JPH11117788A - ディーゼル機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

ディーゼル機関の燃料噴射制御装置

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JPH11117788A
JPH11117788A JP9279138A JP27913897A JPH11117788A JP H11117788 A JPH11117788 A JP H11117788A JP 9279138 A JP9279138 A JP 9279138A JP 27913897 A JP27913897 A JP 27913897A JP H11117788 A JPH11117788 A JP H11117788A
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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    • Y02T10/40Engine management systems

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】スプリット噴射の実行時であれ非実行時であれ
常に適切な燃料噴射量の設定を図り、ひいては始動性の
さらなる向上を図ることのできるディーゼル機関の燃料
噴射制御装置を提供する。 【解決手段】エンジン1の燃料噴射制御装置2は、燃料
噴射ノズル4、インジェクションポンプ5、燃料噴射量
及び時期を調整する電磁スピル弁21及びタイミング制
御弁20、これらを制御する電子制御装置(ECU)8
等から構成されている。ECU8は、水温センサ23等
の検出結果よりエンジン1が冷間始動状態にあると判断
した場合、燃料噴射制御装置2を制御することで、必要
量の燃料を複数回に分割して噴射するスプリット噴射を
実行する。ECU8のROM内には、始動時のおけるス
プリット噴射実行時用及び非実行時用の始動時燃料噴射
量算出用の2つのマップが用意されており、始動時には
噴射方法に応じてマップを切り換えて噴射量を算出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼル機関の
燃料噴射制御装置にかかり、詳しくは同機関の始動性を
高める上で有効な燃料噴射制御の改良に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】電子制御式燃料噴射を採用したディーゼ
ル機関では、燃料噴射量及び燃料噴射時期をコンピュー
タを主体とした電子制御装置(以下、ECUという)に
より制御している。そして、燃料噴射量及び燃料噴射時
期は、同機関の回転数や負荷等の種々の条件に基づいて
決定されている。このうち燃料噴射量は、予めECU内
に記憶された制御マップを参照して決定される。
【0003】ところで、機関始動時のようにスタータに
よるクランキング状態にある場合には、ディーゼル機関
の回転変動がきわめて大きいため、始動時における燃料
噴射量を通常運転時の制御マップより求められたものよ
り増量補正する必要がある。ただし、始動時の燃料噴射
量を一律に一定量だけ増量補正すると、低温始動時のよ
うな燃料が着火しづらい状況にあっては、失火の発生率
が高く、同機関の始動性が逆に悪化する。また、完全暖
機された再始動時には、燃料噴射量の過多により排気ガ
ス中の未燃物質等が増加し、スモークが発生する。
【0004】そこで従来、こうした問題を解消すべく、
例えば特開昭63−186939号公報に記載の「ディ
ーゼルエンジンの燃料噴射量制御方法」では、低温始動
時には通常運転時とは異なったマップを用いて該始動時
の燃料噴射量を算出している。図15に、こうした低温
始動時の燃料噴射量制御マップの一例を示す。
【0005】同図15に示されるように、この燃料噴射
量制御にあっては、始動時の燃料噴射量QSTAを機関
回転数NE及びアクセル開度ACCPAより決定するに
際し、機関回転数NEが0からNaまでの区間では、燃
料噴射量QSTAをアクセル開度ACCPAに応じた一
定量としている。そして、同機関の回転数NEがNaか
らNbまでの区間では、機関回転数NEの増加に伴い燃
料噴射量QSTAを所定量Qaまで徐々に減少させてい
る。
【0006】上述のように、ディーゼル機関では通常、
始動時において機関回転数NEがある程度(図15では
NaからNbの区間)まで上昇すると回転変動が著しく
なり、失火が発生し易くなる。このとき、過剰な燃料が
噴射されていると、燃え残った燃料のため燃焼室内が冷
却される。こうして燃焼室内の温度が低下すると、燃料
が自己着火可能な温度まで上昇する期間が短くなるた
め、失火が更に発生し易くなり、低温始動性が低下す
る。
【0007】この点、同公報に記載の方法によれば、こ
うした失火の起こりやすい機関の回転域において燃料が
減少されることで燃焼室内の温度低下が防止され、低温
始動性の向上が図られるようになる。
【0008】一方従来は、このように燃料噴射量を調整
するだけでなく、例えば特開平5−86932号公報に
記載の「ディーゼル機関の燃料噴射装置」のように、燃
料の噴射方法そのものを状況に応じて変更することで始
動性の向上を図る技術も知られている。
【0009】すなわち同公報に記載の装置では、機関始
動時、冷却水温度THWが低く且つ機関回転数NEの低
い期間は必要な燃料噴射量を複数回に分割して燃焼室に
噴射するスプリット噴射を実行し、それ以外の期間で通
常噴射を実行するようにしている。冷却水温度THWの
低い低温始動時に、機関回転数NEが所定の回転数に上
がるまでこうしてスプリット噴射を実行することで、燃
料の気化熱による気筒内温度の低下を好適に回避しつ
つ、機関のより安定した始動を図ることができるように
なる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで通常、冷却水
温度THWの各温度において各々最適となる始動時燃料
噴射量は、スプリット噴射時と通常噴射時とで大きく異
なる。しかしながら上記従来の装置のように、目標燃料
噴射量と実際の燃料圧力とに基づいてそれらスプリット
噴射時や通常噴射時の燃料噴射量を一義的に算出すると
なるとその適合が難しく、冷却水温度あるいは機関回転
数の領域によってはその噴射量ばらつきが無視できない
ものとなる。スプリット噴射は上述のように、始動性の
向上に極めて有効な噴射方法ではあるものの、こうして
噴射量ばらつきが大きくなる場合には、逆に始動性の悪
化を招くことにもなりかねない。
【0011】また、一噴射当たりの燃料噴射量には通
常、温度や燃料の粘度、あるいは燃料噴射装置の精度等
に起因する多少の誤差が生じる。そして、要求される燃
料噴射量を複数回に分割して噴射するスプリット噴射の
場合には、こうした誤差が累積されるため、通常の噴射
に比べて噴射量ばらつきは大きくなる。そのため、こう
したスプリット噴射時の燃料噴射量は特に厳密に管理さ
れる必要もある。
【0012】本発明はこうした実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、スプリット噴射の実行時であれ
非実行時であれ常に適切な燃料噴射量の設定を図り、ひ
いては始動性のさらなる向上を図ることのできるディー
ゼル機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、必要とされる燃料噴射
量を複数回に分割して噴射するスプリット噴射に専ら対
応して当該噴射にかかる始動時燃料噴射量を算出する第
1の噴射量算出手段と、前記スプリット噴射以外の通常
噴射に専ら対応して当該噴射にかかる始動時燃料噴射量
を算出する第2の噴射量算出手段と、機関始動時の所定
パラメータに基づき前記スプリット噴射及び前記通常噴
射の一方を実行するに際し、スプリット噴射時には前記
第1の噴射量算出手段により算出される始動時燃料噴射
量に基づき燃料噴射制御を実行し、通常噴射時には前記
第2の噴射量算出手段により算出される始動時燃料噴射
量に基づき燃料噴射制御を実行する制御手段と、を備え
ることをその要旨とする。
【0014】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載のディーゼル機関の燃料噴射制御装置において、前記
第1及び第2の噴射量算出手段は、冷却水温度及び機関
回転数をパラメータとしたそれぞれ各別のマップに基づ
いて前記始動時燃料噴射量を算出するものであることを
その要旨とする。
【0015】これらの構成によれば、スプリット噴射実
行時と非実行時とでは始動時噴射量が完全に独立して決
定される。したがって、スプリット噴射実行時と非実行
時とでそれぞれ適当な始動時燃料噴射量が適用されるた
め、さらに始動性が向上される。
【0016】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
請求項2に記載のディーゼル機関の燃料噴射制御装置に
おいて、機関始動後の通常噴射に専ら対応して当該噴射
にかかる始動後燃料噴射量を算出する第3の噴射量算出
手段をさらに備え、前記制御手段は、機関始動後、前記
第3の噴射量算出手段により算出される始動後燃料噴射
量に基づき燃料噴射制御を実行することをその要旨とす
る。
【0017】同構成によれば、始動時及び始動後の燃料
噴射量が完全に独立した手段でもって算出される。した
がって、上記第1の噴射量算出手段であれ、あるいは上
記第2の噴射量算出手段であれ、機関始動後の燃料噴射
量にとらわれない、まさに最適な噴射量としてそれら始
動時の燃料噴射量を算出される。
【0018】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載のディーゼル機関の燃料噴射制御装置において、前記
第3の燃料噴射量算出手段は、前記第1及び第2の噴射
量算出手段により算出される始動時燃料噴射量を徐変に
て減少させた噴射量とアクセル開度及び機関の回転数に
基づいて算出される基本噴射量とのいずれか大きい値を
前記算出する始動後燃料噴射量とすることをその要旨と
する。
【0019】同構成によれば、始動時から始動後にかけ
ての燃料噴射量が円滑に推移される。なお通常、上記選
択される始動後燃料噴射量は、同機関の許容される最大
噴射量によって上限ガードされる。
【0020】請求項5に記載の発明では、請求項4に記
載のディーゼル機関の燃料噴射制御装置において、前記
第3の噴射量算出手段は、前記始動時燃料噴射量の徐変
速度を冷却水温度に基づき決定することをその要旨とす
る。
【0021】同構成によれば、冷却水温度に基づき始動
時燃料噴射量の徐変速度を決定することで、機関の温度
状態に応じて始動時から始動後への遷移期間の長さが最
適とされる。例えば暖機がなされていない機関の冷間運
転時には、徐変速度を遅くして遷移期間を長くし、機関
の暖機が図られる。こうして、燃料噴射量の急変による
不具合がさらに好適に回避される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるディーゼル
機関の燃料噴射制御装置を具体化した一実施の形態につ
いて詳細に説明する。
【0023】まず、本実施の形態における燃料噴射制御
装置の構成を、図1に基づいて説明する。この燃料噴射
制御装置2は、大きくはディーゼル機関(以下、単にエ
ンジンという)1の各気筒3毎に配設された燃料噴射ノ
ズル4、各燃料噴射ノズル4に分配する高圧燃料を供給
するインジェクションポンプ5、これらを制御する電子
制御装置(以下、ECUという)8及びエンジン1の運
転状態を検出する各種センサ等によって構成されてい
る。
【0024】インジェクションポンプ5には、ドライブ
シャフト11が回転可能に支持されている。このドライ
ブシャフト11は、エンジン1の出力軸であるクランク
シャフト6に駆動連結されており、該クランクシャフト
6と連動して回転する。なお、連結部の設定により、こ
れらクランクシャフト6とドライブシャフト11とはそ
の回転数が2:1の関係に保持されており、ドライブシ
ャフト11はクランクシャフト6の1/2の回転数で回
転する。
【0025】一方、インジェクションポンプ5内におい
て、ドライブシャフト11には、ベーン式ポンプよりな
るフィードポンプ12(図1では90度展開して示して
いる)が設けられている。このフィードポンプ12は、
ドライブシャフト11とともに回転することで、燃料タ
ンク7内に貯留された燃料を吸引するとともに、インジ
ェクションポンプ5内に設けられたポンプ室27内に燃
料を圧送する。
【0026】また、ドライブシャフト11の基端部に
は、円盤状のシグナルギアプレート13が設けられてい
る。さらにドライブシャフト11の基端は、カップリン
グを介してカムディスク16に接続されている。カムデ
ィスク16はインジェクションポンプ5内に回転可能且
つその軸線に沿って摺動可能に支持されており、同カム
ディスク16はドライブシャフト11と一体となって回
転する。
【0027】シグナルギアプレート13とカムディスク
16との間には、燃料噴射時期に応じて回動調整される
ローラリング15が設けられている。このローラリング
15にあってカムディスク16と対向する側には、その
円周に沿ってエンジン1の気筒数に対応した複数のロー
ラが取り付けられている。
【0028】また、カムディスク16にあってローラリ
ング15と対向する面には、同じくエンジン1の気筒数
に対応した複数のフェイスカムが形成されている。ま
た、カムディスク16はスプリングによって付勢されて
おり、常にローラリング15と接触している。したがっ
て、カムディスク16は、その回転に伴い、上記フェイ
スカムとローラリング15のローラとの係合に応じて軸
線方向に、すなわち図1の左右方向に往復運動する。具
体的には、エンジン1のクランクシャフト6が2回転す
る間に1回転と気筒数分の往復運動を行う。
【0029】また、カムディスク16には、プランジャ
17が該カムディスク16と一体となって回転可能に取
り付けられている。プランジャ17は、インジェクショ
ンポンプ5に形成されたシリンダ28内に嵌挿されてい
る。プランジャ17の図1右側端部とシリンダ28の内
壁とによって囲まれた空間は、高圧室29となってい
る。カムディスク16の往復運動に伴いプランジャ17
が復動することで、高圧室29内に燃料が導入され、ま
たプランジャ17が往動することで高圧室29内の燃料
は圧縮され、加圧される。
【0030】シリンダ28には、各燃料噴射ノズル4と
それぞれ連通する分配通路30が形成されている。一
方、プランジャ17内にも、高圧室29と連通する分配
ポート31が燃料噴射ノズル4と同数だけ形成されてい
る。これら分配通路30と分配ポート31は、プランジ
ャ17の回転に伴い、所定の回転位相において所定の燃
料噴射ノズル4に対応したもの同士が一致する構成とな
っている。そして、プランジャ17の往動とともに、高
圧室29内の燃料はデリバリバルブ18を介して所定の
燃料噴射ノズル4へと圧送される。デリバリバルブ18
は、燃料噴射ノズル4からインジェクションポンプ5へ
の逆流防止用の弁である。こうして圧送された燃料は、
燃料噴射ノズル4よりエンジン1の燃焼室10内に噴射
される。
【0031】さらに、この高圧室29には、ポンプ室2
7と連通する燃料溢流(スピル)用の油通路が形成され
ており、その途中にはスピルを調整する電磁スピル弁2
1が設けられている。この電磁スピル弁21はソレノイ
ドを有する常開型の弁であり、同ソレノイドへの無通電
時、同弁21が開かれた状態にあっては、高圧室29と
ポンプ室27とが連通して該高圧室29内は減圧された
状態に維持される。一方、ソレノイドが通電されること
で、電磁スピル弁21は閉じられ、スピル用の油通路が
閉鎖される。すなわち、各燃料噴射ノズル4に対応し
て、プランジャ17の往動が開始される以前に電磁スピ
ル弁21を閉じ、プランジャ17の往動中に電磁スピル
弁21を開弁させることで、高圧室29内の燃料が減圧
され、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射が即座に停止さ
れる。したがって、プランジャ17の往動中における電
磁スピル弁21の開弁時期を制御することで、燃料噴射
ノズル4からの燃料噴射終了時期が変更され、燃料噴射
量が調整される。なお、この電磁スピル弁21への通電
は、ECU8によって制御されている。
【0032】また、プランジャ17の往動途中に一旦電
磁スピル弁21を開いて一時的に高圧室29内の燃料を
減圧し、その後再び閉じることで、2回に分けて燃料噴
射ノズル4からの燃料噴射を行うことができる。さら
に、同様にプランジャ17の往動中に何度も開閉を繰り
返すことで、燃料噴射を複数回に分割して実行すること
もできる。こうして、前述したスプリット噴射を実行す
ることができる。
【0033】一方、インジェクタポンプ5には、燃料噴
射時期を変更するための機構として、その前後の油圧差
によって往復運動することで先述のローラリング15を
回動させるタイマピストン19(図1では90°展開し
て図示)と、該タイマピストン19前後の油圧差を調整
することでその位置を変更するためのタイミング制御弁
20が設けられている。
【0034】タイマピストン19は、インジェクタポン
プ5に形成されたシリンダ状の空間内に摺動可能に嵌挿
されている。この空間には、タイマピストン19によっ
て区画されることで2つの圧力室が形成されている。こ
れら圧力室の一方はポンプ室27と連通しており、高圧
の燃料が供給されている。また、タイマピストン19は
他方の圧力室側よりスプリングによって付勢されてい
る。タイマピストン19の位置は、スプリングの付勢力
と両圧力室間の燃料の圧力差とのつり合い関係によって
決定されている。
【0035】さらに、インジェクタポンプ5には、これ
ら両圧力室を連通する通路が形成されており、その途中
にはタイミング制御弁20が設けられている。このタイ
ミング制御弁20はデューティ制御された信号によって
開閉される電磁弁であり、その開度によって前記両圧力
室の一方から他方へと流れる燃料の量が調整される。そ
して、両圧力室間の圧力差が変更され、タイマピストン
19の位置が調整される。なお、このタイミング制御弁
20に付与される信号のデューティ比は、ECU8によ
って制御されている。
【0036】こうしてタイマピストン19の位置が変更
されると、連動してローラリング15が回動する。この
回動により、ローラリング15のローラとカムディスク
16のフェイスカムとが係合する回転位相が変更され、
プランジャ17の往復動作の時期が変更される。したが
って、これらの機構によって燃料噴射時期を調整するこ
とができる。
【0037】ECU8は、燃料噴射量及び燃料噴射時期
を各種センサによって検出されたエンジン1の運転状態
に基づいて決定する。次に、これらのセンサについて説
明する。
【0038】インジェクタポンプ5の基端部に設けられ
たシグナルギアプレート13の上部には、同プレート1
3の回転に基づきエンジン回転数NEを検出する回転数
センサ14が設けられている。シグナルギアプレート1
3の外周側面には、複数の突起が形成されている。これ
らの突起はシグナルギアプレート13の外周側面上にほ
ぼ等間隔おきに配置されているが、一部には突起の無い
歯抜けとなった部分が存在する。回転数センサ14はピ
ックアップコイルより構成されており、突起が同コイル
の磁界を断絶させることにより発生する起電力を電気信
号としてECU8に出力する。ECU8は、これをパル
ス波状の電気信号に成形し、これに基づきエンジン回転
数NEを検出する。また、突起の無い歯抜け部分を基準
として、エンジン1のクランクシャフト6及びインジェ
クタポンプ5のドライブシャフト11の回転位相を検出
する。
【0039】インジェクタポンプ5のポンプ室27に
は、燃料温度センサ22が設けられている。燃料温度セ
ンサ22はポンプ室27内の燃料の温度THFを検出
し、これを電気的な信号としてECU8に出力する。一
方、エンジン1のシリンダブロックには、その内部を流
れる冷却水の温度THWを検出するための水温センサ2
3が設けられている。この水温センサ23も、同様に冷
却水温度THWを検出し、これを電気的な信号としてE
CU8に出力する。
【0040】また、運転者の加速要求を反映するアクセ
ルペダル9には、同ペダル9の開度を検出するアクセル
センサ24が設けられている。このアクセルセンサ24
は、アクセルペダルの踏み込み量を電気的な信号に変換
し、ECU8に出力する。
【0041】ところでエンジン始動時には、電気モータ
よりなるスタータ25が駆動される。スタータ25は、
エンジン始動時にクランクシャフト6と連結され、同シ
ャフト6を回転することでエンジン1を始動させる。運
転席には、このスタータ25の作動・停止を指示するた
めのスタータスイッチ26が設けられている。このスタ
ータスイッチ26のオン・オフ操作情報はECU8にも
取り込まれる。
【0042】次に、本実施の形態における燃料噴射制御
装置2の電気的構成について、図2に基づいて説明す
る。ECU8は、ROM50、CPU51、RAM52
及びバックアップRAM53等を備える論理演算回路と
して構成されている。
【0043】ここでROM50は、各種制御プログラム
やこれら各制御プログラムを実行する際に参照されるマ
ップ等のデータが記憶されているメモリである。CPU
51は、ROM3に記憶された各種制御プログラムやデ
ータに基づき演算処理を行う。またRAM52は、CP
U51が行った演算結果や各センサから入力されたデー
タ等を一時的に記憶するメモリである。バックアップR
AM53は、エンジン1の停止時に保存すべきデータを
記憶する不揮発性のメモリである。これらROM50、
CPU51、RAM52及びバックアップRAM53
は、バス54を介して互いに接続されるとともに、外部
入力回路55及び外部出力回路56とも接続されてい
る。
【0044】外部入力回路55には、回転数センサ1
4、燃料温度センサ22、水温センサ23、アクセルセ
ンサ24及びスタータスイッチ26が接続されており、
これらから送られる信号を入力する。一方、外部出力回
路56には、タイミング制御弁20及び電磁スピル弁2
1が接続されており、これらへの制御信号を出力する。
【0045】続いて、以上説明した燃料噴射制御装置2
のエンジン1の始動モード及び通常モードへの遷移期間
における燃料噴射制御について説明する。まず、始動モ
ードにおけるスプリット噴射の実行判定処理について、
図3に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0046】CPU51は、図3のスプリット噴射実行
判定ルーチンを回転数センサ14によって検出されるシ
グナルギアプレート13の所定回転位相における割り込
み処理として実行する。
【0047】ところで、CPU51は本ルーチンの処理
とは別に、通常の処理として、上記スタータスイッチ2
6のオン・オフ操作の監視を行っている。さらに、CP
U51は上記回転数センサの出力信号をもとにエンジン
回転数NEを算出する。そして、スタータスイッチ26
がオン(ON)、且つエンジン回転数NEが所定回転数
α未満の場合、始動時フラグXSTAONをオン(O
N)とする。一方、スタータスイッチ26がオフ(OF
F)あるいはエンジン回転数NEが所定回転数α以上の
場合、始動時フラグXSTAONをオフ(OFF)とす
る。なお、上記所定回転数αは、エンジン1が安定した
完爆状態に移行したことを十分に把握可能な値として設
定されている。
【0048】さて、本ルーチンの処理として、CPU5
1は最初に、ステップS100の処理として、上記始動
時フラグXSTAONがONであるか否か、すなわち現
在エンジンが始動モードにあるか否かを判断する。ここ
で始動モードであると判断された場合、CPU51の処
理はステップS101に移行する。一方、始動モードで
ないと判断された場合、CPU51の処理はステップS
107に移行する。そして、CPU51は、このステッ
プS107の処理として後述するスプリット噴射実行フ
ラグXPLTをOFFとした後、本ルーチンを一旦終了
する。
【0049】続くステップS101の処理として、CP
U51は前回、本ルーチンの処理が実行された時に、上
記始動時フラグXSTAONがOFFであったか否かを
判断する。ここで前回の始動時フラグXSTAONがO
Nであったと判断した場合、CPU51は本ルーチンを
一旦終了する。一方、OFFであった場合、すなわち今
回本ルーチンが実行された時点で始動モードが開始され
たと判断された場合、CPU51の処理は続くステップ
S102に移行する。
【0050】そしてCPU51は、このステップS10
2の処理として、上記燃料温度センサ22及び水温セン
サ23より入力された電気信号から、冷却水温度THW
及び燃料温度THFを読み込み、これをCPU51内に
設けられたRAM52内に記憶する。
【0051】その後CPU51は、ステップS103及
びステップS104の処理として、ステップS102で
RAM52に記憶した冷却水温度THW及び燃料温度T
HFがスプリット噴射実行の基準冷却水温度KTHWP
Lあるいは基準燃料温度KTHFPL未満であるか否か
を判断する。
【0052】これら冷却水温度THW及び燃料温度TH
Fのいずれか一方が、上記基準温度KTHWPLあるい
はKTHFPL未満である場合、CPU51の処理はス
テップS105に移行する。このステップS105の処
理として、CPU51はスプリット噴射の実行条件か否
かを示すスプリット噴射実行フラグXPLTをONとす
る。その後、CPU51は本ルーチンを一旦終了する。
【0053】一方、冷却水温度THW及び燃料温度TH
Fのいずれもが、上記基準温度KTHWPLあるいはK
THFPL以上である場合、CPU51の処理はステッ
プS106に移行する。このステップS106の処理と
して、CPU51は上記スプリット噴射実行フラグXP
LTをOFFとする。その後、CPU51は本ルーチン
を一旦終了する。
【0054】なお、本実施の形態において、上記基準温
度KTHWPL及びKTHFPLは、いずれも−10℃
に設定されている。この基準温度は、試験等によりスプ
リット噴射の有効性が認められた境界温度となってい
る。
【0055】CPU51は、このスプリット噴射実行フ
ラグXPLTに基づき、前述したスプリット噴射を実行
するか否かを決定している。すなわち、上記実行フラグ
XPLTがONの場合、CPU51は同フラグXPLT
がOFFとなるまでの期間、図示しない周知の噴射制御
ルーチンを通じてスプリット噴射を実行する。一方、上
記実行フラグXPLTがOFFの場合、CPU51は同
噴射制御ルーチンを通じて通常の燃料噴射を実行する。
【0056】こうしたスプリット噴射実行判定ルーチン
を要約すると、以下のようになる。スプリット噴射は、
スタータ25が作動を開始した時点における冷却水温度
THWあるいは燃料温度THFのいずれかが−10℃未
満である場合に限って実行される。そして、スプリット
噴射は始動モードが継続している場合に限り実行され、
始動モードが終了した時点で通常の燃料噴射に切り換え
られる。
【0057】このことを図4のタイムチャートに基づ
き、より詳細に説明する。なお、同図4において、フラ
グXSTAONは始動時フラグ、フラグXPLTはスプ
リット噴射実行フラグである。また、フラグXTHWP
Lは冷却水温度に関してのスプリット噴射条件フラグ、
フラグXTHFPLは同じく燃料温度に関してのスプリ
ット噴射条件フラグであり、それぞれ冷却水温度THW
あるいは燃料温度THFが上記基準温度KTHWPLあ
るいはKTHFPL以上、すなわち−10℃以上の場合
にオン(ON)になるとする。
【0058】まず、始動時Aの例について説明する。始
動時フラグXSTAONがOFFからONに切り換えら
れてスタータ25の作動が開始された時点では、冷却水
温度に関するスプリット噴射条件フラグXTHWPL及
び燃料温度に関するスプリット噴射条件XTHFPLは
いずれもオフ(OFF)、すなわち冷却水温度THW及
び燃料温度THFはいずれも−10℃未満となってい
る。したがって、スプリット噴射の実行条件が成立する
ため、スプリット噴射実行フラグXPLTがONとな
る。
【0059】その後、冷却水温度に関するスプリット噴
射条件フラグXTHWPL及び燃料温度に関するスプリ
ット噴射条件XTHFPLはしばしばONとなり、一時
は両者がそろってONとなっている。しかしながら、上
述したように、冷却水温度THW及び燃料温度THFに
ついての条件判定は、エンジン始動開始時にしか行われ
ないため、始動時フラグXSTAONがOFFとなるま
で、上記実行フラグXPLTはONとなったままであ
り、その間スプリット噴射が実行される。
【0060】次に、始動時Bの例について説明する。始
動時フラグXSTAONがOFFからONとなった時点
で、冷却水温度に関するスプリット噴射条件フラグXT
HWPLはON、燃料温度に関するスプリット噴射条件
XTHFPLはOFFとなっている。この場合も、スプ
リット噴射の実行条件は成立しているため、上記実行フ
ラグXPLTはONとなり、始動時フラグXSTAON
がOFFとなるまでスプリット噴射が実行される。
【0061】また、始動時Cの例では、始動時フラグX
STAONがOFFからONに切り替わった時点で、始
動時Bの例とは逆に冷却水温度に関するスプリット噴射
条件フラグXTHWPLのみがOFFとなっているが、
この場合も実行条件は成立しているため上記実行フラグ
XPLTは上記始動時フラグXSTAONがONとなっ
ている期間だけONとなる。
【0062】一方、始動時Dの例では、始動時フラグX
STAONがOFFからONに切り替わった時点で、冷
却水温度に関するスプリット噴射条件フラグXTHWP
L及び燃料温度に関するスプリット噴射条件XTHFP
Lが共にONとなっている。そのためスプリット噴射の
実行条件を満たさず、上記実行フラグXPLTはOFF
となったままである。
【0063】次に、始動モード及び通常モードへの遷移
期間における最終噴射量QFINC、すなわち実際に燃
焼室10内に噴射される燃料の噴射量算出処理について
説明する。
【0064】最初に始動時噴射量QSTAの算出処理に
ついて、図5のフローチャートに基づいて説明する。な
お、この処理は、CPU51により所定時間毎の割り込
み処理として実行される。
【0065】まず、CPU51はステップS200の処
理として、エンジン回転数NEと冷却水温度THWとを
読み込む。そして、次のステップS201の処理とし
て、CPU51は始動時フラグXSTAONがONであ
るか否かを判断する。上述したように、始動時フラグX
STAONはスタータ25がONとなっており、且つエ
ンジン回転数NEが所定回転数α未満の場合にONとな
る。ここでCPU51の処理は、始動時フラグXSTA
ONがONの場合は続くステップS202に、OFFの
場合は後述する始動後の噴射量算出ルーチンに移行す
る。
【0066】始動時フラグXSTAONがONの場合、
ステップS202においてCPU51は、スプリット噴
射実行フラグXPLTがONであるか否かを判断する。
前述したように、この実行フラグXPLTは、ONの場
合にはスプリット噴射が、OFFの場合には通常の燃料
噴射が行われることを示している。
【0067】スプリット噴射実行フラグXPLTがON
の場合、CPU51はステップS203の処理に移行す
る。このステップS203においてCPU51は、始動
時ベース噴射量QSTBSEを算出する。この始動時ベ
ース噴射量QSTBSEは、CPU51内のROM50
内に記憶されたエンジン回転数NEと冷却水温度THW
との2次元マップを参照して求められる。本実施の形態
では、この2次元マップは、図6に示す始動モードにお
ける通常噴射時専用のマップA、及び図7に示す同じく
始動モードにおけるスプリット噴射時専用のマップBの
2種類が用意されている。ステップS203の演算処理
では図7のスプリット噴射時専用のマップBが参照され
る。
【0068】一方、上記ステップS202において、ス
プリット噴射実行フラグがOFFの場合には、CPU5
1はステップS204の処理に移行する。このステップ
S204において、CPU51は、先ほどと同様に始動
時ベース噴射量QSTBSEを算出するが、ここでは図
6に示す通常噴射時専用の2次元マップAが参照され
る。
【0069】以上のステップS203あるいはステップ
S204の処理が終了すると、CPU51はステップS
205の処理を実行する。このステップS205におい
てCPU51は図8に示す冷却水温度の1次元マップよ
り始動時増量開始時間tTQSTADを算出する。この
1次元マップに示されるように、始動時増量開始時間t
TQSTADは冷却水温度THWの低下に伴って長くな
るよう設定されている。
【0070】CPU51は、次のステップS206の処
理として、内蔵されたタイマカウンタより始動開始時間
カウンタCSTAONを読み込む。この始動開始時間カ
ウンタCSTAONとは、始動モード開始時から現在ま
での経過時間を反映している。
【0071】その後CPU51は、ステップS207の
処理として、先に読み込んだ始動時増量開始時間tTQ
STAD及び始動開始時間カウンタCSTAONより始
動時噴射量増量tQSTADを算出する。始動時噴射量
増量tQSTADは、始動開始時間カウンタCSTAO
Nと始動時増量開始時間tTQSTADとの差に所定の
係数kを乗じたものである。ただし、始動時噴射量増量
tQSTADはゼロ以上で、予め定められた所定値β以
下の値とする。
【0072】次のステップS208の処理としてCPU
51は、こうして求められた始動時噴射量増量tQST
AD及び先のステップS204あるいはステップS20
5で求められた始動時ベース噴射量QSTBSEから始
動時噴射量QSTAを算出する。始動時噴射量QSTA
は、始動時ベース噴射量QSTBSEと始動時噴射量増
量tQSTADとの和である。
【0073】こうして算出される始動時噴射量QSTA
は、以下に示す傾向をもつようになる。図9にエンジン
回転数NE及び冷却水温度THWを一定としたときの始
動時噴射量QSTAの推移を示す。
【0074】すなわち、エンジンの始動モード開始直後
における始動時噴射量QSTAは、始動時ベース噴射量
QSTBSEと同量であり、その値は通常の燃料噴射時
及びスプリット噴射時それぞれ専用のエンジン回転数N
Eと冷却水温度THWとの2次元マップA,Bから求め
られたものである。ただし、始動開始時より始動時増量
開始時間tTQSTAD経過後は、始動時噴射量QST
Aは、徐々に増量される。この増量は、増量幅が所定値
βとなるまで続けられる。
【0075】こうして始動時噴射量QSTAが算出され
た後、CPU51はステップS209の処理として、上
記算出される始動時噴射量QSTAを最終噴射量QFI
NCとして設定する。すなわち、始動モードでは、ステ
ップS208で算出される始動時噴射量QSTAそのも
のが実際噴射される燃料量となる。
【0076】以上のように、本実施の形態にあっては、
上記始動時燃料噴射量QSTAをスプリット噴射実行時
と非実行時とで完全に独立して算出している。図10
に、エンジン回転数NEを一定とした場合における冷却
水温度THWとスプリット噴射実行時及び非実行時の始
動時噴射量QSTAとの関係を示す。同図10は、上記
条件における通常噴射時専用のマップAとスプリット噴
射時専用のマップBとを併せて表示したものである。
【0077】ここで、スプリット噴射と通常噴射を使い
分ける場合における始動時噴射量QSTAを、本実施の
形態のように2つのマップではなく例えば従来の装置の
ように、只一つのマップを参照して算出する場合の問題
点について、同図10に基づき説明する。
【0078】通常こうしたマップでは、算出されるパラ
メータを同図10中の各々の直線の様に連続した値とし
て用意しているわけではなく、参照するパラメータの所
定間隔毎にしか数値が用意されていない。このため例え
ば同図10のマップの場合、冷却水温度THWの5℃毎
に始動時燃料噴射量QSTAの値が用意されているもの
とすると、値の用意されていない温度については補間に
よってその対応する始動時燃料噴射量QSTAを求めざ
るを得ない。すなわち、冷却水温度THWが−10℃未
満の場合にスプリット噴射を実行するにせよ、−15〜
−10℃の領域では、図10中の点線で表されるように
点A及び点Bの補間によって始動時燃料噴射量QSTA
を求めるしかない。そのため、実際に要求される噴射量
とは異なった値が設定されてしまうこととなる。
【0079】この点、本実施の形態のように、各々の噴
射方法に応じた2つのマップを切り換えて使用すること
で、こうした問題の発生を防止し、燃料噴射方法に応じ
た適切な燃料噴射量を確保することができる。
【0080】続いて、通常モードへの遷移期間における
噴射量算出処理について、図11に示すフローチャート
に基づいて説明する。この遷移期間における噴射量算出
ルーチンは、上記始動モードにおける噴射量算出ルーチ
ンのステップS201において、始動時フラグXSTA
ONがOFF、すなわち始動モードの条件を満たさなか
った場合に実行される。但し実際にはエンジン始動後、
しばらくの間は上記の始動モードの条件を外れることは
ないため、本ルーチンはある程度の期間、始動噴射量算
出ルーチンが実行された後に実行される。
【0081】まず、ステップS300においてCPU5
1は、始動時噴射量QSTAの減少量tQSTSUBを
算出する。この減少量tQSTSUBは、図12に示す
冷却水温度THWの1次元マップを参照して求められ
る。この減少量tQSTSUBは、−5℃以上の温度に
対しては一定の大きな値が設定されているが、−10℃
付近で急激に減少し、極低温に対して非常に小さな値が
設定されている。
【0082】次のステップS301においてCPU51
は、前回本ルーチンあるいは始動時噴射量算出ルーチン
が実行された時に決定された始動時噴射量QSTAから
上記減少量tQSTSUBをひいた値を始動時噴射量Q
STAに代入している。したがって、始動時噴射量QS
TAはこのステップS301が実行される毎に減少する
こととなる。特に−10℃未満の低温時には、減少量t
QSTSUBの値が小さく設定されているため、始動時
噴射量QSTAは非常に緩やかに減少することとなる。
【0083】次にCPU51は、ステップS302の処
理として、通常モードにおけるベース噴射量QBASE
及び最大噴射量QFULLを、例えば図13のようなア
クセル開度ACCPAとエンジン回転数NEとの2次元
マップを参照して算出する。
【0084】続くステップS303の処理として、CP
U51は、こうして得られたベース噴射量QBASEと
上記ステップS301で算出された始動時噴射量QST
Aとを比較し、大きい方の値を変数xに代入する。そし
て続くステップS304において、CPU51は、この
変数xと上記ステップS302で求められた最大噴射量
QFULLとを比較し、小さい方の値を最終噴射量QF
INCとして設定する。
【0085】その後CPU51は、こうして求められる
最終噴射量QFINCに基づいてタイミング制御弁20
及び電磁スピル弁21を制御し、燃料噴射を実行する。
図14に、アクセル開度ACCP及び冷却水温度THW
を一定とした場合の、遷移期間における最終噴射量QF
INCの推移を示す。同図14には、冷却水温度THW
が高温の場合と低温の場合との2本の曲線が示されてい
る。
【0086】まず、高温の場合について説明する。同図
14において、時間Taまでの期間は始動モードにあ
り、最終噴射量QFINCは上記始動モードの燃料噴射
量算出ルーチンによって算出された始動時噴射量QST
Aとなっている。時間Taにおいて始動モードが終了
し、通常モードへの遷移期間に移った時点より、始動時
噴射量QSTAは徐々に減少していく。ただし、時間T
bまでは、始動時噴射量QSTAは通常モードのベース
噴射量QBASEを上回っているため、最終噴射量QF
INCは始動時噴射量QSTAとなっている。そして時
間Tbにおいてベース噴射量QBASEが始動時噴射量
QSTAを上回った時点からこのベース噴射量QBAS
Eが最終噴射量QFINCとなる。こうして、始動モー
ドから通常モードへの移行が滑らかに行われる。
【0087】また、その後、運転者の操作によってアク
セル開度ACCPAが小さくなったり、エンジン回転数
NEが減少したりすることでベース噴射量QBASEが
小さくなり、始動時噴射量QSTAの方が大きくなれ
ば、この始動時噴射量QSTAが最終噴射量QFINC
となる。やがて、始動時噴射量QSTAは減少によりゼ
ロとなるため、所定時間経過後は、ベース噴射量QBA
SEが最終噴射量QFINCとなる。
【0088】一方、−10℃以下の低温時の場合、図1
2のマップに示されるように、始動時噴射量QSTAの
減少量tTQSTSUBは非常に小さく設定されてい
る。したがって、遷移期間における始動時噴射量QST
Aはきわめてゆっくりと減少する。前述したように、エ
ンジン1が暖機されていない間は失火が発生することが
多く、安定した状態で運転することができなくなるおそ
れがある。したがって、こうして遷移期間間を長くし、
時間Tcにおいてエンジンの温度が上昇した後に通常モ
ードに移行できるようにしている。
【0089】以上詳述したように、本実施の形態にかか
る燃料噴射量制御装置によれば、以下に示すような効果
を得ることができる。 ・スプリット噴射実行時及び非実行時とも、より適当な
始動時燃料噴射量で燃料噴射を行うことができるように
なり、さらなる始動性の向上を図ることができる。
【0090】・始動時及び始動後の燃料噴射量を完全に
独立した手段で算出するため、始動時及び始動後におい
て、さらに適当な燃料噴射量で燃料噴射を実行すること
ができる。そのため、始動性向上と始動後の機関性能向
上との両立を図ることができる。
【0091】・遷移期間に燃料噴射量を緩やかに変化さ
せることで、始動モードから通常モードへの移行を円滑
に行うことができる。特に、極低温下(−10℃)にあ
っては、減量速度をより小さく設定することで、極低温
下において高い頻度で発生する遷移期間や移行直後にお
けるエンジンストールやラフアイドル等を解消すること
ができる。
【0092】・冷却水温度THW及び燃料温度THFに
よりスプリット噴射有効な実行領域を特定することで、
始動性の向上を図ることができる。 ・スプリット噴射の実行判定を始動モード開始時だけし
か行わず、実行条件が成立した場合にはスプリット噴射
を始動モード中継続して実行させるようにすることで、
始動時クランキング中の不安定な状況下で通常噴射とス
プリット噴射が頻繁に切り替わり、始動性が悪化するこ
とを防止することができる。
【0093】・冷却水温度THW及び燃料温度THFの
両方に条件を設定し、双方の論理和でもってスプリット
噴射の実行判定条件とすることで、いずれかの一方の温
度検出手段が故障した場合にもスプリット噴射の実行が
可能となり、低温下における始動性が確保される。
【0094】・燃料の粘度等、燃料噴射に直接的に影響
を及ぼす燃料温度THFをスプリット噴射の実行条件に
加えることで、スプリット噴射をより有効に実行するこ
とができる。
【0095】なお、本実施の形態は、以下のようにその
構成を変更して実施することもできる。 ・スプリット噴射の実行時、非実行時の噴射量を関数演
算によって求める。その場合にもスプリット噴射実行時
と非実行時とは別に完全に独立して決定される。
【0096】・本実施の形態にあっては、始動モードか
ら始動後の通常モードにかけての燃料噴射量の徐変速度
を冷却水温度に基づき変化させていたが、これを冷却水
温度に関わらず一定の速度としたり、あるいは他の運転
状態パラメータに基づき決定するようにしてもよい。
【0097】・スプリット噴射の実行条件は、本実施の
形態のように冷却水温度と燃料温度とを条件とするもの
に限らず、例えば冷却水温度または燃料温度の一方の
み、あるいはエンジン回転数や吸気温度等を条件として
判定するように変更しても良い。
【0098】・本実施の形態では、冷却水温度及び燃料
温度によるスプリット噴射の実行判定の基準温度を−1
0℃としたが、エンジンの使用条件や個体差に応じて他
の温度に設定しても良い。
【0099】・上記の基準温度を予め定められた一定の
値とせず、エンジンの始動時に始動性の善し悪しを監視
し、それをフィードバックすることで最適な温度条件を
学習するように変更しても良い。このように変更するこ
とで、エンジンの使用条件や個体差に応じて最適な条件
を設定することができる。
【0100】・本実施の形態では、いわゆる分配式の燃
料噴射装置を用いたが、これに限らず、本発明を他の形
式、例えば列型やコモンレール型の燃料噴射装置に適用
することもできる。
【0101】
【発明の効果】請求項1及び2に記載の発明によれば、
スプリット噴射実行時と非実行時とでは始動時噴射量が
完全に独立して決定されることで、スプリット噴射実行
時と非実行時とでそれぞれ適当な始動時燃料噴射量が適
用されるため、さらに始動性を向上させることができ
る。
【0102】請求項3に記載の発明によれば、始動時及
び始動後の燃料噴射量が完全に独立した手段でもって算
出されため、スプリット噴射実行時であれ、非実行時で
あれ、機関始動後の燃料噴射量にとらわれない、まさに
最適な噴射量としてそれら始動時の燃料噴射量を算出す
ることができる。
【0103】請求項4に記載の発明によれば、始動時か
ら始動後にかけての燃料噴射量を円滑に推移させること
ができる。請求項5に記載の発明によれば、冷却水温度
に基づき始動時燃料噴射量の徐変速度を決定すること
で、機関の温度状態に応じて始動時から始動後への遷移
期間の長さを最適とし、燃料噴射量の急変による不具合
をさらに好適に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる燃料噴射制御装置が適用された
ディーゼルエンジンの概略構成図。
【図2】同燃料噴射制御装置の電気的構成を示すブロッ
ク図。
【図3】スプリット噴射実行判定ルーチンを示すフロー
チャート。
【図4】スプリット噴射の実行条件判定態様を示すタイ
ムチャート。
【図5】始動モードにおける噴射量の算出処理ルーチン
を示すフローチャート。
【図6】通常噴射時の始動時ベース噴射量算出用のマッ
プ例を示すグラフ。
【図7】スプリット噴射時の始動時ベース噴射量算出用
のマップ例を示すグラフ。
【図8】始動時増量開始時間算出用のマップ例を示すグ
ラフ。
【図9】始動モードにおける噴射量の推移を示すグラ
フ。
【図10】始動時における冷却水温度と燃料噴射量の要
求値との関係を示すグラフ。
【図11】始動モードから通常モードへの遷移期間の噴
射量算出処理を示すフローチャート。
【図12】始動時噴射量の減少量の算出用のマップ例を
示すグラフ。
【図13】通常モードのベース噴射量及び最大噴射量算
出用のマップ例を示すグラフ。
【図14】遷移期間における最終噴射量の推移を示すグ
ラフ。
【図15】従来の低温始動時における燃料噴射量算出用
のマップを示すグラフ。
【符号の説明】
1…ディーゼルエンジン、2…燃料噴射量制御装置、4
…燃料噴射ノズル、5…インジェクションポンプ、8…
電子制御装置(ECU)、14…回転数センサ、20…
タイミング制御弁、21…電磁スピル弁、22…燃料温
度センサ、23…水温センサ。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】必要とされる燃料噴射量を複数回に分割し
    て噴射するスプリット噴射に専ら対応して当該噴射にか
    かる始動時燃料噴射量を算出する第1の噴射量算出手段
    と、 前記スプリット噴射以外の通常噴射に専ら対応して当該
    噴射にかかる始動時燃料噴射量を算出する第2の噴射量
    算出手段と、 機関始動時の所定パラメータに基づき前記スプリット噴
    射及び前記通常噴射の一方を実行するに際し、スプリッ
    ト噴射時には前記第1の噴射量算出手段により算出され
    る始動時燃料噴射量に基づき燃料噴射制御を実行し、通
    常噴射時には前記第2の噴射量算出手段により算出され
    る始動時燃料噴射量に基づき燃料噴射制御を実行する制
    御手段と、 を備えることを特徴とするディーゼル機関の燃料噴射制
    御装置。
  2. 【請求項2】前記第1及び第2の噴射量算出手段は、冷
    却水温度及び機関回転数をパラメータとしたそれぞれ各
    別のマップに基づいて前記始動時燃料噴射量を算出する
    ものである請求項1に記載のディーゼル機関の燃料噴射
    制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載のディーゼル機関の
    燃料噴射制御装置において、 機関始動後の通常噴射に専ら対応して当該噴射にかかる
    始動後燃料噴射量を算出する第3の噴射量算出手段をさ
    らに備え、 前記制御手段は、機関始動後、前記第3の噴射量算出手
    段により算出される始動後燃料噴射量に基づき燃料噴射
    制御を実行することを特徴とするディーゼル機関の燃料
    噴射制御装置。
  4. 【請求項4】前記第3の噴射量算出手段は、前記第1及
    び第2の噴射量算出手段により算出される始動時燃料噴
    射量を徐変にて減少させた噴射量とアクセル開度及び機
    関の回転数に基づいて算出される基本噴射量とのいずれ
    か大きい値を前記算出する始動後燃料噴射量とする請求
    項3に記載のディーゼル機関の燃料噴射制御装置。
  5. 【請求項5】前記第3の噴射量算出手段は、前記始動時
    燃料噴射量の徐変速度を冷却水温度に基づき決定する請
    求項4に記載のディーゼル機関の燃料噴射制御装置。
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Cited By (6)

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