JPH11116844A - アルミニウム及びアルミニウム合金用充填被覆材、これを用いたアルミニウム及びアルミニウム合金の被覆構造、接着構造及び成形体 - Google Patents

アルミニウム及びアルミニウム合金用充填被覆材、これを用いたアルミニウム及びアルミニウム合金の被覆構造、接着構造及び成形体

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JPH11116844A
JPH11116844A JP17066398A JP17066398A JPH11116844A JP H11116844 A JPH11116844 A JP H11116844A JP 17066398 A JP17066398 A JP 17066398A JP 17066398 A JP17066398 A JP 17066398A JP H11116844 A JPH11116844 A JP H11116844A
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aluminum
coating
aluminum alloy
filler
cement
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Masaharu Shinoda
正治 篠田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被覆材を塗着するだけで、アルミニウム及び
アルミニウム合金の表面の下地処理を行うと同時に被覆
構造を形成することができる。 【解決手段】 樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質を
含む有機質接合材と、セメント系無機質接合材と、細骨
材とを含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、アルミニウム及
びアルミニウム合金用充填被覆材、これを用いたアルミ
ニウム及びアルミニウム合金の被覆構造、接着構造及び
成形体に関する。詳しくはセメント系無機質接合剤と、
有機質接合剤と、細骨材とを添加して構成されるアルミ
ニウム及びアルミニウム合金用の充填被覆材等に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム及びアルミニウム合金は、
その表面に強い不動体膜を形成することができるため、
鉄系素材のように塗装を行わずに高い耐蝕性を付与する
ことができる。
【0003】一方、上記不動体膜によって表面活性が低
下させられる。このため、親水性、接着性等が大きく低
下し、そのままでは所望の色彩で塗装を施すのは困難で
ある。また、同様の理由によって、接着性も極めて悪
い。
【0004】上記問題を解決するため、たとえば、特開
昭46−6007号公報、特開昭55−3848号公報
に記載されているもののように、アルカリ性溶液等を用
いて、被覆対象物表面を前処理して表面の接着特性を改
善した後に、塗装を施し、あるいは接着を行うことが多
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法におい
ては、被覆対象物の表面を前処理することを前提として
いるため、製造工程が大幅に増加してコストが上昇する
といった問題がある。
【0006】また、上記前処理を施すことによって被覆
対象物の表面が活性化されるため、上記前処理を行った
後の塗装工程も、管理された工場内で行う必要があっ
た。このため、製品を設置する現場で、背景等に応じて
色彩を選択して塗装を行うのは困難であった。
【0007】さらに、上記従来の塗装は、再塗装を前提
としておらず、被覆対象物の表面が傷ついて見栄えが悪
化した場合等に、重ね塗り等を行っても、充分な強度を
備える被覆構造を形成できない場合が多かった。
【0008】また、酸化皮膜が形成された表面は表面接
着性が低く、アルミニウム製品を修理補修するための、
接着強度の高い接着剤や充填剤もほとんどなかった。
【0009】また、近年金属繊維を用いて種々の成形体
を形成し、吸音材や電磁シールド材等として用いること
が多い。ところが、上述したように、アルミニウム系金
属から形成される繊維体を高い接着強度で接着するバイ
ンダがないため、金網等を介して所望の形態に成形する
ことが多かった。したがって、アルミニウム系繊維を適
用できる範囲が限られていた。
【0010】本願発明は、上記従来の問題を解決し、ア
ルミニウム及びアルミニウム合金表面の下地処理を行う
と同時に被覆構造を形成することのできる、アルミニウ
ム及びアルミニウム合金用充填被覆材、これを用いたア
ルミニウム及びアルミニウム合金の被覆構造、接着構造
及び成形体を提供することをその課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0012】本願の請求項1に記載した発明は、樹脂及
び/又はゴムの水性高分子物質を含む有機質接合剤と、
セメント系無機質接合剤、細骨材とを含んで構成される
アルミニウム及びアルミニウム合金用充填被覆材に関す
るものである。
【0013】ポルトランドセメント等のセメント系無機
質接合剤は石灰及び水酸化カルシウムを含んでおり、水
で混練するとPHが11〜12まで高まる。このため、
アルミニウムにセメント系無機質接合剤を塗着すると表
面を急激に腐食させる。また、急激な腐食によって多量
の水素が発生するため、セメントペーストあるいはセメ
ントモルタル等のセメント系の被覆材でアルミニウムあ
るいはアルミニウム合金の表面に実用的な被覆構造を形
成することはできなかった。
【0014】本願発明は、上記セメント系無機質接合剤
のアルミニウムに対する腐食特性を、樹脂及び/又はゴ
ムの水性高分子物質を含む有機質接合剤と細骨材とを配
合することにより制御し、従来にないアルミニウム及び
アルミニウム合金用充填被覆材を構成したものである。
【0015】上記樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質
と細骨材とによって、セメント系接合剤の表面に対する
腐食を制御できる理由は明らかではないが次のように考
えることができる。
【0016】上記セメント系無機質接合剤の腐食成分で
ある塩基性物質を含む塩基性水溶液が被覆対象物表面に
作用して腐食が進行するのであるが、適度の粒度をもっ
た多量の細骨材を配合することによって、セメント系無
機質接合剤及び高分子物質が硬化するまでの間、上記細
骨材が被覆対象物の表面に吸着配列されて、表面に作用
できる塩基性水溶液の動きを制限する。このため、流動
等によって、PHの高い新たな塩基性水溶液が表面に供
給されるのを阻止して、被覆初期における腐食が急激に
進行するのを妨げるものと考えられる。
【0017】さらに、上記樹脂及び/又はゴムの水性高
分子物質が被覆対象物表面に付着して硬化し、塩基性水
溶液と被覆対象物表面との接触を妨げる。さらに、セメ
ント系無機質接合剤は水と反応して硬化するため、被覆
層のpHが低下するとともに塩基性水溶液の流動性が停
止して被覆対象物表面に作用できる塩基性水溶液の量が
制限される。このため、被覆対象物表面近傍の塩基性物
質が消費されると被覆対象物表面近傍のPHが急激に低
下し、腐食の進行が停止するものと思われる。
【0018】一般に、アルミニウムは、PH3以下及び
PH10以上の領域で激しく腐食する一方、PHが10
以下になるとほとんど腐食されない特性を備える。本願
発明に係る充填被覆材は、被覆直後にアルミニウム表面
近傍のPHを12程度に高める一方、腐食の進行にとも
なってPHが10以下に急激に低下することにより、被
覆対象物表面のごく薄い層のみが腐食された後に腐食現
象が停止するものと思われる。
【0019】上記の腐食過程において、多少の水素が発
生しても、被覆対象物表面近傍に形成される高分子物質
膜中、あるいはセメント系無機質接合剤の水硬反応生成
物中に、発生後ただちに閉じ込められあるいは骨材の間
隙から抜け出ることができるため、大きな気泡に成長す
ることがなく、接着性能に影響を与えないものと思われ
る。
【0020】すなわち、本願発明に係る充填被覆材にお
いては、セメント系無機質接合剤による被覆対象物表面
の前処理過程と、高分子−セメントの硬化物による被覆
構造の形成過程とが同時に行われているものと考えられ
る。
【0021】セメント系無機質接合剤は特に限定される
ことはなく、水硬性セメント、気硬性セメント、特殊セ
メント等用途に応じて種々のセメントを採用できる。特
に、取り扱いの容易さ、耐熱性、耐水性、耐候性が良
く、また安価に入手できる水硬性セメントを採用するの
が好ましい。
【0022】また、請求項5に記載した発明のように、
水硬性セメントとして、普通ポルトランドセメント、白
色ポルトランドセメント等を採用することができる。
【0023】特に、白色ポルトランドセメントは、その
成分中に鉄分やマンガン分が極めて少ないため、被覆材
を調整するの際の水分調整を容易にできる。しかも、白
色であるため、種々の顔料を用いて容易に着色すること
ができる。
【0024】一方、上記有機質接合剤として、アクリル
酸アルキルエステル−アクリロニトリル−メタクリル酸
共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ブ
タジエン−メタクリル酸共重合体、イソプレン−アクリ
ル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体
或いはアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸共
重合体などのアクリル酸エステル−アクリル酸共重合
体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸共重合体或いはア
クリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸共重合体な
どのアクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、カル
ボキシルポリイソブチレン、エチレン−アクリル酸共重
合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ブタジエン−
スチレンカルボキシルエラストマー、ブタジエンアクリ
ロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタジエン−メ
タクリロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタジエ
ン−塩化ビニリデンカルボキシルエラストマー、ポリク
ロロプレンカルボキシルエラストマー、ポリエチレンカ
ルボキシルエラストマー或いはポリイソブチレンカルボ
キシルエラストマーなどのエマルジョン、水溶液又はデ
ィスパージョンが挙げられる。
【0025】エマルジョン、水溶液、ディスパーション
等の形態の高分子物質は、セメント系無機質接合剤との
親和性がよく、容易に混練することができる。
【0026】また、樹脂又は/ゴムの水性高分子物質と
して、上述したエマルジョン等の液体状のものを採用で
きるのみならず、たとえば、パウダー状の水性高分子物
質を採用することができる。
【0027】たとえば、水を加えることによって、容易
にエマルジョン化する酢酸ビニル・ベオバ共重合樹脂等
を採用することによって、施行現場で被覆層を形成する
際の作業性が格段に向上する。
【0028】上記骨材として種々のものを採用できる。
たとえば、二酸化ケイ素を主成分とするケイ砂、炭酸カ
ルシウムを主成分とする石粉、鉱滓、軽量骨材等から選
ばれた少なくとも1種を配合して構成することができ
る。また、ガラス粉末、ガラスビーズ等の人工骨材を配
合することもできる。
【0029】上記骨材の粒度は特に限定されることはな
いが、請求項6に記載した発明のように、粒度0.5μ
m〜5μmの微粒子を5重量%以上含んで構成するのが
好ましい。さらに好ましくは、5μm以下の微粒子を1
0重量%〜20重量%含んで構成するのが好ましい。微
細な骨材を被覆対象物表面に高密度で充填することによ
り、被覆直後の塩基性水溶液の流動を抑制できると考え
られるからである。
【0030】上記セメント系無機質接合剤の配合量は、
5重量%〜30重量%に設定するのが望ましい。5重量
%以下では、塩基度が低くなって、被覆対象物の表面の
改善して接着性を高めることができない。また、高分子
成分の配合量が多くなるため、被覆構造の強度が低下す
る。一方、セメント系無機質接合剤の配合量が30重量
%以上になると、被覆直後の塩基度が高くなり、被覆対
象物表面の腐食が急激に進行する恐れがある。また、被
覆構造の弾性が低下するため、表面に亀裂等が生じる恐
れがある。
【0031】上記細骨材の配合量は、40重量%〜80
重量%に設定するのが望ましい。40重量%以下では、
接合剤の量が多くなって被覆構造の強度が低下する。一
方、80%以上では、弾力が低下して、ひび割れ等が発
生する恐れがある。
【0032】好ましくは、請求項4に記載した発明のよ
うに、セメント系無機質接合剤を10重量%〜30重量
%、樹脂及びゴムの水性高分子物質を含む有機質接合剤
を10重量%〜30重量%、骨材を50重量%〜70重
量%含んで構成するのが好ましい。
【0033】本願の請求項7に記載した発明は、PH調
整剤を配合したものである。
【0034】PH調整剤として、セメント用あるいはコ
ンクリート用として公知の種々の混和剤を使用すること
ができる。たとえば、亜硝酸リチウム等のリチウム化合
物、あるいはリン酸塩を配合することができる。また、
マグネシアセメント、アルミナセメント、微粉末鉱滓、
フライアッシュ、ゼオライト等を配合することにより、
セメント系無機質接合剤中のアルカリ成分を消費させあ
るいは添加して、PHを調整することができる。PHの
値は特に限定されることはないが、被覆対象物の腐食特
性に応じて設定する必要がある。
【0035】本願発明は、アルミニウム及びアルミニウ
ム合金に適用される。アルミニウム及びアルミニウム合
金には、表面に酸化皮膜等の種々の表面皮膜を形成した
もの、表面加工をしたものが含まれる。
【0036】本願発明が適用できるアルミニウム合金と
して、銅、珪素、マグネシウム、亜鉛、マンガンを配合
した合金が挙げられる。また、製品を形成する加工方法
について限定されることはなく、鍛造されたもの、鋳造
されたもの、圧延されたもの等に適用できる。
【0037】また、アルミニウム又はアルミニウム合金
から成形される繊維体、あるいは粉体を成形して形成さ
れるものにも適用できる。
【0038】本願の請求項8に記載した発明は、請求項
1から請求項7のいずれかに記載した充填被覆材から形
成される表面被覆層を備える被覆構造に関する。
【0039】上述したように、本願発明に係る充填被覆
材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面と一体
化されて強固な皮膜を形成する。このため、アルミニウ
ム又はアルミニウム合金の表面を保護し、長期間酸化等
を防止する。
【0040】しかも、本願発明に係る充填被覆材は着色
が容易であるため、アルミニウム構造物の表面に所望の
着色を施すことが可能となる。
【0041】たとえば、本願の請求項9に記載した発明
のように、請求項1から請求項7のいずれかに記載した
充填被覆材によって、アルミニウム又はアルミニウム合
金の表面に接着下地層を形成するとともに、この接着下
地層に他の被覆材を用いて仕上げ被覆層を積層形成した
ものである。
【0042】本願発明に係る充填被覆材は、アルミニウ
ム及びアルミニウム合金に対する接着性が高いととも
に、それ自体の強度及び表面接着性が高い。このため、
本願発明に係る被覆材によって接着下地層を形成して、
この接着下地層に対して通常の塗料等を積層した被覆構
造を形成することができる。もちろん、本願発明に係る
充填被覆材のみによって被覆構造を形成することもでき
る。
【0043】また、請求項10に記載した発明のよう
に、請求項1から請求項7のいずれかに記載した充填被
覆材によって、アルミニウム又はアルミニウム合金の表
面に接着下地層を形成するとともに、この接着下地層を
介して直接的にあるいは他の接着剤を介して、上記アル
ミニウム又はアルミニウム合金の表面と他の部材とを接
着することができる。
【0044】さらに、本願発明に係る充填被覆材は、骨
材を多量に含有するため、厚塗りを行っても収縮が少な
い。このため、アルミニウム及びアルミニウム合金の充
填被覆材、あるいは充填接着剤として使用することがで
きる。
【0045】本願発明に係る被覆構造形成過程は、鉄系
材料の被覆構造と大きく異なる。すなわち、被覆対象物
の表面を腐食させる過程と、被覆層の硬化過程とが同時
に進行する。このため、前処理等を行うことなく、従来
にない接着力を得ることができるとともに、被覆対象物
と被覆材の界面において被覆材が剥離することはほとん
どない。
【0046】本願の請求項11に記載した発明は、アル
ミニウム繊維又はアルミニウム合金繊維から形成される
多孔質成形体の表面に、請求項1から請求項7のいずれ
かに記載した充填被覆材によって表面被覆層を形成した
ものである。
【0047】本願発明に係る充填被覆材は骨材を含有す
るため、多孔質体の表面に充填被覆層を容易に形成する
ことができる。しかも、充填被覆材が繊維と強固に結合
するため、多孔質成形体の表面強度を格段に高めること
ができる。また、表面繊維の脱落を防止できるととも
に、表面に彩色等を施すことも容易になる。
【0048】また、配合する骨材の粒度を調節すること
により、表面被覆層自体を多孔質状に形成することもで
きる。この結果、所望の通気度や吸音特性を備えるたア
ルミニウム多孔質体を容易に形成することができる。
【0049】さらに、本願発明に係る充填被覆材は、耐
熱性、耐火性が高く、アルミニウム多孔質体の耐火性能
を阻害することなく表面被覆層を形成できる。
【0050】さらに、請求項12に記載した発明のよう
に、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成される
繊維体又は粉体を含む多孔質成形体に、請求項1から請
求項7のいずれかに記載した充填被覆材を含浸させるこ
とにより成形体を形成することもできる。
【0051】本願の請求項13に記載した発明は、アル
ミニュウム又はアルミニウム合金から形成される繊維体
又は粉体を含む成形材料を、本願発明に係る充填被覆材
によって接合することにより成形体を形成したものであ
る。
【0052】本願発明に係る充填被覆材をバインダとし
て、アルミニウム系の繊維体又は粉体を接合することに
より、種々の用途に用いることのできるアルミニウム複
合成形体を形成できる。
【0053】特に、本願発明に係る充填被覆材は耐熱
性、耐火性が高く、また、発煙性もほとんどないため、
種々の場面に適用できる成形体を形成できる。
【0054】本願の請求項14に記載した発明のよう
に、上記成形材料に炭素化合物を含ませることができ
る。
【0055】炭素化合物を含ませることにより、アルミ
ニウムの導電性と相まって電磁特性が向上し、電磁波シ
ールド材等として利用できる。また、触媒フィルターと
して使用することもできる。
【0056】繊維状又は粉状の炭素化合物として、請求
項15及び請求項16に記載した発明のように、黒鉛や
活性炭を採用できる。
【0057】なお、黒鉛の配合量は、アルミニウム系繊
維あるいは粉体に対して50重量%以下にするのが好ま
しい。成形体の強度、充填被覆材の接着性等が低下する
からである。
【0058】また、充填被覆材に配合される骨材と同程
度の粒度を有する炭素化合物を配合する場合は、その分
骨材の配合量を低減させるのが好ましい。炭素化合物自
体が骨材として作用するからである。
【0059】好ましくは、100μm以下の粒度の炭素
化合物を配合する場合は、上述した配合量から、炭素化
合物の配合量を減じた量を配合するのが好ましい。
【0060】上述した成形体は、充填被覆材の量、骨材
の大きさ等を調節することにより、請求項17に記載し
た発明のように、多孔質状に形成することもできる。
【0061】
【発明の実施の形態】以下、本願発明に係る実施の形態
を具体的に説明する。
【0062】表1に本願発明に係る充填被覆材の配合例
を示す。
【0063】
【表1】
【0064】表1に示す充填被覆材は、白色ポルトラン
ドセメントと、酢酸ビニル系樹脂エマルジョンと、石質
系骨材とを含んで構成される。表1に示す配合割合は固
体成分の割合であり、これに同重量の水を加えて混練し
水性充填被覆材を調整する。
【0065】表2に被覆対象物であるアルミニウム合金
の組成を示す。本実施の形態に係るアルミニウム合金
は、ケースカバー類に多用されている鋳造用アルミニウ
ム合金である。
【0066】
【表2】
【0067】上記アルミニウム合金は成形性が高く、通
常状態で表面に酸化アルミニウム皮膜が形成されて高い
耐蝕性がある。一方、表面の濡れ性が低く、通常の塗料
で塗装することは困難である。
【0068】表1に示す配合成分を備える充填被覆材を
表2に示す材料から形成された被覆対象物にエアガンに
よって吹き付け、厚さ約0.5ミリメートルの被覆構造
を形成した。
【0069】なお、水分の配合割合は、被覆を構成でき
る範囲内で、できるだけ少なくするのが好ましい。実施
の形態においては、エアガンによって吹き付け塗着でき
る粘度に調整できるだけの水分を配合している。水分が
多いと硬化に時間がかかり、また、被覆対象物表面に悪
影響を与える恐れがあるからである。
【0070】上記のようにして形成した被覆構造の接着
特性試験を、JISA6916(セメント系下地調整
材)に基づいて行った。試験は、被覆構造形成後30日
経過したもの5例について行った。
【0071】結果
【0072】5例の全てについて、被覆構造内部におけ
る割れ破壊が生じ、接着強度の平均値は、被覆材料自体
の引張強度に匹敵する32kg/平方センチメートルで
あった。
【0073】また、被覆充填材を、被覆対象物表面から
ナイフで擦り取ると、被覆対象物表面に微細な凹凸が形
成されていることが判明した。
【0074】上記の結果から、本実施の形態に係る充填
被覆材は、被覆対象物の表面を若干腐食させた後に硬化
したものと考えられる。
【0075】図1に本実施の形態に係る被覆構造を模式
的に示す。
【0076】この図に示すように、被覆対象物1の表面
が、充填被覆材を塗着した直後に腐食させられて凹凸面
2が形成される。被覆対象物1と充填被覆材3との界面
には、被覆対象物と充填被覆材との間で生成された腐食
生成物と、高分子物質硬化体及びセメント硬化体による
複合境界層4が形成されている。
【0077】上記複合境界層4の外面には、骨材5が高
い密度で配列充填されているとともに、この骨材5の間
を埋めるようにして、高分子物質及びセメントの硬化体
6が充填されている。
【0078】この被覆構造においては、骨材5が被覆対
象物1の表面に高い密度で充填されるため、水分の流動
性が大きく低下する。このため、被覆対象物1の表面に
作用できる塩基性水溶液が、表面近傍に存在するものに
限定される。
【0079】すなわち、被覆対象物1の作用する塩基性
物質の量が制限されるため、被覆対象物表面近傍におけ
る塩基性水溶液のPHは、セメントの水和反応開始時の
PH12程度から急激に低下して10以下の値となると
思われる。これと相前後して、表面近傍のセメント系無
機質接合剤及び高分子物質が硬化して、上記被覆対象物
表面の塩基性水溶液の移動が完全に止まり、安定した被
覆構造が形成される。
【0080】なお、被覆構造の硬化後に、被覆対象物表
面近傍に積層された物質のPHを測定すると、8〜9程
度であった。したがって、被覆構造硬化後には、被覆対
象物表面の腐食は完全に停止しているものと考えられ
る。
【0081】上記被覆構造の厚さは、0.5ミリメート
ルと従来の酸化皮膜に比べて格段に厚く、また、骨材を
大量に含有するため硬度も高い。また、白色ポルトラン
ドセメントを採用しているとともに、配合される骨材も
白色のものを採用しているため、顔料を混入することに
より所望の着色を施すことができる。
【0082】このため、アルミニウム合金の表面に従来
にない被覆構造を形成することができる。
【0083】図2に、本願発明に係る充填被覆材を用い
て形成した多孔質成形体の断面構造を模式的に示す。
【0084】図2に示す実施の形態は、アルミニウム繊
維11から形成される板状不織布12に、本願発明に係
る充填被覆材13をバインダとして含ませることによ
り、多孔質成形体14を形成したものである。
【0085】上記多孔質成形体は14は、不織布12に
上記充填被覆材13を含浸させ、プレスすることにより
余分な充填被覆材を除去した後硬化させて形成される。
【0086】上記充填被覆材13は、不織布を構成する
各アルミニウム繊維に掛け渡すようにして成形体内部で
硬化させられており、アルミニウム繊維を接合するバイ
ンダとして機能している。
【0087】上記構成の多孔質成形体14は、アルミニ
ウム繊維11から形成される不織布の特性を保持しつ
つ、各繊維が充填被覆材13を介して接合される。この
ため、多孔質成形体14の保形性、強度等が格段に増加
するばかりでなく、表面における繊維の毛羽立ちが押さ
えられる。
【0088】また、上記充填被覆材13は、無機質接合
剤及び骨材を主成分とするため、従来のバインダに比べ
て耐熱性、耐火性が極めて高い。このため、そのまま吸
音パネル等として使用することもできる。
【0089】図3に示す実施の形態は、アルミニウム繊
維11から形成される不織布12の表裏面に表面被覆層
15を設けることにより、パネル16を形成したもので
ある。
【0090】上記表面被覆層15は、不織布12の表面
に本願発明に係る充填被覆材13をエアガンによって吹
き付けることにより形成される。
【0091】上記充填被覆材13は骨材を含むため、板
状不織布12の表面孔を充填するようにして表面被覆層
を形成できる。このため、編成体のごく表面にのみ、表
面被覆層15を形成することが可能となる。このため、
編成体内部の多孔質構造を阻害することなく表面装飾等
を施すことができる。しかも、表面の繊維がほぐれたり
脱落することもなくなり、パネル16の強度も向上す
る。
【0092】また、上記パネル16は、平滑な板状表面
を備えるとともに、内部が多孔質状に形成されている。
このため、保温性、遮音性能等が高まる。
【0093】表3及び表4に、アルミニュウム粉体と炭
素系化合物とを含む成形材料を、本願発明に係る充填被
覆材によって接合して成形体を形成する場合の配合例を
示す。
【0094】表3は成形材料の配合例であり、表4は、
充填被覆材の配合例である。なお、炭素系化合物として
黒鉛粉を採用している。
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】 上記成形材料と上記充填被覆材とを、重量割合で6対4
で混合して成形型に流し込んで自然硬化させることによ
り、所望の成形物を形成できる。
【0097】本願発明の範囲は、上述した実施の形態に
限定されることはない。
【0098】実施の形態においては、セメント系無機質
接合剤として白色ポルトランドセメントを採用したが、
普通ポルトランドセメント等他のセメント系無機質接合
剤を採用することができる。
【0099】また、実施の形態においては、被覆対象物
として表2に示すアルミニウム合金を採用したが、他の
アルミニウム合金に適用することもできる。
【0100】本実施の形態は、本願発明を表面被覆構造
に適用したが、アルミニウム合金同士、あるいはアルミ
ニウム合金と他の材料とを接合する接着構造に適用する
こともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る被覆構造を説明するための断面
図である。
【図2】多孔質成形体の断面を模式的に示す図である。
【図3】不織布の表裏面に表面被覆層を形成した場合の
断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 被覆対象物(アルミニウム合金) 3 充填被覆材 5 骨材

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質を
    含む有機質接合剤と、セメント系無機質接合剤と、細骨
    材とを含む、アルミニウム及びアルミニウム合金用充填
    被覆材。
  2. 【請求項2】 セメント系無機質接合剤を5重量%〜3
    0重量%含む、請求項1に記載のアルミニウム及びアル
    ミニウム合金用充填被覆材。
  3. 【請求項3】 細骨材を40重量%〜80重量%含む、
    請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム及びアルミ
    ニウム合金用充填被覆材。
  4. 【請求項4】 セメント系無機質接合剤を10重量%〜
    30重量%、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質を含
    む有機質接合剤を10重量%〜30重量%、骨材を50
    重量%〜70重量%含むことを特徴とする、アルミニウ
    ム及びアルミニウム合金用充填被覆材。
  5. 【請求項5】 上記セメント系無機質接合剤が、普通ポ
    ルトランドセメント又は白色ポルトランドセメントであ
    る、請求項1から請求項4のいずれかに記載のアルミニ
    ウム及びアルミニウム合金用充填被覆材。
  6. 【請求項6】 上記細骨材は、粒度0.5μm〜5μm
    の粒子を5重量%以上含んで構成される、請求項1から
    請求項5のいずれかに記載のアルミニウム及びアルミニ
    ウム合金用充填被覆材。
  7. 【請求項7】 PH調整剤を配合したことを特徴とす
    る、請求項1から請求項6のいずれかに記載のアルミニ
    ウム及びアルミニウム合金用充填被覆材。
  8. 【請求項8】 請求項1から請求項7のいずれかに記載
    した充填被覆材から形成される表面被覆層を備える、ア
    ルミニウム及びアルミニウム合金の被覆構造。
  9. 【請求項9】 請求項1から請求項7のいずれかに記載
    した充填被覆材によって、アルミニウム又はアルミニウ
    ム合金の表面に接着下地層を形成するとともに、この接
    着下地層に他の被覆材を用いて仕上げ被覆層を積層形成
    したことを特徴とする、アルミニウム及びアルミニウム
    合金の被覆構造。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項7のいずれかに記
    載した充填被覆材によって、アルミニウム又はアルミニ
    ウム合金の表面に接着下地層を形成するとともに、この
    接着下地層を介して直接的に、あるいは上記接着下地層
    に積層された接着剤を介して、上記アルミニウム又はア
    ルミニウム合金の表面と他の部材とを接着したことを特
    徴とする、接着構造。
  11. 【請求項11】 アルミニウム又はアルミニウム合金か
    ら形成される繊維体又は粉体を含む多孔質成形体の表面
    に、請求項1から請求項7のいずれかに記載した充填被
    覆材によって表面被覆層を形成した、アルミニウム又は
    アルミニウム合金の被覆構造。
  12. 【請求項12】 アルミニウム又はアルミニウム合金か
    ら形成される繊維体又は粉体を含む多孔質成形体に、請
    求項1から請求項7のいずれかに記載した充填被覆材を
    含浸させてなる、成形体。
  13. 【請求項13】 アルミニュウム又はアルミニウム合金
    から形成される繊維体又は粉体を含む成形材料を、請求
    項1から請求項7のいずれかに記載した充填被覆材によ
    って接合してなる、成形体。
  14. 【請求項14】 上記成形材料が繊維状又は粉状の炭素
    化合物を含む、請求項13に記載の成形体。
  15. 【請求項15】 上記炭素化合物が黒鉛である、請求項
    14に記載の成形体。
  16. 【請求項16】 上記炭素化合物が活性炭である、請求
    項14に記載の成形体。
  17. 【請求項17】 上記成形体が多孔質である、請求項1
    3から請求項16のいずれかに記載の成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6444027B1 (en) 2000-05-08 2002-09-03 Memc Electronic Materials, Inc. Modified susceptor for use in chemical vapor deposition process
JP2006027244A (ja) * 2004-07-22 2006-02-02 Dainippon Printing Co Ltd 金属蒸着紙およびその製造方法
JP2010501043A (ja) * 2006-07-20 2010-01-14 ヘレーウス エレクトロ−ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ 酸素リムーバーを含む高寸法有芯ワイヤ及びその製造方法

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