められた超音波振動子間の超音波伝搬時間と、測長
器制御部56で求められた振動子間距離とは、音速演算
処理部58に入力される。音速演算処理部58は、被検
体組織内の音速を求めるために必要な演算処理を行う。
メモリ60には、後に詳述する準備測定工程などの工程
で求められた測定値が格納され、これらの測定値は、音
速演算処理部58において被検体組織内の音速を求める
演算の際に用いられる。
【0022】このようにして制御部50で求められた音
速や超音波の減衰度合いなどは、被検体組織の評価のた
めの評価値として用いられる。
【0023】以下、このような装置を用いた応用例とし
て、被検体組織内音速測定の例を図3のフローチャート
に基づいて説明する。なお、この例を以下第1応用例と
呼ぶ。
【0024】第1応用例の処理は、大きく分けて、準備
測定工程、実測定工程、組織内音速演算工程の3つの工
程から成っている。
【0025】まず、準備測定工程において、操作者は、
ハンドル34を回して一対の振動子ユニット10a及び
10bを互いに近づけ、振動子カバー14a、14bを
互いに接触させる。そして、トルクリミッタ32が作動
するまで、振動子カバー同士を押し付けあわせる(S1
02)。図4は、このときの装置の状態を示している。
後に説明するように、実測定工程において被検体を振動
子ユニット間に挟むときには、このS102と同様、ト
ルクリミッタ32が作動するまで振動子ユニット対で被
検体を挟み付けるが、このようにすることにより、準備
測定工程と実測定工程とにおける振動子カバー14a、
14bのつぶれ具合、すなわち音響整合材16a、16
bの層の厚さがほぼ等しいとみなせる。次に、この状態
で、超音波振動子12a、12b間の超音波の伝搬時間
1を測定する(S104)。すなわち、まず送信用超
音波振動子12aから超音波パルスを送信し、このパル
スを受信用超音波振動子12bで受信し、これらに基づ
いて伝搬時間測定部54で超音波の伝搬時間t1を測定
する。この準備測定工程において測定された伝搬時間t
1は、超音波が音響整合層内を伝搬するのに要する時間
を示している。この測定値は、音速演算処理部58を介
して、メモリ60に格納される。
【0026】次に、実測定工程においては、操作者はハ
ンドル34を回して振動子間距離をいったん広げ、振動
子ユニット対の間に被検体を配置し、図5に示すよう
に、トルクリミッタ32が作動するまで振動子ユニット
10a、10bによって被検体70を挟み込む(S10
6)。次に、被検体70を挟んだ状態で、準備測定工程
のときと同様にして超音波の伝搬時間t2を測定し、こ
れと同時にレーザ測長器26を用いてこのときの振動子
間距離L2を測定する(S108)。
【0027】そして、組織内音速演算工程では、まずS
108で求められた実測定工程での伝搬時間t2と、メ
モリ60に格納されている準備測定工程での伝搬時間t
1とを用いて、超音波が被検体70を透過するのに要す
る透過時間tを次式(1)で求める(S110)。
【0028】t=t2−t1 …(1) すなわち、この第1応用例では、トルクリミッタ32を
用いているため、振動子カバー及び音響整合材層にかか
る圧力が準備測定工程と実測定工程とでほぼ等しくなる
ので、振動子カバーのつぶれ具合は両工程でほぼ等しい
とみなすことができ、従って音響整合材層の厚さは両工
程でほぼ等しいとみなすことができる。従って、準備測
定工程において求められた音響整合材層内の超音波伝搬
時間t1は、そのまま実測定工程における音響整合材層
内の超音波伝搬時間として用いることができる。よっ
て、この音響整合材層内の超音波伝搬時間t1を、超音
波振動子12a、12b間の超音波伝搬時間t2から減
算することにより、超音波が被検体組織を透過するのに
要する時間tを求めることができる。
【0029】そして、本応用例では、この透過時間tと
前述のS108で求められた実測定工程での振動子間距
離L2とを用いて、次式(2)から被検体組織内の音速
Vを求める(S112)。
【0030】V=L2/t …(2) このように、この第1応用例では、被検体組織内の音速
Vの演算において、音響整合材層内の伝搬時間t1の影
響を排除したため、温度変化による音響整合材層内の音
速変化の影響を受けず、より正確な被検体組織内の音速
Vを得ることができる。
【0031】また、この第1応用例の変形例として、次
に示すような方法がある。すなわち、図3のフローチャ
ートにおける準備測定工程のS104において、超音波
振動子間の超音波の伝搬時間t1を測定すると同時に、
レーザ測長器26により振動子間距離L1を測定する。
そして、組織内音速演算工程のS112において、以下
に示す式(2a)を用いて、被検体組織内の音速Vを求
める。
【0032】V=(L2−L1)/t …(2a) この場合、準備測定工程において測定された振動子間距
離L1は、音響整合材層の厚さを示しているとみなせる
ので、これを実測定工程で測定された振動子間距離L2
から減算することにより、被検体組織のみの厚さを求め
ることができる。この被検体組織のみの厚さ(L2
1)を、超音波が被検体組織のみを透過するのに要し
た時間tで割ることにより、更に正確な被検体組織内の
音速Vを求めることができる。
【0033】このように、この変形例では、被検体組織
のみの厚さと超音波が被検体組織のみを透過する時間と
に基づいて被検体組織内の音速を求めており、音響整合
材層の影響を完全に排除しているため、音響整合材層内
の音速の変化や音響整合材層の厚さの変化などの影響を
受けず、正確な被検体組織内の音速Vを得ることができ
る。
【0034】以上、第1応用例及びその変形例について
説明した。本応用例で求められた被検体組織内の音速V
は、それ自体で被検体組織の評価値として用いられる
が、被検体組織の他の評価値と組み合わせて、新たに別
の評価値を求めるのにも用いることができる。例えば、
本出願人が特願平4−127551号で提案したよう
に、X線測定と併用し、X線測定によって求められる骨
塩量と本応用例で求められる音速とを組み合わせて骨の
弾性率を求め、この弾性率を骨の評価値として用いるこ
ともできる。
【0035】なお、本応用例では、振動子間距離を測定
する手段としてレーザ測長器を用いたが、これに限ら
ず、例えばエンコーダのような機械的な測長手段を用い
てもよい。
【0036】また、ここでは準備測定工程と実測定工程
及び組織内音速演算工程とを一連の流れで説明したが、
準備測定工程と実測定工程(及び組織内音速演算工程)
とは必ずしも続けて行う必要はない。準備測定工程は、
被検体の検査を行うときに毎回行うようにしてもよい
し、また毎日1回や毎週1回など定期的に行って測定値
を記憶しておき、実際の被検体検査時において音速を求
める際に、記憶された測定値を用いて演算を行うように
してもよい。
【0037】次に、本発明に係る装置を利用した組織内
音速測定方法の第2応用例を説明する。この第2応用例
は、音響整合材16a、16bの温度変化を考慮して、
更に正確な組織内音速を求めるものである。この第2応
用例において用いる装置は、図1に示した第1応用例の
ものと基本的に同様の構成である。
【0038】実測定工程において一対の振動子ユニット
で被検体を挟み込んだ状態が長時間続くと、被検体自体
の温度の影響によって音響整合材16a、16bの温度
が準備測定工程での温度から大きく変化する場合があ
る。このような場合、準備測定工程と実測定工程とで音
響整合材内の音速が異なってくるので、準備測定工程で
測定した超音波の伝搬時間を、そのまま実測定工程にお
いて超音波が音響整合材層を透過する時間として用いる
と、求められる被検体組織内の音速に誤差が生じること
になる。
【0039】そこで、この第2応用例では、図6に示す
ように振動子ユニット10aに音響整合材16aの温度
を測定するための整合材温度センサ19を設け、これに
よって測定された音響整合材16aの温度を用いてより
正確な被検体組織内の音速を求める。第2応用例で用い
る装置構成は、整合材温度センサ19を除いて第1応用
例のものとほぼ同じである。図2の制御部50におい
て、整合材温度センサ19の制御を行い、測定した温度
を音速演算処理部58での演算処理に用いる。詳しい演
算処理については後述する。なお、このような整合材温
度センサは、一対の振動子ユニットの少なくとも一方に
設ければよい。
【0040】次に、この第2応用例における組織内音速
の測定の手順を、図7のフローチャートを用いて説明す
る。
【0041】まず、第1応用例と同様に、操作者は、準
備測定工程において一対の振動子ユニット10a,10
bの振動子間距離が近づくように、ハンドル34を回
し、トルクリミッタ32が作動するまで、振動子ユニッ
トの振動子カバー14a、14b同士をあわせる(S2
02)。そして、この状態で超音波振動子12aから超
音波パルスを発生し、反対側の超音波振動子12bでこ
のパルスを受信し、超音波振動子間の超音波の伝搬時間
1を計測する。更に、このときレーザ測長器26で振
動子間距離L1を測定し、整合材温度センサ19で音響
整合材の温度d1を計測する(S204)。
【0042】そして、準備測定工程での測定結果を用い
て、準備測定工程における音響整合材層内の音速V1
以下の(3)式で求める(S206)。
【0043】V1=L1/t1 …(3) 次に、実測定工程において、ハンドル34を回して振動
子間距離をいったん広げ、振動子ユニット間に被検体を
配置し、再びハンドル34を回して振動子ユニット同士
を互いに近づけ、トルクリミッタ32が作動するところ
まで被検体を挟み込む(S208)。そして、この状態
で、準備測定工程と同様にして、この状態での超音波の
伝搬時間t2、振動子間距離L2、及び整合材の温度d2
を測定する(S210)。
【0044】より正確な被検体組織内の音速を得るため
には、実測定工程における音響整合材内の音速を知る必
要があるが、この音速V2を以下の(4)式で求める
(S212)。
【0045】V2=V1+a(d2−d1) …(4) この(4)式において、定数aは、温度変化1℃当たり
の音響整合材層内の音速の変化量である。定数aの単位
は、例えばm/s・degなどで与えられ、整合材がひ
まし油である場合は、定数aは−3から−4程度の値と
なる。
【0046】次に、組織内音速演算工程において、準備
測定工程及び実測定工程での測定値と、S212で求め
られた実測定工程における音響整合材の音速V2とを用
いて、被検体組織内の音速を求める。
【0047】まず、次式(5)によって超音波が被検体
組織を透過するのに要する時間tを求める(S21
4)。
【0048】t=t2−L1/V2 …(5) すなわち、音響整合材層の厚さを示す距離L1を実測定
工程における音響整合材の音速V2で割ることにより、
実測定工程において超音波が音響整合材層を透過するの
に要する時間を求め、これを超音波振動子間の伝搬時間
2から引くことにより超音波が被検体組織のみを透過
するのに要する時間tを求めることができる。
【0049】そして、被検体組織内の音速Vを前述の式
(2a)を用いて求める(S216)。
【0050】このように、第2応用例によれば、準備測
定工程時と実測定工程時における音響整合材の温度差に
よる誤差をなくし、より正確な被検体組織内の音速Vを
求めることができる。
【0051】次に、本発明に係る装置を利用した組織内
音速測定方法の第3応用例を説明する。前述の第1及び
第2応用例では、準備測定工程において一対の振動子ユ
ニットの振動子カバー同士を接触させて測定を行った
が、この第3応用例では、準備測定工程において、被検
体とほぼ等しい厚さの基準体を振動子ユニット間に挟ん
で測定を行う。この基準体としては、アクリルブロック
等を用いる。この第3応用例において用いる装置は、図
1に示した第1応用例のものと基本的に同様の構成であ
る。以下、図8のフローチャートを用いて、本応用例に
ついて説明する。
【0052】まず、準備測定工程において、操作者は、
一対の振動子ユニット10a、10bの間に基準体80
を置く。そして、ハンドル34を回して、振動子ユニッ
ト同士を近づけ、基準体80を挟む。このとき、トルク
リミッタ32が作動するまでハンドルを回し、所定の圧
力で基準体80を挟み込む(S302)。この状態を示
したのが図9である。図9に示すように、振動子ユニッ
ト10a、10bは、所定圧力(すなわち、被検体測定
時の圧力)で基準体80に押し付けられており、振動子
カバー14a、14bは被検体測定時とほぼ等しいつぶ
れ具合となっている。また、基準体80の表面には基準
体温度センサ82が取り付けられており、これにより随
時基準体80の温度が測定される。なお、このときの基
準体80の所定位置へのセッティングは、図示しない基
準体セッティング機構によって自動的に行う。もちろ
ん、操作者自身が手動でセッティングを行う構成として
もよい。
【0053】次に、この状態で超音波の送受信を行い、
超音波振動子間の超音波の伝搬時間t1を計測する。更
に、この時の基準体80の温度rを基準体温度センサ8
2で測定する(S304)。
【0054】そして、この測定結果を用いて、準備測定
工程時の基準体80内の音速Vsを次式(6)で求める
(S306)。
【0055】Vs=αr+β …(6) (6)式において、αは基準体80内の音速Vsの温度
勾配であり、βはその切片、すなわち基準温度(例えば
0℃)の時の音速である。このαとβは予め実験等によ
って定めておく。このようにして求められた基準体内の
音速Vsは、メモリ60(図2参照)にいったん記憶さ
れる。
【0056】次に、操作者は、ハンドル34を回して振
動子間距離をいったん広げ、基準体80を取り除いた
後、振動子ユニット間に被検体を配置し、再びハンドル
34を回して振動子ユニット同士を互いに近づけ、トル
クリミッタ32が作動するところまで被検体70を挟み
込む(S308)。
【0057】そして、この状態で超音波の送受信を行っ
て超音波の伝搬時間t2を測定すると同時に、レーザ測
長器26を用いてこの時の振動子間距離L2を測定する
(S310)。
【0058】組織内音速演算工程において、準備測定工
程及び実測定工程での測定値と、S306で求められた
基準体内の音速Vsとを用いて、以下のようにして被検
体組織内の音速を求める。
【0059】まず、次式(7)を用いて、超音波が被検
体のみを透過するのに要する時間tを求める(S31
2)。
【0060】 t=t2−{t1−(Ls/Vs)} …(7) (7)式において、Lsは基準体80の厚さであり、既
知の値である。よって、(7)式において、Ls/Vs
超音波が基準体80を透過するのに要する時間を示して
いる。従って、(7)式における{t1−(Ls
s)}は、超音波が音響整合材層を通過するのに要す
る時間を示していることになり、これを振動子間の超音
波の伝搬時間t2から減ずることにより超音波が被検体
組織を透過するのに要する時間tを求めることができ
る。
【0061】そして、このようにして求められた被検体
組織内の超音波透過時間tを用いて、第1応用例と同様
に、前述の(2)式によって被検体組織内の音速を求め
る。
【0062】このように、この第3応用例では、前述の
第1応用例と同様に、被検体組織内の音速Vの演算にお
いて、音響整合材層内の伝搬時間t1の影響を排除した
ため、温度変化による音響整合材層内の音速変化の影響
を受けず、より正確な被検体組織内の音速Vを得ること
ができる。更に、準備測定工程において、被検体とほぼ
等しい厚さを有する基準体80を振動子ユニット間に挟
みこんで伝搬時間等の測定を行うことにより、準備測定
工程時と実測定工程時との振動子間距離の差が基準体8
0を用いない場合(例えば、第1応用例)に比べて小さ
くなるので、有効測長範囲の小さいレーザ測長器を用い
ることが可能になり、装置全体のコストダウンを図るこ
とができる。
【0063】また、この第3応用例の変形例として、次
のような方法がある。すなわち、図8のフローチャート
におけるS304において、超音波振動子間の超音波の
伝搬時間t1を測定すると同時に、レーザ測長器26に
より振動子間距離L1を測定する。そして、組織内音速
演算工程のS314において、以下に示す式(8)を用
いて、被検体組織内の音速Vを求める。
【0064】 V={L2−(L1−Ls)}/t …(8) この(8)式において、(L1−Ls)は音響整合材層の
厚さを示しており、これをL2から減算することによ
り、被検体組織のみの厚さが求められる。この被検体組
織のみの厚さを超音波が被検体組織のみを透過するのに
要した時間tで割ることにより、更に正確な被検体組織
内の音速Vを求めることができる。このように、この変
形例では、音速の演算において音響整合材層の影響を完
全に排除しているため、音響整合材層内の音速の変化や
音響整合材層の厚さの変化などの影響を受けず、正確な
被検体組織内の音速Vを得ることができる。
【0065】次に、本発明に係る装置を利用した組織内
音速測定方法の第4応用例を説明する。この第4応用例
は、前述の第3応用例の構成に加えて音響整合材16
a、16bの温度を計測する手段を備えており、音響整
合材16a、16bの温度変化を考慮して、更に正確な
組織内音速を求めようとするものである。音響整合材の
温度を計測する手段としては、第2応用例に挙げた整合
材温度センサ19と同じ物を用いる。以下、図10のフ
ローチャートを用いて本応用例について説明する。
【0066】まず、操作者は、一対の振動子ユニットに
よって基準体80を挟み込む(S402)。この状態で
超音波の送受信を行い、超音波の伝搬時間t1を計測す
る。更にこのとき、レーザ測長器26で振動子振動面間
距離L1を計測し、また基準体温度センサ82によって
基準体80の温度rを計測する。更に、整合材温度セン
サ19によって音響整合材の温度d1を計測する(S4
04)。
【0067】これら準備測定工程における測定値を用い
て、まずこの時の基準体の音速Vsを前述の(6)式を
用いて求める(S406)。
【0068】そして、求められた基準体の音速Vsを用
いて、準備測定工程における音響整合材内の音速V1
次式(9)で求める(S408)。
【0069】 V1=(L1−Ls)/(t1−Ls/Vs) …(9) 次に、操作者は、被検体80を振動子ユニット間に挟む
(S410)。そして、この状態で超音波の送受信を行
って超音波の伝搬時間t2を計測し、更に音響整合材の
温度d2及び振動子間距離L2を計測する(S412)。
【0070】そして、これら測定値を用いて、実測定時
の音響整合材内の音速V2を前述の式(4)によって求
める(S414)。
【0071】次に、式(10)に従い、超音波が被検体
組織を透過するのに要する時間tを求める(S41
6)。
【0072】 t=t2−(L1−Ls)/V2 …(10) すなわち、音響整合材層の厚さを示す距離(L1−Ls
を実測定工程における音響整合材の温度V2で割ること
により、実測定工程において超音波が音響整合材層を透
過するのに要する時間を求め、これを超音波振動子間の
伝搬時間t2から引くことにより超音波が被検体組織の
みを透過するのに要する時間tを求める。
【0073】そして、被検体組織内の音速Vは、第3応
用例と同様に、前述の(8)式で求められる(S41
8)。
【0074】このように、第4応用例でも、基準体80
を用いることにより、有効測長範囲の小さいレーザ測長
器を採用することが可能となり、装置のコストダウンを
図ることができる。
【0075】なお、以上に示した第3及び第4応用例で
は、基準体温度センサ82を基準体80の表面に取り付
ける例を説明したが、これに限らず、基準体80の温度
をその時の室温と等しいとみなし、その時の室温を計測
して基準体80の温度として用いてもよい。また第4応
用例においては、基準体の温度計測手段と音響整合材の
温度計測手段を別に設けたが、これらを兼ね備えた1つ
の温度計測手段を設ける構成としてもよい。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
制限手段を設けたことにより、振動子ユニットを対象物
(例えば被検体、対のもう一方の振動子ユニットなど)
に当接させる際の力を所定値に制限することができる。
【0077】また、本発明によれば、駆動力発生手段か
らの駆動力で送りネジを回転させることにより振動子ユ
ニットを移動させると共に、駆動力発生手段と送りネジ
との間にトルクリミッタを設けたので、振動子ユニット
が対象物に当接される時の力を、トルクリミッタにより
制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波組織評価装置の機械的部
分の構成を示す概略図である。
【図2】 本発明に係る超音波組織評価装置の全体構成
を示すブロック図である。
【図3】 組織内音速測定方法の第1応用例を示すフロ
ーチャートである。
【図4】 準備測定工程時において振動子カバー同士を
押し付け合わせた状態を示す説明図である。
【図5】 実測定工程において振動子ユニット間に被検
体を挟み込んだ状態を示す説明図である。
【図6】 整合材温度センサを有する振動子ユニットを
示す概略図である。
【図7】 組織内音速測定方法の第2応用例を示すフロ
ーチャートである。
【図8】 組織内音速測定方法の第3応用例を示すフロ
ーチャートである。
【図9】 第3応用例の準備測定工程において、振動子
ユニット間に基準体を挟み込んだ状態を示す説明図であ
る。
【図10】 組織内音速測定方法の第4応用例を示すフ
ローチャートである。
【符号の説明】
10a,10b 振動子ユニット、12a,12b 超
音波振動子、14a,14b 振動子カバー、16a,
16b 音響整合材、18a,18b 振動子ケース、
20a,20b コード、22a,22b アーム、2
4a,24bネジ受け部、26 レーザ測長器、28
反射板、30 送りネジ、32 トルクリミッタ、34
ハンドル、40 送信アンプ、42 受信アンプ、4
4 A/D変換器、50 制御部、52 振動子制御
部、54 伝搬時間測定部、56測長器制御部、58
音速演算処理部、60 メモリ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波を用いて生体組織を評価する超音
    波組織評価装置であって、 超音波の送受波を行う少なくとも1つの振動子ユニット
    と、 前記振動子ユニットを、対象物に当接させるために移動
    させる振動子ユニット移動機構と、 を含み、 前記振動子ユニット移動機構は、 前記対象物に前記振動子ユニットを当接させる力が所定
    値に制限されるよう、前記振動子ユニットを移動させる
    力を制限する制限手段を有することを特徴とする超音波
    組織評価装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超音波組織評価装置にお
    いて、 前記制限手段の作動により前記振動子ユニットに加わる
    力が所定値に制限された状態で超音波の送受波を行うこ
    とを特徴とする超音波組織評価装置。
  3. 【請求項3】 超音波を用いて生体組織を評価する超音
    波組織評価装置であって、 超音波の送受波を行う少なくとも1つの振動子ユニット
    と、 前記振動子ユニットを移動させる振動子ユニット移動機
    構と、 を含み、 前記振動子ユニット移動機構は、 駆動力を発生する駆動力発生手段と、 前記振動子ユニットを移動させるために、前記駆動力発
    生手段からの駆動力によって回転する送りネジと、 前記駆動力発生手段と前記送りネジとの間に設けられ、
    前記駆動力発生手段から前記送りネジに伝達される駆動
    力を所定値に制限するトルクリミッタと、 を含むことを特徴とする超音波組織評価装置。
  4. 【請求項4】 超音波を用いて生体組織を評価する超音
    波組織評価装置であって、 超音波の送受波を行う一対の振動子ユニットと、 前記一対の振動子ユニット間の距離を変える振動子ユニ
    ット移動機構と、 を含み、 前記振動子ユニット移動機構は、 駆動力を発生する駆動力発生手段と、 前記一対の振動子ユニットを移動させるために、前記駆
    動力発生手段からの駆動力によって回転する送りネジ
    と、 前記駆動力発生手段と前記送りネジとの間に設けられ、
    前記駆動力発生手段から前記送りネジに伝達される駆動
    力を所定値に制限するトルクリミッタと、 を含むことを特徴とする超音波組織評価装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の超音波組織評価装置にお
    いて、 前記送りネジは、巻き方向が互いに逆向きの順方向ネジ
    部及び逆方向ネジ部を有し、前記順方向ネジ部には一方
    の振動子ユニットを支持するネジ受けが係合し、前記逆
    方向ネジ部には他方の振動子ユニットを支持するネジ受
    けが係合することを特徴とする超音波組織評価装置。
  6. 【請求項6】 請求項3から請求項5のいずれかに記載
    の超音波組織評価装置において、 前記トルクリミッタの作動により前記送りネジに伝達さ
    れる駆動力が所定値に制限された状態で超音波の送受波
    を行うことを特徴とする超音波組織評価装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0174084U (ja) * 1987-11-06 1989-05-18
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JPH05237101A (ja) * 1991-05-22 1993-09-17 Walker Magnetics Group Inc 超音波骨診断装置
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