JPH1112209A - 環状アルコールの分離取得方法 - Google Patents

環状アルコールの分離取得方法

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JPH1112209A
JPH1112209A JP10056581A JP5658198A JPH1112209A JP H1112209 A JPH1112209 A JP H1112209A JP 10056581 A JP10056581 A JP 10056581A JP 5658198 A JP5658198 A JP 5658198A JP H1112209 A JPH1112209 A JP H1112209A
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cyclic alcohol
separating
cyclic
catalyst
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JP10056581A
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Masakazu Ban
真和 伴
Hiroshi Ishida
浩 石田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状アルコールの収率を低下させることな
く、環状アルコール中の環状オレフィンの濃度を低減さ
せうる方法を提供する。 【解決手段】 触媒として、アルミニウム、ホウ素、ガ
リウム、チタン、クロム、鉄、亜鉛、リン、バナジウ
ム、銅の中から選ばれた、少なくとも1種のメタルを含
む結晶性メタロシリケートを用い、シクロヘキセン等の
環状オレフィンのオイル相と、水相及び該触媒の共存下
で接触水和反応により生成する環状アルコールを、オイ
ル相から蒸留塔を用い蒸留分離にて取得する方法であっ
て、該接触水和反応後のオイル相にアミン類等の塩基性
物質を、蒸留前あるいは蒸留時に添加することを特徴と
する環状アルコールの分離取得方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶性メタロシリ
ケートを触媒とし、環状オレフィンを含有するオイル相
と、水相、及び該触媒の共存下にて、環状オレフィンの
接触水和反応を行う際の反応生成物である環状アルコー
ルの分離取得方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、環状オレフィンの水和反応に固体
触媒として結晶性メタロシリケートを使用し、環状アル
コールを製造する方法については、文献および特許が多
数ある。例えば、特公平2−31056号公報には、一
次粒子径が0.5μm以下の結晶性アルミノシリケート
を触媒として、環状オレフィンを水和させて環状アルコ
ールを製造する方法が提案されている。
【0003】該公報の記載によれば、結晶性アルミノシ
リケートとしては、一次粒子径0.5μm以下の結晶性
アルミノシリケートを触媒とした場合、水に対する環状
オレフィンの重量比0.001〜100の範囲に於いて
は、反応系中ではオイル相と水相の2相が形成され、結
晶性アルミノシリケートは水相に存在すると示されてい
る。また、この反応にて生成した環状アルコールは、ほ
とんどがオイル相に存在し、このオイル相より得られる
環状オレフィンと環状アルコールの混合物は、その沸点
が大きく異なる為、容易に分離でき、環状アルコールを
取得することができると示している。更に、その具体的
方法として、2相からなる反応液を連続的に一部取り出
し、静置することで層分離を行わしめ、上層よりオイル
相を取り出し、このオイル相より蒸留などにより環状ア
ルコールを得る方法が一般的な例として示されている。
【0004】また、該公報には、結晶性アルミノシリケ
ートは、オイル相には存在しないとされており、オイル
相に同伴される結晶性アルミノシリケートに関する問題
には触れられていない。また、特公平1−190644
号公報には、結晶性アルミノシリケートの結晶格子中の
一部を他の金属元素で置換した結晶性アルミノメタロシ
リケートを触媒として、環状オレフィンを水和させて環
状アルコールを製造する方法が提案されており、その他
にも、特開平8−245454号公報には、結晶性アル
ミノシリケートの結晶格子中の全部を他の金属元素で置
換した結晶性メタロシリケートを触媒として、環状オレ
フィンを水和させて環状アルコールを製造する方法が提
案されているものの、オイル相に同伴される触媒に関す
る問題には触れられていない。また、この問題に触れた
文献及び特許は他にもない。
【0005】本発明者らの知見によれば、2相からなる
該反応液を反応後に静置し、連続的に層分離を行い、オ
イル相を分離する方法を工業的に用いた場合、この分離
されたオイル相中への極めて微量の結晶性メタロシリケ
ートの同伴が避けられない。また、この結晶性メタロシ
リケートを含むオイル相より蒸留分離法により、反応生
成した高純度の環状アルコールを得ようとした場合、蒸
留の過程において、都合の悪いことに結晶性メタロシリ
ケートは主として環状アルコール中に濃縮される。その
際、環状アルコール中の結晶性メタロシリケートは、環
状アルコールの脱水反応を引き起こして環状オレフィン
を生成し、初期蒸留精製時及び精製した生成物環状アル
コールの長期保存中も環状アルコール中の環状オレフィ
ンの濃度を増加させ、環状アルコールの収率低下を起こ
すという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、環状アルコ
ールの収率を低下させることなく、環状アルコール中の
環状オレフィンの濃度を低減させうる方法を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、蒸留塔を用い
蒸留分離によって環状アルコールを取得するに際し、該
接触水和反応後のオイル相中に存在する該触媒に対し、
極微量の塩基性物質を添加するだけで、結果として環状
オレフィン濃度が低い、高純度の環状アルコールが得ら
れるという、驚くべき事実を見いだし、本発明をなすに
至った。
【0008】すなわち、本発明は下記の通りである。 1)触媒として、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、チ
タン、クロム、鉄、亜鉛、リン、バナジウム、銅の中か
ら選ばれた少なくとも1種のメタルを含む結晶性メタロ
シリケートを用い、下記一般式(1)で示される環状オ
レフィンのオイル相と、水相及び該触媒の共存下で接触
水和反応により生成する環状アルコールを、オイル相か
ら蒸留塔を用い蒸留分離にて取得する方法であって、該
接触水和反応後のオイル相に塩基性物質を、蒸留前ある
いは蒸留時に添加することを特徴とする環状アルコール
の分離取得方法。
【0009】Cs 2s-2-tt (1) (式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フ
ェニル基又はシクロヘキシル基であり、sは5〜12、
tは1〜4の整数である。) 2)塩基性物質の添加が、オイル相に存在する触媒に対
し、0.01〜100ミリグラム当量/gであることを
特徴とする上記1記載の環状アルコールの分離取得方
法。
【0010】3)触媒が、下記一般式(2)で示される
結晶性メタロシリケートであることを特徴とする上記1
または2記載の環状アルコールの分離取得方法。 M2 n ・xSiO2 ・yAl2 3 ・(1−y)Z2 w (2) (式中、Mはn価の少なくとも1種のカチオンを表し、
Oは酸素、Siはケイ素、Alはアルミニウム、ZはM
及びアルミニウム以外のメタルで、ホウ素、ガリウム、
チタン、クロム、鉄、亜鉛、リン、バナジウム、銅の中
から選ばれた少なくとも1種のw価のメタルを表す。ま
た、nは1〜6、wは1〜6の整数であり、1≦x≦1
000、0≦y≦1である。) 4)結晶性メタロシリケートが、一次粒子径0.5μm
以下の結晶性アルミノシリケートであることを特徴とす
る上記1、2または3記載の環状アルコールの分離取得
方法。
【0011】5)結晶性アルミノシリケートが、結晶性
アルミノシリケートZSM−5であることを特徴とする
上記4記載の環状アルコールの分離取得方法。 6)塩基性物質が、アミン類であることを特徴とする上
記1〜5のいずれかに記載の環状アルコールの分離取得
方法。 7)アミン類が、環状アルコールより沸点が高いアミン
類であることを特徴とする上記6記載の環状アルコール
の分離取得方法。
【0012】8)環状アルコールがシクロヘキサノール
である上記1〜7のいずれかに記載の環状アルコールの
分離取得方法。 以下、本発明につき詳細に説明する。なお、図1は本発
明を実施するためのプロセスフローシートの一例であ
り、必要に応じて図1を参照しつつ説明する。
【0013】本発明で使用する結晶性メタロシリケート
は、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、チタン、クロ
ム、鉄、亜鉛、リン、バナジウム、銅の中から選ばれ
た、少なくとも1種のメタルを含む、結晶性メタロシリ
ケートであって、例えば、無水物の酸化物のモル比で表
された組成が、前記一般式(2)で示されるものが挙げ
られる。
【0014】前記一般式(2)の中で、Mは結晶性メタ
ロシリケート中のカチオンであり、好ましいのはプロト
ン、周期律表上のIB、IIA,IIB、IIIA、I
IIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII族
の金属カチオンであり、さらに好ましいのはプロトンで
ある。また、ZはM及びアルミニウム以外のメタルで、
ホウ素、ガリウム、チタン、クロム、鉄、亜鉛、リン、
バナジウム、銅の中から選ばれた少なくとも1種のメタ
ルであり、これらは結晶性メタロシリケートの水熱合成
時に結晶中に取り込まれ、その後のイオン交換操作にお
いても結晶性メタロシリケート中から出てこないメタル
である。これらのメタルの中で特に好ましいのは、ホウ
素、ガリウム、チタン、クロム、鉄である。
【0015】触媒の具体例としては、モルデナイト、ホ
ウジャサイト、クリノプチロライト、L型ゼオライト、
チャバサイト、エリオナイト、フェリエライト、モービ
ル社が発表しているZSM系ゼオライトなどの結晶性ア
ルミノシリケート、またアルミニウム以外にホウ素、ガ
リウム、チタン、クロム、鉄、亜鉛、リン、バナジウ
ム、銅などの元素も含有する結晶性アルミノメタロシリ
ケート、アルミニウムを実質的に含まないガロシリケー
ト、ボロシリケートなどのメタロシリケート等が挙げら
れる。
【0016】また、AZ−1(特開昭59−12821
0号公報に記載)、TPZ−3(特開昭58−1104
19号公報に記載)、Nu−3(特開昭57−3714
号公報に記載)、Nu−5(特開昭57−129820
号公報に記載)、Nu−6(特開昭57−123817
号公報に記載)、Nu−10(特開昭57−20021
8号公報に記載)なども有効である。
【0017】本発明で使用する結晶性メタロシリケート
は、一次粒子径が0.5μm以下のものが好ましく、よ
り好ましくは0.1μm以下のもの、さらに好ましくは
0.05μm以下のものである。粒子径の下限は「結晶
性」という言葉で規定される。結晶とは、原子がある対
称にしたがって規則正しく周期的に配列しているもので
あり、X線による回折現象が認められるものである(共
立出版株式会社、化学大辞典、1963年出版、第3
巻、第349頁「結晶」の項に記載)。したがって、一
定の周期が起こり、X線回折現象が認められるために
は、結晶構造に基づくある有限の大きさが存在する。よ
って、本発明で使用する結晶性メタロシリケートは、X
線回折現象が認められ、かつ、一次粒子径が0.5μm
以下のものが好ましいということができる。
【0018】これら一次粒子の形状は種々のものがある
が、本発明でいう一次粒子径とは、走査型電子顕微鏡で
見た被測定微粒子の最も巾の狭いところの径を計測し、
その計測された数値以下のものが少なくとも全体の50
数量%以上であるものを言う。尚、この場合、一次粒子
径が0.5μm以下であれば、それらの凝集等によりで
きる二次粒子の径が大きくなったものでも有効である。
【0019】さらに、粒子によっては、大きな粒子の表
面に凹凸があるのか、一次粒子が凝集しているのかが、
走査型電子顕微鏡写真からは判断できない場合もある。
この場合、微粒子体とは、H型にした場合の全酸点に対
する外表面酸点の割合が0.03以上、好ましくは0.
05以上、さらに好ましくは、0.1以上のものを指
す。
【0020】この全酸点に対する外表面酸点の割合を測
定する方法は、次の方法による。まず、酸点を測定する
前に、本発明で用いる結晶性メタロシリケートをH型に
する必要がある。結晶性メタロシリケートをH型にする
方法は、合成系に有機物を用いるかあるいは用いない
か、また、有機物を用いる場合も有機物の種類によって
種々の方法があるが、ここでは、以下の方法によってH
型とする。
【0021】本発明で使用するスラリーを濾過した後に
5倍量の水で水洗する。合成系で有機物を用いる場合
は、得られたケークを120℃で8時間乾燥した後、5
00℃で6時間空気流通下に焼成を行い有機物を除去し
た後、1規定の硝酸中に加えて10重量%スラリーとし
て、60℃で4時間イオン交換を行い、そのスラリーを
濾過し、さらに5倍量の水で水洗した後、120℃で1
0時間乾燥して、H型の結晶性メタロシリケートとす
る。
【0022】また、合成系で有機物を用いない場合は、
濾過水洗して得られたケークを直接1Nの硝酸に加え、
以下上記と同じ方法でH型とする。このようにして得ら
れたH型の結晶性メタロシリケートの酸点を以下の方法
で測定する(参考文献;触媒、vol.25,p461
(1983))。酸点の測定装置としては、島津製作所
製ガスクロマトグラフGC−7Aおよびデータ処理装置
CR−1Aを用いた。すなわち、内径4mm、全長80
mmのSUS製短カラムへ試料(0.2〜1g)を充填
し、前記ガスクロマトグラフ装置の恒温槽内の試料側流
路へ取り付ける。キャリアガスとしてヘリウムガスを5
0ml/分の流速で流し、同時に恒温槽内の温度を32
5℃に設定する。
【0023】次に、アミン(ピリジン、4−メチルキノ
リン)の一定量(0.2〜2ml)をマイクロシリンジ
を用いて、試料側流路の注入口へ一定期間(2〜5分)
をおいて断続的に注入し続ける。充填カラムを通ったキ
ャリアガスは、FID型検出器を用いて分析し、周期的
にピークが現れる経時的なアミン濃度変化のクロマトグ
ラムを得る。
【0024】注入回数の増加と共に試料に対するアミン
吸着量が飽和に近づき、それに伴って注入で非吸着アミ
ン量が増加する。従って、前記クロマトグラフにおい
て、アミンの第2回の注入に対応するピーク面積Si
は、次第に注入したアミンの量に対応した面積Soに近
づく。試料単位重量当たりのアミン吸着量Ao(μmo
l/g)は、下記式(a)によって求めることができ
る。
【0025】
【数1】
【0026】本発明においては、Si/So≧0.98
となるような第k回の注入まで繰り返し注入を行い、下
記式(b)によりアミン吸着量A(μmol/g)を算
出した。
【0027】
【数2】
【0028】本発明における全酸点とは、アミンとして
ピリジンを用いて測定した場合のピリジン吸着量で表
し、外表面酸点とは、アミンとして4−メチルキノリン
を用いて測定した場合の4−メチルキノリン吸着量で表
される。従って全酸点に対する外表面酸点の割合は、4
−メチルキノリン吸着量/ピリジン吸着量とする。ま
た、環状オレフィンの水和反応においては、異性化、重
合等の副反応が発生し、例えば、シクロヘキセンの水和
反応においては、メチルシクロペンテン類、ジシクロヘ
キシルエーテル、ビシクロヘキシルといった副生物が生
成する。この副反応を抑制し、収率良く環状アルコール
を得るためには、例えば、特公平4−41131号公報
に示されるような結晶性アルミノシリケートZSM−5
を触媒として使用することも有効である。結晶性アルミ
ノシリケートZSM−5とは、モービルオイル社が開発
したゼオライトであり(米国特許第3702886号明
細書参照)、結晶を構成するシリカとアルミナのモル比
が20以上であり、結晶構造中に、酸素10員環の入口
を有する三次元の細孔を有するゼオライトである。
【0029】一方、本発明において、接触水和反応に使
用される環状オレフィンとしては、前記一般式(1)で
示される化合物であり、例えば、シクロペンテン、シク
ロヘキセン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデ
セン、シクロウンデセン、シクロドデセン、メチルシク
ロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、トリメチルシク
ロヘキセン、テトラメチルシクロヘキセン、フェニルシ
クロヘキセン等が挙げられ、またこれらの混合物も有用
である。そしてこれらの環状オレフィンは水和され、各
々相当する環状アルコールを生成する。
【0030】反応温度は、オレフィンの水和反応の平衡
の問題及び副反応の抑制の面から低温が有利であるが、
反応温度が余り低すぎると反応速度が小さく経済的でな
い。よって、50℃〜300℃の範囲が好ましい。又、
反応の圧力は、減圧から加圧までの範囲で適用可能であ
るが、反応の原料である環状オレフィン及び水の両方が
液相を保ちうる圧力で反応を行う。
【0031】反応原料である水と環状オレフィンのモル
比は広い範囲でとることができるが、環状オレフィンが
あまりに過剰であると環状オレフィンの転化率が低くな
る。一方、水があまりに過剰であると環状オレフィンの
転化率は高くできるが、生成環状アルコールの分離精製
面で不利となるばかりでなく、反応器、及び後工程での
液液分離器を大きくする必要が生じる。しかしながら器
の容積をむやみに増大することは、機器製作面、保守点
検面、及び操作面等の問題から得策でない。
【0032】したがって、本発明においては、水に対す
る環状オレフィンのモル比は0.01〜100の範囲が
好ましい。又、環状オレフィンと触媒の重量比は、連続
的な反応においては、反応温度、反応圧力、環状オレフ
ィンと水のモル比等の条件により異なるが、一般的に
は、1時間に反応器に供給される環状オレフィンの重量
に対し、触媒の重量を0.005〜100の範囲とする
ことが好ましい。
【0033】本発明において、蒸留用オイル相中に添加
共存される物質は塩基性物質であるが、該塩基性物質の
添加方法としては、(A)塩基性物質を直接オイル相に
添加し、該触媒の酸点を中和する方法、(B)苛性ソー
ダ等の強塩基性物質を直接オイル相に加えた上で加熱
し、メタロシリケートの結晶構造を破壊する方法等が挙
げられるが、前者(A)の方法が操作簡便である。こう
した塩基性物質の添加は間欠的又は、連続的に行われ
る。
【0034】本発明において、該添加の対象となる液
は、前記の接触水和反応後に液液分離器より取り出され
たオイル相から得られる環状アルコール、環状オレフィ
ン、及び微量の結晶性メタロシリケートを含有する液、
あるいは、これらを濃縮した液であるが、該分離器より
取り出されたオイル相中の環状アルコール濃度は12重
量%程度であり、工業的に製品として環状アルコールを
得る方法としては、蒸留等の操作により環状アルコール
を濃縮・精製し、製品化していくと共に、未反応の環状
オレフィンを回収・リサイクルし、又、高沸等の不純物
を分離除去するのが一般的である。よって、添加した塩
基性物質がリサイクル環状オレフィン、及び製品環状ア
ルコールに混入することを避け、かつ、有効に失活に寄
与するように、塩基性物質のオイル相への添加は、蒸留
塔の精製蒸気排出管11より下部の内液を対象とするこ
とが好ましい。
【0035】本発明において、蒸留用オイル相中に添加
共存される塩基性物質としては、無機物質としては、一
般式、MI OH、MII(OH)2 、MIII (OH)
3 〔式中、MI 、MII、MIII は、それぞれ1価、2
価、3価のアルカリ金属であり、OHは水酸基であ
る。〕などで表されるアルカリ金属の水酸化物、及び、
一般式、MI 2 O・H2 O、MIIO・H2 O、MIII 2
3 ・3H2 O〔式中、MI 、M II、MIII は、それぞ
れ1価、2価、3価のアルカリ金属であり、H2 Oは
水、Oは酸素である。〕などで表されるアルカリ金属酸
化物の水化物、及びアンモニアなどが挙げられ、これら
の混合物も有用である。
【0036】また、塩基性物質の中でも有機物として
は、一般式、R1NH2 、R1R2NH、R1R2R3
N〔式中、R1、R2、R3は、炭素数1〜16のアル
キル基、フェニル基又はシクロヘキシル基、及びそれら
にアミノ基やイミノ基などの窒素を含む置換基であ
る。〕などで表される化合物があり、代表的にはアミン
類が挙げられる。
【0037】該塩基性物質をオイル相中に添加すると、
混在している該触媒の触媒作用を低下させるために好ま
しく、特にアミン類の使用が操作簡便であるため好まし
い。アミン類としては、上記一般式などで表される化合
物である。添加したアミン類が製品に混入することを避
けるためには、製品となる環状アルコールと適度な沸点
差を有する高沸もしくは低沸物、好ましくは高沸点の物
質を選択することが好ましい。
【0038】例えば、オイル相のシクロヘキセン中のシ
クロヘキサノールを蒸留して得る場合には、オクチルア
ミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミ
ン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシル
アミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ジアミル
アミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、アニリ
ン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、エチルアニリ
ン、ジエチルアニリン、メチルキノリン、トルイジン、
ベンジルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミ
ン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチル
アミン、トリペレナミン、ジアミノメチルアミノオクタ
ン、トリエタノールアミン、トリエチレンテトラミン
等、シクロヘキサノールよりも沸点の高いアミン類を用
いるのが好ましく、さらに好ましいのはトリエチレンテ
トラミンである。
【0039】共存させる塩基性物質の量としては、接触
水和反応に用いられる触媒の酸量、あるいは、その使用
状況、劣化程度等により異なるが、通常は蒸留用オイル
相中の触媒に対し0.01〜100ミリグラム当量/g
が好ましい。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により詳細
に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、環状アルコール、環状オレフィン液
中の結晶性メタロシリケートの含有量は、該液を濾過
し、濾過残分を洗浄の後、120℃で1時間乾燥、更
に、500℃で4時間焼成し、得られた固形物の重量よ
り算出した。
【0041】
【実施例1】水和反応は、触媒となる結晶性アルミノシ
リケートとして、特開平3−193622号公報に記載
の結晶性アルミノシリケートであるZSM−5微粒子体
を用いた。この結晶性アルミノシリケートの一次粒子径
は0.1μmであった。該結晶性アルミノシリケートを
重量比で2倍の水と混合することでスラリー状触媒と
し、反応温度は125℃、反応圧力は6kg/cm2
となるように窒素ガスにて気相部を加圧、攪拌機回転数
530rpm、触媒1重量部に対しシクロヘキセンを1
時間当たり1重量部供給し、反応消費水量に見合った分
の水を原料供給管5を通じて供給した。
【0042】また、分離器2の油水界面レベルが、排出
管8より下方に位置するように、スラリー状触媒が復帰
管7を経由して反応器1へ復帰する量を調整した。排出
管8を経由して蒸留塔3へ供給される液は、シクロヘキ
サノール11.8重量%、結晶性アルミノシリケート1
8重量ppmを含むシクロヘキセン混合液であった。こ
の生成液、100重量部が、排出管8を経由して蒸留塔
3へ供給される。蒸留塔3の塔底より排出管12を経て
触媒及びシクロヘキサノールが0.5重量部系外へ抜き
出される。蒸留塔3の塔頂より排出管10を経由して留
出液88.5重量部が抜き出される。この留出液は反応
器1へとリサイクルされる。その組成はシクロヘキセン
が99.7重量%、シクロヘキサノールが0.3重量%
であり、結晶性アルミノシリケートは検出限界以下(1
重量ppm以下)であった。
【0043】供給管9から失活用トリエチレンテトラミ
ンを10重量%含むシクロヘキサノールを0.0005
重量部供給したところ(供給された結晶性アルミノシリ
ケートに対するトリエチレンテトラミンとして0.5ミ
リグラム当量/gに相当)、供給管9より上部で、かつ
排出管8と蒸留塔3の接続部より下部に設けた、精製蒸
気排出管11より蒸気として、シクロヘキセン2重量p
pmを含むシクロヘキサノール11.0重量部が得られ
た。また、このシクロヘキサノール中のトリエチレンテ
トラミン濃度は検出限界以下(1重量ppm以下)であ
った。この時、蒸留塔塔底の触媒である、結晶性アルミ
ノシリケートは0.36重量%であった。
【0044】また、排出管12よりトリエチレンテトラ
ミンを供給添加した蒸留塔塔底液を抜き出し、25℃で
1年間保存したところ、シクロヘキサノール中のシクロ
ヘキセン濃度は増加する事なく、かつシクロヘキサノー
ルの収率の低下なく、またその他の化合物の生成も見ら
れなかった。
【0045】
【実施例2】触媒となる結晶性メタロシリケートとし
て、特開平8−245454号公報の実施例1に記載の
結晶性ガロシリケートを用いた他は、実施例1と同様の
方法で水和反応を行った。排出管8を経由して蒸留塔3
へ供給される液は、シクロヘキサノール8.4重量%、
結晶性ガロシリケート25重量ppmを含むシクロヘキ
セン混合液であった。この生成液、100重量部が、排
出管8を経由して蒸留塔3へ供給される。蒸留塔3の塔
底より排出管12を経て触媒及びシクロヘキサノールが
0.5重量部系外へ抜き出される。蒸留塔3の塔頂より
排出管10を経由して留出液91.8重量部が抜き出さ
れる。この留出液は反応器1へとリサイクルされる。そ
の組成はシクロヘキセンが99.8重量%、シクロヘキ
サノールが0.2重量%であり、結晶性ガロシリケート
は検出限界以下(1重量ppm以下)であった。
【0046】供給管9から失活用トリエチレンテトラミ
ンを10重量%含むシクロヘキサノールを0.0004
重量部供給したところ(供給された結晶性ガロシリケー
トに対するトリエチレンテトラミンとして0.5ミリグ
ラム当量/gに相当)、供給管9より上部で、かつ排出
管8と蒸留塔3の接続部より下部に設けた、精製蒸気排
出管11より蒸気として、シクロヘキセン3重量ppm
を含むシクロヘキサノール7.7重量部が得られた。
又、このシクロヘキサノール中のトリエチレンテトラミ
ン濃度は検出限界以下(1重量ppm以下)であった。
この時、蒸留塔塔底の触媒である、結晶性ガロシリケー
トは0.50重量%であった。
【0047】また、排出管12よりトリエチレンテトラ
ミンを供給添加した蒸留塔塔底液を抜き出し、25℃で
1年間保存したところ、シクロヘキサノール中のシクロ
ヘキセン濃度は増加する事なく、かつシクロヘキサノー
ルの収率の低下なく、またその他の化合物の生成も見ら
れなかった。
【0048】
【比較例1】トリエチレンテトラミンを供給しなかった
以外は実施例1と同様の操作を実施したところ、精製蒸
気排出管11より蒸気として、シクロヘキセン1013
重量ppmを含むシクロヘキサノール10.9重量部が
得られた。この時、蒸留塔塔底の結晶性アルミノシリケ
ートは0.36重量%であった。
【0049】また、排出管12より蒸留塔塔底液を抜き
出し、25℃で1年間保存したところ、シクロヘキサノ
ール中のシクロヘキセン濃度は、5215重量ppmま
で増加すると同時に、シクロヘキサノールの収率が低下
し、またその他の不純物として1−メチルシクロペンテ
ンが1135重量ppmも生成している事が確認され
た。
【0050】
【比較例2】トリエチレンテトラミンを供給しなかった
以外は実施例2と同様の操作を実施したところ、精製蒸
気排出管11より蒸気として、シクロヘキセン985重
量ppmを含むシクロヘキサノール7.6重量部が得ら
れた。この時、蒸留塔塔底の結晶性アルミノシリケート
は0.50重量%であった。
【0051】また、排出管12より蒸留塔塔底液を抜き
出し、25℃で1年間保存したところ、シクロヘキサノ
ール中のシクロヘキセン濃度は、4011重量ppmま
で増加すると同時に、シクロヘキサノールの収率が低下
し、またその他の不純物として1−メチルシクロペンテ
ンが934重量ppmも生成している事が確認された。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法により、蒸留分離法で、環
状アルコール中の環状オレフィンの濃度を低減させ、な
おかつ環状アルコールの収率低下もない操作が同時に可
能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するためのプロセスフローシート
の一例である。
【符号の説明】
1 反応器 2 分離器 3 蒸留塔 4 原料供給管 5 原料供給管 6 排出管 7 復帰管 8 排出管 9 供給管 10 排出管 11 精製蒸気排出管 12 排出管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 35/02 C07C 35/02 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒として、アルミニウム、ホウ素、ガ
    リウム、チタン、クロム、鉄、亜鉛、リン、バナジウ
    ム、銅の中から選ばれた少なくとも1種のメタルを含む
    結晶性メタロシリケートを用い、下記一般式(1)で示
    される環状オレフィンのオイル相と、水相及び該触媒の
    共存下で接触水和反応により生成する環状アルコール
    を、オイル相から蒸留塔を用い蒸留分離にて取得する方
    法であって、該接触水和反応後のオイル相に塩基性物質
    を、蒸留前あるいは蒸留時に添加することを特徴とする
    環状アルコールの分離取得方法。 Cs 2s-2-tt (1) (式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フ
    ェニル基又はシクロヘキシル基であり、sは5〜12、
    tは1〜4の整数である。)
  2. 【請求項2】 塩基性物質の添加が、オイル相に存在す
    る触媒に対し、0.01〜100ミリグラム当量/gで
    あることを特徴とする請求項1記載の環状アルコールの
    分離取得方法。
  3. 【請求項3】 触媒が、下記一般式(2)で示される結
    晶性メタロシリケートであることを特徴とする請求項1
    または2記載の環状アルコールの分離取得方法。 M2 n ・xSiO2 ・yAl2 3 ・(1−y)Z2 w (2) (式中、Mはn価の少なくとも1種のカチオンを表し、
    Oは酸素、Siはケイ素、Alはアルミニウム、ZはM
    及びアルミニウム以外のメタルで、ホウ素、ガリウム、
    チタン、クロム、鉄、亜鉛、リン、バナジウム、銅の中
    から選ばれた少なくとも1種のw価のメタルを表す。ま
    た、nは1〜6、wは1〜6の整数であり、1≦x≦1
    000、0≦y≦1である。)
  4. 【請求項4】 結晶性メタロシリケートが、一次粒子径
    0.5μm以下の結晶性アルミノシリケートであること
    を特徴とする請求項1、2または3記載の環状アルコー
    ルの分離取得方法。
  5. 【請求項5】 結晶性アルミノシリケートが、結晶性ア
    ルミノシリケートZSM−5であることを特徴とする請
    求項4記載の環状アルコールの分離取得方法。
  6. 【請求項6】 塩基性物質が、アミン類であることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の環状アルコー
    ルの分離取得方法。
  7. 【請求項7】 アミン類が、環状アルコールより沸点が
    高いアミン類であることを特徴とする請求項6記載の環
    状アルコールの分離取得方法。
  8. 【請求項8】 環状アルコールがシクロヘキサノールで
    ある請求項1〜7のいずれかに記載の環状アルコールの
    分離取得方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019112368A (ja) * 2017-12-26 2019-07-11 旭化成株式会社 1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法
WO2023140165A1 (ja) * 2022-01-20 2023-07-27 三菱ケミカル株式会社 多価アルコール類の製造方法

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